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働き方改革(その39)(NTT「3万人テレワーク」が日本経済に変革ドミノをもたらす、「初任給42万円」のサイバーエージェントはいい就職先か?、「休めない日本人」いまだ生み出す抵抗勢力の正体 小室淑恵「現役時代の休み方が定年後を決める」) [経済政策]

働き方改革については、6月11日に取上げた。今日は、(その39)(NTT「3万人テレワーク」が日本経済に変革ドミノをもたらす、「初任給42万円」のサイバーエージェントはいい就職先か?、「休めない日本人」いまだ生み出す抵抗勢力の正体 小室淑恵「現役時代の休み方が定年後を決める」)である。

先ずは、6月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「NTT「3万人テレワーク」が日本経済に変革ドミノをもたらす」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/305135
・『NTTグループは7月から、主要7社の従業員3万人規模にテレワークを導入するという。この取り組みは、日本経済と日本企業に変革を次々と起こしていく可能性を大いに秘めている。どんなことが起きていくのか、共に考えてみよう』、興味深そうだ。
・『NTTを褒める文章は初めて?「3万人テレワーク」で働き方が変わる  NTTという会社について、筆者が肯定的な文章を書くのは初めてかもしれない。1980年代の株式売り出しの頃から折に触れて注目しているので、かれこれ30年以上NTTおよびNTTグループについて見ていることになる。 NTTグループは、主要7社の従業員の半分となる約3万人を原則としてテレワークの働き方にして、国内のどこにでも居住できる制度を7月から導入する。勤務場所は自宅やサテライトオフィスなどとして、出社が必要になる場合は交通費・宿泊費等を出張扱いで支給する方針だという(「日本経済新聞」6月19日)。 いわゆる「IT企業」と呼ばれるような相対的に歴史の浅い会社でテレワークを導入している会社は多くあった。しかし、NTTのように歴史のある大企業がこれだけ大規模にテレワークを導入する事例は聞いたことがない。 率直に言って素晴らしいと思うし、間違いなく他の大企業にも影響が及ぶだろう。後退させずに実現してほしいものだ。 日経新聞の記事は、この施策を導入する理由を「優秀な人材の獲得につなげる」と説明している。エンジニア、マーケティング、企画などの優秀な人材は各社が欲しいと思っている。そのため、今回発表されたような自由度の高いテレワークを提供するNTTグループ各社に対抗するためには、同様の働き方を認めるか、より高い報酬を支払うか、何らかの対抗措置が必要になる。 本件の影響として、テレワークが一層普及すると見るのが、まずは妥当だろう。システム開発などのエンジニア人材をNTTのグループ企業と取り合う関係にある企業は数多ある。波及効果は大きいだろう。 テレワークについて、これまで通勤に要した「時間」だけを考えるとしても、効果は大きい。その時間が生産に使えたり、余暇時間の拡大につなげられたり、休養に充てられたりする。通勤による疲労やストレスがなくなる点も大事だ。まして、今回のNTTのテレワークなら自分の好きな場所に住めるのだ。個人にとって魅力は大きい』、「NTTのように歴史のある大企業がこれだけ大規模にテレワークを導入する事例は聞いたことがない。 率直に言って素晴らしいと思うし、間違いなく他の大企業にも影響が及ぶだろう」、「テレワークについて、これまで通勤に要した「時間」だけを考えるとしても、効果は大きい。その時間が生産に使えたり、余暇時間の拡大につなげられたり、休養に充てられたりする。通勤による疲労やストレスがなくなる点も大事だ。まして、今回のNTTのテレワークなら自分の好きな場所に住めるのだ。個人にとって魅力は大きい」、その通りだ。
・『NTT「3万人テレワーク」によって人事評価と報酬も変わる  テレワークの一般論として言われることだが、テレワークの下では仕事の成果によって個々の社員を評価するウエートが増えるはずだ。それ以外に納得性のある方法がない。そして、例えばシステムの開発者の場合、個人間の生産性には大きな差があるはずであり、報酬はこれを反映したものにならざるを得ない。 生産性に10倍の差があって、報酬は2倍しか違わないという状況が可視化されると、生産性の高い社員は納得しないだろう。その場合、他社でも同様のテレワーク環境が提供されていれば、転職に至る確率は高くなるはずだ。 テレワーク環境が当初はNTTグループ独自の魅力であっても、人材を取り合う状況になると、その条件は長く続かないだろう。 テレワークの普及は、人事評価の成果主義化を加速し、生産性の高い社員の報酬の上昇につながるとみられる』、「テレワーク環境が当初はNTTグループ独自の魅力であっても、人材を取り合う状況になると、その条件は長く続かないだろう。 テレワークの普及は、人事評価の成果主義化を加速し、生産性の高い社員の報酬の上昇につながるとみられる」、その通りだ。
