自動車(一般)(その7)(トヨタ自動車にディーラーの不満が爆発寸前!販売店軽視 利益搾取に溜まる怒りのマグマ、トヨタ自動車が豊田章男会長“喜び組記者”を社外監査役に抜擢 古巣の中日新聞社長は直撃に「トヨタ寄りだったかもしれないが」《トヨタも公式回答で…》、トヨタのガバナンスを 前ネスレ日本社長の高岡氏が辛口批評!グローバル企業に必要な社外取・監査の選任基準とは?) [産業動向]
自動車(一般)については、本年3月13日に取上げた。今日は、(その7)(トヨタ自動車にディーラーの不満が爆発寸前!販売店軽視 利益搾取に溜まる怒りのマグマ、トヨタ自動車が豊田章男会長“喜び組記者”を社外監査役に抜擢 古巣の中日新聞社長は直撃に「トヨタ寄りだったかもしれないが」《トヨタも公式回答で…》、トヨタのガバナンスを 前ネスレ日本社長の高岡氏が辛口批評!グローバル企業に必要な社外取・監査の選任基準とは?)である。
先ずは、本年3月18日付けダイヤモンド・オンライン「トヨタ自動車にディーラーの不満が爆発寸前!販売店軽視、利益搾取に溜まる怒りのマグマ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338048
・『トヨタ自動車系ディーラーの「全店全車種併売」が始まってから4年が経過しようとしている。国内の人口減少で、新車の販売台数が伸び悩む中、販売店同士の競争を促すためにメーカー主導で「トヨタ店」「トヨペット店」などといった販売チャネルの垣根を取り払ったのだ。しかし、ディーラーからは怨念にも近い声が上がっている。特集『崩壊 ディーラービジネス』(全7回)の#6では、トヨタが販売店から利益を搾り取っている実態を明らかにするとともに、ディーラーの本音に迫る』、興味深そうだ。
・『2020年からの全車種併売開始後 トヨタの販売店軽視が鮮明に 「今年はメーカーも販売店も共に斧を磨く年にしよう」。今年1月末に東京都内で開催された全国トヨタ販売店代表者会議で、トヨタ自動車の国内販売を担当する友山茂樹本部長は、ディーラー首脳らにこう呼び掛けた。 友山氏は、かつて北米のディーラーミーティーグで、「レクサス」の新車販売が低迷していた時代に、北米ディーラーの代表が、「今こそメーカーは斧を研ぐ時だ」として豊田章男会長に斧を贈ったエピソードを紹介。トヨタグループで不正が相次ぎ、一部車種が販売停止に追い込まれている窮地ではあるが、臥薪嘗胆の思いで正常化に向けて準備をすることの重要性を訴えたのだ。 会場は拍手で沸いたものの、一部のトヨタディーラー首脳は、友山氏のプレゼンテーションを冷ややかな目で見ざるを得なかった。全車種併売開始以降、ディーラーを締め付けるトヨタの姿勢に不信感が広がっているからだ。 そもそも全車種併売とは、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の各チャンネルにあった専売車種をなくし、全店舗でほぼ全てのトヨタのクルマを販売できるようにする“規制緩和”だ。 その目的は、販売店同士の競争だ。人口減少で新車販売が伸び悩む中、販売店同士を競わせて、ディーラー網の再編を促す狙いがあった。日本自動車販売協会連合会の関係者によると、「約250法人あるトヨタ系ディーラーを110法人程度までに絞るという見方もある」という。 全車種併売化により、大衆向けのクルマを扱っていたカローラ店やネッツ店で高級車の「クラウン」を扱えたり、トヨタ店で商用向けの「ハイエース」を販売できるようになったりして、恩恵を受けているディーラーが少なくないのは事実だ。 半導体不足で生産が滞っていた反動で、イベント費用やDM費などの販促費を投じなくても、ほぼ定価でクルマが売れる状況が続いていることもあり、ディーラーの足元の業績は好調だ。 ただし、ディーラー側には不満もたまっている。メーカー側が 販売店同士の競争を促そうと、上から目線で流通網にメスを入れていることが、元来、独立心が旺盛なディーラーの反発を招いている のだ。 次ページでは、トヨタが販売店から利益を搾り取っている実態を明らかにするとともに、ディーラーの本音に迫る』、「ディーラー側には不満もたまっている。メーカー側が 販売店同士の競争を促そうと、上から目線で流通網にメスを入れていることが、元来、独立心が旺盛なディーラーの反発を招いている のだ」、なるほど。
・『仕入れ価格の値上げで締め付け クルマのサブスクも負担に トヨタの締め付け策で最も象徴的なものは、仕入れ価格の値上げだ。 ある有力ディーラーによると、全車種併売以前、クルマの利益率は10%程度だったが、値上げにより利益率は7%程度にまで低下した。 新車種の生産量を初期受注量が上回る場合は、販促費をかけなくても売れる。ただ、クルマが行き渡って販売が伸び悩めば、ディーラーの業績は苦しくなる。販売が伸び悩んでからディーラーがトヨタに仕入れ価格の引き下げを求めても、強気の姿勢のまま一向に仕入れ価格を変更することはなかったという。 手元資金がなくてもクルマを手にすることができる「残価設定クレジット(残クレ)」など、ディーラーは幅広い金融商品を用意しているが、金融についてもトヨタが関与を強めている。 ディーラーは独立資本のため、地場の金融機関の金融商品を扱うこともできるが、併売以降は、トヨタ系のクレジット会社である トヨタファイナンスに切り替えるよう強く求められるケースがあったという。 2020年以降、トヨタファイナンスのクレジットカードのキャッシングなども含めた取扱高は右肩上がりで増加している。20年3月期は7兆9849億円だったが、23年3月期には8兆9736億円と約12%も増加しているのだ。 「KINTO(キント)」に対する不満もたまっている。キントは「まだクルマ買ってるんですか?」をキャッチコピーに、19年から始めたクルマのサブスクリプションサービスだ。顧客にとっては煩わしい保険や車検の手続きをすることなく、月額3万円から乗れる便利なサービスだが、ディーラー側にしてみれば、収益のほとんどをメーカー側に奪われているのが実態だ。 キントはクルマを持ちたがらない若年層に向けた新たな販売戦略ともいえるが、ディーラーにしてみれば利益貢献もせず、現場に負担を強いるだけのサービスのため、「われわれを無視しているとしか思えない」(ディーラー幹部)と憤る。 ディーラーが望むのは、トヨタとの対等な関係だ。前出のディーラー幹部は「持っている資本は懸け離れているが、顧客に対する責任や、クルマを通じて顧客の生活を豊かにしたいという部分は同じだと認識している。