電機業界(その7)(「ダイソン」一強時代が終えん 日立とパナソニックの強烈な巻き返しで掃除機市場は戦国時代へ、日立副社長に聞く「巨大セクター」設置の狙い 「『業界』の意味は薄れた。共通項は多い」、巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由 コングロマリットならではの強み発揮できるか) [産業動向]
電機業界については、昨年7月21日に取上げた。今日は、(その7)(「ダイソン」一強時代が終えん 日立とパナソニックの強烈な巻き返しで掃除機市場は戦国時代へ、日立副社長に聞く「巨大セクター」設置の狙い 「『業界』の意味は薄れた。共通項は多い」、巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由 コングロマリットならではの強み発揮できるか)である。なお、タイトルの電機産業を電機業界に変更した。
先ずは、昨年10月23日付けデイリー新潮「「ダイソン」一強時代が終えん 日立とパナソニックの強烈な巻き返しで掃除機市場は戦国時代へ」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/10230701/?all=1
・『掃除機商戦に異変あり──今、家電業界では「ダイソンvs.国内メーカー」のバトルに注目が集まっている。かつて“絶対王者”として人気をほしいままにしてきたダイソン製掃除機の勢いが陰りを見せ、国内メーカーが巻き返しを図っているというのだ。 今、掃除機で最も人気なのは「スティッククリーナー」と呼ばれるタイプだ。まさにダイソンと国内メーカーが激戦を繰り広げている分野でもある。 価格.comが9月14日から10月11日までに集計した掃除機の「人気売れ筋ランキング」によると、1位から20位までの20商品のうち13商品がスティクタイプだ。 そのメーカーの内訳は、ダイソンが6商品、国内メーカーではパナソニックが2商品、日立が3商品、シャープとアイリスオーヤマが各1商品の計7商品という結果だった。 まさに激戦だが、一体、掃除機商戦で何が起きているのか、価格.comを運営するカカクコムの執行役員でショッピングメディア本部副本部長を務める鎌田剛氏に取材を依頼した。 「少なく見積もってもこの10年間は、ダイソンが日本の掃除機市場を席巻していました。弊社のランキングでも、ベスト5をダイソンが独占することも全く珍しくなかったほどです。特に2016年に発売されたスティック型コードレスクリーナーのV8シリーズは、日本でも爆発的な人気商品となりました」 人気の秘密は、ダイソンご自慢の吸引力と、メカニカルな外観が男女を問わず「カッコいい」と評価されたことだという。(価格.com 掃除機カテゴリ 人気売れ筋ランキング(11〜20位)はリンク先参照)』、「この10年間は、ダイソンが日本の掃除機市場を席巻」、「人気の秘密は、ダイソンご自慢の吸引力と、メカニカルな外観が男女を問わず「カッコいい」と評価されたこと」、なるほど。
・『ダイソンの不満点 「『見せる家電』と呼ばれたこともありました。昭和の時代、掃除機は押し入れに収納する家庭が多かったはずです。ところがダイソンのスティック型クリーナーは、壁に立てかけても映えます。その結果、掃除をしようと思い立ったら、すぐ手に取って動かすことができる。コードレスですから取り回しも楽です。デザイン性が利便性にもつながったことが、人気の理由の一つだったのではないでしょうか」(同・鎌田氏) だが、ユーザーが増えれば増えるほど、不満の声もそれに比例していったという。 「価格.comの『レビュー』に投稿された不満点で多かったのが『重い』でした。ダイソンのスティックタイプは、重さが2キロ台です。欧米のように住居が広く、下向きの掃除が多いと感じないのですが、日本の住居は狭く、高いタンスや棚を掃除するためノズルを上に向けることが少なくなかったのです」(同・鎌田氏) 高評価を聞いてダイソンを買ったものの、ノズルを上に向けると2キロ台の重さが厳しかったというユーザーもいたようだ。 「更にダイソンのスイッチは引き金式です。今はボタン式を採用したモデルもありますが、価格.comのレビュー欄には『トリガーを引き続けるのは指が痛くて大変』という投稿がよく見られました」(同・鎌田氏)』、「重さが2キロ台」、「スイッチは引き金式」、確かに不満なユーザーもいるだろう。
・『“日の丸人気”復活 (価格.com 掃除機カテゴリ 人気売れ筋ランキング(1〜10位)はリンク先参照) 一方、国内メーカーはダイソンの背中を必死になって追っていたのだが、迷走していた時期もあったという。 「ダイソン以上の吸引力を実現したのはいいが、非常に重いものなど、首を傾げざるを得ないモデルが発売されたりもしました。長い不景気で商品開発費が削減されたことも大きかったでしょう。開発現場の苦労は並大抵のものではなかったと思いますが、ここ数年はユーザーの希望に向き合った商品が開発されるようになり、ようやくダイソン追撃のムードが高まってきました」(同・鎌田氏) 実を言うと、ダイソンの名を高めたサイクロン技術は日本の家電メーカーも実用化していた。「我々の掃除機は世界一」という傲りもどこかにあったのかもしれない。 「率直に言って、そこをダイソンに付け込まれたというのが、これまでの10年間だったと思います。しかし最近、国内メーカーの商品は軽くて吸引力も高い優れたモデルばかりです。ダイソンの重量に不満だったユーザーなどを取り込み、買い替え需要で売上を伸ばしています」(同・鎌田氏))(充電式掃除機(ホワイト) ランキング1位のパナソニック(パナソニックの公式サイトより)はリンク先参照)』、「最近、国内メーカーの商品は軽くて吸引力も高い優れたモデルばかりです」、遅ればせながら追撃が始まったようだ。
・『果たして勝者は!? これからの時期、年末や年度末の商戦を迎え、掃除機に注目が集まる機会は多い。特に年末は大掃除が控えている。 「激しい商戦が繰り広げられるのは間違いないわけですが、国内メーカーに追い風が吹いているかなと考えています。理由は、『国内メーカーのスティッククリーナーが売れている』というトピックが、既に一つの大きなニュースだからです。マスコミや小売店で話題になるほど、国内メーカーのモデルに関心を持つ消費者は増えるはずです」(同・鎌田氏) ダイソンには更なる逆風もある。“輸入品”のため円安で価格が上昇する可能性があるのだ。 「近年のダイソンは新商品だけでなく、過去の商品を改善した“改良モデル”をリーズナブルな価格で発売して人気です。『国内メーカーの掃除機も、性能や使い勝手がいいよ』という評判を追い風にする国内メーカーと、改良版で円安のデメリットを解消しようとするダイソンの対決という構図になっているのではないでしょうか」(同・鎌田氏) 寒さが増すにつれ、「ダイソンvs.国内メーカー」の商戦は熱を帯びるようだ』、「国内メーカーの掃除機も、性能や使い勝手がいいよ』という評判を追い風にする国内メーカーと、改良版で円安のデメリットを解消しようとするダイソンの対決という構図になっている」、勝負の行方はどうなるのだろうか。
次に、12月9日付け東洋経済オンライン「日立副社長に聞く「巨大セクター」設置の狙い 「『業界』の意味は薄れた。共通項は多い」」を紹介しよう。
