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日本の政治情勢(その39)(京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”、「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由、「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治、「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害) [国内政治]

日本の政治情勢については、昨年12月29日に取上げたばかりだが、今日は、(その39)(京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”、「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由、「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治、「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害)である。

先ずは、昨年12月29日付けYahooニュースがFRIDAY DIGITAL記事を転載した「京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”」を紹介しよう。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191229-00000001-friday-soci
・『「いま、医療に携わる人間の中で、最も評判が悪いのが、大坪寛子・厚生労働省大臣官房審議官(52)でしょう。彼女は慈恵会医科大学から厚労省に入った医系技官ですが、医師としての実力はたいしたことはありません。ところが、菅義偉官房長官の信頼が厚い和泉洋人・首相補佐官(66)と極めて近い関係になったことで、とんでもない権力を握ってしまったのです」(厚労省の行政に詳しい医師)・・・今年8月に和泉補佐官と大坪氏は、山中伸弥教授が所長を務める京都大学iPS細胞研究所を訪問。予算削減を一方的に通達し、山中教授を「恫喝した」と医薬専門メディアで報じられた。一方の山中教授は会見を開いて予算削減の理不尽を訴え、最終的に削減は見送られる見通しになった。そこに週刊文春が二人の京都旅行と銀座デートを報じたのだ。 「和泉補佐官と大坪氏の『ただならぬ関係』が厚労省内で噂されるようになったのは、夏頃でした。内閣官房に出向していた大坪氏は7月に厚労省に戻ってきて、審議官に抜擢されます。しかし、課長になったことのない大坪氏が、なぜ(課長よりも上の)審議官をやるのかと話題になり、和泉補佐官と『昵懇(じっこん)の仲』だったことが判明した」(全国紙厚労省担当記者)』、驚くべきスキャンダルだ。しかも、「山中教授を「恫喝した」」とは・・・。
・『前出の医師が続ける。 「山中教授と同じような手口で予算をカットされた『被害者』の話はよく耳にします。厚労省には自由に使える数十億円規模の『調整費』というものがあり、大坪氏がその予算を握っている。そのため、彼女の傍若無人な振る舞いを知っていながら、誰も表立って批判することができないのです。ただ、疑問なのが、なぜ彼女はそんなに権力を行使したいのか、ということ。威張りたいだけで日本の医療行政がねじ曲げられているとしたら、彼女の罪は大きいと思います」 それにしても、この「最悪カップル」がこれほどの権力を握っているのはなぜか――。『官邸官僚』の著書があるジャーナリストの森功氏はこう説明する。 「和泉補佐官は菅官房長官の腹心と言われ、その威光を背景に自分の好きなように政策を進めてきました。元々は国土交通省の技官ですから、国土交通分野の政策には以前から強かったのですが、最近はそれに限らず、『官邸官僚』として省庁に関係なく首を突っ込んでいて、医療分野まで牛耳ろうとしているのです」 無能な人物が能力以上の権力を握ると組織を根っこから腐らせる――。そんな恐ろしい状況が、この国の中枢で進行しているようだ』、「厚労省には自由に使える数十億円規模の『調整費』というものがあり、大坪氏がその予算を握っている」、「「和泉補佐官は菅官房長官の腹心と言われ、その威光を背景に自分の好きなように政策を進めてきました・・・最近は・・・『官邸官僚』として省庁に関係なく首を突っ込んでいて、医療分野まで牛耳ろうとしているのです」、いやはや安倍政権の『官邸官僚』の傍若無人ぶりは酷いものだ。長期政権の歪の典型だ。

次に、12月31日付け文春オンラインが掲載したプチ鹿島氏と地獄耳師匠の対談「「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由 プチ鹿島×地獄耳師匠 #1」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/22687
・『永田町や霞ヶ関のあちこちで政界の情報に耳をそばだて、問題点に切り込む日刊スポーツの名物政治コラム「政界地獄耳」。時事芸人・プチ鹿島が「地獄耳師匠」と敬愛してやまない執筆者(K)とは一体何者なのか? 今回は、立場や顔を明かさないことを条件に対談が実現。表面だけではわからない、政界の裏の裏をスポーツ紙でとことん書き続ける意味を聞いた(全2回の1回目/後編に続く)』、私は「日刊スポーツ」を購読してないので、初めて知ったが、興味深そうだ。
・『“永田町読者率”の高さ  鹿島 日刊スポーツのコラム「政界地獄耳」は与党だけじゃなくて野党にも厳しいし、永田町のディープなネタだけじゃなくて、ツイッターなどのネットの話題も放り込んできますよね。僕は新聞読み比べの原稿で敬意を込めて、「地獄耳師匠」と書かせてもらってます。「政界地獄耳」のコラムが出るたびに、永田町界隈でものすごく話題になっているという噂を耳にしたんですが、それは本当ですか? 地獄耳 私も知らなかったんです。スポーツ新聞ですから日本中に配られているんですけど、最初に「あれ?」と思ったきっかけは、朝のラジオ番組で紹介され始めたことですかね。一般紙にも書いていないことや、いささか踏み込んで書いた内容について、だんだん朝も昼も取り上げられるようになって、「また、地獄耳が読まれてたぞ」という話を人づてに聞くようになりました。そのうち、“永田町読者率”が高いことが分かってきたんです。 鹿島 永田町読者率! どんなリアクションがあるんですか。 地獄耳 まず誰が書いているのか分からないので、中身よりも「こいつは誰だ」と。 