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投資(商品販売・手法)(その4)(「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?、投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長 懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路) [金融]

投資(商品販売・手法)については、昨年7月13日に取上げた。今日は、(その4)(「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?、投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長 懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路)である。

先ずは、8月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家の山崎 元氏による「「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/328376
・『AI(人工知能)を活用した資産運用が広がりつつあるようだが、実際のところ「AI任せ」の資産運用はうまくもうけられるのだろうか?筆者の率直な意見を述べてみる』、筆者の山崎 元氏は本年1月1日に死去された。ご冥福を祈りたい。
・『Z世代がAIで資産運用 「放置できるのが一番の魅力」  世間はAI(人工知能)ブームに沸いており、ほとんどあらゆる分野でAIの活用が話題になっている。資産運用の分野も例外ではない。「日本経済新聞」に「Z世代、資産形成はAI任せ 銘柄選び『時間かけたくない』」(8月28日)という記事が載った。 Z世代とは1990年代後半以降の生まれの世代を指す言葉だ。「ミレニアル世代」と称されたその前の世代が既に若者とは言い難くなってしまったので、近年専ら若者を指す代名詞として使われている。 Z世代が、AIを使っていると称する投資アドバイザーアプリを利用しているという事実を伝える記事だが、利用者の一人は、「運用を放置できるのが一番の魅力」だと言い、自分で状況に合わせて資産を再配分する必要がないことを長所だと捉えているようだ。 資産配分を行ってくれるという意味では既に、投資信託なら「バランスファンド」、人間のサービスなら「ファンドラップ」、システムによる一任運用なら「ロボアドバイザー」が存在した。「AI」になると何が違うのだろうか。 記事によると、AIによって運用するという触れ込みのロボアドバイザーを利用しているらしい。利用者は、時間とともに学習データを増やしてAIが賢くなっていくことや、人間の先入観による投資判断が排除できると「感じる」ことなどをポジティブに捉えているようだ』、「資産配分を行ってくれるという意味では既に、投資信託なら「バランスファンド」、人間のサービスなら「ファンドラップ」、システムによる一任運用なら「ロボアドバイザー」が存在した・・・AIによって運用するという触れ込みのロボアドバイザーを利用しているらしい。利用者は、時間とともに学習データを増やしてAIが賢くなっていくことや、人間の先入観による投資判断が排除できると「感じる」ことなどをポジティブに捉えているようだ」、なるほど。
・『「商品」としての資産運用は“ありがたみ”が時代で変化  「商品」としての資産運用を考えると、顧客から見た「ありがたみ」の在りかが、「プロの証券マン」→「プロのファンドマネージャー」→「運用の天才」→「コンピュータープログラム」→「成長するAI」といった具合に変化している。 投資家が自分で株式を買うような時代は「早耳情報」や「いい勘」を持っているように見える証券マンがありがたかったし、その後運用のプロとしてファンドマネージャーが認知される。さらに、ファンドマネージャーに「カリスマ」や「天才」のイメージを重ねようとするマーケティングの試みが行われたが、彼らの天敵とも言うべきインデックスファンドとの比較で「人間の天才投資家」は色あせてしまった。 そうなると、人間的な判断はむしろ嫌われる材料になった。コンピューターの処理能力やビッグデータ、機械学習、そしてAIといったイメージが、「よく分からないけれどもすごそうな中身」として商品としての運用の価値を支えることになったのだろう。 