お互いが信頼関係を持って意見をぶつけ合える関係に戻らなければ、電気自動車(EV)の普及の阻害要因にもなりかねない」と指摘する。 トヨタグループのダイハツ工業で起きた不祥事は、“現場”の声に耳を傾けなかったために起きたと第三者委員会の調査報告書で指摘されている。製造現場だけでなく、販売の“最前線”に立つディーラーを軽視する姿勢が続けば、築き上げてきた強固な販売網は内部から崩壊しかねない。 ディーラーの声を拾い、寄り添う姿勢を見せなければ、斧はさびついて、中国BYDや米テスラといった黒船にも太刀打ちできなくなってしまうだろう』、「キントは「まだクルマ買ってるんですか?」をキャッチコピーに、19年から始めたクルマのサブスクリプションサービスだ。顧客にとっては煩わしい保険や車検の手続きをすることなく、月額3万円から乗れる便利なサービスだが、ディーラー側にしてみれば、収益のほとんどをメーカー側に奪われているのが実態だ。 キントはクルマを持ちたがらない若年層に向けた新たな販売戦略ともいえるが、ディーラーにしてみれば利益貢献もせず、現場に負担を強いるだけのサービスのため、「われわれを無視しているとしか思えない」(ディーラー幹部)と憤る・・・ディーラーが望むのは、トヨタとの対等な関係だ。前出のディーラー幹部は「持っている資本は懸け離れているが、顧客に対する責任や、クルマを通じて顧客の生活を豊かにしたいという部分は同じだと認識している。お互いが信頼関係を持って意見をぶつけ合える関係に戻らなければ、電気自動車(EV)の普及の阻害要因にもなりかねない」と指摘・・・製造現場だけでなく、販売の“最前線”に立つディーラーを軽視する姿勢が続けば、築き上げてきた強固な販売網は内部から崩壊しかねない。 ディーラーの声を拾い、寄り添う姿勢を見せなければ、斧はさびついて、中国BYDや米テスラといった黒船にも太刀打ちできなくなってしまうだろう」、現場の危機感は強いようだ。
次に、3月27日付け文春オンライン「トヨタ自動車が豊田章男会長“喜び組記者”を社外監査役に抜擢 古巣の中日新聞社長は直撃に「トヨタ寄りだったかもしれないが」《トヨタも公式回答で…》」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/69841#goog_rewarded
・『トヨタ自動車は3月21日、社外監査役に元中日新聞編集委員・長田弘己氏(50)を起用する人事を発表した。同社初のマスコミ出身の役員となる見通し。ただ、長田氏がトヨタの豊田章男会長(67)と極めて近い記者とされることから、関係者の間でこの人事が大きな波紋を呼んでいる。そんな中、中日新聞の大島宇一郎社長(59)が「週刊文春」の直撃取材に対し、長田氏の取材姿勢やトヨタとの関係などについて語った。また、トヨタも取材に対し、「『外の目』と『中の目』を兼ね備えたジャーナリスト」などと回答した』、「中日新聞」にとっても「トヨタ」は最も大切な取材先だろう。
・『「トヨタウォーズ」と題する大型連載を手掛けた 「週刊文春」は2月22日発売号で、「豊田章男トヨタ会長はなぜ不正を招いたのか」と題した8ページに及ぶレポートを掲載。グループ会社で相次いで発覚した不正の背景や、豊田会長が重用してきた元レースクイーンや元コンパニオンとの「本当の関係」などについて詳報した。 そんなトヨタが今回、社外監査役に起用すると発表したのが、中日新聞の女性編集委員として有名な存在だった長田氏だ。どんな人物なのか。 「1999年に入社し、ニューヨーク特派員などを経て2019年からトヨタグループ取材班のキャップを務めた。在任中に『トヨタウォーズ』と題する大型連載を1年半にわたって手がけ、章男氏にベッタリと密着していました」(中日新聞社員) 2020年7月には、中日新聞は章男氏の「単独インタビュー」を実施。するとその記事は後日、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」で全編公開された。 「つまり、トヨタとコラボしたPR企画を『単独インタビュー』と銘打っていただけでした。中身も、コロナ禍での章男氏の戦いや経営哲学などをカッコよく描いたもの。こうした経緯から、彼女は一部で“喜び組記者”とも言われていました」(自動車業界に詳しい経済部記者)』、「2020年7月には、中日新聞は章男氏の「単独インタビュー」を実施。するとその記事は後日、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」で全編公開された。 「つまり、トヨタとコラボしたPR企画を『単独インタビュー』と銘打っていただけでした。中身も、コロナ禍での章男氏の戦いや経営哲学などをカッコよく描いたもの。こうした経緯から、彼女は一部で“喜び組記者”とも言われていました」、「“喜び組記者”」とは言い得て妙だ。
・『中日新聞社長は「妬みの対象なのは間違いない」 この異例の人事について、中日新聞サイドはどう受け止めているのか。同社の大島宇一郎社長を直撃した。 Q:長田氏がトヨタの監査役に就任するが。 A:「トヨタ自動車さんの人事の判断ですから。まぁジャーナリストが監査役かって。そこに需要があるんだから。そこに中日新聞社の意思なんてないですよ」 Q:トヨタ担当時代から、長田氏の記事はトヨタや章男氏を無批判に持ち上げ過ぎだという指摘が出ている。 A:「それは読んだ人の気持ち次第だよね。読者の中にはトヨタに勤めている人もいれば、トヨタで辛い目にあった人たちもいるかもしれない。どっちにも寄り添っていかなきゃいけないっていう事情はある。長田は長田なりに取材したことを書いてきた。……それはトヨタ寄りの話だったのかもしれないけど、普通だったら世に出ないような話を書いていた。それは長田だって、事実を積み上げて書いてきた」 Q:結果として、章男氏の単独インタビューがトヨタイムズに転載されるなど、「提灯持ち」として利用されていたのでは? A:「まぁ……そこまでアクセスできたのは一つの能力だから。(同業他社の記者からは)長田が妬みの対象であることは間違いないと思うよ。トヨタは地元の世界的大企業だし、いつも喧嘩していなきゃいけないっていうことではない。でもおかしいことがあったら書くっていうスタンスには変わりはない。うちは、それはずっと一貫している」』、「Q:結果として、章男氏の単独インタビューがトヨタイムズに転載されるなど、「提灯持ち」として利用されていたのでは? A:「まぁ……そこまでアクセスできたのは一つの能力だから。(同業他社の記者からは)長田が妬みの対象であることは間違いないと思うよ。トヨタは地元の世界的大企業だし、いつも喧嘩していなきゃいけないっていうことではない。でもおかしいことがあったら書くっていうスタンスには変わりはない。うちは、それはずっと一貫している」、やや苦しい言い訳だ。