鹿島 コラム末尾の(K)という署名しか手がかりがないから、変な話、犯人探しみたいなことが始まるわけですね。 地獄耳 永田町はまずそういうところから入るものですから。それから、国会内にある国会対策委員会(国対)の部屋では、その日の政治記事を閲覧できるよう、徹底的に切り抜かれていて、「政界地獄耳」を国対でむさぼり読む人もいるらしいんですよ。 鹿島 すごいですね。そういえば週刊誌にスキャンダルが出たりすると、その記事のコピーを読むまぬけな姿を後ろから撮られてる国会議員が時々います。 地獄耳 よくあるでしょ。だいたいどの党でも国対に行けば記事が読めて、各社の記事を読みやすく綴じてあるようです。 鹿島 そういうのは、捨てないでちゃんと保存してあるわけですね(笑)。 地獄耳 まずい資料は1週間以内に急いでシュレッダーにかけて捨てると。まあそういう訳で、「政界地獄耳」は何人で書いているか分からないとか、年齢不詳だとか、今でもいろんな噂がたくさんあるようです。 鹿島 いいですね、気になる覆面レスラーみたいです。永田町じゃなくて、一般の読者から反響は来てますか? 地獄耳 私のところへ直接には来ないんですが、新聞社には電話で応援コメントをいただいたり、「もっと正論をやってくれ」というご意見もあるようですよ。あとは当事者の人たちからの文句とかね(笑)。 覆面はたまにもげそうになるんだけど、何とかまだ取られていないという感じで……。とはいえ、もう十数年続けているので、本気で探している人もいないみたいだということも分かってきました』、「スポーツ新聞」に有名な政治コラムがあって、「もう十数年続けている」とは本当に驚かされた。ちなみに、ウェブ版のURLは以下
https://www.nikkansports.com/general/column/jigokumimi/
・『コラムは雨の日も風の日も、台風の日も、新聞休刊日にも  鹿島 そもそも、地獄耳師匠はいつからこのコラムを書いているんですか? 地獄耳 第一次安倍政権発足後くらいですかね。 鹿島 ある意味、安倍政権とともに地獄耳師匠はあるわけですね。 地獄耳 そうなんです、これはポイント。それから実は、「政界地獄耳」のコラム自体は1990年10月から続いています。初代からたすきをつなぎながら、そろそろ30周年という長寿コーナーなんです。 鹿島 じゃあ(K)さんが書き始めた当時、そのことは読者にあまり伝わらずに……。 地獄耳 だって匿名ですから、告知がないんですよ。何事もないように変わりました。そのうちに、「何か変わった?」みたいなことを言われ始めて。 鹿島 じわじわ伝わっていったと。それぞれの書き手によって、少しずつ芸風も変わってきそうですもんね。すごいなと思うのは「政界地獄耳」って、長谷川町子さんの4コマ漫画ぐらいの勢いで、ほとんど毎日載ってますよね? 今ではウェブ版にも掲載されていますし。 地獄耳 これ、本当に大変なんですよ。厳しい新聞社でして、日曜以外は雨の日も風の日も、台風の日も、新聞休刊日にも書かされるんです(涙)。 鹿島 僕、そういう日はコンビニとかキオスクで買ってます。新聞ってだいたい朝、読むじゃないですか。あの朝読む時にちょうどいいあんばいの情報というか、「あ、これについて読みたかったんだよ」というテーマで書かれていることが多くて。 地獄耳 ありがとうございます。もちろん明日の朝の雰囲気がどうなっているかな、ということも考えますし、タイムリーなネタを入れたいから、どうしても書きだめができないんですよ。 鹿島 となると、年末年始もお休みどころではないですか? 地獄耳 元旦は書かないですが、大晦日は書いてますね。通常は700字から800字(400字詰め原稿用紙2枚程度)くらいで、スペシャルなんかの時は1200字以上。まずネタを何にするか悶々として、最後の5行でまた迷うんですよね』、「元旦」以外は毎日書いているとは大したものだ。
・『意識高めの人が「政界地獄耳」をSNSでシェア  鹿島 現象として見ていて面白いのが、スポーツ新聞を買わないような感じの人が、「政界地獄耳」の内容をSNSで意識高めにシェアしたりツイートしたりしてるんですよね。そういうの見かけると、ほら、スポーツ新聞て面白いでしょ? ってニヤニヤしちゃいます。 コラムでは、まだ新聞には反映されていないようなネットで議論になっていることやSNSの動向もこまめに注目して、取り上げていますよね。情報収集の秘訣はありますか。 地獄耳 情報収集というか、先ほど言ったような“永田町読者率”の高さが分かってきた時に、彼らが持っていないものはネットの情報だと直感したんです。 鹿島 なるほど。最近では、毎日新聞や東京新聞がネットで議論や話題になっていることを取り上げていますけど、僕が見ている限りでは、地獄耳師匠のほうがそのことに気付いたのは早かったんじゃないかと。 地獄耳 玉石混交ではあるけれども、いわゆる大手マスコミよりも2歩3歩進んだことが書いてあったり、もっと言うと、ネット民の調査能力のすごさには脱帽することがあって。ただ単に「ネットにはこんな話がある」では、怪しい情報でも何でも紙に載せてしまうことになるので、そう簡単にはいきません。つまり、ネット世論というのが一般の世論とは別のところにあることを、永田町の読者に伝えたいと思ったんですね』、ネットの記事をフェイクニュースにならないよう検証した上で、掲載しているのだろう。
・『今の政治家には“デジタルどぶ板”も必要  鹿島 じゃあ「政界地獄耳」を読んで「ネットではこんな論議になっているのか」と気付く政治家が普通だったり。 地獄耳 というか、国会議員の中には、ネットというのは怪情報や未確認情報の渦で、いい加減な話が飛び交っている場所だと思い込んでいる人も多いんです。いまだにネットは敵だと思っている議員もたくさんいると思います。 でも一方で、ネットをうまく自分のものにしていかないと、今の政治家はやっていけないはずなんです。 鹿島 僕も絶対にそうだと思います。 地獄耳 自分たちの手に届く話だけを知っていればいい時代は、とっくに終わっているんですよね。事実、今年の参議院選挙ではネットマーケティングを上手に使った、れいわ新選組の山本太郎やN国党の立花孝志、立憲民主党の須藤元気のような人たちが、グンと注目されて伸びた。もともとYouTubeなどを利用して自分のやっていることを見せてきた人たちです。 参議院の比例代表では、何年も前から公認が決まっていて、汗をかきながら全国行脚を続けてきた人たちよりも、よっぽど票を獲得したわけです。一見、お手軽に見える方法かもしれないけれども、彼らはネット世論のつかみ方を知っている人たちでもあった。 鹿島 もちろん、田中角栄や小沢一郎氏のように、一軒一軒回って靴底をすり減らして……というやり方も、いまだに効果があるとは思います。でも、ネット空中戦をやるにはマーケティングも必要だし、同じぐらい“デジタルどぶ板”が必要なんですよね。 地獄耳 デジタルどぶ板、その通りなんです。もっと言うと、毎朝、駅頭に立って演説をやってます、という人が悪いわけじゃない。こういう地上戦も続ければいいんですけど、同時にネットも取り入れたら票は倍になるんです。“リアルどぶ板”ではリーチできない人まで、投票してくれる可能性が広がるかもしれない。これを理解した人と、そうじゃない人。その分かれ道が、はっきりした参院選だったような気がしますね。 鹿島 ネットの議論を「政界地獄耳」が取り上げることで、それが実は永田町では「ほら、こんな世界があるらしいぞ」という窓口になっているわけですね。 地獄耳 もしかしたら、そういう役割はあるかもしれないです』、「今の政治家には“デジタルどぶ板”も必要」、確かにその通りなのだろう。
