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日本の政治情勢(その5)(「安倍一強」「小池王国」に貢献した蓮舫代表・野田幹事長は辞任すべき、都議選後の政治シナリオ、都議選惨敗で、憲法改正は泡と消えた)    [国内政治]

昨日に続いて、日本の政治情勢(その5)(「安倍一強」「小池王国」に貢献した蓮舫代表・野田幹事長は辞任すべき、都議選後の政治シナリオ、都議選惨敗で、憲法改正は泡と消えた) を取上げよう。

先ずは、東京地検特捜部検事出身で弁護士の郷原信郎氏が7月4日付け同氏のブログに掲載した「「安倍一強」「小池王国」に貢献した蓮舫代表・野田幹事長は辞任すべき」を紹介しよう。
・【“自民歴史的惨敗”の副産物「小池王国」の重大な危険 ~代表辞任は「都民への裏切り」】でも述べたように、都議会議員選挙で、自民党は加計学園問題等への「傲慢」「ごまかし」や閣僚等の不祥事への強い批判から、歴史的惨敗を喫し、一方で、小池都知事が率いる「都民ファーストの会」は圧勝したが、その直後に、選挙の直前に代表に就任した小池氏が代表を辞任するなど、凡そまともな「政党」とは言い難い状況にある。こうした中で、野党としての役割を全く果たせず、ほとんど蚊帳の外のような状況に置かれたのが民進党である。
・民進党の蓮舫代表・野田佳彦幹事長は、このような状況を招いたことについて責任をとり、速やかに辞任すべきだ。 都議選での5議席という結果を、「当初の予想のゼロないし1の予想より良かった」として安堵しているなどという報道があるが、ふざけたことを言ってはならない。安倍政権批判票が、小池都民ファーストに向かうという状況を招いたのは、離党者続出で民進党都連が壊滅し、民進党が、多くの選挙区で候補者すら立てられないという惨状で選挙に臨まざるを得なかったからである。
・蓮舫氏にとって最大の誤りは、「都知事選挙に出馬せず、野党第一党の代表となって首相をめざす」決断をしたことである。 舛添氏が政治資金問題での批判を受けて都知事を辞任し、急遽行われることになった2016年の都知事選挙で、蓮舫氏に都知事選への立候補を期待する声が上がったが、結局、蓮舫氏は、立候補しなかった。その理由について、テレビ番組で、「都政ではできない。国を変えなければできない。」と述べた。この時点で、都知事ではなく、首相をめざそうということだったのであろう。同年秋の民主党代表選挙に出馬して、野党第一党の代表に就任した。
・6月18日に蓮舫氏が都知事選への不出馬を表明したのを見届けた後に、小池氏が、6月29日に出馬を表明。当時、知名度抜群の蓮舫氏が出馬した場合、余程の強力な対立候補が現れない限り圧勝するだろうと予想されていた。小池氏が出馬しても、女性対女性の対決となって小池氏の強みが半減し、なにより、「自民党都連との対決構図」が作れなかった可能性が高い。蓮舫氏が都知事選出馬表明をすれば、小池氏は出馬を断念していた可能性も高い。
・蓮舫都知事が誕生していれば、民主党が、「二重国籍問題」で足をとられることもなかった(二重国籍問題は、野党第一党の党首として「日本の総理大臣」をめざそうとすることに対する批判であり、都知事であれば、大きな問題にはならなかったはずだ。)。 蓮舫氏が、民進党代表選の期間中から「二重国籍問題」を指摘され、出足からつまずき、その問題への説明責任も十分に果たさないまま代表の座にとどまり続けたことで、民進党は、国民からは殆ど見放される状態が続いた。民進党が批判の受け皿になり得ないことによって、安倍内閣が森友学園問題・加計学園問題で失態や不誠実な対応を重ねても、支持率が下がらないという異常な状況につながり、都議選では、批判の受け皿となった小池都民ファーストが圧勝し、東京都に「小池王国」を生むことにつながった。
・そういう意味では、蓮舫氏が都知事選挙に出馬せず、国政にとどまり、野党第一党民主党の代表をめざしたことは、民主党(民進党)にとっても、国民にとっても、都民にとっても最悪の結果につながったと言える。
