鉄道(その10)(千葉・東葉高速鉄道が「28年度に資金ショート」の恐れ 金利上昇が追い打ち、イタリアの「元祖パノラマ」名車復活させた原動力 朽ち果てた車体復元、財源はどこから出ている?、大陸ならでは?「国際路面電車」驚きの隣国直通 ドイツの街中からフランスへ、時速100km運転も) [産業動向]
鉄道については、昨年6月18日に取上げた。今日は、(その10)(千葉・東葉高速鉄道が「28年度に資金ショート」の恐れ 金利上昇が追い打ち、イタリアの「元祖パノラマ」名車復活させた原動力 朽ち果てた車体復元、財源はどこから出ている?、大陸ならでは?「国際路面電車」驚きの隣国直通 ドイツの街中からフランスへ、時速100km運転も)である。
先ずは、本年5月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したライターの宮武和多哉氏による「千葉・東葉高速鉄道が「28年度に資金ショート」の恐れ、金利上昇が追い打ち」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/322125
・『千葉県・東葉高速鉄道が、早くて2028年度にも資金ショートする可能性が取り沙汰されている。多額の長期債務残高があり、利払いだけでも精いっぱいな状況が続いているからだ。その原因を突き詰めると、建設前の「鉄建公団」の枠組みにある。最近の金利上昇も“泣きっ面に蜂”状態で、返済にはさらなる不幸が襲い掛かることになりそうだ』、どうしてそんなことになったのだろう。
・『早くて2028年度にも「資金ショート」 「鉄道会社としての売り上げは年間130億円以上」「1日12万人以上が利用」「営業利益は年間33億」――。千葉県八千代市と船橋市を通る「東葉高速線」を運営する東葉高速鉄道は、これらの数値だけ見れば経営が順調そうに思える。 しかし同社は、早くて2028年度にも「資金ショート」する可能性がある。長期債務残高が2356億円あり、その返済はおろか、利払いだけでも精いっぱいな状況が続いているのだ。 その原因は、「建設にかかった2948億円を償還(返済)する」というスキーム(枠組み)にある。東京メトロ東西線と相互直通運転し、都心への通勤輸送を担う東葉高速線の利用状況は好調であるものの、コロナ禍前に行われていた元本返済も止まり、返済が進んでいない。21年度は、約10. 5億円を長期債務にかかる利払いのみに費やしている。 東葉高速鉄道は、なぜこうした経営状況に陥っているのか。また、利用者から「高い」と言われる運賃は、なぜ高いのか? まずはこれまでの経緯をたどってみよう』、「「建設にかかった2948億円を償還(返済)する」というスキーム(枠組み)にある・・・コロナ禍前に行われていた元本返済も止まり、返済が進んでいない。21年度は、約10.5億円を長期債務にかかる利払いのみに費やしている」、「コロナ禍前に行われていた元本返済」が止まった理由は何なのだろ。
・『免許申請から開業まで22年かかり建設費用が3倍に 東葉高速鉄道が開業したのは1996年。しかし免許の申請が行われたのは74年で、工事の大幅な遅れが建設費用の増大につながった。 74年の免許申請は営団地下鉄(現在の東京メトロ)によって行われ、当時は955億円の事業費(建設費など)を見込んでいた。しかし並行する京成電鉄などの事情も絡み、営団は免許を取り下げ、中野駅~西船橋駅間を東西線として開業した。営団は東葉高速鉄道に出資した上、「乗り入れ」という形の関与となる。 その後80年には「日本鉄道建設公団(以下:鉄建公団、現在のJRTT)」が工事を行い、千葉県や船橋市、八千代市などが出資する第三セクターが設備を引き取って運営する、現在の東葉高速鉄道が成立した。そうしてようやく84年に着工を果たす。 しかし、用地買収の交渉は遅々として進まなかった。通常ならここで「土地収用法」に基づき、裁決手続きの上で行政代執行となるはずだが、この頃千葉県は成田国際空港の2期工事を巡ってトラブルが相次ぎ、裁決をつかさどる収用委員会の機能がまひ状態だった。全ての地権者と合意を取り付けることができず、91年度を予定していた開業は93年→95年→96年と、延期を繰り返す。 そしてこの期間に、バブル景気による土地や資材の急騰が起きた。加えて「建中利息」(建設中の資金調達にかかる利息)や管理費が増大し、トンネル陥没事故などが次々と重なる。着工当初に2091億円を見込んでいた事業費は、2948億円まで膨れ上がった』、こんなに遅れたものを取上げるには、経済性の見込みの変化などによほどの注意が必要だ。
