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ウクライナ(その6)(プリゴジンの「信用失墜」に成功したプーチン どうなる「料理番の運命 ワグネルはベラルーシで軍事訓練中 プーチンの狙いは「プリゴジンとの分断」、IAEA ザポロジエ原発で対人地雷確認 「安全基準に矛盾」とロシアを批判、「プーチンを倒せば平和になる」とは限らない 日本も危ない失脚後の最悪シナリオ、アメリカの“弱腰"を懸念し始めたウクライナ 戦争の終わりが見えないまま反攻に最大注力へ、プーチン政権の〝恫喝的行動〟に国際司法が怒り ICC裁判官を指名手配のロシア当局に非難声明「深い懸念」) [世界情勢]

ウクライナについては、本年3月1日に取上げた。今日は、(その6)(プリゴジンの「信用失墜」に成功したプーチン どうなる「料理番の運命 ワグネルはベラルーシで軍事訓練中 プーチンの狙いは「プリゴジンとの分断」、IAEA ザポロジエ原発で対人地雷確認 「安全基準に矛盾」とロシアを批判、「プーチンを倒せば平和になる」とは限らない 日本も危ない失脚後の最悪シナリオ、アメリカの“弱腰"を懸念し始めたウクライナ 戦争の終わりが見えないまま反攻に最大注力へ、プーチン政権の〝恫喝的行動〟に国際司法が怒り ICC裁判官を指名手配のロシア当局に非難声明「深い懸念」)である。

先ずは、本年7月18日付けJBPressが掲載した在英ジャーナリストの木村 正人氏による「プリゴジンの「信用失墜」に成功したプーチン、どうなる「料理番」の運命 ワグネルはベラルーシで軍事訓練中、プーチンの狙いは「プリゴジンとの分断」」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/76080
・『反乱5日後にプリゴジンと35人のワグネル司令官と面談  ウラジーミル・プーチン露大統領は民間軍事会社ワグネルグループから「プーチンの料理番」こと創設者のエフゲニー・プリゴジンを排除しようとしたが、失敗していたことを露の有力日刊紙「コメルサント」(電子版7月13日付)に明らかにした。プーチンは「プリゴジンの反乱」5日後の6月29日クレムリンでプリゴジンと35人のワグネル司令官と面談していた。 ドミトリー・ペスコフ露大統領報道官はこれに先立つ7月10日、プーチンとプリゴジンらの面談を認め、「大統領は『特別軍事作戦』中の前線におけるワグネルの功績を称え、6月24日の出来事(プリゴジンの反乱)の評価を下した。大統領は司令官たちの説明に耳を傾け、彼らに雇用のさらなる選択肢と契約を提示した」と説明していた。 プーチンとプリゴジン、ワグネル司令官の面談は3時間にも及んだという。コメルサント紙によると、プーチンは「ロシア社会にとって、すべては非常に単純で明白なことだ。一般的にワグネル戦闘員は立派に戦った。彼らがこのような出来事に引きずり込まれたことは遺憾の極みだ」と語った。 プーチンが最初に会いたかったのは「名誉ある戦いをしたワグネル司令官たちで、プリゴジンではなかった」との見方をコメルサント紙の特派員は伝えている。「私は彼らとの面談で、彼らが戦場で何をしたか、次に6月24日に彼らが何をしたかを評価した。第3に、私は彼らに今後の任務について可能な選択肢を示した。それだけだ」とプーチンは説明した』、「プーチン」にとっては、「ワグネル司令官」と「プリゴジン」を切り離す狙いだろう。
・『プリゴジンを参謀長「セドイ(白髪)」に交代させることを提案  「民間軍事会社ワグネルは戦闘部隊として存続するのか」という特派員の問いに、プーチンは「ワグネルは存在しない。ロシアに民間軍事会社を認める法律はない。ワグネルというグループはあっても法的には存在しない」と叫んだ。「今回の一件と民間軍事会社の合法化は別問題だ。これは議会や政府で議論されるべき問題で、簡単ではない」と強調した。 プーチンは面談で35人のワグネル司令官に雇用の選択肢をいくつか提示した。その中にはプリゴジンの代わりに「セドイ(白髪)」というコードネームを持つ司令官の下で働くという選択肢もあった。「セドイ」はアフガニスタン戦争やチェチェン紛争、シリア内戦に関わった元内務省工作員(大佐)で、ワグネル参謀長のアンドレイ・トロシェフのことだ。 プーチンはその時のことをコメルサント紙の特派員にこう語っている。 「この条件を飲めばワグネルが1つの場所に集まり、任務を続けることもできただろう。これまで実質的な司令官だった人物が指揮をとるのだから何も変わらないはずだった。多くのワグネル司令官が頷いた」 しかし、このプーチンとの会談で最前列に陣取ったプリゴジンはそのことに気づかず「いや、全員がこの決定には賛成していない」と首を縦には振らなかった。 「プリゴジンの反乱」を巡るさまざまな憶測が飛び交う中、プーチンは、ワグネルからプリゴジンの影響力を排除するため、東部ドネツク州の激戦地バフムートを制圧するなど、ウクライナ戦争におけるワグネルの功績を称える一方で、ウクライナの占領地を含むロシア国内ではワグネルは非合法な存在であることを改めて強調した』、「ウクライナ戦争におけるワグネルの功績を称える一方で、ウクライナの占領地を含むロシア国内ではワグネルは非合法な存在であることを改めて強調」、あくまで「非合法な存在」とさせたいようだ。
