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トランプ新大統領誕生(その1)(トランプ当選の本当の意味、トランプ勝利とマーケットの反応) [世界情勢]

アメリカ大統領選挙については、11月7日に取上げた。選挙結果が大かたの予想を覆すものとなった今日は、トランプ新大統領誕生(その1)(トランプ当選の本当の意味、トランプ勝利とマーケットの反応) である。多くの論評が出ているなかで、今日は以下の2つを取上げた。

先ずは、ソフトブレーンの創業者で中国人の:宋 文洲氏が11月11日付けの宋メールに掲載した「トランプ当選の本当の意味」を紹介しよう。
・トランプが勝つのか、ヒラリーが勝つのか、私には分かりませんでしたが、私が米国人ならばトランプに投票したに違いありません。6か月前、私は宋メールでトランプ氏が当選すべきだと書きましたが、今読んでも当時の内容を変更する必要は全くありません。トランプが勝った後に「俺も思いました」と見苦しい言い訳をする専門家が多い中、半年前の宋メールをぜひ皆さん読んでみてください。 「トランプは既に勝った」http://r31.smp.ne.jp/u/No/2840289/Kg_1b7I6DacD_56442/840289_161111001.html
・当時、一部の読者は「宋さんは中国人だから米国と日本に不利な結果を望んでいるだけ」と批判がありましたが、正直、自分の願望で推測するとだいたい外れます。私は投資をする際、自分の都合で予想すると負けて損してしまうのでそんな馬鹿なことをしません。予想の精度を上げるため、客観的に相手の立場を理解し、相手の生活環境に触れた上、相手の心情を想像する努力をしているからです。
・今回、安倍総理はまた改めて思い込みの激しい人だとばれました。9月の時点でヒラリーに会い、敢えてトランプもヒラリーも反対のTPPの必要性を強調しました。 これは明らかにヒラリーに以心伝心のつもりでメッセージを送っています:「あなたは本心ではTPP賛成だと分かっていますよ。今選挙中で本音が言えないでしょうが、その代わりに私が多くの国民の反対を押し切ってリードして承認させますから大統領になったら恩義を忘れないでくださいね。」
・投票日5日前の3日に、首相官邸が共同通信に「2月にもクリントン大統領と首脳会談を検討」と発表させたほどの自信ぶりです。安倍総理にしてみればヒラリーが勝つに違いない、マスコミや議会を動員すれば反対を簡単に封じ込めます。 いったん決めてしまえば国民はすぐ忘れるから自分の思い込みでどんどん進めればいいのでしょう。
・主観と思い込みで市場と世界を予測し、それに基づいて政策を立案し、情勢が変化しても修正しない安倍総理の姿勢はまさに戦前の陸軍組織のくせです。 勝手に決めた2%のインフレ率は、5回延期してもまだ誤りを認めず、政策の見直しもしません。外交上の思い込みによる損害もどんどん拡大しているのですが、将来にわたって認めることはないでしょう。
・ソビエトという脅威が崩壊後、「勝った!」と成り上がった米国のエリート達が民主主義をペットのように飼い始めました。米国型の民主主義をまるで永久不滅の魔法のようにかざし自国民を洗脳し、他国民を威圧してきました。フィリピン大統領が言っていることに多くのフィリピン国民が共鳴したように、トランプが言っていることに多くの米国人が共鳴したのです。国民大半数の選択を「トランプ・リスク」と呼んでしまう米国のエリート達は崩壊前のソビエトの官僚に見えてしまうのです。
・エリートだけではありません。今回は現役大統領オバマ夫婦や米国大法官やローマ教皇までも中立の原則を放棄し、ヒラリー擁護とトランプ非難に参加しました。彼らはこぞって国民の選択を変えようとしたのです。
・日本のマスコミは米国マスコミ以上に既得権益にしがみづき、権力志向なので米国マスコミ以上に世論作りに熱心なのです。また残念ながら日本のマスコミは日本国民の人の良さを利用してかなりの高い確率で世論操作に成功してきました。だから今回の米国マスコミの成功を信じて止まなかったのでしょう。マスコミと一体になって操作してきた安倍総理もヒラリーと米国マスコミの成功を信じて止まなかったでしょう。
・今日の宋メールも半年前の宋メールと同じ結論で結びたいと思います。 「米国民のこの変化は、同様に大手企業と大手マスコミに頼る安倍政権に影響を及ぼさない訳がありません。」 私は単に感情的に安倍総理を批判しているわけではありません。 実際に客観的に日本人の立場にたって事実に基づいて判断しているのです。
