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投資(商品販売・手法)(その3)(商業用不動産ファンドが「次の危機」の震源地に?空室率上昇と利上げで警戒感、金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘、社長の7割が「親会社出身」、運用成績が業界平均を下回ってもクビにならず… 日本の資産運用業が「草食系」である理由とは、セゾン投信の「積立王子」こと中野晴啓会長退任の裏にスルガ銀行あり) [金融]

投資(商品販売・手法)については、昨年6月3日に取上げた。今日は、(その3)(商業用不動産ファンドが「次の危機」の震源地に?空室率上昇と利上げで警戒感、金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘、社長の7割が「親会社出身」、運用成績が業界平均を下回ってもクビにならず… 日本の資産運用業が「草食系」である理由とは、セゾン投信の「積立王子」こと中野晴啓会長退任の裏にスルガ銀行あり)である。

先ずは、本年4月18日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「商業用不動産ファンドが「次の危機」の震源地に?空室率上昇と利上げで警戒感」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/321432
・『最近、資金運用に行き詰まる投資ファンドが増えている。コロナ禍を経た「働き方の変化」で、オフィスビルの空室率が上昇していることが関係している。加えて金利が一時上昇したこともあり、商業用不動産の価値下落によって顧客への資金返還が難しくなるファンドが出ているのだ。金融専門家の中には、次の危機の震源地として「商業用不動産などに投資するファンド」への警戒を強めている向きがある。 2023年3月、欧州では金融大手のクレディ・スイスが経営危機に陥り、同じく金融大手のUBSに救済買収された。また、米国では中堅銀行の破綻が立て続けに複数件発生した。4月中旬現在、世界の金融市場はひとまず落ち着きを取り戻している。ただ、危機的な状況がすべて去ったと判断するのはやや尚早だろう。米国の中堅銀行の経営不安はまだくすぶっている。加えて、一部の大手ファンドが厳しい状況に追い込まれつつあるとの見方もある。 それは、新型コロナウイルス感染拡大による「働き方の変化」で、オフィスビルの空室率が上昇していることが関係している。加えて金利が一時上昇したこともあり、商業用不動産の価値下落によって顧客への資金返還が難しくなるファンドが出ているのだ。金融専門家の中には、次の危機の震源地として「商業用不動産などに投資するファンド」への警戒を強めている向きがある。 もう一つ懸念されるのは、投資家の間で「年央から米FRB(連邦準備制度理事会)が利下げを行う」との期待が出ていることだ。一連の銀行破綻で景気後退の懸念が高まり、「FRBは物価より景気の下支えを優先する」との見方だ。しかし、冷静に考えると、世界的にインフレは高止まりしている。短期的に、FRBやECB(欧州中央銀行)の金融政策が緩和に転じるとは考えづらい。 今後の資産価格の展開次第では、一部の投資ファンドが過剰なリスクを抱え、業況が悪化する可能性がある。それが現実のものになると、世界的に金融システムの不安定感を高める要因になるだろう』、「金融専門家の中には、次の危機の震源地として「商業用不動産などに投資するファンド」への警戒を強めている向きがある」、「今後の資産価格の展開次第では、一部の投資ファンドが過剰なリスクを抱え、業況が悪化する可能性がある。それが現実のものになると、世界的に金融システムの不安定感を高める要因になるだろう」、なるほど。
・『厳しい状況に向かう一部の投資ファンドとは  最近、資産価値の下落や、それに伴う市場流動性の低下などによって、資金運用に行き詰まる投資ファンドが増えている。資産分類(アセット・クラス)の中でも、オフィスビルなど「商業用不動産」を対象にした一部の大手ファンドの苦境が鮮明だ。 現在、米国では、資産運用大手の商業用不動産ファンドが焦点となっている。22年11月頃から、投資家の解約請求が急速に増えたようだ。一方、ファンド側は運営を維持するため解約を制限した。「自分の投資が解約できなくなる」との不安から、投資家は連鎖反応のように解約請求に走ったとみられる。その結果、23年3月まで5カ月連続で、当該ファンドの返金は制限された。 また、3月、フィンランドの商業用不動産を裏付けに発行された証券化商品が「デフォルト」と判定された。類似の事例が世界で増えている。 リーマンショック後、多くのファンド勢にとって商業用不動産の重要性は高まった。特に、投資銀行などと異なり、ファンド運営会社に対する規制は相対的に緩い環境が続いた。投資銀行にとって、ファンド向けの貸し出しは高い利益を生むため、重要性が増した。 また、GAFA (Google、Apple、Facebook〈現Meta〉、Amazon)などIT先端企業の急成長、さらにはスタートアップ企業やシェアオフィスの利用が急速に増えた。