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黒川検事長問題(その4)(結局 「甘利事件」とは何だったのか? 多くの人が知らない「捜査の真相」 『安倍・菅政権vs.検察庁』(1)、何が起きていたのか…“官邸の守護神”の定年延長問題が与えた「大きな衝撃」 『安倍・菅政権vs.検察庁』(2)、黒川定年延長問題で「つい言い間違えた」答弁の官僚が出世) [国内政治]

黒川検事長問題については、昨年7月22日に取上げた。今日は、(その4)(結局 「甘利事件」とは何だったのか? 多くの人が知らない「捜査の真相」 『安倍・菅政権vs.検察庁』(1)、何が起きていたのか…“官邸の守護神”の定年延長問題が与えた「大きな衝撃」 『安倍・菅政権vs.検察庁』(2)、黒川定年延長問題で「つい言い間違えた」答弁の官僚が出世)である。

先ずは、本年1月8日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの村山 治氏による「結局、「甘利事件」とは何だったのか? 多くの人が知らない「捜査の真相」 『安倍・菅政権vs.検察庁』(1)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78751?imp=0
・『2020年に大きな騒動となった黒川弘務・東京高検検事長の「定年延長」問題とは何だったのか? なぜ黒川は「官邸の守護神」と呼ばれるのか? 2016年に始まった安倍政権による法務・検察首脳人事への介入と検察側の抵抗。検察取材の第一人者が極秘情報を駆使してその全容を描いた『安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル』(文藝春秋)より特別掲載!』、興味深そうだ。
・『600万円受領を認めても不起訴  黒川弘務は、野党や一部のマスコミから「官邸の守護神と呼ばれている」などと評されてきた。黒川がそう呼ばれてきたことは事実だ。それにはどのような根拠があったのか。本章では、法務省官房長、事務次官時代の黒川と政界、そして、黒川と検察の関係について検証する。 よく引き合いに出されるのが、検察が不起訴処分にした「甘利事件」と「森友事件」だ。2つの事件を通して、当時の筆者の取材メモをもとに、「黒川守護神」の実像を考察したい。 まず、甘利事件。2016年1月20日、「文春オンライン」は、経済再生相の甘利明の地元事務所が、千葉県の建設会社の総務担当者から現金と飲食接待を合わせ総額1200万円の利益供与を受けていた疑いがあると報じた。担当者は甘利や秘書とのやりとりを隠し録音していた。甘利は、自らと元公設第1秘書が計600万円を受け取ったことを認め28日、経済再生相を辞任した。 建設会社に隣接する県道の用地買収に伴う補償をめぐり、建設会社と独立行政法人都市再生機構(UR)の間でトラブルが起きていた。実名で文春の取材に応じた建設会社の総務担当者は補償交渉に関し「甘利事務所に口利きを依頼し、見返りとして現金や接待で1200万円を渡した」と証言。甘利の政党支部などの政治資金収支報告書には、同社からの寄付は376万円しか記載されていなかった。甘利の秘書がURと接触したあと、URは建設会社との交渉に応じ、2億2000万円の補償金を出していたことも判明した。 市民団体などからあっせん利得処罰法違反や政治資金規正法違反の疑いで、告発を受けた東京地検特捜部は4月8日、UR千葉業務部や建設会社などをあっせん利得処罰法違反容疑で捜索。甘利本人からも任意で事情聴取したが、甘利側がURに対して不正な口利きをした事実は確認できなかったとして5月31日、甘利と関係した元秘書2人を不起訴(嫌疑不十分)とした。 外形的には、不透明極まる政官界疑惑だった。検察が起訴しなかったのは、官邸に忖度して捜査を手控えたのではないか、それを、官邸に近いとされ、当時、法務省官房長だった黒川が主導したのではないか、との疑念が野党やマスコミの一部に広がった』、「甘利」前大臣事件については、だいぶ昔の事件だが、このブログでは2016年6月9日に取上げた。