・『テレワークが日本社会に浸透すれば「副業」も変わるだろう  付け加えると、テレワークは副業にもなじみがいい。現在のNTTグループの企業が、一気に社員の副業について全面解禁や副業推奨にまで向かうのかどうかは分からない。ただ、テレワークで時間と居住地が自由になれば、社員は副業を行うことが容易になる。仮にNTTが社員の副業に対して消極的だとしても、競合他社が副業に積極的になると、それに追随せざるを得なくなるのではなかろうか。 副業の普及は概ねいいことだ。社員の自由の拡大だし、収入機会の拡大でもある。また、副業がセカンドキャリアへのスムーズな移行を助けたり、場合によっては起業につながったりするケースも出てくるはずだ。いきなり独立するのではなく、副業の形で新しいビジネスを試すのは、リスクコントロール上有効な方法だ。 テレワーク拡大の副次的効果として、副業の普及にも期待したい』、「仮にNTTが社員の副業に対して消極的だとしても、競合他社が副業に積極的になると、それに追随せざるを得なくなるのではなかろうか。 副業の普及は概ねいいことだ。社員の自由の拡大だし、収入機会の拡大でもある。また、副業がセカンドキャリアへのスムーズな移行を助けたり、場合によっては起業につながったりするケースも出てくるはずだ。いきなり独立するのではなく、副業の形で新しいビジネスを試すのは、リスクコントロール上有効な方法だ」、その通りだ。
・『テレワーク浸透→転職コスト低下 次に来るのは「人材の流動化」  さて、多くの会社がテレワークを自由にしたら、社員から見ると就職先の立地の制約が緩和される分、転職のコストが下がる。しかも、人事評価は成果主義に傾き、報酬も生産性に応じてより弾力的になるので、社員の転職が増える要因になるだろう。 転職のコストが減少し、人材が流動化して再配置される機会が増えるのはいいことだ。労働者同士の競争が厳しくなるが、総体としては個人が自分の生産性を上げようとするモチベーションとして働くだろう。 また、企業同士が優秀な社員に対して提供する条件を競う関係になるので、賃金の上昇にもつながるだろう。企業間での人材獲得競争が盛んになることの効果は大きい。 また、テレワークで生産に関わる人物は、必ずしも「社員」である必要はない。社員のように働きつつも、企業と個人、あるいは大企業と個人会社のような契約関係を結ぶような自由度も、当事者がうまく活用すると双方にとってのメリットになり得る。また、「優秀な人材」は必ずしも日本国内に居住する者でなくてもいい。テレワークを前提に業務を組み立てることは、優秀な人材を探す範囲の拡大にもつながるだろう』、「テレワーク浸透→転職コスト低下 次に来るのは「人材の流動化」」、「テレワークで生産に関わる人物は、必ずしも「社員」である必要はない」、あり得るシナリオだ。
・『上級社員層にもようやく「資本主義」がやって来る  テレワークの普及で、今まで大企業に囲い込まれていた技術職の社員のような非流動的な人材層の待遇が弾力化し、雇用が流動化する。雇用が流動化する際に、人材はあたかも商品のように取引されることになる。 これまで日本では、比較的シンプルな労働に従事する非正規労働者や彼らと競合する層の正社員は、労働力が徹底的に商品化されて競争にさらされてきた。ところが、大企業の正社員はいったん入社すると数十年にわたるメンバーシップを持ち、個人の生産性の差をあまり反映しない報酬システムの下に安住していた。「労働力の商品化」の度合いは極めて小さかったといえるだろう。 しかし、テレワークの普及は、「(所得階層的に)上級社員層」にも労働力の商品化をもたらす要因として働く可能性がある。つまり、「上級社員層」にやっと資本主義化が及ぶわけだ。岸田文雄首相が勘違いしているように「新しい資本主義に移行する」というよりも、「新しく、資本主義がもたらされる」のである。 しかも、ここで生まれる人材流動化のいいところは、「会社間」にも厳しい競争がもたらされることだ。この競争によって、賃金の上昇が後押しされる可能性がある。似た事例としては、かつての外資系の投資銀行間の人材引き抜き合戦が、投資銀行マンの報酬の高騰をもたらしたことを想起してほしい。 会社間の人材獲得競争に自ら乗り出すことは、NTTのようにある程度人材を抱え込むことができている古参の大企業にとって短期的には有利でないはずだ。ただ、内外のIT企業などとの人材獲得・確保の競争状況を考えると、積極的に競争を仕掛けていかざるを得ない事態の切迫を感じたのだろう。 日本の上級社員層の間に「資本主義」が広がることは、経済の成長と活性化のために大変結構なことだ。テレワークの普及はその流れを後押しする一つの要因になるはずだ。 まさか、あのNTTがやってくれるとは思わなかった。大胆な決断に拍手を送るとともに、その実行がうまくいくことを祈りたい』、「日本の上級社員層の間に「資本主義」が広がることは、経済の成長と活性化のために大変結構なことだ。テレワークの普及はその流れを後押しする一つの要因になるはずだ」、同感である。

次に、7月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元氏による「「初任給42万円」のサイバーエージェントはいい就職先か?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/307023
・『サイバーエージェントが新入社員の初任給を42万円に引き上げた。一方、それと同時期に有名大企業の働き方に関するニュースも目にした。サイバーエージェントはいい就職先なのか。有名大企業との比較も交えて考えてみたい』、興味深そうだ。
・『「働き方」の二つのニュース 一つは良い、もう一つは残念  日本企業の経営と労働者の働き方に関わる二つのニュースが目についた。 一つは、ソニーグループ、キリンホールディングス、SOMPOホールディングスといった日本の主要企業が、社員のリスキリング(学び直し)で連携する協議会の設置が発表されたことだ。経済産業省と金融庁の支援の下に8月に「人的資本経営コンソーシアム」なるものを設置するという。社員が相互に兼業・副業する仕組みを設けたり、共同で学び直しの場を提供したりすることが検討されるらしい。 もう一つは、サイバーエージェントが2023年度の新入社員の初任給を42万円に引き上げることを発表したというニュースだ。22年春入社の社員と比べて2割を超える大幅な増額となる。人材獲得の競争が激化する中での、同社の経営戦略だ。 筆者は、一方を「良いニュース」だと思い、他方を「残念なニュース」だと思った。 ポジティブに解釈したのはサイバーエージェントの初任給引き上げだ。 率直に言って、新卒時点で相対的に優秀な社員を採用することの価値は極めて大きいはずだ』、確かに「サイバーエージェントが2023年度の新入社員の初任給を42万円に引き上げることを発表したというニュース」は確かに「良いニュース」ではあるが、私は2022年度や2021年度の入社組の給与との調整をどうするのかが気になった。
