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タカタのリコール問題(その3)(臭い物に蓋をする企業文化は米敏腕弁護士の格好のターゲット、タカタはどこで何を間違えたのか 銀行はこうして創業家を見捨てた、破綻したタカタを最後まで追い詰める日本自動車業界の「いじめ体質」、タカタ倒産劇で透けて見える「銀行側の事情」 ) [企業経営]

タカタのリコール問題については、昨年3月27日に取上げたままだった。処理案の基本がみえた今日は、(その3)(臭い物に蓋をする企業文化は米敏腕弁護士の格好のターゲット、タカタはどこで何を間違えたのか 銀行はこうして創業家を見捨てた、破綻したタカタを最後まで追い詰める日本自動車業界の「いじめ体質」、タカタ倒産劇で透けて見える「銀行側の事情」 ) である。

先ずは、ジャーナリスト堀田 佳男氏が6月30日付けJBPressに寄稿した「タカタ倒産、日本企業はもう米国で事業できなくなる?臭い物に蓋をする企業文化は米敏腕弁護士の格好のターゲット」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・タカタが倒産した。 正確には「民事再生法の適用申請」という表現なのだろうが、ここではあえて倒産という言葉を使いたい。それはまさしく築き上げた「資産」を「倒した(された)」からである。 倒産の詳細は他メディアに譲り、当欄では倒産から学ぶべき2つのことを中心に話を進めたい。
▽3年前から倒産は読めていた
・実は2014年12月、当コラムでタカタについて「倒産はあり得る」と書いた(「米弁護士に寄ってたかって食い物にされるタカタ」)。3年前から倒産は読めたのだ。 当時、タカタ製エアバッグによる米国内の死亡者は4人。すでに事件として大きく報道されていた。それから現在まで、米国内の死亡者は計11人(全世界では17人)で、今後も増える可能性がある。 これが日本国内だけの問題であれば、倒産までには至らなかったかもしれない。だが問題の中心地は訴訟の国、米国だった。
・3年前に指摘した通り、米国の貪欲な弁護士たちがタカタを標的にして、いかにカネを巻き上げるかに力を注ぐことは容易に想像できた。 弁護士たちはその時点でタカタから、製造業界で過去最大の賠償金を奪えると踏んでいた。願ってもないほど典型的な懲罰的賠償訴訟に持ち込めると考えていたはずだ。 しかも、事故が起きてから数年を経てもタカタの動きは遅く、それがさらに賠償金の上乗せにつながっていく可能性があった。
・2014年12月時点で、タカタは全米規模でリコールを実施していなかったのだ。「全米でリコールするデータの裏づけがない」というのが会社側の言い分だった。 この動きの遅さが米国の消費者を苛立たせ、弁護士の活動をさらに加速させた。タカタが倒産したところで、賠償金さえ獲れれば弁護士や被害者にとってはさほど大きな問題ではないという姿勢が見え隠れした。 実際、タカタが倒産してもなお、ロサンゼルス市の弁護士ブラッドフォード・チャイルド氏は「タカタは米国の連邦破産法11条(民事再生法)を利用して、エアバッグで死傷した被害者への責任を逃れようとしている」と糾弾してさえいる。
▽3年前の時点でも「時すでに遅し」
・その背後には、タカタは全資産を売却して消えてなくなるべきとの思いを感じさえする。 中国系部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)が事業と資産を買収して再建支援する合意案が出ても、多くの弁護士は不満を抱えたままなのだ。 というのもタカタが倒産したところで、弁護士が抱える顧客一人ひとりに対する賠償金は満足のいく額ではないからだ。1円でも多くの賠償金を勝ち取ってこそ、弁護士としての腕が評価される世界では、まだまだ不十分なのである。
・タカタが欠陥エアバッグの隠蔽工作を認めて、刑事事件で10億ドル(約1110億円)の賠償金を支払うことに合意したのは今年1月のことである。 リコール対象車は米国だけで計4200万台になり、負担額は計1兆円に達する。しかもAP通信によれば、今年4月までにリコールされた車は全体の22%でしかない。
・2014年12月の時点ですでに米国内では55件の集団訴訟が起こされていた。3年前に原稿を書いた時ですら、「時すでに遅し」の印象があったくらいである。しかも、今後エアバッグの交換を待つ間に事故が発生することもある。 ミズーリ州の弁護士ケント・エミソン氏はエアバッグ事故で顔面に大怪我をした女性顧客のために、これからタカタと自動車メーカーに対する訴訟を検討している。
・タカタの倒産で、問題がすべて終わったわけではないのだ。これから始まる訴訟もあることをタカタだけでなく、すべての日本企業は知っておくべきだろう。  もう1つの論点は隠蔽という行為である。
▽社員が欠陥を発見した2004年に隠蔽しなければ・・・
・悪いものを隠そうとする意識は、多くの人が抱えるものである。誰にも話さず、自分だけ、または数人の秘め事として何事もなかったかのようにやり過ごすことは日常生活で垣間見られる。 ここであえて書かなくとも誰もが思い当たるはずだ。些細なことで、誰も傷つかない事例であればいいが、組織ぐるみの隠蔽となると話は違ってくる。
