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暗号通貨(仮想通貨)(その5)(ビットコインに11月再分裂の危機 前回より事態は深刻、ビットコインに「欠陥商品」の恐れ 異常な値上がりは不健全だ、仮想通貨使う国内初のICOが不発だったワケ) [金融]

暗号通貨(仮想通貨)については、9月22日に取上げたが、今日は、(その5)(ビットコインに11月再分裂の危機 前回より事態は深刻、ビットコインに「欠陥商品」の恐れ 異常な値上がりは不健全だ、仮想通貨使う国内初のICOが不発だったワケ) である。

先ずは、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏が10月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「ビットコインに11月再分裂の危機、前回より事態は深刻」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ビットコインの価格は著しく上昇しており、過去最高値を更新しつつある。 一方、ビットコインが11月に再び分裂する可能性が高まっている。8月の分裂のときとは違って、今回の分裂には、「リプレイアタック」という深刻な問題がある。これは、分かりにくい問題であり、かつ状況は不確実だが、軽視したり無視したりすべきではない。
▽「スケーリング」問題での対立 7月の決着と、分裂
・8月にビットコインが分裂したが、その背後には、「スケーリング」の問題がある。 ビットコインの取引処理能力は低いので、取引処理能力をいかに拡大するかが議論されてきた。 これについては、すでにこの連載で書いてきたが、その後の経緯も含めて要約すれば、つぎのとおりだ。
・解決策として、大きく分けて2つの方向が提案されていた。 第1は、取引を記録するブロックのサイズを拡大するもの。これを支持していたのは、主として大手マイナー(ビットコイン発掘者)だ。 第2は、一部のデータをブロックチェーンの外で管理するもので、具体的には「Segwit」という仕組みが提案された。これは、ビットコインのソフトウェアを開発する「コア開発者」からなされていた。
・こうした中で7月23日に、「Segwit」導入を盛り込んだ「Segwit2x」という方法に、大手マイナーを含む関係者が合意し、大きな混乱なく「Segwit」導入への道筋が開けた。 ところが、大手マイニングプール(発掘グループ)の1つが「ビットコインキャッシュ」(BCCまたはBCH)という新しい通貨の立ち上げを宣言し、8月1日にマイニングを開始した。 ビットコインキャッシュはブロックサイズを拡張しようとするものであり、ブロックチェーンに永続的な分岐(ハードフォーク)が生じることになった。その結果、ビットコインは分裂した。
▽その後のビットコインと ビットコインキャッシュ
・「Segwit」の導入によって、ライトニングと呼ばれるサービスが可能になると言われる。 これは、一部の取引をブロックチェーンの外で行なうことによって、手数料が非常に低い高速少額取引を可能にする仕組みだ。
・ビットコイン価格は、分岐前にやや下落したが、分岐後には値上がりし、9月2日に5013ドルまで上昇した。 しかし、4日に中国当局がICO(仮想通貨発行による資金調達)の全面禁止を発表したことなどを受けて、一転。9月半ばには3000ドルを割り込んだ。その後、再び上昇に転じた。冒頭で述べた高値更新は、9月以来のものだ。
・ビットコイン取引所は、新しく誕生した通貨を「ビットコインキャッシュ」(BCCまたはBCH)として、ビットコイン(BTC)とは異なる通貨として扱うことにした。 現在のところ、ビットコインキャッシュは、ビットコインの10分の1程度の価格を維持している。
▽1月に「Segwit2x」が分岐する? 「ビットコインゴールド」も誕生する?