データセンターの建設も急増した。そうした需要の増加に支えられ、商業用不動産市場は成長した。 低金利環境が続くとの見方を背景に、より高い利得が期待できる商業用不動産に資金を振り向ける投資ファンドは増えた。3月に破綻した米シグネチャー銀行、救済された米ファースト・リパブリック銀行に関しても、IT企業のオフィスが入る不動産向けの融資を積み増した。しかし不動産価格の下落によって、そうした状況が急速に悪化している』、「リーマンショック後、多くのファンド勢にとって商業用不動産の重要性は高まった。特に、投資銀行などと異なり、ファンド運営会社に対する規制は相対的に緩い環境が続いた。投資銀行にとって、ファンド向けの貸し出しは高い利益を生むため、重要性が増した」、「IT先端企業の急成長、さらにはスタートアップ企業やシェアオフィスの利用が急速に増えた。データセンターの建設も急増した。そうした需要の増加に支えられ、商業用不動産市場は成長した」、なるほど。
・『資金運用行き詰まり「3つの要因」  資金運用に行き詰まるファンドが急増している要因として、大きく3つ指摘できる。まず、米欧でオフィスの空室率が上昇している。テレワークや在宅勤務が増加し、かつてのように毎日オフィスに通勤する必要性が低下した。加えて、米国や中国ではリーマンショック後の景気回復をけん引したIT先端企業の業績が悪化し、リストラが進んでいることもオフィス需要を低下させている。 次に、不動産の価値そのものも下落している。22年3月以降、米国ではインフレ鎮静のためにFRBが利上げを進めた。世界的に金利は上昇したことで、長期的に不動産が生み出すと期待される価値は押し下げられる。そのため、米国やユーロ圏では商業用不動産の市況が悪化している。中国やシンガポールでも、商業用不動産の価格下押し圧力が高まっている。 さらに、多くの投資ファンドは、多額の借り入れによる運用を行ってきた。例えば不動産に1億円を投資し、10%のリターンが得られるとする。その場合の利益は1000万円だが、自己資金1億円に加えて10億円を借り入れ、10%のリターンが得られた場合には、計11億円の10%、1億1000万円の利益が手元に残る。それを狙って、多くのファンドが借り入れによってレバレッジをかけた。 しかし、米欧の中央銀行が政策金利を引き上げるにつれ、資金借り入れコストは増える。加えて、商業用不動産などの価値が下落してもいる。ファンドからの資金流出も増える。 一方、商業用不動産の流動性は低い。こうして、資金の調達(短期)と運用(長期)のミスマッチが深刻化し、資金運用に行き詰まるファンドが急速に増えているのだ』、「米欧の中央銀行が政策金利を引き上げるにつれ、資金借り入れコストは増える。加えて、商業用不動産などの価値が下落してもいる。ファンドからの資金流出も増える。 一方、商業用不動産の流動性は低い。こうして、資金の調達(短期)と運用(長期)のミスマッチが深刻化し、資金運用に行き詰まるファンドが急速に増えている」、なるほど。
・『「危機の火種」は依然残っている  金利上昇によって資産価値が下落し、投資ファンドが苦境に陥る――こうした事態は、過去も繰り返されてきた。リーマンショック以前、証券化商品に投資を行うファンドが急増した。多くが短期で資金を借り入れ、満期償還までの期間が長い資産に資金を投じた。金融市場が安定している間は、さほど大きな問題は起きない。 しかし、07年の年初以降、米国の住宅価格下落が鮮明化し、同年8月には「パリバショック」(仏金融大手BNPパリバ傘下の投資ファンドの運用行き詰まり)も発生した。世界的に、「売るから下がる、下がるから売る」といった負の連鎖が鮮明となり、金融市場は混乱した。その結果としてリーマンショックが発生した。 商業用不動産ファンドが一斉に苦境に追い込まれ、世界経済と金融市場が大きく混乱するリスクは、23年4月上旬の時点ではそれほど高くはない。しかしながら、危機の火種が残る中、世界的にインフレは高止まりしている。一例としてサウジアラビアの追加減産により、原油価格にも押し上げ圧力がかかりやすくなった。 インフレ懸念が残る中で、FRBやECBなど中銀が短期間で金融緩和に動くことは難しいだろう。むしろ米国では政策金利の高止まりが続く可能性が高い。それに伴い、景気後退の懸念が高まり、貸倒引当金の積み増しによって業績が悪化する金融機関が増える可能性がある。 そうした状況下、米国をはじめ商業用不動産市場の下落が鮮明化し、多くの投資ファンドが厳しい状況に追い込まれる可能性は否定できない。4月3日、ECBは「商業用不動産ファンドの増加は、ユーロ圏における潜在的な金融システムの不安定性を高める恐れがある」との懸念を表明した。 米欧の金融機関に対する不安は取り敢えず後退したかにみえる。ただ、商業用不動産などの投資ファンドが、今後の金融危機の火種になるリスクは頭に入れておいた方がよいだろう』、「米国をはじめ商業用不動産市場の下落が鮮明化し、多くの投資ファンドが厳しい状況に追い込まれる可能性は否定できない」、「商業用不動産などの投資ファンドが、今後の金融危機の火種になるリスクは頭に入れておいた方がよいだろう」、その通りだ。

