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今日も更新を休むことになりそうなので、明日にご期待を!

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米国・韓国関係(米韓関係)(その1)(日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」、文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手) [世界情勢]

今日は、米国・韓国関係(米韓関係)(その1)(日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」、文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手)を紹介しよう。

先ずは、本年5月27日付け現代ビジネスが掲載した元駐韓国特命全権大使の武藤 正敏氏による「日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83519?imp=0
・『文在寅とバイデンの「落としどころ」  米韓首脳会談共同声明の最初の小題目に「同盟:新たなページを開く」という内容が入った。今後協力の幅を広げていくことに期待を示した形だ。 日米首脳会談の共同声明では「同盟:自由で開かれたインド太平洋を作る」とあった。まさに今回の米韓首脳会談は「米韓同盟の復元・拡大」をうたったものといえよう。 今回の米韓首脳会談は、対中戦略で韓国を中国から引き離し、日米韓協力の中に引きつけたい米国バイデン大統領と、米国バイデン大統領に北朝鮮金正恩総書記との首脳会談を行ってもらいたい文在寅大統領との駆け引きだった。 それでも、米韓双方にとって、同盟関係を再構築する上で成果のあった会談であった。文在寅氏は「最高の歴訪であり、最高の会談だった」と評価した。バイデン氏にとっても韓国と中国の関係に楔を打つための一歩となった。 韓国の元外務次官で駐日大使を務めた申ガク秀(シン・ガクス)氏は「日米韓協力で北朝鮮核問題の優先順位は従来よりも下がり、米国は対中政策の大きな枠組みの中で北朝鮮を扱おうとするだろう」と分析している。 「アメリカは北朝鮮に”よりソフト“に、韓国は中国に”よりタフ”に、お互いが譲歩したということだ」との元米政府高官の会談内容の総括もある。米韓共にその力点は異なっていたが、上手に対立点は避け、譲歩できるところを探り合った会談であった。 米国が最も韓国に求めたかったのはクアッドへの参加であったであろう。事前準備期間ではその点突っ込んで話し合われたと思われる。しかし、文在寅氏が中国への気遣いからこれに応じないことが明らかとなると無理に押すことはしなかった。 首脳会談後の共同記者会見で、ある記者が「中国が台湾に取る立場に対し、バイデン大統領は(韓国に)より強力な立場を取ることを要求していないのか」と問うと、バイデン大統領は文在寅大統領を見て「幸運を祈る(Good Luck)」といった。文在寅大統領が困ることをよく理解しているという意味だろう。 今回の会談に臨んだ米国側の配慮が良く出ている』、「上手に対立点は避け、譲歩できるところを探り合った会談」、トランプ時代とは大違いで、伝統的な米国外交に戻ったようだ。
・『目立った「バイデンのもてなし」  今回の首脳会談の焦点は、トランプ前大統領と文在寅氏の不仲によって形骸化していた米韓同盟の新たな再出発になるかどうかである。2018年の文在寅氏とトランプ大統領との会談では、トランプ氏は文大統領を隣に座らせておきながら、記者団の前で36分間も国内の政治問題について答弁し続けた。 しかし、文在寅氏によれば、バイデン氏は「皆が誠意をもって接してくれた。本当に待遇を受けているという感じだった」「会談の結果は期待以上だった」「米国が韓国の立場を理解し、反映するのに大いに力を注いだ」(文在寅氏)と礼節をもって接してくれたことに感謝した。 文在寅氏はもともと心情的に中国や北朝鮮に近い。経済的にみても韓国は中国との関係が深い。そのため、過度に中国に気を使う傾向にあった。 しかし、今回の会談を通じ文在寅氏はバイデン氏に好感を抱いたことだろう。韓国は米国や中国にコンプレックスを抱いている。 文在寅氏が中国を国賓訪問した時には、中国側主催の食事会は2回のみで、帰国後「ボッチ飯」であったとの批判を受けた。バイデン氏が丁重に文在寅氏をもてなしたということは、われわれ日本人が考える以上に重要なことである』、屈辱的な「2018年の文在寅氏とトランプ大統領との会談」とは、違って「礼節をもって接してくれたことに感謝した」ようだ。
・『北朝鮮への「温度差」  文在寅氏にとって重要だったことは、対北朝鮮で米国が韓国の立場に歩み寄ったと受け止められる内容だったことだろう。 共同声明では、「北朝鮮と外交を通じて緊張緩和のための現実的な措置を取る考えで一致した」と述べ、「2018年の(南北首脳による)板門店宣言と(米朝首脳による)シンガポール共同声明など南北・米朝の約束に基づく対話が朝鮮半島の完全な非核化に欠かせないことを再確認した」と記している。 青瓦台関係者は「米国は米朝合意だけではなく南北合意も尊重」「トランプ政権で進行した朝鮮半島平和プロセスの流れをバイデン政権も継続する」という意味だと評価している。 韓国はこの声明の内容をもとに、北朝鮮との交渉再開にめどをつけたい考えであり、この声明を踏まえ、文大統領は共同記者会見で「肯定的な反応に期待する」と北朝鮮側に秋波を送った。 しかし、同じ場所でバイデン大統領は金正恩総書記との首脳会談を行う条件を問われ「国務長官らが交渉をして、しっかりとした道筋がなければ会わない」と回答している。首脳間の温度差も浮き彫りになった形だ。 声明ではさらに「われわれはまた、われわれの対北朝鮮アプローチ法が完全に一致するよう調整していくことに合意した」と記している。もちろん今後北朝鮮との交渉を行っていく過程で、米韓の調整は必要であるが、この声明の内容は既に米韓では対北朝鮮アプローチに見解の相違があることを物語っているとする分析もある』、「首脳会談」ありきだった「トランプ」と違って、「国務長官らが交渉」を優先するオーソドックスなやり方をとる「バイデン」の下では「北朝鮮」問題は進展しないだろう。
・『韓国は中国の「拘束」から逃れられる…のか?  米韓首脳会談の共同声明には「中国」という言葉はなかった。その一方で「韓国と米国は、規範に基づいた国際秩序を阻害したり、不安定にしたり、脅かしたりするすべての行為に反対する」として、秩序を乱す主体を明示しないで迂回的に中国の行動を批判する形となった。 台湾問題は明示し、南シナ海の平和と安定も強調した。 米国は韓国の対中板挟み状態に配慮し、対中けん制の文面は抑えながらも、実質的に韓国の立場を米国に近づけることに成功した。これに対し、韓国は中国が台湾への干渉は内政干渉であり、容認できないと反発していることに関し、米韓と日米の共同声明の違いを説明し、中国の理解をうることに努めている。 鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は、「朝鮮半島問題を平和的方法で解決すべきという原則と、両岸関係の問題も平和的に解決すべきという原則は同じ性格」と述べるとともに「韓国政府は『一つの中国』の原則を確実に維持しながら、韓米同盟と韓中間の戦略的パートナーシップ間の調和を取りながら発展させていくという基本原則を持っている」とし、「中国も韓国政府の立場に対し理解してくれるものと期待している」と述べた。 また、外交部のチェ・ジョンゴン第一次官は「中国を露骨に名指ししなかった」点を強調、事態の鎮静化に乗り出した。しかし、「ルールに基づいた国際秩序を損ない……」「台湾海峡における平和と安定」など米国の対中戦略に歩調を合わせていることが明らかな表現がある。 特に、韓国が米韓共同文書で台湾に言及したのは初めてであり、「一つの中国」原則に触れるという意味合いを含んでいる』、「韓国」としても、「米国」側に精一杯すり寄る姿勢を示したかったのだろう。
・『米中対立と「安保問題」  韓国は「安保は米国、経済は中国」と言いながら、中国にすり寄ってきた。その後遺症が鮮明である。安全保障面の中韓関係には、台湾の問題のほかTHAADの正式配備問題がある。 現在までの4年間、在韓米軍のTHAADは臨時配備の状態が続いており、「三不合意(米国のMD)ミサイル防衛には参加しない、THAADの追加配備はしない、日米韓の軍事同盟は行わない)」の問題も残されている。 今回の首脳会談を通じ米国が韓国にミサイル技術を移転する見返りとして、その射程、重量などに対する制限指針を解除した。そのため韓国の軍事専門家も理論的には中国を攻撃するミサイルの開発も可能となり、この状態では北朝鮮の核ミサイル開発を防ぐTHAADの正式配備をためらう理由はないと指摘する。 また、三不合意もこれを機会に全面再修正すべきだとの指摘がなされている。韓国が中国の拘束から脱し、米韓首脳の共同声明に基づき米国に軸足を移すまでにはまだ、いくつものハードルがある。 今回の会談で米側はクアッドの問題で韓国を追求することはしなかった。韓国はそれでホッとしていることだろう。ただ、文在寅政権は何事も自分たちに都合のいいように解釈するネロナンブル(注)(自分がやればロマンス、他人がやれば不倫)の人たちだ。文在寅氏をホットさせてはいけない。問題があれば厳しく指摘すべきだ。この問題はいずれ出てくるだろう。 韓国は中国の圧迫を恐れ弁明に努めているが、これで中国は収まるのか。日本では台湾有事事態に備え「日米同盟の抑止力、対処力を絶えず強化していく」(菅総理国会答弁)ことにしているが、韓国にその覚悟はあるのか。 いずれ米中で立場を鮮明にしなければならない時が来るであろう』、「文在寅氏」があと1年の任期に「立場を鮮明に」するとは考え難い。
(注)ネロナンブル:韓国語でダブルスタンダード(Wikipedia)
・『ワクチン外交の行方  韓国は、クアッド本体への参加には慎重であるが、ワクチン、気候、先端技術などの作業部会参加を検討しているという事前の報道があった。米韓共同声明にはそのことに明示的には言及されていないが、実質は取ったということであろう。米韓共同声明では、半導体は3回、ワクチンは6回登場した。日米共同声明ではそれぞれ1回と3回であった。 首脳会談を契機に、サムスン、SKなど韓国大企業が計44兆ウォン(約4.3兆円)の大規模投資計画を発表したが、そのような実質的な協力成果を盛り込んだ形だ。 韓国国内が求めたワクチン供給の拡大やワクチンスワップでは米国の対応は文在寅氏にとって期待値以下であったかもしれない。青瓦台関係者は「米国側はワクチン支援を要請する国が多すぎる」と述べており、「特定国家とワクチンスワップを結ぶことは難しい」と理解したとしている。 また、「米国が韓国軍に対するワクチン支援を通じて55万人が接種できるワクチンを提供」するのも「ワクチン供給に関連した公平性と韓米同盟に対する配慮」の特別措置と考える、と評価した。 何よりも重要なことは、ワクチンの受託生産に合意するなどの成果である。 文在寅大統領は帰国後、内部会議で「訪米の成果を経済協力、ワクチン、韓米同盟や朝鮮半島平和プロセスなどの分野別に各部署から国民に詳しく知らせ、国民が体感できるように具体化してほしい」と訓示した。 兪英敏(ユ・ヨンミン)青瓦台秘書室長は、韓米首脳会談の後続措置関係首席秘書官会議において後続措置の点検と推進のために青瓦台タスクフォース(TF)を運営することにしたと報告した。 報告内容は、(1)半導体都バッテリーなど中核産業、ワクチンに対する「汎部署TF」を構成して米国との協力策模索、(2)グローバルワクチンパートナーシップの策定に向けた全部署と製薬会社が参加する専門家ワーキンググループの構成、(3)韓国側企業のコンソーシアム構成、原副資材の受給及び技術移転、コバックス(COVAX)との協力策などである。 韓国はファウェーの問題で米国から、米中どちらを取るのか態度を鮮明にするよう求められた時、政府は企業に対応を丸投げし、方針を示さなかった。今回財界人を同伴し、最先端分野に多額の投資を行うこととし、それを韓国政府もバックアップする体制を構築するというのは一定の前進である。 特に韓国にとって、経済的に中国の影響が大きくなりすぎており、これを分散させることは、中国リスクを軽減する上で必須である。また、財界にしてみれば、韓国内の各種規制が大きく米国に投資することにメリットは大きい。 ただ、中国にはすでに多額の投資をしており、こうした動きに中国が反発する場合には悩ましいところである。その場合企業に対応を任せるのではなく、韓国政府がしっかりバックアップをすることが重要である。首脳会談がそのスタートとなれば米韓同盟のすそ野は広がっていくだろう』、「文在寅大統領」が今後、「米韓関係」をどのように再構築してゆくのか注目したい。

次に、5月29日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学教授の薬師寺 克行氏による「文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手」を紹介しよう。
・『同盟国間の首脳外交にはたいていの場合、失敗がない。 実際の会談でいくら気まずい空気が漂っても、あるいは首脳同士の肌が合わなかったり、深刻な意見の違いがあっても、記者会見になると互いににこやかな笑顔で握手し、「信頼関係が構築された」などと演出する。そして、さまざまな合意内容が列挙された共同声明などの文書が公表される。 もちろん対立点が記録されることはないし、一方の国の主張だけが色濃く反映されることもない。表向きはすべてがうまくいったように装われ、首脳は自国民に向けて会談の成果を強調できるように作られている』、「同盟国間の首脳外交にはたいていの場合、失敗がない」とは言い得て妙だ。
・『韓国大統領は会談成果を「自画自賛」  5月22日(日本時間)、ワシントンでのバイデン大統領と韓国の文在寅大統領との会談も「失敗のない」外交の一例だろう。文大統領は「最高の歴訪、最高の会談だった」などと自画自賛している。 韓国国内で新型コロナウイルスのワクチンの委託生産ができるようになったことや、韓国軍55万人へのワクチン提供を確約してもらったことなど、わかりやすい成果が強調されている。事あるごとに激しく大統領を批判する野党からも厳しい声は上がっていない。 もちろん、今回の首脳会談がそんな単純なものではないことは言うまでもない。 アメリカにとって韓国は付き合いやすい同盟国ではない。文大統領は核問題などを脇に置いてでも北朝鮮との関係改善を急ぎ、同時に中国との良好な関係を重視している。「日米同盟関係が外交の基軸」とうたって何でも言うことを聞いてくれる日本とは異なり、今一つ信用のおけない相手でもある。 だからといって中国との対立を強めるバイデン政権は、そんな韓国を放っておくつもりはなかったようだ。共同声明の文言や首脳会談に伴うイベントなどを詳細にみると、アメリカにも中国にもいい顔をしようとする韓国との同盟関係を修復し、自陣営にしっかりと取り込んでおこうというアメリカ側の戦略がはっきりと見えてくる。 それに対し、文在寅大統領はとにかくバイデン大統領と会談をしたかったようだ。最大の理由は、残り1年足らずとなった任期中に南北関係の改善を実現したいことにある。 北朝鮮に対する国連安保理事会の経済制裁が継続しているため、韓国は北朝鮮に援助をしたくても身動きがまったく取れない。何か成果を上げるにはアメリカの協力が不可欠で、同時に中国への経済的依存が高まっているため、中国との良好な関係も維持したい』、「文在寅大統領」の「八方美人的外交」は上手くいくのだろうか。
・『矛盾に満ちた文大統領の「願望」  ところが、アメリカは北朝鮮問題に完全な非核化を求めており、甘い対応をする気はない。また中国との間ではかつてないほど対立が激化している。そして韓国とアメリカは相互防衛条約を結ぶ、れっきとした同盟関係にある。 つまり、文大統領の願望は矛盾に満ちているのである。アメリカよりも中国や北朝鮮に比重を置く文大統領は、八方美人的外交を維持するためにアメリカの理解が不可欠である。だから直接の首脳会談を求めていたのだ。 となると首脳会談でバイデン大統領の方が優位に立てるわけで、それを生かして、アメリカはいろんなところに仕掛けを用意したようだ。 まず会談に先立って、アメリカ側は朝鮮戦争に従軍した退役軍人に名誉勲章を贈る行事を設定し、文大統領を同席させた。朝鮮戦争でアメリカは180万人の兵を出し、13万人が死亡している。そして94歳の元軍人は人海戦術を展開した中国軍を相手に激しい戦闘を生き残った人物だった。) このイベントに文大統領を同席させたのは、アメリカと韓国はともに戦い血を流した「血盟関係」であること、そして共通の敵は中国であったことを韓国側に想起させようという意図が浮かんでくる。文大統領がどう思うかはともかく、韓国の政府や国民に対する強烈なメッセージであることは間違いない。 朝鮮戦争は共同声明にも登場する。冒頭、いきなり「大韓民国とアメリカ合衆国との間の同盟は70年前の戦場で肩を寄せ合って一緒に戦い」と切り出している。さらに「韓国とアメリカは国内外で民主的規範、人権と法治の原則が支配する地域のビジョンを共有している」と続く。 間違っても韓国はバイデン大統領が「専制主義」と呼ぶ中国の仲間ではないのだということを念押しするとともに、韓国が過剰に中国に接近することをけん制している』、「会談に先立って、アメリカ側は朝鮮戦争に従軍した退役軍人に名誉勲章を贈る行事を設定し、文大統領を同席させた」、「アメリカと韓国はともに戦い血を流した「血盟関係」であること、そして共通の敵は中国であったことを韓国側に想起させようという意図」、「アメリカ」の演出は心憎いばかりだ。
・『「ミサイル指針」を終了させた背景  共同声明には、韓国がかねて要求していた「ミサイル指針」の終了も盛り込まれた。これは韓国側の得点のように見えるが、やはりそんな単純な話ではない。 ミサイル指針というのは、朴正煕政権時代の1979年、アメリカが韓国にミサイル技術を供与するときに設けられたものだ。韓国が開発する弾道ミサイルの射程距離や弾頭の重量を制限することが目的で、アメリカの意向を無視して韓国が勝手に能力の高いミサイルを開発できなくなった。 韓国側からすれば、自らの主権が制限されていることになり、これまで何度かこの制限が緩和されてきた。文大統領はこの問題に特に熱心に取り組み、在任中に2回も見直しを実現した。その結果、当初180キロだった射程距離は800キロに延び、500キログラムだった弾頭重量の制限もなくなった。そして今回の終了合意で射程距離の制限もなくなることになる。 800キロという射程距離には大きな意味がある。800キロの射程は韓国から発射するミサイルが北朝鮮全土をカバーすることができる。しかし、ソウルと北京は950キロあることから、北京には届かない。軍事的には絶妙の数字なのだ。 つまり、射程距離の制限撤廃は、韓国のミサイルが北朝鮮を超えて北京に届くことが可能になることを意味する。もちろん韓国が直ちに北京に届くミサイルを開発するわけではないだろう。しかし、中国にとっては穏やかな話ではない。 アメリカ軍のTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)が2017年に韓国に配備されると、中国政府が中国人の韓国旅行をストップしたり、韓国製品の徹底した不買運動を展開するなど激しく反発したことは記憶に新しい。今回のミサイル指針の撤廃に対して中国は今のところ強い反発はしていない。しかし、中国と韓国の間にすき間風を吹かせる効果を持っていることは間違いない』、「ミサイル指針」の「終了」は日本に悪影響はないのだろうか。
・『北朝鮮問題にアメリカは「ゼロ回答」  一方、文大統領がこだわった北朝鮮問題について、アメリカは事実上のゼロ回答だった。首脳会談でどこまで話されたかは知る由もないが、国連安保理制裁の緩和や韓国が独自に実施する北朝鮮への支援の容認などは、共同声明でまったく触れられていない。そして、北朝鮮の完全な非核化や人権状況の改善など、これまでと変わらない方針が合意されている。 韓国側はバイデン大統領に対し、トランプ前大統領のようなトップダウンによる米朝首脳会談を期待していたようだが、バイデン大統領にそんな気はなさそうだ。かといってオバマ元大統領時代の「戦略的忍耐」という名のもと、何もしないというわけでもなさそうだ。一気に問題解決を図るのではなく、実務家同士の交渉を積み上げ、北朝鮮から譲歩を引き出していくボトムアップ方式で臨むようだ。 であれば文大統領の任期中に、北朝鮮問題の大きな進展は期待できない。つまり、文大統領の要求は受け入れられなかったに等しい。 結局、共同声明の全体を見ると、美辞麗句で装いながらも韓国を同盟国の一員として対中戦略に組み込もうというアメリカの戦略がしっかりと盛り込まれている。自らの主張を強引に受け入れさせることしか考えなかったトランプ政権の直線的外交とは対照的に、バイデン政権の外交ははるかに洗練されていると言えそうだ』、同感である。
タグ:東洋経済オンライン 現代ビジネス 薬師寺 克行 武藤 正敏 米国・韓国関係 (米韓関係) (その1)(日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」、文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手) 「日本メディアは報じない…韓国・文在寅が「米韓首脳会談」で見せた「意外すぎる変化」」 「上手に対立点は避け、譲歩できるところを探り合った会談」、トランプ時代とは大違いで、伝統的な米国外交に戻ったようだ。 屈辱的な「2018年の文在寅氏とトランプ大統領との会談」とは、違って「礼節をもって接してくれたことに感謝した」ようだ 「首脳会談」ありきだった「トランプ」と違って、「国務長官らが交渉」を優先するオーソドックスなやり方をとる「バイデン」の下では「北朝鮮」問題は進展しないだろう。 「韓国」としても、「米国」側に精一杯すり寄る姿勢を示したかったのだろう。 「文在寅氏」があと1年の任期に「立場を鮮明に」するとは考え難い。 「文在寅大統領」が今後、「米韓関係」をどのように再構築してゆくのか注目したい。 「文大統領を自画自賛させた「バイデン外交」の周到 中国対抗の一環、韓国取り込みにあの手この手」 「同盟国間の首脳外交にはたいていの場合、失敗がない」とは言い得て妙だ。 「文在寅大統領」の「八方美人的外交」は上手くいくのだろうか。 「会談に先立って、アメリカ側は朝鮮戦争に従軍した退役軍人に名誉勲章を贈る行事を設定し、文大統領を同席させた」、「アメリカと韓国はともに戦い血を流した「血盟関係」であること、そして共通の敵は中国であったことを韓国側に想起させようという意図」、「アメリカ」の演出は心憎いばかりだ。 「ミサイル指針」の「終了」は日本に悪影響はないのだろうか。 自らの主張を強引に受け入れさせることしか考えなかったトランプ政権の直線的外交とは対照的に、バイデン政権の外交ははるかに洗練されていると言えそうだ』、同感である
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海外事業(海外投資)(その2)(元日経のエースも参画 「深圳再開発」への疑問 宮越HD 1200億円の巨大プロジェクトの不可解、資生堂 「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業 ブランド整理加速の序章か、スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか) [企業経営]

海外事業(海外投資)については、2016年8月18日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その2)(元日経のエースも参画 「深圳再開発」への疑問 宮越HD 1200億円の巨大プロジェクトの不可解、資生堂 「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業 ブランド整理加速の序章か、スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか)である。なお、タイトルから「の失敗・不振」は削除した。