・『「守れないか」の相談に「無理」  官邸筋によると、文春報道を受けて官邸は環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を担当している甘利を守るため「甘利対策チーム」を発足させ、法務省官房長の黒川にも何とか辞職させないで済む方法はないかと相談した。しかし、黒川は、カネの授受がある以上、大臣に留まるのは無理でしょう、と取りつく島もなかったという。すると、なぜか甘利が検察に逮捕されるのではないか、との憶測が永田町に広まった。 一方、特捜部は当初、1月中にも政治資金規正法違反容疑で関係先を捜索しようとしていた。しかし、法務省刑事局は甘利が現金を受け取っていても、どの政治団体で処理するかは政治家の自由であり、立件するには金額も小さすぎ、いざ、強制捜査しても起訴できない恐れがある、として慎重に捜査するよう特捜部にアドバイスしたという。これは、後に述べる、検察の「起訴基準」にかかわる話だ。 検察は2010年に摘発した元民主党代表、小沢一郎の資金管理団体「陸山会」を舞台にした政治資金規正法違反事件で小沢を起訴できず、その後、検察審査会が強制起訴したものの無罪となった。その過程で検察側の捜査の不手際が露呈し、世論の批判を浴びるなど痛い目にあってもいた。 甘利について特捜部は検討の結果、同容疑での訴追は難しいと判断。ターゲットをあっせん利得処罰法違反に切り替えて内偵を進めたが、同違反容疑での捜索は4月にずれ込んだ。その間に、国会の予算や法案審議は順調に進んだ』、「官邸は・・・甘利を守るため「甘利対策チーム」を発足」、やはり本気で守るつもりだったようだ。「法務省刑事局は・・・立件するには金額も小さすぎ、いざ、強制捜査しても起訴できない恐れがある、として慎重に捜査するよう特捜部にアドバイス」、いくら「陸山会」で手痛い失敗をしたとはいえ、余りに腰が引けている。
・『容疑事実が固まらず  あっせん利得処罰法違反に問うには、政治家や秘書が権限に基づく影響力を行使して口利きをした見返りに、報酬を得ていたことを立証する必要があった。議員立法で成立したこの法律は、審議の過程で与党議員らが要件を厳しくして適用のハードルを高くした経緯があった。法務省刑事局は、その事情を熟知しており、構成要件の勘所を特捜部と協議した。 特捜部は、甘利本人や元秘書、URの担当者らから事情聴取し、関連書類を押収したが、影響力の行使に関する具体的な証拠を得られなかった。そのため捜査は難航した。URが建設会社との交渉に応じたのは、道路工事を請け負ったゼネコンの現場所長が、建設会社を立ち退かせないと工事が進まない、とURに申し入れたためだったことも捜査で判明した。 文春の取材に協力した建設会社の総務担当者はその後退職し、自らも逮捕されることを恐れたか、特捜部の捜査に非協力的だった。 特捜部から捜査経緯の報告を受けていた法務省刑事局の幹部も「(元担当者は)金銭の授受についても『どうだったかな』と曖昧。隠し録音は、文春の取材が始まってから。『ある』としていたそれ以前のものはなかった。法律判断の前提になる事実があやふや。立件は無理だった」と周辺関係者に語った』、「建設会社の総務担当者は・・・自らも逮捕されることを恐れたか、特捜部の捜査に非協力的」、現在であれば、司法取引で事実を聞き出すことも可能だが、当時は無理だったのだろう。
