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健康(その21)(「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物、「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは、「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ) [生活]

健康については、4月16日に取上げた。今日は、(その21)(「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物、「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは、「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ)である。

先ずは、6月26日付け東洋経済オンラインが掲載したナビタスクリニック内科医師の久住 英二による「「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/599143
・『「緊張すると下痢をする」「知らない土地で便秘する」など、ストレスがかかるとお腹の調子が悪化する、という人は多い。だが、近年の研究によって、その“逆の矢印”も明らかになってきた。 つまり、腸内環境が劣悪な人は、それが脳に伝わり、精神や全身状態にマイナス影響が及んでしまう。気分の落ち込みや睡眠障害で困っているなら、自身のお腹の調子や食生活にも目を向けてみてはいかがだろう』、興味深そうだ。
・『善玉菌少ない人は「うつ病」リスクが上がる  精神的な負担がお腹に来てしまう【脳⇒腸】現象の代表例は、「過敏性腸症候群」だ。 ストレスなど心の不調が腸の神経を過剰に刺激して、慢性的な腹痛や下痢、便秘などをひき起こす。一般的な検査だと「異常なし」とされてしまうが、日本消化器病学会は、国民の10人に1人が該当する「よくある」疾患としている。 だが近年、医学の世界で熱視線を浴びているのは、逆方向の【腸⇒脳】神経ルートだ。わかりやすい例が、うつ病と睡眠だ。 2016年、うつ病患者の腸内は善玉菌の数が少ないことが、世界で初めて明らかとなった。国立精神・神経医療研究センター神経研究所と株式会社ヤクルトの共同研究だ。 うつ病の患者43人と健常者57人の便から腸内細菌を採取し、善玉菌として知られるビフィズス菌と乳酸桿菌の菌数を比較した。うつ病患者群は健常者群と比べてビフィズス菌が少なく、ビフィズス菌・乳酸桿菌ともに一定数以下の人が多かった。) これだけでは、うつ病が先か、腸内細菌の違いが先かはわからない。ただ、複数の動物実験で、無菌状態にしたマウスの腸内にうつ病の人の腸内細菌をそっくり移植したところ、マウスもうつ状態になった。 また、一般に細菌感染症の治療薬として使われる抗生物質は、病原体を殺すだけでなく、腸内の善玉菌も殺してしまう。 1993~2013年に15〜65歳のうつ病患者20万人超を対象に行われた英国の大規模研究では、1年以上前に抗生物質による治療を1回受けた人は、うつ病のリスクが23~25%高くなっていた。2~4回では40%増、5回以上では56%増と、治療回数とともにうつ病リスクは高まった』、「うつ病患者群は健常者群と比べてビフィズス菌が少なく、ビフィズス菌・乳酸桿菌ともに一定数以下の人が多かった」、「複数の動物実験で、無菌状態にしたマウスの腸内にうつ病の人の腸内細菌をそっくり移植したところ、マウスもうつ状態になった」、「細菌感染症の治療薬として使われる抗生物質は、病原体を殺すだけでなく、腸内の善玉菌も殺してしまう。 1993~2013年に15〜65歳のうつ病患者20万人超を対象に行われた英国の大規模研究では、1年以上前に抗生物質による治療を1回受けた人は、うつ病のリスクが23~25%高くなっていた。2~4回では40%増、5回以上では56%増と、治療回数とともにうつ病リスクは高まった」、「抗生物質による治療」で「善玉菌も殺してしまう」ので、「うつ病」になりやすくなったようだ。
・『「睡眠障害」「生活習慣病」「コロナ」も  うつ病と脳腸相関に関する研究をまとめた論文では、「抗生物質、慢性ストレス、貧しい食生活」は、いずれもうつ病の発生率を高めるとしている。腸内細菌のバランスを乱し、うつ病に典型的なパターンに変えてしまうためだ。 腸内細菌バランスを回復させるとうつ症状が軽減することも、観察されている。 睡眠障害も同様だ。 2019年には、腸内細菌に偏りがなく多様性に富む人では、睡眠の質と睡眠時間が向上し、途中覚醒が減少するという研究が発表された。腸内細菌の種類が多いほど、「インターロイキン6」という分泌物の濃度が高かった。 インターロイキン6は、さまざまな免疫反応を活性化させる作用のあるサイトカイン(生理活性たんぱく質)の一種だ。睡眠障害やうつ病の人ではインターロイキン6の血中濃度が低いことが、以前から指摘されていた。 このほか、さまざまな神経障害や肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの生活習慣病にも、腸内細菌バランスの乱れが潜んでいるとの研究がある。 さらには新型コロナまでも、その影響を免れない。 新型コロナ患者では、2割の患者に胃腸症状が報告されている。感染すると特定の腸内細菌が増え、結腸の細胞の働きが変化し、ひいては腸内細菌バランスを崩してしまう。 その影響が脳に伝わり、新型コロナによる脳のダメージを深刻にする、という悪循環の可能性が指摘されている。 ここまで読んできて、「腸内で起きていることの影響が、どうやって脳に伝わるの?」と不思議に思われたのではないだろうか。 アメリカ・ジョンズホプキンス大学によれば、食道から直腸までの消化管は、1億個を超える神経細胞から成る2層の薄い膜で覆われている。この「腸管神経」は、情報伝達物質(ホルモン、サイトカイン等)や免疫系など複数の経路を介して、脳と双方向ネットワークを形成し、密接に影響しあっているという。 腸からは以下のような情報伝達物質等が放出されている』、「腸内細菌バランスを回復させるとうつ症状が軽減することも、観察されている。 睡眠障害も同様だ」、「さまざまな神経障害や肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの生活習慣病にも、腸内細菌バランスの乱れが潜んでいるとの研究がある」、「新型コロナ患者では、2割の患者に胃腸症状が報告されている。感染すると特定の腸内細菌が増え、結腸の細胞の働きが変化し、ひいては腸内細菌バランスを崩してしまう。 その影響が脳に伝わり、新型コロナによる脳のダメージを深刻にする、という悪循環の可能性が指摘」、「腸内細菌バランス」はやはり健康のカギとなるようだ。