次に、5月9日付け東洋経済オンラインが掲載した金融ジャーナリストの川辺 和将氏による「金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/670248
・『証券会社などの投資信託の管理システムを、一部事業者が寡占化していることが、投資家のコスト負担につながっている――。 金融庁は今年4月、投資信託の現状について課題を整理した、「資産運用業高度化プログレスレポート2023」において、冒頭のような問題認識を提示した。 システム会社間の競争がない状況では金融機関側のコストが押し上げられ、その負担は最終的に一般利用者に転嫁されかねない。金融庁が直接の管轄ではないシステム領域の課題に踏み込んだ背景には、政府が打ち出したNISA拡充策をめぐって証券界や銀行界で渦巻く不満がある』、「投資信託の現状」について、「システム会社間の競争がない状況では金融機関側のコストが押し上げられ、その負担は最終的に一般利用者に転嫁されかねない」、確かにその通りだろう。
・『シェア7割を占める  投信システムの寡占化とは、どういうことか。 投信業界はおおざっぱにみると、個々の商品のメーカーにあたる運用会社と、銀行や証券会社などの販売会社で構成される。運用会社と販売会社は日々、投信の運用状況などに関する膨大な量のデータを「公開販売ネットワーク」と呼ばれる仕組みを通じてやりとりする。さらにこの公販ネットワークは、基準価額(投信を売買する際の価格)を算出する「計理システム」という別の仕組みとつながっている。 この計理システムにおいて、金融庁調査では残高、件数ベースでトップの事業者のシェアが約7割を占める(下図参照)。ベンダーごとの仕様の違いのせいで、異なる会社のシステムをつなぐには追加的な手数料を求められるケースが多く、結果的に公販ネットワークでも寡占状態が広がっているとみられる。(※外部配信先では図表などの画像を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)) 当局内には、「システムのコストは結果的に、投資家への負担増加につながり、『貯蓄から投資へ』の流れを阻害する要因となりかねない」(金融庁職員)という懸念がある。 レポートは、各種システムにおける寡占化の結果として事業者間の競争が働かず、それが金融機関側のコスト高の原因になっていると指摘。投資信託協会に対し、システムの仕様統一などを通じた寡占状況の解消を促している。 公表資料では事業者の社名こそ伏せられているものの、投信まわりの各種システムの分野では野村総合研究所(NRI)など証券会社系の存在感が強いことで知られる』、「計理システムにおいて・・・トップの事業者のシェアが約7割を占める」、「システムにおける寡占化」は顕著なようだ。
・『仕方がないと黙認された過去  システム分野の寡占状態については過去にも水面下、何度か金融庁内で議題に上っていた。ある事情通の金融庁関係者によれば、森信親元長官の時代にもシステムの寡占化について正式に問題提起すべきという声が上がったものの、「それが彼らの商売なら仕方ない」と幹部からの意見で頓挫した経緯があるという。 別の関係者によれば中島淳一・現金融庁長官は就任後、「こういう市況で一部システム会社の業績だけが好調というのは違和感がある」と周囲に話した。制度上は直接的な監督の権限をもたないはずの金融庁が、このタイミングでなぜシステム分野の寡占化という問題に足を踏み入れたのか。) その背景のひとつに、2024年1月に予定されているNISA制度の刷新がある。 NISA拡充は、岸田政権が昨年11月の資産所得倍増プランで掲げた看板施策だ。ただ、実際のNISAの買い付けは手数料水準の低いインデックス型投信に集中しがちで金融機関側にとって“うまみ”は小さく、システム整備の負担増に対する不満が根強い。 「結局、NISAで口座が増えるのは一部のネット証券だけ。ほとんどの証券会社にとっては割に合わない負け戦だ」(有力証券会社)、「金融庁が制度改正に動くたびに改修で儲かるシステム業界は、当局とグルではないのかと疑いたくなる」(地銀)といった恨み節が聞こえる。 一方、システム会社側からは「金融分野は特に高い安全性が求められるため、コストの削減幅には限度がある」(システム会社幹部)という意見も聞こえる』、「実際のNISAの買い付けは手数料水準の低いインデックス型投信に集中しがちで金融機関側にとって“うまみ”は小さく、システム整備の負担増に対する不満が根強い。 「結局、NISAで口座が増えるのは一部のネット証券だけ。ほとんどの証券会社にとっては割に合わない負け戦だ」(有力証券会社)、「金融庁が制度改正に動くたびに改修で儲かるシステム業界は、当局とグルではないのかと疑いたくなる」(地銀)といった恨み節が聞こえる」、なるほど。
・『システム業界をスケープゴートに?  NISA口座倍増という政府目標に向けた取り組みに事業者間の温度差も目立つ中、金融庁は足元、現行一般NISA枠の機能を引き継ぐ「成長投資枠」の対象商品選定をめぐって業界側との折衝に苦戦している。システム業界をスケープゴートとして槍玉に挙げた今回のレポートには、資産運用業界全体の“ガス抜き”的な狙いも透ける。 単に金融機関のコスト削減にとどまることなく、一般利用者である国民の利益追求につながる改革を実現できるかどうか、金融庁の調整力が問われている』、「システム業界をスケープゴートとして槍玉に挙げた」のはともかく、「一般利用者である国民の利益追求につな」げてほしいものだ。

