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少子化(その1)(フランスはどうやって少子化を克服したのか、「生涯未婚」の原因は、本当におカネの問題か、「一度も働いたことない40〜50代大卒娘」を抱えた高齢親が増加中) [社会]

今日は、少子化(その1)(フランスはどうやって少子化を克服したのか、「生涯未婚」の原因は、本当におカネの問題か、「一度も働いたことない40〜50代大卒娘」を抱えた高齢親が増加中) を取上げよう。

先ずは、昨年11月12日付け東洋経済オンライン「フランスはどうやって少子化を克服したのか なるほど、これなら出生率があがるわけだ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・以前は日本と同じように少子化に悩んでいた、フランスの合計特殊出生率は2014年のOECDデータで1.98となっており日本の1.42と大きな開きがでている。本書『フランスはどう少子化を克服したか』は、現地で子育て中の日本人ライターが、少子化を克服したフランスの「5つの新発想」についてレポートしたものだ。この数値だけを指して問題視するつもりはないが、私も現在の子育て環境には窮屈さを感じており、見習うべき点があるに違いないと興味津々で読み始めた。
▽日本の仕組みの窮屈さをわが身で感じたため
・私には、小学校1年生と保育園2歳児クラスの子供がいる。二人とも生後3か月から保育園に通っているが、下の子は昨春、公立の保育園の書類選考にすべてもれた。いわゆる「待機児童」になるかと思われた矢先、安心できる民間の保育園がみつかった経緯がある。保育ママなどほかにも手立てを考えられはしたが、日本の仕組みの窮屈さを我が身で感じたものである。
・本書を読むと、フランスの共働き夫婦も、就学までの難局を苦労しながら乗りきっていることがわかる。しかし、そんな苦労も3歳までの期限付きである点や、周囲から「育児なんて親だけでできるわけない!」と温かい目で見られている点など、日本と大きく違う点がたくさんあって、「なるほど、これなら出生率があがるわけだ。」と私は何度もヒザを打った。本書『フランスはどう少子化を克服したか』の内容を俯瞰するために、まずは「5つの新発想」を列挙させていただきたい。
 1. 男を2週間で父親にする  2. 子供は「お腹を痛めて」産まなくてもいい  3. 保育園には、連絡帳も運動会もない  4. ベビーシッターの進化形「母親アシスタント」  5. 3歳からは全員、学校に行く
・ 「2」は母親の負担を減らすためフランスは「無痛分娩」の比率が圧倒的に高いということ。「3」は保育園が「親の負担を減らすもの」という発想で運営されているということ。「4」は保育園よりも利用率が高いベビーシッターの進化形である「母親アシスタント」の実態。「5」は3歳になるとほぼ100%就学する「保育学校」についてまとめられている。この4つの章はいわば字面どおりだが、「1」は、最初ピンとこなかった。
・しかし、結果的に最も印象に残ったのは、この「男を2週間で父親にする」の内容だった。この章では、出産後2週間で父親が子の世話をできるようにするための休暇をとれるように定めた制度について紹介している。この制度を作ったフランスという国を、私は心から尊敬した。私には、この発想は持ちえなかったからだ。
・初めて我が子を抱き上げたときの感動は忘れられない。しかし、母親に比べて、父親になった実感は薄かったように思う。数日後、いつも通りの勤務が始まり、我が子との生活が始まったのは、妻が実家から帰ってきた数週間後だったからである。言い訳にきこえるかもしれないが、私は子育てに慣れるタイミングを逃した。日本の父親の多くがそうであるように。
・それからしばらく、一人で幼い子供の面倒をみる状況に置かれると、いつも不安になった。子は可愛いが、対応力がなかったのだ。何も起きないことを願いながら、妻が家に帰ってくるのを一秒千秋の思いで待つことが度々あった。それは、同僚の話をきいても大同小異のようだった。日本では、こういった夫婦間のいわば「子育てデバイド」を酒の肴にしてやり過ごすのが、通例になってしまっている。
・しかし、フランスは違ったのだ。2002年に、3日間の出産有給休暇に続く11日間の父親休暇を制度として導入し、この父母間「子育てデバイド」の解消を図ったのである。ここに気づくなんて凄いぞ、フランス人!父親の育児スキルが上がれば、子育ては格段に楽になる。長い目で見れば、治安も安定する(かもしれない)。本書『フランスはどう少子化を克服したか』では、この14日間の休暇の間に起きた夫婦間の変化を、実例をあげていくつか紹介している。それを読みながら、我が身を顧みずにはいられなかった。