・『大企業批判を恐れて初任給だけ低くする日本の一流企業のつまらない慣行  典型的には工場と製造プロセスを経て製品ができるかつてのビジネスと、デジタル化された情報のハンドリングの巧拙やビジネス上のアイデアが成否を分ける近年のビジネスとではスピードが違う。そのため、「有能な個人」の価値が大きく異なり、かつ早くから影響が現れる。 知的能力でも、デザインなどのセンスでも、コミュニケーション力でも、「できる人材」と「普通の人材」の生産性の差は10倍以上違っていておかしくない。何はともあれ、初任給を上げて新卒採用マーケットで「買い負けしない」ようにしようという経営方針は素直でいい。 新卒のマーケットだけなのが残念だが、「普通の資本主義」(≒労働力の商品化)が実現することは、経済全体にとっても人的資源の効率的な配分の上で好ましい。 「初任給42万円(月額換算)」は年収換算で500万円と少々なので(サイバーエージェントの採用ホームページには「年俸制504万円」とある)、外資系の金融機関やコンサルティング会社などに対して競争力を持つほどではない。しかし、「大企業の厚遇批判」を恐れて初任給だけ低位にするような日本のつまらない一流企業の慣行を考えると(大卒の平均初任給は22万?23万円くらいだ)新入社員へのメッセージとしてインパクトを持つ。 大企業が初任給を大幅に引き上げるのは、(サラリーマン経営者は勇気がないから)それなりに大変なので、サイバーエージェントはいいポイントを突いたと思う。向こう2、3年くらいは有効な施策ではないだろうか。 初任給を不当に安く抑える現在の慣行のばかばかしさへの批判にもなっている点で、社会貢献でもある』、「「大企業の厚遇批判」を恐れて初任給だけ低位にするような日本のつまらない一流企業の慣行を考えると・・・新入社員へのメッセージとしてインパクトを持つ。 大企業が初任給を大幅に引き上げるのは、・・・それなりに大変なので、サイバーエージェントはいいポイントを突いたと思う。向こう2、3年くらいは有効な施策ではないだろうか」、「初任給を不当に安く抑える現在の慣行のばかばかしさへの批判にもなっている点で、社会貢献でもある」、同感である。
・『「人的資本経営コンソーシアム」の何がダメなのか  一方、人的資本経営コンソーシアムの構想は、関わる個々人にとっては「他社」が刺激となることで印象的なリスキリングの事例が生まれる程度のことは少々想像できるのだが、経営のあり方として全く魅力を感じない。このようなものに本気で期待する経営者がいるのだろうか。) もちろん、会社には「大人の事情」がある。同コンソーシアムの発起人企業として名を連ねた有名大企業(全てが文句なしの有名会社だ)の経営者たちも、経産省に旗を振られると「付き合わないわけにはいかない」ということだったのかもしれない。 しかし、例えば「発起人」に名を連ねるソニーや日立製作所の技術者が、キリンに出向してビール営業を体験することをどう考えるか。本人にとって新鮮な気付きがあるかもしれないが、出身会社にとって大きな価値を持つようには思えない。これは事例が意地悪すぎるかもしれないが、それでは、コンソーシアムの参加会社の社員が一緒に何らかの研修プログラムに参加することに、どのような意味があると考えるのか。 社員にどのような教育を提供し、それでどれだけの競争優位の要因をつくることができるかは、企業の経営にとって中核的な問題の一つだ。 他社との「コンソーシアム」のようなくだらないものに自社の社員のリスキリングを任せるくらいなら経営者は、事業と社員をまとめて売り払ってしまうか、無能な自分がさっさと引退するかした方がいい。 コンソーシアムには、企業の「人的投資」に対する一般的な情報の開示の基準を作る意図があるのではないかと推察する。ただ「まともな企業」は、自分たちがどれだけ社員の能力開発に対して投資を行っているのかを、自分たちの流儀で徹底的に公開・宣伝して独自に競うといい。世間の「基準」など待つ必要はない。基準は競争を通じて自ずと出来上がるはずであって、誰かが旗振りをする必要はない』、「「まともな企業」は、自分たちがどれだけ社員の能力開発に対して投資を行っているのかを、自分たちの流儀で徹底的に公開・宣伝して独自に競うといい。世間の「基準」など待つ必要はない。基準は競争を通じて自ずと出来上がるはずであって、誰かが旗振りをする必要はない」、その通りだ。
・『ソニーと日立の社員が同じ研修なら少なくとも一方の人事部は機能不全  若者は、どこの企業に就職すると自分の人材価値にどのようなプラス効果があるのかに敏感だ。若手だけではなく、中堅社員もある程度は気にしている。社員に対して企業がどれだけ、どのような内容に投資するのか。これについては、半ばカルテルのように「一緒に」やらせるよりは、企業間で大いに競争させるといい。 例えば、「○○社に就職すると、××××のような研修を受けることができて、これは自分のプラスになる(将来の転職にも役立つ)」といった立派な研修プログラムを持つことは、企業にとって大いにプラスになる。もちろん、スキルを身に付けた社員は「戦力」になるし、企業にとって差別化の源泉の一つになる。「他社と一緒にやろう」などと考える企業の未来には期待できない。 社員にどのような知識・スキルとマインドセットを持ってほしいのかについては、個々の企業で戦略を反映した違いがあって然るべきだ。