・例えば、日本政府がTPPに拘っている間に中国は12カ国の参加国の中の9カ国とすでにFTAを結んでいます。アメリカはTPPで中国をリードさせないというのですが、中国はあくまでも一軒ずつ相手国との損得勘定を確認しあっただけでした。結局、8年もかけて最後に米国自身がTPPを拒絶しました。
・日本はそんなアメリカの他力に期待し、独自のFTAの交渉努力もせず、大切な時間と貿易チャンスを浪費して来ました。 国家の指導者はあくまでも企業の社長と同じく自力で道を切り開く覚悟を持たなければならないです。そしてあくまでも自分が得するかしないかで判断しなければならないのです。誰かの仲間と一緒にやれば儲かるとか誰かについて行けば儲かるとかという発想は素人であり最後に損することが多いのです。
・商売とはあくまでも一対一の商談で積み上げるのです。TPPに入れば日本は自動的に輸出が増えるとの発想は業界団体に入れば自動的に売り上げが伸びるとの思い込みと同じで、甘いのです。 10年もかけて契約書を議論する暇があれば、一軒でも多くのお客様を訪問した方が結果的に売り上げが伸びるのです。
http://www.soubunshu.com/article/443769322.html

次に、商社マンのかんべえ氏が11月11日付けのかんべえの不規則発言に掲載した(タイトルがないので、私が勝手につけた「予想外のトランプ勝利とマーケットの反応」を紹介しよう
・トランプ政権の発足で、鬱になっている人、デモをする人、ついつい愚痴がこぼれる人、さらには本気で落ち込んでしまう人などが居るわけですが、いっそ痛快なのがマーケットの反応です。変化は買い、とばかりに株価は上昇、ドルも買われています。そんなことでいいのかよ、という気もしますが、これはこれで健全な反応であるな思うところです。
・不肖かんべえも、開票速報があった一昨日の夜に日経CNBCの番組に出て、「あっ、なーんだ、これは。明日のNY市場は暴騰するじゃないか」と気がついて拍子抜けした。この辺の理屈、理解できない人が多いかもしれないので、ちょっと説明をしておきます。
・世の中全体は、ほんの3日前までは「ヒラリー・クリントン氏が大統領に当選」だと読んでいた。しかし議会は共和党支配なので、つまるところ何もできませんねえ、しかも負けた側がなかなか敗北を認めないかもしれないから、泥沼化もありますわなあ、という事態をメインシナリオとしていた。当溜池通信の呼び方であれば「小吉」というわけです。
・ところがですな、一昨日、投票箱を開けてみたら「ドナルド・トランプ氏の当選、議会は上院も下院も共和党」とあいなった。なおかつトランプ氏は極めて落ち着いた勝利演説を行い、ヒラリーさんはとても感動的な敗北宣言を行なった。アメリカ社会はとことん分裂しているわけだけど、信じられないくらいに後腐れがない結末となった。
・政権政党が上下両院を保有するのは、2009年―2010年以来です。それはオバマさんの最初の2年間であって、ここでオバマケアが成立した。共和党政権で最後にそうなったのはいつだったかといえば、2001年の上半期の半年だけである。ここでブッシュ減税を通したのですが、半年たったところでジェフォーズ上院議員が離党してしまい、上院が民主党優位になってしまった。今回はそれ以来、久々の事態であって、なおかつ上院は52対48となったので、現在の多数は丸2年は続くだろう。つまりトランプ次期大統領は、その気になれば何でもできちゃうということである。
・しかもですな、心ある人たちはこぞって「民主党政権はあと4年だけは続くよね」ということを前提としていた。そうなると12年間も続くわけであって、この間に企業や環境に対する規制がどんどん強化されることは目に見えていた。それはまあ、「しょうがないわなあ」と思っていたのだが、それらがこの際、ぜーんぶ吹っ飛ぶことになった。さらには富裕層を含む減税をやってくれるということになると、企業社会から見ると笑いが止まらないことになるわけです。
・これはもう、「変化は買い」でありましょう。「そうは言っても、トランプ政権の不透明性が・・・・」などと口走る人は、言っちゃ悪いけどマーケットの世界では「負け組」なんだと思います。情があるなら今月今夜、スパッと買いに出なきゃあいけません。いや、もちろんかく言うワシが株を買ったわけじゃあないですけどね。
