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リニア新幹線(その8)(リニア 静岡知事が指摘「他県の不都合な真実」 南アルプスでは長野から静岡県境越え目指す、静岡リニア 数字が示す「62万人の命の水」のウソ 流域7市の大井川からの給水人口は26万人程度、JR東海の危機 リニア推進「静岡市」が反対派に? 川勝知事の懐刀が市長選へ 現職は不出馬表明) [産業動向]

昨日に続いて、リニア新幹線(その8)(リニア 静岡知事が指摘「他県の不都合な真実」 南アルプスでは長野から静岡県境越え目指す、静岡リニア 数字が示す「62万人の命の水」のウソ 流域7市の大井川からの給水人口は26万人程度、JR東海の危機 リニア推進「静岡市」が反対派に? 川勝知事の懐刀が市長選へ 現職は不出馬表明)を取上げよう。

先ずは、9月12日付け東洋経済オンライン「リニア、静岡知事が指摘「他県の不都合な真実」 南アルプスでは長野から静岡県境越え目指す」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/617155
・『「不都合な真実を言わないということがあってはならない」――。 静岡県の川勝平太知事が「不都合な真実」というフレーズを連発した。9月7日に行われた知事への囲み取材での出来事だ。 不都合な真実とは、小林一哉氏による2020年9月11日付記事「リニア提訴を前に露呈、静岡県の不都合な真実」にあるとおり、静岡県側が触れたがらない事実を指したものだが、この日は川勝知事のほうから静岡県以外の関係者が触れたがらない事例として、自ら「不都合な真実」と表現した。 この日、川勝知事は神奈川県相模原市を訪れ、JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線・大洞非常口と神奈川県駅を視察した。知事の持論は神奈川県と甲府市を結ぶルートの先行開業である。JR東海の担当者から直接「工事が順調に進んでいる」という話を聞くことで、先行開業を迫るという狙いがあったと思われる。しかし、川勝知事の表情は固かった。現状が予想と違っていたのだ』、どういうことなのだろうか。
・『車両基地「完成は2034年じゃないか」  大洞非常口から神奈川県駅に向かう道中で、川勝知事は「ルート近くに作られる関東車両基地の予定地も見てみたい」と言い出した。品川―名古屋間に車両基地は2カ所設けられる。知事は岐阜県中津川市にある中部車両基地を今年6月1日に訪れている。その意味で関東基地を見たいというのは当然である。 同行する事務局の担当者は「説明できる人がいない」と躊躇したが、川勝知事は「現場を見るだけでいい」と主張。現場に到着すると、川勝知事は驚いた。「JR東海管理地と書かれた看板がところどころにあったものの、多くの人家があった」。しかも、事務局に確認すると造成から完成まで11年かかるという。関東車両基地がなければ神奈川県と甲府市を結ぶルートの先行開業はできない。川勝氏が憤った。「ちゃんとやっていらっしゃると思っていたのに、土地買収がすぐ終わって来年に工事着手しても完成は2034年じゃないか」。 川勝知事は、視察後に相模原市の本村賢太郎市長と面談した際、この話を持ち出した。本村市長は「土地買収は市ではなく県の仕事だ」と話したという。) もっとも、11年という数字は今回明らかになったわけではない。JR東海は2014年8月の環境影響評価書で関東車両基地の工事が11年かかることを明らかにしている。 JR東海に確認すると、「環境影響評価書で示した後、施工計画を深度化し、工程の短縮を図っている。2027年開業は厳しい工程ではあるが、全体として影響が出ないように努めていく」という回答があった。川勝知事も「工事は前倒しできるかもしれない」としており、11年という数字そのものにこだわっている様子はない。 むしろ、川勝知事の怒りの矛先が向かった先は神奈川県の黒岩祐治知事である。黒岩知事は川勝知事の主張する部分開業論に反対し、2027年品川―名古屋開業の立場を取る。川勝知事は言う。「(黒岩知事が)土地買収が完了していないことや工事に11年かかることを知らないとしたら大問題。知っているのに知らせないならさらに問題だ」』、「関東車両基地」は「土地買収が終わっていない」ので、「2027年開業」は到底、無理だ。「不都合な真実を言わないということがあってはならない」、と言うのも理解できる。「黒岩知事」が「2027年品川―名古屋開業の立場」を取っているようだが、恐らく余り関心がなく、最近の状況をチェックしてないのではなかろうか。