・『無理があった「公団P線方式」での建設 鉄建公団の「公団P線方式」で建設が行われたことも事態を深刻化させた。このスキームは、建設や資金調達までを鉄建公団が行い、引き渡しを受けた事業者が「譲渡代金」などの名目で開業後に分割で支払いを行う。 このスキームは経営体力のある大手私鉄の新線(東急田園都市線など)で頻繁に用いられた。一方、経営能力に乏しい第三セクター会社にも適用され、業績低迷とともに支払いに苦しむ事例が続出した。例えば、92年に開業した千葉急行電鉄(現在の京成千原線)はたった6年で経営破綻した。自治体のみならず、出資した京成電鉄も大きな損害を負うことになった。 当時の鉄建公団は政治的な決断を背景に、さまざまなスキームで後に「負の遺産」となる路線を量産している。「P線方式」も建設のための方便として使われた面も否めない。その上、P線区間は不相応な高規格で建設され、工事の遅延などで費用も上がりがちだ。 最近の金利上昇により、東葉高速鉄道の返済計画には、さらなる不幸が襲い掛かることになりそうだ。21年度の約12億円の利払いは、リーマンショック後の超低金利が前提となっている。そうなる以前は、年間50億円以上の利払いを行っていた時期もある。返済内容として、金利が0.1%変動しただけで、返済金額が数億円も上振れする可能性があるという』、「当時の鉄建公団は政治的な決断を背景に、さまざまなスキームで後に「負の遺産」となる路線を量産している。「P線方式」も建設のための方便として使われた面も否めない。その上、P線区間は不相応な高規格で建設され、工事の遅延などで費用も上がりがちだ」、「不相応な高規格で建設」とはとんでもない話だ。
・『鉄道建設と資金調達に変化、東急・相鉄直通線は? 東葉高速鉄道などの失敗例を踏まえて、近年の鉄道新線は「最初から補助、開業後の負担を減らす」という考え方にシフトしている。どういったことか、各地の事例を見てみよう。 23年3月に開業した東急・相鉄直通線では、05年に制定された「都市鉄道等利便増進法」によって、自治体が3分の1を補助し(残りはJRTTが調達)、新線開業で出る範囲の受益から東急・相鉄が施設利用料を支払う「受益活用型上下分離方式」が採用されている。いわば「最初から補助、鉄道会社は無理なく支払い」のパターンだ。 もしこれが「P線方式」で建設されていたとしたら、東急・相鉄が事業費の約2700億円を負担することになる。2社の営業利益を合計した8年分に相当する額だ。なお、東急・相鉄直通線の加算運賃も現行の範囲では済まなかっただろう。 05年に開業したつくばエクスプレスのように、「宅地・鉄道一体化法」で、沿線開発と一体化して鉄道を整備し、費用をある程度組み込んだ例もある。この路線は田中角栄元首相の“鶴の一声”で着工を果たしたともいわれ、いわば「政治の力技で何とかした」パターンともいえるだろう。 また、JR東海のように、低金利の環境を生かし、社債の発行で資金を「自社で調達」する事例も増えてきた。なお、同社が建設中のリニア中央新幹線や、89年に開通した瀬戸大橋などは、国の特別会計を活用した「財政投融資」で費用を確保している』、「23年3月に開業した東急・相鉄直通線では、05年に制定された「都市鉄道等利便増進法」によって、自治体が3分の1を補助し(残りはJRTTが調達)、新線開業で出る範囲の受益から東急・相鉄が施設利用料を支払う「受益活用型上下分離方式」が採用されている。いわば「最初から補助、鉄道会社は無理なく支払い」のパターンだ。 もしこれが「P線方式」で建設されていたとしたら、東急・相鉄が事業費の約2700億円を負担することになる」、安易に「P線方式」で先送りしたことが、現在の窮状につながったようだ。
・『株主である自治体が国に支援を要請へ 東葉高速鉄道は、西船橋駅~東葉勝田台駅間(16.4Km)の運賃で640円、1カ月の通勤定期で2万6890円という、距離の割に高い運賃が問題視されている。 千葉県内では、北総鉄道が通勤定期運賃を13.8%、通学定期運賃を64.7%も大幅値下げした(22年10月1日)。同社は「北総線・成田スカイアクセス」など成田空港への輸送で利用が上向いたことから、20年前には450億円もあった累積損失の解消を見込んでいる。片や、東葉高速鉄道の返済金額はその数倍とあって、なかなか値下げに踏み切れない。 3月20日、東葉高速鉄道に出資する千葉県・八千代市・船橋市は、国土交通省に対して、同社への「抜本的な支援策」を求める申し入れを行った。出資者による財政支出は500億円に上っているが、自治体のみによる支援には限界があるとして、踏み切ったもよう。これまでのように利払いの補填や猶予だけでは、いわば止血にすぎない。 第三セクターの鉄道会社では、例えば埼玉高速鉄道が「事業再生ADR」(裁判外紛争解決手続。私的整理の一つ)で元本の圧縮を図っている。また、P線方式で建設され、約650億円の負債を抱えた北神急行電鉄は、筆頭株主の阪急電鉄に198億円を支払う形で、神戸市が事業の譲渡を受けた。阪急側からすれば「損切り」となるが、神戸市側は市営地下鉄との一体運営で、念願の運賃値下げを行うことができた。 東葉高速鉄道の株主である自治体も、そうした何らかの具体策に踏み込む時期に来ているはずだ』、「東葉高速鉄道の株主である自治体も、そうした何らかの具体策に踏み込む時期に来ているはずだ」、同感である。
次に、5月31日付け東洋経済オンラインが掲載した欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏による「イタリアの「元祖パノラマ」名車復活させた原動力 朽ち果てた車体復元、財源はどこから出ている?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/675824