・野田氏の責任は、それ以上に大きい。 まず最大の罪は、首相在任中の2012年11月、国会での安倍自民党総裁との党首討論で、消費税増税を含む三党合意履行を条件に衆議院解散に打って出ることを明言し、その後の総選挙で、民主党の議席が、230から57議席になるという壊滅的敗北を喫したことにある。国民に期待されて政権交代を果たした後も、党内抗争に明け暮れ、菅首相の震災・原発事故対応での失態等も重なって、既に民主党は国民の支持を失っており、いずれにせよ総選挙での民主党の大敗は免れなかったと思う。それにしても、この時点での突然の解散は、ほとんど自軍に「自爆テロ」を仕掛けたに近いもので、それ以降、民主党は政党としての体をなさなくなった。
・その責任の重さを考えたら、民主党内で、人前に出ることすらはばかられるはずだが、事もあろうに、2016年の選挙で蓮舫氏を代表に担ぎ上げ、「二重国籍問題」への懸念の声が上がっても跳ね返し、自ら蓮舫代表の下の幹事長のポストについたのである。これが二つ目の罪である。
・野田氏の二つの罪が、民進党の野党としての機能を著しく低下させ、自民党への批判の受け皿を無くし、「安倍一強」体制に大きく貢献してきたことは間違いない。 都議選での惨敗を受けて、自民党側も、それまで頑なに拒んでいた「閉会中審査」にも応じる方向になってきている。加計学園問題について説明が困難であるからこそ、共謀罪の審議で「禁じ手」まで使って国会を閉会に持ち込んだのに、閉会中審査を行わざるを得ないのは、深刻な事態である。しかし、蓮舫・野田体制が続く限り、民進党がいくら追及しても、安倍政権に対する威力は限られたものでしかない。
・安倍政権に対する批判がこれ程までに盛り上がった今回の都議選で、民進党自身が、批判の受け皿としての選択肢を提供できなかったことの責任を負って、蓮舫氏は代表を、野田氏は幹事長を、一刻も早く辞任すべきである。
・とりわけ、野田氏は、民主党にとって「A級戦犯」でありながら、再び幹事長としてしゃしゃり出たことが、日本の民主主義にとっても深刻かつ重大な事態を招いてしまったのである。速やかに民進党の組織から離れ、政界を引退するのが本筋であろう。
・一方、蓮舫氏は、ここで、党の再生のために潔く身を引けば、まだまだ、これから活躍の余地がある。「二重国籍問題」はあくまで、次期首相をめざす立場であるが故の問題であり、政治家としての活躍の余地が否定されるものではない。早晩、行き詰まるであろう小池都政の後の都知事をめざすというのも、一つの選択肢かもしれない。蓮舫氏の政治家としての今後のためにも、速やかに決断すべきである。
https://nobuogohara.com/2017/07/04/%e3%80%8c%e5%ae%89%e5%80%8d%e4%b8%80%e5%bc%b7%e3%80%8d%e3%80%8c%e5%b0%8f%e6%b1%a0%e7%8e%8b%e5%9b%bd%e3%80%8d%e3%81%ab%e8%b2%a2%e7%8c%ae%e3%81%97%e3%81%9f%e8%93%ae%e8%88%ab%e4%bb%a3%e8%a1%a8%e3%83%bb/

次に、BNPパリバ証券経済調査本部長の河野龍太郎氏が7月6日付けロイターに寄稿した「コラム:都議選後の政治シナリオ=河野龍太郎氏」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・7月2日に東京都議選が実施され、小池百合子知事率いる都民ファーストの会が、候補者50人中49人を当選させ、圧勝した。同グループは、選挙後に追加公認された無所属議員を加え55人に膨らみ、定数127人の都議会での圧倒的な第一党となった。
・一方、自民党にとっては、改選前の59人から23人へと、議席数を半分以下に減らす歴史的惨敗である。都議選は、一地方選挙にすぎないが、首都の民意が示される場でもあり、時として国政の流れに影響を及ぼしてきた。これほどの大敗となれば、今後の安倍晋三首相の求心力に一定の悪影響が及ぶことは避けられない。
・今回の自民党の選挙結果には、小池人気の高さ以上に、加計学園を巡る政治スキャンダル、およびそれに対する政権の対応の不手際で、安倍政権に対する国民の反発が強まったことが大きく影響した。さらに選挙中に閣僚や自民党議員の失言やスキャンダルも重なったため、都民ファーストが自民党への批判票の受け皿となった。 また、国政における連立パートナーである公明党が小池知事支持を打ち出したため、同党からの選挙協力を得られなかったことも大きな敗因である。
