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”右傾化”(その14)(神社本庁トップが失脚か 2人が新総長を自認で「南北朝時代」突入を危惧する声、神社本庁の代表役員について(東京地裁判決)、老父のネトウヨ化に心乱された息子が「ネトウヨの専門的研究」を読んで驚いたこと…ネトウヨの数は意外に少なかった、老いて差別発言をしていた父…それは本当に「ネット右翼化」だったか? ネトウヨの「定義」を学んで見えたこと、DHCと虎ノ門ニュースが残した厄介な「右派市場」) [社会]

”右傾化”については、2021年6月19日に取上げた。久しぶりの今日は、(その14)(神社本庁トップが失脚か 2人が新総長を自認で「南北朝時代」突入を危惧する声、神社本庁の代表役員について(東京地裁判決)、老父のネトウヨ化に心乱された息子が「ネトウヨの専門的研究」を読んで驚いたこと…ネトウヨの数は意外に少なかった、老いて差別発言をしていた父…それは本当に「ネット右翼化」だったか? ネトウヨの「定義」を学んで見えたこと、DHCと虎ノ門ニュースが残した厄介な「右派市場」)である。

先ずは、昨年6月3日付けダイヤモンド・オンライン「神社本庁トップが失脚か、2人が新総長を自認で「南北朝時代」突入を危惧する声」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/304305
・『全国約8万社の神社を傘下に置く宗教法人、神社本庁。6月3日に満期を迎える、その巨大宗教法人のトップ人事が目下、前代未聞の大混乱。新総長を自認する2人が併存しかねない事態に陥っている』、「神社本庁」で「新総長」を巡って「前代未聞の大混乱」とは興味深そうだ。
・『象徴的な存在である統理が「指名権」を使って田中氏を“失脚”か  「もう好きにやってくれよ、という感じですね」――。 全国約8万社の神社を傘下に置く宗教法人、神社本庁。その幹部の一人は取材にそう投げやりに答えた。 日本最大の信者数を誇る巨大宗教法人のトップ人事が、過去に類を見ない大混乱に陥っている。 神社本庁(ひいては神社界)の象徴で「聖」の部分を担う「統理」に対し、「俗」の部分を担う事務方のトップで事実上の権力を持つのが、神社本庁「総長」だ。 現在の統理は鷹司尚武氏。公家の家格の頂点である「五摂家」の一つ、鷹司家の現当主であり、昭和天皇の第3皇女の養子で、上皇陛下の義理の甥に当たる人物だ。家柄だけでなく、慶應義塾大学大学院修了後、日本電気(NEC)に入社、最後はNEC通信システム社長を務め、神社界の“外”でも功績を残している。 一方、6月3日に任期満了を迎える現在の総長は、田中恆清氏。歴代最長の4期目にあり、4日以降も前人未到の5期目突入を狙っていたとされる。神道政治連盟会長、打田文博氏と共に神社界を牛耳る2トップと言われてきた人物だ。 そして、5月28日に開かれた神社本庁役員会で、6月4日付け以降の新総長の人選が図られたが、「多くの役員から田中氏の再任に異議を唱える声が続出した一方、吉川通泰副総長ら田中派も納得せず、激しく紛糾した」(神社本庁関係者)という。 その理由は、本編集部が報じた神社本庁の不動産売却(関連記事:『神社本庁で不可解な不動産取引、刑事告訴も飛び出す大騒動勃発』)を巡り、田中氏を含む神社界の上層部と業者の癒着があったと内部告発した結果、懲戒処分を受けた元幹部職員2人が地位確認を求めた訴訟で、最高裁が4月、神社本庁の上告を退けて、2人への処分無効と未払い賃金の支払いを命じた1、2審判決が確定したことにある。 全面敗訴となったこの上告を、半ば強引に組織決定した田中氏の責任が追及されたわけだ。 そして、役員会の終盤、鷹司統理が、田中氏失脚を意味する、鶴の一声を発する――。 なんと鷹司統理自身が、“新総長”として、北海道神社庁長で神社本庁理事を務める芦原高穂氏を指名したのだ。芦原氏もこれを承諾したという。 