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消費税軽減(還付)制度(その2)簡単な軽減方式ではなく、還付方式でないとダメなのか [経済政策]

昨日に続いて消費税軽減(還付)制度の(その2)簡単な軽減方式ではなく、還付方式でないとダメなのか を取上げよう。

元財務官僚で早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄氏が、9月17日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「還付方式」は消費税の欠陥を隠蔽する苦し紛れの奇策」のポイントを紹介したい(▽は小見出し)。
・一見したところ、(実行コストの問題を抜きにすれば)日本の特殊事情に合わせた現実的な軽減税率方式のように見える。しかし、詳しく見ると、さまざまな問題がある。導入すれば、将来に大きな禍根を残すだろう。▽導入と維持に多大なコスト その一方で効果は疑問
・読み取り端末を全国津々浦々の零細商店に至るまで設置しなければならず、構築にコスト。徴税のための仕組みだから、費用は国費で賄わざるをえないだろう。通信回線も零細商店では、オンライン接続のために新たな工事が必要。しかも、それを維持し、故障等に対処する必要
・食品販売店には高齢者が経営する零細商店も多いが、高齢者がこのような情報機器を操作し維持するのは、かなりの負担だ
・また、消費者も、個人番号カードを常時携帯し、還付申請手続きをしなければならない。しかも、限度額である年間4000円以上の還付はなされないので、その部分については、結果的には無駄な手続きをすることに
・読み取り端末は、センサーのメーカーにとっては特需に。また、データセンターは公務員の天下り先に。しかし、これらのコストは、税金で賄われることに。それだけのコストをかけながら、効果は疑問だ
・購入時には他の商品と同率の消費税を支払う必要があるので、心理的に食料品の税率が軽減されていると実感しにくい。還付に限度が設けられるのであれば、なおさらだ。こんなコストをかけてまで、なぜ効果に疑問のある奇妙な方式を採用するのか?それは、日本の消費税が、インボイスを欠くという意味で欠陥税だからだ。このため、ヨーロッパで行なわれている方式では軽減税率が導入できないのである
▽一定の条件が満たされるならば店頭で軽減税率にする方式でよい
・免税事業者や簡易課税業者が存在せず、また、ある段階の消費税は、確実に次段階に転嫁されるものと仮定すれば、最終段階の税率を軽減税率である8%にすれば、軽減課税が実現できる(「店頭軽減税率方式」)
・・・中略・・・
・第2(最終)段階では、納税額より控除額のほうが大きく、還付を受けている。だから、前段階で支払った税額について、よほどしっかりした証拠が求められる。インボイスが用いられていれば、支払った税額はそこに明記されているので、問題はない
▽日本で店頭軽減税率方式を取ると消費税の欠陥が暴露される
・①免税事業者や簡易課税業者の存在。②日本ではインボイスがないため、第2段階への転嫁がなされるかどうかは、業者間の力関係で決まる。最終段階が大規模小売業者などの力の強い業者であり、第1段階が零細業者である場合、零細業者が消費税を上乗せできないことがありうる。最終段階で益税が発生
・以上の問題は、軽減税率を取らなくとも存在していたものだが、店頭軽減税率方式を取ることによって、問題点が明確な形で認識されてしまう。そこで、これらの問題を隠すために、いわば「苦し紛れの奇策」として、還付方式が提案
▽還付方式は問題を解決しない 見えにくくするだけのこと
・免税事業者や簡易課税業者がいない場合には、還付方式は店頭軽減税率方式と同じ結果をもたらす。そうであれば、店頭軽減税率方式を取ればよいのだから、前述したコストの問題を考えれば、還付方式をわざわざ導入する必要はない
・問題は、免税事業者や簡易課税業者が存在し、インボイスがない場合。この場合においても、給付額に限度をつけなければ、目的通りの税収が得られる。そして、上述の問題は、表面的には見えなくなる。これが還付方式を取る目的だと考えられる
・しかし、問題は、実は解決されずに残っている。例えば、日本で店頭軽減税率方式を取った場合、免税事業者の販売価格が他の業者の価格より高くなってしまうと述べた。しかし、還付方式の場合にはそうした問題は生じない
・だから、免税事業者にも読み取り端末を設置すれば、他の業者より不利になることはない。しかし、それは、免税事業者も読み取り端末を設置した場合のことである。免税事業者は消費税システムの外にいるのだから、国が端末を設置したり補助したりするのはおかしいとの議論は当然生じるだろう。その議論にしたがって読み取り端末を設置しなければ、客は離れてしまう
・これに対しては、免税事業者から抵抗。つまり、問題はなんら解決されていないのだ。見えにくくなっただけのことである。また、最終段階が大企業の場合に、軽減税率を採用すると過大な前段階控除を受けて還付金(益税)が生じてしまう場合があると述べた。この問題も還付方式の場合には生じない。しかし、これは露呈しないで隠されただけのことであり、「転嫁が力関係で決まる」という問題そのものは、解決されずに残っている。この解決にはインボイスの導入がどうしても必要
▽基本はインボイスを導入すること でなければ店頭軽減税率や定額給付金のほうがまし
・日本の消費税は、矛盾と無理を重ねてきた。それがついに限度まで来たと考えるべきだ。だから、最重要の課題は、インボイスを導入することだ。それは、軽減税率実現のためだけでなく、業者間の負担公正化のために必要なことである
・次善の策としては、日本でも店頭軽減税率方式を採用することが考えられる。この場合、すでに述べたようなさまざまな問題が生じる。しかし、還付方式で問題を隠蔽するよりはましだ
・さらに次善の策としては、定額給付金にすることも考えられる。還付方式とは、結局のところ、消費にリンクした給付金にすぎない。そうであれば、ポイントを記録するなどという面倒なことをせず、全世帯に一定額の給付金を出せばよい。そうすれば、読み取り端末の設置に余計な費用を使う必要もなく、面倒な手続きも必要なくなるだろう
http://diamond.jp/articles/-/78662