・『ガバナンス専門家は「社外監査役の責任はより重いはず」 改めて中日新聞社に監査役就任などについて見解を求めたところ、以下のような回答があった。 「長田弘己氏がかつて、弊社に在籍していたことは事実ですが、退職した方について、会社として、お答えできることはありません」 一方、トヨタ自動車に監査役就任などについて見解を求めたところ、「個別の質問につきましては、回答を差し控えさせていただきます」としたうえで、主に以下のように回答した。 「新任社外監査役候補の長田弘己氏は、国内外で多くの企業を取材して培った健全な批判精神という『外の目』と、長年弊社を取材し、冷静に分析できる『中の目』を兼ね備えたジャーナリストであり、社外監査役として適任であると判断しました」 だが、トヨタでは昨年から今年にかけて、日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機のグループ3社で相次いで不正が発覚する不祥事が起きたばかり。元検事で、日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長の牛島信弁護士が指摘する。 「あれだけの不祥事が発覚した直後だけに、社外監査役の責任はより重いはず。長田氏の報道姿勢がご指摘の通りであれば、監査役として相応しいのかどうかについて、批判の声は上がるでしょう。いずれにしても、より厳しい視線で職務を遂行することが求められます」 「週刊文春電子版」ではオリジナル記事として、大島氏とのより詳しい一問一答のほか、長田氏が担当した署名記事の中身、長田氏が番記者として表彰された過去、トヨタが発表した社外役員基準見直しの背景、長田氏の起用に反対した取締役の存在などについても詳しく報じている』、「元検事で、日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長の牛島信弁護士が指摘する。 「あれだけの不祥事が発覚した直後だけに、社外監査役の責任はより重いはず。長田氏の報道姿勢がご指摘の通りであれば、監査役として相応しいのかどうかについて、批判の声は上がるでしょう。いずれにしても、より厳しい視線で職務を遂行することが求められます」、その通りだろう。
第三に、4月15日付けダイヤモンド・オンライン「トヨタのガバナンスを、前ネスレ日本社長の高岡氏が辛口批評!グローバル企業に必要な社外取・監査の選任基準とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342020
・『トヨタ自動車は3月、社外取締役と社外監査役の役割の明確化と、独立性判断に関する基準を見直した。だが、その内容はガバナンスの改善効果を疑わざるを得ないものだった。果たして、トヨタのガバナンスは健全なのか。ネスレ日本で10年間社長を務めた高岡浩三氏にトヨタの抱える課題を挙げてもらった』、興味深そうだ。
・『「トヨタフィロソフィー」の理解を社外取に求めるのはお門違い 「トヨタフィロソフィー」――。3月下旬にトヨタ自動車が社外取締役に求める役割や期待を明確化したというリリースの中に、ひと際目立つワードがある。 トヨタフィロソフィーとは、トヨタグループの創始者、豊田佐吉の考え方をまとめた「豊田綱領」をベースに、クルマづくりを通じて、顧客や社会に幸せをもたらすことなどをまとめた経営理念だ。 豊田章男会長は、トヨタフィロソフィーの必要性をたびたび強調してきた。トヨタは新たに見直した社外取締役と社外監査役の基準の冒頭にある、「社外役員の役割・期待」の第一の項目として、「トヨタフィロソフィーに共感すること」を掲げている。 しかし、前ネスレ日本社長の高岡浩三氏は、社外取らの第一条件としてトヨタフィロソフィーへの理解を求める姿勢に首をかしげる。「現執行役がやっていることが正しく、それに追従しなさいと言っているように見える」からだ。 高岡氏はネスレの取締役の構成と比較すると、トヨタが発表した役割と期待、そして人選に疑問が残ると指摘する。 次ページでは、高岡氏にネスレと比較しながらトヨタが抱える問題点について指摘してもらった』、確かに「「社外役員の役割・期待」の第一の項目として、「トヨタフィロソフィーに共感すること」を掲げている」、のは、確かに「「現執行役がやっていることが正しく、それに追従しなさいと言っているように見える」ので、明らかに認識が誤っている。
・『委員会が存在しないトヨタの取締役会 社外取・監査役の人選も不透明さが残る ネスレは、スイスに本社を構え、コーヒーブランド「ネスカフェ」やココア味の麦芽飲料「ミロ」などを世界188拠点で販売する食品メーカーだ。従業員数は全世界で27万人にも及ぶ。高岡氏はその日本法人で、退任する20年まで10年間、社長兼最高経営責任者(CEO)を務めた。 ネスレでは、「会社は創業家や社員のものではなく株主のもの」という考え方が浸透しており、取締役15人のうち、ネスレ出身者は会長、社長のわずか2人だ。 メンバーを見ると、ZARAブランドで知られている、スペインのアパレル大手インディテックスの前会長や米アップルの最高財務責任者(CFO)など国籍や経歴は多種多様だ。 トヨタの取締役のメンバーに目を移すと、章男氏や早川茂副会長などトヨタグループ出身者が10人中6人で、社外取締役は過半数以下の4人となっている。 日本取引所グループ(JPX)が21年6月に改訂したコーポレートガバナンス・コードにおいて、プライム市場の企業は少なくとも3分の1以上社外取締役を選任すべきだと記載されているが、必ずしも過半数である必要はない。 ただ、高岡氏は「(会長や社長を)絶対的にクビにできないような仕組みになっている」と分析する。 本来取締役とは、株主に代わって執行役を取り締まるために存在しているが、社外取が過半数でなければ、管理・監督する役割が弱まり、機能不全に陥ってしまうとの見方を示す。 ネスレと比較して、トヨタに監査委員会や指名委員会などの委員会が存在しないことについても問題視する。 