・『着手の日程調整  本来、法務省で検察を所管するのは、黒川と同期の林がトップを務める刑事局だ。捜査上の問題点についても刑事局が掌握し、解決にも関与する。当時、法務省官房長だった黒川が担当したのは、法務省の政界担当として、国会の審議日程を睨み、審議の邪魔にならないよう強制捜査の日程調整などを行うことだった。 実は、この種の日程調整は、珍しくない。2001年に東京地検特捜部が元参院議員の村上正邦ら国会議員2人を逮捕したKSD事件の際も、法務省官房長の但木敬一が国会審議への影響を避けるため、特捜部長の笠間治雄に直接連絡をとって強制捜査の着手日をずらしてもらった。笠間はのちに「国会審議を尊重するのは当たり前。証拠は固まっていたし、着手日を遅らせても捜査には何の影響もなかった」と周辺関係者に語った。 KSD事件については、この後詳述する。 甘利事件の捜査について黒川が特捜幹部や刑事局と話をしたのか、それがどういう内容だったのかは明らかではないが、黒川が、官邸と検察の間に立って、強制捜査の着手日程の調整などのため、検察側と折衝したのは事実だろう。しかし、それは事件潰しとは違う。一種の行政的な判断にかかわる話だ』、「一種の行政的な判断にかかわる話」は当然としても、「事件潰しとは違う」は根拠薄弱だ。
・『法務省と検察の関係  検察捜査の実態や、検察と法務省の関係は、外部の関係者にはわかりにくい。それゆえ、誤解が生じやすい面がある。 捜査や公判など検察権を行使するのは検察庁に所属する検察官であり、法務大臣を補佐する法務官僚には検察権行使の権限はない。法務事務次官になる検事はいったん、検事を辞職して事務官になる。刑事局長以下の法務官僚は号俸に応じて最高検、東京高検、東京地検検事との併任になるが、検事の肩書はあっても大臣を補佐する行政官とみなされ、検察権行使の権限はないとされている。 その検察権行使は、一人の検察官が、国家意思である起訴、不起訴を決める建て付けになっている。起訴状の署名は、検事個人が行う。自らの良心と法と証拠のみに基づいて判断するという検察官独立の原則に基づくもので、検事は「独任官庁」と呼ばれる。ただ、起訴・不起訴の判断は必ず上司の決裁を得るので、実質的には普通の役所の事務と変わらない。 検察には、事件処理での間違いや全国的な不均衡が生じないようにするため「検察官同一体の原則」という正反対のルールもあり、それが上司の決裁の根拠となっている。この「同一体原則」に基づき検事総長を頂点に高検検事長、地検検事正は管轄する検察官を指揮監督する権限を持つ。 もし、主任検事と検察上層部の意見が対立したときは、総長、検事長、検事正が指揮監督権限を根拠に担当検事の事件を引き取って、自らの判断を通すか、あるいは他の検事に事件を配点する(担当として割り当てる)ルールになっている。もっとも、手続きが面倒なこのルールが使われることはほとんどなく、このルールをちらつかせて担当検事から事件を事実上、引き取ることが多い。 検事は「独任官庁」であることに誇りを持ち、辞めても弁護士になる道がある。例えば、黒川が特捜部長や副部長に、具体的な証拠のある事件で正面から「捜査をやめてくれないか」と頼んでも「検事総長に言ってくださいよ」とはねつけられるだけ。逆に、「あの野郎、政治家の手先になりやがった」と悪評をばらまかれるのがオチだ。 もっとも、証拠が完璧にそろい、起訴基準を十分に満たす事件はほんの一握りで、多くはその後の捜査で帰趨が決まる。そういう中で、特捜部長や副部長が「(検事の人事権を持つ)法務事務次官や検事総長になるかもしれない人だから」と忖度し、「証拠が薄い」とか「起訴基準に足りない」などと言って捜査の方向を変えることがないとはいえない。 ただ、その種の「捜査指揮」の話は必ずといってよいほど、前後して検察部内に広がり、外に滲み出してマスコミが知るところとなる。そういう環境で横紙破りをする「度胸」のある検察幹部は少ない。 当の黒川は、特捜事件の修羅場を幾度も経験し、こういう「捜査の機微」を熟知していた。甘利事件では、捜査の方向性にかかわる証拠や法律の判断は刑事局が主導していたことを見ると、黒川は、捜査の方向性よりも、摘発に伴う政治と検察のハレーションをいかに小さくするかに知恵を絞っていたのではないか、と思われる。 カネの授受が明らかな甘利事件について、政権が捜査を止める方法はあった。それは一体何なのか。つづきは『安倍・菅政権vs.検察庁』(単行本)でお楽しみください』、「甘利事件では、捜査の方向性にかかわる証拠や法律の判断は刑事局が主導していたことを見ると、黒川は、捜査の方向性よりも、摘発に伴う政治と検察のハレーションをいかに小さくするかに知恵を絞っていたのではないか、と思われる」、とあるが、「黒川」が「刑事局」に影響力を及ぼした可能性もある筈だ。