・『2022年4月に日立製作所がつくった新セクターは、家電やエレベーター、空調設備や医用機器も含み、ごった煮の状態だ。どのようにシナジーを生み出すのか、コネクティブインダストリーズを率いる副社長に聞いた。 上場子会社解消など、事業のポートフォリオ改革を進めてきた日立製作所は2022年4月、大規模なセクター再編を行った(詳細は12月9日配信『巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由』)。縦割りの弊害も指摘されるコングロマリットという事業形態で、どのようなシナジーを生み出すのか。家電からエレベーター、空調設備、さらには半導体製造装置など多岐にわたる量産品を扱う巨大セクター「コネクティブインダストリーズ」を率いる青木優和副社長にその狙いを聞いた(Qは聞き手の質問、Aは青木副社長の回答)』、興味深そうだ。
・『「全部日立がやる」チャンス増えた Q:コネクティブインダストリーズには事業がたくさんあり、共通項がわかりづらいです。 A:日立はかなりいろんな事業を手がけているので、外から見ると「わかりづらい」という見方はたしかにある。切り口はいろいろあり、もっと細分化されていたほうがわかりやすいという意見も当然ある。だが、お客様や市場、あるいは社会から見たときに昇降機とか空調とかいった「なんとか業界」という意味は薄れてきている。 たとえばビルを建てたら、空調もエレベーターも変電設備も全部まとめて制御しないと省エネルギーにはならない。それなのに今まではバラバラのままビジネスをしていた。それを「全部日立がやりますよ」と提案できるチャンスは昔よりすごく増えている。 私は2017年から「インダストリーセクター」という産業システム向けの事業を率いてきたが、それぞれのパーツがバラバラにビジネスをしていては(顧客の要求に)追いつかないという意識がずっとあった。 さきほどのビルシステムと空調のように、一緒に提案可能なケースがあるはずなのに別々だったものを一緒にしたのが「コネクティブインダストリーズ」だ。(逆に)これまではなぜかビルと鉄道事業が同じセクターにあった。 ビジネスサイクルによる分類もできる。鉄道や日立エナジーがやっているインフラに関わるビジネスは10年単位でものを造る。それに対してコネクティブインダストリーズに入るビジネスは大体半年から、短いものは1日で決着がつく。平均的には数カ月単位のビジネスサイクルだ。 ビジネスサイクルが近いと、実は文化もそれぞれ近いことが結構ある。一緒にしてから気づいたことも多い。市場のニーズと将来の展望があり、製品開発をして販売して、提供した後にリカーリング(注)という形でお客さんとの関係をどう保持するか。これは業界が違っていても同じだった。) Q:元々上場子会社として独自路線を歩んでいた日立ハイテクも同じセクターに取り込みました。 A:日立ハイテクが扱っている分析装置などは病院や研究施設が顧客。日立本体でもいままでマテリアルズ・インフォマティクス(統計技術などを用いた材料開発の効率化)やトレーサビリティの開発をしてきた。特に細胞のトレーサビリティはこれからどんどん重要になる。 医療業界で日立ハイテクの装置が使われていることはシナジーを生み出せるチャンスだ。装置を導入している病院向けに、日立のエレベーターを売り込むことも結構できる。100%というわけにはいかないが、かなりの手札が我々にあるという利点は、間違いなくある。 たしかに日立ハイテクは上場会社として独立していたので、文化の違いや壁があった。ただ、実際オープンに議論してみると「結構近いじゃないか」となることも多かった』、「「全部日立がやりますよ」と提案できるチャンスは昔よりすごく増えている」、「コネクティブインダストリーズに入るビジネスは大体半年から、短いものは1日で決着がつく。平均的には数カ月単位のビジネスサイクルだ。 ビジネスサイクルが近いと、実は文化もそれぞれ近いことが結構ある」、なるほど。
(注)リカーリング:商品・サービスを一度提供して終わりではなく、継続的に価値を提供することで、その対価として長期的な収益を目指す考え方(DGFT)。
・『できることがいっぱいある Q:セクターの共通項というと。 A:われわれのセクターのどのチームも、いわゆるサブスクリプション(定額課金)型とかサービスフィー型といった(継続課金型の)ビジネスを強くしようと言っているけれども、エレベーターはそのあたりが進んでいる。 他業界からすると「そこまでできるのか」ということがいっぱいある。家電の生産ラインも「1分に何台できるか」が勝負の業界で自動化に対するマインドがすごく強く、これこそ私のやりたいことだと感じた。 これまでは部分最適の要素が強かった。「家電だったら(子会社の)日立グローバルライフソリューションズでやってください」となっていた。私も部分最適の鬼みたいなところもあったので、ああだこうだ言われて「面倒くさいこと言っているな」と思っていたかもしれない。 ただ、最近はだいぶ変わってきた。「そうなのか、(他部門のことを)もっと勉強したい」という人が増えている。) Q:2022年4月から新しいセクターにしましたが、どのような議論があったのでしょうか。 A:2021年の夏くらいから議論はしていた。ちょうど小島(啓二)CEOが就任し、これから日立をどのように運営していくかをかなり話し合う中で今の形が出てきた。 このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くあるから「ちょっと規模が大きすぎるのではないか」という議論もあったので、ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く形にしている』、「このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くあるから「ちょっと規模が大きすぎるのではないか」という議論もあったので、ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く形にしている」、「このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くある」、のであれば、「ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く」のは当然だろう。
・『生産ラインの考え方を変えたい Q:新しくこんな事業を伸ばしていきたいといったイメージは。 A:この3、4年間、相当投資をしているのがオートメーション(自動化)の分野だ。これから間違いなく(日本では)人口は減少するし、働き手がいなくなる。面倒なこともやりたくない。 今、アマゾン(の物流拠点)はどんどんロボット化しているが、製造業全部がそうなってくる。中国の安い人件費の工場で造ればいいという話も難しくなってくる。 じゃあロボットを造るビジネスをやればいいじゃないかというと、そう単純ではない。ロボットがあるだけではオートメーションはできない。オートメーションには人がやっていたことをロボットが代わること以上の意味がある。ラインの考え方から変えなくてはいけない。 製造業では、製品開発と技術開発に一番リソースを割かなくてはならないとの認識がどんどん強まっている。その結果、アメリカでは「こういう製品を作るから、今度ラインをあなたが作ってください」といった形でラインづくりをアウトソースする動きも広がる。 そのときに顧客にとってありがたいのは「ここにはファナックのこのロボット、あそこには安川電機のあのロボットを」といった形で提案をするSI(システムインテグレーター)だ。 そういった提案は製造業の知識がないとできないが、日立にはある。さらに上流の生産計画の管理といったデータマネジメントも強みとして持つ。製造業の上から下まで一気通貫にやるという点では、世界中を見渡して日立が一番強いのかもしれない。そのうえで(2019年にアメリカのロボットSI大手である)JRオートメーションテクノロジーズを買収するなどの強化を進めてきた。) Q:「製造業自体をこう変えたい」といった姿があるのですか。 