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”右傾化”(その17)(大前研一「世界的右傾化はなぜ止まらないのか」…衆愚政治から抜け出すたった一つの解決法 真剣に政治のことを考えないと国が消滅する、もはや「神社本庁・崩壊」の危機...総長の「不正土地取引」に「超有名神社の離脱」と「2000人関係者激怒」が相次いで勃発、ついに「公家家格の頂点」「神社界のボス」も超激怒...ヤバすぎる横暴を続ける現在の「神社本庁」につきつけた「ノー」) [経済政治動向]

”右傾化”については、本年1月26日に取上げた。今日は、(その17)(大前研一「世界的右傾化はなぜ止まらないのか」…衆愚政治から抜け出すたった一つの解決法 真剣に政治のことを考えないと国が消滅する、もはや「神社本庁・崩壊」の危機...総長の「不正土地取引」に「超有名神社の離脱」と「2000人関係者激怒」が相次いで勃発、ついに「公家家格の頂点」「神社界のボス」も超激怒...ヤバすぎる横暴を続ける現在の「神社本庁」につきつけた「ノー」)である。

先ずは、昨年12月27日プレジデント 2024年1月12日号が掲載したビジネス・ブレークスルー大学学長大前 研一氏による「大前研一「世界的右傾化はなぜ止まらないのか」…衆愚政治から抜け出すたった一つの解決法 真剣に政治のことを考えないと国が消滅する」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/77131
・『グローバル経済の恩恵を忘れるな  世界の右傾化が止まらない。2023年11月19日に行われたアルゼンチン大統領選の決選投票で、「アルゼンチンのトランプ」を自称する右派のハビエル・ミレイ下院議員が、左派のセルヒオ・マサ経済大臣を破って当選、12月10日に就任した。その他、各地で極右政党が勢力を伸ばしている。これは世界の破滅につながる道である。 今では知らない人も多いが、20世紀初頭のアルゼンチンは非常に豊かな国だった。肥沃な土壌を活かして農業大国として成長し、最盛期は世界第5位の経済大国になったほどだ。 しかし、世界恐慌以降のアルゼンチンは没落の一途だ。工業化の波に乗りきれず、左派の正義党(ペロン党)による長期政権のバラマキ政策で政府の債務が増大。何度もデフォルトを起こし、今やインフレ率は140%に達した。経済的には、もはや三流国だ。 こうした状況に不満を持つ国民が選んだのが、過激な政策を掲げる野党ラ・リベルタド・アバンザ(自由の前進)を率いるミレイ氏だ。ミレイ氏は銃所持の合法化を訴え、臓器売買を容認する。しかし、急進的な自由主義者なのかというと、宗教的には保守的で、人工妊娠中絶には反対の姿勢を示している。演説会ではチェーンソーを振り回し、筋骨隆々の大型犬マスティフを5匹飼っているという。まさにマッチョを売りにするミニ・トランプだ。 トランプ的な政治家の躍進は、アルゼンチンに限らない。イタリアでは22年10月に極右のジョルジャ・メローニ氏が首相に就任。ドイツでは23年10月、ヘッセン州の州議会選挙で、反移民を掲げる極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第二党に躍り出た。 フランスではマクロン大統領の支持率が低迷しており、27年の大統領選では親子2代にわたって極右を標榜しているマリーヌ・ル・ペン氏が勝つと分析する評論家が多い。世界が右傾化する流れを決定的なものにしたドナルド・トランプ氏も、4つの刑事裁判を抱えながら依然として一定の支持があり、24年大統領選でふたたび政治の表舞台に出てくる可能性がある。 トランプ的な主張が支持を集める原因は、グローバル経済への「慣れ」だ。) 私が『ボーダレス・ワールド』(プレジデント社)を書いてグローバル経済を提唱したのは、約30年前だ。世界には、「材料」生産の最適地と、それを加工成形して組み立てる「人材」の最適地がある。2つの最適地でモノをつくって自由に輸入できるようすれば、品質のいいものが安く手に入り、世界中の消費者に恩恵をもたらす。このボーダレス経済論は一世を風靡ふうびし、事実、世界経済はその方向で発展していった。 ボーダレス経済論は、価格に敏感な繊維・アパレル業を例にするとわかりやすい。戦後、日本は材料でも人でも世界の繊維産業で最適地だった。自国の繊維産業の衰退を恐れたアメリカは、日米繊維交渉で日本を抑え込もうとした。アメリカを前に日本は屈服せざるをえなかったが、交渉しているうちに日本の人件費が上がり、すでに最適地は韓国に移っていた。その後、最適地は韓国から台湾、インドネシアへと移動を重ね、90年代からは中国だ。 今では中国も人件費が上がり、産業によっては最適地が異なるものの、総じてみれば世界の工場は中国に集まり、そこでつくられた製品を各国が輸入している。そして、消費者は自国でつくるよりも安い価格で製品を手に入れるというのが、ここ30年の流れだった。 90〜00年代は、多くの消費者がグローバル経済の恩恵を実感していた。それが今では当然になり、逆にグローバル経済が右派政治家による排外主義的な主張のやり玉に挙がったとしても、抵抗を覚えなくなってしまったのだ。 トランプ氏は大統領在任中、中国による知的財産権侵害に対する懲罰と称し、対中関税をたびたび引き上げた。懲罰の目的を「自国の産業保護」と謳うたっていたが、これは建前だ。本当は「中国は日本のように尻尾を振らないから、罰を与えて支持者の溜飲を下げる」という、政治的なパフォーマンスなのだ。 実際、トランプ氏による中国の排斥が政治的なパフォーマンスにすぎなかったことは、現状を見ればわかる。トランプ氏は補助金をちらつかせ、メーカーが中国ではなくアメリカに工場をつくるように働きかけた。釣られた台湾の鴻海ホンハイ精密工業は、ウィスコンシン州で工場建設を計画。トップの郭台銘(テリー・ゴウ)氏が現地に来て鍬入れ式まで行ったが、その後頓挫した。 アメリカの執拗な中国叩きにもかかわらず、結局iPhoneなどのスマートフォンは今も中国で組み立てられており、中の部品についても6割が中国製である。アメリカの消費者はその高くなったスマホを喜んで買い、アメリカ政府は高くなった関税をポケットにしまい込んで知らん顔をしている。精巧なサプライチェーンを基盤としたボーダレス経済は、何も変わっていないのだ』、「トランプ氏は大統領在任中、中国による知的財産権侵害に対する懲罰と称し、対中関税をたびたび引き上げた。懲罰の目的を「自国の産業保護」と謳うたっていたが、これは建前だ。本当は「中国は日本のように尻尾を振らないから、罰を与えて支持者の溜飲を下げる」という、政治的なパフォーマンスなのだ。 実際、トランプ氏による中国の排斥が政治的なパフォーマンスにすぎなかったことは、現状を見ればわかる。トランプ氏は補助金をちらつかせ、メーカーが中国ではなくアメリカに工場をつくるように働きかけた。釣られた台湾の鴻海ホンハイ精密工業は、ウィスコンシン州で工場建設を計画。トップの郭台銘(テリー・ゴウ)氏が現地に来て鍬入れ式まで行ったが、その後頓挫した・・・アメリカの執拗な中国叩きにもかかわらず、結局iPhoneなどのスマートフォンは今も中国で組み立てられており、中の部品についても6割が中国製である。アメリカの消費者はその高くなったスマホを喜んで買い、アメリカ政府は高くなった関税をポケットにしまい込んで知らん顔をしている。精巧なサプライチェーンを基盤としたボーダレス経済は、何も変わっていないのだ」、なるほど。
・『愛国者を喜ばせるパフォーマンス  前述のアルゼンチンのミレイ大統領は、新自由主義者らしく国内政策では小さな政府を標榜している。しかし、対外的には保護主義色が強く、選挙期間中は南米の自由貿易協定であるメルコスール(南米南部共同市場)からの離脱をほのめかしていた。ただ、これもおそらくパフォーマンスだ。南米のライバル国であるブラジルが中心的存在を担うメルコスールを抜けると言えば、国内の愛国者たちが喜ぶからだ。 ミレイ大統領は中央銀行の廃止や、ペソを廃止してドル化するといった無茶苦茶な政策も掲げている。 もしペソを廃止してドルを使うなら、ユーロ導入国がマーストリヒト条約に批准するのと同じような図式でアメリカと条約を結ぶ必要がある。ユーロを参考にすると、その導入には①物価安定性②健全な財政とその持続性③為替安定④長期金利の安定性という4つの基準を満たす必要がある。このうち、①と②については次の通りだ。 ①過去1年間の自国のインフレ率が、ユーロ導入国でインフレ率が最も低い3カ国の平均値との格差が1.5%以内 ②財政赤字がGDP比3%以下、債務残高がGDP比60%以下 アメリカが同様の水準をアルゼンチンに求めたら、ドル化の話は瞬時に終わる。140%のインフレ率を一桁台に抑える魔法は存在しない。また、基準を満たすくらいに債務を減らすには、あらゆる行政サービスを削らなくてはならず、国内で暴動が起きるだろう。 ミレイ大統領は経済学部の出身で、大学で教鞭をとっていたほどだから、自分が掲げる政策が実現できないことがわかるはずだ。もし本気なのであれば、頭がおかしいと言わざるをえない』、「ミレイ大統領は中央銀行の廃止や、ペソを廃止してドル化するといった無茶苦茶な政策も掲げている。 もしペソを廃止してドルを使うなら、ユーロ導入国がマーストリヒト条約に批准するのと同じような図式でアメリカと条約を結ぶ必要がある。ユーロを参考にすると、その導入には①物価安定性②健全な財政とその持続性③為替安定④長期金利の安定性という4つの基準を満たす必要がある。このうち、①と②については次の通りだ。 ①過去1年間の自国のインフレ率が、ユーロ導入国でインフレ率が最も低い3カ国の平均値との格差が1.5%以内 ②財政赤字がGDP比3%以下、債務残高がGDP比60%以下 アメリカが同様の水準をアルゼンチンに求めたら、ドル化の話は瞬時に終わる。140%のインフレ率を一桁台に抑える魔法は存在しない。また、基準を満たすくらいに債務を減らすには、あらゆる行政サービスを削らなくてはならず、国内で暴動が起きるだろう」、なるほど。
・『衆愚政治化を止める唯一の方法とは  問題は、現実にありえない政策を掲げる人物を、なぜ国民が選ぶのかだ。トランプ氏は、大統領選で「MAGA」というスローガンを掲げて当選した。Make America Great Again、アメリカをふたたび偉大な国にするという意味だ。実はミレイ大統領も選挙で「MAGA」を掲げて聴衆から喝采を浴びている。アルゼンチンも頭文字がAなので、国名だけを入れ替えてスローガンを拝借したわけだ。 MAGAという主張には、誰も反論のしようがない。アメリカのリベラル派も自国が復活してほしいと願っている。このように誰も文句のない主張をする人を、英語圏では「マザーフッド」と呼ぶ。「母の愛は素晴らしい」といったあたりまえのことを、さも意味のあることのように言うのはバカだと揶揄するときに使う表現である。 MAGAはまさにマザーフッドだが、右傾化を許した国の国民は、マザーフッドだと思わずに素直に心を震わせる。反知性主義とも言われる所以だ。はっきり言えば、衆愚政治化が進んでいる。 衆愚政治から抜け出す道は一つしかない。国民が賢くなることである。 私は学校で政治家の甘言を見抜く政治リテラシーの教育をしたらいいと思う。特定の政治的思想を教えるのではない。右だけではなく左にもポピュリストやアジテーター(扇動者)はいる。「こういうのが還付金詐欺です」と警察が啓蒙するように、ポピュリストの手口を広く教えて、それに惑わされずに自分の頭で考える術を教えるのだ。 残念ながら今のところ学校で「市民術」と言えるような、政治リテラシーを教えている国はない。それならば、右傾化していない国の国民は、なぜ政治的に成熟しているのか。 ポピュリスト勢力の拡大を抑えられている国には、ある共通点がある。ベルギー、シンガポール、ポーランド。これらは国土や人口、資源などの面でハンデを負った小国であり、政治的には大国のはざまで何とか生き抜いてきた歴史を持つ。真剣に政治のことを考えないと国が消滅するおそれがあるので、国民が政治参加に積極的で、お互いに啓発し合うのである。 一方、右傾化しやすいのは、少なくとも一度は栄華を誇った過去があり、現在も何らかの条件に恵まれ、必死にならなくてもとりあえず生きていける国だ。アメリカやヨーロッパの大国、アルゼンチンがまさしく当てはまる。 没落しつつも、まだ経済大国である日本は後者だ。アルゼンチンと同じバラマキ大国である日本も同じ轍を踏むのか。それは、国民の集団知性しだいである』、「トランプ氏は、大統領選で「MAGA」というスローガンを掲げて当選した。Make America Great Again、アメリカをふたたび偉大な国にするという意味だ。実はミレイ大統領も選挙で「MAGA」を掲げて聴衆から喝采を浴びている。アルゼンチンも頭文字がAなので、国名だけを入れ替えてスローガンを拝借したわけだ。 MAGAという主張には、誰も反論のしようがない。アメリカのリベラル派も自国が復活してほしいと願っている。このように誰も文句のない主張をする人を、英語圏では「マザーフッド」と呼ぶ。「母の愛は素晴らしい」といったあたりまえのことを、さも意味のあることのように言うのはバカだと揶揄するときに使う表現である・・・反知性主義とも言われる所以だ。はっきり言えば、衆愚政治化が進んでいる・・・右傾化していない国の国民は、なぜ政治的に成熟しているのか。 ポピュリスト勢力の拡大を抑えられている国には、ある共通点がある。ベルギー、シンガポール、ポーランド。これらは国土や人口、資源などの面でハンデを負った小国であり、政治的には大国のはざまで何とか生き抜いてきた歴史を持つ。真剣に政治のことを考えないと国が消滅するおそれがあるので、国民が政治参加に積極的で、お互いに啓発し合うのである。 一方、右傾化しやすいのは、少なくとも一度は栄華を誇った過去があり、現在も何らかの条件に恵まれ、必死にならなくてもとりあえず生きていける国だ。アメリカやヨーロッパの大国、アルゼンチンがまさしく当てはまる。 没落しつつも、まだ経済大国である日本は後者だ。アルゼンチンと同じバラマキ大国である日本も同じ轍を踏むのか。それは、国民の集団知性しだいである』、「日本も同じ轍を踏むのか」、残念ながらその可能性が高そうだ。

次に、本年4月9日付け現代ビジネス「もはや「神社本庁・崩壊」の危機...総長の「不正土地取引」に「超有名神社の離脱」と「2000人関係者激怒」が相次いで勃発」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/126777?imp=0
・『日本全国の神社のうち約95%が加盟している宗教法人「神社本庁」で内紛が勃発。トップの座を巡り裁判にまで発展している。知っているようで知らない神社の仕組みとともに、その内幕をルポする—』、「神社本庁」といえば、右派勢力の本拠ともいえる団体、興味深そうだ。
・『鶴岡八幡宮、離反の衝撃  全国約8万の神社、約2万人の神職を傘下に治める「神社本庁」が揺れている。 3月5日、「日本三大八幡宮」の一つ、神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮が神社本庁からの離脱を突然表明した。鶴岡八幡宮は源頼朝が1180年に遷座した神社で、鎌倉を代表する観光スポットだ。NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が放送された'22年には約586万人もの観光客が訪れた巨大神社である。その鶴岡八幡宮が神社本庁離脱に動いたとあって、神道関係者に衝撃が走った。 三大八幡宮の一つが、なぜ本庁離脱へと踏み切ったのか。混乱のきっかけはいくつかあるが、大きな原因は、'10年から神社本庁の事務方トップを務める田中恆清総長と、その盟友である神道政治連盟の打田文博会長による「不正土地取引」の問題だと見られる。ジャーナリストの伊藤博敏氏が解説する。 「事の発端は、'15年10月に田中氏の了解のもと、神奈川県川崎市にある神社本庁の職員寮『百合丘職舎』を1億8400万円という、不当に安い金額で売却したことです。本来なら3億円は下らないと見られるこの職舎を安値で購入したのは、打田と懇意にしている不動産会社。同社は翌月に物件を転売し、3000万円近い利益を得ている。打田らはこの不動産会社と癒着していた可能性が指摘されているのです」 相場よりも極端に安い価格で売却していたことが神社本庁内の一部で問題視され、'16年には同庁の職員が内部告発し、表沙汰に。結局、告発者が懲戒解雇となり、裁判にまでもつれこんだ。伊藤氏が続ける。 「3年以上続いた裁判は、'21年3月に判決が下り『売却価格は相当低かった。田中氏や打田氏が背任を行ったと信じる相当の理由があった』と、裁判所が告発者の主張が正しいことを認めました」 神社本庁トップによる背任行為が疑われた以上、本来であれば調査のうえで、辞任や降格などの措置が取られるべきだ。ところが、田中氏は総長職を続投。何事もなかったかのようにトップの座に居座り続けているのだ。 こうした独裁的な体質に嫌気がさした鶴岡八幡宮が、神社本庁から脱退を表明したというわけだ。 しかし、なぜ周囲の強烈な反発を招いてもなお田中氏は総長の座を死守するのか。そこには、神社界ならではの特殊な事情が透けて見える。まずは日本人が知っているようで知らない神社の仕組みを見ていこう』、「'15年10月に田中氏の了解のもと、神奈川県川崎市にある神社本庁の職員寮『百合丘職舎』を1億8400万円という、不当に安い金額で売却したことです。本来なら3億円は下らないと見られるこの職舎を安値で購入したのは、打田と懇意にしている不動産会社。同社は翌月に物件を転売し、3000万円近い利益を得ている。打田らはこの不動産会社と癒着していた可能性が指摘されているのです」 相場よりも極端に安い価格で売却していたことが神社本庁内の一部で問題視され、'16年には同庁の職員が内部告発し、表沙汰に。結局、告発者が懲戒解雇となり、裁判にまでもつれこんだ。伊藤氏が続ける。 「3年以上続いた裁判は、'21年3月に判決が下り『売却価格は相当低かった。田中氏や打田氏が背任を行ったと信じる相当の理由があった』と、裁判所が告発者の主張が正しいことを認めました」 神社本庁トップによる背任行為が疑われた以上、本来であれば調査のうえで、辞任や降格などの措置が取られるべきだ。ところが、田中氏は総長職を続投。何事もなかったかのようにトップの座に居座り続けているのだ。 こうした独裁的な体質に嫌気がさした鶴岡八幡宮が、神社本庁から脱退を表明」、「神社本庁トップによる背任行為が」裁判で認定されたにも拘らず、「田中氏は総長職を続投。何事もなかったかのようにトップの座に居座り続けている」、宗教法人のトップとしてあるまじき行為だ。
・『神道体制の起源  そもそも神社が今のような神社本庁を中心とする運営体制になった大元は明治時代に遡る。宗教学者の島田裕巳氏が解説する。 「当時は、神社が国家の宗祀と位置付けられ、神社に特権が与えられていました。国の機関である神祇院が神社を管轄、宮司などの神職は公務員として扱われ、国が給料を出していたのです。 しかし戦後、GHQによって国家と神道の結びつきを断ち切ることを目的とした『神道指令』が出されます。これによって、神道は国家から切り離され、数多くある宗教の一つという扱いになりました」 そこで国家神道とは別の形で神道文化を維持するために立ち上がったのが神社本庁だ。 「このとき、伊勢神宮を本宗(全国の神社の総親神)として頂点に位置付ける現在の神道体制ができあがりました」(島田氏) 神祇院の頃は、税金で組織を維持していたが、神社本庁となってからは国からの支援は受けられない。そのため、神社本庁は、組織維持のために収入を得る必要に迫られた。そこでつくられたのが、伊勢神宮のお札「神宮大麻」だ。 「神社本庁傘下の神社には『天照皇大神宮』と記された神宮大麻が頒布されます。各神社はこれを氏子に売り、代金を神社本庁に上納する仕組みです」(同)』、「戦後、GHQによって国家と神道の結びつきを断ち切ることを目的とした『神道指令』が出されます。これによって、神道は国家から切り離され、数多くある宗教の一つという扱いになりました」 そこで国家神道とは別の形で神道文化を維持するために立ち上がったのが神社本庁だ。 「このとき、伊勢神宮を本宗(全国の神社の総親神)として頂点に位置付ける現在の神道体制ができあがりました」(島田氏) 神祇院の頃は、税金で組織を維持していたが、神社本庁となってからは国からの支援は受けられない。そのため、神社本庁は、組織維持のために収入を
・『宮司では食べていけない  神社本庁が神宮大麻から得られる収入は、10億円近いとされており、神社本庁の資金の源となっている。神社本庁の収入はそれだけではなく、「神職賦課金」という会費を全国の神社から徴収している。その額は在籍している神職の数や階級によって異なってくるが、一人あたり数万円になる。 こうした会費を支払わなければならない「宮司」たちの懐事情は、意外にも厳しい。埼玉県の古尾谷八幡神社の宮司を務める新井俊邦氏は「宮司だけの収入ではとても暮らせません」と語る。 「私は主に奉仕する神社1社に加えて、13社の宮司を兼務しています。私のように10社以上の宮司を兼務している人は決して珍しくなく、日本中にそうした宮司がいます。 14社も兼務していると、収入もそれなりと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。神職としての収入はすべて宗教法人の口座に入金され、そこから給与として報酬を得ていますが、その金額は年間約140万円にしかなりません。宮司だけでは食べていけず、中小企業診断士の資格を取り、コンサルタントの仕事もしています」 地方の神社だけでなく、都市部の神社であっても、「神社の経営は非常に難しい状況に置かれている」と島田氏は言う。 「宗教活動だけで経営が成り立っている神社は数えるほどしかありません。大きな神社ではお賽銭だけでかなりの収入になるところもありますが、そんな神社は稀。お賽銭やご祈祷、お札やお守りの販売といった『社頭収入』だけで神社を維持し続けるのは難しい。大きな神社では、持っている土地を貸したりして収入を得られますが、小さな神社ではそれもできない。 たとえば明治神宮は、コロナの影響で参拝者数が激減。外苑の維持管理費もかさみ、実は経営難に陥りかけている。神宮外苑いちょう並木の問題は、そうした明治神宮が抱える金銭的な問題も背景にあるわけです」 後編記事『ついに「公家家格の頂点」「神社界のボス」も超激怒...ヤバすぎる横暴を続ける現在の「神社本庁」につきつけた「ノー」』ヘ続く』、「私は主に奉仕する神社1社に加えて、13社の宮司を兼務しています。私のように10社以上の宮司を兼務している人は決して珍しくなく、日本中にそうした宮司がいます。 14社も兼務していると、収入もそれなりと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。神職としての収入はすべて宗教法人の口座に入金され、そこから給与として報酬を得ていますが、その金額は年間約140万円にしかなりません。宮司だけでは食べていけず、中小企業診断士の資格を取り、コンサルタントの仕事もしています」 地方の神社だけでなく、都市部の神社であっても、「神社の経営は非常に難しい状況に置かれている」と島田氏は言う・・・」、「「宗教活動だけで経営が成り立っている神社は数えるほどしかありません。大きな神社ではお賽銭だけでかなりの収入になるところもありますが、そんな神社は稀。お賽銭やご祈祷、お札やお守りの販売といった『社頭収入』だけで神社を維持し続けるのは難しい。大きな神社では、持っている土地を貸したりして収入を得られますが、小さな神社ではそれもできない」、なるほど。

第三に、4月9日付け現代ビジネス「ついに「公家家格の頂点」「神社界のボス」も超激怒...ヤバすぎる横暴を続ける現在の「神社本庁」につきつけた「ノー」」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/126781?imp=0
・『日本全国の神社のうち約95%が加盟している宗教法人「神社本庁」で内紛が勃発。トップの座を巡り裁判にまで発展している。知っているようで知らない神社の仕組みとともに、その内幕をルポする—。 前編記事『まさかの「神社本庁・崩壊」の危機...総長の「不正土地取引」に「超有名神社の離脱」と「2000人関係者が猛激怒」が相次いで勃発』より続く』、興味深そうだ。
・『総長職への異常な執着  さて、神社本庁の田中総長は京都府八幡市にある石清水八幡宮の宮司を務めている。ところが、神社本庁関係者は「石清水八幡宮も構図は同じで、経営はラクではないはず」と明かす。 「総長職の報酬は年間1000万円以上あるので、田中さんが総長の席にこだわっているのは、権力欲のほかに、金銭的側面もあるのでは、とも見られています」 氏の総長職への執着は異常だ。前述の通り田中氏側の敗訴という判決が下された職員寮の不正土地取引疑惑を巡る裁判の後も、辞任を求める声を無視して総長の座を死守。通常は2期6年で交代となる総長の座を現在14年も続けているのだ。 「'22年6月の役員会で田中総長は5期目に名乗りを上げました。驚くべきことに、この時の役員会で過半数の理事が田中氏続投に賛成票を投じたのです」(神社本庁関係者) 職員寮売却の件でも背任が疑われたというのに、なぜ多くの理事が田中氏を支持したのか。神社本庁関係者が続けて解説する。 「実は役員会は田中さんと、彼の側近で神道政治連盟の打田会長に近い役員らで固められていて、自浄作用が働かない。だから、何年も総長の座を維持し続けることができるのです」 田中氏は三大八幡宮(宇佐、石清水、鶴岡)の社家(神社を世襲する家柄)出身の神職エリート。國學院大學の神道学科を修了し、平安神宮の権禰宜(宮司の補佐役)を経て石清水の宮司となった。若手神職の集まりである神道青年全国協議会の会長を務めたのち、神社本庁副総長となり、総長に昇格する。 その田中氏を副総長時代から支えてきたのが打田氏だ。打田氏は國學院大學の神道学科を修了後、'77年に寒川神社に奉職。'80年に神社本庁に転任し、本庁職員となる。渉外部長として対外人脈を広げつつ、神道政治連盟の事務局長に就任してからは日本会議や政界ともつながりを深めていった』、「職員寮の不正土地取引疑惑を巡る裁判の後も、辞任を求める声を無視して総長の座を死守。通常は2期6年で交代となる総長の座を現在14年も続けているのだ・・・実は役員会は田中さんと、彼の側近で神道政治連盟の打田会長に近い役員らで固められていて、自浄作用が働かない。だから、何年も総長の座を維持し続けることができるのです」 田中氏は三大八幡宮(宇佐、石清水、鶴岡)の社家(神社を世襲する家柄)出身の神職エリート。國學院大學の神道学科を修了し、平安神宮の権禰宜(宮司の補佐役)を経て石清水の宮司となった。若手神職の集まりである神道青年全国協議会の会長を務めたのち、神社本庁副総長となり、総長に昇格する。 その田中氏を副総長時代から支えてきたのが打田氏だ。打田氏は國學院大學の神道学科を修了後、'77年に寒川神社に奉職。'80年に神社本庁に転任し、本庁職員となる」、一旦、要職に着いたら、「神職エリート」として「何年も」その座を「維持し続ける」ようだ。
・『長期政権が叶ったワケ  「田中さんは'04年に副総長になったものの、事務方の本庁職員に人脈があるわけではなく、政界との縁もそれほど深くない。そんな田中さんを資金面、人脈面、政治面で支えたのが打田さんでした」(神社本庁関係者) 打田氏は、'07年には神道政治連盟の幹事長に就任し、本庁人事にも口出しできる存在となった。 「神社本庁を運営する理事たちは有力神社の宮司を務める地方の名士たち。神社本庁内部のことはズブの素人なので、打田さんがアドバイスをして、本庁全体の運営をさばいていた。 さらに打田さんは驚くほど口が達者で、本庁役職員を取り込むのもうまい。自分に近しい職員にはいいポジションをあてがうなど、人事面で優遇する人心掌握にも長けていました」 人事を掌握し、役員会をコントロールすることで、田中氏が総長になる'10年には、神社本庁全体を牛耳る「田中-打田体制」が完成していた。 そして理事の多くを側近らで固めることで、田中氏は4期目、5期目という異例の長期政権を実現していったのだ』、「「神社本庁を運営する理事たちは有力神社の宮司を務める地方の名士たち。神社本庁内部のことはズブの素人なので、打田さんがアドバイスをして、本庁全体の運営をさばいていた。 さらに打田さんは驚くほど口が達者で、本庁役職員を取り込むのもうまい。自分に近しい職員にはいいポジションをあてがうなど、人事面で優遇する人心掌握にも長けていました」 人事を掌握し、役員会をコントロールすることで、田中氏が総長になる'10年には、神社本庁全体を牛耳る「田中-打田体制」が完成していた。 そして理事の多くを側近らで固めることで、田中氏は4期目、5期目という異例の長期政権を実現していったのだ」、なるほど。
・『総長の座を巡って  ところがあまりに横暴な行いを看過できず、これに「待った」をかけた人物がいる。神社本庁の象徴としてのトップ・鷹司尚武統理だ。 「鷹司統理は、公家の家格の頂点である『五摂家』の一つ、鷹司家の現当主であり、昭和天皇の第3皇女の養子で、上皇陛下の義理の甥にあたる人物です。神社界の頂点ともいえる伊勢神宮の大宮司も務めたこともあり、まさに『神社界のボス』という存在です」(神社本庁関係者) 田中氏の暴挙を許さなかった鷹司統理は、'22年の役員会で田中氏とは別の理事を指名した。しかし、前述のとおり役員会の結束は固く、田中派の賛成多数で、統理が指名した理事は総長の座を得られなかった。 この総長の座を巡るイス取りゲームは、統理から指名された理事が、総長になれないのはおかしい、と訴え出たことで裁判にまで発展。'22年12月に下された一審では「鷹司統理が原告を次期総長に指名したとしても、役員会が議決により原告を次期総長に決定していない以上、原告は、総長に就任していない」として司法の場でも田中総長側に軍配が上がった。さらに、'23年6月の第二審でも一審が支持され控訴を棄却。田中氏は総長のイスに座り続けている—これが「神社本庁の田中派支配」の実態だ』、「あまりに横暴な行いを看過できず、これに「待った」をかけた人物がいる。神社本庁の象徴としてのトップ・鷹司尚武統理だ。 「鷹司統理は、公家の家格の頂点である『五摂家』の一つ、鷹司家の現当主であり、昭和天皇の第3皇女の養子で、上皇陛下の義理の甥にあたる人物・・・しかし、前述のとおり役員会の結束は固く、田中派の賛成多数で、統理が指名した理事は総長の座を得られなかった。 この総長の座を巡るイス取りゲームは、統理から指名された理事が、総長になれないのはおかしい、と訴え出たことで裁判にまで発展。'22年12月に下された一審では「鷹司統理が原告を次期総長に指名したとしても、役員会が議決により原告を次期総長に決定していない以上、原告は、総長に就任していない」として司法の場でも田中総長側に軍配が上がった。さらに、'23年6月の第二審でも一審が支持され控訴を棄却。田中氏は総長のイスに座り続けている」、なるほど。
・『神社本庁が空中分解する日  同会の呼びかけ人には、鶴岡八幡宮に加え、出雲大社、東京大神宮などが名を連ねる。彼らもまた本庁離脱も辞さない構えだ。前出の島田氏が言う。 「以前から田中体制と険悪な関係にあった香川県の金刀比羅宮は'20年にすでに離脱をしていますが、鶴岡八幡宮も離脱を決断したことで、ほかの神社が追随する可能性があります。神社界は田中総長派と鷹司統理派で二分されている。このままでは神社本庁が空中分解してしまいかねません」 この分断こそが、神社本庁の危機の正体なのだ。 神社本庁に、田中体制に批判が集まっていること、また鶴岡八幡宮が本庁を離脱した経緯について質問書を送ったが、期日までに回答がなかった。 国立歴史民俗博物館名誉教授で社会学博士の新谷尚紀氏は、こうした内紛は「神様への感謝の気持ちが薄れている証拠」だと指摘する。 「神社は、みんなが拝んでご利益をいただく場でもあります。そこにお仕えする人は、奉仕に徹しなくてはいけません。『神様が見ておられる』と思えば、自然とそうなるでしょう。現在の神社本庁はそうした神職の基本に立ち返るべきではないでしょうか」 神社本庁の内紛が収まり、純粋な気持ちで参拝できる日が早く訪れることを願うばかりだ』、「「以前から田中体制と険悪な関係にあった香川県の金刀比羅宮は'20年にすでに離脱をしていますが、鶴岡八幡宮も離脱を決断したことで、ほかの神社が追随する可能性があります。神社界は田中総長派と鷹司統理派で二分されている。このままでは神社本庁が空中分解してしまいかねません・・・「神社は、みんなが拝んでご利益をいただく場でもあります。そこにお仕えする人は、奉仕に徹しなくてはいけません。『神様が見ておられる』と思えば、自然とそうなるでしょう。現在の神社本庁はそうした神職の基本に立ち返るべきではないでしょうか」 神社本庁の内紛が収まり、純粋な気持ちで参拝できる日が早く訪れることを願うばかりだ」、その通りだ。
タグ:”右傾化” (その17)(大前研一「世界的右傾化はなぜ止まらないのか」…衆愚政治から抜け出すたった一つの解決法 真剣に政治のことを考えないと国が消滅する、もはや「神社本庁・崩壊」の危機...総長の「不正土地取引」に「超有名神社の離脱」と「2000人関係者激怒」が相次いで勃発、ついに「公家家格の頂点」「神社界のボス」も超激怒...ヤバすぎる横暴を続ける現在の「神社本庁」につきつけた「ノー」) プレジデント 2024年1月12日号 「大前研一「世界的右傾化はなぜ止まらないのか」…衆愚政治から抜け出すたった一つの解決法 真剣に政治のことを考えないと国が消滅する」 「トランプ氏は大統領在任中、中国による知的財産権侵害に対する懲罰と称し、対中関税をたびたび引き上げた。懲罰の目的を「自国の産業保護」と謳うたっていたが、これは建前だ。本当は「中国は日本のように尻尾を振らないから、罰を与えて支持者の溜飲を下げる」という、政治的なパフォーマンスなのだ。 実際、トランプ氏による中国の排斥が政治的なパフォーマンスにすぎなかったことは、現状を見ればわかる。 トランプ氏は補助金をちらつかせ、メーカーが中国ではなくアメリカに工場をつくるように働きかけた。釣られた台湾の鴻海ホンハイ精密工業は、ウィスコンシン州で工場建設を計画。トップの郭台銘(テリー・ゴウ)氏が現地に来て鍬入れ式まで行ったが、その後頓挫した・・・アメリカの執拗な中国叩きにもかかわらず、結局iPhoneなどのスマートフォンは今も中国で組み立てられており、中の部品についても6割が中国製である。 アメリカの消費者はその高くなったスマホを喜んで買い、アメリカ政府は高くなった関税をポケットにしまい込んで知らん顔をしている。精巧なサプライチェーンを基盤としたボーダレス経済は、何も変わっていないのだ」、なるほど。 「ミレイ大統領は中央銀行の廃止や、ペソを廃止してドル化するといった無茶苦茶な政策も掲げている。 もしペソを廃止してドルを使うなら、ユーロ導入国がマーストリヒト条約に批准するのと同じような図式でアメリカと条約を結ぶ必要がある。ユーロを参考にすると、その導入には①物価安定性②健全な財政とその持続性③為替安定④長期金利の安定性という4つの基準を満たす必要がある。 このうち、①と②については次の通りだ。 ①過去1年間の自国のインフレ率が、ユーロ導入国でインフレ率が最も低い3カ国の平均値との格差が1.5%以内 ②財政赤字がGDP比3%以下、債務残高がGDP比60%以下 アメリカが同様の水準をアルゼンチンに求めたら、ドル化の話は瞬時に終わる。140%のインフレ率を一桁台に抑える魔法は存在しない。また、基準を満たすくらいに債務を減らすには、あらゆる行政サービスを削らなくてはならず、国内で暴動が起きるだろう」、なるほど。 「トランプ氏は、大統領選で「MAGA」というスローガンを掲げて当選した。Make America Great Again、アメリカをふたたび偉大な国にするという意味だ。実はミレイ大統領も選挙で「MAGA」を掲げて聴衆から喝采を浴びている。アルゼンチンも頭文字がAなので、国名だけを入れ替えてスローガンを拝借したわけだ。 MAGAという主張には、誰も反論のしようがない。アメリカのリベラル派も自国が復活してほしいと願っている。このように誰も文句のない主張をする人を、英語圏では「マザーフッド」と呼ぶ。 「母の愛は素晴らしい」といったあたりまえのことを、さも意味のあることのように言うのはバカだと揶揄するときに使う表現である・・・反知性主義とも言われる所以だ。はっきり言えば、衆愚政治化が進んでいる・・・右傾化していない国の国民は、なぜ政治的に成熟しているのか。 ポピュリスト勢力の拡大を抑えられている国には、ある共通点がある。ベルギー、シンガポール、ポーランド。これらは国土や人口、資源などの面でハンデを負った小国であり、政治的には大国のはざまで何とか生き抜いてきた歴史を持つ。 真剣に政治のことを考えないと国が消滅するおそれがあるので、国民が政治参加に積極的で、お互いに啓発し合うのである。 一方、右傾化しやすいのは、少なくとも一度は栄華を誇った過去があり、現在も何らかの条件に恵まれ、必死にならなくてもとりあえず生きていける国だ。アメリカやヨーロッパの大国、アルゼンチンがまさしく当てはまる。 没落しつつも、まだ経済大国である日本は後者だ。アルゼンチンと同じバラマキ大国である日本も同じ轍を踏むのか。それは、国民の集団知性しだいである』、「日本も同じ轍を踏むのか」、残念ながらその可能性 現代ビジネス「もはや「神社本庁・崩壊」の危機...総長の「不正土地取引」に「超有名神社の離脱」と「2000人関係者激怒」が相次いで勃発」 「神社本庁」といえば、右派勢力の本拠ともいえる団体、興味深そうだ。 「'15年10月に田中氏の了解のもと、神奈川県川崎市にある神社本庁の職員寮『百合丘職舎』を1億8400万円という、不当に安い金額で売却したことです。本来なら3億円は下らないと見られるこの職舎を安値で購入したのは、打田と懇意にしている不動産会社。同社は翌月に物件を転売し、3000万円近い利益を得ている。打田らはこの不動産会社と癒着していた可能性が指摘されているのです」 相場よりも極端に安い価格で売却していたことが神社本庁内の一部で問題視され、'16年には同庁の職員が内部告発し、表沙汰に。結局、告発者が懲戒解雇となり、裁判にまでもつれこんだ。伊藤氏が続ける。 「3年以上続いた裁判は、'21年3月に判決が下り『売却価格は相当低かった。田中氏や打田氏が背任を行ったと信じる相当の理由があった』と、裁判所が告発者の主張が正しいことを認めました」 神社本庁トップによる背任行為が疑われた以上、本来であれば調査のうえで、辞任や降格などの措置が取られるべきだ。ところが、田中氏は総長職を続投。何事もなかったかのようにトップの座に居座り続けているのだ。 こうした独裁的な体質に嫌気がさした鶴岡八幡宮が、神社本庁から脱退を表明」、「神社本庁トップによる背任行為が」裁判で認定されたにも拘らず、「田中氏は総長職を続投。何事もなかったかのようにトップの座に居座り続けている」、宗教法人のトップとしてあるまじき行為だ。 「戦後、GHQによって国家と神道の結びつきを断ち切ることを目的とした『神道指令』が出されます。これによって、神道は国家から切り離され、数多くある宗教の一つという扱いになりました」 そこで国家神道とは別の形で神道文化を維持するために立ち上がったのが神社本庁だ。 「このとき、伊勢神宮を本宗(全国の神社の総親神)として頂点に位置付ける現在の神道体制ができあがりました」(島田氏) 神祇院の頃は、税金で組織を維持していたが、神社本庁となってからは国からの支援は受けられない。そのため、神社本庁は、組織維持のために収入 得る必要に迫られた。そこでつくられたのが、伊勢神宮のお札「神宮大麻」・・・各神社はこれを氏子に売り、代金を神社本庁に上納する仕組みです」、なるほど。 「私は主に奉仕する神社1社に加えて、13社の宮司を兼務しています。私のように10社以上の宮司を兼務している人は決して珍しくなく、日本中にそうした宮司がいます。 14社も兼務していると、収入もそれなりと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。神職としての収入はすべて宗教法人の口座に入金され、そこから給与として報酬を得ていますが、その金額は年間約140万円にしかなりません。宮司だけでは食べていけず、中小企業診断士の資格を取り、コンサルタントの仕事もしています」 地方の神社だけでなく、都市部の神社であっても、「神社の経営は非常に難しい状況に置かれている」と島田氏は言う・・・」、「「宗教活動だけで経営が成り立っている神社は数えるほどしかありません。大きな神社ではお賽銭だけでかなりの収入になるところもありますが、そんな神社は稀。お賽銭やご祈祷、お札やお守りの販売といった『社頭収入』だけで神社を維持し続けるのは難しい。大きな神社では、持っている土地を貸したりして収入を得られますが、小さな神社ではそれもできない」、なるほど。 現代ビジネス「ついに「公家家格の頂点」「神社界のボス」も超激怒...ヤバすぎる横暴を続ける現在の「神社本庁」につきつけた「ノー」」 「職員寮の不正土地取引疑惑を巡る裁判の後も、辞任を求める声を無視して総長の座を死守。通常は2期6年で交代となる総長の座を現在14年も続けているのだ・・・実は役員会は田中さんと、彼の側近で神道政治連盟の打田会長に近い役員らで固められていて、自浄作用が働かない。だから、何年も総長の座を維持し続けることができるのです」 田中氏は三大八幡宮(宇佐、石清水、鶴岡)の社家(神社を世襲する家柄)出身の神職エリート。國學院大學の神道学科を修了し、平安神宮の権禰宜(宮司の補佐役)を経て石清水の宮司となった。若手神職の集まりである神道青年全国協議会の会長を務めたのち、神社本庁副総長となり、総長に昇格する。 その田中氏を副総長時代から支えてきたのが打田氏だ。打田氏は國學院大學の神道学科を修了後、'77年に寒川神社に奉職。'80年に神社本庁に転任し、本庁職員となる」、一旦、要職に着いたら、「神職エリート」として「何年も」その座を「維持し続 ける」ようだ。 「「神社本庁を運営する理事たちは有力神社の宮司を務める地方の名士たち。神社本庁内部のことはズブの素人なので、打田さんがアドバイスをして、本庁全体の運営をさばいていた。 さらに打田さんは驚くほど口が達者で、本庁役職員を取り込むのもうまい。自分に近しい職員にはいいポジションをあてがうなど、人事面で優遇する人心掌握にも長けていました」 人事を掌握し、役員会をコントロールすることで、田中氏が総長になる'10年には、神社本庁全体を牛耳る「田中-打田体制」が完成していた。 そして理事の多くを側近らで固めることで、田中氏は4期目、5期目という異例の長期政権を実現していったのだ」、なるほど。 「あまりに横暴な行いを看過できず、これに「待った」をかけた人物がいる。神社本庁の象徴としてのトップ・鷹司尚武統理だ。 「鷹司統理は、公家の家格の頂点である『五摂家』の一つ、鷹司家の現当主であり、昭和天皇の第3皇女の養子で、上皇陛下の義理の甥にあたる人物・・・しかし、前述のとおり役員会の結束は固く、田中派の賛成多数で、統理が指名した理事は総長の座を得られなかった。 この総長の座を巡るイス取りゲームは、統理から指名された理事が、総長になれないのはおかしい、と訴え出たことで裁判にまで発展。'22年12月に下された一審では「鷹司統理が原告を次期総長に指名したとしても、役員会が議決により原告を次期総長に決定していない以上、原告は、総長に就任していない」として司法の場でも田中総長側に軍配が上がった。さらに、'23年6月の第二審でも一審が支持され控訴を棄却。田中氏は総長のイスに座り続けている」、なるほど。 「「以前から田中体制と険悪な関係にあった香川県の金刀比羅宮は'20年にすでに離脱をしていますが、鶴岡八幡宮も離脱を決断したことで、ほかの神社が追随する可能性があります。神社界は田中総長派と鷹司統理派で二分されている。このままでは神社本庁が空中分解してしまいかねません・・・「神社は、みんなが拝んでご利益をいただく場でもあります。 そこにお仕えする人は、奉仕に徹しなくてはいけません。『神様が見ておられる』と思えば、自然とそうなるでしょう。現在の神社本庁はそうした神職の基本に立ち返るべきではないでしょうか」 神社本庁の内紛が収まり、純粋な気持ちで参拝できる日が早く訪れることを願うばかりだ」、その通りだ。
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イタリア(その1)(イタリア移民急増で非常事態 収容施設は民間企業が管理する巨大ビジネス その闇と実態、メローニ首相が代理出産を激しく非難 イタリアでは普遍的犯罪) [世界情勢]