現在ネスレでCEOを務めるのは、マーク・シュナイダーという人物だ。人工透析装置の製造を手掛けるドイツのヘルスケア企業「フレゼニウス」で13年間CEOを務めた後、17年に就任している。 当初ネスレも日本企業のように、内部から社長に昇格することが慣例だったが、指名委員会が90年ぶりに外部からシュナイダー氏を登用したのだ。背景にあるのは、ネスレを取り巻く経営環境が劇的に変化していることにあった。 自前で革新的な商品やサービスを開発するのが難しくなる中で、ネスレはスタートアップを買収して、企業として成長していく経営に方針を転換。M&A(企業の合併・買収)でフレゼニウスを成長させたシュナイダー氏に、白羽の矢が立ったのだ。 シュナイダー氏には食品やマーケティングの知見はなかったが、「既存の食品ブランドラインだけでは今後生き残れず、付加価値の高い栄養食品などM&Aによるポートフォリオの組み替えが必須だというネスレの危機感が優った」(高岡氏)と振り返る。 トヨタは指名委員会等設置会社に移行しない代わりに、報酬案策定会議や役員人事案策定会議など委員会に類似する場を設けているが、機能しているとは言い難い。23年1月に佐藤恒治社長の就任を発表したオンライン会見でもその一端が垣間見える。 章男氏が後継者として佐藤氏を選んだ理由について「若く、クルマが大好きな人だからだ」と説明。佐藤氏は「タイで開催されたレース会場で突然社長就任を打診された」と語った。役員人事案策定会議のメンバー、社外取締役のフィリップ・クレイヴァン氏は佐藤氏を選んだ経緯について「豊田氏と内山田氏が役員人事案策定会議に出席し、(われわれが)佐藤氏の社長昇格の提案を受けた」と振り返った。まず社外取の推薦者や意見を聞くなど、社外取の意見を十分に踏まえて社長が選ばれたといえるのか疑わしいのだ。 社長以外の人選にも不透明さが残る。昨年にダイハツ工業や豊田自動織機で検査不正が相次いで発覚したにもかかわらず、24年度の取締役は誰も責任を取らず留任する見通しで、新任監査役候補も「トヨタのたいこ持ち記者」と関係者からやゆされている中日新聞社出身の記者の名前が挙がるなど、形式的に整っているだけで実態は空洞化していると評価せざるを得ない状況だからだ。 高岡氏は「どういう人を取締役会のメンバーとして欲しいかという意思が、リリースからは読み取れない。グローバル企業とはかけ離れている」と述べた』、「昨年にダイハツ工業や豊田自動織機で検査不正が相次いで発覚したにもかかわらず、24年度の取締役は誰も責任を取らず留任する見通しで、新任監査役候補も「トヨタのたいこ持ち記者」と関係者からやゆされている中日新聞社出身の記者の名前が挙がるなど、形式的に整っているだけで実態は空洞化していると評価せざるを得ない状況・・・どういう人を取締役会のメンバーとして欲しいかという意思が、リリースからは読み取れない。グローバル企業とはかけ離れている」、なるほど。
・『自動車業界はSDVが主流も ガバナンス不全が開発競争の足かせに 次世代モビリティの競争軸が、ハードウエアからソフトウエアに移っていることに伴い、業界では車の性能や価値が決まる「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」が主流となりつつある。 トヨタも子会社のウーブン・バイ・トヨタで車載OS(基本ソフト)の開発を急いだり、熊本県内に建設された台湾の半導体メーカーTSMCの工場に出資したりして、次世代モビリティ開発の主導権を握ろうとしている。 トヨタは、時代の変化にキャッチアップしようと躍起になっているように見えるが、そのスピード感は、必ずしも速いとはいえない。株主の利益を守るためにも、トヨタの経営に率直な意見を言う社外取締役らが欠かせない。 トヨタの取締役や監査役の人選の正当性や、独立性に疑問符が付く状況が続けば、ガバナンス不全で社内は硬直する。このままでは、自動車産業を襲っている「100年に一度の変革期」の波にのみ込まれ、浮上できない事態になりかねない』、「株主の利益を守るためにも、トヨタの経営に率直な意見を言う社外取締役らが欠かせない。 トヨタの取締役や監査役の人選の正当性や、独立性に疑問符が付く状況が続けば、ガバナンス不全で社内は硬直する。このままでは、自動車産業を襲っている「100年に一度の変革期」の波にのみ込まれ、浮上できない事態になりかねない」、同感である。
先ずは、本年3月18日付けダイヤモンド・オンライン「トヨタ自動車にディーラーの不満が爆発寸前!販売店軽視、利益搾取に溜まる怒りのマグマ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/338048
・『トヨタ自動車系ディーラーの「全店全車種併売」が始まってから4年が経過しようとしている。国内の人口減少で、新車の販売台数が伸び悩む中、販売店同士の競争を促すためにメーカー主導で「トヨタ店」「トヨペット店」などといった販売チャネルの垣根を取り払ったのだ。しかし、ディーラーからは怨念にも近い声が上がっている。特集『崩壊 ディーラービジネス』(全7回)の#6では、トヨタが販売店から利益を搾り取っている実態を明らかにするとともに、ディーラーの本音に迫る』、興味深そうだ。
・『2020年からの全車種併売開始後 トヨタの販売店軽視が鮮明に 「今年はメーカーも販売店も共に斧を磨く年にしよう」。今年1月末に東京都内で開催された全国トヨタ販売店代表者会議で、トヨタ自動車の国内販売を担当する友山茂樹本部長は、ディーラー首脳らにこう呼び掛けた。 友山氏は、かつて北米のディーラーミーティーグで、「レクサス」の新車販売が低迷していた時代に、北米ディーラーの代表が、「今こそメーカーは斧を研ぐ時だ」として豊田章男会長に斧を贈ったエピソードを紹介。トヨタグループで不正が相次ぎ、一部車種が販売停止に追い込まれている窮地ではあるが、臥薪嘗胆の思いで正常化に向けて準備をすることの重要性を訴えたのだ。 会場は拍手で沸いたものの、一部のトヨタディーラー首脳は、友山氏のプレゼンテーションを冷ややかな目で見ざるを得なかった。全車種併売開始以降、ディーラーを締め付けるトヨタの姿勢に不信感が広がっているからだ。 そもそも全車種併売とは、トヨタ店、トヨペット店、カローラ店、ネッツ店の各チャンネルにあった専売車種をなくし、全店舗でほぼ全てのトヨタのクルマを販売できるようにする“規制緩和”だ。 その目的は、販売店同士の競争だ。