インボイス方式を導入すると、売上・仕入の透明化してしまい、「節税」の余地がなくなるとして、中小企業を中心とした強力な抵抗から見送られた経緯がある。野口氏が指摘するように、日本の消費税は生まれながらの欠陥税制なのだ。今回、軽減税制を巡る与党の検討のなかで、簡便な軽減方式ではなく、面倒な還付方式でないとダメとの方向性が出たことは、公明党の不勉強の「たまもの」、財務省の「思う壺」にはまったといえよう。還付方式と比べた簡便な軽減方式の欠点は、致命的なものではない筈。
打開の方向性は、野口氏の言う通り、「基本はインボイスを導入すること でなければ店頭軽減税率や定額給付金のほうがまし」である。
さらに、より基本的には、昨日紹介した高橋洋一氏が指摘するように、消費税軽減(還付)制度の論議に乗ること自体が財務省の「思う壺」であることから、消費税10%の先送りが最も適切な「王道」だろう。
タグ:野口悠紀雄 ダイヤモンド・オンライン 日本の消費税 消費税軽減(還付)制度 (その2)簡単な軽減方式ではなく、還付方式でないとダメなのか 「還付方式」は消費税の欠陥を隠蔽する苦し紛れの奇策 導入すれば、将来に大きな禍根を残す 導入と維持に多大なコスト その一方で効果は疑問 読み取り端末 構築にコスト 国費で賄わざるをえないだろう 零細商店では、オンライン接続のために新たな工事が必要 維持し、故障等に対処する必要 高齢者が経営する零細商店も多い 高齢者がこのような情報機器を操作し維持するのは、かなりの負担だ 消費者も、個人番号カードを常時携帯し、還付申請手続きをしなければならない 4000円以上の還付はなされないので センサーのメーカーにとっては特需 データセンターは公務員の天下り先に これらのコストは、税金で賄われることに それだけのコストをかけながら、効果は疑問 他の商品と同率の消費税を支払う必要 税率が軽減されていると実感しにくい インボイスを欠くという意味で欠陥税 免税事業者や簡易課税業者が存在せず 消費税は、確実に次段階に転嫁されるものと仮定すれば 最終段階の税率を軽減税率である8%にすれば、軽減課税が実現できる 日本で店頭軽減税率方式を取ると消費税の欠陥が暴露される 免税事業者や簡易課税業者の存在 第2段階への転嫁がなされるかどうかは、業者間の力関係で決まる 以上の問題は、軽減税率を取らなくとも存在していたものだが 店頭軽減税率方式を取ることによって、問題点が明確な形で認識 問題を隠すために、いわば「苦し紛れの奇策」として、還付方式が提案 免税事業者は消費税システムの外にいるのだから、国が端末を設置したり補助したりするのはおかしいとの議論は当然生じるだろう 最終段階が大企業の場合 、軽減税率を採用すると過大な前段階控除を受けて還付金(益税)が生じてしまう 「転嫁が力関係で決まる」という問題そのものは、解決されずに残っている 基本はインボイスを導入すること でなければ店頭軽減税率や定額給付金のほうがまし
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