・上の子が小学校にあがる段階になってはじめて、共働きの妻にのしかかっている負担の大きさに私は気づいた。二人の育児、そして介護もある。今、私は会社の育児介護制度を活用して勤務時間帯を変更し、できるだけ家族に寄り添う時間を持つようにしている。本書の表現を借りれば、父親になるのが遅すぎたのかもしれない。これから、子供たちが手を離れるまで、残された時間を大切にしていきたいと思っている。
▽大切なものを育んでいくために必要な社会的コスト
・2012年には約7割がこの父親休暇を取得するほど社会に浸透してきたという。これだけ浸透したのは、雇用主が拒むことはできない制度だからだろう。しかし、経済的な面やそれをバックアップする職場環境がなければ、社会に根づくのは難しい。日本でも育児や介護に関する制度は整いつつあるが、風土が追いついてこない状況があるのはご存知のとおりである。その点について、フランスの状況を本書『フランスはどう少子化を克服したか』から引用しつつ説明していきたい。
・“3日間の出産有休は雇用主負担ですが、11日連続の「子供の受け入れ及び父親休暇」は、給与明細上では無給休暇扱い。が、それが実質的に有給休暇になるように、国の社会保険から休暇中の所得分が支給される仕組みになっています。”
・つまり、男を父親にするために、雇用主が3日間そして国が11日間、給与を負担していることになる。また、休暇中に業務に与える影響も少なからずあるに違いない。しかし、多くの人が、それ以上に大切なものを育んでいくために必要な社会的コストとして認識しているということなのだろう。この共通認識は、次のような本書の記述にもあらわれている。
・“可能な範囲のヒアリングを試みました。すると、職種・業種問わず全員から、同じ答えが返って来たのです。 「そりゃ、人生で一番大切なことだから!」 今の雇用現場で「子供の出産で父親が休むこと」はほぼ、絶対不可侵の神聖な休暇と捉えられているそうです。” 
・命を育むことが最優先──「5つの新発想」は全てこのベクトルに向かっている。本書を読んでそう感じた。それによって風土が変わり、制度を活用しやすくなったのではないか。少子化、高齢化、長時間労働、女性活用……働き方革命が叫ばれ、日本でも制度は整いつつある。しかし、それだけでは足りない。多くの人が、胸を張って制度を利用できる風土になったとき、はじめて機能しているといえるのではないだろうか。育児介護制度を活用した私のはじめの一歩が、やがて堂々とした広い道になることを願ってやまない。
http://toyokeizai.net/articles/-/144710

次に、1月29日付け東洋経済オンライン「「生涯未婚」の原因は、本当におカネの問題か 「中間層」が消滅しても変わらない男女の意識」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・2005年に人口減少局面に入った日本では、少子化対策が喫緊の課題であることは言うまでもない。少子化の理由は複合的なものだが、そもそも結婚まで行き着かない男女が増えている問題が指摘されている。国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、50歳の時点で1度も結婚をしていない未婚の人を示す割合である「生涯未婚率」は、2015年の時点の推計で男性が24.2%、女性で14.9%となっている。男性の約4人に1人、女性では約7人に1人が結婚しないということだ。
▽「結婚したい人」の割合は、大きく変わっていない
・一方、18歳以上35歳未満の未婚者男女ともに、9割弱が「いずれは結婚するつもり」と答えており(国立社会保障・人口問題研究所「出生動向基本調査」)、約30年前からこの数字に大きな変化はない。「結婚離れ」といわれる現象が起きているわけではないのだ。それでも生涯未婚率が上昇しているのは、男性が以前よりも稼げなくなってきていることで、金銭的に結婚することが難しくなっているという考え方は有力だ。
・しかし、ニッセイ基礎研究所の天野馨南子氏は、この考え方は思い込みの要素が強いのではないかと指摘する。2016年9月に公開した天野氏のレポート(未婚の原因は「お金が足りないから」という幻想)は、大きな注目を集め、通常レポートの3~4カ月分相当のアクセスを、1カ月で叩き出したという。
・「このレポートは、独身未婚の読者からも共感の声を多数いただきました。相手がいるけどおカネがない、なら理屈としてわかるのですが、最新の調査では男性の7割はそもそも相手となる恋人がいない。おカネがあってもなくても結婚に至らない人は至りません。本当の問題は別のところにあるのではないでしょうか」  注目すべきは、未婚者が結婚で必要と考える費用と、未婚女性が相手に対して求める収入の額の関係である。