・『南アルプストンネル「長野工区」の現状  川勝知事は積極的にリニアルート上の工事現場の視察を続けている。山梨―静岡―長野の3県にまたがる全長25kmの南アルプストンネルについても、今月中には山梨県早川町にある工事現場を訪れたいとしている。しかし、長野県内の工事現場については、「現場に行くまでが大変」。隣県ではあるが交通の便が悪いのが理由だと言う。 南アルプストンネルの長野工区は8.4kmの区間だ。2016年11月1日、山田佳臣会長、柘植康英社長(いずれも当時)の出席の下、安全祈願・起工式が行われた。それから約6年後の9月2日、長野工区の現場をJR東海は報道公開した。川勝知事に代わって、どのような状況なのかをお伝えしたい。 長野県の南にある飯田市の人口は9万7562人。長野市、松本市、上田市、佐久市に次ぐ県内第5の都市だ。東京との行き来は高速バスで4時間強。バスで名古屋に出て新幹線に乗り換えてもやはり4時間くらいはかかる。もし飯田市内に造られるリニア長野県駅が開業すると品川―飯田間は40分圏内で結ばれる。リニアの恩恵を最も受ける街の1つだ。 飯田市から車で1時間ほど山奥に分け入ると工事現場がある大鹿村が姿を見せる。8月1日時点で人口938人の小さな村だ。そんな大鹿村でリニアの工事が進んでいる。 リニアのトンネル工事では、まず斜坑と呼ばれるトンネルを掘る。斜坑は先進坑や本線トンネルに機材を運び込んだり、工事で発生する土砂を運び出したりするために使われる。斜坑は掘削完了後、作業用トンネルや非常口として活用される。 長野工区では小渋沢、釜沢、除山という3つの斜坑が2019年4月から今年3月にかけて相次いで完成した。これらの斜坑を使って本線トンネルや先進坑の工事が始まっている。工事は1グループ10人で2交代制による24時間体制。長野工区では3カ所で同時に作業が行われているので計60人が働いていることになる。 報道陣を乗せたバスは除山斜坑から品川方面に掘り進む先進坑に入った。先進坑は幅約7m、高さ約6m。断面積は約35平方メートルで本線トンネルの3分の1程度だ。品川方面に290m進むと切羽と呼ばれる最先端部に到着した。 都市部の大深度地下で行われるシールド工法とは異なり、山岳部では一般的なNATM工法で工事が行われる。ドリルジャンボが1.2m掘り進んでは支保工で側壁を支え、長さ3mのロックボルトを放射状に打ち込んだあと、表面にコンクリートを吹き付けて側壁を固める。これを1日当たり最大4サイクル行う。つまり、順調なら1日に4.8m進める計算だ』、「飯田市内に造られるリニア長野県駅が開業すると品川―飯田間は40分圏内で結ばれる。リニアの恩恵を最も受ける街の1つだ」、確かにこのケースでは、「リニアの恩恵」は極めて大きい。しかし、東海道新幹線沿いでは当然のことながら、「恩恵」は大きく縮小する。
・『煌々と照らされたトンネル内  トンネルの切羽は白いライトで煌々と照らされていた。トンネル工事というと真っ暗な中を小さいランプで掘り進むイメージがあるが、まったく違う。ライトの明るさは300ルクス以上あり、ガイドラインで示されている基準である「150ルクス以上」の2倍の明るさだ。切羽の状況を確認しやすいようにするためだ。ドリルジャンボと呼ばれる掘削機の横には監視員が立っており、天井などの状況に変化がないかどうかをチェックしていた。 リニアのトンネル工事では昨年10月に岐阜県中津川市で掘削中のトンネルで、地山が崩れて作業員2人が死傷した。長野県内でも昨年11月、今年3月、4月と3回にわたって豊丘村の伊那山地トンネルの工事で作業員が負傷する事故が起きた。JR東海は再発防止に向け施工会社と協議を行い、安全対策の強化に動いている。切羽監視者の配置に加え、低所作業において、防護ネットを張って天井からの万一の落石を防いでいる。 これだけ対策を講じていてもトラブルは起きる。9月8日0時15分頃、伊那山地トンネルの工事においてトンネル構内での作業中、重機を移動した際に、重機の後方にいた作業員に気づかず、作業員の足を引き左足を骨折するという事象があった。JR東海は「同工区でのトンネル掘削は一時的に中断しており、安全対策を行ったうえで再開する予定」という。安全への取り組みにゴールはない。 続いて、バスはルートを引き返し、釜沢斜坑から本線トンネルの現場に入った。本線トンネルはリニア車両が上りと下りの2本が走るため、幅約13m、高さ約8m。断面積は約100平方メートルで先進坑よりも巨大だ。先進坑は1サイクルあたり1.2m掘進していたが、本線トンネルは1.0m。