・『プリゴジンに対するネガティブ・キャンペーン  「ワグネルは存在しない」というプーチンの言葉が伝わる中、大きなテントの中のベッドに腰掛け、Tシャツにブリーフ、中年太りしたお腹というみっともない姿で撮影されたプリゴジンの写真がテレグラムチャンネルに出回った。英紙デーリー・テレグラフによると、写真のメタデータから、「プリゴジンの反乱」12日前の6月12日に撮影されたという。 テレグラムチャンネルに投稿されたプリゴジンの写真。でっぷりしたお腹が分かるTシャツにブリーフ姿というあられもない格好。この写真が出回った背景には、ロシア政府によるプリゴジンを貶めるネガティブキャンペーンがあると見られている(「REVERSE SIDE OF THE MEDAL」のテレグラムチャンネルより) 同紙は「恐れられた軍閥(プリゴジン)を弱体化させ、辱め、信用を失墜させようとするクレムリンのキャンペーンと軌を一にしている」と分析する。ロシアの治安部隊がサンクトペテルブルクにあるプリゴジンの邸宅を捜索した際、カツラでいっぱいの戸棚、黄金の延べ棒、ワニの剥製、屋内プールの写真が次々と公開された。プリゴジンを貶める狙いがある。 ジョー・バイデン米大統領は7月13日の記者会見で「もし私がプリゴジンだったら、食べるものに気をつけるだろう。メニューから目を離さないだろう。しかし冗談はさておき、ロシアにおけるプリゴジンの将来がどうなるのか、私たちの誰にも確かなことは分からない」と話した。 デーリー・テレグラフ紙によると、「セドイ」ことトロシェフは2017年、泥酔してサンクトペテルブルクの病院に救急車で運び込まれたことがある。トロシェフは現金で500万ルーブル(約770万円)と5000ドル(約70万円)、シリアの軍事地図、新兵器の領収書、電子航空券を持っており、救急隊員を驚かせたという』、そんな多額の「現金」を身につけているとは、さすが民間軍事組織の長だ。
・『ショイグ露国防相を「木偶の坊」呼ばわり  トロシェフはその前年の16年、シリアの過激派組織「イスラム国」に対するワグネルの攻撃を指揮し、古代都市パルミラを解放した功績でプーチンからロシアの英雄と称えられた。ウクライナ戦争では無能なセルゲイ・ショイグ露国防相を「木偶の坊」呼ばわりした上で、ロシア軍の司令官に悪態をつき、「砲弾をもっとよこせ」と要求した。 トロシェフは14年、プリゴジンによるワグネル創設を支援し、それ以来、シリア、アフリカ、ウクライナ戦争での軍事作戦を指揮するなど、重要な役割を果たしてきた。戦闘を忌避するワグネル戦闘員を罰する「内部保安部」のトップとも伝えられている。トロシェフのリーダーシップはプーチンに感銘を与えたとされる。 複数のテレグラムチャネルで公開された情報によると、アフリカに展開していたワグネルの軍事教官が7月11日、ロシアの占領下にあるウクライナ東部ルハンスク州から車列を組み、ベラルーシの軍事訓練場に到着した。 ロシア国防省は12日、ワグネルから戦車を含む2000もの重火器の引き渡しを受けたと発表した。14日にはワグネルの軍事教官がベラルーシ領土防衛隊の徴集兵に戦場での移動や戦術射撃、戦闘外傷救護を訓練している映像が公開された。 米シンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、ワグネルはアフリカに展開する部隊をローテーションさせようとしており、ベラルーシでの軍事教練はより広範なローテーションの一環であることを示唆していると指摘する。ワグネルは6月24日の反乱の後、休暇を取り、再編成を経て、8月前半にベラルーシに展開すると伝えられる』、「ワグネルはアフリカに展開する部隊をローテーションさせようとしており、ベラルーシでの軍事教練はより広範なローテーションの一環であることを示唆」、なるほど。
・『ベラルーシ国防省はワグネル部隊のためのロードマップを作成  ベラルーシでの軍事教練は、その地ならしの可能性が大きい。ベラルーシ国防省は7月14日、ベラルーシ軍を訓練するワグネル部隊のためのロードマップを作成したと発表した。 独立監視団体によると、翌15日朝、ベラルーシでドネツク、ルガンスク両人民共和国のナンバープレートを付けた60台以上の車列を護衛するベラルーシの交通警察が目撃された。ワグネル部隊、ワグネル戦闘員240人、40台のトラック、大量の武器が次々と到着したという。 ベラルーシ軍は旧ソ連時代のアフガン戦争以来、戦闘任務に参加していない。このため、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領は、ウクライナ戦争だけでなく中東・アフリカで豊富な実戦経験を持つワグネルのノウハウを吸収するため、自国での受け入れに前向きだった。 ロシアの国防問題に詳しい米シンクタンク、ランド研究所のダラ・マシコット上級政策リサーチャーは英紙ガーディアンに「プーチンはプリゴジンとワグネル戦闘員との間にくさびを打ち込もうとしている。プーチンはワグネルという道具を必要としている。だからプリゴジンだけをワグネルから引き離そうとした」との見方を示している。 最近、実施された2つのロシア全国世論調査ではプリゴジンの活動への支持率は「プリゴジンの反乱」前は55%(不支持率はわずか17%)にまで達したが、その後29%にまで急落(不支持率は39%に上昇)した。テレビは積極的にプリゴジンとワグネルの信用を失墜させるキャンペーンを展開、テレビ視聴者の半数以上がプリゴジンの活動を否定的に捉えていた。 プーチンは「プリゴジンの反乱」後、内政問題の後始末にひとまず成功したかたちだ』、「プーチンは「プリゴジンの反乱」後、内政問題の後始末にひとまず成功したかたちだ」、なーんだ、つまらない。

次に、7月25日付けNewsweek日本版「IAEA、ザポロジエ原発で対人地雷確認 「安全基準に矛盾」とロシアを批判」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2023/07/iaea-15.php
