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トランプ大統領(その35)(「トランプは選挙の勝ち方をよく知っている」マイケル・ムーア監督が警告、米中間選挙:「反トランプ」が一枚岩になれない理由 トランプ関税が民主党を封じ込めた?、中国の報復関税にあえぐ農業州はトランプを見放すか?、経済冷戦から新冷戦に踏み出すトランプ大統領 INF条約破棄が招く核危機) [世界情勢]

トランプ大統領については、10月5日に取上げたばかりだが、今日は、(その35)(「トランプは選挙の勝ち方をよく知っている」マイケル・ムーア監督が警告、米中間選挙:「反トランプ」が一枚岩になれない理由 トランプ関税が民主党を封じ込めた?、中国の報復関税にあえぐ農業州はトランプを見放すか?、経済冷戦から新冷戦に踏み出すトランプ大統領 INF条約破棄が招く核危機)である。

先ずは、ジャーナリストの矢部 武氏が10月9日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「トランプは選挙の勝ち方をよく知っている」マイケル・ムーア監督が警告」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/181532
・『トランプ大統領誕生を予言していた監督  2016年の大統領選の前に多くの人がトランプ候補について、「こんなまぬけに誰も投票するはずはない」と指摘し、「民主党のヒラリー・クリントン候補が勝つだろう」と確信していたなかで、アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞したことのあるマイケル・ムーア監督は、トランプ氏の勝利を予想していた。 ムーア氏は2016年7月末に発表した「ドナルド・トランプが当選する5つの理由」という記事のなかで、こう述べていた。 「この浅ましくて無知で危険な、パートタイムのクラウン(道化師)兼フルタイムのソシオパス(社会病質者)は米国の次期大統領になるだろう。さあ、みんな、“トランプ大統領”と言ってみよう。これから4年間そう呼ぶことになるのだから」 5つの理由については後述するが、要するにトランプ候補は過激な言動で物議を醸しているが、実は他の候補より選挙の勝ち方をよく心得ていることをムーア氏は見抜いていた。だから、民主党やメディアの関係者などに「トランプを真剣に受け止めないと大変なことになる」と、警告を出していたのだ。しかし、彼らはそれに耳を傾けることなく、2016年11月9日、トランプ大統領勝利宣言の日を迎えてしまった。 あれから2年近くを経てムーア監督は、トランプ大統領を標的にした新作「華氏119」を引っさげてスポットライトの下に戻ってきた。 9月21日の映画公開に合わせて出演したテレビ番組で、トランプ大統領の2年間について問われたムーア氏は、「想像していたよりもはるかにひどい状況だ。民主主義や法の支配への敬意がまったくなく、外国の独裁的な指導者を称賛している。もし国家の非常事態が起きたら、国民の人権や報道の自由はどうなるかわからない」と述べ、こう警告した。「民主党の関係者や支持者は11月の中間選挙で下院の過半数を奪還できると自信を持っているようだが、私には少し楽観的すぎるように思える」 さらにムーア氏はトランプ大統領が2020年に再選される可能性にまで言及した。民主主義や法の支配を守ろうと訴えている人々にとっては悪夢のシナリオだが、それにしても米国はなぜ、こんな状況になってしまったのか、そしてこれからどうなるのか』、「パートタイムのクラウン(道化師)兼フルタイムのソシオパス(社会病質者)」と見抜き、その当選を警告していたムーア監督はさすがだ。
・『選挙の勝ち方を心得ている「悪の天才」  2016年の大統領選で、トランプ候補は得票数でヒラリー・クリントン候補を約290万票も下回ったが勝利した。それができたのは得票数で負けても、「ラストベルト」(さびついた工業地帯)と呼ばれる中西部の4州と、他の共和党が優位な州「レッドステート」を全て押さえれば勝てるとの計算があったからだろう。 ムーア氏は前述の記事のなかで、「トランプはミシガン、オハイオ、ウィスコンシン、ペンシルベニアのラストベルト4州に意識を集中させるだろう」と書いていたが、その指摘通り、トランプ陣営は選挙戦の終盤にラストベルトでの活動に全力を注いだ。 ムーア氏がトランプ候補の勝利を予想できたのは、彼自身がラストベルトの一つ、ミシガン州フリントの出身であることと無関係ではないだろう。同州はかつて自動車産業など製造業の中心地として栄えていたが、近年は産業の空洞化で取り残され、とくに白人労働者の怒りや不満が高まっていた。「強いアメリカを取り戻す」などのスローガンを掲げたトランプ氏が、彼らの不満をうまく取り込み、支持を増やしていたことをムーア氏はよく知っていたのだ。 一方、クリントン陣営は、ラストベルトは伝統的に民主党が強かったこともあって多少油断したのか、選挙活動にあまり力を入れていなかったようだ。それが勝敗を分けたと言っても過言ではないだろう。 