次に、この続きを1月11日付け現代ビジネス「何が起きていたのか…“官邸の守護神”の定年延長問題が与えた「大きな衝撃」 『安倍・菅政権vs.検察庁』(2)」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/78752?imp=0
・『2020年に大きな騒動となった黒川弘務・東京高検検事長の「定年延長」問題とは何だったのか? なぜ黒川は「官邸の守護神」と呼ばれるのか? 2016年に始まった安倍政権による法務・検察首脳人事への介入と検察側の抵抗。検察取材の第一人者が極秘情報を駆使してその全容を描いた『安倍・菅政権vs.検察庁 暗闘のクロニクル』(文藝春秋)より特別掲載!』、興味深そうだ。
・『検事総長含みの勤務延長人事  「定年延長です」 その短いメールが筆者に届いたのは2020年1月31日朝。2月7日に63歳の定年を控えた東京高検検事長の黒川弘務について、政府が、定年後も継続して半年間、勤務を延長すると決めた。そのことを、黒川に近い検察幹部が連絡してきたのだ。 この検事がいう「定年延長」は「勤務延長」のことである。定年を迎えた後、引き続き勤務することをいう。 この検事と筆者は、しばらく前から、定年を間近に控えた黒川の処遇のシミュレーションで、「退官」や「検事長のまま勤務続行」などの議論をしていた。その際、「定年後の勤務の延長」について「定年延長」という言い方で話していた。それゆえ、この検事は、勤務延長を「定年延長」と記して連絡してきたのだ。 それもあって、筆者はインターネット新聞「法と経済のジャーナル Asahi Judiciary」のコラムなどで1月31日以来、黒川の勤務延長について、「定年延長」と記してきた。ただ今回、書籍を編むに際し、正確な表現にすることにした。 日本の検察制度の基本法となる検察庁法は「検事総長は、年齢が65年に達した時に、その他の検察官は年齢が63年に達した時に退官する」(第22条)と定めている。定年の引き上げや勤務延長の規定はない。 この検察庁法22条に従い、検事総長をはじめ定年を迎えた検察官は例外なく退官してきた。検察官の勤務が定年後に延長されるのは前代未聞だった。そこまでして黒川を検察官の身分にとどめるのは、検事総長の稲田の後継に黒川を起用する含みがあるのは明らかだった。 電話で検察幹部から話を聞いた。 「(法務省が)国家公務員法で、検事でも定年(勤務)延長できる、と。とりあえず、現状維持。身分は検事長のまま。(黒川に)検事長として仕事をさせようということ。当面、ゴーンの身柄確保などに向けてやらねばならないことがある。稲田総長は5月に辞めるだろう。(黒川は)総長の話があれば断らない。天命と思って受けるだろう。稲田は林にちゃんと経緯を説明しなければならない」 法務・検察では、名古屋高検検事長の林が次期検事総長の本命とみられてきた。黒川が次期検事総長になると、誕生日の関係などから林が検察官のまま総長になる目はなくなる。 幹部が、林に対する稲田の「説明責任」に触れたのは、林が稲田から繰り返し、次期総長は君だ、と示唆され、それに向けて心の準備をしていた、と受け止めていたからだ。幹部の言葉からは、林にとって、信頼していた稲田の「変心」はさぞショックだろう、との惻隠の情も感じられた』、日本の組織では一般的なことだ。