・『ETR252型「アルレッキーノ」――欧州の鉄道に関心のある人でも聞き慣れない名前かもしれない。 だが、昭和世代の乗り物好きなら乗り物図鑑の中で一度は目にしたことがあるであろう、前面展望車両の元祖とも言うべきETR300型「セッテベッロ」といえば、ご存知の人も多いのではないだろうか。 通常は車体前部に設ける運転台を屋根上へ置き、その代わりに前方を眺められる展望席を設けた画期的なデザインで、あの小田急ロマンスカーや名鉄パノラマカーがデザインの参考にしたとされる、イタリアが誇る名車中の名車、と言っても過言ではないだろう』、「あの小田急ロマンスカーや名鉄パノラマカーがデザインの参考にしたとされる、イタリアが誇る名車中の名車」とは興味深そうだ。
・『錆びて朽ち果てた名車 ETR250型アルレッキーノは1960年、そのセッテベッロの増備車として同年に開催されたローマオリンピックの観客輸送のため、ETR251~254型の4両編成4本が製造された。オリンピック終了後は、イタリア国内の主要都市間を結ぶRapido(特急列車)で使用されていたが、1990年代に入ると徐々に定期運用から外され、主に臨時列車やチャーター用に使用された。 だが、その回数も徐々に減っていき、ついに保留車両として完全に運用から退くことになった。4本造られたうち、第2編成のETR252型を除いた3本は1999年までにすべて解体されてしまった。残ったETR252型も、海からの潮風が吹くアンコーナ駅構内に長期間野ざらしの状態で放置され、車体は錆びて朽ち果てた状態となった。 転機となったのは2013年。イタリア鉄道の歴史的遺産を保護・管理する目的で設立されたイタリア鉄道財団(Fondazione FS)が、後世へ残すべき車両としてETR252型を保護する決定を下したのだ。車両は同財団によって速やかに回収され、ひとまず盗難や落書きなどの被害から守るため建物の中へ収容した。資金のメドが立った2016年に、修復を請け負う民間企業の工場へ移送され、すぐに動態保存へ向けた修復工事が始まった。 ETR252型の復元工事は完成まで3年を要した。長年留置されていたアンコーナの車庫は海沿いにあり、海からの潮風が容赦なく吹き付けたことで、車体はかなり傷んだ状態だった。工場へ運ばれた後、まず基礎以外の車体の外板を全て剥がし、配線などもすべて撤去、ほぼゼロの状態から再構築した』、「長年留置されていたアンコーナの車庫は海沿いにあり、海からの潮風が容赦なく吹き付けたことで、車体はかなり傷んだ状態だった。工場へ運ばれた後、まず基礎以外の車体の外板を全て剥がし、配線などもすべて撤去、ほぼゼロの状態から再構築した」、「海からの潮風が容赦なく吹き付けた」とは過酷な環境だ。
・『3年かけ修復完了、直後にコロナ禍が… 内装はオリジナルの状態を極力再現するため、シート生地は現代の基準を満たしつつ、当時の素材を忠実に再現。内壁に使う化粧板なども当時の色彩を保っている。その一方で、本線上を運行するにあたって現代の基準に適合させる改造も行われている。 例えば信号保安装置には、イタリアの主要幹線で採用されている安全性の高いSCMTシステムを搭載、空調装置は最新のものへ交換し、各座席には充電用のサービス電源ソケット(コンセント)を設置している。また、それに伴い必要となる電源容量が不足するため、コンバーター(変圧器)も出力を向上させた新型に交換した。 3年間にわたる修復工事を終え、再びその姿を現したのが2019年だった。お披露目は同年6月27日、ローマで開催されたイタリア鉄道(FS)グループの観光計画発表の場で行われた。すぐに一般向けの公開運転がスタートすることが期待されたが、間もなく世界はコロナ禍によって大混乱へと陥り、運転再開は無期限休止の状態となった。 2021年へ入り、ようやくコロナ禍が少し落ち着きを見せ始めたことで、各国は自由な移動やマスク着用、ワクチン接種などの規制を緩和し始めた。 それに呼応する形で、アルレッキーノの一般向け公開運転開始がアナウンスされた。最初の運行は2021年10月3日、ボローニャ―ローマ間で実施され、チケットは発売開始と同時に完売した。その後、今年2023年に至るまで、年に数度の一般向け公開運転や、チャーター運用などに使用されている。) 鉄道車両の保存には大きく分けて静態保存と動態保存の2種類がある。博物館や公園など、屋内外に動かない状態で保存する静態保存に対し、つねに動かせる状態で保存するのが動態保存だが、日本では前者が一般的となっている。乗り物である鉄道車両は、可能なら動態保存してほしいと願うファンがほとんどだろうと思うが、現実問題として、古い車両を動かせる状態で保存するためには、さまざまな難問をクリアしなければならない。 まず技術の継承が不可欠なのはもちろん、車両を維持管理するためのスペース、すなわち車庫の問題も出てくる。そして、それらを恒久的に続けていくために、当然多額の資金が必要となる。 古い車両は、きちんとしたメンテナンスが必要なのは言うに及ばず、現代の車両とは異なる車体や装置、技術の場合には、特別なケアが必要となる。こうした車両のメンテナンスには、熟練の技術者が必要不可欠となるが、若い技術者を育てなければ恒久的な維持管理は難しくなる。