やや短いのは山の状態や断面積が大きいことを考慮してのことだ。本線トンネルの切羽部分も明るいライトで照らされ、監視員が切羽の状況を見守っていた。) トンネルの地盤は粘板岩が中心で、見た目では湧水はほとんど確認できなかった。2021年5月に報道公開された南アルプストンネル山梨工区の広河原非常口では、トンネル外壁に水滴がうっすらと浮かび、天井から時折、水滴がぽたりと落ちていたが、それでもこれらの水滴を集めても湧水量は毎分400リットル(0.4トン)程度で、JR東海によれば「湧水と呼べるほどでもない」と話していた。今回は広河原非常口よりもさらに少ない。これに対して、静岡工区ではトンネル掘削により大井川の流量が最大で毎秒2トン(毎分120トン)減ると予想されている。まさに桁違いだ。 長野工区全体の工期は2026年11月30日まで。2020年の豪雨災害(令和2年7月豪雨)などの影響により、工事説明会での説明から1年5カ月程度遅れ気味だというが、「工夫をして掘削の遅れを取り戻し、予定どおり終わらせたい」とJR東海中央新幹線建設部の古谷佳久名古屋建設部担当部長は意気込む。現在は地表面からの深さは100〜200m程度だが、今後は標高が高い山の尾根の下を掘削するため、深さは最大約1400mになる予定。トンネルにかかる岩の重みが増して、壁面などへの圧力が高まる難工事となる。「岩の様子を見ながら慎重に工事を進める」(古谷部長)。 しかし、JR東海の努力だけではどうもできない問題が立ちはだかる。この日公開された先進坑の切羽のおよそ4km先は静岡県との県境なのだ。長野工区と銘打ちつつも、作業の効率面などを考慮して実際は静岡県内に700mほど入ったところまでトンネル掘削が続けられる。 静岡県はトンネル工事で発生する湧水が大井川流域の利水者に影響を与えかねないなどの理由から着工を認めていない。仮に1日4mずつ堀り進めば3年後くらいに県境に到達することになるが、そこから先はどうなるか。古谷部長は「(掘削が県境に到達する頃には)湧水の問題は利水者の理解が得られているだろう」と心配する様子を見せなかったが、もし水問題が解決していなければ掘削作業は県境でストップする』、「仮に1日4mずつ堀り進めば3年後くらいに県境に到達することになるが、そこから先はどうなるか。古谷部長は「(掘削が県境に到達する頃には)湧水の問題は利水者の理解が得られているだろう」と心配する様子を見せなかったが、もし水問題が解決していなければ掘削作業は県境でストップする」、まあ「3年後くらい」までには、静岡県も同意しているだろう。
・『「不都合な真実はみなさん言わない」  9月7日には川勝知事とは今日初めて会ったという本村市長も取材に応じた。静岡県と同じく、相模原市も水の問題を抱えている。「私自身、水問題には非常に関心があり、JR東海には水が枯れたりしないようにしてほしいと会うたびに話をしているし、水問題で影響を受ける住民には丁寧に説明している。住民の間では慎重な意見も出ているが、どうすれば2027年開業に向けて動いていけるかを考える意見も多い。静岡県も当市も水の問題が重要だという点では共通している。今後も協調してJR東海や国に対して言うべきことを言っていきたい」。 川勝知事は関東車両基地のスケジュールの一件を引き合いに、「2027年に開業できるか、どの県の知事さんも知ってらっしゃるはず。でも不都合な真実はみなさん言わない」と発言した。ルート上の各県がそれぞれの課題を表に出して共有すべきという川勝知事の考え方は正しい。 おそらく、川勝知事は「工事の遅れの原因が静岡県だけにあるのではない。各県の遅れの状況を明らかにして新たなタイムスケジュールを設定すべきだ」と言いたいのだろう。そうであるなら、各県がどのように水問題や生物多様性などの課題に取り組んできたのかについても耳を傾ける必要がある。他県や自治体の意見を取り入れ、静岡県内の工事開始に向けて尽力すべきだ』、「ルート上の各県がそれぞれの課題を表に出して共有すべきという川勝知事の考え方は正しい」、「おそらく、川勝知事は「工事の遅れの原因が静岡県だけにあるのではない。各県の遅れの状況を明らかにして新たなタイムスケジュールを設定すべきだ」と言いたいのだろう。そうであるなら、各県がどのように水問題や生物多様性などの課題に取り組んできたのかについても耳を傾ける必要がある。他県や自治体の意見を取り入れ、静岡県内の工事開始に向けて尽力すべきだ」、この記事はこのあとの2つとは違って、中立的立場で書かれており、同意したい。