A:最初に話した日立製作所の部門ごとの壁みたいな話がお客さんの側にもある。部分最適だらけ。特に日本の会社は真面目だからみなさん1分1秒を縮めるために頑張っているのに、(製品が)工場を出たとたん、代金をもらうまで何カ月もかかるみたいなところがある。いろんなところにある既得権益と部分最適を崩すのは難しく、それを日立が言ってみんなが競争力をつけていくといったことをやらない。 部分ごとの名人みたいな人がいたとして、「それはひょっとしたら機械でできるのでは」とはなかなか言いにくいもの。でもそこも変えていかなくてはいけない。 2017年のことになるが、ダイキン工業のロウ付け技術を日立の「ルマーダ」によってデジタル化したことがある。当時、ダイキンの方に「こんな匠の技をデジタル化してしまっていいのですか」と質問してみた。 すると、「いいんです。我々はもっと先の名人芸をやらなくてはいけない。誰にもできないような名人芸を次にまた開拓するのが我々の使命です」という答えが返ってきた。まさにそのとおりで、日本の製造業をそんなふうにしたい』、「顧客にとってありがたいのは「ここにはファナックのこのロボット、あそこには安川電機のあのロボットを」といった形で提案をするSI(システムインテグレーター)だ。 そういった提案は製造業の知識がないとできないが、日立にはある。さらに上流の生産計画の管理といったデータマネジメントも強みとして持つ。製造業の上から下まで一気通貫にやるという点では、世界中を見渡して日立が一番強いのかもしれない」、「ダイキン工業のロウ付け技術を日立の「ルマーダ」によってデジタル化した」際に、「「こんな匠の技をデジタル化してしまっていいのですか」と質問してみた。 すると、「いいんです。我々はもっと先の名人芸をやらなくてはいけない。誰にもできないような名人芸を次にまた開拓するのが我々の使命です」という答えが返ってきた」、「ダイキン工業」の考え方は模範的だ。
・『ものづくりをやめる気はない Q:デジタル化や「ルマーダ」のような話を聞くと、日立自身が「ものづくり」をやめてしまうのではないかという疑問が湧きます。 A:数年前くらいから、日立の外へ向けた発信は「IT(情報技術)」や「デジタル」という方向になっている。一時「IT×OT(制御技術)」だと言っていた時代もあった。私は当時の東原(敏昭)社長に「プロダクトがあるから日立の売り上げの相当分が成り立っている。『IT×OT×プロダクト』だ」と主張したこともある。プロダクトはもう中国から買ってくればいい、という話には絶対にならず、「IT×OT」に「プロダクト」を加えてもらった。 日立の強みはプロダクトといったフィジカルなものがあるからこそ可能なデジタル(領域)だと思う。その部分は今の小島(啓二)社長も明確に方針として示してくれた。物理的な存在がある限りはプロダクトはなくならない。そこをやめるという選択肢は私にはない』、「日立の強みはプロダクトといったフィジカルなものがあるからこそ可能なデジタル(領域)だと思う」、「物理的な存在がある限りはプロダクトはなくならない。そこをやめるという選択肢は私にはない」、なるほど。
第三に、12月9日付け東洋経済オンライン「巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由 コングロマリットならではの強み発揮できるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/638450
・『事業ポートフォリオ改革を進める日立製作所。2022年4月に設立した大型セクターには、ビルシステムや家電、産業機器などの事業が入り、ごった煮の様相を呈する。どのようにシナジーを生み出すのか。 年間売上高約10兆円を誇る日立製作所が、新局面を迎えている。2009年に22社あった上場子会社を次々と売却・統合。現在は最後に残った日立金属の売却手続きが進んでおり、これが完了すれば日立の事業ポートフォリオ改革には一定の区切りがつく。 小島啓二社長は2021年末のインタビューで「10年にわたる基礎工事は完了した」と語り、今後は次の成長を実現できる体制が必要との見方を示した。 2022年4月には2024年度までの中期経営計画を発表。IoT基盤「ルマーダ」を中心として、市場成長が見込めるグリーンとデジタルに関連する事業を育成する方針を掲げた。スイスの重電大手ABBの送配電事業やアメリカのデジタルエンジニアリング企業グローバルロジックの買収はその一環であり、この流れは今後も継続する。 一方、既存事業をどうするのか。事業整理を進めたとはいえ、エネルギーや鉄道などのインフラから家電、ITまで数多くの事業を抱えるコングロマリットであることに変わりはない。「モノ言う株主」との関係に苦慮し解体論まで飛び出した東芝とも、本質的には似た問題を抱える』、興味深そうだ。
・『ビルも家電も産業機器もひとつの部門 日立は新中計スタートにあわせ、事業部門再編に着手。上場子会社と連結子会社の日立アステモを除いて従来5つだったセクターを3つにした。その中で異色の存在が「コネクティブインダストリーズ」セクターだ。 (日立製作所の事業区分再編の概要はリンク先参照) このセクターには、冷蔵庫などの家電やエレベーターなどのビルシステム、変圧器などの産業機器のほか、医療機関向けの計測機器や半導体製造装置などを扱う日立ハイテクが入る。各事業が数千億円の売り上げ規模を持ち、業界内で存在感はあるものの、事業間の関係は一見すると薄い。特に日立ハイテクはかつての上場子会社で独立心も旺盛だ。にもかかわらず、ひとつのセクターとして運営しようと考えた意図は何か。 「それぞれの業界から見たらわかりにくいと思われるかもしれない。だが、顧客への関わり方や課題などは重なっている部分が多い」。セクターを束ねる青木優和副社長はそう話す(青木副社長のインタビューはこちら)。根底には「それぞれのパーツがバラバラにビジネスをしていても(顧客の要求に)追いつかない」という問題意識があった。 ビルのエレベーターと空調を一体管理したいというニーズへの対応がわかりやすい例だ。「プロダクトで見ればバラバラであっても、顧客が求めるソリューションという観点では重なる部分が多い」と青木副社長は解説する。 各事業のライバルには、空調のダイキン工業や、半導体製造装置の東京エレクトロンのように、それぞれの領域に特化した専業メーカーも多い。雑多な事業をあえて一体で運用することで新しいビジネスモデルを生み出し、ライバルに対抗したいと日立は考えている。) カギとなるのはリカーリング(継続課金)ビジネスだ。プロダクトの「売り切り」に比べて顧客の囲い込みができるうえに、メンテナンスやサービスビジネスは一般的に利益率も高い。 通信やAI(人工知能)の発展によって「できること」も増えつつある。こうした傾向はどのプロダクトにも言えることで、日立全体が目指す「社会イノベーション事業の高収益化」という考えにも一致する。 ただし、業界ごとにリカーリング事業に対する取り組みに濃淡があった。そこで2022年度から始まったのが「リカーリング強化プロジェクト」だ。セクターに入っている各事業の開発や営業などさまざまな職員が集まってそれぞれの取り組みを発表、課題に対する取り組み方や工夫を形式知化し、ほかの事業にも応用しようとしている』、「各事業のライバルには、空調のダイキン工業や、半導体製造装置の東京エレクトロンのように、それぞれの領域に特化した専業メーカーも多い。雑多な事業をあえて一体で運用することで新しいビジネスモデルを生み出し、ライバルに対抗したいと日立は考えている」、ただ、「新しいビジネスモデル」は果たして生み出されるのだろうか。