今日は、イタリア(その1)(イタリア移民急増で非常事態 収容施設は民間企業が管理する巨大ビジネス その闇と実態、メローニ首相が代理出産を激しく非難 イタリアでは普遍的犯罪)を取上げよう。

先ずは、昨年4月20日付けNeweek日本版「イタリア移民急増で非常事態、収容施設は民間企業が管理する巨大ビジネス、その闇と実態」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/vismoglie/2023/04/post-51_1.php
・『4月11日、イタリアは、ムスメチ市民保護および海洋政策担当大臣の提案に基づき、閣僚評議会は、移民の流れの例外的な増加に関連して、国の領土全体で6か月間の「非常事態宣言」を承認した。 移民は最初の受付センターであるランペドゥーサ島のホットスポットに一時収容されるが、最大収容数が4倍に膨らむ過密状態である。 今後数か月で、さらにその数も増加するという予測がされている。 移民シェルターの混雑を緩和する特別措置を可能にするためのものが「非常事態宣言」である』、「非常事態宣言」で「移民シェルターの混雑を緩和する特別措置を可能にする」、とはどういうことだろう。
・『「非常事態」の対策内容とは  1、迅速な移民の身元確認、亡命庇護希望者保護ステータスの認定、承認手続きの時間短縮化、早期国外追放活動 2、本国送還センターCPRを新たに新設、特別コミッショナー設定、統合プロジェクト設定 イタリアに留まる権利を持たない移民の本国送還を可能にする構造や新しい本国送還のための拘留センター(CPR=Centro di Permanenza per il Rimpatrio) の開設などが盛り込まれた。 受け入れのニーズ、滞在の必要条件を満たしていない移民の身元認識と本国送還の両方を迅速に進める緊急に提供することができるようになるという。 その新構造を作成するためには、特別コミッショナーの措置も必要である。 フロー管理により、効率的かつタイムリーな対応を行い、庇護希望者の承認手続きの時間短縮化を図る。 マッテオ・ピアンテドージ内務大臣によると、強制送還などの対策をとるための費用として500万ユーロ、日本円でおよそ7億3,600万円を拠出するとしている。 3、現行法令の見直しと改正:非政府組織 (NGO) に所属する船舶に関する法令 海軍閉鎖や港の封鎖を行う安全命令の回復。 複数回の救助や行政上の入港停止を無視し、救助活動を妨げるものやNGO船舶を禁止する。 それに対し、 野党・左派政党によると、 「ピアンテドージ内務大臣が、ますます遠くの港をNGO船舶に割り当て始め、最も重要な地域でNGO船の数を減らしている。NGOによる救助は平均して上陸のわずか12%にすぎないという具体的なデータを出してきて、あたかもNGO船舶が移民を惹き付ける"引き寄せ要因"であるという誤った仮定に基づき、NGO救助船の弱体化を諮ったが、移民のイタリア上陸はますます増加した。」 と、メローニ政権を批判をしている』、「内務大臣が、ますます遠くの港をNGO船舶に割り当て始め、最も重要な地域でNGO船の数を減らしている・・・あたかもNGO船舶が移民を惹き付ける"引き寄せ要因"であるという誤った仮定に基づき、NGO救助船の弱体化を諮ったが、移民のイタリア上陸はますます増加した」、「NGO船」を遠ざけようとする努力は失敗に終わったようだ。
・『| 非常事態宣言は本当に必要だったのか?  野党議員は、そもそも第一に、「非常事態宣言」は必要だったのか? 本当は「緊急事態」でもないのでは?と指摘した。 実際には、今年3月には約13,000人の移民がイタリアに上陸したが、これは、2022年7月の13,802人とほぼ同じ人数であり、8月の16,822人よりも少い。同様に、9月は13,533人、10月は13,493人である。 さらに、世界最大の国際人権NGO法人のアムネスティ・インターナショナルによると、2014年から2017年にかけて、イタリアには623,000人の移民が上陸し、400,000件の亡命申請書が提出され、528,000件が受付システムに登録されたと言う。 "緊急非常事態が宣言されていないにもかかわらず"、190,000人以上の人々を受け入れてきた。過去10年間、その人数はほぼ一定のままだ。 なぜ今、「非常事態宣言」が必要なのかと、メローニ政権に質問を投げかけている。 また、これまでのところ、多くの移民がイタリア領土に上陸し、欧州では最多数であるにも関わらず、なぜか欧州連合で亡命申請を行った人数では4番目に多い国がイタリアであるという矛盾についても指摘している。 昨年2022年のデータでは、亡命申請を行った人数の最多はスペインの116,140人、2番目がフランスで137,505人、3番目がドイツで 217,735人だったのに対し、イタリアは77,195人だった。 2022年の全体では、合計10,865人の外国人が特別保護を受け、亡命申請者の44% が一次保護ステータス、32%が国際的保護の形式を付与され、12%が特別保護ステータスを付与された。 イタリアは、亡命申請が極端に少ない理由の一つに、"外国人に全くその旨を翻訳して伝えていなかった"ことが挙げられる。 右派政党によるプロパガンダ要素が強く、政治的策略であることは数字からも明らかで、移民政策の失敗だと野党は声高に叫び始めた。 野党によると、「"非常事態宣言"は偽装されたものであり、つまりNGO船舶を止めることは単なる口実である、既に以前、失敗に終わった緊急型の規制・行政運営を帳消しにするために、メローニ政権は、より高い目標を掲げて、本当の緊急・非常事態宣言を誇示することしかできなかった。今回もまた失敗だ。」と非難している』、「野党議員は、そもそも第一に、「非常事態宣言」は必要だったのか? 本当は「緊急事態」でもないのでは?と指摘・・・多くの移民がイタリア領土に上陸し、欧州では最多数であるにも関わらず、なぜか欧州連合で亡命申請を行った人数では4番目に多い国がイタリアであるという矛盾についても指摘している・・・亡命申請が極端に少ない理由の一つに、"外国人に全くその旨を翻訳して伝えていなかった"ことが挙げられた」、なるほど。
・『 前左派政権の人道的保護の法令を廃止せよ、新「クトロ法令」決議  メローニ首相は「私の目的は、特別保護の撤廃です」と、はっきりと述べた。 前左派政権(第2次コンテ政府)による過度に拡大された特別保護を廃止したいのがメローニ首相である。 その「特別保護」というものは、ヨーロッパの他の国々で起こっていることと比較すると、イタリアの場合は保護の範囲がさらに追加されており、それは度が過ぎているからだという。 特別保護なるものが存在する限り、移民の流れを止めることができない、合法移民の受け入れ拡大や人身売買業者に対する公然たる闘争の強化をするというのが、メローニ首相の主張である。 そして、特別保護に関しては、災害や医療のための居住許可を最小限に制限することを目的とし、左派による過度に拡大された特別保護の廃止と居住許可を取り消すと修正し、「クトロ法令」を上院で決議した。 それ以前の2018年には既に、前内務大臣で現副首相の極右政党同盟のサルビーニ氏が制定したサルビーニ法令というものが存在している』、「前左派政権(第2次コンテ政府)による過度に拡大された特別保護を廃止したいのがメローニ首相である・・・特別保護なるものが存在する限り、移民の流れを止めることができない、合法移民の受け入れ拡大や人身売買業者に対する公然たる闘争の強化をするというのが、メローニ首相の主張である」、「特別保護」の撤廃はやむを得ないようだ。
・『"サルビーニ法令は、人道的保護を廃止した"  第1条では、庇護の付与に関する新しい規定が含まれており、移民に関する統合法によって想定されていた人道的理由による保護の廃止を効果的に規定している。 ・人道的性質、またはイタリア国家の憲法上または国際的義務に起因するものでなければならない。 ・深刻な災害による理由または医療目的のため、もしくは紛争などの緊急事態から逃れる人々に居住許可を与える。 ・人道的保護は、自国で迫害を受ける可能性があるとき(移民法第 19条) ・労働搾取や人身売買の被害者は国外追放しない。 ・就労滞在許可に変換できない。 などである。 第2条では、本国送還のための拘留センター(CPR) で本国送還を待っている外国人は、最大90日間の拘留であったが、その制限を最大180日に拡大した。 第3条は、亡命・庇護希望者はCPRに最大30日間収容して、身元と市民権を確認できると規定している。 第4条は、CPRに場所がなく、治安判事の許可があれば不法移民を国境事務所に拘留することができると規定した。 第5条は、亡命申請のための居住許可を登記所に登録するための資格に変更した。 第6条は、本国送還のためにより多くの資金を配分することを規定した。 2018年に50 万ユーロ、2019年に150 万ユーロ、2020年にさらに150 万ユーロである。) 国際保護と難民の地位の取り消しまたは否定したものの、このサルビーニ法令は、難民の地位の取り消しまたは補助的な保護を伴う犯罪のリストを拡大したものであった。 リストには、性的暴力、麻薬の製造、所持・密売、強盗・ゆすり、窃盗、強盗、公務員に対する脅迫または暴力などがある。 亡命・庇護希望の申請者が1つでも犯罪を犯し刑事訴訟手続中であった場合、また、有罪判決が下された場合に庇護申請は拒否され停止される。 さらに、難民が出身国に戻った場合、たとえ一時的であっても、国際的および補助的な保護を失うことも規定したものである。 この度決議された「クトロ法令」は、このサルビーニ法令に修正を加えたものであるという。 野党左派反対勢力は、移民に関してメローニ政権が審議した非常事態宣言も強く批判しており、民主党のエリー・シュライン書記官は、「メローニ政権は、移民政策を策定できないことの代償を最も脆弱な人々に負わせている」と不満を漏らし、「メローニは、人身売買業者ではなく、人身売買の犠牲者を攻撃している」と非難、クトロ法案にも強く反発している』、「国際保護と難民の地位の取り消しまたは否定したものの、このサルビーニ法令は、難民の地位の取り消しまたは補助的な保護を伴う犯罪のリストを拡大したものであった。 リストには、性的暴力、麻薬の製造、所持・密売、強盗・ゆすり、窃盗、強盗、公務員に対する脅迫または暴力などがある」、この程度の強化はやむを得ないようだ。
・『イタリアの入管収容施設:本国送還のための拘留センター  CPR) の実態  本国送還のための拘留センターCPR(=Centro di Permanenza per il Rimpatrio) は、日本の入国者収容所のようなものに近い、送還される前の拘置所で、移民を閉じ込める施設だ。 イタリアに滞在するための書類がないこと以外は、内部に収容されている人は誰も犯罪を犯してはいないが、依然とした拘留システムであり、その権利も意味もない刑務所である。 市民の自由と権利のイタリア連合の市民社会組織ネットワーク「ブラック ホール」によってCPRの2つの闇の側面がレポートされた。 イタリアには、本国送還のための拘留センターCPRは10箇所ある。 通常は1つのCPRには、400人未満の移民が収容されている。 送還される可能性が低い人々を拘束し、基本的生活のために必要な経費は、1日で40,000ユーロ(約590万円)以上で、2018年から2021年までの3年の合計は4,400万ユーロ(約64億9,600万円)x 10センター分が税金で賄われた。 実際には、10のセンターの維持費と、センターの内外を監視するために配置されている警察の維持費なども加算しなければならない。 移民の出身国との合意がなされず、何らかの事情で速やかに送還できない場合、長期収容となるが、法律で定められた最大滞在日数に達すると、ほとんどの人がこれら収容所から解放される。本国送還は50%のみ行わている。 2020年1月1日から2022年9月15 日までに本国強制送還が延期された半分以上は、チュニジア国民が関与しており、移民の主な出発国がチュニジアである理由は、移民に対する弾圧が行われているからであるという。 チュニジアのサイード大統領は「移民は国家転覆を目論む犯罪者である」と提言し、 国から脱出する移民を厳しく取り締まり、一斉強制送還にも踏み切ったという背景がある。 チュニジアの次に多い国順で、モロッコ、ナイジェリア、エジプト、アルバニア、ガンビア、アルジェリアが続く。 イタリアはこれらの国々とは、国家間の協定があるため最も簡単に送還できると報告書が強調しているが、正確にはこれらの送還の速さは、"深刻な権利侵害につながる"可能性がある。 実際、多くの場合、彼らは亡命を申請し、保護を正式に申請することが可能であるということは、彼らに全く知らされていない。 難民や亡命希望者から権利を奪うことで、イタリアの移民問題を何らかの形で解決できるだろうという考えなのだろうか。 少数派であるグループの権利の範囲を狭めることは、民主主義の原則と憲法に反することであると同時に、社会的紛争を助長し、領土内の関係の質を悪化させる。 人道上の亡命申請を取り消すことは、地方自治体が責任を負う不規則性と社会不安を助長するだけだ。 同時に、地方自治体の公共システムは解体され、その役割を大幅に削減し、民間システムに依存し支持することは、地方自治体の公共支出の増加にも直接つながっていくのではないだろうか。 ・トリノの本国送還のための拘留センターCPR 亡命申請者のための個別の施設の欠如。窓なしの部屋で一晩のみの滞在可能な施設。 ・ミラノ、トリノ、ローマのグラディスカ、パラッツォ サン ジェルバシオの本国送還のための拘留センターCPR 自律的に照明ライトをオンまたはオフにすることはできない。 ・バーリの本国送還のための拘留センターCPR シーツのないマットレス。部屋にはゴキブリがいる。ドアのない和式トイレ。 悪い衛生状態と質の悪い食品。 などである。 収監所で移民の世話をしなければならない文化仲介者、医師、心理学者などの人員は不足しているので、サービスの実行時間数もおのずと減る。 欧州権利裁判所が要求する最低限の生活空間基準を満たしていない部屋に閉じ込められたなど、CPRに拘束されている人々への深刻な人権侵害があげられた。 これら報告書に挙げられている数え切れないほどの権利の剥奪は、氷山の一角にすぎない。 2017年には、ストラスブール控訴裁判所は、ランペドゥーサ島(南イタリア)に到着した4人のチュニジア人移民が自由を奪われ、不法に強制送還されたことについて、イタリアを非難する判決を下し、欧州人権裁判所によって2020年3月31日には、この種の違反で既にイタリアは有罪判決を受けている』、「欧州権利裁判所が要求する最低限の生活空間基準を満たしていない部屋に閉じ込められたなど、CPRに拘束されている人々への深刻な人権侵害があげられた。 これら報告書に挙げられている数え切れないほどの権利の剥奪は、氷山の一角にすぎない。 2017年には、ストラスブール控訴裁判所は、ランペドゥーサ島(南イタリア)に到着した4人のチュニジア人移民が自由を奪われ、不法に強制送還されたことについて、イタリアを非難する判決を下し、欧州人権裁判所によって2020年3月31日には、この種の違反で既にイタリアは有罪判決を受けている」、これらはいかにもまずい。
・『拘留施設は多国籍企業に丸投げ、巨大ビジネス。その闇と実態  ヨーロッパ全土には、さまざまな種類の拘置所や刑務所を管理するサービスを提供する多国籍企業が存在する。 2020年に、サルデーニャのマコマー本国送還のための拘留センターCPRの事業が発足した。 拘留施設は、スイスの持株会社である Orsイタリアによって管理されている。 Orsはイタリアを中心に、スイス、ドイツ、オーストリアを拠点としたホスピタリティ事業で、22もの刑務所施設のサービスを管理する多国籍企業だ。 昨年の売上高が約600億ドル(約8兆円)に達する巨大ビジネスである。 地域ネットワークの非営利団体ではなく、収益性の高い企業で、イタリア連帯コンソーシアム (Ics) とトリエステのカリタス財団が率いており、人材派遣会社アデコの分社として誕生したのが、このスイスのグループ傘下のOrsイタリアだ。 Orsイタリアは、特にスイス、オーストリア、ドイツで亡命希望者のために特化したセンターを運営しているという。 しかし、近年、基本的人権に害を及ぼすほど非効率的で杜撰な管理を非難されている。 入札で想定されていたコストの14%が削減されている点は、サービスの質に関する疑いも出てきた。 治安令により、難民 1 人あたりの負担は35ユーロ(約5,170円)から26ユーロ(約3,840円)以下に減額された。 2020年1月18日(土曜日)の早朝、ゴリツィアの本国送還のための拘留センターCPRで、37歳のグルジア人が死亡した。亡命希望者であった彼は、難民保護の資格を得るには必要条件を満たしていなかった。目撃者には「警備員に殴られた」とのことだ。 民間管理会社CPRからの情報が漏洩して判明したこともある。 収監されていた移民の自傷行為、自殺未遂、管理団体からの苦情、食べられない食事、衛生と健康、心理的援助における重大な欠陥、弁護権を行使することが困難、などである。そして、少なくとも3回の脱走があったことも報告されていた。 CPR内の死亡者数は2年間で6人。決して高くない数字だが、とにかく、入札を獲得し続けているというのは、とても不可思議ではある。 移民の受付システムを管理する外国人収容施設の入札は、より競争力のある大企業に飲み込まれており、イタリア領土全体にそれは存在するのが現状だ。 市場シェアを占有するために収益を先延ばしにして、競合他社をしのぐための積極的なマーケティングをしているというのが印象で、結局、非営利団体NGOを排除することを目的としているとも見える。 海上のNGO船舶に続いて、陸路についても不可解な権利の歩哨が横行しているようだ』、「拘留施設は多国籍企業に丸投げ、巨大ビジネス」、初めて知った。ただ、「近年、基本的人権に害を及ぼすほど非効率的で杜撰な管理を非難されている。 入札で想定されていたコストの14%が削減されている点は、サービスの質に関する疑いも出てきた。 治安令により、難民 1 人あたりの負担は35ユーロ(約5,170円)から26ユーロ(約3,840円)以下に減額された」、これはやはり問題だ。
・『 今後、考えられるイタリアの抱えるリスク  現在決議で認可されているこの非情事態宣言が、パンデミックのいくつかの段階のように、移民の権利の制限を正当化するために悪用されてはならない。 自由が保証されていない人々に亡命が保証され、とりわけ、イタリアに存在する非正規の外国人の数が増加してしまうことのないようにしていただきたいものだ。 非常事態宣言は、送還の流動性を保証するものでもない。出身国との協定がなければ、送還は行われない。近年さまざまな国ですでに行われているように、出身国と協定を結ぶ必要がある。 移民増加現象の緊急管理は、中長期的なこの政策で構造的な解決策の基礎を築くことができるだろうか』、「移民の権利の制限を正当化するために悪用されてはならない。 自由が保証されていない人々に亡命が保証され、とりわけ、イタリアに存在する非正規の外国人の数が増加してしまうことのないようにしていただきたいものだ」、その通りだ。

次に、4月14日付けNeweek日本版「メローニ首相が代理出産を激しく非難、イタリアでは普遍的犯罪」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/worldvoice/vismoglie/2024/04/post-62.php
・『イタリアのジョルジア・メローニ首相は4月12日金曜日、ローマで行われた『若きヨーロッパのために』と題したイタリアの出生率と人口減少問題について考える会議に出席した。 人口動態の変化、環境、将来についてを話す中で、「代理出産」を激しく非難した。 首相は、代理出産は「非人道的」であると定義し、いわゆる「子宮貸し、レンタル子宮」についてを強調し、「それは間もなく普遍的な犯罪になるだろう」と発表した。 代理出産を普遍的犯罪とする法案を支持する用意があると付け加え、同法案が「できるだけ早く承認されることを期待している」と演説をした。 メローニ首相が「子宮を貸し出す行為」と定義する代理出産とは、国境を越えた愛の行為として偽装することで養われている闇市場のことである。 これは、「意図された親」とも呼ばれ、これから生まれる子供の親となる人々に代わって女性が妊娠を行う生殖補助医療である。 子どもを妊娠する卵子は、ドナーから提供される。 つまり、妊婦は胎児と血のつながりはない。 または、卵子は将来の母親から、精子は将来の父親からのものである可能性がある。 同性カップルの場合、あるいはドナーの場合も同様。 通常、夫婦が代理出産で子どもを産む場合、将来の両親のうち少なくとも一方が、卵子か精子で生まれた子供と遺伝的つながりを持っている。 他人の受精卵を子宮で育てて出産する「代理出産」はイタリアでは普遍的犯罪とになり最長2年の懲役が科せられる。 イタリアでは代理出産はすでに犯罪と定義されている。 イタリア国民による海外での代理出産の罪の起訴に関する「2004年2月19日の法律第40号の第12条の修正案」をメローニ政権は提出している。 国外で行った代理出産も違法。 違反者には3か月から2年の禁固刑と60万ユーロから100万ユーロ(約1億4,110万円)の罰金が科される。 現在イタリアでは代理出産は禁止されており、代理出産のために海外に出るカップルは年間3千?4千件。 最も頻繁にその目的地として選ばれていたのがウクライナだ。 代理出産は、実際にはヨーロッパや世界中のいくつかの国では合法である。 合法の国は、ウクライナ、ギリシャ、ジョージア、アメリカ、カナダ。 コリエレ・デッラ・セーラ 紙によると、海外で赤の他人の女性を妊娠させて生まれたイタリア人の子供に関する公式的な数字はないが、年間250人から350人がいると推定されている』、「他人の受精卵を子宮で育てて出産する「代理出産」はイタリアでは普遍的犯罪とになり最長2年の懲役が科せられる。 イタリアでは代理出産はすでに犯罪と定義されている。 イタリア国民による海外での代理出産の罪の起訴に関する「2004年2月19日の法律第40号の第12条の修正案」をメローニ政権は提出している。 国外で行った代理出産も違法。 違反者には3か月から2年の禁固刑と60万ユーロから100万ユーロ(約1億4,110万円)の罰金」、なるほど。
・『 イタリア司法の判決で国が敗訴  海外で代理出産によって生まれた子どもをイタリアに連れ帰り、子どもの出生届をする際、同性カップルの間の子ども(未成年者)に発行される電子身分証明書の登録時に『母親の名前』『父親の名前』と記載されている文書は事実上違法であると訴えた同性カップル。 公務員が犯したイデオロギー的虚偽の犯罪であり、また、両親の性別に対応するその他の文言を適用したことを非難した裁判で、2024年2月15日に、ローマ控訴裁判所は、『当時内務大臣だったサルヴィーニ氏が主導して作った2019年内務省令』を違法と判決した。 裁判所の判決文によれば、『親1/親2』ならば良いという。 また、2024年3月5日にも、イタリア・パドヴァ裁判所判決で、同性カップルの母親が、2人の子どもの出生証明書について有効を求めていた裁判では、母親2人の認知の取り消しを求めた検察庁の上訴が棄却された。 よって、同性親家庭の非生物学的な母親は形式的にも母親であり続ける。どちらか一方の母親を削除することはできないという判決が下され、国が敗訴した形となった。 メローニ首相と連立政権の党で現副首相・インフラ運輸大臣のサルビーニ氏は、「控訴院の判決は間違っている。誰もが恋愛において、自分のやりたいことをいつでも自由にすれば良いが、『お母さん』と『お父さん』と言う言葉が法律によって削除されることを認定するなど、馬鹿げている。避(注:正しくは「非」)難に値する行為で、これは進歩ではない。」と、SNS上で怒りの反論を述べている。 また、メローニ政権で家族・出生・機会均等大臣を務めるエウジェニア・ロッチェッラ氏は、「イタリアでは子供たちはみな同じであり、同じ権利を持っている。これは最近欧州人権裁判所によって認められており、破毀院も共同セクションである」と言い、メローニ政権は我々の制度を一ミリも変えていないと強調した。同大臣は、「異性愛者と同性愛者の両方のカップルに適用される簡単で利用しやすい手続きもすでにある」と、述べている。 昨年3月にも、ミラノで生まれた同性カップルの息子と娘の登記所への登録を停止するよう要請が、イタリア内務省からミラノ市長へ通達されるという騒動が話題となった』、「海外で代理出産によって生まれた子どもをイタリアに連れ帰り、子どもの出生届をする際、同性カップルの間の子ども(未成年者)に発行される電子身分証明書の登録時に『母親の名前』『父親の名前』と記載されている文書は事実上違法であると訴えた同性カップル。 公務員が犯したイデオロギー的虚偽の犯罪であり、また、両親の性別に対応するその他の文言を適用したことを非難した裁判で、2024年2月15日に、ローマ控訴裁判所は、『当時内務大臣だったサルヴィーニ氏が主導して作った2019年内務省令』を違法と判決した。 裁判所の判決文によれば、『親1/親2』ならば良いという・・・メローニ首相と連立政権の党で現副首相・インフラ運輸大臣のサルビーニ氏は、「控訴院の判決は間違っている。誰もが恋愛において、自分のやりたいことをいつでも自由にすれば良いが、『お母さん』と『お父さん』と言う言葉が法律によって削除されることを認定するなど、馬鹿げている。避(注:正しくは「非」)難に値する行為で、これは進歩ではない。」と、SNS上で怒りの反論を述べている」、「メローニ首相」は右翼なので、やはり判断は保守的なようだ。
・『イタリアでの同性カップルの子どもの家族登記・役所への届出  父&父(海外産まれの子)[満月]?認可 母&母(海外産まれの子)[満月]?認可 母&母(イタリアで出産した子)[×]認可しない というものが、現在のイタリアの現状である。 メローニ首相: 「子供たちをスーパーマーケットの棚に並ぶ商品のようにみなすことが愛の行為だということは、私には納得できない。子どもたちを産みたいという正当な欲求を諦めることも愛の行為ではない。子どもには可能な限りどんな手段を使ってでも保障できる権利があるのです。」と述べた。 一方、野党は、「家族が第一であり、出生率が政府の優先事項であるとも述べているが、これは、子供用品(特におむつやミルク)に対する付加価値税の引き上げなど、前年と比較して行政が実施した一部の措置と客観的に見て矛盾する言葉である」と、すぐに反応を示して批判をした。 イタリアの標準税率は22%で、主に生活必需品を対象として、10%、5%、4%の軽減税率がある。 メローニ政権は、家族向け対策として、おむつやミルクなどの子供向け製品の付加価値税VAT(イタリアではIVA)を2023年に22%から5%に引き下げる減税措置をしたが、現在は5%だったものを10%に引き上げ、増税をした。 野党民主党の書記長シュライン氏は独身女性であり、同性のパートナーがいるレズビアンであることを公表しているが、視野が狭いのではいかと感じる。 子どもの育児は、母乳やミルクや離乳食が終わり、おむつが外れる期間までではない。ピンポイントの時期だけに必要な雑貨購入にかかる税率を5%にしたとて、直接的に出生率の向上に繋がるわけではないとも思える。子どもは成長をしていくにつれ、もっとお金は掛かるものであって、一児の母親であるメローニ首相の5%税率の撤廃は妥当である。 メローニ首相は、もっと違う形で子育て世代への支援を考え予算案に盛り込んだ』、「メローニ首相は、もっと違う形で子育て世代への支援を考え予算案に盛り込んだ」、どんな形なのだろう。
・『 イタリアの子育て世代支援策  新しい予算法においては、行政には次の権限もあるということも強調しておく必要がある。 2024年に親の育児休暇を増やすために、約1億4,000万ユーロ(約228億4000万円)を割り当てた。 ・保育所のボーナスを増額する(経済状態指数ISEE年間所得が4万ユーロ未満(約652万円未満)の家庭に対して3,000ユーロ(約49万円)から3,600ユーロ(約58万7000円)に増額する。 資金は2025年には2億4,000万(約391億5400万円)から2億5,400万(約407億8500万円)、2026年には最大3億ユーロ(約489億円)に増加する。) ・母親ボーナスを導入する(子供(2人以上)を持つ労働者に対する拠出金軽減』、どれも面白いが、特に「母親ボーナスを導入」は傑作だ。
・『 イタリアの深刻な人口減少とリスク  すべての措置は、センセーショナルな出生率の低下を食い止めようと計画されている。 イタリア国立統計研究所(ISTAT) のデータによると、2023年に生まれた子どもの数はわずか37万9千人。 1000人当たり6.4人の子どもが出生し、過去最高のマイナス記録となった。 2022年には6.7人で、昨年は出生数がマイナス1万4千人、出生率は3.6%であった。 メローニ首相は、スピーチの中で、出生率低下という長年の問題について再び語った。「何年にもわたって作られてきた物語を覆さない限り、具体的な介入は決して十分ではない。 子どもをこの世に産むということは、女性にとって自由、夢、キャリア、場合によっては美貌を犠牲にすることになるため、それは最終的には不都合な選択になるといったこの種のメッセージは所謂、"反面教師"であると捉えるべきである。キャリアを築くために子どもを産むことを諦めることは、"真の自由ではない"」と、メローニ首相は主張した。 近年の傾向を逆転させることができなければ、人口減少がイタリアとヨーロッパを崖っぷちに引きずり込む危険にさらされるだろう』、「キャリアを築くために子どもを産むことを諦めることは、"真の自由ではない"」と、メローニ首相は主張」、正論ではあるが、女性の昇進に一定のクオータ(割り当て)などをする方が本筋だろう。
・『 イタリアの出生率の緊急事態  ローマの会議にはエウジーニア・ロッチェッラ家族・出生・機会均等大臣も出席し、イタリアの出生率の深刻な傾向について語った。 家族・出生・機会均等大臣は、「この問題への無関心が何年も続いたため、影響を残さず、この問題を止めて傾向を逆転させるには長い時間がかかるだろう」と説明している。 同大臣によれば、出生率政策への投資に対する大きなインセンティブは欧州連合から得られる可能性があるという。 そしてこれが、イタリア政府が人口動態の問題を次期欧州委員会と新しい欧州議会の優先事項に据える理由であり、「グリーン移行とデジタル移行に関してすでに行われたように、人口動態の移行、すなわち厳しい冬からの移行への投資とヨーロッパにおける大胆さと未来感を通して、少なくとも新生の春が訪れるだろう」と、演説で述べている。 出生率を上げたい、子どもの数を増やし人口減少に歯止めをかけたいが、代理出産によって子どもを増やすことはしてはいけない。 La Repubblica @repubblica 公式Youtubeチャンネルより教皇フランシスコ「代理出産は嘆かわしい。世界レベルで禁止されなければならない」 今年1月には、ローマ教皇フランシスコは、代理出産、レンタル子宮、ジェンダー理論について言及した。 「平和への道には、母親の胎内にいる胎児から始まる、すべての人間の生命は、その存在のあらゆる瞬間において尊重され保護されなければなりません。一方で、特に西洋では、これは抑制できず、文化が根強く普及していることを遺憾に思います。商業化の対象となってはならない。」 いわゆる代理出産は女性と子供の尊厳を著しく傷つける行為である。 世界人権宣言に含まれるシンプルだが明確な表現によれば、平和への道には人権の尊重が必要だと述べている』、「いわゆる代理出産は女性と子供の尊厳を著しく傷つける行為である。 世界人権宣言に含まれるシンプルだが明確な表現によれば、平和への道には人権の尊重が必要だと述べている」、同感である。
タグ:イタリア (その1)(イタリア移民急増で非常事態 収容施設は民間企業が管理する巨大ビジネス その闇と実態、メローニ首相が代理出産を激しく非難 イタリアでは普遍的犯罪) Neweek日本版「イタリア移民急増で非常事態、収容施設は民間企業が管理する巨大ビジネス、その闇と実態」 「非常事態宣言」で「移民シェルターの混雑を緩和する特別措置を可能にする」、とはどういうことだろう。 「内務大臣が、ますます遠くの港をNGO船舶に割り当て始め、最も重要な地域でNGO船の数を減らしている・・・あたかもNGO船舶が移民を惹き付ける"引き寄せ要因"であるという誤った仮定に基づき、NGO救助船の弱体化を諮ったが、移民のイタリア上陸はますます増加した」、「NGO船」を遠ざけようとする努力は失敗に終わったようだ。 「野党議員は、そもそも第一に、「非常事態宣言」は必要だったのか? 本当は「緊急事態」でもないのでは?と指摘・・・多くの移民がイタリア領土に上陸し、欧州では最多数であるにも関わらず、なぜか欧州連合で亡命申請を行った人数では4番目に多い国がイタリアであるという矛盾についても指摘している・・・亡命申請が極端に少ない理由の一つに、"外国人に全くその旨を翻訳して伝えていなかった"ことが挙げられた」、なるほど。 「前左派政権(第2次コンテ政府)による過度に拡大された特別保護を廃止したいのがメローニ首相である・・・特別保護なるものが存在する限り、移民の流れを止めることができない、合法移民の受け入れ拡大や人身売買業者に対する公然たる闘争の強化をするというのが、メローニ首相の主張である」、「特別保護」の撤廃はやむを得ないようだ。 「国際保護と難民の地位の取り消しまたは否定したものの、このサルビーニ法令は、難民の地位の取り消しまたは補助的な保護を伴う犯罪のリストを拡大したものであった。 リストには、性的暴力、麻薬の製造、所持・密売、強盗・ゆすり、窃盗、強盗、公務員に対する脅迫または暴力などがある」、この程度の強化はやむを得ないようだ。 「欧州権利裁判所が要求する最低限の生活空間基準を満たしていない部屋に閉じ込められたなど、CPRに拘束されている人々への深刻な人権侵害があげられた。 これら報告書に挙げられている数え切れないほどの権利の剥奪は、氷山の一角にすぎない。 2017年には、ストラスブール控訴裁判所は、ランペドゥーサ島(南イタリア)に到着した4人のチュニジア人移民が自由を奪われ、不法に強制送還されたことについて、イタリアを非難する判決を下し、欧州人権裁判所によって2020年3月31日には、この種の違反で既にイタリアは有罪判決を受けて いる」、これらはいかにもまずい。 「拘留施設は多国籍企業に丸投げ、巨大ビジネス」、初めて知った。ただ、「近年、基本的人権に害を及ぼすほど非効率的で杜撰な管理を非難されている。 入札で想定されていたコストの14%が削減されている点は、サービスの質に関する疑いも出てきた。 治安令により、難民 1 人あたりの負担は35ユーロ(約5,170円)から26ユーロ(約3,840円)以下に減額された」、これはやはり問題だ。 「移民の権利の制限を正当化するために悪用されてはならない。 自由が保証されていない人々に亡命が保証され、とりわけ、イタリアに存在する非正規の外国人の数が増加してしまうことのないようにしていただきたいものだ」、その通りだ。 Neweek日本版「メローニ首相が代理出産を激しく非難、イタリアでは普遍的犯罪」 「他人の受精卵を子宮で育てて出産する「代理出産」はイタリアでは普遍的犯罪とになり最長2年の懲役が科せられる。 イタリアでは代理出産はすでに犯罪と定義されている。 イタリア国民による海外での代理出産の罪の起訴に関する「2004年2月19日の法律第40号の第12条の修正案」をメローニ政権は提出している。 国外で行った代理出産も違法。 違反者には3か月から2年の禁固刑と60万ユーロから100万ユーロ(約1億4,110万円)の罰金」、なるほど。 「海外で代理出産によって生まれた子どもをイタリアに連れ帰り、子どもの出生届をする際、同性カップルの間の子ども(未成年者)に発行される電子身分証明書の登録時に『母親の名前』『父親の名前』と記載されている文書は事実上違法であると訴えた同性カップル。 公務員が犯したイデオロギー的虚偽の犯罪であり、また、両親の性別に対応するその他の文言を適用したことを非難した裁判で、2024年2月15日に、ローマ控訴裁判所は、『当時内務大臣だったサルヴィーニ氏が主導して作った2019年内務省令』を違法と判決した。 裁判所の判決文によれば、『親1/親2』ならば良いという・・・メローニ首相と連立政権の党で現副首相・インフラ運輸大臣のサルビーニ氏は、「控訴院の判決は間違っている。誰もが恋愛において、自分のやりたいことをいつでも自由にすれば良いが、『お母さん』と『お父さん』と言う言葉が法律によって削除されることを認定するなど、馬鹿げている。避(注:正しくは「非」)難に値する行為で、これは進歩ではない。」と、SNS上で怒りの反論を述べている」、「メローニ首相」は右翼なので、やはり判断は保守的なようだ。 「メローニ首相は、もっと違う形で子育て世代への支援を考え予算案に盛り込んだ」、どんな形なのだろう。 どれも面白いが、特に「母親ボーナスを導入」は傑作だ。 「キャリアを築くために子どもを産むことを諦めることは、"真の自由ではない"」と、メローニ首相は主張」、正論ではあるが、女性の昇進に一定のクオータ(割り当て)などをする方が本筋だろう。 「いわゆる代理出産は女性と子供の尊厳を著しく傷つける行為である。 世界人権宣言に含まれるシンプルだが明確な表現によれば、平和への道には人権の尊重が必要だと述べている」、同感である。
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その他公共交通(その1)(北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?、東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」) [産業動向]