この意味について、馴染みのない人にも分かりやすく例えれば、天皇は内閣総理大臣の「任命権」を持つが、これとほぼ同じく、統理は神社本庁総長の「指名権」を持つ。 異なっているのは、総理大臣の方は「国会の指名によって」という但し書きがつく一方、神社本庁総長の方は庁規によって「役員会の議を経て、(中略)統理が指名」と定められている点だ。 だが、もちろん統理自らの判断による指名は前代未聞の出来事。従来の総長人事は、役員会で「統理一任」となるものの、その実、内々に決まっていた人物の名が書かれた紙が事前に事務方から統理に渡され、統理はそれを読み上げるのが慣例となっていた。「鷹司統理は、(役員会に先立って開かれた)評議員会で噴出した田中総長の再任に反対する声を勘案したのではないか」と、神社関係者はその心中を推測する。 4日以降の新総長は一体、誰になるのか?神社本庁は3日13時現在、「まだ総長人事は決まっていない」とした。一方、前出の神社本庁幹部は「田中派の幹部や役員たちは、『役員会で結論が出ていない以上、4日以降も田中氏が総長だ』という立場を崩していない。このままでは最悪、総長を自認する人間が2人並存するという、“南北朝時代”さながらのめちゃくちゃな事態になりかねません」と話す。 前述の裁判の全面敗訴だけに止まらず、近年の田中総長体制下の神社本庁では、田中・打田両氏の右腕と言われ、裁判担当も務めた神社本庁兼神政連幹部職員の不倫疑惑(関連記事:『安倍応援団の神社幹部が不倫か、神社界揺るがす裁判に影響も』)など醜聞続き。さらには、「先の大嘗祭では、本来あるはずの宮内庁から神社本庁への相談さえなく、鷹司氏は神社本庁統理としてではなく、鷹司家のご当主として呼ばれている。宮内庁も現在の神社本庁と距離を置き始めている」(別の神社関係者)とされる。 土壇場で新総長は1人に絞られるのか、4日以降の展開が注目されるが、少なくても「神は八百万いるから総長も…」とはいかないだろう』、「神社本庁の不動産売却・・・を巡り、田中氏を含む神社界の上層部と業者の癒着があったと内部告発した結果、懲戒処分を受けた元幹部職員2人が地位確認を求めた訴訟で、最高裁が4月、神社本庁の上告を退けて、2人への処分無効と未払い賃金の支払いを命じた1、2審判決が確定したことにある。 全面敗訴となったこの上告を、半ば強引に組織決定した田中氏の責任が追及」、「鷹司統理自身が、“新総長”として、北海道神社庁長で神社本庁理事を務める芦原高穂氏を指名したのだ。芦原氏もこれを承諾した」、「神社本庁総長の方は庁規によって「役員会の議を経て、(中略)統理が指名」と定められている」、「このままでは最悪、総長を自認する人間が2人並存するという、“南北朝時代”さながらのめちゃくちゃな事態になりかねません」、大変だ。

次に、昨年12月27日付け神社本庁「神社本庁の代表役員について(東京地裁判決)」を紹介しよう。
https://www.jinjahoncho.or.jp/10024
・『本庁理事の芦原髙穂氏により、自らが代表役員総長の地位にあることの確認を求める訴訟が提起されていましたが、東京地方裁判所は12月22日付で請求を棄却し、芦原氏は神社本庁の代表役員の地位にないとの判決を言い渡しました。 本判決では、代表役員総長選任の根拠となる庁規12条2項「総長は、役員会の議を経て、理事のうちから統理が指名する」の趣旨について、神社本庁の主張を認め、「総長の選任に関し、役員会が議決により次期総長を決定し、それに基づいて統理が当該次期総長を指名することが必要である旨を定めている」と判示しています。 代表役員総長の選任に際して、役員会の判断(議決)と統理の指名のいずれが実質的な決定権を有するかという点が争点となっていましたが、本判決では、・役員会が総長を実質的に決定することを予定、・統理の指名という行為も、実質的には役員会の判断で行われる、 と明確に判断されました。 