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農畜産林業(その3)(ソフトバンクが農業流通に殴り込み JA全農に対抗する大本命が始動、日本の林業は青息吐息で補助金漬け 「品質が良い」は遠い過去の話に、「国産が一番安全だ」と妄信する日本人の大誤解 日本は世界トップレベルの農薬大国) [産業動向]

これまで、農業として昨年1月29日に取上げた。今日から、牧畜・林業も含め農畜産林業に拡大した。農畜産林業(その3)(ソフトバンクが農業流通に殴り込み JA全農に対抗する大本命が始動、日本の林業は青息吐息で補助金漬け 「品質が良い」は遠い過去の話に、「国産が一番安全だ」と妄信する日本人の大誤解 日本は世界トップレベルの農薬大国)を取上げる。

先ずは、昨年8月30日付けダイヤモンド・オンライン「ソフトバンクが農業流通に殴り込み、JA全農に対抗する大本命が始動」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/213325
・『小泉進次郎氏が自民党農林部会長を退任し、すっかり改革の機運が後退した感のある農業界だが、民間からは変化の潮流が生まれている。JA全農といった旧来勢力が牛耳ってきたモノの流通などを代替する新事業が相次いで8月に本格始動したのだ。 これまで多くのIT企業や製造業が農家支援サービスを提供してきたが、大きな成功を収めているとは言い難い。そうした中、旧来型の「農業流通」を激変させるインパクトがある二つの事業が8月に始動した。 それらの事業は、従来の農家支援サービスとは違い、農家の利益に直結するモノの販売や決済サービスを提供する。この事業領域は長らくJA全農や卸会社など従来のプレーヤーが牛耳り、参入障壁がある聖域だった。 まず、流通変革の旗手となり得るのが、ソフトバンク・テクノロジー(SBT)だ。農家が農業に使う資材の相見積もりを取り、比較できる情報サイト「AGMIRU」を、商品の購入までできるECサイトにバージョンアップして本格稼働させた。 同サイトを運営するSBT子会社リデンの上原郁磨社長は「もうけていない人から月額のサービス料をもらうのではなく、サービスをどんどん利用してもうかってもらい、手数料を頂くのが特徴だ」と、従来の農家支援サービスとの違いを強調する』、「ソフトバンク」が乗り出したとは面白い。
・『事業開始時の会員は5000人弱だが、これを1年で1万人、3年で5万人(うち農家4万8500人、生産資材の販売事業者1500人)に増やす。 ビジョンは壮大だ。SBTは生産資材の販売だけではなく、農家への融資や農業生産でのIT・ロボットの活用、農産物の販売支援など各分野の「農業ベンチャーのトップランナー」と連合を組み、SBTはその集合体の“ハブ”の役割を果たそうとしている。 構想が実現すれば、農家の資金調達から農産物の販売までを支える押しも押されもせぬ「プラットフォーマー」となる。 当然、ビジネスが拡大すると、全農をはじめとしたJAグループと競合するが、一部、地域の単位農協(JA)は「JAグループならグループ内の全農を利用すべし」という組織の論理にとらわれず、AGMIRUなどの利用を検討しているという。JAがサービスを利用すれば、SBT陣営と全農が競合することになり、農家の選択肢が広がる。 そして、SBTがハブとなる農家支援連合のメンバーで、自らも農業流通の変革者になるべくのろしを上げているのが、農業ベンチャーのマイファームだ。8月から、オンライン卸売市場「ラクーザ」を正式にオープンした。 従来の青果流通では原則、農産物は農家→JA→全農→卸→仲卸→スーパーなどと、とてつもなく長い経路をたどる。 農産物が生産現場から消費者の手元に届く前に、生産現場の情報が流通の途中で寸断されてしまい、農産物の価値(おいしさ、安全・安心など)が消費者に伝わらないことが多々あった。 ラクーザは中間流通を省き、農家とスーパーやレストランを直接つなぐことで、農家の努力を反映した「適正価格」の実現を目指す。 利用するスーパーやレストランからすれば、農家のこだわりをウリにした個性的な商品を提供するためのツールになる』、「ソフトバンク」は農家にとっての購買部分に食い込み、農産物の販売部分は、「農業ベンチャーのマイファーム」の「オンライン卸売市場「ラクーザ」に委ねようとしているようだ。JAとしては、購買部分や販売部分を流出させまいと必死で対抗策を打ち出してくるだろう。