行動経済学で「後悔回避のバイアス」として表現されているように、近い将来に失敗が明らかになるかもしれない判断を自分で下すことにちゅうちょする人間は少なくない。そこに、運用に関するアドバイスや一任の潜在的なニーズが存在する。 いくらか達観しすぎかもしれないが、サービスの供給者側は、その時々に「自分で判断せずに済む、ありがた味のある仕掛け」を顧客に提供してやればいい。今やAIがブームなのだから、AIと名の付くものを売ればいい、というのは自然な商売の成り行きだ。 一方で、AIのサービスの方を人間が提供する運用サービスよりも良いと判断した投資家については、人間にはそれなりに高い人件費が掛かるし、人間は顧客からより多くの利益を引き出そうとして駆け引きをする存在でもあるので、これを疑う気持ちを持ったことを一応は褒めておくことにしよう』、「彼らの天敵とも言うべきインデックスファンドとの比較で「人間の天才投資家」は色あせてしまった。 そうなると、人間的な判断はむしろ嫌われる材料になった。コンピューターの処理能力やビッグデータ、機械学習、そしてAIといったイメージが、「よく分からないけれどもすごそうな中身」として商品としての運用の価値を支えることになったのだろう。 行動経済学で「後悔回避のバイアス」として表現されているように、近い将来に失敗が明らかになるかもしれない判断を自分で下すことにちゅうちょする人間は少なくない。そこに、運用に関するアドバイスや一任の潜在的なニーズが存在する。 いくらか達観しすぎかもしれないが、サービスの供給者側は、その時々に「自分で判断せずに済む、ありがた味のある仕掛け」を顧客に提供してやればいい。今やAIがブームなのだから、AIと名の付くものを売ればいい、というのは自然な商売の成り行きだ」、なるほど。
・『資産運用におけるAIの可能性とは? 率直な意見を述べると…  資産運用、あるいはもっと直裁に投資にあってAIの可能性はどれほどのものだろうか。 筆者の率直な意見を述べると、 (1)AIは資産運用ビジネスをほぼ100%良く代替できるが、 (2)AIによる投資が大いにもうかることは期待できそうにない、 と思っている。 どの範囲のコンピューター処理をAIと呼ぶかは議論のあるところだが、定義をなるべく広く取るとして、AIは幾つかの分野で大方の予想以上のパフォーマンスを達成するに至っている。 例えば、将棋や囲碁のようなゲームでは、局面の優劣の判断が難しいのでAIは人間のプロに勝てまいと言われていたが、今や天才中の天才と呼ばれるようなプロ棋士でもAIに全く歯が立たない。 また、言語的な表現やコミュニケーションなどは人間のセンスや状況判断が必要なので、AIには歯が立たないと考えられてきたが、ChatGPTが軽々とそのハードルを越えつつある。 ゲームにせよ、言語処理にせよ、「人間がやるようなこと」は、データと計算の量を飛躍的に増やすことによって、「人間がやる以上にうまくやる」ことができた。投資に関しても、人間がやるようなことを人間以上にうまくやることは難しくあるまい。 投資でプロがやっていることは何だろうか? 大まかに言うと、自分が情報だと思う材料をインプットして判断を投資行動に反映させ、その結果を通じて判断方法をアップデートしているというのが、大まかな流れだ。加えて、その投資行為を「ありがたいもの」に見せ、商品として効果的に売るための調査活動や投資家向けのご説明を含めた広義のマーケティング活動が、運用のプロのお仕事である。 今や、データを処理しポートフォリオを作ることだけでなく、個々の投資銘柄について要領のいいアナリストレポートを作ることも、運用の結果について「顧客の期待を将来につなぐことのできる言い訳」を考えることも含めて、「運用の仕事」をAIに置き換えることに全く無理はなさそうだ。 人間のアナリスト、ファンドマネージャー、マーケティング担当者のいずれも、その気になると置き換えることは容易だろう。置き換えの進捗度合いは、商品としての運用のありがた味として何を残すのがいいのかと、コストとの関係で決まるだろう』、「今や、データを処理しポートフォリオを作ることだけでなく、個々の投資銘柄について要領のいいアナリストレポートを作ることも、運用の結果について「顧客の期待を将来につなぐことのできる言い訳」を考えることも含めて、「運用の仕事」をAIに置き換えることに全く無理はなさそうだ・・・人間のアナリスト、ファンドマネージャー、マーケティング担当者のいずれも、その気になると置き換えることは容易だろう。置き換えの進捗度合いは、商品としての運用のありがた味として何を残すのがいいのかと、コストとの関係で決まるだろう」、なるほど。