・『●脳内で不足するとうつ病を発症するとされている「セロトニン」 ●やる気ホルモン・幸せホルモンとも称される「ドーパミン」 ●ストレスを減らすアミノ酸として注目されている「GABA」 ●免疫システムに働きかけて炎症を抑える「酪酸」などの「短鎖脂肪酸」(短鎖脂肪酸には悪玉菌を減らす働きも) つまり腸は、単なる食べ物の消化器官にとどまらず、脳と同じように電気信号を発し、やり取りする、神経系の重要な臓器でもある。まさに「第二の脳」だ。 こうした【脳⇔腸】双方向のやり取りは「脳腸相関」「脳腸軸」と呼ばれ、この5~10年で大いに注目されてきた。精神障害や神経障害、生活習慣病等の予防・治療につなげようという動きもある。 この脳腸相関に必須のプレーヤーが腸内細菌だ。というのも、先に挙げた情報伝達物質等の作り手こそ、腸内の善玉菌なのである』、「腸は、単なる食べ物の消化器官にとどまらず、脳と同じように電気信号を発し、やり取りする、神経系の重要な臓器でもある。まさに「第二の脳」だ。 こうした【脳⇔腸】双方向のやり取りは「脳腸相関」「脳腸軸」と呼ばれ、この5~10年で大いに注目されてきた」、「腸」は確かに「第二の脳」だ。
・『脳腸相関を生み出す「腸内細菌叢」という臓器  脳腸相関がわかってきた背景には、「メタゲノム解析」の発展がある。従来のゲノム解析では、細菌を1つひとつ分離・培養して個々のゲノム(DNAに含まれるすべての遺伝情報)を調べ、特徴を把握するしかなかった。 しかし、ヒトの腸内は、500~1000種類の腸内細菌が100兆個もひしめき合って「腸内細菌叢」(腸内フローラ)を形成している。ゲノム解析の積み重ねによって腸内細菌叢の全体像をつかむことなど、到底現実的ではなかった。 技術革新により実現したメタゲノム解析では、腸内細菌叢のDNA配列を網羅的に決定する。ゲノムがどの微生物由来かはわからないが、腸内細菌叢全体でどのような機能を持つのかは調べられるようになった。 そうして見えてきたのが、【脳⇒腸】方向の情報伝達を含む脳腸相関という現象だ。そして、集合体としての腸内細菌叢が、それ自体“臓器”と言っていいくらいヒトの生命活動に重要な役割を果たしている、という事実だ。) 健康な人の腸内細菌叢では、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7くらいの割合が保たれていることもわかった。 「日和見」菌はその名のとおり、環境によって良くも悪くも働く菌の総称だ(そもそも「善玉」菌とか「悪玉」菌とかいうのも、単にヒトにとって都合がいいかどうかで決まる俗称にすぎない)。 この三者のバランスが崩れると、悪玉菌優勢となって分泌物質のバランスも崩れ、脳腸相関を通じて脳や全身に悪影響を及ぼすことになる』、「腸内細菌叢では、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7くらいの割合が保たれている」、「この三者のバランスが崩れると、悪玉菌優勢となって分泌物質のバランスも崩れ、脳腸相関を通じて脳や全身に悪影響を及ぼすことになる」、なるほど。
・『「汚れた腸」が決して大袈裟じゃないワケ  悪玉菌優勢のサインは、便を見れば一目瞭然だ。 大腸で水分を吸収しきれないうちに排泄されると、「軟便」や「下痢」となる。逆に、大腸での滞在時間が長すぎて水分が過度に奪われるのが「便秘」で、色の濃い、コロコロした硬い便になっていく。 どちらの場合でも、硬さの問題だけでなく、においも明らかにキツくなる。悪玉菌がタンパク質や脂肪分をエサに、腐敗物質を作り出すからだ。腐敗物質は体にとって毒素であり、腸の壁から吸収されて全身に悪影響を及ぼす。 お腹が痛かったり、張ったり、ゴロゴロしたりする。臭いおならが出たり、ひどいと吐き気がしてきたり……想像しただけで、なんだか気分が悪くなってきた(脳腸相関)。 さて、もうおわかりだろうが、「汚れた腸」とは「腸内細菌バランスが乱れ悪玉菌優勢となった腸」のことだ。便の状態とイコールと考えれば、「汚れた」という表現も決して大袈裟ではないと思う。 腸内細菌叢の状態が良好なら、便は茶色く、臭いも強過すぎない。バナナ型で水分は8割くらい、かたすぎずユルすぎず、いきまなくてもスッキリ2~3本出る。健康な便は「キレイな腸」の証しだ。 では、そんな「キレイな腸」を手に入れるにはどうしたらいいのか? 多くの人は、「乳酸菌」「ビフィズス菌」など善玉菌の入った食品やサプリメントを思い浮かべるだろう。 たしかに、食べ物やサプリで善玉菌を外から補充しても整腸作用を得られることは、古くから経験的に知られている。 死菌でも効果はあるようだが、特に生きた善玉菌は「プロバイオティクス」とも呼ばれ、便秘や下痢、乳糖不耐症、過敏性症候群など、腸トラブルの改善が期待できる。) のみならず近年の研究から、炎症反応を抑え、免疫機能の正常化を助けて、糖尿病、皮膚炎、神経障害、睡眠障害等の症状の改善や、感染防御、アレルギーの抑制といった効果が得られることもわかってきた。 ただし、単一のプロバイオティクスをサプリで摂り続けることは、お勧めしない。有害でなくても、おそらくコストに見合う効果は得られないからだ。 アメリカの最新研究では、18~43歳の健康な男女30人を2グループに分け、単一種のプロバイオティクス(乳酸菌)と偽薬をそれぞれ30日間摂取した後、便を調べた。結果、両グループで腸内細菌叢の多様性には十分な差が見られなかった。 外から入れたプロバイオティクスは、腸内に定着しないようだ。また、善玉菌の種類によっては、一時的に増えたものもあれば、減ったものもあった。しかも、摂取をやめて1カ月ほどで通常レベルに戻ってしまった。 「それだけ摂っていればキレイな腸を維持できる」サプリなどないのだ。 複数のプロバイオティクスを含むサプリもあるだろうが、それでも限られた種類を取り続けることになる。やはり自然界の多様性にはかなわない』、「悪玉菌がタンパク質や脂肪分をエサに、腐敗物質を作り出すからだ。腐敗物質は体にとって毒素であり、腸の壁から吸収されて全身に悪影響を及ぼす。 お腹が痛かったり、張ったり、ゴロゴロしたりする。臭いおならが出たり、ひどいと吐き気がしてきたり……」、なるほど。