▽あらわになった自民党の弱点
・安倍氏は、政権復帰を果たした2012年末の衆院選を含め、4度の国政選挙で自民党を圧勝に導いたが、実は、自民党の絶対得票率(全有権者に対する得票率)は、いずれの選挙でも20%程度と低位にとどまっている。 こうした中で、国会において圧倒的な勢力を確保できたのは、仏教系宗教団体を母体とし、大きな固定票を持つ公明党から小選挙区において強力な選挙協力が得られていたことに加え、自民党に代わる有力な受け皿がないこともあり、投票率の低迷が続いたからである。
・都市部では無党派層のウエートが大きく、選挙ごとに大きなスイングが起きやすいということもあるが、今回の都議選では、この2つの条件に依存する自民党の弱点があらわになったとも言える。
・公明党は、国政においては、引き続き自民との連立を続ける方針である。公明党にとっても、比例区では自民党の支援を強く受けており、公明党が候補を立てる小選挙区では自民党が候補擁立を見送り、これが有効に機能してきた。自民党としても、都議選における公明党の対応に不満を抱きながらも、公明党との関係を断ち切ることはできない。都議選の結果からも、自民党にとっての公明党による選挙支援の重要性は明らかである(なお、公明党自身は、今回の都議選で議席を1つ増やし、自民党と同じ23議席を獲得している)。
・1990年代末から続いてきた両党の国政レベルでの協力関係は相当に高度化しており、今回の都議選をきっかけに、すぐに崩れることは想定し難い。また、現状において、国政レベルでは、自民党に代わる有力な受け皿は存在しない。今回の都議選で、国会における最大野党である民進党は、わずか5議席しか獲得できないというありさまである。
・しかし、それでも政権批判が強まれば、自民党は国政でも議席を大きく落とし得る。また、将来的に都民ファーストが国政に進出してくる可能性も考えられる。知事に就任してわずか1年の小池氏本人がすぐに国政復帰することはまずないが、今後、小池氏に近い国会議員が新たな会派を作り、それが野党再編の核となるシナリオも否定できない。新たな核が生まれれば、党勢の全く上向かない民進党からは、現執行部が続ける共産党との協力関係に不満を持つ議員を中心に、多数の参加者が出る可能性もある。
・実際、都議会では、今回の選挙前に多くの民主党の都議が離党し、都民ファーストからの立候補を選択した。新たな勢力が拡大していけば、将来的には、公明党が自民党と手を切り、その勢力に加わるという可能性もあながち否定できなくなる。もとより、公明党の政策は、自民党の政策よりは民進党の政策との親和性が高い。また、同党の支持母体では、右派色の強い安倍政権の安全保障政策に対し協力を続けていることに対し不満がくすぶっている。
・いずれにしても、「選挙に強いこと」が安倍首相の自民党内での求心力の源であったことを考えると、今回の選挙結果のインプリケーションは小さくはない。支持率回復を目指し、安倍首相は8月中にも内閣改造を行う方針である。失言の多かった閣僚や国会での答弁が不安定であった閣僚の交代や、首相が推進する「教育無償化」などを担当する閣僚ポストの新設が予想される。
・しかし、加計学園問題では、首相側近や首相自身に疑惑の目が向けられているため、支持率回復は容易ではない。新鮮味を出すには抜擢人事を含め大きな内閣改造が必要だが、それは、新たなスキャンダル発生や新人事に対する党内の不満増大といったリスクとも隣り合わせであり、むしろ今後の政権運営を不安定化させる可能性もある。首相は難しい判断を迫られる。
・都議選後、安倍首相は憲法改正案を今秋に開かれる臨時国会に提出し、来年の通常国会で発議を目指す方針を変更しない意向を示した。しかし、もとより性急な議論に異論のあった党内からは、今回の選挙結果を受けて、こうした方針に対し批判が強まってくる可能性がある。 首相が改憲にこだわるのは、それが政治家として自らの最大の目標であり、かつ、現在、改憲派が発議に必要となる3分の2の勢力を両院で占めているからであるが、同時に、改憲議論を加速させることで、一連のスキャンダルからフォーカルポイントをシフトさせたいという思惑もあるとみられる。