・天野氏のレポートでも触れられているが、明治安田生活福祉研究所が行った最新調査(「2016年 20~40代の恋愛と結婚」)で、20代から40代の男女が「結婚生活を送るために最低必要だと思う世帯年収」の回答が示されているのだが、これを見ると、実際に結婚生活をしている既婚者と、まだ結婚生活の経験がない未婚者の間に大きな開きがある。
・既婚者の回答は、1位が400万〜500万円で23.5%、2位が300万〜400万円で21.1%。約半数弱が300万~500万円に収まっている。一方、未婚者は1位が400万〜500万円で23.6%と既婚者とほぼ変わらないのだが、2位が500万〜600万円で20.1%となっている。つまり、未婚者のほうが、既婚者よりも必要と思う年収ゾーンが約100万円ほど高い。
・そして、未婚女性が相手に対して求める収入の額を見てみると、20代未婚女性の57.1%、30代未婚女性の67.9%が、結婚相手となる男性に対して最低400万円、またはそれ以上の年収を求めている。 
・つまり、未婚女性が男性側に求めている年収が400万円で、必要だと感じている「世帯年収」も400万~600万円ということになる。ということは、男性の稼ぎで生活を維持できることを期待している割合がかなり高い(個別の人の考え方については、もちろん別問題である)といえるだろう。「世帯年収」は共働きによって生み出してもよいはずだが、その負担が男性に偏る傾向は変わらないようだ。
▽「年収400万円」で足切りは、しんどい
・しかし、現代における男性の収入は、以前と比べて厳しくなっていることは、客観的事実として指摘されている。厚生労働省が2015年に出した「賃金構造基本統計調査」では、40歳を超えた男性の賃金でも300万円強だ。これまでのような年功賃金の慣習が残る多くの会社では、結婚適齢期の20代の男性は、まだまだ賃金水準が高くないことがほとんどで、20〜24歳の役員ではない男性の賃金は、200万円超という数字も出ている。
・1997年においては、20代の男性でも所得300万~400万円台の雇用者の割合が、約25%と最も多かった(総務省「就業構造基本調査」)が、現在では200万〜300万円台が主流になっていて、かつて存在した「分厚い中間層」は消滅している。結婚適齢期の男性に対して、「400万円」という足切りを課すことは、かなり高いハードルとなってしまう。しかし、男性もこの基準を前提にしてしまうと、「今のままの収入では結婚はムリ」と思い込んでしまい、悪い意味での幻想ができあがってくる。「女性が男性に現実を度外視した収入要求を持っており、未婚者は男女とも既婚者よりも生活に必要な収入額を大きくとらえてしまっている」というのが、天野氏の指摘だ。
・「こうした風潮が続くと、男性は女性に選ばれる基準がおカネばかりだと思い込み、出会いの場に出向くことにさえ自信をもてなくなっているのではないでしょうか。結婚の問題は、経済的に大成功を収めれば解決するという問題ではなく、本来はコミュニケーション能力の問題であるということに気づいてほしい。男女ともおカネの問題を建前にして、まずは人間関係をきちんと築いていくことから逃げる傾向になってしまうならば問題です」(同) 
・かつては、男性は「マジメに会社勤めをしている人」になりさえすれば、結婚するチャンスがたくさんあった。そもそも、高度経済成長期の一般的なモデルであった、長期安定雇用を前提とした日本型雇用のスタイルでは、通常、出産のない男性しか継続的に働けない。女性の多くは、結婚して家庭に入ることが生きていくうえでの大前提。男性は男性というだけで、経済力で優位となり、女性から「話していてつまらない」「共感力に乏しい」と高度なコミュニケーションを求められず、さらに「年収400万円でないと……」などと言われるすきを与えることもなく、結婚を考えさせる武器を持つ立場だったといえる。
・女性は能力があったとしても、そうした社会構造を実際に突破することまでは容易ではなかったはずだ。ところが、今はそうではない。「女性活躍」が推進されれば、女性がより労働市場に進出し、かつてのように「稼げる男性」の立場は特別なものではなくなる。
・ところが、女性が稼げるようになっても、本質的な意識はまだ変わっていない部分も多い。婚活支援事業を行うIBJの調査では、男性の年収が500万円を超えると、女性からの「申し込まれ数」が女性への「申し込み数」を一気に上回る、という結果が出ており、成婚率もここを境に大幅にアップする。「年収500万円といえば、日本の平均世帯年収549.6万円にかなり近い数字。『自分が出産・育児で仕事を辞めても生活ができるレベル』を求める女性の堅実な考えがうかがえる」(IBJ広報室)というが、まだまだ女性の働きやすさに課題が残る今の状況では、やむをえないことなのかもしれない。
▽統計上、日本人は絶滅危惧種?
