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企業不祥事(神戸製鋼の部材不正2)(神戸製鋼「不正40年以上前から」証言で注目すべきソ連との関係、納入先にも落ち度あり? 長期間にわたる品質データ偽装はなぜ見過ごされたのか?、小田嶋氏:品行方正日本企業が堕ちていく) [企業経営]

昨日に続いて、企業不祥事(神戸製鋼の部材不正2)(神戸製鋼「不正40年以上前から」証言で注目すべきソ連との関係、納入先にも落ち度あり? 長期間にわたる品質データ偽装はなぜ見過ごされたのか?、小田嶋氏:品行方正日本企業が堕ちていく) を取上げよう。

先ずは、ノンフィクションライターの窪田順生氏が10月19日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「神戸製鋼「不正40年以上前から」証言で注目すべきソ連との関係」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ベテラン社員たちから「40年以上前から不正があった」など、驚きの証言が出ている神戸製鋼所。ちょうどその時代、不正につながったのではないかと思われる、神戸製鋼とソ連(当時)との密接な関わりがあった。
▽バブル期以前から不正続ける!? 47年前、神戸製鋼を焦らせた“事件”
・日本の「ものづくり神話」を根底から覆す衝撃的なニュースではないだろうか。 国内よりもむしろ海外で注目を集めている神戸製鋼の品質検査データ改ざんについて、「毎日新聞」(10月17日)が「40年以上前から不正があった」という元社員の証言や、「鉄鋼製品では30年以上前から検査データの不正が続いている」というベテラン社員の証言を紹介しているのだ。
・同社は会見で、約10年前から改ざんがあったことを認めているが、そんなかわいいものではなく、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が謳われたバブル期はおろか、下手をしたら高度経済成長期から脈々と続く「伝統」だった恐れもあるのだ。 報道が事実か否かは、いずれ神戸製鋼側からしっかりとしたアナウンスがあるはずなので注目したいが、もし仮にこれが事実だとしても、個人的には「うそでしょ?」というほどの驚きはない。
・先週、筆者は『神戸製鋼も…名門企業が起こす不正の元凶は「世界一病」だ』という記事を書いて、「世界一の技術」を30年以上も謳ってきた同社の尊大すぎるスローガンで「現場」が追いつめられ、そこに実力が伴わずに不正を招いたのではないかと指摘したが、そのルーツが「40年以上前」にあるとなると、その可能性がさらに増してくる。
・実は今から47年前、神戸製鋼の技術者たちがすさまじい「世界一」のプレッシャーに襲われるようなニュースが鉄鋼業界を賑わせた。 《粗鋼生産高 「新日鉄」世界一に》(読売新聞1970年2月25日) 新日鉄が、それまで世界一だったUSスチールを追い抜いたのである。この「世界一」の勢いはとどまることを知らず、半年ほど経過した頃には新日鉄大分製作所に「世界一」の規模を誇る高炉の建設も始まっている。
▽かつては緊密だった神戸製鋼とソ連の関係
・着々と「世界一」の名声を得て、遠のいていくライバルの背中を見て、神戸製鋼の経営陣は焦ったに違いない。そんな上層部たちからすさまじいプレッシャーをかけられ、「成果」を求められた現場の人間の苦悩はどれほどだったことだろう。ましてや当時は「過労死」や「週休2日」といった概念もなく、朝から深夜まで働きづめが普通という超ブラック社会である。
・ほんのちょっとのズルでみんながラクになるのなら――。そんな悪魔のささやきに転ぶ人がいてもおかしくはないのではないか。 いやいや、誇り高い日本の技術者たちがいくら苦しいからって、そんな簡単に不正に手を染めるわけがない。そんな声が聞こえてきそうだが、これは十分ありえる。なぜなら、新日鉄が「世界一」となった1970年あたりから、神戸製鋼の「現場」は、日本のものづくりとはやや異なる独特の考え方をもった国の影響をモロに受けていたからだ。