・『8月上旬現在で会員は800人(農家600人、購入者200人)だが、これを2020年内には4000人に拡大する。 農家全体からすれば少数だが、事業の成長の余地はある。マイファームの西辻一真社長は「登録を希望した農家は3000人いたが、家庭菜園の域を脱していない人にはご遠慮いただいた」と話す。一定の売り上げ規模があり、経営感覚に優れたプロ農家だけを集めることで、ECサイトとしての信頼性を高めようとしているのだ。 とはいえ、挑戦者たるSBTやマイファームの新サービスにも課題はある。従来の商流に比べ小ロットになる傾向があり、運送費がかさむのだ。このため、契約当たりの単価を上げる必要があるが、例えばラクーザの平均単価は3000~6000円とBtoBの取引としては小粒だ。 今後、テクノロジーの力で物流を効率化するとともに、契約規模を大ロットにしたり、利用頻度を高めたりできるかどうかが、勝負の分かれ目になる。 そしてもう一つ。事業体ではないが、旧来の農業団体とは一線を画すSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サイト)をベースにした新たな農業者集団も誕生した。8月に設立された「日本農業者ビジネスネットワーク」だ』、「従来の商流に比べ小ロットになる傾向があり、運送費がかさむ」、確かに工夫が必要だろう。
・『農業団体にも変化 SNSベースのフラット組織発足  その母体となったのが、フェイスブック(FB)の非公開グループ「FB農業者倶楽部」だ。グループには8518人が登録し、フラットな関係で農業の経営課題の解決方法などを教え合っている。 今回立ち上がった日本農業者ビジネスネットワークは、FBのグループを活発化して課題解決能力を高めるとともに、FB上や会員が集まるオフ会で政策論議を行い、農業政策への意見反映を目指す。 一方、JAなど既存の農業団体は組織運営が硬直的で、農政運動は形骸化が進む。農政運動の意見集約は形式上、地域→都道府県→全国組織という段階を経て行われるが、農業者集団の活動資金の一部をJA全中などの上部団体に依存しているため自由な意見が言いにくい。 旧来の農業界を圧倒するスピードで、企業やベンチャー、プロ農家が積極的に“つながり”始めた。今年は民間発の「農業改革元年」となるかもしれない』、「FB農業者倶楽部」とは面白い。「農業の経営課題の解決方法などを教え合っている」ような活動に参加し、積極的に発信する「農家」がどの程度出てくるかは見物だ。「農業改革元年」も大げさではないのかも知れない。

次に、12月10日付けダイヤモンド・オンライン「日本の林業は青息吐息で補助金漬け、「品質が良い」は遠い過去の話に」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/222892
・『国がこれから成長産業となるであろうと期待を寄せている日本の林業。終戦直後や高度経済成長期に造林された人工林が50年以上たち、利用期を迎えていることが要因だという。しかし、実際のところ課題は山積しており、そううまくいかないのが実態のようだ。著書『絶望の林業』(新泉社)がある森林ジャーナリストの田中淳夫氏に詳しい話を聞いた』、「林業」を「国がこれから成長産業となるであろうと期待」、とは何かの冗談だと思った。
・『安くても材質が悪く売れ残る国産材  農林水産省の調査では、2017(平成29)年の日本の林業産出額は4859億円。そのうち2550億円が木材生産によるものだ。 木材生産額はバブル経済崩壊以降、年々落ち込み、ここ15年ほどは横ばいで推移しているものの、まったく安泰ではない状況に陥っている。ただしその一方、森林・林業白書をはじめとする国の林業政策を見てみると、「林業を成長産業にする」と意気込む言葉が頻出する。はたしてその論拠はどういった点にあるのか。 「日本の林業は、戦中に乱伐した山を戦後大造林したおかげで、国土面積の3分の2が森林となり、その4割が人工林です。苗を植えてから50年以上がたち、木材として使えるほどの高く太く育った木がようやく増えてきて、森林蓄積が増えたのです。国もこのチャンスを逃さないよう、どんどん木を伐採して売っていけば、林業関係者にももっと利益が出ると考えているため、そのように強く打ち出しているのでしょう」(田中淳夫氏、以下同) 国土交通省「平成29年度土地に関する動向」によると、2016(平成28)年時点の日本の森林面積は国土面積3780万ヘクタールの3分の2にあたる約2500万ヘクタールを占め、世界有数の森林国だとされている。 