次に、10月25日付け東洋経済オンラインが掲載した「静岡経済新聞」編集長 の小林 一哉氏による「静岡リニア、数字が示す「62万人の命の水」のウソ 流域7市の大井川からの給水人口は26万人程度」を紹介しよう。これと次の記事の著者、小林 一哉氏はリニア建設推進派である。
https://toyokeizai.net/articles/-/626767
・『県大井川広域水道(企業団)が県企業局所管の榛南水道を統合する実施協定が9月16日に結ばれた。静岡県の川勝平太知事は、リニアトンネル工事静岡工区の着工を認めない最大の理由を「下流域の利水に支障があり、県民の生死に関わる」などとしてきたが、今回の締結でトンネル工事の影響にかかわらず、大井川広域水道に十分な余裕があり、下流域の利水に何ら問題ないことが明らかになった』、なるほど。
・『大井川の給水には十分な余裕がある  県大井川広域水道は毎秒2立方メートルの水利権を有し、7市(島田、藤枝、焼津、牧之原、掛川、菊川、御前崎)約62万人の利水を担う目的で設置された。 一方、榛南水道は1969年から大井川河口近くの吉田町を地下水の取水地として、牧之原市、御前崎市の2市に給水事業を行い、日量約2万7000立方メートルの給水能力に対して、現状、日量約1万5000立方メートルを給水している。 今回の統合の目的は、人口減少による水需要の減少、総事業費約260億円という榛南水道の更新費用の確保などの課題に対応するもの。榛南水道を廃止して、大井川広域水道から2市へ約1万5000立方メートルを供給する。 大井川広域水道への連結、榛南水道の廃止に伴う費用を含めて総事業費は約100億円で、榛南水道を更新するよりも約160億円削減される。本年度から基本設計が始まり、2029年4月に給水が切り換えられる予定だ。 10月6日に開かれた県議会産業委員会で、県企業局は「大井川広域水道が水不足に悩まされたことはない。給水に十分な余裕がある」と説明した。榛南水道が枯渇状態にあり、やむをえず、統合するわけではなく、老朽化に伴う事業費の大幅な削減に伴い、給水能力に十分な余裕のある大井川広域水道に全面依存するほうが合理的と県は判断した。 これは、「大井川は毎年のように水不足で悩まされている」とする川勝知事の説明とは異なる。 2013年9月、JR東海が作成した環境アセスメント準備書で、リニアトンネル建設によって毎秒2立方メートルの河川流量が減少すると予測したため、川勝知事は毎秒2立方メートルの減少で約62万人の水道水に影響するとして、「全量戻し」をJR東海に要請した。 JR東海は当初、リニアトンネルから大井川まで導水路トンネルを設置して、湧水減少の毎秒2立方メートルのうち1.3立方メートルを回復させ、残りの0.7立方メートルについては必要に応じてポンプアップで戻す対策を発表した。これに対して、川勝知事は「水道水として62万人が利用している。毎年のように渇水で水不足に悩まされている。毎秒2立方メートルの全量を戻せ」とJR東海に求めた。 JR東海は2018年10月、「原則的に県外に流出する湧水全量を戻す」と表明、導水路トンネル、ポンプアップで、トンネル内で発生する湧水全量の毎秒2.67立方メートルを戻すとした。ところが、川勝知事は「南アルプスは62万人の『命の水』を育む。『命の水』を守らなければならない」などと静岡工区着工を認めない姿勢を崩さなかった。 ところが実際には、大井川左岸の島田、藤枝、焼津の3市とも地下水による自己水源を有しているため、大井川広域水道からの受水割合は20%程度にとどまり、受水割合の高い右岸でも牧之原市が30%、御前崎市が70%程度である。大井川広域水道給水人口は、約62万人ではなく、7市合計で26万人程度にすぎなかった。 県企業局は「大井川広域水道の給水には十分な余裕がある」と言い、流域7市の大井川広域水道からの受水割合も決して高くない。つまり、川勝知事が口ぐせにしていた「62万人の『命の水』を守る」は事実ではないことになる』、「川勝知事」は反対のため、大げさに騒いでいる印象も受ける。