・一度掲げた方針を取り下げれば、自らの力の衰えを象徴することにもなりかねず、求心力の低下を加速しかねないということもあろう。しかし強引に改憲論議を進めれば、むしろ党内からも、公明党からも、そして国民からもさらなる反発を招く恐れがある。
▽危うくなった安倍総裁3選
・念のために言っておくと、現在の安倍政権の支持率は、まだ危機的水準とは言えない。6月中旬に実施された各世論調査では、いずれも10ポイント程度の大幅下落がみられたものの、水準は多くの調査で40%を超えていた。一般的に、危険水域とされる内閣支持率の水準は30%以下であり、退陣が濃厚となるのは20%を切ってからである。
・近年、20%前後まで低下した内閣をみると、森内閣や福田内閣、鳩山内閣、菅内閣は退陣に追い込まれ、麻生内閣と野田内閣は衆議院の解散に踏み切った。ただ、7月1、2両日に実施された朝日新聞の世論調査では、内閣支持率が38%と、6月中旬の調査からさらに3ポイント低下し、一方で、不支持率は42%と5ポイント上昇し、支持率を上回っている。全体の半数程度を占める無党派層からの支持率は18%にとどまり、不支持率は55%に上ったという。
・2000年代以降の歴代政権の支持率パターンを振り返ると、一度40%を割り込むと、30%台での滞空時間はかなり短く、それほど間を置かず危険水域とされる20%台へ落ち込むことが多かった。 もちろん、この法則はいつも当てはまるわけではない。安倍政権下では、安全保障法案を巡って政府批判が強まった2015年夏に支持率は一時的に40%を割り込んだが、景気の回復傾向が続き、時間の経過とともに国民の関心が移り変わっていくことで、支持率は大きく持ち直していった(円安に歯止めがかかり、食料品価格などの上昇による実質購買力の悪化が止まったことも大きく寄与した)。
・ただ、今回の支持率下落は、政策に対する批判だけでなく、前述した通り、政権運営や政権の体質そのものに対する不信も反映しているため、ダメージが長引く可能性がある。景気が好調を維持している限りは、底割れは回避される可能性はなお高いと思われるものの、支持率が思うように回復しなければ、今回の都議選の結果も踏まえ、自民党内において、安倍首相から距離を置く議員が増え始めるかもしれない。
・そうなれば、来年9月に予定される自民党総裁選での安倍首相の3選は危うくなっていく。そもそも、従来の自民党の党規では、3選は禁じられていた。今年3月にこのルールを改定した背景には、安倍首相の支持率の高さと、選挙での強さがあったが、この前提が崩れてくれば、自民党内では総裁選に向け、さまざまな思惑が出てくる。今のところ、主たる派閥の領袖らは、首相を引き続き支える姿勢を示しているが、それも今後の支持率次第であろう。
・これまで、安倍首相は人事で派閥の領袖を取り込むことなどで、党内の不満を巧みに抑えてきたが、それでも政権の長期化に伴い、非主流派に甘んじる勢力の不満は必然的に高まっているとみられる。また、何より、自民党は2018年末までに実施しなければならない衆院選で「勝てる総裁」を必要としている。党内ガバナンスがままならず内紛で自滅した民主党政権を反面教師にしてきたということもあるが、自民党が安倍氏を担ぎ続けてきたのは、やはり「選挙に強い」と考えられてきたことが大きい。
▽アベノミクスが修正に向かう可能性も
・仮に安倍政権が弱体化していく場合、その経済政策に対するインプリケーションは、必ずしも明白ではない。首相は、その座にある限り、より大盤振る舞いの財政運営によって政権浮揚を図る可能性もある。  2017年度補正予算が大型化する可能性があるほか、財源確保を先送りして教育無償化やさらなる法人税減税などに踏み切るといった可能性も考えられる。その結果、日銀は実質的にそのファイナンスを担うべく、現行政策の継続を要請されるということになるかもしれない。
・しかし、安倍首相と距離を置く自民党の有力政治家は、総じて財政・金融政策についてはより保守的である。安倍政権の支持率低下とともに、そうした面々の発言力が増していく、あるいは、その中の1人が次期総裁の座を奪取するということになれば、アベノミクスの路線は修正される可能性が高い。