今日は、その他公共交通(その1)(北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?、東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」)を取上げよう。

先ずは、本年4月2日付け東洋経済オンラインが掲載した 経済ジャーナリストの櫛田 泉氏による「北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/743468
・『鈴木直道知事の対応を巡って北海道議会では答弁が用意できないとして2024年2月28日に予定していた北海道議会が開催できず、異例の「延会」となる事態が発生した。北海道議会が「延会」となるのは記録が残る1967年以降、道政史上初の失態だ』、「北海道議会では答弁が用意できないとして2024年2月28日に予定していた北海道議会が開催できず、異例の「延会」となる事態が発生した。北海道議会が「延会」となるのは記録が残る1967年以降、道政史上初の失態」、みっともない事態だ。
・『議会軽視で自民会派と溝  問題となったのは、鈴木知事の北海道の観光振興予算に関する答弁。この答弁を巡り自民会派と事前の調整がつかなかったことが延会の原因だ。発端は、新年度の観光振興予算を巡る動きだった。当初は、「引き続きインバウンドの誘客のための海外への広報活動が必要」として26億円を要望しており道側からも前向きな回答を示されていたというが、実際に道議会の予算審議で提示された金額は14億円と半減されていた。これに対して、道の観光振興予算の大半を執行する北海道観光振興機構は新年度の予算が要求額よりも大幅に削減されたことに対して不満を抱いた。) この後、地元紙が報じたところによると、議会手続き前にもかかわらず鈴木知事は、札幌市内で同機構の小金澤健司会長と面会し、追加予算案などについて説明したという。鈴木知事のこうした行動を知事側の自民会派は問題視。「議会手続き前に特定団体に予算執行を予測させるようなことがあれば、議会軽視で看過できない」と遺憾の意を表明した。 このため、2月28日に予定していた第1回定例道議会では、鈴木知事の観光振興に関する答弁を巡り自民会派と道側の事前の調整がつかなくなったことから議会を開催できない状況となり、異例の「延会」となった。この日、自民会派の安住太伸幹事長は記者団に対し「知事は観光振興に力を入れると言ってきたが、具体的な中身が全く示されていない。知事を支えることが困難になりかねない」と述べている。 翌29日には議会は再開されたが、鈴木知事はこれを受け「外部への追加予算案の説明をしたといった事実はない」と答弁しているが、自民会派の中堅議員は「何も予算の話をしていないなんて誰も信じない」と苦笑した。また、野党側も「審議の根底が崩れることになる」と知事の行動を批判。道議会は荒れ模様となった』、「議会手続き前にもかかわらず鈴木知事は、札幌市内で同機構の小金澤健司会長と面会し、追加予算案などについて説明したという。鈴木知事のこうした行動を知事側の自民会派は問題視。「議会手続き前に特定団体に予算執行を予測させるようなことがあれば、議会軽視で看過できない」と遺憾の意を表明した。 このため、2月28日に予定していた第1回定例道議会では、鈴木知事の観光振興に関する答弁を巡り自民会派と道側の事前の調整がつかなくなったことから議会を開催できない状況となり、異例の「延会」となった」、完全に「鈴木知事」の不手際だ。
・『鈴木知事の支離滅裂な政策姿勢  鈴木知事は「観光振興に力を入れる」方針を示しているものの、2019年の知事就任前に市長を務めていた夕張市は観光振興とはかけ離れた状況に置かれている。 市長在任中だった2017年、夕張市所有の「ホテルマウントレースイ」「マウントレースイスキー場」など観光4施設を中国系企業に格安の2億4000万円で売却する。しかし、2019年にこの中国系企業は約15億円で観光4施設を香港系ファンドに転売し、その後、施設の運営会社は倒産した。このときの負債総額は8億3000万円であったが、一般債権者は全額を踏み倒され夕張市の経済が破壊されたことは2022年11月2日付記事(北の鉄路切り捨て鈴木知事「夕張市長時の問題点」)で詳しく触れている。「北海道の不動産取得を目的とした計画倒産だったのではないか」という疑念の声もいまだ絶えない。 現在は、「マウントレースイスキー場」はかろうじて営業を再開しているものの、スキー場に隣接した「ホテルマウントレースイ」は閉鎖したままだ。スキー場は、夕張市近隣から自家用車で訪れる地元客がまばらな状況で、インバウンドの波は及んでいない。こうした状況の中でも、夕張市は2024年の観光入込客数の目標を60万人としており、目標達成に向けて観光ホームページの更新、観光案内看板整備、市内観光マップの更新作業に取り組んではいる。しかし、2022年の観光入込客数は23万6000人にとどまっており、2023年12月6日に行われた夕張市の定例市議会で厚谷司市長は「目標達成は厳しい状況であることは事実」と答弁している。) なお、市長自らがJR北海道に対して石勝線夕張支線の廃線を提案した「攻めの廃線」前の2015年から2018年までは夕張市の観光入込客数は50万人台で推移していることから、「攻めの廃線」と「中国系企業への観光4施設の売却」がダブルパンチで夕張市の衰退に拍車をかけたといっても過言ではない。 こうした状況に対し、全国各地の地域が抱える問題に精通する日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏は「多くの国では鉄道に乗ること自体が観光資源として認知されていることからインバウンド来訪の波は鉄道のある地域に波及しやすい傾向がある」と指摘する。 実際に北海道のインバウンド誘致は一定の成果を見せており、この冬の観光シーズンは札幌から函館や帯広、網走方面に向かう特急列車は大混雑となっていたほか、ニセコリゾートエリアの玄関口となる函館本線の倶知安―小樽間でも日中に通常運行される2両編成のH100形では途中の余市駅で乗客の積み残しが発生する事態が生じたことなどから、急きょ3両編成のキハ201系が投入され輸送力の増強が図られた。 さらに藻谷氏は、「北海道ではせっかく存在していた鉄道が廃止されてしまったために、優れた景観を持つにもかかわらずインバウンド来訪の波が及んでいない地域もあるのは残念だ。つい最近の廃止事例である日高本線などについては、維持を北海道だけの判断に任せず、インバウンド振興という国策的な観点から対処を考えるべきだったのではないか」と続けた』、「市長自らがJR北海道に対して石勝線夕張支線の廃線を提案した「攻めの廃線」前の2015年から2018年までは夕張市の観光入込客数は50万人台で推移していることから、「攻めの廃線」と「中国系企業への観光4施設の売却」がダブルパンチで夕張市の衰退に拍車をかけたといっても過言ではない」、「攻めの廃線」など言葉遊びに過ぎない。何故、こんな馬鹿な「廃線を提案」が行われたのだろう。「中国系企業への観光4施設の売却」も不透明だ。それにしても「鈴木知事の支離滅裂な政策姿勢」は大いに問題だ。
・『東京―名古屋間に匹敵する距離が廃線に  鈴木知事就任以降、道は北海道の鉄道維持のために積極的な財政支出をしようとはせず、北海道の鉄道ネットワークの破壊を続けている。知事就任以降に廃止された鉄道路線は2020年5月の札沼線(学園都市線)北海道医療大学―新十津川間47.6km、2021年4月の日高本線鵡川―様似間116.0km、2023年4月の留萌本線石狩沼田―留萌間35.7km、2024年4月の根室本線富良野―新得間81.7kmで、その総距離は297.1kmに及ぶ。さらに、2026年3月31日限りで留萌本線深川―石狩沼田間14.4kmも廃止となる見込みで、この距離を加えると311.5kmの鉄道路線が廃止となり、この距離は東海道新幹線の東京―名古屋間に匹敵する。 鉄道だけではない。北海道新幹線の並行在来線問題では道が廃止の方針を決めた函館本線の長万部―倶知安―小樽間140.2kmについて、近年深刻化するバスドライバー不足を背景にバス転換協議が中断に追い込まれた。鈴木知事には、北海道が全体的に活気づくような筋の通った政策立案を望みたいが、その思いは届くのだろうか』、「東京―名古屋間に匹敵する距離が廃線」と、「鈴木知事」は「廃線」で何を狙っているのだろうか。

次に、4月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した鉄道ジャーナリストの枝久保達也氏による「東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339256
・『東京メトロは4月1日、民営化から20年の節目を迎えた。筆者が入社したのは民営化2年目のこと。当時、株式上場・完全民営化は「目前」とされたが、いまだ実現はしていない。前身である帝都高速度交通営団(営団地下鉄)から始まった、完全民営化への取り組みの歴史を振り返る』、興味深そうだ。
・『私鉄・東京地下鉄道から始まる東京の地下鉄史  東京メトロが創立20周年と聞いて、時間の流れの早さをしみじみと感じる。2017年まで同社に勤務していた筆者は、大学3年生だった2004年秋に就職活動を開始して「エントリー」すると、2005年春に試験、面談を行い、民営化2年目の2006年4月に入社した。 一つ上の代は、エントリー時点では帝都高速度交通営団(営団地下鉄)であり、二つ上の世代は、入社のタイミングで東京メトロに改組された「一期生」。そうなると、我々の世代こそが、採用のスタートから全て東京メトロだった「新世代」と言えるかもしれない。 営団地下鉄といってもピンと来ない人が増えているだろうから簡単に説明しておくと、東京の地下鉄史は1927年に開業した私鉄・東京地下鉄道に始まるが、やがて資金的な限界に直面したため、国の主導で特殊法人「帝都高速度交通営団」を設立した。 物々しい名前が示すように、戦時中に誕生した組織だったが、戦後も引き続き営団体制が存続。後に東京都も地下鉄建設に参入し、一つの都市に営団地下鉄と都営地下鉄という二つの地下鉄が存在することになった。 営団の民営化が唱えられるようになったのは1980年代初頭のことだ。オイルショック後の財政悪化を受けて、政府は1981年3月に「臨時行政調査会」を設置し、国鉄や電電公社(現NTT)など三公社五現業と特殊法人の整理、民営化方針を決定した。 その後、「臨時行政改革推進審議会(行革審)」が設置され、破綻状態に陥っていた国鉄を中心に議論を進めていったが、営団についても1986年、国鉄改革を踏まえ「国鉄の新経営形態移行時にあわせ、特殊会社に改組するとともに、できるだけ早く完全民営化すべきだ」との意見が出された。 そして最終答申に「5年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、地下鉄ネットワークがほぼ概成して、路線運営が主たる業務になる時点において、公的資本を含まない完全民営企業とする」との方針が盛り込まれ、営団の民営化が動き出した』、「東京の地下鉄史は1927年に開業した私鉄・東京地下鉄道に始まるが、やがて資金的な限界に直面したため、国の主導で特殊法人「帝都高速度交通営団」を設立した。 物々しい名前が示すように、戦時中に誕生した組織だったが、戦後も引き続き営団体制が存続。後に東京都も地下鉄建設に参入し、一つの都市に営団地下鉄と都営地下鉄という二つの地下鉄が存在することになった・・・「臨時行政改革推進審議会(行革審)」が設置され、破綻状態に陥っていた国鉄を中心に議論を進めていったが、営団についても1986年、国鉄改革を踏まえ「国鉄の新経営形態移行時にあわせ、特殊会社に改組するとともに、できるだけ早く完全民営化すべきだ」との意見が出された。 そして最終答申に「5年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、地下鉄ネットワークがほぼ概成して、路線運営が主たる業務になる時点において、公的資本を含まない完全民営企業とする」との方針が盛り込まれ、営団の民営化が動き出した」、なるほど。
・『完全民営化へのステップである特殊法人  前述のように営団は、民営企業では負担できない莫大な建設費を公的な信用を背景に調達し、新線建設を促進するために設立された。建設が終了し、「路線運営が主たる業務」になれば民営企業になっても差し支えない、というわけだ。 なおここでいう特殊会社とは、公益上の目的のため法律によって設立された株式会社を指す。特定の政策を遂行するために設置された、完全民営化を前提としない特殊会社もあるが、特殊法人民営化の過程で設置される特殊会社は、完全民営化の第一段階に位置づけられる。) 特殊会社は形式上、民営会社だが、国や自治体が保有株式をすべて売却した時点で「完全民営化」となる。内実の見えない特殊法人がそのまま株を売り出しても投資家は尻込みするだろう。そこで民営形態のもと安定的な利益を継続的に確保できる会社とした上で、株を市場に放出する。特殊会社はそのステップだ。 JR東日本・JR西日本・JR東海・JR九州も、国鉄民営化当初は国が全株式を保有する特殊会社だったが、全株式を売却した。一方、経営再建中のJR北海道・JR四国は特殊会社のままである。そして東京メトロもまた、国と都が全株式を保有する特殊会社である(都営地下鉄がありながら営団にも出資していた経緯はややこしいのでここでは省く)』、「特殊会社は形式上、民営会社だが、国や自治体が保有株式をすべて売却した時点で「完全民営化」となる。内実の見えない特殊法人がそのまま株を売り出しても投資家は尻込みするだろう。そこで民営形態のもと安定的な利益を継続的に確保できる会社とした上で、株を市場に放出する。特殊会社はそのステップだ」、なるほど。
・『新線建設の終了と表裏一体だった営団民営化  こうして動き出した営団民営化だが、すぐに足踏みとなる。当時、着工したばかりの7号線(南北線)に加え、1985年の運輸政策審議会答申第7号に盛り込まれた11号線(半蔵門線)の押上延伸、13号線(副都心線)の計画が浮上し、「地下鉄ネットワークの概成」には時間を要することが見えてきたからだ。 政府は「5年以内」の期限を目前にした1990年12月、「可及的速やかに特殊会社への改組を図るため、その具体的措置等について検討する」と目標を棚上げしたが、1995年に、「帝都高速度交通営団については完全民営化する。その第一段階として現在建設中の7号線、11号線が完成した時点をめどに特殊会社化を図る」と具体的な目標を設定した。 2000年9月に南北線が全通し、2003年春に半蔵門線押上開業のめどが立ったことで、国土交通省と営団は、押上開業からおおむね1年後の特殊会社化を要望。2001年12月の閣議決定「特殊法人等整理合理化計画」に、2004年春の特殊会社化が明記された。 上述のように、営団民営化とは新線建設の終了と表裏一体であったが、営団は1999年になって地下鉄13号線の免許を申請し、さらなる新線建設に乗り出している。13号線の計画自体は1972年から存在したが、東京の地下鉄整備は12号線(都営大江戸線)で建設は終了する予定だった。ところが小渕恵三内閣が1998年に策定した「緊急経済対策」で状況は変わった。補正予算に13号線が盛り込まれ、「最後の新線」が動き出したのである。 ただ7号線、11号線のケースとは異なり、13号線建設は民営化スケジュールとは切り離された。2004年に東京メトロが発足した後も建設工事は続き、2008年6月に副都心線として開業。営団時代からの新線建設はようやく完了した。 国鉄の事例に見られるように、民営化の象徴といえるのが関連事業の展開だ。公営鉄道は公的な資金を投入して建設、営業するため、公有資産を用いた金もうけは公営の趣旨に反するとともに、民業圧迫になるとして関連事業は制約されている。 ただ民営鉄道事業者がルーツで、設立当初は民間資本を導入していた営団は、国鉄と比べて規制は緩く、古くから子会社を通じて駅ビルなどの経営を行っていた。 民営化方針が示された1986年には、公益上支障がない限りという条件で業務範囲の大幅な拡大が認められ、東急・京王と共同で開発した「渋谷マークシティ」や、「メトロ・エム後楽園」「ベルビー赤坂」などの駅併設商業施設、高架下店舗、光ファイバー賃貸事業などを展開している。 帝都高速度交通営団法は、国鉄やJR、NTTなど各特殊会社の会社法よりも規制が緩かったが、民営化でさらに緩和され、関連事業の展開や社債の募集、事業計画の策定が認可事項ではなくなった。これがおおむね、民営化直前の流れである』、「民営鉄道事業者がルーツで、設立当初は民間資本を導入していた営団は、国鉄と比べて規制は緩く、古くから子会社を通じて駅ビルなどの経営を行っていた。 民営化方針が示された1986年には、公益上支障がない限りという条件で業務範囲の大幅な拡大が認められ、東急・京王と共同で開発した「渋谷マークシティ」や、「メトロ・エム後楽園」「ベルビー赤坂」などの駅併設商業施設、高架下店舗、光ファイバー賃貸事業などを展開している。帝都高速度交通営団法は、国鉄やJR、NTTなど各特殊会社の会社法よりも規制が緩かったが、民営化でさらに緩和され、関連事業の展開や社債の募集、事業計画の策定が認可事項ではなくなった。これがおおむね、民営化直前の流れである」、なるほど。
・『完全民営化を遠ざけた石原都政の「地下鉄一元化」論  筆者が東京メトロに入社した2006年、社内は「民営化」に高揚していた。国鉄民営化が議論から決定まで数年で駆け抜けたのに対し、営団は20年弱を要した。民営化方針が固まった1980年代後半以降に入団(営団時代は入社ではなく入団といった)した総合職は、既に課長級になっていたのである。 東京地下鉄株式会社法は付則に「できる限り速やかにこの法律の廃止、その保有する株式の売却その他の必要な措置を講ずるものとする」と定めていた。関連事業の積極的な展開で経営基盤を確立し、最後の新線である副都心線が開業すれば、いよいよ株式上場し、完全民営化が達成される。それは間近であると思われた。 ところが副都心線開業の2年後、そろそろ上場というタイミングで石原都政がぶち上げたのが「地下鉄一元化」論だ。この問題はさまざまなプレーヤーが、時期ごとに異なる思惑を持って関与したので、本稿では立ち入らない。重要なのは、目前にあったはずの完全民営化が遠ざかってしまったという事実だ。 しばしば勘違いされるが、株式上場は株主が決めることである。もちろん会社側も上場に備えた準備をしなければならないのだが、最終的に株主が売らないと言えば上場はできない。東京メトロの株式は国が53.4%、都が46.6%という絶妙のバランスで保有しており、かろうじて国が主導権を握っている。国だけ売却すれば、都が東京メトロを支配しかねない。 その後、猪瀬都政、舛添都政、小池都政と変遷する中で「一元化論」は後退したが、都はメトロ株を国に対する交渉カードとして使い、落としどころとして「売却を受け入れる見返り」を模索してきた。 この辺りの経緯は過去記事で取り上げたので詳細は省くが、副都心線で打ち止めだったはずの地下鉄新線建設を東京メトロが引き受ける代わりに、都が株式売却を認め、国と都がひとまず保有株の半分ずつを売却することになった。 都は2024年度予算にメトロ株の売却に関する費用を計上し、売却に向けた準備が本格化している。株式市場は日経平均4万円を超える好況で、条件が良いうちに売却したいだろうから、くしくもメトロが創立20周年を迎える今年度に上場が実現するかもしれない』、「副都心線開業の2年後、そろそろ上場というタイミングで石原都政がぶち上げたのが「地下鉄一元化」論だ。この問題はさまざまなプレーヤーが、時期ごとに異なる思惑を持って関与したので、本稿では立ち入らない。重要なのは、目前にあったはずの完全民営化が遠ざかってしまったという事実だ。その後、猪瀬都政、舛添都政、小池都政と変遷する中で「一元化論」は後退したが、都はメトロ株を国に対する交渉カードとして使い、落としどころとして「売却を受け入れる見返り」を模索してきた・・・副都心線で打ち止めだったはずの地下鉄新線建設を東京メトロが引き受ける代わりに、都が株式売却を認め、国と都がひとまず保有株の半分ずつを売却することになった。 都は2024年度予算にメトロ株の売却に関する費用を計上し、売却に向けた準備が本格化している。株式市場は日経平均4万円を超える好況で、条件が良いうちに売却したいだろうから、くしくもメトロが創立20周年を迎える今年度に上場が実現するかもしれない」、「今年度に上場が実現するかもしれない」、というのは初めて知った。
・『上場後のビジョンが見えない東京メトロ  ただ外部から見た東京メトロは、あまり変わったように思えない。3月25日発表の「2024年度事業計画」は、安全対策に309億円、旅客サービスに362億円など、計1146億円の設備投資予算を策定。うち約3割(約350億円)を新規不動産取得・開発、自動運転、技術開発などの「成長投資」に使うとしている。 個別の項目には「DX」や「ESG」などはやりのワードは並ぶが、結局はキャッシュフローの多くを鉄道の機能強化に振り向けており、関連事業(都市・生活創造事業)への投資は1割強。物件は変わってもメニュー自体は代わり映えしない。これでは上場しても何かが変わるとは思えない。 だが、それも仕方のない話なのかもしれない。メトロ(営団)にとって、上場とは国策として決まった話であり、上場自体が目的であり目標だった。もちろん社会的な信用が高まるとか、株式市場から資金調達が可能になるとか、それらしい目的を立てることはできるのだが、上場しなければ困る理由はなく、その先の明確なビジョンが見えない。 都心の地下を走る地下鉄はビジネスの可能性が無限と思われがちだ。しかし、莫大な建設費がかかる地下鉄は、なるべく自社用地を持たず、設備は必要最小限で建設するため、自由に使える資産は実は少ない。 変電所など業務用地に施設を一体化したビルの建設は、可能な範囲で終わっている。新規にビルを建てるとなると、新規の土地取得や周辺地権者との連携が不可欠なので、鉄道事業者としてのアドバンテージはほぼない。 「Echika」などの駅構内開発も、都合のいいスペースはほぼ使い切っており、また、地下を掘って新規のスペースを作るなどということは到底、採算が合わない。地上に豊富な土地を保有するJRとは条件が全く異なるのである。 これは筆者が在籍していた頃から感じていたことであり、実際に社内の一部にもそういう空気は漂っていた。上場という「ゴール」が見えてきた今、東京メトロはどのような会社になり、どのような事業を展開したいのか、投資家ならずともビジョンを問う声はますます高まることだろう』、「新規にビルを建てるとなると、新規の土地取得や周辺地権者との連携が不可欠なので、鉄道事業者としてのアドバンテージはほぼない。 「Echika」などの駅構内開発も、都合のいいスペースはほぼ使い切っており、また、地下を掘って新規のスペースを作るなどということは到底、採算が合わない。地上に豊富な土地を保有するJRとは条件が全く異なるのである・・・上場という「ゴール」が見えてきた今、東京メトロはどのような会社になり、どのような事業を展開したいのか、投資家ならずともビジョンを問う声はますます高まることだろう』、どうも、「上場」しても余り変わりばえしなさそうだ。これは、株式の評価額にも影響するだろう。  
タグ:その他公共交通 (その1)(北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?、東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」) 東洋経済オンライン 櫛田 泉氏による「北海道「鉄道・バス」、利用者無視の公共交通政策 鈴木知事の支離滅裂な姿勢が混乱を招いた?」 「北海道議会では答弁が用意できないとして2024年2月28日に予定していた北海道議会が開催できず、異例の「延会」となる事態が発生した。北海道議会が「延会」となるのは記録が残る1967年以降、道政史上初の失態」、みっともない事態だ。 「議会手続き前にもかかわらず鈴木知事は、札幌市内で同機構の小金澤健司会長と面会し、追加予算案などについて説明したという。鈴木知事のこうした行動を知事側の自民会派は問題視。「議会手続き前に特定団体に予算執行を予測させるようなことがあれば、議会軽視で看過できない」と遺憾の意を表明した。 このため、2月28日に予定していた第1回定例道議会では、鈴木知事の観光振興に関する答弁を巡り自民会派と道側の事前の調整がつかなくなったことから議会を開催できない状況となり、異例の「延会」となった」、完全に「鈴木知事」の不手際だ 「市長自らがJR北海道に対して石勝線夕張支線の廃線を提案した「攻めの廃線」前の2015年から2018年までは夕張市の観光入込客数は50万人台で推移していることから、「攻めの廃線」と「中国系企業への観光4施設の売却」がダブルパンチで夕張市の衰退に拍車をかけたといっても過言ではない」、「攻めの廃線」など言葉遊びに過ぎない。何故、こんな馬鹿な「廃線を提案」が行われたのだろう。「中国系企業への観光4施設の売却」も不透明だ。それにしても「鈴木知事の支離滅裂な政策姿勢」は大いに問題だ。 「東京―名古屋間に匹敵する距離が廃線」と、「鈴木知事」は「廃線」で何を狙っているのだろうか。 ダイヤモンド・オンライン 枝久保達也氏による「東京メトロが今年度いよいよ株式上場か?政治に翻弄された「民営化20年」」 「東京の地下鉄史は1927年に開業した私鉄・東京地下鉄道に始まるが、やがて資金的な限界に直面したため、国の主導で特殊法人「帝都高速度交通営団」を設立した。 物々しい名前が示すように、戦時中に誕生した組織だったが、戦後も引き続き営団体制が存続。後に東京都も地下鉄建設に参入し、一つの都市に営団地下鉄と都営地下鉄という二つの地下鉄が存在することになった・・・ 「臨時行政改革推進審議会(行革審)」が設置され、破綻状態に陥っていた国鉄を中心に議論を進めていったが、営団についても1986年、国鉄改革を踏まえ「国鉄の新経営形態移行時にあわせ、特殊会社に改組するとともに、できるだけ早く完全民営化すべきだ」との意見が出された。 そして最終答申に「5年以内に可及的速やかに特殊会社に改組し、地下鉄ネットワークがほぼ概成して、路線運営が主たる業務になる時点において、公的資本を含まない完全民営企業とする」との方針が盛り込まれ、営団の民営化が動き出した」、なるほど。 「特殊会社は形式上、民営会社だが、国や自治体が保有株式をすべて売却した時点で「完全民営化」となる。内実の見えない特殊法人がそのまま株を売り出しても投資家は尻込みするだろう。そこで民営形態のもと安定的な利益を継続的に確保できる会社とした上で、株を市場に放出する。特殊会社はそのステップだ」、なるほど。 「民営鉄道事業者がルーツで、設立当初は民間資本を導入していた営団は、国鉄と比べて規制は緩く、古くから子会社を通じて駅ビルなどの経営を行っていた。 民営化方針が示された1986年には、公益上支障がない限りという条件で業務範囲の大幅な拡大が認められ、東急・京王と共同で開発した「渋谷マークシティ」や、「メトロ・エム後楽園」「ベルビー赤坂」などの駅併設商業施設、高架下店舗、光ファイバー賃貸事業などを展開している。 帝都高速度交通営団法は、国鉄やJR、NTTなど各特殊会社の会社法よりも規制が緩かったが、民営化でさらに緩和され、関連事業の展開や社債の募集、事業計画の策定が認可事項ではなくなった。これがおおむね、民営化直前の流れである」、なるほど。 「副都心線開業の2年後、そろそろ上場というタイミングで石原都政がぶち上げたのが「地下鉄一元化」論だ。この問題はさまざまなプレーヤーが、時期ごとに異なる思惑を持って関与したので、本稿では立ち入らない。重要なのは、目前にあったはずの完全民営化が遠ざかってしまったという事実だ。その後、猪瀬都政、舛添都政、小池都政と変遷する中で「一元化論」は後退したが、都はメトロ株を国に対する交渉カードとして使い、落としどころとして「売却を受け入れる見返り」を模索してきた・・・ 副都心線で打ち止めだったはずの地下鉄新線建設を東京メトロが引き受ける代わりに、都が株式売却を認め、国と都がひとまず保有株の半分ずつを売却することになった。 都は2024年度予算にメトロ株の売却に関する費用を計上し、売却に向けた準備が本格化している。株式市場は日経平均4万円を超える好況で、条件が良いうちに売却したいだろうから、くしくもメトロが創立20周年を迎える今年度に上場が実現するかもしれない」、「今年度に上場が実現するかもしれない」、というのは初めて知った。 「新規にビルを建てるとなると、新規の土地取得や周辺地権者との連携が不可欠なので、鉄道事業者としてのアドバンテージはほぼない。 「Echika」などの駅構内開発も、都合のいいスペースはほぼ使い切っており、また、地下を掘って新規のスペースを作るなどということは到底、採算が合わない。地上に豊富な土地を保有するJRとは条件が全く異なるのである・・・ 上場という「ゴール」が見えてきた今、東京メトロはどのような会社になり、どのような事業を展開したいのか、投資家ならずともビジョンを問う声はますます高まることだろう』、どうも、「上場」しても余り変わりばえしなさそうだ。これは、株式の評価額にも影響するだろう。
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小池都知事問題(その10)(神宮外苑の再開発 日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々、「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ、女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…) [国内政治]

小池都知事問題については、本年3月11日に取上げた。今日は、(その10)(神宮外苑の再開発 日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々、「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ、女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…)である。

先ずは、本年4月5日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社長のロッシェル・カップ氏による「神宮外苑の再開発、日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341423
・『100年近く都心の緑を守ってきた明治神宮外苑だが、大規模再開発によって多くの樹木が伐採されることになり、昨年から論争を巻き起こしている。故・坂本龍一氏や作家の村上春樹氏ら各界の有識者が声明を出したり、ロックバンド・サザンオールスターズが再開発に異を唱える歌を発表したりするなど、世論の反発が波及している。それにもかかわらず、再開発工事が強行されているのはなぜなのか。夏の東京都知事選挙の争点にもなるといわれ、改めてこの問題を考える』、興味深そうだ。
・『なぜ日本人でもないのに「再開発」に必死にこだわるのか  私は米国人で、30年間日本と米国を行き来して、経営コンサルタントとして働く一方、2年前から神宮外苑再開発計画の見直しを求める運動を率先して行っています。 日本人でもないのに、なぜ神宮外苑を守るために、これほど必死に闘うのかと多くの人に聞かれます。 きっかけは、偶然見たニュースでした。2022年2月、東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認したというニュースです。約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました。 神宮外苑再開発は、本来できないはずの地域に、制度や条例をねじ曲げてでも強引に再開発を可能にしようという、異常な手法の計画だと考えています。何よりも都民、市民の利益を優先すべき東京都が、どうしてこれほど事業者のために献身的に動くのかは大きな疑問です。歴史的価値の高い都市資産である神宮外苑に、もっと敬意を払うべきなのではと思います。 ショックを受けた私は、すぐにオンライン署名を立ち上げ、計画について住民とオープンに意見交換や議論することを求めました。 私はこのように社会にコミットすることに国籍は関係ないと思っています。「Think global, act local(グローバルに考え、ローカルに行動する)」が私の信念です。世界のどこであろうと、自分が住む愛着のある街、地域社会に問題を感じたら、情報を集め、議論し、解決に向かって貢献しようとするのは自然なことだと思っています。 日本では、なぜか環境や社会の問題について発言を控えたがる経営者もいるようですが、米国や欧州では、重要な社会問題について発言し関与することは、ビジネスリーダーとしての社会的責務だと考えられています』、「東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認・・・約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました」、同感である。
・『再開発で何が失われるのか 〈低下する緑の質と環境〉  今回の計画を、事業者(三井不動産、明治神宮、日本スポーツ振興センター〈JSC〉、伊藤忠商事)や都知事は、「緑の更新」という言葉を使います。しかし、古木は不要だと切り捨て、若木に取り換えればいいという考えは、短絡的で、サステナブルな時代の感覚に合っているとはいえません。 また「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです。 また、改修して保存活用可能な建物を壊して建て替えるスクラップ・アンド・ビルドは、膨大な二酸化炭素を排出することになり、脱炭素化が進む世界の潮流に全く逆行しています』、「再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、「「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、なるほど。
・『〈問われる民主性〉  過剰な高度利用による高層ビルと巨大施設の建て替えという、無謀な再開発の犠牲になるのは、樹木だけではありません。 スポーツクラスター(一帯をスポーツ施設の集積地にすること)」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です。 小池百合子都知事は、情報開示と民主的な都政を掲げていますが、このプロジェクトの進め方は真逆です。21年12月に開かれた住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした。それから約2年がたった今も、情報の少なさ、住民や専門家の意見を顧みない決定プロセスは変わっていません。 そのため、景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます』、「スポーツクラスター・・・」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です・・・住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした・・・景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます」、由々しいことだ。
・『再開発を不公平に先導する東京都の責任  小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています(参照:東京都都市整備局「岸記念体育会館の移転等に関する主な経緯」)。「東京2020大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」にかなう市街地再開発として、都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です。 東京都は、再開発事業を進めるに当たり、まずオリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保しました。その際、ラグビー場は「公園として利用されていないスペース」だからという理屈をつけています。その上、「再開発等促進区」という土地の高度利用を目的とした手法を駆使し、容積率を極限まで拡大して積み上げ、本来この地区には建てられないはずの超高層ビルの建設を可能にしてしまいました。 それだけではありません。 神宮外苑は創建時より、その景観や環境が保護されるべきものとして風致地区に指定されています。 しかし20年、東京都は、風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和されてしまいました。 また、神宮外苑再開発の環境アセスメント(影響評価)に提出された評価書には重大な誤りや虚偽があり、正しい判断とは認められないことを、日本イコモス国内委員会など専門家が厳しく指摘してきました。 しかし、23年1月の環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です。 事業者も都も、口をそろえて「法的にも、手続きにも問題はない」と言いますが、そもそも両者が結託し、事業計画に合わせてガイドラインを作り、無理やりな解釈で制度に当てはめたり、区域を削除したり、条例の方を変更したり、あるいは審議会運営を操作したりしているのです。このようにゆがめられた都市計画行政は実に不公平であり、非民主的であると言わざるを得ません』、「小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています・・・都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です・・・オリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保・・・風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和・・・環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です」、特に「環境アセスメント」の「審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました」、乱暴極まりないやり方だ。
・『明治神宮への疑問、利用される「内苑の護持」  当初、最大の地権者である明治神宮をはじめとした事業者は「老朽化した神宮球場の建て替え」を再開発の主な理由としていましたが、だんだんと都知事までも口裏を合わせ「内苑の護持のため」と言い始めるようになります。 つまり、広大な内苑の維持管理費用が明治神宮の財政を圧迫し、その救済のため、より収益を上げるよう外苑の施設の更新・増設が必要だというのです。内苑を支えるため、外苑はもっと稼がなくてはならないという主張です。 しかし、一宗教法人の利益の便宜を図るために、公益を損ねるような再開発が進められていいのでしょうか。「内苑の護持」という言い分は、再開発を正当化するために利用される口実のように思えます。 最近の報道で、今から20年も前の03年に、明治神宮の依頼を受け、都市計画や造園学の専門家がまとめた「神宮外苑の整備構想」があったことが分かりました。それは創建の理念を尊重した「外苑の環境を壊さないよう、神宮の維持のための必要最小限の計画」であり、造営当時のように住民から行政までを巻き込んで事業を進める民主的な構想でした。しかし、この構想は当時のゼネコンやデベロッパー、都などに説明したものの、賛同者が集まらず実現には至りませんでした。 その後、オリンピック・パラリンピック招致を機に、現在のデベロッパー主導の大規模再開発計画が浮上したのですが、明治神宮がどのようにして、計画に同意したのかは明らかではありません。 たしかに内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか。 あるいは、内苑の社殿を囲む森は神域として明治神宮が守り、宝物殿前の風景式庭園などは都市公園として国や都などが公的に管理することで、経済的負担を軽減することも可能だと思います』、「内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか」、なるほど。
・『緑の更新でも老朽化でもない再開発の理由  樹木伐採に対する批判を受け、再開発は「緑の更新に必要」「木を切らずにこの計画は成り立たない」と明治神宮は説明しています。しかし、それならば、木を切らずにできる計画に見直せばいいのではないでしょうか。 野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう。なぜ現在の計画が唯一無二のプランであると言い張るのでしょうか。 事業者は、表向きは「老朽化」による施設の建て替え、その際の「競技の継続性」を理由に、野球場とラグビー場の用地を入れ替えて新設するのだとしていますが、ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません』、「野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう・・・ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません」、なるほど。
・『一人の市民として声を上げていく  この頃よく「環境アクティビストになりましたね」といわれますが、自分では「民主主義アクティビスト」だと感じています。 この活動を通じて、神宮外苑を守りたいという多くの人たちとつながり、情報を共有して知れば知るほど疑問は拡大していくばかりです。開発の環境への悪影響は言うまでもなく、計画の進め方についても多くの問題があること、その根本的な問題は民主主義の欠如だと気付きました。 そして、これは神宮外苑だけの問題ではなく、都内や日本中の多くの公園や緑地が開発事業によって脅かされている現実を知りました。皆同じように企業の利益、政治家の利権、それに癒着する行政が一体となって、公益性や民主性をないがしろにし、市民が大切にしてきた場所や景観を奪い、結果として環境へのダメージや樹木伐採という形で顕在化しています。 神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います』、「神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います」、大いに頑張ってもらいたいものだ。