・天野氏は「生物学的には、女性は男性よりもこだわりが弱いといわれています。ですので、『彼もいいけれど、彼もいいかもね』という好みの条件緩和は女性のほうがしやすいかもしれません。まずは女性が、男性は経済力ありきと思い込みすぎず、男性をすてきと考える基準を多様化させることが、出会うための早道ではないでしょうか」と話す。
・ただ、個人の自由を尊重するのであれば、結婚をすること自体もあくまで選択肢の1つであることが原則で、当事者の意識まで含めた少子化対策を進めていくと、ライフプランに介入することに対する拒否感も出てくる。しかし、天野氏は「個人のライフデザインの応援の枠を踏み外さないことが前提」としつつも、次のように危機感をあらわにする。
・「ヨーロッパ的な人口増強策を取らないと、統計上、日本人は絶滅危惧種になりつつあるといっても過言ではありません。国益というものを考えると、各論と総論は一致しないことがある。個人のライフスタイルとしてはさまざまな正解があるが、社会全体で考えると、長期にわたる少子化を打破することは喫緊の課題です」
・日本の婚外子の比率は2%程度と諸外国に比べて少なく、結婚をしなければ出産に至らない傾向が根強いことは変わらない。「分厚い中間層」が消滅した現代では、「結婚はハードルを越えなければできないもの」という発想を転換する必要があるはずだが、まだ社会の変化に人々の意識が追いついていないともいえる。「一人口(ひとりくち)は食えぬが二人口(ふたりくち)は食える」という格言もあるように、互いに協力関係が築ければ、独身でいるよりも世帯をもったほうが生活の経済効率性は上がり、将来の出産への蓄えもしやすくなるという面もあるだろう。
・しかし、日本人は「自分はこう考える」と個性を出す教育を受けておらず、まわりの意見が常識と考える傾向があることは否定できない。世間に漂う雰囲気に流されて、女性は「年収400万はないと結婚相手の候補として見れない」、男性は「まだ自分は結婚できるほど稼げていない」と思い込んでしまって、お互い機会を逃しては本末転倒だ。マッチングの段階で先に進めなくなってしまうと、いくら出産や子育てを支援しても、少子化対策の効果が発揮されないという事態が起こりかねない。「必要な世帯年収」に対する幻想の打破は、解決の突破口として見直されるべきではないだろうか。
http://toyokeizai.net/articles/-/155624

第三に、甲南大学マネジメント創造学部教授 前田 正子氏が6月6日付け現代ビジネスに寄稿した「「一度も働いたことない40〜50代大卒娘」を抱えた高齢親が増加中 「花嫁修業」「家事手伝い」弊害も」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽女性活躍の時代に「無業」の女性たち
・日本では少子高齢化が進むとともに、現役世代、つまり働き手が減りだしている。 1995年に約6700万人いた労働力人口は、2015年には約6075万人となり、600万人以上減少した。 現在、男性のほとんどはすでに働いているので、新しい労働力として期待できるのは女性しかない。そういう背景もあり、アベノミクスでは一億総活躍・女性が輝く社会の実現が掲げられ、女性の就業継続を図るだけでなく、管理職比率を上げる動きなども見られる。
・世はまさに、女性の活躍ブームであるが、ほんとうに社会は活躍する女性で溢れているだろうか? 一方で、最近では「女性の貧困」も社会的な課題として取りあげられるようになっている。
・これまで日本では、女性は未婚時代には親に、結婚してからは夫に養われる前提で、安く働く存在として扱われてきた。 その状況はいまでも変わらず、「女性の活躍」と言われながらも、働く女性の非正規雇用比率があがっているのが現実である。実際、2015年の国民生活基礎調査によると、働いている女性のうち半分近くが非正規雇用である。