・『お金をかけず「腸活+脳活+楽しみ」を手に入れる  サプリにお金をかけなくても、プロバイオティクスを摂れるお手軽な方法がある。ヨーグルトや納豆、みそ、ぬか漬け、キムチなどの発酵食品(乳酸発酵)を、偏らずにいろいろと、適量ずつ毎日食べよう。 また、プロバイオティクスを増やし、腸内細菌叢の機能を高めるには、エサとなる「プレバイオティクス」が必要となる。プレバイオティクスの代表例は、食物繊維やオリゴ糖だ。 食物繊維は野菜、果物、豆類、キノコ類などに多く含まれる。特に、腸内細菌が分解しやすく短鎖脂肪酸を生み出しやすい「水溶性食物繊維」を意識して摂るといい。 水溶性食物繊維の豊富な食品としては、大麦(押麦等)、大豆(納豆、きな粉等)やいんげん豆などの豆類、らっきょう、ごぼうやかぼちゃなどの根菜類、いも類、海藻類、果物などがある。 オリゴ糖は、豆類、たまねぎ、ねぎ、ごぼう、アスパラガス、ブロッコリー、カリフラワー、アボカド、バナナなどの食品に多く含まれる。「特定保健用食品」として市販されてもいるので、食事の際に砂糖をオリゴ糖に置き換えて使うと効率的に摂取できる。 というわけで腸をキレイにする食べ物、私のイチ推しは「押麦ごはん+納豆」だ。どうしても外食ばかりという人も、ご飯には納豆を1品追加されたい。納豆が苦手なら、「ヨーグルト+オリゴ糖」をおやつにしよう。 嫌いなものを無理に食べ続けたり、サプリでお腹いっぱいにしたりする必要はない。正しい知識に基づいて、おいしく腸活をしていこう。食べる楽しみと脳活まで手に入る。私のような欲張りにはピッタリだ』、「納豆を1品追加されたい。納豆が苦手なら、「ヨーグルト+オリゴ糖」をおやつにしよう」、これなら簡単にできそうだ。

次に、8月7日付けNewsweek日本版が転載したPRESIDENT Online:アンデシュ・ハンセン氏による「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/lifestyle/2022/08/post-99292_1.php
・『うつの予防、治療には何が有効なのか。スウェーデンの精神科医、アンデシュ・ハンセンさんは「多くのうつの患者を診察する中で、運動をしている人はうつが治りやすいのではないかと気付いた。さまざまな研究をみると、運動には抗うつ効果があることがわかってきている」という――。 ※本稿は、アンデシュ・ハンセン『ストレス脳』(新潮新書)の一部を再編集したものです』、「運動には抗うつ効果がある」、とは毎日、散歩をさんざんしている私には嬉しくなる話だ。
・『患者を診ていて気付いた「運動の抗うつ効果」  私たち医療従事者は患者と接しているうちにパターンが存在することに気づく。この人は治りそうだが、あの人はあまり上手くいかないだろう、といったことを感じるようになるのだ。しかし、その直感に頼りすぎるのもいけない。たまたまかもしれないし、自分が常々思っていることを裏づけるケースほど記憶に残りやすいものだ。 しかし2010年頃に気づいたのが、うつの患者で運動をしている人たちは病院に戻ってこないことだった。何度か受診しただけで、そのあとはもう見かけないことが多かった。そのせいで、運動には抗うつ効果があるのではないかと思い始めた。 研究を調べてみると、驚いたことにまさにそのとおりなのだ。ここ10年、運動によってうつを治療する研究が多数行われてきた。私が一番驚き、かつ最も重要だと思うのは、うつの予防、つまり運動でうつになるリスクを下げられるという研究結果だ』、「最も重要だと思うのは、うつの予防、つまり運動でうつになるリスクを下げられるという研究結果」、なるほど。
・『自転車テストとうつの関係  6分間全力で自転車を漕いでから、力の限り握力測定器を握る。その結果から今後7年間にあなたがうつになるかどうかがわかると思うだろうか。 10年前の私は、握力やエアロバイクの結果と自分が今後うつになるかどうかに関連があるなんて到底信じられなかった。別のリスク要因──例えば仕事を失うとか、パートナーに別れを告げられるとか、家族が病気になるとか、といったことならわかる。だけど握力測定器のハンドルをどのくらい強く握れるかで? そんなことが関係あるわけない! そう思ったものだ。しかし今では考えが変わった。 イギリスで15万人の被験者がエアロバイクによる有酸素運動と握力測定の簡単なテストを受け、うつや不安の症状に関する質問にも答えてもらった。7年後にまた調査をしたところ、状態が良くなっていた人もいれば、悪くなっていた人もいた。うつの基準を満たすほど悪くなっていた人もいた。 興味深いのは、精神状態の変化と7年前のエアロバイクのテスト結果に関連性があったことだ。うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低かった。 別の言い方をすると、身体のコンディションの良い人はうつになるリスクが半分ほどに減り、不安に襲われるリスクも低かった。同じことが握力についても言え、数値の高い人のほうがうつや不安障害のリスクが低かった。しかしコンディションの良し悪しほど、はっきりした違いはなかった。 つまり、うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低いわけだ』、「うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低い」、なるほど。
・『さまざまな条件で行われた研究  ここで底意地の悪い言いがかりをつけてみよう。コンディションの良い人は元々健康で、飲酒量も少なく、口に入れる食べ物にも気を遣っているはずだ。だからライフスタイル要因がうつのリスクを低めていてもおかしくない。 そこで研究者たちはデータから年齢や喫煙の有無、学歴、収入といった項目の偏りを調整した。それでも同じ傾向が見られた。研究者たちはさらに、研究開始時にすでにうつや不安障害を抱えていた被験者は除いた。それでも、やはり結果は同じだった。 先述のとおり、どこまでが正常な範囲内の気分の落ち込みで、どこからがうつなのかには、はっきりした線引きがない。ということは、その研究結果もどこで線引きをしたかによって変わってくるのでは? 研究者たちはそこで、どこからがうつかという線引きを色々と変えてみた。それでもやはり同じ傾向が見られた。 あれこれやってみても、身体のコンディションの良い人はうつになるリスクが低かった。それに運動がうつのリスクを下げるという研究は他にも多数あり、これはその1つにすぎない。 ところで、現在わかっていることの全体像をつかみたければ、個別の研究だけに着目していてはいけない。たとえそれが15万人規模の研究であったとしてもだ。研究界のルールでは「1件など0件に等しい」のだから、いくつもの研究をまとめた分析、いわゆるメタ分析をしなくてはいけない。 運動でいかにうつを改善できるかという研究は、2020年には複数の研究をまとめた研究をさらにまとめた研究まで発表されるほどの規模になった。つまりメタ・メタ分析だ。その結果は──運動はうつの症状を軽減させる。確認された効果については研究の手法によって異なり、結果として高いものから低いものまであった。 若者の精神的不調に警鐘を鳴らす報告の数々を考えると、同じことが子供や若者にも言えるのかどうかが気になる。それがそのとおりなのだ。2020年に発表されたメタ・メタ分析では、運動が子供や若者のうつのリスクを下げることが示され、包括的な効果は中程度だった。それでは高齢者はどうだろうか。それもやはり同じ結果だった』、「2020年に発表されたメタ・メタ分析では、運動が子供や若者のうつのリスクを下げることが示され、包括的な効果は中程度だった。それでは高齢者はどうだろうか。それもやはり同じ結果だった」、なるほど。