・『勤務延長の理由は「業務遂行上の必要性」  法相の森雅子は2020年1月31日午前に開いた閣議後の記者会見で、黒川の「任期延長の理由」を質問され、以下のように答えた。 森法相:黒川検事長は、令和2年2月7日限りで定年に達するところでございますが、検察庁の業務遂行上の必要性に基づき、引き続き勤務させることを決定したものでございます。 答えは、あっさりしたものだった。しかし、それ以上、記者の突っ込みもなかった。森の言う「検察庁の業務遂行上の必要」とは何を指すのか。 黒川の勤務延長は、国家公務員法81条の3「その職員の職務の特殊性又はその職員の職務の遂行上の特別の事情からみてその退職により公務の運営に著しい支障が生ずると認められる十分な理由があるときは、定年退職日の翌日から起算して一年を超えない範囲内で引き続いて勤務させることができる」に沿って決定された。 東京高検検事長は、東京高検管内の検察事務を取り仕切る。中でも、重視されるのが、東京地検特捜部が捜査する重要事件の捜査や公判の指揮だ。当時、特捜部は、IR事業をめぐり、中国企業から376万円の賄賂を受け取った収賄容疑で衆院議員の秋元司を起訴し、追起訴に向けた捜査を続行中だった。その関連で外資系の大手カジノ業者の東京の拠点も捜索していた。 19年の暮れには、金融商品取引法違反(有価証券虚偽記載)や特別背任の罪で特捜部が起訴し、保釈中だった前日産自動車会長、カルロス・ゴーンがレバノンに逃亡。その身柄確保に向けた捜査にも傾注していた。 ゴーンから米国在住の親族に「日産マネー」が流れた疑いも浮上していた。IR事業をめぐる大手カジノ業者のカネの流れの解明も含め、米司法省に捜査協力をあおぐ必要があった。黒川は、法務省勤務を通じて米司法省の事情に詳しく、知己も豊富だった。 とはいえ、それらの捜査や外交折衝は黒川でなくてもできなくはない。勤務延長の本当の狙いが検事総長昇格に向けた「待機」であることは明白だった。森が述べた「業務遂行上の必要」との説明は、のちに、国会で「黒川でなければいけない検察業務などない」と追及を受けることになる』、「黒川でなければいけない検察業務などない」との追及は正論だ。
・『閣議決定の衝撃  黒川の勤務延長は、多くの法務・検察関係者やマスコミにとって衝撃のニュースとなった。 それが決まった1月31日、別の中堅検察幹部は「まずは、ひたすら『驚き』というのが平均的反応。何が起こったのか、起こるのか、理解が追い付かず、様子見というところでしょうか。ちょうど今夜、名古屋では(林の)ご栄転を前提の送別会が開催予定との未確認情報もあり、ちょっといたたまれない気持ちになります」と検察庁内の様子を伝えてきた。 旧知のNHKの元司法記者は「驚きましたー。こんなやり方があるのですね。林さんの目がこれでなくなったということですね。官邸介入と(いろいろなメディアによって)また書かれるんでしょうね。私は黒川さん、買ってるのですが」とのメールを筆者に寄せた。 東京地検特捜部副部長、同特捜部長、次席検事、検事正として政界汚職や大型経済事件を摘発した弁護士の石川達紘は「びっくりした。あんなことあるのかと。(検事総長は)黒川氏がいいのに決まっているが、林氏もいたたまれない。そっちも可哀そう。稲田総長が気を利かせて早めに辞めればよかったのに」と話した。 先に触れたように石川は、林が捜査を担当した第一勧銀の総会屋への利益供与事件、黒川が捜査を担当した新井将敬事件のころの東京地検検事正だ。2人を高く評価していた。 石川は、政府が国家公務員法にもとづき勤務延長したことについて「国家公務員法は適用範囲の広い一般法。検察庁法は特定の事項を定める特別法。特別法は一般法より優先されるのが普通の法律解釈だ」と指摘した。つまり、本来は検察庁法が想定する「定年がきたら退官する」との定年規定が優先され、検察庁法に規定のない勤務延長を国家公務員法を根拠に行うのは筋ワルだとみたのだ。 石川から特捜部長を引き継ぎ、金丸信元自民党副総裁の政治資金規正法違反や脱税事件を摘発した弁護士の五十嵐紀男はより深刻に受け止めた。 