・しかも今回のように事故につながる案件であれば、徹底した報告と改善が必要になる。タカタがエアバッグのテストで、社員が欠陥の兆候を発見したのは2004年のことである。テストに立ち会った社員2人は、テスト最中にインフレーターに亀裂が入ることを発見。上司に報告したが、報告を受けた上司はテスト結果を破棄するように命じた。この隠蔽工作がのちに、内部告発としてニューヨーク・タイムズに告げられるのだ。
・報告を受けた上司は、すぐに頭の中でリコールや抜本的改良に費やされるコストを計算していただろう。  その時点で億円単位のコストがかかったかもしれない。だが同時に、事故につながる危険性も理解していたはずで、2004年、2005年の段階で手を打っておけば、少なくとも倒産はなかっただろう。 それよりも世界中で亡くなられた17人の命は助かっていたはずだ。負傷者は180人にのぼる。この議論は、単なる結果論として片づけられない。
・結果論だからこそ見えてくる教訓があり、「あの時こうすればよかった」が他社に生かされなくてはいけない。 タカタは長い間、隠蔽を否定し、高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)も表舞台に姿を現さなかった。今年になって米司法省から鉄槌をくらって、ようやく隠蔽を認めるという体たらくである。 友人のドイツ人経済記者と話をすると、悪い意味での日本らしさを口にした。
▽タカタに限らず日本企業全体の問題
・「家族経営の弊害が悪い形で出た。日本的な、事なかれ主義で済ます空気が社内に充満していたのではないか」 「すべてを欧米流の合理主義にする必要はないし、日本的なものを貫くことも大切だが、モラルに反することをすると、どの世界でも最後には痛い目に遭う」 最後に再び指摘したいが、米国の訴訟文化は日本だけではなく、世界企業にとっても大きな課題である。ドイツ人記者は「こんなことを続けていたら、米国で事業をしたいと思う企業がいなくなる」と言った。
・ドナルド・トランプ大統領が行動の人であるならば、訴訟文化の軌道修正をするくらいの動きに出てもいいが、トランプ氏自身が訴訟好きであるので、弁護士たちの飯の糧である訴訟件数が大きく減ることはないだろう。 となると、米国に進出する日本企業は、タカタのような事件に遭遇する可能性を十分に想定しながら事業をする覚悟が必要になる。 その前に、不測の事態が生じた時はすぐに手を打つという態度が重要さを増す。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/50379

次に、7月3日付け現代ビジネス「戦後最大の「1兆円倒産」タカタはどこで何を間違えたのか 銀行はこうして創業家を見捨てた」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・自動車業界でも例を見ない巨額のリコール問題の中心になったタカタ。だが、創業家会長は説明責任を果たす気もないらしい。世界トップシェアを誇った優良企業が転落するにいたった失敗の本質とは。
▽最後まで抵抗した高田一族
・「6月16日に日経新聞が『タカタが民事再生法申請へ』と報じましたが、このような形で民事再生法手続きの報道が先行することは極めて異例です。 株式も16日当日は報道の真偽確認のため、終日売買停止。週明けの19日は取引は再開されたものの大量の売り注文が残り、大混乱。東京証券取引所もタカタの情報開示の遅さに業を煮やしていました」 こう語るのは東京商工リサーチ松岡政敏氏。
・タカタ自身は「現時点において当社として何ら決定した事実はございません」と法的手続きに入る予定を否定しているが、26日にも申請されるという報道もある。そうなれば負債総額は1兆円を超え、製造業の倒産としては戦後最大になる。
・「タカタは、TKJという不動産事業などを行う高田家の資産管理会社、高田重久会長とその母である暁子氏が全株式の6割も握る典型的なオーナー企業。一族はぎりぎりまで私的整理を望み、民事再生法適用による再建に抵抗していた。私的整理ならオーナー一族も経営陣に残ることができるし、株式も紙切れにならずに済みますからね。
・しかし、いつまでもリコールの処理が長引いて余計なとばっちりは受けたくない自動車メーカー、再建のスポンサー候補、そして監督官庁である国交省などの思惑が一致し、タカタの外堀を埋めるためにリークしたというのが市場関係者の見立てです」(大手経済誌記者)
・もともとタカタはエアバッグで約2割という世界のトップシェアを誇る超優良企業だった。それがこうして破綻寸前に追い込まれるに至るまでには、いくつもの経営判断の誤りがあった。 事が大きくなった発端は'14年9月に米NYタイムズ紙が、タカタとホンダがエアバッグの欠陥を認識していたにもかかわらずそれを公開していなかったと報じたこと。だが、問題の根源はその10年以上前から明らかになっていた。元ペンタックス社長で現エクスキャリバー代表浦野文男氏が語る。 「'04年に、アメリカ本社は問題があることを把握していたことがわかっています。アラバマでエアバッグの破裂事故が報告された後、ミシガンにある米国本社で試験を行っていたのです。この段階で問題の火薬を使った製品の製造をストップするべきでした。