・『遠隔監視の開発ノウハウを応用 ビルシステム業界ではエレベーターの遠隔監視や予兆保全といった取り組みが30年以上前から当たり前のものとして発達してきた。その開発ノウハウを、産業機械などのほかのプロダクトに応用することに成功。プロジェクトの参加者は多くの新たな気付きを得たという。 プロジェクトを統括するコネクティブ事業開発推進部の平野徹部長は、「遠隔監視や予兆診断が大事なことはわかっていたが、製品視点で(サービス開発などを)やってきたことは否めない。みんな自分の事業を伸ばすことに注力して、サイロ化(細分化)していたのではないか」と過去を反省する。 そのうえで「いろんな視点を組み合わせて高度化することが他社との差別化になるのでは」と話し、将来の成功に手応えを感じているという。 事業領域が比較的近い分野では、具体的な協業も進む。その1つがエレベーターを扱う日立ビルシステムと家電や空調機器を扱う日立グローバルライフソリューションズの協業だ。 日立ビルシステムでは、管理者向けの「ビルミライ」や利用者向けの「ビルパス」といったプラットフォームを展開する。その一方、日立グローバルライフソリューションズでは、遠隔監視・予兆診断システム「エクシーダ」を開発。 それぞれが別々に展開してきたものを一体提案できるよう、両社でワーキンググループを作り、営業部隊が売り込みをかけている。すでにいくつかの受注につながっているという。 ビル管理の領域では、エレベーターの遠隔監視のみならず空調の状態や、オフィスの混雑具合のチェックなどさまざまなソリューションが求められている。リモートワークの広がりでオフィスに求められる機能も変化しており、フリーアドレスの座席確保や、大型ビル内の飲食店の予約を行えるアプリなどの開発も進む。 「オフィス需要が縮小する中、オーナーがメーカーに求める水準も厳しくなっている」と日立の小菅佳克スマートビルディング本部長は話す。近年、カーボンニュートラルに向けてZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)に対する要求も高まっており、今後は家電部門以外との協業も進める予定だ。) それぞれの事業が個別最適を目指し、独立心が強いのは日立グループの特徴でもある。コネクティブインダストリーズセクターに加わった日立ハイテクとはどのようにシナジーを追求するのか。 羽田空港に程近い大規模複合施設「羽田イノベーションシティ」。2022年10月、日立ハイテクはここに従来施設を大幅に拡充する形で新拠点の「ヘルスケアイノベーションセンター東京」を開設した。 血液検査などに使う臨床検査用装置などを設置し、医療従事者の研修のほか、研究開発にも活用する。ここでも重視されるのは共創とリカーリングだ』、「エレベーターを扱う日立ビルシステムと家電や空調機器を扱う日立グローバルライフソリューションズの協業だ。 日立ビルシステムでは、管理者向けの「ビルミライ」や利用者向けの「ビルパス」といったプラットフォームを展開する。その一方、日立グローバルライフソリューションズでは、遠隔監視・予兆診断システム「エクシーダ」を開発。 それぞれが別々に展開してきたものを一体提案できるよう、両社でワーキンググループを作り、営業部隊が売り込みをかけている。すでにいくつかの受注につながっているという。 ビル管理の領域では、エレベーターの遠隔監視のみならず空調の状態や、オフィスの混雑具合のチェックなどさまざまなソリューションが求められている。リモートワークの広がりでオフィスに求められる機能も変化しており、フリーアドレスの座席確保や、大型ビル内の飲食店の予約を行えるアプリなどの開発も進む」、なるほど。
・『医用機器のメンテナンスでルマーダ活用 医用機器の分野では、医療従事者のほかに検査薬などを提供する試薬会社などとの協力が不可欠だ。分析技術が高度化して年々検査範囲が広がっているうえに、人手不足を背景とした自動化ニーズも高まる。 リカーリングビジネスも進み始めた。医用機器の稼働データをルマーダのアルゴリズムで分析してメンテナンスの時期を特定する新サービスを2022年度から運用開始。24時間体制で医療機関に対応する。人材を効率的に配置しコスト削減も実現している。 これまでも部品交換や消耗品で継続的な取引はあったものの、ルマーダの活用で「社会課題に対応する価値を提供し、対価を得られるものになった」(新サービスを担当する日立ハイテクの橘盛俊氏)。 日立ハイテクが、親会社日立製作所と協業する機会は増えている。日立ハイテクの禰寝義人専務は「上場子会社だったからこそ直接ステークホルダーに説明するという意識は今も強い。だが、目指す方向は一致しているし、横串の話がたくさん走っている。今はそういう時期だ」と解説する。 コネクティブインダストリーズはセクター単体で年間売上高2兆7500億円、従業員8万2000人(2022年3月期)を数える大所帯だ。従来、協働の機会も少なかったうえ、独立心も強く、ともすれば空中分解するリスクもある。国内での協業事例は積み重なりつつあるが、強化しているアメリカなど海外事業とのシナジーをどう生み出すかなど見えていない部分が多い。 アメリカのGEやドイツのシーメンスなどのコングロマリットは分社化による改革を進める中、あえて事業分野をまとめた日立の取り組みは異色にも映る。日立としてのアイデンティティをどう作り上げていくかが問われる局面だ』、「アメリカのGEやドイツのシーメンスなどのコングロマリットは分社化による改革を進める中、あえて事業分野をまとめた日立の取り組みは異色にも映る。日立としてのアイデンティティをどう作り上げていくかが問われる局面だ」、日立のユニークな取り組みが結実するか、大いに注目される。
先ずは、昨年10月23日付けデイリー新潮「「ダイソン」一強時代が終えん 日立とパナソニックの強烈な巻き返しで掃除機市場は戦国時代へ」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2022/10230701/?all=1
・『掃除機商戦に異変あり──今、家電業界では「ダイソンvs.国内メーカー」のバトルに注目が集まっている。かつて“絶対王者”として人気をほしいままにしてきたダイソン製掃除機の勢いが陰りを見せ、国内メーカーが巻き返しを図っているというのだ。 今、掃除機で最も人気なのは「スティッククリーナー」と呼ばれるタイプだ。まさにダイソンと国内メーカーが激戦を繰り広げている分野でもある。 価格.comが9月14日から10月11日までに集計した掃除機の「人気売れ筋ランキング」によると、1位から20位までの20商品のうち13商品がスティクタイプだ。 そのメーカーの内訳は、ダイソンが6商品、国内メーカーではパナソニックが2商品、日立が3商品、シャープとアイリスオーヤマが各1商品の計7商品という結果だった。 まさに激戦だが、一体、掃除機商戦で何が起きているのか、価格.comを運営するカカクコムの執行役員でショッピングメディア本部副本部長を務める鎌田剛氏に取材を依頼した。 「少なく見積もってもこの10年間は、ダイソンが日本の掃除機市場を席巻していました。弊社のランキングでも、ベスト5をダイソンが独占することも全く珍しくなかったほどです。特に2016年に発売されたスティック型コードレスクリーナーのV8シリーズは、日本でも爆発的な人気商品となりました」 人気の秘密は、ダイソンご自慢の吸引力と、メカニカルな外観が男女を問わず「カッコいい」と評価されたことだという。(価格.com 掃除機カテゴリ 人気売れ筋ランキング(11〜20位)はリンク先参照)』、「この10年間は、ダイソンが日本の掃除機市場を席巻」、「人気の秘密は、ダイソンご自慢の吸引力と、メカニカルな外観が男女を問わず「カッコいい」と評価されたこと」、なるほど。