・それは、「ソ連」である。「新日鉄」が「世界一」の座について5ヵ月後、鉄鋼業界に興味深いニュースが流れた。 「神戸製鋼、ソ連から技術導入」(読売新聞1970年7月10日) 実はこの7年前から神戸製鋼は、ソ連の技術提携公団と、鉄鋼連続鋳造設備の製造・販売についての技術提携を締結していた。連続鋳造とは、転炉や平炉から出てきた溶鉱をそのまま型に流し込むという製法だ。当時はソ連が世界をリードしていて、「画期的な製鉄技術」(読売新聞1963年10月24日)といわれていたものだ。
・そんな新技術をどうにか日本に持ち込めないかと、日本の鉄鋼業界を代表として調査に向かったのが、神戸製鋼の専務取締役だった安並正道氏(後に神鋼商事社長)である。)
▽ソ連の「計画経済」ではインチキは当たり前だった
・この訪ソをきっかけに、神戸製鋼とソ連は急速に接近する。68年には、機械メーカーでもある強みを生かして、ソ連の国営航空会社に「世界にも例がない」(読売新聞1968年9月11日)という陸、海、空すべて一貫輸送できるというコンテナを輸出。そのような蜜月関係は、この連続鋳造技術の導入をきっかけにさらに強固なものとなる。
・79年になると、ソ連の科学技術政策を立案する科学技術国家委員会と協力協定を締結。技術シンポジウムを8回開催した。 当時は冷戦まっただなか。アメリカからは、「ソ連に技術を簡単に渡すな」という強い外圧をかけられていた時代である。実際に87年には、東芝グループの企業の技師がソ連に招かれて、技術指導を受けてつくった工作機械を輸出したところ、アメリカから「ソ連の原子力潜水艦のスクリューの静かさを増すこと使われたじゃないか」と因縁をつけられている。
・だが、神戸製鋼はそのような「逆風」など意に介さない「親ソ企業」というスタンスを継続した。90年には亀高素吉社長(当時)自らソ連を訪れて、副首相と会談し、先の科学技術国家委員会と研究員同士の交流を図って、将来的にはバイオテクノロジーや新素材も開発するというパートナーシップを結んだ。 なんて話を聞くと、「神戸製鋼が旧ソ連と交流があったのはわかったが、それが不正とどう関係あるのだ」と首をかしげる人も多いかもしれないが、それが大いに関係ある。
・覚えている方も多いと思うが、神戸製鋼がソ連の研究者や技術者と親交を深めていた80年代、当のソ連ではさまざまな分野での「粉飾」が横行していた。 これはちょっと考えれば当然の話で、当時ソ連が固執した「計画経済」は、まずなにをおいても「目標」ありきで、これを計画通りに達成することがすべてである。「ちょっと無理なんで、やり方変えてみますか」という柔軟性に欠ける社会なので、どうしても「目標達成」が何をおいても優先される「目標」となる。無理ならインチキするしかないのだ。
・そんな当時のソ連の「粉飾文化」を象徴するのが、統計局が発表していた鉱工業生産実績だ。 年を重ねるごとに前年同期の生産を下回る品目が増えていくので、産業用ロボットとか収穫用コンバインとか新しい品目を統計にホイホイ放り込んだ。こういうものは前年がほぼ生産ゼロなので、生産増加率はずば抜けて高い。全体の生産率を少しでも良く見せようという、苦し紛れの「粉飾」である。
▽ソ連も大好きだった「世界一」のスローガン
・もちろん、労働現場にも粉飾は横行していた。「日本経済新聞」では当時、国際社会のなかで、まことしやかに囁かれた「ソ連の企業カルチャー」を以下のように紹介した。 「年度計画の鉱工業生産伸び率目標が7.3%だったのに、実績が7.0%に終わった1969年ごろから、特に企業レベルで裏帳簿めいたものが目立ってきたという説もある」(日本経済新聞1982年8月30日) 
・ここまで話せばもうおわかりだろう。69年といえば、神戸製鋼がソ連と急速に「技術交流」をおこなっていた時期である。当たり前の話だが、「技術交流」というものは紙切れみたいなものを渡されて「はい、完了」というものではない。異なる考え方の技術者が同じものを生み出そうと意見を交わし、互いの「知見」を学び合うものなのだ。
・神戸製鋼の「現場」がソ連の技術者との交流を重ねていくうち、彼らの「計画経済」の行き詰まりのなかで芽生えた「粉飾文化」まで吸収してしまった恐れはないか。 神戸製鋼の経営陣が30年以上、「世界一の技術」というスローガンを叫んでいたということは先週の記事でも詳しく述べたが、実はソ連も計画経済の調子がいいときは、よく「世界一の科学技術」というスローガンを掲げていたのである。