・『AI投資が大成功を収めることに「懐疑的」である理由は…  では、投資でもうけることはAIにできるのか? ここでは、「もうける」の定義が重要だろう。株式のリスクプレミアムが実現するような環境では、何らかの形で株式に分散投資しておくなら、AIであろうと人間であろうと、利益を上げることは難しくない。 投資の世界で「もうけること」として意味があるのは、平均的なリスクを取りながら平均を上回るリターン(「アクティブリターン」と称する)を稼ぐことだ。これを意図的に継続することができるなら「もうける能力がある」といえるだろう。 この意味でAIが大規模な成功を収めることについて、筆者は懐疑的だ。 まず、そもそも手本となるべき人間がこのことに成功しているとは言い難い。それは、人間の能力や努力が足りないからというよりは、特定のマーケットの中での運用パフォーマンス競争にあっては、ライバルの平均像となるポートフォリオを持ってじっとしていることが有利な「平均投資有利の原則」とでも呼ぶべき原則が働くことが理由だ。 この原則は、東京証券取引所の上場銘柄やS&P500種株価指数の採用銘柄(米国の代表的な大型株)といった狭いマーケットだとハッキリしやすいが、投資の選択範囲をグローバル株式や債券などに広げても本質は同じだ。 AIでうまく運用できたように感じていても、正確にパフォーマンスを評価してみたら、実はプラスの効果がなかったということが十分あり得るのだ。 過去を振り返り、世間を見回してみても、学力や能力の高そうな運用者がより良くもうけていたということもないし、努力や修行に比例して投資のもうけが増えるというものでもない。AIが優秀な人間らしく振る舞っても、アクティブリターンを稼ぐことにはつながらないのではないか。 また、投資の世界はいかにもデータが豊富に見えるが、例えば過去せいぜい百数十年分の株価が、AIが飛躍的に賢くなるためのデータとして十分な量なのかいささか疑問に思う。それに、制度や時代背景も異なる昔の株価と今の株価を共に有効なデータとして評価していいものだろうか。) 加えて、仮にうまくアクティブリターンを稼ぐAIが登場したとして、これが容易に別のAIに模倣されるのではないかという、別の高い障壁が存在する。 もちろん、AIの「人間がやるようなことを人間以上にうまくやる」能力を過小評価してはならない。 アクティブリターンを稼いだり、稼げなかったりするような「揺らぎ」を商品群に与えながら、たまたまうまくいっているものを巧みに強調して会社のブランド価値を高めるような経営判断も(これは露骨ではないが、実際の運用会社がすでにやっていることだ)、AIには容易だろう』、「投資の世界で「もうけること」として意味があるのは、平均的なリスクを取りながら平均を上回るリターン(「アクティブリターン」と称する)を稼ぐことだ。これを意図的に継続することができるなら「もうける能力がある」といえるだろう。 この意味でAIが大規模な成功を収めることについて、筆者は懐疑的だ・・・手本となるべき人間がこのことに成功しているとは言い難い。それは、人間の能力や努力が足りないからというよりは、特定のマーケットの中での運用パフォーマンス競争にあっては、ライバルの平均像となるポートフォリオを持ってじっとしていることが有利な「平均投資有利の原則」とでも呼ぶべき原則が働くことが理由・・・仮にうまくアクティブリターンを稼ぐAIが登場したとして、これが容易に別のAIに模倣されるのではないかという、別の高い障壁が存在する」、なるほど。
・『ロボアドバイザーの利用がラップ運用のつもりなら100%ダメ  さて、利用者の「世代」ははっきり言ってどうでもいい。何歳の人が投資しようと、同じ時に同じものに投資していれば、投資の成果は同じである。記事を作る上では、あるいは運用商品をマーケティングする上では仕方がないのかもしれないが、資産運用を世代と関連付けるのはつまらない(有益でない)問題意識だ。 世代論を離れるとして、AIを利用すると称するロボアドバイザー的なサービスを利用することの可否はいかがなものだろうか。 これは、ありていに言って「人間がやるよりもマシに見えるラップ運用」の利用に過ぎない。だとすると、全く褒められたものではない。 