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エネルギー(その11)(“太陽光パネル”の知られざる闇 「米ができない」農家が嘆く理由とは、埼玉・小川町メガソーラー 事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景、日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?) [産業動向]

エネルギーについては、昨年4月11日に取上げた。今日は、(その11)(“太陽光パネル”の知られざる闇 「米ができない」農家が嘆く理由とは、埼玉・小川町メガソーラー 事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景、日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?)である。

先ずは、本年1月29日付け日刊SPA!「“太陽光パネル”の知られざる闇。「米ができない」農家が嘆く理由とは」を紹介しよう。
https://nikkan-spa.jp/1882821/2
・『道路や水道など、生活を支えるインフラが全国各地で崩壊の一途を辿っている。しかし維持管理できない自治体も出てきているという。一体現場では何が起きているのか。全国で顕になりつつある“荒廃する日本”の実態に迫る』、興味深そうだ。
・『「米ができない」地元農家が嘆く太陽光パネルの闇  メガソーラーを巡っては、利益重視で運営を行う業者と住民間でのトラブルが全国で相次ぐ。中国系企業が運営する太陽光発電所の建設が進められている山口県岩国市もそのひとつ。市議会議員の石本崇氏はこう喝破する。 「太陽光パネルが破損し、有害物質が流出したのではと疑念を持つ人も少なくありません。使用するパネルは、世界でもシェアを広げる格安な中国メーカーのものです」』、「中国系企業が運営する太陽光発電所」で「太陽光パネルが破損し、有害物質が流出したのではと疑念を持つ人も少なくありません」、やれやれ、「中国系企業」らしい。
・『水田の土砂からは有害物質が検出  工事中の発電所下で農業を営む人々も重い口を開く。 「工事が始まってから水田の土砂を調査してみると、ヒ素、鉛など有害物質が検出されて、それからは稲作のできない状態が続いています」』、「ヒ素、鉛など有害物質が検出」とは深刻だ。自治体は工事業者に現状回復命令などを出したのだろうか。
・『「水害でパネルが水没することも想定すべき」  その危険性に鑑み、パネル設置を規制する条例を定める自治体も少なくないが、東京都は’22年12月、新築住宅太陽光パネル設置義務条例を制定した。東京都議会議員の上田令子氏は声を上げる。 「水害でパネルが水没することも想定すべきですよ。屋根から外れたパネルが水たまりに落ちれば、そこで勝手に発電してしまい、ガレキの片づけにあたる住民が感電する危険性もありますから」 再生可能エネルギー=環境に良いとの幻想が打ち砕かれる現実を目の当たりにした』、「新築住宅太陽光パネル設置義務条例」は「東京都」が制定したようだが、全国レベルでも規制すべく、法制化すべきだろう。

次に、4月6日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの河野 博子氏による「埼玉・小川町メガソーラー、事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/664196
・『この夏で創設11年となる再生可能エネルギーの固定価格買い取り(FIT)制度。日本の発電電力量に占める再生可能エネルギーの割合を飛躍的に伸ばした反面、太陽光発電では土砂災害、景観、自然環境破壊を懸念する地域住民との紛争が絶えない。経済産業省資源エネルギー庁は4月3日、認定失効の可能性が高い大量の案件について失効確認作業を本格化、失効分の公表を始めた。失効案件の一つ、経済産業相が厳しい勧告を出した埼玉県の「さいたま小川町メガソーラー」を例に、失効をめぐる事情を探った』、興味深そうだ。