・『国際原子力機関(IAEA)は24日、ロシア軍が占領しているウクライナ南部のザポロジエ原子力発電所で対人地雷が見つかったとし、安全基準に違反すると批判した。 IAEAのグロッシ事務局長は声明で、現地に駐在するIAEA職員が原発の内部と外部のフェンスの間にある緩衝地帯で地雷を確認したとし、過去の調査でも地雷が見つかっていると指摘。 「こうした爆発物の存在はIAEAの安全基準と原子力安全保障の指針に矛盾するもので、発電所職員にさらなる心理的圧力を与える」とした。 同氏は6月にも地雷について同様の警告を発したが、その際も今回も原発の安全性を脅かすものではないとの見方を示した』、「IAEA」が「現地に駐在するIAEA職員」させるようにしたことは、監視の上で必須の存在だ。「ロシア」もその存在を意識せざるを得ないだろう。

第三に、7月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「「プーチンを倒せば平和になる」とは限らない、日本も危ない失脚後の最悪シナリオ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/326704
・『日本人の中には、プーチン大統領が失脚すればウクライナ紛争が終結し、ロシアの民主化が進むことを期待している人が多いように思える。だが、必ずしもそうとは限らない。プーチン大統領よりも強権的で、かつ“中国寄り”の指導者が登場する可能性もあるのだ。そうした「ポスト・プーチン」の最悪シナリオを、根拠と併せて解説する』、「プーチン大統領が失脚すればウクライナ紛争が終結し、ロシアの民主化が進むことを期待している人が多い」、恥ずかしながら私もその1人だ。
・『トルコの立ち回りによって スウェーデンの加盟が実現  去る7月中旬、北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議がリトアニアで開催された。スウェーデンのNATO加盟が確実になり、今年4月のフィンランド加盟に続いてNATOのさらなる「東方拡大」が実現した。 一方、ウクライナのNATO加盟に向けた具体的な道筋は示されなかった。また、NATOの東京事務所の設置は、エマニュエル・マクロン仏大統領の反対で先送りとなった。 スウェーデンのNATO加盟はもともと、トルコのレジェップ・タイップ・エルドアン大統領が強硬に反対していた。エルドアン大統領の言い分は「トルコからの分離独立を目指すクルド人勢力をスウェーデンが支援している」というものだった。 だが首脳会談直前の7月10日、エルドアン大統領はスウェーデンのウルフ・クリステション首相と会談。その場でクリステション首相は、クルド人組織を支援しないこと、テロ対策の強化や反テロ法を施行すること、トルコのEU加盟を積極的に支援することを約束した。 その結果エルドアン大統領は、スウェーデンのNATO加盟を受け入れた。こうしたエルドアン大統領の姿勢からは、「トルコが態度を軟化させてNATOを救った」という演出によって存在感を高めたいという思惑が透けて見える。 トルコには「EU(欧州連合)への正式加盟」という長年の悲願がある。だが、イスラム教国であること、警察・司法制度が未整備であること、強権的な政治と人権抑圧の問題があることなどから、加盟は認められてこなかった。 また、EU加盟国のキプロスは南北で紛争状態にあるが、このうち北部を支配する未承認国家「北キプロス・トルコ共和国」をトルコだけが承認している。このこともEU加盟を妨げるハードルになってきた。 そうした状況の打開を狙って、エルドアン大統領はしたたかに振る舞ったわけだ。その結果実現したスウェーデンのNATO加盟は、フィンランドの加盟に続いてロシアに衝撃を与えただろう』、「エルドアン大統領」のしたたかさには脱帽だ。
・『ウクライナ紛争の開戦前から ロシアは極めて不利だった  というのも、ウクライナ紛争開戦時を振り返ると、ウラジーミル・プーチン露大統領はNATOに「三つの要求」を突き付けていた。その内容は以下の通りだ。 ・「NATOがこれ以上拡大しない」という法的拘束力のある確約をする ・NATOがロシア国境の近くに攻撃兵器を配備しない ・1997年以降にNATOに加盟した国々から、NATOの部隊や軍事機構を撤去する だが、ウクライナ紛争が長引く中、この「三つの要求」はまだ一つも実現していない。それどころか、フィンランドとスウェーデンのNATO加盟によって、ロシアがNATOと接する国境は以前の2倍以上に広がった。 ロシア海軍の展開において極めて重要な「不凍港」があるバルト海に接する国もほぼすべてNATO加盟国になり、ロシアの海軍は身動きが取りづらくなった(本連載第306回・p3)。両国の加盟は、ロシアの安全保障戦略に大打撃を与えたはずだ。 とはいえ、長期的な視点での「ロシア不利」の状況は今に始まったことではない。東西冷戦終結後、約30年間にわたってNATO・EUの勢力は東方に拡大を続けてきた。その半面、ロシアの勢力圏は東ベルリンからウクライナ・ベラルーシのラインまで大きく後退していた(第297回)。 一連の勢力図を踏まえて、筆者はウクライナ戦争開戦時に「ロシアはすでに負けている」と表現したほどだ。 しかし、厳しい状況に置かれているのはウクライナも同じだ。冒頭でも述べたが、今回の首脳会議ではウクライナのNATO加盟について具体的な進展がなかった。それどころか、ジョー・バイデン米大統領は「ウクライナのNATO加盟は戦争終結後」と明言した。 NATO首脳会議に合わせて、主要7カ国(G7)は「ウクライナを守るために長期的な支援を行う」といった趣旨の共同宣言を発表したが、こうした支援が紛争の抜本的解決に結びつかないのは近年の戦況を見れば明らかだ。 NATOはウクライナの領土奪還よりも、戦争を延々と継続させることを重視し、中途半端に戦争に関与しているように思える(第325回)。 本連載で何度も指摘してきたが、米英をはじめとするNATOにとってウクライナ紛争とは、20年以上にわたって強大な権力を保持し、難攻不落の権力者と思われたプーチン大統領を弱体化させ、あわよくば打倒できるかもしれない好機である。