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北京五輪(高梨沙羅スーツ違反問題 日本選手団「抗議しない」に「責任の所在明確にすべき」の指摘が〈dot.〉、北京五輪で見えた中国の信用欠如ぶり、「違反」「失格」 続出で疑惑の祭典に、札幌五輪:「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 市の調査では「賛成」が過半数を占めたが…) [社会]

今日は、北京五輪(高梨沙羅スーツ違反問題 日本選手団「抗議しない」に「責任の所在明確にすべき」の指摘が〈dot.〉、北京五輪で見えた中国の信用欠如ぶり、「違反」「失格」 続出で疑惑の祭典に、札幌五輪:「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 市の調査では「賛成」が過半数を占めたが…)を取上げよう。

先ずは、本年2月14日付けAERAdot「高梨沙羅スーツ違反問題 日本選手団「抗議しない」に「責任の所在明確にすべき」の指摘が〈dot.〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2022021400009.html?page=1
・『北京五輪のスキージャンプ混合団体で高梨沙羅がスーツの規定違反で失格となったことについて、日本選手団の伊東秀仁団長が、国際スキー連盟(FIS)に抗議しない意向を表明したことが大きな反響を呼んでいる。 高梨は同競技の1番手で飛び、103メートルを計測。女子個人銅メダルのニカ・クリジュナル(スロベニア)の126・6点に次ぐ2位の124・5点が表示されたが、その後にスーツ規定違反で失格となったことが判明。規定違反の理由は高梨のスーツがもも周りが規定より2センチ大きかったという。1回目の得点が「0」となり、うずくまり顔を覆って涙を流している映像が映った。2回目は98.5メートルを飛び、佐藤幸椰、伊藤有希、小林陵侑も好ジャンプで猛追したが、4位とメダルに届かなかった。この競技で4カ国5人と失格者が続出。ルール適用と透明性について注目を集めた。 報道によると、13日に北京市内のメインメディアセンターで中間報告会見を行った伊東団長は「現時点ではすべての選手やスタッフのケアを最優先として今大会に注力することが必要だという認識」と強調した上で、「今すぐこのルールに対して我々が抗議するということではない。今後この規定に関してはスキー連盟を通していろいろ話し合いながら、抗議ではなく改善を求めていく可能性はある」と述べたという。 「各国の選手たちから『これまでと違う採寸方法だった』という証言が出ています。ルール違反をしたから従ってFISに抗議しないというのではなく、採寸方法がどう違ったのか、なぜ事前にその通達がなかったのかなど詳細を明らかにするように訴えるべきです。もちろん、高梨選手の精神的ケアは重要ですが、2度とこのような悲劇を繰り返さないためにも、なぜ今回のようなアクシデントが起きたのか検証しなければないといけない。一連の騒動の一番の問題点はルール運用が極めてあいまいなことです。計測方法は統一されるべきだが、『今までスーツ規定のチェックが甘かったから、今回も通るだろう』と日本選手団が判断したのであれば責任の所在を明確にすべきです。高梨を含めて選手たちは大げさでなく命をかけて戦っているわけですから」(スポーツ紙記者)』、「日本」側の対応は、物事を荒立てないで丸く収めることを重視する、余りにも「日本」的だ。
・『ネット上では、「協会が異議申し立てをしないと誰がするのですか?選手個人が発言するとバッシングやその後の競技活動に影響することとを考えても協会が質問状とかはっきりさせないとダメじゃないですか?事なかれ主義はダメですよ。ここまで話が大きくなれば 黙っているのが美徳となる日本はやめとかないと選手が可哀想です」「決定した結果について抗議しないのはわかるとしても、今回の件における様々な疑問点については、選手から聞き取った結果をとりまとめ、協会としてきちんと意見書を出し、運営側からの回答を求めるべき。選手と運営の言い分が異なっている以上、また、今後このような事態が二度と起きないよう、他国と足並みを揃え、徹底的にやるべき」などのコメントが。 高梨に責任を背負い込ませてはいけない。