・当時の社長、高田重一郎氏(重久氏の父)まで情報が上がっていたかはわかりません。もし上がっていて、それを握りつぶしていたのならば言語道断ですが、現場が『問題はあるようだが、事故が実際に起きる危険性は極めて低い。社長に上げるような案件ではない』と、殿様社長を『忖度』した可能性が高い。
・このとき問題に正面から向き合っていれば、リコールの対象車が1億台というとんでもない数になることもなかった。小さな問題であっても上に報告するコンプライアンスがまったく働いていなかったことがいちばんの原因でしょう」
▽謝罪を嫌がるトップ
・問題がメディアで大々的に報じられてからも、タカタの対応は後手後手に回る稚拙なものだった。佃モビリティ総研代表の佃義夫氏が語る。 「問題発覚後、本来であれば、高田会長が出てきてきちんと謝罪をするべきなのに、ほとんど表に出てこない。今年の3月期決算でも会長本人ではなく、野村洋一郎取締役が出てきて改めてエアバッグの件を謝罪していた。
・ホンダをはじめとしたメーカーは、創業家によるガバナンスを問題視し、改革の提言を行ってきましたが、タカタに一切変化の兆しが見られないので見切りをつけざるをえなかったのです」 そもそもタカタは、エアバッグ問題が発覚してもかなり強気だった。それどころか、 「タカタが破綻したら、搭載するエアバッグはどこが作るんですか」と自動車メーカーに対して支援を要請していたともいわれる。
・「タカタの経営者はダウンサイドリスクを見誤ったということに尽きる。ダウンサイドリスクとは、被る可能性のある最大限のリスク。エアバッグ以外にもシートベルトやチャイルドシートなどで高いシェアを誇っていたため危機感が薄れていたのだろう」(経営コンサルタント小宮一慶氏) 
・これまで安定した優良経営が続いていたので、銀行からの貸し付けも少なかった。最も多いメインバンクの三井住友銀行で約130億円。銀行側も大きな貸し付けがあれば、一緒になって本気で再建策を練るだろうが、この程度の額なら、最悪ドブに捨ててもしかたないくらいにしか考えていない。 主要行は連鎖倒産を防ぐための特別融資枠にも応じる予定だが、タカタを本気で再建できるとは考えていないだろう。
・経済ジャーナリストの町田徹氏が語る。 「ホンダとタカタはもともと一蓮托生でしたが、リコール問題が拡大するなか、あまりに危機感の薄いタカタに業を煮やしたホンダが'15年11月に他社のエアバッグを採用することを発表し、完全にタカタと決別しました。
・自動車メーカーは消費者との大きな接点を持っているので早めに率先してリコールに対応しなければいけないし、実際に対応してきた。しかし、タカタは自動車メーカーのエアバッグの設置場所が悪かったと主張するばかりで、なかなか責任を取ろうとしなかった。 自動車メーカーに提供する試験データを隠蔽したことで、タカタの社員3人が訴えられたこともありました。自分たちの隠蔽は棚に上げて、配置レイアウトの問題だと言っていたのですから、自動車メーカーが頭に来るのもわかります」
▽実権を握るゴッドマザー
・タカタの危機対応が遅れたのは、部品メーカー独特の企業文化も根底にある。これまではリコール問題があっても、自動車メーカーが矢面に立つことが多かった。だから部品メーカーは、あえてメディアに出る必要もなかったし、広報戦略などほとんどないに等しかったのだ。 「部品メーカーの社長がメディアにしゃしゃり出てきて、悪目立ちすると自動車メーカーににらまれる。『そんなに景気がいいことを言うなら、納入価格をもっと下げられるだろう』と脅されかねないから黙っているんです。
・高田会長が表に出てこないのは、『良いときに出ないなら、悪いときにも出なくていい』という意識なのでしょう」(大手自動車メーカー下請け社員) たとえば、トヨタは'09年に大規模リコールがあり、全米でバッシングの嵐が吹き荒れたが、米議会での公聴会に豊田章男社長が出席し、しっかりした英語で質疑応答を行った。対してタカタの場合は公聴会に高田会長は出席せず、代わりに品質管理の担当者を出した。 「技術的な質問をされたら答えに窮するという理由もあったかもしれませんが、こういうときはトップが出ていくのが当然のこと。
・同族経営の会社には往々にしてこういうことがあります。私がかつて社長を務めたペンタックスも同族企業だったが、いいときも悪いときも創業家が表に出ることを好まなかった。創業家は江戸時代の大名と同じで、次世代に引き継ぐことが最大の使命なので、表に出てもなんの得にもならないと考える人が多いのです」(前出の浦野氏)
・以前タカタに勤めたことのあるバリエント・マーケット・リサーチのCEOスコット・アップハム氏が高田会長のことを語る。 「私は20年ほど前の彼のことを知っています。頭はいいのですが、引っ込み思案で物静かなパソコンオタクでした。タカタのような危機に陥った会社の経営には、向いていないタイプではないでしょうか。一方、会長の母親である暁子氏は非常に実務能力の高い人です」 暁子氏は表向きは直接経営に関与していないことになっているが、隠然たる影響力を持っている。今年5月には日経新聞のインタビューにも答えているから驚きだ。
