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外国人労働者問題(その17)(「手や足を引っ張り まるで動物のように…」30代女性に名古屋入管職員が行っていた"許されざる行為" ビデオを見た遺族は言葉を失った、名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇、入管でスリランカ人女性死亡の背景に「特高マインド」 70年前の法律の見直しを) [社会]

外国人労働者問題については、6月23日に取上げた。今日は、(その17)(「手や足を引っ張り まるで動物のように…」30代女性に名古屋入管職員が行っていた"許されざる行為" ビデオを見た遺族は言葉を失った、名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇、入管でスリランカ人女性死亡の背景に「特高マインド」 70年前の法律の見直しを)である。

先ずは、8月22日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフォトジャーナリストの安田 菜津紀氏による「「手や足を引っ張り、まるで動物のように…」30代女性に名古屋入管職員が行っていた"許されざる行為" ビデオを見た遺族は言葉を失った」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/49117
・『今年3月にスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)が名古屋入国管理局の施設で死亡した問題で、国は最終報告書を公表した。フォトジャーナリストの安田菜津紀さんは「施設内でのウィシュマさんの様子を写した約2週間分の映像はごく一部が遺族のみに開示されたのみで、真相の解明とは言えない内容だった。2007年以降、入管施設では17人が死亡し、そのうち5人は自殺だ。このままでいいはずがない」という――』、興味深そうだ。
・『1人の留学生が収容され、亡くなるまで  「人間を人間として扱ってほしい」――この言葉を何度、ウィシュマさんのご遺族から耳にしただろう。そう誰かに言わせてしまう社会は、果たして望ましい社会だろうか。 3月6日、スリランカ出身のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が、名古屋出入国在留管理局(以下、名古屋入管)の収容施設で亡くなった。 ウィシュマさんは「日本の子どもたちに英語を教えたい」と夢見て来日後、学校に通えなくなり、在留資格を失って昨年8月から施設に収容されていた。 今年1月頃から体調を崩し、やがて自力で歩けないほど衰弱していく。嘔吐してしまうため、面会中もバケツを持っていたと面会を重ねていた支援団体などが指摘してきた。こうした状態に追い込まれても、点滴などの措置は最後まで受けられなかった』、「入管」施設といえども、入所者を保護する義務がある筈だが・・・。
・『国連から「国際法違反」の指摘を受ける日本の「入管」  そもそもこの「収容」とはどういった措置なのかということをまず振り返りたい。 例えば、仕事を失ってしまう、困難を抱えて学校に行けなくなってしまう、パートナーと離婚するなど、様々な生活の変化によって、日本国籍以外の人々は、日本に暮らすための在留資格を失ってしまうことがある。空港で難民申請をした人の中には、最初から在留資格がない人もいる。 「収容」とは本来、在留資格を失うなどの理由で、退去強制令書を受けた外国人が、国籍国に送還されるまでの「準備」としての措置という「建前」のはずだ。 ところが、収容や解放の判断に司法の介在がなく、期間も無期限で、何年もの間、施設に閉じ込められたまま、いつ出られるのかも定かではない人たちもいる。 昨年、国連人権理事会の「恣意的拘禁作業部会」が、こうした実態を「国際法違反」と指摘した。それ以前から、国連の「拷問禁止委員会」などの条約機関からも度々勧告を受けてきている』、「日本の「入管」」は、「以前から、国連の「拷問禁止委員会」などの条約機関からも度々勧告を受けてきている」、札付きのようだ。