次に、4月9日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した立命館大学政策科学部教授の上久保誠人氏による「「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341830
・『政治資金パーティーを巡る「裏金問題」を受けて、安倍派と二階派の議員に処分が下された。その中には、小池百合子東京都知事の「国政復帰の後ろ盾」と目された大物議員も含まれる。これによって、小池知事の自民党復帰や総裁選出馬は先送りになったと見る向きは多い。だが、本当にそうなのか――。政治学者が大胆な説を展開する』、興味深そうだ。
・『裏金議員の処分は不公平!? 岸田首相に自民党内から批判の声  自民党は4月4日、政治資金パーティーを巡る「裏金問題」を受けて、安倍派と二階派の議員ら39人を処分した。このうち、安倍派の座長を務めていた塩谷立(しおのやりゅう)元文部科学相と、安倍派で参議院側のトップだった世耕弘成前参院幹事長には「離党勧告」が出された。 このほか、下村博文元政務調査会長と西村康稔前経済産業相には「1年間の党員資格停止処分」が科された。ただし、2018年からの5年間において、収支報告書への不記載額が「3526万円」と最も多かった二階俊博元幹事長は処分の対象外となった。二階氏が次の衆議院選挙に立候補しない考えを表明し、事実上の「政界引退」宣言をしたためである。 一方、処分の対象となった39人には岸田派議員が含まれず、岸田文雄首相「本人」への処分もなかった。党内から「不公平だ」との声が上がったが、岸田首相はそうした批判を気にしていないようだ。国民からの支持率も低下しているものの、今の岸田首相には、上記の処分を断行できるほど強い権力・権限が集中しているといえる。 裏金問題が発覚する前の岸田内閣では、岸田派・安倍派・麻生派・茂木派が党内の主流派を形成していた。そして、岸田派を除く3つの派閥が首相の権力・権限を牽制(けんせい)および制限してきた(本連載第286回)。だが現在は、その派閥のほとんどが事実上消滅した。 麻生派だけは存続を決めたが、この派閥は岸田派と同じく、故・池田勇人元首相が立ち上げた池田派(旧宏池会)を源流としている。このことから、解散した岸田派が麻生派を頼って合流し、旧宏池会を復活させるのではないかという「大宏池会構想」がまことしやかにささやかれている。現段階ではあくまで臆測にすぎないが、実現した場合は、岸田首相の強力な後ろ盾となる可能性もある。 そのため厳密に言えば、現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている。この不思議な状況を、本連載では「低支持率首相による独裁体制」と呼んでいる(第349回)』、「現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている」、確かに不思議だ。
・『「首相交代」を阻止するべく強権振るう岸田首相  岸田首相の「強権」は今、9月の自民党総裁選での再選に向けた、自らの権力基盤の強化に向けて振るわれている。 従来の総裁選では、不人気な首相がその座を降りて新たなリーダーが就任すると、まるで政権交代が起きたかのようなフレッシュな印象を国民に与えた。この「疑似政権交代」は、旧体制での閉塞感を忘れさせる「最終兵器」として機能してきた(第285回)。 昨今の岸田首相は、この「疑似政権交代」が起きて新たなリーダーが誕生しないよう、着々と手を打っている。 最大派閥・安倍派は解散に追い込まれ、幹部はことごとく処分された。「ポスト岸田」と目されていた西村康稔前経済産業相には1年間の党員資格停止処分が下された。同じく萩生田光一前政調会長は1年間にわたって「党の役職停止」となった。 高市早苗経済安全保障担当相は無派閥であり、裏金とは無縁だとみられる。しかし、彼女を支持する議員の多くは、安倍派を中核とする保守派だ。 高市氏の支持者の中には、何らかの処分を受けた者もいる。処分の対象となった議員は、関係各所への説明・謝罪に追われる。次の選挙で落選の危機にあり、地元での政治活動に専念せねばならない。 当然、次の総裁選で誰を担ぐかを考える余裕はない。高市氏は総裁選出馬への意欲を隠さないが、「みこしを担ぐ人」が減ってしまうと総裁を目指すのは難しくなる。 また、現在は自民党の外にいる「最強の総裁候補」こと小池百合子東京都知事も、その動向が不透明になっている。詳しくは後述するが、その裏側でも岸田首相が「強権」を振るった可能性がある。 小池知事を巡っては、近く国政に復帰して自民党に入り、「日本初の女性首相」の座に就くための最後の挑戦として、総裁選に打って出るのではないかとうわさされてきた。 その挑戦の一歩目として、小池知事が衆議院東京15区補選(4月16日告示・28日投開票)に出馬する可能性が取り沙汰されてきた。この選挙区は、かつて自民党議員が汚職で二度辞職したことがあり、「自民党政治の腐敗の象徴」として注目を集めてきたエリアだ。 ところが、この衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明した。幅広く支持を得るため無所属として出馬するが、元々は小池知事が、ファーストの会の公認候補として擁立するために、乙武氏を副代表に迎えた経緯がある。小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている。 ※小池知事自身が特別顧問を務める地域政党「都民ファーストの会」が、国政進出に向けて立ち上げた政治団体』、「衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明・・・小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている」、なるほど。
・『小池知事が出馬断念の裏で岸田首相が暗躍!?  小池知事はかねて、今回処分された萩生田前政調会長と親密な関係を築いてきた。今年1月には、萩生田氏のお膝元である東京都八王子市の市長選に小池知事が駆け付け、自民党推薦の初宿(しやけ)和夫氏を応援したこともある。 すでに萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった。 そのため、小池知事が国政復帰して首相を目指すならば、萩生田前政調会長を中心に安倍派が担ぐ形になると思われた。しかし「派閥解散」によって、このシナリオは難しくなった。 萩生田氏だけでなく、事実上の政界引退を発表した二階氏も、小池知事とは親しい間柄にある。小池知事が政界入りした90年代から、両者は新進党、保守党、そして自民党で行動を共にしてきた。小池知事が自民党とたもとを分かっても、その関係は続いてきた。 したがって、二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという。 もともと二階氏は、自身の三男を後継者とし、和歌山の選挙区(衆議院新2区)を継がせるつもりでいた。しかし、冒頭で触れた世耕前参院幹事長は、将来の首相就任を目指していることから、二階氏の引退後は衆議院新2区を引き継いで衆議院へのくら替えを狙っていたとされる。衆議院選挙区を巡って、二階・世耕の両氏は「戦争状態」にあった。 そこに、岸田首相が「裏取引」を持ちかけたというのだ。二階氏が政界を引退すれば、裏金問題で処分はしない。その選挙区の後継を三男とする。世耕氏には「離党勧告」を出し、衆議院にくら替えする芽を摘む。さらに、世耕氏の参議院選挙区には、二階氏の長男を公認候補として擁立することを検討する――。二階氏はその取引を受けたというのだ。 (参考記事)・息子二人を国会議員に…二階元幹事長「引退会見」のウラにあった、岸田首相との「裏取引」の中身(『現代ビジネス』2024年4月2日掲載) ・絶体絶命!世耕弘成氏をさらに追い込む二階俊博氏の「息子2人を国会議員に」構想…関係者は「好き勝手にさせない」と激昂(『SmartFLASH』2024年4月4日掲載) 結果、岸田首相は「強権」を牽制し得る二階氏と世耕氏を自民党から追い出した。それだけでなく、最大のライバルとなり得る小池知事の国政復帰の芽も摘んだ。「一石三鳥」の効果を得たといえる。) 今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう。 9月の自民党総裁選には、石破茂元幹事長、野田聖子元総務相など、実績ある政治家が出馬を検討すると思われる。しかし、岸田首相に権力・権限が集中し、派閥がなくなった今、立候補に必要な「20人の推薦人」を集めるのは大物政治家といえども至難の業だといえる。 総裁選で対立候補を推した議員は、岸田首相の権力・権限によって徹底的に干されるかもしれない。また、岸田首相は国民からの支持率がどんなに下がっても、心が折れて退陣することはないだろう。絶対に延命して、9月の総裁選で勝利するために、どんなことでもする。それが「低支持率首相による独裁体制」による、当面の目的である』、「萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった・・・二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという・・・今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう」、「小池知事」もなかなかの策士のようだ。
・『政治学者が大胆提言! 小池都知事が首相になるための「奥の手」  小池知事は今後、こうした状況を黙って見ているのだろうか――。あくまで筆者による仮説だが、本稿では彼女の将来について、大胆なプランを提言してみたい。 筆者を除いたほとんどの識者が、自民党に戻る可能性をつぶされた小池知事の国政復帰は「ない」とみているようだ。だが、本当にそうなのか。 小池知事が立憲民主党や日本維新の会をはじめとする野党を取りまとめ、政権交代を目指しても面白いのではないか。掲げる公約はもちろん、自民党の「中央集権」に対抗した「地方主権」である。「希望の党」を率いて敗れた17年の総選挙のリベンジを目指すのだ(第169回)。 改革と地方主権を掲げる馬場伸幸・日本維新の会代表。消費増税を封印し、安全保障政策などで現実路線を志向する泉健太・立憲民主党代表。「中道路線」を貫く玉木雄一郎・国民民主党代表。そして、かつて民進党を希望の党に合流させて政権交代を狙った前原誠司氏(新党「教育無償化を実現する会」代表)。 彼らには過去のさまざまな因縁がある。それらを乗り越えて、「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか。 小池知事は、日本新党からの政界参入、自民党入り、都知事への転身、希望の党を結成しての総選挙挑戦など、常識外れな行動で数々の修羅場を生き抜いてきた人物だ(第137回)。 それだけの実績と経験を持つ人物が、最後にして最大の目標である「日本初の女性首相」になる上で、自民党に担がれる必要はどこにあるのか。諦めるのはまだ早い。それよりも「シン・野党連合」をまとめ切って自民党を倒すという、小池知事らしい常識外れな挑戦に期待したい』、「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか」、しかし、これは、第三の記事のように東京15区の補欠選挙で担いだ候補が予想外の不人気だったことで、実現の可能性は薄らいだ。

第三に、4月12日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの宮原 健太氏による「女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/127723?page=1&imp=0
・『きわめて厳しい数字  女帝、小池百合子都知事の思惑は大きく外れてしまったのかもしれない。 4月28日に行われる衆議院の3つの補欠選挙のうちの1つ、東京15区補選に満を持して作家の乙武洋匡氏を擁立した小池氏だが、与野党各党の情勢調査で既に厳しい数字が叩きつけられている。 都知事から国政に戻ってくることも噂され、補選はその足掛かりとも見られていたが、元側近による文藝春秋への告発によって学歴詐称疑惑も再燃しており、早くも窮地に立たされている』、興味深そうだ。
・『「乙武氏にここまで悪い数字が出るとは」  永田町に出回っている情勢調査の結果を見て、自民党関係者は絶句した。 日本維新の会が実施したとされる東京15区補選の情勢調査によると、立憲民主党の酒井菜摘氏が15.6ポイントで首位となり、維新の金澤結衣氏が次点の10.2ポイント、日本保守党の飯山陽氏が9.2ポイント、共産党の小堤東氏が7.8ポイントと続き、乙武洋匡氏は7.5ポイントと遅れをとっている。 すでに共産党は小堤氏の出馬を取り下げ、酒井氏を支援することを表明しており、酒井氏のポイントはさらに上積みされていく可能性が高い。 また、自民が実施したとされる情勢調査でも、立憲・酒井氏18ポイント、維新・金澤氏15ポイント、乙武氏11ポイントとなっており、乙武氏の劣勢が伝えられている。 そもそも東京15区補選は、昨年4月に実施された江東区長選で自民の柿沢未途元衆院議員が選挙買収を行い、公職選挙法違反の罪で逮捕、起訴(すでに懲役2年、執行猶予5年の有罪判決が確定)された「政治とカネ」の問題が発端になっている。 裏金問題が自民を揺るがす大逆風の中で、同党は候補者擁立もままならない状態だったが、小池氏は乙武氏の擁立を内々に自民幹部に伝達。選挙に強い小池氏が、乙武氏という知名度抜群の候補を立てるという「助け舟」に自民は飛びつき、推薦を出す方向で調整していた。 しかし、乙武氏は自民の裏金問題に関する悪評を懸念してか、出馬会見で「政策を見て推薦したいという思いをいただけるのであれば1つ1つの政党とお話をしたいが、現時点では私自身から推薦依頼を出している事実はない」と発言。 一方の自民も、予想以上に伸び悩んでいる乙武氏の情勢を見て「惨敗するなら推薦を出さないほうがいいのではないか」(関係者)という声が出ている』、もともと女性問題を抱えていた「乙武氏」を担ぎ上げたことが問題だ。
・『構想はすでに瓦解  もともと厳しい情勢になる懸念はあった。 2016年参院選では自民党が乙武氏を擁立する予定だったが、不倫などの女性問題が週刊新潮で報じられて出馬を断念。 乙武氏は2022年参院選にも、無所属で東京選挙区(定数6)に出馬したが、9位となり及ばなかった。 それでも都内の選挙で圧倒的な強さを見せる小池氏がバックアップする体制に自民は勝機を見出していたが、創価学会女性部(旧婦人部)の影響が大きい公明党は女性問題に難色を示し、都民ファーストの会と連携してきた国民民主党も「自民党が推薦を出すような人は応援できない」(榛葉賀津也幹事長)と述べるなど、思い描いていた構想はすでに瓦解しつつある。 そうした中でさらに小池氏を追い込んでいるのが、都民ファーストの会で事務総長をしていた小池氏の元側近、小島敏郎氏が文藝春秋に寄せた「告発」だ。 2020年に小池氏の「カイロ大学卒業」に関する学歴詐称疑惑に迫った『女帝 小池百合子』(ノンフィクション作家・石井妙子著)が発売されたのに対して、駐日エジプト大使館がFacebookに小池氏の卒業を認めるカイロ大学声明を掲載して沈静化を図ったが、この声明は小池氏の依頼によってジャーナリストが執筆したという内容になっている。 学歴詐称を払拭するための声明に小池氏自身が深く関わっていたことを示すもので、その正当性は大きく揺らいでいる。 乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている』、「乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている」、やはり「小池」氏自身が立候補していれば、当選し、総理大臣になる可能性もあったが、「乙武氏」を持ち出したことで、致命的なミズを犯したようだ。
タグ:「東京都の都市計画審議会が神宮外苑再開発計画を承認・・・約1000本の樹木が伐採されることをはじめ、問題の多い再開発が、十分な周知もディスカッションもないまま、決定されたことに大きな驚きと疑問を覚えました」、同感である。 ロッシェル・カップ氏による「神宮外苑の再開発、日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々」 ダイヤモンド・オンライン (その10)(神宮外苑の再開発 日本人ではない私が懸念する理由…無視できない疑念と横暴の数々、「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ、女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…) 小池都知事問題 「「開発後に緑の割合は増える」と言いますが、それは葉の密度の濃い古木と、そうではない若木や芝生を均一に扱う面積比から割り出した、巧妙に錯覚をもたらす作為的な数字といえます。 再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、なるほど。 「再開発されれば、若木や屋上緑化や芝生などの面積を増やした分、あたかも緑化が進んだようにみえるでしょう。しかし、実際には樹齢を重ねた多くの大木が失われることにより、都市のヒートアイランド現象の軽減に貢献する緑の体積は減り、質的には低下してしまうのです」、 上久保誠人氏による「「小池百合子首相」誕生の可能性はまだある!政治学者が本気で期待するワケ」 そして、審議会会長が「虚偽と指摘された評価書に基づいた着工届に、ゴーサインを出すことは難しい」と明言したにもかかわらず、この時点で審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました。このような都の横暴なやり方に対して、環境アセスメントの世界的な学会「国際影響評価学会(IAIA)」や、国内の権威ある「日本弁護士連合会(日弁連)」からも、公式声明により非難されたことは、恥ずべき事態です」、特に「環境アセスメント」の「審議を打ち切りにし、強引に施行認可をしてしまいました」、乱暴極まりないやり方だ。 都市計画公園から削除するという前代未聞の荒技を用いて、高層ビル建設の敷地を確保・・・風致地区条例の許可権を持つ新宿区に対し、市街地再開発エリアについて最も保全の厳しい基準から一番緩い基準へと変更するよう依頼し、区議会や都市計画審議会などに諮ることなく決裁しました。これにより、樹木伐採や建築の高さ基準は、事業者にとって都合のいいように、大幅に緩和・・・環境アセスメントの最終プロセスにおいて、東京都は審議会委員からの懸念意見を「助言」という制限をかけて無力化しました。 「小池都知事は、再開発は民間事業として進められているのであり、都として介入することはできないと言います。しかし、この再開発事業は都が発案したことに始まっています・・・都知事が施行を認可したからこそ、実施されているのです。その事実を無視し、責任から逃れようとするのは不誠実です・・・オリンピック・パラリンピック開催のための国立競技場建て替えを機に、建築物の高さ制限を、外苑一帯にまでエリアを広げ、大幅に緩和しました。そして、都が独自に作った「公園まちづくり制度」という名の「要綱」により、3.4ヘクタールの区域を 「衆議院東京15区補選に、作家で政治団体「ファーストの会」(*)副代表の乙武洋匡氏が出馬表明・・・小池知事の出馬の可能性は消滅し、国政復帰も断念したとみられている」、なるほど。 「現在の麻生派は「岸田首相の強力な牽制役」だとは言い切れない。こうした要因によって、今の岸田首相にはヒト・モノ・カネが集中している。結果、岸田首相の支持率は低下しているにもかかわらず、なぜか権力が強まっている」、確かに不思議だ。 景観・環境破壊を含め、風害、騒音、あるいは長期の工事期間中の災害時の避難対策の不備など、深刻な住民被害の問題を抱えたまま、非民主的な再開発は進んでいます」、由々しいことだ。 「スポーツクラスター・・・」という目標を掲げておきながら、既存の軟式野球場、ゴルフ練習場、フットサルコート、バッティングセンターなど、一般市民が利用できる公益性の高い施設が全て廃止されるのは大きな矛盾です・・・住民説明会でも、一方的に計画内容の説明をした上で、計画はすでに決まったことであり、変更は認められないと告げるだけでした。十分な周知もないまま、22年2月の都市計画審議会において「議論は十分尽くされた」と採決を強行し可決。事業者ありき、再開発推進が前提の住民不在の決定でした・・・ 「神宮外苑を巡る議論は、再開発による環境破壊の典型として広がりを見せ、過剰な再開発に抵抗する市民にとって励みになっているといわれています。コモンスペースである公園や街の景観が、市民が皆で考える課題であることは、もっと注目されるべきです。これからも、一人の市民として、多くの同じ思いの人たちと共に声を上げていきたいと思います」、大いに頑張ってもらいたいものだ。 実際に、神宮球場より古い甲子園球場は、シーズンオフを利用し試合を継続しながら改修工事を行い、次の100年に向かって見事に再生を果たしています。なぜ神宮球場はそうしないのでしょう・・・ではなぜ「3棟もの超高層ビル」の建設が必要なのかという疑問には答えていません。 再開発の真の狙いが、都市計画公園の中に無理やりスペースを確保し、異常なまでに容積率を拡大した高層ビル建設によってもたらされる莫大(ばくだい)な利益にあるとしか思えません」、なるほど。 「野球場とラグビー場の用地を入れ替えず、そして高層ビルを建設しなければ、大量の樹木伐採をすることなく景観も破壊されず、周辺住民の被害も軽減するのです。 建築の専門家は、2つのスタジアムの改修による保存活用は可能であると指摘しています。日本イコモス国内委員会も、新建築家技術者集団も、樹木伐採を必要としない改修による代替案を出していますが、受け入れたくない事業者は、それを無視し続けています。 「内苑の維持は重要なことですが、そのために外苑を犠牲にするような現在の計画が唯一の選択肢だとは思えません。03年の構想がそうであったように、もっと環境に配慮した計画に見直すこともできるのではないでしょうか」、なるほど。 一部報道によると、その背後で“暗躍”していたのが岸田首相だという・・・今後も岸田首相は、強力な「人事権」「公認権」「資金配分権」を行使して政敵をつぶし、自らの権力基盤を盤石にしていくだろう」、「小池知事」もなかなかの策士のようだ。 「萩生田氏が裏金問題の渦中にあったことから、選挙は異例の大苦戦となっていた。そこに小池知事が応援に入り、形勢を逆転させて初宿氏は辛勝できた。小池知事は萩生田氏の窮地を救い、恩を売った形となった・・・二階氏が小池知事の「最後の挑戦」の後ろ盾になる可能性もあった。しかし、二階氏に政界引退によって、そのシナリオも雲散霧消した。 「乙武氏の補選勝利を足掛かりに国政に戻り、総理大臣の座を狙うのではないかとまで言われていた小池氏だが、情勢調査による厳しい数字、再燃する学歴詐称疑惑で状況は一変してしまったと言えよう。 候補者が乱立して混戦模様の東京15区補選。そこに小池氏や自民の思惑、疑惑が重なって、より状況は混沌としている」、やはり「小池」氏自身が立候補していれば、当選し、総理大臣になる可能性もあったが、「乙武氏」を持ち出したことで、致命的なミズを犯したようだ。 もともと女性問題を抱えていた「乙武氏」を担ぎ上げたことが問題だ。 宮原 健太氏による「女帝・小池百合子氏が大誤算で窮地へ…補選に向けて発覚した「驚きの数字」 まさかこれほどまでとは…」 現代ビジネス 「シン・野党連合」といえる一大勢力をまとめ上げる才覚を持つのは小池知事ではないか」、しかし、これは、第三の記事のように東京15区の補欠選挙で担いだ候補が予想外の不人気だったことで、実現の可能性は薄らいだ。
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M&A(一般)(その3)(任天堂創業家へ反撃!東洋建設「意外すぎる一手」 6月27日の株主総会を前に攻防がヒートアップ、ブラザー工業が「対抗TOB」で狙う三度目の正直 ローランドDGが実施のMBOに「待った」をかける、「法律違反」「異常なやり方」M&Aで急成長する企業の“トップ解任騒動”の全内幕!) [企業経営]

M&A(一般)については、2021年12月20日に取上げた。今日は、(その3)(任天堂創業家へ反撃!東洋建設「意外すぎる一手」 6月27日の株主総会を前に攻防がヒートアップ、ブラザー工業が「対抗TOB」で狙う三度目の正直 ローランドDGが実施のMBOに「待った」をかける、「法律違反」「異常なやり方」M&Aで急成長する企業の“トップ解任騒動”の全内幕!)である。

先ずは、昨年6月6日付け東洋経済オンライン「任天堂創業家へ反撃!東洋建設「意外すぎる一手」 6月27日の株主総会を前に攻防がヒートアップ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/677008
・『中堅ゼネコンの株式を巡る攻防が、一段と激しくなってきた。 海洋土木(マリコン)大手の東洋建設は5月24日、任天堂創業家の資産運用会社「ヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)が東洋建設に対して行っていたTOB(株式公開買い付け)提案に反対することを発表した。取締役会の全員一致で反対することを決めた。 同時に、社内取締役2人、社外取締役7人の計9人の選任を求めるYFOによる株主提案に反対することも決定した。 東洋建設はどちらの提案を受けるよりも、今年3月に策定した2027年度を最終年度とする新中期経営計画を遂行することこそが、「当社の企業価値や株主の共同利益の最大化につながる」とした。また、YFOが提示している公開買い付け価格1000円についても、「プレミアムはわずか1.5~3.8%に過ぎず、当社の本源的価値を反映した価格とは言えない(1000円の価格は安すぎる)」とした』、「YFOが東洋建設に対して行っていたTOB提案」、「社内取締役2人、社外取締役7人の計9人の選任を求めるYFOによる株主提案」、に「反対」、なるほど。
・『YFO「完全な二枚舌だ」  東洋建設の時田学執行役員は、「YFOの企業価値向上策を遂行しても当社の企業価値は向上しない。経営の基盤が崩壊し、受注活動に悪影響を与える」と語る。 一方、YFOの関係者は、東洋建設の決定に不満を漏らす。「完全な二枚舌だ。当初は『1000円という価格の根拠がわからない。そこまでの株価にはいかない』(1000円の価格は高い)と言っていたはず」。「協議の当初から、経営基盤の崩壊論を展開していた。あたまからそれ(反対)ありきで動いていた」。 東洋建設の株価については、1年前の2022年5月31日時点では833円(終値)だったが、今年5月31日は985円(同)をつけている。洋上風力発電事業に本格参入するなど骨太の方針を打ち出した新中期経営計画の内容や、2023年度から2025年度の配当性向を100%(下限50円)とする株主還元策を掲げたことが、市場から評価された。 YFOによる東洋建設の保有株式が27%を超過し、YFOが東洋建設に対してTOBを提案した2022年4月以降、YFOと東洋建設は荒々しいやりとりを繰り広げてきた。どちらかというと、東洋建設はYFO側の話を聞くことに終始する、受け身一辺倒だったと言える。 ところが、今年3月の新中期経営計画発表時に「(経営の姿勢を)守りから攻めへ転換する」(時田執行役員)と宣言すると同時に、YFOへ反撃の姿勢をみせるようになった』、「東洋建設はYFO側の話を聞くことに終始する、受け身一辺倒だったと言える。 ところが、今年3月の新中期経営計画発表時に「(経営の姿勢を)守りから攻めへ転換する」・・・と宣言すると同時に、YFOへ反撃の姿勢をみせるようになった」、なるほど。
・『反対表明を冷静に受け止めるYFO  YFOも受けて立つ。「東洋建設の現取締役会のガバナンスが機能していないことを顕著に示すもの」。YFOは5月25日付のリリースで、攻めに転じた東洋建設の反対表明を批判した。 しかし、攻撃的な言葉とは裏腹に、YFO側は東洋建設の反対表明については、冷静に受け止めている。「反対表明は想定の範囲内。賛同表明を出すとは、まったく考えていなかった」(YFO関係者)。 むしろ、YFO側が驚いたのは、東洋建設が反対表明と同じ5月24日に発表した新しい経営体制への移行だ。東洋建設は新役員候補案として社内取締役の5人、社外取締役6人を掲げた。土木畑の長い大林東壽氏(はるひさ、取締役・専務執行役員)と、建築分野を歩んできた平田浩美氏(取締役・執行役員副社長)を新任の代表取締役にするとした。 加えて、現任の武澤恭司社長と藪下貴弘専務執行役員の代表取締役2人が退任することも発表した(それぞれ相談役、顧問に就任予定)。武澤社長と藪下専務は東洋建設のツートップであり、YFOとの協議も両者が前面に出て対応してきた。 「この人事案には意外性があった。東洋建設は現体制のままで中期戦略を進めるのか、新体制で望むのか、どちらを選択するのか注視していたが、後者を選択した。特に、代表取締役2人が同時交代することは異例で、意外だった」と、YFO関係者は語る。 同YFO関係者は、「東洋建設は(6月27日に予定される)定時株主総会で、当方の株主提案に対する票読みが難しいとみて、代表取締役2人の退任を発表したのではないか」といぶかる。) この見方に対して、東洋建設は「(武澤社長らの退任は)既定路線だった」(時田執行役員)と強調する。武澤社長は2014年4月に就任して以降、9年にわたり経営トップを務めてきた。 東洋建設は不動産開発事業に失敗し、債務免除を受け、2003年から前田建設工業の傘下で経営再建を図ってきた。武澤社長はその経営改革のまさに牽引者だった。「中興の祖と言ってもおかしくない」(別の東洋建設関係者)。 5月24日に行われた社長交代の記者会見で、武澤社長は次のように語った。 「9年間、経営基盤の強化に取り組んだ。社長就任当初は存続の危機だった。純資産200億円を上回るかどうか厳しい状況で、信用力が低下し、民間工事の受注も厳しかった。そこから、社員の頑張りもあり、収益を上げ、純資産を積み上げることができた。前2023年3月期末は純資産が700億円を超えた。立派な数字になったなと思う」 記者は会見を終えたばかりの武澤社長に近づき、「続投は考えなかったのか」と質問した。武澤社長は「いやいや」と首を横に振りながら、こう語った。「私は守りを託された。それを成し遂げたので、(攻めに転じる)いまがいいタイミングだ」。 この人事案にどのような真相があるかは不明だ。だが、昨年12月にトップ会談が決裂して以降、協議の場が持たれていないYFOと東洋建設の冷え切った関係に、何らかの変化を与える可能性はある。「役員が新しいメンバーに変わることもあり、(こちらからYFOに)対話を再開するメッセージを出していくのは大事なこと」と、東洋建設の時田執行役員は話す』、「現任の武澤恭司社長と藪下貴弘専務執行役員の代表取締役2人が退任することも発表・・・特に、代表取締役2人が同時交代することは異例で、意外だった」とYFO関係者は語る・・・東洋建設は不動産開発事業に失敗し、債務免除を受け、2003年から前田建設工業の傘下で経営再建を図ってきた。武澤社長はその経営改革のまさに牽引者だった・・・社長就任当初は存続の危機だった。純資産200億円を上回るかどうか厳しい状況で、信用力が低下し、民間工事の受注も厳しかった。そこから、社員の頑張りもあり、収益を上げ、純資産を積み上げることができた。前2023年3月期末は純資産が700億円を超えた。立派な数字になったなと思う」、確かに再建を果たしたようだ。
・『株式を追加取得する可能性も?  1年以上も続いているYFOと東洋建設の株式攻防戦は、今後どういう展開を見せるのか。 YFOは5月24日に、別のリリースも出している。それによると、東洋建設の同意を得ずに東洋建設株式を追加取得しないことを誓約していたが、5月24日までとしていた誓約期限を延長しない、つまり今後は「東洋建設の株式を買い増す可能性もある」という。 ただ、市場の混乱などを避けるために、保有株式が3分の1を超えないようにし、かつ追加の買い付け価格は提示するTOB価格の1000円を超えないようにする、としている。 上記のリリース内容やこれまでの経緯からして、YFOが強引に会社を“乗っ取る”ような行動に出ることは考えにくい。 当面の焦点はやはり、6月27日に予定されている定時株主総会だ。 東洋建設が提案する新役員案について、YFO関係者は次のように明かす。「大林氏や平田氏といった、土木と建築という事業柱のバックグラウンドがある方については、(YFO側は)反対しないだろう。ただ、スキルセットを考慮したうえで、一部の役員候補については反対するかもしれない」。 この関係者のいうスキルセットとは、YFOが株主提案する役員候補との経営上のバランスのことだ。YFOは常勤取締役候補として、元三菱商事の代表取締役である吉田真也氏、元フジタの建築本部理事の登坂章氏、そして社外取締役候補として弁護士で日本ガバナンス研究学会理事の山口利昭氏などを提案する』、「YFO」は「東洋建設の同意を得ずに東洋建設株式を追加取得しないことを誓約していたが、5月24日までとしていた誓約期限を延長しない、つまり今後は「東洋建設の株式を買い増す可能性もある」という」、なるほど。
・『役員が混在する「連邦」体制になる可能性  YFOとしては、提案する新役員候補の9人全員が東洋建設の経営に参画することが前提だが、そのうち数名が選任されることも考えられる。つまり、結果としては、今後の東洋建設の経営は、東洋建設側が提案する役員とYFO側が提案する役員が混在する「連邦」体制になる可能性はある。 YFO側の株式保有比率は合計で27%超。一方、前田建設(20%超保有)と、ほかの親密な政策保有先が東洋建設を支持するとみられる。海外投資家がどう動くのかが、定時株主総会の行方を決定づける』、最終的にどうなったのかについては、12月20日付けロイター「「任天堂創業家の資産運用会社、東洋建設へのTOB提案取り下げ」として、 任天堂創業家の資産運用会社YFOは20日、東洋建設への株式公開買い付け(TOB)開始を取りやめると発表。12月下旬までに買い付けを始めることを目指していたが、東洋建設取締役会の賛同を得られていなかった 。YFOは、現時点で1株1255円を超える価格提案は難しく、東洋建設取締役会の賛同を取り付けるなどTOBの前提条件を満たすのは困難と判断。東洋建設の取締役会は6月の総会後にYFOが提案した取締役が過半を占めているが、今月14日に全員一致で反対意見を決議、結局、TOBを断念したようだが」、「YFO」の「取締役会は6月の総会後にYFOが提案した取締役が過半を占めている」にも拘らず、「全員一致で反対意見を決議」、とは意外だ。

次に、本年3月21日付け東洋経済オンライン「ブラザー工業が「対抗TOB」で狙う三度目の正直 ローランドDGが実施のMBOに「待った」をかける」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/742140
・『投資ファンドと組んだMBO(経営陣が参加する買収)に、「待った」をかけたのは協業関係にあった事業会社だった――。投資ファンドに普通の事業会社が噛みつくという構図の異例の事態が起きている。 ミシンで知られるブラザー工業は3月13日、産業用印刷中堅のローランド ディー. ジー.(DG)に対抗TOB(株式公開買い付け)を行う予定であると発表した。 ローランドDGに対しては、2月13日から3月27日までの期間で、タイヨウ・パシフィック・パートナーズによるTOBが行われている。タイヨウはアメリカの投資ファンドでローランドDGの大株主。ローランドDGのMBOの一環としてTOBが実施されている。TOB価格は1株あたり5035円だ。 一方のブラザーは5200円のTOB価格を提示した。タイヨウによるTOBが継続中もしくは不成立であることを条件に、5月中旬をメドに開始する。買収総額は640億円の見込み。これは2015年に買収したイギリスの産業印刷機メーカーの約10.5億ポンド(当時の為替レートで約1930億円)に次ぐ金額規模となる』、「投資ファンドと組んだMBO・・・に、「待った」をかけたのは協業関係にあった事業会社だった――。投資ファンドに普通の事業会社が噛みつくという構図の異例の事態」、確かに「異例」だ。
・『注力分野の1つが産業印刷機  ブラザーの売り上げ規模は8000億円超。世界的なミシンメーカーとして知られる同社だが事業領域は幅広い。 売り上げの過半を占めるのは家庭用インクジェットプリンターを中心とするプリンター関連で、ほかに産業印刷機、工作機械、通信カラオケの「ジョイサウンド」なども手がける。この中で近年注力しているのが産業印刷機と工作機械だ。 その産業印刷の分野で、広告看板向けの大型インクジェットプリンターに強みを持つのがローランドDG。布に印刷するガーメントプリンターや歯科用ミリングマシンなども手がけており、2023年12月期の売上高は540億円だった。 ブラザーはTOBの意義について、両社の資産共有によるローランドDGの競争力強化を第一に掲げる。開発にブラザーのインクジェット技術を活用、共同購買を通じた製造コストの削減が期待できるなど、同じ印刷業界だからこそ可能な価値向上施策を実施できるとする。 ブラザーにとっては産業印刷の強化にもつながる。ペーパーレス化が逆風といえるオフィスや家庭用のプリンターとは異なり、新興国で工業製品の消費が増えることなどによる市場の拡大が見込める。ブラザーの事業ポートフォリオ的には、産業印刷領域の拡大は望ましい』、「ブラザーの事業ポートフォリオ的には、産業印刷領域の拡大は望ましい」、その通りだ。
・『2度拒否されたTOB提案  今回のブラザーによる対抗TOBはローランドDGの同意を得ていない。いわゆる「同意なきTOB」だ。しかしブラザーの佐々木一郎社長は、「両企業にとって、さらにはお互いのお客様にとってもWin-Win-Winの関係を構築できる」との内容でコメントを出した。 実はブラザーはこれまでに2度、ローランドDGにTOB提案を拒否されている。1度目の提案は2023年9月。1株あたり4800円でTOBの提案を行った。2019年の1月頃から、ローランドDGとの親和性について意識し始めたという。同12月からは製品の共同開発を始め、関係を強化していた。 しかしローランドDGは提案に慎重な姿勢を示した。理由に挙げたのが「ディスシナジーの発生懸念」だ。ブラザーとの協議を繰り返すも、やはり懸念が拭えないことを理由に今年2月2日、協議の中止をブラザーに伝達した。 2度目の提案は協議中止から4日後の2月6日。TOB価格を1株あたり4850円に上げると伝えた。だがローランドDGの意思は変わらず、2月9日に再度TOBについての検討中止をブラザーに伝達した。 その日、タイヨウがMBOを前提としたローランドDGへのTOBを2月13日から始めると発表した。ブラザーは1度目の提案を行った昨年9月頃から水面下でMBOの準備が進んでいたことについて知らされていなかった。) もはや執念すら感じる今回の対抗TOBだが成功する可能性はある。 ローランドDGの株価は3月19日の終値で5460円。タイヨウはおろかブラザーが提示したTOB価格をも上回る水準だ。ローランドDGが当初描いたMBOには暗雲が漂う。 TOBに応募するかどうかを決めるのが株主である以上、その判断はTOBの価格に大きく左右される。このままMBOを進めるのであれば、タイヨウがブラザーよりも高いTOB価格を提示する必要がある。 ローランドDGは今後、取締役会などでの検討を経てブラザーの対抗TOBに対する推奨・非推奨の意を表明する予定だ。もし非推奨として3度目の拒否をする場合には、「ディスシナジー」についても踏み込んだ説明が求められるだろう』、「このままMBOを進めるのであれば、タイヨウがブラザーよりも高いTOB価格を提示する必要がある。 ローランドDGは今後、取締役会などでの検討を経てブラザーの対抗TOBに対する推奨・非推奨の意を表明する予定だ。もし非推奨として3度目の拒否をする場合には、「ディスシナジー」についても踏み込んだ説明が求められるだろう」、その通りだ。
・『過去の巨額買収は利益創出に課題  一方のブラザーも宿願成就の後が本番だ。 先述した2015年買収のイギリス産業印刷機メーカー、ドミノ・プリンティング・サイエンシズ社はブラザー入りして以降、売り上げ成長は続けている。ただ、利益創出に時間を要している。 買収後に投資がかさんでいる影響で、2023年3月期においてもドミノ事業の実質的な営業利益は56億円。100億円近くあった買収前の営業利益に遠く及ばない。 このブラザー史上最高額の買収となったドミノ社の事業統括は当時社長だった小池利和・現会長が就いた。今回のローランドDGへのTOBも小池会長が陣頭指揮を執っているとみられる。 ローランドDGのMBO、そしてブラザーの対抗TOBの行方を握るのは現状、タイヨウの出方にかかっている。勝敗が決するまでにもう一波乱ありそうだ。 ブラザー工業の株価・業績 は「四季報オンライン」で』、「2015年買収のイギリス産業印刷機メーカー、ドミノ・プリンティング・サイエンシズ社はブラザー入りして以降、売り上げ成長は続けている。ただ、利益創出に時間を要している。 買収後に投資がかさんでいる影響で、2023年3月期においてもドミノ事業の実質的な営業利益は56億円。100億円近くあった買収前の営業利益に遠く及ばない」、やはり「利益」がしっかり出せるかどうかがカギだ。