・それは未婚化が進む中で、未婚のまま、不安定な非正規雇用にしかつけず、十分な収入が得られずに貧困状態にある女性が増えている、ということなのだ。 さらに、世の中には働きたくても働けない人や、そもそも働く気のない女性もいる。こうした無業の女性たちは、働く必要のない人たちなのだろうか。彼女たちは、なぜ働いていないのだろうか。例えば、未婚で無業のまま親元にいる「家事手伝い」と呼ばれる女性は、「いずれ結婚すれば問題は解決する」と思われがちだが、本当にそうなのだろうか。
・筆者がかつて勤めていた横浜市役所では、2000年代当初から、話題になりだしていたことがある。 それは、「この子は一度も働いたことがないのですが、親が亡くなった後、どうすればいいですか」と、40〜50代の娘を連れて、高齢の親が区役所の窓口にくるというのだ。 彼女たちが学校を卒業したころは、就職せず、花嫁修業と称して、家でお稽古などをして過ごし、それなりの時期が来たら結婚することは珍しいことではなかったのだろう。だが、たまたま縁なく結婚せず、就業経験もないまま40〜50代になった女性たちは、もはや外に出て働く、他人と交わるということも難しそうな状況だったという。
・当時は若者への就労支援が始まりだしたころであったが、無業のまま40代になった女性には支援の仕組みもなかった(いまでもほとんどない。多くの就労支援は30代までである)。 この女性たちが次に公的サービスにつながるときは、親が要介護状態になるときか、親が亡くなって年金収入も絶え、生活に行きづまって生活保護の窓口にくるときだ、という危機感を生活保護課では持っていた。 10年か20年後には、50〜60代の就業経験のない未婚女性の生活保護受給者が増えるのは避けられないだろう、とも予測していた。
▽上がる未婚率
・こうした女性たちが見過ごされている中、未婚率は上昇している。 図は生涯未婚率(簡略化して言うと、50歳時点で一度も結婚していない人の比率)をまとめたものである。 2015年の国勢調査を見ると、生涯未婚率は、全国では14.1%、東京都では19.2%、大阪では16.5%となっている。全国で見ると、7人に1人の女性は独身で生きていくということなのだ。
・果たしてこの未婚の女性たちは、ちゃんと経済的に自立して暮らしていけているのだろうか? 先に述べたように、未婚で無業のまま40代になってしまった女性も少なくないのではないかと思われる。30代など、もう少し早い時期に、何らかの外部の支援とつながることができていれば、ボランティアから始めて仕事へ移行する、といったその人に合わせたゆっくりとしたペースで自立へのステップを踏めたかもしれない。
・だが、30代の間は、本人も親も「結婚すれば問題はなくなる」と、問題を先送りにする場合が多い。ところが、未婚のまま40代になって、いよいよ「このままではずっと未婚・無業のままかもしれない」と親子ともども不安になり、役所に相談に来る、ということだ。
・しかも残念なことに、働いている女性の方が結婚する可能性が高い。 厚生労働省が独身者のその後の10年間の継続調査を実施している(『21世紀成年者縦断調査』)が、それによると、結婚や出産する確率が高いのは正規雇用の女性だった。 非正規雇用や無業の女性は結婚する確率も低い。特に無業の場合は、無業状態が長期化する中で、社会的ネットワークも失い、出会いの機会もなくなるからであろう。
・さらに内閣府の調査(『少子化と未婚女性の生活環境に関する分析』)によると、正規雇用者より無業の女性の方が「特に異性との交際を望んでいない」者の割合が高く、「いずれ結婚するつもり」という意欲を持つ者の割合も低くなっている。 なぜか無業の女性の方が、交際や結婚への意欲を失っているのである。つまり、無業の女性が結婚によって状況を変える可能性は高くない、ということになる。
▽無業のまま卒業する女子学生
・このように、女性にとっても仕事に就き、経済的な基盤を築くことは、現在不可欠になってきている。仕事に就くことによって、経済的安定と自信を得て、社会的ネットワークを広げることが可能になり、出会いの機会にも恵まれることになるからだ。 親はいつまでも生きているわけではない。無業であることは、女性にも大きなリスクであることを、社会として認識するべきなのだ。