・『入管が「拷問していることを認めている」 ウィシュマさんは、同居していたパートナーからのDVと、その男性から収容施設に送られてきた手紙に、「帰国したら罰を与える」など身の危険を感じるような脅しがあり、帰国ができないことを訴えていた。 2018年1月、入管局長名で全国の入管施設に出された「DV事案に関わる措置要領」の改訂版には、DV被害者にどのように対応すべきかが細かく記載されていたが、職員にその存在さえ周知されていなかったことが「最終報告書」でうかがえる。 ウィシュマさんはDV被害者として対応されることもなく、仮放免(一時的に収容を解かれること)を申請するも不許可となり、二度目の仮放免申請の判断が出る前に亡くなった。 「最終報告書」では、ウィシュマさんの仮放免を不許可にし、収容を続けた理由として、「一度、仮放免を不許可にして立場を理解させ、強く帰国を説得する必要あり」などという記載している。 これは本来掲げられている「建前」とはかけ離れたものではないだろうか。8月10日の記者会見で遺族代理人の指宿昭一弁護士は、「長期収容による身体的、精神的苦痛を与えて、意思を変えさせることを“何が悪いのか”と開き直っていますが、拷問していることを入管は認めている」と強く指摘した。 全体としても、施設内の医療体制の「制約」など、表面的な改善点を挙げるのみに留まり、収容体制の根本には切り込んでいない。遺族の求める「真相解明」とは程遠いものだ』、「最終報告書」は「最終」とは程遠いものだ。
・『遺族だけに見せられた監視カメラの映像  さらに8月12日、入管庁はウィシュマさんが亡くなるまでいたとされる居室の監視カメラのビデオ2週間分を、わずか約2時間分に切り縮め、遺族のみに見せた。 姉が苦しみ亡くなる映像を見ること自体、あまりに精神的負荷が大きいことだろう。ところが代理人弁護士の同席は、「特別の人道上の対応としてご遺族にご覧いただく」「現段階においても保安上の問題などがあることから、ご遺族外への開示は相当ではない」という理屈にもならない理由を掲げられ、認められなかった。 その状況でビデオを見せたこと自体もまた暴力だろう。指宿弁護士は、「代理人の制度を、法務省自ら否定している」、と憤る。 結局、ご遺族は1時間10分ほどの映像を見進めた時点で中断し、ビデオを見たウィシュマさんの妹で次女のワヨミさんは、涙が止まらず、嘔吐してしまう場面もあったという。 「人権なんてここに全くありません。姉を助けることはできたはずなのに、犬のように扱っていました」と震える声で語った。日ごろは穏やかに話すワヨミさんの、心からの叫びだった。「すべての外国人の皆さんに伝えたいです。明日はあなたの番かもしれません」』、「代理人」「弁護士」にすら「ビデオ」の開示を拒否するとは、確かに「代理人の制度を、法務省自ら否定している」、由々しい問題だ。
・『職員が馬鹿にしたように笑う場面も  「最終報告書」には、2月26日午前5時15分頃、ベッドから落下したウィシュマさんが、「数回に渡り」インターフォンで職員の呼び出しを試みたことが記されている。2名の職員がベッドに戻そうとするも、持ち上げられず、勤務者が増える8時頃まで床の上に寝かせていたことが、さも「やむをえなかった」ことのように書かれていた。 映像を見たご遺族によると、ウィシュマさんは泣きながらインターフォンで「23度」にわたり職員に助けを求めていたのに対し、職員は「そこには行けない、自力でやりなさい」と答えていたという。 その後、職員が部屋に来たものの、手や服の一部などを引っ張り、ウィシュマさんに対し「肩を上げなさい」など自力で動くよう指示した上、「大声出さないで」などと対応したという。体を持ち上げてベッドに戻そうとする様子にはとても見えなかったという。 「最終報告書」には、亡くなる5日前の3月1日、ウィシュマさんがカフェオレを飲もうとしたところ、うまく飲み込めずに鼻から噴出してしまう様子に、「鼻から牛乳や」と職員が発言していたり、亡くなった当日でさえ、反応を殆ど示さないウィシュマさんに対して「ねえ、薬きまってる?」などと発言していたと記されていた。 だがビデオを見たご遺族は、他にもウィシュマさんの尊厳を傷つけるような発言があったと指摘する。