もちろん、ただ技術を教えるだけではなく、その技術者が一人前になった後、その技術だけで生活ができなければ、いずれなり手はいなくなってしまうし、その技術者が定年を迎えるときまでに後継者を育てなければ、その技術は潰えてしまうことになる』、「各座席には充電用のサービス電源ソケット(コンセント)を設置している。また、それに伴い必要となる電源容量が不足するため、コンバーター(変圧器)も出力を向上させた新型に交換した。 3年間にわたる修復工事を終え、再びその姿を現したのが2019年」、「2021年へ入り、ようやくコロナ禍が少し落ち着きを見せ始めたことで、各国は自由な移動やマスク着用、ワクチン接種などの規制を緩和し始めた。 それに呼応する形で、アルレッキーノの一般向け公開運転開始がアナウンスされた」、「鉄道車両の保存には大きく分けて静態保存と動態保存の2種類がある。博物館や公園など、屋内外に動かない状態で保存する静態保存に対し、つねに動かせる状態で保存するのが動態保存だが、日本では前者が一般的となっている。乗り物である鉄道車両は、可能なら動態保存してほしいと願うファンがほとんどだろうと思うが、現実問題として、古い車両を動かせる状態で保存するためには、さまざまな難問をクリアしなければならない。 まず技術の継承が不可欠なのはもちろん、車両を維持管理するためのスペース、すなわち車庫の問題も出てくる。そして、それらを恒久的に続けていくために、当然多額の資金が必要となる。 古い車両は、きちんとしたメンテナンスが必要なのは言うに及ばず、現代の車両とは異なる車体や装置、技術の場合には、特別なケアが必要となる」、「アルレッキーノ」を「動態保存」している「イタリア」も大したものだ。
・『相当な資金が必要な「動態保存」 部品の確保もまた、今後は重要な課題となってくるだろう。古い車両は、実は技術さえ継承できれば修理や整備は何とかなる可能性があるもので、昔の家電製品のように「叩けばなんとかなる」ではないが、ある意味で言えばスパナやハンマーなどがあれば直せるものが多い。 だが近年、特に半導体技術を使うようになった1970~1980年代以降の車両の場合、部品の交換以外に修理する手段がなくなるため、廃車となった車両から保守用部品を抜き取って保管する必要が生じる。そして、部品が枯渇した段階で修理不能となるため、装置そのものを最新の装置へ換装する以外に修理する手段がなくなる可能性もある。 つまり車両を動態保存するためには、鉄道会社側に相当な負担が生じ、とりわけ資金面に十分な余裕がない限り、まず不可能と言っていいだろう。日本の場合、JRも私鉄も民間企業であるから、多額の寄付金でもない限り資金力には限界がある。ファンがいくら声を上げたところで、ない袖は振れないのはやむをえないことだ。) では、一度はスクラップ寸前の状態となった1960年代の車両を通常の運行ができる状態にまで完全に復元した、イタリア鉄道財団の財源はどうなっているのだろうか。 イタリア鉄道財団では、財団創立メンバーであるイタリア鉄道FS、旅客運行子会社トレニタリア(Trenitalia)、インフラ子会社RFIの3社からの寄付金のほか、国や地方自治体、欧州連合などの公的機関からの寄付金、民間からの寄付金、動産および不動産の売買による収益、財団の資産から生じる年金などの配当金による収益、保有する株式による収益などがある』、「車両を動態保存するためには、鉄道会社側に相当な負担が生じ、とりわけ資金面に十分な余裕がない限り、まず不可能と言っていいだろう。日本の場合、JRも私鉄も民間企業であるから、多額の寄付金でもない限り資金力には限界がある・・・「イタリア」では「イタリア鉄道財団」が担っているようだ。
・『政府が保存をバックアップ 民間からの寄付については、筆者も一度財団へ寄付を申し出たことがあるが、個人からの少額の寄付は受け付けていないようで、今のところは企業などからの大口の寄付で賄われているようだ。 なお、2015年からは政府の文化遺産観光省が協賛パートナーとして名を連ねている。古い車両のほか、歴史的価値のある駅や信号所などの建築物、廃線となった風光明媚なローカル線など、鉄道関連施設や路線そのものを文化遺産と位置付け、国がこれらの保存に全面的なバックアップを約束しているのだから心強い。 FS財団では現在、冒頭で触れた世界的に有名なETR300型セッテベッロのほか、1957年に運行開始した国際特急TEE用のALn442-448型気動車、数々の超特急を牽引したE444型高速旅客用電気機関車などの完全復元を目指して修復工事が進められている。これらの歴史的名車が、再び本線上を疾走する日が一日も早く訪れることを願ってやまない』、「イタリア」は鉄道に限らず、歴史的遺産の保存・修復に膨大なエネルギーを費やしている。鉄道もこの一環のようだ。
第三に、7月12日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「大陸ならでは?「国際路面電車」驚きの隣国直通 ドイツの街中からフランスへ、時速100km運転も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/685797