・『「どうよ」で聞き出す雑談力  鹿島 永田町という独特な世界に住んでいる人に話を聞くにあたって、地獄耳師匠の独自の取材方法を教えてください。 地獄耳 今時こんな言い方をする人はいないかもしれませんけど、私は「廊下とんび」といって、議員会館のいろんなところをのぞきに行くんですよ。「どうもどうも」って。ところが、王道の政治部の記者って、与党の岸田派だとか細田派担当だとか、派閥が決まっているので、例えば今、与党担当なのに共産党の部屋をのぞいたりすることはできないんですよね。 鹿島 そうか、スパイ扱いされちゃいますもんね。 地獄耳 私は長くやっているので、そんな風にふらふらと無駄な雑談をする中で、例えば「こんな怪文書があるよ」と。 鹿島 はあ~。確かに、雑談力ってものすごく大事ですよね。単刀直入に「この事案について聞きたい」って言っても、正攻法かもしれませんけど、相手は身構えますもんね。 地獄耳 したことないですね。そんな聞き方で、本当のことを言うとは思えないし。 鹿島 地獄耳師匠は、どんな質問の仕方をするんですか。 地獄耳 うーん、例えば議員がいない間、秘書の人たちと雑談していて、「どうよ」とか。 鹿島 ああ、いいですね。地獄耳っちゃ地獄耳ですけど、雑談師匠でもあるわけですね。でもここで言う雑談って、すごくのんびりしたイメージもありますけど、実はヒリヒリした情報戦かもしれない。 地獄耳 聞いたその日に書くことは、あんまりないですけどね。国会議員の部屋で椅子を借りて書く日もあれば、喫茶店で書いている日もあるし。電源があればどこでも書けます。 鹿島 そうか、地獄耳師匠はどこで書いているか分からない。これもファンからするとロマンがありますね。僕、新聞の社説って、絶対にふかふかの椅子に座って、暖かくて広い部屋で書いているだろうというイメージがあるんです。 地獄耳 私は、雑談しながら書いちゃう時もありますからね。時間がない時とか。 鹿島 ああ、面白い。神出鬼没、とんでもないところで書いているかも。さすがは雑談師匠です。 地獄耳 雑談って、出てくるのはよその人の話が多いんですよ。 鹿島 「こんな話があるらしいですよ」って言いたくてしょうがない人がいるのか。すごい心理戦ですね。政治家やマスコミから「政界地獄耳の方ですよね」って言われた時は、どうするんですか?』、「私は、雑談しながら書いちゃう時もありますからね。時間がない時とか」、すごい能力だ。
・『大物議員からの電話 とっさに答えた“一言”  地獄耳 ケースバイケースですね。私の正体を知ってか知らずか、ある大物議員に「あることないこと書きやがって」と直接電話で怒られたことがあります。 鹿島 ああ、直接……。何て言ったんですか? 地獄耳 つい「ああ、あの人は結構いい人ですよ」って言っちゃいました。 鹿島 それは煙に巻かれますね! 地獄耳 「ちょっと言っておきますよ」と、とぼけ続けました。 鹿島 いい話です。スポーツ紙の政治コラムや社会面って、実は何でもできるし、深いなと思うんですよ。ネットと一般朝刊紙の真ん中くらい、絶妙な立ち位置なんですよね。 地獄耳 そう言っていただけて、有り難いです。W杯やオリンピックで、スポーツと政治がものすごく近くなってしまった今だからこそ、スポーツ紙で政治コラムをやる意味があるのかなと。日刊スポーツも柔軟なところがあって、東京五輪のマラソン札幌開催案が出てきた時は、「政界地獄耳」が二面あたりに載ってました。 鹿島 読みました。大きいネタの時は、本紙の記事と一緒に、地獄耳師匠のコラムがドーンと社説のように載りますよね。本紙の社会面との連携プレーを見るのも、新聞読み比べをする楽しみの一つです。 地獄耳 事前に打ち合わせる時もあれば、黙ってやってうまくいくこともあります。コラボできる時は、事実関係をあまりだらだら書かなくても、社会面できっちり説明してくれていて、助かるんですよ。 今、オリンピックを目前にして、アマチュアスポーツ界の問題が目立っていますよね。テコンドーもボクシングも、もともとは性善説、お金がない中で組織を作って、競技を盛り上げようとしていたはずなんですが、それがだんだん形骸化して、いつの間にか選手や世間から見れば「なんだこりゃ」みたいな人たちが牛耳っていた。こういう時は、政治が手をつっこまないと動かせないこともたくさんあるんです。そう考えれば、スポーツ新聞と政治の記事は、もしかしたらやっといい関係になるのかもしれません。昔は疑獄や事件と政治が近かったけど、今はそういうものだけじゃなくなっちゃった。 鹿島 確かにそうですよね。立ち位置の話に戻ると、一般紙が書きにくいところをスポーツ紙やタブロイド紙、週刊誌が取り上げることが増えたので、ちょっと持ち上げられる風潮もありますよね。でも僕が読んでいて思うのは、実は中の人は「俺たちはベンチのヤジ将軍なのに、4番を打たされるのはおかしい」と内心思っているんじゃないかと。そのあたりはどうですか? 地獄耳 そうなんです。本来は、朝日や毎日が書けばいいだろうという話ではあるんです。 鹿島 スポーツ紙には、ゲリラ的な面白さがあるじゃないですか。それを読む方が「待ってました」とか言うのは、なんか違うでしょって思います。 地獄耳 そういえば、朝日新聞の政治部OB会は毎回ものすごく荒れるそうですよ。「なんだこの紙面は!」と、上の世代になればなるほど怒り狂う。 鹿島 「何やってるんだ、お前ら!」って、巨人のOB会みたいな感じでしょうか。 地獄耳 アハハ。私も、一般紙に負けたくない思いはもちろんあって、まだ何が起こっているかはっきりとは分からないうちに、ちょっと早く書きすぎることがあるんです。担当デスクからも「早すぎます」と怒られる(笑)。 鹿島 時代が追いつけない。そのことを頭に入れておくと、一つの醍醐味というか「政界地獄耳」の新しい読み方ができますよね。「今日はちょっと早いぞ」と。 地獄耳 まあ、そうですね(笑)。毎日読んでいないと分からないですよ、というマニアックな人向けの楽しみ方かもしれませんが』、「スポーツ紙の政治コラムや社会面って、実は何でもできるし、深いなと思うんですよ。ネットと一般朝刊紙の真ん中くらい、絶妙な立ち位置なんですよね」、なるほど、1つの強味のようだ。今後、ウェブ版の「政界地獄耳」もチェックしていきたい。