・『トンネル湧水の影響は軽微  JR東海がリニアトンネル工事後に、毎秒2.67立方メートルの湧水全量を戻す方策を明らかにしたことでも、下流域の水環境問題は解決しているはずだが、静岡県は今年1月の大井川利水関係協議会で「工事期間中を含めトンネル湧水の全量戻しが必要」であり、「トンネル工事を認めることはできない」姿勢を崩さなかった。 南アルプス断層帯が続く山梨県境付近の工事で、静岡県側から下り勾配で掘削すると突発湧水が起きた場合、水没の可能性があり、作業員の安全に危険があり、山梨県側から上り勾配で掘削すると説明、まったく対策を取らなければ、県境付近の工事期間中(約10カ月間)最大500万立方メートルの湧水が静岡県から流出するとJR東海は推計した。 国交省が設置した専門家による有識者会議は、「人命安全」を最優先とするのが当然であり、トンネル湧水が静岡県外に流出するJR東海の工法を認めたうえで、山梨県へ流出する最大500万立方メートルについて「静岡県外への流出量は非常に微々たる値であり、中下流域への影響はほぼない」とする結論を出している。 それにもかかわらず、川勝知事は「水1滴も県外流出は許可できない。全量戻しができないならば、工事中止が約束だ」などとJR東海に「全量戻し」を迫っている。 ところが、今回、静岡県に甚大な被害をもたらした台風15号の影響で静岡市清水区の約6万3000世帯が断水、9月27日から8日間、川勝知事は富士川の水を急きょ「水道水」とする“超法規的措置”を取った。この結果、山梨県の釜無川を源流とする約1万立方メートルの水が毎日、被災地域に送られた。山梨県からの“命の水”に静岡県民が救われたのである。 9月23日に静岡県を襲った台風15号で、静岡市清水区は水道水源とする興津川取水口が流木などでふさがれてしまい、取水が一切できずに清水区全域が断水した。静岡市は静岡県に富士川からの緊急受水を要請した。 静岡県は、富士川河口付近に富士川浄水場を設けて、「ふじさん工業用水道」として地域の工場などに水を送っている。工業用水専用だから、一般の水道水としての使用はできない。 1985年と1996年の異常渇水の際、富士川の水が興津川の浄水場に送水され、水道水に転用された。この緊急時に、水道管が設置されている。 工業用水を水道水に転用するには、河川管理者・国交省関東地方整備局と協議を行い、河川法第53条(渇水時における水利用の調整)許可が必要となる。過去2回はその面倒な手続きで難航している』、「専門家による有識者会議は、「人命安全」を最優先とするのが当然であり、トンネル湧水が静岡県外に流出するJR東海の工法を認めたうえで、山梨県へ流出する最大500万立方メートルについて「静岡県外への流出量は非常に微々たる値であり、中下流域への影響はほぼない」とする結論を出している」、「それにもかかわらず、川勝知事は「水1滴も県外流出は許可できない。全量戻しができないならば、工事中止が約束だ」などとJR東海に「全量戻し」を迫っている」、これでは単なる嫌がらせに近い。「今回、静岡県に甚大な被害をもたらした台風15号の影響で静岡市清水区の約6万3000世帯が断水、9月27日から8日間、川勝知事は富士川の水を急きょ「水道水」とする“超法規的措置”を取った。この結果、山梨県の釜無川を源流とする約1万立方メートルの水が毎日、被災地域に送られた。山梨県からの“命の水”に静岡県民が救われたのである」、なるほど。
・『健全な水循環とは、各県で融通しあうことだ  今回の場合、興津川の取水口に流木がつまり、清水区全域が断水という想定外のトラブルであり、関東地方整備局は文書等による手続きを後回しにして、工業用水の水道水転用を許可した。静岡県企業局は「超法規的な措置によって、目的外使用が許可された」と話した。 川勝知事は「水1滴も県外流出は認められない」とするが、山梨県の水で静岡県は救われたのである。県外へ流出する湧水を「県内に全量戻せ」とする法的根拠を、静岡県は県水循環保全条例に求めている。同条例第5条(事業者の責務)「事業者は事業活動を行うに当たって、健全な水循環の保全に十分配慮する」とあるが、この条例を根拠に、川勝知事の「全量戻し」の求めにJR東海が応じなければならないのか疑問は大きい。湧水に県境はなく、健全な水循環とは静岡県、山梨県で困ったときには融通しあうことが、今回の台風被災で明らかになった。 「命の水を守る」、「工事中の全量戻し」などが、川勝知事の“反リニア”姿勢の象徴となっている。国交省は、早急にリニア問題の水環境に関する不毛な議論に終止符を打つよう静岡県を強く指導すべきだ』、「湧水に県境はなく、健全な水循環とは静岡県、山梨県で困ったときには融通しあうことが、今回の台風被災で明らかになった。 「命の水を守る」、「工事中の全量戻し」などが、川勝知事の“反リニア”姿勢の象徴となっている。国交省は、早急にリニア問題の水環境に関する不毛な議論に終止符を打つよう静岡県を強く指導すべきだ」、同感である。

第三に、12月4日付け東洋経済オンラインが掲載した「静岡経済新聞」編集長 の小林 一哉氏による「JR東海の危機、リニア推進「静岡市」が反対派に? 川勝知事の懐刀が市長選へ、現職は不出馬表明」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/637291
