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欧州(その3)(オーストリア 31歳首相がEUへ要求すること 自由党が連立入り 排外主義で東欧へ再接近、2018年 「EU崩壊」がいよいよ現実味を帯びてくる 難民、民族独立 そしてドイツ弱体化…) [世界情勢]

新年おめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて、欧州については、昨年3月24日に取上げたままであった。今日は、(その3)(オーストリア 31歳首相がEUへ要求すること 自由党が連立入り 排外主義で東欧へ再接近、2018年 「EU崩壊」がいよいよ現実味を帯びてくる 難民、民族独立 そしてドイツ弱体化…)である。

先ずは、 第一生命経済研究所 主席エコノミストの田中 理氏が10月21日付け東洋経済オンラインに寄稿した「オーストリア、31歳首相がEUへ要求すること 自由党が連立入り、排外主義で東欧へ再接近」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・15日に行われたオーストリアの国民議会(下院)選挙は、セバスチアン・クルツ外相率いる中道右派の国民党(OVP)が31.5%の票を獲得して勝利した。現政権を率いる中道左派の社会民主党(SPO)が26.8%、反移民・反イスラムを掲げる右派政党・自由党(FPO)が26.0%の僅差で続いた(OはいずれもO-ウムラウト)。 
・2015年の難民危機後に支持を高めた自由党は、圧倒的な人気を誇るクルツ外相の党首就任と移民政策の厳格化を受けて選挙戦終盤で国民党に支持を奪われたが、前回選挙から6%ポイント近くも票を上積みし、2大政党に迫る支持率を獲得した。
▽ナチスの流れをくむ自由党が勢力を拡大
・自由党は元ナチス関係者が結党に参加したドイツナショナリズムを提唱する政党を起源とし、オーストリア政界で2大政党に次ぐ第3勢力としての地位を築いている。1980年代後半にハイダー党首の下で右傾化を強め、過激な反移民政策や2大政党批判で現状不満票を集めた。1999年の議会選で第2党に躍進し、第3党となった国民党とともに連立政権を発足させた。極右の連立入りに反発した欧州諸国が、オーストリアとの外交関係を断絶する事態にまで発展した。
・ほかのヨーロッパ諸国に先駆けて、オーストリアが早い時期から極右勢力の脅威にさらされてきたのには理由がある。ヨーロッパの地図を見ると、オーストリアは西ヨーロッパ諸国の中で最も東に位置していることがわかる。北の国境はチェコ、東の国境はスロバキアとハンガリー、南の国境はスロベニアと、多くの東ヨーロッパ諸国と接している。
・オーストリアの国名は母国語のドイツ語で「Osterreich(エスターライヒ、OはO-ウムラウト)」と書く。これは「東の国」を意味し、西ヨーロッパの最東端に位置していたことに由来する。オーストリアは今でこそ人口900万人弱、北海道とほぼ同じ面積のヨーロッパの小国にすぎないが、ハプスブルク帝国の最盛期には、東ヨーロッパの全域はもちろんのこと、ドイツ、イタリア、ベルギーに至る広大な地域を支配していた。
・音楽の都として名高い首都ウィーンは現在のオーストリアの中で東端に位置し、そこから放射線状に東ヨーロッパの各都市に道路が延びている。これは、かつての国境線が現在よりもはるかに東側に位置したことを意味する。歴史的・地理的な結び付きの強さもあり、オーストリアは今もビジネスや文化交流などさまざまな分野で、東ヨーロッパの玄関口の役割を果たしている。こうした東ヨーロッパとの近接性がオーストリアでの極右台頭と関係している。
・オーストリアは人口の1割以上を外国籍者が占める。第2次世界大戦後の労働力不足を補うため、トルコや旧ユーゴスラビアから多くの出稼ぎ労働者(ガストアルバイター)を受け入れたことに加え、東ヨーロッパの諸国から多くの難民や移民を受け入れてきたことが背景にある。1991年から2000年にかけて続いた旧ユーゴスラビア紛争では、延べ10万人以上の難民がオーストリアに逃げ延びてきた。2004年と2007年に東ヨーロッパの旧共産圏諸国が欧州連合(EU)に相次いで加盟し、労働の移動の自由が保障された新規加盟国から、多くの移民労働者がオーストリアにやってきた。