ムーア氏はトランプ大候補が勝つ理由として、他に、女性やマイノリティの台頭によって追いつめられた怒れる白人男性の支持を増やしていること、「有権者の約70%がヒラリーを信用できない」というクリントン候補の不人気の問題などをあげた。 しかしムーア氏は「自分の考えが間違いであってほしい」と強く願いながら、この記事を書いた。「こうなってほしい」と思ってではなく、「現実に何が起きているのかを人々に認識してほしい」と願って書いたのだという。 とくにその時は、民主党全国大会でクリントン候補が正式指名された直後で、関係者は皆、「あんなまぬけに負けるはずはない」という感じで舞い上がっていた。残念ながら、ムーア氏の警告は最後まで民主党の関係者に届くことはなく、クリントン候補はラストベルトの4州すべてを僅差で落としてしまった。 もちろんトランプ候補が勝利した理由としては他に、コミー前FBI長官が投票日の11日前にクリントン候補の私用メール問題の捜査を再開したことを無視することはできない。それによって、それまで10ポイント前後あったクリントン候補のリードが一気に縮まってしまったのだから。 とはいえ、トランプ氏が最初からラストベルトの票読みや選挙人票(得票数ではなく)に意識を集中させていたことは明らかであり、その点では選挙の勝ち方を心得ていたと言えるだろう。さらにムーア氏は、トランプ大統領が11月の中間選挙や2020年の大統領選でも勝利する可能性があると警鐘を鳴らす』、中間選挙のみならず2020年の大統領選でも勝利する可能性があるとは、恐ろしい警告だ。
・『「人の心を惑わせ、混乱させる達人」  トランプ大統領はいつも嘘を言ったり、狂気じみたことを言って人を驚かせ、混乱させたりしているが、そうすることで人を巧みに操り、大事なことから人の注意をそらし、自分のペースに持ち込もうとしているのではないか、とムーア氏はみている。 しかし、このような大統領の問題行動によって、政権内が大混乱に陥っていることが、匿名の政府高官によって書かれたニューヨーク・タイムズ紙(9月6日付)の論説記事から明らかになった。 この高官は、「大統領は衝動的で敵対的で考え方が狭く、無能である。問題の根本は大統領に道徳心が欠如していることにある」と述べ、「私は大統領のために働いているが、同じ考えを持つ同僚とともに、大統領の最悪の性向からくる無謀な意思決定を阻止するべく懸命に努力している。政権内で密かな抵抗運動が起きている」と、驚くべき実態を暴露した。 さらに衝撃的だったのは、職務不能を理由に大統領を強制的に解任できる「憲法修正第25条」を適用すべきかについて閣僚内で検討されたということだ。結局、憲法の危機を回避するために見送られたそうだが、そのような事が検討されただけでも異常な事態という他はない。 トランプ政権内の混乱ぶりについては、これとほぼ同時期に発売された著名ジャーナリストのボブ・ウッドワード氏の新著『Fear: Trump in the White House』(恐怖:トランプのホワイトハウス)でも詳細に述べられている。 ウッドワード氏によれば、経済担当大統領補佐官だったゲーリー・コーン氏は「大統領から国を守るために机の上の書類を隠して、大統領が署名できないようにした」という。また、マティス国防長官は大規模な在韓米軍の費用を大統領から何度も聞かれて苛立ち、「第三次世界大戦を防ぐためです」と不愛想に答えた。その後、長官は同僚に「大統領の理解力は5年生か6年生レベルだ」と語ったとされる。 トランプ大統領は「本は作り話だ」と批判しているが、ウッドワード氏によれば、新著は政権内の人々への綿密なインタビューに基づいて執筆されたものだという。 この本と前述の論説記事がともに指摘しているのは、大統領の精神状態や執務能力、国内外の諸問題についての理解力に不安を感じている職員が少なくないということだ。このような人物が大統領を務めているのは多くの米国人にとって不幸だが、さらに悪いことにトランプ氏は長く大統領職にとどまることに執念を燃やしているように見えることだ。 たとえば、2018年3月、トランプ大統領は共和党の資金集めのイベントで、中国共産党の国家主席の任期を撤廃して無制限に務められるようにした習近平主席を褒め称え、「米国でもいつか試したい」と語っているのである』、「長く大統領職にとどまることに執念を燃やしている」、というのも困ったことだ。
・『今こそ身を挺して民主主義を守る時だ!  米国では法の支配、憲法、三権分立など民主主義の制度がしっかり確立されているので、中国のようにはならないであろうことは容易に想像できる。 しかし、ムーア氏は、「民主主義は“自己修復メカニズム”を持たない。“邪悪な指導者”によってシステムが崖っぷちに追いやられた時、それを元に戻すものがない。我々の民主主義は単に紙に書かれた約束事にすぎない」と警告する。 具体的には、前述したように大統領が国家非常事態を宣言して国民の権利を奪ったり、報道の自由を制限したりということだ。実際、トランプ大統領はNBCの放送免許剥奪の可能性に何度も言及しており、「政権に批判的な報道をするテレビ局の放送免許を取り消す権限が自分にある」と信じているようだ。 