紛争が長引けば長引くほど、プーチン大統領は追い込まれる。) そのため、NATOにはウクライナ紛争を積極的に停戦させる理由がない。NATO側がロシアに大打撃を与え、ウクライナ紛争を終わらせようと本気で考えているのであれば、支援を小出しにせず、戦局を大きく変える大量の武器をウクライナに供与しているはずだ。 今後どれだけロシアが攻勢を強めたとしても、戦況を俯瞰すると「NATOの東方拡大」「ロシアの勢力縮小」という大きな構図は変わらない。繰り返しになるが、世界的に見ればロシアの後退は続いており、ロシアはすでに敗北していると言っても過言ではない。 だからこそ、バイデン大統領やG7は「ウクライナのNATO加盟は戦争終結後」「ウクライナを守るために長期的な支援を行う」という発言をしたのだろう。やはり彼らは「ウクライナが戦い続けたいならば、少しずつ支援する」という煮え切らないスタンスなのである。このことが、NATO首脳会談を通じて再確認できたといえる』、「バイデン大統領やG7は」・・・「ウクライナが戦い続けたいならば、少しずつ支援する」という煮え切らないスタンスなのである。このことが、NATO首脳会談を通じて再確認できた』、なるほど。
・『プーチンを倒せば ロシアが民主化するとは限らない  では今後、長期的な視点では「追い込まれている」ロシアはどうなるのか。 NATO首脳会談よりも前の話になるが、6月末にロシアの民間軍事会社「ワグネル・グループ」の創設者であるエフゲニー・プリゴジン氏が武装蜂起したことは示唆に富んでいる。この「ワグネルの反乱」は24時間ほどで終結したが、プーチン大統領の就任以来最大の造反事件となった。 そして、この反乱を「プーチン体制の終わりの始まり」だと指摘する識者も出てきている。「プーチン大統領の次」に世間の関心が向き始めたようだ。 本連載でもウクライナ紛争の開戦時から、「紛争終結後にプーチン大統領が失脚する可能性がある」「ポスト・プーチンがどうなるかを今から考えておく必要がある」と提言してきた(第298回・p6)。 ここで「ポスト・プーチン」のカギを握るのが、ウクライナ紛争に関しては前面に立ちたがらない中国だ。 思い返せば、開戦のきっかけとなった「ウクライナ東部独立承認」をロシア議会に提案したのは、ロシアにおける野党「ロシア共産党」だった。この党は、中国共産党の強い影響下にあると指摘されている。 やや疑り深い見方をすれば、中国共産党がプーチン大統領を「進むも地獄、引くも地獄」の戦争に引き込んだと考えることもできる。 この見方が正しければ、プーチン大統領を苦境に追いやった中国が、水面下で「親中派のポスト・プーチン」の擁立を画策していたとしても不思議ではない。 一方で米英側も、ロシアを民主化するべく、ロシア人の民主主義者から「ポスト・プーチン」を担ぎ出そうと裏工作を続けているはずだ。 だが米英の情報機関が動いていても、楽観的な見方は禁物だ。プーチン大統領は長期政権の間に、反体制派や民主化勢力を徹底的に弾圧してきた。その影響がプーチン大統領の失脚後も色濃く残り、民主化勢力が権力を掌握できない可能性も否定できない』、「「ウクライナ東部独立承認」をロシア議会に提案したのは、ロシアにおける野党「ロシア共産党」だった。この党は、中国共産党の強い影響下にあると指摘されている。 やや疑り深い見方をすれば、中国共産党がプーチン大統領を「進むも地獄、引くも地獄」の戦争に引き込んだと考えることもできる」、初めて知った。「プーチン大統領は長期政権の間に、反体制派や民主化勢力を徹底的に弾圧してきた。その影響がプーチン大統領の失脚後も色濃く残り、民主化勢力が権力を掌握できない可能性も否定できない」、残念だ。
・『中国が力を増し 日本が被害を受けるリスクも  われわれ日本人の中にも、プーチン大統領が失脚すればウクライナ紛争が終結し、ロシアの民主化が進むことを期待している人が多いように思える。だが、必ずしもそうとは限らない。プーチン大統領よりも強権的で、かつ親中派の指導者が登場するかもしれないのだ。 もし本当に、親中派の強権的な指導者が権力を掌握した暁には、中国はロシアに対して圧倒的な影響力を持つ。例えるならば、かつて栄華を誇ったモンゴル帝国「元」が再出現するようなものだ(第300回)。そして、その“大帝国化”した中国に、日本は軍事的に包囲されることになる。 ただでさえ日本は今、中国の軍事力の急激な拡大や、中国による台湾侵攻・尖閣諸島侵攻の懸念といった安全保障上の重大なリスクを抱えている。その状況下で中国がロシアへの影響力を強めると、日本は極めて不利な状況に追い込まれる。 こうした事態に備えて、NATOの協力を得て強固な安全保障体制を築きたいところだが、先のNATO首脳会議で「NATOの東京事務所設置」が事実上白紙に戻ったのは重大な懸念事項だといえる。 この案には、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が強く反対した。これを受け、ハンガリーなど複数の加盟国もフランスに同調した。 もともとは中国も「アジア版NATOは不要だ」と猛反発していたことから、中国との経済関係を重視するマクロン大統領は中国を必要以上に刺激したくなかったのだろう。 この案は米英主導で進められてきたが、NATO内部が一枚岩でないことが明るみに出た。今のままでは、強大化した中国が台湾に侵攻したときなどに、NATOが本気で日本を守ってくれるかは疑問が残る。 国を奪われ、生活を奪われ、命を奪われているウクライナ国民の方々には本当に申し訳ない言い方になるが、こうした危険性を踏まえると、日本にとっては「ウクライナの反転攻勢が成功せず、プーチン大統領が政権を維持するほうがマシ」かもしれないのだ。 プーチン大統領は日本に対して強硬な姿勢を示し続けているが、中長期的には極東において、中国と日本の間でバランスを取ろうとするはずだ。 プーチン大統領はウクライナ戦争開戦後に、日本の「サハリンI・II」の天然ガス開発の権益維持を容認したこともある。