例えば、ビジネスが近い2社だが、仮にソニーの社員と日立の社員が同じ研修を受けるのであれば、少なくともどちらかの人事部は「まともに機能していない」と考えた方がいいだろう。 このコンソーシアムは、官民の仲良しクラブの中では有意義な企画なのかもしれない。しかし、企業経営の次元では心から情けない。このプロジェクトに関わるサラリーマンの中間管理職諸氏には大いに同情する。 ともかく、経営者は大丈夫なのか。自社の中に競争力のある社員教育プログラムを持たないこと、社員に投資しないこと、社員への投資をアピールできないことは、経営者の無能力としか言いようがない』、「社員に対して企業がどれだけ、どのような内容に投資するのか。これについては、半ばカルテルのように「一緒に」やらせるよりは、企業間で大いに競争させるといい」、「自社の中に競争力のある社員教育プログラムを持たないこと、社員に投資しないこと、社員への投資をアピールできないことは、経営者の無能力としか言いようがない」、その通りだ。
・『人材の資本主義化を進めよう 生産性に見合う報酬と「クビ」の選択肢  近年、「生産性」という言葉を頻繁に聞くようになった。付加価値を生み出す効率というくらいの意味で捉えておくといいと思うのだが、個人の生産性に対する貢献には大差があり、その差は傾向として拡大している。 企業にとっての経済合理性から考えて、社員個人に対する報酬は、個人の生産(≒利益獲得)への貢献に見合ったものであるべきだ。価値を下回る見合わない報酬であれば、その社員は転職してしまう公算が大きい。真に「できる個人」には、社長の給料以上の額であっても報酬を払うくらいの柔軟性が必要なのだ。たぶん、サイバーエージェントのような会社では自然に理解されている事柄だろう。 稼ぎに貢献した社員に対して高額のボーナスその他を支払うことは元々外資系の金融機関などにはよくあることだ。有能な人材を確保するためには、貢献が期待できる有能な人材に対して好条件を提示できるのでなければならない。 一方、雇う側も間違えるし、雇う側と雇われる側の両方に見込み違いが生じる場合もある。 合理的なやり方は、期待値に基づいて雇ってみて、期待値に満たなかったらクビにするオプションも含めて条件を見直すことだ。もちろん、解雇には金銭的補償のルールが必要だが、「クビ」というオプションがあるかないかは、経営の効率性にとって極めて大きい。 また、率直に言って「クビ」があり得る職場とそうでない職場とでは、緊張感が違うので生産性に差がつく。職場としてストレスは増えるが、生産性は上がるはずだ。 現在の日本の雇用制度では、正社員を「クビ」にすることが難しい。しかも、社員間の報酬の差が小さい。企業は必然的に賃金に生産性が見合わない社員を抱えている。こうした社員がいわば「席を空けない」ことが、新しい社員の採用の邪魔になっている。また、雇ったらクビにできないことが「試しに雇ってみよう」のリスクとコストを高めるので、社会全体として人材移動が十分増えない。 転職と中途採用はかつてよりも盛んになったが、人材の流動性はまだまだ不十分だ。社会全体として、効率的な人材の再配置が行われる機会が乏しい。また、人材間の競争が不十分だ。 加えて、有能な人材を企業が取り合う形での報酬の上昇が起こりにくい。 「社員をクビにするオプションが必要、緊張感で生産性が違う、社員の報酬にもっと差があっていい、人材間の競争が必要」…。このように書いてみると、何やら自分が薄情で強欲な人になったような居心地の悪さを覚えるが、どうやら、わが国の成長が不十分であることや賃金上昇が十分でないことの背景には、人材の流動性の不足がありそうだ。 特に先の「コンソーシアム」に参加するような大企業にあって、わが国は十分「資本主義化」していない。資本主義は、労働力という商品によって、モノ・サービスを生み出す仕組みだが、はっきり言って「労働力の商品化」が、大企業層で不十分なのだ。 だから、人材の効率的再配置が不足するし、競争が不足する。そして、おそらく賃金も上昇しにくい。岸田文雄首相の言う「新しい資本主義」以前に、日本の会社や社会は「まだ十分に資本主義化していない」のである』、「日本の会社や社会は「まだ十分に資本主義化していない」、「「労働力の商品化」が、大企業層で不十分なのだ」、同感である。
・『「外資系金融のような職場は嫌だ」 そんな読者に想像してほしいこと  「外資系の金融機関のようなギスギスした職場は嫌だ」とお感じになる読者が少なくないと想像するが、二つの点について想像を巡らせてみてほしい。 まず、彼らのいささか高すぎるようにも思える報酬水準は、業界内の人材獲得競争によって生じたものだ。労働力という「商品」については、売り手側でも買い手側でも競争が生じ得る。日本の大企業労働者の賃金は、買い手側である企業側にあって競争が不十分なので上がりにくい一面がある。競争が十分に働く環境なら、多くのビジネスパーソンの給料はもっと高くていいはずなのだ。 もう1点、「クビ」がある職場は確かにギスギスするが、同一業界内で人材の流動性がある方が、クビになった場合に次の職場を探しやすい。就職先の「空席」が生じやすいし、「入れ替え」が起こることもある。「試しに雇ってもらう」ことがより容易になる。 人材に関して「資本主義化」を進めることによって、企業側にももっと競争させることが必要なのではないだろうか。 冒頭の問題に戻ると、採用の入り口の問題とはいえ、人材の競争的獲得に積極的に乗り出したサイバーエージェントの「初任給42万円」を歓迎したい。企業が進むべき方向に対して自覚的な同社は、求職者にとって、おそらくいい就職先であることだろう』、「人材に関して「資本主義化」を進めることによって、企業側にももっと競争させることが必要なのではないだろうか」、「人材の競争的獲得に積極的に乗り出したサイバーエージェントの「初任給42万円」を歓迎したい。企業が進むべき方向に対して自覚的な同社は、求職者にとって、おそらくいい就職先であることだろう」、同感である。