ラップ運用がダメな理由は、一般に、(1)運用者(プログラムも含めて)に特別なアセットアロケーション能力は存在しない、(2)利用者は中身を十分把握できていない、(3)運用手数料が割高である、(4)そもそも運用を他人任せにしようという根性がいけない、の4点だ。最後の一つには、筆者の好みが反映されているのでさておくとして、利用者にはせめて(3)についてだけでも考えてみてほしい。 比較の対象は、全世界の株式に投資するインデックスファンドの投資信託。グローバルに資金運用する海外の大きな機関投資家の「平均ポートフォリオ」に近い投資内容の商品だ。今や、このカテゴリーの商品で最割安な商品は運用資産額に対して年率0.05775%以下(税込み)のコストで運用が可能だ。 つまり、100万円を年間578円で運用できるのだ。残高の大きなものは既に1兆3000億円を大きく超えている。知っている人は、有利な運用商品を既に利用しているのだ。) 個々の商品についてあげつらうことはやめておくが、100万円に対して数千円単位の手数料を支払っている投資家は、意思決定のレベルで既に「負けている」と言ってもいいだろう。 投資家に限らず、近年はタイパ(タイムパフォーマンス)とコスパ(コストパフォーマンス)を重視するらしい。 インデックスファンドへの投資は一度方針を決めたら「ほったらかし」にできるし、むしろその方がいい。また、コストについては先ほどご紹介した通りだ。ロボアドバイザーを使っている投資家は、一体自分が幾ら手数料を払っているのかを確かめてみてほしい。 一度頭を使って方針を決めることのタイパとコスパがどのようなものになるのかは、個人の資質や環境によって異なるのだろうが、優劣は明らかであるような気がする。悔しくないだろうか? Z世代とやらの若い人にあえて声掛けするなら、「そこは、時間やお金をかけるところではない。一回だけ頭を使うところなのだよ」と言いたい』、「今や、このカテゴリーの商品で最割安な商品は運用資産額に対して年率0.05775%以下(税込み)のコストで運用が可能だ。 つまり、100万円を年間578円で運用できるのだ・・・インデックスファンドへの投資は一度方針を決めたら「ほったらかし」にできるし、むしろその方がいい・・・一度頭を使って方針を決めることのタイパとコスパがどのようなものになるのかは、個人の資質や環境によって異なるのだろうが、優劣は明らかであるような気がする」、やはり優れているようだ。

次に、11月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長、懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路」を紹介しよう。
・『富裕層といえども、多額の資産をきちんと守れている人ばかりではない。時に、一般人には想像できないスケールの「大失敗」をすることも富裕層の特徴といえよう。富裕層の投資での失敗例から学べる、資産形成の鉄則についてお話ししたい』、興味深そうだ。
・『資産が3年で20分の1に…… ワンマン社長の綱渡り投資  70代の女性会社経営者Aさんは、さかのぼること3年前の2020年、新型コロナウイルスで注目されたあるハイテク銘柄の株を1億円分購入した。その後、その銘柄はAさんの読み通り、加速度的に価格が上昇した。Aさんは追加で同銘柄をどんどん買い進めた。約半年で投資した金額は3億円。株価が上昇したので、資産は約5億円になった。つまり、約2億円の含み益が出たのだ。 しかし、Aさんの投資は大成功……とはいかなかった。好調は長くは続かず、株価はなんと100円にまで下落。3億円の投資金額が、1500万円の価値になってしまった。20分の1にまで減少してしまったのだ。さらに現在、損失は拡大している。とはいえ、3億円が1500万円になろうと1300万円になろうと、もうここまでくると大差はない。 実はAさん、投資で大損するのはこれが初めてではない。 十数年前、Aさんは当時のあるベンチャー株に投資した。買った株はぐんぐん上がり、資産は総額10億円になった。しかし、しばらくすると当該株は急落。気付いたときには証券会社の営業マンから追証を求められる状況になってしまった。 預貯金などの余剰資金はとっくに証拠金として消えていたので、会社の資金に手をつけた。社長自身の「経費の立て替え精算」ということで自社の銀行口座から1億円を自分の証券口座に移したという。追証の証拠金として突っ込むこと数回……。一度やってしまうと、会社のお金を証拠金に充てることに慣れてしまい、何度もその株を買い支えてしまった。 Aさんの危ない綱渡りはこれだけでは終わらなかった。仲の良い社長仲間と行ったマカオのカジノで、あろうことか信用取引での損を挽回しようとしたのだ。案の定、ここでも1000万円単位の負けを繰り返すことになった。 その後、税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた(こういった役員貸付金が多額になるケースでは役員報酬を増額することで貸付金を解消するケースは多い。正直間違ったやり方であるが、本稿では触れない)』、「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、なるほど。