第三に、6月4日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したニコンやMUFGのCFOの徳成旨亮氏による「社長の7割が「親会社出身」、運用成績が業界平均を下回ってもクビにならず… 日本の資産運用業が「草食系」である理由とは」を紹介しよう。
・『毎年平均100名近い海外機関投資家と面談しているニコン現CFOの徳成旨亮氏によると、海外機関投資家との面談で、頻繁に「君たち(日本経済・日本企業・日本人)には『アニマルスピリッツ』はないのか?」と問い質されてきた、という。 海外投資家は、日本の社会や企業経営を、血気が衰え、数値的期待値を最重視しリスクに怯えている状態にあると見ている。結果、日経平均は1989年の最高値を未だ更新できておらず、水準を切り上げ続けている欧米株と比べて魅力がないと言われても仕方がない状況だ。 この現状を打破するにはどうしたらいいか? 徳成氏は、「CFO思考」が「鍵」になるという。 朝倉祐介氏(アニマルスピリッツ代表パートナー)や堀内勉氏(元森ビルCFO)が絶賛する6/7発売の新刊『CFO思考』では、日本経済・日本企業・日本人が「血気と活力」を取り戻し、着実に成長への道に回帰する秘策が述べられている。本書から、一部を特別に公開する』、「海外機関投資家との面談で、頻繁に「君たち・・・には『アニマルスピリッツ』はないのか?」と問い質されてきた」、「海外投資家は、日本の社会や企業経営を、血気が衰え、数値的期待値を最重視しリスクに怯えている状態にあると見ている」、いずれも的確な指摘だ。
・『日本の上場企業すべてを買収できる資金力を持つ世界最大の資産運用会社とは  私は三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の役員として、さまざまな国際的な金融のフォーラムや会議などに参加してきましたが、「会議の中心」が10年単位で変わってきたという印象を持っています。 すなわち、2000年より前は商業銀行が中心的立場にいました。米国ではシティバンクやJPモルガン・チェース、英国ではバークレイズやHSBCなど商業銀行の経営者が会議で基調講演をしたり、パネルディスカッションにも登壇したりしていました。 2000年前後からはM&Aなどの投資銀行ビジネスが花形となり、投資銀行(インベストメントバンク。日本で言えば証券会社)が金融界で主要な立場を占めるようになってきました。ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、リーマン・ブラザーズといった金融機関の発言力が大きくなっていったのです。 そして、世界は2008年、日本ではリーマンショックと呼ばれる世界金融危機を迎え、商業銀行や投資銀行は大きく傷つきました。 その後の世界経済の回復と世界的な株高局面で、金融機関の序列はがらりと変わりました。すなわち、これまでの銀行、投資銀行に代わって、資産運用会社が金融界の中心的役割を担うようになってきているのです。 資産運用会社の雄である米国のブラックロックがその代表選手であり、同社CEOのラリー・フィンク氏が金融業界で最もその発言の影響力がある人物と目されるようになりました。 グローバルな会議、たとえば毎年1月下旬にスイスのリゾート地で開かれるダボス会議では、「ラリーが何を言うか」に、金融界、さらには経済界の注目が集まるようになっています。 米国ブラックロックの運用資産残高は8.6兆ドル(約1118兆円)。世界最大のアセットマネジメント会社です[*1]。 東証の時価総額が5兆ドル、上海証取と香港証取を足した中国上場企業の時価総額が11兆ドル、GAFAに代表されるテック企業が多数上場しているNASDAQの時価総額が18兆ドル[*2]。ブラックロック1社で、日本企業のすべて、または中国企業の約8割、あるいはNASDAQ上場企業の半分近くの株を買えるわけですから、その巨大さと影響力がおわかりいただけるかと思います』、「これまでの銀行、投資銀行に代わって、資産運用会社が金融界の中心的役割を担うようになってきている」、「米国ブラックロックの運用資産残高は8.6兆ドル(約1118兆円)・・・1社で、日本企業のすべて、または中国企業の約8割、あるいはNASDAQ上場企業の半分近くの株を買えるわけですから、その巨大さと影響力がおわかりいただけるかと思います」、全く凄い規模だ。