・『なぜ運動が効果をもたらすのか  運動がなぜそこまで私たちの精神状態に影響を与えるのかを見てみよう。 先述のとおり、長期的なストレスはうつのリスク要因だ。私たちの身体の中で最も中心的なストレスシステムはHPA系(注)と呼ばれ、その存在は生物の歴史を何千万年も遡ることができる。HPA系を備えているという点では、人間も背骨をもつあらゆる動物──サル、イヌ、ネコ、ネズミ、トカゲ、そしてなんと魚まで──と同じなのだ。
(注)HPA系:、視床下部、下垂体、副腎の間でフィードバックのある相互作用を行い制御している神経内分泌系(Wikipedia)
・『アクセルにもブレーキにもなるコルチゾール  HPA系というのはたった1つの器官でできているのではなく、身体と脳にある3つの部分が互いにコミュニケーションを取っているシステムだ。 まず視床下部(H=hypothalamus)が脳の下部にある分泌器、下垂体(P=pituitary gland)へとシグナルを送り、さらに下垂体から副腎(A=adrenal glands)にシグナルが送られる。すると副腎がコルチゾールというホルモンを放出する。コルチゾールの役割はエネルギーを動員することだ。例えば朝はコルチゾールのレベルが上がるのだが、それはベッドから起き上がるためにエネルギーが必要だからだ。 しかしコルチゾールはストレスを感じている時にもレベルが上がる。ストレスを受けるとHからPそしてAへシグナルが送られ、コルチゾールのレベルが上がるのだ。と言うと単純に聞こえるかもしれないが、実際のHPA系は非常に複雑だ。フィードバックのループがいくつもあり、自分で自分にブレーキをかけることもできる。というのも、コルチゾールのレベルが上がると視床下部と下垂体の活動が抑えられる。 コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する。これが車であれば、同じペダルがアクセルとブレーキ両方の役割を果たすようなものだ。アクセルを踏みすぎると今度はブレーキがかかるというわけだ』、「コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する」、かなり高度な機能なようだ。
・『運動の後、コルチゾールが下がる  精神医学の研究において重要な発見の1つに、このHPA系の活動がうつになるとたいてい変化するというものがある。その理由を考えてみる価値はあるだろう。ひょっとするとこの重要な発見は、身体と脳の両方──HPA系は両方にまたがっているから──で起きている現象なのかもしれないのだから。 一般的には、うつになるとHPA系の活動が活発になりすぎる、つまりコルチゾールのレベルが高くなりすぎる。実際、ほとんどの抗うつ治療は薬も含めてHPA系の活動を平常化するものだ(ただし、薬によってHPA系のどこに作用するかは変わる)。 しかしHPA系を平常化するのは薬だけではない。運動もそうだ。アクティブに身体を動かすことで過剰に活動しているHPA系を落ち着かせることができるのだが、それは長期的に運動すればの話だ。 短期的には、ましてや自分に鞭打って激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発になってしまう。身体にしてみれば運動そのものがストレスだからだ。つまり外に出て走り出すと血中のコルチゾールのレベルは上がるが、走り終えたあとは下がり、走る前よりも低くなる。コルチゾールはその後1時間から数時間ほど低いレベルにとどまる。よく運動のあとに感じる心の落ち着きはそのせいなのだ』、「激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発に」、「走り終えたあとは下がり、走る前よりも低くなる。コルチゾールはその後1時間から数時間ほど低いレベルにとどまる。よく運動のあとに感じる心の落ち着きはそのせいなのだ」、よくできた仕組みだ。
・『運動がストレスのブレーキを強化する  数週間定期的に運動するうちに、HPA系の活動はゆっくりと落ち着いていく。そうすると運動のあとだけでなく、もっと長くその状態が続くようになる。HPA系にいくつもブレーキがあるせいかもしれない。中でもとりわけ重要な2つのブレーキが、記憶の中枢として知られる海馬と、額の内側にあり抽象概念や分析的思考を司る前頭葉だ。 海馬と前頭葉はどちらも運動によって強化される。海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ。HPA系が自分の活動に対してより敏感になるということだ。それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される』、「海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ・・・それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される」、本当によく出来た仕組みだ。