・『大きな失敗も多い富裕層 70代以降はコンサバな運用が必要  そして十数年後――。 過去の反省を生かし今回はマカオでもなく、株の信用取引でもなく、あくまで自己資金の範囲内の取引だった。しかしながら、3億円の資産を1500万円まで減らしてしまったのだ。自社の業績はまずまずであり、自宅もあれば自社ビルもある。しかし自分の余剰資金はほぼ消滅してしまった。 会社と社長個人でも銀行に多額の借り入れがある状況なので、純資産ベースで見るとほぼゼロの状況になっている。関西の高級住宅街の邸宅に住み、広大な別荘を手にし、一見華やかな社長だが、実はすっからかん――そんなことも起こり得るのである。 さらに残酷なのは、Aさんの年齢だ。健康状態も良くなく、十数年前と比べると元気ではあるが、体力も気力も相当衰えている。さすがに今回は、3億円を取り戻すことは現実的に不可能だ。退職金という手段はあるが、借入金が流動資産を上回る状況なので、退職金を払うとキャッシュが枯渇する。本業自体はもうかっているがこれ以上の借り入れは危険な状態だ。あまりにもワンマンだったため、右腕の古参社員もおらず、事業を引き継ぐ予定だった子どもたちは全員会社から逃げ出したという有り様だ。 往々にして創業の経営者は、投資においてもこのような強烈な成功体験と失敗体験を併せ持つ。若いうちであればいくらでも挽回が利く。しかし、人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ。とはいえ、強烈な成功体験があればあるほど、晩年に慎重な方向に方向転換することは非常に難しい……。』、「人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ」、その通りだ。
・『富裕層ならではのリカバリー方法とは? 失った1億円を5年で取り戻す  富裕層だからといって、特別な運用方法があるわけではない。ただ、元手となる資金が多い分、ハードルの高い投資ができるというだけだ。そのハードルの高い投資の代表例が、最低投資金額が10万ドル、20万ドルの債券投資やデリバティブである。もちろん、言うまでもなく、こうした投資にはリスクがある。一歩間違えば、先ほどのAさんのような大損につながりかねない。 東海地方に住む60歳の会社経営者・Bさん(男性)は、そうしたデリバティブを内包している仕組み債に投資し、資産を減らしてしまった。彼は余剰資金のほぼ全てである1億円分、投資した。しかし、1000万円分の株になって戻ってきてしまったのだ。 しかし、Bさんは、資産が10分の1になる大失敗をしたにもかかわらず、生活スタイルを変える必要はなかった。失った資産額を取り戻すことができた。本業で多額の稼ぎがあるからだ。 Bさんの年収は約7000万円。毎年2000万円程度のお金が手元に残った。よって5年程度でまた1億円の資産を手に入れることができたのだ。これが、収入の多い富裕層特有のリカバリー法だ。 「有名企業に勤めた人が退職金で1億円入ってきた」という話や、「親の資産を相続して家を売却したら1億円になった」という話はそれなりにある。しかし、この1億円を使って投資に失敗したら、リカバリーするすべはない。よって、いかにこの1億円を失敗なく運用し続けるかが重要だ。 しかし、フローで多額の収入がきちんと入ってくる富裕層は、大きな失敗をしてもすぐに生活が脅かされることがない。そして失敗を繰り返す中で、投資にもぼちぼち成功をするようになってくる。本業で稼ぎながら資産運用にもコツコツ成功することで、財産を築く。Bさんも「最終的には最大の資産運用が本業だよ」と笑いながら度々、言う。 投資は常に失敗がつきもの。しかし、若いときにした失敗にはリカバリーが利く。稼ぎで取り返すことができるからだ。一方で、高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある。そのあたりはまた次回、書きたいと思う』、「高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。