・『資産運用業が金融界で覇権を握るのは歴史の必然  銀行から投資銀行、そして資産運用会社へという金融界の覇権の移行は、歴史の必然である、と私は考えています。すなわち、資本主義が高度に発展・進展すると、金融資本主義に進み、そこでは富の蓄積が行われ、最も効率的な利益創出である資産運用が行われるようになります。 ピケティ氏の「r>g」という不等式において、「r」を受け取ることができるのは投資のリスクを取っているファミリーオフィス、ソブリンウエルスファンド、年金基金、大学基金などのアセットオーナーです。そして、セームボートマネー(注)やプロフィットシェアリングの形で(欧米の)資産運用会社もその「r」の成長の恩恵に与ることができる立場にいます。 同じ金融機関でも、経済成長「g」を裏で支える銀行業は金利という定額の収入しかなく、それを超える上振れメリット(アップサイド)を享受することはできません。 また、証券会社は、企業の成長率「g」が株式や債券という有価証券に形を変えていくプロセスには株式増資や債券発行の引き受けという形で関与しますが、その株式や債券が生み出すリターン「r」を受け取る立場にはありません。 実は、資産運用業が金融機関の序列の最上位にいる状況は欧米先進国だけに限りません。 中国や中東の諸国も早くから「r>g」の不等式に気づき、ソブリンウエルスファンドという名の国営の資産運用会社を立ち上げ、最優秀の人材をここに投入して国富を増やしてきました。 たとえば、シンガポールの国家予算の4分の1は、同国のソブリンウエルスファンドの1社であるGICによる運用収益で賄われている状況です。つまり、シンガポールでは政府そのものがアセットオーナーとなって、「r」のメリットを享受し、国家予算を厚くしています。その結果、シンガポール国民も「r」の恩恵に与っている、と表現することもできます。 このように、欧米先進国や一部中進国においては、「r>g」という「ピケティの不等式」のメリットを貪欲に追求するアセットオーナーやそのおこぼれに与ろうとするアセットマネージャーがおり、各企業はこうした機関投資家から選ばれようと成長戦略を磨き、ROE(自己資本利益率)などの資本効率を高める努力をしています。 これが、金融資本主義が発展した社会の姿です』、「ソブリンウエルスファンド」の意味がより深く理解できた。
(注)セームボート(出資):不動産投資法人(リート)の資産運用会社のスポンサー(資産運用会社の大株主)が当該投資法人の投資口を購入・保有することを言います。セイムボート出資は、不動産投資法人の投資主、資産運用会社、スポンサーの利害を一致させる取り組みの一つです。投資口価格が下落して投資主が損をすれば、スポンサーも損をする仕組みです。セイムボート出資は不動産投資法人、資産運用会社、スポンサーの利害を一致させることで、投資家の信頼の獲得にも資する(投信資料館)。
・『日本の資産運用業界は平均並みのリターンでよしとする「草食系」がほとんど  一方、日本の機関投資家の行動様式や業界構造はほかの先進国とは異なる状況にあります。 すなわち、金主であるアセットオーナーは多様性が乏しく年金性資金が主流です。また、資産運用会社もTOPIXなどベンチマークに追随する運用が多く、どこも似たり寄ったりで特徴がありません。 まず、金主から見てみると、日本における最大のアセットオーナーは年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)という政府系機関です。GPIFは日本国民の国民年金や厚生年金を管理・運用する世界最大の年金基金です。その他、共済年金や各企業の年金などが日本における主な資金の出し手です。年金基金に匹敵する1000億円以上を運用するファミリーオフィスや大学基金などはほとんどありません。 日本の年金性資金のアセットオーナーは、リスク許容度が小さく、いわば「安全運転」の運用をアセットマネージャーに指示します。 すなわち、運用対象資産は流動性のある株式や債券などが中心で、不動産やPE(プライベート・エクイティ)など低流動性の資産への投資は限定的です。たとえば、GPIFの運用対象資産は、「伝統的4資産」と呼ばれる「国内株式」「海外株式」「国内債券」「海外債券」の4つであり、これらに25%ずつ投資する基本的ポートフォリオを組んでいます。 GPIFに代表される公的年金および企業年金の運用では、TOPIXやS&P500といったベンチマークよりも高い運用利回りを求めるアクティブ運用の割合が年々減少し、市場平均並みのリターンでよしとする草食系のインデックス運用(パッシブ運用)の割合が年々増加しています。 また、資産運用会社サイドも、欧米のようなセームボートマネーやプロフィットシェアリング方式の運用を採用している会社は少なく、AUM(アセット・アンダー・マネジメント。運用残高)に一定の料率をかけた金額を運用報酬として受領する、という手数料体系が一般的です。 この方式に従えば、ある運用機関の運用成績が業界平均を下回っても、相場自体が堅調で資産の時価が増えれば、得られる手数料も増えることになります。 セームボートマネーやプロフィットシェアリングがない以上、同業他社と同じような運用成績をあげておけば、AUMを削られることもなく、業界標準並みの報酬を得られます。つまり、アップサイドもないかわりにダウンサイドリスクも限定的です。 日本では、資産運用会社のファンドマネージャーがクビになるといった例はきわめて稀です。この点で、運用成績が振るわなければ市場から淘汰される欧米のファンドマネージャーとは大きく異なります。 