・『ダイソンの不満点 「『見せる家電』と呼ばれたこともありました。昭和の時代、掃除機は押し入れに収納する家庭が多かったはずです。ところがダイソンのスティック型クリーナーは、壁に立てかけても映えます。その結果、掃除をしようと思い立ったら、すぐ手に取って動かすことができる。コードレスですから取り回しも楽です。デザイン性が利便性にもつながったことが、人気の理由の一つだったのではないでしょうか」(同・鎌田氏) だが、ユーザーが増えれば増えるほど、不満の声もそれに比例していったという。 「価格.comの『レビュー』に投稿された不満点で多かったのが『重い』でした。ダイソンのスティックタイプは、重さが2キロ台です。欧米のように住居が広く、下向きの掃除が多いと感じないのですが、日本の住居は狭く、高いタンスや棚を掃除するためノズルを上に向けることが少なくなかったのです」(同・鎌田氏) 高評価を聞いてダイソンを買ったものの、ノズルを上に向けると2キロ台の重さが厳しかったというユーザーもいたようだ。 「更にダイソンのスイッチは引き金式です。今はボタン式を採用したモデルもありますが、価格.comのレビュー欄には『トリガーを引き続けるのは指が痛くて大変』という投稿がよく見られました」(同・鎌田氏)』、「重さが2キロ台」、「スイッチは引き金式」、確かに不満なユーザーもいるだろう。
・『“日の丸人気”復活 (価格.com 掃除機カテゴリ 人気売れ筋ランキング(1〜10位)はリンク先参照) 一方、国内メーカーはダイソンの背中を必死になって追っていたのだが、迷走していた時期もあったという。 「ダイソン以上の吸引力を実現したのはいいが、非常に重いものなど、首を傾げざるを得ないモデルが発売されたりもしました。長い不景気で商品開発費が削減されたことも大きかったでしょう。開発現場の苦労は並大抵のものではなかったと思いますが、ここ数年はユーザーの希望に向き合った商品が開発されるようになり、ようやくダイソン追撃のムードが高まってきました」(同・鎌田氏) 実を言うと、ダイソンの名を高めたサイクロン技術は日本の家電メーカーも実用化していた。「我々の掃除機は世界一」という傲りもどこかにあったのかもしれない。 「率直に言って、そこをダイソンに付け込まれたというのが、これまでの10年間だったと思います。しかし最近、国内メーカーの商品は軽くて吸引力も高い優れたモデルばかりです。ダイソンの重量に不満だったユーザーなどを取り込み、買い替え需要で売上を伸ばしています」(同・鎌田氏))(充電式掃除機(ホワイト) ランキング1位のパナソニック(パナソニックの公式サイトより)はリンク先参照)』、「最近、国内メーカーの商品は軽くて吸引力も高い優れたモデルばかりです」、遅ればせながら追撃が始まったようだ。
・『果たして勝者は!? これからの時期、年末や年度末の商戦を迎え、掃除機に注目が集まる機会は多い。特に年末は大掃除が控えている。 「激しい商戦が繰り広げられるのは間違いないわけですが、国内メーカーに追い風が吹いているかなと考えています。理由は、『国内メーカーのスティッククリーナーが売れている』というトピックが、既に一つの大きなニュースだからです。マスコミや小売店で話題になるほど、国内メーカーのモデルに関心を持つ消費者は増えるはずです」(同・鎌田氏) ダイソンには更なる逆風もある。“輸入品”のため円安で価格が上昇する可能性があるのだ。 「近年のダイソンは新商品だけでなく、過去の商品を改善した“改良モデル”をリーズナブルな価格で発売して人気です。『国内メーカーの掃除機も、性能や使い勝手がいいよ』という評判を追い風にする国内メーカーと、改良版で円安のデメリットを解消しようとするダイソンの対決という構図になっているのではないでしょうか」(同・鎌田氏) 寒さが増すにつれ、「ダイソンvs.国内メーカー」の商戦は熱を帯びるようだ』、「国内メーカーの掃除機も、性能や使い勝手がいいよ』という評判を追い風にする国内メーカーと、改良版で円安のデメリットを解消しようとするダイソンの対決という構図になっている」、勝負の行方はどうなるのだろうか。
次に、12月9日付け東洋経済オンライン「日立副社長に聞く「巨大セクター」設置の狙い 「『業界』の意味は薄れた。共通項は多い」」を紹介しよう。
・『2022年4月に日立製作所がつくった新セクターは、家電やエレベーター、空調設備や医用機器も含み、ごった煮の状態だ。どのようにシナジーを生み出すのか、コネクティブインダストリーズを率いる副社長に聞いた。 上場子会社解消など、事業のポートフォリオ改革を進めてきた日立製作所は2022年4月、大規模なセクター再編を行った(詳細は12月9日配信『巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由』)。縦割りの弊害も指摘されるコングロマリットという事業形態で、どのようなシナジーを生み出すのか。家電からエレベーター、空調設備、さらには半導体製造装置など多岐にわたる量産品を扱う巨大セクター「コネクティブインダストリーズ」を率いる青木優和副社長にその狙いを聞いた(Qは聞き手の質問、Aは青木副社長の回答)』、興味深そうだ。
・『「全部日立がやる」チャンス増えた Q:コネクティブインダストリーズには事業がたくさんあり、共通項がわかりづらいです。 A:日立はかなりいろんな事業を手がけているので、外から見ると「わかりづらい」という見方はたしかにある。切り口はいろいろあり、もっと細分化されていたほうがわかりやすいという意見も当然ある。だが、お客様や市場、あるいは社会から見たときに昇降機とか空調とかいった「なんとか業界」という意味は薄れてきている。 たとえばビルを建てたら、空調もエレベーターも変電設備も全部まとめて制御しないと省エネルギーにはならない。それなのに今まではバラバラのままビジネスをしていた。それを「全部日立がやりますよ」と提案できるチャンスは昔よりすごく増えている。 私は2017年から「インダストリーセクター」という産業システム向けの事業を率いてきたが、それぞれのパーツがバラバラにビジネスをしていては(顧客の要求に)追いつかないという意識がずっとあった。 さきほどのビルシステムと空調のように、一緒に提案可能なケースがあるはずなのに別々だったものを一緒にしたのが「コネクティブインダストリーズ」だ。(逆に)これまではなぜかビルと鉄道事業が同じセクターにあった。 ビジネスサイクルによる分類もできる。鉄道や日立エナジーがやっているインフラに関わるビジネスは10年単位でものを造る。それに対してコネクティブインダストリーズに入るビジネスは大体半年から、短いものは1日で決着がつく。平均的には数カ月単位のビジネスサイクルだ。 ビジネスサイクルが近いと、実は文化もそれぞれ近いことが結構ある。一緒にしてから気づいたことも多い。市場のニーズと将来の展望があり、製品開発をして販売して、提供した後にリカーリング(注)という形でお客さんとの関係をどう保持するか。これは業界が違っていても同じだった。) Q:元々上場子会社として独自路線を歩んでいた日立ハイテクも同じセクターに取り込みました。 A:日立ハイテクが扱っている分析装置などは病院や研究施設が顧客。日立本体でもいままでマテリアルズ・インフォマティクス(統計技術などを用いた材料開発の効率化)やトレーサビリティの開発をしてきた。特に細胞のトレーサビリティはこれからどんどん重要になる。 医療業界で日立ハイテクの装置が使われていることはシナジーを生み出せるチャンスだ。装置を導入している病院向けに、日立のエレベーターを売り込むことも結構できる。100%というわけにはいかないが、かなりの手札が我々にあるという利点は、間違いなくある。 たしかに日立ハイテクは上場会社として独立していたので、文化の違いや壁があった。ただ、実際オープンに議論してみると「結構近いじゃないか」となることも多かった』、「「全部日立がやりますよ」と提案できるチャンスは昔よりすごく増えている」、「コネクティブインダストリーズに入るビジネスは大体半年から、短いものは1日で決着がつく。平均的には数カ月単位のビジネスサイクルだ。 ビジネスサイクルが近いと、実は文化もそれぞれ近いことが結構ある」、なるほど。