第三に、6月26日付け東洋経済オンラインが掲載した内科医・心療内科医の鈴木 裕介氏と、ワーク・ライフバランス代表取締役社長の 小室 淑恵氏による「「休めない日本人」いまだ生み出す抵抗勢力の正体 小室淑恵「現役時代の休み方が定年後を決める」」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/596725
・『会議時間とストレスの相関を調べた調査では、1日4件の会議参加を境に高ストレス者が急増する一方で、連続する会議で5分程度の休憩を挟む「会議間インターバル」と、7時間以上の睡眠時間を確保する「勤務間インターバル」2つの休みを取り入れることで、そのリスクを軽減できることが明らかになりました。(「ネット会議やたら多いエリートの体調が危ない訳」4月1日配信) 有給取得率が60%に到達せず、生理休暇の取得率は1%前後。「休めない日本人」と揶揄されるほど、日本では休暇を取らずに働きづめのビジネスパーソンが大多数です。 「休めない空気」を生み出す、抵抗勢力の正体は?テレワーク時代に求められる「休む技術」とは? 心療内科医/産業医として、「休めない日本人」に向き合い続けてきた鈴木裕介医師と、男性の育児休暇取得や勤務間インターバルなど、「休む」に関連する法律を政策提言し続ける中で、その抵抗勢力とも向き合い続けた、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役・小室淑恵氏が語り合いました』、興味深そうだ。
・『小室淑恵氏が「休む」ことの重要性を痛感した大失敗  鈴木 裕介(以下、鈴木):私は臨床現場で患者さんにお休みすることを提言する立場にいます。しかしこれまでの経験から、休むことに対して、申し訳なさや恥ずかしさ、恐怖といった心理的ハードルがあると感じてきました。 疲労がたまりすぎて危険な水域に入っていても、休職などまとまった休みを取ることに対する抵抗が強い方はとても多いです。ある方は、休職することに「目標や指示もない部署にいきなり放り込まれるような怖さ」を感じるとおっしゃっていました。これまでの日常から切り離されて、先の見えないところに飛ばされる恐怖があるのだと考えています。 また、その方の性格や状態にもよりますが、罪悪感を持たずに“ただ休む”ことができるようになるまでだいたい1カ月くらいはかかるんですね。 その後、やっと自分の体にとって休むことが大事だと実感できるんです。その経過を見ていると、休んでみないとわからないことがあるんだなと、常々患者さんから学んでいます。 小室 淑恵(以下、小室):私自身は元々は、仕事をどこで終わりにするか線が引けないタイプでした。前職では持ち帰りの仕事は当たり前。ですが、長男を出産後、同じスタイルは継続できないとすぐにわかりました。) 日中の育児に加えて夜中も続く授乳。当時は育児や仕事も、できるタイミングでできる限りやらないとと考えていました。しかしながら、睡眠が不足していくと、ちょっとしたことにネガティブな感情を抱くようになっていきました。そしてある日の夜中に、授乳のために起きたタイミングでメールチェックしてしまい、気になったことを指摘する社内向けに書いた強い口調のメールを、お客様に誤送信してしまったんです!!。大反省しました。 そこから生活スタイルを大転換しました。夜9時半には子どもと一緒に寝て、翌朝5時半に起きる生活にしました。授乳が必要な時には夫と交代制にするなど、もちろん育児の工夫もいろいろと凝らした結果、それまで喧嘩が増え続けていた家族関係も改善に向かったんです。大きなターニングポイントでした。睡眠、休息を取ることの大切さを痛感しましたね。休むことが物事の捉え方や認知の歪みも解消することを体感した時期でした。 鈴木:そうですね、まずご自身が休むことの必要性に気づいてもらうのはとても大切なポイントになります。 休むこと、睡眠不足に陥ると小室さんのような失敗が起こるのは、睡眠不足が、交感神経優位のバトルモード状態だからです。 交感神経は身体を興奮させ、動きを活発にする「バトルモード」で、副交感神経は身体をリラックスさせ、休んで元気をためる「休息モード」です。 人は「ここは安心だ」と思える環境や感覚を得て、自律神経が副交感神経優位の時になったときにのみゆっくり寝たりご飯を食べたりできるようにプログラムされているんですね。裏を返すと、睡眠不足とは「ここは安心だ」と思えない環境にいる状態で、言動も「バトルモード」になりがちです』、「元々は、仕事をどこで終わりにするか線が引けないタイプ」、「授乳のために起きたタイミングでメールチェックしてしまい、気になったことを指摘する社内向けに書いた強い口調のメールを、お客様に誤送信してしまったんです!!。大反省しました。 そこから生活スタイルを大転換しました。夜9時半には子どもと一緒に寝て、翌朝5時半に起きる生活にしました。授乳が必要な時には夫と交代制にするなど、もちろん育児の工夫もいろいろと凝らした結果、それまで喧嘩が増え続けていた家族関係も改善に向かったんです。大きなターニングポイントでした。睡眠、休息を取ることの大切さを痛感」、やはり大失敗をしないと気づかないようだ。