次に、11月29日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したアレース・ファミリーオフィス代表取締役の江幡吉昭氏による「投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長、懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路」を紹介しよう。
・『富裕層といえども、多額の資産をきちんと守れている人ばかりではない。時に、一般人には想像できないスケールの「大失敗」をすることも富裕層の特徴といえよう。富裕層の投資での失敗例から学べる、資産形成の鉄則についてお話ししたい』、興味深そうだ。
・『資産が3年で20分の1に…… ワンマン社長の綱渡り投資  70代の女性会社経営者Aさんは、さかのぼること3年前の2020年、新型コロナウイルスで注目されたあるハイテク銘柄の株を1億円分購入した。その後、その銘柄はAさんの読み通り、加速度的に価格が上昇した。Aさんは追加で同銘柄をどんどん買い進めた。約半年で投資した金額は3億円。株価が上昇したので、資産は約5億円になった。つまり、約2億円の含み益が出たのだ。 しかし、Aさんの投資は大成功……とはいかなかった。好調は長くは続かず、株価はなんと100円にまで下落。3億円の投資金額が、1500万円の価値になってしまった。20分の1にまで減少してしまったのだ。さらに現在、損失は拡大している。とはいえ、3億円が1500万円になろうと1300万円になろうと、もうここまでくると大差はない。 実はAさん、投資で大損するのはこれが初めてではない。) 十数年前、Aさんは当時のあるベンチャー株に投資した。買った株はぐんぐん上がり、資産は総額10億円になった。しかし、しばらくすると当該株は急落。気付いたときには証券会社の営業マンから追証を求められる状況になってしまった。 預貯金などの余剰資金はとっくに証拠金として消えていたので、会社の資金に手をつけた。社長自身の「経費の立て替え精算」ということで自社の銀行口座から1億円を自分の証券口座に移したという。追証の証拠金として突っ込むこと数回……。一度やってしまうと、会社のお金を証拠金に充てることに慣れてしまい、何度もその株を買い支えてしまった。 Aさんの危ない綱渡りはこれだけでは終わらなかった。仲の良い社長仲間と行ったマカオのカジノで、あろうことか信用取引での損を挽回しようとしたのだ。案の定、ここでも1000万円単位の負けを繰り返すことになった。 その後、税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた(こういった役員貸付金が多額になるケースでは役員報酬を増額することで貸付金を解消するケースは多い。正直間違ったやり方であるが、本稿では触れない)』、「ハイテク銘柄の株では資産が3年で20分の1に」、「ベンチャー株投資」では、「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた・・・Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、これは幸運だった。
・『大きな失敗も多い富裕層 70代以降はコンサバな運用が必要  そして十数年後――。 過去の反省を生かし今回はマカオでもなく、株の信用取引でもなく、あくまで自己資金の範囲内の取引だった。しかしながら、3億円の資産を1500万円まで減らしてしまったのだ。自社の業績はまずまずであり、自宅もあれば自社ビルもある。しかし自分の余剰資金はほぼ消滅してしまった。 会社と社長個人でも銀行に多額の借り入れがある状況なので、純資産ベースで見るとほぼゼロの状況になっている。関西の高級住宅街の邸宅に住み、広大な別荘を手にし、一見華やかな社長だが、実はすっからかん――そんなことも起こり得るのである。 さらに残酷なのは、Aさんの年齢だ。健康状態も良くなく、十数年前と比べると元気ではあるが、体力も気力も相当衰えている。さすがに今回は、3億円を取り戻すことは現実的に不可能だ。退職金という手段はあるが、借入金が流動資産を上回る状況なので、退職金を払うとキャッシュが枯渇する。