このようにムーア氏は、民主主義の制度が邪悪な指導者によって危機にさらされていることを繰り返し指摘する。しかし、米国の民主主義を支えているのはシステムだけでなく、民主主義を守ろうとする人々の意識や文化、勇敢な行動などである。たとえば、トランプ大統領の就任翌日には全米で大規模な抗議デモが展開され、強硬な反移民政策や白人至上主義擁護発言などに抗議する活動も頻繁に行われている。 米国社会は現在、保守派の共和党支持者とリベラル派の民主党支持者で真っ二つに分断されている。しかし、半数以上の米国人は移民や銃規制、同性婚などの問題でリベラルな政策を支持している。つまり、彼らは全ての国民が医療保険に加入できる皆保険を求め、アサルトライフルの販売禁止など銃規制に賛成し、移民は米国のために良いと考え、LGBTの権利と同性婚を認めるべきだとしているのだ。 にもかかわらず、共和党が行政府(大統領)と議会の上下両院を握っているのはなぜか。理由はおそらく、トランプ大統領が選挙の勝ち方を心得ていることに加え、民主党支持者の多くが投票に行かないからではないかと思われる。 そこでムーア氏は、「民主主義は家のソファーに座って楽しむ観戦スポーツとは違う。皆がソファーから立ち上がり、自ら参加しなければならない」と、中間選挙での投票を呼びかけている。 さらに民主主義が危機にさらされるなか、オバマ前大統領も立ち上がった。オバマ氏は「前大統領は現職を非難しない」という伝統を破り、トランプ大統領の偏見と分断に満ちた政治を名指しで非難した。 そしてシャーロッツビルでの白人至上主義者と反対派の衝突で死者が出た事件にも言及し、トランプ大統領が白人至上主義者を明確に非難しなかったことについて、「ナチスの信奉者に対して立ち上がり、明確に意見を言うべきです。“ナチスは邪悪だ”というのがそんなに難しいことでしょうか?」と批判した。 オバマ氏は9月初めから民主党候補の応援に加わり、「今こそ、政治に正気を取り戻そう。下院の主導権を奪還するチャンスだ」と、有権者に訴えかけている。 現職と前任の大統領が真っ向から対立しながら、中間選挙に向けて遊説を展開するのは異例の事態だ。米国ははたして邪悪な指導者から民主主義を守ることができるだろうか』、「民主主義は“自己修復メカニズム”を持たない」とのムーア監督の警告は、米国のみならず、日本にも当てはまるものだ。今後の推移を注視したい。

次に、北海道大学准教授の渡辺 将人氏が10月24日付け現代ビジネスに寄稿した「米中間選挙、「反トランプ」が一枚岩になれない理由 トランプ関税が民主党を封じ込めた?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58102
・『「ハイブリッド」な大統領  米調査機関ピューリサーチが中間選挙年の夏に実施している世論調査によると、民主党支持者で「大統領の不信任で投票する」割合は過半数の61%だった。「反トランプ」熱の象徴と思いきや、同じ共和党政権下のブッシュ息子政権の2006年に「大統領の不信任で投票する」とした65%より少ない。 また、共和党支持者で「大統領の信任投票と考える」とした回答は、トランプ政権下の今年(52%)のほうがブッシュ政権下の2006年(33%)を20ポイントも上回っている。 中間選挙での民主党の反共和党大統領票は、イラク戦争が泥沼化した時期の「反ブッシュ」を凌駕するものではなく、ブッシュ政権末期に比べれば、共和党支持者の大統領信任はまだ堅い。 トランプが保守でもリベラルでもない「ハイブリッド」な大統領であることが関係している』、「ハイブリッド」な大統領、とは言い得て妙だ。
・『トランプ関税が民主党に与えた衝撃  中間選挙は左右両極のイデオロギー的な層だけが熱心に投票し、投票率もおおむね低い。そこで大統領は「トランプの選挙」と印象付けるシグナルを送り続けている。 そのハイブリッド性を駆使した「隠し球」は保護貿易色の強い貿易政策だ。結果、民主党全般と共和党農業州の選挙現場で、違う理由で貿易がある種の扱いが難しいテーマにもなっている。 民主党に衝撃を与えたのはトランプ関税だった。 今年3月、全米の労働組合の顔である米労働総同盟・産業別組合会議(AFL-CIO)会長が、トランプ政権の鉄鋼・アルミニウム関税について、労働者にとって素晴らしい政策だと褒めちぎった。政権の努力を賞賛し、「偉大なる第一歩」とまで呼んだ。 議会民主党幹部らも同調を示し、シューマー上院総務は政権の対中関税を高く評価している。 リベラル系の下院議員の中には「ライトハイザー通商代表は、オバマ政権のフロマン通商代表より有能」との声まであがり、「結果を出す通商代表」「タフな交渉者」と評判だ。 民主党がリベラルな選挙区で世論調査をしても、「トランプ関税は必要で労働者のためになる」との回答が多い。 結果、選挙現場では貿易論は棚上げの姿勢を余儀なくされている。貿易に触れると、どこかでトランプ政権を多少は褒めざるを得ず、「反トランプ」で結束できない』、従来は民主党が保護主義、共和党が自由貿易主義だったので、「お株」を奪われた民主党は苦しいだろう。