その理由は、中国への過度な依存による「属国化」を避けるためだったと考えられる(第327回・p4)。 要するに、日本にとってはウクライナが勝てばいいわけではなく、プーチン大統領が失脚すればいいという単純な話ではないのだ。世界で孤立するリスクを抱える日本が国際社会で生き抜くには、複雑な国際関係の情勢を先読みし、戦略的に行動しなければならない』、「プーチン大統領よりも強権的で、かつ親中派の指導者が登場するかもしれないのだ。 もし本当に、親中派の強権的な指導者が権力を掌握した暁には、中国はロシアに対して圧倒的な影響力を持つ。例えるならば、かつて栄華を誇ったモンゴル帝国「元」が再出現するようなものだ(第300回)。そして、その“大帝国化”した中国に、日本は軍事的に包囲されることになる」、「世界で孤立するリスクを抱える日本が国際社会で生き抜くには、複雑な国際関係の情勢を先読みし、戦略的に行動しなければならない」、その通りだ。

第四に、7月31日付け東洋経済オンラインが掲載した新聞通信調査会理事・共同通信ロシア・東欧ファイル編集長の吉田 成之氏による「アメリカの“弱腰"を懸念し始めたウクライナ 戦争の終わりが見えないまま反攻に最大注力へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/691208
・『難航していたウクライナ軍の反攻作戦に新たな動きがあった。さまざまな試行錯誤の末、ウクライナ軍は2023年7月末、大規模な攻撃作戦用にと温存してきた精鋭部隊の一部を満を持して初めて南部戦線に投入したのだ。 反攻作戦開始から約2カ月、反攻作戦のギアを一段上げたと言える。しかし、いよいよこれから、というこの時期、ウクライナ政府に今春までのような高揚感が乏しいのが実情だ。むしろ、今後に対する不安感が霧のように立ち込め始めている。それはなぜか。その内実を深掘りしてみた』、興味深そうだ。
・『ウクライナ顧問「何か、くさい臭いがする」  「憂鬱なアレストビッチ」。今キーウではこの言葉が政治的流行語のようにしきりに語られている。前ウクライナ大統領府長官顧問である安保問題専門家オレクシー・アレストビッチ氏が2023年7月半ばにネット上で行った発言がきっかけだ。少し長くなるが、悔しい思いのたけをぶちまけた彼の発言の内容を、以下に紹介する。 「(全占領地の奪還を意味する)1991年の国境線まで戻すことがわれわれの憲法上の義務であり、その目標は変わっていない。しかし、戦場でわれわれが決定的優位性を得るための武器が供与されない。なぜだ?何か、くさい臭いがする」 この「くさい臭い」発言に込められたのは、アメリカへの強い憤懣だ。ウクライナ側が強く要請している、アメリカ製F16戦闘機や、長射程地対地ミサイル「ATACMS」の供与がいまだに実現しないのは、アメリカのバイデン政権の意向を反映したもので、それがゆえに反攻作戦が思い通りに進まない、という不満だ。 F16に関してバイデン政権は2023年5月、ヨーロッパの同盟国が供与することを容認する方針に転じたものの、供与の前段階であるウクライナ軍パイロットの訓練すら始まっていない。 これについて、アメリカは公式的には様々な技術的理由を挙げているが、アレストビッチ氏は、実際には技術的な事情ではなく、ロシアに対する軍事的な「決定的優位性」をウクライナ軍に与えたくないというバイデン政権の戦略が隠されていると指摘したのだ。 曰く「われわれの外交上の目標は、われわれの主要なスポンサーのそれとは異なるのだ」。つまり、バイデン政権は侵攻してきたロシア軍に対し、ウクライナ軍が負けないよう軍事支援はするものの、圧倒的に勝つような軍事的優位性は与えないという戦略的目標を持っているという見方をアレストビッチ氏は示したのだ。 そのうえで、アレストビッチ氏は今後、領土奪還のテンポが大きく上がらず、反攻作戦が膠着状態に陥った時期を見計らって、バイデン政権がウクライナとロシアに対し、戦争を凍結し、停戦協議を行うよう提案するだろうとの見立てを示した。) この見立てを前提に、アレストビッチ氏は「ウクライナ全領土をキーウ側とロシアの間でそれぞれの実効支配地域ごとに分割する」といった内容の停戦協定を受け入れるという個人的立場を示した。 つまり、ウクライナ政府側がほぼ現状のまま全土の約80%、ロシアが約20%を占有するとの考えだ。この案を受け入れる前提として、アレストビッチ氏はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟が認められることを挙げた。ロシアに移譲される国土については、将来的に「非軍事的手段」で取り戻すと強調した。 アレストビッチ氏は、その言動が世界中のウクライナ・ウォッチャーから注目されている。元ロシア下院議員との掛け合いスタイルでアレストビッチ氏が流すユーチューブ・チャンネルは、侵攻に関するチャンネルの中で最もアクセスが多いと言われている。ウクライナ政府の意向を探るため、プーチン大統領も欠かさずチェックするといわれるほどだ。 それだけに、アレストビッチ氏としては、水面下に潜むバイデン政権の「本音」をウクライナ内外に広く知らせるため、意図的に今回刺激的発言をしたとみられる』、「バイデン政権は侵攻してきたロシア軍に対し、ウクライナ軍が負けないよう軍事支援はするものの、圧倒的に勝つような軍事的優位性は与えないという戦略的目標を持っている」、「バイデン政権がウクライナとロシアに対し、戦争を凍結し、停戦協議を行うよう提案するだろうとの見立てを示した。) この見立てを前提に、アレストビッチ氏は「ウクライナ全領土をキーウ側とロシアの間でそれぞれの実効支配地域ごとに分割する」といった内容の停戦協定を受け入れるという個人的立場を示した。 つまり、ウクライナ政府側がほぼ現状のまま全土の約80%、ロシアが約20%を占有するとの考えだ。この案を受け入れる前提として、アレストビッチ氏はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟が認められることを挙げた。ロシアに移譲される国土については、将来的に「非軍事的手段」で取り戻すと強調した」、ここまで極秘シナリオが出来ているとは驚かされた。