自身のインスタグラムで「今回、私の男女混合団体戦での失格で日本チーム皆んなのメダルのチャンスを奪ってしまったこと、そして、今までチームを応援してくださった皆様、そこに携わり支えて下さった皆様を深く失望させる結果となってしまった事、誠に申し訳ありませんでした。私の失格のせいで皆んなの人生を変えてしまったことは変わりようのない事実です。謝ってもメダルは返ってくることはなく責任が取れるとも思っておりませんが今後の私の競技に関しては考える必要があります。それ程大変なことをしてしまった事深く反省しております」と悲痛な思いを綴っているが、スーツ規定違反の責任はない。 伊東団長と会見に同席した原田雅彦総監督は、今月25日に開幕する女子W杯ヒンツェンバッハ大会(オーストリア)に向けて、高梨が欧州に入っていることを明らかにしている。深い悲しみにうちひしがれたが、前を向いて戦い続けている。一方で、今回のスーツ規定違反について、FIS、日本選手団は説明責任を果たす必要があるだろう』、「今回の件における様々な疑問点については、選手から聞き取った結果をとりまとめ、協会としてきちんと意見書を出し、運営側からの回答を求めるべき。選手と運営の言い分が異なっている以上、また、今後このような事態が二度と起きないよう、他国と足並みを揃え、徹底的にやるべき」、その通りだ。「FIS、日本選手団は説明責任を果たす必要がある」、どんな「説明」があるのか楽しみだ。

次に、2月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「北京五輪で見えた中国の信用欠如ぶり、「違反」「失格」 続出で疑惑の祭典に」を紹介しよう。
・『北京冬季五輪が閉幕した。日本は、金3個、銀6個、銅9個の合計18個の冬季五輪史上最多のメダルを獲得した。一方、誤審、違反、失格、疑惑とさまざまな「騒動」が連日起こる混乱五輪となった。しかし、これまで以上に、北京冬季五輪の「騒動」が拡大したのは、開催国・中国に対する「信用」が欠けていたからだと言わざるを得ない』、確かに「さまざまな「騒動」が連日起こる混乱五輪となった」、それを深堀していくのは興味深そうだ。
・『北京五輪、開催前から騒動だらけ  これまでの五輪でも数々の騒動があった。シドニー五輪柔道100キロ超級決勝で、篠原信一選手が敗れた「世紀の誤審」があるし、バルセロナ五輪陸上100メートル走でのベン・ジョンソン選手のドーピングでの失格なども記憶に残る。「騒動」もスポーツというドラマの一部かもしれない。 一方、北京冬季五輪では、1つだけではなく、さまざまな「騒動」が起こった。動画が流れ、選手、関係者、専門家、メディアなどから新しい情報が次々と出た。SNSで世界中のネットユーザーから批判が殺到し、騒動が収まらない。従来にない現象が起こっていた。 北京冬季五輪は、開催前から雰囲気がよくなかった。例えば、国際オリンピック委員会(IOC)の言動を振り返ってみたい。 東京五輪の前にもIOC関係者の言動が問題となっていた。例えば、トーマス・バッハ会長は、「五輪のために誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」と発言し、批判されていた。しかし、会長の発言を英語の原文で読むと、ニュアンスが違っていた。 バッハ会長の発言は、「We have to make some sacrifices to make this possible(オリンピックを開催するためには、我々はいくらかの犠牲を払わなければいけない)」である。この「We」を「誰もが」と訳して怒っている人が多かった。だが、Weは「私たち」なので「五輪関係者がいくらかの犠牲を払う」が正しい意味だろう。 バッハ会長は続けて、「The safety and security of our everyone is utmost priority. But together with our Japanese colleagues we will have to ensure that our athletes came come together and compete in a safe environment. (皆さんの安全と安心は最優先です。しかし、日本の同僚と一緒に、選手たちが安全な環境で一緒に競技できるようにしなければなりません)」とも述べていた。「日本人は命を犠牲にしろ」「感染リスクを受け入れろ」と言っていたわけではなかったのだ。 一方、北京冬季五輪前はどうだろうか』、「トーマス・バッハ会長は、「五輪のために誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」と発言し、批判されていた。しかし、会長の発言を英語の原文で読むと」、「「五輪関係者がいくらかの犠牲を払う」が正しい意味」と誤訳だったようだ。日本のマスコミももっとしっかりしてほしい。