・『民主党が選んだ戦略は?  民主党は手探りで世論調査の聞き方に工夫を凝らしている。 中西部選挙区の調査では「新たな貿易交渉が必要だが、トランプ政権の欧州やカナダと激突する方法はスマートではない」という別項目を設けてみたところ、この項目を選ぶ回答が、単なるトランプ関税賛成を10ポイント以上も上回ったという。 「カナダやメキシコについて尋ねる場合と、中国について尋ねる場合では、回答に20から30ポイントの差がある」と民主党系シンクタンクNDNのサイモン・ローゼンバーグも述べる。単に「自由貿易か保護貿易か」ではなく、「相手国次第」で有権者の反応が決まる傾向が浮き彫りになっている。 そこで民主党の選挙現場は貿易政策を(1)トランプ流保護貿易、(2)グローバリスト的な自由貿易、(3)企業利益ではなく労働者の雇用改善に留意した対欧州・カナダと対中国の交渉を峻別する貿易政策、に分類して、3つ目が民主党の道として差異化を目指している。 だが、貿易問題を苦手としている候補者は上手に説明ができない。説明の仕方を誤ると(3)は(1)の洗練されたバージョンにしか聞こえず、根本的な違いが曖昧だからだ。 いきおい「Me Too」、LGBTの権利、包括的な移民制度改革、気候変動などの環境問題で演説を埋め尽くす候補者が増えている。視察した民主党の対話集会ではどれも判で押したように同じ光景だった。 それが一番確実に手っ取り早く「反トランプ」で聴衆を味方にできる方法だからだ。「関税はいいこと。でも、このトランプ関税は少し間違っている」と言っても歯切れが悪くなる』、相手国別の貿易政策は確かに分かり難いので、その他の問題を論点にする民主党候補者の立場は理解できる。
・『NAFTA再交渉は評価せざるを得ない  どの集会でも支持者から「非大卒の白人労働者の票はどうするのか」との質問がでるが、多くの民主党候補者は「インフラ投資を頑張る」しか言えない状況にある。「解決策はインフラ投資。それもしっかりした雇用を生む投資で、トランプのインフラ投資のような特定企業に利益を誘導するだけのパッケージは阻止する」と苦しい。 しかも、9月30日、トランプ政権がカナダとの交渉で妥結し、NAFTA再交渉に成功した。米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に対して、民主党リベラル派と労組は、案の定、中途半端な反応しか示せていない。 民主党リベラル派も労組も「NAFTAは大企業を利する協定で労働者の雇用には害悪」との立場を20年以上貫いてきたからだ。政権の再交渉と妥結自体には好意的にならざるを得ない。「新協定は製薬会社の独占力を増し、薬価引き下げに役立たない」など散発的な批判にとどまっている。 TPP反対運動では、労組、環境団体、消費者団体のリベラル派3者が、奇妙な暫定連合を組んだ(拙著『アメリカ政治の壁』)。TPP賛成だったヒラリーを憎み、サンダースに望みをかけた彼らの多くは、トランプ勝利でTPPが潰れたことをひそかに喜んでいた。 2016年民主党大会でサンダース応援団の掲げたプラカードは「ノーTPP」だった。民主党を崩すには貿易政策のくさびを打ち込んでおくに限る。そう学んでいるトランプは、中間選挙でも貿易球を放り込んでいる』、民主党の弱味につけ込むトランプはさすがだ。
・『新たな羅針盤を持てない民主党  貿易論の棚上げは、民主党が経済の何をゴールにするのかコンセンサスが党内で得られていないことが遠因だ。 長年、労組の闘争を支援してきた60代のベテラン民主党系戦略家は次のように言う。 「炭坑もどんな仕事もgood jobになり得る。good jobの定義は、高い賃金だ。それしかない」 グローバリゼーションへの認識と危機感はあるが、民主党で集まって議論をしても大企業批判と賃金の問題に帰着する。そしてある時点で必ず議論は止まる。 筆者が同席したシカゴ民主党の討議の場では、あえて空気を読まないロースクール教授が「成長や大きいことはいいことだという考えがもう通用しないのではないか」と発言した。 案の定、周囲から集中砲火を浴びた。「大きいことはいいこと」「大きい医療保険制度はいいこと」。しかし、その先を詰めにくい。生き甲斐の問題に帰着するからだ。何をアメリカが目指し、アメリカ人の幸せは何なのかを政治的に問い直すことになる。 かつて炭坑労働者が相当な高収入を得るなど、成長期に労働者が中産階級でいられた過程で、ニューディール以来の米民主党はこの問題を詰めることを本質的には避けてきたともいえる。 ワシントンの民主党系シンクタンクには、産業構造の変化への柔軟な対応を目指しTPPに賛同した流派もいるが(旧NAFTA推進派と重なる)、地方の選挙現場では「賃上げが究極のゴール」という古典的流派が議論と動員力を支配している。 中間選挙で民主党が勝利しても、そして勝利すればなおさらこの問題は残存する。対する共和党はどうか。トランプ関税への反応について、農業州の有権者に焦点を絞って次回考える』、「中間選挙で民主党が勝利すればなおさらこの問題は残存する」、この問題は長年放置されてきただけに、簡単に答えが出るとも思えない。民主党はどうするのだろうか。