・2015年に欧州で難民危機が深刻化するはるか前から、オーストリアは難民や移民の問題と対峙してきたのだった。ハイダー党首率いる自由党が1999年の下院選で今回を上回る26.9%の支持を獲得し連立政権に加わったのも、その後自由党や同党を離党したハイダー氏が新たに旗揚げした未来同盟(BZO、OはO-ウムラウト)が安定した支持を得てきたのも、急増する難民・移民に対するオーストリア国民の不安と無縁ではない。
・自由党躍進のもう1つの背景には、伝統的な2大政党が国民の利益代表として機能しなくなってきたことも関係している。 第2次大戦後のオーストリア政界は、都市部のブルーカラーを支持基盤とする社会民主党と、自営業者、農民、ホワイトカラーを支持基盤とする国民党の2大政党が、時に反目し(どちらか一方による単独政権)、時に手を携え(2大政党による大連立政権)、一貫して政権を担ってきた。この2党にドイツナショナリズムに起源を持つ自由党を加えた3政党が、勢力を争っている。ハプスブルク帝国以来のイデオロギーによって3つの「陣営(Lager)」に分断されているのがオーストリア政治の特徴とされる。
▽国民党は自由党を連立に加える可能性が高い
・1980年代に入って環境政党である緑の党、1990年代には自由党内のリベラル勢力が作った政党、最近では新興のリベラル政党・新自由フォーラム(NEOS)などが議席を獲得しているが、いずれも3政党に取って代わる勢力にはなっていない。
・ほかのヨーロッパ諸国では多くの場合、右派・左派いずれかの連立政権に加わる中道政党が存在するが、オーストリアには自由党以外の第3極が現れなかった。その担い手として期待された緑の党も今回、選挙戦直前の党分裂などで自滅し、1986年以来守ってきた議席を失った。
・このように、長らく2大政党体制が続いてきたことへの不満が、批判政党としての自由党の存在を一段と際立たせている。ハイダー体制下での自由党や未来同盟の連立入りに懲りた2大政党は、過去2回の選挙で大連立を復活させたが、難民危機や汚職問題などで国民の間に不満が広がった。今回、任期途中で連立が崩壊して議会選が前倒しされたことを考えれば、三たび、大連立政権を発足させることは難しく、国民党主導の連立政権に自由党が加わる可能性が高い。
・オーストリアでは首相と閣僚の任命権は国家元首である大統領が持つ。大統領は選挙で第一党になった政党の党首に組閣を要請するのが通例で、国民党のクルツ党首が他党との連立協議を主導する。第2次大戦後に21回あった過去の議会選では、投開票日から政権発足までに最短で23日、最長で129日、平均で62日を要している。
・2016年の大統領選の決選投票で自由党のホッファー候補を破って就任したファン・デア・ベレン大統領は、緑の党出身の親EU派として知られている。自由党は移民政策を取りまとめる内務省ポストなどを要求している。大統領は選挙結果や連立協議を尊重しなければならないとされ、自由党の閣僚候補の任命を拒否できるかは法律家の間でも見解が分かれている。
・2016年の大統領選時に自由党は、トルコがEUに加盟する場合、オーストリアのEU離脱の是非を問う国民投票を実施すると主張していた。最近はEU離脱論を前面に出すことはなくなったが、フランスの国民戦線やオランダの自由党など、欧州各地の反体制派政党と姉妹関係にあり、過去にEUに懐疑的な発言を繰り返してきた自由党の連立入りを不安視する声は根強い。
・自由党はロシアのプーチン大統領が率いる与党・統一ロシアと提携関係を結んでおり、自由党の連立入りによるオーストリアのロシア接近を不安視する声もある。EUはウクライナ情勢をめぐって対ロシア制裁を続けており、ロシアは制裁解除に向けた働きかけを強める可能性がある。
▽親EUだが、難民政策では厳しい要求を突き付ける
・次期首相の座に最も近いクルツ氏は現在31歳。歯切れのよい演説とそのイケメンぶりにも注目が集まっている。39歳でフランスの大統領に就任したマクロン氏よりも、さらに一回り若いリーダーがヨーロッパに誕生する。
・国民党の青年組織で頭角を現したクルツ氏は、ウィーン市議会や内務省の移民統合事務局長を経て、2013年の前回議会選で全議員の中で最多票を獲得して初当選。初当選と同時に同国史上最年少の27歳で外相に就任し、2015年の難民危機時に国境管理の強化などを主導した。