・『日本で初めて全線を新設するLRT(次世代型路面電車)、芳賀・宇都宮LRTは2023年8月26日の開業だ。新設の路面電車は75年ぶりとあって、鉄道ファンだけでなくその動静に関心を寄せる人々は少なくないだろう。宇都宮市と隣接する芳賀町という2つの自治体にまたがる路線という点も注目すべきポイントだ。また、JRや東武鉄道への乗り入れの可能性も考慮し、軌間はこれらの鉄道と同じ狭軌(1067mm)で敷設されている。 一方、トラム(路面電車)の先進地である欧州には、自治体どころか「国」をまたいで走り、かつ路面の軌道から在来線鉄道に乗り入れて線路上を爆走するトラムがある。そんなユニークなトラムを紹介したい』、「ユニークなトラム」とは興味深そうだ。なお、「宇都宮市」の「トラム」は軽微な事故を起こしたようだ。右折禁止を無視して右折しようとした乗用車がぶつかってきたようだ。
・『ドイツ南部を走る「国際トラム」 国をまたいで走るトラムがあるのは、ドイツ南部ザールラントの中心都市・ザールブリュッケン(Saarbrücken)だ。ここを走るトラム「ザールバーン(Saarbahn)」は1997年に開業。現在の運行距離は全長44kmで、全体の43駅のうち23駅はザールブリュッケン市内のトラムとして路面の併用軌道を走るが、路線の南北で鉄道の在来線に乗り入れている。 もともとザールブリュッケンには路面電車が存在したが、モータリゼーションの影響などで1965年に全線廃止となり、その後の市内交通はバスが担っていたが、1990年代に入ってトラムの整備案が浮上。市内中心部は併用軌道、郊外は鉄道線に乗り入れて運行するという形態で整備することとなった。このようなスタイルは「トラムトレイン」と呼ばれる。 北側は、最初の開業が19世紀後半にまでさかのぼる「レーバッハ・フォルクリンゲン線(Bahnstrecke Lebach–Völklingen)」につながっている。同線は1985年をもって一旦旅客運行を終了し、その後は保存鉄道として不定期に列車が走っていた。2010年代に入って復活構想が持ち上がり、2014年にザールバーンと直結した。同区間は非電化区間のまま放置されていたため、ザールバーンとの接続に伴い、市街地区間と同じ直流750Vで電化された。 一方、ザールブリュッケンの市街地から南に向かう路線はやはり途中でドイツ鉄道(DB)の在来線ザールブリュッケン・サルグミーヌ線(Bahnstrecke Saarbrücken–Sarreguemines)へと乗り入れる。こちらは1997年の開業時から直通している。電化方式はザールバーンと在来線とで異なっており、在来線側は交流1万5000Vで電化されている。そのため、車両は直流・交流双方の電気方式に対応しており、地上側も電気方式を切り換えるためのデッドセクションが両線の接続駅に設けられている』、「現在の運行距離は全長44kmで、全体の43駅のうち23駅はザールブリュッケン市内のトラムとして路面の併用軌道を走るが、路線の南北で鉄道の在来線に乗り入れている」、「車両は直流・交流双方の電気方式に対応しており、地上側も電気方式を切り換えるためのデッドセクションが両線の接続駅に設けられている」、なるほど。
・『終点はフランスの街 そして、ザールバーンの南端の終点であるサルグミーヌ駅は、国境を越えた先のフランス国内にある。そのため、ドイツのトラム車両がフランス国鉄(SNCF)の駅に入り込むという不思議な光景が見られる。 もともとフランスは多言語対応があまり活発でないが、サルグミーヌ駅も例外ではない。トラムという市民生活に直結した乗り物が隣接するドイツから出入りしているにもかかわらず、駅内に旅客向けのドイツ語案内表記が全くないのがとてもユニークだ。 車両はボンバルディア(現・アルストム)製の「フレキシティ・リンク」と呼ばれるタイプで、開業時に導入された。車内の約半分のスペースが低床構造となった部分低床車で、鉄道線と路面電車を直通する車両としては世界初の低床構造を採用した車両でもある。路面電車といっても3車体で全長は40m近い大型車両だ。) 欧州は一般の鉄道もプラットホームが低いが、市街地の併用軌道区間はそれよりも低いため、両方のプラットホームに対応すべく乗降扉の下側には併用軌道での乗降時に開く「収納式ステップ」が設置されている。 ザールバーンの車両は市街地では時速40km程度で走るものの、ひとたび在来線の線路に入ると最高時速100kmまでスピードを上げる。ドイツの街中にある路面の停留場で「低床トラム」に乗ったはずが、途中から時速100kmで爆走し、さらに終点では別の国にある駅のプラットホームに降り立つという経験はザールバーンならではのものだろう。 多くの国境で出入国審査の必要ない欧州では、列車に乗っていて気づけば国境を越えていたということは珍しくないが、鉄道線に乗り入れているとはいえ、路面電車の終点が隣国というのは珍しい』、「もともとフランスは多言語対応があまり活発でないが、サルグミーヌ駅も例外ではない。トラムという市民生活に直結した乗り物が隣接するドイツから出入りしているにもかかわらず、駅内に旅客向けのドイツ語案内表記が全くないのがとてもユニークだ」、「市街地では時速40km程度で走るものの、ひとたび在来線の線路に入ると最高時速100kmまでスピードを上げる。ドイツの街中にある路面の停留場で「低床トラム」に乗ったはずが、途中から時速100kmで爆走し、さらに終点では別の国にある駅のプラットホームに降り立つという経験はザールバーンならではのものだろう」、「途中から時速100kmで爆走」、知らなければ驚くだろう。