ベッドの上で、自力で体を動かせないウィシュマさんを介助しようとした職員が、「重いですね」「食べて寝てを繰り返しているから太っている」と馬鹿にしたように笑う場面もあったというのだ。 記者会見に臨んだウィシュマさんの妹、ポールニマさんは、痛がっているウィシュマさんに対し「手や足を引っ張ったり、まるで動物のように扱っていました。姉にこのような扱いをしたのであれば、他の外国人にも同じことをするのでは」と憤る。「ここで働く人間には心がないのでしょうか?」。 暴言を吐いた職員について、この日の午前中に遺族と面会した入管庁の佐々木長官は、「注意と指導はしています」と述べるにとどめ、具体的な処分について踏み込んだ発言はなかったという』、「代理人」の制度を、法務省自ら否定している」、信じられないほど酷い話だ。
・『国は監視カメラの映像を隠し続ける  あくまでも「保安上の理由」を国側は掲げ続けているが、過去に国賠訴訟の過程などで内部の映像は開示されている。 2014年、茨城県牛久市の「東日本入国管理センター」の入管施設でカメルーン人男性が亡くなった後、原告である遺族側が裁判の中で国に映像の提出を求めた。 遺族側の代理人を務める児玉晃一弁護士によると、国側は裁判所に、職員がさも適切に対応していたかのように見える部分だけを恣意的に切り取り、編集した45分のビデオを“証拠”として提出してきたという。 開示された監視カメラの映像を見ると、床をのたうち回るほどの苦痛を訴え続け、「I'm dying」「みずー」と叫ぶ、あまりに凄惨な状況がそこに映し出されているが、カメラはそんな男性に、対応にあたった職員がぞんざいな対応をし、体の上をまたいでいく様子も捉えていた。さらに、職員たちは監視カメラで男性の様子を観察しても、動静日誌に「異常なし」と書き込んでいたという。 そもそもこれは、国の管理下の施設で起きた事件であり、ウィシュマさんが映るビデオは、佐々木長官や上川法務大臣の私物ではない』、「国」としては、「管理」「責任」を果たすためにも、説得力ある説明が求められる。
・『「収容という苦痛を与え、追い詰める」  8月13日、真相解明とビデオ開示を求めオンライン署名を続けていた「ウィシュマさん死亡事件の真相究明を求める学生・市民の会」が、5万筆をこえる署名を、丸山秀治出入国管理部長に手渡した。 この日の署名提出会見には、小説家の中島京子さんも駆けつけ、「収容という苦痛を与えて、それから逃れるためには帰国しかない、というふうに追い詰める。収容施設はそのための“手段”と化しているのだと思います。そのことに反省がなければ、何度でも同じことを繰り返すでしょう」と訴えた』、裁判所の監視もなしに「苦痛」を与えるとすれば、特別公務員暴行陵虐罪に該当する可能性もあり、許される筈はない。
・『難民に門戸を閉ざし続ける日本  こうした中、アフガニスタンではタリバンが首都カブールを制圧した。カナダのトルドー首相は早々に、他国への退避を求めるアフガニスタンの市民2万人の移住を支援する考えを示した。カナダは米国と共に2001年、アフガニスタンに侵攻した国でもあり、その意味での責任も問われてくるだろう。 ただ、それ以外の国が何も応答する必要がないわけではないだろう。難民条約に加入している、日本はどうか。そもそも日本の難民認定率は1%にも満たず、難民条約に加入しながら、難民にほぼ門戸を閉ざしてきた。そして、入管での冷酷な処遇は、難民申請者に対しても変わらない。 児玉弁護士によると、2001年、突然収容されたアフガニスタンの難民申請者が、解放後に顔を出して会見に臨んだ後、本人たちの銀行口座の残高など、本来の難民該当性とは何ら関係のない個人情報を公開されるなど、法務省からの嫌がらせがあったという。 今後アフガニスタンからの難民申請者への適切な対応が必要である一方、入管行政の根本が変わらなければ、また人権侵害や無期限収容に苦しむ人々を生み出してしまうかもしれない』、「アフガニスタンの難民申請者」への「個人情報を公開されるなど、法務省からの嫌がらせ」も、弁護士を通じ国の不法行為を訴えるべきだろう。