・ところで、スケーリングの問題は、まだ決着していない。 なぜなら、「Segwit2x」は、「Segwit」を導入した後に、ビットコインのブロックサイズを1MBから2MBに拡大するという内容になっているからだ。 しかし、ビットコインのソフトウェアを開発するコアメンバーは、ブロック拡大に反対している。 このため、本当にビットコインからの分岐が生じるかどうかは、現段階では不透明だ。
・ただし、それを見込んだ先物が作られている。 香港を拠点とする仮想通貨取引所Bitfinexは、11月にビットコインから分岐する予定の新たなコイン「Bitcoin Segwit2x」(BT2)を、先物として上場した。 それだけではない。 ビットコインゴールド(BTG)という仮想通貨が新たに誕生する可能性がある。
・香港のマイニング企業ライトニングエーシックのCEOであるジャック・リャオ氏が、プロジェクトを10月25日にリリースし、11月1日に取引所で公開する予定だと発表している。 ビットコインゴールドは、マイニングの難度を下げ、誰でもマイニングに参加できるようにするとしている。これにより、演算能力が高い特定の企業がマイニングを独占するのを防げるという。 ただし、開発状況は不透明であり、こちらも本当に実行されるかどうか疑問視されている。
▽分岐によって「リプレイアタック」の危険がある
・ブロックサイズの拡張が行なわれると、ハードフォーク(永久に分かれたままの分岐)になる。 そうなると、「リプレイアタック」という問題が生じる危険がある。 これは、つぎのようなものだ。(この説明は、「What is a Bitcoin Replay Attack?」、「Replay Attacks Explained」などを参考にしている)。
・分岐前にビットコインを1BTCだけ持っている人(「花子」と呼ぶ)を考えよう。 ビットコインが、サイズを拡張しないビットコイン(BTCと呼ぶ)と、サイズを拡張したビットコイン(BT2と呼ぶ)に分岐したとする。 この人は、分岐後、1BTCと1BT2を持つ(一見して資産が増えるようだが、必ずしもそうではない:これについては後述する)。
・花子は太郎に1BTCだけ送金したいとする。1BT2は送金しないつもり。 ところが、1BTCの送金情報は世界中に公開されるので、問題が生じる。 攻撃者がその情報をコピーし、そのままBT2のネットワークに送信すると、1BT2が太郎に送金されてしまう(こうなるのは、BTCのネットワークでもBT2のネットワークでも、秘密鍵が同一だからだ。攻撃者は花子の秘密鍵を送金情報から知ることはできないのだが、BT2のネットワークでは花子の送金情報は「正しい」署名を含んだ情報とされるので、送金を認めてしまうのである)。
・これがリプレイアタックだ。 送金相手も金額も正確に同じでなければならないが、これだけでも多くの問題が生じる。 BT2を送金したつもりはなかったのに、気がついたら残高が減ってしまっているというだけで問題だ(昨年6月にEtheriumがハードフォークしたときには、つぎのようなことが言われた。取引所の自分の口座から、自分が持つウォレットに送金する。そのうち、片方のコインを取引所に戻してまた引き出すという操作を繰り返せば、他のコインをいくらでも引き出せる。「How to deal with the Ethereum Replay Attack」参照)。
▽「完全なプロテクション」は行なわれない見通し
・こうしたことにならないよう、マイナーがBTCとBT2の取引を区別できるようにする必要がある。これを「リプレイプロテクション」という。 これには、「完全なもの」と「弱いもの」がある。 ビットコインキャッシュが分離したときには、ビットコインキャッシュは完全なプロテクションを行なった。これにより、ビットコインキャッシュとビットコインの取引は完全に分離され、「ビットコインだけを送金したつもりだったのに、ビットコインキャッシュも送られてしまった」というようなことは発生しなかった。