・『一線を越えたバッハ会長の言動  昨年11月、中国の女子テニス選手・彭帥さんが、中国共産党の元最高指導部メンバーから性的関係を持つよう強要されたなどと告発した後、一時、行方不明が懸念される状況となった。 その時、IOCはバッハ会長が彭さんとテレビ電話で話したと発表し、笑顔で画面に映る彭さんの写真も公開された。 しかし、IOCは中国の人権問題への批判の高まりを避けたと厳しく非難された。女子テニス協会(WTA)のスティーブ・サイモン最高経営責任者(CEO)は「彭選手が自由で安全で、検閲や強制、脅迫を受けていないか重大な疑問を抱いている」と表明し、「2022年に中国で大会を開催した場合、選手やスタッフ全員が直面し得るリスクを大いに懸念している」と述べた。 バッハ会長は、中国の人権侵害、言論弾圧的な姿勢を容認するかのような発言もした。北京五輪大会組織委員会が「中国の法律や規則に違反する行動や発言は特定の処罰対象となる」と述べ、大会期間中のアスリートの「自由な言論」を取り締まると警告した(本連載第291回)。これに対して、バッハ会長は「俳優はハムレットの劇中に抗議活動をしない。選手も組織が作ったルールを順守しなければならない」と発言し、組織委員会の方針を認めたのだ。 バッハ会長は、東京五輪時には「ぼったくり男爵」とやゆされていたが、IOC会長として節度を保った発言はしていた。ところが、北京冬季五輪では、会長の言動は一線を越えてしまったのだ』、「バッハ会長は「俳優はハムレットの劇中に抗議活動をしない。選手も組織が作ったルールを順守しなければならない」と発言し、組織委員会の方針を認めたのだ」、初めて知ったが、とんでもないことだ。
・『東京五輪で日本は叩かれ学び、北京五輪で中国はゴリ押し  東京五輪では、過去の言動を理由に、開会式で楽曲を担当していた小山田圭吾氏、文化イベントに出演予定の絵本作家・のぶみ氏が辞任、開会式ショーディレクターの小林賢太郎氏が解任される事態となった。 次々と大会のクリエイターが辞めていく事態に、大会組織委員会が「身体検査」が甘すぎたと批判された。しかし、私は「逆身体検査」のような人選になっていたと主張した。人権侵害、人種差別、民族蔑視などに反対してきた人や、女性、LGBT、障がい者などの権利拡大に熱心に活動してきた人たちをむしろ「言動が危険な人物」として、クリエイターの候補者から外してきたのではないかということだ(第281回)。 しかし、日本の問題は、人権問題に取り組んでいないわけではなく、その対応が「Too Little (少なすぎる)」「Too Late(遅すぎる)」「Too Old(古すぎる)」であることだ(第294回・p3)。) 日本は国際連合から人権問題についてさまざまな勧告を受けている(第219回)。要は、取り組んではいるが、「Too Little」だ。欧米の取り組みから20年くらい遅れている「Too Late」な状況でもある。そして、森喜朗五輪組織委員会会長(当時)の「女性の会議は長い」発言による辞任など、「昭和の老人」の価値観が社会を支配する「Too Old」な状況だ(第268回)。 ただし、東京五輪で日本は、批判を浴びてはやり直すことを繰り返した。東京五輪は、日本が「人権感覚」や「多様性」と「調和」のある社会とはなにかを学ぶ場となった。 一方、北京五輪では、中国が学ぶ場になるどころか、カネと権力でIOCの頬を張って、自らの価値観を押し付けたようにみえた。 五輪開催前、新疆ウイグル自治区やチベットでの人権侵害、香港での民主化運動の弾圧などに対する抗議として、米国などが選手団以外の外交使節団を派遣しない「外交ボイコット」を断行した(第291回・p1)。 しかし、中国は、弾圧と批判されても「中国社会を不安定化させるテロリストとの戦い」だと正当化した。我々は「大国」になった。我々が学ぶべきことはない。我々の「民主」があるのだというのだ(第295回)』、「北京五輪では、中国が学ぶ場になるどころか、カネと権力でIOCの頬を張って、自らの価値観を押し付けたようにみえた」、とんでもないことだ。