本判決の判断によれば、本年6月23日開催の役員会において、田中理事を総長に選任すると判断(議決)されている以上、実質的に総長は田中理事に決定されており、その役員会の判断に基づいて統理による指名がなされるべきであるにもかかわらず、指名が為されていない状態にあることとなります。 本判決により、芦原理事によって本庁内部の正式な手続を経ずに行われた代表役員変更登記申請に端を発した、総長選任をめぐる一連の混乱状況も、収束に向かい大きく前進するものと考えられます。 神社における新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」を令和4年12月8日付で改定しました。 神社本庁の代表役員について(東京地裁判決)に判決文を追加しました』、「総長の選任に関し、役員会が議決により次期総長を決定し、それに基づいて統理が当該次期総長を指名することが必要である旨を定めている」と「統理」の「指名権」を「役員会」の「議決」に基づくものとして、本庁側の言い分を全面的に認めた形だ。しかし、現執行部の問題には触れなかったため、今後も場合によって再燃する可能性もあるだろう。

第三に、本年1月29日付け現代ビジネスが掲載した文筆業の鈴木 大介氏による「老父のネトウヨ化に心乱された息子が「ネトウヨの専門的研究」を読んで驚いたこと…ネトウヨの数は意外に少なかった」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/104477?imp=0
・『「老いた親が突然、韓国や中国を罵倒するような言葉を吐くようになって戸惑っている」 昨今、そんな声をしばしば耳にするようになりました。 ルポライターの鈴木大介さんも、父親が老いとともに「ネット右翼」的な言動をとるようになったことに戸惑った一人です。 父親の「右傾化」について探るなかで鈴木さんは、専門書や一般書を読みながら、「そもそもネット右翼とはなんなのか」という疑問に、自分のなかで答えを出していきます。 鈴木さんの新著『ネット右翼になった父』より、そのプロセスをお届けします』、興味深そうだ。
・『ネット右翼を知るための6冊  そもそもネット右翼とは何か、保守とは何か。この検証は、それを僕自身の中にあるイメージではなく、先行調査や研究に求めるところから始めた。 参考資料とさせていただいたのは、ある程度左右両面からの視点を求めて、下記の6冊とした。 A『日本人は右傾化したのか―データ分析で実像を読み解く』田辺俊介編著(勁草書房) B『ネット右翼とは何か』樋口直人他著(青弓社ライブラリー) C『日本の分断―私たちの民主主義の未来について』三浦瑠麗著(文春新書) D『保守とネトウヨの近現代史』倉山満著(扶桑社新書) E『右派はなぜ家族に介入したがるのか―憲法24条と9条』中里見博他著(大月書店) F『朝日ぎらい―よりよい世界のためのリベラル進化論』橘玲著(朝日新書)) たぶん、右派からも左派からも「その選書はなんだ!?」と猛烈なツッコミを受けそうだが、僕自身は論壇の人間でも右翼の中の人でも左翼のど真ん中な人でもないので、資料そのものの是非や研究の精度はさておく。 とはいえこの6冊、少なくとも「僕の父は何者だったのか」について思考と検証を進めるガイドとしては、十二分なセレクトだったように思う』、「この検証は、それを僕自身の中にあるイメージではなく、先行調査や研究に求めるところから始めた」、ずいぶん本格的だ。
・『ネット右翼は人口の2%に満たないマイノリティ  まず、これらの資料で複数の研究調査が言及しているのは、ネット右翼が社会の中では極めてマイノリティであること。ネット上のアノニマス(無名・匿名)による言論は、同じ人物が重複して発言することで発言主の実数を誤認しがちではあるが、実際は調査対象(=人口)の2%に満たないマイノリティだということだ。 加えて保守、保守本流を自認する人々の多くは、ネット右翼と呼ばれる人々を決して好感を持って受け入れているわけではなく、どちらかと言えば嫌悪や侮蔑、「ネット右翼をもって保守を語られたくない」「まして一緒になんて絶対にされたくない」という感覚を持っているということも知った(最もわかりやすかったのは、保守サイドの歴史学者である倉山満の著書〈資料D〉のネット右翼批判だ)。 