また、森林資源は人工林を中心に、毎年約7000万立方メートル増加し、現在約52億立法メートルもの蓄積があるという。 確かに商品になる木材の量が増えているのは、はっきり数字に表れているが、だからといって、すぐに利益が出るという単純な話ではないと、田中氏は指摘する。 「1990年代前半のバブル経済が崩壊するまでは、国産材に一種のブランド価値があって売れていました。しかしバブル崩壊以降、不景気による木材需要の低迷のほかに、国産材が売れなくなった大きな要因として、住宅の建築様式のニーズが変わった点が挙げられます。和風よりも柱が見えないフローリング中心の洋風の部屋が増えたことで、外材需要が増えていったのです。現在、国産材でも需要が増えているのは、合板用やバイオマス発電の燃料用に使うような価格が安い木材ぐらい。だから、需要量は横ばいでも利益は減っているわけなのです」』、「苗を植えてから50年以上がたち、木材として使えるほどの高く太く育った木がようやく増えてきて、森林蓄積が増えた」、とはいえ、「需要が増えているのは、合板用やバイオマス発電の燃料用に使うような価格が安い木材ぐらい」、というのでははなはだ心もとない。
・『度を過ぎた補助金が国内林業衰退の原因  今年林野庁が公表した農林水産省による調査「木材需給報告書」の「木材価格」を参照すると、ヒノキ、スギ、カラマツなどの木材価格は、高度経済成長に伴う需要の増大などの影響によって1980年にピークを迎え、ここ10年はほぼ横ばいとなっている。 また、一般に「国産材の方が外材よりも品質がいい」と漠然と思っている人も多いと思われる。しかし、実態はまったくの正反対なのだという。 田中氏の分析によると、国産材は、森林の手入れを怠って加工法がしっかりしていない上、乾燥させず製材精度も低く、流通の面でも無駄が多いため、質が悪くなっているのだという。 本来であれば、外材と対抗するためには林業従事者にも何らかの経営努力や改革が必要になる。国もこのままでは、林業全体が産業として尻つぼみになると問題意識を持ったこと自体はよかったのだが、結局過度な補助金漬けになってしまったと、田中氏は言う。 「農業は補助金が多いと聞いたことがある人は多いと思いますが、林業はその比ではありません。機械類の購入や林道・作業道の開削などに加えて、苗植え、草刈り、間伐などそれぞれの作業に対して、補助金が国と地方自治体から支給され、大ざっぱに言えば作業費の7割にあたるお金が与えられます。しかも地域によっては10割全額出る市町村もあります。それだけの援助があれば、自分たちで努力してまでコスト削減しようとしないのは当然です」 また、2018年から、主伐(山に残された木を伐採すること)に対しても補助金が出るように制度が変わり、ますます補助金がないと成り立たない産業になりつつあるのだ。 このまま林業が衰退し続けていけば、単に当事者たちが困るだけの問題ではないと、田中氏は警鐘を鳴らす。 「林業は、森林を健全に育てる重大な役割を担っています。森林がしっかり管理されず、ほったらかしになると、木が十分に育たないため、台風や大雨の際に簡単に折れたり、土砂崩れや洪水を引き起こしたりするなど、より深刻な状況を招く可能性が高まる。当事者以外の人にもまったく無関係ではないのです」』、「作業費の7割にあたるお金が与えられます。しかも地域によっては10割全額出る市町村もあります」、まさに「補助金」づけだ。「森林がしっかり管理されず、ほったらかしになると、木が十分に育たないため、台風や大雨の際に簡単に折れたり、土砂崩れや洪水を引き起こしたりするなど、より深刻な状況を招く可能性が高まる」、全く困った危機的事態だ。
・『補助金全廃で復活したスイスの林業  日本の林業は課題が山積しているのが現状だが、やはり諸悪の根源は、補助金にあると田中氏は語る。 とはいえ、いきなりゼロにすれば、林業は即壊滅状態に陥る危険性が高い。では、どうすればいいのだろうか。 「ドイツやスイス、北欧などのヨーロッパ諸国では、林業は成長産業で日本のような補助金制度は一切ありません。ただ、スイスも90年代まで多額の補助金を出していて、赤字が続いていた時代があったのですが、約20年かけて2005年に環境保全とは別の林業関係の補助金が撤廃され、今では小ぶりながら黒字の森林経営を展開しています。