もっと言えば、日本の運用機関で資産運用をしている大多数が「サラリー・ファンドマネージャー」であり、毎月、定額の給料を得ながら運用し、運用が上手くいっても失敗してもボーナスが若干上下する程度という報酬体系のなかで働いています。 また、日本では資本主義の歴史の違いや資本市場の厚みの違いから、欧米では主流の独立系資産運用会社は少数派です。その多くは銀行や証券会社などの子会社であり、経営者も資産運用の経験のない人物が天下りで派遣されるケースも見られます。 2023年4月に金融庁が公表した「資産運用高度化プログレスレポート2023」によれば、海外の大手資産運用会社の経営トップの約6割は20年以上の運用経験があり、内部昇格者が半分であるのに対し、日本では4割弱が運用経験3年未満で、さらに約7割が親会社などのグループ会社の出身者です[*3]。 このレポートでは、こうした人事は「顧客の最善の利益や資産運用会社としての成長よりも、グループ内の人事上の処遇を重視しているのではないかと一般に受け止められるおそれがある」と指摘しています。また、欧米の資産運用会社では、誰が責任を持ってファンドや投資信託を運用しているのかがわかるようにファンドマネージャーの個人名が開示されていますが、日本では運用担当者の氏名開示が進んでおらず、ファンドの本数に占める開示割合は、世界各国の中でも最低水準だと指摘しています。 このように、日本の資産運用業界は、資金の出し手や金主も、運用者やファンドマネージャーも双方が安定志向の「草食系」なのです』、「海外の大手資産運用会社の経営トップの約6割は20年以上の運用経験があり、内部昇格者が半分であるのに対し、日本では4割弱が運用経験3年未満で、さらに約7割が親会社などのグループ会社の出身者です。 このレポートでは、こうした人事は「顧客の最善の利益や資産運用会社としての成長よりも、グループ内の人事上の処遇を重視しているのではないかと一般に受け止められるおそれがある」、「日本の資産運用業界は、資金の出し手や金主も、運用者やファンドマネージャーも双方が安定志向の「草食系」なのです」、皆が「草食系」とはやれやれだ。
・『【著者からのメッセージ】 私は国内外あわせて毎年平均100名前後の機関投資家の方々と、直接もしくはネット経由で面談し、自社の株式への投資をお願いしてきました。これら多くのグローバル投資家から、私が繰り返し言われてきた言葉があります。それは、 「君たち(日本経済・日本企業・日本人)には『アニマルスピリッツ』はないのか?」 というフレーズです。 経済学者のジョン・メイナード・ケインズによれば、アニマルスピリッツとは、「実現したいことに対する非合理的なまでの期待と熱意」を意味します。海外の投資家たちは、日本の社会全体や企業経営から血気と活力が衰えている、つまり「アニマルスピリッツ」が日本経済から失われていると見ているのです。 この現状を覆すにはどうすればよいか? それが本書のテーマです。その答えは「CFO思考」にあると私は考えています。 「CFO(Chief Financial Officer、最高財務責任者)」と聞くと、数字のプロであり経理や資金調達に責任を負っている「経理・財務担当役員」が思い浮かぶ方も多いと思います。 しかし、欧米で「CFO」といえば、CEO(最高経営責任者)、COO(最高執行責任者)とともに3名で経営の意思決定を行う「Cスイート」の一角を占める重要職です。CFOは、投資家をはじめとする社外の多くのステークホルダー(利害関係者)に対しては、会社を代表してエンゲージメント(深いつながりを持った対話)を行い、社内に対しては、ROE(自己資本利益率)に代表される投資家の期待・資本の論理や、ESG投資家や地域社会など、異なるステークホルダーの要望を社員にもわかるように翻訳して伝え、その期待を踏まえた経営戦略を立て、それを実践するよう組織に影響を与え行動を促す、という役割を担っています。 そして、「アニマルスピリッツ」をCEOなどほかの経営陣と共有し、「数値をベースにした冷静な判断力」を持って考え、企業としての夢の実現に向け行動する、いわば企業成長のエンジンの役割を果たしています。 本書では、従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」と呼びます。「『CFO思考』こそが、企業のパーパス(存在意義・目的)を実現させる」。これが本書の結論です。 本書でお話する内容には、企業経営に関するテーマが多く含まれています。同時に、現在、各企業において、経理、予算、財務、税務、IR、サステナビリティ・ESG、DX・ITといった分野で働くビジネスパーソン、もしくはそのような分野に興味がある方々も意識して書き下ろしました。皆さんが担当しておられるこれらの業務において、どのように「CFO思考」を発揮すればよいのかをご紹介しています。 こうした実務に携わっておられる皆さんには、グローバルで活躍できる人材として、将来日本企業と日本経済の成長のエンジンになっていただきたいと考えています。 CFOという仕事の魅力と楽しさが、一人でも多くの読者の皆さんに伝われば、それに勝る喜びはありません』、「従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」」、「CFO思考」が広がってほしいものだ。