・『運動の炎症抑制効果  うつというのは様々な神経生物学的プロセスによって引き起こされる多様な状態の総称だ。HPA系の活動が過剰になる以外に、すでに書いたように体内の炎症も関係してくる。また、神経伝達物質であるドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルが低いこと、そして脳の「肥料」であるBDNF(脳由来神経栄養因子)のレベルが低いこととも関連づけられる。おまけに島皮質(側頭葉に接していて、感情に重要な役割を果たす)の活動が変化し、扁桃体が活発になる。 そういったメカニズムは複数起動する可能性があり、多かれ少なかれうつ患者に大きな影響を与えている。だから、その患者はドーパミンが少なすぎるとか、扁桃体が活発すぎるとか、炎症を起こしすぎているからだとか断定することはできない。しかし運動に関して言うとそれは問題にはならない。どの要因であっても運動にはたいてい真逆の機能があるからだ。 運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ、BDNFのレベルも上げる。長期的には炎症を抑える効果もある。なぜかと言うと、運動することによってエネルギーが消費され、そのエネルギーの一部は免疫系から奪われてくるので免疫系の活動が抑えられる。 それは良くないように思うかもしれないが、慢性的な炎症というのはたいてい免疫系が過剰に活動しているせいなのでそれで良いのだ。活動が活発すぎるのを運動が落ち着かせてくれるのだから』、「運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ、BDNFのレベルも上げる。長期的には炎症を抑える効果もある」、結構づくめだ。
・『運動ほど抗うつ効果があるものはない  運動はまた、海馬に新しい脳細胞ができるスピードを上げ、HPA系を平常化させる。他にもまだまだあるが、言いたいことはもうわかってもらえたと思う。生物学的見地から言うと、うつに対して運動ほど真逆に働きかけるものは思いつかない。 アンデシュ・ハンセン『ストレス脳』もう1つ、運動の抗うつ効果を理解するためには感情がどのようにつくられるかを考えてみるのもいい。先に説明したとおり、感情とは島皮質が知覚刺激と体内で起きている状態をまとめたものだ。つまり、あなたの感情の状態は身体の外と内からのシグナルを材料にしてつくられる。 一方、運動をすると身体の各器官や組織が強化される。血圧、血糖値、コレステロールが安定し、肺の酸素供給能力も向上し、心臓や肝臓が強化される。そのおかげで脳には今までよりも良いシグナルが届いた上で感情をつくることになる。そうすると不快な感情よりも、心地良い感情がつくられる可能性が高くなる。 実際、運動はうつを予防するためにできる最も重要なことの1つなのだ。 (アンデシュ・ハンセン氏の略歴はリンク先参照)』、「運動をすると身体の各器官や組織が強化される。血圧、血糖値、コレステロールが安定し、肺の酸素供給能力も向上し、心臓や肝臓が強化される。そのおかげで脳には今までよりも良いシグナルが届いた上で感情をつくることになる。そうすると不快な感情よりも、心地良い感情がつくられる可能性が高くなる。 実際、運動はうつを予防するためにできる最も重要なことの1つなのだ」、「運動」の効果がここまで大きいとは初めて知った。

第三に、8月8日付けPRESIDENT BOOKSが掲載した精神科医・国際医療福祉大学赤坂心理学科教授の 和田 秀樹氏による「「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/60263
・『2022年上半期(1月~6月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった記事ベスト5をお届けします。健康部門の第4位は――。(初公開日:2022年2月15日) 『70歳が老化の分かれ道』が話題の精神科医・和田秀樹氏がセブン‐イレブン限定書籍『40歳から一気に老化する人、しない人』を上梓した。40歳こそ老化の始まり、この年代から「足りないものを足す健康法」へのシフトが重要だと説く。同書の一部を特別公開する──。(第1回/全4回) ※本稿は、和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社)の一部を再編集したものです』、興味深そうだ。
・40代以降は健康診断で「異常値」が激増  日本では、企業が従業員に健康診断を受けさせなければならない決まりがあり(労働安全衛生法)、ほとんどの人が健康診断を受けています。そして40代、50代になって、健康診断ではじめて「異常値」を指摘される人が大勢います。あなたもその一人かもしれません。 ビビりますよね。医者の指示どおり、「正常値」にすべく、生活習慣を変えようと思うのも当然です。人によっては、乱れた食生活や生活習慣など改善すべき点もあるでしょう。とはいえ一般には、異常値が出たからといって、あせって医者に言われるがまま生活を変えなければいけないというものではありません。 実は私自身は、健康診断を受ける必要などないと考えています。医者として30年以上にわたって高齢者を専門に患者さんを診てきた経験から言うと、健康診断を受けたからといって寿命が延びるとは思えないのです。むしろ、高齢になるほど、生活の質を維持するためには健康診断など受けないほうがよいとさえ考えています。 実際に健康診断に寿命を延ばす効果があるのだとしたら、なぜ、現在の日本の女性は男性に比べて平均寿命が長いのでしょうか。 いま平均寿命近くまで生きている男性は、会社勤めなどをしていた人が多く、健康診断も定期的に受けてきたはずです。しかし、同じ時代を生きてきた女性は、そのころは専業主婦が多かったため、男性に比べて健康診断などを受ける機会は少なかったといえます。 もし、健康診断が本当に効果のあるものなら、女性に比して男性の寿命が延びてもいいものですが、実際の統計はそのようにはなっていません。不思議ですよね』、私が現役時代には「健康診断」は、女房用のものもあったと記憶するが、これは例外的存在だったのだろう。
・『中高年以降は「足し算医療」にシフトしよう  健康診断で異常値が出ると、医者は「○○を控えましょう」と指導します。つまり現在の生活を変えて、過剰だと思われるものを「引く」ことを求めるわけです。 でも私は、ある程度の年齢になった人は、引いてはいけないと考えています。歳を重ねても若々しく健康的に生きるためには、不足しているものを「足す」ことこそ大切です。 日本では不思議なことに、塩分にしても血糖値にしてもコレステロールにしても、健康診断で基準値オーバーを指摘されることはあっても、あるいはさまざまな栄養素にしてもそうなのですが、「足りないことの害」について語られることはまれです。 でも、私が高齢者を専門として患者さんを診てきた経験では、歳をとれば、足りないより余っているくらいのほうがよい。歳をとればとるほど、いうなれば「引き算医療」よりも「足し算医療」が賢明になるのです。 中高年が考えるべきは、不足している栄養をしっかりとることと、食べても太らない体を取り戻すことです。そして、細胞の炎症を防ぎ、体の酸化を防ぐ。体の機能が正しく働けば、実現可能なことです』、「中高年が考えるべきは、不足している栄養をしっかりとることと、食べても太らない体を取り戻すことです。そして、細胞の炎症を防ぎ、体の酸化を防ぐ。体の機能が正しく働けば、実現可能なことです」、その通りだ。