・なおかつ、市場は「トランプ政権は放漫財政をやる」ということまで読み込んで、長期金利が2%を超えた。今みたいに世界中がイールドハンティングをやっているご時勢に、米国債の利回りが2%を超えるのなら、「黙って買え」というのが賢者の態度というもの。ひょっとすると、「新興国売りの米国債買い」でどっかの国で通貨危機が起きるかもしれませぬぞ。
・米国の金利が上昇するのであれば、当然ドル買い円売りであります。めぐりめぐって日本株も買い。結構毛だらけ猫灰だらけ(←ド古い)とはこのことではありませぬか。マーケットの反応はある意味、健全なのだと思うのであります。
http://tameike.net/comments.htm#new

宋氏が半年前にトランプ当選を予想していたとは、さすが大勢に流されずにクールな宋氏の面目躍如である。『今回、安倍総理はまた改めて思い込みの激しい人だとばれました』、『主観と思い込みで市場と世界を予測し、それに基づいて政策を立案し、情勢が変化しても修正しない安倍総理の姿勢はまさに戦前の陸軍組織のくせです』、などの指摘は痛烈で、同感である。『米国型の民主主義をまるで永久不滅の魔法のようにかざし・・・』、はいかにも中国人らしい見方だ。『日本政府がTPPに拘っている間に中国は12カ国の参加国の中の9カ国とすでにFTAを結んでいます』、というのは、初めて知って驚いた。日本のマスコミは安部首相の顔色を窺ってばかりいないで、こうした重要なことは報道すべきだ。『日本はそんなアメリカの他力に期待し、独自のFTAの交渉努力もせず、大切な時間と貿易チャンスを浪費して来ました』、というのは、その通りで、安部外交の致命的なミスだ。
かんべえ氏の指摘は、マーケットの反応を解説した多くの記事のなかで、最も的確な印象を受けたので、紹介した次第である。『政権政党が上下両院を保有するのは、2009年―2010年以来です。それはオバマさんの最初の2年間・・・共和党政権で最後にそうなったのは・・・2001年の上半期の半年だけである』、ということでであれば、大統領と議会の関係は確かに強力そうだ。ただ、かんべえ氏は触れてないが、共和党主流とトランプの溝が通常より広がっているのは大きな懸念材料だが、マーケットは取り敢えずは、ご祝儀でいい面だけを見ているのかも知れない。
タグ:半年前の宋メール 宋 文洲 当然ドル買い円売りであります。めぐりめぐって日本株も買い。結構毛だらけ猫灰だらけ 米国債の利回りが2%を超えるのなら、「黙って買え」というのが賢者の態度 トランプ政権は放漫財政をやる 共和党政権で最後にそうなったのはいつだったかといえば、2001年の上半期の半年だけである 政権政党が上下両院を保有するのは、2009年―2010年以来です。それはオバマさんの最初の2年間 ドナルド・トランプ氏の当選、議会は上院も下院も共和党 かんべえの不規則発言 かんべえ TPPに入れば日本は自動的に輸出が増えるとの発想は業界団体に入れば自動的に売り上げが伸びるとの思い込みと同じで、甘いのです 日本はそんなアメリカの他力に期待し、独自のFTAの交渉努力もせず、大切な時間と貿易チャンスを浪費して来ました アメリカはTPPで中国をリードさせないというのですが、中国はあくまでも一軒ずつ相手国との損得勘定を確認しあっただけでした。結局、8年もかけて最後に米国自身がTPPを拒絶しました 日本政府がTPPに拘っている間に中国は12カ国の参加国の中の9カ国とすでにFTAを結んでいます 中立の原則を放棄し、ヒラリー擁護とトランプ非難に参加 ローマ教皇 米国型の民主主義をまるで永久不滅の魔法のようにかざし自国民を洗脳し、他国民を威圧 外交上の思い込みによる損害もどんどん拡大 勝手に決めた2%のインフレ率は、5回延期してもまだ誤りを認めず 主観と思い込みで市場と世界を予測し、それに基づいて政策を立案し、情勢が変化しても修正しない安倍総理の姿勢はまさに戦前の陸軍組織のくせです 今回、安倍総理はまた改めて思い込みの激しい人だとばれました トランプは既に勝った トランプ当選の本当の意味 企業社会から見ると笑いが止まらないことになるわけです (その1)(トランプ当選の本当の意味、トランプ勝利とマーケットの反応) 誕生 トランプ新大統領
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