先ずは、3月17日付け東洋経済オンライン「元日経のエースも参画、「深圳再開発」への疑問 宮越HD、1200億円の巨大プロジェクトの不可解」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/416702
・『2021年に入り、東証1部上場の宮越ホールディングス(HD)の株価がにわかに上昇している。背景にあるのが中国で行うとしている巨大な再開発計画だ。 同社は長年、中国などで音響・映像機器の製造を手がけてきたが、バブル崩壊後の1990年代に業容が悪化し、その後撤退。生産工場として1987年に取得したという深圳市福田区の工場跡地13.6万平方メートル(一部譲渡し現在は12.7万平方メートル。東京ドーム3個分)を活用し、中小事業者向けのオフィスや運動場として貸し出してきた。現在は収益のすべてがこの不動産の賃貸収入だ。 それが2018年に突如、深圳の工場跡地に建設費70億元(当時の為替レートで約1200億円)を投じて大規模再開発を行うとぶち上げた。具体的には、テナントとして世界中からイノベーション企業500社を誘致し、研究開発拠点、オフィス、商業、住宅を含むアジア最大級のワールド・イノベーション・センター(WIC)に生まれ変わらせるというものだ。 当初、2019年に現地政府から開発許可を得たうえで、2020年上半期に建設工事を開始、2021年に開業するというものだったが、計画発表後、現地政府からの開発許認可が下りることはなかった。しかし2021年1月8日、「WIC開発構想進捗」「平井卓也デジタル改革担当大臣との会談」と題した情報を自社サイトで発信。時を同じくして株価も上昇しはじめた。 「ちょうどよいところに来た」 2021年2月下旬、大田区の宮越HD本社に取材に訪れると、事前の予告なしに宮越邦正会長兼社長が記者を出迎えた。「あなたはちょうどよいところに来た。中国の旧正月が明けて、2月23日に深圳市福田区の政府から今年この地域一帯を重点プロジェクトとして開発するという方針が正式に打ち出された」(宮越社長)と切り出したのだ。 会社側の説明と資料内容をまとめるとこうだった。まだ現地政府の開発許認可は下りておらず、いくつかのプロセスを経る必要があるものの、順調にいけば2021年の夏前に開発許認可を得たのち設計に入り、2022年初に既存施設を取り壊して着工、早ければ2023年半ばに4つに区分けしたうちの第1期ビルを開業する予定だという。 「傘下に設計や不動産開発会社を持つシンガポールの(政府系投資会社)テマセク・ホールディングスが事業提携をしたいという話も来ていて、彼らは2年で全部建てられるという。コロナで開発が遅れた分を取り戻せるかもしれない」「(再開発計画が軌道に乗ったら)バークシャー・ハサウェイのような少数精鋭の投資会社として本格的にやろうと」。今年で80歳の宮越社長は、はきはきとした口調で1時間近く壮大な深圳の計画を披露した。 この日の取材には日本経済新聞社で経済部長兼日経フィナンシャル編集長を務めていた矢沢俊樹氏が、宮越HDの広報IR担当者として同席。矢沢氏は日経新聞の中では社長候補とも目されたエースだったが、 2021年2月に宮越HDの常務執行役員経営企画本部長に就任している。 業容拡大に必要な陣容を整えるため、 宮越HDは、ほかにも大手ゼネコンや証券会社の元幹部などを次々に迎え入れている。 その後、3月8日の朝に「2030年に時価総額1兆円 少数精鋭のエクセレントな投資会社へ飛躍」と題したトップメッセージが同社のホームページ掲載されると、宮越HDの株価はストップ高となった。2020年末に666円(終値)だった株価は3月11日のザラバで一時1366円まで急騰した。 だが、深圳での巨大な再開発計画について、関係者に取材を進めていくと不可解な点がいくつか出てきた』、「平井卓也デジタル改革担当大臣との会談」は、同社のHPから削除されたようだ。社長はかなり山っ気がありそうだ。株価は足元でも1068円と高値圏にある。HPの「深センプロジェクトは下記の通り。
http://www.miyakoshi-holdings.com/project/
・『入居意向書に記された有名企業に尋ねた  取材当日、宮越社長が「これは、本当は見せてはいけないから、ささっと飛ばしますけども」と前置きしつつも、記者にぱらぱらとめくってみせる中国語のタイトルが書かれた赤い装丁の立派な冊子には、有名な東証1部上場の企業名とハンコがずらり。日本の大手企業の入居意向を取り付け現地政府に提出したとする「意向書」をまとめた名簿だという。 取材時、宮越社長は「時価総額10兆円以上もあるあの会社も、出てくるとは言いませんけど、この名簿の中にはそれに似たような会社さんが全部入っています」「(日本企業の誘致目標100社のうち)すでに7割超を取り付けた。なかなかのものでしょう?」と説明した。 記者は後日、宮越社長から見せられた冊子の中で社名が目視で確認できた複数の上場企業に、匿名を条件に事実関係の確認を申し込んだ。深圳市福田区で計画されている不動産再開発について、テナントとして入居する意向書を提出している事実もしくは予定があるかを、中国の関連子会社も含めて照会してもらったのだ。 すると、いずれの企業も進出を否定。「そのような事実は確認できませんでした。計画もないと聞いています」という答えのほか、「海外事業の統括部門や中国子会社の経営陣にも確認しましたが、そういった情報はありません。そもそもうちは深圳に進出できておらず……。他社との間違いではないですか?」という困惑した回答もあった。 宮越HDは、1966年に宮越社長が25歳で東邦電器製作所を創業、電子部品の製造を開始したのが発祥だ。その後オーディオメーカーのユニセフグループとして業容を拡大。1983年にはダイエーから東証1部上場の音響機器メーカーであったクラウンを買収、1984年には東芝から東証2部上場の冷凍機器メーカー・田尻機械工業の経営権を取得するなど新興の投資グループとしても名を馳せた。 だが音響機器の基幹事業は新興国との価格競争で1990年代以降、大幅に縮小。財テクの失敗が追い打ちをかけ、バブル崩壊とともに凋落の一途をたどった。株価操縦を狙った仕手筋が暗躍していた銘柄として取り沙汰されたこともある。そんな中、生産工場向けに取得したという深圳市の土地が、今やハイテク都市の一角となったことで億円単位の賃料収入を生んでいる。 実は宮越HDによる深圳での再開発計画が浮上したのはこれが初めてではない。現地メディアによれば、宮越社長は2006~2007年に深圳をたびたび訪問。当時の陳応春副市長と面談し、19億元(現在の為替レートで約310億円)を投じて「ハイテク企業園区」へと再開発し、日本企業100社前後を誘致する計画だと報じられた。 2010年には深圳市省エネ協会と省エネルギー・環境保護事業で提携し合弁会社「深圳国際省エネセンター(仮称)」を設立するとのリリースを出している』、「テナントとして入居する意向書を提出」、については裏付けが取れないようだ。同社の1980年代以降の戦略をみると「山っ気」が伺える。「深圳市の土地が・・・億円単位の賃料収入」、これが主たる収入源のようだ。
・『当局は重点プロジェクトを発表していない  しかしその後、再開発計画は進展が見られなかった。会社側は「(2012年に起きた)尖閣諸島の反日デモ問題が影響した」(板倉啓太常務取締役)と説明してきたが、現地の不動産関係者からは、「深圳市政府は外資単独での開発は支持できないというのが一貫した態度。宮越側も過大な要求を続けて立ち消えになった」という話が聞かれる。 近年の状況についても、「現地のパートナー企業である美芝電器(宮越HDの子会社で深圳の不動産賃貸事業を手がける皇冠電子に10%出資)の創業者が亡くなり、 現地政府が同社の過去の放漫経営を問題視。(皇冠電子が所有するという)工場用地に関しても、当局の資産調査が入るかもしれない」(前出の関係者)といった不穏な指摘も聞かれる。 宮越社長が語った同社の工場用地一帯が「重点プロジェクトに認定されることになった」という情報は、少なくとも現時点では現地政府から対外的な発表はされていない。宮越HDはホームページで「できるだけ速やかに正式な開発許可を取得すべく精力的に協議」としているが、当局から開発許可が下りるかどうかは定かでない。 宮越HDが深圳での再開発計画を進めるとした場合、もう一つハードルになりそうなのが開発資金だ。総額1200億円(4区画の合算、1区画300億円)もの巨大プロジェクトを実現するには、同社の財務規模では自己資金(2020年末の現預金は114億円)と事業収益だけでまかなうのは現実的に不可能で、今後、何らかの資金調達が必要になる。 実際、宮越HDは再開発計画を公表した2018年、大株主クラウンユナイテッド(宮越社長一族が100%の議決権を保有するネットホールディングの完全子会社)に対する第三者割当増資で77.4億円を調達している。 このスキームはやや複雑で、まず東京スター銀行が宮越社長個人に対して融資を行い、その後、宮越社長がクラウンユナイテッドに融資。同社への第三者割当増資により宮越HDに資金が入るという形式をとっている。クラウンユナイテッドは、第三者割当増資で取得した宮越HDの株式を担保として東京スター銀行に提供している』、「東京スター銀行が宮越社長個人に対して融資」から「スキーム」が始まっているのは、同社そのものより「社長個人」の方は信用力があるともいたためだろう。なお、同社HPの「深センプロジェクト」は以下。
http://www.miyakoshi-holdings.com/project/
・『日経の元経済部長を財務担当に  なぜ宮越社長個人を介して融資する必要があるのか。会社側は「クラウンユナイテッドが債務超過で融資審査基準に適さないため」(板倉常務)と説明している。 宮越社長は2月下旬の取材時、金融業界に幅広いネットワークを持つ日本経済新聞出身の矢沢氏に財務本部長を兼任させる予定だと語っていた。「(再開発の資金として)自己資金のほか、国内金融機関や政府系金融機関から調達していきたい」(宮越社長)としているが、矢沢氏はその責務を担うことになるのだろうか。 時価総額1兆円を目指すというホームページ上の社長メッセージは、「さて、次はどんな宮越流の一手をポケットから取り出そうか。山あり谷ありの人生でしたが、私は今ほど胸がワクワクしていることはありません」と締めくくられている』、「日本経済新聞出身の矢沢氏」を獲得というのは驚きだが、FACTA Online4月号によれば、「昨年11月下旬、矢沢氏は突如、依願退職してしまう。その真相は謎だが、社内での女性ハラスメント問題が一因だったともされる ………」、もっともらしい説明ではあるが、やはり「真相は謎だ」。いずれにせよ、壮大なプロジェクトの今後が注目される。

次に、5月11日付け東洋経済オンライン「資生堂、「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業、ブランド整理加速の序章か」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/427335
・『「ドルチェ&ガッバーナの その香水のせいだよ」――。キャッチーなフレーズと独特のハスキーボイスで一躍ヒット曲となった、瑛人の「香水」。この歌詞を思わず口ずさんでしまいそうな動きが、化粧品メーカー最大手の資生堂で起きた。 資生堂は4月28日、2021年12月期に350億円の特別損失を計上する見込みとなったと発表した。原因となったのは、ドルチェ&ガッバーナ社との香水などに関するライセンス契約の解消だった。 ドルチェ&ガッバーナはバッグや化粧品を展開するイタリアの高級ファッションブランド。資生堂は2016年にドルチェ&ガッバーナ社と、香水やメイク化粧品などの開発・生産、販売などを世界各国で行う契約を締結した。しかし、2021年12月31日をもって、その契約を解消するという』、出資した時は威勢良かったが、撤退する時は悲惨だ。
・『国内で販路拡大を進めていたが・・・  350億円という特別損失の額は、アメリカの子会社・ベアエッセンシャルの減損損失などで811億円を計上した2017年12月期以来の大きさとなる。資生堂が期初に示した2021年12月期の純利益予想は115億円。5月12日に予定している2021年1~3月期の決算発表時に、7月の日用品事業売却(譲渡額は1600億円)と併せて、通期業績への影響が説明される見込みだ。 「豪華なおまけなどを付けて販促を頑張っていたし、私の店舗では売れていたブランドだった。まさか契約を解消するとは」。資生堂のある美容部員は驚きを隠せない様子だ。 2019年にはドルチェ&ガッバーナのブランドで国内の常設店舗をオープン。その後も取り扱い店舗を増やしてきた。注力していたブランドを手放す展開にはちぐはぐな印象を受けるが、国外に目を移すと厳しい事情が見えてくる。ドルチェ&ガッバーナは中国で苦戦を強いられていた。きっかけは2018年に起きた広告をめぐる騒動。本国のドルチェ&ガッバーナ社が、箸を使ってピザやスパゲッティを不器用に食べる中国人女性の動画を公開したところ、侮蔑した内容であり人種差別的だとして、中国で批判の的となった。 批判の矛先はドルチェ&ガッバーナ社に向けられたとはいえ、資生堂も影響を免れなかった。中国の大手ECサイトでは、今もドルチェ&ガッバーナの商品が販売されていないからだ。アリババの「天猫(Tモール)」や京東集団の「JD.com」では、同ブランドを検索しても「関連する商品は見つかりません」と表示される。事実上、中国市場から締め出されているのだ。 また、ドルチェ&ガッバーナが得意とする香水やメイク化粧品は外出時に使用することが多く、コロナ禍で売り上げの落ち込みが激しかった。資生堂における、同ブランドの2020年12月期の売り上げは前期比28%減。これは日本国内の化粧品市場の20%減やアメリカの同市場の8%減(2020年、イギリスの市場調査会社ユーロモニター調べ)を大きく上回る』、「本国のドルチェ&ガッバーナ社が、箸を使ってピザやスパゲッティを不器用に食べる中国人女性の動画を公開したところ、侮蔑した内容であり人種差別的だとして、中国で批判の的となった」、海外投資の難しさだ。
・『欧米での拡大策は惨憺たる結果に  資生堂は2010年のベアエッセンシャル社買収を皮切りに、欧米で積極的な拡大策を続けてきた。メイク化粧品のローラ メルシエや自然派スキンケアのドランクエレファントを立て続けに買収した。 しかし、結果は惨憺たるものだ。2016年以降、アメリカ事業とヨーロッパ事業で計上した営業赤字は累計1000億円を超える。加えて、今まで稼ぎ頭だった日本と中国事業がコロナ禍の影響で低迷し、欧米事業の赤字をカバーできなくなってしまった。今年2月に開催された決算説明会で、魚谷雅彦社長は「欧米の収益性の改善は最大の課題」と危機感をあらわにした。 「欧米事業はブランドの価値を上げるために採算度外視で進出しており、もともと赤字体質だった。さらにM&Aを中心とした拡大戦略によって、のれん償却などのコストがかさみ、赤字幅が拡大していた」。資生堂の元役員の1人はそう指摘する。) 資生堂は戦略の転換を余儀なくされている。「(ブランド)ポートフォリオを変更し、『SHISEIDO』や『クレ・ド・ポー ボーテ』など日本発の収益性の高いスキンケアブランドを徹底的に強化していく」と、魚谷社長は2月の決算説明会で表明した。欧米事業ではドルチェ&ガッバーナ以外にもブランドの撤退や売却を進めることが予想される。 次の売却ブランドはどこになるのか。それを探る手がかりとなるのが、「(欧米では)メーキャップとフレグランス事業は抜本的に収益構造の改革をしていく」という魚谷社長の発言だ。 資生堂はドルチェ&ガッバーナ以外にも、2020年1月にアメリカのファッションブランド・トリーバーチとライセンス契約を結び、香水などの製造・販売を行っている。ただ香水の原料となる香料やアルコールは、化粧品としては原価が高い。容器などの包装にもコストがかかり利益率は低い。 「利益率を高めるのであれば採算性の低い香水から撤退し、儲かるスキンケアの売上比率を高める戦略は正しい」(あるOB)。このような見方に立てば、トリーバーチからの撤退も十分に考えられる』、「「欧米事業はブランドの価値を上げるために採算度外視で進出しており、もともと赤字体質だった。さらにM&Aを中心とした拡大戦略によって、のれん償却などのコストがかさみ、赤字幅が拡大していた」、そんな甘い姿勢では、「欧米での拡大策は惨憺たる結果に」、なったのは当然の結果だ。
・『最大の焦点はベアエッセンシャル  とはいえ、売却対象の最有力候補はなんといってもアメリカのベアエッセンシャルだ。 2010年に1800億円で買収したものの、その直後から業績が悪化。2013年3月期と2017年12月期に、計900億円を超える減損を計上した。現在も店舗の縮小などを続けている「お荷物ブランド」だ。一刻も早く手放したいのはやまやまだろうが、問題は売却先が見つかるかどうかだ。 香水やメイク化粧品からの撤退を進め、利益率が高い高価格帯スキンケア領域の比率を上げていく構えを取る資生堂。一方で、この新戦略を不安視する向きもある。「香水が中心のヨーロッパやメイクが中心のアメリカで、スキンケア商品が売れるとは考えづらい」。前出とは別のOBはその実現性に疑問を投げかける。 資生堂は2020年に7年ぶりの最終赤字に転落し、大手化粧品メーカーでは"独り負け"となった。「プロ経営者」として2014年に就任した魚谷社長は、同社の業績を復活させ長期的な成長に向けた道筋を示すことができるのか。その手腕が問われる正念場を迎えている』、「香水が中心のヨーロッパやメイクが中心のアメリカで、スキンケア商品が売れるとは考えづらい」、との懸念ももっともだ。「プロ経営者」の化けの皮が剥がれたようだ。

第三に、5月29日付け東洋経済オンライン「スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/430792
・『今年、どういうふうにインド市場が回復していくのか、明確に生産計画を言えない状況にある」 国内軽自動車大手・スズキが5月13日に開いた決算説明会。鈴木俊宏社長は終始厳しい表情で語った。 スズキの2021年3月期決算は、売上高が前期比8.9%減の3兆1782億円、営業利益は同9.6%減の1944億円に沈んだ。3期連続の営業減益となる』、「インド市場」が「低迷」しては打つ手もなさそうだ。
・『コロナで3000店舗が営業停止に  スズキはこの2年間、インド市場の低迷に苦しんできた。スズキにとってインドは世界販売台数の半分以上、売上高の約3割を占める主要マーケットだ。インドでは銀行の不良債権問題が発端となり、自動車ローンを提供するノンバンクの貸し渋りが2019年に発生。自動車販売が大きく減少し、これに引きずられてスズキの業績も大きな打撃を受けた。 2019年末にはいったん販売が上向き、市場回復の兆しが見えていたが、その矢先に新型コロナウイルスがインド全土を直撃した。厳格なロックダウンが実施され、スズキがインドで展開する約3000店の自動車販売店も全店営業できず、インド国内に3カ所ある生産工場も稼働停止を強いられた。 2020年4月にはインドに展開する全自動車メーカーの販売台数合計がゼロ台となる前代未聞の出来事も起きた。その結果、スズキは2期連続の減収減益決算に陥った。 しかもスズキは国内の自動車メーカーで唯一、2022年3月期の業績予想を公表できなかった。2020年5月に2021年3月期の業績予想を公表できたのは最大手のトヨタ自動車だけだったが、2021年はスズキを除く各社とも業績予想を発表している。 他社と同様、半導体不足や原材料費の高騰といった不安要素を抱えてのスタートとなったスズキだが、他社と大きく異なるのがインドに収益を大きく依存していることだ。 インドが好調だった2018年3月期、スズキは営業利益の4割以上をインド子会社のマルチスズキで稼いでいた。それが2021年3月期には17%まで低下した。日本市場のこれ以上の成長が厳しい中、スズキが大きな成長を期待できる市場がインドなのだ。 インドの感染状況は深刻だ。陽性者数は5月27日時点で240万人以上、累計で31万人以上が死亡している。インドでは感染拡大当初から、症状が出てもPCR検査を受けない人もいることなどから陽性者数のカウント漏れが指摘されており、実態はより厳しいとみられる。 インド国内に36ある州のうち、5月13日時点で28州がロックダウンを行っている。2020年の厳格な措置とは違い、物流など一部機能は維持されているが、スズキの販売店は13日時点で8割が休業を余儀なくされている』、「8割が休業」とは深刻だ。
・『酸素不足で自動車生産を一時停止  感染者が一気に増加したことで2020年にはなかった問題も発生した。医療用酸素の不足だ。自動車の生産にも部品製造の段階などで工業用酸素を使用する工程がある。各事業者はインド政府からの要請で工業用酸素を医療向けに提供しており、自動車の生産が難しくなった。 スズキもこれを受けて、現地の生産拠点すべての稼働を5月1日から停止した。当初は6月に予定していたメンテナンスの前倒しという形で5月9日までの停止としていたが、最終的には減産期間を5月16日まで延長した。 5月17日には酸素を使わない生産方式に切り替え、全工場の稼働を再開した。とはいえ、フル稼働ではなく、販売店の休業も続いている。そうした状況でも財政赤字を抱える政府の企業支援策は手薄だ。ジェトロの村橋靖之ニューデリー事務所長は「今回の第2波はあまりに短期間に感染者が急増したため、政府支援も酸素の確保や医療体制支援等に集中した。企業活動の一部も継続しているので、現時点で具体的な企業支援策は講じられていない」と指摘する。 インド経済に詳しい日本総合研究所の熊谷章太郎副主任研究員も「政府が景気刺激策を実施しても、そのために必要な国債の増発により、長期金利が上昇して景気浮揚効果を打ち消してしまう展開も想定される」と話す。かえって景気の悪化が長引くことになってしまううえ、2019年にインド減速の原因となった金融不安も残る。 悩ましいのは、スズキの「外患」がインドだけでないことだ。2月に国軍がクーデターを起こし、現在も市民の弾圧を続けるミャンマーも大きなリスクを抱えている』、「ミャンマーも大きなリスク」とは踏んだり蹴ったりだ。
・『ミャンマー工場は稼働停止に  スズキがミャンマーで自動車生産を始めたのは1999年のこと。現在は4輪車工場が2カ所あり、スイフトやキャリイなど4車種を年間約1.3万台、生産している。2019年の市場シェアは約60%とトップシェアを誇っており、2020年には120億円を投じ、年間4万台の生産能力を持つ新工場の建設をヤンゴン市南東にあるティラワ工業団地で進めていた。 ティラワ新工場の稼働予定は2021年9月だったが、鈴木社長は「(ミャンマーは)先行きが読める状況ではない、ミャンマーの情勢をしっかりみながら、どの時期に生産を開始するのがいいか判断する。常識的に考えると9月の稼働は難しい」と話す。ミャンマーの現状を考えると稼働延期の可能性が高く、既存工場も2月から稼働停止が続いている。 5月の決算説明会で鈴木社長は「(インド以外の新市場といっても)他の市場はリスクが低いかというと、ミャンマーの例があったりする。新しい市場に行くというのは簡単に見えて非常にリスクが高い。僕はインド以上に(新市場は)リスクが高いと思っている」と語り、インドに収益を依存した現状からの脱却には否定的な考えだ。 6月の株主総会で鈴木社長の実父である鈴木修会長が引退し、スズキの舵取りは鈴木社長の肩に全面的にのしかかる。インドの新経営体制は発足して早々、難題が突きつけられることになった』、「インド」の「感染拡大」は、ワクチンが遅れていることもあって、当面、続きそうだ。「スズキ」としては、固定費負担圧縮などで耐え忍ぶほかなさそうだ。
タグ:東洋経済オンライン 海外事業 (海外投資) (その2)(元日経のエースも参画 「深圳再開発」への疑問 宮越HD 1200億円の巨大プロジェクトの不可解、資生堂 「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業 ブランド整理加速の序章か、スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか) 「元日経のエースも参画、「深圳再開発」への疑問 宮越HD、1200億円の巨大プロジェクトの不可解」 「平井卓也デジタル改革担当大臣との会談」は、同社のHPから削除されたようだ。社長はかなり山っ気がありそうだ。株価は足元でも1068円と高値圏にある。HPの「深センプロジェクトは下記の通り。 http://www.miyakoshi-holdings.com/project/ 「テナントとして入居する意向書を提出」、については裏付けが取れないようだ。同社の1980年代以降の戦略をみると「山っ気」が伺える。「深圳市の土地が・・・億円単位の賃料収入」、これが主たる収入源のようだ。 「東京スター銀行が宮越社長個人に対して融資」から「スキーム」が始まっているのは、同社そのものより「社長個人」の方は信用力があるともいたためだろう。なお、同社HPの「深センプロジェクト」は以下。 http://www.miyakoshi-holdings.com/project/ 「日本経済新聞出身の矢沢氏」を獲得というのは驚きだが、FACTA Online4月号によれば、「昨年11月下旬、矢沢氏は突如、依願退職してしまう。その真相は謎だが、社内での女性ハラスメント問題が一因だったともされる ………」、もっともらしい説明ではあるが、やはり「真相は謎だ」。いずれにせよ、壮大なプロジェクトの今後が注目される。 「資生堂、「ドルガバ終了」から始まる欧米撤退戦 赤字続く欧米事業、ブランド整理加速の序章か」 出資した時は威勢良かったが、撤退する時は悲惨だ。 「本国のドルチェ&ガッバーナ社が、箸を使ってピザやスパゲッティを不器用に食べる中国人女性の動画を公開したところ、侮蔑した内容であり人種差別的だとして、中国で批判の的となった」、海外投資の難しさだ。 「「欧米事業はブランドの価値を上げるために採算度外視で進出しており、もともと赤字体質だった。さらにM&Aを中心とした拡大戦略によって、のれん償却などのコストがかさみ、赤字幅が拡大していた」、そんな甘い姿勢では、「欧米での拡大策は惨憺たる結果に」、なったのは当然の結果だ。 「香水が中心のヨーロッパやメイクが中心のアメリカで、スキンケア商品が売れるとは考えづらい」、との懸念ももっともだ。「プロ経営者」の化けの皮が剥がれたようだ。 「スズキが直面「インドとミャンマー」という難関 積年の課題「インド一本足」から脱却できるか」 「インド市場」が「低迷」しては打つ手もなさそうだ。 「8割が休業」とは深刻だ。 「ミャンマーも大きなリスク」とは踏んだり蹴ったりだ。 「インド」の「感染拡大」は、ワクチンが遅れていることもあって、当面、続きそうだ。「スズキ」としては、固定費負担圧縮などで耐え忍ぶほかなさそうだ。
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防衛問題(その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…) [国内政治]