・『休むことに抵抗感が強い会社で最初にやる施策とは  小室さんは、ご自身の経験から、7時間以上の睡眠時間確保を目指す「勤務間インターバル」を政策提言されています。 しかし、経済同友会が、国内のスタートアップ企業について、一定条件のもとで「時間外労働の上限規制の適用対象から除外すべき」とする提言を発表したことが象徴するように、休むことへの抵抗勢力が、日本には根強く存在します。 企業の働き方改革コンサルティングの場面でも、そうした抵抗感の強い会社と対峙することも多いと思いますが、どのように向き合ってきたのでしょうか?) 小室:休むことに抵抗感が強い職場で最初にやる施策があります。それが「マニュアル休暇」です。全員が2週間程度のまとまった休みを取る練習をするんです。まず休みが取れたら何をしたいかを全員で書き出してもらいます。育児や介護などの理由がなくても、独身者も全員でカレンダーに休む予定を入れます。そして休む期間の仕事の引き継ぎの問題が発生するので、その際に利用するマニュアルを作成していくんです。マニュアルは、仕事を引き継ぐ側が書くと、いざその仕事をやってみる際に機能するマニュアルが作れます。 マニュアル休暇の効果はいくつかあります。独身/既婚・子どもの有無等にかかわらずみんなが休みを取ることによって、お互い様になるので肩身が狭くなく休めるようになります。また、マニュアル化が行われるので劇的に仕事の属人化が解消されます。個人商店的な雰囲気から、チームへの配慮も生まれます。 従来個人商店の働き方だと、誰かが困っていても助けられないので放っておくしかなかった状況が生まれてしまっていました。属人化を脱することが助け合える土壌を作るんです。 鈴木:土壌作り、マニュアルもできて一挙両得ですね。それは当院でもぜひやってみたいです。 ある日突然休職する方の傾向として、自分の都合よりも周りを優先して、環境や他者からの期待に完璧に近い形で従おうとする「過剰適応」傾向が挙げられます。そうした方の95%が、口癖のように「大丈夫です」と言ってしまうという結果が出ていますが、SOSを出すのが苦手な方にとっては、誰かが日常的に休暇を取得している状態というのは、安心して休暇を取得できますね』、「マニュアル休暇」、「全員が2週間程度のまとまった休みを取る練習をするんです。まず休みが取れたら何をしたいかを全員で書き出してもらいます。育児や介護などの理由がなくても、独身者も全員でカレンダーに休む予定を入れます。そして休む期間の仕事の引き継ぎの問題が発生するので、その際に利用するマニュアルを作成していくんです。マニュアルは、仕事を引き継ぐ側が書くと、いざその仕事をやってみる際に機能するマニュアルが作れます。 マニュアル休暇の効果はいくつかあります。独身/既婚・子どもの有無等にかかわらずみんなが休みを取ることによって、お互い様になるので肩身が狭くなく休めるようになります。また、マニュアル化が行われるので劇的に仕事の属人化が解消されます。個人商店的な雰囲気から、チームへの配慮も生まれます」、なかなかいい仕組みのようだ。
・『抵抗勢力を生み出す、アドレナリンの罠  休みやすい土壌作りができても、次にハードルになるのが、ストレスは自覚するのが難しく、そもそも休む必要性を感じづらい点です。 高ストレス者の57%が、自身が高ストレス者であることを自覚していないという結果が明らかになっています。 対策としては次のようなことが考えられます。開発者によって精度にばらつきはあり発展途上の領域ではありますが、声や自律神経など生体情報を活用したストレスチェックのアプリなども存在します。自身の感覚だけに頼らず、そうしたテクノロジーを活用するのも、選択肢の1つだと思います。 実はストレス状況下では、アドレナリンやコルチゾールなどの抗ストレスホルモンが分泌されることで、一時的にパフォーマンスが上がっていることが多いんですね。そうなると、ますますストレスを実感することが難しく、むしろ「調子がいい」とすら感じるので、注意が必要です。疲労感が伴わないまま、密かに進行する疲労というのがいちばん厄介です。 小室:このアドレナリンによる罠も、抵抗勢力が根強く存在する理由の1つです。 DawsonとReidの1997年の研究によると、人間の脳が集中力を発揮できるのは、起床から13時間以内で、それ以降は酒気帯び運転と同程度の集中力しか保てません。 さらに怖いのは、アドレナリンやコルチゾールによって、起きてから24時間を超えると集中力が一時的に上がってしまう点です。 ここで一時的に仕事が進んだ感覚を経験すると、それが強い成功体験になってしまいます。実際には朝起きて13時間から24時間までの11時間は、著しく生産性が落ちているわけですから、トータルで見た時には企業にとっても本人にとっても大きなマイナスなのですが、最後の数時間の記憶が、長時間労働を成功体験にしてしまい、休むことを軽視しがちです。 そうした背景もあり、私は7時間以上の睡眠時間確保を目指す「勤務間インターバル」を政策提言しています。 ストレスと密接な関係がある睡眠時間の確保を、法律で仕組み化することで、自覚できていないストレスにも対策可能にすることが狙いです』、「人間の脳が集中力を発揮できるのは、起床から13時間以内で、それ以降は酒気帯び運転と同程度の集中力しか保てません。 さらに怖いのは、アドレナリンやコルチゾールによって、起きてから24時間を超えると集中力が一時的に上がってしまう点です。 ここで一時的に仕事が進んだ感覚を経験すると、それが強い成功体験になってしまいます。実際には朝起きて13時間から24時間までの11時間は、著しく生産性が落ちているわけですから、トータルで見た時には企業にとっても本人にとっても大きなマイナスなのですが、最後の数時間の記憶が、長時間労働を成功体験にしてしまい、休むことを軽視しがちです。 そうした背景もあり、私は7時間以上の睡眠時間確保を目指す「勤務間インターバル」を政策提言しています」、確かに「起きてから24時間を超えると集中力が一時的に上がってしまう」、「トータルで見た時には企業にとっても本人にとっても大きなマイナスなのですが、最後の数時間の記憶が、長時間労働を成功体験にしてしまい、休むことを軽視しがちです」、確かに「勤務間インターバル」は有力な歯止め策のようだ。