・今年6月に国民党の党首に就任し、世論調査で3番手に低迷していた国民党を勝利に導いた。EUの域外国境管理の強化、不法移民の取り締まり強化、イスラム過激派対策の強化などを訴えている。国民党は親EU政党として知られるが、クルツ首相のリーダーシップと自由党との連立協力の下で、とりわけ移民・難民問題ではEUに厳しい要求を突き付けていくことが予想される。EUの難民危機対応に批判的なハンガリーやポーランドに同調することも考えられる。
・オーストリアのEU離脱やEUとの全面対決は想定されないが、オーストリアの東ヨーロッパへの再接近はヨーロッパの分断を象徴するものだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/194009

次に、ドイツ在住の作家、川口 マーン 惠美氏が12月29日付け現代ビジネスに寄稿した「2018年、「EU崩壊」がいよいよ現実味を帯びてくる 難民、民族独立、そしてドイツ弱体化…」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽難民流入とテロの恐怖
・2017年も残りあと3日。あっという間の一年だった。去年のイギリスのEU離脱騒動で引き起こされたEUの弱体化が、さらに進んだ一年でもあった。EUのアキレス腱は、言うまでもなく、難民だ。  4世紀から5世紀にかけて、北ヨーロッパにいたゲルマン民族が次第に南下して、西ローマ帝国を滅ぼし、最終的にヨーロッパをズタズタにしたが、今、起こっているのもそれと似ている。中東やアフリカから、凄まじい勢いでどんどん北上してくる人たちによって、EUという帝国がバラバラになりかけている。
・2017年の1月1日は、「イスラム国」のテロで明けた。イスタンブールの高級ナイトクラブで大晦日から新年にかけてのパーティーが繰り広げられていたところに、イスラム国のテロリストたちが押し入り、39人を殺害した。犠牲者にはドイツ人も含まれていた。
・トルコは、すでに300万人もの中東難民を庇護している。2015年にドイツが受け入れた90万人近い難民は、トルコにいた難民がゴムボートでギリシャに渡り、バルカン半島を北上してやってきたケースがほとんどだった。
・その中に、過激なイスラムのテロリストが混じっているかもしれないと警告する人たちは当時もいたが、ドイツ政府はその声を「国民の恐怖を煽るポピュリズム」と蹴飛ばし、難民を入れ続けた。そして、その後まもなく、EUでテロが起こり始めたのだ。 あろうことか、ドイツの内務省は今頃になって、難民資格を取れなかった難民が行方知れずになっているケースが多数あると発表した。今年のクリスマス・マーケットはどこもかしこも、すごい数の重装備の警官に守られていた。
・現在、EUはトルコに莫大な経済的援助をして、これ以上、難民がEUを目指して海に漕ぎ出さないように見張ってもらっている。 ドイツ人は、エルドアン大統領の政治を、非民主主義だ、言論弾圧だと非難し続けているが、この国で自由な民主政治など敷いたら、あっという間に治安が乱れ、それどころかクルド族も交えた内戦状態になる可能性さえある。そうなれば、トルコにいる中東難民が一気にEUに流れ込み、EUは崩壊する。
・ドイツ国内にはすでに300万人ものトルコ系移民がいるので、トルコ本国の混乱はたちまちドイツに飛び火し、ドイツは混乱の坩堝となるだろう。だから、本来ならドイツ人は、現在のエルドアン大統領の強権的な政治手腕に感謝しなくてはならない。
・そんなわけで現在、トルコ経由の難民は減っているが、アフリカ大陸からの難民は止まらない。そのためEUは、アフリカの地場産業の振興だとか、青少年保護という名目でそちらにも経済援助をしはじめた。しかし、それで難民の波が止まるなら世話はない。
▽EU内に走る幾つかの亀裂
・押し寄せる難民で身動きが取れなくなっているイタリアやギリシャの窮状を救うため、EUが大慌てで、そこにいる難民を皆で割り当てを決めて引き取ることにしてすでに久しい。ところが、東欧の国々が未だに難民の引き取りを拒否しているため、この態度が自己中心的であると非難され、EU内でいわゆる東西の確執が続いていた。