防衛問題については5月11日に取上げた。今日は、(その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…)である。

先ずは、5月6日付けJBPressが掲載した軍事社会学者の北村 淳氏による「自衛隊とは大違い、米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65176
・『トランプ政権時代にアメリカの国防戦略が大転換され、中国とロシアを筆頭とする軍事強国がアメリカ軍にとっての主たる仮想敵として位置づけられた。 それを受けてアメリカ海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直しを基に昨年(2020年)3月末に公表された「フォースデザイン2030」というガイドラインに準拠して、組織全体にわたる抜本的大改革を開始した』、「国防戦略が大転換」に伴って、「海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直し」をしたのは、さすがだ。日本のように古びた戦略にしがみつくのはいただけない。
・『順調に進展し始めた大改革  このほどこの組織改革努力が1年経過したため、その進捗具合と修正検討事項などが公表された(『フォースデザイン2030 年次更新』)。) それによると、戦車部隊(M1戦車を400両ほど保有していた)の全廃、重砲(M777 155mm牽引式榴弾砲)部隊の大削減、憲兵隊の全廃、といった大削減計画は順調に進展しており、すでに米海兵隊から戦車は姿を消してしまった。 自ら身を切る大削減の一方で、全く新しい部隊の編成と育成も急ピッチで進んでいる。 それは「海兵沿岸連隊」と呼ばれる戦闘部隊で、地上から沖合の艦艇を攻撃する長射程ロケット砲システムや地対艦ミサイルシステムを保有し、自らを敵のミサイル攻撃や航空機攻撃から守るための防空ミサイルシステムも備えた、海兵隊にとっては全く新機軸の部隊である。今なおハワイで実験的育成中であるが、順調に建設が進んでおり、間もなく本格的に部隊を追加していき、沖縄を中心に実戦配備が開始されることになる。 米海兵隊でこのような大改革が進められているのは、海兵隊の主たる仮想敵がこれまで四半世紀にわたって戦闘を続けてきたテロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換され、想定される戦域が南シナ海や東シナ海の島嶼や第一列島線上の沿岸地帯ということになったためである。つまりこれまでの海兵隊では戦闘にならなくなってしまったということだ』、「主たる仮想敵が」、「テロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換」、確かに大きな「転換」だ。
・『海兵隊の伝統的イメージと現実  これまで長きにわたってアメリカ海兵隊といえば、最も危険な軍事作戦の1つである強襲上陸作戦に代表される水陸両用戦を“表看板”に掲げる軍隊と一般的にはみなされてきた。また自らもそのように宣伝してきた。強襲上陸作戦とは、敵が待ち構えている海岸線に殺到して沿岸域の敵を撃破し、橋頭堡を確保する作戦である。 しかしながら米海兵隊が戦闘を交えながらの強襲上陸作戦を最後に実施したのは朝鮮戦争における仁川上陸(クロマイト作戦、ただし米海兵隊だけではなく米陸軍、韓国陸軍、韓国海兵隊も参加)である。もしくはかろうじて強襲上陸作戦とみなしうる戦闘を経験したのは、グレナダ侵攻(1983年10月)が最後である。1995年にソマリアで上陸作戦が実施されたが、これは戦闘が生起しない地点への単なる上陸であった。 そして、湾岸戦争(1991年1月)以後これまで30年にわたって海兵隊が戦闘を繰り広げてきたのは、イラクやアフガニスタンでのサダムフセイン軍閥やテロリスト集団相手の戦闘であった。 要するに、アメリカ海兵隊は一般に流布している“表看板”とは違って、実際に実戦経験を積み重ねてきたのは、米陸軍と同じく砂漠地帯や山岳荒地での地上戦や市街地での近接戦が中心となっている。強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていないのだ』、「海兵隊」といっても、「強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていない」、というのは意外だが、言われてみればその通りなのだろう。
・『対中戦に適合できない伝統的水陸両用戦  これまで80年以上にわたって海兵隊が“表看板”に掲げてきた水陸両用戦は、強襲上陸作戦を主軸に据えた軍事作戦である。その基本的コンセプトは、1920年代から1930年代にかけて「来たるべき日本との太平洋の島嶼をめぐっての攻防戦に備えるために」海兵隊の鬼才と言われたアール・ハンコック・エリス中佐が策定した作戦計画(『マイクロネシアにおける前進基地作戦』)に起源を持つ“時代物”の作戦概念ということができる。 もちろん、ヘリコプター、強襲揚陸艦、VTOL攻撃機、ホバークラフトやオスプレイなど新兵器の誕生によって作戦概念に修正が加えられてはいるものの、水陸両用戦の基本的アイデアそのものは極めて伝統的なコンセプトに立脚しているのである。 ところが、中国海洋戦力を相手に実際に水陸両用戦を準備することになるや、伝統的な水陸両用戦のアイデア自体を抜本的に見直さなければならなくなってしまった。というのは、中国軍の接近阻止戦力が予想をはるかに上回るスピードで充実してしまったため、そもそも海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまったからである』、「海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまった」ほど、「中国軍の接近阻止戦力」が「充実」したとは驚かされた。
・『接近阻止戦闘が新たな水陸両用戦  そこで海兵隊首脳陣が打ち出した新機軸の水陸両用戦は、 +中国軍の手に落ちていない島嶼や第1列島線上の沿岸地域に海兵沿岸連隊を展開させて、中国艦隊や航空戦力が接近するのを迎撃する態勢を固める、+そして中国側の隙を突いて、さらに前方の島嶼などに海兵沿岸連隊を急展開させて対中国軍接近阻止エリアを拡大する、 +こうして中国軍が南シナ海や東シナ海を自由自在に動き回れる範囲を狭めることにより、中国による海洋侵出政策を封じ込める一助となる、 というものである。 一言で言うと、太平洋側から中国大陸に向けて侵攻してくるアメリカ軍を、強力な接近阻止戦力によって南シナ海や東シナ海で釘付けにしてしまう中国軍の対米接近阻止戦略と真逆の態勢をとることにより、中国軍が南シナ海や東シナ海の中国より海域から第一列島線に向けて接近することを阻止する戦略を実施しようというわけである。 そのため大改革を進めている米海兵隊は、少なくとも南シナ海の島嶼環礁や第1列島線周辺における中国海洋戦力相手の戦闘においては、中国軍が防御を固めている島嶼や海岸線に上陸作戦を敢行するなどという伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまったのである(そのアイデアの典型例が陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦である)』、「アメリカ」が「伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまった」のであれば、「陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦」も早急に組み直す必要がある。

次に、5月22日付け現代ビジネスが掲載した防衛ジャーナリストの半田 滋氏による「コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/83353
・『新型コロナウイルス対策に5兆円の予備費を計上した日本政府。医療資源の不足から無駄なカネは1円も使いたくないはずである。 その政府がイージス・システム搭載艦の建造に巨額の国費を投入する。1隻あたりの建造費は2500億円以上と既存のイージス護衛艦よりはるかに高いばかりでなく、30年間使い続けた場合の総費用が4500億円に上ることが新たに判明した。 建造を予定する2隻で合計9000億円。総費用は地上配備型のイージス・アショアの2倍となり、巨大なカネ食い虫となることが確定した。 イージス・システム搭載艦は、秋田市と山口県萩市に配備する予定だったイージス・アショアの代替策。政府は昨年6月、イージス・アショアの推進装置「ブースター」を安全に落下させるには2400億円の追加費用が必要になるとして導入断念を決め、昨年12月、菅義偉首相がイージス・システム搭載艦2隻の新規建造を閣議決定した。 防衛省は2隻の建造費について「2400億円~2500億円以上」と発表し、最新のイージス護衛艦「はぐろ」の建造費より最大で766億円以上、つまり汎用護衛艦1隻分の建造費と同じくらい高いことがわかっていた。 総費用については「お示しすることは困難」(2月9日衆院予算委員会、岸信夫防衛相)と非公表としてきたが、30年間の維持、整備にかかる総費用は「3792億~3842億円+α」と21日、朝日新聞が報じて明らかになった。 イージス・システム搭載艦が高額になるのは、地上に置くべきイージス・アショアの大型レーダーをイージス護衛艦に搭載することから船体が大型化し、推進性能、船体構造、重量重心などの見直しが必要になり、建造費が跳ね上がるからだ。 いわば天守閣を船に載せるがごとき、珍妙なアイデアをひねり出した末の無駄遣いといえる』、「イージス・アショア」導入時も大きな問題があったが、代替策はそれ以上に問題が大きいようだ。
・『米国製兵器の「爆買い」  昨年6月、国家安全保障会議で正式にイージス・アショアの導入断念を決めたにもかかわらず、防衛省は米政府との契約を解除せず、「地上イージス」を海に移して「洋上イージス」に変える検討を始めた。 そもそもイージス・アショアは、安倍晋三前首相がトランプ前米大統領に迫られて購入を約束した米国製兵器の「爆買い」のひとつだ。 政府が導入を決めるまでの経緯について、防衛省の事務方ナンバー2だった真部朗元防衛審議官が今年3月、元文官らが運営するサイトに記事を投稿したが、すぐに削除されるドタバタ騒ぎが起きた。 寄稿の中で真部氏は2018年度防衛費の概算要求に「事項要求」として金額未定のまま「イージス・アショアを中心に検討」と書き込まれたことを疑問視し、「主要な防衛装備品を導入するにしては行政実務的にあまりに性急で、当初から政治主導案件であった」と批判した。 つまりイージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化されたことを指摘し、これに異を唱えたのである。 皮肉にも真部氏の投稿を削除し、「洋上イージス」として蘇らせて製造元の米国にカネを払い続ける仕組みを維持して、安倍前首相の顔が立つよう尽力したのは真部氏の同僚たちである』、「イージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化された」、まさに「安倍前首相」のための案件だったようだ。
・『安倍路線を継承する官僚人事  政府が「地上イージス」の導入断念を決めた当時の防衛事務次官は、第2次安倍政権で内閣府審議官を務めた高橋憲一氏。ナンバー2の官房長は島田和久氏だ。 島田氏は安倍首相の秘書官を7年近くも務め、安倍氏の「大のお気に入り」とされた。2019年7月、島田氏が首相官邸から防衛省へ戻るのに合わせて、官房長になって1年も経たない武田博史氏が防衛装備庁長官に異動し、同長官だった深山延暁氏は定年まで1年を残し、就任1年未満で退職した。 島田氏のためにポストを空ける玉突き人事が行われたのである。これらは内閣承認人事にあたり内閣の意に沿わなければ差し戻される。防衛省が安倍氏の意向を忖度して人事案を提出したのは間違いない。 そして高橋事務次官、島田官房長のナンバー1、2コンビのもとで防衛省は「地上イージス」を「洋上イージス」に置き換える荒技を進めた。 その途中の昨年8月には島田氏が事務次官に昇格し、高橋氏は内閣副官房長官補に栄転した。事務次官経験者がこのポストに就くのは初めてであり、防衛省同期の前田哲内閣副官房長官補を退任させての内閣官房入りである。 省内では「イージス・アショアをつなぎ止めた論功行賞」と見られた。これにより、安倍路線を継承する防衛省関連の官僚人事が完成した』、「イージス・アショアをつなぎ止め」るために、膨大な費用が必要になったことは本来、財務省が指摘すべきだが、財務省もいち早く忖度官庁になっているので、期待できない。野党は防衛予算には余り詳しくないので、期待薄だ。
・『兄の期待に応え続ける岸防衛相  支えるのは官僚だけではない。菅内閣のもとで安倍氏実弟の岸信夫氏が初入閣し、防衛相の職に就いた。 岸氏は就任してすぐに電話やオンラインで各国との協議や大使との対面会談を繰り返した。その中で安倍氏が打ち出した「自由で開かれたインド太平洋」を強調し、兄の期待通りの活動を続けている。 昨年9月25日、防衛省であった記者会見で「洋上イージスとする場合、(イージス・アショアのレーダーの)SPY7を活用するのか」と問われた岸氏は「契約済みのレーダーを活用することが合理的ではないか。契約を維持していく」と述べ、安倍路線の忠実な継承者を印象づけている。 安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる。 防衛省が従順なのは人事を通じて権力の恐さを見せつけられたことだけではない。安倍氏を守れば、自らの「失策」を隠すことにもつながるからだ』、「安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる」、トランプからバイデンに変わったことで、「爆買い」の「約束」を守る必要は薄れたにも拘わらず、これだけ大掛かりな「政官の枠組み」をつくった背景には何があるのだろうか。
・『レーダー選定のナゾ  イージス・アショアのレーダーは当初、米国のレイセオン社で開発中の「SPY6」が有力視されたが、突然、ロッキード・マーチン社が米本土防衛用にアラスカで建造中の長距離識別レーダー「LRDR」をイージス・アショア向けに転用する「LMSSR(後のSPY7)」を提案し、2社の競合となった。 防衛省で比較検討した結果、基本性能、整備性などの後方支援、経費の3点で「LMSSR」に軍配が上がったとされる。 防衛省の選定時点で、米イージス艦への採用が決まり、開発が先行した「SPY6」に対し、「LMSSR」は構想段階に過ぎなかった。現物がないのだから性能を確かめようがない。本来なら比較できない2つのレーダーをカタログ性能だけで1つに絞ったことになる。 最大の選定理由は、米国防総省の「いち推し」が「LMSSR」だったからである。そのナゾは後になって判明する。 2019年になって米国防総省は「LMSSR」を「SPY7」と命名して制式化した。これに伴い「SPY7」の派生型レーダーをカナダとスペインに売却し、両国の新型戦闘艦に搭載することが決まった。 一方、防衛省が「SPY7」を選定した理由のひとつに富士通のレーダー素子を採用する国内企業参画を挙げていたが、米側から納期遅れと価格高騰を指摘され、参画を断念した。 実はロッキード・マーチン社はスペインのインドラ社のレーダー素子を採用しており、「SPY7」を売買する米国とスペイン間のオフセット取引によって富士通は排除された疑いが濃厚になっている。 防衛省が「LMSSR」を選定した後になって米国防総省は、当初の日米協議にはなかった模擬ミサイルを発射してレーダーの性能を確認する実射試験の費用負担を求めた。防衛省は応じることを決め、約6億ドル(約660億円)の支払いが見込まれている。 つまり、米国は日本のカネで「SPY7」を開発しながらも日本の企業は排除し、日本のカネで実射試験まで行って性能を確かめ、その結果、完成したレーダーを海外に売ってもうけようというのだ。日本はまんまと米国の罠にはまったのである。) 米国で開発中のイージス艦専用レーダー「SPY6」ならそのまま「まや」型に搭載できるため、船体の大型化は不要となるうえ、米政府の保証も受けられる。 それでも「SPY7」の採用にこだわるのは、2019年度の防衛費でイージス・アショア2基の取得費などに1757億円を計上し、米政府との間で支払い契約を済ませていることが大きい。 契約破棄となれば、巨額の違約金を求められる。その結果、責任問題に発展して、イージス・アショアの導入が安倍氏主導の政治案件であることや防衛省によるレーダー選定の異様が一気に表面化する。 元を正せば、安倍氏がトランプ氏の求めるままに購入を約束したことが間違いだった。そこに防衛官僚によるレーダー選定の「誤り」が重なった。誤解を恐れずにいえば、安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか』、「安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか」、恥ずべき行為だ。
・『海上自衛隊OBも痛烈批判!  当然ながら海上自衛隊は反対し、OBからも計画の撤回を求める声が上がっている。 元自衛艦隊司令官の香田洋二氏は「現在の防衛省は、善意に解釈しても、わが国防衛と予算取得上の根本的な疑問や問題を残したまま、見切り発車的に代替案の実現に驀進しているように映る。厳しい言い方になるが、この姿勢はわが国の防衛力整備の体をなしていないといわざるを得ない」(『正論』1月号)と痛烈に批判している。 地上配備を前提に設計したレーダーを艦艇に載せる愚は犯すべきではない。真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべきだろう』、「海上自衛隊OBも痛烈批判」、「真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべき」、同感である。
タグ:防衛問題 JBPRESS 現代ビジネス 北村 淳 半田 滋 (その17)(自衛隊とは大違い 米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない、コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…) 「自衛隊とは大違い、米海兵隊が取り組む新たな水陸両用戦の中身 伝統的水陸両用戦ではもはや対中戦に適合できない」 「国防戦略が大転換」に伴って、「海兵隊も、基本戦略の徹底的な見直し」をしたのは、さすがだ。日本のように古びた戦略にしがみつくのはいただけない。 「主たる仮想敵が」、「テロリスト集団から「中国人民解放軍の海洋戦力」という先進兵器で武装した正規軍へと転換」、確かに大きな「転換」だ。 「海兵隊」といっても、「強襲作戦や襲撃作戦といった水陸両用戦闘の実戦経験は持ち合わせていない」、というのは意外だが、言われてみればその通りなのだろう。 「海兵隊上陸侵攻部隊を積載した艦隊が、作戦目的地沖合に接近することすら不可能に近い状況になってしまった」ほど、「中国軍の接近阻止戦力」が「充実」したとは驚かされた。 「アメリカ」が「伝統的水陸両用戦のようなアイデアは捨て去ってしまった」のであれば、「陸上自衛隊が固執している島嶼奪還作戦」も早急に組み直す必要がある。 「コロナ危機のウラで、日本政府が「9000億円」をムダにすることが判明…! 防衛省が安倍案件にこだわった結果…」 「イージス・アショア」導入時も大きな問題があったが、代替策はそれ以上に問題が大きいようだ。 「イージス・アショアは、安全保障上の必要性からではなく、政治案件として予算化された」、まさに「安倍前首相」のための案件だったようだ。 「イージス・アショアをつなぎ止め」るために、膨大な費用が必要になったことは本来、財務省が指摘すべきだが、財務省もいち早く忖度官庁になっているので、期待できない。野党は防衛予算には余り詳しくないので、期待薄だ。 「安倍氏は首相辞任するタイミングで実弟を防衛相として送り込み、気心の知れた官僚に防衛政策を任せた。米国と約束した「爆買い」路線を破綻させない政官の枠組みがつくられたことになる」、トランプからバイデンに変わったことで、「爆買い」の「約束」を守る必要は薄れたにも拘わらず、これだけ大掛かりな「政官の枠組み」をつくった背景には何があるのだろうか。 「安倍氏と防衛省は「共犯関係」に等しく、防衛省と岸氏は今、「臭いものに蓋」をしているのではないだろうか」、恥ずべき行為だ。 「海上自衛隊OBも痛烈批判」、「真に国益を考えるならば、しがらみを振り払い、米政府に違約金を支払ってでも、イージス・システム搭載艦の建造を見送るべき」、同感である。
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今日も更新できないので、明日にご期待を!

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昨日は無断で更新を休み失礼。今日は、更新できることに期待。

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日本の構造問題(その20)(「消費税の増税がなければ日本は豊かなままだった」京大教授がそう嘆くワケ 給料が減って、経済成長も止まった、ワクチン接種の大混乱に浮かぶ日本の致命的弱点 政治家のリーダーシップや官僚の保身以外にも、日本のリーダー「危機を語らず隠す」が招く大迷走 このコロナ対応を「失敗の本質」著者はどう見るか) [経済政治動向]

日本の構造問題については、5月19日に取上げた。今日は、(その20)(「消費税の増税がなければ日本は豊かなままだった」京大教授がそう嘆くワケ 給料が減って、経済成長も止まった、ワクチン接種の大混乱に浮かぶ日本の致命的弱点 政治家のリーダーシップや官僚の保身以外にも、日本のリーダー「危機を語らず隠す」が招く大迷走 このコロナ対応を「失敗の本質」著者はどう見るか)である。