第三に、上記の続きを、12月31日付け文春オンライン「「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治 プチ鹿島×地獄耳師匠 #2」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/22688
・『「桜を見る会」、「身の丈」発言、「上級国民」。2019年に政界を揺るがした問題の中には、インターネットから火が付き弾けたトピックが多かった。日刊スポーツの名物政治コラム「政界地獄耳」を執筆する地獄耳師匠こと(K)と、時事芸人・プチ鹿島が、令和に突入したこの1年を振り返る』、「この1年を振り返る」、とは面白そうだ。
・『「桜を見る会」ツイッター投稿数の多さ  鹿島 2019年の政界も色々ありました。年の瀬には“カジノ疑惑”の一報も入りましたが、下半期は「桜を見る会」に持っていかれた感じがありますよね。公私混同、公選法抵触疑惑、公文書廃棄問題……。ここ数年の論点が詰まってました。「桜を見る会」のツイッター投稿数は、閣僚の辞任や英語民間試験の導入と比べても、多かったみたいです(「『桜を見る会』SNS投稿で突出」、日本経済新聞11月26日)。 地獄耳 「桜を見る会」もネットが早かったですね。11月以降、「政界地獄耳」で10回は「桜を見る会」にまつわる問題に言及していると思います。このコラム、日曜以外はほとんど毎日書いているようなものだから、ネタ選びに悶々とする日も多いんですが、こういう桜とかがあれば、ネタがいっぱいあるので助かる……とはいえ、ちょっとひどいです。 鹿島 参加者のブログ発信を今さら削除したのもお粗末でした。菅(義偉)官房長官だって、ほんの2カ月くらい前までは涼しい顔で全てに答えていたのに、今では「もしハードディスクまで破棄したということであれば、なぜ、そこまで内閣府がやっているのか。いつ、どこで、誰が、なぜやったのか」と詰問されて……。時に苦笑いみたいな表情が出ちゃってます。 地獄耳 会見でも、あっぷあっぷですよね。菅官房長官は「私人である昭恵夫人が人選に関わった」ことを質問されて「最後は内閣官房が精査する」と答えましたが、それによって自分と首相の両方に責任が発生してしまうことになりました。一時期、安倍さんと菅さんの関係は菅原・河井の2閣僚辞任の時以上にギクシャクしていたようです。 鹿島 それにしても、「桜を見る会」は「小さなこと」なんでしょうか。「産経抄」は《「桜を見る会」をめぐって、小事を天下の一大事のように騒ぎ立てる野党の手法》(11月25日)とご立腹でしたが、僕は人間の本質って、小さいことにこそ表れると思うんです。むしろ天下国家を論じたがっている保守派の新聞が、「こんなことしてたらプーチンやトランプ相手にまともに戦えないぞ」と怒るべきなんじゃないかと。なんか二分されてませんか? 地獄耳 袈裟まで憎い人もいれば、袈裟まで許しちゃう人もいる。桜は論点が多すぎましたよね。「桜を見る会」に招待されたとマルチ商法の営業ツールに使っていたジャパンライフだって、政界の古株はみんなよく知ってますよ。30年以上にわたって被害者がいるんだから、そりゃあいろんな材料があるに決まっていますよね。今、野党のところには桜がらみで相当タレコミが来ているらしいです。 鹿島 僕は、桜の問題が弾ける前から「桜を見る会を見る会」が必要だと思っていました。《令和おじさん人気が証明された形だが、しかし「桜を見る会」に招かれる人は政権側が呼びたい人でもある。ネットで影響力があるインフルエンサーたちが狙い通りに首相や菅氏の“にこやかな顔”をSNSで発信すればこれ以上ないイメージ戦略になる。》(文春オンライン6月7日) この好感度キャンペーンを国民の税金で行うのはおかしいんじゃないかと。 地獄耳 いわゆる前夜祭なるホテルのパーティーも焦点の一つになりました。今回、野党の攻勢はそのほとんどが公開情報に基づいていますが、前夜祭は公職選挙法や政治資金規正法に抵触するのか? 野党が立証するのも、安倍サイドが問題ないと立証するのも難しいから、何となくうやむやになってしまいました。それで私は、ウラは取れないんだけど、「機密費の運用」という可能性について書きました。《最初から官邸機密費がホテルに支払われていれば説明がつくのではないか。金額が足りたとか足りないとかの問題より悪質だが、それも立証するすべはなく首相が別の部分の非を認めることで、機密費の運用という公金の私物化への疑惑をそらした可能性はないか。やはり検証のすべはない。》(日刊スポーツ「政界地獄耳」11月22日) ちょっとこれは早く書きすぎたみたいで、どこも後追いしてないですけどね(苦笑)』、「菅官房長官は「私人である昭恵夫人が人選に関わった」ことを質問されて「最後は内閣官房が精査する」と答えましたが、それによって自分と首相の両方に責任が発生してしまうことになりました。一時期、安倍さんと菅さんの関係は菅原・河井の2閣僚辞任の時以上にギクシャクしていたようです」、「菅官房長官」は自ら選んだ閣僚の相次ぐ辞任もあって、ボロボロのようだ。
・『「上級国民」の都市伝説がリアルになった  鹿島 地獄耳師匠らしい、絶妙な回でした。ネットの盛り上がりで言えば、「上級国民」も2019年のパワーワードの一つ。4月に池袋の暴走事故を起こした高齢ドライバーに対して、「『上級国民』だから逮捕されないのか」という声がネットにあふれました。あれも紙ベースだけで読んでいたら、なかなか届かない言葉でしたよね。 地獄耳 本当にそう。これ、新聞に「上級国民」の解説なんかがあっても、全然乗れないです。 鹿島 あれだけ話題になったということは、多くの人に「上級国民、どうやら本当にいるんじゃないの?」と思わせる状況が確かにあった。そこが問題です。 地獄耳 そもそも上級国民なんかないし、超法規が適用されることはないはずなんですけど、池袋の男性は元通産官僚幹部で元機械メーカーの副社長、さらには叙勲まで受けていました。パッと上級国民と言うだけで、「あ、こういう人のことを言うんじゃないかな」と誰もがイメージできたんですよね。桜の首相推薦枠「60」もそうだし、オリンピックのチケットや聖火ランナー枠、あとはやっぱり萩生田(光一)文科相の「身の丈」発言ですね。これで都市伝説がリアルになった』、確かに「上級国民」とは言い得て妙だ。「萩生田(光一)文科相の「身の丈」発言ですね。これで都市伝説がリアルになった」、とは絶妙な表現だ。