第四に、6月10日付け日刊ゲンダイが掲載した金融ジャーナリストの小林佳樹氏による「セゾン投信の「積立王子」こと中野晴啓会長退任の裏にスルガ銀行あり」を紹介しよう。
・『セゾン投信は5月31日の取締役会で、6月1日付で創業者の中野晴啓会長の退任を決めた。中野氏は、親会社のクレディセゾンのドン・林野宏会長と経営の路線を巡り対立したとされ、「不本意な退任だ」(中野氏)との言葉を残し会社を去る。 中野氏は東京都出身で、1987年に明治大学商学部を卒業し、クレディセゾンに入社。同グループの金融子会社で資金運用業務を担当、2006年にセゾン投信を設立し社長に就任した。2014年には日本郵便の資本参加を受け入れ、2017年からゆうちょダイレクトへの商品提供を開始している。「中野氏は金融庁の金融審議会『市場ワーキング・グループ』の中核メンバーで、投資信託協会副会長も務めている。投信業界のカリスマの一人だ」(市場関係者)とされる。 投資哲学は、積み立て投資を長期的に続けることによる資産形成の素晴らしさを主張しており、「積立王子」と称される。長期投資の普及を目指し、日本全国でセミナー活動を精力的に展開している。また、2010年には、コモンズ投信会長の渋沢健、レオス・キャピタルワークスCIO(最高運用責任者)の藤野英人と「草食投資隊」を結成し、話題を集めた。) セゾン投信の運用資産残高は6000億円超で口座保有者は15万人を超える。自社で投資信託商品を設定・運用し、インターネットなどを通じて購入手数料のかからないノーロード型、信託報酬の低い投資信託として販売している。 そのカリスマ退任に業界では激震が走っている。 「中野氏は今の積み立て投資ブームをつくった立役者の一人。セゾングループ内で何度も反対に遭いながらセゾン投信を設立、自ら伝道師となって休日も全国を駆け巡り、積み立て・世界分散投資の意を若い投資家に説き続けてきた。販路をやみくもに広げず、投資家との顔の見える関係にこだわったことが成長のエンジン。中野会長だからこそセゾンでの積み立てを続けてきた個人投資家も多く、大きな落胆と資金流出にもつながりかねない」(市場関係者)というのだ。 中野氏退任の背景にはグループの販売戦略の転換も指摘されている。 「クレディセゾンによるスルガ銀行の持ち分法適用会社化の動きと関係しているのでしょう。セゾングループのドン・林野氏にしてみればセゾン投信は総合金融グループ化のための重要なエンティティーであり、スルガ銀を通じた窓口販売で預かり資産を一挙に増やしたいと考えている」(別の市場関係者)という』、「中野氏は今の積み立て投資ブームをつくった立役者の一人。セゾングループ内で何度も反対に遭いながらセゾン投信を設立、自ら伝道師となって休日も全国を駆け巡り、積み立て・世界分散投資の意を若い投資家に説き続けてきた。販路をやみくもに広げず、投資家との顔の見える関係にこだわったことが成長のエンジン。中野会長だからこそセゾンでの積み立てを続けてきた個人投資家も多く、大きな落胆と資金流出にもつながりかねない」、「資金流出」といっても、中野氏が独自の「投信」を立ち上げた訳でもないので、流出規模は知れているだろう。ただ、「ファン」心理は合理的に動くとは限らないだけに、不確定要素も大きいようだ。
・『顧客離れの懸念も  だが、セゾン投信の顧客はほぼイコール積立王子ファンであり、中野氏の退任で顧客離れも懸念される。また、セゾン投信の株主はクレディセゾン(所有比率60%)と日本郵便(同40%)。日本郵便がどう判断するかも注目点だ』、「ファン」心理については、上述と同様なので、不確定要素も大きいとみておくべきだろう。
タグ:ダイヤモンド・オンライン 「投資信託の現状」について、「システム会社間の競争がない状況では金融機関側のコストが押し上げられ、その負担は最終的に一般利用者に転嫁されかねない」、確かにその通りだろう。 投資(商品販売・手法) 「リーマンショック後、多くのファンド勢にとって商業用不動産の重要性は高まった。特に、投資銀行などと異なり、ファンド運営会社に対する規制は相対的に緩い環境が続いた。投資銀行にとって、ファンド向けの貸し出しは高い利益を生むため、重要性が増した」、「IT先端企業の急成長、さらにはスタートアップ企業やシェアオフィスの利用が急速に増えた。データセンターの建設も急増した。そうした需要の増加に支えられ、商業用不動産市場は成長した」、なるほど。 (その3)(商業用不動産ファンドが「次の危機」の震源地に?空室率上昇と利上げで警戒感、金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘、社長の7割が「親会社出身」、運用成績が業界平均を下回ってもクビにならず… 日本の資産運用業が「草食系」である理由とは、セゾン投信の「積立王子」こと中野晴啓会長退任の裏にスルガ銀行あり) 東洋経済オンライン 「米国をはじめ商業用不動産市場の下落が鮮明化し、多くの投資ファンドが厳しい状況に追い込まれる可能性は否定できない」、「商業用不動産などの投資ファンドが、今後の金融危機の火種になるリスクは頭に入れておいた方がよいだろう」、その通りだ。 