第三に、上記の続きを、10月28日付け現代ビジネス「米中間選挙、中国の報復関税にあえぐ農業州はトランプを見放すか? 貿易戦争の主戦場で起きていること」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/58111
・『中国の報復関税にあえぐ農業州の動向  上・下2回にわたって中間選挙でトランプが投げ込む貿易の変化球について考えている。2回目は共和党側だ。 一連のトランプ関税に対し、「自由貿易の党」共和党の内部はどうか。 中国が報復として米国産大豆に関税を課し、大豆価格が下落する中、大豆産地のアイオワ州は米中貿易戦争の間接的な主戦場になっている。 現時点では、共和党内には「短期の痛みに耐え、長期の利益を得る」というトランプの貿易政策に表立った反発は少ない。農業州の共和党候補も貿易争点については黙して語らない。 アイオワ州の保守派会合でも、共和党の州知事、連邦議員、地方議員らは登壇しても、誰ひとりとして関税について語らなかった。共和党下院候補の支持者向け会合では、プレス非公開であっても、ラストベルトなど労働者を多く抱える地域以外では、貿易については避けたがる。 共和党の有権者、とりわけ農家に「痛み」が生じるトランプの貿易政策をさすがに褒めるわけにはいかないが、批判もできないからだ』、保護貿易の米国にとっての「痛み」が出てくるには一定のタイムラグがある筈で、まだそれが出切らないうちに、中間選挙を迎えるというのも、トランプの良く練られた戦略なのだろう。
・『経済利益よりも信仰?  現地の共和党幹部らの説明を総合すると、4つの理由がある。 1つ目は、宗教・社会争点だ。アメリカの有権者は、経済利益と社会要因が天秤にかかると後者を選ぶ。中絶の非合法化を悲願とするキリスト教保守は、最高裁の保守化を熱望している。 多くの有権者はクリスチャンであり農家だ。カバノー最高裁判事就任は、福音派の農家に関税による不利益感を棚上げさせる力はある・・・2つ目は、共和党の公職者や候補者が、純粋に「トランプに逆らえない」という事情だ。大統領の政策について少しでも異論を唱えれば、大統領に反撃される。そのことでトランプ支持者からの評価も下がる。 トランプ大統領は、内政、外交について閣僚や補佐官にあれこれ指南される中、経営者としては経験せずにすんでいた不愉快な経験をしている。そのビジネスマンの大統領が、周囲に「これは自分の得意分野だ」と自負し、自尊心を回復できる数少ない分野が貿易だ。 つまり、貿易で大統領に異議申し立てするのは、他の分野での進言とは意味が違う。誰もそのリスクをとらない。トランプを共和党内で批判するのは、失うものが無い引退を決めている政治家だけだ。 3つ目は、タイミングである。今年度の収穫の季節のうちに中間選挙が終わる。中間選挙が来年だったら、農家の感情も違っていたかもしれない。ただ、地域や産品により事情が異なるため、急速に不満が広がる可能性もある』、やはりタイミングが絶妙なようだ。
・『中国の選挙介入騒動?  4つ目は、トランプ政権の厳しい対中姿勢だ。アイオワ州の共和党幹部は、「中国側に問題の原因がある」と農家に吹き込んでいるとして次のように述べる。「為替、中国での米企業の不利益、知的所有権の3つが重要だ。自由貿易は大切だが、それはフェアである限りにおいてだ。中国とは貿易戦争をしているのではない。フェアな貿易をしてもらう説得だ」 一方の中国はトランプの膝元を揺るがそうと、「大豆州」に揺さぶりをかけた。 9月23日付のアイオワ州地元紙「デモイン・レジスター」に、トランプの貿易戦争がアメリカの農家のためにならないという「記事」を差し込んだのだ。 筆者はこの「記事」を現地で発売日に目にした。同日、アイオワ州デモイン泊だったからだ。キリスト教保守の会合を前夜に終え、共和党幹部と州東部に移動し、下院候補陣営を回るところだった。 報道では「広告」とされていて、トランプ大統領もツイッターで「中国がニュースに見えるようにプロパガンダを投下した」として紙面写真を紹介した。この騒ぎに驚いたのは当のアイオワ州民だった。 問題の記事は、中国共産党系英字紙「チャイナ・デイリー」からの転載だった。「チャイナ・デイリーのスポンサーでお届けしているセクション」と頁上に記してあるが、「レジスター」本紙に4頁そのまま組み込まれていて、つい記事だと思ってしまう。「広告」にはとても見えない。 米中貿易戦争が激化すれば、中国の巨大な市場を失いかねず、アメリカの農家が損をする悲惨な結末がやんわりと示唆されている内容だ。ただ、体裁は中立的な記事で、中国政府や中国のオピニオンリーダーの意見の形をとっていない。米中経済の相互依存の実例が淡々と列挙される。 巧妙なのは、ワシントンの著名シンクタンクのエコノミストの理詰めのトランプ批判を紹介する方法をとっていることだ。アメリカ国内の党派対立と政策エリートのトランプ蔑視を上手に利用している格好だ。 アメリカの大都市のホテルには無料で「チャイナ・デイリー」が置かれるようになったが、大半のアメリカ市民はそれがどういう新聞なのかまでは知らない。地方紙への転載は、提携海外紙の国際情報欄と思うようだ。 案の定、「記事」を自然に見過ごし(読み飛ばし)、大統領のツイートで知った人が多かった。「レジスター」紙も騒ぎの拡大に心底戸惑っている。 新聞衰退の中、地方紙はどこも経営難だ。広告は喉から手が出るほど欲しい。この手の「スポンサー記事」を「疑似的な記事」と見るか、「広告」と見るかは、メディア倫理における新たな課題だ。 メディアは政府と完全に一体化しているものではない(FOX Newsですら共和党と一枚岩ではない)という、自由社会におけるジャーナリズムの原理原則が通じないメディアが、海外に自由社会と同じ独立系メディアを装って進出してきたとき、アメリカのメディア、とりわけ地方メディアは恐ろしくナイーブで脆弱である』、中国のやり方は巧妙だが、余りやり過ぎると反発を招くリスクもあるだろう。