本業自体はもうかっているがこれ以上の借り入れは危険な状態だ。あまりにもワンマンだったため、右腕の古参社員もおらず、事業を引き継ぐ予定だった子どもたちは全員会社から逃げ出したという有り様だ。 往々にして創業の経営者は、投資においてもこのような強烈な成功体験と失敗体験を併せ持つ。若いうちであればいくらでも挽回が利く。しかし、人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ。とはいえ、強烈な成功体験があればあるほど、晩年に慎重な方向に方向転換することは非常に難しい……。』、「人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ」、その通りだ。
・『富裕層ならではのリカバリー方法とは? 失った1億円を5年で取り戻す  富裕層だからといって、特別な運用方法があるわけではない。ただ、元手となる資金が多い分、ハードルの高い投資ができるというだけだ。そのハードルの高い投資の代表例が、最低投資金額が10万ドル、20万ドルの債券投資やデリバティブである。もちろん、言うまでもなく、こうした投資にはリスクがある。一歩間違えば、先ほどのAさんのような大損につながりかねない。 東海地方に住む60歳の会社経営者・Bさん(男性)は、そうしたデリバティブを内包している仕組み債に投資し、資産を減らしてしまった。彼は余剰資金のほぼ全てである1億円分、投資した。しかし、1000万円分の株になって戻ってきてしまったのだ。 しかし、Bさんは、資産が10分の1になる大失敗をしたにもかかわらず、生活スタイルを変える必要はなかった。失った資産額を取り戻すことができた。本業で多額の稼ぎがあるからだ。 Bさんの年収は約7000万円。毎年2000万円程度のお金が手元に残った。よって5年程度でまた1億円の資産を手に入れることができたのだ。これが、収入の多い富裕層特有のリカバリー法だ。 「有名企業に勤めた人が退職金で1億円入ってきた」という話や、「親の資産を相続して家を売却したら1億円になった」という話はそれなりにある。しかし、この1億円を使って投資に失敗したら、リカバリーするすべはない。よって、いかにこの1億円を失敗なく運用し続けるかが重要だ。 しかし、フローで多額の収入がきちんと入ってくる富裕層は、大きな失敗をしてもすぐに生活が脅かされることがない。そして失敗を繰り返す中で、投資にもぼちぼち成功をするようになってくる。本業で稼ぎながら資産運用にもコツコツ成功することで、財産を築く。Bさんも「最終的には最大の資産運用が本業だよ」と笑いながら度々、言う。 投資は常に失敗がつきもの。しかし、若いときにした失敗にはリカバリーが利く。稼ぎで取り返すことができるからだ。一方で、高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある。そのあたりはまた次回、書きたいと思う』、「高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。
タグ:Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、これは幸運だった。 「ハイテク銘柄の株では資産が3年で20分の1に」、「ベンチャー株投資」では、「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた・・・ 「高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。 「人生の終盤に差し掛かったときの失敗はリベンジができない。よって、70歳以降の富裕層には、コンサバな資産運用が求められるのだ」、その通りだ。 「税務調査で怪しい経費の存在がバレた。「社長自身が立て替え精算した、この5億円もの経費はなんだ?」という話になり、結局のところ経費とは認定されなかった。社長が会社からお金を借りた、つまり会社から見ると役員貸付金という形で5億円の貸し付けを受ける形に落ち着いた。 Aさんは、当時はまだ働き盛りの60代前半。気力も十分であり、その後の10年間で自分の役員報酬を年間数億円にすることで、役員貸付金を完済することができた」、なるほど。 江幡吉昭氏による「投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長、懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路」 「今や、このカテゴリーの商品で最割安な商品は運用資産額に対して年率0.05775%以下(税込み)のコストで運用が可能だ。 