・つまり、「世界一の技術」という「計画経済」を掲げた神戸製鋼が、その目標の未達が恒常化することで危機感を覚えて「技術の粉飾」に走るというのは、実につじつまの合う話なのだ。 理屈ではそうかもしれないが、現場の人たちにだって罪悪感とかあるだろ、という意見もあろうが、「計画経済」のもうひとつの問題は、「ものづくり」だけに限らず、企業人としてのモラル崩壊も引き起こすことにある。
▽目標ありきの「計画経済」は顧客や社会のことを考えない
・ソ連崩壊後、ロシアになってからも国営企業の腐敗はなかなかなくならなかった。代表的なものが、国内企業保護の観点で安く入手できた原料を海外へ横流しする不正だ。 「企業経営者にとっては原材料を生産にまわすより、西側市場に横流しすることが手取り早く利益を上げる手段だ」(日本経済新聞1993年3月9日)  なぜこうなってしまうのかというと、「計画経済」が骨の髄までしみついている弊害で、「自社の利益を得る」という「目標達成」だけしか見えなくなってしまい、自由主義経済の基本ともう言うべき「顧客」や「社会からの信頼」なんてところにまで考えが及ばないのである。 
・「目標達成」ばかりが強調されるのは、神戸製鋼もソ連も同じ、そして、これこそが、品質検査のデータを改ざんするという「顧客への裏切り」を、神戸製鋼が長く続けられた最大の原因であるようなが気がしてならない。 もちろん、この件に関して、神戸製鋼の経営陣などに「みなさん、ソ連の計画経済の影響を受けてましたか?」なんて質問状を送ったわけではないので、以上はすべて筆者の仮説であることはお断りしておく。
・ただ、先週の記事でも述べたように、「世界一」という目標を掲げた企業がことごとくおかしなことになっている、というのは紛れもない事実だ。東京電力、電通、東芝など近年、不祥事で世間を騒がせている企業は多分にもれず、日本の鉄鋼業界が「世界一」を謳いはじめたのと同じ時期、なにかしらの分野で「世界一」を達成し、そこからなにかに取り憑かれたようにその座に固執してきた。 なぜ日本企業は「世界一」を謳いたがるのか。そしてなぜ、そのような「世界一企業」に限って、手抜き工事をした建物が耐え切れなくなったように、このタイミングで「崩壊」しているのか。
・このあたりの現象について実は数年前から興味があって、調査を続けており、近くそれらをまとめて出版する。興味のある方はぜひ手にとっていただきたい。 いずれにせよ、神戸製鋼の顧客や社会に対する裏切りが「40年以上」にのぼっていたとしたら、これはもはや一個人や一部署がどうこうという問題ではなく、「企業文化」というレベルを超越した、旧国鉄の「日勤教育」に近いものがなされていたのではないかという疑惑も出てくる。 神戸製鋼の徹底的な社内調査を期待したい。
http://diamond.jp/articles/-/146229

次に、元通信社記者で中国・上海在住のブロガー 花園 祐氏が10月20日付けJBPressに寄稿した「神戸製鋼の品質偽装事件、納入先にも落ち度あり? 長期間にわたる品質データ偽装はなぜ見過ごされたのか?」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・10月8日、鉄鋼大手の神戸製鋼所が、指定規格や性能を満たしていない鋼材を偽って客先へ出荷していたという不正事実を明らかにしました。この事件は筆者が暮らす中国でも「日本の製造が揺らいでいる」などという見出しとともに大きく報じられました。  筆者は中国に来てから通信社で記者として働いたあと、日系メーカーで品質管理に従事した経験があります。今回はそんな筆者の視点から、なぜ長年にわたり不正が見過ごされてきたのかについて所見を述べたいと思います。
▽組織ぐるみの不正は明らか
・当初、神戸製鋼はこの問題はアルミ・銅製品に限られるとしていました。しかし、その後、鉄粉やばね鋼などの製品群でも同様の問題があることが明らかにされました。 こうした不正は少なくとも過去10年以上にわたって行われていたとみられ、中には「数十年前から行われていた」という報道もあります。その期間の長さと不正のやり方を見る限り、組織ぐるみの不正が行われていたことは間違いないでしょう。
・神戸製鋼は2016年にも、ばね鋼で今回と同じように検査データを改ざんして出荷していたという不正が発覚しています。その前年にも同様の不正が発覚しており、今後こうした不正を根絶できるのか神戸製鋼の自浄能力についても疑念を覚えざるを得ません。
▽納入先でも見過ごされたのはなぜ?