・『元アイオワ州知事の大使が北京から特別寄稿  トランプ政権の反応は続いた。在中国アメリカ大使が翌週、「レジスター」紙に、アメリカの自由なメディアを悪用する行為だと批判寄稿したのだ。メディアを舞台にした「空中戦」にあえて同じ土俵での反撃を選んだ。 この大使は他でもない、ブランスタッド前アイオワ州知事だ。習近平国家主席と友人との触れ込みの米大使の批判に中国も驚いたかもしれない。 大使の反応は過剰ではない。地元アイオワでの面子が丸つぶれになっているからだ。 彼は米大使である前に、アイオワの政治家である。「レジスター」紙は大統領選にも強い影響を持つ特別な地元紙で、自分の庭を荒らされたに等しい。 ブランスタッド大使には、州知事時代に筆者も2回ほど面会している。親中派というよりはビジネス派で、日米姉妹州県関係1号(昭和35年)の山梨県との交流に入れ込み、豚・トウモロコシの輸出に熱心だった。知事が農業利益を何よりも重視していることを州民は知っている。 超党派で愛されていた元知事の北京発の寄稿は目立った。「チャイナ・デイリー」記事の有料転載が、対中関税の正当性を説明する機会をトランプ政権側に与えたような結末になっている。 無論、これはアイオワ内での話で、先のトランプのツイートは要らぬ波風も立てている。反トランプのアカウントから、お前がフェイクニュースだという反論を招き、共産党系新聞の転載の件まで「大げさな自作自演」と勘違いされている向きもあるからだ。 外国政府系の宣伝的記事の米紙での曖昧な扱われ方のジャーナリズムの問題と、トランプ賛否を切り分けた議論が起こらず、「反トランプ」の憎悪がそのまま「チャイナ・デイリー」に加勢している格好だ。 無論、そうした「反トランプ」の英語ツイートの主が、すべて実在するアメリカ人民主党支持者なのかどうかは分からない(逆に、「親トランプ」のツイートも同様)。 中国人も中国語(簡体字)でトランプのこの件のツイートへの反応に参戦しているが、ずっと大統領でいてくれると有り難い、など間接的にトランプを小馬鹿にする冷笑的なものが多く、貿易論に切り込んだ反論は抑制気味だ』、ブランスタッド在中国アメリカ大使にしてみれば、黙っていられないと北京から特別寄稿するのもうなずける。
・『乳製品に利得を嗅ぎ取ったトランプ政権?  「ブランスタッドが北京からわざわざ地元紙に寄稿して言うのだから、対中関税の必要性もよほどのことかも。彼がアイオワを見捨てるはずないから」という共和党系の声と「何のために在中国大使になったのか。役立たず」との民主党系の声が伯仲し、同州の知事選に影響を与えかねない空気だ。 アイオワでは、ブランスタッド州知事時代の女性副知事レイノルズが、後釜として州知事を務めているが、カリスマに欠け、今年の改選では民主党の猛追を受けている(民主党ハベル候補が「デモイン・レジスター」の9/20世論調査では2ポイント優勢)。 トランプ政権は周知のように農家に最大120億ドルの支援策を打ち出しているが、「小さな政府」を信じる保守系の農家にとって、それは「施し」に映るらしく、トランプ支持が維持されている大きな理由ではない。 もちろん、日米物品貿易協定(TAG)の交渉開始はトランプ政権にある程度は好材料だ。同協定はTPPの日米部分だけを外に出すような形だが、TPP水準となると、EUとの協定水準が日米にも適用される解釈の余地があるからだ。米側がとりわけ利得を嗅ぎ取っているのは乳製品だ。酪農州のウィスコンシン関係者は既に鼻息が荒い。 しかし、こうした細かい貿易交渉の詳細が農業州の有権者に隅々まで行き渡っているわけではない。あくまで「文化戦争」が鍵だ。人工妊娠中絶をめぐり最高裁の保守化の風が吹いている要因は小さくない。 カバノー最高裁判事就任でも飽き足らず、選挙直前に満を持してトランスジェンダー排除の検討まで持ち出すなど、トランプ政権はキリスト教保守への念押しに全力を注ぐ。 報復関税と選挙戦が同時並行で進む今年の中間選挙における「信仰カード」は、2004年選挙でブッシュ陣営が掲げた「反同性婚」キャンペーンとは根本的に次元の異なる切迫した事情で切られている』、今回の「信仰カード」がそれほど重要な意味を持っていたというのを再認識した。

第四に、元日経新聞論説主幹の岡部 直明氏が10月25日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「経済冷戦から新冷戦に踏み出すトランプ大統領 INF条約破棄が招く核危機」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/071400054/102400084/?P=1