・しかし、今回は、「弱いプロテクション」しか導入されないことになりそうだ(「How Segwit2x Replay Protection Works」参照)。 これは、「BTCの送金時には、あるアドレスへの少額の送金を含める」という方法だ。 このアドレスはBT2のチェーンで“ブラックリスト”として機能するので、BT2のチェーンでは、送金が無効とされる(普通は塩を混ぜない食べ物に塩を混ぜておけば、何か異常があることがわかる。少額の送金は この「塩」と同じような役割をするわけだ)。しかしBTCのチェーンでは有効なので、BTCだけが送金されることになる。
・このプロテクションはユーザーにとって面倒なものだが、こうした方法しか導入しないのは、「Segwit2x」側が「自分のほうが正当なビットコイン」と主張していることによる。完全なバージョンはBTCの側で導入すべきだとしているのだ。 この問題がどう決着するのか、現状では見通しがつかない。
▽ビットコイン価格は下がるはずだが、マーケットは強気
・上記のように、分岐すると、分岐前に残高を保有していた人は、分岐後、元のコインと新しいコインを同単位保有する。 ビットコインキャッシュ(BCC)の場合、分裂前の時点では、取引所がBCCを認めるかどうかは不確実だった。しかし、結果的にはほとんどの取引所が認めた。つまり、取引所は、ビットコインBTCの保有者に、BCCを無償で付与した。
・ただし、BTCを保有していた人の資産額が自動的に増えたわけではない。 なぜなら、理論的には、分裂後のBCCとBTCを合わせた価値が、分裂前のBTCの価値と同じになるはずだからだ。 つまり、他の条件が何も変わらないとすれば、BTCの時価総額は、BCCの時価総額の分だけ減るはずだ。したがって、BTCの価格は下がるはずである。 ところが、実際には両方とも値上がりした。これは、ビットコインに対する期待が高まったからなのだろう。
・11月に分裂が起きた場合、これと同じことが起きるかもしれないという思惑がある。 つまり、「タダで資産を増やせる」という思惑だ。それが現在の価格上昇の背後にあると言われる。 ただし、状況は、上で述べたように不確実だ。 とくに、リプレイアタックに対して「弱いプロテクション」しか導入されないのであれば、ビットコインの利用が不便になり、価格が下落することもあり得ることに注意しなければならない。
http://diamond.jp/articles/-/146154

次に、野口氏による上記の続き11月2日付けダイヤモンド・オンライン:「ビットコインに「欠陥商品」の恐れ、異常な値上がりは不健全だ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ビットコインの価格が高騰している。 今年1月中旬に比べて7倍以上になった。上昇の勢いは衰えず、市場最高値を更新しつつある。投機資金が流入しているようだ。
・しかし、ビットコインは、いま深刻な問題に直面している。ハードフォーク(永久に分かれたままの分岐)になった際に、情報がコピーされて、送金したつもりがないのに、もう片方のコインにも送金されるといった「リプレイアタック」は、差し迫った危険だ。 それだけではない。急激な価格の上昇は、円表示の手数料を引き上げてしまう。これは、ビットコインを送金手段に用いる際の障害となる。
▽リプレイアタックにどう対処したらよいか?
・リプレイアタックとは、ビットコインの分岐が生じた後の取引で、意図していない取引が行なわれてしまうことだ。詳細は、前々回(10月19日)の本コラム「ビットコインに11月再分裂の危機、前回より事態は深刻」を参照。 8月初めの分岐の際には、「ビットコインキャッシュ」が完全なプロテクションを行なったので、問題は起きなかった。
・しかし、10月25日に行なわれた「ビットコインゴールド」の分岐では、リプレイアタックへのプロテクションは不完全なようである。本稿の執筆時点では、ビットコインゴールドをどう扱うかについて、取引所の判断は分かれている。 リプレイアタックは、公表されているデータをそのままコピーするだけで起きる。そうなるのは、秘密鍵が分岐した2つの枝のどちらでも有効だからだ。ただし、秘密鍵が流出するわけではないので、それほど深刻ではないという評価も可能だ。そうはいっても、ビットコインの取引が、しばらくの間、危険にさらされることは否定できない。
・では、一般の利用者はどうしたらよいだろうか? リプレイアタックへの対処法が、このサイトに示されている。 要約すると、つぎのとおりだ。 (1)最も確実な対応は、取引をしないこと。つまり、「塵が収まるまで待つ」。 (2)塵が収まったら、分割する(「具体的にどのような方法で分割したらよいかは、11月になってから示す」としている)。