・『ウィシュマさんを最後の犠牲者するために  今回の事件はウィシュマさんの問題だけにとどまらない。2007年以降、17人もの人々が、入管の収容施設で亡くなっている。うち5人は自殺だ。このままの「幕引き」では、ウィシュマさんを最後の犠牲者にすることはできないだろう。上川陽子法務大臣は8月20日、再発防止に向け、省内に「出入国在留管理庁改革推進プロジェクトチーム」を発足させたことを公表したが、まっとうな検証なくしてどんな「改革」が成り立つだろうか。その前に、独立した第三者調査の実施とビデオの開示をすることが、真相解明のため、そして繰り返さないために、国として最低限果たす責務ではないだろうか』、「独立した第三者調査の実施とビデオの開示」、は急務だ。野党もこの問題を積極的に取り上げるべきだろう。

次に、9月17日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した編集・ライターの小川たまか氏による「名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/282418
・『2021年3月6日に、名古屋入国管理局の施設で、スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)が亡くなった。遺族や支援者が真相解明を求める一方で、ネット上では心ない虚偽の内容も出回っている。一体なぜ、死者が出た事実の背景を知るための行動が、一部から批判されるのだろうか』、第一の記事で明らかにならなかった事実もありそうだ。
・『“飢餓状態“のウィシュマさんに点滴はほどこされなかった 「報告書では、入管施設は幾度もウィシュマさんに病院で治療を受けさせたことが記載されています。入管側もそれなりに努力したのではないでしょうか」 9月10日、日本記者クラブで行われた記者会見で、新聞記者からこんな質問が上がった。これに対して、指宿昭一弁護士は淡々と、しかしはっきりとこう答えた。 「幾度も?2回しか外部院(*)には見せていません。まずですね、点滴を一度も打っていない。何度も本人や支援者から点滴を打ってくれと、痩せて飢餓状態になっていたから水分と栄養分を補充する必要があった。この肝心のことをやっていない。そのことを全く評価できないと思います」(*外部の病院という意味と思われる) 指宿弁護士ら遺族代理人や支援者が真相究明を求めているが、明らかになっていない部分は多い。 8月に公表された最終報告書で初めて、2月15日に行われたウィシュマさんの尿検査数値が「飢餓状態」を示すものであり、それを少なくとも医療関係者のうち一人が確認していたことはわかった。その時点でなぜ救急車が呼ばれなかったのか。救急車が呼ばれたのは亡くなった当日の3月6日で、病院に着いた時点でウィシュマさんの息はすでになかった。 記者会見では他の記者から、入管の行為は保護責任者遺棄致死や、未必の故意による殺人罪に当たるのではないかという質問も上がった。 2007年以降、ウィシュマさんを含め17人の収容者が入管で亡くなっている。理由は、病死、自死、餓死など。これらについて、入管職員が責任を追及され起訴されたなどという報道は見当たらない。 指宿弁護士は「ウィシュマさんの件は、刑法上の問題が成立すると思う。殺人罪の可能性もありますし、保護責任者遺棄致死の可能性もあると思う」と語った上で、「名古屋地検で捜査が進められている。検事が法律家としての良心に基づいて調査するなら、必ず起訴されると思う。起訴されなければならない、と思います」と重ねた』、「名古屋地検で捜査が進められている」、起訴しなければ、弁護士が訴えるまでだ。 