・ところが、12月18日にオーストリアで就任したクルツ首相が、このEUの「常識」をあっけなく覆した。若年31歳の新首相は、「難民を受け入れるかどうかは、各国が独自に決めるべきだ」と宣言し、EUの難民政策の修正を求めたのだ。東欧諸国が我が意を得たりと活気づいたことはいうまでもない。
・実はEUでは、一部の国々がどんなに綺麗事を並べようが、どの国もずいぶん前から、いかにして難民を入れないかということで苦慮している。EU内では国境検査をしないと定めたシェンゲン協定もすでに実質無効だ。これまでは、シェンゲン域内の国境はフリーパスだったが、今では電車でも道路でも、国境のところで警官がパスポートを調べている。 クルツ首相の発言を機に、来年はEUの難民政策が真摯な仕切り直しに入ると思われる。
・EUの分裂を進めるもう一つの衝撃的な事件は、現在進行中の、スペイン・カタルーニャ州の独立騒ぎだ。カタルーニャの州都はバルセロナ。 10月1日に、カタルーニャ自治州の独立を問う住民投票が行われ、その結果、独立派が勝利し、カタロニア共和国として独立宣言を行うにまで至った。カタロニア人は、過去の度重なる弾圧の歴史から、スペインの中央政府を恨む要因が多々あるようだ。特にフランコ独裁下では、カタルーニャ語や、カタロニアの伝統文化の継承までが禁止された。
・とはいえ、現在、カタルーニャ自治州は国の稼ぎ頭なので、勝手に独立などされると、スペイン政府としては大いに困る。そこで政府は、独立を主導したプチデモン州知事に、「国家反逆罪」、および「扇動罪」を着せた。追われる身となったプチデモン氏は幹部数人と共にブリュッセルに逃亡、そこからビデオで、カタロニア独立を呼びかけている。副首相らはバルセロナに残ったので、拘束されている。
・スペイン政府は事態を収拾するため、カタルーニャ州議会を解散し、12月21日に前倒し選挙を敢行した。いきおい、国外逃亡中、あるいは留置中の政治家たちが選挙運動を繰り広げるという異常事態となったが、投票が終わり、蓋を開けてみたら、独立賛成派が再び過半数を獲得した。 つまり、選挙で独立派を一気に潰すつもりだったスペイン政府の思惑は見事に外れ、事態は収束どころか、ちょっとやそっとでは解決しそうにないほどこじれてしまった。もちろん、市民も独立賛成派と反対派とに真っ二つに分かれて、途方に暮れている。
・ところが不思議なのは、EUがこれを仲介するでもなく、スペインの内政問題であるとして、無視を決め込んでいることだ。EUには、他にも独立志望の少数民族を抱えている国が幾つかあるため、下手に触ると収拾がつかなくなるという懸念があるのだろうが、このままでは EUの求心力はさらに低下するばかりだ。
▽ドイツの混乱はまだまだ続く
・そんな中、ドイツでは12月25日、恒例の大統領のクリスマス・スピーチが放映された。シュタインマイヤー大統領はSPD(社民党)の政治家で、今年の3月までは、大連立のメルケル政権で外相を務めていた。 その彼の、大統領として最初のスピーチが、驚くほど空虚だった。国民を安心させ、励ますばかりで、ドイツ国が直面している深刻な問題や、国民が感じている不安などは巧みに回避する。 しかも、9月の選挙以来、いまだに組閣ができていない政局については、「今までになかったことではあるが、ドイツの基本法はそういう事態にもちゃんと備えがあり、現在はその決まりに従ってことが進んでいる」。
・つまり、不安に思う必要は何もない。「国民は国を信用しなさい」というのがスピーチの肝だ。 なぜ、この政治的混乱が起こったのか、なぜ警官が残業に残業を継いで、寒い街角に24時間立っているのか、それらには一切言及なし。「無力感や無関心は克服できる」、「人に責任を押し付けるのではなく、自分たちの責任を認識しよう」だとか。
・シュタインマイヤー氏は、ついこの間までの施政者だ。現在の混乱に一役も二役も買っていることは間違いない。なのに、それはすべて棚に上げ、空疎な綺麗事を並べ、挙げ句の果て、「さあ、これらの問題を克服するのが、あなた方国民の課題ですよ」とハッパをかけている。自分の責任はいったいどこへ行ったのか。国民は憤りを通り越して、唖然だ。