(注)リカーリング:商品・サービスを一度提供して終わりではなく、継続的に価値を提供することで、その対価として長期的な収益を目指す考え方(DGFT)。
・『できることがいっぱいある Q:セクターの共通項というと。 A:われわれのセクターのどのチームも、いわゆるサブスクリプション(定額課金)型とかサービスフィー型といった(継続課金型の)ビジネスを強くしようと言っているけれども、エレベーターはそのあたりが進んでいる。 他業界からすると「そこまでできるのか」ということがいっぱいある。家電の生産ラインも「1分に何台できるか」が勝負の業界で自動化に対するマインドがすごく強く、これこそ私のやりたいことだと感じた。 これまでは部分最適の要素が強かった。「家電だったら(子会社の)日立グローバルライフソリューションズでやってください」となっていた。私も部分最適の鬼みたいなところもあったので、ああだこうだ言われて「面倒くさいこと言っているな」と思っていたかもしれない。 ただ、最近はだいぶ変わってきた。「そうなのか、(他部門のことを)もっと勉強したい」という人が増えている。) Q:2022年4月から新しいセクターにしましたが、どのような議論があったのでしょうか。 A:2021年の夏くらいから議論はしていた。ちょうど小島(啓二)CEOが就任し、これから日立をどのように運営していくかをかなり話し合う中で今の形が出てきた。 このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くあるから「ちょっと規模が大きすぎるのではないか」という議論もあったので、ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く形にしている』、「このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くあるから「ちょっと規模が大きすぎるのではないか」という議論もあったので、ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く形にしている」、「このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くある」、のであれば、「ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く」のは当然だろう。
・『生産ラインの考え方を変えたい Q:新しくこんな事業を伸ばしていきたいといったイメージは。 A:この3、4年間、相当投資をしているのがオートメーション(自動化)の分野だ。これから間違いなく(日本では)人口は減少するし、働き手がいなくなる。面倒なこともやりたくない。 今、アマゾン(の物流拠点)はどんどんロボット化しているが、製造業全部がそうなってくる。中国の安い人件費の工場で造ればいいという話も難しくなってくる。 じゃあロボットを造るビジネスをやればいいじゃないかというと、そう単純ではない。ロボットがあるだけではオートメーションはできない。オートメーションには人がやっていたことをロボットが代わること以上の意味がある。ラインの考え方から変えなくてはいけない。 製造業では、製品開発と技術開発に一番リソースを割かなくてはならないとの認識がどんどん強まっている。その結果、アメリカでは「こういう製品を作るから、今度ラインをあなたが作ってください」といった形でラインづくりをアウトソースする動きも広がる。 そのときに顧客にとってありがたいのは「ここにはファナックのこのロボット、あそこには安川電機のあのロボットを」といった形で提案をするSI(システムインテグレーター)だ。 そういった提案は製造業の知識がないとできないが、日立にはある。さらに上流の生産計画の管理といったデータマネジメントも強みとして持つ。製造業の上から下まで一気通貫にやるという点では、世界中を見渡して日立が一番強いのかもしれない。そのうえで(2019年にアメリカのロボットSI大手である)JRオートメーションテクノロジーズを買収するなどの強化を進めてきた。) Q:「製造業自体をこう変えたい」といった姿があるのですか。 A:最初に話した日立製作所の部門ごとの壁みたいな話がお客さんの側にもある。部分最適だらけ。特に日本の会社は真面目だからみなさん1分1秒を縮めるために頑張っているのに、(製品が)工場を出たとたん、代金をもらうまで何カ月もかかるみたいなところがある。いろんなところにある既得権益と部分最適を崩すのは難しく、それを日立が言ってみんなが競争力をつけていくといったことをやらない。 部分ごとの名人みたいな人がいたとして、「それはひょっとしたら機械でできるのでは」とはなかなか言いにくいもの。でもそこも変えていかなくてはいけない。 2017年のことになるが、ダイキン工業のロウ付け技術を日立の「ルマーダ」によってデジタル化したことがある。当時、ダイキンの方に「こんな匠の技をデジタル化してしまっていいのですか」と質問してみた。 すると、「いいんです。我々はもっと先の名人芸をやらなくてはいけない。誰にもできないような名人芸を次にまた開拓するのが我々の使命です」という答えが返ってきた。まさにそのとおりで、日本の製造業をそんなふうにしたい』、「顧客にとってありがたいのは「ここにはファナックのこのロボット、あそこには安川電機のあのロボットを」といった形で提案をするSI(システムインテグレーター)だ。 そういった提案は製造業の知識がないとできないが、日立にはある。さらに上流の生産計画の管理といったデータマネジメントも強みとして持つ。製造業の上から下まで一気通貫にやるという点では、世界中を見渡して日立が一番強いのかもしれない」、「ダイキン工業のロウ付け技術を日立の「ルマーダ」によってデジタル化した」際に、「「こんな匠の技をデジタル化してしまっていいのですか」と質問してみた。 すると、「いいんです。我々はもっと先の名人芸をやらなくてはいけない。誰にもできないような名人芸を次にまた開拓するのが我々の使命です」という答えが返ってきた」、「ダイキン工業」の考え方は模範的だ。
・『ものづくりをやめる気はない Q:デジタル化や「ルマーダ」のような話を聞くと、日立自身が「ものづくり」をやめてしまうのではないかという疑問が湧きます。 A:数年前くらいから、日立の外へ向けた発信は「IT(情報技術)」や「デジタル」という方向になっている。一時「IT×OT(制御技術)」だと言っていた時代もあった。私は当時の東原(敏昭)社長に「プロダクトがあるから日立の売り上げの相当分が成り立っている。『IT×OT×プロダクト』だ」と主張したこともある。プロダクトはもう中国から買ってくればいい、という話には絶対にならず、「IT×OT」に「プロダクト」を加えてもらった。 日立の強みはプロダクトといったフィジカルなものがあるからこそ可能なデジタル(領域)だと思う。その部分は今の小島(啓二)社長も明確に方針として示してくれた。物理的な存在がある限りはプロダクトはなくならない。そこをやめるという選択肢は私にはない』、「日立の強みはプロダクトといったフィジカルなものがあるからこそ可能なデジタル(領域)だと思う」、「物理的な存在がある限りはプロダクトはなくならない。そこをやめるという選択肢は私にはない」、なるほど。