先ずは、5月20日付けPRESIDENT Onlineが掲載したジャーナリストの田原 総一朗氏と京都大学大学院工学研究科教授で元内閣官房の藤井 聡氏との対談「「消費税の増税がなければ日本は豊かなままだった」京大教授がそう嘆くワケ 給料が減って、経済成長も止まった」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/46006
・『日本の財政は危機にあり、再建のためには消費税の増税が避けられないといわれている。それは本当なのか。京都大学大学院の藤井聡教授は「1997年の消費税増税がすべての間違い。失われた富は数千兆円規模になる」という。ジャーナリストの田原総一朗さんとの対談をお届けする――。(第3回/全4回) ※本稿は、田原総一朗・藤井聡『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・『梶山官房長官は「俺は大蔵省にだまされた」と謝罪した  【田原】1997年に消費税増税があった。あの時、増税に反対した人はいなかったの? 【藤井】いました。橋本内閣の田中秀征しゅうせい経済企画庁長官は、鬼のように怒って反対したんです。経済企画庁には当時、マクロ経済がわかるエコノミスト、インテリが大勢いた。そのレクを受けていた田中・経企庁長官は「絶対やめろ」といった。ところが大蔵役人たちが橋本龍太郎さんのところに、「いや、絶対大丈夫です。増税してまったく問題ありません」とこぞって説明しにいった。 たとえば、官房長官だった梶山静六さんは当時を振り返って「大蔵省の説明を鵜呑みにした私たち政治家が(中略)財政再建に優先的に取り組むことを決断した」と語っています。 で、実際に増税したら経済がメチャクチャになった。それがわかってから、梶山さんは田中経済企画庁長官のところに行って、「俺は大蔵省にだまされた。この前はすまなかった。(消費税増税の確認をした)閣議のとき、あんたがいったとおりだった」と謝罪したという記録も残っています。 つまり、弱小官庁の経済企画庁エコノミストがダメだと口をそろえても、官庁の中の官庁、いちばん格上の役所の大蔵官僚が大丈夫だと請け合った。それでみんな「大蔵省のほうが正しいのだろう」と思って、“騙された”んです。それで増税した。 ところが、日本経済は1年でボロボロになった。1997年の消費税増税は日本の命運を分けました。太平洋戦争の命運が、ミッドウェー海戦の敗北で一気に尽きていったようなものだったんです』、1997年には消費税の他にも、社会保険料も引き上げ、さらに医療費自己負担増加も合わせ、合計9兆円もの国民負担増加をもたらし、アジア通貨危機、山一証券・北海道拓殖銀行の破綻を放置したことも相まって、日本経済は深刻な大不況に見舞われた。「大蔵官僚」の安請け合いが如何にいい加減であったかを如実に示した。
・『消費税5%から日本国民の“貧困化”が始まった  【藤井】1997年の消費税増税によって日本がダメになったことは、GDP成長率、家計消費、賃金などあらゆる尺度が実証的に示しています。 政府の資金供給量が急激に減って、実質賃金も激しく下落しました。つまり国民が“貧困化”してしまったんです。世帯所得が減ったこと、サラリーマン・サラリーウーマンの給与が減ったことを示すグラフをご覧ください(図表1、2)) 【田原】日本人の受け取り額は、絵に描いたように減り続けている。 【藤井】こうなることは、実証的のみならず理論的にも明白です。バブルが崩壊して成長が急速に鈍化した不況のとき増税すると、経済はさらに悪化してデフレーション、つまり経済規模の縮小が始まってしまう。 世の中でおカネがグルグル回って生産や消費をしているとき、貨幣循環のあらゆる局面でおカネを取ってしまうのが消費税。医療で体内にたまってしまった血・体液・うみなどを外に出すために入れる管や袋をドレーンといいますが、あれと同じです。あらゆる血管にドレーンをさして血を抜き続けていれば、そりゃ血も循環しなくなるでしょう。体力もどんどん弱くなっていく。 世帯所得は消費税増税の1997年から一本調子で下がっています。給与所得は消費税率を5%、8%、10%と上げるたびに、ガクガクと下がっています。 だから、デフレ脱却前には絶対に増税してはダメで大至急、消費税増税の凍結、つまり「消費税0%」を実現すべきだ、と申し上げています』、これまでの「消費税引き上げ」には問題があったとはいえ、これから「消費税0%」にするのには反対である。異次元緩和の下で、そこまでやると、日本売りとなって、円安、国債暴落が発生するリスクがあるためである。
・『財政を悪化させた真犯人は「消費税増税」  【田原】貧困化や格差の拡大を招いたのは、新自由主義をやった小泉純一郎・竹中平蔵コンビだという人が多いけど、これも違うね。小泉内閣は2001(平成13)年4月から2006(平成18)年9月までです。小泉時代は、むしろ下げかかったものの傾きを抑えているじゃないか。【藤井】まあ、それはたまたまアメリカが好景気で外需が伸びたからです。それはさておき、支えようとしていたので残念でなりませんが、実質賃金は第二次安倍晋三内閣のもとで激しく凋落しています。実質賃金を短期間でこれだけ低下させた内閣は、戦後においては安倍内閣以外にない。実質賃金が7%も減ってしまっています。 【田原】「貧すれば鈍する」というけれども、カネがなくなってくると、経済以外のものがダメになっていく。どうですか? 【藤井】おっしゃるとおりです。GDPが大きいのは、みんな所得が多く貧困が少ないということですから、国民に余裕が生まれ、芸術や文化もさらに発展していく。 あとで話が出ると思いますが、格段に強い外交力も発揮できる。研究開発投資も旺盛で、科学技術力も、もっと高まる。リニア新幹線も通っているし、都市開発も防災対策も進んでいる。ノーベル賞をもっとガンガン取れる国になっている。 【藤井】つまり、GDPが順調に成長していけば、日本はいまよりもはるかに経済大国、文化大国、生活大国になっていたはずです。ところが、現実は逆になった。1997年の消費税の増税が、そうしてしまった。みんながお金持ちになれば、税収も増えて、政府の財政もいまよりはるかにラクになったはずです』、その通りだ。
・『消費税増税でデフレ…日本だけが世界から取り残された  【藤井】「赤字国債」発行額の推移グラフを示しておきます(図表3)。日本は昔からガンガン赤字国債を出して、列島開発なんかをやったと思っている人がいるかもしれませんが、違います。 1997年までは10年間の平均でたった3兆円ちょっとしか出していません。それが増税してデフレになったことで、一気に10年平均で23兆円まで増えてしまった。したがって、財政を悪化させたのもまた消費税の増税なんです。いま国債発行額は30兆円から40兆円時代になっています。 【田原】日本がデフレで苦しんでいる間に、欧米はふつうに成長していたわけね。 【藤井】はい。日本だけが置いてけぼりになってしまった。日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国、その他という五つに分けて、1985年から2015年まで30年間のGDPの推移を示したのが、下のグラフです(図表4)。 【図表】世界の中で日本だけが取り残された田原総一朗・藤井聡『こうすれば絶対よくなる!日本経済』(アスコム)より  まず目に付くのが、アメリカの一本調子の成長。そして2005年前後からの中国の急成長。これは6年前までのグラフですから、米中の差はさらに縮まっている。 【田原】アメリカは、何があってもへこまないんだ。すごいな。リーマンショックでも傾きが気持ち緩やかになっただけで、すぐ元通りになっている。 【藤井】その他は新興工業国や途上国で、2000年代になって急成長した。欧州と日本は、90年代後半に沈んだ点が似ていますが、その後、横ばいから下り坂は日本だけです。リーマンショック後の落ち込みも、欧州より日本のほうが激しい。 グラフの始まり時点で、日本のGDPの世界シェアは約20%でした。いまは6%以下。中国の半分以下で、アメリカの5分の1の国になってしまった』、GDP成長率の低さに加え、円安も大きく影響している。
・『「そんな国は日本だけ」過去20年でマイナス20%成長  【田原】消費税増税で、日本はここまでダメになった。 【藤井】はい。30年間で数千兆円規模というような大きな富を失った。税収も数百兆円規模で失った。日本のプレゼンスも著しく失われた。その結果、アメリカも中国もロシアも、日本を軽んじるようになってしまった。 最後にもう一つグラフを示します(図表5)。これはいま見た30年間のうしろ3分の2、20年間の各国のGDP成長率を、高い国から並べたものです。 世界平均は139%。中国は1400%というとんでもない成長をしていますが、当然ながら成熟国家は、それほど高い成長はしていません。先進国、とくにヨーロッパ各国は、だいたい世界平均より下に並んでいます。 【田原】南アジアやアフリカのように、国民が若くこれまで貧しかった国は当然、高成長する。高齢化が進んだ国は高成長しにくい。移民を受け入れるアメリカは、若く働き盛りの100万人くらいの集団が国内で毎年生まれるから成長する。 【藤井】この悲しいグラフでわかるように、世界でダントツに取り残されてしまった国がわが日本です。つぶれかけているんじゃないかといわれた南欧諸国すら、何十%か成長しています。いちばんダメな日本は、なんとマイナス20%成長なんです。 日本政府も財務省も、メディアも経済学者も、なぜこんなことになったのか説明すべきです。そして、日本の過去の経済政策が間違っていたことを認め、まともな政策に転換しなければなりません。 プライマリーバランス規律をはずしたうえでの「消費税0%」が、その大いなる一歩となる。日本は、いますぐそうすべきなんです』、前述の通り、異次元緩和という極めてリスキーな政策をやっているので、「消費税0%」はリスクが大き過ぎる。まずは、2%分を元に戻す程度で様子を見るべきだろ思う。

次に、5月30日付け東洋経済オンラインが掲載した経済ジャーナリストの岩崎 博充氏による「ワクチン接種の大混乱に浮かぶ日本の致命的弱点 政治家のリーダーシップや官僚の保身以外にも」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/430772
・『日本のワクチン接種が他国に比べて遅れている。先進国どころか、世界全体で見ても大きく遅れていると指摘されている。メディアは連日、ワクチン接種率が世界的に見てどん底に近いと報道し続けている。 実際にNHKの報道によると、世界のワクチン接種回数は累計で、中国の約4億5000万回(5月21日現在)を筆頭に、アメリカが2億7000万回、インドが1億8000万回なのに対して、日本は750万回と2桁も違うのが現実になっている。 こうしたワクチン接種の遅れを、メディアはさまざまな角度からさまざま方法で分析しているが、その大半が「国内ワクチン開発の遅れ」や「ワクチン接種の準備不足」「ワクチン接種の現場での混乱」「東京五輪を優先した弊害……」といったアプローチでの分析となっている。 とりわけ、メディアの格好の取材対象となっているのが、各自治体でのワクチン接種の混乱ぶりだ。余ったワクチンを捨ててしまう、行政のトップが医療関係者と称して先に接種するといった話題が、日々機関銃のように報道されている。 しかし、日本のワクチン接種の遅れは、もっと奥深いところ、根源的な部分にあるのではないだろうか……。一部メディアでは「日本人の完璧主義による弊害」や「法律の不備」といった曖昧な部分での指摘も相次ぐ。毎日毎日、同じニュースを流し続けるテレビや新聞に対する弊害を指摘する人もいる。 なぜ、「日本のワクチン接種は遅れたのか……」。今回のパンデミックによって、日本政府はむろんのこと、日本国民全体でも「リスク管理」がきちんとできていなかったことは間違いない。とはいえ、日本人全体が能天気に平和ボケしてきたわけでもない。現場は、いまでも24時間体制でコロナと戦い続けている。なぜ、こんな状況になったのを正しく分析することで、次の「有事」の糧としなければならないだろう』、興味深そうだ。
・『日本のワクチン接種が遅れた4つの要素  すでにさまざまなメディアで報道されているように、日本の新型コロナウイルスのワクチン接種が遅れた理由は、数多くが指摘されている。ざっとその内容を整理してみると、その本質が見えてくるはずだ。 ①ワクチンが調達できなかった ②ワクチン接種の準備が遅れた ③ワクチン接種で混乱が起きた ④ワクチン接種のロードマップが見えない 簡単に整理すると、こんなところだろうか。順番に見ていこう。 ワクチンが調達できなかった点について、大きく分けて日本には2つの問題がある。ひとつは、国内の製薬会社がいまだにワクチン開発に手こずっていること。これは、「日本のワクチン開発が企業任せで政府の後押しがなかったため」という一言で説明できる、という報道が多い。 ワクチンは「安全保障の切り札」にもかかわらず、政治家や行政に安全保障の認識が欠けていた、という視点だ。日経新聞によると、アメリカはトランプ政権が「ワープ・スピード作戦」と称して、バイオ医薬品開発の「ノババックス」に16億ドル(約1720億円)の助成金を出している。モデルナも、アメリカ生物医学先端研究開発機構(BARDA)から最大で4億8300憶ドル(約520億円)の助成金を受け取ることで合意したとウォール・ストリート・ジャーナルが報道している。 アメリカ政府が、ワクチン開発に補助金を出した金額はBARDAを通したものだけでも192億8300万ドル(2兆0825億円、2021年3月2日時点)に上ると、アメリカ議会予算局が公表した資料で報告されている。 イギリスも、2020年5月にオックスフォード大学に対してワクチン開発のために6億5500万ポンド(約1000億円)を支援すると発表している。ちなみに、ファイザーはトランプ政権から資金を受け取らなかったことはあまり知られていない。科学者を政治的な圧力から守るためにアメリカ政府の補助金を受け取らずに、研究開発費は全額自前で賄ったとニューズウィークが伝えている』、「ファイザーはトランプ政権から資金を受け取らなかった」、とは初めて知ったが、立派な心がけだ。
・『日本政府も補助金は出しているが…  一方、日本の厚生労働省はどうか。定期的に「新型コロナワクチンの開発状況について」というレポートを発表しているが、この3月22日の更新情報によると日本の国内ワクチン開発は、塩野義製薬、第一三共、アンジェス、kmバイオロジクスなどの各グループが開発を急いでいるが、いまだに実用化のめどは立っていないそうだ。日本最大の製薬会社である武田薬品はノババックスと委託業務契約を結び、今年の下半期から年間2億5000万回分以上のワクチン供給を実施する予定と報道されている。 塩野義製薬のグループには、生産体制等緊急整備事業から223億円が援助され、第一三共グループにも同じく60億3000万円の補助が行われている。アンジェスのグループは同93億8000万円、KMバイオロジクスは同60億9000万円が補助されている。日本政府も補助金は出してはいるものの、桁が1つ違う印象を受ける。NHKでは、こうした政府の対応を「平時対応」という言葉で、東大医科学研究所教授の言葉として取り上げている。 もっとも、本来製薬開発で日本は世界的に見ても、スイスと並んで優れた技術を持っているといわれる。にもかかわらず、スイスと日本はコロナのワクチン開発には揃って手こずった。今回のコロナのワクチン接種では、最速で開発したファイザーも、2番目となったモデルナも遺伝子分析による開発技術を使った「mRNA」ワクチンで成功した。日本の第一三共やアンジェスも、mRNAによる開発を試みているが、もともと日本は官民を挙げてワクチン開発には消極的だったと指摘・分析する見方も多い』、「本来製薬開発で日本は世界的に見ても、スイスと並んで優れた技術を持っているといわれる。にもかかわらず、スイスと日本はコロナのワクチン開発には揃って手こずった」、驕りが邪魔をしたのだろうか。
・『日本独自の薬事検査で2カ月の出遅れ?  日本には、1970年代に天然痘による副作用をめぐる集団訴訟があり、天然痘は絶滅に至るものの、政府自身が予防接種に消極的になったという経緯がある。 1990年代には、麻疹、おたふくかぜ、風疹の3種混合ワクチンが、小児無菌性髄膜炎の原因と指摘されて任意接種に切り替えた。さらに、子宮頚がんを予防するHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンも、海外ではその有効性が高く評価されているのに、現在の日本では集団訴訟に発展したために、積極的な摂取推奨を取り下げている。 ようするに、厚生労働省や政府は、訴訟のリスクを重視して、全体の利益=予防接種の方針を曲げてしまう。今回のコロナワクチンでも、なぜか日本は独自の薬事審査にこだわった。たとえば、ファイザーのワクチンに関しては、アメリカでは昨年12月10日にFDA(食品医薬品局)は、緊急使用の許可を出している。 イギリスでも2020年10月に承認申請が行われ、12月2日には承認が下りている。2カ月弱で承認申請にこぎつけたということだ。 日本はどうかというと、2020年12月18日に承認申請が行われたものの、ファイザー製ワクチンが正式に承認されたのは2021年2月14日となった。なぜイギリスで12月に承認が下りている同じ薬が、日本では2月になってしまったのかということだ。これについては、欧米とは違う基準での審査を日本でも行わなければならず、独自の審査が行われたとの報道がなされている。 通常、ワクチン開発の臨床実験では第1相から第3相までの段階に分かれて、それぞれ100人未満、数百人単位、数千人単位と段階を踏んでいくのだが、今回の審査では日本独自の審査として160人に対して臨床実験を行い安全性や有効性に関するデータを揃えたといわれる。 筆者は医療の専門家ではないことをまず断る。そのうえで、160人という数字が「とりあえず審査はやった」というアリバイ作りにしか思えないのは筆者だけだろうか。政府主導で、早期に積極的なワクチン接種を実施していれば、また違った展開になったはずだ。 もともとワクチンの有効性についての審査は、副反応の分も含めて数万人単位で実施してみてはじめてその実態がわかるものだ。後でなんらかの副反応がある可能性は高く、アストラゼネカのように100万人当たり4人に血栓ができるといった指摘も出てくる。 よく自国でワクチン開発ができなかったために、日本は遅れたという指摘を耳にするが、イタリアやフランス、スペインでも自国でワクチン開発はできていない。にもかかわらず、日本のワクチン接種率を大きく上回っている。それが、この2021年1~3月期のGDP成長率にも現れている。ワクチン接種が進んでいるアメリカや欧州は、大きくプラスに転じているにもかかわらず、日本はいまだに前年同期比で-5.1%とリーマンショックを下回る経済成長率しかない』、「今回のコロナワクチンでも、なぜか日本は独自の薬事審査にこだわった」、「イタリアやフランス、スペインでも自国でワクチン開発はできていない。にもかかわらず、日本のワクチン接種率を大きく上回っている」、厚労省の責任だ。
・『ワクチン接種の準備が遅かった  イギリスのオックスフォード大学などのグループが集計しているデータによると、5月10日時点で人口に占める1回目の接種を終えた人の割合は、イスラエル63%(NHKホームページより、以下同)、イギリス52%、アメリカ46%。日本はわずか2.91%で、世界で131番目となっている。発展途上国にも大きく遅れをとっているのが現状だ。 なぜ、これほどワクチン接種の開始が遅れたのか……。たとえば、イギリスは、昨年の夏にはワクチン接種の準備に取り掛かっていたと報道されている。菅政権の支持率がこうした報道で大きく下げたのはやむをえないにしても、8年も続いた安倍政権が、ほとんど何の準備もしなかったことが大きかったのではないか。他の国が、ワクチン接種に取り掛かっているときに、日本では呑気に「Go To トラベルキャンペーン」の準備にかかりきりだったとも言える。 海外で承認されたワクチンだからといってすぐに国内で認可されるものではない――という発想は、いってみれば「平時の発想」だ。しかし現在はコロナという「バンデミック=戦時下」にある。日本政府にはこうした「有事」の発想がなかったのかもしれない。「最悪の事態を想定して行動する」という有事の発想があれば、また違った展開があったはずだ。 ワクチン接種の準備が遅れたのはセキュリティーに対する意識が低かったといわれても仕方がないが、その後のワクチン接種のスタートでもさまざまな問題があった。予想された「混乱」や「トラブル」は、メディアも加担して大混乱となった。 自衛隊による大規模集団接種が始まった5月24日の新聞報道を見てみると、朝日新聞は「ワクチン予約サイト、プロが示す『最悪シナリオ』対処法」の中でワクチンの予約サイトがITのセキュリティーが弱く混乱に拍車をかけている。さらにサイバー攻撃の標的にされるのではないかと懸念も示している。) 日本経済新聞も「都市部で接種予約停滞計画前倒し、対応難しく」(2021年5月24日)の中で、政府は高齢者向けのワクチンを7月4日までに配送完了する計画を立てたといわれているが、大都市圏では滞りが目立っており、まだ接種券も届いていないというところが多い。なかには9月までかかると答えた自治体もあるといわれている。自治体が主催する大規模接種会場の進捗状況次第ではこれからも混乱が予想されるかもしれない。 なぜこれほどまでに、ワクチン接種が遅れ、しかも混乱しているのかと言えば、一言でいえば政府がすべてを「自治体任せ」にしたことに尽きるのではないか。厚生労働省全体の問題なのか、それともワクチン接種チームのせいなのか、はっきりはしないが、自治体任せにして一元的に管理するシステムが構築されていなかったことが大きい。 総務省が莫大な税金を使って進めてきた「マイナンバーカード」はなぜ使えなかったのか。厚生労働省と総務省という「タテ割り行政」の弊害に見えるが、いまだに日本政府はこんなに無駄なことを既得権を守るためにやっているのかと思うと、かなり情けない気持ちになる。 そもそも、自治体任せにするということで、国家公務員や政治家は、自分たちの責任を回避したように思えてならない。せめて混乱を避けて平等性を保つためには、国が強いリーダーシップを発揮して、ワクチン接種の「全国統一のプロセス」を示すことが必要だったと言える。 新潟県の上越市が実施して高い評価を得た方法のように、高齢者の自宅に「×月●何日14時、A会場」というように、時間と場所をあらかじめ指定すれば、そこにいけない人だけが、決められた連絡先にアクセスすることになり、少なくとも大混乱は避けられたように思えてならない』、「8年も続いた安倍政権が、ほとんど何の準備もしなかったことが大きかったのではないか。他の国が、ワクチン接種に取り掛かっているときに、日本では呑気に「Go To トラベルキャンペーン」の準備にかかりきりだったとも言える」、「自治体任せにするということで、国家公務員や政治家は、自分たちの責任を回避したように思えてならない」、その通りだ。
・『日本全体が「責任回避社会」に  日本全体が「責任回避社会」になっているとも言える。まさに、日本では「責任を持って物事を決めていくリーダーシップ」を発揮できる人材が、決定的に不足しているのではないか。 もっとも日本国民もそういう政治体制を支持してきたのだから責任は国民にもある。 こうした一連のワクチン接種が遅れた状況について、さまざまな分析が行われているが、その中に「ひとつのミスも許されない完璧主義」という雰囲気が日本のワクチン接種を遅らせたのではないか、という指摘があった。ある意味で当たっているのかもしれないが、完璧主義であるかどうかはかなり疑問だ。 ひとつのミスも許されない、という雰囲気になってしまっているのは、日本の場合はテレビや新聞、そして週刊誌に至るまで、同じ報道を繰り返し、繰り返し報道する傾向が指摘されるからだ。政治家や行政の失敗を批判するニュースが目立つ。それも通常のニュースだけではなく、「ニュースショー」と称するバラエティー番組で繰り返し、細かな点にまでミスをついてしまう傾向が強い。 ワクチン接種について、日本政府が消極的なのも、メディアが長年にわたってワクチンによる副反応をことさら強調する報道を繰り返してしまったのもひとつの要因といっていいのかもしれない。日本のメディアは、記者クラブ制があって、すべて横並びで報道するため、きちんとしたエビデンスや調査に基づく報道が弱い。感情的な報道をしたほうが視聴者や読者にも受けて収益も上がる。 こうした報道ができるのは、資金面で余裕のある大手メディアしかないのだが、残念ながら日本ではその大手メディアほど記者クラブで得た情報をだらだらと報道する傾向が高い。こうした傾向は日本だけの問題ではないが、日本のコロナ対策が後手に回っている要因のひとつといっていい』、「日本ではその大手メディアほど記者クラブで得た情報をだらだらと報道する傾向が高い」、確かに「メディア」の姿勢も問題だ。
・『ミスをした人間を容赦しない日本のメディア  そもそも、日本にはメディアに一度叩かれたらとことんやられてしまう、という恐怖心が官僚や公務員、政治家、そして一般の国民にあるのも事実だ。日本のメディアはとりわけ、ミスをした人間を容赦しない。タレントであろうが政治家であろうが一般人であろうが、どことなく許せないという雰囲気を作ってしまう。 こうしたメディアの姿勢が、パンデミックのような状況には大きな負の要因になってしまった傾向がある。日本は太平洋戦争のときにメディアも揃って政府・軍部の言いなりとなって、一直線に戦争に進んでしまった経緯がある。これと似たような状況が、現在のメディアには見え隠れする。 これは、ある意味でメディアの驕りなのだが、スポンサーである企業や視聴者である国民にもその責任の一端があるのではないか。感染症という病気と闘う以前の日本全体の雰囲気に原因があるような気がしてならない。日本の教育制度は、ある一定の枠の中に人間の個性を封じ込めて集団行動させることに大きな意味を見いだしている。個性を伸ばす教育が不足している。ある意味で、第2次世界大戦前の教育の方向性が本質的なところでは変わっていないと言ってもよい。そして、企業も個性を捨てた人間の集団をつくり続けている。 パンデミックという「有事」に巻き込まれている今、日本はこうした根源的な部分でももう一度立ち返ってみる必要があるのかもしれない』、同感である。
・『法的整備の不備は政治家の怠慢?  そして、もうひとつ忘れてならないのは、法律がないからという理由で何もしなかった政治の怠慢がある。法律がなかったのはどこの国もほとんど同じだ。しかし、イギリスではすぐに新しい法律を作って対応した。 日本では、そもそも議員立法という概念が希薄で、ほとんどの政治家がパンデミックの中で結局何もしなかった、といっても過言ではない。せっかく莫大な予算を使って立法府のシステムがあるのに、なぜ日本の政治家は法律を作らないのか……。ここにも制度上の欠陥がありそうだ。 そもそも、日本には「通達行政」という便利な制度がある。法律など改正しなくても、通達1本で国民の生活スタイルを変えてしまうことが何度かあった。官庁相手のみならず、民間企業である私立大学への通達などはそのいい例だ。 そして、最後に東京五輪の存在だ。オリンピック開催にこだわったことが、コロナ対策に大きな影響を与えた。政府与党が東京五輪開催によって、総選挙を有利に導こうとしていることは明らかだし、逆に総選挙で政権を明け渡すようなことだけは避けたいと考えている。“日本売り”が始まり、株式や円、国債をも売られることになるはずだ。 日本のワクチン接種が遅れた原因は日本が固有に抱えるさまざまな問題点を浮き彫りにした。政治家や行政だけではなく、国民自身も省みなければならない』、「国民自身も省みなければならない」というのは戦争責任の1億総懺悔のようで、違和感がある。やはり主因となる政府、マスコミの責任を追及すべきだ。