・1月1日には、これまた恒例の首相の新年スピーチがある。現在、暫定首相であるメルケル氏が何を話すかは謎だが、大統領のスピーチが国民のブーイングを浴びたからには、同じような綺麗事を並べるわけには行かなくなったはずだ。 政局の混乱はまだまだ続くし、大連立ができなければ再選挙もありうる。内閣の成立はいつになるのか、まるで見えない。このままいくと、ドイツの混乱はEUの混乱に拍車をかけることになるかもしれない。いずれにしても、EUが来年、激動の年を迎えることは、すでに織り込み済みのようだ。
・皆様、今年も一年、ありがとうございました。良いお年を。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/54035

第一の記事のその後に触れておくと、12月19日付けの日経新聞は、『オーストリアで18日、中道右派の国民党と極右の自由党による連立政権が発足。首相には国民党のクルツ党首(31)が就いたが、外相、国防相、内務相のポストは自由党が獲得。難民らの受け入れに強硬に反対し、ロシア寄りとされる極右の政権入りで、EUとの間にすきま風が吹きかねない。「我々ははっきりと親欧州の方針で一致している」。クルツ党首は連立合意後の16日の記者会見でこう語り、オーストリアが反EUに転じるとの観測を否定してみせた』、と自由党の連立政権入りと、重要閣僚ポストを抑えたことを報じた。『ナチスの流れをくむ自由党が勢力を拡大』、ということは、オーストリアにとってはナチスに併合を迫られたという被害者意識の方が、加害者意識よりも強い、といわれていることが背景にあるのだろう。2016年の大統領選では、自由党のホッファー候補が決選投票までいって、敗れたということは、政治の一角に根を下したということだろう。ただ、難民問題では、『2015年に欧州で難民危機が深刻化するはるか前から、オーストリアは難民や移民の問題と対峙してきたのだった』、という事情は多少同情できる要素だ。クルツ新政権は、『移民・難民問題ではEUに厳しい要求を突き付けていくことが予想される。EUの難民危機対応に批判的なハンガリーやポーランドに同調することも考えられる』、ということであれば、新年のEUは荒れ模様となりそうだ。
第二の記事で、『4世紀から5世紀にかけて、北ヨーロッパにいたゲルマン民族が次第に南下して、西ローマ帝国を滅ぼし、最終的にヨーロッパをズタズタにしたが、今、起こっているのもそれと似ている。中東やアフリカから、凄まじい勢いでどんどん北上してくる人たちによって、EUという帝国がバラバラになりかけている』、というのは面白い比喩だ。『ドイツ人は、エルドアン大統領の政治を、非民主主義だ、言論弾圧だと非難し続けているが、この国で自由な民主政治など敷いたら、あっという間に治安が乱れ、それどころかクルド族も交えた内戦状態になる可能性さえある。そうなれば、トルコにいる中東難民が一気にEUに流れ込み、EUは崩壊する。 ドイツ国内にはすでに300万人ものトルコ系移民がいるので、トルコ本国の混乱はたちまちドイツに飛び火し、ドイツは混乱の坩堝となるだろう。だから、本来ならドイツ人は、現在のエルドアン大統領の強権的な政治手腕に感謝しなくてはならない』、というのは、言われてみればその通りだ。 『オーストリアで就任したクルツ首相が、このEUの「常識」をあっけなく覆した。若年31歳の新首相は、「難民を受け入れるかどうかは、各国が独自に決めるべきだ」と宣言し、EUの難民政策の修正を求めたのだ。東欧諸国が我が意を得たりと活気づいたことはいうまでもない・・・クルツ首相の発言を機に、来年はEUの難民政策が真摯な仕切り直しに入ると思われる』、折り悪しくドイツのメルケル首相が連立交渉が予想外に難航し、政治力に陰りが見えてきていることもあり、EUの正念場になりようだ。スペインのカタロニア独立問題で、『EUが無視を決め込んでいることだ。EUには、他にも独立志望の少数民族を抱えている国が幾つかある』、確かにEU本部があるベルギーも深刻な民族間対立を抱えている。ドイツでは、シュタインマイヤー氏の『大統領として最初のスピーチが、驚くほど空虚だった』となれば、『1月1日には、これまた恒例の首相の新年スピーチがある』は、いやが上でも注目されるところだ。いずれにしろ、新年はEUにとっては多難な年になりそうだ。
明日は都合により更新を休むので、3日にご期待を!