・『環境配慮の交通機関 近年、欧州ではトラム網の増強が盛んに行われてきた。温暖化対策としての二酸化炭素排出量削減や、公共交通中心の街づくりといった狙いで、かつて廃止した都市やもともとトラムがなかった街での整備も多い。日本では基本的に路面電車の編成超は最大30mまでに抑えられているが、欧州のトラムはザールバーンも3車体で40m近く、さらに他都市でも5車体や7車体、複数編成をつないで走るケースもある。1編成当たりの乗車定員も多い。 日本でも富山のLRTや福井のえちぜん鉄道・福井鉄道での路面電車タイプの車両による乗り入れなど最近は路面電車をめぐる動きが増えてきている。日本では「国際路面電車」は無理だが、環境意識が高まる中、芳賀・宇都宮LRTに次いで、日本でもLRTが積極的に導入される日は来るのだろうか』、前述の「宇都宮LRT」の事故は「LRT」には責任はない。日本でも地方都市に広がってほしいものだ。
先ずは、本年5月2日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したライターの宮武和多哉氏による「千葉・東葉高速鉄道が「28年度に資金ショート」の恐れ、金利上昇が追い打ち」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/322125
・『千葉県・東葉高速鉄道が、早くて2028年度にも資金ショートする可能性が取り沙汰されている。多額の長期債務残高があり、利払いだけでも精いっぱいな状況が続いているからだ。その原因を突き詰めると、建設前の「鉄建公団」の枠組みにある。最近の金利上昇も“泣きっ面に蜂”状態で、返済にはさらなる不幸が襲い掛かることになりそうだ』、どうしてそんなことになったのだろう。
・『早くて2028年度にも「資金ショート」 「鉄道会社としての売り上げは年間130億円以上」「1日12万人以上が利用」「営業利益は年間33億」――。千葉県八千代市と船橋市を通る「東葉高速線」を運営する東葉高速鉄道は、これらの数値だけ見れば経営が順調そうに思える。 しかし同社は、早くて2028年度にも「資金ショート」する可能性がある。長期債務残高が2356億円あり、その返済はおろか、利払いだけでも精いっぱいな状況が続いているのだ。 その原因は、「建設にかかった2948億円を償還(返済)する」というスキーム(枠組み)にある。東京メトロ東西線と相互直通運転し、都心への通勤輸送を担う東葉高速線の利用状況は好調であるものの、コロナ禍前に行われていた元本返済も止まり、返済が進んでいない。21年度は、約10. 5億円を長期債務にかかる利払いのみに費やしている。 東葉高速鉄道は、なぜこうした経営状況に陥っているのか。また、利用者から「高い」と言われる運賃は、なぜ高いのか? まずはこれまでの経緯をたどってみよう』、「「建設にかかった2948億円を償還(返済)する」というスキーム(枠組み)にある・・・コロナ禍前に行われていた元本返済も止まり、返済が進んでいない。21年度は、約10.5億円を長期債務にかかる利払いのみに費やしている」、「コロナ禍前に行われていた元本返済」が止まった理由は何なのだろ。
・『免許申請から開業まで22年かかり建設費用が3倍に 東葉高速鉄道が開業したのは1996年。しかし免許の申請が行われたのは74年で、工事の大幅な遅れが建設費用の増大につながった。 74年の免許申請は営団地下鉄(現在の東京メトロ)によって行われ、当時は955億円の事業費(建設費など)を見込んでいた。しかし並行する京成電鉄などの事情も絡み、営団は免許を取り下げ、中野駅~西船橋駅間を東西線として開業した。営団は東葉高速鉄道に出資した上、「乗り入れ」という形の関与となる。 その後80年には「日本鉄道建設公団(以下:鉄建公団、現在のJRTT)」が工事を行い、千葉県や船橋市、八千代市などが出資する第三セクターが設備を引き取って運営する、現在の東葉高速鉄道が成立した。そうしてようやく84年に着工を果たす。 しかし、用地買収の交渉は遅々として進まなかった。通常ならここで「土地収用法」に基づき、裁決手続きの上で行政代執行となるはずだが、この頃千葉県は成田国際空港の2期工事を巡ってトラブルが相次ぎ、裁決をつかさどる収用委員会の機能がまひ状態だった。全ての地権者と合意を取り付けることができず、91年度を予定していた開業は93年→95年→96年と、延期を繰り返す。 そしてこの期間に、バブル景気による土地や資材の急騰が起きた。加えて「建中利息」(建設中の資金調達にかかる利息)や管理費が増大し、トンネル陥没事故などが次々と重なる。着工当初に2091億円を見込んでいた事業費は、2948億円まで膨れ上がった』、こんなに遅れたものを取上げるには、経済性の見込みの変化などによほどの注意が必要だ。