日本の場合、いきなり全廃は現実的でないので、たとえば10年程度の期間を設けて少しずつカットすれば、業者も対応せざるを得ないですし、体力がついた企業は効率化できるようになり、現状よりも改善するはずです」 しかし、補助金をカットしても残る問題として、そもそも当事者たちが林業に対してやる気がないのも根深い理由のようだ。 「林業に関わっている人の多くは兼業なので、おそらく今だと補助金をなくせば、やめてしまう業者がほとんど。そのような救いようのない状況が長く続いているので、なかなか希望を見いだすことはできません。ですが、補助金がなくなっても、森が好きで林業に希望を抱いている人たちに期待するしかありません」 田中氏によれば、田舎暮らしに憧れて、林業に参入してくる若者が実は増えているのだという。しかし、やってみて初めて、林業が全然もうからないことに気づき、やめる人も多いようだ。 補助金がなくなれば、生き残るのが難しい業者が必ず出るのは避けられない。それでも、森林あっての林業は、何よりも長期的な視点が重要だ。 どちらにせよ、補助金を増やし続ける政策では、林業に明るい未来はやってこない。思い切った改革が国や政治家、林業当事者たちに求められる』、「ドイツやスイス、北欧などのヨーロッパ諸国では、林業は成長産業で日本のような補助金制度は一切ありません」、こうした海外での実情を詳しく分析した上で、日本の「林業」の「思い切った改革」の姿を立案・実行してゆくべきだろう。

第三に、拓殖大学国際学部教授の竹下 正哲氏が本年1月21日付けPRESIDENT Onlineに掲載した「「国産が一番安全だ」と妄信する日本人の大誤解 日本は世界トップレベルの農薬大国」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/32274
・『世界で一番安全な作物をつくっている国はどこか。少なくともそれは日本ではない。拓殖大学国際学部教授の竹下正哲氏は「日本の農薬使用量は中国並みで、世界有数の農薬大国。日本の農業は長期間の『鎖国』で、すっかり農業後進国になってしまった」という――。 ※本稿は、竹下正哲『日本を救う未来の農業』(ちくま新書)の一部を再編集したものです』、私も日本の農産物は安全と信じ込まされてきたので、「日本の農薬使用量は中国並みで、世界有数の農薬大国」、には驚かされた。
・『日本人は日本の農業を誤解している?!  「日本の農業問題」というキーワードを聞いて、みなさんはどんなことを思い浮かべるであろうか? 農家の高齢化、担い手不足、農家の減少、耕作放棄地、低い自給率、衰退産業……。そういったキーワードが思い浮かぶのではないだろうか。ニュースなどを見ていると、必ずこういった論調で、危機が叫ばれている。 しかし、実は高齢化や農家の減少、耕作放棄地、自給率などの問題は、どれもまったく問題ではない。少なくとも、どれも解決可能であり、表面的なことにすぎない。むしろ問題の本質はまったく別のところにある。というのも、その問題の本質に取り組むことができたなら、高齢化や農家の減少、耕作放棄地などの問題はひとりでに解決に向かうからだ。 では、その問題の本質とは何か、を一緒に考えてみたいと思う。 最初にみなさんに伺いたいのは、「世界で一番安全な作物をつくっているのは、どの国だろうか?」という問いである。裏返すと、「世界で一番危険な作物をつくっているのは、どの国だろうか?」という質問に変わる。 もちろん、何をもって危険とするかについては、人によって違うだろう。確固たる基準が存在するわけではないが、ここでは、仮に「農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤など)をたくさん使っている作物ほど危険」という基準から見てみることにしよう。一番農薬を使っている国はどこだろうか?』、「日本の農業問題」の「本質」は「農薬」多用にあるようだ。