人口減少で新車販売が伸び悩む中、販売店同士を競わせて、ディーラー網の再編を促す狙いがあった。日本自動車販売協会連合会の関係者によると、「約250法人あるトヨタ系ディーラーを110法人程度までに絞るという見方もある」という。 全車種併売化により、大衆向けのクルマを扱っていたカローラ店やネッツ店で高級車の「クラウン」を扱えたり、トヨタ店で商用向けの「ハイエース」を販売できるようになったりして、恩恵を受けているディーラーが少なくないのは事実だ。 半導体不足で生産が滞っていた反動で、イベント費用やDM費などの販促費を投じなくても、ほぼ定価でクルマが売れる状況が続いていることもあり、ディーラーの足元の業績は好調だ。 ただし、ディーラー側には不満もたまっている。メーカー側が 販売店同士の競争を促そうと、上から目線で流通網にメスを入れていることが、元来、独立心が旺盛なディーラーの反発を招いている のだ。 次ページでは、トヨタが販売店から利益を搾り取っている実態を明らかにするとともに、ディーラーの本音に迫る』、「ディーラー側には不満もたまっている。メーカー側が 販売店同士の競争を促そうと、上から目線で流通網にメスを入れていることが、元来、独立心が旺盛なディーラーの反発を招いている のだ」、なるほど。
・『仕入れ価格の値上げで締め付け クルマのサブスクも負担に トヨタの締め付け策で最も象徴的なものは、仕入れ価格の値上げだ。 ある有力ディーラーによると、全車種併売以前、クルマの利益率は10%程度だったが、値上げにより利益率は7%程度にまで低下した。 新車種の生産量を初期受注量が上回る場合は、販促費をかけなくても売れる。ただ、クルマが行き渡って販売が伸び悩めば、ディーラーの業績は苦しくなる。販売が伸び悩んでからディーラーがトヨタに仕入れ価格の引き下げを求めても、強気の姿勢のまま一向に仕入れ価格を変更することはなかったという。 手元資金がなくてもクルマを手にすることができる「残価設定クレジット(残クレ)」など、ディーラーは幅広い金融商品を用意しているが、金融についてもトヨタが関与を強めている。 ディーラーは独立資本のため、地場の金融機関の金融商品を扱うこともできるが、併売以降は、トヨタ系のクレジット会社である トヨタファイナンスに切り替えるよう強く求められるケースがあったという。 2020年以降、トヨタファイナンスのクレジットカードのキャッシングなども含めた取扱高は右肩上がりで増加している。20年3月期は7兆9849億円だったが、23年3月期には8兆9736億円と約12%も増加しているのだ。 「KINTO(キント)」に対する不満もたまっている。キントは「まだクルマ買ってるんですか?」をキャッチコピーに、19年から始めたクルマのサブスクリプションサービスだ。顧客にとっては煩わしい保険や車検の手続きをすることなく、月額3万円から乗れる便利なサービスだが、ディーラー側にしてみれば、収益のほとんどをメーカー側に奪われているのが実態だ。 キントはクルマを持ちたがらない若年層に向けた新たな販売戦略ともいえるが、ディーラーにしてみれば利益貢献もせず、現場に負担を強いるだけのサービスのため、「われわれを無視しているとしか思えない」(ディーラー幹部)と憤る。 ディーラーが望むのは、トヨタとの対等な関係だ。前出のディーラー幹部は「持っている資本は懸け離れているが、顧客に対する責任や、クルマを通じて顧客の生活を豊かにしたいという部分は同じだと認識している。お互いが信頼関係を持って意見をぶつけ合える関係に戻らなければ、電気自動車(EV)の普及の阻害要因にもなりかねない」と指摘する。 トヨタグループのダイハツ工業で起きた不祥事は、“現場”の声に耳を傾けなかったために起きたと第三者委員会の調査報告書で指摘されている。製造現場だけでなく、販売の“最前線”に立つディーラーを軽視する姿勢が続けば、築き上げてきた強固な販売網は内部から崩壊しかねない。 ディーラーの声を拾い、寄り添う姿勢を見せなければ、斧はさびついて、中国BYDや米テスラといった黒船にも太刀打ちできなくなってしまうだろう』、「キントは「まだクルマ買ってるんですか?」をキャッチコピーに、19年から始めたクルマのサブスクリプションサービスだ。顧客にとっては煩わしい保険や車検の手続きをすることなく、月額3万円から乗れる便利なサービスだが、ディーラー側にしてみれば、収益のほとんどをメーカー側に奪われているのが実態だ。 キントはクルマを持ちたがらない若年層に向けた新たな販売戦略ともいえるが、ディーラーにしてみれば利益貢献もせず、現場に負担を強いるだけのサービスのため、「われわれを無視しているとしか思えない」(ディーラー幹部)と憤る・・・ディーラーが望むのは、トヨタとの対等な関係だ。前出のディーラー幹部は「持っている資本は懸け離れているが、顧客に対する責任や、クルマを通じて顧客の生活を豊かにしたいという部分は同じだと認識している。お互いが信頼関係を持って意見をぶつけ合える関係に戻らなければ、電気自動車(EV)の普及の阻害要因にもなりかねない」と指摘・・・製造現場だけでなく、販売の“最前線”に立つディーラーを軽視する姿勢が続けば、築き上げてきた強固な販売網は内部から崩壊しかねない。 ディーラーの声を拾い、寄り添う姿勢を見せなければ、斧はさびついて、中国BYDや米テスラといった黒船にも太刀打ちできなくなってしまうだろう」、現場の危機感は強いようだ。
次に、3月27日付け文春オンライン「トヨタ自動車が豊田章男会長“喜び組記者”を社外監査役に抜擢 古巣の中日新聞社長は直撃に「トヨタ寄りだったかもしれないが」《トヨタも公式回答で…》」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/69841#goog_rewarded
・『トヨタ自動車は3月21日、社外監査役に元中日新聞編集委員・長田弘己氏(50)を起用する人事を発表した。同社初のマスコミ出身の役員となる見通し。ただ、長田氏がトヨタの豊田章男会長(67)と極めて近い記者とされることから、関係者の間でこの人事が大きな波紋を呼んでいる。そんな中、中日新聞の大島宇一郎社長(59)が「週刊文春」の直撃取材に対し、長田氏の取材姿勢やトヨタとの関係などについて語った。また、トヨタも取材に対し、「『外の目』と『中の目』を兼ね備えたジャーナリスト」などと回答した』、「中日新聞」にとっても「トヨタ」は最も大切な取材先だろう。