・『来春の静岡市長選に向けて、4期目を目指していた現職の田辺信宏市長は12月2日の静岡市議会で突然、不出馬を表明した。 自民党静岡支部(旧静岡市)は全会一致で田辺氏の推薦を決め、市長選出馬を要請していた。「反リニア」の旗頭、川勝平太静岡県知事の最側近だった難波喬司・元副知事の出馬表明に恐れをなして、撤退を決めた格好となってしまった。 田辺氏が「リニア推進」へ積極的な姿勢を見せてきたのに対して、県のリニア問題責任者として、難波氏は川勝知事同様に静岡工区着工を許可しない対応を取り続けてきた。難波氏が新市長に就けば、行政権限を駆使して、JR東海にさらなる厳しい姿勢で臨むことは確実だ』、「県のリニア問題責任者として、難波氏は川勝知事同様に静岡工区着工を許可しない対応を取り続けてきた。難波氏が新市長に就けば、行政権限を駆使して、JR東海にさらなる厳しい姿勢で臨むことは確実だ」、その通りだ。
・『川勝知事は田辺市長を批判  「反リニア」を掲げる市長が誕生すれば、JR東海はまさに絶体絶命の危機に追い込まれる。 川勝知事は事あるごとに田辺氏を批判してきた。静岡市を廃止して県の特別区を設置する珍妙な「静岡型県都構想」を掲げ、「県都に2人の船頭は不要だ」とぶち上げるなど、田辺氏を一方的に嫌い続けてきた。 このため、川勝知事は2019年4月の静岡市長選に難波氏を出馬させようと画策したが、経済界の支援などを得ることができず、結局、難波氏は県政記者クラブで不出馬会見を行った。 当時の市長選には、難波氏の代わりに元静岡市長の県議が辞職して出馬、川勝知事が支援に回った。元市長、共産党候補との三つ巴の選挙戦で、田辺氏は薄氷の勝利をおさめた。 来春の静岡市長選を控え、田辺氏の政治環境は最悪だった。9月の台風15号の大きな被害を受けた清水区約6万3000世帯の断水による初動態勢の遅れなどで市民の評価は著しく下がっていた。 10月末、酒井公夫・静岡鉄道代表取締役会長は静岡商工会議所会頭を辞任するに当たって、田辺氏を訪ね、「難波氏を支援するから、市長選出馬を断念するよう求める」などと宣言した。 さらに11月11日の難波氏の出馬会見で、清水港に関連した有力企業の責任者ら6人が顔をそろえ、地元経済界は難波氏支援を見せつけた。 田辺氏の不出馬によって、有力な自民系候補が現れなければ、リニア問題は大きな転換点を迎えることになる。「反リニア」川勝知事だけでなく、リニアトンネル工事の現場を抱える静岡市が「反リニア」を掲げることになるからだ。 約20年前、難波氏は運輸省(現在の国土交通省)港湾局企画官時代に川勝知事と懇意となり、一般的な役所ルートではなく、個人的な指名を受けて2014年5月副知事に就任、2022年5月まで2期(8年間)務めた。 岡山県出身で、静岡県と何の縁もなかった難波氏が静岡市長となれば、最大の恩人は川勝知事となる。副知事時代、清水港への多額の公共事業などを決めている。今後も県とのパイプ役を経済界は期待するから、川勝知事との深い関係を断ち切ることなどできるはずもない。 となれば、「反リニア」に奔走する川勝知事と難波氏が連携を組むことは明らかである』、「難波氏は運輸省・・・港湾局企画官時代に川勝知事と懇意となり、一般的な役所ルートではなく、個人的な指名を受けて2014年5月副知事に就任、2022年5月まで2期(8年間)務めた」、「となれば、「反リニア」に奔走する川勝知事と難波氏が連携を組むことは明らかである」、なるほど。
・『川勝知事は「難波氏を応援しない」と言うが…  川勝知事は、市長選で難波氏を応援しないと明言している。これは表面的な話であり、水面下の応援まで否定しているわけではない。 11月11日に続いて、29日の会見で、リニア問題で果たした難波氏の業績について、「市長選に出馬することを念頭に仕事をした」とたたえ、今後の連携に含みを持たせた。 特に、「いわゆる高速ボーリング(高速長尺先進ボーリング)に横串を刺す、明快な説明文書をJR東海に送った」などと難波氏の要請文を取り上げ、「やるべきことは、全部やられた」と高く評価している。 県リニア問題責任者として最後にJR東海へ送った「高速長尺先進ボーリング及びトンネル掘削に伴う大井川の水資源への影響について」という難波氏の要請文は、川勝知事の“横串を刺す”という表現通りのもので、今後の連携を象徴するものとなった。 難波氏は、先行調査を役割とする高速長尺先進ボーリングを串刺しにして刺し貫くほどに厳しく否定したのだ。 高速長尺先進ボーリングは先行調査ではなく、掘削工事の一部という川勝知事の指摘がそのままに文書になっているからだ。 