・2018年秋には、2019年10月に予定される消費増税の実施の可否を決定しなければならない。安倍首相自身は3度目の先送りを模索しているとみられ、筆者も再度の先送りをメインシナリオとしてきたが、「安倍一強」が崩れれば、予定通りの実施の可能性は多少高まる。
・また、金融政策についても、自民党内には、首相と距離を置く議員中心に、効果が小さく弊害の大きい日銀の金融政策について手仕舞いすべきとの意見が聞かれるようになっている。2年で2%インフレを実現するとして大規模金融緩和が開始されたが、4年以上が経っても全く2%インフレが見通せない現状を踏まえ、このまま弊害の大きいバランスシートの膨張を容認してよいのかという懸念が強まっているのである。
・現時点ではあくまでテールリスクではあるが、安倍首相の求心力低下でアベノミクスの修正機運が広がり、インフレ率が上昇する前に、政治的に日銀がマイナス金利政策やゼロ%の長期金利誘導目標の修正を迫られる可能性も排除できない。
http://jp.reuters.com/article/column-japan-politics-ryutaro-kono-idJPKBN19R0DB

第三に、政治評論家の田原 総一朗氏が7月7日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「都議選惨敗で、憲法改正は泡と消えた」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・2日に投開票された東京都議会選挙で、自民党は記録的惨敗を喫した。現有57議席を大きく割り込み、過去最低の38議席からも下回る23議席という散々な結果である。 自民党はこの厳然たる事実から逃げるべきではない。いや、逃げることはできない。
・都議選は、小池百合子知事が率いた地域政党「都民ファーストの会」が積極的に支持を集めた「勝利」ではない。自民党が支持を失った「惨敗」なのだ。最大の責任は、安倍晋三首相にある。つまり、都民の安倍首相に対する不信感が原因だ。
・「安倍1強」が揺らぎ始めたのは、森友学園問題からだ。一番の問題点は、森友学園が小学校開設にあたり購入した国有地が、約8億1900万円も値引きされていたことだった。しかし、財務省が記録を破棄したとして、証拠の文書が全く出てこなかったため、メディアもこれ以上は安倍首相を追及しようがなかった。 ところが、そこで安倍首相が余計なことを言った。「もしも、森友学園問題で、私や妻が土地の売買について関係していたということになれば、私は総理大臣も国会議員も辞める」。この発言により、野党もマスコミも昭恵氏を必死で追うことになった。収束するはずの問題が、大事になってしまったのだった。
・さらに、加計学園の獣医学部開設問題が浮上した。安倍首相は、「岩盤規制にドリルで穴を開ける」と言ったが、それについても疑問が残る。岩盤規制に穴を開けること自体は、悪いことではない。問題は、なぜそれが愛媛県今治市の加計学園だったのかという点だ。 加計学園の理事長は、安倍首相と30年来の友人だという。そこでますます疑惑が深まった。
・安倍首相は、「加計学園問題には全く関係がない。もし関係があれば、責任を取るのは当然だ」と言ったが、不信感が晴れることはなかった。文科省の文書が次から次へと出てきたからだ。それらには、「官邸の最高レベルが言っている」「総理のご意向だと聞いている」と官邸から圧力があったことが記録されていた。  政府は当初、これらを怪文書として片付けようとした。ところが、怪文書だと切って捨てられない事態にまで発展してしまった。
▽もうどうすればいいか分からない自民議員
・通常国会の強引な幕引きにも問題があった。通常国会が長引けば、加計問題で安倍内閣の支持率が落ちると危惧した与党は、共謀罪法案について本会議での強行採決に踏み切った。これも、国民の怒りを買う結果となった。 さらには、自民党の豊田真由子議員の大暴言、都議選での稲田朋美防衛相の非常識な発言も問題となった。次から次へと国民の拒否反応を強める言動が立て続けに起こった。 一連の結果が、自民党惨敗へと繋がったのだ。