・『「国産が一番安全」という間違った神話  学生たちにこの質問をすると、たいてい「アメリカ、中国」といった答えが返ってくる。その両国が、農薬を大量に使っているイメージなのだろう。逆に「世界で一番安全な作物をつくっている国は?」という問いに対しては、9割近くの人が、「日本」と回答してくる。 だが、この認識は大きく間違っている。FAO(国連食糧農業機関)の統計によると、中国の農薬使用量は、農地1haあたり13kgという世界トップレベルの数値だ。だが、実は日本も11.4kgの農薬を使っており、中国とほぼ変わらない。日本も中国に劣らず、世界トップレベルの農薬大国なのだ。 実はアメリカはずっと少なく、日本の5分の1しか使っていない。ヨーロッパ諸国も日本より低く、イギリスは日本の4分の1、ドイツ3分の1、フランス3分の1、スペイン3分の1、オランダ5分の4、デンマーク10分の1、スウェーデン20分の1となっている。EUは政策により意図的に農薬を減らしている。また近年躍進が著しいブラジルを見てみても、日本の3分の1であり、インドは日本の30分の1しかない。 日本人の多くは「国産が一番安全」、そう信じていることだろう。しかし、それは間違った神話なのかもしれない。少なくとも、統計の数字だけを見るならば、日本は中国と並んで世界でも有数の農薬大国ということになる。農薬漬けと言ってもいい。アメリカの4倍以上、ヨーロッパの3~20倍以上を使っている』、「日本」の「農薬漬け」で「アメリカの4倍以上、ヨーロッパの3~20倍以上を使っている」、衝撃の数字だ。マスコミももっと取り上げるべきだ。
・『「鎖国」を続けた日本農業の危機  このように、日本人に植え付けられてしまっている誤解は他にもたくさんある。これから順次それらを解いていくが、その前に、具体的にどんな危機が日本に来るのか、それをまず考えてみよう。 大きな背景としては、日本の鎖国がついに終わろうとしている、という世界的な動きがある。結論から先に言うと、日本の農業の多くは、1970年代からまったく進歩をしていない。技術革新というものが、起きてこなかったのだ。 農村でのどかにカボチャやニンジンを作っている農家の多くは、実は1970年代とまったく同じ農法で栽培している。昔ながらの「土づくり」を尊び、50年前と同じように肥料をあげ、同じように水やりをして、同じ量だけ収穫している。 今の時代に1970年代と同じ方法でやっていけている産業など、他にあるだろうか。農業だけ、それができてしまう。なぜかというと、国際競争にさらされてこなかったからだ』、確かに「農業」は最も規制に守られた産業だ。「昔ながらの「土づくり」を尊び」、というのは悪くはないが、「50年前と同じように肥料をあげ」、というのは頂けない。
・『海外では驚くべき進歩を遂げている  日本の農業は、第二次世界大戦が終わった後ずっと鎖国をしてきた。コメ788%、こんにゃく芋1700%、エンドウ豆1100%に代表されるような高い関税をかけることで、海外からの農産物を閉め出してきた。加えて、作物ごとに複雑な「規格」を設定し、外国からの参入をさらに困難としてきた(非関税障壁)。 海外では、ここ30年ほどの間に農業の形が激変した。栽培法には幾度も革命が起き、そのたびに世界最先端のテクノロジーが農業と融合してきた。そして農業は国境を越えたグローバルビジネスとなり、カーギル、ブンゲなどの巨大企業が生まれ、世界の食糧をコントロールするほどの力を持つに至った。その陰で、昔ながらの農法をしてきた零細農家はつぶされ、消えていった。 日本はというと、海の向こうで、そのような熾烈なつぶし合いが起こっているとは知らないまま、ひたすら国内市場だけを見てきた。ずっと内向きの農業をして、平和な産地間競争に明け暮れてきた。 そのような鎖国状態を今後も続けていけるのなら、それはそれでよいかもしれない。日本の農家はサラリーマン以上にお金を稼げている人が多いし、それに対して不満を持っている国民も少ない。日本独特の農業のあり方だ。だが、現実問題として、開国せざるを得ない事態になってしまった』、ただ、激変緩和措置がついているので、急激な変化は避けられるのではなかろうか。
・『「TPP」で開国せざるを得なくなった  2018年12月末、TPPが始まった。TPPとは、Trans-Pacific Partnership(環太平洋パートナーシップ)のことで、太平洋を取り囲む11カ国の間で、関税をほぼなくし、貿易を自由にできるようにしましょうという取り決めのことだ。実際、多くの関税が最終的には0%になることが決まった。 このTPPが発効した瞬間から、日本への農産物の輸入は大幅にジャンプした。TPP直後の2019年1~4月の輸入量は、前年と比べてブドウは41%アップ、キウィは42%、牛肉(冷凍)30%と大幅に増加している(財務省貿易統計)。 スーパーを見ても、チリ産やオーストラリア産のブドウが大量に並ぶようになったことに気づくだろう(だいたい2~6月の季節)。チリと言えば、地球の裏側の国だ。そこから新鮮なブドウが、日本の4分の1ほどの価格で、次々と送られてきている。TPP発効によって、農産物の輸入が増えていることは間違いない』、この程度の輸入増加の影響は大したことはなさそうだ。