・『「トヨタウォーズ」と題する大型連載を手掛けた 「週刊文春」は2月22日発売号で、「豊田章男トヨタ会長はなぜ不正を招いたのか」と題した8ページに及ぶレポートを掲載。グループ会社で相次いで発覚した不正の背景や、豊田会長が重用してきた元レースクイーンや元コンパニオンとの「本当の関係」などについて詳報した。 そんなトヨタが今回、社外監査役に起用すると発表したのが、中日新聞の女性編集委員として有名な存在だった長田氏だ。どんな人物なのか。 「1999年に入社し、ニューヨーク特派員などを経て2019年からトヨタグループ取材班のキャップを務めた。在任中に『トヨタウォーズ』と題する大型連載を1年半にわたって手がけ、章男氏にベッタリと密着していました」(中日新聞社員) 2020年7月には、中日新聞は章男氏の「単独インタビュー」を実施。するとその記事は後日、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」で全編公開された。 「つまり、トヨタとコラボしたPR企画を『単独インタビュー』と銘打っていただけでした。中身も、コロナ禍での章男氏の戦いや経営哲学などをカッコよく描いたもの。こうした経緯から、彼女は一部で“喜び組記者”とも言われていました」(自動車業界に詳しい経済部記者)』、「2020年7月には、中日新聞は章男氏の「単独インタビュー」を実施。するとその記事は後日、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」で全編公開された。 「つまり、トヨタとコラボしたPR企画を『単独インタビュー』と銘打っていただけでした。中身も、コロナ禍での章男氏の戦いや経営哲学などをカッコよく描いたもの。こうした経緯から、彼女は一部で“喜び組記者”とも言われていました」、「“喜び組記者”」とは言い得て妙だ。
・『中日新聞社長は「妬みの対象なのは間違いない」 この異例の人事について、中日新聞サイドはどう受け止めているのか。同社の大島宇一郎社長を直撃した。 Q:長田氏がトヨタの監査役に就任するが。 A:「トヨタ自動車さんの人事の判断ですから。まぁジャーナリストが監査役かって。そこに需要があるんだから。そこに中日新聞社の意思なんてないですよ」 Q:トヨタ担当時代から、長田氏の記事はトヨタや章男氏を無批判に持ち上げ過ぎだという指摘が出ている。 A:「それは読んだ人の気持ち次第だよね。読者の中にはトヨタに勤めている人もいれば、トヨタで辛い目にあった人たちもいるかもしれない。どっちにも寄り添っていかなきゃいけないっていう事情はある。長田は長田なりに取材したことを書いてきた。……それはトヨタ寄りの話だったのかもしれないけど、普通だったら世に出ないような話を書いていた。それは長田だって、事実を積み上げて書いてきた」 Q:結果として、章男氏の単独インタビューがトヨタイムズに転載されるなど、「提灯持ち」として利用されていたのでは? A:「まぁ……そこまでアクセスできたのは一つの能力だから。(同業他社の記者からは)長田が妬みの対象であることは間違いないと思うよ。トヨタは地元の世界的大企業だし、いつも喧嘩していなきゃいけないっていうことではない。でもおかしいことがあったら書くっていうスタンスには変わりはない。うちは、それはずっと一貫している」』、「Q:結果として、章男氏の単独インタビューがトヨタイムズに転載されるなど、「提灯持ち」として利用されていたのでは? A:「まぁ……そこまでアクセスできたのは一つの能力だから。(同業他社の記者からは)長田が妬みの対象であることは間違いないと思うよ。トヨタは地元の世界的大企業だし、いつも喧嘩していなきゃいけないっていうことではない。でもおかしいことがあったら書くっていうスタンスには変わりはない。うちは、それはずっと一貫している」、やや苦しい言い訳だ。
・『ガバナンス専門家は「社外監査役の責任はより重いはず」 改めて中日新聞社に監査役就任などについて見解を求めたところ、以下のような回答があった。 「長田弘己氏がかつて、弊社に在籍していたことは事実ですが、退職した方について、会社として、お答えできることはありません」 一方、トヨタ自動車に監査役就任などについて見解を求めたところ、「個別の質問につきましては、回答を差し控えさせていただきます」としたうえで、主に以下のように回答した。 「新任社外監査役候補の長田弘己氏は、国内外で多くの企業を取材して培った健全な批判精神という『外の目』と、長年弊社を取材し、冷静に分析できる『中の目』を兼ね備えたジャーナリストであり、社外監査役として適任であると判断しました」 だが、トヨタでは昨年から今年にかけて、日野自動車、ダイハツ工業、豊田自動織機のグループ3社で相次いで不正が発覚する不祥事が起きたばかり。元検事で、日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長の牛島信弁護士が指摘する。 「あれだけの不祥事が発覚した直後だけに、社外監査役の責任はより重いはず。長田氏の報道姿勢がご指摘の通りであれば、監査役として相応しいのかどうかについて、批判の声は上がるでしょう。いずれにしても、より厳しい視線で職務を遂行することが求められます」 「週刊文春電子版」ではオリジナル記事として、大島氏とのより詳しい一問一答のほか、長田氏が担当した署名記事の中身、長田氏が番記者として表彰された過去、トヨタが発表した社外役員基準見直しの背景、長田氏の起用に反対した取締役の存在などについても詳しく報じている』、「元検事で、日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長の牛島信弁護士が指摘する。 「あれだけの不祥事が発覚した直後だけに、社外監査役の責任はより重いはず。長田氏の報道姿勢がご指摘の通りであれば、監査役として相応しいのかどうかについて、批判の声は上がるでしょう。いずれにしても、より厳しい視線で職務を遂行することが求められます」、その通りだろう。
第三に、4月15日付けダイヤモンド・オンライン「トヨタのガバナンスを、前ネスレ日本社長の高岡氏が辛口批評!グローバル企業に必要な社外取・監査の選任基準とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/342020