・『事業者は失効回避に自信を見せていた  さいたま小川町メガソーラーは、国の環境影響評価(環境アセス)制度に基づいて手続き中。2022年2月、事業者による環境アセス準備書に対し、経済産業相が事業の抜本的見直しを求める異例の勧告を行い注目された。 事業者は、小川エナジー合同会社(埼玉県寄居町、代表社員=株式会社サンシャインエナジー、職務執行者・加藤隆洋氏)。官ノ倉山と石尊山の一部、約86ヘクタールに太陽光パネルを敷き、出力約3万9600kWの発電を行う計画だった。 1月28、29日の両日で小川エナジーは事業計画地近くの公民館で住民説明会を開き、経済産業相の勧告を受けて事業計画を変更すると説明した。勧告は約72万立法メートルという大量の盛り土を行い、その約半分にあたる土砂を外から搬入するという点を問題視した。 当初計画された盛り土の量は、2021年夏に起きた静岡県熱海市の土石流の起点となった源流部に盛り土された量の10倍以上。また、周辺の農家には有害物質を含む建設残土が持ち込まれるのでは、との懸念もあった。 説明会で事業者は計画変更を明らかにした。 ①外からの建設残土の搬入を一切中止する ②パネル設置方法を工夫し、地面に垂直に立てる架台を利用して傾斜をつけて並べる  会場からは事業の現実性や持続性について質問が相次いだ。それにひるむことなく加藤代表は「認定の失効にはならない。(固定価格で電気を買い取ってもらえる期間の)20年間事業を行える」と自信を見せた。 認定失効制度には、事業者側が失効を回避する手立ても用意されている。一定の期限までに電力会社の系統につなぎますという「系統への着工申し込み(系統連携着工申込書)」を出し、受領されることが失効回避の一つのステップになっている。) 1月29日の説明会終了後、住民に対応した加藤代表によると、東京電力側に着工申し込み文書を提出し、受領されたという。またこれとは別に、国の環境アセス制度に沿って手続きを進めていることを経済産業省に確認してもらう段取りも踏んでおり、「認定失効は回避された」と判断したようだ。 4月3日に公表された認定失効情報は、資源エネルギー庁のホームページの「失効情報紹介」コーナーに知りたいメガソーラーの設備IDを入力しすると、認定が失効している場合には「〇年〇月〇日以降、認定が無効です」と表示される仕組み。 「さいたま小川町メガソーラー」の設備IDを入力すると、4月1日に認定が失効していることがわかった。小川エナジーの「回避できた」という理解は「誤解」だったといえる。 電力会社に系統への着工申し込みを行う際には、県から林地開発許可を得ていることなどが要件になっている。着工申込書にそれを証明する文書を添付する必要はない。しかし申込書には、要件をクリアしていないことが判明した場合、「失効となる可能性がある」と明記されてもいる。 小川エナジーは、埼玉県からの林地開発許可をまだ受けていない。環境アセス手続きを早く終え、林地開発許可を得ていれば、認定失効を免れることができただろう』、「小川エナジーは、埼玉県からの林地開発許可をまだ受けていない」のであれば、「誤解」との認識は事実誤認だ。
・『国が認定失効制度を新設し、大量処分に踏み切った背景  認定失効制度は2020年の法改正で盛り込まれ、2022年度に本格施行された。FIT制度では、認定を受けた時点で設定される調達価格で20年間にわたり、電力会社(送配電事業者)に売電できる。小川エナジーが認定を受けたのは2017年3月で、設定された調達価格(電力会社による買い取り価格)は1kWh(キロ・ワット・時)当たり24円。 太陽光発電の場合、調達価格は大きく下がってきた。2022年度は1kWh当たり10円を切っている。いったん認定を受ければ、年数がたってからの稼働でも、認定時の高い値段で電気を売れるが、この仕組みは国民の賦課金によって支えられている。2022年度の賦課金は再生可能エネルギー全体で1kWh当たり3.45円。平均的な使用量の家庭では年1万6560円だった。 0.22円だったFIT導入時から約16倍にも膨らんだ賦課金。当然批判は強く、国民負担の増大抑制が喫緊の課題となった。経済産業省は「高い調達価格の権利を保持したまま運転を開始しない案件が大量に滞留する」(資源エネルギー庁)事態に、メスを入れる必要に迫られた。発電事業者の中からも「無理筋な未稼働案件が消えてくれれば、容量が限られている電力会社の送配電網を優良な事業で使える」との声が出ていた。) 高い調達価格で電気を売れる権利を持ったまま運転を開始していない案件の中には、地元住民から反対の声が高いケースがある。国は「地域との共生」をうたい、2022年4月に経済産業、環境、国土交通、農林水産の4省のもとで再エネ発電設備の適正導入・管理の検討会を設けた。 背景には「地域で太陽光発電イコール悪という認識が広まってしまうと、脱炭素の取り組みが難しくなる」(環境省)という危機感があった』、「高い調達価格で電気を売れる権利を持ったまま運転を開始していない案件の中には、地元住民から反対の声が高いケースがある。国は「地域との共生」をうたい」、そんな案件を「認可」取り消しするべきだが、大義名分に欠けるのだろうか。