▽支払手段としてのビットコインの価値が大きく損なわれる
・「取引をしない」とは、その期間、ビットコインを支払い手段に使えないということだ。 だから、ビットコインを支払い手段として認めている商店にとっては、ありがたくない。これは、ビットコインの支払い手段としての価値を著しく減殺するものだと言わざるを得ない。 しかも、上に述べた対処法は、公的な機関や業界団体による公式の声明ではなく、「ビットコインマガジン」というウェブ・サイトで行なわれている警告にすぎない。
・もし銀行の預金振り込みが一定期間使用できないということになれば、大きな非難が集中するだろう。ビットコインは広く使われていないために大きな問題にならないが、今後もこういったことが起こるようでは、ビットコインを支払手段として導入しようとする動きが止まってしまうだろう。
▽分裂は資産が分割されるのと同じ 資産がタダで増える誤解で投機資金が流入
・ビットコインの保有者にとって、分岐は迷惑な事態である。仮にリプレイ攻撃がなかったとしても、問題だ。なぜなら、資産を勝手に分割されたことになるからだ。 分岐が起き、かつ取引所やウォレットが新しい通貨を認めたとすると、分裂前にビットコインを持っていた人は、同単位の新しい通貨を自動的に持つことになる。だから、一見したところ資産が増えたように思える。 しかし、コイン数量が増えるだけであって、価値が増えるわけではない。「何もせずに新しい通貨を得られるのでトクをした」と考える人が多いのだが、そうではない。
・他の事情が変わらないとすれば、原理的には、新しい通貨とビットコインの時価総額の合計は変わらないはずだ。したがって、ビットコインの時価総額は、分裂した新しい通貨の時価総額分だけ減少するはずである。だから、「資産が自動的に増える」というよりは、「資産を勝手に分割されること」と考えるほうがよい。
・ただし、8月にビットコインゴールドが分岐した際には、ビットコインの価格が下がらず、むしろ、その後、上昇した。ビットコインの成長可能性に対する期待が、分割による減少効果を打ち消したためと考えられる。このため、以上で述べた問題は、覆い隠されてしまった。しかし、同じことが今後も生じる保障はない。
・現在、ビットコインの価格が上昇しているのは理解しがたい現象だ。「タダで資産が増える」という誤解に基づいて投機資金が流入しているのではないだろうか?暴落が起こり、ビットコインそのものに対する信頼が失われることが懸念される。
▽関係者の対立は深刻 責任回避で「欠陥通貨」生むことに
・リプレイアタックの危険があるということは、「欠陥通貨」が提供されていることを意味する。欠陥があることがわかっていながら、一般の利用に供されているのは、大きな問題だ。 なお、この問題は、ブロックチェーンが本来、持っている技術的な問題ではない。実際、ビットコインキャッシュの場合には、プロテクションが導入された。 また、ブロックチェーンを用いて行なわれるさまざまなプロジェクトに影響するわけでもない。
・深刻なのは、プロテクションが技術的には可能なのに、今回は導入されないということだ。 これはグループ間の対立で、どちらも自分たちが正当なものであると争っていることによる。互いに、相手の側で完全なプロテクションを導入すべきだと主張しているのである。欠陥商品に対する責任を、どちらも取ろうとしないというのが、現在の状況だ。
・今年8月の時点では、ビットコインの仕様改定という難しい問題を、民主的に解決するための道筋が開けたように思えた。しかし、上に述べたような責任の押し付け合いを見ていると、関係者の対立はかなり深刻なものだと考えざるを得ない。 もっとも、今回の問題はまだ決着していない。プロテクションが導入されて、なんの問題もなく過ぎることを祈りたい。
・なお、この間の事情の詳しい説明は、つぎを参照(「2x or NO2X: Why Some Want to Hard Fork Bitcoin ? and Why Others Do Not」、「SegWit2X and the Case for Strong Replay Protection (And Why It's Controversial)」)。