・『消費者にとっては嬉しいことだが…  それは消費者にとっては嬉しいことかもしれないが、農業関係者にとってはたいへんな驚異(注:正しくは「脅威」)だろう。海外から安い農産物が入ってくると、日本の物が売れなくなってしまう。つまり、農家の収入がなくなり、それが続けば、最悪閉業しなくてはならなくなってしまう。 しかし、そんなTPPであっても、これから始まる恐怖のほんのさわりに過ぎない。というのも、TPPに加盟している11カ国を詳しく見てみると、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムという国々だとわかる。 みなさんはどうだろうか。スーパーに行って野菜や果物を選ぶとき、マレーシア産、ベトナム産のトマトと、日本産のトマトが並んでいたら、いったいどちらを選ぶだろうか。おそらく日本産を選ぶ方がほとんどだろう。 日本人の心理として、アジアや中南米からの作物が多少安かったとしても、無理して国産を買おうとする。「国産は安全でおいしい。海外産はなんか薬が多そうで怖い」と日本人の多くが信じているためだ。 (実際には、日本産の方が、農薬の量はずっと多いのだが)つまりTPPによってアジアや中南米から安い野菜や果物がたくさん入ってくるようになるが、それでも、それが太平洋の国々である限り、日本にとってはそれほどの脅威にならないだろう。だが安心してはいられない。もし相手がヨーロッパだったらどうだろうか?』、「海外産はなんか薬が多そうで怖い」、との迷信は次第に薄れていくだろう。
・『一番恐ろしいのはヨーロッパ産  そう、一番怖ろしいのは、アメリカでも中国でも中南米でもない。ヨーロッパだ。もしヨーロッパ産の野菜がスーパーに並んだらどうなってしまうか、真剣に想像したことがあるだろうか? 実はTPPとは別に、ヨーロッパとはEPAが結ばれた。EPAとはEconomic Partnership Agreement(経済連携協定)のことで、これもヨーロッパと日本の間の関税や関税以外の障壁を取り払い、貿易をより自由にしましょうという取り決めだ。これは2019年2月より発効された。そしてその影響はすぐに現れた。 EPA発効後の2019年2~4月の輸入量を前年と比べてみると、ヨーロッパからのワインが30%増加した(財務省貿易統計)。チーズは31%、豚肉は10%増加している。 さらにこれからは、ヨーロッパから野菜や果物が押し寄せてくるようになるだろう。すでにEPAの前から、オランダ産のパプリカはスーパーで売られ始めていたが、それは始まりに過ぎない。農産物の関税や非関税障壁は4~11年をかけて段階的に取り払われていくものが多く、それに合わせて、ヨーロッパからたくさんの野菜や果物、キノコがやってくるようになる。ベルギー産のトマト、フランス産のジャガイモ、スペイン産のブドウ、主婦たちははたしてどちらを選ぶだろうか』、消費者としての私にとっては、大歓迎だ。
・『国産野菜が勝てる理由が見つからない  フランス産やイタリア産と聞けば、まず響きだけでおしゃれな感じがするだろう。しかも、それらは農薬の量が日本よりもずっと少ない。日本の3分の1から20分の1しかない。 そして日本の物よりずっと安い。おいしさはほぼ変わらない。となると、みなさんはどちらを選ぶだろうか。「おいしいけど、値段が高くて、農薬が多い国産野菜」か、あるいは「おいしくて、値段が安くて、農薬が少ないヨーロッパ産野菜」か。 勝負は見えているだろう。正直、日本の野菜が勝てる理由が見つからない。消費者はともかく、外食(レストランなど)や中食(お弁当屋さんなど)産業は、ヨーロッパ産に飛びつくだろう。実際、すでにいくつかのファミレスは、そういう動きを見せている。 「イタリア産のポルチーニ茸を使ったパスタ」とか「ドイツ産リンゴのジュース」などのメニューをよく目にするようになった。そのメニューを見たとき、「国産じゃないから嫌だ」と思う人はきっと少ないだろう。ヨーロッパから安い野菜・果物が入ってくるようになれば、再びイタリア料理やフランス料理ブームがやってくるかもしれない。 そうなったとき、日本の農家は生き残っていくことができるのだろうか?』、鮮度はどの程度アピール材料になるのだろう。