・一方、小池氏側にも問題があった。今回の都議選での最大の問題は、どの党も東京都の問題点を挙げず、東京をどのようにしていくかというビジョンを示さなかったことだ。 僕は、少なくとも小池都知事が率いた都民ファーストくらいは、東京都の問題点やビジョンを示すのではないかと思っていたが、残念なことにその期待は外れてしまった。 小池都知事は、長い間ブラックボックスだった都議会を透明化した。この功績は大きい。しかし、東京をどうするのかというビジョンを示さなかったことで、これから小池氏の支持率は次第に落ちていくだろう。 また、都民ファーストの当選者たちはほとんどが素人で、実力はないに等しい。小池氏の風に背中を押されているだけだ。自民党のスキャンダルや失言も彼らの追い風になった。
・自民党は大敗の責任をどう取るのか。党員たちが本気で自民党を健全にしようと思うのならば、首相の辞任を求める声が党内から出てくるはずだ。少なくとも従来の自民党はそうだった。 僕は都議選後、複数の自民党の議員に取材した。彼ら自身も本音ではこれからどうすればいいのか分からないようだ。本来なら党内から安倍首相への辞任の声が高まってもおかしくはないが、今は内閣改造の議論ばかりでそんな要求は出ていない。国民の不信感は全く反映されていないということだ。 僕は、自民党の議員たちに「安倍首相に辞任を要求すべきだ」と言ったが、彼らは「そんなことはとても言えない」と答えた。
▽思考する意欲がない自民議員
・どうも自民党の議員たちは、思考する意欲を失っているようだ。皆、ひたすら安倍首相のイエスマンになっていて、政策や自民党の問題について考えようとしない。惨敗した今もなお、自民党をどうすればいいのか、どうするべきなのかということを考えていないのではないかと思わざるを得ない。
・今月3日にテレビ東京で放送された報道番組で、僕は石破茂氏と対談した。そこで、「今まで何人の総理に辞任を要求したのか」と聞いたら、石破氏は「3人です」と答えた。「では、4人目は?」と聞くと、彼は黙ってしまった。
・今回の自民党惨敗によって、憲法改正は実現できなくなったと思う。少なくとも安倍内閣では無理だろう。  僕は以前、安倍首相に「本気で憲法改正をやろうとするのであれば、民進党と協調しなければ実現はできない」と言ったことがある。安倍首相も「その通りだ」と答えた。
・憲法改正は国民投票を経る。もし、自民党が公明党や日本維新の会とともに強引に憲法改正に持ち込むようなことがあれば、国民投票で否決される可能性がある。自衛隊の根拠を規定する改憲案が否決されるということは、自衛隊の正当性そのものを危うくするということだ。これは安倍内閣の問題以上に、国家の重大な問題である。
・だからこそ、自民党も民進党など野党の了承なしに国民投票に進もうとはしていない。ただ、都議選で惨敗した自民党に対し、野党が了承することはもはやありえない。これが、僕が安倍政権下での憲法改正がなくなったと考える理由だ。 自民党の劣化が招いた都議選惨敗は、今後の政権運営にも大きな影響を及ぼすだろう。経験則的に、都議選で負けた党がその後の国政選挙で勝利した例はない。
・自民党は、「都議選は地方選だから、国政選挙で負けたのとは違う」と言っているが、それは自民党の論理だ。一般には通用しない。 東京都民が自民党に呆れ果てたということは、全国民からも呆れられているということだ。「都議選は地方選だ」などと言えば言うほど、国民の不信感は強まっていく。安倍首相の今後の政権運営は、非常に厳しいものになる。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/122000032/070600028/?P=1

昨日の小田嶋氏も民進党には手厳しい批判をしていたが、郷原氏の蓮舫代表・野田幹事長への批判は、非常に説得力がある。政治に「IF」は禁物であるとはいえ、蓮舫氏が都知事選に出馬していれば、小池旋風が起こることもなく、民進党が自民党への不満・不信への受け皿になっていた可能性がある。 『野田氏の責任は、それ以上に大きい』、 『政界を引退するのが本筋』、などの指摘もその通りだ。蓮舫氏も代表を辞任した上で、 『早晩、行き詰まるであろう小池都政の後の都知事をめざすというのも、一つの選択肢』、との提案もいいアイデアだ。