・『トランプ米大統領が冷戦終結と核軍縮を導いた歴史的な中距離核戦力(INF)廃棄条約を破棄する方針を打ち出した。ロシアが条約を履行せず、条約の枠外にある中国が核増強に動いているとみたためだが、米中「経済冷戦」は米ロ中の「新冷戦」に足を踏み入れる危険がある。 これは、オバマ米前大統領の「核兵器なき世界」を葬り去ろうとするものである。米朝首脳会談は朝鮮半島の非核化をてこに、核軍縮にはずみをつけてこそ歴史的意義がある。トランプ大統領によるINF条約破棄は、核軍拡競争を再燃させ、世界を再び「核の危機」にさらしかねない。新冷戦を防ぐため、唯一の被爆国である日本の責任は重大だ』、トランプのオバマ路線否定もここまでくると異常としか、言いようがない。
・『冷戦終結と核軍縮を導いた歴史的条約  1987年、当時のレーガン米大統領と旧ソ連のゴルバチョフ書記長が調印したINF廃棄条約は、1989年のベルリンの壁崩壊から両独統一、ソ連解体につながる冷戦終結への突破口となった。それは、START1(第1次戦略核兵器削減条約)、START2(第2次戦略核兵器削減条約)にも波及し、世界の核軍縮を軌道に乗せた。 トランプ大統領はこの歴史的な条約について、「ロシアや中国が戦力を増強しているのに、米国だけ条約を順守することは受け入れられない」とし、「合意は終わらせる」と表明した。さらに「我々は戦力を開発する必要がある」と核増強をめざす方針を示した。 たしかにロシアが条約を順守していないという疑念はオバマ政権時代からあった。2014年の米議会への報告で、条約違反が指摘されている。米国が問題にするのは、ロシアが実戦配備したとされる新型の巡航ミサイル「SSC8」だ。射程500~5500キロメートルの地上発射型の巡航ミサイルの開発や配備を禁じるこの条約に違反しているとみている。ハチソン北大西洋条約機構(NATO)大使は「このミサイルを排除することだ」と述べている』、なるほど。
・『ゴルバチョフ氏の怒り  問題は、ロシア側に疑念があるからといって、ロシアに条約順守を徹底させる前に、この歴史的条約を一挙に破棄してしまうのかという点である。レーガン氏とともに条約に調印したゴルバチョフ氏は怒る。トランプ大統領の方針について「危険な後退であり、歴史的な前進を脅かすものだ」と警告している。歴史的条約の当事者だけに重みがある。 訪ロしたボルトン米大統領補佐官(国家安全保障担当)と会談したプーチン・ロシア大統領は「ロシアは何もしていないのに、米国の取る手段には驚かされる」と皮肉交じりに批判した。中国外務省の報道官は、トランプ大統領がINF廃棄条約破棄の理由に中国の核増強をあげたことに「完全な誤りだ」と反発した。フランスのマクロン大統領はトランプ大統領に電話を入れ「条約は欧州の安全保障にとって重要だ」と懸念を表明した。米国にも与党・共和党内に「歴代大統領の功績をくつがえすのは間違いだ」という批判がある』、仮にロシア側に疑念があっても、条約順守を徹底させる前に、条約を一挙に破棄するというのは、余りに乱暴極まりない。新兵器増強に邁進したい産軍複合体の利害を反映したものなのだろう。
・『欧州「核危機」の悪夢  冷戦時代、米ソ合わせて6万発を超す核弾頭は、世界を核の脅威にさらしていた。とりわけ冷戦末期、欧州は「核危機」の悪夢にさいなまれていた。ソ連が中距離核ミサイルSS20を配備したのに対抗して、NATO加盟の西欧諸国には米核ミサイルの配備計画が進行していた。この核危機のなかで、西欧には反核運動が広がった。この反核運動はソ連の誘導ではないかという説もあったが、それは欧州の市民運動そのものだった。そこには、米ソ対立の余波をまともに受ける西欧の社会の苦悩があった。 冷戦末期、日本経済新聞のブリュッセル特派員として、西欧社会をおおう米ソ緊張は大きな取材対象だった。とりわけ反核運動のなかの米ソ核軍縮交渉の取材には緊張させられた。1987年11月23日、スイス・ジュネーブの米ソの欧州INF削減交渉を取材したときのことだ。 ジュネーブの朝は冷え込みが厳しく、分厚い靴底からも冷たさが伝わってきた。レマン湖に近い雑居ビルで開いた米ソINF交渉は、わずか30分で終わる。雑居ビルから出てきたソ連のクビツィンスキー代表は記者団に取り囲まれる。「交渉継続か」との問いに、代表は「ノー」と大声で答えた。西独議会が米国の核ミサイル・パーシングⅡの配備を議決したのに抗議した、交渉からの退出だった。 「欧州INF削減交渉が中断」という記事を送稿した。日本経済新聞1面に掲載された記事は米ソ緊張がピークに達したことを示していた。しかし、この「交渉中断」に米側のポール・ニッツェ代表は冷静だった。「これは完全な交渉停止ではない。ソ連が応じるなら、いつでもジュネーブに戻る」と語った。 「ソ連封じ込め」論のジョージ・ケナン氏の後継者で伝説の外交官として知られるニッツェ氏はあくまで冷静だった。クビツィンスキー代表との「森の散歩」でINF削減交渉の打開の道を探ってきた。ニッツェ氏には何らかの展望があったのだろう。 