第三に、12月9日付け東洋経済オンライン「巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由 コングロマリットならではの強み発揮できるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/638450
・『事業ポートフォリオ改革を進める日立製作所。2022年4月に設立した大型セクターには、ビルシステムや家電、産業機器などの事業が入り、ごった煮の様相を呈する。どのようにシナジーを生み出すのか。 年間売上高約10兆円を誇る日立製作所が、新局面を迎えている。2009年に22社あった上場子会社を次々と売却・統合。現在は最後に残った日立金属の売却手続きが進んでおり、これが完了すれば日立の事業ポートフォリオ改革には一定の区切りがつく。 小島啓二社長は2021年末のインタビューで「10年にわたる基礎工事は完了した」と語り、今後は次の成長を実現できる体制が必要との見方を示した。 2022年4月には2024年度までの中期経営計画を発表。IoT基盤「ルマーダ」を中心として、市場成長が見込めるグリーンとデジタルに関連する事業を育成する方針を掲げた。スイスの重電大手ABBの送配電事業やアメリカのデジタルエンジニアリング企業グローバルロジックの買収はその一環であり、この流れは今後も継続する。 一方、既存事業をどうするのか。事業整理を進めたとはいえ、エネルギーや鉄道などのインフラから家電、ITまで数多くの事業を抱えるコングロマリットであることに変わりはない。「モノ言う株主」との関係に苦慮し解体論まで飛び出した東芝とも、本質的には似た問題を抱える』、興味深そうだ。
・『ビルも家電も産業機器もひとつの部門 日立は新中計スタートにあわせ、事業部門再編に着手。上場子会社と連結子会社の日立アステモを除いて従来5つだったセクターを3つにした。その中で異色の存在が「コネクティブインダストリーズ」セクターだ。 (日立製作所の事業区分再編の概要はリンク先参照) このセクターには、冷蔵庫などの家電やエレベーターなどのビルシステム、変圧器などの産業機器のほか、医療機関向けの計測機器や半導体製造装置などを扱う日立ハイテクが入る。各事業が数千億円の売り上げ規模を持ち、業界内で存在感はあるものの、事業間の関係は一見すると薄い。特に日立ハイテクはかつての上場子会社で独立心も旺盛だ。にもかかわらず、ひとつのセクターとして運営しようと考えた意図は何か。 「それぞれの業界から見たらわかりにくいと思われるかもしれない。だが、顧客への関わり方や課題などは重なっている部分が多い」。セクターを束ねる青木優和副社長はそう話す(青木副社長のインタビューはこちら)。根底には「それぞれのパーツがバラバラにビジネスをしていても(顧客の要求に)追いつかない」という問題意識があった。 ビルのエレベーターと空調を一体管理したいというニーズへの対応がわかりやすい例だ。「プロダクトで見ればバラバラであっても、顧客が求めるソリューションという観点では重なる部分が多い」と青木副社長は解説する。 各事業のライバルには、空調のダイキン工業や、半導体製造装置の東京エレクトロンのように、それぞれの領域に特化した専業メーカーも多い。雑多な事業をあえて一体で運用することで新しいビジネスモデルを生み出し、ライバルに対抗したいと日立は考えている。) カギとなるのはリカーリング(継続課金)ビジネスだ。プロダクトの「売り切り」に比べて顧客の囲い込みができるうえに、メンテナンスやサービスビジネスは一般的に利益率も高い。 通信やAI(人工知能)の発展によって「できること」も増えつつある。こうした傾向はどのプロダクトにも言えることで、日立全体が目指す「社会イノベーション事業の高収益化」という考えにも一致する。 ただし、業界ごとにリカーリング事業に対する取り組みに濃淡があった。そこで2022年度から始まったのが「リカーリング強化プロジェクト」だ。セクターに入っている各事業の開発や営業などさまざまな職員が集まってそれぞれの取り組みを発表、課題に対する取り組み方や工夫を形式知化し、ほかの事業にも応用しようとしている』、「各事業のライバルには、空調のダイキン工業や、半導体製造装置の東京エレクトロンのように、それぞれの領域に特化した専業メーカーも多い。雑多な事業をあえて一体で運用することで新しいビジネスモデルを生み出し、ライバルに対抗したいと日立は考えている」、ただ、「新しいビジネスモデル」は果たして生み出されるのだろうか。
・『遠隔監視の開発ノウハウを応用 ビルシステム業界ではエレベーターの遠隔監視や予兆保全といった取り組みが30年以上前から当たり前のものとして発達してきた。その開発ノウハウを、産業機械などのほかのプロダクトに応用することに成功。プロジェクトの参加者は多くの新たな気付きを得たという。 プロジェクトを統括するコネクティブ事業開発推進部の平野徹部長は、「遠隔監視や予兆診断が大事なことはわかっていたが、製品視点で(サービス開発などを)やってきたことは否めない。みんな自分の事業を伸ばすことに注力して、サイロ化(細分化)していたのではないか」と過去を反省する。 そのうえで「いろんな視点を組み合わせて高度化することが他社との差別化になるのでは」と話し、将来の成功に手応えを感じているという。 事業領域が比較的近い分野では、具体的な協業も進む。その1つがエレベーターを扱う日立ビルシステムと家電や空調機器を扱う日立グローバルライフソリューションズの協業だ。 日立ビルシステムでは、管理者向けの「ビルミライ」や利用者向けの「ビルパス」といったプラットフォームを展開する。その一方、日立グローバルライフソリューションズでは、遠隔監視・予兆診断システム「エクシーダ」を開発。 それぞれが別々に展開してきたものを一体提案できるよう、両社でワーキンググループを作り、営業部隊が売り込みをかけている。すでにいくつかの受注につながっているという。 ビル管理の領域では、エレベーターの遠隔監視のみならず空調の状態や、オフィスの混雑具合のチェックなどさまざまなソリューションが求められている。リモートワークの広がりでオフィスに求められる機能も変化しており、フリーアドレスの座席確保や、大型ビル内の飲食店の予約を行えるアプリなどの開発も進む。 「オフィス需要が縮小する中、オーナーがメーカーに求める水準も厳しくなっている」と日立の小菅佳克スマートビルディング本部長は話す。近年、カーボンニュートラルに向けてZEB(ゼロ・エネルギー・ビル)に対する要求も高まっており、今後は家電部門以外との協業も進める予定だ。) それぞれの事業が個別最適を目指し、独立心が強いのは日立グループの特徴でもある。コネクティブインダストリーズセクターに加わった日立ハイテクとはどのようにシナジーを追求するのか。 羽田空港に程近い大規模複合施設「羽田イノベーションシティ」。2022年10月、日立ハイテクはここに従来施設を大幅に拡充する形で新拠点の「ヘルスケアイノベーションセンター東京」を開設した。 血液検査などに使う臨床検査用装置などを設置し、医療従事者の研修のほか、研究開発にも活用する。ここでも重視されるのは共創とリカーリングだ』、「エレベーターを扱う日立ビルシステムと家電や空調機器を扱う日立グローバルライフソリューションズの協業だ。 日立ビルシステムでは、管理者向けの「ビルミライ」や利用者向けの「ビルパス」といったプラットフォームを展開する。その一方、日立グローバルライフソリューションズでは、遠隔監視・予兆診断システム「エクシーダ」を開発。 それぞれが別々に展開してきたものを一体提案できるよう、両社でワーキンググループを作り、営業部隊が売り込みをかけている。すでにいくつかの受注につながっているという。 ビル管理の領域では、エレベーターの遠隔監視のみならず空調の状態や、オフィスの混雑具合のチェックなどさまざまなソリューションが求められている。リモートワークの広がりでオフィスに求められる機能も変化しており、フリーアドレスの座席確保や、大型ビル内の飲食店の予約を行えるアプリなどの開発も進む」、なるほど。