▽価格上昇で送金手数料は銀行との差がなくなった
・仮に暴落がなかったとしても、問題がある。なぜなら、ビットコインの価格が上昇すると、手数料が上昇してしまうからだ。 ビットコイン価格が今年になって大きく上昇したため、円表示の手数料も上昇した。ビットフライヤーのビットコイン送付手数料は、0.0004BTCだ。10月末のビットコイン価格は円表示で1BTC=68万1260円なので、272.5円になる。銀行の他行あて振込手数料は、3万円未満で270円なので、若干ではあるが、それより高くなってしまった。
・銀行の預金振り込みに比べて、これまではビットコインが圧倒的に有利だった。しかし、その差がなくなっている。 ビットコインがこれまで持っていた「手数料が安い送金手段」としての魅力が減殺されてしまったことは、否定できない。 これは、ビットコインの健全な発展にとって、深刻な障害となる。取引所は、手数料の引き下げを検討すべきだろう。
▽取引所や金融庁は正確な情報提供を
・ビットコインゴールドや「Segwit2x」の分岐を、取引所はどう扱うだろうか? 前述したように、現在のところ、ビットコインゴールドの扱いは、取引所によって違いがある。無視される可能性もある。 ゴールドは分派であることがほぼ明らかなので、無視することもできよう。しかし、「Segwit2x」については、自分たちが正当だと主張しているので、面倒だ。
・なお、取引を登録制にしてある以上、金融庁の責任もある。対処の方向づけに関して指導する必要はないが、情報提供の責任はあると思う。 リプレイアタックの問題は技術的にわかりにくい内容を含んでいる。したがって、一般保有者が現在の事態に対してどのような注意を払えばよいかについて、正確な情報を提供すべきだろう。
http://diamond.jp/articles/-/147927

第三に、11月4日付け東洋経済オンライン「調達額300万円に落胆したベンチャーの誤算 仮想通貨使う国内初のICOが不発だったワケ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「なぜこの額しか集まらなかった?」 「プロジェクトの内容はいいと思うが……」 そのような疑問を海外の投資家から投げかけられたのは、仮想通貨を使った新しい資金調達手段として世界的に注目を集めているICO(イニシャル・コイン・オファリング)を実施したベンチャー企業・メタモ代表の佐藤由太氏だ。
・今年3月に佐藤氏を中心に設立されたメタモは、8月15日~9月1日にかけてICOを行った。日本国内企業によるICOの第1号案件とされている。気になる調達額はなんと約3万ドル、日本円にすると300万円超で終わった。ICOに応じたのは54人。うち8割が海外だった。
・メディアで報じられる国内外のICO案件は100億円超の資金を集めているものもある。メタモも数億円単位で調達する算段だったというので不発に終わったといえる。少額しか集められなかった理由をみていくと、現在のICOを取り巻く実情も浮き彫りになってくる。
▽ICOはトークンを販売して資金を調達する
・『週刊東洋経済』10月30日発売号(11月4日号)の特集「ゼロから分かるビットコイン」では、ICOについて詳しくレポートした。その仕組みは次のように説明できる。 ICOを行うのは、新しいサービスの開発・提供を考えているベンチャー企業や開発者チームなどの集団だ。提供する予定のサービスにおいて何らかの形で使用できる「トークン」を発行・販売し、そのトークンを購入してもらうことで資金を集める。
・トークンはサービスの引換券のイメージに近いこと、仮想通貨であるビットコインやイーサリアムなどでトークンの購入代金を支払ってもらうことの2点がポイントだ。企業などは受け取った仮想通貨を仮想通貨取引所で売却してドルや円などの法定通貨に交換し、サービス開発の資金とする。
・販売後のトークンに価値があると見なされると、そのトークンは取引所に上場されて売買が可能になる。この上場期待があるからこそ、サービス普及時にトークンが値上がりすることを見込む投資家層をも取り込むものとなった。