・『「領土分割やむなし」発言の真意  そのアレストビッチ氏による、今回のアメリカ批判と領土分割やむなし発言は、全領土奪還を掲げるゼレンスキー政権の公式的立場とは大きく異なる。しかし、筆者が取材した結果、実はゼレンスキー政権内部でもアレストビッチ氏と同様に、反攻作戦が膠着状態になればアメリカが「タオルを投げ入れ」、停戦協議の開始を提案してくるのではと真剣に警戒され始めていることがわかった。 すでにウクライナ政府は水面下で、ウクライナを最も強く支持しているバルト3国やポーランドなどの隣国に対し、仮にアメリカが停戦交渉開始を提案してきた場合、引き続きウクライナへの軍事支援を継続するか否か、を問い合わせ始めている。停戦交渉開始提案がワシントンから来た場合の対応策を真剣に検討し始めたことを示すものだ。 今回のアレストビッチ発言と、その背景にあるゼレンスキー政権の危機感の直接の引き金になったのは、2023年7月11、12日の両日にリトアニアの首都ビリニュスで開かれたNATO首脳会議だ。 ゼレンスキー政権は、会議でNATO即時加盟が決まることが無理なのことは事前に承知していたが、「ウクライナ戦争終了後」などという形で具体的な加盟の時期や道筋が明示されることを期待していた。 事実、ヨーロッパ各国やトルコは道筋明示を支持していたが、結局アメリカとドイツがこれに反対した。NATO加盟に関してはまったく具体的道筋が一切盛り込まれない、事実上ゼロ回答の共同声明が発表された。 これを受けて、ゼレンスキー政権は、アメリカがロシアとの対決回避のため、停戦交渉による紛争凍結に傾いており、NATO加盟が約束されたものでないことを思い知ったのだ。) これに加えもう1つ、ウクライナが神経を尖らせているアメリカの動きがある。バイデン政権内で対ロシア秘密交渉役を担っているバーンズ中央情報局(CIA)長官の閣僚級への格上げだ。今後、より権限のある地位になったバーンズ氏がロシアとウクライナの間に入って、停戦交渉開始に向けた外交工作を始める前触れではないかとゼレンスキー政権は警戒している。 バーンズ氏はすでに2023年6月末にロシア対外情報局(SVR)のナルイシキン長官と電話会談したことが明るみに出ている。ウクライナの軍事筋によると、本稿執筆時点で、バーンズ氏がロシア政府側と何らかの秘密交渉をしたという形跡はないという。 こうしたバイデン政権に対し、アメリカ内からもすでに公然と批判が出ている。その代表的人物が、ホッジス元アメリカ駐欧州陸軍司令官だ。 あるユーチューブ・チャンネルに出演したホッジス氏は、そもそも論として、バイデン政権には当初からウクライナに全占領地を奪還させる、つまり勝利させるつもりはなかったと指摘した』、「ホッジス元アメリカ駐欧州陸軍司令官だ。 あるユーチューブ・チャンネルに出演したホッジス氏は、そもそも論として、バイデン政権には当初からウクライナに全占領地を奪還させる、つまり勝利させるつもりはなかったと指摘」、なるほど。
・『アメリカはウクライナが勝つことを望んでいない  バイデン政権がウクライナへの軍事支援を巡り、合言葉のように掲げていた「as long as it takes (必要とされる限り)」という原則について、ホッジス氏はこう解説する。「必要な兵器をなるべく早く渡すという善意を意味しているだけで、必要な軍事支援を今全部行うとは約束してはいない。空虚な宣言だ」と。 つまり「アメリカは、ウクライナが敗戦することを望んでいないが、一方でウクライナが勝つことも望んでおらず、国際的に承認済みの1991年の国境線を回復することも望んでいないようだ」と指摘する。こうした見方はウクライナ側と軌を一にするものだ。 ホッジス氏は、最終的にどのような形で戦争を終わらせるか、についてバイデン政権内で明確な戦略が決まっていないようだと指摘する。この点では、停戦交渉を提案してくると警戒を強めるウクライナ政府とは若干見方が異なる。「今、ホワイトハウス、国務省、国防総省の間で今後どうするか、議論が行われていると思う」と指摘し、アメリカはATACMSなどを早く供与すべきと述べた。 いずれにしても、ホッジス氏はバイデン政権がプーチン政権を倒すつもりがないとの見方を示す。プーチン政権に対する戦略的姿勢として「ロシアとはいかなる問題が発生しても、話し合いで問題を最終的に解決できると考えている」と指摘する。 ここで話を反攻作戦に戻そう。戦況は地点ごとに、ウクライナが攻勢に出ている方面とロシア軍が主導権を握っているところがあり、まだら模様状態だ。 例えば、東部ドネツク州の要衝都市バフムトは、ロシアの民間軍事会社ワグネル部隊に一度は制圧された後、ウクライナ軍が周辺部からジリジリ盛り返して半ば包囲状態だ。包囲網が完成すれば、守るロシア正規軍に投降を呼び掛ける可能性があるという。 一方で同じく東部のクプヤンシク・リマン方面ではロシア軍が約10万人規模の増援部隊を投入して、激戦が続いている。 しかし、現在最も注目されているのは南部戦線だ。ウクライナ軍はドネツク州のマリウポリ、ザポリージャ州のベルジャンスクとメリトポリという3つのアゾフ海沿岸の都市に向け、ジリジリと南下作戦を続けている。 キーウの軍事筋は、詳しい場所を明らかにしていないものの、西側でNATO流の訓練を施され、NATO式の戦術や兵器を身に着けた、虎の子の8旅団(1旅団は3000人程度)のうち1個旅団程度が南部に投入されたことを明らかにした』、「西側でNATO流の訓練を施され、NATO式の戦術や兵器を身に着けた、虎の子の8旅団(1旅団は3000人程度)のうち1個旅団程度が南部に投入された」、なるほど。