・今回の事件は鉄鋼業界の名門たる神戸製鋼で起こった技術不正事件であり、なおかつ問題の鋼材を使用していた企業や業種が多岐にわたることから、世間でも大きな注目を集めています。 しかし筆者には、報道を見ていてどうにも腑に落ちない点がありました。なぜこの問題が長年にわたり発覚しなかったのか? 言い換えると、なぜ納入先となるメーカー各社の受入検査時に検出されなかったのか? ということです。
・通常、どのメーカーでも仕入鋼材の受け入れ時には、その鋼材が指定規格通りであるかを、鋼材メーカーが発行する「ミルシート」と呼ばれる鋼材検査証明書と照合して確認します。さらに通常はロットごとに鋼材の一部を検査にかけ、その強度や耐性、硬度は当然のこと、場合によっては専門検査機関へ提出して鋼材を組成する化学成分も調べます。もしも納入された鋼材が指定規格や条件を満たさなければ、この時点で不良品と認定され、返品交換されることとなります。
・それだけに今回の事件の報道を見ていて、どうして今の今まで納入先は受入検査時に検出できなかったのか、不思議でなりませんでした。 不正が行われた期間が短く、かつ該当製品の出荷回数も少なかった、というのであれば、納入先の受入検査で洩れていたと考えることができます。しかし今回の神戸製鋼の不正は期間が数十年と長く、また品目も多岐にわたり、複数拠点で頻繁に行われていました。それだけに、納入先の受入検査で検出されていてもおかしくない、というより検出されてしかるべき不正だと思うのです。
▽不正が見過ごされる3つのケース
・納入先となるメーカー各社はどうして検出できなかったのか。考えられるケースは以下の3つです。 1つ目は、量産開始前、もしくは量産開始時期だけは良品を供給して、安定量産時期に入ってからは巧妙に品質を下げていた、というケースです。応用として量産開始以降も、検査用サンプルのみ良品を渡すというやり方もあります。これらは中国の鉄鋼メーカーがよくやる手口です。こうした工作をやられると確かに受入検査での検出が難しくなります。
・2つ目は、製品そのものの不良率は低かったというケースです。報道によると、神戸製鋼では検査自体は行われていなかったものの、規格や条件を満たしている製品もあったといいます。つまり、全部が全部不良品ではないということなので、受入検査も通ってしまいがちです。
・そして3つ目。これは一番望ましくない想定ですが、納入先のメーカー各社でほとんど受入検査をしていなかった、もしくはしていても杜撰だったというケースです。いわば、検査体制に不備があったのは神戸製鋼だけでなく、納入先のメーカー各社にも当てはまるのではないかという推測です。 筆者は内心、今回の不正が納入先でも見過ごされてきたのは、3つ目の可能性が濃厚なのではないかという気がしています。
▽「日系大手だから安心」?