・だが、2010年から関西の大学で教員になって驚いたのは、「結婚がゴール」「どうせ結婚するのに、勉強する意味がわからない」と言ったり、就職活動に行きづまると「したいことがわからないから、しばらくアルバイトでもいいかなあ」と、平気で話す女子学生が少なからずいたことだ。
・実は大学全体で見ると、大学卒業時に無業で卒業する者は少なくない。 例えば2012年の3月に大学を卒業した女子卒業生の状況を見ると、派遣や契約社員など正規職員でない者が5.8%、アルバイトなどの者が4%、進路が不明のままか、就職もせず進学もせず卒業していった者(その多くが無業者)は15.8%もいた。
・その女子学生たちは、2017年には卒業から5年経つ。彼女たちはその後、どうなったのだろうか。新卒一括採用が主流の日本では、卒業時にそのルートを外れると、正規の就職はぐっと難しくなる。 就職状況が好転した2016年3月に大学を卒業した女子でも、派遣や契約社員が4.5%、アルバイトが1.9%、無業者が8.7%であり、人数にすると約2.2万人となる。人手不足だというのに、大卒女子の約11人に1人は進路未定のまま卒業しているのである。
・2016年には高校を卒業した女子の57.3%が4年制大学や短大に進学している(この他に専門学校への進学者は約20%)。もはや大学進学者の方が多数派になりつつある中で、その大学を無業で卒業する女子学生がいる。
・しかも大学進学率の高い大阪では(2016年に62.6%)、同年の大学卒業生の状況は、派遣や契約社員が5.4%、アルバイトが2.3%、無業者が9.6%と全国平均を上回っている。 実は関西では大学卒業時の無業者の比率が高いだけでなく、女性全体の就業率が低い。2015年の国勢調査から25~44歳までの女性の就業率を県別に比較すると、神奈川県が最も低いものの、兵庫県・奈良県・大阪府はそれに次いで低い。
▽未婚無業女性は増えている?
・そこで、関西で4年制大学を卒業した後、無業状態でいる20から30代の女性9人にインタビューを試みた。うち3人は若者サポートステーションという就労支援機関の支援を受けている人であったが、他の6人はまったくどこにもつながっていなかった。
・最も多かったのは、大学在学時に働くことや将来について深く考えることなく、準備なしに就職活動をしたため、就職できなかったケースである。 そのまま無業状態で30代になっている人もいた。 また初職が非正規であったり、職場環境がひどかったりなどで、仕事を辞めることになり、そのまま無業状態という人たちもいた。中には、30代後半になり、もう働きたくないという人もいた。
・高学力であるがゆえに、進路に悩み、転部と転学を繰り返し、12年近く大学に通っていた人もいた。 大学をいったん卒業してしまうと、こうした女性たちを見つけ、支援するすべがない。一方、彼女たちも、無業期間が長期化するにつれ、友人との関係も切れ、社会とのつながりを失っていく。
・友人たちが就職・結婚とそれぞれのライフコースを歩むにつれ、例えば「こちらから話すこともないので、メールの返事も返さない間に、連絡も来なくなる。向こうにすればこっちが無視していることになるので」と言う。 そうやって次第に彼女たちは、孤立していき、ますます誰にも相談できないままの状態が続くのである。
・じつは、彼女たちのような長期間無業状態にある人たちを支援する機関もあるが、その存在は広くは知られていない。そのうちの一つ、若者サポートステーションという就労支援機関につながった人たちは、偶然のような幸運に恵まれて、支援機関につながったと言っていいだろう。
・女性の活躍と言いながら、未婚で無業の女性たちが社会から気づかれないまま、見えない存在になっているのだ。インタビューした全員にはほとんど収入はないが、親元で暮らしているので、生活には困っていない。だが一人でみると貧困状態である。
・「将来どうするのか」という問いかけに、「どうせ長生きしないから」、とまで答えた人もいる。しかも、親元が裕福という人はおらず、普通の世帯か、むしろ経済的には苦しい世帯もあった。 これは関西の問題だけでなく、こういう女性が全国的に増えているのではないか、と思われる。