・メタモのICOが少額に終わった理由は大きく2つある。1つはトークンの価値上昇というストーリーをうまく伝えられなかったことだ。 インターネット上で公開されトークン購入の判断材料となるのが、「ホワイトペーパー」と呼ばれる文書だ。事業展望や調達資金の使い道などが記載されている。
・「ゼロから分かるビットコイン」特集では、実際のホワイトペーパーを外部の識者に論評してもらった。評者は、日本デジタルマネー協会代表理事の本間善實氏、創法律事務所代表弁護士で日本ブロックチェーン協会顧問の斎藤創氏、『海外ETFとREITで始める インカムゲイン投資の教科書』などの著書である投資家の玉川陽介氏である。
・メタモのホワイトペーパーも読んでもらったが、トークンの価値上昇については3人ともに否定的な見方だった。事業の将来性を問う以前に「ホワイトペーパーを読んでもトークンの価値の源泉が何かがよくわからなかった」(斎藤氏)とする指摘も出た。
▽メタモが目指す「個人が持つスキルの可視化」
・メタモが目指しているのは「個人が持つスキルの可視化」だ。 求職時に個人は自分の職歴をアピールすることになるが、就労実績を証明する情報は多くの場合、それまでに勤めていた企業が所有・保管している。そのため個人自らが出せる情報は客観性に乏しくなる。フリーランスやパートタイマーだと、出せる情報がそもそも少ない。 結果として、企業は試用期間を設けたり賃金を一定期間安く設定したりして様子をみることになる。個人はその不利益を受け入れざるを得ない。
・そこでメタモは労働者自身がスマートフォンのGPS(全地球測位システム)位置情報を用いて勤務状況を記録する仕組みを作った。今後はこの仕組みをベースに就労実績が証明できる人を企業に紹介していくというサービスも計画している。企業が紹介料を支払う際にメタモの発行するトークンを使えるようにするなどして、トークンの利用範囲と価値を高めるという。
・ただ、取材を通じてもメタモが発行するトークンの価値がどう上がっていくのかは正直わかりにくかった。そのような指摘については、「関係各所との調整も必要なことからホワイトペーパーには記せないことも多かった」と佐藤氏は説明する。
・「ホワイトペーパーはきれいに作られているが、学生の妄想や絵空事のような話が多い。これがベンチャーキャピタルへの説明であれば門前払いであろう。夢を語るパンフレットにすぎない」(玉川氏)  「プロジェクトの実現性が全体的に低そうで、内容もフワフワしている。とはいえチームメンバーが若く、文章からは誠実そうな雰囲気を感じる。『チームを気に入った、応援したい』というならトークンの購入はありかも」(斎藤氏)
・この両者の意見、どちらかが正しくてどちらかが的外れというわけではない。ICOとは「予定していた開発は絵空事に終わるかもしれないが応援したい」というワリキリで、資金を出すものとも言えるからだ。
▽ICOの成否を左右するPRも不足
・メタモのICOが少額に終わった2つめの理由はPR不足だ。その点については佐藤氏も自覚している。 事前告知の期間からして2週間前後と短かった。まずはやってみようという思いが強かったのだという。さらに一般へのPRはプレスリリース配信代行サービスで行っただけだった。 そうしたことを踏まえると、調達額3万ドルという結果はある意味当然だったのかもしれない。
・だが、意識的にPRを押さえたという事情もあるようだ。ICOの現状に対しては、「PRにおカネをどこまでかけるかでICOの成否が決まってしまう」という佐藤氏なりの問題意識があったという。次のようにその思いを吐露する。 「自社のICOをブログで取り上げてもらうために人気ブロガーと会食して接待したとか、『こういう人もこれだけ自社のトークンを購入した』という話題を作るために一般の購入者には秘密の割安価格で著名人に購入してもらうといった話をよく聞く。そのようなやり方は不健全なうえに、ベンチャー自身も食い物にされていると感じる」
・これはあながち佐藤氏の負け惜しみというわけでもない。「誰が何を言って、何を買っているのか」「おカネの集まりの状況はどうなっているのか」が、トークン購入の判断基準になってしまいがちな現状を反映したものではないだろうか。
・メタモのケースからもわかるように、ICOはまだ確固としたものではなく手探りの状況で進められている。それもあって「ベンチャーなどにとって簡単におカネを生み出せる『打ち出の小槌』になっている」など、さまざまな批判が聞かれる。