・『騒動に政治的な裏がある?「外交ボイコット 」した国もメダル獲得  さて、議論を北京冬季五輪の「騒動」に戻したい。繰り返すが、「騒動」はスポーツの競技会ではよくあることだ。 だが、例えばショートトラックスピードスケート競技のように、普段でも起こり得るような競技中の競り合いによる接触や転倒などが、必要以上に「大騒動」に発展した印象だ。接触や転倒などに下された裁定に、皆、簡単に納得しようとしなかった。 選手やスタッフが不平不満を次々に口にして、もめ事が大きくなっていった。「ギスギスした空気」が大会全体に広がっていたようにみえた。 明らかに尋常とはいえない問題も起きた。まず、ノルディックスキー・ジャンプ混合団体で、日本の高梨沙羅選手ら4チームの5選手が競技後の抜き打ち検査でスーツが規定違反とされて失格となったことだ。) 女子の検査を担当した検査官は、従来通りに検査をして妥当な判断だったと主張した。ところが、高梨選手やドイツの選手など検査を受けた選手たちや出場各国関係者から、次々と異論が噴出した。 検査官と選手の証言が完全に食い違い、次々と新しい情報が出てくる。真偽は不明で、事態は混迷を極める一方だ。 そして、女子フィギュアスケートのカミラ・ワリエワ選手のドーピングを巡る問題だ。ワリエワ選手は、昨年12月の試合で提出した検体が陽性となり、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)が五輪への暫定資格停止処分を下した。ところが、ワリエワ選手側の抗議により処分が解除されていた。 これを不服とした国際オリンピック委員会(IOC)や国際スケート連盟(ISU)などがスポーツ仲裁裁判所(CAS)に提訴したが、CASはワリエラ選手の出場を許可した。CASは、その理由として、現在15歳のワリエワは世界ドーピング防止規定(WADC)における「被保護者」であることや、五輪期間中の検体は陽性ではなかったことなどを挙げた。 ドーピング疑惑のある選手が、世界最高のスポーツの祭典である五輪に、IOCやISUが不服とする中で出場するという異様な状況となった。これに対して、バンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナ氏など、世界中から反発の声が上がった。 これらの「大騒動」については、中国や、ロシアなど中国を支持するとされる国を勝たせる一方で、「外交ボイコット」を行った国など、中国と対立的な国をおとしめているとネット上などで指摘されたりした。 だが、実際はショートトラックスケートで疑惑の判定で失格となった韓国やロシアは、「外交ボイコット」を行っていない。 逆に、ジャンプ複合団体で銅メダルを獲得したカナダは、「外交ボイコット」を行っただけでなく、中国通信機器大手・ファーウェイの孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)の拘束以降、中国との関係が悪化してきた。要するに、中国との関係性で恣意的に判定が行われてきたという説は論理的な根拠が薄い。』、「ノルディックスキー・ジャンプ混合団体で、日本の高梨沙羅選手ら4チームの5選手が競技後の抜き打ち検査でスーツが規定違反とされて失格となったこと」、についてはもっと詳細な検証が必要だろう。ただ、「カナダ」と「中国との関係性で恣意的に判定が行われてきたという説は論理的な根拠が薄い」、それはそうだろう。
・『それでもなくならない疑念、中国への不平不満  それでも、「大騒動」が次々と起こり、このような説が広がっていく背景は看過できない。中国が人権侵害への批判をカネと権力に物を言わせて強引に抑えつけてきたことを世界は見てきた。五輪においても、札束で頬を張りながら「白いものを黒」ということを強引に進めているのではないかと、世界中の多くの人は疑っていた。 要は、中国は「信頼」されておらず、疑心暗鬼が広がっていた。それが、微妙な判定に対する強い不平不満につながったと考えられるのだ。 経済的・軍事的な拡大だけを見れば、中国が「大国」となったことは言うまでもない。