・表2は2015年の国勢調査の速報集計から未婚女性の労働力状況をまとめたものだ。未婚女性全体の人口は総数で示されるが、それは大きく3つ、労働力人口と非労働力人口、そして労働力状態不詳に分けられる。さらに非労働力人口は「家事」「通学」「その他」に分けられる。 この「その他」というのが働いてもいないし仕事探しもしてないが、家事もしていないし、学校にも行っていない、「無業」の人たちだと考えられる。
・そういった「その他」の人たちは、25〜29歳で1.7%の約3万人。30~34歳で3%の約3.5万人、35〜39歳の3.7%の約3.5万人いることがわかる(年齢が上になるほど総数が減っているのは、結婚によって未婚から抜けていくためである)。しかもその比率も人数も2010年の国勢調査の結果より増えている。
▽「家事手伝い」は問題がない?
・さらにここにはもう一つ問題がある。いわゆる自分を「家事」つまり、「家事手伝い」と答えている女性たちである。 『就業構造基本調査』では、「家事手伝い」と答えて、働いていないという人に、さらに「なぜ無業なのか」を聞いている。すると驚くべきことに、「家事や介護のため」と答える15〜44歳までの女性は2割前後に過ぎないのだ。
・「家事手伝い」と言いながら、働いていない理由が「仕事をする自信がない」人が1割おり、「特に理由はない」という人が3割近くを占めている。最初に述べたように、女性は無業であっても「家事手伝い」と言えば、本人も周りも安心してしまう。だが、それではいずれ、彼女たちの人生が立ち行かなくなる。
・実はこの『就業構造基本調査』を見ると、全国では大学・大学院卒で未婚無業の女性が25~44歳の年代で約12万人いる(短大高専卒は約10万人)。そのうち2割は働くことを希望していない。働きたいという人でも、実際に求職活動をしているのは、就業希望者の7割に過ぎない。
・これまで大卒の女性は恵まれた存在だと思われてきた。だが現状では、その人たちが何万人単位で、無業で未婚のまま過ごしている。 彼女たちを「自己責任だから」「見えない存在だから」とほっておかず、社会とのつながりを持てるようにし、就労意欲を持って求職活動に踏み出せるように支援することが必要だ。  あっという間に親も本人も年を重ねてしまう。貧困状態の中高年女性が増えてからでは遅いのである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51910

第一の記事にある 『少子化を克服したフランスの「5つの新発想」』、はさすがによく出来ている。 『3日間の出産有給休暇に続く11日間の父親休暇を制度として導入し、この父母間「子育てデバイド」の解消を図ったのである』ようであるが、気になったのは、赤ちゃんのクセは変化していくので、父親が当初の2週間で分かったつもりになっても、 しばらくしたら当初のノウハウが全く通じずに、当惑することも十分にあり得ることだ。そうはいっても、当初から赤ちゃんの面倒を協力してみる習慣をつける意義は大いにあるだろう。ただ、我が国では、企業側の抵抗が強いだろう。なお、「無痛分娩」については、日本ではトラブルも多いようだが、これは分娩としては例外的であることも影響しているためで、普及すれば問題なくなるのではなかろうか。
第二の記事で、 『未婚女性が男性側に求めている年収が400万円』、だが、現実には『20〜24歳の役員ではない男性の賃金は、200万円超』、とのギャップは余りに大きい。 『「必要な世帯年収」に対する幻想の打破は、解決の突破口として見直されるべきではないだろうか』、との指摘はその通りだが、それをどのように実行していくかは難題だ。
第三の記事にある 『「一度も働いたことない40〜50代大卒娘」を抱えた高齢親が増加中』、 『無業のまま卒業する女子学生』がかなりいる、などは本当に深刻な事態だ。 『「家事手伝い」』、が言い訳として使われるている風潮も困ったことだ。まずは、大学での就職指導に、きちんとした職業観を醸成するような努力を期待したい。