・『日本は時代遅れの「農業後進国」  一昔前までは、ヨーロッパから新鮮野菜を持ってくることは、不可能に近かった。理由は単純で、遠すぎるためだ。だが今は、時代が変わった。収穫が終わった後の処理はポストハーベスト技術と呼ばれるが、これが急速に発達したのだ。今では、チリのような地球の裏側であっても、収穫したばかりの新鮮な野菜・果物を、鮮度そのままに日本のスーパーに並べることが可能になっている。 日本は鎖国をしながら、長いこと眠り続けてきた。その間に、海外の農業は急速に発展し、日本に追いつき、追い越していった。もし日本がこのまま眠り続けるならば、国内の農業は間違いなく滅びるだろう。 その理由は、一言で言えば、日本がすっかり農業後進国になってしまったからだ。たとえば、日本で「最先端農業」と聞けば、多くの人が「農薬をたくさん使う農業のこと」と思うだろう。そしてもし農薬を使うのが嫌だったら、有機農業や自然栽培といった昔ながらの農法に戻るしかない。 つまり「昔ながらの農業」、あるいは「薬漬けの農業」、その二者択一しか今の日本にはない。しかし、そんな考え方は世界ではもう完全に時代遅れだ』、ただ、「ポストハーベスト」については、防カビ剤および防虫剤が食品添加物として認められているが、制度上は国内で認められる「農薬」とは区別されている。しかし、薬剤の中には、発癌性や催奇形性など、人体へ影響を与える疑いのある成分も含まれており、消費者は高濃度(ポストハーベスト農薬の残留度は、畑で撒かれる農薬の数百倍との説もある)の残留薬剤の付着した商品を手にしていると、消費者団体を中心に、その危険性が指摘されている。これらの批判には反論もある(Wikipedia)。筆者は、この点を度外視しているようだ。
・『最新テクノロジーで農業問題の解決を  ヨーロッパでは、そのどちらでもない第3の農法が発達している。すなわち、最新のテクノロジーを使って日本よりもはるかに効率のよい農業をしながら、でも同時に、使う農薬の量は、日本よりもずっと少なくしている。最先端農業でありながら、安全で安心、環境にも優しい。そんなまったく新しい農業が発明されている。 そんな事実を知っている日本人は、まだほとんどいない。日本は、国全体がそういった世界の進化にまったくついて行けていない。中国やインドの方がはるか先を行っていることも知らない。追い越されていることにすら気づいていない。みんな「日本の農業は世界最高」という幻想を信じたまま、時間が止まってしまっているのだ。 このまま行くと、世界と日本の差はさらに開いていくことだろう。なぜなら、テクノロジーの変化はとてつもなく速いからだ。今日1だった差は、明日には10になり、2日後には100、1週間後には1万の差になっている。 それほどまでに、世界の変化は速い。TPPとEPAが始まってしまった今、もはや一刻の猶予もない。あと数年が生き残れるか滅びるか、その勝負の分かれ目だろう』、やや誇張も目立つが、「「日本の農業は世界最高」という幻想」は捨て去る必要があることは確かだ。そうした意味でも、「幻想」がかきたてる役割を果たしている、日本礼賛の「クールジャパン」のPRはもう止めてほしいものだ。
タグ:日本 クールジャパン ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 農畜産林業 (その3)(ソフトバンクが農業流通に殴り込み JA全農に対抗する大本命が始動、日本の林業は青息吐息で補助金漬け 「品質が良い」は遠い過去の話に、「国産が一番安全だ」と妄信する日本人の大誤解 日本は世界トップレベルの農薬大国) 「ソフトバンクが農業流通に殴り込み、JA全農に対抗する大本命が始動」 これまで多くのIT企業や製造業が農家支援サービスを提供してきたが、大きな成功を収めているとは言い難い 流通変革の旗手となり得るのが、ソフトバンク・テクノロジー(SBT)だ。農家が農業に使う資材の相見積もりを取り、比較できる情報サイト「AGMIRU」を、商品の購入までできるECサイトにバージョンアップして本格稼働させた 資材の相見積もりを取り、比較できる情報サイト「AGMIRU」を、商品の購入までできるECサイトにバージョンアップして本格稼働 事業開始時の会員は5000人弱 農家への融資や農業生産でのIT・ロボットの活用、農産物の販売支援など各分野の「農業ベンチャーのトップランナー」と連合を組み、SBTはその集合体の“ハブ”の役割を果たそうとしている 農家の資金調達から農産物の販売までを支える押しも押されもせぬ「プラットフォーマー」となる 一部、地域の単位農協(JA)は「JAグループならグループ内の全農を利用すべし」という組織の論理にとらわれず、AGMIRUなどの利用を検討 農業ベンチャーのマイファームだ。