・『人間は歳をとるほど個人差が大きくなる  2060年には、日本国民の約2.5人に1人が65歳以上の高齢者となることが予測されています。すなわち、これからやってくる人生100年時代は、高齢者がマジョリティ(多数派)になる社会です。 人間という生き物は、子どもから現役世代にかけては、誰もがだいたい一定の幅の中に収まることが多いのです。たとえば普通の公立小学校を見れば、生徒の中で超優等生と超劣等生の間のIQの幅は、80から120くらいです。50m走をすれば、速い子で6~8秒くらい、遅い子でも15秒あればゴールします。若いときには、せいぜいそのくらいの差しかありません。 ところが、80歳の高齢者同士を比べるとどうでしょう? 一方で認知症のために言葉さえ理解できなかったり、寝たきりの人がいますが、他方では大学教授を続けたり、立派な業績を残すくらいしっかりしている人もいます。運動能力においても普通に走れたり、泳げたりする人がいます。 歳をとればとるほど、若いとき以上に、身体能力、健康状態の個人差が大きくなってくる。人生100年時代を迎えるにあたって、まずこのことを理解してほしいのです』、「歳をとればとるほど、若いとき以上に、身体能力、健康状態の個人差が大きくなってくる」、同感である。
・『現代の医学では年齢にも遺伝にも勝てない  私は、これまで30年以上にわたって高齢者医療に携わってきましたが、無力感を覚えるときもあります。 たとえば、若いころからタバコをスパスパ吸い続けていても、100歳近くまで大病もせず、元気な人がいます。他方で、体への意識が高く、日々の健康管理や食事制限に積極的で体に気を遣ってきたのに、若くしてがんや心筋梗塞などに侵される人もいます。 残念ですが、いまの医療技術では、遺伝にはけっして勝てないのです。親が認知症であれば、子どもも認知症になる可能性が高いですし、「がん家系」といった表現があるのが現状です。 歳をとっても衰えないように体や脳を使い続けることは大切ですが、無駄な節制などはやめたほうがいい、というのが、医者としての私の正直な意見です。 もちろん、肝臓を壊すまでお酒を飲むなど、体を悪くすることをしても構わないということではありません。ただ、常に「節制しなければ……」と神経質にならなくてもいい、過剰に禁欲的でなくていい、ということです。 日本人には、遺伝に勝てるような錯覚をどこかで持っている人が多いように感じます。日本は、戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だったのに、戦後に一気に最長寿国になったことで、健康管理に努めれば健康で長生きできると勘違いしているのです。 しかし実際は、努力したからではなく、食べ物がよくなって栄養状態が改善したから、戦後の日本人は長寿になったのです』、「歳をとっても衰えないように体や脳を使い続けることは大切ですが、無駄な節制などはやめたほうがいい、というのが、医者としての私の正直な意見です」、「日本は、戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だったのに、戦後に一気に最長寿国になったことで、健康管理に努めれば健康で長生きできると勘違いしているのです。 しかし実際は、努力したからではなく、食べ物がよくなって栄養状態が改善したから、戦後の日本人は長寿になったのです」、「戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だった」とは初めて知った。
・『健康診断のエビデンスへの疑問  現在、日本の健康診断では50~60項目に関する検査を行うのが一般的だと思いますが、これらのうち、健康に影響するとはっきりエビデンスのあるものは血圧や血糖値などせいぜい5項目くらいです。 つまり、血圧や血糖値がものすごく高い場合などは、その時点や将来にその人の体に明らかによくないことが起こる(これも確率論ですが)と認められるものの、それ以外の項目に関しては、数値がよかろうと悪かろうとほぼ当てになりません。 健康診断を受けた人がコレステロールや血圧の数値になぜ一喜一憂するかといえば、異常値が原因となって起こるといわれている動脈硬化や脳梗塞、心筋梗塞などの重篤な病気になることを恐れ、予防したいと思っているからでしょう。 しかし実際は、健康診断で悪い数値が出て、その後もほったらかしにしていたのに心臓の血管がほとんど狭くならない人もいれば、逆に、まったくの正常値だったのに心筋梗塞で倒れる人もいるのが現実です。 それ以上に問題なのは、日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどないことです。 この手の研究を日本の大学病院の医者が嫌うのと、厚生労働省が事態を把握しておらず研究のスポンサーがいない(薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになります)という事情からです。そのため、疾病構造も食生活も異なる海外のデータを無理に信じ込まされているというのが実態なのです』、「日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどないことです。 この手の研究を日本の大学病院の医者が嫌うのと、厚生労働省が事態を把握しておらず研究のスポンサーがいない(薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになります)という事情からです。そのため、疾病構造も食生活も異なる海外のデータを無理に信じ込まされているというのが実態なのです」、こんな実態は初めて知り、腹が立った。
・『ダイエットが体の老化を進める  健康状態にある人が、「減らす」選択で、わざわざその状態を逸脱しようとしています。とくに問題なのが中高年のダイエット。 血糖値や血圧に問題がなく、やや肥満という人が食事の量を減らしていくと、ビタミンやたんぱく質、コレステロールなどの栄養が足りなくなってしまいます。そのため、代謝を悪くして老化を進めてしまうのです。 ブドウ糖をエネルギーに変えていく過程には、ビタミンなどの物質が欠かせません。不足すると、摂取したカロリーをエネルギーとして有効活用できないのです。うまく消費できなければ、脂肪の形でたまっていきます。基礎代謝が悪い体、すなわち「歳をとった体」になるわけです。 すると、お腹が空いて辛い思いをしているのに全然やせない、という悪循環が起こってしまいます。 中高年でよく「若いころよりずっと食が細っているのに太る」という人がいますが、これは代謝が悪くなっている典型的なケースです。 概して「足りない」ほうが「余っている」よりも体や脳に悪い。しかも歳をとればとるほど、不足したことによる害が出やすい。これは、体の恒常性を乱すようなことが起きたときに、適応の幅が狭くなるからです』、「ブドウ糖をエネルギーに変えていく過程には、ビタミンなどの物質が欠かせません。不足すると、摂取したカロリーをエネルギーとして有効活用できないのです。うまく消費できなければ、脂肪の形でたまっていきます。基礎代謝が悪い体、すなわち「歳をとった体」になるわけです。 すると、お腹が空いて辛い思いをしているのに全然やせない、という悪循環が起こってしまいます」、私も「悪循環が起こって」いる口だ。