・『メディアを含め、外国人嫌悪があるのではないか  会見があった10日、指宿弁護士らはウィシュマさんの妹のワヨミさん、ポールニマさんとともに、ウィシュマさんの入管での生前の様子が記録されたビデオ映像の後半を確認するために法務省を訪れた。代理人弁護士を立ち会わせるように繰り返し求めていたが、入管側はこの日も立ち会いを認めなかったため、映像の確認を取りやめたという。 収容者の措置や仮放免も入管の裁量なら、記録の開示も、映像確認にあたっての立ち会いも入管側の裁量…。入管内で人命が失われたことの真相解明を求めているのに、入管側のルールに則ってそれを行えと言われている状況だ。 さらに、指宿弁護士は会見で何度か、「ゼノフォビア(外国人嫌悪)」という言葉を口にした。 簡単にいえば、マスコミ側のこの問題に対する勝手な思い込みや偏見を突いたのだ。例えば、「外国人の問題は読者からの反発が強いから…」とか、「外国人に関する問題は慎重にやらないといけないから、強く書けない」などというような考えが根底にあるのではないかということだ。マスコミだけではなく、現在の入管の問題点の背景にもゼノフォビアがあるとも指摘した』、「マスコミだけではなく、現在の入管の問題点の背景にもゼノフォビアがある」、その通りなのだろう。
・『虚偽の情報がツイッターで拡散 DV被害も不正確に伝えられる  ウィシュマさんについては、ツイッター上で虚偽の内容が拡散されている。 たとえば、「入管に収容された後、帰国するはずだったのにそれを支援者が引き止めた」「ハンガーストライキの末に死亡した」などだ。 ウィシュマさんは、同居していた男性からのDVを恐れ帰国できないと訴えていた。また、入管で抗議のハンガーストライキの末に亡くなった人は過去にいるが、それはウィシュマさんではない。 ウィシュマさんは2017年6月に来日し、英語を日本の子どもに教えるという夢を持って日本語学校に通った。しかしその後、学校に通わなくなり、2020年8月に警察を訪れた。 その際に同居していたスリランカ人男性からDVを受けて家から追い出されたと語っていたという。そこで在留資格が切れていることが明らかになり、そのまま入管に収容される。スリランカに帰国すれば危害を加えるという趣旨の手紙を男性から受け取り、帰国できないと訴えていた。 ウィシュマさんが語っていたDVの内容は最終報告書にも記されており、その中には「無理やり中絶させられた」というものもあった。 フォトジャーナリスト・安田菜津紀さんは、毎日新聞の記事の中で、DV加害者である(少なくともその疑いがある)同居男性が仮放免を許され、DV被害と体調不良を訴えていたウィシュマさんが仮放免を許されなかったのはなぜなのか、という疑問を提示している』、「虚偽の情報がツイッターで拡散」、ネット右翼の仕業なのだろうあ。「DV加害者である(少なくともその疑いがある)同居男性が仮放免を許され、DV被害と体調不良を訴えていたウィシュマさんが仮放免を許されなかったのはなぜなのか」、確かに大きな疑問だ。
・『黒塗りの文書が15万6760円 何でもかんでも「パフォーマンス」と、ねたむ声  ツイッター上で拡散される虚偽の内容は、真相解明を阻止したい、あるいは入管の姿勢を擁護したいように見えるものが多い。 人が亡くなった事実があるのに、なぜ亡くなったか詳細がわかっていない。だからこそ真相解明を求めているのに、支援者らの活動をパフォーマンスだと言い立てる人もいる。 たとえば日本人が国内のある機関に収容されているときに亡くなってその理由がわからない、という場合に同じことが言われるだろうか。外国人嫌悪あるいは、外国の人たちが日本国内で直面する問題への無関心から来る無知を感じざるを得ない。 8月17日、指宿弁護士らは、約1万5000枚の黒塗り文書の前で記者会見を行った。名古屋入管に対して行政文書の開示を求めたところ、3カ月後に送られてきたのが大量の黒塗り文書だったが、支払った手数料は15万6760円。 名古屋入管は黒塗りの理由を「個人の権利利益を害するおそれがある」「当該事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある」などと説明した、と報道されている。真っ黒に塗り潰された文書の前での会見が報道されると、さすがに非難の声があふれた。 しかし、これさえも一部では、支援者らがわざと大量の文書開示を行って黒塗り文書を出させ、記者の前でパフォーマンスを行ったかのような内容のツイートが拡散され、うのみにしている人もいる。 これは、支援者らがウィシュマさんの死に関する情報開示を求めたところ、入管側から情報開示手続きを提示され、それに従って開示請求を行っただけにすぎない。正しい手続きのどこが「パフォーマンス」なのか。 