・『トヨタ自動車は3月、社外取締役と社外監査役の役割の明確化と、独立性判断に関する基準を見直した。だが、その内容はガバナンスの改善効果を疑わざるを得ないものだった。果たして、トヨタのガバナンスは健全なのか。ネスレ日本で10年間社長を務めた高岡浩三氏にトヨタの抱える課題を挙げてもらった』、興味深そうだ。
・『「トヨタフィロソフィー」の理解を社外取に求めるのはお門違い 「トヨタフィロソフィー」――。3月下旬にトヨタ自動車が社外取締役に求める役割や期待を明確化したというリリースの中に、ひと際目立つワードがある。 トヨタフィロソフィーとは、トヨタグループの創始者、豊田佐吉の考え方をまとめた「豊田綱領」をベースに、クルマづくりを通じて、顧客や社会に幸せをもたらすことなどをまとめた経営理念だ。 豊田章男会長は、トヨタフィロソフィーの必要性をたびたび強調してきた。トヨタは新たに見直した社外取締役と社外監査役の基準の冒頭にある、「社外役員の役割・期待」の第一の項目として、「トヨタフィロソフィーに共感すること」を掲げている。 しかし、前ネスレ日本社長の高岡浩三氏は、社外取らの第一条件としてトヨタフィロソフィーへの理解を求める姿勢に首をかしげる。「現執行役がやっていることが正しく、それに追従しなさいと言っているように見える」からだ。 高岡氏はネスレの取締役の構成と比較すると、トヨタが発表した役割と期待、そして人選に疑問が残ると指摘する。 次ページでは、高岡氏にネスレと比較しながらトヨタが抱える問題点について指摘してもらった』、確かに「「社外役員の役割・期待」の第一の項目として、「トヨタフィロソフィーに共感すること」を掲げている」、のは、確かに「「現執行役がやっていることが正しく、それに追従しなさいと言っているように見える」ので、明らかに認識が誤っている。
・『委員会が存在しないトヨタの取締役会 社外取・監査役の人選も不透明さが残る ネスレは、スイスに本社を構え、コーヒーブランド「ネスカフェ」やココア味の麦芽飲料「ミロ」などを世界188拠点で販売する食品メーカーだ。従業員数は全世界で27万人にも及ぶ。高岡氏はその日本法人で、退任する20年まで10年間、社長兼最高経営責任者(CEO)を務めた。 ネスレでは、「会社は創業家や社員のものではなく株主のもの」という考え方が浸透しており、取締役15人のうち、ネスレ出身者は会長、社長のわずか2人だ。 メンバーを見ると、ZARAブランドで知られている、スペインのアパレル大手インディテックスの前会長や米アップルの最高財務責任者(CFO)など国籍や経歴は多種多様だ。 トヨタの取締役のメンバーに目を移すと、章男氏や早川茂副会長などトヨタグループ出身者が10人中6人で、社外取締役は過半数以下の4人となっている。 日本取引所グループ(JPX)が21年6月に改訂したコーポレートガバナンス・コードにおいて、プライム市場の企業は少なくとも3分の1以上社外取締役を選任すべきだと記載されているが、必ずしも過半数である必要はない。 ただ、高岡氏は「(会長や社長を)絶対的にクビにできないような仕組みになっている」と分析する。 本来取締役とは、株主に代わって執行役を取り締まるために存在しているが、社外取が過半数でなければ、管理・監督する役割が弱まり、機能不全に陥ってしまうとの見方を示す。 ネスレと比較して、トヨタに監査委員会や指名委員会などの委員会が存在しないことについても問題視する。 現在ネスレでCEOを務めるのは、マーク・シュナイダーという人物だ。人工透析装置の製造を手掛けるドイツのヘルスケア企業「フレゼニウス」で13年間CEOを務めた後、17年に就任している。 当初ネスレも日本企業のように、内部から社長に昇格することが慣例だったが、指名委員会が90年ぶりに外部からシュナイダー氏を登用したのだ。背景にあるのは、ネスレを取り巻く経営環境が劇的に変化していることにあった。 自前で革新的な商品やサービスを開発するのが難しくなる中で、ネスレはスタートアップを買収して、企業として成長していく経営に方針を転換。M&A(企業の合併・買収)でフレゼニウスを成長させたシュナイダー氏に、白羽の矢が立ったのだ。 シュナイダー氏には食品やマーケティングの知見はなかったが、「既存の食品ブランドラインだけでは今後生き残れず、付加価値の高い栄養食品などM&Aによるポートフォリオの組み替えが必須だというネスレの危機感が優った」(高岡氏)と振り返る。 トヨタは指名委員会等設置会社に移行しない代わりに、報酬案策定会議や役員人事案策定会議など委員会に類似する場を設けているが、機能しているとは言い難い。23年1月に佐藤恒治社長の就任を発表したオンライン会見でもその一端が垣間見える。 章男氏が後継者として佐藤氏を選んだ理由について「若く、クルマが大好きな人だからだ」と説明。佐藤氏は「タイで開催されたレース会場で突然社長就任を打診された」と語った。役員人事案策定会議のメンバー、社外取締役のフィリップ・クレイヴァン氏は佐藤氏を選んだ経緯について「豊田氏と内山田氏が役員人事案策定会議に出席し、(われわれが)佐藤氏の社長昇格の提案を受けた」と振り返った。まず社外取の推薦者や意見を聞くなど、社外取の意見を十分に踏まえて社長が選ばれたといえるのか疑わしいのだ。 社長以外の人選にも不透明さが残る。昨年にダイハツ工業や豊田自動織機で検査不正が相次いで発覚したにもかかわらず、24年度の取締役は誰も責任を取らず留任する見通しで、新任監査役候補も「トヨタのたいこ持ち記者」と関係者からやゆされている中日新聞社出身の記者の名前が挙がるなど、形式的に整っているだけで実態は空洞化していると評価せざるを得ない状況だからだ。 高岡氏は「どういう人を取締役会のメンバーとして欲しいかという意思が、リリースからは読み取れない。グローバル企業とはかけ離れている」と述べた』、「昨年にダイハツ工業や豊田自動織機で検査不正が相次いで発覚したにもかかわらず、24年度の取締役は誰も責任を取らず留任する見通しで、新任監査役候補も「トヨタのたいこ持ち記者」と関係者からやゆされている中日新聞社出身の記者の名前が挙がるなど、形式的に整っているだけで実態は空洞化していると評価せざるを得ない状況・・・どういう人を取締役会のメンバーとして欲しいかという意思が、リリースからは読み取れない。グローバル企業とはかけ離れている」、なるほど。