・『ウクライナは精鋭中の精鋭旅団を投入か  筆者はこの旅団の投入先を、南部の交通の要衝でもあるメリトポリ方面だとにらんでいる。メリトポリは、ロシア本土からウクライナ東部、アゾフ海沿岸を経由して最終的にはクリミア半島に至る、いわいる地上輸送回廊の要所だ。上記した3都市の中で最もロシア軍の防御態勢が強固といわれる。 執筆時点でウクライナ軍はメリトポリの北方にあるトクマクまで約25キロメートルの地点まで進んできた。これからウクライナ軍を待ち構えるのが、俗に「スロビキン・ライン」とも呼ばれるロシア軍の堅固な防衛線だ。 「竜の歯」と呼ばれる、戦車の侵入を阻むためのコンクリート製の障害物が延々と並べられ、その後ろには塹壕線があり、さらに砲撃用陣地が並んでいるといわれる。また地雷原が広がっている。これらの防御線を突破しないとトクマクには到達できない。 戦況に詳しいイスラエルのロシア系軍事専門家グリゴーリー・タマル氏によると、地雷原は過去例がないほど密なもので、ロシア軍は敷設記録の地図さえ作らないまま、大慌てで地雷を敷設したという。 この地雷原がウクライナ軍の進軍を妨げる大きな要因になっていたが、タマル氏はアメリカが最近供与に踏み切ったクラスター(集束)弾が効果をあげていると強調した。 この弾が投下されると、中から多数の子爆弾が散らばって爆発し、地雷原を広く無効化するからだ。同時に榴弾砲などの火砲面でも、一時は砲弾数で優位に立つロシア軍に押されていたが、最近は高い命中精度を持つ西側製火砲を生かして優位に立ち始めたという。 当面トクマク制圧の可否が今後の戦況の分かれ目になるとみられる。ここからメリトポリに対し、高機動ロケット砲システム、ハイマースで集中的に砲撃できるようになるからだ。射程約80キロメートルのハイマースはゲームチェンジャーと呼ばれるほどこれまで効果を上げてきたが、最近はロシア軍のジャミング(電波妨害)作戦の結果、有効射程が約60キロメートルへ短縮され、命中精度も落ちてきているという。このためメリトポリまで約60キロメートルにあるトクマク制圧の重要性が増している。 ウクライナ軍としては、メリトポリ方面へのハイマース攻撃で、クリミアへの地上輸送回廊を寸断し、さらにアゾフ海沿岸に到達することでクリミアへの攻撃を強めることを狙っている。 しかし、先述したアメリカ政府の動きがあり、筆者はウクライナ軍にとってこの1カ月、つまり2023年8月末までが極めて重要だとみる。その時点までに、それなりの戦果を挙げることができないと、アメリカがタオルを投げてくる可能性が現実味を帯びてくるのではないか。 ウクライナ政府も同様の危機感を持っているとみられる。逆に言えば、今後ウクライナ軍が一定の戦果を確実に重ねていけば、ワシントンが停戦交渉提案を持ち込むタイミングを見失う可能性もあるとみる。 最近、ウクライナ軍はモスクワへのドローン攻撃など、実際の軍事的効果より宣伝効果を狙ったとみられる攻撃を増やしている。これも、アメリカをにらんでウクライナの継戦への強い意志を誇示する狙いがあるのではないかと筆者はみる。反攻作戦継続か、紛争凍結か――。ウクライナにとって、極めて重要な夏の決戦になりそうだ』、「地雷原がウクライナ軍の進軍を妨げる大きな要因になっていたが、タマル氏はアメリカが最近供与に踏み切ったクラスター(集束)弾が効果をあげていると強調した。 この弾が投下されると、中から多数の子爆弾が散らばって爆発し、地雷原を広く無効化するからだ。同時に榴弾砲などの火砲面でも、一時は砲弾数で優位に立つロシア軍に押されていたが、最近は高い命中精度を持つ西側製火砲を生かして優位に立ち始めたという」、「クラスター弾」が効果を上げているとは喜ばしいことだ。「ウクライナ軍にとってこの1カ月、つまり2023年8月末までが極めて重要だとみる。その時点までに、それなりの戦果を挙げることができないと、アメリカがタオルを投げてくる可能性が現実味を帯びてくるのではないか」、なるほど。

第五に、8月2日付け夕刊フジ「プーチン政権の〝恫喝的行動〟に国際司法が怒り ICC裁判官を指名手配のロシア当局に非難声明「深い懸念」」を紹介しよう。
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/fuji/world/fuji-_society_foreign_KKIEDUOABRMU7KKEBA7NSXYSDQ
・『国際刑事裁判所(ICC)が、ロシアのウラジーミル・プーチン政権の恫喝(どうかつ)的行為を非難した。ロシア内務省が戦争犯罪の容疑でプーチン大統領らに逮捕状を出したICCの赤根智子裁判官を指名手配したことを受け、締約国会議の議長名の声明で「深い懸念」を表明したのだ。ロシアの非道な行動は、国際司法の世界でも批判にさらされている。 ロシア当局は3月、プーチン氏らの逮捕状を出したICCのカーン主任検察官や赤根氏ら4人に対する捜査を始め、5月にカーン氏ら2人を本人不在のまま起訴して指名手配。赤根氏については、タス通信が7月27日、指名手配を報じていた。 この報道を受け、ICCの締約国会議は同月31日付で声明を発表した。声明では、「ICCの国際的使命を損なう行為だ」とロシア当局による赤根氏の指名手配を批判し、裁判官らに対する「断固とした支持を改めて表明する」と強調した。 ウクライナ戦線でも、ロシアは守勢に立たされている。ロシア国内では最近、ウクライナのものとみられる無人機による攻撃が頻発。1日にも、モスクワ中心部のクレムリン(大統領府)から西に約5キロ離れた高層ビルに無人機が突っ込んだ』、「ロシア内務省」が「プーチン氏らの逮捕状を出したICCのカーン主任検察官や赤根氏ら4人に対する捜査を始め、5月にカーン氏ら2人を本人不在のまま起訴して指名手配」、とんだサル芝居だ。