あまり想像したこともなかったが、それはまあ、そうなのだろう』、「ネット右翼は人口の2%に満たないマイノリティ」、意外な少なさに驚いた。「同じ人物が重複して発言することで発言主の実数を誤認しがち」なためだろう。「加えて保守、保守本流を自認する人々の多くは、ネット右翼と呼ばれる人々を決して好感を持って受け入れているわけではなく、どちらかと言えば嫌悪や侮蔑、「ネット右翼をもって保守を語られたくない」「まして一緒になんて絶対にされたくない」という感覚を持っている」、なるほど。
・『リベラルの中の多様性  僕自身はどちらかと言えばリベラル寄りの思想の持ち主だと思うが、反戦思想を持っているからと言って「原理主義的な護憲主義者」とは一緒にされたくないし、原発再稼働慎重派ではあっても「関東圏は汚染して住めないみたいな非科学的なラジオフォビア(注)の方々」とは、やっぱり一緒にしてほしくない気持ちはある。 気持ちだけではなく、これまで貧困問題にかかわる文筆活動をするうえで、国会前のデモなどで反原発や慰安婦問題にかかわるものと反貧困のプラカードがごちゃまぜにして出されることに対しては、具体的な不利益を感じていた。 マイノリティだからこそ、集まって声を上げる必要性があるのはわかる。けれど、掲げるのはシングルイシュー(問題点や論点が一つ)でなければ、本来味方になってくれる人たちを取りこぼしてしまう可能性があるからだ。 さらなる「ネット右翼」についての検証を【つづき】「老いて差別発言をしていた父…それは本当に「ネット右翼化」だったか? ネトウヨの「定義」を学んで見えたこと」(1月29日公開)でお伝えします』、「僕自身はどちらかと言えばリベラル寄りの思想の持ち主だと思うが、反戦思想を持っているからと言って「原理主義的な護憲主義者」とは一緒にされたくないし、原発再稼働慎重派ではあっても「関東圏は汚染して住めないみたいな非科学的なラジオフォビア(注)の方々」とは、やっぱり一緒にしてほしくない気持ちはある」、「リベラル」の弱味なのかも知れない。
(注)ラジオフォビア:放射線恐怖症(Wikipedia)

第三に、1月29日付け現代ビジネスが掲載した文筆業の鈴木 大介氏による「老いて差別発言をしていた父…それは本当に「ネット右翼化」だったか? ネトウヨの「定義」を学んで見えたこと」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/104480?imp=0
・『「老いた親が突然、韓国や中国を罵倒するような言葉を吐くようになって戸惑っている」  昨今、そんな声をしばしば耳にするようになりました。 ルポライターの鈴木大介さんも、父親が老いとともに「ネット右翼」的な言動をとるようになったことに戸惑った一人です。 父親の「右傾化」について探るなかで鈴木さんは、専門書や一般書を読みながら、「そもそもネット右翼とはなんなのか」という疑問に、自分のなかで答えを出していきます。 鈴木さんの新著『ネット右翼になった父』より、そのプロセスをお届けします』、興味深そうだ。
・『ネット右翼の三大標的は「朝日」「民主党」「韓国」  ネット右翼の定義については資料によって様々な基準があるが、最もシンプルに感じたのは、『ネット右翼とは何か』樋口直人他著(青弓社ライブラリー)の中で紹介されていた大阪大学大学院人間科学研究科准教授による「計量調査から見る『ネット右翼』のプロファイル」だった。 この調査では、ネット右翼の基準として、 1.中国と韓国への排外的態度 2.保守的・愛国的政治志向の強さ 3.政治や社会問題に関するネット上での意見発信・議論への参加経験 の三つの条件を満たす者と定義した。) そのうえで、2014年段階の調査で、これら条件を満たす者=ネット右翼の割合を全標本中の1・8%(ネット利用者全般における1%未満)と結論。