・『小川メガソーラーはどうなる  FIT認定の失効を受け、小川エナジーはどうするのか。3月31日、小川エナジーに電話したところ、同社の加藤代表は「失効については聞いていない。環境アセス準備書に対する経産相の勧告を受け、昨年末まで調査を続け、評価書を出す準備を進めているところだ。事業を中止するという噂は何回も流されたが、そういう事実はない」と話した。 確かに、FIT認定失効イコール事業中止ではない。固定価格買い取り制度による売電のほかにも、電力の売り先企業を探して相対取引で売電するなど太陽光発電事業を行う方法はある。 しかし、さいたま小川メガソーラー事業の実現には、いくつものハードルがある。特に、住民団体「比企の太陽光発電を考える会」が事業の悪影響について調査を続け、小川町、埼玉県、国に事業化への懸念を伝えていることは大きい。3月21日には「雨水を浸透させ、蓄える能力」が事業地の土地にどのくらいあるかの調査が行われた。 「比企の太陽光発電を考える会」の依頼を受けて調査を実施したのは、法政大学エコ地域デザイン研究センターの神谷博・客員研究員。事業地内の4カ所でインフィルトロメーターという透明なプラスチック製の筒状の計測器を使い、地面の雨水浸透能力を測った。地面に置いた計測器に用意した水を入れ、筒の中を下がった水面の高さを30秒ごとに読み取っていった。 その結果、事業敷地の治水蓄雨高(単位面積当たりの雨をしみ込ませる能力)はソーラーパネルを設置した場合に37mmと算定された。「一戸建てが並び、敷地面積の半分は建物で、そのほかにも駐車スペースなどがあり、雨がしみ込む場所が少ない住宅地とほぼ同程度」(神谷研究員)。 パネルを設置せず、現状のままの林地の場合、治水蓄雨高は60mmと算定された。事業地は森林土壌が比較的薄く、全体として保水性の乏しい丘陵地として知られており、それが裏付けられた形だ。) 神谷研究員は土地の雨水浸透能力に着目する理由をこう説明する。「2014年の水循環基本法制定、雨水利用推進法施行により、雨水の流出を抑え、地下浸透を促進することが求められている」。また事業地の大部分は「埼玉県水源地域保全条例」により水源地域に指定され、多くのため池や集落の井戸の水源地にあたるが、神谷研究員は「そこの雨水浸透能力を奪ってしまうのではないか」と指摘する。 資源エネルギー庁の認定失効情報検索サイトによると、さいたま小川町メガソーラーのほかにも埼玉県内で地域住民の反対があるメガソーラーの認定が失効していた』、「事業敷地の治水蓄雨高・・・はソーラーパネルを設置した場合に37mmと算定された。「一戸建てが並び、敷地面積の半分は建物で、そのほかにも駐車スペースなどがあり、雨がしみ込む場所が少ない住宅地とほぼ同程度」・・・パネルを設置せず、現状のままの林地の場合、治水蓄雨高は60mmと算定」。「事業地の大部分は「埼玉県水源地域保全条例」により水源地域に指定され、多くのため池や集落の井戸の水源地にあたるが、神谷研究員は「そこの雨水浸透能力を奪ってしまうのではないか」と指摘」、「水源地域」の「雨水浸透能力を奪ってしまう」のはやはり大きな問題だ。
・『地域や自治体とのトラブル案件の認定失効続々  埼玉県日高市で、2019年8月に公布・施行された「日高市太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」により太陽光発電事業が禁止された区域内に計画地があったため、事業を進められなくなったメガソーラーも「4月1日以降、認定が無効」となった。 さいたま小川町メガソーラーの事業地近くの炭鉱跡地の丘に計画されているメガソーラー、やはり小川町内の谷津にある棚田に隣接した遠ノ平山に計画されたメガソーラーをめぐっては住民の反対が根強いが、この2件については「2023年4月1日に失効期限日を超過している可能性があり、認定状況を確認中」との表示が出た。 こうした案件に共通するのは、なだらかな丘陵の山林に計画されたこと。大雨の際の土砂崩れの恐れや景観の破壊を挙げ、周辺住民が懸念を強めていた。 西村康稔経済産業相は3月31日、閣議後の記者会見で2022年度末の失効見込み数を「50000件」程度、その容量の総計を「約400万kW」としている。しかし、現時点で全国の失効総数については明らかにしていない。確認作業を進めており、失効が確認されたケースから五月雨式に公表しているとみられる』、「こうした案件に共通するのは、なだらかな丘陵の山林に計画されたこと。大雨の際の土砂崩れの恐れや景観の破壊を挙げ、周辺住民が懸念を強めていた」、熱海市の盛土崩壊事故を踏まえると、慎重にも慎重な判断が求められる。