第三に、6月1日付け東洋経済オンラインが掲載した朝日新聞出身で アジア・パシフィック・イニシアティブ理事長の船橋 洋一 氏と:、『失敗の本質』で旧日本軍の失敗を分析した戸部良一氏の対談「日本のリーダー「危機を語らず隠す」が招く大迷走 このコロナ対応を「失敗の本質」著者はどう見るか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/431595
・『コロナ禍の対応で日本が迷走している。PCR検査体制、医療体制、ワクチン接種体制、緊急事態宣言など、どれをとっても政府・自治体の対応は後手を踏み、長期にわたる行動制限が我慢の限界に達しつつある民心には政府への不信が募っている。未曽有の危機に直面する日本の今に、何が求められ、何が足りないのか――。 約40年にわたり読み継がれている名著『失敗の本質』で旧日本軍の失敗を分析した戸部良一氏と、独立系シンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ」(API)を率い、福島原発事故と新型コロナウイルス感染症対策の民間調査を実施した船橋洋一氏が、日本の課題を4回にわたって話し合う』、興味深そうだ。
・『「敗戦」とは呼びたくない  船橋 洋一(以下、船橋):今年の3月で東日本大震災と福島の原発事故から10年の節目を迎えましたが、今、日本だけでなく世界は新型コロナウイルス感染症のパンデミックの渦中にあります。先の戦争とフクシマ、そして今回のパンデミックはさまざまな意味において、私たちが経験した大きな危機ですが、私はまだ、日本のコロナとの戦いを「敗戦」とは呼びたくないと思っています。 今後、局面がどう変わるかまだ予断を許しません。この1年半、それこそオセロゲームのように、中国、イタリア、イギリス、アメリカ、ブラジルなど感染爆発の局面はその都度、変わり、今はインドが大変な状況に陥っています。 また、世界的に接種が進んだとしても、インド株をはじめとする変異株に対して今のワクチンの有効性はいつまで、どこまで持続するのかという問題も浮上しています。ワクチンはパンデミック収束の切り札とはならず、変異株とワクチン開発のいたちごっこになる可能性すらあります。ですから、そのような状況で、結論を出すのはまだ早いと思うのです。 しかし、これまでの日本政府の対応を見ていると、例えば、デジタル活用では後れを取ったと感じます。中国が感染対策にICT技術やAI技術を駆使したのに対し、日本ではトラッキング、隔離、通知・警告、データ収集・分析のいずれの分野でもデジタル技術のイノベーションを使いきれなかった。「デジタル敗戦」は否定できない。 また、残念ながらワクチンに関しても、開発・生産体制、承認体制、接種体制のいずれを見ても、「三周半遅れ」(民間臨調報告書)で喘いでいる。「ワクチン敗戦」と言われてもしょうがない。世界の日本を見る目もすっかり変わってしまっています。 1990年代の金融危機、2011年の福島原発危機、そして今回のコロナ危機と、国家的危機に対して政府が対応に失敗するたびに、読み返すのが『失敗の本質』です。この本は、戸部さんや野中郁次郎さんをはじめとする各分野の研究者の共同研究の成果です。1984年にダイヤモンド社から刊行された、日本軍の失敗を研究した名著ですが、その後、中央公論新社で文庫化され実に70刷を刻んでいます。 コロナ危機はまだ進行形ですが、フクシマの経験も含め、日本の危機対応について、戦前の日本軍の失敗に照らして、何が問われているのか。さまざまな観点から日本の課題について伺いたいと思います。 戸部 良一(以下、戸部):『失敗の本質』は40年近く前に出版した本ですが、実は福島の原発事故の際にもよく読まれました。そして、今回も思い出していただいたということで、著者の1人としては大変うれしいことなのですが、これほど多くの方々に読んでいただいているにもかかわらず、同じことが繰り返されているとすれば、こんなに悲しいことはないとも思います。 コロナやフクシマの話に入る前に、前もって申し上げておきますと、『失敗の本質』で取り上げているのは「目に見える」敵との戦いです。が、フクシマの場合も、コロナの場合も敵は目に見えません。もっとはっきり申し上げると、意志を持たない敵との戦いです。そこは、切り分けて考えなくてはならないと思います。 (戸部良一氏略歴はリンク先参照) 戦争の場合には相手も意志を持っていますから、ある程度、予想や予測を立てることができます。もちろん、相手に予想を裏切られる場合もありますが、相手の文脈で考えることができれば予想は立てられます。 しかし、意志を持たない敵の行動を予測することは難しいと思います。科学的な知見の蓄積で、ある程度は根拠を持って予想できるところもあるとは思いますが、ここが目に見える敵との戦いとは違うということは、前提として理解しておかなければなりません。 もう1つ、顕著な違いがあります。『失敗の本質』では6つのケースを扱っていますが、そのうち、ノモンハン事件、ミッドウェー作戦、ガダルカナル作戦、インパール作戦、レイテ海戦の5つは自ら攻めていった戦いで、相手から攻められたケースは沖縄戦だけです。つまり、私たちが分析した日本軍の戦いの大半は自ら攻めた戦いです。 一方、コロナもフクシマも、ある意味で、攻められている戦いで、その違いはあるのだと思います。だからどうした、と問われると、それに対する回答を持ち合わせているわけではありませんが、違いがあることは考えておく必要があると思います』、『失敗の本質』の著者の1人との対談とは面白い企画だ。
・『官僚制の本質は戦前から変わっていない  船橋:私どものシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ=API」(当時、日本再建イニシアティブ=RJIF)は福島の原発事故の際に、民間事故調査委員会を立ち上げ、調査・検証し、報告書を作成しました。それとは別に私自身、その後も取材を続け、危機の現場の様々な姿を拙著『フクシマ戦記』(文芸春秋社刊)で描き、今年刊行しました。 そこで痛感したのは、日本のガバナンスには深刻な問題があるということでした。とくに、リスク評価とリスク管理のギャップ、各省庁の司司のタコツボ・縄張り、そしてリスクを引き受け、ガバナンスを効かすリーダーシップの不在といった問題です。戸部さんがご覧になって、どこに問題があるとお考えですか。 戸部:『フクシマ戦記』を拝読して、最も興味深かったのは「戦記」と表現されていたことです。確かにそうだな、という思いを強くしました。私の問題意識に添って申し上げると、最も関心を持ったのは、官僚制とリーダーシップの問題です。船橋さんも『フクシマ戦記』で言及しておられますが、官僚制の本質は戦前の日本軍の時代から変わっておらず、そこに問題があるということだろうと思います。) ただ、官僚制の弊害は、日本だけではなくどの国の官僚制にも付きまとう問題で、いわば官僚制の逆機能として発現するものだと思います。それが日本の場合、危機が最高潮に達している最も大切な場面で出てしまうという特徴があり、その原因を考えることが課題だろうと思います。 リーダーシップ論については、『フクシマ戦記』で当時の民主党政権の菅直人首相を厳しく批判しながらも、「彼がいたから持った」と指摘されているところが意外で、ちょっと菅さんを見直したというところがありました。 (船橋洋一氏の略歴はリンク先参照) もう1つ、余計なことかもしれませんが、日本の問題を考える際、文化論に落とし込むことの危険性を指摘しておきたいと思います。私は防衛大学校の国際関係学科で教鞭をとっていましたが、それは当時から学生に口を酸っぱくして指導していたことです。さまざまなケースを分析した後に、その原因を日本的な文化やその欠陥に求めたのでは、実は何も言っていないことと同じで、その結論は逃げでしかありません。 ところが、その後に国際日本文化研究センターに身を移しましたが、そこには、多くの研究者が「日本独特なもの」と口を揃える“文化”がありまして、大変なところに来てしまったと思いましたが、やはり、「日本的」「日本の文化」というところに逃げずに、問題の本質を突き詰めることが必要だと思います。 船橋さんも、『原発敗戦』(文春新書)で、文化決定論は無責任と敗北主義をもたらすだけだと警鐘を鳴らされていたと記憶しています』、「「日本的」「日本の文化」というところに逃げずに、問題の本質を突き詰めることが必要だと思います」、同感である。
・『文化に流し込むと教訓を得るのが難しい  船橋:以前に、昭和史家の半藤利一さんと『原発敗戦』について対談したことがあるんですが、私が失敗の本質は文化ではないと主張したのに対して、半藤さんは「いや、それでも日本の問題は、最後は文化だ」だとおっしゃっていましたね。私は、危機に当たってのガバナンスは、当事者と担当者の個々人の判断、役割、責任が重要で、それを文化のせいとするのは個人の役割や責任をあいまいにする危険があると思います。 どこの、どいつが、どうしたことが問題だった、ということを突き止めることが重要だと思います。文化に流しこむと、教訓を得るのが難しい。学習の芽を摘んでしまう危険がある。もちろん、組織としての対応の可否を問うときに組織文化の問題はあると思います。ただ、その場合も、人事制度、昇進制度、報奨制度、コンプライアンス制度、法制度、判例、メディアの取り上げ方などの組織文化を成り立たせる構造と状況があります。むしろ、そちらを分析することが重要だと思っています。 船橋:ここで、官僚制とリーダーシップという問題提起をいただきました。それに関連して、まず、コロナとの戦いについて伺います。 菅政権は7月末までに高齢者全員に対してワクチンの2回接種を終えると、大見得を切りました。1日、100万回の接種という大号令です。ただ、これまで1年間のPCR等検査の実施状況を見ても、こんな数字本当に達成できるのか、と国民も半信半疑なのではないでしょうか。私も高齢者の1人で、住まいは横浜の鶴見区ですが、接種券は届いたものの昨日(5月10日)50回ほど電話してもつながらない状態です。 そんな状況にもかかわらず、誰も菅首相に「総理、それは無理です」と言わなくなっているんじゃないか、「数合わせ」と「忖度」の危機管理になってしまっているのではないか、と危惧しています。 もう1つ、対策に優先順位が付けられていないのではないかとも感じます。PCR等検査とワクチンは最大限、必要な資源を投入して、断行する最優先順位課題ではなかったのか。またしても、「逐次投入、小出し」の様相を呈しているようです。この辺りは、どうご覧になっていますか』、「文化に流し込むと教訓を得るのが難しい」、同感である。
・『リーダーは危機を率直に語るべき  戸部:私は昔のことしかわかりませんので、その辺をわきまえて申し上げますが、今はテレビがあり、SNSがありということで、指導者は頻繁に国民の目にさらされています。戦前は、日本だけでなくどの国でもそんなことはありませんでした。せいぜいラジオがあったぐらいです。 で、議会の場やラジオを使って国民を説得するわけですが、例えば、チャーチルやルーズベルトの演説を文字で読む限り、指導者は数字を出して細かいことは言っていません。むしろ、今の状況がどれほど逼迫しているかということをストレートに話して、打ち克つために何をすべきかを端的に訴えています。その違いだと思います。 「血と涙と汗しか提供できるものはない」というチャーチルの有名な演説がありますが、そのときも、ドイツ軍は強いと言って、いかにイギリスが危機的な状況にあるかを率直に述べています。 船橋:「数字を出して細かいことは言わない」ですか。危機の時、リーダーが国民に伝えるべきは数字でもない、細部ではない、ということですね。 戸部:きちっと危機の状況を言わないと結局、説得力がないのではないでしょうか。数字は専門家が言えばいいのであって、リーダーは率直に危機について語るべきです。) 船橋:これは、リスク評価とリスク管理に関わるテーマですが、フクシマでもコロナでも、今は大変な状況なのだということを言うと、国民がパニックになるのではないかと恐れて、リーダーは危機の実体と有事の対応策を真正面から言うことをためらう傾向があります。福島原発事故前までの原子力安全規制側の決まり文句は「住民に不必要な不安と誤解を与える」ようなことはしない、というものでした。 戦中の大本営発表と同じだとまでは言いませんが、国民が不安になるようなことを言うのはできるだけ避け、「いい知らせ」だけを伝えようとする。国民に安全と安心を保証する政治は間違ってはいませんが、ややもすれば安心を優先させその結果安全を犠牲にしてしまっているということがあるのではないでしょうか』、「数字は専門家が言えばいいのであって、リーダーは率直に危機について語るべきです」、なるほど。
・『安心ポピュリズム  私はそれを「安心ポピュリズム」と名付けているのですが、与党も野党もメディアも、そしてほかならぬ国民も安心を要求します。そしてその結果、人々を不安にしかねない「リスク評価」、そうした「想定外」を織り込んだ訓練、有事に備えた法制度改正、「最悪のシナリオ」策定などのタフな案件は敬遠されるのです。この「安心ポピュリズム」、戦前はどうだったのでしょうか。 戸部:それは大変難しい問題ですが、恐らく、指導者が国民をどの程度信用しているかということに関係しています。船橋さんご指摘の「安心ポピュリズム」は、ある種の愚民観によって立っているのだと思います。国民を信用していれば、政府や指導者が持つ正確な情報をストレートに伝えるはずです。 私は、多くの国民は理解する、と楽観的に思うのですが、政府が正確に情報を伝え、国民が冷静にそれを受け止めるということを繰り返し、慣れていかなければ、何時まで経っても、政府が本当のことは隠すという状況は続くのだと思います。 またチャーチルの話になりますが、ドイツとの交戦中、ロンドンに夜間の爆撃が集中していったときのことです。このとき、ドイツの侵攻を食い止めるため、イギリス軍は航空機とパイロットを温存する必要があり、夜間の爆撃には全力で反撃していませんでした。 ある評伝によると、チャーチルが爆撃を受けた町を翌朝、慰問に訪れたとき、そこで多くの住民に囲まれてしまいました。チャーチルは一瞬、危険を感じましたが、住民は怒って首相を囲んだのではなく共感を示すために集まってきたというのです。帰りの車中でチャーチルは感涙したとも伝えられています。 このエピソードがどこまで事実なのかはわかりませんが、指導者が率直に状況を語ることの重要性をよく示していると思います。指導者が真実を率直に語っているからこそ、国民も状況を理解し受け容れたのではないでしょうか』、「安心ポピュリズム」とは、「ある種の愚民観によって立っているのだと思います」、「政府が正確に情報を伝え、国民が冷静にそれを受け止めるということを繰り返し、慣れていかなければ、何時まで経っても、政府が本当のことは隠すという状況は続くのだと思います」、その通りだろう。官首相も肩の力を抜いて、もっとフランクに思いや悩みを打ち明けてはどうだろう。
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東京オリンピック(五輪)(その17)(IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき、東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材、「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー パソナへの“厚遇”、五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に) [国内政治]

東京オリンピック(五輪)については、5月4日に取上げた。今日は、(その17)(IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき、東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材、「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー パソナへの“厚遇”、五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に)である。

先ずは、5月28日付けJBPressが掲載した元NHK職員で経済学者、アゴラ研究所代表取締役所長の池田 信夫氏による「IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/65470
・『昨年(2020年)の延期から新型コロナに翻弄されてきた東京オリンピックが、いよいよ瀬戸際に追い詰められている。野党がそろって「オリンピック反対」を打ち出し、公式スポンサーの朝日新聞も中止を求める社説を出し、世論調査でも「中止か延期」を求める意見が8割を超えた。 そんな中でIOC(国際オリンピック委員会)の委員が、無神経な発言を繰り返している。「緊急事態宣言が出ても大会は決行する」とか「首相が中止するといっても開催する」という発言は、日本の国家主権を侵害するものだ。今のところ日本政府は沈黙しているが、この状況でオリンピックは開催できるのか』、「公式スポンサーの朝日新聞も中止を求める社説を出し」、「世論調査」結果も踏まえたのだろうが、「公式スポンサー」としてはずいぶん思い切った主張をしたものだ。IOC委員の相次ぐ「無神経な発言」には腹が立つ。
・『「首相が中止を求めても開催する」  今年も東京オリンピック・パラリンピックは、開催が危ぶまれていた。新型コロナの感染が収まらず、緊急事態宣言が出される状況で、今年7月23日に開催できる条件がそろうとは思えないからだ。普通ならそれに対して、日本国民の健康に配慮して協力を求めるのが(外交辞令としても)常識だが、IOCのコメントは常識外れだった。 5月21日の記者会見で、IOCのジョン・コーツ副会長は「緊急事態宣言が出ていてもオリンピックは開催できるのか」という質問に「絶対できる」(absolutely yes)と答えた。 24日には、IOCのトーマス・バッハ会長が、ビデオメッセージで「東京大会を実現するために、われわれはいくつかの犠牲(sacrifice)を払わなければならない」と述べたが、この「われわれ」は「日本国民のことではない」と後に説明した。 そして27日発売の文春オンラインでは、ディック・パウンド元副会長が「菅首相が中止を求めたとしても、それは個人的な意見に過ぎない。大会は開催される」と答えた。 この一連のIOC幹部の発言で特徴的なのは「開催に日本政府の協力をお願いする」というのではなく、「われわれが開催する」とIOCを主語にして語っていることだ。IOCはなぜこのように強気になれるのだろうか?』、知りたいところだ。
・『不平等な「開催都市契約」  この背景には、開催都市契約という特殊な契約がある。ここでは大会の開催はIOCが各都市に「委任」するもので、主催者はIOCだけである。したがってその中止を決定する権限をもつのもIOCだけだ。 契約には「IOCによる本大会の中止またはIOCによる本契約の解除が生じた場合、開催都市、NOC(各国オリンピック委員会)およびOCOG(オリンピック組織委員会)は、いかなる形態の補償、損害賠償の権利も放棄」すると書かれている。 だから日本政府も東京都も中止を決定できる当事者ではない、という人がいるが、それは誤りである。これは国家間の条約ではないので、日本政府はそれを履行する国際法上の義務を負わない。IOCは国際機関ではなく、放映権料やスポンサー料などの収入で運営される民間団体なので、この契約を執行する権限は日本政府にあるのだ。 たとえば国立競技場をオリンピックに使わせるかどうかは、文部科学省が決定できる。そのためには法改正は必要なく、「新型コロナの感染拡大を防ぐため国立競技場の利用を禁止する」という閣議決定で十分である。 それに対してIOCが異議を申し立てて行政訴訟を起こすことができるが、7月末までには間に合わない。IOCが日本政府に違約金の支払いを求めて訴訟を起こすこともできるが、それも日本の裁判所に起こすしかない。内閣の正式決定に対して裁判所が賠償を認めることは考えられない。 この場合に大事なのは契約上だれが決めるかではなく、中止の決定が妥当かどうかである。もし開会式の段階で緊急事態宣言が発令されており、デパートや映画館に休業要請しているとすれば、国立競技場だけをIOCに使わせることは不当である。IOCが「選手には特別に安全対策を講じたので例外にしてほしい」と東京都に要求しても都は拒否できる。 最終決定権はIOCではなく、日本政府と東京都にあるのだ。それなのにIOCが無神経な発言を続ける背景には、もっと複雑な事情がある』、「開催都市契約」は「国家間の条約ではないので、日本政府はそれを履行する国際法上の義務を負わない」、言われてみればその通りなのかも知れないが、「日本政府」もそれに署名しているので、契約順守義務がありそうな気もする。ここは「池田」氏の説を信じることにしよう。
・『日本政府はIOCの「腐敗のサイクル」を断て  その理由は、IOCが日本政府に報復する手段をもっているからだ。東京都がIOCから委任されたオリンピックを中止したら、日本は二度とオリンピックを開催できないだろう。IOCは今後の大会で日本の選手団を拒否するかもしれない。 さらにIOCはオリンピックの放映権料を各競技団体に配分する権限をもっている。これはサッカーやバスケットボールなどのプロスポーツでは問題ではないが、大部分のアマチュアスポーツはIOCの分配する放送権料が最大の資金源である。 IOCの資料によれば、2013年から2016年までのIOCの収入は約57億ドル(約6200億円)で、その73%が放映権料である。収入の90%が世界各国に、アマチュアスポーツの強化費用として分配されている。JOC(日本オリンピック委員会)も年間112億円を受け取っている。 オリンピック開催地を決めるとき、賄賂でIOC委員を買収しないと当選できないことは、周知の事実である。JOCの竹田恒和前会長は、IOCの委員を280万シンガポールドル(約2億2000万円)で買収した容疑でフランス司法当局の追及を受け、竹田会長もJOCも金を払った事実は認めた。 要するにIOCが企業から集めた放映権料が各国に分配され、それが賄賂としてIOCの「五輪貴族」に環流する腐敗のサイクルができているのだ。しかもJOCがIOC委員に金を贈っても、日本の刑法では贈賄罪に問われない。IOCは国際機関ではなく、その委員は「外国公務員」ではないからだ。竹田前会長の容疑も、曖昧なまま終わった。 IOCが異常に強気の発言を続けるのは、このような歪んだガバナンスを利用して、日本政府や東京都が中止したら、今後オリンピック利権は分配しないと脅しているのだ。 こんな脅しでIOCのいうことを聞いたら、菅政権は世界から「IOCのようなヤクザに屈服したのか」と笑い物になる。緊急事態宣言の中でオリンピックだけを特別扱いしたら、国民は自粛要請にも従わないだろう。 IOCは「再延期は認めない」としているので、日本政府の選択肢は開催か中止かの二択である。開催するなら政府は緊急事態宣言を解除し、国民生活を正常に戻すべきだ。 それと同時にIOCと交渉して暴言を撤回させ、ガバナンス改革を要求すべきだ。法的正統性のない五輪貴族に私物化されている組織を、法にもとづく国際機関に変える必要がある』、説得力溢れた主張で、全面的に同意する。ただ、今夕、オーストラリアの選手が外国人として初めて来日、このままだとどんどん来日してしまい、「中止」は出来なくなるので、「中止」するのであれば、早目に決断する必要がある。