・『本当に有益なのは「心臓ドック」と「脳ドック」  「健康診断は不要である」と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、準備ができない突然死を避けたい人は「心臓ドック」と「脳ドック」については受ける価値があると考えています。 健康診断は、正常値の範囲から上下どちらかに逸脱していたら「異常」と判断するだけです。人にはそれぞれ個人差というものがあるのに、それを認めずに数値だけで判断しようというシステムです。 しかし心臓ドックと脳ドックについては、その人の状況をきちんと診ます。個人差も考慮したうえでの判断がなされるのです 心臓ドックで心臓をとりまく冠動脈のどこかに狭窄きょうさくが見つかれば、それを広げる処置が受けられます。解離性大動脈瘤りゅうなどが見つかった場合も、ある程度の処置が期待できます。 ※編集部註:初出時、「『健康診断は不要である』と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、『心臓ドック』と『脳ドック』については受ける価値があると考えています。」としていましたが、筆者の意向により「『健康診断は不要である』と前述しましたが、今後の長寿社会を考えると、準備ができない突然死を避けたい人は『心臓ドック』と『脳ドック』については受ける価値があると考えています。」と修正しました。(2月16日19時45分追記)』、なるほど。
・『動脈硬化を見つけることが重要  コレステロール値や血圧が高いのがなぜ悪いのかというと、動脈硬化を進めるからです。 ただし、その逆が必ずしも真だとはいえません。コレステロール値や血圧を正常値に抑えているからといって、「だから動脈硬化も問題はない」と思い込むのは非常に危険です。数値が正常か異常かに一喜一憂するよりも、冠動脈の狭窄が進んでいないかどうかを実際にチェックすることのほうがよほど大事です。 脳ドックでも、MRIによって脳の血管を見ることができ、ある程度の大きさがあれば動脈瘤を発見することができます。早期に見つけられれば、カテーテルなどを使って予防手技が受けられます。 このように、心臓ドックと脳ドックは有益な検査になりうるものです』、私は肝心の「『心臓ドック』と『脳ドック』」を受けたことがないので、一度、受けてみよう。
・『健診の意味は「自分の20年後を予測すること」  私は、健康診断を受ける意味が仮にあるとすれば、それをもとに自分自身の「20年後」の健康状態を予測することだと考えています。 検査でコレステロール値や血圧、血糖値が高いと判断されたのなら、それは動脈硬化のリスクファクター(危険因子)ということになりますが、本当にそれが原因で脳梗塞や心筋梗塞になるのは、だいたいの場合、20年後などかなり先のことだからです。 したがって、もし40代で血圧や血糖値の異常値が出始めたのならば、その検査データを過剰に恐れるのではなく、脳梗塞や心筋梗塞が「20年以内に」起こりかねないという自覚を持ち、そうなる前に脳ドックや心臓ドックを受けるという心構えが大事だということです。 こうした考え方は「20年理論」と呼ばれることがあります。要するに喫煙であれ飲酒であれ、40代のうちはそのリスクが20年後にやってくるという意味で、早い段階から対処をしていきましょう、ということです』、後期高齢者になった私は、「40代」とは違って、いまそこにある危機で、悠長に構える余裕はなさそうだ。
・『精神衛生上ベターな選択  20年といえば医学の研究が大幅な進歩を遂げるには十分な時間です。ひょっとしたらiPS細胞(人工多能性幹細胞)をフル活用した再生医療が実用化されていて、多少の動脈硬化であればiPS細胞をぱらぱらと動脈にまくだけで、血管が若返って治ってしまうことだってあるかもしれません。 もちろん、本当にそうなるかどうかは誰にもわかりません。しかし、20年前の医療に比べれば、現在の医療は明らかに進歩しています。かつては救えなかった患者さんを救えるようになっています。 ですから、未来における医学の進歩を信じられるのであれば、とりあえず心臓ドックなり脳ドックなりを受けて突然死のリスクだけは避けつつ、健康診断の結果を闇雲に恐れて頭を悩ませるのはやめる。そして、必要以上の節制はせずに楽しんで生きる。 そのほうが精神衛生上、ベターであろうと思います』、「20年」の余裕がある世代がうらやましいが、こればかりはあきらめるほかなさそうだ。 
タグ:健康 (その21)(「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物、「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは、「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ) 東洋経済オンライン 久住 英二による「「腸は第2の脳」汚れた腸が「うつ病」「不眠」を招く サプリより効果あり?腸活+脳活に効く食べ物」 「うつ病患者群は健常者群と比べてビフィズス菌が少なく、ビフィズス菌・乳酸桿菌ともに一定数以下の人が多かった」、「複数の動物実験で、無菌状態にしたマウスの腸内にうつ病の人の腸内細菌をそっくり移植したところ、マウスもうつ状態になった」、「細菌感染症の治療薬として使われる抗生物質は、病原体を殺すだけでなく、腸内の善玉菌も殺してしまう。 1993~2013年に15〜65歳のうつ病患者20万人超を対象に行われた英国の大規模研究では、1年以上前に抗生物質による治療を1回受けた人は、うつ病のリスクが23~25%高くなっ 「腸内細菌バランスを回復させるとうつ症状が軽減することも、観察されている。 睡眠障害も同様だ」、「さまざまな神経障害や肥満、メタボリックシンドローム、心血管疾患、がんなどの生活習慣病にも、腸内細菌バランスの乱れが潜んでいるとの研究がある」、「新型コロナ患者では、2割の患者に胃腸症状が報告されている。