「勤務延長したのは、内閣が黒川氏を次期検事総長に据えようとしているということ。林氏を後継とする稲田総長の人事案が受け入れられなかったということだ。内閣はそこまでやるのか」と古巣を案じた。 「次期検事総長は林で決まり」となっていたはずがなぜ……。黒川の勤務延長決定後、林は数日間、姿を消した。何が起きていたのか。つづきは『安倍・菅政権vs.検察庁』でお楽しみください』、「石川は、政府が国家公務員法にもとづき勤務延長したことについて「国家公務員法は適用範囲の広い一般法。検察庁法は特定の事項を定める特別法。特別法は一般法より優先されるのが普通の法律解釈だ」と指摘した。つまり、本来は検察庁法が想定する「定年がきたら退官する」との定年規定が優先され、検察庁法に規定のない勤務延長を国家公務員法を根拠に行うのは筋ワルだとみたのだ」、今回は「黒川氏」が賭けマージャン問題で退任したので、問題にはならなかったが、「官邸」のシナリオ通りになっていれば、法的問題が残されるところだったようだ。

第三に、1月13日付け日刊ゲンダイ「黒川定年延長問題で「つい言い間違えた」答弁の官僚が出世」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/283794
・『また「ご褒美人事」か――。人事院が12日、森永耕造事務総長が退任し、後任に松尾恵美子給与局長を昇格させる人事を発表した。事務総長に女性が就任するのは初めてだ。 「松尾さんは早大法学部卒で、大学時代は司法試験を目指していたそうです。真面目な性格なので、国会で事実と異なる答弁をさせられてつらかっただろうと心配していましたが、論功行賞で出世なら、体を張って政権を守った甲斐があったということでしょうか」(霞が関関係者) 松尾氏が一躍、有名になったのは、“官邸の守護神”と呼ばれた黒川東京高検検事長(当時)の定年延長問題で紛糾した昨年2月の通常国会でのこと。「検察官に国家公務員法の定年制は適用されない」という1981年の人事院の国会答弁について野党から質問され、当初は「現在まで同じ解釈が続いている」と答弁したが、直後に安倍首相(当時)が解釈変更に言及すると、つじつまを合わせるように「法務省から相談があるまでは続いていた」と自身の答弁を撤回、修正したのだ。しかも「つい言い間違えた」と、あり得ない説明で安倍氏の答弁に追従した。 この問題で答弁席に立った松尾氏が、閣僚席の茂木外相から「帰れ!」と手で追い払うようなジェスチャー付きで自席に戻らされたり、答弁修正で放心した表情を浮かべていたことが記憶に残る』、こんなお粗末な答弁をしたのに、「安倍氏の答弁に追従した」ので、「事務総長に・・・就任」とは、ミエミエの論功行賞だ。
・『ますます蔓延しそうな忖度とゴマすり  つい言い間違えてしまう人物に組織のトップが務まるのか疑問だが、嘘をついて政権を守った官僚が出世する構図は、森友問題における論功行賞で国税庁長官に出世した財務省の佐川宣寿氏と同じ。こういう悪習も「安倍政権の継承」ということか。 くしくも、12日付の朝日新聞で始まった連載「未完の最長政権」では、官邸が人事権を掌握したことがコロナ対策にも影を落としている実態を伝えている。<「強すぎる官邸」を前に、官僚たちは直言や意見することを控えるように>なり、その結果がアベノマスクなどの迷走だというのだ。記事は<新型コロナの対策は未知のことばかり。こんな時こそ、霞が関の知恵を結集させるべきだが、それができていない>という事務次官経験者のコメントも紹介している。 安倍氏以上に強権的な菅首相に意見する官僚はおらず、それがコロナ対策の失態を招く一因になっているのは間違いない。松尾氏の昇進を見て、ますます忖度とゴマすりは蔓延するだろう。その代償を負わされるのは国民である』、全く同感である。
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