さらに2.の保守や愛国的志向はないが、嫌韓嫌中でネット上での意見発信活動がある者を「オンライン排外主義者」、またSNS等での情報発信がない者を「非ネット排外層」と分類した。 では、この基準に僕の父を照らし合わせたらどうだろう。振り返って考えれば、父は「非ネット排外層」に位置することとなる。 なぜなら父は、TwitterやFacebook等にアカウントを持ちはしていたが、そこで何か言説を発信した形跡がないからだ。 父はインターネットを自身の情報発信や意見表明を含めた「双方向の情報交流メディア」ではなく、単に「情報収集のためのメディア」、そして知人との手紙や電話代わりの「連絡ツール」としてしか活用していない層だった。 まあ、そもそもが戦中生まれである。父の世代の大多数にとってのインターネットとは、このようなものではないか』、「ネット右翼の三大標的は「朝日」「民主党」「韓国」」、そんなところだろう。「父はインターネットを自身の情報発信や意見表明を含めた「双方向の情報交流メディア」ではなく、単に「情報収集のためのメディア」、そして知人との手紙や電話代わりの「連絡ツール」としてしか活用していない層だった」、高齢者の殆どが当てはまりそうだ。
・『家族にとってのネット右翼の基準  だが、この基準をもって「父はネット右翼でなかった」とするのは早計だろう。 なぜなら、少なくとも事実、父はネット上の右傾コンテンツを視聴し、情報源とし、そこでしか使われないヘイトスラングを僕の目の前で口にしていた。恐らく一般的に「父親がネット右翼化している」と感じるには、基準の1.と2.を満たし、さらに「家族に対して政治や社会問題に対する意見発信」をしていれば(ましてヘイトスラングまで交えていたら)、もう十分だろう。) 調査ではネット右翼の持つ社会的影響力(主にフェイク情報の拡散力)が問題であると考えて、基準3.を定義に加えたのだろうが、やはり視点を社会ではなく「家族にとって」とした場合は、基準が変わってくるように思える。 次に、『保守とネトウヨの近現代史』倉山満著(扶桑社新書)では、ネット右翼に共通する価値観として、ネット右翼の三大標的は「朝日新聞と民主党と韓国である」と一刀両断している。 この基準だと、あからさまな朝日批判、民主党議員への批判、嫌韓発言をしていた父は、まさしくネット右翼的価値観を備えていたことになる。 なんだ。やっぱり父はネット右翼だったのか、と腑に落ちかけもする。が、やはりこれだけでは、前章まで行ったり来たりの思考を繰り返したように、結局僕の中で釈然としないまま残っている多くの疑問を解消できない。 もっともっと、多くの判断基準が必要だ』、「ネット右翼の三大標的は「朝日新聞と民主党と韓国である」」、私のフィーリングもそうだ。
・『9条に言及しなかった父  改めて腰を据えて資料を読み込む中で、いくつか判断に使えそうなシンプルな基準が見えてきた。例えば先ほど紹介した『ネット右翼とは何か』の調査で、2.の「保守的・愛国的政治志向の強さ」を判断するために用いられた設問だ。その設問は、 ・靖国神社公式参拝の是非 ・憲法9条の改正の是非 ・公教育の場における国旗掲揚・国歌斉唱の是非 ・愛国心や国民の責務について戦後教育を見直すべきか の四つだった。) おお。なるほど。こうして文字面で見ることで、改めて父とは何者だったかを再考するうえで、想起のとっかかりを得ることができる。 まず靖国については、父から発言を聞いたことがある。首相が公式参拝するかの「是非は別にして」、中韓から「とやかく言われることではない」。さらに「千鳥ヶ淵(戦没者墓苑)にも行けばいい」といったことを口にしていた。 一方で9条。ネット右翼言説の本丸にも思える「平和憲法の改憲」に絡む発言を、僕は父から聞いた記憶が一切ない。よくよく振り返ってみて我ながら驚いたが、本当に一切聞いた記憶がないのだ』、なるほど。