第三に、4月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した東京経済取締役東京本部長の井出豪彦氏による「「法律違反」「異常なやり方」M&Aで急成長する企業の“トップ解任騒動”の全内幕!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341414
・『後継者難などで悩む中小企業を次々買収してきた「MJG」(東京都港区、本社の外観写真あり)で、昨年11月に代表の田邑元基氏が解任される“クーデター”が発生した一件について、筆者は前回のダイヤモンド・オンラインの記事で報じた(なお、MJGは昨年10月にいったん、日本マニュファクチャリングホールディングスと社名を変更していたが、今年2月再び社名をMJGに戻した)。MJGでは一体何が起きているのか。2月の臨時株主総会と取締役会を経て代表に復帰した田邑氏が取材に応じた』、興味深そうだ。
・『田邑氏が解任された取締役会の議事録を入手  クーデターを受けて新代表に就任したA氏は代理人を通じてグループ会社や取引先に文書を送付し、田邑氏の解任理由について「田邑氏の代表取締役としての複数に及ぶ違法行為が判明している」などと説明していたが、具体的な違法行為の内容については言及がなかった。 このほど筆者は関係者から、田邑氏が解任された昨年11月14日の取締役会の詳細な議事録を入手した。それによれば田邑氏はMJGの実施した企業買収などに際し、取締役会決議を取っていないという会社法違反を指摘されていたことがわかった。 また、社外取締役4人はこの取締役会の翌日、一斉に辞任したが、このうち1人は取締役会で「田邑氏のM&Aのやり方は異常である。M&Aを資金繰りに使う、というのは完全に間違っている」などと発言していたことがわかった。MJGが2023年6月期中、新規に買収した会社からの預かり金として15億円を調達したなどと財務担当が説明したことを受けた発言である。 MJGは日本M&Aセンター名誉会長の分林保弘氏、レノバ名誉会長の千本倖生氏、上智大学大学院教授の織朱實氏らを社外取締役に招聘(しょうへい)するなどして、株式公開に向けてコンプライアンスの態勢を整えてきた経緯がある。 前回の記事掲載以降、筆者のもとには匿名を条件に「MJGの子会社のなかには親会社に資金を吸い上げられた結果、電気代や税金を払えないほど資金繰りに行き詰まっているところがある」との情報提供もあった。果たしてMJGとグループ会社約40社の経営は持続可能なのか。今回、2月の臨時株主総会と取締役会を経て代表に復帰した田邑氏が取材に応じた』、「田邑氏が解任された昨年11月14日の取締役会の詳細な議事録を入手した。それによれば田邑氏はMJGの実施した企業買収などに際し、取締役会決議を取っていないという会社法違反を指摘されていたことがわかった。 また、社外取締役4人はこの取締役会の翌日、一斉に辞任したが、このうち1人は取締役会で「田邑氏のM&Aのやり方は異常である。M&Aを資金繰りに使う、というのは完全に間違っている」などと発言していたことがわかった。MJGが2023年6月期中、新規に買収した会社からの預かり金として15億円を調達したなどと財務担当が説明したことを受けた発言である」、全く異常という他ない。
・『議事録に書かれた各取締役の発言内容  まず、クーデターが発生した昨年11月の取締役会でのやりとりについて議事録をもとに振り返る。なお、田邑氏を除く発言者はすでに会社を去っているため匿名化する。 「報告事項 全社財務状況の件」として財務担当の執行役員Z氏が「新規にグループインした会社からの預かり金として、15億円を調達した」と発言したことを受けて、次のやりとりがあった。 社外取締役P氏「グループ会社からの資金収集は借り入れなのか」 田邑氏「借り入れにはなっていない。前受金と配当金の前払いという形になっている」 Z氏「監査法人からは、借り入れなのか前受金なのか定義を明確にしてほしいと指摘されている。書面での契約は締結せずに各社に集金を指示している状況であり、社内でも定義ができていない。監査法人からも資金の流れを明瞭化してほしいと指摘が出ている」 田邑氏「キャッシュフローマネジメントにおいて、同一の資本のなかで資金繰りをしているということであり、処理の適切さについては、今後数字と構築を明確にすれば問題はない認識だ」 P氏「数字ではなく、グループ会社からの資金回収がどういう性格のものであるかが重要であり、適正さは監査法人が決めること」 田邑氏「ルールが明確ではないため、今後は金利の発生なども含めて整備していく」』、「全社財務状況の件」として財務担当の執行役員Z氏が「新規にグループインした会社からの預かり金として、15億円を調達した」と発言したことを受けて、次のやりとりがあった。 社外取締役P氏「グループ会社からの資金収集は借り入れなのか」 田邑氏「借り入れにはなっていない。前受金と配当金の前払いという形になっている・・・監査法人からも資金の流れを明瞭化してほしいと指摘が出ている」 田邑氏「キャッシュフローマネジメントにおいて、同一の資本のなかで資金繰りをしているということであり、処理の適切さについては、今後数字と構築を明確にすれば問題はない認識だ」、会計原則を無視した酷い処理だ。
・『「すべて独断」「やり方は異常」…会社法違反めぐる緊迫したやり取り  次に議題は「グループ全体の財務状況」に移る。そこで問題の会社法違反の指摘が出る。かなり長文となるが、発言内容は以下の通りだ。 Z氏「グループ会社からの借り入れ35億円の内容について、グループ会社全体で見る必要がある。将来退職金は、オーナーに株式取得額と将来的な退職金を合わせて提示することにより、初期の買収負担を軽減しつつ、オーナーのリテンションとして買収後も数年間頑張っていただく、という目的のもと設定している」 社外取締役Q氏「退職金の引き当ては行っているのか」 田邑氏「短いのもあるが、10年以上の契約もある」 Q氏「将来退職金は絶対に払わなければいけないものであり、これは負債である。負債に計上しているか、という話」 P氏「今日初めて将来退職金という設定をしていることを認識した。もし取締役会での承認なしで取締役田邑の独断で決定しているとしたら、かなり難しい問題である」 Q氏「もし対象者が死亡した場合、支払い義務が発生するのか」 田邑氏「状況によっては支払わなければいけないと理解している」 Q氏「状況によってではなく、将来退職金は契約で絶対に支払うべきもの。これは明確に定義すべきである」 田邑氏「株価対価(ママ)には記載されている」 Q氏「取締役に対しても明確に提示すべきだ。すべて独断で決めているのが問題である」 監査役R氏「会社法362条にて、取締役会において報告・決議すべきことが記載されている。最も重要な項目として、多額の資産の譲り受け、つまり買収に関しての内容が第1項に記載されている。買収理由、PMI(筆者注:M&A成立後の経営統合プロセスのこと)による5年間の業績改善計画、それを企業価値(ママ)に割り引いた場合、割安であるという提案を取締役会において実施し、そこで承認を得て進めることが投資。借入金が必要な理由を取締役会において説明をして承認されて初めて、借財に関する取引の実施が可能になる」 社外取締役S氏(会社法第362条を読み上げる) R氏「第3項の支配人そのほかの重要な使用人の選定について、つまり部長や執行役員のことであるが、10月1日に経営陣の体制を大きく変えたが、その際は取締役会において決議は取ったのか」 田邑氏「取っていない」 R氏「何のために取締役会を置いているのか、という疑問がある。田邑氏は会社法違反を重ねているということであり、取締役会設置会社としては由々しき事態である。監査法人や主幹事証券が認知するところとなれば、相当な指摘を受けかねないことであり、コーポレートガバナンスの基礎もなっていない状態。これは非常に由々しき事態であることを認識していただきたい」 田邑氏「M&Aの決定も私にしかでき得ないことであり、会社法が大事なのか会社を守ることのほうが大事なのかについてはまた議論すればよい。日々案件がある中、毎日取締役会をすることは難しい」 P氏「自分に能力があるから、自分で勝手に判断してもいい、会社法は後回しにしてもいい、というのは間違っている」 R氏「投資案件に関して、代表取締役田邑がスーパーハンターであることは認める。ただし、経営やM&Aのプロである社外取締役をなぜ活用しないのか。取締役会開催の頻度が問題なのであれば、取締役会の中に、投資委員会を設置すればよいのではないか」 Q氏「結局、田邑氏の独断になってしまう。M&A関連の投資は田邑氏が判断しなくてもよいことである。M&Aに関して、今まで何の相談もなかった」 P氏「田邑氏の今までの行動は法律違反である」 A氏「現状の議論はM&Aの継続可否が論点に含まれると認識したが、皆様の考えをお聞かせいただきたい」 Q氏「現状の田邑氏のM&Aのやり方は異常である。常識では考えられない。M&Aを資金繰りに使う、というのは完全に間違っている」 R氏「Q氏に同意で、これはM&Aとは呼ばない。現状のやり方は不動産購入と同じ」 Q氏「M&AはPMIでいかに買収企業の価値向上をするか、が目的であるが、現状グループ会社の価値向上に関して何も行っていない」 田邑氏「私が考えているM&Aは経営統合であり、資金はあるが技術がない、技術はあるが資金はない会社を経営統合して、各社の事業を継続していくというやり方である」 Q氏「買収した会社に対して何もしていない。田邑氏に決定権が集中しすぎている」 田邑氏「他の人に任せられればいいが、現時点で他に任せられる人がいない。今はグループ会社の従業員の生活を守ることを最優先としている」 P氏「従業員の生活を守ることと、法律を守ること、どちらが大事だと思うか」 田邑氏「法律も守れるように形を整えるしかないと考えている」 P氏「今の財務内容は、今までの田邑氏の法律違反の結果ではないのか」 田邑氏「組織として認識が甘かったことは認める」 P氏「これは会社法違反である」 Z氏「当社がグループ会社から資金授受している金額が、35億円。グループ会社全社の現預金は29億円、当社の現預金は6800万円であるためグループ全体で約30億円。問題は営業赤字の状態で166億円を借り入れているということ」 R氏「このような財務状況では、メガバンクは融資してくれないのでは」 田邑氏「元々メガバンクから融資は受けていない。他金融機関からの融資は受けられている」 Z氏「私の認識は田邑氏の認識と相違がある。今年9月にクロージングした会社の融資のため、8行の銀行を回った結果、X(筆者注:原文は金融機関の実名)とY(同)はグループ全体の資金収支状況の懸念を理由に見送りとなり、また他4行は営業利益状況と資金の使用使途が買収資金であるという点を理由に見送りとなった。残り2社は検討中という結果であった」 R氏「Xも含め誰も融資をしてくれないというのは、会社として由々しき事態なのではないか。正常な会社はどの金融機関も融資をしてくれるはず。財務状況を取締役会において協議しなかったというのはあり得ない」 田邑氏「取締役会において議論すべきであったかもしれないが、結局財務状況に関して責任を取れるのは私しかいない」 S氏「代表取締役が一人で責任を負うという点だが、取締役会の取締役には損害賠償責任が発生する。決議事項があり、それらが損害を被らせた場合、取締役にも責任が発生する」 田邑氏「取締役に迷惑をかけたい訳ではない。今後この財務状況をどう改善するかが重要」 Q氏「田邑氏に今までの経営判断、会社の財務状況を悪化させてきたことの責任がある」 田邑氏「各社の負債は、私が代表となり各社が背負っているもの」 R氏「代表取締役を選任するのは取締役会。取締役会に報告し事前協議を諮ることは義務である」 P氏「自分が全部やっているから自分が全部責任を持つ、ということのようだが、それであれば自分一人で会社をすればよかった。我々他の取締役を入れた上で、我々に責任と義務が発生する状態で、今まで協議がなかったということは由々しき事態」 こうした緊迫のやり取りを経て田邑氏は代表取締役を解任され、A氏が後任に就いたわけである。ただ、田邑氏は引き続き発行済み株式の約8割を保有するオーナーであり、株主の請求による臨時株主総会が今年2月13日に開催され、A氏が解任され、田邑氏が代表に復帰したのは前回の記事で報じたとおり。クーデターは鎮圧されたといえるが、信用回復は容易ではなさそうだ』、「会社法違反」は関係者からの告発がなければ、通常は問題とされない。「退職給与引当」は必ずしも正しく処理されてない可能性がある・・・経営陣の体制を大きく変えたが、その際は取締役会において決議は取ったのか」 田邑氏「取っていない」 R氏「何のために取締役会を置いているのか、という疑問がある。田邑氏は会社法違反を重ねているということであり、取締役会設置会社としては由々しき事態である。監査法人や主幹事証券が認知するところとなれば、相当な指摘を受けかねないことであり、コーポレートガバナンスの基礎もなっていない状態。これは非常に由々しき事態であることを認識していただきたい・・・元々メガバンクから融資は受けていない。他金融機関からの融資は受けられている」 Z氏「私の認識は田邑氏の認識と相違がある。今年9月にクロージングした会社の融資のため、8行の銀行を回った結果、X(筆者注:原文は金融機関の実名)とY(同)はグループ全体の資金収支状況の懸念を理由に見送りとなり、また他4行は営業利益状況と資金の使用使途が買収資金であるという点を理由に見送りとなった。残り2社は検討中という結果であった」 R氏「Xも含め誰も融資をしてくれないというのは、会社として由々しき事態なのではないか。正常な会社はどの金融機関も融資をしてくれるはず。財務状況を取締役会において協議しなかったというのはあり得ない」、どうも「他金融機関」との関係も悪化している可能性がある。
・『筆者の疑問に対する田邑氏の回答は  田邑氏はクーデターについてどう振り返り、今後いかに経営を立て直すのか。3月25日、田邑氏は本社の入っているビル「浜離宮ザ・タワー」の36階にあるプライベートオフィスで筆者の取材に応じた。主なやりとりは次のとおり(Qは聞き手の質問、Aは田邑氏の回答)。 Q:資金繰りが厳しい子会社があるようだ。 A:昨年買収した会社は、コロナ禍で毀損(きそん)していた会社が多い。銀行とのリレーションもうまくいっていないところもある。ただ、コロナが明け、MJGのグループに入ったことで改善しつつある。MJGには銀行とのリレーションがある。買収前にしっかりデューデリジェンスを行っており、改善の見込みがあるところしか買収していない。 Q:電気代すら払えていないという子会社があると聞いた。 A:どこのことかな? 工場なので電気代は結構な金額になる。昨年4月以降、経営と執行を分離し、執行をA氏らに任せたあと、資金繰りを先読みすることができず、おかしくなってしまった。7月、8月あたりからさまざまな問題が表面化したため厳しく叱責したが、改善しないので、元通り私が全部やるからA氏らに退いてくれと言ったところ、クーデターが起きてしまった。いま仕切り直ししている。 Q:足元のグループの有利子負債は160億円くらい? A:そこまでない。120億円くらい。それに対し現預金は20億~30億円ある。昨年7月から連結会計システムを導入しており、毎月5日には前月の月次決算ができる体制になっている。 Q:11月14日の取締役会では旧オーナーの退職金債務の話が出たが、いまはバランスシートで負債計上しているのか。 A:いまも負債として認識していない。上場するのであれば計上する必要があるが。 Q:上場計画はどうなったのか。 A:監査法人や主幹事証券会社とは契約を解消した。もともと上場するにしても私は東京プロマーケット市場を想定していたが、A氏らが入ってきて、プロマーケットでは資金調達できないからと東証グロース市場にターゲットを変更した経緯がある。MJGに上場するメリットはない。A氏らのやる気を出すために株を持たせたが、私は対価を受け取っていない。 Q:普通は1社買収して経営を立て直すだけでも大変な仕事なのに、事業内容も企業文化もバラバラの会社をこれほど多く買収して手が回るのか。 A:事業承継のニーズは非常に多い。買収時に外部の専門家に頼んで、事業デューデリもしっかりできている。得意先への値上げ交渉など、基本的なことを確実に進めていくだけでもずいぶん良くなる。コンサルは入れていない。将来的には開発設計の機能を持つ子会社と量産の機能を持つ子会社を連携させて、得意先に一貫して任せてもらう体制をとるなどグループのシナジーを発揮していく。しかし、まず足元は個々の子会社が自立できるようにすることが先決。MJGはプラットフォームの機能を果たす。 Q:MJGはA氏が代表を務めていた会社を買収しており、同社では現在田邑氏とクーデターの首謀者ともいえるA氏が共同代表になっている。いまの状態を続けるのか。 A:A氏に株式を売り戻してMJGから切り離すことになるだろう。同社は買収前から借入金の返済をリスケしており、低い株価しかつかない。昨年5月頃同社のバンクミーティングに出席したが、事業計画についてA氏は自ら説明せず、外部のコンサルに任せていた。経営者としてありえない。リスケしている子会社は他にも数社あるが、返済再開にこぎ着けているところもある。 Q:旧オーナーへの退職金の支払いでもめている会社があると聞いた。 A:旧オーナーではなく、その奥さんで取締役になっている人物から今回のゴタゴタを受けて辞任の申し出があり、退職金を払ってほしいと言われている。この会社についても旧オーナーに株を売り戻す可能性がある。 Q:グループ会社のなかには、買収直後に余剰資金をMJGに抜かれたと言っているところがある。取締役会でもM&Aを資金繰りに使っているという指摘があった。 A:キャッシュマネジメントシステム(CMS)の考え方を導入した。おかしくなったのはA氏らに任せてから。 Q:田邑氏のM&Aについて「不動産購入と同じ」との指摘もあった。 A:良い会社なら、金融機関から買収資金を借りても5年程度で返済できるかもしれない。しかし、不動産と違って中小企業の株に担保価値があるわけではない。たしかに私は不動産取引もいくつかしたことがあるが、M&Aを同じように考えていたら金融機関の信用を失ってしまう。 Q:CMSを導入するのであれば、資金使途の変更について子会社の借入先の金融機関との契約を結び直す必要があるのではないか。 A:その必要はない。子会社が借りた資金をMJGのM&Aに使うなどということは一切していない。実はメインバンクからは、グループの資金調達窓口をMJGに一本化しないかという提案を受けたが断っている。M&A案件は各地の金融機関の紹介から出てくるケースがあり、個々の子会社の金融機関との関係も大切にしたい。グループで40行程度の金融機関と取引がある。 Q:クーデター以降、新たな買収は行ったのか。 A:まだ開示できるものはないが、M&A仲介会社などから新規の案件は持ち込まれている。A氏らはM&Aを3年やめて上場するために足元を固めると言ってきた。しかし、私はM&Aをやめない。MJGが事業承継のモデルケースになる。いまは信頼できる人たちと経営できている。MJGと同じような会社がもっと出てくるといい。 田邑氏はインタビューにおいて、経営維持の自信を最後まで崩さなかった。MJGは混乱から立ち直って、中小企業の事業承継分野の希望の星になれるだろうか』、「Q:足元のグループの有利子負債は160億円くらい? A:そこまでない。120億円くらい。それに対し現預金は20億~30億円ある。昨年7月から連結会計システムを導入しており、毎月5日には前月の月次決算ができる体制になっている。 Q:11月14日の取締役会では旧オーナーの退職金債務の話が出たが、いまはバランスシートで負債計上しているのか。 A:いまも負債として認識していない」、「退職金」はやはり「債務」として認識してないようだ。「Q:CMSを導入するのであれば、資金使途の変更について子会社の借入先の金融機関との契約を結び直す必要があるのではないか。 A:その必要はない。子会社が借りた資金をMJGのM&Aに使うなどということは一切していない。実はメインバンクからは、グループの資金調達窓口をMJGに一本化しないかという提案を受けたが断っている。M&A案件は各地の金融機関の紹介から出てくるケースがあり、個々の子会社の金融機関との関係も大切にしたい。グループで40行程度の金融機関と取引がある・・・A:まだ開示できるものはないが、M&A仲介会社などから新規の案件は持ち込まれている。A氏らはM&Aを3年やめて上場するために足元を固めると言ってきた。しかし、私はM&Aをやめない。MJGが事業承継のモデルケースになる。いまは信頼できる人たちと経営できている。MJGと同じような会社がもっと出てくるといい。 田邑氏はインタビューにおいて、経営維持の自信を最後まで崩さなかった。MJGは混乱から立ち直って、中小企業の事業承継分野の希望の星になれるだろうか」、どう考えても「田邑氏」はM&A専門家として、情報に敏感なだけで、山師的で、財務原則順守・コンプラ意識も欠如しているようだ。こんな人物が「グループで40行程度の金融機関と取引がある」とは驚くべきことだ。しかし、取引金融機関のなかから、どうも怪しいとの見方が広がりだすと、一気に信用を失墜する可能性がある。
タグ:「YFO」は「東洋建設の同意を得ずに東洋建設株式を追加取得しないことを誓約していたが、5月24日までとしていた誓約期限を延長しない、つまり今後は「東洋建設の株式を買い増す可能性もある」という」、なるほど。 M&A(一般) 純資産200億円を上回るかどうか厳しい状況で、信用力が低下し、民間工事の受注も厳しかった。そこから、社員の頑張りもあり、収益を上げ、純資産を積み上げることができた。前2023年3月期末は純資産が700億円を超えた。立派な数字になったなと思う」、確かに再建を果たしたようだ。 「現任の武澤恭司社長と藪下貴弘専務執行役員の代表取締役2人が退任することも発表・・・特に、代表取締役2人が同時交代することは異例で、意外だった」とYFO関係者は語る・・・東洋建設は不動産開発事業に失敗し、債務免除を受け、2003年から前田建設工業の傘下で経営再建を図ってきた。武澤社長はその経営改革のまさに牽引者だった・・・社長就任当初は存続の危機だった。 「東洋建設はYFO側の話を聞くことに終始する、受け身一辺倒だったと言える。 ところが、今年3月の新中期経営計画発表時に「(経営の姿勢を)守りから攻めへ転換する」・・・と宣言すると同時に、YFOへ反撃の姿勢をみせるようになった」、なるほど。 「YFOが東洋建設に対して行っていたTOB提案」、「社内取締役2人、社外取締役7人の計9人の選任を求めるYFOによる株主提案」、に「反対」、なるほど。 東洋経済オンライン「任天堂創業家へ反撃!東洋建設「意外すぎる一手」 6月27日の株主総会を前に攻防がヒートアップ」 (その3)(任天堂創業家へ反撃!東洋建設「意外すぎる一手」 6月27日の株主総会を前に攻防がヒートアップ、ブラザー工業が「対抗TOB」で狙う三度目の正直 ローランドDGが実施のMBOに「待った」をかける、「法律違反」「異常なやり方」M&Aで急成長する企業の“トップ解任騒動”の全内幕!) 「ブラザーの事業ポートフォリオ的には、産業印刷領域の拡大は望ましい」、その通りだ。 「投資ファンドと組んだMBO・・・に、「待った」をかけたのは協業関係にあった事業会社だった――。投資ファンドに普通の事業会社が噛みつくという構図の異例の事態」、確かに「異例」だ。 東洋経済オンライン「ブラザー工業が「対抗TOB」で狙う三度目の正直 ローランドDGが実施のMBOに「待った」をかける」 東洋建設の取締役会は6月の総会後にYFOが提案した取締役が過半を占めているが、今月14日に全員一致で反対意見を決議、結局、TOBを断念したようだが」、「YFO」の「取締役会は6月の総会後にYFOが提案した取締役が過半を占めている」にも拘らず、「全員一致で反対意見を決議」、とは意外だ。 最終的にどうなったのかについては、12月20日付けロイター「「任天堂創業家の資産運用会社、東洋建設へのTOB提案取り下げ」として、 任天堂創業家の資産運用会社YFOは20日、東洋建設への株式公開買い付け(TOB)開始を取りやめると発表。12月下旬までに買い付けを始めることを目指していたが、東洋建設取締役会の賛同を得られていなかった 。YFOは、現時点で1株1255円を超える価格提案は難しく、東洋建設取締役会の賛同を取り付けるなどTOBの前提条件を満たすのは困難と判断。 監査法人からも資金の流れを明瞭化してほしいと指摘が出ている」 田邑氏「キャッシュフローマネジメントにおいて、同一の資本のなかで資金繰りをしているということであり、処理の適切さについては、今後数字と構築を明確にすれば問題はない認識だ」、会計原則を無視した酷い処理だ。 「全社財務状況の件」として財務担当の執行役員Z氏が「新規にグループインした会社からの預かり金として、15億円を調達した」と発言したことを受けて、次のやりとりがあった。 社外取締役P氏「グループ会社からの資金収集は借り入れなのか」 田邑氏「借り入れにはなっていない。前受金と配当金の前払いという形になっている・・・ MJGが2023年6月期中、新規に買収した会社からの預かり金として15億円を調達したなどと財務担当が説明したことを受けた発言である」、全く異常という他ない。 「田邑氏が解任された昨年11月14日の取締役会の詳細な議事録を入手した。それによれば田邑氏はMJGの実施した企業買収などに際し、取締役会決議を取っていないという会社法違反を指摘されていたことがわかった。 また、社外取締役4人はこの取締役会の翌日、一斉に辞任したが、このうち1人は取締役会で「田邑氏のM&Aのやり方は異常である。M&Aを資金繰りに使う、というのは完全に間違っている」などと発言していたことがわかった。 井出豪彦氏による「「法律違反」「異常なやり方」M&Aで急成長する企業の“トップ解任騒動”の全内幕!」 ダイヤモンド・オンライン 「2015年買収のイギリス産業印刷機メーカー、ドミノ・プリンティング・サイエンシズ社はブラザー入りして以降、売り上げ成長は続けている。ただ、利益創出に時間を要している。 買収後に投資がかさんでいる影響で、2023年3月期においてもドミノ事業の実質的な営業利益は56億円。100億円近くあった買収前の営業利益に遠く及ばない」、やはり「利益」がしっかり出せるかどうかがカギだ。 「このままMBOを進めるのであれば、タイヨウがブラザーよりも高いTOB価格を提示する必要がある。 ローランドDGは今後、取締役会などでの検討を経てブラザーの対抗TOBに対する推奨・非推奨の意を表明する予定だ。もし非推奨として3度目の拒否をする場合には、「ディスシナジー」についても踏み込んだ説明が求められるだろう」、その通りだ。 A:まだ開示できるものはないが、M&A仲介会社などから新規の案件は持ち込まれている。A氏らはM&Aを3年やめて上場するために足元を固めると言ってきた。しかし、私はM&Aをやめない。MJGが事業承継のモデルケースになる。いまは信頼できる人たちと経営できている。MJGと同じような会社がもっと出てくるといい。 田邑氏はインタビューにおいて、経営維持の自信を最後まで崩さなかった。MJGは混乱から立ち直って、中小企業の事業承継分野の希望の星になれるだろうか」、どう考えても「田邑氏」はM&A専門家として、情報に敏感な との契約を結び直す必要があるのではないか。 A:その必要はない。子会社が借りた資金をMJGのM&Aに使うなどということは一切していない。実はメインバンクからは、グループの資金調達窓口をMJGに一本化しないかという提案を受けたが断っている。M&A案件は各地の金融機関の紹介から出てくるケースがあり、個々の子会社の金融機関との関係も大切にしたい。グループで40行程度の金融機関と取引がある・・・ 「Q:足元のグループの有利子負債は160億円くらい? A:そこまでない。120億円くらい。それに対し現預金は20億~30億円ある。昨年7月から連結会計システムを導入しており、毎月5日には前月の月次決算ができる体制になっている。 Q:11月14日の取締役会では旧オーナーの退職金債務の話が出たが、いまはバランスシートで負債計上しているのか。 A:いまも負債として認識していない」、「退職金」はやはり「債務」として認識してないようだ。「Q:CMSを導入するのであれば、資金使途の変更について子会社の借入先の金融機関 いというのは、会社として由々しき事態なのではないか。正常な会社はどの金融機関も融資をしてくれるはず。財務状況を取締役会において協議しなかったというのはあり得ない」、どうも「他金融機関」との関係も悪化している可能性がある。 これは非常に由々しき事態であることを認識していただきたい・・・元々メガバンクから融資は受けていない。他金融機関からの融資は受けられている」 Z氏「私の認識は田邑氏の認識と相違がある。今年9月にクロージングした会社の融資のため、8行の銀行を回った結果、X(筆者注:原文は金融機関の実名)とY(同)はグループ全体の資金収支状況の懸念を理由に見送りとなり、また他4行は営業利益状況と資金の使用使途が買収資金であるという点を理由に見送りとなった。残り2社は検討中という結果であった」 R氏「Xも含め誰も融資をしてくれな 「会社法違反」は関係者からの告発がなければ、通常は問題とされない。「退職給与引当」は必ずしも正しく処理されてない可能性がある・・・経営陣の体制を大きく変えたが、その際は取締役会において決議は取ったのか」 田邑氏「取っていない」 R氏「何のために取締役会を置いているのか、という疑問がある。田邑氏は会社法違反を重ねているということであり、取締役会設置会社としては由々しき事態である。監査法人や主幹事証券が認知するところとなれば、相当な指摘を受けかねないことであり、コーポレートガバナンスの基礎もなっていない状態。 だけで、山師的で、財務原則順守・コンプラ意識も欠如しているようだ。こんな人物が「グループで40行程度の金融機関と取引がある」とは驚くべきことだ。しかし、取引金融機関のなかから、どうも怪しいとの見方が広がりだすと、一気に信用を失墜する可能性がある。
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半導体産業(その12)(東エレク レーザーテックは快進撃も…日本の半導体製造装置メーカーは実は「地滑り的敗戦」をしていた!、日本政府が「1兆円」を注ぎ込む「あとに退けない一大事業」の勝算は? 事業軌道に乗せるためにも「不可欠な条件」、TSMCが日本の補助金よりも欲した"2つの取引先" 台湾企業の失敗からラピダスが学ぶべきこと) [産業動向]

半導体産業については、2月24日に取上げた。今日は、(その12)(東エレク レーザーテックは快進撃も…日本の半導体製造装置メーカーは実は「地滑り的敗戦」をしていた!、日本政府が「1兆円」を注ぎ込む「あとに退けない一大事業」の勝算は? 事業軌道に乗せるためにも「不可欠な条件」、TSMCが日本の補助金よりも欲した"2つの取引先" 台湾企業の失敗からラピダスが学ぶべきこと)である。

先ずは、本年4月5日付けダイヤモンド・オンライン「東エレク、レーザーテックは快進撃も…日本の半導体製造装置メーカーは実は「地滑り的敗戦」をしていた!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341305
・『半導体株高をけん引する日本の製造装置メーカー。東京エレクトロンやレーザーテックなど、高い世界シェアで業界をリードしている企業が多い一方で、業界全体を見渡してみると深刻な状況に陥っている。市場規模が大きく、成長性が高い製品と分野で負けが続き、日本全体ではシェアが急落、米国に突き放され欧州に抜かれる状況になっているのだ。強い日本の製造装置業界に何が起こっているのか。特集『高成長&高年収! 半導体160社図鑑』の#5では、有望銘柄とその強みと共に、一見好調な製造業界の構造的問題について取り上げた』、興味深そうだ。
・『株価が130倍、20倍に暴騰した製造装置銘柄  その強さの秘密と本当の実力は  今の半導体関連株の高値をけん引する最大の立役者が半導体製造装置株だ。2014年には2000円台で推移していた東京エレクトロン(TEL)株は、現在なんと20倍の4万円台を付けている。 同じ製造装置のディスコ株は14年には3000円台で同じく16倍、14年に300円台だったレーザーテックは130倍の4万円台にまで伸びた。同期間でデバイスのルネサスエレクトロニクスは約2倍、素材の信越化学工業は約4倍の伸びだ。これに比較してもいかに装置株の伸び方が異常か分かるだろう。 「世界シェアトップ」「世界で他のどこにもできない技術を持つ」というきらびやかな修飾語が製造装置業界には付いて回る。そもそも、なぜ日本の製造装置は強いのか。歴史をひもといてみよう。 1980年代日本のデバイス企業が世界トップだった時代に、一蓮托生で製造技術を磨き併走することで成長してきたのが製造装置メーカーだ。 その後90年代以降、日本のデバイスメーカーは次々と凋落、事業撤退や縮小をしていく。だが、装置メーカーはその後台頭してきた韓国、台湾、それに米国のデバイス企業に広く製造装置を販売することで、事業を拡大してきた。 「経営のスピードが速く、経営者が事業に愛情を持ち、顧客との信頼関係を大事にするという経営スタイルが、アジア・米国の顧客企業にも受け入れられた。最初は欧米のものを優先するスタンスだった顧客も徐々に日本メーカーの製品に切り替えてくれるようになり、シェアを伸ばしていった」と、20年来製造装置企業の分析を行っているモルガン・スタンレーMUFG証券の和田木哲哉シニアアナリストは解説する。 中でも最近特異的に伸びているのが、生成AIのビジネスに絡む装置を販売できている企業だ。 例えば生成AI半導体に使われる米エヌビディアのGPU(グラフィックプロセッサユニット)を生産するのに必要なのが、最先端の微細加工が可能なEUV露光装置(極端紫外線を使い、シリコンウエハーに回路を焼き付けるための装置)だが、EUV向けのマスク(回路を焼き付ける元となる原板)検査技術を世界で唯一持っているのがレーザーテックだ。 EUVの登場と普及で、以前は100億円企業だった同社は売上高が10倍の1000億円規模に伸びた。同様に、GPUを動かすにはHBM(広帯域高速メモリー)という次世代DRAM(一時記憶用のメモリー)が必要だが、このHBM関連ビジネスに深く絡める研磨装置メーカーのディスコや検査装置メーカーのアドバンテストなどが大きく伸びている、といった具合だ。 今後半導体製造装置株に投資する場合は、どのような視点が必要なのか。さらに、一見絶好調の製造装置業界にアキレス腱はないのか。 実は、絶好調に見える製造装置業界だが、意外にも国内企業全体として見た場合、非常に危機的な状況にあるという。なにしろ、かつて5割を占めていたシェアは、23%に下がり欧州に抜かれて3番手になってしまっているからだ。これほど株価も高く市場に評価されている企業が多数あるだけに、意外な事実だ。その理由と企業ごとの注目ポイントや、中長期的な展望について和田木シニアアナリストに分析してもらった』、「絶好調に見える製造装置業界だが、意外にも国内企業全体として見た場合、非常に危機的な状況にあるという。なにしろ、かつて5割を占めていたシェアは、23%に下がり欧州に抜かれて3番手になってしまっているからだ」。なるほど。
・『既存・新規事業とも強い東京エレクトロンと業界トップの収益性のディスコに要注目  企業別に見ていこう。まずは代表格のTELだ。 多数の装置を抱える製造装置のデパートであるTELだが、特にコータ・デベロッパー(シリコンウエハー上に回路を焼き付けるための感光剤を塗り、現像する装置)、熱処理装置(シリコンウエハーを高温で熱して酸化、薄膜を形成する装置)、エッチング(回路を現像した後余分な部分を剥ぎ取るための装置)といった装置でシェアが昔から高い。「人材レベル、営業力、マーケティング力が向上し、既存ビジネスのシェアが上がっているのみならず、これまでの2倍以上の価格で売れる優れもののオンリーワン新製品を投入しており、収益性が向上している。高シェアを取れているコータ・デベロッパーでも大手の顧客との関係性が極めて良好で、ライバルを寄せ付けない」と和田木シニアアナリストは評価する。 さらに、グラインダ(ウエハーの裏側を研磨して薄くする装置)、ダイサー(ウエハーをチップごとに切り分ける装置)などで高シェアを持つのがディスコだ。売上高営業利益率では業界トップで「独自の経営スタンスを持ち、新興企業が価格競争を仕掛けてくるカテゴリに対しても高い競争力を維持している」(和田木シニアアナリスト)。 また、アドバンテストは、前ページで取り上げたようにGPUとHBM向けのテスタ(製品状態になった半導体を最終検査する装置)で他社を大きく突き放すシェアを握る。米テラダインというライバルはいるものの、その追撃を許さない状態になっている。また、米中摩擦で米国産の半導体製造装置が買えない中国メーカーからの受注を一手に引き受けることができたのも、好業績に貢献した。 装置各社の業績推移予測と将来の給与の伸びを見てみよう。下記にまとめた。 (図表:製造装置企業の業績予測 はリンク先参照) 市場データ企業IFISによる市場コンセンサス予想でも、これらの企業の売上高成長率は著しい。そしてIFISデータを基にダイヤモンド編集部で試算(試算方法は上記図注参照)した将来の給与水準は若干減少傾向にある企業が多い。そもそもこれらはエレクトロニクス業界最強の給与水準にある企業で、さすがにこれらがこのまま右肩上がりで伸び続けるのは厳しそうだという。それでもアドバンテストやローツェなどまだ伸びしろがありそうな企業もある。 このように、日本の製造装置業界は最強に見える。だが、実は全体を見渡してみると由々しき事態が進行している。前述した通り、90年は米国を上回り、世界のシェアの約5割を押さえていた日本は、この30年間で地滑り的にシェアを落としているのだ。 23年の日本のシェアはモルガン・スタンレーMUFG証券の推定によると23%。つまり、これまで3番手だった欧州にも抜かれてしまったということになる。 (図:国籍別半導体製造装置のシェアの推移 はリンク先参照) どうしてこうしたことが起こったのか。その理由の一つには「日本の装置メーカーが、成長市場や規模の大きい市場を多数取りこぼしている」ことがあると和田木シニアアナリストは指摘する。 以下は、モルガン・スタンレーMUFG証券作成の半導体の製造装置の市場規模と成長率の分布図だ。さらに、日本企業が50%以上のシェアを押さえている装置を編集部でマーキングしてみた。これで見ると、市場規模が大きいのはエッチング装置、露光装置、枚葉式CVD装置(シリコンウエハーに膜を付ける装置)などだ。そして成長率が高いのはマスク検査装置、ALD(新方式の成膜装置)などとなる。 ところが、このどちらも、日本企業はシェアが取れていない。 (図:装置別に見た成長率と市場規模の関係 はリンク先参照) 例えば、現在最先端品を作るのに欠かせなくなったEUV露光装置は、オランダASMLが独占的に供給している。露光装置は、ニコンとキヤノンの2社がシェアを牛耳る状態が2000年代まで続いていた。そこをASMLが新たな露光方式であるEUVで一気にひっくり返してしまったのだ。 日本の2社は現状ではEUVに対しては打ち手がなく、最先端の微細化には対応できない旧来方式の装置での事業に依存するしかなくなり、シェアを大きく落としてしまった。 これまで取り上げてきた日本が強い市場は、全体の規模からするとそこまで大きいわけではない。エッチング装置で2位に付けているTELや、EUVのレーザーテックなど一部を除くと、小さなしかも今後の成長率がいまひとつの池での高シェアを取っているにすぎない、ということになる。 この事態には、この30年間最先端の半導体技術を磨くための場が、国内には不在だった影響もありそうだ。前述のASMLは、ベルギーに拠点を置く世界最大級の独立系半導体研究開発機関、アイメックと密接な連携を行っている。 「近隣にこうした研究所があることは、新規で伸びる技術の見極めや、それを持ち帰り自社で行う開発・検証のスピード、それに顧客へのマーケティング面でも明らかに有利に働く」(和田木アナリスト)。欧州には先端技術をいち早く見いだし製品化するためのエコシステムがあるのだ。 各デバイスメーカーが国内での量産や先端技術の開発から次々と撤退してきた日本とは、環境面でかなりの差が生まれてしまった。 経済産業省が追加出資を発表した国策半導体会社ラピダスの設立に、各製造装置メーカーが期待を寄せるのはこのためだ。同社の東哲郎会長はTELで会長・社長職を長く務めた中興の祖でもある。国内でもう一度最先端半導体を作る、という一見無謀なチャレンジには、TELの経営を通して日本の半導体産業の失われた20年間を目撃しており、なんらかの打開策が国として必要という思いがあるからなのかもしれない。 失われた20年間を独自の経営努力で切り抜け、成長してきた輝かしい実績を持つ装置メーカー。だがさらなる成長のためには、国内の半導体産業全体の底上げが欠かせない。それには装置メーカーのみならず、国全体としての強化策と、その成否が鍵を握るのだ』、「日本の製造装置業界は最強に見える。だが、実は全体を見渡してみると由々しき事態が進行している。前述した通り、90年は米国を上回り、世界のシェアの約5割を押さえていた日本は、この30年間で地滑り的にシェアを落としているのだ。 23年の日本のシェアはモルガン・スタンレーMUFG証券の推定によると23%。つまり、これまで3番手だった欧州にも抜かれてしまったということになる・・・どうしてこうしたことが起こったのか。その理由の一つには「日本の装置メーカーが、成長市場や規模の大きい市場を多数取りこぼしている」ことがある・・・現在最先端品を作るのに欠かせなくなったEUV露光装置は、オランダASMLが独占的に供給している。露光装置は、ニコンとキヤノンの2社がシェアを牛耳る状態が2000年代まで続いていた。そこをASMLが新たな露光方式であるEUVで一気にひっくり返してしまったのだ。 日本の2社は現状ではEUVに対しては打ち手がなく、最先端の微細化には対応できない旧来方式の装置での事業に依存するしかなくなり、シェアを大きく落としてしまった」、「これまで3番手だった欧州にも抜かれてしまった」、など誠に残念な結果だ。