・「なぜ息子の重久氏でなく母の暁子氏が答えるのか、理解に苦しみます。リコール拡大が止まらなかった理由を問われ、『クルマの中に組み込まれる安全部品メーカーとしての限界もあり、問題が起きた時に自主的に動き、自動者メーカーともっと共同で取り組むべきだったと反省しています』と、あたかも自動車メーカーが問題解決に協力してくれなかったような口ぶりでした」(全国紙経済部デスク)
・法的整理ということになれば、タカタの株は紙切れになる。保身に走るあまり、表舞台に出て頭を下げることを嫌った創業家の人間が、再び経営の手綱を握ることはないだろう。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52158

第三に、経済ジャーナリストの町田 徹氏が7月4日付け現代ビジネスに寄稿した「破綻したタカタを最後まで追い詰める日本自動車業界の「いじめ体質」 問題はまだ終わっていない」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽負債総額がいまだに見えてこない
・自動車部品大手のタカタが、エアバッグの異常破裂問題に端を発した経営危機に沈んだ。6月26日に、東京地裁に民事再生法の適用を申請、これを受理された。 タカタは今後、中国系の米自動車部品会社キー・セイフティー・システムズ(KSS)の傘下に入り、もう一つの収益の柱であるシートベルトなどを中心に、再建をめざすという。
・タカタ問題では、新聞各紙が報じている通り、早くから同社製のエアバッグに欠陥製品疑惑が浮上していたにもかかわらず、米政府やマスコミへの対応の遅さや拙さばかりが目立った。こうした対応が、同社の苦境を増幅した感は拭えない。 また、行政や自動車メーカーが依然としてエアバックの経年劣化問題に手をこまねいており、消費者のための部品の定期交換制度がいまだに確立されていないことも大きな問題だ。安全確保の視点が抜け落ちている。
・加えて、民事再生法に基づく再建策づくりが本格化する中で、筆者が注目しているのが、負債総額をめぐるマスコミの下馬評と、タカタ自身の認識のあまりにも大きなギャップだ。 負債総額が1兆円を超えてわが国の製造業者として過去最大の倒産劇になるというマスコミ報道と、同社自身が26日に発表した今年3月末の負債総額(約3800億円)を単純に比べても、実に3倍近い開きが存在する。この大きな格差にこそ、タカタの直面した自動車業界の闇の深さが潜んでいるのではないだろうか。
▽再発防止が進まなかった理由
・2016年版の会社案内によると、タカタは1933年、滋賀県で織物製造業者として創業した。 自動車分野では、1960年に2点式のシートベルトの製造・販売を、1980年に世界初の運転席用のエアバックの量産を開始。最近までタカタのエアバッグの世界シェアは約2割を保ち、世界最大手スウェーデン・オートリブ社に次ぐ2位につけていた。2016年3月末現在で、世界21カ国に57の生産拠点を有し、従業員数は約5万人に達していた。
・エアバッグの欠陥が原因で最初に死亡事故が起きたとされたのは、2009年5月のことだ。米オクラホマ州で、衝突事故の際にインフレーター(ガス発生装置)が異常爆発。飛散した金属片が、当時18歳の女性の頸(けい)動脈を切断、命を奪った。2016年2月2日付のロイター通信によると、米国を中心に死者が少なくとも16人、負傷者が150人以上に達したという。
・最初の悲劇から7年ものあいだ、再発防止策の導入が進まなかったのは許しがたいことだ。しかし、そこにそれなりの事情や原因が存在するのも事実だ。 第一は、最初の死亡事故が、何かあるとすぐ日本車バッシングに火がつく米国で起きたことだ。 米国のメディアは、タカタ製エアバッグを「殺人エアバッグ」とセンセーショナルに報じた。米当局は政治的な思惑から、原因が特定できない段階で、部品のサプライヤーに過ぎないタカタにリコール実施を強要して、問題を複雑にした。本来なら前面に立つべき日本車メーカーが尻込みしてしまい、タカタ自身も機動的に効果的な対応策を打ち出せなかった。
・第二に、最初の死亡事故以前にも、リコール騒ぎがあったことが影を落とした。 タカタは当初、不具合を主に自動車メーカーの責任とし、メーカーはリコールを進めた。ところが、その後リコール対象以外の車種でも、死亡事故を含む事故が急増した。原因究明のために不可欠だったとはいえ、エアバッグ問題でリコールをくり返す事態に追い込まれたことが、自動車メーカーにとって不本意な事態でなかったはずがない。
・第三に、タカタが調査を委託したドイツの研究機関が、タカタの製造管理ミスや火薬の経年劣化だけでなく、エアコンの傍にエアバッグを置くという自動車メーカーの車両設計ミスにも異常爆発の原因の一端がある、と指摘したことも無視できない。自動車メーカーとタカタのあいだで深まっていた亀裂を決定的なものにする要因になったからだ。
▽事故のリスクは消えていない
・当初、車検制度のない米国とは違い、日本では偶数回の車検時などに定期的にエアバッグの火薬を交換する仕組みをつくることは容易とみられていた。 だが、自動車メーカーとタカタの不協和音、さらには火中の栗を拾いたがらない国土交通省の逃げの姿勢が仇となり、こうした安全対策はいまなお整備されていない。