・『安倍政権の本質は「せこさ」  鹿島 安倍政権の本質って何だろうと考えた時に、一般紙はいろいろ硬い言葉で説明するんですけれども、「やっぱり、上級国民の特権があるんじゃないの?」というスタンスがすごくスポーツ新聞に合っているし、それが本質かもしれないと思うんですよ。 地獄耳 第一次安倍内閣ができたての頃から、自分の近しい人を周りに集めた「お友達内閣」と呼ばれていましたよね。それがとうとう憲政史上最長の長期政権になると、「桜を見る会」に呼ばれる人と呼ばれない人が出てきた。「誰がこの人呼んだの?」という入っちゃいけないような人まで呼ばれていた。お友達を選ぶだけじゃなくて、まるで国民を敵と味方に分けようとする安倍政治の本質を、国民はマスコミよりもずっと明確に見抜いていたからこそ、「上級国民」という言葉が生まれたんじゃないかと思うんです。 鹿島 僕がなるほどなと思ったのは、来年度の「桜を見る会」中止が発表された3日後、地獄耳師匠は安倍政権のやり方をただ一言、「せこい」って書いたじゃないですか。《昨年の桜を見る会からその異常性が発揮されたという指摘がある。「自民党総裁選挙で3選がかかっていた首相は桜を見る会で大盤振る舞いをすることで支持者の取り込みを図った」というのだ。地方議員や地元の後援会を連れていくことで票固めとは税金を使った一見合法的なようなせこいやり方。総裁選挙は選挙法に触れずやり放題なところを利用したのだろうが、その総裁が自動的に首相になると思うと随分とお手軽な手法で首相の座を手に入れた薄っぺらい話になってくる。自民党は首相を守り切れるのか。逃げ切る策は尽きたようにも見えるが。》(11月16日) 地獄耳 そう、巨悪じゃないんです。つまり、「権力の行使」と言うと絶対的なものすごいパワーだと感じるけど、そうじゃない。ちっちゃなところで権力を使うんです。そうすると、すごいせこい感じがしちゃって。何か困った時には「これは民主党政権でもやってました」と言い逃れに使うところも、せこさです。 鹿島 「ああ、なんて的確な表現」と思いました。安倍政権の本質は「せこさ」って、これも一般紙では書けない。 地獄耳 確かに、「上級国民」や「せこさ」なんていう言葉は、一般紙の政治面では絶対に生まれないですよね。なぜなら、我が国は三権分立の民主国家で、選別はあり得ないし、なくさなきゃいけないと大真面目に書いているから。でも実際に社会で生きていれば、いろんな権力とか、「何でこんなことがまかり通るんだろう」という壁にぶち当たるわけです。 まだまだ「桜を見る会」問題が終わらないのは、やっぱりその直前に「身の丈」発言が飛び出したからに他ならないんですよ。全部つながっているんです。「そう簡単に子どもたちの将来を、政治家の舌先三寸で変えないで」と思う親御さんたち全員を敵に回してしまいました。経済力や地域格差をさらっと「自分の身の丈に合わせて頑張ってもらえれば」って、これはものすごい選民意識に基づいた言葉ですよ。 鹿島 そしたら、桜が弾けました。呼ばれた人、呼ばれない人。 地獄耳 選ぶか、選ばないか。あるいは安倍さん側かそうじゃないか。そういう選民意識に明け暮れた1年だったと思うんですよね。 鹿島 安倍首相が、立憲民主党の杉尾(秀哉)議員に「共産党」とヤジを飛ばして……「桜を見る会」問題はあの後に起きたんですもんね。「あれ、もしかして何か予期していた発言だったのかな」と思っちゃうくらい。 地獄耳 もしかしたら、図らずも出ちゃったのかもしれません。それはともかく、あれでスイッチは入りましたよね。でも、昔はロッキードにリクルート、東京佐川急便といった大事件では、野党の中にどこからともなくペーパーを手に入れてくる「爆弾男」が何人もいました。いろんな階層の人たちとネットワークを持っている怪しげな人がね。 鹿島 今回は“仕掛け人”の共産党・田村智子議員が目立っていて、それを野党みんなが「俺たちの手柄」みたいな感じでアピールしてますね。 地獄耳 それが野党統一の拍車になるなら結構なんですけどね。今の野党にスマートな議員はたくさんいるけれども、正直頭でっかちな印象は否めません。 鹿島 そんなとき、実際に会えば会うほど、半径5メートル以内の人を虜にしちゃう昭和自民党的な国会議員がまだいるとしたら、そちらの伝統のほうが勝っちゃいそうです。 地獄耳 私みたいにほとんどを褒めないで、噛みついてきた者からしても、自由民主党という政党自体がもっと大人の政党だったなと思いますね。五大派閥の弊害とかいろんなことを言われましたが、そこで1年生、2年生、3年生を教育し、徹底的に保守政治家として、与党政治家としての教育をやったものです』、「とうとう憲政史上最長の長期政権になると、「桜を見る会」に呼ばれる人と呼ばれない人が出てきた。「誰がこの人呼んだの?」という入っちゃいけないような人まで呼ばれていた。お友達を選ぶだけじゃなくて、まるで国民を敵と味方に分けようとする安倍政治の本質を、国民はマスコミよりもずっと明確に見抜いていたからこそ、「上級国民」という言葉が生まれたんじゃないかと思うんです」、「ちっちゃなところで権力を使うんです。そうすると、すごいせこい感じがしちゃって」、説得力がある。
・『結婚&初入閣 進次郎節が消えた  鹿島 長らく自民党のプリンスと呼ばれ、2019年は結婚と初入閣を果たした小泉進次郎さんについてはどうですか? 地獄耳 環境大臣になって一番もったいないのは、進次郎節が消えたことですよ。小泉さんのいいところは、お父さんと同じで自民党批判をするところ。それが党内の人からも喜ばれていたわけでしょう。ところが、今では環境省の言いなりになっちゃった。 鹿島 「ネット圏外」でふわっとした民意を掴むのは抜群だった小泉さんも、環境大臣に就任して早々に「セクシー」発言や「小泉ポエム」が飛び出して、本当はどういう人か、可視化され始めてしまいましたね。 地獄耳 最初にガツンとやられて慎重になっているのかもしれませんが、もし進次郎節が封印されるなら、もう魅力はなくて普通の人になっちゃうわけです。 鹿島 進次郎さんって、2~3日寝かせてから一番おいしいところで、今まで出ていない意見を言うところがありますよね。 地獄耳 そうなんですよ。政治家としては、ちょっとずるいところです。質問された時、瞬発的に大臣としてのコメントを出せないとやっぱりダメなんです。昔からロングインタビューを受けていないし、政策を語り切るまでの力がなかった。農政、震災復興、環境とやってきたけれど……。 鹿島 もうバレちゃったら、SNSでガンガン発信したらいいんじゃないかと思うんですけどね。いっそ妻の滝川クリステルさんのほうが政治家へ転身するということは……。 地獄耳 専門外だからよく分からないですけど、河井案里さんにならないでほしいと願うばかりですね』、「もし進次郎節が封印されるなら、もう魅力はなくて普通の人になっちゃうわけです」、すっかり馬脚を現してしまったようだ。