支援者らに疑念を持つ根底には、ゼノフォビアの他に「日本の行政機関がそんなおかしなことをするわけがない」といった過信もあるのではないかと感じる。 壁は厚く高いものの、会見の中で指宿弁護士は希望も語った。今年の5月には支援者らが「改悪案」と呼んだ入管法改正案が廃案となった。 また、オンライン署名「#JusticeForWishma 名古屋入管死亡事件の真相究明のためのビデオ開示、再発防止徹底を求めます」は、現在までに7万5000筆以上が集まっている。この署名を始めたのは「ウィシュマさん死亡事件の真相究明を求める学生・市民の会」。若い世代が疑問を持って声を上げたようだ。 入管で収容者が亡くなり、その実態が解明されない問題は、ウィシュマさん以前から指摘されてきた。報道や関心の高まりを消してはならない』、開示の「手数料は15万6760円」、殆ど「黒塗り」の割には高い気もするが、国家権力の嫌がらせなのだろう。

第三に、6月24日付けAERAdot「入管でスリランカ人女性死亡の背景に「特高マインド」 70年前の法律の見直しを」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2021062200055.html?page=1
・『巨大な裁量権を持つ入管。そこでは、14年間で17人が亡くなっている。指摘されているのが入管の「体質」だ。「密室」で、一体何が起きているのか。AERA 2021年6月28日号から。 スリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)の死の真相解明は3カ月以上たっても進んでいない。日本を愛したウィシュマさんは3月6日、収容先の名古屋出入国在留管理局の収容施設で命を落とした。入管収容施設は、オーバーステイなどで在留資格のない外国人を送還させるまでの間、収容する場所。全国に17カ所あり、名古屋入管はその一つだ。 支援団体などによると、2017年6月、ウィシュマさんは「日本の子どもたちに英語を教えたい」という夢を持ち留学生として来日。しかし学費が払えず、19年1月に在留資格を失った。昨年8月、同居中のスリランカ人男性のDVから逃れようと警察に駆け込むと、不法残留容疑で逮捕された。その後、名古屋入管に収容され、今年1月中旬から体調が悪化。トイレやシャワー時には職員の介助が必要になり、体重は半年で20キロ近く減ったという。 名古屋入管での面会活動などを続ける支援団体「START(外国人労働者・難民と共に歩む会)」の学生メンバー、愛知県立大学3年の千種(ちくさ)朋恵さん(20)は、2月に2回、ウィシュマさんと面会した。 「1度目の面会の時は、2人の職員に両脇を抱えられ今にも倒れそうな状態で、『指先がしびれる』などと話していました」』、「体重は半年で20キロ近く減った」、深刻な体調だが、医者の診断はどうだったのだろう。
・『■仮放免を2度申請  次の面会では、ウィシュマさんは車いすで現れた。嘔吐してしまうため、面会中もバケツを持っていた。熱が37.5度以上あり、「体が石みたいで動かない」と訴えたという。千種さんたちは、入管の処遇部門にウィシュマさんが点滴を受けられるよう申し入れを行ったが受け入れられなかった。またウィシュマさんは、一時的に収容を解く「仮放免」も2度申請したが、認められないまま亡くなった。 収容中に何が起きたのか。入管庁に問いただすと、 「最終報告書をまとめているところで、現時点で何もお答えすることはできない」とだけ回答した。 外国人の在留資格などを定めた出入国管理法(入管法)は1951年、出入国管理令(ポツダム政令)として制定され、翌52年に法律としての効力を持つようになった。以来、収容制度は一度も改正されていない。 閉ざされた「密室」で、一体何が起きているのか。 入管施設での死はウィシュマさんが初めてではない。病死、自死、餓死……。07年以降、彼女を含め17人が死亡している。1年に1人以上、国の施設で人が死んでいることになるのだ。指摘されているのが、入管の「体質」だ』、どういうことなのだろう。