感染すると特定の腸内細菌が増え、結腸の細胞の働きが変化し、ひいては腸内細菌バランスを崩してしまう。 その影響が脳に伝わり、新型コロナによる脳のダメージを深刻にする、という悪循環の可能性が指摘」、「腸内細菌バラン 「腸は、単なる食べ物の消化器官にとどまらず、脳と同じように電気信号を発し、やり取りする、神経系の重要な臓器でもある。まさに「第二の脳」だ。 こうした【脳⇔腸】双方向のやり取りは「脳腸相関」「脳腸軸」と呼ばれ、この5~10年で大いに注目されてきた」、「腸」は確かに「第二の脳」だ。 「腸内細菌叢では、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7くらいの割合が保たれている」、「この三者のバランスが崩れると、悪玉菌優勢となって分泌物質のバランスも崩れ、脳腸相関を通じて脳や全身に悪影響を及ぼすことになる」、なるほど。 「悪玉菌がタンパク質や脂肪分をエサに、腐敗物質を作り出すからだ。腐敗物質は体にとって毒素であり、腸の壁から吸収されて全身に悪影響を及ぼす。 お腹が痛かったり、張ったり、ゴロゴロしたりする。臭いおならが出たり、ひどいと吐き気がしてきたり……」、なるほど。 「納豆を1品追加されたい。納豆が苦手なら、「ヨーグルト+オリゴ糖」をおやつにしよう」、これなら簡単にできそうだ。 Newsweek日本版 PRESIDENT ONLINE アンデシュ・ハンセン氏による「これほど抗うつ効果が高いものは思いつかない」 世界的な著名精神科医が指摘するある『行動』とは」 「運動には抗うつ効果がある」、とは毎日、散歩をさんざんしている私には嬉しくなる話だ。 「最も重要だと思うのは、うつの予防、つまり運動でうつになるリスクを下げられるという研究結果」、なるほど。 「うつになるリスクは身体のコンディションの良い人のほうが低い」、なるほど。 「2020年に発表されたメタ・メタ分析では、運動が子供や若者のうつのリスクを下げることが示され、包括的な効果は中程度だった。それでは高齢者はどうだろうか。それもやはり同じ結果だった」、なるほど。 (注)HPA系:、視床下部、下垂体、副腎の間でフィードバックのある相互作用を行い制御している神経内分泌系(Wikipedia) 「コルチゾールはつまり自分自身にブレーキをかけ、ストレスホルモンとしても抗ストレスホルモンとしても機能する」、かなり高度な機能なようだ。 「激しいトレーニングをすると、HPA系の活動がむしろ活発に」、「走り終えたあとは下がり、走る前よりも低くなる。コルチゾールはその後1時間から数時間ほど低いレベルにとどまる。よく運動のあとに感じる心の落ち着きはそのせいなのだ」、よくできた仕組みだ。 「海馬は運動によって物理的にも大きくなるし、前頭葉には細かい血管ができ、酸素の供給や老廃物の除去の能率が上がる。つまり運動によって脳に内蔵されたストレスのブレーキが強化され、それだけでなくHPA系が自分自身にブレーキをかける能力も向上するのだ・・・それによってアクセルとブレーキを兼ねるペダルのブレーキ機能も強化される」、本当によく出来た仕組みだ。 「運動はドーパミン、セロトニン、ノルアドレナリンのレベルを上げ、BDNFのレベルも上げる。長期的には炎症を抑える効果もある」、結構づくめだ。 「運動をすると身体の各器官や組織が強化される。血圧、血糖値、コレステロールが安定し、肺の酸素供給能力も向上し、心臓や肝臓が強化される。そのおかげで脳には今までよりも良いシグナルが届いた上で感情をつくることになる。そうすると不快な感情よりも、心地良い感情がつくられる可能性が高くなる。 実際、運動はうつを予防するためにできる最も重要なことの1つなのだ」、「運動」の効果がここまで大きいとは初めて知った。 PRESIDENT BOOKS 和田 秀樹氏による「「健康診断は不要である」そう断言する和田秀樹さんが、これだけは…と勧める"2つの検査"【2022上半期BEST5】 足りないものを足す健康法のすすめ」 和田秀樹『40歳から一気に老化する人、しない人』(プレジデント社) 私が現役時代には「健康診断」は、女房用のものもあったと記憶するが、これは例外的存在だったのだろう。 「中高年が考えるべきは、不足している栄養をしっかりとることと、食べても太らない体を取り戻すことです。そして、細胞の炎症を防ぎ、体の酸化を防ぐ。体の機能が正しく働けば、実現可能なことです」、その通りだ。 「歳をとればとるほど、若いとき以上に、身体能力、健康状態の個人差が大きくなってくる」、同感である。 「歳をとっても衰えないように体や脳を使い続けることは大切ですが、無駄な節制などはやめたほうがいい、というのが、医者としての私の正直な意見です」、「日本は、戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だったのに、戦後に一気に最長寿国になったことで、健康管理に努めれば健康で長生きできると勘違いしているのです。 しかし実際は、努力したからではなく、食べ物がよくなって栄養状態が改善したから、戦後の日本人は長寿になったのです」、「戦前までは先進国の中でも有数の平均寿命の短い国家だった」とは初めて知った。 「日本では、健康診断と健康状態のリンクを長期の大規模調査で追跡した研究がほとんどないことです。 この手の研究を日本の大学病院の医者が嫌うのと、厚生労働省が事態を把握しておらず研究のスポンサーがいない(薬を増やす研究は製薬会社がスポンサーになります)という事情からです。そのため、疾病構造も食生活も異なる海外のデータを無理に信じ込まされているというのが実態なのです」、こんな実態は初めて知り、腹が立った。 「ブドウ糖をエネルギーに変えていく過程には、ビタミンなどの物質が欠かせません。不足すると、摂取したカロリーをエネルギーとして有効活用できないのです。うまく消費できなければ、脂肪の形でたまっていきます。基礎代謝が悪い体、すなわち「歳をとった体」になるわけです。 すると、お腹が空いて辛い思いをしているのに全然やせない、という悪循環が起こってしまいます」、私も「悪循環が起こって」いる口だ。 私は肝心の「『心臓ドック』と『脳ドック』」を受けたことがないので、一度、受けてみよう。 後期高齢者になった私は、「40代」とは違って、いまそこにある危機で、悠長に構える余裕はなさそうだ。 「20年」の余裕がある世代がうらやましいが、こればかりはあきらめるほかなさそうだ。
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