・『小沢一郎と中村喜四郎が知恵袋に?  鹿島 そうなってくると、自民党が大人の政党だったことを叩きこまれてよく知っている人って、政界には誰が残っているんでしょうか。 地獄耳 かつては、ベテランになればなるほど振る舞いが丁寧になってくるという自民党のすごみが確かにあったんですよ。細川政権や鳩山政権の時には自民党から飛び出した人たちがいっぱいいたので、かつての野党も「政権とは何か、与党とは何か」ということをよく知っていた。だけど今、自民党出身でそのことを分かっている人が野党全体にどれくらいいるだろうか……と考えると、結局小沢一郎さんと中村喜四郎さんかなと。 鹿島 逆に言えば、まだ小沢さんと中村喜四郎さんが知恵袋にならなくちゃいけないというのが、現状を見る思いですね。 地獄耳 ところが今ね、野党の中で中村喜四郎さんが脚光を浴びているのは、小沢さんみたいに自分を押し付けないからなんです。もちろん一度はゼネコン汚職事件で逮捕されて議員失職した人なので、政治的に特別なポジションを得ることはないかもしれないけれども、当選回数14回・無所属の中村喜四郎という男の生き方は一つのキーワードかもしれないですよ。遅咲きの昭和の政治家が平成の30年間沈黙を守って、ついに令和に目覚めたら、ひょっとして野党取りまとめの救世主になるとかね。寡黙な男が本当に怒っているというのは、説得力があるし。 鹿島 ああ、そうか。平成の間、雌伏して時を待っていたと思えばゾクゾクしますね。 地獄耳 こういう人って、なかなかいなかったんですよ。中村喜四郎は、かつて小沢一郎自民党幹事長時代の総務局長をやっていて、田中角栄の政治、田中角栄の選挙を学んだ。その後、2人は袂を分かち、接点はなくなったかに見え、今はまだちょっと距離があるようですけど、こういう政治のドロドロしたところを分かっている人たちが野党でタッグを組むと、だいぶ空気は変わるかもしれない。中村喜四郎は野党を「子ども」だと言っていましたけど、それを大人にしてくれるのは、もしかしたら彼自身なのかもしれません』、「野党」が「中村喜四郎」に「大人にして」もらうようでは、情けない限りだ。
・『「山本太郎現象」から、失われた自民党寄りの匂い  鹿島 中村喜四郎さんは全然メディアに出なかった人で、『無敗の男』と朝日新聞のインタビューくらいからでしたよね。自民党がどうやってダメになっていったか、そしていかに今の自民党に絶望しているかがものすごくよく分かる。僕は今年、「山本太郎現象」に、したたかさとフットワークの軽さ……ちょっと失われた自民党寄りの匂いを感じたんですが、地獄耳師匠はいかがですか。 地獄耳 なるほどね。タイプや時代は違うけど、田中角栄さんや竹下登さんは、とにかく一度会った人のことは忘れないんです。何でもかんでもよく覚えていて、「私のことだけでなく、娘の年や名前まで覚えていてくれた」と。それは虜になるじゃないですか。 ネットだけじゃなくて、いろんな現場を見ていてつくづく感じたんですが、山本太郎さんはまず話術にとても長けていて、真夏の参院選で、都内の街頭演説に3000人を集めてしまう。彼はとにかく声を枯らして話しかけ、質問を投げかけることで、対話に持っていくんです。政治の世界では、対話集会や車座集会は少人数で膝をつきあわせてやるのがいいんだと言われるんですが、山本太郎は、数千人を相手に一人で立ち向かうんです。それでもみんな飽きないし、途中で帰らない。例えば小池百合子や小泉進次郎が来たといっても、対話集会にまで残っていこうと思う人はなかなかいないでしょ。今の政治家にとって、そう簡単にできることではないですよ。 鹿島 対話って、まさに半径5メートル、10メートルの人を虜にする方法なんじゃないかと思っていて。あと、山本太郎さんは政策のことを語られがちなんですが、参院選の前に、「もし安倍首相から『山本さんの政策を一部採り入れるから手を組もう』と誘われたらどうしますか」と聞かれて、「自民党が本気で減税すると言うならば、そちらに乗ります。何がなんでも野党陣営ということではない。我々の政策が実現できるなら、手をつなげるところとはつなぎますよ」(「AERA」2019年6月24日号)と言っていたのが、政局好きの僕としてはすごく面白くて。ちょっと炎上しかけてましたけど。 地獄耳 実は野党の国民も立憲も、れいわ新選組と同じようなことを言っているんです。でも、迫力と覚悟が違う。つまり、「こういう政策を持っているんです」というのと、「皆さん、話しましょうよ。あなたのSOSを受け止めますよ」という気迫の違いですね。おかしな話があります。ミカン箱の上に乗って演説するのがいいらしいと聞くと、「じゃあ、俺たちもそうしよう」といって与野党ともにミカン箱。ある大臣経験者の議員が、「それなら俺もミカン箱やろう。汚いから洗ってこい」と言ったというんです。 鹿島 マニュアル、象徴としてのミカン箱になっちゃったわけですね。それじゃあ響かない。 地獄耳 2019年が選民意識の年だったこととつながるのは、山本太郎さんは、誰からも見向きもされない、一生懸命SOSを出しているけど行政にも振り向いてもらえないという思いを持っている人に、「最後に手を差し伸べてくれるんじゃないか」と期待してもいいかもしれないと思わせる政治家なんでしょうね』、「山本太郎さんは、誰からも見向きもされない、一生懸命SOSを出しているけど行政にも振り向いてもらえないという思いを持っている人に、「最後に手を差し伸べてくれるんじゃないか」と期待してもいいかもしれないと思わせる政治家なんでしょうね」、私は「山本太郎」を余り評価してなかったが、改めて再評価した。