・『■在留資格がないと害悪  ウィシュマさんの遺族の代理人を務める高橋済(わたる)弁護士は、組織全体に「特高マインド」があると指摘する。特高とは「特別高等警察」の略で、昭和のはじめに国民弾圧の最前線の役割を果たした。高橋弁護士は言う。 「収容者を『制圧行為』と称し多数で首を絞めたり骨折するまで暴行を加えたり、瀕死(ひんし)の状態になっても放置しておく。入管ではそうした事例がたびたび起きています。刑事事件を担当しても、警察でもここまでひどいことはまずしません」 東日本入国管理センター(茨城県牛久市)で、収容中に、職員から暴行を受けたとしてトルコ出身のクルド人男性(40代)が国に損害賠償を求めた訴訟で、国側は19年12月、取り押さえる様子を録画した映像を証拠として東京地裁に提出した。そこには、「痛い」「やめて」と叫ぶ男性を、複数の入管職員が力ずくで押さえつけ、「制圧、制圧」と言いながら馬乗りになって後ろ手に手錠をかけたりする場面が収められている。 「これまでの弁護の過程で、この入管職員は常に懐疑心と差別心を持ち、在留資格がなくなった外国人は社会に害悪だから隔離拘禁しなればいけないと考えているとしか思えない、と感じる場面が何度もありました。特高のマインドが引き継がれているというのは、現場感覚としてすごく納得がいきます」(高橋弁護士) 5月、国会審議中だった入管法改正案は人権上の数々の疑問が指摘され実質廃案となった。だが、現行の入管法は残る。このままでは第2、第3のウィシュマさんが出る恐れがある。 高橋弁護士は、次の3点を改善するべきだと提言する』、「特高のマインドが引き継がれている」、ありそうなことだ。
・『■恣意的な判断が横行  1点目は「全件収容主義」。在留資格のない外国人は誰でも収容してよいとする考えで、日本の入管政策の特徴だ。 「収容中に亡くなる事例は、すべてこの政策の下で起きています。在留資格がない外国人は危険だと考え施設に閉じ込めていますが、日本も批准している自由権規約では『非拘禁』、つまり身体の自由が原則で収容は例外的だと定めています。日本では民主国家における行政機関として、あってはならないことが行われています」(高橋弁護士)) 2点目は、「収容期限の上限の設定」だ。先進国の多くは収容期間の上限を定め、ヨーロッパではEU加盟国は原則6カ月。しかし日本は理論上無期限で、現実に数年にわたって長期収容される事例が後を絶たず心身を病む人は多い。 最後は、身体拘束や仮放免の審査に裁判所が介入する「司法審査」。日本では、身体拘束をするかしないかに関しても裁判所が介入する余地がない。刑事手続きでも身柄の拘束には裁判所の令状が必要とされている。公正さや透明性を担保する上で、司法審査は大事だと強調する。 「入管は70年近く前にできた法律の枠組みを、使い勝手がいいからとそのまま使っている。しかし、毎年のように収容された外国人が亡くなっている中、当時の法制度のままでいいはずがない。抜本的な政策の見直しが不可欠です」(高橋弁護士)』、「日本も批准している自由権規約では『非拘禁』、つまり身体の自由が原則で収容は例外的だと定めています。日本では民主国家における行政機関として、あってはならないことが行われています」、法務省は国際的規制を遵守する気はさらさらないようだ。
・『■人権を土台に施策を  元入管職員で、「未来入管フォーラム」を立ち上げ入管行政の改革を訴える木下洋一さん(56)は、入管問題の根本は入管が巨大な裁量権を持っていることだと指摘する。 「裁量それ自体を否定するつもりはありません。しかし、入管における裁量は、例えば在留特別許可や仮放免などの可否判断に関して、法律で基準が定められているわけでも第三者機関が関与するわけでもありません。判断過程が極めて不透明で、ブラックボックスの中にあります。そのため、往々にして担当官の個人的な主観や価値観が混入し、極めて恣意(しい)的な判断の横行を許すことにつながっていきます」 木下さんは、入管は「絶対権力」だと語る。その権力は、ブラックボックスの中で腐敗し暴走する、と。暴走を食い止めるにはどうすればいいか。木下さんは(1)基準の明確化、(2)チェック機能体制を確立──この2点が大切だと述べる。 「出入国管理に関しては国家から幅広い裁量に任されているので判断基準を明確にするのはなじまない、というのが入管のロジックです。