・基本的には、火薬の経年劣化についてきちんと公表し、消耗部品として、消費者のコストで定期交換する制度を整えればよいはずだ。しかし、すでに販売してしまったエアバッグの改修費用を、メーカーとタカタがどう分担するかという問題が背景にあった。 ここで筆者が指摘しておきたいのは、現行のエアバッグは、タカタ製に限らず、すべての製品に火薬が使われており、すべての火薬が経年劣化するという問題だ。およそ6年で定期交換する必要がある。つまり、いざというとき、エアバッグが安全かつ正常に膨らまないリスクは依然として存在しているのである。
・このことは、2015年5月12日公開の記事『タカタ製だけじゃない。経年劣化ですべてのエアバッグが危ない!? 』(※閲覧にはプレミアム会員登録が必要です)にも書いたので、興味のある読者は一読してほしい。
・上記に加えて、創業家出身の高田重久会長兼社長が、なかなか公式の記者会見の場で責任の所在を明確にしようとしなかったことが、社会的なタカタ不信を掻き立てたことも見逃せない。 こうしたなかで、自動車メーカーからの受注激減と、リコール関連費用の増大によって、タカタの屋台骨は音を立てて崩れ落ちた。2017年3月期の連結最終損益は、マイナス795億円と3期連続の赤字に沈んだ。
▽新聞は負債総額を「1兆円」と
・先週、タカタ本体と米子会社TKホールディングスを含むグループ15社が、内外で法的整理を申請した。  タカタは、新旧会社分離を行ったうえで、債務整理を行うことになった。過去に販売したエアバッグのリコール対応を行う部門を旧会社に残し、新会社は中国・寧波均勝電子傘下の米KSSに譲渡。同社の傘下で再建を目指す。また、再生計画策定中のつなぎ資金として、三井住友銀行が250億円の融資枠を設定したと発表した。
・新聞各紙は競うかのように、タカタの負債総額は連結ベースで1兆円を超える見通しと報じている。この数字は、昨年破たんしたパナソニックプラズマディスプレイ(負債総額5000億円)や、2012年に破たんしたエルピーダメモリ(同4480億円)を上回って製造業では最大の規模だ。
・遅ればせながら、高田会長兼社長が6月26日の記者会見に出席し、再生計画の策定にメドがついた段階で身を引く覚悟を表明したことは、評価していいのではないか。 各方面に相応の債権カットを依頼する以上、創業家出身者を含む経営陣が居座るのは論外だ。経営責任をとって退任するのは当然のことだろう。減資により、創業者一族の保有株も償却原資に回す措置をとらないと、債権整理もままならない。
▽タカタの認識と大きくズレている
・ただし、タカタが東京地裁に提出した債権者リストを見ると、今後の再生計画づくりは容易でないことが予見される。 リストによると、タカタが現時点で認識している債権額は1412億円(債権者数767社)と、前述の3月末残高(約3800億円)を大きく下回っている。 タカタ代理人の小林信明弁護士は6月26日の記者会見で、最終的な負債総額について、「概数としても民事再生手続きのなかで決まっていくので、認識していない」「リコールに基づく負債がどれくらいあるかなかなかわからない」「自動車メーカーと協議してどちらの責任でどれくらいになるかまとまっていない」としている(日経QUICKニュース)が、下馬評の1兆円との開きは歴然だ。
・ちなみに、トヨタ自動車・ホンダ・日産自動車の自動車大手各社は、タカタに対する貸倒引当金をすでに計上済みで、「今後の業績への影響は軽微だ」とコメントしている。 ただし、トヨタがタカタに対する債権額を5700億円としているのに対し、タカタはトヨタの債権額をわずか266億2000万円と見積もるなど、両者の見解には大きな開きがある。
・いったい、なぜ、これほどの開きが生じるのだろうか。 銀行筋の見立ては、「自動車メーカー側にタカタの責任の所在がなお不明確という意識から、どうせ破たんするのならば、タカタにできるだけ多く負債を抱えて破たんしてほしいという思惑が働き、債権額の見積もりが適正でなかった可能性がある」というものだ。
・そこにあるのは、債権カットの分担額を確定することの難しさを予感させる意見対立だけではない。1歩間違えば、日本の自動車業界で完成車メーカーによる”下請けいじめ”が横行していることを、満天下に知らしめることになりかねない“爆弾”が存在しているのである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52193

第四に、マネックス証券 執行役員の大槻 奈那氏が7月17日付け東洋経済オンラインに寄稿した「タカタ倒産劇で透けて見える「銀行側の事情」 変わるメインバンクと企業の距離感」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・6月26日、エアバッグのタカタが1.5兆円もの負債総額を抱え民事再生法の適用を申請した。製造企業としては戦後最大の倒産である。ということは、言い方を変えれば、この規模の製造業はこれまで法的整理を回避し、何らかの形で生き延びてきたということだ。タカタはなぜ法的整理を余儀なくされたのか。