次に、5月24日付けAERAdot.「東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/2021052300007.html?page=1
・『3度目の緊急事態宣言の解除の目途が立たない中、東京五輪・パラリンピック開催ありきで突っ走る菅政権。 全世界でパンデミックの収束がみえない状況下、訪日する首脳たちをおもてなしするため、外務省は「要人接遇関係経費」として43億6100万円を確保している。開催まで2カ月を切った時点で、訪日が公表されているのは、2024年にパリ五輪を控えるフランスのマクロン大統領くらいだ。アメリカのバイデン大統領は招待されているものの、明確な回答は出していない。国際ジャーナリストの高橋浩祐さんはこう指摘する。 「外務省関係者によると、要人接遇関係費をなくせば予算が大幅に削減できるのに、そうしたことは省内で禁句とされているようです。外務省に関わらず、オリンピックを錦の御旗に掲げて予算をぶんどった所がたくさんあるのです。オリンピックを口実に予算を取って、組織存続のために勢力争いをしているようなものです」 要人接遇関係経費43.6億円には、菅義偉首相主催の「晩さん会」が含まれているとされる。 「関係者からは、赤坂迎賓館に各国の賓客を呼んで歓迎パーティーをする費用が入っていると聞きました。先日も医師会がパーティーをしていたことが問題になったように、世論的には難しいでしょう。そもそも、外からみても日本のワクチン接種率は低い。こうしたホスト国に首脳たちは来ようと思うのでしょうか」(高橋さん) 外交の名目で東京五輪の「晩さん会」が通用したのはコロナ前のことであろう。海外から首脳を招き、「人類がコロナに打ち勝った証し」として杯を交わすなど、世論を逆なでするようなもので、「晩さん会」開催は現実的ではない。半ば宙に浮いた43.6億円を何に使うつもりでいるのだろうか。 AERA dot.では、外務省の要人接遇事務局に43.6億円の使途を問い合わせた。 「大統領、国王、首相といった首脳級の人たちの接遇に必要なものとして予算を計上しています。例えば、外務省から賓客に車両の提供や、空港での接遇など。細かいことを言うと、赤じゅうたんを敷くとか、空港に要人が来た時のVIPルームといったらいいのか、出発前にちょっと待っていただく部屋も確保する必要がありますので、そのあたりでかかってくる経費が主に含まれています」(要人接遇事務局)』、「外務省に関わらず、オリンピックを錦の御旗に掲げて予算をぶんどった所がたくさんあるのです」、「要人接遇関係費をなくせば予算が大幅に削減できるのに、そうしたことは省内で禁句とされているようです」、こんな例は他の省庁にもあるのだろう。
・『東京五輪に何カ国、何人の要人が訪日するかについても質問したが、明確な回答はなかった。 「各国のオリンピック委員会が、その国の要人として誰を呼ぶかを決めて、IOC(国際オリンピック委員会)が承認すれば、要人として開会式に出席したり、競技を観戦したりすることができる仕組みになっておりまます。日本政府が招待するわけではないため、日本側から何人とは言いにくいです。コロナ禍での開催となるので、普段よりは要人の数は少なくなるかと思います」(要人接遇事務局) 接遇費の試算は、過去の五輪開会式に出席した要人の数と、2年前に開催したG20や即位の礼を参考にしたという。 「リオに約40名、ロンドンと北京には約80名の首脳級の要人が開会式に出席したと把握しております。1カ国当たりの予算は2年前に開催したG20や即位の礼を踏まえながら考えております。その時にかかった車両の経費などを参考にしています。同じ接遇をするわけではないのですが、細かい予算の積み上げがあり、国の数と掛け合わせて予算を要求しています」(要人接遇事務局) 1カ国当たりの予算を繰り返し尋ねたが、回答を濁した。 「そこはちょっと……。予算には、事務局の運営費も含まれているので、単純に1カ国当たりいくらという話にはならないのです」(要人接遇事務局) ちなみに要人接遇事務局の運営費とは、臨時組織として借りた机や、大会期間中に空港に設ける連絡室の経費だと言い、「全体の単位から見ればそれほど大きくはないが、無視できない金額」と説明していた。 要人の宿泊費は、外務省の予算43.6億円には含まれていないという。 「費用は各国側でみてもらうことになっております。大会組織委員会が宿泊先を斡旋しますが、必ず指定のホテルに泊まるわけではないかと思います。ただ、別途部屋をとる場合にもちゃんとホテル側に動線を分けるなどの相談してもらうよう、各国にお願いをしているところです」(要人接遇事務局)』、なるほど。
・『その他にも、要人の隔離期間やPCR検査を選手たちと同じように扱うかは「検討中」だという。ワクチン接種については、「義務化されていないので、考慮する要素にはならない」と回答した。 長野冬季五輪(1998年)の時、要人接待費を巡って使途不明金が発生し、招致委員会の会計名簿が廃棄されたことが問題となった。前出の高橋さんは言う。 「この時は何人ものIOC委員が京都に行って芸者接待を受けていました。英BBCの調査報道記者らが執筆した『黒い輪』に<成金の日本円が行き来し、芸者がIOC委員に密着するものであった>と記しています」 IOC調整委員会と大会組織委員会などによる合同会議の終了後の21日、記者会見したコーツ副委員長は「五輪パラの開催期間中に緊急事態宣言が発令された場合、大会を開催するのか」との質問に、「答えはイエスだ」と断言。日本中でひんしゅくを買った。IOCの強硬姿勢は「ぼったくり男爵」などと海外でも批判を浴びている。 使途が不透明になっている外務省の要人接待費をこの際、きちんと見直したらどうか』、同感である。

第三に、5月30日付け日刊ゲンダイ「五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/289867
・『「対応できると思っている」――。観客入りの五輪開催について問われた菅首相は、28日の会見でこう意気込みを語った。プロ野球など国内のスポーツイベントが観客を入れて開催していることを念頭にしたのだろうが、野球やサッカーと五輪は規模が全然違う。開催する場合、最低でも「無観客」は必須だが、「有観客」に執着するのには理由があった。 「無観客だと組織委が見込む900億円の入場料収入が消え、国の負担になる恐れがある。政府は負担を避けたいのでしょうが、それ以上に大きいのが大会スポンサー企業の意向です。無観客開催になると、スポンサーは競技観戦の“優待チケット”を失うことになる。通常、スポンサーは取引先の幹部などに“チケット”を提供し、『家族の方とご一緒にどうぞ』などと誘って、後々のビジネスにつなげるのです。スポンサーにとってこの機会を失うのは、なにより痛い」(大会関係者)) 「無観客」に対するスポンサーの怒りについて、報道サイト「Tansa」が、組織委によるスポンサー全81社への説明会の議事録を入手し、28日付の記事「『開催中の中止』にまで言及した迷走の五輪組織委 パートナー企業は驚愕」で詳細に報じている。IOC(国際オリンピック委員会)らによる「5者協議」後に開催された説明会で組織委が「無観客」の可能性に触れると、スポンサーからはこんな批判が出たという。 〈なぜ今、無観客といい始めるのか。驚愕している。釈然としない〉〈昨年3月の時点で専門家はコロナの収束には2、3年はかかるといっていたのに、なぜ今頃最悪のシナリオが出てくるのか〉』、「スポンサーは取引先の幹部などに“チケット”を提供し、『家族の方とご一緒にどうぞ』などと誘って、後々のビジネスにつなげるのです。スポンサーにとってこの機会を失うのは、なにより痛い」、確かに「スポンサー」にとっては、「無観客」は大打撃のようだ。
・『「1年延期」を強行したのは安倍前首相  「有観客」へのこだわりがいかに強いかが分かるが、今、スポンサーや組織委の批判の矛先は「有観客」の機会を潰した安倍前首相に向かいつつあるという。) 「延期決定前、専門家からは『1年延期では短い』という声が上がっていました。組織委の森前会長も安倍氏に『2年延期』を進言。IOCも、2年延期を容認する構えだった。なのに、総理として五輪の旗を振ることを切望した安倍氏が『1年延期』を強行。初めからコロナ収束を想定し、2年延期にしていれば、完全な形での開催も可能だったかもしれない。組織委もコロナ対策にここまで頭を悩ます必要はなかったでしょう」(前出の大会関係者) スポンサーの意向で「有観客」を強行していいのか』、「組織委の森前会長も安倍氏に『2年延期』を進言。IOCも、2年延期を容認する構えだった。なのに、総理として五輪の旗を振ることを切望した安倍氏が『1年延期』を強行」、こんな内幕があったとは初めて知った。「安倍氏」の罪は本当に深いようだ。

第四に、5月30日付けAERAdot「「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー、パソナへの“厚遇”」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/dot/photoarticle/2021053000010.html?page=1
・『東京五輪・パラリンピックの大会運営に当たるディレクターなどの日当がなんと35万円―-。 驚くような金額が明かされたのは5月26日に開かれた国会の衆議院文部科学委員会だ。立憲民主党の斉木武志衆院議員が委員会に示した東京五輪・パラリンピック組織委員会と大手広告代理店「東急エージェンシー」が交わした業務委託契約書にそう明記されていたのだ。 大会期間中、武蔵野の森総合スポーツプラザでの準備・運営にかかわるディレクター、サブディレクター、アシスタントディレクター、サービススタッフらのマネジメントなどの業務を委託するという内容で、契約が締結されたのは2019年12月17日。 当初の予定だった2020年7月の五輪開催からみれば、半年ほど前になる。業務委託契約書に添付された<内訳書>によれば、<本大会に向けての準備業務>のディレクターが最高額で1人日当、35万円。40日間で2人とされ、計上された予算が2800万円。 続いて<大会準備期間における会場運営計画策定業務>のディレクターが一人、日当25万円。40日間で1人、1000万円。 <大会期間中における会場運営業務>の運営統括、ディレクター、スーパーバイザーが日当、20万円。サブディレクターが13万5千円、アシスタントディレクター10万円、マネージャー5万円。日当の最低金額はサービススタッフ2万7千円となっている。人数は約800人で契約金額の合計は約6億2300万円(消費税込み)だ。 だが、記された金額を単純計算すると、5億1千万円ほどだ。 <仕様書>では<営業管理費11%>が計上され、そこに消費税を加えると契約金額相当となる。 斉木議員は委員会で日給35万円のディレクターを例にしてこう訴えた。 「2020年に開催されていれば、営業管理費、つまり東急エージェンシーの儲けが11%でした。それが1年延期されたところ、9%もアップして営業管理費が20%となった。東急エージェンシーはその分を上乗せして、42万円で組織委員会に請求している。週休二日制にしてみれば(月給)924万円、1000万円近い、高すぎませんか」』、「1年延期」だけで、「9%もアップして営業管理費が20%となった」、ただ単にふっかけているとしか思えない。
・『答弁に立った組織委の布村幸彦副事務総長は業務委託契約書と内訳書が「五輪組織委員会と民間事業者の契約書の一部。当事者が適切に保管すべきもので外部流出は遺憾です」と組織委と東急エージェンシーで締結された書面のコピーだと認めた。 そして、なぜ業務委託契約費が高騰しているのか。斉木議員はその理由を問いただした。 そこで登場したのが、人材派遣サービス大手「パソナグループ」だ。同社のホームページによれば、<東京オリンピック・パラリンピックでは「人材サービス」カテゴリーにおける『東京2020オフィシャルサポーター』契約を締結>と記されている。 斉木議員がさらに委員会で内部資料<TOKYO2020 パートナーカテゴリー>に基づいてスポンサー保護の項目が定められている、と暴露。次のように質問した。 「例えばソフトドリンクはオフィシャルスポンサーのコカ・コーラ。アルコールはアサヒビールと縛りがあります。人材サービス分野はパソナグループとリクルートホールディングス。人材派遣はパソナにだけというパートナー契約ではないか」 組織委の布村氏は「一般論としてはその通りです」とアッサリ認め、こう答えた。 「組織委の約4000人の3分の2の職員は、国や東京都、スポンサー企業などからの出向であります。残りの3分の1はパソナから優先的に派遣されています。しかし、大会運営業務委託は専門性もあり、パソナ以外のところからも派遣してもらっている」 パソナグループは五輪スポンサーで、人材派遣サービスとして優先されているという。大会運営業務委託は43会場で契約されており、契約者として東急エージェンシー以外にも、電通や博報堂など大手広告代理店が名を連ねる。 組織委がパソナグループ以外から人材派遣サービスを受ける場合、「パソナグループでないところから派遣を受ける旨、組織委に書面で承諾を受けないといけない」と斉木議員が明かした。 委託費が高騰する理由もこう語った。) 「大会運営業務委託が入札ではなく、随意契約、1社独占になっているからではないか」 パソナグループの<パソナから東京2020で働く>という、人材募集のホームページを見ると、選手村運営、メディカル、トランスポートなどと並んで、競技会場運営という分野が記されている。時給は1650円、1日あたり実働7時間45分とあり、日給約12700円となる。斉木議員はこう語った。 「そういう業務をパソナが時給1650円でスタッフ募集しているものを東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている。まさに五輪ビジネス、随意契約の弊害だ」 それに対して組織委の布村氏は「人件費単価で契約しているのではない。記載の単価は業務やバックヤードなど関係部門の経費も含む」と反論したが、民間事業者との契約だと詳細な説明は拒んだ。 パソナグループの会長は、小泉政権時代に総務相などを歴任した竹中平蔵氏だ。菅義偉首相は竹中氏が総務相時代に副大臣を務めており、竹中氏は現在、菅首相の有力ブレーンの一人だ。組織委員会の幹部はこう語る』、「パソナが時給1650円でスタッフ募集しているものを東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている。まさに五輪ビジネス、随意契約の弊害だ」、「随意契約」とはいえ、信じられないような「中抜き」だ。
・『また竹中さんのパソナグループ、政府御用達の電通かと叩かれるとやりにくいね。限られた準備期間で、しかも1年延期となっている。そこをつつがなく運営をやってくれとお願いするには、手慣れた電通やパソナグループなどに頼るしかない。手数料やマージンがアップして、契約金額が高くなっても、成功することが最優先なので仕方ない。このような契約書が表に出て金額が露出してしまうと頭が痛い」 竹中氏は防衛省が5月24日から運営しているワクチン大規模接種センター(東京)の予約システムを手掛けたマーソ社の経営顧問も務めている。斉木議員はこう疑問を投げかける。 「コロナ禍における持続化給付金の事務手続き業務の時も、実質的には電通が主導して、最終的な現場仕事はパソナグループがやっていた。東京五輪も同じような構図で、民間ボランティアや国民を馬鹿にしている』、「政府」がらみの仕事を骨までしゃぶり尽くす「竹中」はまさに現代の政商だ。
タグ:東京オリンピック 日刊ゲンダイ JBPRESS 池田 信夫 (五輪) AERAdot (その17)(IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき、東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材、「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー パソナへの“厚遇”、五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に) 「IOCはなぜ日本政府を無視して暴言を繰り返すのか 腐敗した「五輪貴族」が資金を分配する悪循環を断つべき」 「世論調査」結果も踏まえたのだろうが、「公式スポンサー」としてはずいぶん思い切った主張をしたものだ。IOC委員の相次ぐ「無神経な発言」には腹が立つ。 IOCはなぜこのように強気になれるのだろうか?』、知りたいところだ 「開催都市契約」は「国家間の条約ではないので、日本政府はそれを履行する国際法上の義務を負わない」、言われてみればその通りなのかも知れないが、「日本政府」もそれに署名しているので、契約順守義務がありそうな気もする。ここは「池田」氏の説を信じることにしよう。 説得力溢れた主張で、全面的に同意する。 ただ、今夕、オーストラリアの選手が外国人として初めて来日、このままだとどんどん来日してしまい、「中止」は出来なくなるので、「中止」するのであれば、早目に決断する必要がある。 「東京五輪の「要人接遇費43億円」は外務省内でも禁句!?予算内訳について直撃取材」 「外務省に関わらず、オリンピックを錦の御旗に掲げて予算をぶんどった所がたくさんあるのです」、「要人接遇関係費をなくせば予算が大幅に削減できるのに、そうしたことは省内で禁句とされているようです」、こんな例は他の省庁にもあるのだろう。 「五輪無観客はスポンサー許さず…批判の矛先は安倍前首相に」 「スポンサーは取引先の幹部などに“チケット”を提供し、『家族の方とご一緒にどうぞ』などと誘って、後々のビジネスにつなげるのです。スポンサーにとってこの機会を失うのは、なにより痛い」、確かに「スポンサー」にとっては、「無観客」は大打撃のようだ。 「組織委の森前会長も安倍氏に『2年延期』を進言。IOCも、2年延期を容認する構えだった。なのに、総理として五輪の旗を振ることを切望した安倍氏が『1年延期』を強行」、こんな内幕があったとは初めて知った。「安倍氏」の罪は本当に深いようだ。 「「東京五輪の日当は35万円」 国会で暴露された東急エージェンシー、パソナへの“厚遇”」 「1年延期」だけで、「9%もアップして営業管理費が20%となった」、ただ単にふっかけているとしか思えない。 「パソナが時給1650円でスタッフ募集しているものを東急エージェンシーはディレクター一人、日給20万円で請求。管理費、諸経費を入れると24万6千円。中抜き率は95%。こんなに抜いている。まさに五輪ビジネス、随意契約の弊害だ」、「随意契約」とはいえ、信じられないような「中抜き」だ。 「政府」がらみの仕事を骨までしゃぶり尽くす「竹中」はまさに現代の政商だ。
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決済(その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場) [金融]

決済については、昨年9月20日に取上げた。今日は、(その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場)である。

先ずは、本年2月20日付け東洋経済オンラインが転載したブルームバーグ「日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/412760
・『新型コロナウイルスの感染拡大を契機にキャッシュレス決済への移行が加速している。 「これまでも緩やかに進行してきたキャッシュレスの流れはコロナ禍で途切れることなく、むしろ加速した様子がうかがえる」。全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は18日の会見でこう述べた』、あれだけの「キャッシュレス」獲得合戦があったので、「キャッシュレス決済への移行が加速」は納得できる。
・『あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる  現金での決済比率が他国と比較して高い日本では、海外からの旅行客が不便を感じるなどといった問題が以前から指摘されている。また、労働人口の減少でさらなる人手不足に陥る可能性がある中、小売りなどの現場での現金管理作業が効率化の妨げとなる。デジタル化で生産性の向上を目指す金融業界にとっても現金の取り扱いには費用がかかる。 野村総合研究所(NRI)によると、銀行やコンビニエンスストアでの現金自動預払機(ATM)の設置費用や運営経費などで年間約7000億円、銀行店舗での現金関連業務に関わる人件費は同1000億円それぞれかかる。 銀行業界では顧客への投資アドバイスなど、より付加価値の高いサービス提供に人員を充てるため、現金の取り扱いを止める店舗の拡大を進める動きも出ている。あおぞら銀行では1月から国内全店舗の窓口での現金の取り扱いをやめた。 全銀協の三毛会長は「キャッシュレスは現金のハンドリングコスト引き下げによる社会的費用削減や、決済データの利活用による新たな付加価値サービスの提供など、一つのブレークスルーにもなり得る。銀行界としても引き続き積極的に取り組みを進めていきたい」と語った。 政府は国内のキャッシュレス決済比率を現状の25%から2025年までに約40%に高める目標を掲げ、20年6月までの9カ月間、キャッシュレス決済の利用でポイントを還元する施策も実施した。新型コロナ禍で人との接触をなるべく避けることが求められていることも、キャッシュレス化の普及を後押しする』、「あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる」、とは思い切ったことを
したものだ。
・『減少する通貨、増える通貨、通貨にも2極化現象  日銀が事務局を務める金融広報中央委員会が1月に発表した調査によると、現金の代わりにクレジットカードや電子マネーが使われる傾向は高まっている。支払金額が1000円以下の場合、現金を利用すると答えた人の割合は20年に70.8%と前の年の84%から低下した。こうした傾向を反映し、1円などの少額硬貨の流通量は減っている。 キャッシュレス化が進む一方、その動きとは逆行するような現象も起きている。日銀のデータによると、市中に出回っている1万円札の合計金額は増加傾向をたどり、1月末時点で107兆3000億円と1年前と比べて6.4%増えた。 ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは「1万円札を中心に、紙幣の発行高が増加を続けている背景には低金利環境が挙げられる」と指摘。預金しても金利がほとんど得られない状況が続いているため、自宅などでの現金貯蔵、いわゆる「たんす預金」化が進んだとみられるという。 上野氏は「新型コロナ感染防止のための接触低減化の風潮もキャッシュレス化の追い風になる」として、「低金利などによって自宅などでの貯蔵が促される高額紙幣や500円玉の増加と、キャッシュレス化の影響をダイレクトに受ける少額硬貨の減少という二極化はますます進みそうだ」と述べた』、「高額紙幣や500円玉の増加と」「少額硬貨の減という二極化」が「ますます進みそうだ」とは、確かに面白い現象だ。

次に、5月27日付け日経ビジネスオンライン「無印、ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052600185/
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、コロナの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。大規模な還元で注目を集め、ユーザーと加盟店を増やす競争が続いていたが、ここに来て自社でしか使えない「〇〇ペイ」の存在感が高まっている。 決済事業者が陣取り合戦からマネタイズへと移る第2幕が開いた。競争を制する鍵は、どこにあるのか。3回に分けて紹介する。 5月14日、横浜市港南区の商業施設、港南台バーズの地下1階に無印良品の食料品売り場がオープンした。クイーンズ伊勢丹などと協業し、生鮮食品や総菜をそろえた。1階の雑貨・衣料品売り場と合わせた面積は約5100m²と無印良品の店舗としては関東最大となる』、なるほど。
・『無印良品はキャッシュレス決済に、顧客の来店頻度を高める効果を期待している  都市型店舗のイメージが強い無印良品だが、今後は郊外や地方の住宅地の近くでの新規出店を増やし、地方圏の中高年層を開拓する。そこで効果を期待しているのがキャッシュレス決済「MUJI passport Pay(ムジパスポートペイ)」だ。2013年に導入した自社のスマートフォンアプリに20年11月、決済機能を追加した。 アプリは顧客にお薦め商品の情報を届け、店舗で決済に使ってもらうだけでなく、インターネット通販(EC)の窓口でもある。実店舗とネットの買い物を境目なくつなぎ、「地域に新たに出店すると、その地域のEC売り上げも上がる」(良品計画の角田徹EC事業部長)という相乗効果を生んでいる。 決済機能は、ITベンダーなどの協力を仰ぎつつ、良品計画が自前で開発した。セブン&アイ・ホールディングスの「7pay(セブンペイ)」やNTTドコモの「ドコモ口座」の不正利用などでスマホ決済への不信が強まっていることから、「セキュリティーは非常に慎重に検討した」(角田氏)と説明している』、「7pay」や「ドコモ口座」の「セキュリティー」はお粗末だったが、その反省の上に出来たので、一応、大丈夫なのだろう。
・『面取りは目的にあらず  キャッシュレス決済は19年の消費増税をきっかけに普及が加速した。政府は「キャッシュレス決済・ポイント還元制度」を設け、PayPay(ペイペイ)を筆頭にした民間のキャッシュレス決済事業者も追い風に乗って、大規模な還元キャンペーンを打った。 ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏の推計では、20年にクレジットカードや電子マネー、QRコード決済といったキャッシュレス決済の比率は約30%に達し、じわじわと広がっている。 「大還元祭り」を主導したスマホ決済事業者が、ユーザーと加盟店の数を増やす「面取り合戦」を進めたのに対し、良品計画は「現時点で無印良品以外での利用は検討していない」という。 21年1月に衣料品大手のユニクロで始まった「UNIQLO Pay(ユニクロペイ)」も自社グループに絞っている点で共通する。無印良品と同様、以前からあった自社アプリに決済機能を追加し、自社でセキュリティーを確保。レジ前の混雑解消を図るという狙いも同じだ。両社とも会員証と決済機能を1つのアプリに統合している。 大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる。こうした動きが相次ぐのは大規模還元で飛躍的に高まったスマホ決済の知名度が下地にある。買い物に必須の決済機能を自社アプリに加えることで利用頻度を向上。ユーザーの購買履歴を集め、アプリから来店動機や購買意欲を高める効果的な情報発信を行うという流れだ。両社とも固定ファンを抱えており、自社限定でスマホ決済を導入しても費用対効果が見合うと判断した』、「大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる」、なるほど。
・『ローソンでも使えるファミペイ  キャッシュレス決済が広がったこの2年間、小売業やサービス業が独自のスマホ決済システムを開発する例が増えてきた。垂直と水平の両にらみ戦略を採るのが、ファミリーマートが19年7月にスタートした「ファミペイ」だ。 来店頻度を高めるため、購買履歴に併せて人気商品のクーポンを毎月配信し、一部のクーポンは知人にプレゼントできるほか、ペットボトルのお茶やコーヒーなど習慣性が高い商品の回数券も用意した。 ファミペイ以前はアプリ活用に熱心でなく、「セールは店頭で十分伝わると、あぐらをかいていた」(ファミマの佐藤邦央イノベーション&アライアンス推進部長)。そこをコロナ禍が襲った。都心の店舗への来客が減り、店外で顧客とつながる一手が急務となった。 Tポイントや楽天ポイントなど共通ポイントのみでファミペイを使っていない客に比べて、ファミペイユーザーは月の来店回数が2倍ほどになっている。来店頻度が高い人がファミペイを導入する傾向はあるものの一定の成果を上げているようだ。 商品を供給するメーカー側のファミペイへの期待も高まっている。例えば、ビールのようなファンが固定化しやすい商品でも、メーカーは自社に消費者を引き寄せようとファミペイ向けにクーポンを発行する。試作品や特定商品のマーケティングにファミペイを活用する動きも増えている。 ファミペイは20年10月にファミマ以外の実店舗で使えるように機能を開放した点が無印良品やユニクロと異なる。外食や家電量販、ドラッグストアだけでなく、実はローソンでも使える。フランチャイズ加盟店から「色々なお店で使えるほうが来店客に導入を勧めやすい」という要望があったためだ。 ファミペイの決済システムを運営する子会社、ファミマデジタルワンの中野和浩社長は「ファミペイは(各種サービスのミニアプリを多数内包する)スーパーアプリでも、単なるスマホ決済アプリでもなく、ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡(きょうとうほ)としてのアプリだ」と語る』、「ファミペイ」が「ローソンでも使える」ことが、「ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡」になるのだろうか。
・『存在感を出せない新興フィンテック  商流を持つ企業にとって、キャッシュレス決済を自前で導入するメリットがあるとしても、なぜITと金融に詳しいフィンテック企業と協業したり、開発を任せたりする例が少ないのだろうか。 一つは、「7pay(セブンペイ)」や「ドコモ口座」の不正利用だ。国内小売り2位の超大手やITに知見があるはずの通信会社が見せた脇の甘さは、非専門であっても大手小売企業に自社開発でセキュリティーを確保することを決断させるのに十分な失態だった。 もう一つの背景は、キャッシュレス決済普及に一役買った「大還元祭り」だ。ただでさえ、「キャッシュレス事業自体は薄利多売」(野村資本市場研究所の淵田康之シニアフェロー)なところに、ユーザーを引きつけるためのキャンペーン合戦となった。 キャッシュレス決済の主要なプレーヤーはKDDIや楽天など携帯電話やECなど幅広い自社経済圏の構築を目指す大手ITとなり、スタートアップが戦い続けるには厳しくなった。いち早くスマホ決済に参入したOrigamiは経営に行き詰まり、メルカリ傘下のメルペイに買収され、LINEでさえヤフーを傘下に持つZホールディングスとの経営統合を決めた。 こうした大手はキャッシュレス事業で利益が得られずとも、経済圏拡大に貢献すれば元は取れる。キャッシュレスを専業とするフィンテック企業と異なり、自社のキャッシュレスシステムを他社にも提供して手数料を得るビジネスを展開する意義が薄い。 「〇〇ペイ」の乱立が起きそうだが、日本人はあまり苦にならないようだ。日本は世界でも数少ない「ポイント文化」が根付く国。他国はポイント付与より値引きを歓迎する傾向があるが、ポイントをためることに関心が高い日本なら、ペイアプリの使い分けも大きな障壁にならない可能性がある。 大手IT同士の経済圏競争はそう簡単に決着がつきそうになく、圧倒的なキャッシュレスの強者が不在であれば、小売業の自前開発が今後も進む可能性がある。アリペイやウィーチャットペイの2強が支配する中国と対照的に、多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない』、「多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない」、言い得て妙だ。