・だが、東京と米シリコンバレーに拠点を置くベンチャー投資育成会社・WiLの久保田雅也パートナーはICOが登場したことの意義を次のように語る。 「最近のベンチャー企業が手掛けるサービスは、ネット上のサービスやシェアリングエコノミーなど『ユーザーコミュニティ』や『ネットワーク効果』に企業価値を依存するものが増えている。 しかし企業価値の拡大に貢献している一般ユーザーには利益の還元が十分にされない一方、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルのみが『成長の果実』を手にする不平等な状態にある。また、これまでオープンソースのソフトウェア開発はマネタイズが難しく資金調達も難しかったが、ICOであればトークンを通じて貢献したエンジニアが価値を享受できるため、協力するインセンティブが湧く。 ICOは、企業のステークホルダーたるユーザー、社員、投資家の3者の利益を一致させる画期的な仕組みだ」
▽「ICOが投資の民主化をもたらす」
・久保田氏の発言にある「ネットワーク効果」は、平たくいうと一般の利用者や関連サービスを提供する企業が増えれば増えるほどサービスの利便性や質が向上していくというものだ。 フェイスブックなど「プラットフォーム企業の価値の源泉は一般ユーザーにある。サービスの享受者たるユーザーは、ICOを通じてトークンの保有者となり、ネットワークの価値が上がることで経済的な利益を得ることができる。「ICOが投資の民主化をもたらす」というわけだ。
・規制議論が出てくるなどICOは世界的に過渡期を迎えている。久保田氏のような視点も含めて、あるべき姿を模索する段階に入っているようだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/196006

第一の記事で、 『香港を拠点とする仮想通貨取引所Bitfinexは、11月にビットコインから分岐する予定の新たなコイン「Bitcoin Segwit2x」(BT2)を、先物として上場した』、 随分、早手回しのようだが、Bitfinexが中国のマイナーたちのお先棒をかついでいる可能性があるのではなかろうか。内輪もめのために、リプレイアタックに対する 『「完全なプロテクション」は行なわれない見通し』、というのは困った事態だ。 『他の条件が何も変わらないとすれば、BTCの時価総額は、BCCの時価総額の分だけ減るはずだ。したがって、BTCの価格は下がるはずである。 ところが、実際には両方とも値上がりした。これは、ビットコインに対する期待が高まったからなのだろう』、というのは、何とも不思議な現象で、マーケットの値上がり期待が如何に強いかを物語っているようだ。
第二の記事で、 『リプレイアタックへの対処法・・・最も確実な対応は、取引をしないこと』、というのでは、野口氏が 『支払手段としてのビットコインの価値が大きく損なわれる』、と指摘しているのは、その通りだ。 『関係者の対立は深刻 責任回避で「欠陥通貨」生むことに』、というのは、政府や中央銀行のような権威に依存しない仕組みに内在する矛盾が出てきた、とみることも出来るのではなかろうか。 『取引所は、手数料の引き下げを検討すべきだろう。 取引所や金融庁は正確な情報提供を』、との指摘も正論である。
第三の記事で、 『メタモが目指す「個人が持つスキルの可視化」・・・メタモは労働者自身がスマートフォンのGPS(全地球測位システム)位置情報を用いて勤務状況を記録する仕組みを作った。今後はこの仕組みをベースに就労実績が証明できる人を企業に紹介していくというサービスも計画している』、というのには笑ってしまった。私には、コストを度外視した「思い付き」以外の何物でもないとしか思えない。失敗したのは、PR以前の問題なのではなかろうか。久保田氏の  『「ICOが投資の民主化をもたらす」』、との指摘は、全てが理想的な極めて例外的な場合に限定されるのではなかろうか。