タグ:ウクライナ JBPRESS 木村 正人氏による「プリゴジンの「信用失墜」に成功したプーチン、どうなる「料理番」の運命 ワグネルはベラルーシで軍事訓練中、プーチンの狙いは「プリゴジンとの分断」」 「プーチン」にとっては、「ワグネル司令官」と「プリゴジン」を切り離す狙いだろう。 「ウクライナ戦争におけるワグネルの功績を称える一方で、ウクライナの占領地を含むロシア国内ではワグネルは非合法な存在であることを改めて強調」、あくまで「非合法な存在」とさせたいようだ。 そんな多額の「現金」を身につけているとは、さすが民間軍事組織の長だ。 「ワグネルはアフリカに展開する部隊をローテーションさせようとしており、ベラルーシでの軍事教練はより広範なローテーションの一環であることを示唆」、なるほど。 「プーチンは「プリゴジンの反乱」後、内政問題の後始末にひとまず成功したかたちだ」、なーんだ、つまらない。 Newsweek日本版「IAEA、ザポロジエ原発で対人地雷確認 「安全基準に矛盾」とロシアを批判」 「IAEA」が「現地に駐在するIAEA職員」させるようにしたことは、監視の上で必須の存在だ。「ロシア」もその存在を意識せざるを得ないだろう。 ダイヤモンド・オンライン 上久保誠人氏による「「プーチンを倒せば平和になる」とは限らない、日本も危ない失脚後の最悪シナリオ」 「プーチン大統領が失脚すればウクライナ紛争が終結し、ロシアの民主化が進むことを期待している人が多い」、恥ずかしながら私もその1人だ。 「エルドアン大統領」のしたたかさには脱帽だ。 「バイデン大統領やG7は」・・・「ウクライナが戦い続けたいならば、少しずつ支援する」という煮え切らないスタンスなのである。このことが、NATO首脳会談を通じて再確認できた』、なるほど。 「「ウクライナ東部独立承認」をロシア議会に提案したのは、ロシアにおける野党「ロシア共産党」だった。この党は、中国共産党の強い影響下にあると指摘されている。 やや疑り深い見方をすれば、中国共産党がプーチン大統領を「進むも地獄、引くも地獄」の戦争に引き込んだと考えることもできる」、初めて知った。 「プーチン大統領は長期政権の間に、反体制派や民主化勢力を徹底的に弾圧してきた。その影響がプーチン大統領の失脚後も色濃く残り、民主化勢力が権力を掌握できない可能性も否定できない」、残念だ。 「プーチン大統領よりも強権的で、かつ親中派の指導者が登場するかもしれないのだ。 もし本当に、親中派の強権的な指導者が権力を掌握した暁には、中国はロシアに対して圧倒的な影響力を持つ。例えるならば、かつて栄華を誇ったモンゴル帝国「元」が再出現するようなものだ(第300回)。そして、その“大帝国化”した中国に、日本は軍事的に包囲されることになる」、 「世界で孤立するリスクを抱える日本が国際社会で生き抜くには、複雑な国際関係の情勢を先読みし、戦略的に行動しなければならない」、その通りだ。 東洋経済オンライン 吉田 成之氏による「アメリカの“弱腰"を懸念し始めたウクライナ 戦争の終わりが見えないまま反攻に最大注力へ」 興味深そうだ。 「バイデン政権は侵攻してきたロシア軍に対し、ウクライナ軍が負けないよう軍事支援はするものの、圧倒的に勝つような軍事的優位性は与えないという戦略的目標を持っている」、「バイデン政権がウクライナとロシアに対し、戦争を凍結し、停戦協議を行うよう提案するだろうとの見立てを示した。) この見立てを前提に、アレストビッチ氏は「ウクライナ全領土をキーウ側とロシアの間でそれぞれの実効支配地域ごとに分割する」といった内容の停戦協定を受け入れるという個人的立場を示した。 つまり、ウクライナ政府側がほぼ現状のまま全土の約80%、ロシアが約20%を占有するとの考えだ。この案を受け入れる前提として、アレストビッチ氏はウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟が認められることを挙げた。ロシアに移譲される国土については、将来的に「非軍事的手段」で取り戻すと強調した」、ここまで極秘シナリオが出来ているとは 驚かされた。 「ホッジス元アメリカ駐欧州陸軍司令官だ。 あるユーチューブ・チャンネルに出演したホッジス氏は、そもそも論として、バイデン政権には当初からウクライナに全占領地を奪還させる、つまり勝利させるつもりはなかったと指摘」、なるほど。 「西側でNATO流の訓練を施され、NATO式の戦術や兵器を身に着けた、虎の子の8旅団(1旅団は3000人程度)のうち1個旅団程度が南部に投入された」、なるほど。 「地雷原がウクライナ軍の進軍を妨げる大きな要因になっていたが、タマル氏はアメリカが最近供与に踏み切ったクラスター(集束)弾が効果をあげていると強調した。 この弾が投下されると、中から多数の子爆弾が散らばって爆発し、地雷原を広く無効化するからだ。同時に榴弾砲などの火砲面でも、一時は砲弾数で優位に立つロシア軍に押されていたが、最近は高い命中精度を持つ西側製火砲を生かして優位に立ち始めたという」、「クラスター弾」が効果を上げているとは喜ばしいことだ。 「ウクライナ軍にとってこの1カ月、つまり2023年8月末までが極めて重要だとみる。その時点までに、それなりの戦果を挙げることができないと、アメリカがタオルを投げてくる可能性が現実味を帯びてくるのではないか」、なるほど。 夕刊フジ「プーチン政権の〝恫喝的行動〟に国際司法が怒り ICC裁判官を指名手配のロシア当局に非難声明「深い懸念」」 「ロシア内務省」が「プーチン氏らの逮捕状を出したICCのカーン主任検察官や赤根氏ら4人に対する捜査を始め、5月にカーン氏ら2人を本人不在のまま起訴して指名手配」、とんだサル芝居だ。
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