第三に、5月28日付け日経ビジネスオンライン「セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052700186/
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、コロナの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。大規模な還元策を実施したPayPayの利用者は約3900万人、小売りや外食など316万カ所で使えるまでに成長した。スマートフォン決済のシェアは5割を超え、他社を圧倒する存在感を示している。 PayPayが掲げるスーパーアプリ戦略は、今秋に有料化する加盟店からの決済手数料に加え、フードデリバリーやタクシー配車といったミニアプリの事業者から手数料を得るモデルだ。大規模な先行投資でユーザーを増やすことで、ミニアプリ提供企業や加盟店を引きつけ、それによってPayPayの利便性が高まって、さらにユーザーが集まるという好循環を狙ってきた。 そんなPayPayが今年2月、今までの戦略と一見矛盾するかのような動きをとった。「セブン-イレブンアプリ」にPayPayの決済機能が埋め込まれたのだ。スーパーアプリに取り込むのではなく、PayPayが他社アプリに入り込む狙いはどこにあるのか。 セブンアプリを開くと、ちょうど親指で押しやすい位置にある赤い「P」のロゴ。タップすると、PayPayの決済画面に移る。画面に表示されたコードをレジで読み取れば、支払いと同時にセブンアプリの会員コードも読み取り、ポイントがたまる。 会員証のバーコードと、決済に必要なコードを2度読む必要がなく、セブンアプリの利便性が高まったことは間違いない。しかし、PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込むというのは、ミニアプリが集まるプラットフォームであるスーパーアプリとは異なる戦略に見える。 PayPayの馬場一副社長は、「スーパーアプリ戦略の一環ではないが、矛盾するわけでもない。完全に黒子となって『7pay』(の一部)になるなら、やらなかった」と話す』、「PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込む」、「PayPay」としても「セブン-イレブン」の魅力が大きかったのだろう。
・『「我々が血を流すだけではなくなった」  クレジットカードの仕組みを生んだキャッシュレス先進国の米国では、「イネーブラー」と呼ばれるフィンテック企業や、銀行など金融業の免許を持つ「ライセンスホルダー」が、消費者と接点を持つ「ブランド」に、金融システムを提供する分業が進んでいる。 これらは黒子になるケースが多い一方で、PayPayはセブンアプリ内でロゴなどブランドを明示している。決済の際は「ペイペイ」という特徴的な音も鳴り、ユーザーにPayPayの使用感を残す設計とした。「本当はPayPayのアプリを使ってほしいが、セブンアプリはセブンでしか使えない(ためPayPayと大きく競合しない)」(馬場副社長)ということもあり、スマホ決済が得意とする少額決済が多いコンビニのなかで決済機能を担いながら、PayPayのブランドの認知度を高める利益を享受する選択をした。 PayPayがスマホ決済の中で存在感を高めた一方で、まだ日本では現金が非常に強いという事情もある。ニッセイ基礎研究所の福本勇樹氏の推計によると、日本全体のキャッシュレス比率は30%程度にとどまる。しかも、その中心はクレジットカードで、QRコード決済の比率は1%程度にすぎない。 日本は、「楽天は銀行を傘下に持てるが、銀行は楽天を持てない」と俗にいわれてきたように、大手ITが銀行を営む障壁が米国に比べ低い。EC、携帯電話、金融などさまざまなサービスをワンストップで提供する経済圏を構築しやすく、楽天やKDDIなど大手プレーヤーが競い合っているなか、中国で「アリペイ」と「ウィーチャットペイ」がスマホ決済で寡占となっている状況とは程遠い。 このためPayPayは自社アプリにミニアプリを集めるだけでなく、「PaaS(Payment as a Service)」として協業先との連携を増やすほうが、利用実績が伸び得ると判断した。PaaSを通じてPayPayの認知度が高まることは、スーパーアプリ戦略にもマイナスではない。 また、セブン&アイ・ホールディングスの「7pay(セブンペイ)」やNTTドコモの「ドコモ口座」の不正利用が起こり、スマホ決済事業に求められるセキュリティーのハードルは高まっている。 自社で高いコストを費やすことをためらう企業が、PayPayに決済機能の提供を求めるケースは今後も増える可能性がある。馬場副社長は営業先で、「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけているという。 同時に、PayPayは従来のスーパーアプリ戦略も着実に進めている。20年9月から花王と、21年3月には百貨店と還元キャンペーンを実施。地方自治体との連携にも積極的に取り組んでおり、初期の全方位的なものから企業や業態、地域を絞った還元策に移行している。 その原資は連携先が負担するケースが増え、「以前のようにわれわれが血を流して頑張るだけではなくなった」(馬場副社長)。先行投資が奏功して、スマホ決済のプラットフォームとしての地位を固めつつある』、「PayPay」が「「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけている」、のは実に上手いセールストークだ。
・『メルカリでの売買をなめらかに  一方、PayPayやLINE Payなどと競うように、高還元キャンペーンを打ち出していたフリマアプリのメルカリ傘下のメルペイは、PayPayとは全く違った方向性を打ち出している。 その意図が表れているのが、19年4月に導入した後払いサービス「メルペイスマート払い」だ。山本真人COO(最高執行責任者)は、「(PayPayやLINE Payなどと)競合ではないと言い続けてきた」と語る。 このスマート払いは、銀行口座などからアプリに事前入金せずともフリマや小売店で買い物ができ、利用額は翌月に一括払いか分割払いを選択する。フリマでの売り上げを清算に充てられるのも特徴だ。利用上限額はメルカリの利用実績を人工知能(AI)が分析して決まり、銀行などと違って勤務先など属性情報に依存しない。 メルカリのヘビーユーザーほど利用しやすい仕組みとなっており、後払いサービスの利用者の51%が清算原資にメルカリでの売上金を使っている。フリマでの売買体験を活発化させるための仕掛けとして、保有するお金を支払うという単純な決済にとどまらない仕組みを築こうとしている。 さらに20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う。 PayPayのようにスーパーアプリとしての魅力を高めて、ユーザーや加盟店、ミニアプリ業者を引きつけるのではなく、メルカリというプラットフォームを活性化させるためにお金の流れをなめらかにする役割を担うメルペイ。還元競争が落ち着いた今、大手キャッシュレス事業者の戦略の違いが明確化している』、「メルカリ」が「20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う」、まるで銀行のようだ。「PayPayやLINE Pay」も含めた今後の競争はどう展開するのだろうか。

第四に、5月31日付け日経ビジネスオンライン「「有料になる?……やめます」加盟店離れ、スマホ決済普及の正念場」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00030/052800187/?n_cid=nbpnb_mled_mpu
・『2019年の消費増税に伴う還元事業や、新型コロナウイルスの感染防止を背景に広がり続けるキャッシュレス決済。20年にはキャッシュレス決済比率は3割に達したとみられ、政府が掲げる「2025年に4割程度」の達成にじわじわと近づいている。 ただ、QRコードを使ったスマートフォン決済は今年、普及の正念場を迎える。スマホ決済の大手が加盟店の開拓を優先して無料にしてきた決済手数料を有料化するからだ。 決済事業者はユーザー獲得などに費やした先行投資を回収する必要があるが、「有料になるならやめる」(中小小売店の関係者)との声が漏れる。加盟店を引き留められるのだろうか。 決済手数料とは、電子マネーやクレジットカード、スマホ決済サービスを提供する事業者が、導入した加盟店から得る手数料だ。 例えば、Suicaなど交通系電子マネーは3.25%(米Squareの場合)、楽天ペイは3.24%。今年有料化を予定するLINE Payは10月から2.45%、メルペイは7月から2.6%となる。PayPayは10月に有料化を検討し、料率は未定としている。 クレジットカードは導入店舗ごとに与信を判断するため、1~6%程度と幅がある。経済産業省が18年4月にまとめた「キャッシュレス・ビジョン」によれば、中央値は3.00%となっている。 19年の消費増税に伴う「キャッシュレス決済・ポイント還元事業」では、キャッシュレス事業者は決済手数料を3.25%まで抑えることが参加要件だった。還元事業は20年6月に終了したが、3.25%が一つの目安になり、今に至る。 しかし、この水準でも中小企業には苦しい。中小企業実態基本調査(2019年度決算実績、速報)によると、スマホ決済が得意な少額決済が多い小売業の経常利益率は1.5%、宿泊業・飲食サービス業も同じく1.5%にとどまる。クレジットカードに比べて初期コストが低いことを売りに導入を訴えてきたスマホ決済事業者だが、有料化が進めば、決済回数が増えるたびに、利用者の利益が目減りしていってしまう。 ある小売店の関係者は、「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」と明かす』、「「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」、主張は合理的にみえる。「反応は芳しくなかった」理由は何なのだろう。
・『「手数料10分の1」を実現したスーパー連合  相次ぐ有料化でスマホ決済大手からの離脱が増えれば、独立系キャッシュレスが注目を集めるかもしれない。中堅・中小スーパーを運営する約200社が加盟するシジシージャパン(CGC、東京・新宿)が開発したカード型電子マネー「CoGCa(コジカ)」はその一つといえそうだ。
・『コジカは手数料を抑えて電子マネーを提供している  コジカは15年3月にスタートした。当時主流だった鉄道会社や大手スーパーの汎用的な電子マネーはタッチするだけで支払いができる便利さから来店客からの導入希望の声が寄せられていたが、決済手数料はクレジットカード以上。「手数料が高い」という加盟スーパーの不満を受け、コジカの手数料は他のキャッシュレスの10分の1程度に抑えた。 その要因は、ポイント還元制度を設けていない点だ。ほかの電子マネーやスマホ決済と違って還元に必要な原資が手数料に反映されていないため料率が低い。還元は必要なら、加盟スーパーが個々に実施する。 CGC関連会社のエス・ビー・システムズの堀内秀起カード事業推進リーダーは「コジカの利用率が高まっても加盟スーパーに負担をかけないことを最優先にした」と話す。 キャッシュレス普及の壁とされる加盟店への入金方法も独特だ。ほかの汎用的なキャッシュレス決済では、ユーザーが支払った額が店舗に入金されるまで15~30日かかり、加盟店の手元資金が心もとなくなる。コジカは店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない。 そもそもQRコード決済は、スーパーの店舗運営にとって課題が大きい。スマホのアプリを立ち上げ、レジでコードを読み取る一連の流れは、タッチするだけで済むカード型電子マネーに比べて手間だ。また、来店客がレジに設置したQRコードを読み取って代金をアプリに入力する場合、来店客が入力した数字を従業員が確認しづらいという課題もある。 野村資本市場研究所の淵田康之シニアフェローは「無料期間中にキャッシュレスを導入した実店舗はコロナで非常に苦しい。無料期間終了が迫り、キャッシュレス普及に向けて、これからが正念場だ」と指摘する。 少額決済が中心のスマホ決済事業者は、スーパーやコンビニを重視しているが、有料化で離反を招けば大きな痛手となる。コジカのような手数料を抑えたシステムが増えれば、そちらに流れる可能性がある。コジカは、スーパーが安価に利用できるスマホアプリも検討している』、「コジカ」は「ポイント還元制度を設けていない」、「店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない」、など優れた方式のようだ。
・『手数料に見合う「納得」  キャッシュレス決済が伸び続けるかどうかの分水嶺を迎える中、米国にヒントがみえる。小売りや外食など幅広い業態に決済システムを提供する大手のSquareだ。 Squareはガラス工芸家のジム・マッケルビー氏が自分の作品を販売する際、クレジットカードでの支払いを受け付けられず、販売機会を逃したことをきっかけに設立した。「Squareの存在意義は、中小企業や十分なサービスを受けられない人々が経済活動に参加できるようにすること」(Squareゼネラル・マネージャーのデイビッド・タラック氏)として、決済だけでなく従業員の給与支払い、顧客管理など経営支援につながるサービスへと領域を広げてきた。 その柱の一つが、事業者向け融資だ。日々の売り上げを基に借入可能額を自動ではじき出し、事業者は最短、翌日に融資が入金される。返済額も売り上げが少ない日は少なく、多い日は多くなる仕組みだ。伝統的な金融機関の融資審査が画一的な一方、店舗の実情に鑑みて資金を融通しており、女性など「マイノリティー」が経営する事業者への融資比率が高い。 このように単に支払い機能だけでなく、加盟店が納得しやすい付加価値の提供にまで踏み込めば、自然とキャッシュレス普及率も高まっていくだろう。 大規模還元や手数料ゼロをうたって、勢力を広げる第1幕は終わった。物珍しさやコストの低さで利用してきたユーザーや加盟店も、使い続けるメリットが薄まれば根強い現金信仰に押し戻される恐れがある。キャッシュレス決済を軸に、付加価値をいかに高めていくか。次の競争が始まっている』、有料化される今後こそが勝負だ。どこが生き残るのだろうか。
タグ:東洋経済オンライン 決済 ブルームバーグ 日経ビジネスオンライン (その7)(日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致、無印 ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済、セブンアプリに埋め込まれたPayPayは二兎を追う、「有料になる?……やめます」加盟店離れ スマホ決済普及の正念場) 「日本人の現金払い主義がついに変わってきた訳 経費を減らしたい金融機関の思惑とも一致」 あれだけの「キャッシュレス」獲得合戦があったので、「加速」は納得できる 「あおぞら銀行は全店舗窓口で現金の取り扱いをやめる」、とは思い切ったことを したものだ。 「高額紙幣や500円玉の増加と」「少額硬貨の減という二極化」が「ますます進みそうだ」とは、確かに面白い現象だ。 「無印、ファミマ…相次ぐ「〇〇ペイ」 自前主義が広がるスマホ決済」 「7pay」や「ドコモ口座」の「セキュリティー」はお粗末だったが、その反省の上に出来たので、一応、大丈夫なのだろう 「大規模な還元策が使う人と使える場所を広げる「水平」の競争だったとすると、無印良品やユニクロの場合は顧客を深掘りする「垂直」的な試みといえる」、なるほど 「ファミペイ」が「ローソンでも使える」ことが、「ファミマ経済圏を大きくする橋頭堡」になるのだろうか 「多少不便でもバラバラに進化するのが日本のキャッシュレス業界かも知れない」、言い得て妙だ。 「PayPayにセブン-イレブンがミニアプリとして登場するのではなく、PayPayが決済機能を提供し、セブンアプリに入り込む」、「PayPay」としても「セブン-イレブン」の魅力が大きかったのだろう。 「PayPay」が「「キャッシュレス機能を独自に自社アプリに入れると、24時間寝られない人が続出しますよ。そちらよりCRM(顧客情報管理)や新規顧客の獲得にパワーを割いたほうが商売はうまくいくんじゃないですか。役割分担をしましょう」と呼びかけている」、のは実に上手いセールストークだ。 「メルカリ」が「20年11月には「ふえるお財布」と銘打ち、貸し付け投資サービスのFundsにメルペイの残高を利用できるようにした。メルカリの売上金を金融商品で増やし、次の買い物を促す効果を狙う」、まるで銀行のようだ。「PayPayやLINE Pay」も含めた今後の競争はどう展開するのだろうか。 「「有料になる?……やめます」加盟店離れ、スマホ決済普及の正念場」 「「事前にチャージして使う前払い式が多いスマホ決済は、クレジットカードのように与信コストが必要ないから有料になるにしても、それより安くしてほしいと話したが反応は芳しくなかった」、主張は合理的にみえる。「反応は芳しくなかった」理由は何なのだろう 「コジカ」は「ポイント還元制度を設けていない」、「店舗でチャージをするのが基本で、店舗がチャージ金を預かる。その預かり金と利用額を精算するため、キャッシュフローに大きな影響はない」、など優れた方式のようだ。 有料化される今後こそが勝負だ。どこが生き残るのだろうか。
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リーダーシップ(その1)(信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々、もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!) [国内政治]

今日は、リーダーシップ(その1)(信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々、もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!)を取上げよう。