・『無理があった「公団P線方式」での建設 鉄建公団の「公団P線方式」で建設が行われたことも事態を深刻化させた。このスキームは、建設や資金調達までを鉄建公団が行い、引き渡しを受けた事業者が「譲渡代金」などの名目で開業後に分割で支払いを行う。 このスキームは経営体力のある大手私鉄の新線(東急田園都市線など)で頻繁に用いられた。一方、経営能力に乏しい第三セクター会社にも適用され、業績低迷とともに支払いに苦しむ事例が続出した。例えば、92年に開業した千葉急行電鉄(現在の京成千原線)はたった6年で経営破綻した。自治体のみならず、出資した京成電鉄も大きな損害を負うことになった。 当時の鉄建公団は政治的な決断を背景に、さまざまなスキームで後に「負の遺産」となる路線を量産している。「P線方式」も建設のための方便として使われた面も否めない。その上、P線区間は不相応な高規格で建設され、工事の遅延などで費用も上がりがちだ。 最近の金利上昇により、東葉高速鉄道の返済計画には、さらなる不幸が襲い掛かることになりそうだ。21年度の約12億円の利払いは、リーマンショック後の超低金利が前提となっている。そうなる以前は、年間50億円以上の利払いを行っていた時期もある。返済内容として、金利が0.1%変動しただけで、返済金額が数億円も上振れする可能性があるという』、「当時の鉄建公団は政治的な決断を背景に、さまざまなスキームで後に「負の遺産」となる路線を量産している。「P線方式」も建設のための方便として使われた面も否めない。その上、P線区間は不相応な高規格で建設され、工事の遅延などで費用も上がりがちだ」、「不相応な高規格で建設」とはとんでもない話だ。
・『鉄道建設と資金調達に変化、東急・相鉄直通線は? 東葉高速鉄道などの失敗例を踏まえて、近年の鉄道新線は「最初から補助、開業後の負担を減らす」という考え方にシフトしている。どういったことか、各地の事例を見てみよう。 23年3月に開業した東急・相鉄直通線では、05年に制定された「都市鉄道等利便増進法」によって、自治体が3分の1を補助し(残りはJRTTが調達)、新線開業で出る範囲の受益から東急・相鉄が施設利用料を支払う「受益活用型上下分離方式」が採用されている。いわば「最初から補助、鉄道会社は無理なく支払い」のパターンだ。 もしこれが「P線方式」で建設されていたとしたら、東急・相鉄が事業費の約2700億円を負担することになる。2社の営業利益を合計した8年分に相当する額だ。なお、東急・相鉄直通線の加算運賃も現行の範囲では済まなかっただろう。 05年に開業したつくばエクスプレスのように、「宅地・鉄道一体化法」で、沿線開発と一体化して鉄道を整備し、費用をある程度組み込んだ例もある。この路線は田中角栄元首相の“鶴の一声”で着工を果たしたともいわれ、いわば「政治の力技で何とかした」パターンともいえるだろう。 また、JR東海のように、低金利の環境を生かし、社債の発行で資金を「自社で調達」する事例も増えてきた。なお、同社が建設中のリニア中央新幹線や、89年に開通した瀬戸大橋などは、国の特別会計を活用した「財政投融資」で費用を確保している』、「23年3月に開業した東急・相鉄直通線では、05年に制定された「都市鉄道等利便増進法」によって、自治体が3分の1を補助し(残りはJRTTが調達)、新線開業で出る範囲の受益から東急・相鉄が施設利用料を支払う「受益活用型上下分離方式」が採用されている。いわば「最初から補助、鉄道会社は無理なく支払い」のパターンだ。 もしこれが「P線方式」で建設されていたとしたら、東急・相鉄が事業費の約2700億円を負担することになる」、安易に「P線方式」で先送りしたことが、現在の窮状につながったようだ。
・『株主である自治体が国に支援を要請へ 東葉高速鉄道は、西船橋駅~東葉勝田台駅間(16.4Km)の運賃で640円、1カ月の通勤定期で2万6890円という、距離の割に高い運賃が問題視されている。 千葉県内では、北総鉄道が通勤定期運賃を13.8%、通学定期運賃を64.7%も大幅値下げした(22年10月1日)。同社は「北総線・成田スカイアクセス」など成田空港への輸送で利用が上向いたことから、20年前には450億円もあった累積損失の解消を見込んでいる。片や、東葉高速鉄道の返済金額はその数倍とあって、なかなか値下げに踏み切れない。 3月20日、東葉高速鉄道に出資する千葉県・八千代市・船橋市は、国土交通省に対して、同社への「抜本的な支援策」を求める申し入れを行った。出資者による財政支出は500億円に上っているが、自治体のみによる支援には限界があるとして、踏み切ったもよう。これまでのように利払いの補填や猶予だけでは、いわば止血にすぎない。 第三セクターの鉄道会社では、例えば埼玉高速鉄道が「事業再生ADR」(裁判外紛争解決手続。私的整理の一つ)で元本の圧縮を図っている。また、P線方式で建設され、約650億円の負債を抱えた北神急行電鉄は、筆頭株主の阪急電鉄に198億円を支払う形で、神戸市が事業の譲渡を受けた。阪急側からすれば「損切り」となるが、神戸市側は市営地下鉄との一体運営で、念願の運賃値下げを行うことができた。 東葉高速鉄道の株主である自治体も、そうした何らかの具体策に踏み込む時期に来ているはずだ』、「東葉高速鉄道の株主である自治体も、そうした何らかの具体策に踏み込む時期に来ているはずだ」、同感である。