第三に、5月16日付けCOURRiERが転載したニューヨーク・タイムズ「日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?」を紹介しよう。これは有料記事だが。無料閲覧は今月あと2本。
https://courrier.jp/news/archives/325542/#paywall_anchor_325542
・『日本には膨大な地熱エネルギーが眠っているが、不可解なことに、その豊富な資源はまったく生かされていない。なぜ安価でクリーンな純国産エネルギーを開発しないのか。米紙「ニューヨーク・タイムズ」が答えを探ってみると、日本ならではの葛藤が見えてきた』、興味深そうだ。
・『総発電量のわずか0.3%  日本を旅する人々に愛される保養地といえば、山あいや風光明媚な沿岸部に位置する温泉リゾートだ。国内に何千ヵ所もある温泉地のなかには、何世紀にもわたって観光客でにぎわってきたところもある。 そうした温泉地のすべてを支えているのが、日本の豊富な地熱エネルギーだ。実際、日本の地下には膨大な地熱エネルギーが眠っており、発電に利用されれば、国内の石炭・ガス火力発電や原子力発電に代わる重要な役割を果たす可能性がある。 だが、地熱エネルギーの普及を目指す日本の野望は何十年もの間、驚くほど強力な温泉地の抵抗に阻まれている。 福島県の山中にたたずむ隠れ家的旅館「二岐温泉大丸あすなろ荘」の佐藤好億社長は、「地熱開発が乱立すれば、私たちの文化が脅かされる」と話す。二岐温泉は開湯1300年の歴史があるとされる。「万が一にでも私たちの温泉に何かあったら、誰が代償を払うのでしょうか」 日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる。新しくクリーンな発電方法を切望している資源の乏しい国にとって、せっかくの機会が生かされていないとアナリストらは指摘する。 この謎に対する答えの一つは、佐藤が経営する旅館のような由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている。 政府官僚や日本の電力大手、さらには製造業大手でさえ太刀打ちできない。東京に本社を置く電源開発(Jパワー)の阿島秀司は「開発を無理やり進めるわけにはいかない」と話す。地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった。 「地熱発電所は決してゲームチェンジャーにはなれませんが、(二酸化炭素を排出しない)カーボンフリーエネルギーの一翼を担うことはできると考えています」と阿島は言う』、「日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる」、その理由は、「由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている」、「地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった」、なるほど。
・『アイスランドが「再生可能エネルギー」100%で電力をまかなえている理由 「日本に必要なものはそろっている」  温泉は、岩石に浸透した雨水が地熱で温められ、数年から数十年の歳月をかけて地表に湧き出してくる自然界の小さな奇跡だ。 日本全国に点在する温泉旅館や立ち寄り湯は1万3000ヵ所を超える。入浴には厳しいルールがあり、壁の張り紙にはさまざまな言語で注意事項が書かれている。水着の着用禁止、せっけんのついた体での入湯禁止……。 一方、地熱発電所は、地下深く掘った井戸から高温の蒸気・熱水をくみ上げ、巨大なタービンを回して発電する。開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い。 京都大学名誉教授で、地熱科学の専門家である由佐悠紀は、地熱開発がもたらす影響の全容はまだ充分に理解されていないと語る。 世界5位の温暖化ガス排出国である日本は、気候関連目標を達成し、化石燃料の輸入依存を低減するため、よりクリーンなエネルギーを必要としている。