しかし、中国の振る舞いは到底「大国」とはいえない。 「大国」の振る舞いとは、札束で頬を張って小さな国を抑えつけることではない。そんなことをしても「面従腹背」、軽蔑されるだけだ。「大国」の条件とは「寛容さ」だ。それは、すべての人の言語、歴史、文化、宗教、民族、思想信条、基本的人権をおおらかに受け入れることである。 中国が、北京冬季五輪の「騒動」の経験を通じて、「寛容」な大国らしい振る舞いを学んでいくことを強く望む。それが、中国が札束を使わずとも世界から尊敬される道なのだと、私は中国の友人として言っておきたい』、「「大国」の振る舞いとは、札束で頬を張って小さな国を抑えつけることではない。そんなことをしても「面従腹背」、軽蔑されるだけだ。「大国」の条件とは「寛容さ」だ。それは、すべての人の言語、歴史、文化、宗教、民族、思想信条、基本的人権をおおらかに受け入れることである」、同感である。

第三に、「北京五輪」とは離れるが、3月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャーナリストの山田 稔氏による「「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 市の調査では「賛成」が過半数を占めたが…」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/541661
・『東京オリンピック・パラリンピックが閉幕して約半年。次の日本での開催に向けて招致活動も徐々に動き出している。札幌市が狙うのは2030年冬季オリンピック・パラリンピックだ。実現すれば58年ぶりの札幌開催となる。だが、北海道民や札幌市民の間では賛否が渦巻いている』、私は東京五輪も反対していたが、「札幌」まで性懲りもなく立候補したとのニュースに驚いて、今回、紹介した次第である。
・『札幌五輪「賛成」派が過半数  3月16日札幌市は、市民・道民対象の「2030年冬季オリンピック・パラリンピック招致に係る意向調査」で、「賛成」派が過半数に達したと発表した。 結果が公表される前日の15日、札幌市の秋元克広市長は東京・永田町にいた。自民党の北海道選出国会議員らでつくる2030年札幌冬季五輪・パラリンピック招致推進本部の会合に出席し、「官民を挙げて取り組みを進め、地域づくりに貢献したい。北海道のみならずビジネスチャンスにつながる。ぜひとも力をいただき、大会を実現したい」と協力を呼びかけていた。 この会合では、もう1人、キーパーソンの政治家が発言した。北海道出身で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長を務めた橋本聖子氏だ。橋本氏は「札幌、北海道が描く50年後、100年後のビジョンに付加価値を付ける意味で非常に重要。東京大会で得た経験を引き継ぐ」と語ったと報じられている。 3月18日に橋本氏や山下泰裕JOC会長らと官邸で面会した岸田文雄首相も、五輪招致について「国としても全面的に協力する」と前向きの姿勢だ。 一気に五輪招致の既成事実化が進みそうな状況だが、その背景を探った。 まずは1万7500人を対象に行われた意向調査の速報結果を吟味してみよう。調査は郵送(札幌市民5775人)、インターネット(市民・道民5540人)、街頭(映画館に来場した市民を含む道民2560人)の3つの手法で行われた。公開された結果を市民、道民別に示してみた。 ■札幌市民(総計9396人)○郵送調査 賛成派52%(賛成26%+どちらかといえば賛成26%) 反対派39%(反対22%+どちらかといえば反対17%) わからない9% ○ネット調査 賛成派52%(賛成22%+どちらかといえば賛成30%) 反対派31%(反対17%+どちらかといえば反対14%) わからない16%○街頭調査 賛成派57%(賛成35%+どちらかといえば賛成22%) 反対派35%(反対19%+どちらかといえば反対16%) わからない8%) ■道民(総計4479人) ○ネット調査 賛成派60%(賛成29%+どちらかといえば賛成31%) 反対派23%(反対11%+どちらかといえば反対12%) わからない18% ○街頭調査 賛成派75%(賛成48%+どちらかといえば賛成27%) 反対派15%(反対7%+どちらかといえば反対8%) わからない 9%  市民と道民をあわせた結果では、郵送(市民のみ)の賛成派は52%、ネット調査の賛成派は57%、街頭調査の賛成派は65%で、3つの調査すべてにおいて賛成派が過半数を占めたことになる。 