次に、4月9日付け現代ビジネスが掲載した経済ジャーナリストの町田 徹氏による「日本政府が「1兆円」を注ぎ込む「あとに退けない一大事業」の勝算は? 事業軌道に乗せるためにも「不可欠な条件」を紹介しよう』、興味深そうだ。
・『追加支援を行うと発表  齋藤健・経済産業大臣は先週火曜日(4月2日)の記者会見で、政府・経済産業省が最先端半導体の受託生産を目指すRapidus(ラピダス)に対し、今2024年度中に最大で5900億円の追加支援を行うと発表した。既存の支援額(3300億円)と併せて、政府の同社に対する直接的な支援の規模は1兆円に迫ることになる。 手厚い支援の背景には、経済安全保障の観点から半導体のサプライチェーン確立が必要不可欠な状況や、ラピダスが2027年頃の量産を目指している2ナノメートルサイズの半導体が「生成AIや自動運転など日本産業全体の競争力の鍵を握るキーテクノロジーである」(斎藤経産大臣)との問題意識がある。 今回、支援が決定した資金の使途は、従来から取り組んでいる米IBM社やベルギーの研究機関imecとの共同研究、量産化へ向けた製造プロセスのふかぼり、製造装置の購入などに充てる計画だ。また、半導体業界で「後工程」と呼ばれている技術(複数の半導体を1つの基盤に収納するチップレット技術など)の開発など、新たな分野にも充てると説明している。 ただ、今回で政府による支援が終わりということはないはずである。というのは、ラピダス自身も量産開始までに総額で5兆円程度の資金が必要だと認めているからだ。 客観的に見れば、ラピダスは、政府支援の積み増しのほか、民間金融機関からの借り入れ、上場を通じた公募増資や売り出しなど、様々な資金調達を実現できないと、量産の開始前に経営が行き詰まるリスクを抱えているのが実情だ。 そこで、今週は、ラピダスがそうしたハードルを超えるために。何が必要になっているのかを考えてみたい。 かつて日本の半導体産業は世界の市場を席捲したものの、長続きしたとは言い難い。というのは、日本メーカーの半導体部門は、家電メーカー内で従属的な立場にあり、あくまでも自社の家電製品などに組み込む部品としての半導体製造がビジネスの中心で、外販は限定的な副産物という位置づけに過ぎなかったからである。 そして、政治的な激しい日米半導体摩擦の勃発に加えて、半導体の主力市場がPC用のCPUなどに移り代わるという環境の激変もあり、日本企業は揃って、半導体部門の維持に必要な巨額の先行投資に二の足を踏むようになり、衰退の道を辿った経緯があるのだ』、「かつて日本の半導体産業は世界の市場を席捲したものの、長続きしたとは言い難い。というのは、日本メーカーの半導体部門は、家電メーカー内で従属的な立場にあり、あくまでも自社の家電製品などに組み込む部品としての半導体製造がビジネスの中心で、外販は限定的な副産物という位置づけに過ぎなかったからである。 そして、政治的な激しい日米半導体摩擦の勃発に加えて、半導体の主力市場がPC用のCPUなどに移り代わるという環境の激変もあり、日本企業は揃って、半導体部門の維持に必要な巨額の先行投資に二の足を踏むようになり、衰退の道を辿った経緯があるのだ」、なるほど。
・『またとない再興のチャンス  そうした中で、千載一遇の半導体産業再興のチャンスが巡ってきた。米国が中国とのデカップリング(経済の分断)を進める中で、世界の半導体業界のトップ3の中に自国企業がインテル1社しか含まれていないうえ、そのインテルが3位とはいえ、1位の台湾TSMCや2位の韓国サムスン電子に大きく後れを取っている状況に危機感を持ったからだ。そして、米政府は密かに、日本政府・経済産業省に対し、半導体製造部門を売却し、設計などに特化するファブレス企業への変身を目指しているIBMとのエクスクルーシブな(唯一の)提携先になるファウンドリを育成する考えがないか打診してきた。そして、この打診を「渡りに船だ」とみなした、日本政府・経済産業省が受け皿会社として設立・立ち上げを促したのが、現在のラピダスだった。 かねて政府に対して、半導体産業の再興の支援を働きかけていた、半導体製造装置会社・東京エレクトロンの社長・会長経験者である東哲郎氏(現ラピダス会長)と元日立製作所半導体グループ・生産技術本部本部長の小池淳義氏(現ラピダス社長)の2人に「白羽の矢を立てた」経緯がある。 ちなみに、日、米両政府はそれぞれ、巨額の支援をして半導体業界世界一の台湾のTSMCの工場の誘致も進めている。 話を戻すと、実際のラピダスの設立は、2022年8月のことだった。同年10月の総額73億円の増資にトヨタ自動車、NTTなど8社が応じたほか、設立時に出資した個人株主もいるとはいえ、同社の資本金は依然として73億4600万円(2022年11月時点)にとどまっている。 この現状は、あまりにも過小資本だ。ラピダス自身も5兆円規模の資金が必要だと認めているように、2ナノの先端半導体の量産化を実現するためには、巨額の資金を必要とするからだ。 この巨額の資金を賄うためには、さらなる政府支援の追加や、金融機関からの借り入れだけでなく、早期の上場を通じた大型資金調達が不可欠となっている。 そして、細かい市場ごとの上場基準などはさておき、新興企業が上場するために最も必要なことは、その企業のポテンシャルを示す成長シナリオをしっかりと描き出してみせることである。 この条件を、半導体のファブレス企業から発注を受けて量産するファウンドリを目指しているラピダスにあてはめると、最も重要なことは、実績のある、実在のファブレス企業から具体的な受注契約を獲得することになる。 では、ラピダスが量産の開始を目指す3年後、つまり2027年を想定して、2ナノ半導体の供給を必要としている企業は、いったいどこになるのだろうか』、「米政府は密かに、日本政府・経済産業省に対し、半導体製造部門を売却し、設計などに特化するファブレス企業への変身を目指しているIBMとのエクスクルーシブな(唯一の)提携先になるファウンドリを育成する考えがないか打診してきた。そして、この打診を「渡りに船だ」とみなした、日本政府・経済産業省が受け皿会社として設立・立ち上げを促したのが、現在のラピダスだった・・・ラピダスの設立は、2022年8月のことだった。同年10月の総額73億円の増資にトヨタ自動車、NTTなど8社が応じたほか、設立時に出資した個人株主もいるとはいえ、同社の資本金は依然として73億4600万円・・・この現状は、あまりにも過小資本だ。ラピダス自身も5兆円規模の資金が必要だと認めているように、2ナノの先端半導体の量産化を実現するためには、巨額の資金を必要とするからだ。 この巨額の資金を賄うためには、さらなる政府支援の追加や、金融機関からの借り入れだけでなく、早期の上場を通じた大型資金調達が不可欠となっている」、なるほど。
・『ラピダスに熱視線  誰もが容易に想定できるのは、生成AIの開発でしのぎを削っているグーグルやマイクロソフトといった米国の巨大IT企業群GAFAMだ。また、トヨタやテスラといった全自動運転の実用化を急ぐ自動車メーカーも大いに2ナノサイズの先端半導体を必要としているはずである。医療機器メーカーにもニーズがありそうだ。 言い換えれば、ラピダスは、そうしたIT大手や自動車メーカー大手、医療機器メーカーから、実際に、2ナノ半導体の製造を受注してみせる必要があるのである。 つまり、政府・経済産業省だけでなく、ラピダス自身も、今回の政府支援で獲得する資金を、これまで取り組んできた前工程に加えて、後工程の開発力の獲得に充てると製造面の体制作りの重要性を強調しているが、それだけでは不十分というワケだ。 むしろ、それらの製造技術の開発・強化と並行して、2ナノ半導体の顧客の獲得が待ったなしなのである。これらの企業とは、必要なスペックを詳細に詰めたうえで、委託(受注)契約に漕ぎ着けなければならない。そして、その契約を開示することで、持続的な成長力があることを実証して見せる必要があるのである。 そして、筆者の取材によれば、こうしたIT企業や自動車メーカー、医療機器メーカーは概して、ラピダスが2ナノ半導体を量産するファウンドリとして名乗りを上げたことをかなり好意的に受け止めているとみてよさそうなのだ。 というのは、現在、ファウンドリとしてこうしたAIや全自動運転用、医療機器用の最先端の半導体の量産に対応できる企業と言えば、米半導体大手のエヌビディア1社しかなく、独り勝ち状態になりかねないと見られていたからだ。GAFAMにしろ、自動車メーカーにしろ、医療危機メーカーにしろ、そろって自社のサプライチェーンの強靭性を維持するためには、半導体の供給元を複数以上にしたいとの思いも強く持っている。それゆえ、ラピダスに対しても相応に熱い視線を送っているというワケだ。 まとめると、ラピダスは今後3年以内に、ファウンドリとして構造が複雑な2ナノサイズの最先端半導体の製造技術を確立するだけでなく、最先端の半導体を組み込んで、最先端の生成AIや全自動運転、医療機器などの製品やサービスを市場に投入する計画を持っている最先端企業からパートナーとしての信頼を獲得し、生産の委託を受けなければならない。それが上場などへの道を開いて、必要な資金を獲得して、量産を軌道に乗せるためにも不可欠な条件になっているのである』、「ラピダスは今後3年以内に、ファウンドリとして構造が複雑な2ナノサイズの最先端半導体の製造技術を確立するだけでなく、最先端の半導体を組み込んで、最先端の生成AIや全自動運転、医療機器などの製品やサービスを市場に投入する計画を持っている最先端企業からパートナーとしての信頼を獲得し、生産の委託を受けなければならない。それが上場などへの道を開いて、必要な資金を獲得して、量産を軌道に乗せるためにも不可欠な条件になっているのである」、「ラピダス」にはこうした期待に応えてもらいたいものだ。

第三に、4月11日付け東洋経済オンラインが掲載したフリージャーナリストの杉本 りうこ氏による「TSMCが日本の補助金よりも欲した"2つの取引先" 台湾企業の失敗からラピダスが学ぶべきこと」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/746571
・『今、日本は半導体特需で沸きに沸いている。この熱狂の中心にいるのが半導体受託製造(ファウンドリー)の世界最大手、TSMCだ。2月に完工したTSMCの熊本工場は、日本の半導体産業と株式市場にとって大きな活性剤となっている。 この巨大企業を創業期から取材してきた台湾のハイテクジャーナリスト、林宏文氏が『TSMC 世界を動かすヒミツ」(CCCメディアハウス)』を日本で上梓。世界の半導体企業の興亡史をつぶさに見てきた林氏が、日本の半導体戦略に直言する(Qは聞き手の質問、Aは林宏文氏の回答)』、興味深そうだ。
・『TSMC熊本工場は「トヨタとアップルのため」  Q:2月にTSMCの熊本工場が完成しましたが、TSMCにとって日本で工場を建設する意義や目的はどこにあったのでしょうか。 A:日本に投資する理由については、TSMCのシーシー・ウェイCEOが過去に明確に述べています。すなわち「重要な顧客企業のため」なのだと。日本政府に請われたから、補助金が得られたからではないのだと、そうはっきり語っています。 重要な顧客の1つは、トヨタ自動車です。ウェイCEOは熊本工場の開所式にトヨタの豊田章男会長と面談した際、「(熊本工場は)TSMCが日本で半導体製造に乗り出す第一歩。ぜひトヨタの支援をいただきたい」「(自動車向け半導体が)今はTSMCにおいて小さな割合であっても、将来は伸びる。トヨタと一緒に成長したい」と語っています。 もう1つの重要な顧客は、アップルです。iPhoneはカメラ用の撮像素子(CMOSセンサー)を大量に消費しますが、それを供給しているのはソニーグループです。熊本工場が稼働すればソニーのCMOSセンサーの生産能力も上がり、結果としてアップルに貢献できます。) Q:アップルを筆頭に、TSMCの重要な顧客の多くはアメリカのハイテク企業です。重要市場であるアメリカに工場を作るのは理にかないますが、日本には作らないだろうと半導体関係者の多くは思っていました。TSMCは日本を重視するようになっているのでしょうか。 A:(リン・ホンウェン氏の略歴はリンク先参照)TSMCがアメリカをより重視してきたのは当然のことです。しかしその姿勢に、変化が生じているのではないかと私は感じています。 TSMCの経営陣は当初、アメリカのアリゾナ新工場のプロジェクトを「千載一遇の成長機会」と感じたはず。中国との半導体戦争という環境の中で、アメリカ政府はTSMCの新工場建設に巨額の公的支援を約束しましたからね。 しかし今となっては、アメリカ政府はTSMCの有力なライバルであるインテルのほうに、より大規模な支援を行うことが明らかになっています。そしてTSMCの新工場建設は、補助金がキャッシュインしないとか、技術人材が不足しているとかいった要因で遅れています。 TSMCのマーク・リュウ会長が6月に退任しますが、これははっきり言って、アメリカでの投資プロジェクトがうまくいかなかったことを受けた結果です。 一方、アメリカに比べて当初はあまり重要でないように見えた日本での工場建設は、予想以上に順調に進みました。その理由は、サプライヤーやゼネコンなど日本のパートナー企業が真剣に協力してくれたからでしょう。こういった日米の状況の変化が、TSMCの経営陣の姿勢に影響しつつあるようです。 実はTSMC創業者のモリス・チャン氏はずっと「アメリカへの投資は成功しない、アメリカの半導体製造の夢も実現しない」と言ってきました』、「今となっては、アメリカ政府はTSMCの有力なライバルであるインテルのほうに、より大規模な支援を行うことが明らかになっています。そしてTSMCの新工場建設は、補助金がキャッシュインしないとか、技術人材が不足しているとかいった要因で遅れています。 TSMCのマーク・リュウ会長が6月に退任しますが、これははっきり言って、アメリカでの投資プロジェクトがうまくいかなかったことを受けた結果です。 一方、アメリカに比べて当初はあまり重要でないように見えた日本での工場建設は、予想以上に順調に進みました。その理由は、サプライヤーやゼネコンなど日本のパートナー企業が真剣に協力してくれたからでしょう。こういった日米の状況の変化が、TSMCの経営陣の姿勢に影響しつつあるようです。実はTSMC創業者のモリス・チャン氏はずっと「アメリカへの投資は成功しない、アメリカの半導体製造の夢も実現しない」と言ってきました」、なるほど。
・『補助金で半導体産業は取り戻せるか?  Q:いつからそう指摘していたのですか。 A:アメリカのCHIPS法案(2022年に成立)が議論され始めた頃からです。チャン氏はアメリカの対中制裁には賛同しているものの、半導体製造復興政策に対しては一貫して反対してきました。) たとえば2022年8月にナンシー・ペロシ、アメリカ下院議長が台湾を訪れた際、訪台したアメリカ議員団にチャン氏はこう直言しています。 「TSMCのアリゾナ新工場が補助金の恩恵を受けられるのは喜ばしいことだ。しかし問題は、補助金を出せば半導体製造を掌握できるとアメリカが考えていることだ。事はそんなに簡単ではない。政府がお金を投じてから、実際に自国内に半導体製造業が創出されるまでには、長い道のりがある」 チャン氏がこのように断言するのは、1990年代にアメリカ・ワシントン州に現地企業と合弁で受託製造会社を作った経験からです。アメリカでの生産は、まったくうまくいきませんでした。生産コストやエンジニア、働き方をめぐる文化などの問題に直面したのです。これらの問題は、巨額を投じたからといって一朝一夕に解決できるものではありません。 TSMCの現在の経営陣はアメリカに工場を作ることについて楽観的だったのでしょうが、今となってはチャン氏の予言が正しかったと痛感しているでしょう。さらに日本での順調さが、経営陣の認識を変えつつあります。さらには、アメリカ政府に対しても大きなプレッシャーとなるのではないでしょうか』、「問題は、補助金を出せば半導体製造を掌握できるとアメリカが考えていることだ。事はそんなに簡単ではない。政府がお金を投じてから、実際に自国内に半導体製造業が創出されるまでには、長い道のりがある」 チャン氏がこのように断言するのは、1990年代にアメリカ・ワシントン州に現地企業と合弁で受託製造会社を作った経験からです。アメリカでの生産は、まったくうまくいきませんでした。生産コストやエンジニア、働き方をめぐる文化などの問題に直面したのです。これらの問題は、巨額を投じたからといって一朝一夕に解決できるものではありません」、その通りだ。
・『TSMCのライバルはIBMの技術で「失敗」  Q:日本政府は国策企業であるラピダスにも巨額の支援を行っています。ラピダスの使命は最先端のロジック半導体を国産化することですから、言い換えればTSMCのライバルも育成しているわけです。ラピダス自身は「TSMCとは競わない」と説明していますが、あなたはこの状況をどう見ていますか。 日本が半導体産業を振興すること自体は、私は非常にチャンスがあると思います。 半導体製造装置において、日本はアメリカ、オランダと並ぶ最重要国です。多くの半導体材料でも、日本企業がトップシェアを掌握しています。これは日本企業が長期的なR&D(研究開発)を重視してきた成果です。息の長いR&Dを重視する姿勢は、台湾よりも日本のほうが顕著。製造装置や材料の強みがさらに増す政策であれば、日本にとって大きな価値があると思います。) ただ、ことラピダスについては、日本の皆さんにシビアに伝えたいことがあります。 日本では先端半導体を作るプロセス技術が途絶えているため、ラピダスはIBMからの技術移転を選びましたよね。実はIBMからの技術移転は、台湾を代表する半導体メーカーも選んだことがあります。しかし失敗に終わっています。しかも企業成長を決定的に遅らせるほどの大きなつまずきとなりました。 その企業はUMC(聯華電子)です。UMCはTSMCと同様、台湾政府の支援で生まれました。当初のビジネスモデルは少し違っていたのですが、今はTSMCと同じ半導体受託製造の世界的大手です。しかもUMCの創業は1980年とTSMCより7年早い。 ところがUMCは2000年ごろを境に、TSMCに技術や業績の面で大きく引き離されてしまいました。これはUMCがIBMからの技術移転を選んだ影響が大きいと私は考えています。 2000年ごろ、当時の最先端プロセス技術である0.13マイクロメートル(130ナノメートル)をどうするかという局面で、UMCはIBMと共同開発しようと決めました。実はIBMの技術は、TSMCも検討しました。しかし当時の研究開発幹部が「IBMの工場にTSMCの技術者が行くのではなく、台湾の自社工場で研究開発をしなければ、開発成果を量産段階に反映できない」と考え、自主開発の道を選んだのです。 結果として、TSMCは2000年の研究着手から1年半で開発に成功。UMCはそこから2年遅れました。そしてこの後、TSMCとUMCの差はどんどん開いていったのです』、「UMCは2000年ごろを境に、TSMCに技術や業績の面で大きく引き離されてしまいました。これはUMCがIBMからの技術移転を選んだ影響が大きいと私は考えています。 2000年ごろ、当時の最先端プロセス技術である0.13マイクロメートル(130ナノメートル)をどうするかという局面で、UMCはIBMと共同開発しようと決めました。実はIBMの技術は、TSMCも検討しました。しかし当時の研究開発幹部が「IBMの工場にTSMCの技術者が行くのではなく、台湾の自社工場で研究開発をしなければ、開発成果を量産段階に反映できない」と考え、自主開発の道を選んだのです。 結果として、TSMCは2000年の研究着手から1年半で開発に成功。UMCはそこから2年遅れました。そしてこの後、TSMCとUMCの差はどんどん開いていったのです」、「UMC」が安易に「IBM」との「共同開発」を選択したことが、敗因になったようだ。
・『IBMからは学べないことがある  Q:ハイテクの世界で、2年分の技術差は致命的です。UMC同様、ラピダスもIBMからの技術移転でつまずくリスクも出てくるかもしれない。 A:過去に台湾企業が失敗したからと言って、ラピダスも「絶対にうまくいかない」とは断言しません。ただ台湾企業の経験を踏まえて、日本政府とラピダスにはIBMの強みと弱みを冷静に分析してもらいたいのです。 IBMが半導体技術の研究に強みがあることは事実です。しかしラピダスがやろうとしている半導体の受託製造とは、「顧客へのサービスとして半導体を製造する」というビジネスなのです。) ところがIBMは、今の最先端技術を使って半導体を量産したこともないし、ましてや受託製造のサービス業であったことはもちろんありません。 顧客のために、高度な半導体を製造することがどれだけ「辛苦」(つらい、大変)なことか想像できますか?量産ラインにおいて、どうすれば歩留まりを低減でき、半導体の品質とコストを下げられるのか。顧客からの突然の追加オーダーや、逆に思ってもみないキャンセルといった不測の事態に耐えるためには、工場の柔軟性や学習曲線をどう上げればよいのか? こういった要素は、ラボでの技術開発では得られません。IBMがこれらをどうやってラピダスに教えられるでしょうか。教えられないなら、ラピダスはどうやって学ぶのでしょうか』、「IBMが半導体技術の研究に強みがあることは事実です。しかしラピダスがやろうとしている半導体の受託製造とは、「顧客へのサービスとして半導体を製造する」というビジネスなのです。) ところがIBMは、今の最先端技術を使って半導体を量産したこともないし、ましてや受託製造のサービス業であったことはもちろんありません。 顧客のために、高度な半導体を製造することがどれだけ「辛苦」(つらい、大変)なことか想像できますか?量産ラインにおいて、どうすれば歩留まりを低減でき、半導体の品質とコストを下げられるのか。顧客からの突然の追加オーダーや、逆に思ってもみないキャンセルといった不測の事態に耐えるためには、工場の柔軟性や学習曲線をどう上げればよいのか? こういった要素は、ラボでの技術開発では得られません。IBMがこれらをどうやってラピダスに教えられるでしょうか。教えられないなら、ラピダスはどうやって学ぶのでしょうか」、その通りだ。
・『日本はかつての地位を追いかけるな  そもそも半導体というのは、何らかの夢を実現するための1つの部品に過ぎません。アップルのスティーブ・ジョブズはiPhoneの夢を実現するために独自半導体を追究しました。エヌビディアのジェンスン・ファンはAI(人工知能)の夢を実現しようとしています。こういった夢を追いかける顧客がいるからこそ、TSMCの成功があるのです。 Q:かつて日本でも、電機メーカーが家電やコンピューターなど最終製品の競争力を高めるために、半導体を自社で開発・生産していました。まず需要ありきということですね。 A:今ならたとえば、トヨタがハイブリッドカーや水素カーを世界に普及させる夢を抱いているじゃないですか。そのために半導体ができることは、かなりあります。日本はかつて半導体市場で圧倒的なシェアを持っていたため、当時の地位を取り戻したいと思うのかもしれません。 でも実のところ、自動車産業のような日本が今持っている強みをどう伸ばすかが重要。そこで必要な半導体を日本が設計さえすれば、TSMCがパートナーとなって製造することができるのです』、「でも実のところ、自動車産業のような日本が今持っている強みをどう伸ばすかが重要。そこで必要な半導体を日本が設計さえすれば、TSMCがパートナーとなって製造することができるのです」、その通りだ。
タグ:同年10月の総額73億円の増資にトヨタ自動車、NTTなど8社が応じたほか、設立時に出資した個人株主もいるとはいえ、同社の資本金は依然として73億4600万円・・・この現状は、あまりにも過小資本だ。ラピダス自身も5兆円規模の資金が必要だと認めているように、2ナノの先端半導体の量産化を実現するためには、巨額の資金を必要とするからだ。 この巨額の資金を賄うためには、さらなる政府支援の追加や、金融機関からの借り入れだけでなく、早期の上場を通じた大型資金調達が不可欠となっている」、なるほど。 ダイヤモンド・オンライン「東エレク、レーザーテックは快進撃も…日本の半導体製造装置メーカーは実は「地滑り的敗戦」をしていた!」 (その12)(東エレク レーザーテックは快進撃も…日本の半導体製造装置メーカーは実は「地滑り的敗戦」をしていた!、日本政府が「1兆円」を注ぎ込む「あとに退けない一大事業」の勝算は? 事業軌道に乗せるためにも「不可欠な条件」、TSMCが日本の補助金よりも欲した"2つの取引先" 台湾企業の失敗からラピダスが学ぶべきこと) 「絶好調に見える製造装置業界だが、意外にも国内企業全体として見た場合、非常に危機的な状況にあるという。なにしろ、かつて5割を占めていたシェアは、23%に下がり欧州に抜かれて3番手になってしまっているからだ」。なるほど。 半導体産業 ません」、その通りだ。 「米政府は密かに、日本政府・経済産業省に対し、半導体製造部門を売却し、設計などに特化するファブレス企業への変身を目指しているIBMとのエクスクルーシブな(唯一の)提携先になるファウンドリを育成する考えがないか打診してきた。そして、この打診を「渡りに船だ」とみなした、日本政府・経済産業省が受け皿会社として設立・立ち上げを促したのが、現在のラピダスだった・・・ラピダスの設立は、2022年8月のことだった。 日本の製造装置業界は最強に見える。だが、実は全体を見渡してみると由々しき事態が進行している。前述した通り、90年は米国を上回り、世界のシェアの約5割を押さえていた日本は、この30年間で地滑り的にシェアを落としているのだ。 23年の日本のシェアはモルガン・スタンレーMUFG証券の推定によると23%。つまり、これまで3番手だった欧州にも抜かれてしまったということになる・・・どうしてこうしたことが起こったのか。 「今となっては、アメリカ政府はTSMCの有力なライバルであるインテルのほうに、より大規模な支援を行うことが明らかになっています。そしてTSMCの新工場建設は、補助金がキャッシュインしないとか、技術人材が不足しているとかいった要因で遅れています。 TSMCのマーク・リュウ会長が6月に退任しますが、これははっきり言って、アメリカでの投資プロジェクトがうまくいかなかったことを受けた結果です。 杉本 りうこ氏による「TSMCが日本の補助金よりも欲した"2つの取引先" 台湾企業の失敗からラピダスが学ぶべきこと」 その理由の一つには「日本の装置メーカーが、成長市場や規模の大きい市場を多数取りこぼしている」ことがある・・・現在最先端品を作るのに欠かせなくなったEUV露光装置は、オランダASMLが独占的に供給している。露光装置は、ニコンとキヤノンの2社がシェアを牛耳る状態が2000年代まで続いていた。そこをASMLが新たな露光方式であるEUVで一気にひっくり返してしまったのだ。 日本の2社は現状ではEUVに対しては打ち手がなく、最先端の微細化には対応できない旧来方式の装置での事業に依存するしかなくなり、シェアを大きく落 「問題は、補助金を出せば半導体製造を掌握できるとアメリカが考えていることだ。事はそんなに簡単ではない。政府がお金を投じてから、実際に自国内に半導体製造業が創出されるまでには、長い道のりがある」 チャン氏がこのように断言するのは、1990年代にアメリカ・ワシントン州に現地企業と合弁で受託製造会社を作った経験からです。アメリカでの生産は、まったくうまくいきませんでした。生産コストやエンジニア、働き方をめぐる文化などの問題に直面したのです。これらの問題は、巨額を投じたからといって一朝一夕に解決できるものではあり 一方、アメリカに比べて当初はあまり重要でないように見えた日本での工場建設は、予想以上に順調に進みました。その理由は、サプライヤーやゼネコンなど日本のパートナー企業が真剣に協力してくれたからでしょう。こういった日米の状況の変化が、TSMCの経営陣の姿勢に影響しつつあるようです。実はTSMC創業者のモリス・チャン氏はずっと「アメリカへの投資は成功しない、アメリカの半導体製造の夢も実現しない」と言ってきました」、なるほど。 東洋経済オンライン 「ラピダスは今後3年以内に、ファウンドリとして構造が複雑な2ナノサイズの最先端半導体の製造技術を確立するだけでなく、最先端の半導体を組み込んで、最先端の生成AIや全自動運転、医療機器などの製品やサービスを市場に投入する計画を持っている最先端企業からパートナーとしての信頼を獲得し、生産の委託を受けなければならない。それが上場などへの道を開いて、必要な資金を獲得して、量産を軌道に乗せるためにも不可欠な条件になっているのである」、「ラピダス」にはこうした期待に応えてもらいたいものだ。 そして、政治的な激しい日米半導体摩擦の勃発に加えて、半導体の主力市場がPC用のCPUなどに移り代わるという環境の激変もあり、日本企業は揃って、半導体部門の維持に必要な巨額の先行投資に二の足を踏むようになり、衰退の道を辿った経緯があるのだ」、なるほど。 「かつて日本の半導体産業は世界の市場を席捲したものの、長続きしたとは言い難い。というのは、日本メーカーの半導体部門は、家電メーカー内で従属的な立場にあり、あくまでも自社の家電製品などに組み込む部品としての半導体製造がビジネスの中心で、外販は限定的な副産物という位置づけに過ぎなかったからである。 量産ラインにおいて、どうすれば歩留まりを低減でき、半導体の品質とコストを下げられるのか。顧客からの突然の追加オーダーや、逆に思ってもみないキャンセルといった不測の事態に耐えるためには、工場の柔軟性や学習曲線をどう上げればよいのか? こういった要素は、ラボでの技術開発では得られません。IBMがこれらをどうやってラピダスに教えられるでしょうか。教えられないなら、ラピダスはどうやって学ぶのでしょうか」、その通りだ。 町田 徹氏による「日本政府が「1兆円」を注ぎ込む「あとに退けない一大事業」の勝算は? 事業軌道に乗せるためにも「不可欠な条件」 「IBMが半導体技術の研究に強みがあることは事実です。しかしラピダスがやろうとしている半導体の受託製造とは、「顧客へのサービスとして半導体を製造する」というビジネスなのです。) ところがIBMは、今の最先端技術を使って半導体を量産したこともないし、ましてや受託製造のサービス業であったことはもちろんありません。 顧客のために、高度な半導体を製造することがどれだけ「辛苦」(つらい、大変)なことか想像できますか? 現代ビジネス できない」と考え、自主開発の道を選んだのです。 結果として、TSMCは2000年の研究着手から1年半で開発に成功。UMCはそこから2年遅れました。そしてこの後、TSMCとUMCの差はどんどん開いていったのです」、「UMC」が安易に「IBM」との「共同開発」を選択したことが、敗因になったようだ。 「でも実のところ、自動車産業のような日本が今持っている強みをどう伸ばすかが重要。そこで必要な半導体を日本が設計さえすれば、TSMCがパートナーとなって製造することができるのです」、その通りだ。 「UMCは2000年ごろを境に、TSMCに技術や業績の面で大きく引き離されてしまいました。これはUMCがIBMからの技術移転を選んだ影響が大きいと私は考えています。 2000年ごろ、当時の最先端プロセス技術である0.13マイクロメートル(130ナノメートル)をどうするかという局面で、UMCはIBMと共同開発しようと決めました。実はIBMの技術は、TSMCも検討しました。しかし当時の研究開発幹部が「IBMの工場にTSMCの技術者が行くのではなく、台湾の自社工場で研究開発をしなければ、開発成果を量産段階に反映 としてしまった」、「これまで3番手だった欧州にも抜かれてしまった」、など誠に残念な結果だ。
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心理学(その4)(「悪夢をよくみる人」に知ってもらいたい"夢"の話 なぜ夢を白黒でみる人とカラーの人がいるのか、【悪夢】頻繁に見る人に潜む病と「脳のカラクリ」 怖い夢には「抗ストレス作用」があるという説も、【寝ぼけ】「睡眠時の奇声」男性に多い病気の正体 自覚少なく、家族が気づいて病気がわかる例も) [生活]

心理学については、2022年6月20日に取上げた。今日は、(その4)(「悪夢をよくみる人」に知ってもらいたい"夢"の話 なぜ夢を白黒でみる人とカラーの人がいるのか、【悪夢】頻繁に見る人に潜む病と「脳のカラクリ」 怖い夢には「抗ストレス作用」があるという説も、【寝ぼけ】「睡眠時の奇声」男性に多い病気の正体 自覚少なく、家族が気づいて病気がわかる例も)である。