2011年に起きた福島第一原子力発電所の事故以降、国内の原発は多くが稼働を停止したままだ。 そうしたなか、環境に配慮した地熱発電は比較的安価であるうえ、24時間安定的に電力を供給できることから、再生可能エネルギー源として有望視されている。 2030年までに国内の地熱発電容量を3倍にすることを目指す日本政府は、国立・国定公園内の地熱開発にかかる規制を緩和し、環境アセスメント(影響評価)を迅速化することで、より多くのプロジェクトに道を開こうとしている。 NPO法人「環境エネルギー政策研究所」によると、日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る。 地熱エネルギーは「国産であり、再生可能」だと語るのは、南カリフォルニア大学のエネルギー専門家ジャック・ハイマンスだ。「日本に必要なものはすべてそろっているのです」 しかし、全国各地の地方自治体はこのところ新たな規制を導入している。 草津温泉で知られる群馬県草津町は2022年、地熱開発が地元の温泉に影響しないことを証明するため、掘削事業者に町から許可を得ることを義務付ける条例を可決した。厳しいハードルが設けられたといえる。 日本一温泉の多い大分県は最近、国内最大の温泉地とされる別府市の掘削禁止区域を拡大した。 全国の温泉を代表する日本温泉協会の関豊専務理事は「国のエネルギー需要は理解している」と話す。「私たちは地熱開発に反対するために声を上げているわけではありません。ただ、野放図な大規模開発には強く警告します」』、「開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い」、「日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る」、しかし、「全国各地の地方自治体はこのところ新たな規制を導入している。 草津温泉で知られる群馬県草津町は2022年、地熱開発が地元の温泉に影響しないことを証明するため、掘削事業者に町から許可を得ることを義務付ける条例を可決した。厳しいハードルが設けられたといえる。 日本一温泉の多い大分県は最近、国内最大の温泉地とされる別府市の掘削禁止区域を拡大」、やはり「温泉」側の抵抗は強力だ。
・『湯けむりに包まれる街  大分県別府では、いたるところに湯けむりがたちこめ、蒸気が通りや家々を包み込む。この数十年、大型ホテルや旅館、個人宅までもが地域の温泉を引き込み、温泉資源の著しい枯渇を招いた。 そんな状況で大規模な地熱開発はとうてい考えられないようだ。別府市役所温泉課の樋田英彦課長は「別府の文化、確立された生活様式を維持するために何をすべきか話し合っています」と語る。 別府から65キロほど離れた場所には、国内最大の地熱発電所、九州電力の八丁原発電所が建っている。運転開始から40年余りがたつが、同社はこれ以降、同規模の発電所を建設できていない。 九州電力の地熱部グループ長の千手隆徳は「(建設の)受け入れに前向きな場所を見つけるのは難しい」と明かす』、「別府から65キロほど離れた場所には、国内最大の地熱発電所、九州電力の八丁原発電所が建っている。運転開始から40年余りがたつが、同社はこれ以降、同規模の発電所を建設できていない。 九州電力の地熱部グループ長の千手隆徳は「(建設の)受け入れに前向きな場所を見つけるのは難しい」と明かす」、やはり「温泉側」の抵抗は強いようだ。
・『別府温泉 地熱エネルギー  日本政府は、地熱発電などの再生可能エネルギーの売電価格に一定の補助を上乗せする制度を導入した。この補助金制度「FIP」により、最近は小規模の地熱開発が盛んになっている。ただ、制度導入後に建設された発電所のほとんどは、おそらく数百世帯分の電力を賄う規模にとどまる。そうすることで環境アセスメントや規制を回避できるからだ。 しかし、日本のエネルギー市場全体に大きな影響を与えるには不充分だと専門家たちは言う』、「地熱発電などの再生可能エネルギーの売電価格に一定の補助を上乗せする制度を導入した。この補助金制度「FIP」により、最近は小規模の地熱開発が盛んになっている。ただ、制度導入後に建設された発電所のほとんどは、おそらく数百世帯分の電力を賄う規模にとどまる。そうすることで環境アセスメントや規制を回避できるからだ。 しかし、日本のエネルギー市場全体に大きな影響を与えるには不充分」、残念だ。