10月31日県庁で開かれた県地質構造・水資源専門部会では、「静岡県境に向けた山梨県内の工事をどの場所で止めるのか」決定する必要があるとして、JR東海に山梨県での工事の進捗状況の説明を求めた。 現在、静岡県境まで約920mまで山梨県内の掘削工事が進んでいると説明、その先端部分で大量湧水の発生などは確認されておらず、「締め固まった地質で安定している。断層帯は静岡県境の西側にある」として、JR東海は高速長尺先進ボーリングで先行調査しながら、県境まで掘り進めていく予定を示した。 県専門部会で高速長尺先進ボーリングの是非についての結論は得られなかったにもかかわらず、難波氏は11月9日付の要請文で、高速長尺先進ボーリングが静岡県内の地下水に影響を与えるおそれがあるとして、回避策を示すよう求めた。つまり、高速長尺先進ボーリングをやめろということである。 11月30日開かれた静岡県中央新幹線環境保全連絡会議で、県地質構造・水資源専門部会の森下祐一・部会長が「高速長尺先進ボーリングは水抜きのために使われる。前方の地質がわかるとJR東海は説明しているが、岩中の一部がわかるが、地質のごく一部で、科学的なデータが得られるわけではない」などと難波氏の要請文に沿った発言をした。 前日、29日の会見で川勝知事が難波氏の要請文を取り上げ、「高速長尺先進ボーリングではなく、垂直でのコアボーリング調査を行う必要がある」と強調した内容と同じだった』、「高速長尺先進ボーリング」の是非は私には正直なところ、よく分からない。
・『高速長尺先進ボーリングの必要性は?  ところが、森下部会長の発言に対して、トンネル工学を専門とする安井成豊委員は「高速長尺先進ボーリングは調査ボーリングとして開発された。(森下氏は)誤解しているのではないか」などと専門的な知見を交えて反論した。 今回新たに委員に加わった村上正志委員(群集生態学)も「専門性は高いが、安井委員の主張はよくわかる。トンネルを掘る場合、科学的に議論するのがスタンスであり、地表から何本も(垂直でコアボーリングを)打つのはムリだ」など他の委員も、森下部会長の見解に異議を唱えた。 30日の県リニア環境保全連絡会議の議論だけでなく、JR東海の金子慎社長、大井川流域の島田、藤枝、掛川、牧之原の市長らも高速長尺先進ボーリングを事前調査として必要だという認識を示している。 難波氏は要請文で、「山梨県内の先進坑が山梨・静岡県境から約920mの地点に達しているため、静岡県内の水がトンネル内に引っ張られ、山梨県側に流出する懸念が高まっている」、「本来、地質調査は、工事実施前に地表からのコアボーリングを行うべき」、「県境を越えて高速長尺先進ボーリングを行うと、静岡県内の地下水に影響を与える懸念があるので回避策を示せ」などと何の根拠を示さないで、JR東海へ“無理難題”を投げつけて、辞めてしまったのだ。 高速長尺先進ボーリングに“横串を刺した”難波氏である。静岡市長に就けば、リニア開業に向けて大きな障害になることを、JR東海は十分、承知している。 南アルプスのふもと、リニアトンネル工事の本拠地となる、静岡市井川地区の代表者3人が11月30日の会議に出席して、「ユネスコエコパークの自然を生かした経済活動を行っている。着工しながら問題解決ができるのではないか」「このままではユネスコエコパークを守る(過疎の)井川地区がなくなってしまい、工事に間に合わない」などいたずらに議論を長引かせる県の姿勢を厳しく批判した』、「難波氏」の「要請文」は、「何の根拠を示さないで、JR東海へ“無理難題”を投げつけ」た形だ。
・『難波氏の対抗馬は?  難波氏は清水港関連の経済界の全面支援を受けるが、井川地区を含めて大票田となる葵区、駿河区の旧静岡市の経済界、商店街、自治会などの支持は取りつけてはいない。 自民党党籍を持つ山田誠・元県議がすでに出馬表明しているが、自民党静岡市議団は、周囲の状況を踏まえない山田氏への支援に消極的だ。 難波氏に対抗できる有力な候補を擁立できるのか、自民党静岡支部は対応を急ぐ必要がある』、「静岡市長選挙」の行方は、いまだ不透明だ。私は、「川勝知事」や「難波氏」の言い分には問題が多いと思うが、リニアの建設自体には、新幹線との競合の観点から反対である。