・『抵抗勢力が押し黙る、データの正体  鈴木:小室さんは「一時的に仕事が進んだ感覚を経験した」抵抗勢力の方々に遭遇したときは、どのように向き合っていますか? 小室:2021年6月科学雑誌『ネイチャー』に、現役時代に 6時間以下の睡眠を続けた人は、定年後の認知症の発症率1.3倍、というデータが掲載されました。このデータを管理職研修などで紹介すると、場の空気が変わります。人生100年時代ということは、約40年も続く定年後の人生です。そのQOLを決めるのは、現役時代の働き方・休み方なのだ、ということですね。) また、抵抗勢力の人たちは「正義感が強い」ことも理解する必要があります。 以前「もし有休が取れたら本当は何をしたいか」をテーマに付箋を使ったワークショップを実施しました。 出てきた回答は「ライブに行きたい」「ディズニーランドに行きたい」など、もし休みが取れたらやりたいことが沢山ある!そんな思いが詰まった回答がたくさん出てきたんですね。 それを見た抵抗勢力だった人は驚かれていました。「休むよりも仕事をしたいと思っていたのは自分だけ?」とハッとしたと言います。 その方はみんなと一緒に成果を出したい、みんなの役に立ちたい気持ちが高い人でもありましたが、そこで初めて自分の考え方や行動が、みんなが休めない状況を作っていたことに気がついたんです。 悪気なく自分の考え方を強制していたことに最初はショックを受けていたようでした』、「もし休みが取れたらやりたいことが沢山ある!そんな思いが詰まった回答がたくさん出てきたんですね。 それを見た抵抗勢力だった人は驚かれていました。「休むよりも仕事をしたいと思っていたのは自分だけ?」とハッとしたと言います。 その方はみんなと一緒に成果を出したい、みんなの役に立ちたい気持ちが高い人でもありましたが、そこで初めて自分の考え方や行動が、みんなが休めない状況を作っていたことに気がついたんです。 悪気なく自分の考え方を強制していたことに最初はショックを受けていたようでした」、「抵抗勢力」は「みんなの役に立ちたい気持ちが高い人でもありましたが、そこで初めて自分の考え方や行動が、みんなが休めない状況を作っていたことに気がついたんです」、意外にも善人だったようだ。
・『権力と影響力を理解することは重要  鈴木:自分の背後に流れるパワー(権力)とその影響力を理解することは重要ですよね。自覚していなくても強制力を持ってしまったり、本音を聞けていなかったり。いつのまにか自分が権力側に立っていて、自分にとって耳当たりのいいことばかりしか耳に入らないようになってくる。これはとても恐ろしいことだと思います。 それに、「強者」だけでなく、「弱者」にあたる人の背後にもパワーが流れている、ということも重要な点だと思います。 最近では「心理的安全性」(注)の重要性が言われるようになって久しいですが、それを意識しするあまり上司が部下に何も言えなくなる場合が出てきて、かえってコミュニケーションの質が下がっているケースが少なくありません。「強者」と「弱者」は容易に入れ替わります。新しい仕組みやカルチャーを推進していくうえで、こうしたパワーの感覚への深い理解が欠かせないと思います』、「「心理的安全性」・・・を意識しするあまり上司が部下に何も言えなくなる場合が出てきて、かえってコミュニケーションの質が下がっているケースが少なくありません。「強者」と「弱者」は容易に入れ替わります。新しい仕組みやカルチャーを推進していくうえで、こうしたパワーの感覚への深い理解が欠かせないと思います』、「「強者」と「弱者」は容易に入れ替わります」、複雑な世の中になったものだ。
(注)「心理的安全性」:組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のこと。「チームの他のメンバーが自分の発言を拒絶したり、罰したりしないと確信できる状態」と定義(リクルートマネジメントソリューションズ))
タグ:働き方改革 (その39)(NTT「3万人テレワーク」が日本経済に変革ドミノをもたらす、「初任給42万円」のサイバーエージェントはいい就職先か?、「休めない日本人」いまだ生み出す抵抗勢力の正体 小室淑恵「現役時代の休み方が定年後を決める」) ダイヤモンド・オンライン 山崎 元氏による「NTT「3万人テレワーク」が日本経済に変革ドミノをもたらす」 「NTTのように歴史のある大企業がこれだけ大規模にテレワークを導入する事例は聞いたことがない。 率直に言って素晴らしいと思うし、間違いなく他の大企業にも影響が及ぶだろう」、「テレワークについて、これまで通勤に要した「時間」だけを考えるとしても、効果は大きい。その時間が生産に使えたり、余暇時間の拡大につなげられたり、休養に充てられたりする。通勤による疲労やストレスがなくなる点も大事だ。まして、今回のNTTのテレワークなら自分の好きな場所に住めるのだ。個人にとって魅力は大きい」、その通りだ。 「テレワーク環境が当初はNTTグループ独自の魅力であっても、人材を取り合う状況になると、その条件は長く続かないだろう。 テレワークの普及は、人事評価の成果主義化を加速し、生産性の高い社員の報酬の上昇につながるとみられる」、その通りだ。 「仮にNTTが社員の副業に対して消極的だとしても、競合他社が副業に積極的になると、それに追随せざるを得なくなるのではなかろうか。 副業の普及は概ねいいことだ。社員の自由の拡大だし、収入機会の拡大でもある。また、副業がセカンドキャリアへのスムーズな移行を助けたり、場合によっては起業につながったりするケースも出てくるはずだ。いきなり独立するのではなく、副業の形で新しいビジネスを試すのは、リスクコントロール上有効な方法だ」、その通りだ。 「テレワーク浸透→転職コスト低下 次に来るのは「人材の流動化」」、「テレワークで生産に関わる人物は、必ずしも「社員」である必要はない」、あり得るシナリオだ。 「日本の上級社員層の間に「資本主義」が広がることは、経済の成長と活性化のために大変結構なことだ。