・『「ネット右翼」以前に「保守」だったのかすら怪しい  改憲支持なのか護憲なのかもそうだが、そもそも日本の武装非武装、核配備問題等々、あらゆる「平和の維持」にかかわるテーマを父は口に出さなかった。 唯一、関連テーマとも思われる田母神論文(2008年/日中戦争は侵略戦争ではない、政府は集団的自衛権を容認すべしといった内容で、「真の近現代史観」懸賞論文第一回最優秀藤誠志賞を受賞)や、田母神俊雄氏自身については、「面白い奴が出てきた」と言いながらも、「受賞基準がわからん」「論文としては体を成していない」「マスコミはなんでも文化人にしてしまう」なんてことも付け加えていた記憶がある。 残りの二つについては、論外だ。) 国旗にせよ国歌にせよ、父がそれを重視するはずがない。愛国心とか国民の義務とか、父は権力を持つ側が人に何かを強制することを徹底的に拒むパーソナリティの持ち主だったと思うし、やはり係る発言に記憶はない。もちろん旗日に我が家の軒先で日の丸がはためいていた記憶もない。「日の丸のデザインは悪くない」と言っていた記憶や、旭日旗のルーツについての発言はあったかな……。 こうして照らし合わせてみると、どうだろう。父はネット右翼だったかどうか以前に、保守だったのかすら、大いに怪しくなってきた。 なるほど、どんどん父の像が明瞭になってきた気がする。やはり、既にこの世を去って確認のしようがない人物の信条を検証するには、細かい判断指標で過去の言動を検討していくしかないのだろう』、「父はネット右翼だったかどうか以前に、保守だったのかすら、大いに怪しくなってきた」、「既にこの世を去って確認のしようがない人物の信条を検証するには、細かい判断指標で過去の言動を検討していくしかないのだろう」、その通りだ。

第四に、2月4日付けNewsweek日本版「DHCと虎ノ門ニュースが残した厄介な「右派市場」」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/ishido_s/2023/02/dhc_1.php
・『<保守系番組のスポンサーだったDHCが買収によって役割を終えても、同社が開拓した差別をもいとわない言論市場は残り続ける> 右派言論人の牙城として知られたネット番組、『虎ノ門ニュース』の終了がひっそりと発表された。この番組は、化粧品通販・健康食品大手のDHCを親会社とする「DHCテレビ」が制作していた。DHC本体は2022年11月、オリックスに約3000億円で買収されることが明らかになった。この発表と前後して、同番組を含む動画関連のサービスは終了告知がなされた。買収の影響があったことは想像に難くない。 同社はこのまま役割を終えるが、怪しげな言論を振りまいたメディアが名実共に勢いを持ったという事実は残る。この方法に学んだ人々が、新たなスポンサーと共に再現を目指すという可能性は決して低くない。 社名を冠したメディア企業の政治的スタンスは、一代でDHC本体を急成長させた吉田嘉明会長兼社長の意向が強く反映されている。DHCテレビが制作し、17年にTOKYOMXで放映された情報バラエティー番組『ニュース女子』は、BPO(放送倫理・番組向上機構)から「重大な放送倫理違反」を指摘された。在日韓国人で人権団体代表の辛淑玉(シン・スゴ)氏が組織的に参加者を動員し、沖縄で過激な米軍基地反対運動をあおっているという内容の番組は、東京高裁でも名誉毀損が認定されている。ルーツに対する差別もあり、判決内容は至極真っ当なものである。 吉田氏は当時、BPOに対し激しく反論している。「普段NHKや地上波の民放テレビを見ていて何かを感じませんか。昔とは明らかに違って、どの局も左傾化、朝鮮化しています」と、公然と手記に記す彼の思想傾向は極めて明確であり、民族差別ともかなり親和的だ。 問題はこれらの言説が右派層を中心に一定の支持を集めたことにある。彼の差別的発言に対し不買運動も起きたが、3000億円で買収されたことが示すように、彼の政治的スタンスがマーケットに与えた影響は大きくはなかったとみるべきだろう』、「情報バラエティー番組『ニュース女子』は、BPO・・・から「重大な放送倫理違反」を指摘された」、「彼の差別的発言に対し不買運動も起きたが、3000億円で買収されたことが示すように、彼の政治的スタンスがマーケットに与えた影響は大きくはなかった」、なるほど。