しかしそれは、ひと昔もふた昔も前の発想。適正手続きの順守がもはや当たり前とされている昨今、ガイドラインを法定化するなど、明確化された基準の下で入管の裁量は行使されるべきです」 チェック機能体制の確立については、第三者機関による機能体制を確立しなければいけないと述べる。 「入管が、身体を拘束するという非常に強権的な権力を行使し得る役所である以上、それが適正に行われているかどうか監視が必要。そのためには人権の専門家など第三者機関に積極的に関与させ、常に厳しい目を光らせていないといけない。強権的ではなく、人権を土台にした施策が、長期的に見て不法残留者の減少につながると考えます」 ウィシュマさんの死の真相はまだ何も解明されていない。入管庁は、最終報告書を7月中に出すとしている。「闇」に光は差すか』、「入管」を知り貫いた「木下」氏の提言は説得的で、大賛成である。
タグ:外国人労働者問題 (その17)(「手や足を引っ張り まるで動物のように…」30代女性に名古屋入管職員が行っていた"許されざる行為" ビデオを見た遺族は言葉を失った、名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇、入管でスリランカ人女性死亡の背景に「特高マインド」 70年前の法律の見直しを) PRESIDENT ONLINE 安田 菜津紀 「「手や足を引っ張り、まるで動物のように…」30代女性に名古屋入管職員が行っていた"許されざる行為" ビデオを見た遺族は言葉を失った」 「入管」施設といえども、入所者を保護する義務がある筈だが・・・。 「日本の「入管」」は、「以前から、国連の「拷問禁止委員会」などの条約機関からも度々勧告を受けてきている」、札付きのようだ。 「最終報告書」は「最終」とは程遠いものだ。 「代理人」「弁護士」にすら「ビデオ」の開示を拒否するとは、確かに「代理人の制度を、法務省自ら否定している」、由々しい問題だ。 「代理人」の制度を、法務省自ら否定している」、信じられないほど酷い話だ。 「国」としては、「管理」「責任」を果たすためにも、説得力ある説明が求められる。 裁判所の監視もなしに「苦痛」を与えるとすれば、特別公務員暴行陵虐罪に該当する可能性もあり、許される筈はない。 「アフガニスタンの難民申請者」への「個人情報を公開されるなど、法務省からの嫌がらせ」も、弁護士を通じ国の不法行為を訴えるべきだろう。 「独立した第三者調査の実施とビデオの開示」、は急務だ。野党もこの問題を積極的に取り上げるべきだろう。 ダイヤモンド・オンライン 小川たまか 「名古屋入管・スリランカ人女性死亡問題に見える「外国人嫌悪」という日本の闇」 第一の記事で明らかにならなかった事実はあるのだろうか。 第一の記事で明らかにならなかった事実もありそうだ。 「名古屋地検で捜査が進められている」、起訴しなければ、弁護士が訴えるまでだ。 「マスコミだけではなく、現在の入管の問題点の背景にもゼノフォビアがある」、その通りなのだろう。 「虚偽の情報がツイッターで拡散」、ネット右翼の仕業なのだろうあ。「DV加害者である(少なくともその疑いがある)同居男性が仮放免を許され、DV被害と体調不良を訴えていたウィシュマさんが仮放免を許されなかったのはなぜなのか」、確かに大きな疑問だ。 開示の「手数料は15万6760円」、殆ど「黒塗り」の割には高い気もするが、国家権力の嫌がらせなのだろう。 AERAdot 「入管でスリランカ人女性死亡の背景に「特高マインド」 70年前の法律の見直しを」 「体重は半年で20キロ近く減った」、深刻な体調だが、医者の診断はどうだったのだろう。 「特高のマインドが引き継がれている」、ありそうなことだ。 「日本も批准している自由権規約では『非拘禁』、つまり身体の自由が原則で収容は例外的だと定めています。日本では民主国家における行政機関として、あってはならないことが行われています」、法務省は国際的規制を遵守する気はさらさらないようだ。 「入管」を知り貫いた「木下」氏の提言は説得的で、大賛成である。
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