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政治面でも発揮された日本郵政グループの巨大さ [経済政策]

日本郵政グループ政治力をみるため、民営化の流れを振り返ってみよう。周知のこととはいえ、触れざるを得ない面が大きいので、お付き合い頂きたい。
長年、民間金融界や米国は、官業である郵貯や簡保の巨大な存在が日本の金融市場の公正な競争を歪めていると主張してきたが、厚い政治の壁に阻まれてきた。流れが変わったのは、自民党員ながら例外的に民営化を主張してきた小泉純一郎が首相になってから。郵政民営化法案を提出したが、参院本会議で自民党の一部議員の造反で否決。小泉は衆院を解散し、「郵政選挙」で圧勝、反対派議員に除名や離党勧告、2005年10月に関連法案が成立、日本郵政が発足。しかし、2009年に「かんぽの宿等」売却が政治問題化し、売却を凍結。これは、建設に2400億円も要したが赤字続きの72施設を入札の結果109億円で一括売却するとしたことが、「安売り」と批判された、売却凍結に追い込まれた。真の問題はそれまで政治家が利用価値の低い施設を「票欲しさ」に作らせたことにあるが、表面的な事情だけが取り上げられた。
2009の総選挙で政権についた民主党・国民新党は、郵政株売却を凍結。しかし、震災復興財源に充てる必要性もあって、国の関与を一部残した改正郵政民営化法が自民党も賛成して成立。郵政株売却凍結も解除され、現在の上場準備へとつながる流れとなった。国の関与は、親会社の日本郵政株の1/3以上を保有し続けることで、重要事項への国の拒否権を確保。金融2社の新規業務は、株式の1/2以上が売却された段階で、認可制から届出制に移行。また、全国均一のユニバーサル・サービス義務の対象を郵便から金融業務にも拡大。当初の郵政民営化法に比べ、日本郵政グループには都合がいい形となった。

こうした「転んでもただでは起きない」粘り強い郵政の政治力の源泉は、「地方の名士」が多い中小規模の郵便局(旧特定局)の局長をメンバーとする全国郵便局長会(全特)だけでなく、、単一企業としては日本最大の24万人もの組合員を抱える日本郵政グループ労働組合がある。さらに日本逓送など関連企業群もあり、集票ネットワークとしては絶大な存在。選挙時に支援を受ける国会議員は「郵政族」として与野党に幅広く根を張っている。現在も自民党内では、昨秋の全国郵便局長会の意見書に盛り込まれた1人1千万円の「預入限度額引上げ」に賛成する声が圧倒的と伝えられる。これは他の民間金融機関も含めた預金保険保護限度額引上げ問題にも波及するが、民間金融機関は全く必要ないとして猛反対中で、実現しようとすれば、大きな政治問題に発展する可能性がある。

結局、問題の根底には、郵政選挙で圧勝した小泉といえども、地域分割までは踏み込めず、大きなまま民営化したことにあるようだ。
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