もちろんINF交渉の中断で米ソ緊張は一気に高まった。米核ミサイルの配備を求められたオランダのルベルス首相は悩んでいた。NATOの一員としての役割と、反核運動にみられる市民の意識のはざまで対応に苦慮していた。ルベルス首相と会見した際のことだ。ハーグの狭い首相執務室で若き首相が頭をかきむしっていたのを見た。ルベルス首相は結局、核ミサイル配備の延期を決断することになる。 このルベルス首相の苦渋の決断は、米ソの歩み寄りに道を開くことになる。1985年3月、ソ連にゴルバチョフ政権が誕生したのが大きな転機になる。米ソ首脳会談はレイキャビクを皮切りにワシントン、モスクワと毎年続けられた。そして、ついに米ソはINF廃棄条約の調印にこぎつけた。ニッツェ氏の冷静な分析は現実化した。しかし、それには4年を要したのである』、INF交渉の難航ぶりを思い出した。それを西欧諸国に相談もせずに一気に破棄するとは、傍若無人そのものだ。
・『深まるNATOの亀裂  INF廃棄条約とそれによる冷戦の終結で「欧州の悪夢」は消えたが、トランプ大統領の登場でNATOの亀裂は深刻になっている。大統領のNATO不信は米欧同盟を根幹から揺さぶった。それに、今回のINF廃棄条約の破棄方針である。 ドイツのマース外相は「条約は過去30年間、欧州安全保障の柱だった」とし、「過去にはロシアの条約違反の疑いを指摘してきたが、今は米国に結果を考えるよう促さなければならない」と再考を求めた。これに対して、英国のウィリアムソン国防相はトランプ大統領の方針を「毅然として支持する」と指摘している。 ドイツは天然ガスパイプライン事業などでロシアとの協力関係が深い一方、英国は元ロシア情報機関員の暗殺未遂などにより、ロシアとのあつれきが深まっている。トランプ方針に対する対応の差で、NATOの運営はさらに難しくなる恐れもある』、英国はいくら元ロシア情報機関員の暗殺未遂があったとはいえ、米国を支持するとは、目先の問題と長期的問題を混同しているとしか思えない。EU離脱問題でそれどころではないのだろうか。
・『新次元の米中対立  INF廃棄条約破棄をめぐるトランプ大統領の方針は、対ロシアだけでなく、貿易戦争さなかの中国にも照準を合わせている。オバマ政権下で進んだ核軍縮でも、中国はひとり蚊帳の外にあった。核増強の大半は中距離核戦力にあてられた。たしかに米ロ間のINF廃棄条約の外にあるのは、中国にとって好都合だったのかもしれない。 トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争は、先端分野での米中覇権争いの様相をみせている。いわば「経済冷戦」である。 それが核軍拡競争に点火すれば、「経済冷戦」にとどまらず「新冷戦」になりかねない。安全保障をめぐって米国と中ロがにらみ合う世界は危険そのものである』、「経済冷戦」であれば、解決は比較的容易だが、「新冷戦」となるとそうはいかない。世界にとってトンデモなく危険なことをしてくれたものだ。
・『米朝首脳会談は核軍縮の好機だった  米朝首脳会談が真に歴史的会談になるとすれば、朝鮮半島の非核化を確実に実行するだけでなく、それを核軍縮につなげることだった。米ロ中はもちろん、英仏、インド、パキスタン、それにイスラエルも含めてすべての核保有国に核軍縮を求め、「核兵器なき世界」への道筋をつけることだった。 しかし、INF廃棄条約の破棄をめぐるトランプ大統領の方針で、米朝首脳会談の歴史的意義は大きく減殺されることになった。それどころか「新冷戦」のなかでの次回の米朝首脳会談は、肝心の朝鮮半島の非核化が揺らぐ危険もある。いまや北朝鮮の後ろ盾であることが鮮明になった中ロが、態度を硬化させる恐れもあるからだ』、「朝鮮半島の非核化が揺らぐ危険もある」というのは、確かにその通りだろう。
・『唯一の被爆国、日本の責任  核軍拡競争が再燃し「新冷戦」の時代が到来すれば、世界は核による大きなリスクにさらされる。世界経済にも影響は避けられなくなる。こうしたなかで、唯一の被爆国である日本の役割は決定的に重要である。 米国の「核の傘」のもとにあるという配慮から、日本が核兵器禁止条約に加盟しないのは大きな問題だ。日米同盟は重要だが、唯一の被爆国としての「地球責任」はずっと重い。核兵器禁止条約にNATO諸国が参加しないことが日本の不参加の理由にはならない。日本はまずこの核兵器禁止条約に加盟することだ。それをてこに、外交の軸を立て直すべきである。 そのうえで、米ロ中に核軍縮を徹底するよう求める必要がある。米朝首脳会談を朝鮮半島の非核化にとどめず、「核兵器なき世界」につなげるうえで、日本の外交力が試される。この欄で再三、問題提起しているが、2019年に大阪で開く20カ国・地域(G20)の首脳会議の機会に、首脳たちの広島訪問を計画することだ。トランプ大統領もプーチン大統領も習近平国家主席も、世界の指導者として核兵器の悲惨さを知るべきだ。唯一の被爆国の指導者として、安倍晋三首相の地球的責任は、これまで以上に重い』、説得力に富んだ主張で、大賛成だ。
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