タグ:ビットコインゴールド(BTG)という仮想通貨が新たに誕生する可能性 香港を拠点とする仮想通貨取引所Bitfinexは、11月にビットコインから分岐する予定の新たなコイン「Bitcoin Segwit2x」(BT2)を、先物として上場した 他の条件が何も変わらないとすれば、BTCの時価総額は、BCCの時価総額の分だけ減るはずだ。したがって、BTCの価格は下がるはずである。 ところが、実際には両方とも値上がりした。これは、ビットコインに対する期待が高まったからなのだろう ソフトウェアを開発するコアメンバーは、ブロック拡大に反対 関係者の対立は深刻 責任回避で「欠陥通貨」生むことに 2つの方向が提案 分裂は資産が分割されるのと同じ 資産がタダで増える誤解で投機資金が流入 東洋経済オンライン 銀行の預金振り込みに比べて、これまではビットコインが圧倒的に有利だった。しかし、その差がなくなっている ビットコイン価格は下がるはずだが、マーケットは強気 、「Segwit2x」側が「自分のほうが正当なビットコイン」と主張していることによる。完全なバージョンはBTCの側で導入すべきだとしているのだ 暗号通貨 スケーリング」問題での対立 7月の決着と、分裂 価格は著しく上昇しており、過去最高値を更新しつつある 野口悠紀雄 マイニングの難度を下げ、誰でもマイニングに参加できるようにするとしている。これにより、演算能力が高い特定の企業がマイニングを独占するのを防げるという 支払手段としてのビットコインの価値が大きく損なわれる 11月に再び分裂する可能性が高まっている 第2は、一部のデータをブロックチェーンの外で管理するもので、具体的には「Segwit」という仕組みが提案された。これは、ビットコインのソフトウェアを開発する「コア開発者」からなされていた 塵が収まったら、分割する 1月に「Segwit2x」が分岐する? 「ビットコインゴールド」も誕生する? 最も確実な対応は、取引をしないこと リプレイアタックにどう対処したらよいか? ビットコインに11月再分裂の危機、前回より事態は深刻 ダイヤモンド・オンライン 大手マイニングプール(発掘グループ)の1つが「ビットコインキャッシュ」(BCCまたはBCH)という新しい通貨の立ち上げを宣言し、8月1日にマイニングを開始 急激な価格の上昇は、円表示の手数料を引き上げてしまう。これは、ビットコインを送金手段に用いる際の障害となる 「リプレイアタック」は、差し迫った危険 「Segwit」導入を盛り込んだ「Segwit2x」という方法に、大手マイナーを含む関係者が合意し、大きな混乱なく「Segwit」導入への道筋が開けた ビットコインに「欠陥商品」の恐れ、異常な値上がりは不健全だ (仮想通貨) その5)(ビットコインに11月再分裂の危機 前回より事態は深刻、ビットコインに「欠陥商品」の恐れ 異常な値上がりは不健全だ、仮想通貨使う国内初のICOが不発だったワケ) 第1は、取引を記録するブロックのサイズを拡大するもの。これを支持していたのは、主として大手マイナー(ビットコイン発掘者 ホワイトペーパーを読んでもトークンの価値の源泉が何かがよくわからなかった ICOは、企業のステークホルダーたるユーザー、社員、投資家の3者の利益を一致させる画期的な仕組みだ ICOの成否を左右するPRも不足 学生の妄想や絵空事のような話が多い 今後はこの仕組みをベースに就労実績が証明できる人を企業に紹介していくというサービスも計画 労働者自身がスマートフォンのGPS(全地球測位システム)位置情報を用いて勤務状況を記録する仕組みを作った メタモが目指す「個人が持つスキルの可視化」 トークンの価値上昇というストーリーをうまく伝えられなかったことだ メタモも数億円単位で調達する算段だったというので不発に終わったといえる 日本国内企業によるICOの第1号案件 調達額はなんと約3万ドル メタモ 取引所や金融庁は正確な情報提供を ICO 調達額300万円に落胆したベンチャーの誤算 仮想通貨使う国内初のICOが不発だったワケ 完全なプロテクション」は行なわれない見通し 1BTCの送金情報は世界中に公開されるので、問題が生じる。 攻撃者がその情報をコピーし、そのままBT2のネットワークに送信すると、1BT2が太郎に送金されてしまう 取引所は、手数料の引き下げを検討すべきだろう 分岐によって「リプレイアタック」の危険 プロテクションが技術的には可能なのに、今回は導入されないということだ。 これはグループ間の対立で、どちらも自分たちが正当なものであると争っていることによる
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