・『自動車業界はSDVが主流も ガバナンス不全が開発競争の足かせに 次世代モビリティの競争軸が、ハードウエアからソフトウエアに移っていることに伴い、業界では車の性能や価値が決まる「ソフトウエア・デファインド・ビークル(SDV)」が主流となりつつある。 トヨタも子会社のウーブン・バイ・トヨタで車載OS(基本ソフト)の開発を急いだり、熊本県内に建設された台湾の半導体メーカーTSMCの工場に出資したりして、次世代モビリティ開発の主導権を握ろうとしている。 トヨタは、時代の変化にキャッチアップしようと躍起になっているように見えるが、そのスピード感は、必ずしも速いとはいえない。株主の利益を守るためにも、トヨタの経営に率直な意見を言う社外取締役らが欠かせない。 トヨタの取締役や監査役の人選の正当性や、独立性に疑問符が付く状況が続けば、ガバナンス不全で社内は硬直する。このままでは、自動車産業を襲っている「100年に一度の変革期」の波にのみ込まれ、浮上できない事態になりかねない』、「株主の利益を守るためにも、トヨタの経営に率直な意見を言う社外取締役らが欠かせない。 トヨタの取締役や監査役の人選の正当性や、独立性に疑問符が付く状況が続けば、ガバナンス不全で社内は硬直する。このままでは、自動車産業を襲っている「100年に一度の変革期」の波にのみ込まれ、浮上できない事態になりかねない」、同感である。
タグ:「株主の利益を守るためにも、トヨタの経営に率直な意見を言う社外取締役らが欠かせない。 トヨタの取締役や監査役の人選の正当性や、独立性に疑問符が付く状況が続けば、ガバナンス不全で社内は硬直する。このままでは、自動車産業を襲っている「100年に一度の変革期」の波にのみ込まれ、浮上できない事態になりかねない」、同感である。 「昨年にダイハツ工業や豊田自動織機で検査不正が相次いで発覚したにもかかわらず、24年度の取締役は誰も責任を取らず留任する見通しで、新任監査役候補も「トヨタのたいこ持ち記者」と関係者からやゆされている中日新聞社出身の記者の名前が挙がるなど、形式的に整っているだけで実態は空洞化していると評価せざるを得ない状況・・・どういう人を取締役会のメンバーとして欲しいかという意思が、リリースからは読み取れない。グローバル企業とはかけ離れている」、なるほど。 確かに「「社外役員の役割・期待」の第一の項目として、「トヨタフィロソフィーに共感すること」を掲げている」、のは、確かに「「現執行役がやっていることが正しく、それに追従しなさいと言っているように見える」ので、明らかに認識が誤っている。 ダイヤモンド・オンライン「トヨタのガバナンスを、前ネスレ日本社長の高岡氏が辛口批評!グローバル企業に必要な社外取・監査の選任基準とは?」 「元検事で、日本コーポレート・ガバナンス・ネットワーク理事長の牛島信弁護士が指摘する。 「あれだけの不祥事が発覚した直後だけに、社外監査役の責任はより重いはず。長田氏の報道姿勢がご指摘の通りであれば、監査役として相応しいのかどうかについて、批判の声は上がるでしょう。いずれにしても、より厳しい視線で職務を遂行することが求められます」、その通りだろう。 「Q:結果として、章男氏の単独インタビューがトヨタイムズに転載されるなど、「提灯持ち」として利用されていたのでは? A:「まぁ……そこまでアクセスできたのは一つの能力だから。(同業他社の記者からは)長田が妬みの対象であることは間違いないと思うよ。トヨタは地元の世界的大企業だし、いつも喧嘩していなきゃいけないっていうことではない。でもおかしいことがあったら書くっていうスタンスには変わりはない。うちは、それはずっと一貫している」、やや苦しい言い訳だ。 「2020年7月には、中日新聞は章男氏の「単独インタビュー」を実施。するとその記事は後日、トヨタの自社メディア「トヨタイムズ」で全編公開された。 「つまり、トヨタとコラボしたPR企画を『単独インタビュー』と銘打っていただけでした。中身も、コロナ禍での章男氏の戦いや経営哲学などをカッコよく描いたもの。こうした経緯から、彼女は一部で“喜び組記者”とも言われていました」、「“喜び組記者”」とは言い得て妙だ。 「中日新聞」にとっても「トヨタ」は最も大切な取材先だろう。 文春オンライン「トヨタ自動車が豊田章男会長“喜び組記者”を社外監査役に抜擢 古巣の中日新聞社長は直撃に「トヨタ寄りだったかもしれないが」《トヨタも公式回答で…》」 ディーラーの声を拾い、寄り添う姿勢を見せなければ、斧はさびついて、中国BYDや米テスラといった黒船にも太刀打ちできなくなってしまうだろう」、現場の危機感は強いようだ。 ・ディーラーが望むのは、トヨタとの対等な関係だ。前出のディーラー幹部は「持っている資本は懸け離れているが、顧客に対する責任や、クルマを通じて顧客の生活を豊かにしたいという部分は同じだと認識している。お互いが信頼関係を持って意見をぶつけ合える関係に戻らなければ、電気自動車(EV)の普及の阻害要因にもなりかねない」と指摘・・・製造現場だけでなく、販売の“最前線”に立つディーラーを軽視する姿勢が続けば、築き上げてきた強固な販売網は内部から崩壊しかねない。 「キントは「まだクルマ買ってるんですか?」をキャッチコピーに、19年から始めたクルマのサブスクリプションサービスだ。顧客にとっては煩わしい保険や車検の手続きをすることなく、月額3万円から乗れる便利なサービスだが、ディーラー側にしてみれば、収益のほとんどをメーカー側に奪われているのが実態だ。 キントはクルマを持ちたがらない若年層に向けた新たな販売戦略ともいえるが、ディーラーにしてみれば利益貢献もせず、現場に負担を強いるだけのサービスのため、「われわれを無視しているとしか思えない」(ディーラー幹部)と憤る・・ 「ディーラー側には不満もたまっている。メーカー側が 販売店同士の競争を促そうと、上から目線で流通網にメスを入れていることが、元来、独立心が旺盛なディーラーの反発を招いている のだ」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン「トヨタ自動車にディーラーの不満が爆発寸前!販売店軽視、利益搾取に溜まる怒りのマグマ」 自動車(一般) (その7)(トヨタ自動車にディーラーの不満が爆発寸前!販売店軽視 利益搾取に溜まる怒りのマグマ、トヨタ自動車が豊田章男会長“喜び組記者”を社外監査役に抜擢 古巣の中日新聞社長は直撃に「トヨタ寄りだったかもしれないが」《トヨタも公式回答で…》、トヨタのガバナンスを 前ネスレ日本社長の高岡氏が辛口批評!グローバル企業に必要な社外取・監査の選任基準とは?)
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