先ずは、本年2月24日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋大学社会学部社会心理学科教授の松田 英子氏による「「悪夢をよくみる人」に知ってもらいたい"夢"の話 なぜ夢を白黒でみる人とカラーの人がいるのか」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/654338
・『人は一生のうちに6年から7年半もの時間、夢をみているといいます。そして、「みる夢の内容によって、または夢をよくみるかどうかによって、その人の性格や年代がわかる」というのは、夢と睡眠の専門家・松田英子氏です。松田氏の新著『1万人の夢を分析した研究者が教える今すぐ眠りたくなる夢の話』より、その不思議なメカニズムについてお届けします。 私たちは通常、起きたあとには夢と現実を区別できますが、夢の中では夢を現実だと思っています。これは、夢をみている間は(脳の中で認知機能を担っている)前頭前野が不活発で、現実との違いを認識できないためです。みなさんにも「夢でよかった~」、あるいは「夢で残念……」という体験があるかもしれませんね。 夢は私たちの記憶の連続性も示しています。 目覚めているときに入力され、処理した情報を記憶し、整理したのが夢なので、覚醒中と睡眠時の思考には連続性があります。記憶が連続していることが、私が「私」であることを信じられる前提であり、私たちが生まれてから現在までの歴史を示しています。 つまり、年代による差や成長にともなう変化など、夢は生涯発達やパーソナリティ(性格)の差をはじめとした個人差を反映するからおもしろいのです。その一部を少しご紹介しましょう』、「人は一生のうちに6年から7年半もの時間、夢をみている」、「夢をみている」「時間」がそんなに長いとは初めて知った。
・『「夢が記憶に残りやすいか」で性格がわかる  その日の睡眠時間にもよりますが、人は毎晩3つから5つくらいの夢をみています。「年に1回夢をみるかどうか」という人も、実は寝ている間に何回も夢をみているのですが、朝起きたときに記憶に残っていないだけです。 ただ、夢を覚えているかどうかには、大きな個人差があります。夢をみる頻度が少ない人、つまり夢が記憶に残りにくい人を、専門的には「低想起者(ていそうきしゃ)」といいます。低想起者の性格的特性としては、情緒が安定していて、のんびり、穏やか、現実的で、ストレスにも柔軟に対処できる傾向があります。 反対に夢が記憶に残りやすい人は、ひと晩にみた夢を2つも3つも覚えていることがあります。夢をよく覚えている人は「高想起者(こうそうきしゃ)」といい、平均的には心配性で不安傾向の高い人です。これは、さまざまなことが気になり、夢の中でもなんとか準備しようとしているのではないかと推測します。夢の中でも準備が終わっていない、時間が間に合わない、何度も何度も繰り返して焦る、などがよく報告される内容です。 このように夢が記憶に残りやすいかどうかをパーソナリティと結びつけたのは、私が学部から大学院時代にかけて実施した、心理検査を用いた調査と睡眠実験によります。 正確に言えば、普段から夢をよく覚えている5人(高想起群)と、普段の生活でほとんど夢を覚えていない5人(低想起群)を抽出して、「毎晩夢をみているのは間違いないし、実験室でレム睡眠のときに起こせばどちらも夢の内容を報告できるのに、何が違うのだろう?」という発想から比較をおこないました。 なお、被検者のもともとの性格については、心理検査で確認しています。実際どちらのグループも、レム睡眠の時間には統計的に有意な差はなく、いずれのグループも夢を報告できたのですが、違いは「レム密度」でした。 つまり高想起者は低想起者よりレム睡眠の時間当たりにおける眼球運動の数が多かったのです。そして夢の内容の不安度が高かったのです。これは脳の活動レベル(覚醒水準)を反映していると考えています。 その当時は、高想起者は不安を引き起こしやすい性格特性があることがわかり、夢に現れた不安度に着目していましたが、いまは夢の鮮明さなども関係していると思われます。鮮明だから覚えているのか、情動的であるから覚えているのかは不明ですが、おそらくそのどちらでもあると考えます』、「普段から夢をよく覚えている5人(高想起群)と、普段の生活でほとんど夢を覚えていない5人(低想起群)・・・高想起者は低想起者よりレム睡眠の時間当たりにおける眼球運動の数が多かったのです。そして夢の内容の不安度が高かった」、なるほど。
・『夢が白黒かカラーか、年代によって違う  みなさんの夢には色がついていますか?それとも白黒でしょうか? 個人差は大きいのですが、白黒の夢をみるのは年配者に多く、若者にそのことを伝えるとみなさん驚きます。大学生では「夢は白黒です」という人はかなり少数派に入ります。) かつては「色つきの夢をみる人は脳に障害がある」「色のついた夢をみる人は知能が高い」などの俗説があったようですが、それは調べた時代によるものと考えられます。 日本でいつもカラーの夢をみる人は、1993年には約20%でした。2009年には20代ではカラーの夢は50%以上、60代以上では10%以上という調査報告があります。 夢が色つきか白黒かを決めるのは、加齢という発達的要因と、白黒テレビからカラーテレビへの変化という社会文化的要因が関連しているのではないかと考え、日本とドイツの研究者が実証研究を進めています。 一般的には、年齢を重ねると夢は鮮明度が淡くなり、画像処理でいえば少し画質を落とした感じになるようです』、「日本でいつもカラーの夢をみる人は、1993年には約20%でした。2009年には20代ではカラーの夢は50%以上、60代以上では10%以上という調査報告があります・・・夢が色つきか白黒かを決めるのは、加齢という発達的要因と、白黒テレビからカラーテレビへの変化という社会文化的要因が関連しているのではないか」、なるほど。
・『悪夢をポジティブに変容できる「明晰夢」  夢は睡眠中、自動的に起こる情報処理過程なので、基本的に自分の意識でコントロールできるようになっていません。もし、ある程度自分の意志で夢の内容をコントロールできるとしたら、眠りの時間はとても楽しくなるはずです。夢はもともと覚えるようにはできていないし、いやな夢ほど覚えていることが多いです。 この状況で思いどおりの夢をみるというのは困難なことですが、それでも「夢はどこまでコントロールできるか」をテーマに、生理心理学的視点からその存在証明に取り組んだ成果が「明晰夢」です。 明晰夢とは、「自分がいま夢をみていると自覚する夢」のことです。夢と現実の違いに気づくことをきっかけに、「夢をみている最中」だと自覚して、そのまま夢をみ続けることができる人もいれば、静かに、映画のように第三者的視点でみている人もいます。 さらに、夢の中に登場する自分の動きをコントロールすることができる人もいます。あたかも映画のディレクターのように、「夢なのだから……」とものを自由に取り出して事態の解決に役立てたり、自分が満足を得るような夢の結末になるように、途中から、あるいは最初から何度もやり直したりすることができる人もいます。 さらに夢の中でのひらめきを夢の中で記録することができるという人もいます。かつてスティーブン・ラバージらが著した『明晰夢の世界を探る』では、「人生は夢である。(夢は)生きるためのリハーサルである」というようなことが述べられていて納得します。 また、現代において明晰夢は、悪夢をみる患者の夢をポジティブに変容させるための支援法としても使用されているのです。) かつては「色つきの夢をみる人は脳に障害がある」「色のついた夢をみる人は知能が高い」などの俗説があったようですが、それは調べた時代によるものと考えられます。 日本でいつもカラーの夢をみる人は、1993年には約20%でした。2009年には20代ではカラーの夢は50%以上、60代以上では10%以上という調査報告があります。 夢が色つきか白黒かを決めるのは、加齢という発達的要因と、白黒テレビからカラーテレビへの変化という社会文化的要因が関連しているのではないかと考え、日本とドイツの研究者が実証研究を進めています。 一般的には、年齢を重ねると夢は鮮明度が淡くなり、画像処理でいえば少し画質を落とした感じになるようです』、「明晰夢とは、「自分がいま夢をみていると自覚する夢」のことです。夢と現実の違いに気づくことをきっかけに、「夢をみている最中」だと自覚して、そのまま夢をみ続けることができる人もいれば、静かに、映画のように第三者的視点でみている人もいます。 さらに、夢の中に登場する自分の動きをコントロールすることができる人もいます。あたかも映画のディレクターのように、「夢なのだから……」とものを自由に取り出して事態の解決に役立てたり、自分が満足を得るような夢の結末になるように、途中から、あるいは最初から何度もやり直したりすることができる人もいます。 さらに夢の中でのひらめきを夢の中で記録することができるという人もいます・・・日本でいつもカラーの夢をみる人は、1993年には約20%でした。2009年には20代ではカラーの夢は50%以上、60代以上では10%以上という調査報告があります。 夢が色つきか白黒かを決めるのは、加齢という発達的要因と、白黒テレビからカラーテレビへの変化という社会文化的要因が関連しているのではないか」、なるほど。
・『悪夢をポジティブに変容できる「明晰夢」  夢は睡眠中、自動的に起こる情報処理過程なので、基本的に自分の意識でコントロールできるようになっていません。もし、ある程度自分の意志で夢の内容をコントロールできるとしたら、眠りの時間はとても楽しくなるはずです。夢はもともと覚えるようにはできていないし、いやな夢ほど覚えていることが多いです。 この状況で思いどおりの夢をみるというのは困難なことですが、それでも「夢はどこまでコントロールできるか」をテーマに、生理心理学的視点からその存在証明に取り組んだ成果が「明晰夢」です。 明晰夢とは、「自分がいま夢をみていると自覚する夢」のことです。夢と現実の違いに気づくことをきっかけに、「夢をみている最中」だと自覚して、そのまま夢をみ続けることができる人もいれば、静かに、映画のように第三者的視点でみている人もいます。 さらに、夢の中に登場する自分の動きをコントロールすることができる人もいます。あたかも映画のディレクターのように、「夢なのだから……」とものを自由に取り出して事態の解決に役立てたり、自分が満足を得るような夢の結末になるように、途中から、あるいは最初から何度もやり直したりすることができる人もいます。 さらに夢の中でのひらめきを夢の中で記録することができるという人もいます。かつてスティーブン・ラバージらが著した『明晰夢の世界を探る』では、「人生は夢である。(夢は)生きるためのリハーサルである」というようなことが述べられていて納得します。 また、現代において明晰夢は、悪夢をみる患者の夢をポジティブに変容させるための支援法としても使用されているのです』、鮮明な夢をみているとされるレム睡眠の時間帯は、実は胎児からも観察されています。胎児のレム睡眠はたいへん長く、たっぷりある睡眠時間のうちレム睡眠とノンレム睡眠が半々で、生まれる直前が最長の時間です。 とはいえ、その夢はいわゆるわれわれがみる夢とは異なるのではないかと推測する研究者もいます。生まれたばかりの新生児は、まさに生きるために眠るといってよいと思いますが、一日に占める睡眠時間も16時間から20時間と長く、睡眠のサイクルは同じくレム睡眠が50%、ノンレム睡眠が50%です。 成長とともに睡眠時間は短縮し、レム睡眠とノンレム睡眠の割合も変化します。その後、成年期以降から老年期まで、レム睡眠が約20%、ノンレム睡眠が約80%で維持されていきます。 乳児から幼児までの間に脳の神経基盤(ニューロン間の回路[シナプス])を整えることは生存のために重要で、この時期に比較的量が多いレム睡眠は、これらシナプスの形成に重要な役割を果たすと考えられています。 この時期にみる夢を、夢と認識して語りはじめるまでに、少なくとも生後2~3年はかかるようです』、「現代において明晰夢は、悪夢をみる患者の夢をポジティブに変容させるための支援法としても使用されているのです・・・成長とともに睡眠時間は短縮し、レム睡眠とノンレム睡眠の割合も変化します。その後、成年期以降から老年期まで、レム睡眠が約20%、ノンレム睡眠が約80%で維持されていきます」、なるほど。
・『人生のうち6年から7年半も夢をみている  夢と認知発達研究の先駆者である心理学者デイヴィッド・フォルケスは、幼児と児童を中心に夢の認識について調査しました。 その結果、幼児期中盤の3~4歳で夢の報告があるのは約15%で、日常生活のワンシーンや何かを観察する受け身的な夢だそうです。まるでテレビか何かを視聴しているような感じで、きっとこの頃の夢は自分の外からやってくるものなのでしょうね。 幼児期後半の4~5歳では約30%で、友だちと遊ぶなど社会性が夢に現れてきます。生活空間の広がりが関連してくる時期であり、小学校に上がる7~8歳では、夢の主人公が自分で、夢は自分の内部から発生するものとわかりはじめるようです。これは自分の記憶を客観的に判断するメタ記憶が小学校の低学年から育ちはじめ、自分の記憶と夢の内容をセルフモニタリング(自己監視)できるように成長したということを意味しています。 ところが成年期をピークとして、加齢とともにゆるやかに夢の想起頻度は低下していきます。 また、小さい頃は悪夢を覚えていることが多いこともわかっています。これは自分を取り巻く世界のさまざまなことに自分の力で対処することが難しいためと考えます。 年齢によっても異なりますが、レム睡眠の時間は平均で全睡眠時間の20~25%です。日本人の平均年齢から試算して人生の時間を90年とすると、睡眠の時間は30年、そして夢みる時間は6年から7年半となります。 普段夢を覚えていない方はとくにビックリされることでしょう』、「レム睡眠の時間は平均で全睡眠時間の20~25%です。日本人の平均年齢から試算して人生の時間を90年とすると、睡眠の時間は30年、そして夢みる時間は6年から7年半となります」、意外に長いことに驚かされた。

次に、3月25日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋経済オンライン医療取材チームによる「【悪夢】頻繁に見る人に潜む病と「脳のカラクリ」 怖い夢には「抗ストレス作用」があるという説も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/654338
・『「受験で失敗する夢を見る」「何かに追いかけられる夢を見る」――。このような悪夢にうなされて、ハッと目が覚めた。そんな経験をしたことがある人も多いのではないのだろうか。運動などで睡眠の改善を図っても、悪夢を繰り返し見る場合は、もしかしたら重大な病気が潜んでいるかもしれない。 精神科医で、早稲田大学睡眠研究所所長の西多昌規さんに、悪夢を見るメカニズム、悪夢を見ることで考えられる疾患について話を聞いた。 人はなぜ悪夢を見るのか。それを知るためには、まずは睡眠の仕組みを理解する必要がある』、興味深そうだ。
・『睡眠の仕組みについて  私たちが眠りについて目が覚めるまでの間には、レム睡眠と、ノンレム睡眠という2種類の睡眠状態が繰り返されている。 レム睡眠は、眼球がキョロキョロと動く急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の頭文字から名づけられている。この間、体は休んでいるものの、脳は活動している。 一方、ノンレム睡眠はレム睡眠の逆で、体だけでなく脳も休息している。ノンレムはさらに「まどろみ期(ごく浅い睡眠)」「軽睡眠期(寝ていても、何かの音に気づいて起きることがある)」「深睡眠期(ちょっとやそっとでは寝覚めない)」の3つに分類される。 つまり、〈ノンレム睡眠(まどろみ期→軽睡眠期→深睡眠期)→レム睡眠〉が、1晩で4~5回繰り返され、夜明けになるにしたがってレム睡眠の持続時間が長くなる』、「レム睡眠は、眼球がキョロキョロと動く急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の頭文字から名づけられている。この間、体は休んでいるものの、脳は活動している。 一方、ノンレム睡眠はレム睡眠の逆で、体だけでなく脳も休息している・・・ノンレム睡眠(まどろみ期→軽睡眠期→深睡眠期)→レム睡眠〉が、1晩で4~5回繰り返され、夜明けになるにしたがってレム睡眠の持続時間が長くなる』、なるほど。
・『睡眠の経過とノンレム睡眠・レム睡眠  睡眠の経過とノンレム睡眠・レム睡眠(西多さんの提供資料を編集部で改編) はリンク先参照) 悪夢をあまり見ない人もいれば、子どもの頃から悪夢を見る人もあり、個人差がある。 では、なぜ悪夢を見るのか。それは、扁桃体と呼ばれる、恐怖心や不快感といった感情に深く関わっている脳の部位が、レム睡眠中に過活動になっているためだとされる。 これは過去のトラウマ経験を持つ人や、ストレスに晒されている人に見られる傾向だ。) 悪夢は過去の経験を反映している。上司や学校の先生に怒られたなど、ショックな出来事があれば、その日に怒られる夢を見る場合もあるし、受験に落ちたなど、若いころに経験したことが悪夢として現れる場合もある。 「日本は受験に対するプレッシャーが強く、 受験に間に合わなかったとか、不合格だったなど、大人になってからも試験に関係する悪夢が多いですね」(西多さん) ちなみに、4~5歳まではまだ人生経験が少ないため、夢の中身はシンプルで、悪夢もあまり見ることはない。悪夢を含めさまざまな夢を見るようになるのは、思春期で多感な年ごろになってからだそうだ。 また、睡眠時間が長いロングスリーパー気味の人や、昼間に寝て夜に活動する夜型の人のほうが、悪夢の発生率が高くなっている可能性もあるという。 「精神的に不調になると、睡眠時間が長くなる人もいます。この傾向は、一部の抑うつ状態の人にも見られます。睡眠時間が長くなると、睡眠の後半に出現しやすいレム睡眠の時間も長くなりがちです。昼まで寝ていると、レム睡眠が出現しやすくなります。起きがけに見る悪夢のため、その内容を覚えていることが多いです 」(西多さん)』、「なぜ悪夢を見るのか。それは、扁桃体と呼ばれる、恐怖心や不快感といった感情に深く関わっている脳の部位が、レム睡眠中に過活動になっているためだとされる・・・睡眠時間が長くなると、睡眠の後半に出現しやすいレム睡眠の時間も長くなりがちです。昼まで寝ていると、レム睡眠が出現しやすくなります。起きがけに見る悪夢のため、その内容を覚えていることが多いです」、「昼まで寝ていると・・・起きがけに見る悪夢のため、その内容を覚えていることが多いです」、とは面白い指摘だ。
・『悪夢=悪、とは限らない  悪夢は良くないものというイメージがあるが、一説には悪夢にはストレスを軽減させる抗ストレス作用があると言われる。したがって必ずしも“悪夢=悪”ではない。 だが、毎朝悪夢にうなされて起きるのは、大変つらい。悪夢を見ないようにすることはできるのだろうか。 たとえば適度な運動や、人との交流といった日中のストレス対策は、睡眠の質を改善し、悪夢の減少につながることがある。 西多さんによると、「悪夢を見ることが多いから」という理由で受診をする人はほぼいないという。ただし、悪夢を見ることで日中の仕事のパフォーマンスに影響が出たり、悪夢を見た本人が精神的なストレスを抱えていたりする場合は要注意だ。 「悪夢によって睡眠がとれなくなる、質が悪くなり、日中の生活に支障が生じているようであれば、脳の病気の可能性もあります。医療機関を受診してもいいでしょう」と西多さんは話す。 実は、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の人は、悪夢を頻繁に見る傾向にある。 PTSDとはなにかしらのトラウマ体験があり、時間が経ってもフラッシュバックする精神疾患だ。震災で被災した経験や、交通事故を目撃してショックを受けたことで症状が出現する。またパワハラやいじめによって生じる複雑性PTSDもある。 患者の中には、トラウマ体験から外に出るのが怖くなって外出を避けるようになったり、否定的な感情が強くなって人付き合いができなくなったり、といった症状が見られる。さらには、うつ病を併発する患者もいる。 西多さんは外来を受診する患者の中で、繰り返し見る悪夢に加えて日中のフラッシュバックなどを伴っている場合は、PTSDを疑うという』、「悪夢にはストレスを軽減させる抗ストレス作用があると言われる。したがって必ずしも“悪夢=悪”ではない・・・適度な運動や、人との交流といった日中のストレス対策は、睡眠の質を改善し、悪夢の減少につながることがある・・・PTSD(心的外傷後ストレス障害)の人は、悪夢を頻繁に見る傾向にある」、なるほど。

第三に、3月27日付け東洋経済オンラインが掲載した東洋経済オンライン医療取材チーム による「【寝ぼけ】「睡眠時の奇声」男性に多い病気の正体 自覚少なく、家族が気づいて病気がわかる例も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/659466
・『睡眠中に大声を発する、隣で寝ている家族に暴力を振るう。70代以上の高齢男性で問題となっているのが「レム睡眠行動障害」だ。睡眠中の身体的な行動には、寝ぼけたまま歩き回る「夢遊病」もあるが、レム睡眠行動障害とは別物だという。 なぜ寝ているにもかかわらずこうした行動をとってしまうのか。精神科医で、早稲田大学睡眠研究所所長の西多昌規さんに話を聞いた。 睡眠時の病気と聞くと、睡眠中に何度も呼吸が止まる「睡眠時無呼吸症候群」が思い浮かぶかもしれない。睡眠時無呼吸症候群と同じく、男性の患者が多い病気で、とくに70代の高齢者で問題となっているのが、レム睡眠行動障害だ』、「男性の患者が多い病気で、とくに70代の高齢者で問題となっているのが、レム睡眠行動障害だ」、興味深そうだ。
・『「レム睡眠行動障害」とは?  奇声をあげるほか、隣に寝ている人を殴る、蹴るといった暴力的な行動が見られるケースもある。一緒に寝ている妻が被害に遭うため、本人だけでなく家族も身の危険を感じる病気だ。 なぜそのような行動を起こしてしまうのか。それは名前の通り、レム睡眠が関係している。 人は寝ている間に、レム睡眠(脳が活動している状態)と、ノンレム睡眠(脳が休息している状態)の2種類の睡眠状態が繰り返されている。 本来、レム睡眠中の体は休息していて、眼筋や胸部の筋肉といった最低限の筋肉しか動いていない。ところがレム睡眠行動障害の患者の場合は、レム睡眠中も体が動いてしまう。 脳と筋肉をつなぐ神経が異常をきたしていることで、体が動いてしまうのだ。 70代の高齢男性は、人生の大半を仕事に費やしている人が多い。そのため「夢の内容は、部下を怒っているなど、仕事がらみのケースが多い」(西多さん) という。) レム睡眠行動障害の患者は、奇声をあげるなどの寝ているときの行動を覚えていない場合もあるが、「そういったこともあったかもしれない」といったあやふやながら記憶が残っている場合がほとんどだという。 だが、それが病気であるという危機感はほとんどない。むしろレム睡眠行動障害が発覚するのは、一緒に暮らす家族が夜中の異常行動に気づくパターンが多い。 さらには、単身で住む高齢者では、下の階の住人から苦情がきたことで病気が発覚することもあり、高齢者施設に入居しているのであれば、職員が気づく場合も少なくない』、「レム睡眠行動障害の患者の場合は、レム睡眠中も体が動いてしまう。 脳と筋肉をつなぐ神経が異常をきたしていることで、体が動いてしまうのだ。 70代の高齢男性は、人生の大半を仕事に費やしている人が多い。そのため「夢の内容は、部下を怒っているなど、仕事がらみのケースが多い」(西多さん) という」、タチが悪い症状だ。
・『「夢遊病」との違いは?  レム睡眠行動障害による異常行動は、レム睡眠が出現しやすい睡眠後半(夜中から明け方)によく見られるが、高齢者は早寝早起きのため、夜中の早い時間帯に表れることもある。睡眠不足など睡眠の質が関係する場合もあるが、昼間に見られることはほぼないそうだ。 またレム睡眠行動障害の症状は、毎日出るというわけでもない。日によって出ない日もある。 なぜ出る日・出ない日があるかは、原因は解明されておらず、その出現頻度も個人差がある。 “寝ている間に体が動く”と聞くと、「夢遊病」を思い浮かべる人もいるかもしれない。だが、夢遊病とレム睡眠行動障害は別物だ。 夢遊病は子どもに多い睡眠時の行動障害だ。脳の一部分が未熟なため、夜に大声で泣く、ベッド付近をうろうろするといった行動をとり、成長するとたいていの場合は症状が消える。 「夢遊病は、夢で遊んでいるようなイメージですが、レム睡眠行動障害は夢の中でどなりつけているような状態で、ほとんどの患者さんは楽しそうではありません」(西多さん) 実はレム睡眠行動障害は、手足が震えたり、筋肉がこわばる「パーキンソン病」や、幻視が繰り返されたり、会話が理解できなくなる「レビー小体型認知症」といった神経系の病気の初期の症状の可能性がある。 パーキンソン病やレビー小体型認知症は、ノンレム睡眠とレム睡眠の切り替えをつかさどる脳部位に異常が生じることで発症する。その初期症状としてレム睡眠行動障害が表れていると考えられているのだ。 パーキンソン病は日本では約1000人に1~1.5人いるとされ(難病情報センター)、レビー小体型認知症は推定90万人以上の患者がいる(小阪憲司監修『レビー小体型認知症がよくわかる本』)。 「患者さんがレム睡眠行動障害を疑って病院を受診する場合は、最初に精神科や心療内科を訪れるケースが多いのですが、原因となる神経の病気がある場合もあるので、まずはMRI(磁気共鳴断層撮影)などがある大きな病院で脳の検査を受けてほしい。その後に脳神経内科や精神科のクリニックなどで診てもらったほうがよいでしょう 」(西多さん)) 現代の医療では、パーキンソン病やレビー小体型認知症は、進行を抑えることしかできない。 ただ、レム睡眠行動障害は、薬物治療で症状を改善することができる。抗てんかん薬のクロナゼパム(リボトリール、ランドセン)という昔から処方されている薬が使われており、最近では漢方薬などの選択肢も増えている。 日中の運動で睡眠の質を改善することで、寝ている間の異常行動を抑えられるのでは、という考えを持つ人もいるかもしれないが、「レム睡眠行動障害そのものは、生活習慣で改善できる次元をすでに超えており、治療の必要があります」と西多さんは警鐘を鳴らす』、「夢遊病とレム睡眠行動障害は別物だ。 夢遊病は子どもに多い睡眠時の行動障害だ。脳の一部分が未熟なため、夜に大声で泣く、ベッド付近をうろうろするといった行動をとり、成長するとたいていの場合は症状が消える。 「夢遊病は、夢で遊んでいるようなイメージですが、レム睡眠行動障害は夢の中でどなりつけているような状態で、ほとんどの患者さんは楽しそうではありません」(西多さん) 実はレム睡眠行動障害は、手足が震えたり、筋肉がこわばる「パーキンソン病」や、幻視が繰り返されたり、会話が理解できなくなる「レビー小体型認知症」といった神経系の病気の初期の症状の可能性がある・・・レム睡眠行動障害は、薬物治療で症状を改善することができる。抗てんかん薬のクロナゼパム(リボトリール、ランドセン)という昔から処方されている薬が使われており、最近では漢方薬などの選択肢も増えている」、なるほど。
・『寝室に危険なものを置かない  では、家での対策はどうしたらいいか。 家族が患者本人と一緒に寝ている場合は、家族が危険な目に遭う恐れもある。極端な話かもしれないが、例えば野球選手ならバットなど、普段使い慣れている仕事道具を寝室に置いてあれば、振り回してしまう可能性もまったくないわけではない。 西多さんも「寝室に危険なものを置かないことはもちろんですが、寝ている間に動く場合は治療の必要があるため、すぐに病院にいきましょう」と話す。 もしも家族や周りで、睡眠中に奇声をあげる、暴力的な行動をとる、といった症状が見られる人がいたら、すぐに医療機関を受診したほうがよいだろう』、「寝室に危険なものを置かないことはもちろんですが、寝ている間に動く場合は治療の必要があるため、すぐに病院にいきましょう」、暴力的といのは困ったことだ。放置せず、医療機関の診断を受けるべきだろう。
タグ:「普段から夢をよく覚えている5人(高想起群)と、普段の生活でほとんど夢を覚えていない5人(低想起群)・・・高想起者は低想起者よりレム睡眠の時間当たりにおける眼球運動の数が多かったのです。そして夢の内容の不安度が高かった」、なるほど。 「男性の患者が多い病気で、とくに70代の高齢者で問題となっているのが、レム睡眠行動障害だ」、興味深そうだ。 東洋経済オンライン医療取材チーム による「【寝ぼけ】「睡眠時の奇声」男性に多い病気の正体 自覚少なく、家族が気づいて病気がわかる例も」 実はレム睡眠行動障害は、手足が震えたり、筋肉がこわばる「パーキンソン病」や、幻視が繰り返されたり、会話が理解できなくなる「レビー小体型認知症」といった神経系の病気の初期の症状の可能性がある・・・レム睡眠行動障害は、薬物治療で症状を改善することができる。抗てんかん薬のクロナゼパム(リボトリール、ランドセン)という昔から処方されている薬が使われており、最近では漢方薬などの選択肢も増えている」、なるほど。 「寝室に危険なものを置かないことはもちろんですが、寝ている間に動く場合は治療の必要があるため、すぐに病院にいきましょう」、暴力的といのは困ったことだ。放置せず、医療機関の診断を受けるべきだろう。 「夢遊病とレム睡眠行動障害は別物だ。 夢遊病は子どもに多い睡眠時の行動障害だ。脳の一部分が未熟なため、夜に大声で泣く、ベッド付近をうろうろするといった行動をとり、成長するとたいていの場合は症状が消える。 「夢遊病は、夢で遊んでいるようなイメージですが、レム睡眠行動障害は夢の中でどなりつけているような状態で、ほとんどの患者さんは楽しそうではありません」(西多さん) 「レム睡眠行動障害の患者の場合は、レム睡眠中も体が動いてしまう。 脳と筋肉をつなぐ神経が異常をきたしていることで、体が動いてしまうのだ。 70代の高齢男性は、人生の大半を仕事に費やしている人が多い。そのため「夢の内容は、部下を怒っているなど、仕事がらみのケースが多い」(西多さん) という」、タチが悪い症状だ。 「悪夢にはストレスを軽減させる抗ストレス作用があると言われる。したがって必ずしも“悪夢=悪”ではない・・・適度な運動や、人との交流といった日中のストレス対策は、睡眠の質を改善し、悪夢の減少につながることがある・・・PTSD(心的外傷後ストレス障害)の人は、悪夢を頻繁に見る傾向にある」、なるほど。 「なぜ悪夢を見るのか。それは、扁桃体と呼ばれる、恐怖心や不快感といった感情に深く関わっている脳の部位が、レム睡眠中に過活動になっているためだとされる・・・睡眠時間が長くなると、睡眠の後半に出現しやすいレム睡眠の時間も長くなりがちです。昼まで寝ていると、レム睡眠が出現しやすくなります。起きがけに見る悪夢のため、その内容を覚えていることが多いです」、「昼まで寝ていると・・・起きがけに見る悪夢のため、その内容を覚えていることが多いです」、とは面白い指摘だ。 「レム睡眠は、眼球がキョロキョロと動く急速眼球運動(Rapid Eye Movement)の頭文字から名づけられている。この間、体は休んでいるものの、脳は活動している。 一方、ノンレム睡眠はレム睡眠の逆で、体だけでなく脳も休息している・・・ノンレム睡眠(まどろみ期→軽睡眠期→深睡眠期)→レム睡眠〉が、1晩で4~5回繰り返され、夜明けになるにしたがってレム睡眠の持続時間が長くなる』、なるほど。 「レム睡眠の時間は平均で全睡眠時間の20~25%です。日本人の平均年齢から試算して人生の時間を90年とすると、睡眠の時間は30年、そして夢みる時間は6年から7年半となります」、意外に長いことに驚かされた。 東洋経済オンライン医療取材チームによる「【悪夢】頻繁に見る人に潜む病と「脳のカラクリ」 怖い夢には「抗ストレス作用」があるという説も」 「現代において明晰夢は、悪夢をみる患者の夢をポジティブに変容させるための支援法としても使用されているのです・・・成長とともに睡眠時間は短縮し、レム睡眠とノンレム睡眠の割合も変化します。その後、成年期以降から老年期まで、レム睡眠が約20%、ノンレム睡眠が約80%で維持されていきます」、なるほど。 という調査報告があります。 夢が色つきか白黒かを決めるのは、加齢という発達的要因と、白黒テレビからカラーテレビへの変化という社会文化的要因が関連しているのではないか」、なるほど。 さらに、夢の中に登場する自分の動きをコントロールすることができる人もいます。あたかも映画のディレクターのように、「夢なのだから……」とものを自由に取り出して事態の解決に役立てたり、自分が満足を得るような夢の結末になるように、途中から、あるいは最初から何度もやり直したりすることができる人もいます。 さらに夢の中でのひらめきを夢の中で記録することができるという人もいます・・・日本でいつもカラーの夢をみる人は、1993年には約20%でした。2009年には20代ではカラーの夢は50%以上、60代以上では10%以上 「明晰夢とは、「自分がいま夢をみていると自覚する夢」のことです。夢と現実の違いに気づくことをきっかけに、「夢をみている最中」だと自覚して、そのまま夢をみ続けることができる人もいれば、静かに、映画のように第三者的視点でみている人もいます。 「日本でいつもカラーの夢をみる人は、1993年には約20%でした。2009年には20代ではカラーの夢は50%以上、60代以上では10%以上という調査報告があります・・・夢が色つきか白黒かを決めるのは、加齢という発達的要因と、白黒テレビからカラーテレビへの変化という社会文化的要因が関連しているのではないか」、なるほど。 「人は一生のうちに6年から7年半もの時間、夢をみている」、「夢をみている」「時間」がそんなに長いとは初めて知った。 松田 英子氏による「「悪夢をよくみる人」に知ってもらいたい"夢"の話 なぜ夢を白黒でみる人とカラーの人がいるのか」 東洋経済オンライン (その4)(「悪夢をよくみる人」に知ってもらいたい"夢"の話 なぜ夢を白黒でみる人とカラーの人がいるのか、【悪夢】頻繁に見る人に潜む病と「脳のカラクリ」 怖い夢には「抗ストレス作用」があるという説も、【寝ぼけ】「睡眠時の奇声」男性に多い病気の正体 自覚少なく、家族が気づいて病気がわかる例も) 心理学
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昨日予告の通り、本日の更新は休むので、明日にご期待を!

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いじめ問題(その14)(「A子さんに頼まれた」“自殺ほのめかしノートに花マル” 奈良女児いじめ・担任教師が明かした「You can do it!」と記したワケ《調査報告書入手》、「やけどさされた」「ちゃいろになってる」転落死したタカラジェンヌの“悲痛LINE”を無視した“宝塚報告書”3つの問題点 現役宙組生は「私の訴えはもみ消された」《劇団がパワハラ認める》、「謝罪があまりに遅すぎた」“タカラジェンヌ飛び降り事件”阪急側がハラスメントを認め謝罪 遺族の最後の訴え“全文公開”「娘に会いたい、生きていてほしか [社会]

いじめ問題については、昨年3月4日に取上げた。今日は、(その14)(「A子さんに頼まれた」“自殺ほのめかしノートに花マル” 奈良女児いじめ・担任教師が明かした「You can do it!」と記したワケ《調査報告書入手》、「やけどさされた」「ちゃいろになってる」転落死したタカラジェンヌの“悲痛LINE”を無視した“宝塚報告書”3つの問題点 現役宙組生は「私の訴えはもみ消された」《劇団がパワハラ認める》、「謝罪があまりに遅すぎた」“タカラジェンヌ飛び降り事件”阪急側がハラスメントを認め謝罪 遺族の最後の訴え“全文公開”「娘に会いたい、生きていてほしかった」)である。

先ずは、昨年12月5日付け文春オンライン「「A子さんに頼まれた」“自殺ほのめかしノートに花マル” 奈良女児いじめ・担任教師が明かした「You can do it!」と記したワケ《調査報告書入手》」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/67588
・『〈わたしは死ねばいいのに〉 ​〈いっつもつらい、死ねばいいな、自分なんて、いなければよかった〉 奈良市の小学校の女子児童がノートに書いた自殺をほのめかす文章。担任教師はこの文章に花マルをつけ、「You can do it!!(あなたならできる)」と書き込み返却をしていた――。 今月6日、奈良市教育委員会は、市立小学校に通う女子児童が同級生から複数のいじめを受けていたことを公表し、「十分な調査を早期に行うべきだった」と不備を認めた。 小誌は、教育委員会等がまとめた「いじめ重大事態等に関する調査報告書」を独自に入手。そこには、いじめ被害を受けた女子児童が、花マルをつけた担任教師とどのような関係にあり、なぜ関係が悪化していったのか等が詳細に記されていた。 調査報告書は70ページに及び、女子児童が受けた様々ないじめの実態や経緯も明らかにしている。蹴る、足を踏む、ぶつかる、鉛筆で背中を突く、手を捻り突き飛ばす……報告書では計11件のいじめを認知し、その上で〈学校及び教育委員会事務局の対応の不十分さにも原因があった〉ことも指摘している』、「奈良市の小学校の女子児童がノートに書いた自殺をほのめかす文章。担任教師はこの文章に花マルをつけ、「You can do it!!(あなたならできる)」と書き込み返却をしていた――」、信じ難い出来事だが、「調査報告書は70ページに及び、女子児童が受けた様々ないじめの実態や経緯も明らかにしている。蹴る、足を踏む、ぶつかる、鉛筆で背中を突く、手を捻り突き飛ばす……報告書では計11件のいじめを認知し、その上で〈学校及び教育委員会事務局の対応の不十分さにも原因があった〉ことも指摘」、なるほど。
・『他の児童をかばったA子さんを「あんたらには関係ない!」と叱責  もっとも注目すべきは自殺をほのめかす文章に花マルをつけた担任教師(以下、X先生)と、女子児童(以下、A子さん)との間で何があったのかという点だ。以下、報告書に書かれている内容を、文意を損なわない程度に加筆し、紹介していく。 X先生がA子さんの担任となったのは、2022年4月のこと。二人の間に最初に“亀裂”が入ったのは約2カ月後、6月の校外学習での帰りのバスの中での出来事だった。 帰りのバスではおやつを食べてはいけないというルール を事前に伝えていたにも関わらず、ある児童がX先生に繰り返し「おやつ食べていい?」と尋ねたのだ。X先生はこの児童に対し、「あかんに決まってるやろ!」と厳しく叱責。このときA子さんは、叱責された児童をかばう発言した。それを聞いたX先生は、「あんたらには関係ない!」とこれまた厳しく叱りつけた。この一件以降、A子さんはX先生の指導に疑問を抱くようになったという。) 件の“花マル事件”が起きたのは2022年6月29日だ。既に前年からいじめを受けていたA子さんが、ノートに〈わたしは死ねばいいのに〉、〈死ねばいいな、自分なんて〉等と自殺をほのめかすような文章を記載。X先生はこうした記述があったことを管理職や保護者に連絡することなく、花マルをつけ〈You can do it!〉と書き込んだのだ。 X先生は、なぜこうした書き込みをしたのか。聴取ではこう述べている。 「時間をとってA子さんとじっくり話をしようと思いながらノートを返却したが、その後、A子さんに花マルをつけてほしいと頼まれた。花マルをつけにくい内容であることから一度は断ったが、A子さんに頼まれたので、心配していることを伝えて花マルをつけ、励ましの意味を込めて〈You can do it!〉と記載した」 しかし、A子さんは一貫してこのようなやり取りを否定。報告書にも〈児童Aが自ら進んでそのような申出をするとも考え難い〉と記されている。 X先生は聴取に対してこうも述べている。 「A子さんがママに伝えないでなどと言っていた」 だが、報告書ではこれについても〈不自然さが残る〉として、こう記されている。 〈児童Aが母のことを教員に伝えるときは「ママ」ではなく「お母さん」と表現していた』、「A子さんに花マルをつけてほしいと頼まれた。花マルをつけにくい内容であることから一度は断ったが、A子さんに頼まれたので、心配していることを伝えて花マルをつけ、励ましの意味を込めて〈You can do it!〉と記載した」 しかし、A子さんは一貫してこのようなやり取りを否定。報告書にも〈児童Aが自ら進んでそのような申出をするとも考え難い〉と記されている」、「X先生」は嘘をついたりと悪質だ。
・『「A子ちゃんが、『Cがウザいから無視しよう』と言ってきました」  その後も、A子さんとA子さんの両親がX先生に不信感を持つ出来事が頻出していく。 X先生の証言によれば、2022年7月4日、X先生のもとにBさんという児童が相談にやってきたという。 A子ちゃんが、『Cがウザいから(一緒に)無視しよう』と言ってきました」 これを聞いたX先生は、すぐさまA子さんを図書室に呼び出し、こう尋ねた。 「クラスの友達関係のことで、何か思い当たることはない?」) しかし、A子さんには思い当たる節がなかった。なぜならこれも、後のBさんへの聴取によって否定されているからだ。そのため、A子さんは頭を悩ませながらこう答えた。 「Cちゃんにノートを覗き見されて、『見んといてよ』と強く言ってしまったことかな……」 それを聞いたX先生はこう言った。 「そのことと違う。もう一回考えておいで」 X先生は、具体的な児童の名前、行為の日時や態様等を説明することなく抽象的な問いかけを続けた。不安になったA子さんは二日後の7月6日の夜、母親にこう気持ちを吐露している。 「X先生に呼び出されたんだけど、思い当たることがなくて、ずっと考えていて苦しい」』、「X先生は、具体的な児童の名前、行為の日時や態様等を説明することなく抽象的な問いかけを続けた。不安になったA子さんは二日後の7月6日の夜、母親にこう気持ちを吐露している。 「X先生に呼び出されたんだけど、思い当たることがなくて、ずっと考えていて苦しい」、なるほど。
・『実際はBさんのアンケートに、A子さんに関する記載はなかった  翌日の7月7日午前、A子さんの父親がX先生に電話をすると、こんなことを言われた。 「6月28日に実施した『こころといじめのアンケート調査』で、Bが『A子ちゃんからCさんを無視しようと誘われた』と書いているんですよ」 だが、これも後に否定されている。Bさんのアンケートの回答には、A子さんに関する記載がなかったのだ。なお、A子さんの両親は、この日になって初めて我が子がノートに自殺をほのめかすようなことを書いている旨も知らされた。 同日、X先生はA子さん、Bさん、Cさんの三人を集め、その場でA子さんに対して「Bさんに『Cがウザいから無視しよう』と言ったの?」と聞いた。するとBさんの方が「聞き間違いだったかもしれない」と答えたのだ。だが、結局X先生は双方に謝罪を促した。 A子「(無視しようと)言ったならごめん」 B「聞き間違っていたらごめん」 X先生は、Bさんを教室に戻した後、なおもA子さんに対して「どうして『Cさんがウザいから無視しよう』なんて言ったの?」と問いかけ、その場でCさんに対しても謝罪を促した。 その日の夕刻。A子さんの母親が、午前中のX先生と夫の電話のやりとりを受け、学校に連絡を入れた。そのとき、X先生は個人懇談中で電話に対応できなかったのだが、管理職に対し「(A子、B、Cの三人のトラブルについて)A子さんの保護者に連絡する際は、母親ではなく父親に説明する約束をA子さんとしている」と報告した(なお、A子さんはこうした約束についても一貫して否定している)。 学校側は、X先生の報告にもとづき、A子さんの母親に対し電話でそう説明。その後、X先生が家庭訪問する旨を伝えた。 同日、X先生が別の教員を伴いA子さん宅に訪問したが、A子さんは不在。そのため、その場で帰りを待つことになるのだが、A子さんの母親は「なぜ帰りを待たないといけないんですか? 今すぐ話をしてほしい」と求めたという』、「X先生は個人懇談中で電話に対応できなかったのだが、管理職に対し「(A子、B、Cの三人のトラブルについて)A子さんの保護者に連絡する際は、母親ではなく父親に説明する約束をA子さんとしている」と報告した(なお、A子さんはこうした約束についても一貫して否定している」、またしても「X先生」は嘘をついたことになるが、何故なのだろう。
・『「7月6日に初めて言ったので、1日しか悩ませていませんよ」  A子さんの帰宅後、X先生はA子さんの両親に席を外させ、玄関の外で「お父さんに話すと約束していたけど、今からお母さんに話していい?」と聞き、両親にトラブルの内容を報告。その席でX先生は、A子さんがBさんとCさんに対し謝ったことを受け、「A子さんが認めはりました」と発言した。 一方、A子さんの母親は、X先生に「もう一回考えて」と言われたことにより、A子さんが悩み苦しんでいたことを伝えた。だが、X先生はこう反論した。 「Cさんの件は7月6日に初めて言ったので、1日しか悩ませていませんよ」 だが、A子さんがそこで「図書室に呼び出されたのは、7月4日」だということを説明すると、X先生は再び反論。 「図書室に呼び出したのは、死にたいとノートに書いていた件で話を聞くためだった」 こうしたX先生のちぐはぐな説明を聞き、A子さんとA子さんの両親はさらに不信感を募らせていく。2022年7月19日には、クラスで配られた問題集の解答がA子さんの手元に渡っていなかったこと等が判明し、A子さんの母親は不信感をさらに増大させていったのである。 以上が、A子さんと花マルをつけたX先生の間に起きた事案の概要だ。 報告書には〈X教諭が児童Aの保護者に対し、いじめのアンケート調査の回答の記載に関して真実と異なる説明をしたことや、指導を行った日付についての説明内容が変わることが多々あったことについては、児童A及びその保護者から、X教諭だけなく学校に対する不信感を招来させることとなった〉とも記されている。 最後に、A子さんの代理人である三橋和史弁護士が言う。 「被害児童(A子さん)は、適応障害、心的外傷後ストレス障害を順次発症し、現在も学校生活において配慮が必要な状態が続いています」 奈良市は、近く調査結果を公表することにしているという』、「被害児童(A子さん)は、適応障害、心的外傷後ストレス障害を順次発症し、現在も学校生活において配慮が必要な状態が続いています」、どう考えても「X教諭」は正常ではない。「A子」さんの「適応障害、心的外傷後ストレス障害」の原因になっているような気がするのは、私だけだろうか。「教育委員会」ももっとしっかりしてほしいものだ。