・『医用機器のメンテナンスでルマーダ活用 医用機器の分野では、医療従事者のほかに検査薬などを提供する試薬会社などとの協力が不可欠だ。分析技術が高度化して年々検査範囲が広がっているうえに、人手不足を背景とした自動化ニーズも高まる。 リカーリングビジネスも進み始めた。医用機器の稼働データをルマーダのアルゴリズムで分析してメンテナンスの時期を特定する新サービスを2022年度から運用開始。24時間体制で医療機関に対応する。人材を効率的に配置しコスト削減も実現している。 これまでも部品交換や消耗品で継続的な取引はあったものの、ルマーダの活用で「社会課題に対応する価値を提供し、対価を得られるものになった」(新サービスを担当する日立ハイテクの橘盛俊氏)。 日立ハイテクが、親会社日立製作所と協業する機会は増えている。日立ハイテクの禰寝義人専務は「上場子会社だったからこそ直接ステークホルダーに説明するという意識は今も強い。だが、目指す方向は一致しているし、横串の話がたくさん走っている。今はそういう時期だ」と解説する。 コネクティブインダストリーズはセクター単体で年間売上高2兆7500億円、従業員8万2000人(2022年3月期)を数える大所帯だ。従来、協働の機会も少なかったうえ、独立心も強く、ともすれば空中分解するリスクもある。国内での協業事例は積み重なりつつあるが、強化しているアメリカなど海外事業とのシナジーをどう生み出すかなど見えていない部分が多い。 アメリカのGEやドイツのシーメンスなどのコングロマリットは分社化による改革を進める中、あえて事業分野をまとめた日立の取り組みは異色にも映る。日立としてのアイデンティティをどう作り上げていくかが問われる局面だ』、「アメリカのGEやドイツのシーメンスなどのコングロマリットは分社化による改革を進める中、あえて事業分野をまとめた日立の取り組みは異色にも映る。日立としてのアイデンティティをどう作り上げていくかが問われる局面だ」、日立のユニークな取り組みが結実するか、大いに注目される。
タグ:東洋経済オンライン「日立副社長に聞く「巨大セクター」設置の狙い 「『業界』の意味は薄れた。共通項は多い」」 「国内メーカーの掃除機も、性能や使い勝手がいいよ』という評判を追い風にする国内メーカーと、改良版で円安のデメリットを解消しようとするダイソンの対決という構図になっている」、勝負の行方はどうなるのだろうか。 「最近、国内メーカーの商品は軽くて吸引力も高い優れたモデルばかりです」、遅ればせながら追撃が始まったようだ。 「重さが2キロ台」、「スイッチは引き金式」、確かに不満なユーザーもいるだろう。 「この10年間は、ダイソンが日本の掃除機市場を席巻」、「人気の秘密は、ダイソンご自慢の吸引力と、メカニカルな外観が男女を問わず「カッコいい」と評価されたこと」、なるほど。 デイリー新潮「「ダイソン」一強時代が終えん 日立とパナソニックの強烈な巻き返しで掃除機市場は戦国時代へ」 (その7)(「ダイソン」一強時代が終えん 日立とパナソニックの強烈な巻き返しで掃除機市場は戦国時代へ、日立副社長に聞く「巨大セクター」設置の狙い 「『業界』の意味は薄れた。共通項は多い」、巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由 コングロマリットならではの強み発揮できるか) 電機業界 「「全部日立がやりますよ」と提案できるチャンスは昔よりすごく増えている」、「コネクティブインダストリーズに入るビジネスは大体半年から、短いものは1日で決着がつく。平均的には数カ月単位のビジネスサイクルだ。 ビジネスサイクルが近いと、実は文化もそれぞれ近いことが結構ある」、なるほど。 (注)リカーリング:商品・サービスを一度提供して終わりではなく、継続的に価値を提供することで、その対価として長期的な収益を目指す考え方(DGFT) 「このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くあるから「ちょっと規模が大きすぎるのではないか」という議論もあったので、ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く形にしている」、「このセクターだけで売上高が2兆8000億円近くある」、のであれば、「ビジネスユニットを3つに分けてサブリーダーを置く」のは当然だろう。 「顧客にとってありがたいのは「ここにはファナックのこのロボット、あそこには安川電機のあのロボットを」といった形で提案をするSI(システムインテグレーター)だ。 そういった提案は製造業の知識がないとできないが、日立にはある。さらに上流の生産計画の管理といったデータマネジメントも強みとして持つ。製造業の上から下まで一気通貫にやるという点では、世界中を見渡して日立が一番強いのかもしれない」、 「ダイキン工業のロウ付け技術を日立の「ルマーダ」によってデジタル化した」際に、「「こんな匠の技をデジタル化してしまっていいのですか」と質問してみた。 すると、「いいんです。我々はもっと先の名人芸をやらなくてはいけない。誰にもできないような名人芸を次にまた開拓するのが我々の使命です」という答えが返ってきた」、「ダイキン工業」の考え方は模範的だ。 「日立の強みはプロダクトといったフィジカルなものがあるからこそ可能なデジタル(領域)だと思う」、「物理的な存在がある限りはプロダクトはなくならない。そこをやめるという選択肢は私にはない」、なるほど。 東洋経済オンライン「巨艦日立が「ごった煮」の事業部門を作る理由 コングロマリットならではの強み発揮できるか」 興味深そうだ。 「各事業のライバルには、空調のダイキン工業や、半導体製造装置の東京エレクトロンのように、それぞれの領域に特化した専業メーカーも多い。雑多な事業をあえて一体で運用することで新しいビジネスモデルを生み出し、ライバルに対抗したいと日立は考えている」、ただ、「新しいビジネスモデル」は果たして生み出されるのだろうか。 「エレベーターを扱う日立ビルシステムと家電や空調機器を扱う日立グローバルライフソリューションズの協業だ。 日立ビルシステムでは、管理者向けの「ビルミライ」や利用者向けの「ビルパス」といったプラットフォームを展開する。その一方、日立グローバルライフソリューションズでは、遠隔監視・予兆診断システム「エクシーダ」を開発。 それぞれが別々に展開してきたものを一体提案できるよう、両社でワーキンググループを作り、営業部隊が売り込みをかけている。 すでにいくつかの受注につながっているという。 ビル管理の領域では、エレベーターの遠隔監視のみならず空調の状態や、オフィスの混雑具合のチェックなどさまざまなソリューションが求められている。リモートワークの広がりでオフィスに求められる機能も変化しており、フリーアドレスの座席確保や、大型ビル内の飲食店の予約を行えるアプリなどの開発も進む」、なるほど。 「アメリカのGEやドイツのシーメンスなどのコングロマリットは分社化による改革を進める中、あえて事業分野をまとめた日立の取り組みは異色にも映る。日立としてのアイデンティティをどう作り上げていくかが問われる局面だ」、日立のユニークな取り組みが結実するか、大いに注目される。
コメント 0