・『右派の「ピーク」は再来するか  私もかつて、本誌に掲載したルポで、DHCテレビを取材したことがある。虎ノ門駅から程近いビルの一角にある、ガラス張りのスタジオにはYouTubeでも配信される『虎ノ門ニュース』を生で見ようと数十人の人が足を止めていた。 同社の山田晃社長(当時)は「韓国も中国も、それって普通に考えておかしくない?ってことが多いじゃないですか。それを『普通の人』の感覚を大事にして、分かりやすく、面白く伝える」ことを大切にしているのだ、と堂々と語っていた。彼らの内容が面白いとはおよそ思えなかったが、出社途中とおぼしきスーツ姿の人々が足を止め、熱心に聞いている様子を見ると、山田氏の自信も分かる気がした。 吉田氏が無邪気に記すように、マスメディアには報じられていない真実がインターネットにはある、と考える「普通の人々」は、今でも決して少なくないということだ。 強硬な右派層を支持基盤とする故安倍晋三という政治家が政権のトップに立っていた時、彼らの勢いはピークに達したことも忘れてはいけない。ひとつの時代は終わったが、吉田氏が切り開いた言論マーケットという厄介な問題は残る』、「マスメディアには報じられていない真実がインターネットにはある、と考える「普通の人々」は、今でも決して少なくない」、「故安倍晋三という政治家が政権のトップに立っていた時、彼らの勢いはピークに達したことも忘れてはいけない。ひとつの時代は終わったが、吉田氏が切り開いた言論マーケットという厄介な問題は残る」、やれやれ。
タグ:”右傾化” (その14)(神社本庁トップが失脚か 2人が新総長を自認で「南北朝時代」突入を危惧する声、神社本庁の代表役員について(東京地裁判決)、老父のネトウヨ化に心乱された息子が「ネトウヨの専門的研究」を読んで驚いたこと…ネトウヨの数は意外に少なかった、老いて差別発言をしていた父…それは本当に「ネット右翼化」だったか? ネトウヨの「定義」を学んで見えたこと、DHCと虎ノ門ニュースが残した厄介な「右派市場」) ダイヤモンド・オンライン「神社本庁トップが失脚か、2人が新総長を自認で「南北朝時代」突入を危惧する声」 「神社本庁」で「新総長」を巡って「前代未聞の大混乱」とは興味深そうだ。 神社本庁(ひいては神社界)の象徴で「聖」の部分を担う「統理」に対し、「俗」の部分を担う事務方のトップで事実上の権力を持つのが、神社本庁「総長」 現在の統理は鷹司尚武氏。公家の家格の頂点である「五摂家」の一つ、鷹司家の現当主であり、昭和天皇の第3皇女の養子で、上皇陛下の義理の甥に当たる人物だ 6月3日に任期満了を迎える現在の総長は、田中恆清氏。歴代最長の4期目にあり、4日以降も前人未到の5期目突入を狙っていたとされる。神道政治連盟会長、打田文博氏と共に神社界を牛耳る2トップと言われてきた人物 「多くの役員から田中氏の再任に異議を唱える声が続出した一方、吉川通泰副総長ら田中派も納得せず、激しく紛糾 神社本庁の不動産売却 中氏を含む神社界の上層部と業者の癒着があったと内部告発した結果、懲戒処分を受けた元幹部職員2人が地位確認を求めた訴訟で、最高裁が4月、神社本庁の上告を退けて、2人への処分無効と未払い賃金の支払いを命じた1、2審判決が確定 鷹司統理自身が、“新総長”として、北海道神社庁長で神社本庁理事を務める芦原高穂氏を指名 神社本庁総長の方は庁規によって「役員会の議を経て、(中略)統理が指名」と定められている このままでは最悪、総長を自認する人間が2人並存するという、“南北朝時代”さながらのめちゃくちゃな事態になりかねません」 田中・打田両氏の右腕と言われ、裁判担当も務めた神社本庁兼神政連幹部職員の不倫疑惑 神社本庁「神社本庁の代表役員について(東京地裁判決)」 「総長の選任に関し、役員会が議決により次期総長を決定し、それに基づいて統理が当該次期総長を指名することが必要である旨を定めている」と「統理」の「指名権」を「役員会」の「議決」に基づくものとして、本庁側の言い分を全面的に認めた形だ。