タグ:「子供の出産で父親が休むこと」はほぼ、絶対不可侵の神聖な休暇と捉えられているそうです 、男を父親にするために、雇用主が3日間そして国が11日間、給与を負担 2012年には約7割がこの父親休暇を取得するほど社会に浸透 日間の出産有給休暇に続く11日間の父親休暇を制度として導入 3歳になるとほぼ100%就学する「保育学校」 「「一度も働いたことない40〜50代大卒娘」を抱えた高齢親が増加中 「花嫁修業」「家事手伝い」弊害も」 「無痛分娩」 「結婚したい人」の割合は、大きく変わっていない 5. 3歳からは全員、学校に行く 4. ベビーシッターの進化形「母親アシスタント」 3. 保育園には、連絡帳も運動会もない 2. 子供は「お腹を痛めて」産まなくてもいい 未婚女性が男性側に求めている年収が400万円で、必要だと感じている「世帯年収」も400万~600万円 1. 男を2週間で父親にする 「5つの新発想」 少子化を克服したフランスの「5つの新発想」についてレポート 現代ビジネス 。「必要な世帯年収」に対する幻想の打破は、解決の突破口として見直されるべきではないだろうか フランスはどう少子化を克服したか 「フランスはどうやって少子化を克服したのか なるほど、これなら出生率があがるわけだ 東洋経済オンライン 20〜24歳の役員ではない男性の賃金は、200万円超という数字 (その1)(フランスはどうやって少子化を克服したのか、「生涯未婚」の原因は、本当におカネの問題か、「一度も働いたことない40〜50代大卒娘」を抱えた高齢親が増加中) 少子化 彼女たちが学校を卒業したころは、就職せず、花嫁修業と称して、家でお稽古などをして過ごし、それなりの時期が来たら結婚することは珍しいことではなかったのだろう。だが、たまたま縁なく結婚せず、就業経験もないまま40〜50代になった女性たちは、もはや外に出て働く、他人と交わるということも難しそうな状況だったという 無業のまま卒業する女子学生 ニッセイ基礎研究所の天野馨南子 彼女たちを「自己責任だから」「見えない存在だから」とほっておかず、社会とのつながりを持てるようにし、就労意欲を持って求職活動に踏み出せるように支援することが必要 レポート(未婚の原因は「お金が足りないから」という幻想) 「「生涯未婚」の原因は、本当におカネの問題か 「中間層」が消滅しても変わらない男女の意識」 女性は無業であっても「家事手伝い」と言えば、本人も周りも安心してしまう。だが、それではいずれ、彼女たちの人生が立ち行かなくなる 、「家事手伝い」と答えて、働いていないという人に、さらに「なぜ無業なのか」を聞いている。すると驚くべきことに、「家事や介護のため」と答える15〜44歳までの女性は2割前後に過ぎないのだ 男女ともおカネの問題を建前にして、まずは人間関係をきちんと築いていくことから逃げる傾向になってしまうならば問題 非正規雇用や無業の女性は結婚する確率も低い。特に無業の場合は、無業状態が長期化する中で、社会的ネットワークも失い、出会いの機会もなくなるからであろう 日本人は絶滅危惧種になりつつある 女性の活躍と言いながら、未婚で無業の女性たちが社会から気づかれないまま、見えない存在になっているのだ 女性活躍の時代に「無業」の女性たち 働いている女性のうち半分近くが非正規雇用 前田 正子 30代の間は、本人も親も「結婚すれば問題はなくなる」と、問題を先送りにする場合が多い。ところが、未婚のまま40代になって、いよいよ「このままではずっと未婚・無業のままかもしれない」と親子ともども不安になり、役所に相談に来る 彼女たちも、無業期間が長期化するにつれ、友人との関係も切れ、社会とのつながりを失っていく 大学在学時に働くことや将来について深く考えることなく、準備なしに就職活動をしたため、就職できなかったケース 未婚無業女性は増えている 大卒女子の約11人に1人は進路未定のまま卒業しているのである 進路が不明のままか、就職もせず進学もせず卒業していった者(その多くが無業者)は15.8%もいた
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