・なぜ3つ目のケースが考えられるのかというと、筆者の個人的な経験として、日系メーカー各社ではサプライヤーが日系大手の場合、仕入れた納入品に対する検査プロセスを省略するケースが多いからです。 中国の鉄鋼メーカーが相手であれば、それこそ微に入り細に入り不良品が紛れ込んでないかを検査しますが(それでも混ざってくる!)、日系大手であれば、「長年不良がないから大丈夫」「大手だからうちより検査体制がしっかりしているはず」などと決めつけて、メーカーが発行する検査証明書の内容をそのまま受け入れてしまうところがあります。
・実際、今回のケースではJIS規格すら満たさない製品が神戸製鋼から出荷されていたわけで、きちんと受入検査にかけていれば確実に検出できていたはずです。それが長年放置されてきたということは、神戸製鋼のみならず納入先のメーカー各社でも受入検査プロセスに何か不備があったのではないかと疑わざるを得ません。 仮にそうだとすると、果たして今回の問題は神戸製鋼だけの問題だと言えるのか。むしろ日本のモノづくり全体に投げかけられた問題であると言わざるをえません。
▽大手メーカーで相次ぐ「技術不正」
・これまで日本の製品は、世界各地で品質面に関して高い評価を得てきました。しかし近年、今回の神戸製鋼の例に限らず、日系大手メーカー各社で検査不備、性能データの偽装や隠蔽、リコール案件の放置といった、あえて言うならば「技術不正」ともいうべき事件が相次いでおり、品質への評価は大きく揺らいでいます(下の表)。
・利益水増しなどといった会計不正については、監査法人による年次監査などによってある程度防止体制が担保されています。しかし、技術不正は専門家でなければ見抜けない問題が多く、その対策はメーカー各社の品質管理現場の良心に大きく依存しています。
・近年の技術不正事例を見ていて、筆者が感じることは大きく2つあります。1つ目は、一度技術不正を犯した企業はその後も不正を繰り返しやすい。2つ目は、大手だからといって必ずしも品質管理やコンプライアンスがしっかりしているわけではない、ということです。 品質管理の現場にいる皆さんは、この2点についてぜひとも改めて認識してほしいと思います。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/51373

第三に、コラムニストの小田嶋隆氏が10月20日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「品行方正日本企業が堕ちていく」を紹介しよう。ただ、前半は危険運転の話なので、紹介は省略する。
・選挙の話は書きたくない。 私はうんざりしている・・・せっかくなので、神戸製鋼所のお話を持ってきて三題噺を完成させてみようと思う。 神戸製鋼所の品質データ改ざん事件は、どうやら、当初発覚した分のケースではおさまりそうにない(こちら)。 偽装は、既に非鉄金属のみならず、主力事業の鉄鋼にも及んでいるし、さらに多角化した別会社である建設機械の「コベルコ」にも飛び火している。しかも、OBの証言によれば、偽装は40年前から常識化していたという。
・なんともあきれた話だが、気楽にあきれてばかりもいられないのは、この事件が、なにも神戸製鋼所にだけ起こった例外的なできごとではなくて、どうやら、日本の少なからぬ数の名門企業で同じように起こっている、ほとんど見分けのつかないほどよく似た不祥事だからだ。
・つい最近になって発覚した事案だけでも、三菱重工が大型客船の製造から撤退し、三菱航空機は、MRJの納期を何度も延期する事態に追い込まれている。 タカタはエアバッグのリコール問題が拡大して、最終的に経営破綻することになった。
・東芝も然りだ。米国の原発製造メーカーの買収でしくじったところから、ついには虎の子の半導体事業を売却する。 日産でもつい先日大規模な不正検査が発覚している。 何年か前に、オリンパスの粉飾決算が明らかになった時にも驚かされたものだが、あの時はまだ、数字の問題だった。
・数字の問題だったというのはつまり、カネの勘定をする部門の人間がやらかしたごまかしに過ぎなかったということで、製品を作っているメーカーの中枢にいる本筋の社員たちが不正に手を染めていたわけではなかった、という意味だ。 そう思って、われわれは、 「経営陣は腐っていたのかもしれないが、社員が腐っているわけではない」 「帳面はインチキだったけど、製品がインチキだったわけではない」 と思い込むことで、なんとか栄光ある日本のモノづくりの名誉に傷がつくことを認めまいとしていた。
・ところが、今回の神戸製鋼所の不祥事は、一番カタいと思われていた鉄鋼の、しかもモノづくりの中枢にある鉄鋼および非鉄金属の製品がど真ん中が汚染されていた事件であるわけで、しかも、その汚染が、昨日今日の話ではなくて、前世紀から引き継がれてきた伝統だという。 ほかに発覚している不正や偽装やごまかしも、同じく、その企業の本筋の中枢の社員による、おそらくは組織ぐるみの不正だ。