・『2020年、激動の大政局 秋以降は「オリパラロス」に  鹿島 それでは、最後に2020年の展望について。地獄耳師匠は、どんな風に予測していますか? 地獄耳 2020年はオリンピックで華やかな話題も多そうですが、激動の大政局になると思っています。まず、トランプ大統領の再選があるかどうか。それによって日本の空気は大きく変わる。夏の都知事選も注目です。そして、オリンピックで世界中からインバウンドのお客さんがやってくると、日本のいいところより、どうも悪いところが目立ってくるんじゃないだろうかと。 鹿島 「日本スゴイ」が「日本スゴかった」状態に。2020年って、ずーっとオリンピックのことしか言われていないから、夢みたいなお祭り感は漂うと思うんですが、一方でどこかパッとしないまま終わったら、その後どうなるんだろうと……。安倍政権の政策も、憲法改正だけでなく、いろんなもののゴールを2020年に設定しています。おじさんたちの特徴として、一区切り、大団円を迎えたい気持ちがそうさせているのかもしれません。お祭りが終わってからの反動が心配ですね。 地獄耳 経済的な落ち込みと、精神的な「オリパラロス」が起こるかもしれません。そんなこと言っても、スポーツ新聞は日夜ありとあらゆるスポーツのことを書いているわけだし、今や日本人とスポーツは切っても切れないですけどね。 鹿島 そうですね。まずはオリンピックが始まれば、アスリートたちが素晴らしいから絶対に盛り上がる。その中で政界はどうなるか。例えば解散総選挙という可能性はありそうですか? 地獄耳 自民党の中には「今がチャンスだ」と言う人もいますけど、勝つか負けるかという意味では、与党を維持できるとは思いますよ。だけど、信頼関係がどんどん崩れていっている中で、令和という新しい時代を迎えたのに、なぜか閉塞感だけは続いている。この空気を国民自身が打破したくなるんじゃないか。つまり、安倍政権を倒せば打破できるという短絡的な話ではなくて、もっと冷静に、「この空気を変えるにはどうしたらいいか」というクールな世論が出てくる時期なのではないかと思います。 さらに来年、もし安倍さんが辞めたとしますね。次の人はやっと総理大臣になれるわけですけど、7年間の尻ぬぐいは相当大変ですよ。 鹿島 ものすごい荷物を背負うということですよね。 地獄耳 つまり、安倍政治を継承するふりをして、安倍政治を否定していかなきゃいけない。オリンピックイヤーの2020年は、狂気とクールさが複雑に絡み合う年になりそうです。秋以降、国民とともに、総理自身も喪失感を抱えるかもしれません。これだけ長く続けていると、やる気がなくなった瞬間の「もういいや」が一瞬見えた段階で、真っ先に気が付くのは官僚でしょう。「この人についていっても、もういいことはなさそうだ」と。 鹿島 じゃあ、それぐらいの時期に捨てたはずの名簿が出てきたり。 地獄耳 過去を振り返ってみても、何でもかんでも後から出てくるんだから。 鹿島 自民党総裁任期の2021年9月末までやったとしても、そろそろ終わりが見えてくる。そんな時、誰かが何かをポッと出しちゃったりする2020年になるでしょうか。小さく見えて、実は小さくない反乱。そんなことが起きるかもしれないなと思います。 ――2019年「今年の漢字」は、令和の「令」でした。早すぎる「2020年の漢字」予想をお願いします。 地獄耳 私は「乱」か「激」かな。うーん、「乱」にします。 鹿島 僕は……虚脱感と虚々実々の「虚」。なんか夢がないか(笑)』、「小さく見えて、実は小さくない反乱。そんなことが起きるかもしれないなと思います」、大いに期待したい。

第四に、東京新聞の官邸記者で菅官房長官とのバトルで有名な望月 衣塑子氏が1月3日付け文春オンラインに掲載した「「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害 2020年の論点100」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/19977
・『第1次内閣を含めた安倍晋三首相の通算在職期間は2019年11月に桂太郎内閣を超えて憲政史上最長となり、同年末には第2次内閣発足から数えて8年目に突入する』、望月記者の見方とは興味深い。
・『「得意分野」の外交を振り返ると……  安倍首相の「得意分野」という外交では、1年ごとに首相が交代していた頃に比べれば、国際的なプレゼンスも交渉力も高いはずだが、拉致問題や領土問題で結果を出せていないどころか、対米追従の結果、農畜産と防衛分野で大きな負担を国民に強いているのが実態だ。 私は武器輸出解禁と米国製兵器の「爆買い」を取材してきた。日本の2019年度の防衛予算は5兆2500億円を突破し、これには総額1757億円超といわれるイージス・アショアなどのミサイル防衛システムの購入費が含まれている。 対米交渉はトランプ大統領に押し込まれている。2019年9月の日米貿易協定交渉では、日本が米国から購入する牛肉・豚肉の関税について、TPP(環太平洋パートナーシップ)並みまで引き下げることで合意したが、日本が求めていた自動車関係の関税撤廃は棚上げされ、再交渉の時期すら明記されなかった。安倍首相は会談後、「自動車関係の追加関税を課さない趣旨を確認した」と“成果”を強調した。 だが、それは1年前に武器の爆買いで一度阻止したはずだ』、交渉の成果は、確かに時系列的に見ていく必要がありそうだ。
・『自動車関税でカードを切らされた日本  2018年9月、国連総会後の会見でトランプ大統領は「貿易赤字はもう嫌だと日本に言ったら、日本はすごい量の武器を買うことになった」と述べ、その後、貿易格差是正のため、F35AB戦闘機計147機に、総額1兆5000億円が費やされることがわかった。官邸周辺を取材すると、乗用車の輸入関税を2.5%から25%へ引き上げることを検討していたホワイトハウスを思いとどまらせるために切った「カード」だという。 つまり、自動車関税で日本は2枚もカードを切らされたのだ。完全に負けである。2019年のG7で約束したトウモロコシの爆買いもしかり。安倍首相は「害虫対策の観点で輸入が必要」と説明したが、輸入量は害虫被害を大きく超える』、「自動車関税で日本は2枚もカードを切らされた」、安倍政権に忖度する一般の新聞では、こうした不都合な事実は隠蔽されるようだ。
・『外務省の力が低下している安倍政権  他の外交でも成果がない。トップ会談を重ねたロシアとは、平和条約・領土問題交渉が進まず、2019年度の外交青書からは、北方四島にからみ「日本に帰属する」の記述が消えてしまった。北朝鮮とは、交渉の糸口すら見えず、拉致問題の解決の見通しは立たない。徴用工訴訟の大法院判決をきっかけに輸出管理強化にいたった日韓関係も1965年の国交正常化後で最悪だ。 首相官邸に権限が集中した結果、外務省の力が相対的に低下し、国会議員や民間のチャンネルは細り、交渉の弾力性を失っている。9月に国家安全保障局長が外務省出身の谷内正太郎氏から、警察庁出身の北村滋・前内閣情報官に交代したことで、この傾向はさらに強まるだろう』、安倍政権と「警察庁」との結びつきの強さは、安倍首相と親しい元TBS記者が伊藤詩織さんをレイプした事件のもみ消しでも如何なく発揮された。