・『地熱と共存する湯沢温泉  秋田県の豪雪地帯・湯沢市は、地熱エネルギーを取り入れた温泉地として珍しい例だ。 初期開発を手がけた同和鉱業(現DOWAホールディングス)は、湯沢市出身の優秀な学生を採用したり、地元の祭りに職員を派遣したりするなど、地域社会のリーダーを巻き込んで計画を進めた。 自治体側も、人里離れた地域で新たな産業を育てることに意欲的だった。地元の酪農家は現在、牛乳やヨーグルトの低温殺菌処理に地熱を利用している。 日本は第2、第3の湯沢の誕生に期待したが、思うようにはいかなかった。1966年に国内初の商業用大型地熱発電所が運転を開始し、それから数十年の間に湯沢を含む十数ヵ所で発電所が建設された。 しかし各地の温泉旅館からの反発が強まるなか、1990年代以降は地熱発電設備がほとんど増設されていない。東芝など日本の大手メーカーが地熱タービンの世界市場を席巻しているにもかかわらず、この状況だ。各社の地熱事業に占める国内向けの割合は極めて小さい。 それゆえ、2019年に湯沢で山葵沢地熱発電所が運転を開始したことは、突破口の一つとなった。約10万世帯の電力を賄える大規模地熱発電所の新規稼動は、国内では実に23年ぶりだった。 湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部の岩田峻は、日本の地熱開発が直面する最も困難な課題は地質や技術とは関係がないと話す。「それ以上に重要なのは、地域社会に働きかけ、関係を築くことです」 とはいえ、そんな湯沢でも問題がないわけではない。地元のある温泉旅館は2020年後半から、湯量の減少に伴い、定期的に休業せざるを得なくなった。市は、地熱開発が原因ではないとしている。 湯沢の温泉旅館の一つ、阿部旅館で働く柴田昌美は「不安がないとは言い切れません」と話す。それでも地熱エネルギーは、湯沢という街を形作る重要な要素の一つになっていると言う。「温泉と地熱の共存は可能だと思っています」』、「湯沢」の「初期開発を手がけた同和鉱業(現DOWAホールディングス)は、湯沢市出身の優秀な学生を採用したり、地元の祭りに職員を派遣したりするなど、地域社会のリーダーを巻き込んで計画を進めた。 自治体側も、人里離れた地域で新たな産業を育てることに意欲的だった。地元の酪農家は現在、牛乳やヨーグルトの低温殺菌処理に地熱を利用」、「2019年に湯沢で山葵沢地熱発電所が運転を開始したことは、突破口の一つとなった。約10万世帯の電力を賄える大規模地熱発電所の新規稼動は、国内では実に23年ぶりだった。 湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部の岩田峻は、日本の地熱開発が直面する最も困難な課題は地質や技術とは関係がないと話す。「それ以上に重要なのは、地域社会に働きかけ、関係を築くことです」、「湯沢」だけは例外的に上手くいっている。これは、「湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部」の存在が大きいようだ。 
タグ:エネルギー (その11)(“太陽光パネル”の知られざる闇 「米ができない」農家が嘆く理由とは、埼玉・小川町メガソーラー 事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景、日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?) 日刊SPA!「“太陽光パネル”の知られざる闇。「米ができない」農家が嘆く理由とは」 「中国系企業が運営する太陽光発電所」で「太陽光パネルが破損し、有害物質が流出したのではと疑念を持つ人も少なくありません」、やれやれ、「中国系企業」らしい。 「ヒ素、鉛など有害物質が検出」とは深刻だ。自治体は工事業者に現状回復命令などを出したのだろうか。 「新築住宅太陽光パネル設置義務条例」は「東京都」が制定したようだが、全国レベルでも規制すべく、法制化すべきだろう。 東洋経済オンライン 河野 博子氏による「埼玉・小川町メガソーラー、事業化困難で大誤算 経産省が大量の認定失効に踏み切った背景」 「小川エナジーは、埼玉県からの林地開発許可をまだ受けていない」のであれば、「誤解」との認識は事実誤認だ。 「高い調達価格で電気を売れる権利を持ったまま運転を開始していない案件の中には、地元住民から反対の声が高いケースがある。国は「地域との共生」をうたい」、そんな案件を「認可」取り消しするべきだが、大義名分に欠けるのだろうか。 「事業敷地の治水蓄雨高・・・はソーラーパネルを設置した場合に37mmと算定された。