ただし、札幌市民に限ってみると賛成派は52~57%と道民の結果よりも低めで、反対派も31~39%と道民結果より高い。経費負担が伴う開催都市ならではの反応だろう。 この結果を受けて秋元札幌市長は「2030年大会招致活動の次のステップに進むために、今後関係団体への、より一層の協力を依頼していきたい」と大会招致に意欲をみせた。 その一方で、地元紙の北海道新聞は3月22日付の社説で「札幌五輪調査招致合意とは言い難い」と冷静な分析を示している。調査期間(3月2日~14日、調査手法により異なる)が日本勢の活躍した北京五輪の余熱が残っている時期だったこと、市が調査に併せ、駅前の地下歩行空間で招致PR活動を行っていたことを挙げ、「中立で客観的な環境で民意を測ろうとしたのかは疑問が残る」と指摘している。 地元の札幌、北海道の意向とは別に、Yahoo!が行っている「招致賛成か反対か」を問う調査(3月15日~25日)には1万7226人が投票。「賛成」2024票、「反対」1万4982票、「わからない」「どちらでもない」220票で、反対が全体の約87%と圧倒的に多い結果となっている。 対象がまったく異なるうえ、調査主体も調査方法も異なるので単純には比較できないが、正反対の結果となった。インターネット上では、トラブル続きだった東京五輪の総括、検証も済んでいないのに、再び五輪開催という流れに疑問を抱く声も聞かれる』、「Yahoo!が行っている「招致賛成か反対か」を問う調査(3月15日~25日)には1万7226人が投票。「賛成」2024票、「反対」1万4982票、「わからない」「どちらでもない」220票で、反対が全体の約87%と圧倒的に多い結果」、地元へのアンケートとは異なる結果となったが、「東京五輪の総括、検証も済んでいないのに、再び五輪開催という流れに疑問を抱く」、私のフィーリングに近い。
・『過熱する地元経済界の招致機運  五輪招致に向けて前のめりなのは札幌市だけではない。地元の経済界も熱い視線を送っている。北海道新聞が昨年12月に実施した道内主要企業を対象にした五輪に関する意識調査(1月12日発表=回答201社)によると、招致に「賛成」は34.3%で「どちらかといえば賛成」が30.3%。賛成派が64.6%で反対派の13.0%を大きく上回った。 賛成の理由でもっとも多かったのは「北海道全体の経済活動が活性化する」で、そのほかに「会場となる地域と近郊の経済活動が活性化する」「北海道の魅力を世界に発信できる」といった点があげられている。 招致に向けた動きもみられる。札幌市は2014年に、2026年冬季五輪招致を表明した(その後延期)が、これを受けて札幌商工会議所は、翌年「冬季オリンピック・パラリンピック札幌招致期成会」を設立し、今日に至っている。そして現在、同会は個人レベルの応援組織「冬季オリパラサポーターズクラブ」のメンバーを募集するなど、招致実現に向けた機運を高める取り組みを行っている。) さて、ここからは札幌市の現状について見てみよう。北海道内で一極集中が続いてきた札幌市。住民基本台帳に基づく2022年1月1日の札幌市の人口(外国人を含む)は196万668人となり、1972年の政令指定都市移行後初めて減少に転じた。1972年といえば前回の札幌冬季五輪開催年である。五輪開催から50年後に人口減少局面が訪れたということだ。 札幌市の人口は1970年に100万人を突破して以降、道内各地から人々を吸引する形で増え続け、200万人目前にして失速した形だ。詳しく見ると、出生数低下に伴う自然減は2009年から続いている。また道外への転出では、直近データで見る限りでも2001年以降転出超過が続いている。つまり、道内各地からの転入超過による社会増で人口が増加してきていたのだが、ここへきてそのパイプも細くなってしまったというわけだ。 それもそのはず。北海道の人口も1月末現在で517万8000人と520万人を割り込んでしまった。前年同期から4万7000人減り、過去10年で最大の減少幅となった。道、札幌市ともに人口減少の厳しい局面にあるのだ』、「道、札幌市ともに人口減少の厳しい局面にある」とはいえ、五輪開催の観光客増加の効果は限定的だろう。競技場などのインフラ投資は余り必要ない筈だ。