先ずは、4月27日付け日経ビジネスオンラインが掲載した健康社会学者(Ph.D.)の河合 薫氏による「信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00118/00127/
・『今回は「リーダーシップ」についてあれこれ考えてみる。 先日、「ついに!」というか、「あらら~」というべきか、新型コロナウイルス感染疑惑が私事となる“事件”が起きた。 私自身は、かなり徹底した感染防止策を1年以上続けているのだが、たまたま先週会った友人から、「昨夜から体がだるく、熱が38度もあるので、コロナに感染しているかもしれない」と連絡が来たのである』、顔の広い「河合氏」ならありそうな話だ。
・『初のPCR検査、だが結果が来ない…  友人と会ったときには二人ともマスクはしていたのだが、その後、私のクルマに乗せたりしたので、感染の可能性はゼロではない。私は、自宅から徒歩2分のところにあるマンションに住む母と頻繁に接しているので、万が一感染していたら母の命が危なくなると、一気に青ざめた。 その後、友人はかかりつけ医のところに行き、熱以外に疑わしき症状はないし、レントゲン検査も受けたところ「大丈夫でしょう」との診断だったそうだ。ところが、夕方からさらに熱が上がり、「自費でPCR検査を受けに行くことにした」と連絡がきた。 一応、私も研究者の端くれなので、「コロナ感染リスク」の知識は国内外の論文でチェックして蓄積しているけど、改めて、信頼できる医師たちに確認したところ、「発症2日前から感染させるリスクあり」「症状なしでも陽性になり、2~3日以内に症状が出る」ということで、「やはりそうなのか」と不安が増した。 そこで、とりあえず発熱外来に電話して状況を伝えたところ、近所のコロナ対応ができる病院を紹介され、相談するようにと指示を受けた。で、電話を切るや否や即行で電話をかけたが、18時半をギリギリ過ぎてしまっていたので、どこもかしこも「明日、ご連絡ください」の音声が流れるばかりだった。 翌日まで待とうかとも思ったが、仕事もあるし、関係する人に迷惑をかけることもできない。そこであれこれ調べたところ、近所に22時までPCR検査をやってくれる病院を発見! “猛ダッシュ”で電話し、人生初のPCR検査を受け、「結果は明日の午前中にメールで送ります。万が一、陽性の場合は、電話で連絡します」と言われた。 で、翌朝。友人からは「陰性! 熱も下がった」と連絡がきたのに、私には待てど暮らせどメールがこない。「友人が陰性」と聞いても、SNSを見ると「陰性になった2日後に発熱し、陽性が確認された」との書き込みも見つかるので全く安心できない。 結局、昼を過ぎてもメールがこないので、病院に電話したところ、なんと送信ミス! 「陰性」だったことが無事確認され、やっと、本当にやっとフツーに息をすることができ、平常心を取り戻せた。 しかしながら、PCR検査にかかった費用は、3万3000円だ! べらぼうに高い! おまけに「送信ミス」って……、トホホ。) コロナ前なら熱が出ても「知恵熱!」と笑えたのに、今は発熱した途端に「コロナの疑い」になる。「周りに感染させていたら……」と心配になるので、とにもかくにも検査をしたい。なのに、医師に「コロナの可能性がある」と診断された場合にしかPCR検査はしてもらえないのだ。 なぜ、こんなにPCR検査のハードルが高いんだ? 「無症状の人から感染が拡大している」「発症2日前から人に感染させる」ことが、1年以上にわたるコロナ禍により蓄積されたデータ分析でわかっているのに、なぜ、検査を拡充しない? 米国や欧州に住む知人たちは、「PCR検査は簡単に受けられる」と口をそろえるのに、いったい日本はなぜ、こうなのか? “謎”としか言いようがない』、私は検査入院する際に、病院の手配と費用負担で「PCR検査」を受けたが、唾液で検査する方式で、唾液がなかなか出てこないので苦労した記憶がある。
・『データに基づく対策を実行する米国  先月、米保健福祉省が、全米の学校で新型コロナウイルスのサーベイランス検査の実施を支援するため、各州向けに100億ドル(約1兆788億円)の予算を確保したと発表した(資料)。バイデン大統領は就任100日以内に大半の学校で対面授業を再開させるとの目標を掲げており、幼稚園年長から高校3年生までを対象にサーベイランス検査を実施することで、目標を実現させたいと考えているのだという。 日本では米国の“感染対策のゆるさ”ばかりが伝えられるが、実は昨年のかなり早い段階から、大学で週1~2回の頻度でPCR検査を徹底し、無症状の感染者を早期に隔離して感染を防ぐサーベイランス検査を実施している。その詳細は朝日新聞の記者が3月29日付の夕刊で報じているが、米ボストン大学の研究者グループが、昨年2月に大型クルーズ船で起きた感染者のデータを解析し、その結果に基づく施策だという。 研究者らは分析結果から、「無症状の人が後から感染したことが判明し、感染を拡大させた」としてサーベイランス検査の重要性を訴えた。そこで同大学は「感染予測モデル」を構築するとともに、短時間で検査結果がわかる体制を整備。「エビデンスに基づく政策実行」が根付いているだけに、多くの大学がサーベイランス検査を実施し、それぞれの大学がその都度「対策の検証」を行い、論文でその結果を発表するなど、「成果」の蓄積を行っている。 日本ではPCR検査で偽陽性や偽陰性が出ることから、「検査をやたらめったら実施するのは良策ではない」といった指摘があるが、サーベイランス検査の結果から、その確率は極めて低いことがわかっている。 つまり、「データ分析→仮説→モデル構築→実証研究→データ分析→モデル改善→実証研究」という流れの対策を講じることで、「何が必要で、何が必要じゃないか」の情報共有を行い、国も予算をつけ、米疾病対策センター(CDC)がサーベイランス検査の適切な運用の指針や技術的支援を提供するなど、協働作業が行われているのである。 かたや日本はどうだろうか? 研究者たちが検証作業やシミュレーションを行うなど、科学的にわかったことをその都度発信しているのに、“リーダー”が会見で語るのは、「1年やってきたから、感染対策はわかっている」だの「マスク会食を」だの「不要不急の外出を控える」だのといった、科学的根拠に基づくものかどうかもわからない対策ばかりだ。 「無症状の感染者を早期に発見し、隔離する」という科学的根拠に基づく「感染対策」に予算を投じ、実効性のある政策を進める気配が、“リーダー”から全く伝わってこない。 ワクチンについても、“リーダー”は「確保できた!」と胸を張るけど、ワクチンさえ打てば感染がゼロになるわけじゃない。そのことは、感染症の専門家や医師たちが口を酸っぱくして言っている。ましてや、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のワクチンで血栓が生じる事例が報告されたことで、欧米では集団免疫が獲得されるスケジュールの修正が行われ、欧州連合(EU)では当初の9月30日から12月8日に、米国では7月22日から9月17日にずれ込むと予想されている(資料)』、「昨年のかなり早い段階から、大学で週1~2回の頻度でPCR検査を徹底し、無症状の感染者を早期に隔離して感染を防ぐサーベイランス検査を実施・・・米ボストン大学の研究者グループが、昨年2月に大型クルーズ船で起きた感染者のデータを解析し、その結果に基づく施策」、なんとアメリカは「クルーズ船」「感染」から正しく学んだのに、日本は「“リーダー”が会見で語るのは、「1年やってきたから、感染対策はわかっている」だの「マスク会食を」だの「不要不急の外出を控える」だのといった、科学的根拠に基づくものかどうかもわからない対策ばかりだ」、やれやれだ。
・『今も見えない「リーダーの仕事」  昨年末、英医療調査会社エアフィニティーが公表した、各国の「集団免疫獲得時期の予測」で、日本は先進国の中でビリ。主要先進国がいずれも21年内だったのに対し、日本は22年4月。来年の春だ。先のJ&Jの事例や、今の日本の状況を鑑みれば、22年4月より遅れると考えたほうがいいであろう。 問題はそれだけではない。 ドイツに赴任中の知人が、昨年末に日本に帰国した際に、「冗談でしょ?」という事態に遭遇したと教えてくれた。なんと14日間にわたる隔離中の連絡先を登録するときに、ドイツの携帯電話番号は桁数が多すぎて登録できなかったというのだ。 まあ、4カ月前の話なので、今は改善されているかもしれない。だが、他にも「冗談?」のような案件があるかもしれないとの疑念は払えず、これってオリンピックやるやらない以前の問題では? と思ったりする。 いずれにせよ、新型コロナウイルスの感染拡大という、災害レベルの事態で、首相や都道府県の知事など、“リーダー”の役割は極めて重大なのに、“リーダーのお仕事”が全く見えてこない。 リーダーが明確なメッセージを迅速、かつ具体的に発信するから「私たち」は安心する。「ああ、このリーダーが言うなら」とリーダーを信頼し、「お願い」に精いっぱい協力しようという気持ちになる。にもかかわらず、科学的根拠に基づいた先手の対策もせず、検証もせず、ひたすら1年前と同じ「出るな、動くな、接するな!」のお願いばかりだ。 そもそも“リーダーのお仕事”は、「宣言を出すかどうか」の決断だけではない。 優れた決断には、準備、判断、実行という3つのフェーズからなる意思決定のプロセスが存在する。 第1フェーズの「準備」とは、解決しなければならない問題を見極め、「その問題を解決するための判断が、なぜ必要なのか?」をチームのメンバー全員に理解させる段階である。当然ながら、意味ある準備を行うには、「目指すべきゴール」を明確にし、メンバーと共有しなくてはならない。 もし、メンバーに理解を求める過程で反対意見が相次いだら、「問題の本質」をリーダーが見落としている可能性がある。なので、ここでは繰り返し、「今、何をすべきか? 何が求められているのか?」を周りの意見や置かれている状況、取り巻く環境から包括的、かつ具体的に再考する必要がある』、菅首相は頻繁にコロナ対応の記者会見を開いているが、およそ政策決定の理由などを殆ど説明せず、結論だけなので、およそ説得力がない。まるで大本営発表だ。
・『危機のときこそ、適切な軌道修正  ここで手を抜くと、完全に判断を誤る。3つのフェーズの中で、最も大切で、手間暇がかかるフェーズが「準備」なのだ。 そして、メンバーへの理解が徹底され、メンバーが「よし、やってみよう!」と熱意をかき立てられたところで、次のフェーズの「判断」を下す。判断は明快で、具体性のある中身を伴っていなくてはならない。 最後のフェーズ、「実行」では、自らが積極的に関わり、絶えずフィードバックと検証とができる環境を整え、問題があれば軌道修正を行う。 「一度決めたことを軌道修正するなんて……」とかたくなに拒むリーダーもいるが、優れたリーダーほど結果を最優先に考え、迅速かつ柔軟に対応する。特に緊急時においては、最優先事項が時間とともに変わる可能性もあり、適切な軌道修正が要求される。 こういった一連のプロセスが、「腑(ふ)に落ちる流れ」で行われたとき、初めてリーダーシップを発揮したと評価されるのだ。 ドイツではコロナ感染拡大が始まった当初から、メルケル首相の手腕が評価されていたが、実際に「準備が徹底されていた」のだという。 「10万人当たりの新規感染者数によって、発動する対策メニューがすでに決まっているので、日本のように、その都度、政府がうんうんうなりながら、緊急事態宣言出そうかな、どうしようかな? なんて考えなくて済むシステムになっている。我々も3日移動平均の新規感染者数を見て、来週からこのメニューかな、と予想がつくので、私なんかは、お天気チェックみたいな感覚になってきました」 ドイツ在住の知人はこう教えてくれた。 現在は、「第3波を抑制するための措置」として、「過去7日間で、新規感染者が3日連続で人口10万人当たり100人を超えた場合」という基準値が、テレビや新聞、企業や地域のメルマガなどを通じて4月21日付で通達されたため、基準値ごとに決められた対策メニューに沿って、市民は行動するそうだ。 メニューの項目は、「私的な集まり」「店舗・サービス業等」「レストラン、ホテル、娯楽・文化」「外出制限」「学校・保育施設」「ホームオフィス」に分かれていて、実に具体的に記されている。 例えば、基準値である10万人当たり100人を超えた場合、「レストラン、ホテル、娯楽、文化施設は閉鎖、スポーツは自身のみ、または2人、あるいは自身の家族のみと行うことができる」「午後10時から午前5時までの間は、仕事や医療など、正当な理由がある者だけが外出できる。午前0時までは、1人でのジョギングや散歩は認められる」といった具合に、「できないこと」だけではなく、「できること」もきちんと具体的に示されている。 以前、メルケル首相の感染拡大防止に協力してほしいと国民に訴える「熱弁」が注目を集めたけれど、これだけちゃんと「準備」し、その準備した基準に基づき「判断」したからこそ、熱く、ときに怒りをにじませながらも国民に訴えることができた。徹底的に準備したからこそ、リーダーというポジションについた人だけが手に入れることができる、「言葉の力」という最高の武器を行使できたのだ』、菅首相の場合、「準備」もしておらず、「言葉の力」は全く感じられない。
・『精神論は不要、してほしいのは「仕事」  ドイツではワクチン入手に手間取ったこともあり、接種の遅れが指摘されているが、4月22日現在、ワクチン接種率は21%。2回目終了が6.8%。一方、日本は4月21日時点で、少なくとも1回接種した人は1.2%で、先進国では驚くほど極端に低い水準だ。 3回目の緊急事態宣言が発令され、“リーダー”は「変異ウイルスが~」という文言を繰り返している。 だが、前回の緊急事態宣言が解除されるとき、すでに「変異ウイルスのリスク」は伝えられていた。誰もがそのことを案じていた。なのに、菅義偉首相は「新規感染者数が8割以上減少し、病床使用率も改善されている」と解除の根拠を説明するばかりで、「問題の本質をリーダーが見落としている可能性」を1ミリも考えなかった。 つまるところ、無策のまま1年以上が過ぎ、経済が疲弊し、多くの人たちが生活に困窮し、医療現場が逼迫し、“現場”の人たちが涙する事態が続いている。「人の命か経済か」と散々いわれてきたけど、命でもなければ経済でもない。「選挙のことしか考えてないのでは?」などと、思ったりする。 リーダーがリーダーシップを発揮するには、メンバーたちからの「信頼」が必要不可欠なのに、リーダーが信頼できない。自分たちの無策を「変異ウイルス」のせいにしないでほしい。 だいたい「医療崩壊」という4文字が、どれだけ重いものなのか? “リーダー”たちは本当にわかっているのだろうか。現場にいるのは「人」、「人」なのだ。 目の前の人を救うことができない、電話の向こうで命の危険にさらされている人に病院を案内することもできない人たち……。 この国のリーダーには、そんな「人」たちのことが見えていない。精神論はいらない。リーダーの仕事をしてほしい。ただ、それだけだ』、「菅義偉首相は・・・解除の根拠を説明するばかりで、「問題の本質をリーダーが見落としている可能性」を1ミリも考えなかった。 つまるところ、無策のまま1年以上が過ぎ、経済が疲弊し、多くの人たちが生活に困窮し、医療現場が逼迫し、“現場”の人たちが涙する事態が続いている」、「目の前の人を救うことができない、電話の向こうで命の危険にさらされている人に病院を案内することもできない人たち……。 この国のリーダーには、そんな「人」たちのことが見えていない。精神論はいらない。リーダーの仕事をしてほしい。ただ、それだけだ」、同感である。

次に、5月3日付け東洋経済オンラインが掲載したコミュニケーション・ストラテジストの岡本 純子氏による「もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/426143
・『日本を代表する一部上場企業の社長や企業幹部、政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチなどのプライベートコーチング」に携わり、これまでに1000人の話し方を変えてきた岡本純子氏。 たった2時間のコーチングで、「棒読み・棒立ち」のエグゼクティブを、会場を「総立ち」にさせるほどの堂々とした話し手に変える「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれ、好評を博している。 その岡本氏が、全メソッドを初公開した『世界最高の話し方1000人以上の社長・企業幹部の話し方を変えた!「伝説の家庭教師」が教える門外不出の50のルール』は発売後、たちまち12万部を突破するベストセラーになっている。 コミュニケーション戦略研究家でもある岡本氏が「日本人がもう心底『日本政府のコロナ対策』にウンザリしている根本理由」について解説する』、「コミュニケーション戦略研究家」の見方とは興味深そうだ。
・『「モヤモヤ」が拭えない3回目の「緊急事態宣言」  3回目の「緊急事態宣言」が発令されました。しかし、緊張感のあった2020年の1回目とは大分、様相が違うようです。 多くの国民が、「もんもん」とし、「モヤモヤ」し、「イライラ」しています。街の人出はそれほど減っている印象もないし、都内でも酒を提供している店や夜遅くまで開いている飲食店もあります。 「マンボウ?」「宣言?」いったい何が違って、何をしてはいけないのかももはや、わかりません。 「防疫体制」「医療体制の構築」「ワクチン接種の体制整備」……。日本の新型コロナ対策は何をとっても、泥縄的な印象が拭えません。 4月28日の時点で、あれだけ、感染者が激増しているインドが流行国に指定されておらず、水際対策は「ザルどころか、底が割れた鍋だ」と自民党内から声が出ました。 後手後手で、つぎはぎだらけの対策。国民はもはやサジを投げたというか、諦めムードさえ漂っています。 この「モヤモヤ感の根源」にあるものは何でしょうか。今回は今、この国に絶望的に欠如している「リーダーシップ」と「信頼」について考えてみましょう。 ロイター通信によれば、日本のワクチン接種は、主に「ロジスティックの問題」で進んでおらず、日本の接種率はまだわずか1.6%で先進国随一の低さ。日本より遅く接種が始まった韓国でさえ、人口の4.7%の接種が済んでいるのだそうです。 巨大な会場での大規模接種の話が出ていますが、報道によれば、先週ぐらいに浮上したアイディアだとか。他国は1年も前から接種体制について入念に準備を進めてきたというのに、いったいどういうことなのでしょう。もう開いた口がふさがりません。 次から次へと明らかになるポンコツぶり。いやいや、大変なのは、日本だけではないかもしれない。そう思って、私は海外に住む友人たちに現在の各国のコロナ対策について尋ねてみました』、「日本の新型コロナ対策は何をとっても、泥縄的な印象が拭えません」、「水際対策は「ザルどころか、底が割れた鍋だ」」、「日本のワクチン接種は、主に「ロジスティックの問題」で進んでおらず」、「開いた口がふさがりません」もその通りだ。
・『「海外在住」の日本人に「コロナ対策」を聞く
【アメリカ】(カリフォルニア州在住) +住民の37%がワクチン接種を完了し、20.3%は1回目の接種を済ませている。 +レストランはすでにインドア、アウトドアとも条件付きで再開。学校の再開も進む。このまま順調に行けば6月15日に経済活動の全面再開の予定。ただしマスク着用義務は残る。 【ドイツ】(ベルリン市在住) +2回接種済みは7.4%、1回接種済みは24.7%。 +スーパーかドラッグストア等生活必需品を取り扱うお店ぐらいしかオープンしていない。小学校は分散登校、中学校以上は原則オンライン授業、公共空間および屋内はN95相当のマスク着用義務(布マスクや医療用マスクは不可)、夜間外出禁止。
【イギリス】(ロンドン在住) +収束しつつある +国民の約半数が1回目の接種を終わった。 
【オーストラリア】(シドニー在住) +ずっと感染者ゼロが続いている。 +ワクチン接種は全人口の7%ぐらい。しかし感染者もいないので、特に急ぐ必要がない。 +レストランもジムも普通に営業。日常生活に制約はほぼなし 
【シンガポール】 +3月後半より45-59歳、6月1日からは16‐45歳もワクチン接種の対象に。
【ロシア】(モスクワ在住) +人口の7%(1回接種が8.3%)と聞いている
 いずれも「ワクチン接種」は日本よりは進んでいるようです。 一方で、ドイツの状況はずいぶん厳しく、「半年以上ロックダウン」という状態が続いていますし、他の多くのヨーロッパの国々も状況は厳しいままです。 アメリカもイギリスも大変な数の犠牲者を出し、長らく厳しい規制下に置かれていたことを考えると、日本の状況は「比べ物にならないぐらいいい」(ベルリン市在住の冨永真実子さん)とも言えるわけですが、そういった評価にもかかわらず、日本人の怒りは沸点に達しています。 今回、10人の海外在住の日本人に話を聞きましたが、8人が「感染は収束している」と回答。驚いたのは、9人が「その国の政権やリーダーを信頼している」と答えたことでした。ひどい状況の続くドイツでさえ、メルケル首相への支持率はそれほど下がっていないというのです。 その理由を冨永さんは「少なくとも『説明責任を果たしている』と認識されている」と分析しています。 「トップのメッセージがクリアで、市民にはリーダーシップがあると映る」「メディアとの関係が良好で、政権の方針に対して、国民も社会もメディアも協力的。結果、滞っていたいろいろなことがスムーズに流れている」(アメリカ)、「首相が定期的に状況のアップデートを3カ国語で会見。国民目線に立って語りかけ、一体感を感じさせてくれた」(シンガポール)と手放しの評価です』、「日本の状況は「比べ物にならないぐらいいい」・・・そういった評価にもかかわらず、日本人の怒りは沸点に達しています」、その通りだ。
・『「国と国民との信頼関係」が欠如している日本  日本人のモヤモヤポイントはたくさんあるわけですが、根本にあるのは「国」と「国民」との間の「コミュニケーション」、そしてそこから生まれるはずの「信頼関係」が「決定的に欠如している」ということではないでしょうか。 「信頼(Trust)の欠如」。これは今の日本の多くの問題の根幹にあるのかもしれません。 「組織の運営や企業の経営において特に重要なもの。それが信頼である」。アメリカの神経経済学者で、クレアモント大学院大学のポール・ザック教授は、こうした学説を唱え、「信頼」についての多くの学術的研究を発表しています。 「リーダーや社員間の信頼関係が高い企業」は低い企業に比べて、ストレスが74%減り、生産性は50%、人生への満足度が29%上がったそうです。 そこには「幸せホルモン」と言われる「オキシトシン」が深く関係していると彼は指摘します。 「信頼」は「幸せホルモン」「オキシトシン」の分泌を促進し、「人生の幸福感」「満足度」を高め、オキシトシンは「共感力」を高め、他人を信頼することへの「恐怖心を削ぐ」という相乗効果があるそうです。 他方、日本ではこの「信頼」の度合いが世界的に見ても圧倒的に低いという現実があります。PR会社エデルマンが毎年行っている「信頼」に関する世界調査によると、日本人で「政府を信頼する」という人の割合は37%で、サウジアラビアの82%、シンガポールの76%などの半分以下で、28カ国中22番目。「ビジネスへの信頼度」は28カ国中27番目、「メディアへの信頼度」も28カ国中27番目と惨憺たる結果でした。 「日本の安倍政権だけが『コロナ危機で支持率低下』という残念さ」(「プレジデントオンライン」2020年4月17日)でも指摘したように、危機下では政権の支持率は一般的に上昇しやすいのですが、日本とブラジルだけは支持率を下げました(2020年4月時点)』、「「信頼」に関する世界調査によると、日本人で「政府を信頼する」という人の割合は37%で、サウジアラビアの82%、シンガポールの76%などの半分以下で、28カ国中22番目。「ビジネスへの信頼度」は28カ国中27番目、「メディアへの信頼度」も28カ国中27番目と惨憺たる結果」、「危機下では政権の支持率は一般的に上昇しやすいのですが、日本とブラジルだけは支持率を下げました」、日本は酷いものだ。「メディアへの信頼度」が低いのも政府広報的になったことも影響しているのかも知れない。
・『日本はあらゆる組織で「リーダーシップ不在」  こうした不信感の源泉のひとつに「リーダーの資質」や「コミュニケーション不全」といった要素があるように感じます。 「納得のいく説明が何ひとつない」。これは我々がとみに感じるところでしょう。 「なぜ、医療体制が整備されてこなかったのか」 「なぜ、水際対策がこれほどまでに遅く、ゆるゆるなのか」「ワクチン接種体制の構築がなぜこれほど遅いのか」「オリンピックは安全に開くことができるのか」などなど、国民は尽きぬ不安と疑問に溺れかけています。 菅義偉首相ひとりを責めて片付く問題ではないでしょう。大臣、政治家、官僚、医師会、あらゆる組織において「リーダーシップ不在」であり、何も動かない。国民はただただ、「自制」し、「自己防衛」をしていくしかないということです。 ザック教授は、「信頼」を醸成し、「オキシトシン」を高める方法として、以下の8つを推奨しています。 ①(人々の)働きや努力を認める ②難しいけれど、達成可能なチャレンジを与え、適度なストレスを誘発する ③仕事のやり方について自主裁量権を与える ④自分でやりたいと思う仕事ができるようにする ⑤広く情報を共有する ⑥意識的に関係性を強化する ⑦人格的な成長を促す ⑧(リーダーが)弱さを認め、人々に助けを乞う これらの方策はすべて、「国のコミュニケーション」に応用ができそうですよね。結局のところ、医療体制も接種体制も防疫体制も、意思疎通や指示伝達などが機能しなければ、変わりようはないわけで、コロナ対策のすべての場面において、「戦略的なコミュニケーション」が絶対的に必要ということです』、同感である。
・『日本人にはもっと「きっちり言語化し伝える力」が必要だ  一つひとつのパーツはいいのに、全体となるとなぜかぐだぐだ。これが日本の「あるある」です。それはそうしたパーツをつなぐ役割を果たす「コミュニケーション」が機能していないからかもしれません。 「以心伝心」「忖度」「阿吽の呼吸」といったお家芸に頼っているから、物事は進まない。この視界不良の社会においては、「きっちりと言語化し伝える」という、血のにじむ「コミュニケーションの努力」「話し方の技術」が、どのリーダーや組織にも求められている――いまのコロナ禍は、この真実を私たち日本人につきつけているのです』、菅首相や官邸には「コミュニケーション」の専門家もついている筈だが、一体、何をやっているのだろう。「きっちり言語化し伝える力」は確かに求められているようだ。
タグ:リーダーシップ 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン 河合 薫 岡本 純子 (その1)(信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々、もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!) 「信頼されるリーダーと「変異株」を言い訳にする人々」 顔の広い「河合氏」ならありそうな話だ 私は検査入院する際に、病院の手配と費用負担で「PCR検査」を受けたが、唾液で検査する方式で、唾液がなかなか出てこないので苦労した記憶がある。 「昨年のかなり早い段階から、大学で週1~2回の頻度でPCR検査を徹底し、無症状の感染者を早期に隔離して感染を防ぐサーベイランス検査を実施・・・米ボストン大学の研究者グループが、昨年2月に大型クルーズ船で起きた感染者のデータを解析し、その結果に基づく施策」、なんとアメリカは「クルーズ船」「感染」から正しく学んだのに、日本は「“リーダー”が会見で語るのは、「1年やってきたから、感染対策はわかっている」だの「マスク会食を」だの「不要不急の外出を控える」だのといった、科学的根拠に基づくものかどうかもわからない対策 菅首相は頻繁にコロナ対応の記者会見を開いているが、およそ政策決定の理由などを殆ど説明せず、結論だけなので、およそ説得力がない。まるで大本営発表だ。 菅首相の場合、「準備」もしておらず、「言葉の力」は全く感じられない。 「菅義偉首相は・・・解除の根拠を説明するばかりで、「問題の本質をリーダーが見落としている可能性」を1ミリも考えなかった。 つまるところ、無策のまま1年以上が過ぎ、経済が疲弊し、多くの人たちが生活に困窮し、医療現場が逼迫し、“現場”の人たちが涙する事態が続いている」、「目の前の人を救うことができない、電話の向こうで命の危険にさらされている人に病院を案内することもできない人たち……。 この国のリーダーには、そんな「人」たちのことが見えていない。精神論はいらない。リーダーの仕事をしてほしい。ただ、それだけだ」、 「もう心底「日本のコロナ対策」にウンザリな理由 「決定的に欠如している」根本原因は、これだ!」 「コミュニケーション戦略研究家」の見方とは興味深そうだ。 「日本の新型コロナ対策は何をとっても、泥縄的な印象が拭えません」、「水際対策は「ザルどころか、底が割れた鍋だ」」、「日本のワクチン接種は、主に「ロジスティックの問題」で進んでおらず」、「開いた口がふさがりません」もその通りだ。 「海外在住」の日本人に「コロナ対策」を聞く 「日本の状況は「比べ物にならないぐらいいい」・・・そういった評価にもかかわらず、日本人の怒りは沸点に達しています」、その通りだ。 「「信頼」に関する世界調査によると、日本人で「政府を信頼する」という人の割合は37%で、サウジアラビアの82%、シンガポールの76%などの半分以下で、28カ国中22番目。「ビジネスへの信頼度」は28カ国中27番目、「メディアへの信頼度」も28カ国中27番目と惨憺たる結果」、「危機下では政権の支持率は一般的に上昇しやすいのですが、日本とブラジルだけは支持率を下げました」、日本は酷いものだ。「メディアへの信頼度」が低いのも政府広報的になったことも影響しているのかも知れない。 コロナ対策のすべての場面において、「戦略的なコミュニケーション」が絶対的に必要ということです』、同感である。 菅首相や官邸には「コミュニケーション」の専門家もついている筈だが、一体、何をやっているのだろう。「きっちり言語化し伝える力」は確かに求められているようだ。
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