「一戸建てが並び、敷地面積の半分は建物で、そのほかにも駐車スペースなどがあり、雨がしみ込む場所が少ない住宅地とほぼ同程度」・・・パネルを設置せず、現状のままの林地の場合、治水蓄雨高は60mmと算定」。「事業地の大部分は「埼玉県水源地域保全条例」により水源地域に指定され、多くのため池や集落の井戸の水源地にあたるが、神谷研究員は「そこの雨水浸透能力を奪ってしまうのではないか」と指摘」、「水源地域」の「雨水浸透能力を奪ってしまう」 のはやはり大きな問題だ。 「こうした案件に共通するのは、なだらかな丘陵の山林に計画されたこと。大雨の際の土砂崩れの恐れや景観の破壊を挙げ、周辺住民が懸念を強めていた」、熱海市の盛土崩壊事故を踏まえると、慎重にも慎重な判断が求められる。 COURRIER ニューヨーク・タイムズ「日本で地熱発電が普及しない「本当の理由」を米紙が報道─なぜ純国産エネルギーを利用しないのか?」 「日本は世界3位の地熱資源国とされるが、不可解なことに、その豊富な資源をほとんど利用していない。総発電量に占める地熱発電の割合は約0.3%にとどまる」、その理由は、「由緒ある温泉にある。こうした旅館は何十年もの間、ミネラル成分の豊富な泉質に害が及ぶことを恐れ、地熱開発に抵抗してきた。 佐藤はあすなろ荘に水流と水温をリアルタイムで計測できるモニタリング装置を設置し、全国の温泉地にも同様の対応を呼びかけている。「日本秘湯を守る会」の会長を務める佐藤は、地熱開発反対運動の陣頭指揮を執っている」、「地熱発電所を国内で1ヵ所のみ運営するJパワーは、過去数十年の間、多数の地熱開発を断念せざるを得なかった」、なるほど。 「開発事業者によると、地熱発電所は温泉の地下深くにある源泉を利用するため、どちらか一方が他方に影響する可能性は低い。 それでも、温泉と地熱の関係は依然として謎めいた部分がある。温泉の流れが変わった場合、その原因を突き止めるのは難しいことが多い」、 「日本が地熱資源をすべて発電用に開発した場合、総電力の約10%を供給できる。これは2019年の水力、太陽光、風力、原子力の発電量を上回る」、しかし、「全国各地の地方自治体はこのところ新たな規制を導入している。 草津温泉で知られる群馬県草津町は2022年、地熱開発が地元の温泉に影響しないことを証明するため、掘削事業者に町から許可を得ることを義務付ける条例を可決した。厳しいハードルが設けられたといえる。 日本一温泉の多い大分県は最近、国内最大の温泉地とされる別府市の掘削禁止区域を拡大」、やはり「温泉」側の抵抗は強力だ。 「別府から65キロほど離れた場所には、国内最大の地熱発電所、九州電力の八丁原発電所が建っている。運転開始から40年余りがたつが、同社はこれ以降、同規模の発電所を建設できていない。 九州電力の地熱部グループ長の千手隆徳は「(建設の)受け入れに前向きな場所を見つけるのは難しい」と明かす」、やはり「温泉側」の抵抗は強いようだ。 「地熱発電などの再生可能エネルギーの売電価格に一定の補助を上乗せする制度を導入した。この補助金制度「FIP」により、最近は小規模の地熱開発が盛んになっている。ただ、制度導入後に建設された発電所のほとんどは、おそらく数百世帯分の電力を賄う規模にとどまる。そうすることで環境アセスメントや規制を回避できるからだ。 しかし、日本のエネルギー市場全体に大きな影響を与えるには不充分」、残念だ。 「湯沢」の「初期開発を手がけた同和鉱業(現DOWAホールディングス)は、湯沢市出身の優秀な学生を採用したり、地元の祭りに職員を派遣したりするなど、地域社会のリーダーを巻き込んで計画を進めた。 自治体側も、人里離れた地域で新たな産業を育てることに意欲的だった。地元の酪農家は現在、牛乳やヨーグルトの低温殺菌処理に地熱を利用」、 「2019年に湯沢で山葵沢地熱発電所が運転を開始したことは、突破口の一つとなった。約10万世帯の電力を賄える大規模地熱発電所の新規稼動は、国内では実に23年ぶりだった。 湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部の岩田峻は、日本の地熱開発が直面する最も困難な課題は地質や技術とは関係がないと話す。 「それ以上に重要なのは、地域社会に働きかけ、関係を築くことです」、「湯沢」だけは例外的に上手くいっている。これは、「湯沢で20年近く地元住民の理解向上に取り組んだ同和鉱業元幹部」の存在が大きいようだ。
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