つまり、100万円を年間578円で運用できるのだ・・・インデックスファンドへの投資は一度方針を決めたら「ほったらかし」にできるし、むしろその方がいい・・・一度頭を使って方針を決めることのタイパとコスパがどのようなものになるのかは、個人の資質や環境によって異なるのだろうが、優劣は明らかであるような気がする」、やはり優れているようだ。 それは、人間の能力や努力が足りないからというよりは、特定のマーケットの中での運用パフォーマンス競争にあっては、ライバルの平均像となるポートフォリオを持ってじっとしていることが有利な「平均投資有利の原則」とでも呼ぶべき原則が働くことが理由・・・仮にうまくアクティブリターンを稼ぐAIが登場したとして、これが容易に別のAIに模倣されるのではないかという、別の高い障壁が存在する」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン (その4)(「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?、投資とカジノで「5億円熔かした」70代女性社長 懲りずに1銘柄に3億つぎ込んだバクチ投資の末路) 「高齢者はリカバリーや失敗が許されない。退職金や相続などでまとまったお金を手にした人にとっては、大きな金額の失敗は致命傷になる。 金融機関などに言われるがままに投資するのは避けたいところだ。投資で多少なりともリターンが上がるようになったなら、高齢者は徐々に資産を取り崩す時期に入るため、保守的な投資方法にシフトしていく必要がある」、その通りだ。 投資(商品販売・手法) 山崎 元氏による「「AI任せ」の資産運用はうまく儲けられるのか?」 「投資の世界で「もうけること」として意味があるのは、平均的なリスクを取りながら平均を上回るリターン(「アクティブリターン」と称する)を稼ぐことだ。これを意図的に継続することができるなら「もうける能力がある」といえるだろう。 この意味でAIが大規模な成功を収めることについて、筆者は懐疑的だ・・・手本となるべき人間がこのことに成功しているとは言い難い。 置き換えの進捗度合いは、商品としての運用のありがた味として何を残すのがいいのかと、コストとの関係で決まるだろう」、なるほど。 「今や、データを処理しポートフォリオを作ることだけでなく、個々の投資銘柄について要領のいいアナリストレポートを作ることも、運用の結果について「顧客の期待を将来につなぐことのできる言い訳」を考えることも含めて、「運用の仕事」をAIに置き換えることに全く無理はなさそうだ・・・人間のアナリスト、ファンドマネージャー、マーケティング担当者のいずれも、その気になると置き換えることは容易だろう。 そこに、運用に関するアドバイスや一任の潜在的なニーズが存在する。 いくらか達観しすぎかもしれないが、サービスの供給者側は、その時々に「自分で判断せずに済む、ありがた味のある仕掛け」を顧客に提供してやればいい。今やAIがブームなのだから、AIと名の付くものを売ればいい、というのは自然な商売の成り行きだ」、なるほど。 「彼らの天敵とも言うべきインデックスファンドとの比較で「人間の天才投資家」は色あせてしまった。 そうなると、人間的な判断はむしろ嫌われる材料になった。コンピューターの処理能力やビッグデータ、機械学習、そしてAIといったイメージが、「よく分からないけれどもすごそうな中身」として商品としての運用の価値を支えることになったのだろう。 行動経済学で「後悔回避のバイアス」として表現されているように、近い将来に失敗が明らかになるかもしれない判断を自分で下すことにちゅうちょする人間は少なくない。 利用者は、時間とともに学習データを増やしてAIが賢くなっていくことや、人間の先入観による投資判断が排除できると「感じる」ことなどをポジティブに捉えているようだ」、なるほど。 「資産配分を行ってくれるという意味では既に、投資信託なら「バランスファンド」、人間のサービスなら「ファンドラップ」、システムによる一任運用なら「ロボアドバイザー」が存在した・・・AIによって運用するという触れ込みのロボアドバイザーを利用しているらしい。 筆者の山崎 元氏は本年1月1日に死去された。ご冥福を祈りたい。
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