▽メインバンクと大企業の蜜月時代
・かつて日本で問題企業処理といえば「私的整理」が一般的だった。私的整理とは、取引銀行たちが貸し出しなどの債権を放棄する比率などを話し合い、企業の再生を図るものだ。東芝は今のところこのルートに乗っている。 私的整理の場合、「法的整理」、すなわち「倒産」ではないので、弁護士などの費用が少なく、多くの場合上場も維持できる。社債も通常はデフォルト(債務不履行)とは見なされない。
・反面、私的整理の弱点は、裁判所という第三者が介入しないため、取引銀行に不満が出やすいことだ。もめ始めると、時として収拾がつかなくなる。このため、私的整理では、結局メインバンクが負担額を大きくすることで、ほかの取引銀行をなだめるのが一般的だ。
・私的整理の最初の事例は1995年に経営難に陥った石原建設だった。このケースでは、主力の三菱信託銀行(現三菱UFJ信託銀行)らが貸出債権を全額放棄して決着した。交渉開始当初、三菱信託銀行は、全取引銀行に同等の負担を求めたが、一部の銀行は納得しなかった。結局、中には金利だけ減免し元本はまるまる回収した銀行もあった。
・2000年代に入り、企業業績の低迷とともに私的整理が活発化した。この頃、「民事再生法」も施行され、以前よりは簡単に法的整理ができるようになったが、やはり、大企業については私的整理が主流だった。 この頃から製造業のケースも増加した。たとえば、集団食中毒事件で2002年に経営難に陥った雪印乳業。メインバンクの農林中央金庫は、雪印の借入総額に占める融資シェアは35%にすぎなかったが、債権放棄額全体の77%を負担した。
・同じく2002年に私的整理を行ったケンウッドでは、メインバンクのあさひ銀行 (現りそな銀行)の融資シェアは借り入れ全体の43%程度を占めるにすぎなかった。しかし結局あさひ銀行は、250億円の債権放棄額の全額を負担した。按分負担なら、250億円のうちせいぜい100億円の負担で済むはずだった。
・ちなみに、米国にも司法を介入させずM&AやDES(債務の株式化)のみで再生する手法は存在する。しかし、米国では倒産のイメージが日本ほど悪くないため、再生型倒産のチャプター11が選ばれやすい。さらに、日本と異なり、裁判所に代わって銀行間の調整を図るメインバンクが存在しないことも大きな違いだ 。
▽タカタもかつては「日の丸企業」だった
・このように私的整理は、メインバンクが先頭に立って、銀行間の利害を調整することが前提になる。相当な犠牲を強いられるため、メインだからといってどの企業でも支援するわけではない。 では銀行は、どんなときに、どんな企業なら支援するのか。たとえば筆者が格付け会社にいた頃、企業の信用格付けには、メインバンクによる支援の可能性も織り込まれていた。
・その判断基準には、その企業の市場地位、技術力の高さ、倒産した場合の社会的影響度、銀行との株式持ち合いや人的つながりの有無、メインバンクの体力などが含まれていた。この基準でいけば、日本の製造企業は支援を受けやすい。現在東芝は、銀行から手厚い支援を受けて存続しているが、この辺りの条件を見ればそれも納得できる。
・タカタのケースはどうか。エアバッグやシートベルトにおけるタカタの世界市場シェアは20%と高い。570社とされる下請け企業の数やそこで働く60万人の従業員などから倒産の影響も大きい。これらの点を考えれば、十分銀行に支援されうる企業だろう。 実際、タカタも1995年に苦境に立たされたときには手厚い支援を受けている。米国においてシートベルトの事故で訴追を受け、対象は800万台と過去最大級のリコール問題に発展した。
・このときは、取引銀行はそれまでどおりの融資を継続していたとみられる。当時日本の運輸省(現国土交通省)のある官僚が、タカタのシートベルトの事故について、「米国では車内を汚くするから壊れるのだ」という趣旨の発言をして、物議を醸した 。銀行も政府も、そこまでタカタを擁護した。 
・しかし今回は、結局民事再生が選択された。当初は、私的整理か、との報道も出ており、経緯は見えにくい。しかし近年、タカタに限らず、メインバンクの企業支援の姿勢に変化が出始めているのも事実だ。
▽企業は「再生」しなくなっている
・全国の裁判所に持ち込まれる広義の「倒産」案件には、今回のタカタのように、一部の借り入れをチャラにして再生を図る「民事再生・会社更生」と、完全に経営をギブアップする「破産・清算」の2種類がある。 このうち、「再生型」案件の比率は、近年減少傾向にある。2001年のピークで12%程度だった再生型倒産の比率は、2014年には2%程度にまで減少している。 そして、「再生型」を選んで裁判所に駆け込んだ企業でも、その後活動をやめた企業が6割以上を占める。経営難の企業は「再生」しなくなっているのだ。
・その背景には、いくつかの要因があると考えられる。 第一に、銀行の体制の変化がある。最近は、コーポレートガバナンスの厳格化で、銀行員が企業に天下りするようなウェットな人間関係は減少し、株式の持ち合いも大きく減っている。株主の企業統治への見方も厳しくなっているので、銀行も、経済合理性のない、問題の先送り的な救済はできない。また、かつては銀行自体の体力が脆弱だったため、損失の発生を先送りするために私的整理を行うケースも見られた。しかし、今ではドラスチックな処理を行う体力もある。