タグ:「オーストリア、31歳首相がEUへ要求すること 自由党が連立入り、排外主義で東欧へ再接近」 オーストリアの国民議会(下院)選挙 移民・難民問題ではEUに厳しい要求を突き付けていくことが予想される。EUの難民危機対応に批判的なハンガリーやポーランドに同調することも考えられる が31.5%の票を獲得して勝利 回選挙から6%ポイント近くも票を上積みし、2大政党に迫る支持率を獲得 東洋経済オンライン クルツ首相が、このEUの「常識」をあっけなく覆した。若年31歳の新首相は、「難民を受け入れるかどうかは、各国が独自に決めるべきだ」と宣言し、EUの難民政策の修正を求めたのだ。東欧諸国が我が意を得たりと活気づいたことはいうまでもない 中東やアフリカから、凄まじい勢いでどんどん北上してくる人たちによって、EUという帝国がバラバラになりかけている トルコは、すでに300万人もの中東難民を庇護 自由党はロシアのプーチン大統領が率いる与党・統一ロシアと提携関係 スペイン・カタルーニャ州の独立騒ぎだ 親EUだが、難民政策では厳しい要求を突き付ける 川口 マーン 惠美 ドイツの混乱はまだまだ続く ドイツ国内にはすでに300万人ものトルコ系移民がいるので、トルコ本国の混乱はたちまちドイツに飛び火し、ドイツは混乱の坩堝となるだろう。だから、本来ならドイツ人は、現在のエルドアン大統領の強権的な政治手腕に感謝しなくてはならない シュタインマイヤー大統領 EUがこれを仲介するでもなく、スペインの内政問題であるとして、無視を決め込んでいる 1月1日には、これまた恒例の首相の新年スピーチがある。現在、暫定首相であるメルケル氏が何を話すかは謎だが、大統領のスピーチが国民のブーイングを浴びたからには、同じような綺麗事を並べるわけには行かなくなったはずだ 大統領として最初のスピーチが、驚くほど空虚だった。国民を安心させ、励ますばかりで、ドイツ国が直面している深刻な問題や、国民が感じている不安などは巧みに回避する 難民を皆で割り当てを決めて引き取ることにしてすでに久しい EU内に走る幾つかの亀裂 ドイツ人は、エルドアン大統領の政治を、非民主主義だ、言論弾圧だと非難し続けているが、この国で自由な民主政治など敷いたら、あっという間に治安が乱れ、それどころかクルド族も交えた内戦状態になる可能性さえある。そうなれば、トルコにいる中東難民が一気にEUに流れ込み、EUは崩壊する ドイツが受け入れた90万人近い難民は、トルコにいた難民がゴムボートでギリシャに渡り、バルカン半島を北上してやってきたケースがほとんどだった 4世紀から5世紀にかけて、北ヨーロッパにいたゲルマン民族が次第に南下して、西ローマ帝国を滅ぼし、最終的にヨーロッパをズタズタにした 難民流入とテロの恐怖 現代ビジネス 歴史的・地理的な結び付きの強さもあり、オーストリアは今もビジネスや文化交流などさまざまな分野で、東ヨーロッパの玄関口の役割を果たしている。こうした東ヨーロッパとの近接性がオーストリアでの極右台頭と関係している 「2018年、「EU崩壊」がいよいよ現実味を帯びてくる 難民、民族独立、そしてドイツ弱体化…」 オーストリアには自由党以外の第3極が現れなかった 伝統的な2大政党が国民の利益代表として機能しなくなってきたことも関係 急増する難民・移民に対するオーストリア国民の不安 2015年に欧州で難民危機が深刻化するはるか前から、オーストリアは難民や移民の問題と対峙してきたのだった 旧ユーゴスラビア紛争では、延べ10万人以上の難民がオーストリアに逃げ延びてきた 人口の1割以上を外国籍者 極右の連立入りに反発した欧州諸国が、オーストリアとの外交関係を断絶する事態にまで発展 ナチスの流れをくむ自由党が勢力を拡大 自由党 社会民主党(SPO)が26.8%、反移民・反イスラムを掲げる右派政党・自由党(FPO)が26.0%の僅差で続いた 国民党 田中 理 (その3)(オーストリア 31歳首相がEUへ要求すること 自由党が連立入り 排外主義で東欧へ再接近、2018年 「EU崩壊」がいよいよ現実味を帯びてくる 難民、民族独立 そしてドイツ弱体化…) 欧州
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