河野氏が 『2000年代以降の歴代政権の支持率パターンを振り返ると、一度40%を割り込むと、30%台での滞空時間はかなり短く、それほど間を置かず危険水域とされる20%台へ落ち込むことが多かった』、 『景気が好調を維持している限りは、底割れは回避される可能性はなお高いと思われるものの、支持率が思うように回復しなければ、今回の都議選の結果も踏まえ、自民党内において、安倍首相から距離を置く議員が増え始めるかもしれない。 そうなれば、来年9月に予定される自民党総裁選での安倍首相の3選は危うくなっていく』、 『アベノミクスが修正に向かう可能性も』、などの指摘は参考になる。
田原氏が指摘する 『もうどうすればいいか分からない自民議員』、 『思考する意欲がない自民議員』、などは情けない限りだ。 『今回の自民党惨敗によって、憲法改正は実現できなくなったと思う。少なくとも安倍内閣では無理だろう』、との指摘については、昨日の小田嶋氏が都民ファーヅトの会新代表になった野田数氏が熱心な憲法改正論者であることを考慮すると、まだまだ警戒が必要なようだ。
タグ:蓮舫氏が都知事選への不出馬を表明したのを見届けた後に、小池氏が、6月29日に出馬を表明 蓮舫氏にとって最大の誤りは、「都知事選挙に出馬せず、野党第一党の代表となって首相をめざす」決断をしたことである 野党としての役割を全く果たせず、ほとんど蚊帳の外のような状況に置かれたのが民進党 「「安倍一強」「小池王国」に貢献した蓮舫代表・野田幹事長は辞任すべき」 同氏のブログ 郷原信郎 (その5)(「安倍一強」「小池王国」に貢献した蓮舫代表・野田幹事長は辞任すべき、都議選後の政治シナリオ、都議選惨敗で、憲法改正は泡と消えた) 日本の政治情勢 蓮舫氏が都知事選出馬表明をすれば、小池氏は出馬を断念していた可能性も高い 、「二重国籍問題」で足をとられることもなかった 民進党が批判の受け皿になり得ないことによって、安倍内閣が森友学園問題・加計学園問題で失態や不誠実な対応を重ねても、支持率が下がらないという異常な状況につながり、都議選では、批判の受け皿となった小池都民ファーストが圧勝し、東京都に「小池王国」を生むことにつながった 民主党(民進党)にとっても、国民にとっても、都民にとっても最悪の結果につながった 野田氏の責任は、それ以上に大きい 野田氏は、民主党にとって「A級戦犯」でありながら、再び幹事長としてしゃしゃり出たことが、日本の民主主義にとっても深刻かつ重大な事態を招いてしまったのである。速やかに民進党の組織から離れ、政界を引退するのが本筋 蓮舫氏は 党の再生のために潔く身を引けば、まだまだ、これから活躍の余地 早晩、行き詰まるであろう小池都政の後の都知事をめざすというのも、一つの選択肢 河野龍太郎 ロイター コラム:都議選後の政治シナリオ=河野龍太郎氏 あらわになった自民党の弱点 8月中にも内閣改造 加計学園問題では、首相側近や首相自身に疑惑の目が向けられているため、支持率回復は容易ではない 憲法改正案を今秋に開かれる臨時国会に提出し、来年の通常国会で発議を目指す方針を変更しない意向 党内からは、今回の選挙結果を受けて、こうした方針に対し批判が強まってくる可能性 危うくなった安倍総裁3選 2000年代以降の歴代政権の支持率パターンを振り返ると、一度40%を割り込むと、30%台での滞空時間はかなり短く、それほど間を置かず危険水域とされる20%台へ落ち込むことが多かった 今回の支持率下落は、政策に対する批判だけでなく、前述した通り、政権運営や政権の体質そのものに対する不信も反映しているため、ダメージが長引く可能性 景気が好調を維持している限りは、底割れは回避される可能性はなお高いと思われるものの、支持率が思うように回復しなければ、今回の都議選の結果も踏まえ、自民党内において、安倍首相から距離を置く議員が増え始めるかもしれない アベノミクスが修正に向かう可能性も 田原 総一朗 日経ビジネスオンライン 都議選惨敗で、憲法改正は泡と消えた もうどうすればいいか分からない自民議員 思考する意欲がない自民議員 経験則的に、都議選で負けた党がその後の国政選挙で勝利した例はない 。「都議選は地方選だ」などと言えば言うほど、国民の不信感は強まっていく
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