・『目立つ強弁と責任転嫁  一方、内政に目を向けると長期政権の歪(ひず)みと硬直化が現れている。カジノ法案、改正水道法案、外国人労働者受け入れ拡大に向けた入管法改正法案などが相次いで強行採決され、国会軽視も甚だしい。これでは憲法改正で野党が協議に応じるはずもなく、いまや「改憲やるやる詐欺」と揶揄される始末だ。 政権で目立つのが強弁と責任転嫁だ。入管法改正法案の委員会採決では、朝日・毎日・東京の各紙が「採決強行」と見出しで報じたが、菅義偉官房長官は「強行採決なんかやっていない」と言い張った。衆参でわずか計約35時間の審議だったにもかかわらず、だ。辺野古沖埋め立てでも、明らかに赤土混じりの土砂が目の前で投入されているが、土砂の性状検査の結果は示さないまま「適切」と主張した。 官僚への責任転嫁はさらに見苦しい。森友学園問題をめぐり、安倍首相が国会で「私や妻が関係していれば、首相も国会議員もやめる」とたんかを切ると、財務省がつじつま合わせのため決裁文書を改竄。自殺者も出た。ところが、安倍首相は「しっかりと調査し、膿(うみ)を出し切り、組織を立て直す」と財務省に全責任を押しつけた。膿の原因が誰なのかは明らかだ。 加計学園の獣医学部設置問題では、「総理のご意向」発言があったと記した文部科学省の文書を「怪文書」と決めつけ、防衛大臣が「ない」と答弁したイラク派遣自衛隊日報は存在が隠されていた』、ここまで嘘と責任転嫁で政局を乗り切ってきた政権の神通力も官房長官の権威失墜で、そろそろ「年貢の納め時」なのではなかろうか。
・『「アベノミクス」に「老後2000万問題」まで  「アベノミクス」はどうか。GDPの成長率、実質賃金、物価上昇率のいずれも低調で、失敗は明らかだ。それどころか、景気動向や賃金の指標となる毎月勤労統計の不正が発覚し、政府の統計に対する国民の信頼が損なわれている。 直近では「95歳までに夫婦で2000万円不足する可能性がある」と試算した金融審議会の市場ワーキング・グループの報告書が批判を浴びると、麻生太郎金融担当大臣は受理を拒否。不手際があったとして金融庁長官が陳謝させられた。安倍首相は「対案もないまま、ただ不安をあおるような無責任な議論は決してあってはならない」と批判したが、諮問機関の報告書は、政策を議論するための重要な材料だ。もし政策に失敗したとしても、その原因を分析して改善策を打つのが政治だ。だが、客観的データから目を背けることは、改善のきっかけを失うことになり、二重の罪だ』、その通りだが、一般のマスコミにこうした批判が余り見られなかったのは残念でならない。
・『お手盛り成果の限界  首相の権力基盤は、麻生財務相と菅官房長官、二階俊博自民党幹事長がキーマンで、誰か1人でも代わることがあればパワーバランスが崩れ、政権は衰退する。責任転嫁も強弁も改竄もごまかしも、政権に都合の悪い真実を国民の目から隠す、という目的と動機が共通している。 7月の参院選。安倍首相は福島市での第一声で「あの時代に逆戻りするわけにはいかない」と民主党政権を引き合いに出した。民主党政権は1200日。その後の安倍政権は倍以上だ。いまさら「あのころよりもマシ」とアピールせざるを得ないことが、お手盛り成果の限界を示している。目をそらされてはならない』、「責任転嫁も強弁も改竄もごまかしも、政権に都合の悪い真実を国民の目から隠す、という目的と動機が共通している」、説得力に溢れた主張で、全面的に同意できる。
タグ:「どうよ」で聞き出す雑談力 大物議員からの電話 とっさに答えた“一言” スポーツ紙の政治コラムや社会面って、実は何でもできるし、深いなと思うんですよ。ネットと一般朝刊紙の真ん中くらい、絶妙な立ち位置なんですよね 「桜を見る会」ツイッター投稿数の多さ 「上級国民」の都市伝説がリアルになった 安倍政権の本質は「せこさ」 「「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治 プチ鹿島×地獄耳師匠 #2」 今の政治家には“デジタルどぶ板”も必要 結婚&初入閣 進次郎節が消えた 文春オンライン コラムは雨の日も風の日も、台風の日も、新聞休刊日にも 意識高めの人が「政界地獄耳」をSNSでシェア 日刊スポーツの名物政治コラム「政界地獄耳」 「「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由 プチ鹿島×地獄耳師匠 #1」 医系技官 山中伸弥教授 京都大学iPS細胞研究所 菅義偉官房長官の信頼が厚い和泉洋人・首相補佐官(66)と極めて近い関係になったことで、とんでもない権力を握ってしまった 責任転嫁も強弁も改竄もごまかしも、政権に都合の悪い真実を国民の目から隠す、という目的と動機が共通している 目立つ強弁と責任転嫁 外務省の力が低下している安倍政権 自動車関税で日本は2枚もカードを切らされた 自動車関税でカードを切らされた日本 お手盛り成果の限界 「自動車関係の追加関税を課さない趣旨を確認した」と“成果”を強調した。 だが、それは1年前に武器の爆買いで一度阻止したはずだ 「アベノミクス」に「老後2000万問題」まで 拉致問題や領土問題で結果を出せていないどころか、対米追従の結果、農畜産と防衛分野で大きな負担を国民に強いているのが実態 「得意分野」の外交を振り返ると…… 「「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害 2020年の論点100」 2020年、激動の大政局 秋以降は「オリパラロス」に 望月 衣塑子 小さく見えて、実は小さくない反乱。そんなことが起きるかもしれないなと思います 「山本太郎現象」から、失われた自民党寄りの匂い “永田町読者率”の高さ 和泉補佐官は菅官房長官の腹心 国土交通分野の政策には以前から強かったのですが、最近はそれに限らず、『官邸官僚』として省庁に関係なく首を突っ込んでいて、医療分野まで牛耳ろうとしている 厚労省には自由に使える数十億円規模の『調整費』というものがあり、大坪氏がその予算を握っている 週刊文春が二人の京都旅行と銀座デートを報じた 山中教授は会見を開いて予算削減の理不尽を訴え、最終的に削減は見送られる見通し 予算削減を一方的に通達し、山中教授を「恫喝した」 大坪寛子・厚生労働省大臣官房審議官 「京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”」 yahooニュース (その39)(京大・山中伸弥教授を恫喝 霞ヶ関を牛耳る“最悪カップル”、「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由、「桜を見る会」「身の丈」「上級国民」……“選民意識”で見る2019年の日本と政治、「都合の悪い真実を隠す」“お手盛り”安倍長期政権がもたらした数々の弊害) 日本の政治情勢 FRIDAY DIGITAL
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