・『コロナ禍で観光業に打撃  さらにコロナ禍の影響による観光打撃など北海道経済を取り巻く環境は厳しい。札幌市に限っても、2021年度下期市内企業の市内景況判断B.S.I(見通し)は▲22.6で、3期連続で上昇する見通しだが、コロナ前の▲11.2よりもはるかに低い。 百貨店・スーパー販売額など個人消費は持ち直してきているが、2021年の家計調査の名目消費支出は前年比11%減だ。有効求人倍率も1倍を割り込んだ状況が長期化し、今年1月は0.86(札幌圏)にとどまっている。 さらには1972年の冬季五輪時に建設された市内の公共インフラや商業施設、五輪関連施設の老朽化が進んでいる。前回五輪開催から50年、今年8月に市制100周年という節目を迎える札幌にとっては大きな転換期でもあるのだ。 人口減と経済縮小が同時進行という状況について、秋元市長は札幌市の五輪招致サイト内でのインタビューでも触れている。 「(人口減少局面では)外貨を稼ぐことが必要。札幌は雪や自然環境という大きな財産がある。そういったものを世界に発信して、外から稼ぐきっかけにしていければと思う」などと語っている。人口減少、経済縮小局面に突入したなかで、五輪を契機に札幌の活性化を図りたいということだ。) 札幌五輪招致の既成事実化が進むなか、2030年度の新幹線札幌延伸と五輪開催を見越したかのような動きが各地で進んでいる。 まずは札幌市内で進む再開発ラッシュ。驚くことに現在30以上のビルや施設の建設が進んでいる。地下空間のリフレッシュや地下鉄駅のホーム増設なども進む。北海道新幹線札幌駅開業に向けて、南口には地上46階、高さ約245mのタワービルが建設され、ビル内にマリオットブランドのホテルができる。タワーは2029年秋に完成予定だ。 一方、北口にはマンション、ホテル、オフィス、店舗などからなる地上48階、高さ175mの複合型再開発ビルが建設中で、2023年末に竣工。すすきの地区でも「札幌すすきの駅前複合開発計画(仮称)」の工事が進み、2023年秋に開業する。 このような開発は札幌だけではない。市の大会概要案でアルペン競技開催が見込まれるニセコ地区では超高級ホテルなどの建設が進み、富良野にも外資参入の動きがみられる。外資による森林買収も後を絶たない。 さらに、民族共生象徴空間「ウポポイ」のある白老町(北海道中南部)には高級リゾートホテルが開業した。アフターコロナを見据えた動きが目白押しなのである。 札幌の活性化、北海道再生という地元政財界の悲願と新たなビジネスチャンスを狙う外資を含む投資家などの思惑が一致して「札幌五輪招致」が邁進しているかのようだ』、「2030年度の新幹線札幌延伸と五輪開催を見越したかのような動きが各地で進んでいる。 まずは札幌市内で進む再開発ラッシュ。驚くことに現在30以上のビルや施設の建設が進んでいる」、「札幌五輪招致」に関してはいささかフライング気味だが、ここまで突き進んでいることに驚かされた。
・『調査結果に驚く市民、先端的な街づくりを求める声  こうした状況を札幌市民はどう受け止めているのだろうか。市の意識調査の連絡がなかったという60代の男性の反応は冷ややかだ。 「昨年の東京五輪、今年の北京五輪と五輪開催のネガティブな側面が目立ちすぎ、その検証もきちんと行われていない状況では、やはり招致には反対せざるをえませんね。私の周りでは五輪招致はほとんど話題にもなりませんが、それにしても過半数が賛成という結果には驚きました」 今年の大雪で除雪作業の遅れに苦労した市民の間からは「五輪よりもほかにやるべきことがある」との声も聞かれる。 一方、「(今後の)札幌市の決定を尊重する」という女性は「五輪の是非を問わず、ゼロカーボンをキーワードに、公共施設の維持のあり方や自動車に過度に頼らない公共交通のあり方など抜本的な見直しが札幌市には必要だと思っています」と先端的な街づくりへの要望を語ってくれた。 冬季五輪招致に向けた動きは今後ますます過熱化、加速化していくと思われる。行政当局は1回だけの意識調査だけでなく、もっと広範に市民や道民の声を拾い上げ、合意形成への努力を重ねていく必要があるだろう。市民や道民は五輪招致を起爆剤とする街づくりビジョン、活性化構想を望んでいるのか、それとも別の構想を望んでいるのか。東京五輪の反省を踏まえ、慎重な検討が必要だろう』、「フライング気味」とはいえ、ここは落ち着いて、中長期的観点での振興策を基本に、五輪を考えるべきだろう。