・いったい、正直で勤勉で優秀な日本のエリートはどこに消えたのだろうか。 で、思うのだが、この場合も、個人としては誠実で小心で引っ込み思案で善良なわれら日本のエリートが、特定企業の一員という役割を担う段になると、とたんに強気で厚顔で残酷な組織人という別人格に変身するのは、ありそうな話なのではないだろうか。
・旧軍がやらかした組織的な失敗や蛮行の数々を思い浮かべるまでもなく、組織の中にいる日本人が個人的な良心を組織の中に溶解させてしてしまう傾向は、ほとんど「国民性」と呼んでもさしつかえないレベルではっきりした話であるわけで、とすれば、規律のとれた企業であればあるほど、法令遵守がままならなくなるであろうことは、はじめからはっきりした話ではないか。
・個人として社会に対峙していたり、市民として国家に向かっている限りにおいては、ごく力弱く頼りない一人の人間であるに過ぎない同じ人格が、ひとたび「会社名」だったり「役職名」だったり「匿名アカウント」だったり「クルマのハンドル」だったりするものを帯びると、いきなり強気一辺倒な非人間的な装置に化けるという私たちの国の勤労者のお話は、人間の完全さが人間性そのものを裏切るという意味でフランケンシュタインの物語に似ていなくもない。 普段は、フランケンシュタインの怪物は、匿名性の後に隠れている。 が、自分の力を過信するか油断したかで、時々そいつが表に出てくるのだ。
・神戸製鋼所がこの先どうなるのかはわからない。 できれば、立ち直ってほしいと思っている。 熱いうちに打って形を変えられてしまったものが、元の姿を取り戻せるものなのかどうか、私は金属を扱うことの専門家ではないのでよくわからない。 だが、人間は、多くの場合やり直せるものだと思っている。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/101900115/?P=1

第一の記事で、 『かつては緊密だった神戸製鋼とソ連の関係』、 『連続鋳造・・・当時はソ連が世界をリードしていて、「画期的な製鉄技術」』、というのは初めて知った。だが、 『神戸製鋼の「現場」がソ連の技術者との交流を重ねていくうち、彼らの「計画経済」の行き詰まりのなかで芽生えた「粉飾文化」まで吸収してしまった恐れはないか・・・「世界一の技術」という「計画経済」を掲げた神戸製鋼が、その目標の未達が恒常化することで危機感を覚えて「技術の粉飾」に走るというのは、実につじつまの合う話なのだ』、、との推理は、審議のほどはともかく、なかなか興味面白い。
第二の記事で、 『神戸製鋼は2016年にも、ばね鋼で今回と同じように検査データを改ざんして出荷していたという不正が発覚しています。その前年にも同様の不正が発覚しており、今後こうした不正を根絶できるのか神戸製鋼の自浄能力についても疑念を覚えざるを得ません』、と過去にも同様の問題を起こしていたとなると完全に身にしみついた体質のようだ。 『納入先のメーカー各社でほとんど受入検査をしていなかった、もしくはしていても杜撰だったというケースです。いわば、検査体制に不備があったのは神戸製鋼だけでなく、納入先のメーカー各社にも当てはまるのではないかという推測です・・・サプライヤーが日系大手の場合、仕入れた納入品に対する検査プロセスを省略するケースが多いからです』、そうであるとすれば、根が深く、広がっているようだ。
第三の記事で、 『なんともあきれた話だが、気楽にあきれてばかりもいられないのは、この事件が、なにも神戸製鋼所にだけ起こった例外的なできごとではなくて、どうやら、日本の少なからぬ数の名門企業で同じように起こっている、ほとんど見分けのつかないほどよく似た不祥事だからだ』、 『個人としては誠実で小心で引っ込み思案で善良なわれら日本のエリートが、特定企業の一員という役割を担う段になると、とたんに強気で厚顔で残酷な組織人という別人格に変身するのは、ありそうな話なのではないだろうか・・・旧軍がやらかした組織的な失敗や蛮行の数々を思い浮かべるまでもなく、組織の中にいる日本人が個人的な良心を組織の中に溶解させてしてしまう傾向は、ほとんど「国民性」と呼んでもさしつかえないレベルではっきりした話であるわけで、とすれば、規律のとれた企業であればあるほど、法令遵守がままならなくなるであろうことは、はじめからはっきりした話ではないか』、などの指摘は大いに考えさせられる。
このまで問題が広がった以上、第三者委員会などによる問題の徹底解明と、実効性ある再発防止策が求められているといえよう。
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