タグ:(その8)(リニア 静岡知事が指摘「他県の不都合な真実」 南アルプスでは長野から静岡県境越え目指す、静岡リニア 数字が示す「62万人の命の水」のウソ 流域7市の大井川からの給水人口は26万人程度、JR東海の危機 リニア推進「静岡市」が反対派に? 川勝知事の懐刀が市長選へ 現職は不出馬表明) リニア新幹線 東洋経済オンライン「リニア、静岡知事が指摘「他県の不都合な真実」 南アルプスでは長野から静岡県境越え目指す」 どういうことなのだろうか。 「関東車両基地」は「土地買収が終わっていない」ので、「2027年開業」は到底、無理だ。「不都合な真実を言わないということがあってはならない」、と言うのも理解できる。「黒岩知事」が「2027年品川―名古屋開業の立場」を取っているようだが、恐らく余り関心がなく、最近の状況をチェックしてないのではなかろうか。 「飯田市内に造られるリニア長野県駅が開業すると品川―飯田間は40分圏内で結ばれる。リニアの恩恵を最も受ける街の1つだ」、確かにこのケースでは、「リニアの恩恵」は極めて大きい。しかし、東海道新幹線沿いでは当然のことながら、「恩恵」は大きく縮小する。 「仮に1日4mずつ堀り進めば3年後くらいに県境に到達することになるが、そこから先はどうなるか。古谷部長は「(掘削が県境に到達する頃には)湧水の問題は利水者の理解が得られているだろう」と心配する様子を見せなかったが、もし水問題が解決していなければ掘削作業は県境でストップする」、まあ「3年後くらい」までには、静岡県も同意しているだろう。 「ルート上の各県がそれぞれの課題を表に出して共有すべきという川勝知事の考え方は正しい」、「おそらく、川勝知事は「工事の遅れの原因が静岡県だけにあるのではない。各県の遅れの状況を明らかにして新たなタイムスケジュールを設定すべきだ」と言いたいのだろう。そうであるなら、各県がどのように水問題や生物多様性などの課題に取り組んできたのかについても耳を傾ける必要がある。他県や自治体の意見を取り入れ、静岡県内の工事開始に向けて尽力すべきだ」、この記事はこのあとの2つとは違って、中立的立場で書かれており、同意したい。 東洋経済オンライン 小林 一哉氏による「静岡リニア、数字が示す「62万人の命の水」のウソ 流域7市の大井川からの給水人口は26万人程度」 「川勝知事」は反対のため、大げさに騒いでいる印象も受ける。 「専門家による有識者会議は、「人命安全」を最優先とするのが当然であり、トンネル湧水が静岡県外に流出するJR東海の工法を認めたうえで、山梨県へ流出する最大500万立方メートルについて「静岡県外への流出量は非常に微々たる値であり、中下流域への影響はほぼない」とする結論を出している」、「それにもかかわらず、川勝知事は「水1滴も県外流出は許可できない。全量戻しができないならば、工事中止が約束だ」などとJR東海に「全量戻し」を迫っている」、これでは単なる嫌がらせに近い。 「今回、静岡県に甚大な被害をもたらした台風15号の影響で静岡市清水区の約6万3000世帯が断水、9月27日から8日間、川勝知事は富士川の水を急きょ「水道水」とする“超法規的措置”を取った。この結果、山梨県の釜無川を源流とする約1万立方メートルの水が毎日、被災地域に送られた。山梨県からの“命の水”に静岡県民が救われたのである」、なるほど。 「湧水に県境はなく、健全な水循環とは静岡県、山梨県で困ったときには融通しあうことが、今回の台風被災で明らかになった。 「命の水を守る」、「工事中の全量戻し」などが、川勝知事の“反リニア”姿勢の象徴となっている。国交省は、早急にリニア問題の水環境に関する不毛な議論に終止符を打つよう静岡県を強く指導すべきだ」、同感である。 小林 一哉氏による「JR東海の危機、リニア推進「静岡市」が反対派に? 川勝知事の懐刀が市長選へ、現職は不出馬表明」 「県のリニア問題責任者として、難波氏は川勝知事同様に静岡工区着工を許可しない対応を取り続けてきた。難波氏が新市長に就けば、行政権限を駆使して、JR東海にさらなる厳しい姿勢で臨むことは確実だ」、その通りだ。 「難波氏は運輸省・・・港湾局企画官時代に川勝知事と懇意となり、一般的な役所ルートではなく、個人的な指名を受けて2014年5月副知事に就任、2022年5月まで2期(8年間)務めた」、「となれば、「反リニア」に奔走する川勝知事と難波氏が連携を組むことは明らかである」、なるほど。 「高速長尺先進ボーリング」の是非は私には正直なところ、よく分からない。 「難波氏」の「要請文」は、「何の根拠を示さないで、JR東海へ“無理難題”を投げつけ」た形だ。 「静岡市長選挙」の行方は、いまだ不透明だ。私は、「川勝知事」や「難波氏」の言い分には問題が多いと思うが、リニアの建設自体には、新幹線との競合の観点から反対である。
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