テレワークの普及はその流れを後押しする一つの要因になるはずだ」、同感である。 山崎 元氏による「「初任給42万円」のサイバーエージェントはいい就職先か?」 確かに「サイバーエージェントが2023年度の新入社員の初任給を42万円に引き上げることを発表したというニュース」は確かに「良いニュース」ではあるが、私は2022年度や2021年度の入社組の給与との調整をどうするのかが気になった。 「「大企業の厚遇批判」を恐れて初任給だけ低位にするような日本のつまらない一流企業の慣行を考えると・・・新入社員へのメッセージとしてインパクトを持つ。 大企業が初任給を大幅に引き上げるのは、・・・それなりに大変なので、サイバーエージェントはいいポイントを突いたと思う。向こう2、3年くらいは有効な施策ではないだろうか」、「初任給を不当に安く抑える現在の慣行のばかばかしさへの批判にもなっている点で、社会貢献でもある」、同感である。 「「まともな企業」は、自分たちがどれだけ社員の能力開発に対して投資を行っているのかを、自分たちの流儀で徹底的に公開・宣伝して独自に競うといい。世間の「基準」など待つ必要はない。基準は競争を通じて自ずと出来上がるはずであって、誰かが旗振りをする必要はない」、その通りだ。 「社員に対して企業がどれだけ、どのような内容に投資するのか。これについては、半ばカルテルのように「一緒に」やらせるよりは、企業間で大いに競争させるといい」、「自社の中に競争力のある社員教育プログラムを持たないこと、社員に投資しないこと、社員への投資をアピールできないことは、経営者の無能力としか言いようがない」、その通りだ。 「日本の会社や社会は「まだ十分に資本主義化していない」、「「労働力の商品化」が、大企業層で不十分なのだ」、同感である。 「人材に関して「資本主義化」を進めることによって、企業側にももっと競争させることが必要なのではないだろうか」、「人材の競争的獲得に積極的に乗り出したサイバーエージェントの「初任給42万円」を歓迎したい。企業が進むべき方向に対して自覚的な同社は、求職者にとって、おそらくいい就職先であることだろう」、同感である。 東洋経済オンライン 鈴木 裕介 小室 淑恵 「「休めない日本人」いまだ生み出す抵抗勢力の正体 小室淑恵「現役時代の休み方が定年後を決める」」 「元々は、仕事をどこで終わりにするか線が引けないタイプ」、「授乳のために起きたタイミングでメールチェックしてしまい、気になったことを指摘する社内向けに書いた強い口調のメールを、お客様に誤送信してしまったんです!!。大反省しました。 そこから生活スタイルを大転換しました。夜9時半には子どもと一緒に寝て、翌朝5時半に起きる生活にしました。授乳が必要な時には夫と交代制にするなど、もちろん育児の工夫もいろいろと凝らした結果、それまで喧嘩が増え続けていた家族関係も改善に向かったんです。大きなターニングポイントでした 「マニュアル休暇」、「全員が2週間程度のまとまった休みを取る練習をするんです。まず休みが取れたら何をしたいかを全員で書き出してもらいます。育児や介護などの理由がなくても、独身者も全員でカレンダーに休む予定を入れます。そして休む期間の仕事の引き継ぎの問題が発生するので、その際に利用するマニュアルを作成していくんです。マニュアルは、仕事を引き継ぐ側が書くと、いざその仕事をやってみる際に機能するマニュアルが作れます。 マニュアル休暇の効果はいくつかあります。独身/既婚・子どもの有無等にかかわらずみんなが休みを取 「人間の脳が集中力を発揮できるのは、起床から13時間以内で、それ以降は酒気帯び運転と同程度の集中力しか保てません。 さらに怖いのは、アドレナリンやコルチゾールによって、起きてから24時間を超えると集中力が一時的に上がってしまう点です。 ここで一時的に仕事が進んだ感覚を経験すると、それが強い成功体験になってしまいます。実際には朝起きて13時間から24時間までの11時間は、著しく生産性が落ちているわけですから、トータルで見た時には企業にとっても本人にとっても大きなマイナスなのですが、最後の数時間の記憶が、長時 確かに「起きてから24時間を超えると集中力が一時的に上がってしまう」、「トータルで見た時には企業にとっても本人にとっても大きなマイナスなのですが、最後の数時間の記憶が、長時間労働を成功体験にしてしまい、休むことを軽視しがちです」、確かに「勤務間インターバル」は有力な歯止め策のようだ。 「もし休みが取れたらやりたいことが沢山ある!そんな思いが詰まった回答がたくさん出てきたんですね。 それを見た抵抗勢力だった人は驚かれていました。「休むよりも仕事をしたいと思っていたのは自分だけ?」とハッとしたと言います。 その方はみんなと一緒に成果を出したい、みんなの役に立ちたい気持ちが高い人でもありましたが、そこで初めて自分の考え方や行動が、みんなが休めない状況を作っていたことに気がついたんです。 悪気なく自分の考え方を強制していたことに最初はショックを受けていたようでした」、「抵抗勢力」は「みんなの役 「「心理的安全性」・・・を意識しするあまり上司が部下に何も言えなくなる場合が出てきて、かえってコミュニケーションの質が下がっているケースが少なくありません。「強者」と「弱者」は容易に入れ替わります。新しい仕組みやカルチャーを推進していくうえで、こうしたパワーの感覚への深い理解が欠かせないと思います』、「「強者」と「弱者」は容易に入れ替わります」、複雑な世の中になったものだ。 (注)「心理的安全性」:組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のこと。「チームの他のメンバーが自分の発言
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