「米欧の中央銀行が政策金利を引き上げるにつれ、資金借り入れコストは増える。加えて、商業用不動産などの価値が下落してもいる。ファンドからの資金流出も増える。 一方、商業用不動産の流動性は低い。こうして、資金の調達(短期)と運用(長期)のミスマッチが深刻化し、資金運用に行き詰まるファンドが急速に増えている」、なるほど。 「金融専門家の中には、次の危機の震源地として「商業用不動産などに投資するファンド」への警戒を強めている向きがある」、「今後の資産価格の展開次第では、一部の投資ファンドが過剰なリスクを抱え、業況が悪化する可能性がある。それが現実のものになると、世界的に金融システムの不安定感を高める要因になるだろう」、なるほど。 真壁昭夫氏による「商業用不動産ファンドが「次の危機」の震源地に?空室率上昇と利上げで警戒感」 川辺 和将氏による「金融庁が問題視、「投資家のコスト」が増える背景 投資信託を取り巻く課題をレポートで指摘」 「計理システムにおいて・・・トップの事業者のシェアが約7割を占める」、「システムにおける寡占化」は顕著なようだ。 「実際のNISAの買い付けは手数料水準の低いインデックス型投信に集中しがちで金融機関側にとって“うまみ”は小さく、システム整備の負担増に対する不満が根強い。 「結局、NISAで口座が増えるのは一部のネット証券だけ。ほとんどの証券会社にとっては割に合わない負け戦だ」(有力証券会社)、 「金融庁が制度改正に動くたびに改修で儲かるシステム業界は、当局とグルではないのかと疑いたくなる」(地銀)といった恨み節が聞こえる」、なるほど。 「システム業界をスケープゴートとして槍玉に挙げた」のはともかく、「一般利用者である国民の利益追求につな」げてほしいものだ。 徳成旨亮氏 「社長の7割が「親会社出身」、運用成績が業界平均を下回ってもクビにならず… 日本の資産運用業が「草食系」である理由とは」 「海外機関投資家との面談で、頻繁に「君たち・・・には『アニマルスピリッツ』はないのか?」と問い質されてきた」、「海外投資家は、日本の社会や企業経営を、血気が衰え、数値的期待値を最重視しリスクに怯えている状態にあると見ている」、いずれも的確な指摘だ。 「これまでの銀行、投資銀行に代わって、資産運用会社が金融界の中心的役割を担うようになってきている」、「米国ブラックロックの運用資産残高は8.6兆ドル(約1118兆円)・・・1社で、日本企業のすべて、または中国企業の約8割、あるいはNASDAQ上場企業の半分近くの株を買えるわけですから、その巨大さと影響力がおわかりいただけるかと思います」、全く凄い規模だ。 「ソブリンウエルスファンド」の意味がより深く理解できた。 (注)セームボート(出資):不動産投資法人(リート)の資産運用会社のスポンサー(資産運用会社の大株主)が当該投資法人の投資口を購入・保有することを言います。セイムボート出資は、不動産投資法人の投資主、資産運用会社、スポンサーの利害を一致させる取り組みの一つです。投資口価格が下落して投資主が損をすれば、スポンサーも損をする仕組みです。セイムボート出資は不動産投資法人、資産運用会社、スポンサーの利害を一致させることで、投資家の信頼の獲得にも資する(投信資料館)。 「海外の大手資産運用会社の経営トップの約6割は20年以上の運用経験があり、内部昇格者が半分であるのに対し、日本では4割弱が運用経験3年未満で、さらに約7割が親会社などのグループ会社の出身者です。 このレポートでは、こうした人事は「顧客の最善の利益や資産運用会社としての成長よりも、グループ内の人事上の処遇を重視しているのではないかと一般に受け止められるおそれがある」、 「日本の資産運用業界は、資金の出し手や金主も、運用者やファンドマネージャーも双方が安定志向の「草食系」なのです」、皆が「草食系」とはやれやれだ。 「従来の日本の経理・財務担当役員に多く見られる「CFOは企業価値保全を第一義にすべきだ」という考え方を「金庫番思考」、「CFOは冷徹な計算と非合理的なまでの熱意を併せ持ち、企業成長のエンジンとなるべき」という考え方を「CFO思考」」、「CFO思考」が広がってほしいものだ。 日刊ゲンダイ 小林佳樹氏による「セゾン投信の「積立王子」こと中野晴啓会長退任の裏にスルガ銀行あり」 「中野氏は今の積み立て投資ブームをつくった立役者の一人。セゾングループ内で何度も反対に遭いながらセゾン投信を設立、自ら伝道師となって休日も全国を駆け巡り、積み立て・世界分散投資の意を若い投資家に説き続けてきた。販路をやみくもに広げず、投資家との顔の見える関係にこだわったことが成長のエンジン。中野会長だからこそセゾンでの積み立てを続けてきた個人投資家も多く、大きな落胆と資金流出にもつながりかねない」、 「資金流出」といっても、中野氏が独自の「投信」を立ち上げた訳でもないので、流出規模は知れているだろう。ただ、「ファン」心理は合理的に動くとは限らないだけに、不確定要素も大きいようだ。 「ファン」心理については、上述と同様なので、不確定要素も大きいとみておくべきだろう。
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