▽「再生」という名の「延命」は割に合わない
・第二に、マイナス金利の影響がある。平均貸出金利が年3%を超えていた1990年代半ばなら、支援して延命させれば、金利収入で元本を回収できる可能性もある。たとえば、債権を3割放棄しても、4%の金利が取れれば、7年半で回収できる。ところが、今や平均貸出金利は1%程度である。債権を3割放棄してしまったら元本回収に30年かかる計算だ。まして、当局からは、事業性を丁寧に評価し、新規貸し出しを拡大するよう迫られる。時として新規融資の何倍もの時間がかかる企業再生は、割に合わない。
・第三に、主に中小企業においてだが、信用保証協会案件の問題がある。一般に、銀行は公的機関である信用保証協会からの保証付きで貸し出しを行えば、企業が倒産しても貸出元本の毀損は2割で済む。ならば、あれこれと手間をかけて再生プランを練るよりも、企業が何とか金利だけ支払えるうちは金利をもらっておいて、いよいよとなったら信用保証協会に補てんしてもらうのが合理的とも考えられる。
・このような問題を背景に、今年2月に信用保証制度の改革が行われた。銀行は、企業の再生を後押しすることで協会とリスクシェアを行うよう求められる。ただし、保証割合の引き下げが見送られるなど、抜本的な変革とはいえない。今後は、企業の経営改善に協力するよう銀行に促す方針だが、具体策はまだ見えない。  さらに、メインバンク以外の第三者から再生資金を得られるDIPファイナンス(事業再生支援融資)などの新たな貸し出しも行われるようになっている。米国では一般的な手法だが、かつて日本では主に政府系金融機関が行ってきた。まだ主役になるには程遠いが、最近では一部の民間金融機関も手掛けるようになるなど若干の広がりも見える。
・銀行が安易に企業を破産に追いやるようでは、意欲的にリスクを取る企業は育たないだろう。しかし一方で、商品や技術が時代遅れになっているケースで延命させても、企業の新陳代謝を遅らせてしまう。銀行は、企業の経営が比較的良好な今のうちに、企業との関係をあらためて整理しておくべきかもしれない。
http://toyokeizai.net/articles/-/180556

第一の記事で、 『タカタがエアバッグのテストで、社員が欠陥の兆候を発見したのは2004年のことである。テストに立ち会った社員2人は、テスト最中にインフレーターに亀裂が入ることを発見。上司に報告したが、報告を受けた上司はテスト結果を破棄するように命じた。この隠蔽工作がのちに、内部告発としてニューヨーク・タイムズに告げられるのだ』、 『「家族経営の弊害が悪い形で出た。日本的な、事なかれ主義で済ます空気が社内に充満していたのではないか」 「すべてを欧米流の合理主義にする必要はないし、日本的なものを貫くことも大切だが、モラルに反することをすると、どの世界でも最後には痛い目に遭う」』、などの指摘はタカタを馬鹿な対応をした例外としてみるのではなく、コンプライアンスの重要性を改めて示した例として考えるべきだろう。
第二の記事では、 『最も多いメインバンクの三井住友銀行で約130億円』、という少なさでは、メインバンクからのガバナンスが働く余地もなく、このオーナー型企業には誰も「鈴」をつけられなかったことになる。
第三の記事で、 『負債総額が1兆円を超えてわが国の製造業者として過去最大の倒産劇になるというマスコミ報道と、同社自身が26日に発表した今年3月末の負債総額(約3800億円)を単純に比べても、実に3倍近い開きが存在する』、というのは立場の違いがあるにしても、解せない開きだ。タカタの監査法人は、条件付きで約3800億円としたのだろうが、これでは財務諸表の信頼性とはほど遠い。さらに、『リストによると、タカタが現時点で認識している債権額は1412億円(債権者数767社)と、前述の3月末残高(約3800億円)を大きく下回っている』、とのことらしいが、最終的な決着はどうなるのだろう。 『現行のエアバッグは、タカタ製に限らず、すべての製品に火薬が使われており、すべての火薬が経年劣化するという問題だ。およそ6年で定期交換する必要がある』、との指摘は確かにあり得る問題だ。 『日本の自動車業界で完成車メーカーによる”下請けいじめ”が横行していることを、満天下に知らしめることになりかねない“爆弾”が存在』、との指摘は私の理解力を超えているようだ。
第四の記事で、『企業は「再生」しなくなっている』、 『「再生」という名の「延命」は割に合わない』、などの指摘はその通りだが、経営陣が希望した私的整理が使えなかったのは、やはりリコール費用のメーカーとの分担、被害者からの損害賠償請求、などを切り離すためだったと単純に考えるべきだろう。