次に、2月23日付け文春オンライン「「集団リンチのような目にあっていた」“タカラジェンヌ飛び降り事件”有愛きい(25)が死の2日前に浴びた“上級生からの罵声”「マインドがないのか!」「嘘つき野郎」《劇団がパワハラ認める》」を紹介しよう。これは、いじめとして取り上げるよりも、ハラスメントとして取り上げる方が適切なのかも知れないが、取り敢えず、いじめとして取り上げた。
https://bunshun.jp/articles/-/69188
・『宝塚歌劇団・宙組に所属する劇団員(享年25)が苛烈ないじめやハラスメントの末、自死した事件。2月23日、劇団側がパワハラがあったとする意見書の一部を認め、その見解を遺族に伝えたことが報じられた。一方で意見書には見解が異なる部分もあるとして、今後も遺族との協議を続けていくという。 11月の会見ではパワハラを“全面否定”していた宝塚。一体、何があったのか。「週刊文春」がこれまでに報じてきた記事を再公開する(初出:2023年10月19日号/年齢・肩書きは当時のまま)。 9月30日午前7時ごろ、兵庫県宝塚市のマンションに住む宝塚歌劇団の劇団員・有愛きい(25)が、敷地内で死亡しているのが見つかった事件。 週刊文春は有愛が亡くなる前日の29日、母親に〈精神的に崩壊している……〉といった趣旨のメッセージを送っていたことを報じた(#2)。 さらに28日には、有愛は同じ宙組の上級生から「集団リンチのような目にあっていた」(宙組の生徒)ことが週刊文春の取材で新たにわかった』、「上級生から「集団リンチのような目にあっていた」とは深刻だ。
・『メッセージに記されていた28日に何があったのか  社会部記者が明かす。 「9月30日午前7時過ぎ、マンションの住民が敷地内の駐車場で女性がうつ伏せに倒れているのを発見し、110番通報。女性は花壇の植え込みに倒れていた。駆けつけた捜査員がマンションを調べたところ、通路に彼女の所持品と思われる手提げ鞄を発見し、身元が判明した」 (亡くなった有愛きい(劇団公式HPより)写真を見る はりんく先参照) 有愛が所属する宙組の公演「PAGAD(パガド)」が初日を迎えたのは、死の前日である9月29日。その日、有愛は普段と変わらず舞台に立ち、帰宅したという。だが、前述の通りこの日、有愛は母親あてに〈精神的に崩壊している……〉といった趣旨のメッセージを送っていた。 一体何があったのか。 今回新たにわかったのは9月28日の出来事だ。この日は翌日から開幕する宙組公演「PAGAD」の通し稽古が行われた』、女性ばかりの集団であれば、いじめは陰湿そうだ。
・『「マインドが足りない」「この嘘つきが!」上級生から罵声  「稽古中、有愛さんは4人の上級生から『下級生の不手際は、すべてお前の責任だ』と集団リンチのような目にあっていました。ある上級生から『マインドが足りない。マインドがないのか!』と罵声を浴びせられると、今度は別の上級生から『この嘘つきが!』『嘘つき野郎』と面罵されていました……」(劇団関係者) (最後に出演した舞台のポスター(劇団公式HPより)写真を見る はリンク先参照) 「週刊文春 電子版」では、有愛を知る宙組の生徒たちを含む内部関係者十数人からの告発を基に、事件の真相を徹底取材。有愛を悩ませていた4人の上級生からの度を越した「指導」の実態から、「ヘアアイロン事件」の本当の顛末、そして悲劇を招いた劇団の隠蔽体質について詳報している。 今回の事件について情報を募集しています。文春リークスまで情報をお寄せください。 文春リークス:https://bunshun.jp/list/leaks』、「有愛さんは4人の上級生から『下級生の不手際は、すべてお前の責任だ』と集団リンチのような目にあっていました。ある上級生から『マインドが足りない。マインドがないのか!』と罵声を浴びせられると、今度は別の上級生から『この嘘つきが!』『嘘つき野郎』と面罵されていました……」、誠にひどいいじめだ。

第三に、この続きとして3月28日付け文春オンライン「「謝罪があまりに遅すぎた」“タカラジェンヌ飛び降り事件”阪急側がハラスメントを認め謝罪 遺族の最後の訴え“全文公開”「娘に会いたい、生きていてほしかった」」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/69917
・『宝塚歌劇団の劇団員の女性(25)が昨年9月に自死した事件。3月28日、劇団と遺族側代理人弁護士がそれぞれ会見を開き、遺族が主張してきた、上級生らによるパワハラ全てを認め、阪急阪神ホールディングスの角和夫会長が遺族に謝罪したことを発表した。 小誌『週刊文春』が昨年2月に報じた所謂「ヘアアイロン事件」をはじめ、上級生による「下級生の失敗は全てあんたのせいや」「マインドが足りない」などの罵倒に象徴される、計15のパワハラ行為があったと、遺族側は主張。劇団と半年に及ぶ協議を続けてきた。 これまで劇団は、ヘアアイロン事件を「事実無根」とし、上級生によるパワハラを否定してきた。 昨年11月の会見では、村上浩爾理事長が「証拠があるなら是非お見せいただきたい」と発言していた』、「昨年11月の会見」では事実確認が不足していたのだろうが、完全否定の姿勢が守りきれなかったのは、お粗末だ。
・『6名の上級生らによる謝罪文を遺族に提出  一転してパワハラを認めた背景は何か。劇団関係者が内情を明かす。「パワハラ主犯格である松風輝組長、トップスターの芹香斗亜が頑なにパワハラを否定してきた。劇団が年度内の解決を目指す中、劇団と2人が何度も話し合いを重ね、2人は3月上旬頃に一転してパワハラを認める意志を固めた。謝罪するのがあまりに遅すぎました」 ((左)宙組組長の松風輝(右)宙組トップスターの芹香斗亜 はリンク先参照) 劇団は、劇団幹部と上級生10名以上のパワハラ行為を認めた。角会長ら劇団側が謝罪した際、6名の上級生らによる謝罪文が遺族に手渡されたという。 さらにヘアアイロン事件の加害者である上級生も近々謝罪文を提出する予定だという』、「パワハラ主犯格である松風輝組長、トップスターの芹香斗亜が頑なにパワハラを否定してきた。劇団が年度内の解決を目指す中、劇団と2人が何度も話し合いを重ね、2人は3月上旬頃に一転してパワハラを認める意志を固めた。謝罪するのがあまりに遅すぎました」、当初2人が「パワハラを否定」したとしても、それを確認するのがマネジメントの役割で、それが十分に機能してなかったようだ。
・『公開された遺族の訴え「『事実無根』と発表したときに抗議すれば良かった」  遺族側代理人の川人弁護士は会見で、「『治外法権』のような劇団内部の実態を改革し、悪しき伝統を見直す第一歩として重要な意義を有する」「パワハラ行為がもたらす結果の重大性を内外に警告する結果となった」などとコメントし、「(阪急阪神)グループが反省し改善すべきことは無数にある」と強調した。 また、この日の会見では遺族の「訴え」も公開された。その全文は下記の通りだ。  2024年3月28日   訴え  遺族(母) あの日から季節は幾度か変わりましたが、私たちの時間は止まったままです。 娘を想わない日はありません。娘に会いたい、抱きしめたい、ここに居てくれたらと一日のうちの瞬間、瞬間に何度も思っています。 そして、助けられなかったことを悔い、娘に謝っています。 娘の夢をみて、目覚めた時の現実の虚しさに打ちのめされる、そんな朝を何度迎えたでしょうか。 パワハラが無かったことを前提に作られた調査報告書は、こともあろうか劇団HPに掲載されました。 過重労働については見解の違いはあったものの、ある程度認める内容でしたが、パワハラについては、全ては娘に非があった、そのための正当な範囲内での指導だった、パワハラは一切無かったという酷い内容でした。 劇団が依頼した弁護士の聞き取りの場で、私たちが提出した娘の悲痛な言葉や証拠、 そしてパワハラを実際に見聞きし、全てを話してくださった劇団員さんの数々の証言も全く反映されておらず、パワハラを行った側を擁護する内容でした。 劇団側にHPでの掲載を止めるように繰り返し求めましたが、1ヶ月以上経ってからようやく抹消されました。 調査報告書の内容を盾に「パワハラはありませんでした」と断言され、「証拠があるならぜひお見せいただきたい」と画面越しに挑んでこられた劇団の記者会見は、今でも鮮明に覚えています。 それに対して、調査報告書の誤りを詳しく指摘し、私たちが入手した証拠や劇団員さんからの証言を、直接提出しましたが、劇団は、第三者委員会を設置することはなく、パワハラを行った人の意見のみを聞き、それを擁護しました。 今更ながら、2年半前にへアアイロンによる火傷があった時に泣き寝入りせず、声を上げれば良かった、昨年2月に劇団がへアアイロンによる火傷の事実を「事実無根」と発表したときに抗議すれば良かったと、後悔してもしきれません。 いずれにしても、事実は隠蔽され、娘の居場所は無くなっていたかもしれません。けれど、声をあげておけば、娘の命は救えていたはずです。 阪急阪神ホールディングス、宝塚歌劇団の幹部の方々に、もしご自分の娘が同じことになったら、どうされたのかと、お尋ねしたいです。 娘は決して弱かったわけでも、我慢が足りなかったわけでもありません。過酷な労働環境と、酷いパワハラの中でも、全力で、笑顔で舞台に立っていました。強く生きていました。 私たちはそんな娘を誇りに思っています。 娘の尊厳を守りたい一心で、今日まできました。 事実を訴え続けた結果、当初は過重労働のみを認め、一切パワハラは無かったと主張された劇団が、多くのパワハラを認め、本日ようやく調印となりました。 言葉では言い表せないたくさんの複雑な想いがあります。 娘に会いたい、生きていてほしかったです。 最後になりましたが、娘にお心を寄せてくださった方々に感謝を申し上げます。 情報を提供する 文藝春秋が提供する有料記事は「Yahoo!ニュース」「週刊文春デジタル」「LINE NEWS」でお読みいただけます。 ※アカウントの登録や購入についてのご質問は、各サイトのお問い合わせ窓口にご連絡ください』、「事実を訴え続けた結果、当初は過重労働のみを認め、一切パワハラは無かったと主張された劇団が、多くのパワハラを認め、本日ようやく調印となりました」、これまでの遺族の苦しい闘いの上に、ようやく正義の鉄槌が振り下ろされた形だ。

なお、明日は更新を休む予定なので、明後日にご期待を!
タグ:「有愛さんは4人の上級生から『下級生の不手際は、すべてお前の責任だ』と集団リンチのような目にあっていました。ある上級生から『マインドが足りない。マインドがないのか!』と罵声を浴びせられると、今度は別の上級生から『この嘘つきが!』『嘘つき野郎』と面罵されていました……」、誠にひどいいじめだ。 「X先生は個人懇談中で電話に対応できなかったのだが、管理職に対し「(A子、B、Cの三人のトラブルについて)A子さんの保護者に連絡する際は、母親ではなく父親に説明する約束をA子さんとしている」と報告した(なお、A子さんはこうした約束についても一貫して否定している」、またしても「X先生」は嘘をついたことになるが、何故なのだろう。 「X先生は、具体的な児童の名前、行為の日時や態様等を説明することなく抽象的な問いかけを続けた。不安になったA子さんは二日後の7月6日の夜、母親にこう気持ちを吐露している。 「X先生に呼び出されたんだけど、思い当たることがなくて、ずっと考えていて苦しい」、なるほど。 「A子さんに花マルをつけてほしいと頼まれた。花マルをつけにくい内容であることから一度は断ったが、A子さんに頼まれたので、心配していることを伝えて花マルをつけ、励ましの意味を込めて〈You can do it!〉と記載した」 しかし、A子さんは一貫してこのようなやり取りを否定。報告書にも〈児童Aが自ら進んでそのような申出をするとも考え難い〉と記されている」、「X先生」は嘘をついたりと悪質だ。 「奈良市の小学校の女子児童がノートに書いた自殺をほのめかす文章。担任教師はこの文章に花マルをつけ、「You can do it!!(あなたならできる)」と書き込み返却をしていた――」、信じ難い出来事だが、「調査報告書は70ページに及び、女子児童が受けた様々ないじめの実態や経緯も明らかにしている。蹴る、足を踏む、ぶつかる、鉛筆で背中を突く、手を捻り突き飛ばす……報告書では計11件のいじめを認知し、その上で〈学校及び教育委員会事務局の対応の不十分さにも原因があった〉ことも指摘」、なるほど。 文春オンライン「「A子さんに頼まれた」“自殺ほのめかしノートに花マル” 奈良女児いじめ・担任教師が明かした「You can do it!」と記したワケ《調査報告書入手》」 (その14)(「A子さんに頼まれた」“自殺ほのめかしノートに花マル” 奈良女児いじめ・担任教師が明かした「You can do it!」と記したワケ《調査報告書入手》、「やけどさされた」「ちゃいろになってる」転落死したタカラジェンヌの“悲痛LINE”を無視した“宝塚報告書”3つの問題点 現役宙組生は「私の訴えはもみ消された」《劇団がパワハラ認める》、「謝罪があまりに遅すぎた」“タカラジェンヌ飛び降り事件”阪急側がハラスメントを認め謝罪 遺族の最後の訴え“全文公開”「娘に会いたい生きていてほしかっ いじめ問題 「上級生から「集団リンチのような目にあっていた」とは深刻だ。 「被害児童(A子さん)は、適応障害、心的外傷後ストレス障害を順次発症し、現在も学校生活において配慮が必要な状態が続いています」、どう考えても「X教諭」は正常ではない。「A子」さんの「適応障害、心的外傷後ストレス障害」の原因になっているような気がするのは、私だけだろうか。「教育委員会」ももっとしっかりしてほしいものだ。 なお、明日は更新を休む予定なので、明後日にご期待を! 「事実を訴え続けた結果、当初は過重労働のみを認め、一切パワハラは無かったと主張された劇団が、多くのパワハラを認め、本日ようやく調印となりました」、これまでの遺族の苦しい闘いの上に、ようやく正義の鉄槌が振り下ろされた形だ。 「パワハラ主犯格である松風輝組長、トップスターの芹香斗亜が頑なにパワハラを否定してきた。劇団が年度内の解決を目指す中、劇団と2人が何度も話し合いを重ね、2人は3月上旬頃に一転してパワハラを認める意志を固めた。謝罪するのがあまりに遅すぎました」、当初2人が「パワハラを否定」したとしても、それを確認するのがマネジメントの役割で、それが十分に機能してなかったようだ。 「昨年11月の会見」では事実確認が不足していたのだろうが、完全否定の姿勢が守りきれなかったのは、お粗末だ。 文春オンライン「「謝罪があまりに遅すぎた」“タカラジェンヌ飛び降り事件”阪急側がハラスメントを認め謝罪 遺族の最後の訴え“全文公開”「娘に会いたい、生きていてほしかった」」 文春オンライン「「集団リンチのような目にあっていた」“タカラジェンヌ飛び降り事件”有愛きい(25)が死の2日前に浴びた“上級生からの罵声”「マインドがないのか!」「嘘つき野郎」《劇団がパワハラ認める》」
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相次ぐ警察の重大ミス(その9)(ガーシー容疑者インスタの“ピースサイン”にSNSイライラ…捜査はその後どうなっている?、「自分の様子がおかしい」容疑者が事件の直前に警察に相談 宮城・栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけが、勾留中にがん判明で死亡した大川原化工機元役員 「拘置所の医師に治療義務違反はない」の判決に遺族は「このままでは終われません」) [社会]

相次ぐ警察の重大ミスについては、昨年5月14日に取上げた。今日は、(その9)(ガーシー容疑者インスタの“ピースサイン”にSNSイライラ…捜査はその後どうなっている?、「自分の様子がおかしい」容疑者が事件の直前に警察に相談 宮城・栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけが、勾留中にがん判明で死亡した大川原化工機元役員 「拘置所の医師に治療義務違反はない」の判決に遺族は「このままでは終われません」)である。

先ずは、昨年5月15日付け日刊ゲンダイ「ガーシー容疑者インスタの“ピースサイン”にSNSイライラ…捜査はその後どうなっている?」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/322936
・『《結局、ガーシーの方が一枚上手。ガーシーの代わりに先に逮捕された人も不起訴になるんじゃないの。》 芸能人らに対する暴力行為法違反(常習的脅迫)などの疑いで逮捕状が出ている元参院議員のガーシー容疑者(51歳、本名・東谷義和)が13日、自身のインスタグラムに「I'm fine」と書きウェイクサーフィンを楽しんでいる様子をアップ、ピースサインをし笑顔をみせた投稿したことに対し、SNS上では日本の捜査機関に対する批判の声が上がっている。 《日本の警察って何が目的なんでしょうね?この人を捕まえるのが目的だったのか、権力者の暴露をやめさすのが目的だったのか?》 《パスポートの効力を失効させて強制送還のシナリオはどうなったの?。いつまでもやりたい放題ってか》 《余裕じゃないこの人。警察は何やっているの》 どうやら、いまだに悠々自適の生活を送り続けるガーシー容疑者に対し、いらだちを覚えているようだが、実際の捜査はどうなっているのか。) 「潜伏先とされる現地ドバイに日本の捜査員が向かったのは確認されているのですが、どうやら所在が分からず、いったんは帰国したと聞いています。ただ、その後、現地で日本の武道を教えている警察関係者がいて、そのツテを頼りにガーシー容疑者の潜伏先が分かったとも聞いている。警察当局はガーシー容疑者のSNS投稿は捜査をかく乱する手段と理解しているから、ネットの反応、批判はどうでもいいとして、まずは確実に本人の身柄を抑えることを優先にしている。今も静かに捜査は続いているし、確実に本人に近づいていますよ」(警察庁担当記者) ガーシー容疑者は、逃げれば逃げるほど、罪が重くなると理解した方がよさそうだ』、「「潜伏先とされる現地ドバイに日本の捜査員が向かったのは確認されているのですが、どうやら所在が分からず、いったんは帰国したと聞いています。ただ、その後、現地で日本の武道を教えている警察関係者がいて、そのツテを頼りにガーシー容疑者の潜伏先が分かったとも聞いている・・・ガーシー容疑者は、逃げれば逃げるほど、罪が重くなると理解した方がよさそうだ」、その通りだ。
なお、その後の逮捕については、6月4日付け東京新聞「元参院議員のガーシー容疑者を逮捕 綾野剛さんらを動画サイトで脅迫した疑い UAEから帰国、成田では笑みも」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/254657
記事の注目点は、「日本とUAEは犯罪人引渡条約を結んでおらず、東谷容疑者の帰国には相当高いハードルがあるとの見方が、当初から捜査関係者には広がっていた。 UAEの移民法では、旅券の失効が即座に強制送還につながるわけではない。警察庁は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて国際手配の手続きを取ったが、どこまで現地当局の協力を得られるか不透明だった。 東谷容疑者は警視庁が逮捕状を取った直後、交流サイト(SNS)で「一生帰国しない覚悟ができた」と明言。現地で行動をともにする男性は本紙に「東さんは日本に帰らん。UAEでの生活に関しては100%問題ない」とのメッセージを寄せた。 膠着状態を打開したのが直接交渉だ。日本の警察当局が現地で直接、事案の重大性を伝えた上で「何とかして帰国させたい」と訴え、その後も調整を重ねた。急展開の逮捕劇に、捜査幹部は「早期の移送を働きかけてきた結果だと思う」と話した。(佐藤航)』、「日本の警察当局が現地で直接」「交渉」したのが、「膠着状態」「打開」のカギだったようだ。

次に、7月7日付けKHB東日本放送「「自分の様子がおかしい」容疑者が事件の直前に警察に相談 宮城・栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけが」を紹介しよう。
・『宮城県栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけがをした事件で、小野寺容疑者は事件の直前に「自分の様子がおかしいsいて」と警察に相談していたことがわかりました。 6日午後3時ごろ、栗原市の若柳小学校で児童4人が軽トラックにはねられけがをし、運転していた近くに住む小野寺章仁容疑者(34)が殺人未遂の疑いで逮捕されました。児童4人は全員、命に別状はありません。 小野寺容疑者は警察の調べに対し「人にわざと車をぶつけようとした」という趣旨の供述をしているということです。 市の教育委員会によりますと、小野寺容疑者は業者が搬入などで使う通用口から小学校に侵入し、児童をはねたことが分かりました。 通用口の門扉は当時、開いたままだったということです。保護者によりますとこの門扉は、普段も開いていることが多かったということです。 また、警察によりますと小野寺容疑者は事件の直前に「自分の様子がおかしい」と若柳警察署に相談していたということです』、いささか生煮えの記事ではあるが、「容疑者は事件の直前に「自分の様子がおかしい」と警察に相談」、その後の「警察」の対応はどうだったのだろう。「小学校」の「通用口の門扉は当時、開いたままだった」らしいが、いまどきにしては不用心だ。

第三に、4月2日付けデイリー新潮が掲載したジャーナリストの粟野仁雄氏による「勾留中にがん判明で死亡した大川原化工機元役員 「拘置所の医師に治療義務違反はない」の判決に遺族は「このままでは終われません」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2024/04020600/?all=1
・『2020年3月、「生物兵器の製造に転用可能な機械を中国へ不正輸出した」という容疑で大川原化工機(神奈川県横浜市)の大川原正明社長(74)ら3人が警視庁公安部に逮捕された冤罪事件。長期勾留の末に癌で亡くなった同社元顧問の相嶋静夫さん(享年72)の遺族が「拘置所での医療が適切でなかった」として1000万円台の損害賠償を国に求めていた裁判で、東京地裁(男澤聡子裁判長)は「拘置所の診療行為は合理的で、違法性はない」として訴えを棄却した』、「東京地裁・・・は「拘置所の診療行為は合理的で、違法性はない」として訴えを棄却」、ずいぶんあっさりと「却下」したものだ。
・『「棄却します」の一言で終わり  この日は抽選もなく傍聴席に座ることができた。午後1時15分、テレビ局の代表撮影が終わると男澤裁判長は「主文、原告らの請求を棄却します」と話し、2人の陪席裁判官とともにさっと退廷した。 初めて裁判を傍聴したという女性が「さっぱりわからない。判決内容はどうなっているんですか」などと筆者に尋ねてきた。「刑事裁判は口頭主義ですが民事裁判はこういうのも多いんです」とかなんとか説明したものの、筆者とて判決の概要はさっぱり分からない。弁護士の記者会見を待った。 相嶋さんの長男(50)と原告代理人の高田剛弁護士が東京・霞が関の司法記者クラブで会見を行った。 長男は「想定していた中で最悪の判決。非常に残念な結果。癌がわってからの(父の)苦しみを裁判所に十分に理解してもらえなかった」と怒りを見せた』、少なくとも「却下」理由は明確にすべきだ。
・『胃痛はよくあるもの  争点は拘置所内の処置や判断である。 原告側は「拘置所に入った直後の血液検査の結果を受けた対応が不十分だった」「胃が痛いと訴えた後、経過観察するだけですぐに内視鏡検査もしなかった」「外部の病院に入院させるべきだった」などと主張し、そうしたことをしなかった拘置所の落ち度を指摘していた。 しかし、判決では「刑事施設ではストレスから胃痛はよくあり、薬を処方したうえで経過観察としたのは一般的な医療措置。医学的に合理性がある」「拘置所の医師に治療義務違反はない」などとして拘置所の医療処置の過失を否定した』、「「刑事施設ではストレスから胃痛はよくあり、薬を処方したうえで経過観察としたのは一般的な医療措置。医学的に合理性がある」「拘置所の医師に治療義務違反はない」、などの判断は余りに冷淡だ。
・『拘置所での医療はずいぶん違う  相嶋さんは20年3月に逮捕され、その年の9月末に貧血で倒れて拘置所内で輸血を受けた。10月6日、医師の検査で胃に悪性の腫瘍が判明。このため高田弁護士は再三、地裁に保釈申請したが却下され続け、11月になってようやく勾留の一時停止が認められ、横浜市内の病院に入院することができた。しかし、治療は手遅れで、翌21年2月7日に亡くなった。 東京地検が異例の「起訴取り消し」を行ったのはその年の7月。相嶋さんは生存中に汚名を晴らせず、「刑事被告人」のレッテルを貼られたまま亡くなったのだ。 在りし日の相嶋さんの写真を机に立てて会見に臨んだ長男は、拘置所での医療と一般の病院での医療を受けた患者の生存率の差異を示すグラフを見せた。 その上で「拘置所では(一般的な意味の)医療がなされていないと思います。一般社会で病気になった人への治療と、拘置所での医療がずいぶん違う。そのことを裁判所が追認してしまった。拘置所側の考察が非常に浅い」と批判した。 会見を見守っていた相嶋さんの妻は「どうして主人は死ななくてはならなかったのか。このままでは終われません。真相がわかるまで闘いたいです」と話した』、「逮捕され、その年の9月末に貧血で倒れて拘置所内で輸血を受けた。10月6日、医師の検査で胃に悪性の腫瘍が判明。このため高田弁護士は再三、地裁に保釈申請したが却下され続け、11月になってようやく勾留の一時停止が認められ、横浜市内の病院に入院することができた」、「胃に悪性の腫瘍が判明」した段階で、「保釈申請」を認めていれば、一命をとりとめたのかも知れない。
・『信念を曲げなかった相嶋さん  原告側は拘置所の不適切な医療と相嶋さんと死亡との因果関係も争点にしていたが「判決は処置が適法とするだけで因果関係までいかずに済まされてしまった」と高田弁護士は不満を表した。 相嶋さんの勾留期間は11カ月。この間、8回の保釈請求はすべて退けられた。嫌疑を認めれば釈放されるが、認めなければいつまでも勾留する。相嶋さんは絶対に信念を曲げず、「不正輸出」の容疑を認めなかった。まさに被疑者、被告人を長期間勾留し、身体を人質にして自白を引き出そうとする「人質司法」を地でゆく悲劇だった。 高田弁護士は「ひとたび拘置所に入れられれば、一般的な水準の医療を受けられないばかりか、自分の健康情報にアクセスすらできない。お金があろうがなかろうが拘置所では関係ない。誰でもこういうことになる可能性があるんですよ」と話した。 検察側が保釈させない理由は、口裏合わせなどの「罪証隠滅」があるからだ。大川原社長、相嶋さんとともに逮捕された元取締役の島田順司さん(70)については、関係する社員と接触しないという条件で保釈を認めようとしたが、別の裁判部が「口裏合わせをする疑いがある」として認めなかった経緯もあったという。 もう一つは「逃亡」である。重病人の相嶋さんが逃亡することはありえないが、審理の過程で東京地検は日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の国外逃亡も例示して保釈に反対していた』、「相嶋さんの勾留期間は11カ月。この間、8回の保釈請求はすべて退けられた。嫌疑を認めれば釈放されるが、認めなければいつまでも勾留する。相嶋さんは絶対に信念を曲げず、「不正輸出」の容疑を認めなかった。まさに被疑者、被告人を長期間勾留し、身体を人質にして自白を引き出そうとする「人質司法」を地でゆく悲劇だった・・・検察側が保釈させない理由は、口裏合わせなどの「罪証隠滅」があるからだ。大川原社長、相嶋さんとともに逮捕された元取締役の島田順司さん(70)については、関係する社員と接触しないという条件で保釈を認めようとしたが、別の裁判部が「口裏合わせをする疑いがある」として認めなかった経緯もあったという。 もう一つは「逃亡」である。重病人の相嶋さんが逃亡することはありえないが、審理の過程で東京地検は日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の国外逃亡も例示して保釈に反対していた」、「「人質司法」を地でゆく悲劇だった」、言い得て妙だ。
・『裁判官が輪番制で判断  NHKは3月21日放送の「時論公論」でこの裁判を取り上げた。解説委員は刑事訴訟法(89条)では保釈却下の条件として「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」とされているのを検察が「罪証隠滅の“おそれ”」にすり替え裁判所もそれを追認してしまっているなどと指摘していた。 保釈申請の扱いは裁判官が判断するが、これは逮捕令状の発布と同様、裁判官の輪番制なので大川原化工機の事件でも20人以上の裁判官が関わっている。却下し続けたことが相嶋さんの命を奪ったのであれば、どの時点でどの裁判官が判断したかということはわかるのだろうか。わかるのなら相嶋さんの遺族が却下した裁判官を訴えることはできないのだろうか。 気になったので、後日、高田弁護士に訊いてみた。 「保釈請求却下の決定書はそのたびに担当裁判官の名が書かれているので、訴訟の当事者には誰かはわかります。裁判官は国家公務員ですので、その判断が著しく不相当である場合は国を相手に訴訟を起こし、裁判官を証人として出廷させることが理論的には考えられます。とはいえ、裁判官の責任を追及するハードルはかなり高いですね」(高田弁護士) 裁判官は医師ではないが、ある意味、人の命を預かっているのである。「独立性」が守られているだけに、輪番制であってもそういう意識を持って向き合ってほしい』、国会の弾劾裁判所が仙台高裁の裁判官に対し「弾劾」判決を下したが、残念ながら結論だけで理屈づけに欠けるものだった。
・『調書を破棄したとして刑事告発  さらに、3月25日、大川原化工機側は元役員の島田さんの取り調べの際に「取調官が故意に文書を破棄した」として、文書を破棄したとされる安積(あさか)伸介警部補(現警部)と上司の宮園勇人警視に対し公用文書毀棄などの容疑で警視庁に告訴状を提出した。 20年3月、島田さんは逮捕直後に取られた弁解録取書について、文面が話した内容と異なっていたため「修正してください」と求めた。安積刑事はパソコンで修正した振りをして島田さんに署名させた。その後、この調書はシュレッダーにかけて廃棄され、同刑事は「誤って破棄した」と報告した。 大川原化工機が国と都を相手取った損害賠償請求訴訟では、昨年6月、公安部の同僚刑事が「捏造です」と証言。東京地裁は昨年12月、都と国の過失を認めて大川原化工機など原告側に合わせて1億6200万円の支払いを命じた。この判決の中で調書を「過失によって破棄したというのは不自然」と指摘された。 告訴に際して島田さんは「捜査員らを罰しようというより、組織内部で検証していただきたいという思いが強い。自分たちの持つ公権力の大きさを認識してほしい」と話した。 原告が勝訴した損害賠償請求訴訟も今年に入って双方が控訴している。大川原化工機の冤罪事件をめぐる攻防はまだまだ続く』、「弁解録取書について、文面が話した内容と異なっていたため「修正してください」と求めた。安積刑事はパソコンで修正した振りをして島田さんに署名させた。その後、この調書はシュレッダーにかけて廃棄され、同刑事は「誤って破棄した」と報告した・・・判決の中で調書を「過失によって破棄したというのは不自然」と指摘された・・・原告が勝訴した損害賠償請求訴訟も今年に入って双方が控訴している。大川原化工機の冤罪事件をめぐる攻防はまだまだ続く」、「警察」や「検察」側の不手際をもっと明らかにしてもらいたいものだ。 
タグ:原告が勝訴した損害賠償請求訴訟も今年に入って双方が控訴している。大川原化工機の冤罪事件をめぐる攻防はまだまだ続く」、「警察」や「検察」側の不手際をもっと明らかにしてもらいたいものだ。 「弁解録取書について、文面が話した内容と異なっていたため「修正してください」と求めた。安積刑事はパソコンで修正した振りをして島田さんに署名させた。その後、この調書はシュレッダーにかけて廃棄され、同刑事は「誤って破棄した」と報告した・・・判決の中で調書を「過失によって破棄したというのは不自然」と指摘された・・・ 、国会の弾劾裁判所が仙台高裁の裁判官に対し「弾劾」判決を下したが、残念ながら結論だけで理屈づけに欠けるものだった。 したが、別の裁判部が「口裏合わせをする疑いがある」として認めなかった経緯もあったという。 もう一つは「逃亡」である。重病人の相嶋さんが逃亡することはありえないが、審理の過程で東京地検は日産自動車前会長のカルロス・ゴーン被告の国外逃亡も例示して保釈に反対していた」、「「人質司法」を地でゆく悲劇だった」、言い得て妙だ。 「相嶋さんの勾留期間は11カ月。この間、8回の保釈請求はすべて退けられた。嫌疑を認めれば釈放されるが、認めなければいつまでも勾留する。相嶋さんは絶対に信念を曲げず、「不正輸出」の容疑を認めなかった。まさに被疑者、被告人を長期間勾留し、身体を人質にして自白を引き出そうとする「人質司法」を地でゆく悲劇だった・・・検察側が保釈させない理由は、口裏合わせなどの「罪証隠滅」があるからだ。大川原社長、相嶋さんとともに逮捕された元取締役の島田順司さん(70)については、関係する社員と接触しないという条件で保釈を認めよう 「逮捕され、その年の9月末に貧血で倒れて拘置所内で輸血を受けた。10月6日、医師の検査で胃に悪性の腫瘍が判明。このため高田弁護士は再三、地裁に保釈申請したが却下され続け、11月になってようやく勾留の一時停止が認められ、横浜市内の病院に入院することができた」、「胃に悪性の腫瘍が判明」した段階で、「保釈申請」を認めていれば、一命をとりとめたのかも知れない。 KHB東日本放送「「自分の様子がおかしい」容疑者が事件の直前に警察に相談 宮城・栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけが」 「日本の警察当局が現地で直接」「交渉」したのが、「膠着状態」「打開」のカギだったようだ。 6月4日付け東京新聞「元参院議員のガーシー容疑者を逮捕 綾野剛さんらを動画サイトで脅迫した疑い UAEから帰国、成田では笑みも」 https://www.tokyo-np.co.jp/article/254657 「「刑事施設ではストレスから胃痛はよくあり、薬を処方したうえで経過観察としたのは一般的な医療措置。医学的に合理性がある」「拘置所の医師に治療義務違反はない」、などの判断は余りに冷淡だ。 少なくとも「却下」理由は明確にすべきだ。 「東京地裁・・・は「拘置所の診療行為は合理的で、違法性はない」として訴えを棄却」、ずいぶんあっさりと「却下」したものだ。 粟野仁雄氏による「勾留中にがん判明で死亡した大川原化工機元役員 「拘置所の医師に治療義務違反はない」の判決に遺族は「このままでは終われません」」 デイリー新潮 いささか生煮えの記事ではあるが、「容疑者は事件の直前に「自分の様子がおかしい」と警察に相談」、その後の「警察」の対応はどうだったのだろう。「小学校」の「通用口の門扉は当時、開いたままだった」らしいが、いまどきにしては不用心だ。 「「潜伏先とされる現地ドバイに日本の捜査員が向かったのは確認されているのですが、どうやら所在が分からず、いったんは帰国したと聞いています。ただ、その後、現地で日本の武道を教えている警察関係者がいて、そのツテを頼りにガーシー容疑者の潜伏先が分かったとも聞いている・・・ガーシー容疑者は、逃げれば逃げるほど、罪が重くなると理解した方がよさそうだ」、その通りだ。 日刊ゲンダイ「ガーシー容疑者インスタの“ピースサイン”にSNSイライラ…捜査はその後どうなっている?」 (その9)(ガーシー容疑者インスタの“ピースサイン”にSNSイライラ…捜査はその後どうなっている?、「自分の様子がおかしい」容疑者が事件の直前に警察に相談 宮城・栗原市の小学校で児童4人が軽トラックにはねられけが、勾留中にがん判明で死亡した大川原化工機元役員 「拘置所の医師に治療義務違反はない」の判決に遺族は「このままでは終われません」) 相次ぐ警察の重大ミス
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