タグ:「北京五輪では、中国が学ぶ場になるどころか、カネと権力でIOCの頬を張って、自らの価値観を押し付けたようにみえた」、とんでもないことだ。 (高梨沙羅スーツ違反問題 日本選手団「抗議しない」に「責任の所在明確にすべき」の指摘が〈dot.〉、北京五輪で見えた中国の信用欠如ぶり、「違反」「失格」 続出で疑惑の祭典に、札幌五輪:「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 市の調査では「賛成」が過半数を占めたが…) 北京五輪 「バッハ会長は「俳優はハムレットの劇中に抗議活動をしない。選手も組織が作ったルールを順守しなければならない」と発言し、組織委員会の方針を認めたのだ」、初めて知ったが、とんでもないことだ。 日本のマスコミももっとしっかりしてほしい。 「トーマス・バッハ会長は、「五輪のために誰もがいくらかの犠牲を払わないといけない」と発言し、批判されていた。しかし、会長の発言を英語の原文で読むと」、「「五輪関係者がいくらかの犠牲を払う」が正しい意味」と誤訳だったようだ。 確かに「さまざまな「騒動」が連日起こる混乱五輪となった」、それを深堀していくのは興味深そうだ 上久保誠人氏による「北京五輪で見えた中国の信用欠如ぶり、「違反」「失格」 続出で疑惑の祭典に」 ダイヤモンド・オンライン 「今回の件における様々な疑問点については、選手から聞き取った結果をとりまとめ、協会としてきちんと意見書を出し、運営側からの回答を求めるべき。選手と運営の言い分が異なっている以上、また、今後このような事態が二度と起きないよう、他国と足並みを揃え、徹底的にやるべき」、その通りだ。「FIS、日本選手団は説明責任を果たす必要がある」、どんな「説明」があるのか楽しみだ。 「日本」側の対応は、物事を荒立てないで丸く収めることを重視する、余りにも「日本」的だ。 AERAdot「高梨沙羅スーツ違反問題 日本選手団「抗議しない」に「責任の所在明確にすべき」の指摘が〈dot.〉」 「フライング気味」とはいえ、ここは落ち着いて、中長期的観点での振興策を基本に、五輪を考えるべきだろう。 「2030年度の新幹線札幌延伸と五輪開催を見越したかのような動きが各地で進んでいる。 まずは札幌市内で進む再開発ラッシュ。驚くことに現在30以上のビルや施設の建設が進んでいる」、「札幌五輪招致」に関してはいささかフライング気味だが、ここまで突き進んでいることに驚かされた。 「道、札幌市ともに人口減少の厳しい局面にある」とはいえ、五輪開催の観光客増加の効果は限定的だろう。競技場などのインフラ投資は余り必要ない筈だ。 「Yahoo!が行っている「招致賛成か反対か」を問う調査(3月15日~25日)には1万7226人が投票。「賛成」2024票、「反対」1万4982票、「わからない」「どちらでもない」220票で、反対が全体の約87%と圧倒的に多い結果」、地元へのアンケートとは異なる結果となったが、「東京五輪の総括、検証も済んでいないのに、再び五輪開催という流れに疑問を抱く」、私のフィーリングに近い。 実現すれば58年ぶりの札幌開催となる。だが、北海道民や札幌市民の間では賛否が渦巻いている』、私は東京五輪も反対していたが、「札幌」まで性懲りもなく立候補したとのニュースに驚いて、今回、紹介した次第である。 山田 稔氏による「「2030年冬季五輪招致」に前のめり札幌市の危機感 市の調査では「賛成」が過半数を占めたが…」 「「大国」の振る舞いとは、札束で頬を張って小さな国を抑えつけることではない。そんなことをしても「面従腹背」、軽蔑されるだけだ。「大国」の条件とは「寛容さ」だ。それは、すべての人の言語、歴史、文化、宗教、民族、思想信条、基本的人権をおおらかに受け入れることである」、同感である。 「ノルディックスキー・ジャンプ混合団体で、日本の高梨沙羅選手ら4チームの5選手が競技後の抜き打ち検査でスーツが規定違反とされて失格となったこと」、についてはもっと詳細な検証が必要だろう。ただ、「カナダ」と「中国との関係性で恣意的に判定が行われてきたという説は論理的な根拠が薄い」、それはそうだろう。
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