タグ:タカタのリコール問題 (その3)(臭い物に蓋をする企業文化は米敏腕弁護士の格好のターゲット、タカタはどこで何を間違えたのか 銀行はこうして創業家を見捨てた、破綻したタカタを最後まで追い詰める日本自動車業界の「いじめ体質」、タカタ倒産劇で透けて見える「銀行側の事情」 ) 堀田 佳男 JBPRESS タカタ倒産、日本企業はもう米国で事業できなくなる?臭い物に蓋をする企業文化は米敏腕弁護士の格好のターゲット 3年前から倒産は読めていた 2014年12月時点で、タカタは全米規模でリコールを実施していなかったのだ。「全米でリコールするデータの裏づけがない」というのが会社側の言い分だった。 この動きの遅さが米国の消費者を苛立たせ、弁護士の活動をさらに加速させた 欠陥エアバッグの隠蔽工作を認めて、刑事事件で10億ドル(約1110億円)の賠償金を支払うことに合意したのは今年1月 タカタがエアバッグのテストで、社員が欠陥の兆候を発見したのは2004年のことである。テストに立ち会った社員2人は、テスト最中にインフレーターに亀裂が入ることを発見。上司に報告したが、報告を受けた上司はテスト結果を破棄するように命じた。この隠蔽工作がのちに、内部告発としてニューヨーク・タイムズに告げられるのだ タカタは長い間、隠蔽を否定し、高田重久会長兼最高経営責任者(CEO)も表舞台に姿を現さなかった。今年になって米司法省から鉄槌をくらって、ようやく隠蔽を認めるという体たらくである 家族経営の弊害が悪い形で出た。日本的な、事なかれ主義で済ます空気が社内に充満していたのではないか」 「すべてを欧米流の合理主義にする必要はないし、日本的なものを貫くことも大切だが、モラルに反することをすると、どの世界でも最後には痛い目に遭う 現代ビジネス 戦後最大の「1兆円倒産」タカタはどこで何を間違えたのか 銀行はこうして創業家を見捨てた 最後まで抵抗した高田一族 一族はぎりぎりまで私的整理を望み、民事再生法適用による再建に抵抗していた 理が長引いて余計なとばっちりは受けたくない自動車メーカー、再建のスポンサー候補、そして監督官庁である国交省などの思惑が一致し、タカタの外堀を埋めるためにリークしたというのが市場関係者の見立てです エアバッグで約2割という世界のトップシェアを誇る超優良企業だった '04年に、アメリカ本社は問題があることを把握していたことがわかっています。アラバマでエアバッグの破裂事故が報告された後、ミシガンにある米国本社で試験を行っていたのです。この段階で問題の火薬を使った製品の製造をストップするべきでした 謝罪を嫌がるトップ タカタの対応は後手後手に回る稚拙なものだった ・ホンダをはじめとしたメーカーは、創業家によるガバナンスを問題視し、改革の提言を行ってきましたが、タカタに一切変化の兆しが見られないので見切りをつけざるをえなかったのです」 そもそもタカタは、エアバッグ問題が発覚してもかなり強気だった。それどころか、 「タカタが破綻したら、搭載するエアバッグはどこが作るんですか」と自動車メーカーに対して支援を要請していたともいわれる 最も多いメインバンクの三井住友銀行で約130億円。銀行側も大きな貸し付けがあれば、一緒になって本気で再建策を練るだろうが、この程度の額なら、最悪ドブに捨ててもしかたないくらいにしか考えていない トヨタは'09年に大規模リコールがあり、全米でバッシングの嵐が吹き荒れたが、米議会での公聴会に豊田章男社長が出席し、しっかりした英語で質疑応答を行った タカタの場合は公聴会に高田会長は出席せず、代わりに品質管理の担当者を出した。 「技術的な質問をされたら答えに窮するという理由もあったかもしれませんが、こういうときはトップが出ていくのが当然のこと 町田 徹 破綻したタカタを最後まで追い詰める日本自動車業界の「いじめ体質」 問題はまだ終わっていない 負債総額がいまだに見えてこない 負債総額が1兆円を超えてわが国の製造業者として過去最大の倒産劇になるというマスコミ報道と、同社自身が26日に発表した今年3月末の負債総額(約3800億円)を単純に比べても、実に3倍近い開きが存在する 最初の悲劇から7年ものあいだ、再発防止策の導入が進まなかったのは許しがたいことだ 現行のエアバッグは、タカタ製に限らず、すべての製品に火薬が使われており、すべての火薬が経年劣化するという問題だ。およそ6年で定期交換する必要がある リストによると、タカタが現時点で認識している債権額は1412億円(債権者数767社)と、前述の3月末残高(約3800億円)を大きく下回っている 大槻 奈那 東洋経済オンライン タカタ倒産劇で透けて見える「銀行側の事情」 変わるメインバンクと企業の距離感 「私的整理」 、「法的整理」、すなわち「倒産」ではないので、弁護士などの費用が少なく、多くの場合上場も維持できる。社債も通常はデフォルト(債務不履行)とは見なされない 私的整理の弱点は、裁判所という第三者が介入しないため、取引銀行に不満が出やすいことだ 私的整理の最初の事例は1995年に経営難に陥った石原建設 企業は「再生」しなくなっている 、「再生型」案件の比率は、近年減少傾向にある。2001年のピークで12%程度だった再生型倒産の比率は、2014年には2%程度にまで減少している。 そして、「再生型」を選んで裁判所に駆け込んだ企業でも、その後活動をやめた企業が6割以上を占める。経営難の企業は「再生」しなくなっているのだ 「再生」という名の「延命」は割に合わない
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