しかし、現執行部の問題には触れなかったため、今後も場合によって再燃する可能性もあるだろう。 現代ビジネス 鈴木 大介氏による「老父のネトウヨ化に心乱された息子が「ネトウヨの専門的研究」を読んで驚いたこと…ネトウヨの数は意外に少なかった」 『ネット右翼になった父』 ネット右翼とは何か、保守とは何か。この検証は、それを僕自身の中にあるイメージではなく、先行調査や研究に求めるところから始めた A『日本人は右傾化したのか―データ分析で実像を読み解く』田辺俊介編著(勁草書房) B『ネット右翼とは何か』樋口直人他著(青弓社ライブラリー) C『日本の分断―私たちの民主主義の未来について』三浦瑠麗著(文春新書) D『保守とネトウヨの近現代史』倉山満著(扶桑社新書) E『右派はなぜ家族に介入したがるのか―憲法24条と9条』中里見博他著(大月書店) F『朝日ぎらい―よりよい世界のためのリベラル進化論』橘玲著(朝日新書)) 「この検証は、それを僕自身の中にあるイメージではなく、先行調査や研究に求めるところから始めた」、ずいぶん本格的だ。 「ネット右翼は人口の2%に満たないマイノリティ」、意外な少なさに驚いた。「同じ人物が重複して発言することで発言主の実数を誤認しがち」なためだろう。「加えて保守、保守本流を自認する人々の多くは、ネット右翼と呼ばれる人々を決して好感を持って受け入れているわけではなく、どちらかと言えば嫌悪や侮蔑、「ネット右翼をもって保守を語られたくない」「まして一緒になんて絶対にされたくない」という感覚を持っている」、なるほど。 「僕自身はどちらかと言えばリベラル寄りの思想の持ち主だと思うが、反戦思想を持っているからと言って「原理主義的な護憲主義者」とは一緒にされたくないし、原発再稼働慎重派ではあっても「関東圏は汚染して住めないみたいな非科学的なラジオフォビア(注)の方々」とは、やっぱり一緒にしてほしくない気持ちはある」、「リベラル」の弱味なのかも知れない。 (注)ラジオフォビア:放射線恐怖症(Wikipedia) 鈴木 大介氏による「老いて差別発言をしていた父…それは本当に「ネット右翼化」だったか? ネトウヨの「定義」を学んで見えたこと」 「父はインターネットを自身の情報発信や意見表明を含めた「双方向の情報交流メディア」ではなく、単に「情報収集のためのメディア」、そして知人との手紙や電話代わりの「連絡ツール」としてしか活用していない層だった」、高齢者の殆どが当てはまりそうだ。 「ネット右翼の三大標的は「朝日新聞と民主党と韓国である」」、私のフィーリングもそうだ。 「父はネット右翼だったかどうか以前に、保守だったのかすら、大いに怪しくなってきた」、「既にこの世を去って確認のしようがない人物の信条を検証するには、細かい判断指標で過去の言動を検討していくしかないのだろう」、その通りだ。 Newsweek日本版「DHCと虎ノ門ニュースが残した厄介な「右派市場」」 「情報バラエティー番組『ニュース女子』は、BPO・・・から「重大な放送倫理違反」を指摘された」、「彼の差別的発言に対し不買運動も起きたが、3000億円で買収されたことが示すように、彼の政治的スタンスがマーケットに与えた影響は大きくはなかった」、なるほど。 「マスメディアには報じられていない真実がインターネットにはある、と考える「普通の人々」は、今でも決して少なくない」、「故安倍晋三という政治家が政権のトップに立っていた時、彼らの勢いはピークに達したことも忘れてはいけない。ひとつの時代は終わったが、吉田氏が切り開いた言論マーケットという厄介な問題は残る」、やれやれ。
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