8月から、オンライン卸売市場「ラクーザ」を正式にオープン 中間流通を省き、農家とスーパーやレストランを直接つなぐことで、農家の努力を反映した「適正価格」の実現を目指す 従来の商流に比べ小ロットになる傾向があり、運送費がかさむ 農業団体にも変化 SNSベースのフラット組織発足 フェイスブック(FB)の非公開グループ「FB農業者倶楽部」 フラットな関係で農業の経営課題の解決方法などを教え合っている 日本農業者ビジネスネットワーク 「農業改革元年」 「日本の林業は青息吐息で補助金漬け、「品質が良い」は遠い過去の話に」を 安くても材質が悪く売れ残る国産材 国の林業政策を見てみると、「林業を成長産業にする」と意気込む言葉が頻出 苗を植えてから50年以上がたち、木材として使えるほどの高く太く育った木がようやく増えてきて、森林蓄積が増えた バブル崩壊以降、不景気による木材需要の低迷のほかに、国産材が売れなくなった大きな要因として、住宅の建築様式のニーズが変わった点が挙げられます。和風よりも柱が見えないフローリング中心の洋風の部屋が増えたことで、外材需要が増えていった 現在、国産材でも需要が増えているのは、合板用やバイオマス発電の燃料用に使うような価格が安い木材ぐらい 度を過ぎた補助金が国内林業衰退の原因 大ざっぱに言えば作業費の7割にあたるお金が与えられます。しかも地域によっては10割全額出る市町村もあります 森林がしっかり管理されず、ほったらかしになると、木が十分に育たないため、台風や大雨の際に簡単に折れたり、土砂崩れや洪水を引き起こしたりするなど、より深刻な状況を招く可能性が高まる 補助金全廃で復活したスイスの林業 ドイツやスイス、北欧などのヨーロッパ諸国では、林業は成長産業で日本のような補助金制度は一切ありません 竹下 正哲 「「国産が一番安全だ」と妄信する日本人の大誤解 日本は世界トップレベルの農薬大国」 『日本を救う未来の農業』(ちくま新書) 日本の農薬使用量は中国並みで、世界有数の農薬大国 日本人は日本の農業を誤解している?! 「国産が一番安全」という間違った神話 中国の農薬使用量は、農地1haあたり13kgという世界トップレベルの数値だ。だが、実は日本も11.4kgの農薬を使っており、中国とほぼ変わらない アメリカはずっと少なく、日本の5分の1しか使っていない。ヨーロッパ諸国も日本より低く、イギリスは日本の4分の1、ドイツ3分の1、フランス3分の1、スペイン3分の1、オランダ5分の4、デンマーク10分の1、スウェーデン20分の1 「鎖国」を続けた日本農業の危機 海外では驚くべき進歩を遂げている 高い関税をかけることで、海外からの農産物を閉め出してきた。加えて、作物ごとに複雑な「規格」を設定し、外国からの参入をさらに困難としてきた(非関税障壁) 海外では、ここ30年ほどの間に農業の形が激変した。栽培法には幾度も革命が起き、そのたびに世界最先端のテクノロジーが農業と融合 ひたすら国内市場だけを見てきた。ずっと内向きの農業をして、平和な産地間競争に明け暮れてきた 「TPP」で開国せざるを得なくなった 消費者にとっては嬉しいことだが… 一番恐ろしいのはヨーロッパ産 ヨーロッパとはEPAが結ばれた 国産野菜が勝てる理由が見つからない フランス産やイタリア産と聞けば、まず響きだけでおしゃれな感じがするだろう。しかも、それらは農薬の量が日本よりもずっと少ない。日本の3分の1から20分の1しかない。 そして日本の物よりずっと安い。おいしさはほぼ変わらない。 日本は時代遅れの「農業後進国」 ポストハーベスト技術 収穫したばかりの新鮮な野菜・果物を、鮮度そのままに日本のスーパーに並べることが可能に ポストハーベスト」については、防カビ剤および防虫剤が食品添加物として認められているが、制度上は国内で認められる「農薬」とは区別されている。しかし、薬剤の中には、発癌性や催奇形性など、人体へ影響を与える疑いのある成分も含まれており、消費者は高濃度(ポストハーベスト農薬の残留度は、畑で撒かれる農薬の数百倍との説もある)の残留薬剤の付着した商品を手にしていると、消費者団体を中心に、その危険性が指摘 最新テクノロジーで農業問題の解決を 「日本の農業は世界最高」という幻想
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