次に、5月31日付け東洋経済オンラインが掲載した欧州鉄道フォトライターの橋爪 智之氏による「イタリアの「元祖パノラマ」名車復活させた原動力 朽ち果てた車体復元、財源はどこから出ている?」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/675824
・『ETR252型「アルレッキーノ」――欧州の鉄道に関心のある人でも聞き慣れない名前かもしれない。 だが、昭和世代の乗り物好きなら乗り物図鑑の中で一度は目にしたことがあるであろう、前面展望車両の元祖とも言うべきETR300型「セッテベッロ」といえば、ご存知の人も多いのではないだろうか。 通常は車体前部に設ける運転台を屋根上へ置き、その代わりに前方を眺められる展望席を設けた画期的なデザインで、あの小田急ロマンスカーや名鉄パノラマカーがデザインの参考にしたとされる、イタリアが誇る名車中の名車、と言っても過言ではないだろう』、「あの小田急ロマンスカーや名鉄パノラマカーがデザインの参考にしたとされる、イタリアが誇る名車中の名車」とは興味深そうだ。
・『錆びて朽ち果てた名車 ETR250型アルレッキーノは1960年、そのセッテベッロの増備車として同年に開催されたローマオリンピックの観客輸送のため、ETR251~254型の4両編成4本が製造された。オリンピック終了後は、イタリア国内の主要都市間を結ぶRapido(特急列車)で使用されていたが、1990年代に入ると徐々に定期運用から外され、主に臨時列車やチャーター用に使用された。 だが、その回数も徐々に減っていき、ついに保留車両として完全に運用から退くことになった。4本造られたうち、第2編成のETR252型を除いた3本は1999年までにすべて解体されてしまった。残ったETR252型も、海からの潮風が吹くアンコーナ駅構内に長期間野ざらしの状態で放置され、車体は錆びて朽ち果てた状態となった。 転機となったのは2013年。イタリア鉄道の歴史的遺産を保護・管理する目的で設立されたイタリア鉄道財団(Fondazione FS)が、後世へ残すべき車両としてETR252型を保護する決定を下したのだ。車両は同財団によって速やかに回収され、ひとまず盗難や落書きなどの被害から守るため建物の中へ収容した。資金のメドが立った2016年に、修復を請け負う民間企業の工場へ移送され、すぐに動態保存へ向けた修復工事が始まった。 ETR252型の復元工事は完成まで3年を要した。長年留置されていたアンコーナの車庫は海沿いにあり、海からの潮風が容赦なく吹き付けたことで、車体はかなり傷んだ状態だった。工場へ運ばれた後、まず基礎以外の車体の外板を全て剥がし、配線などもすべて撤去、ほぼゼロの状態から再構築した』、「長年留置されていたアンコーナの車庫は海沿いにあり、海からの潮風が容赦なく吹き付けたことで、車体はかなり傷んだ状態だった。工場へ運ばれた後、まず基礎以外の車体の外板を全て剥がし、配線などもすべて撤去、ほぼゼロの状態から再構築した」、「海からの潮風が容赦なく吹き付けた」とは過酷な環境だ。
・『3年かけ修復完了、直後にコロナ禍が… 内装はオリジナルの状態を極力再現するため、シート生地は現代の基準を満たしつつ、当時の素材を忠実に再現。内壁に使う化粧板なども当時の色彩を保っている。その一方で、本線上を運行するにあたって現代の基準に適合させる改造も行われている。 例えば信号保安装置には、イタリアの主要幹線で採用されている安全性の高いSCMTシステムを搭載、空調装置は最新のものへ交換し、各座席には充電用のサービス電源ソケット(コンセント)を設置している。また、それに伴い必要となる電源容量が不足するため、コンバーター(変圧器)も出力を向上させた新型に交換した。 3年間にわたる修復工事を終え、再びその姿を現したのが2019年だった。お披露目は同年6月27日、ローマで開催されたイタリア鉄道(FS)グループの観光計画発表の場で行われた。すぐに一般向けの公開運転がスタートすることが期待されたが、間もなく世界はコロナ禍によって大混乱へと陥り、運転再開は無期限休止の状態となった。 2021年へ入り、ようやくコロナ禍が少し落ち着きを見せ始めたことで、各国は自由な移動やマスク着用、ワクチン接種などの規制を緩和し始めた。 それに呼応する形で、アルレッキーノの一般向け公開運転開始がアナウンスされた。最初の運行は2021年10月3日、ボローニャ―ローマ間で実施され、チケットは発売開始と同時に完売した。その後、今年2023年に至るまで、年に数度の一般向け公開運転や、チャーター運用などに使用されている。) 鉄道車両の保存には大きく分けて静態保存と動態保存の2種類がある。博物館や公園など、屋内外に動かない状態で保存する静態保存に対し、つねに動かせる状態で保存するのが動態保存だが、日本では前者が一般的となっている。乗り物である鉄道車両は、可能なら動態保存してほしいと願うファンがほとんどだろうと思うが、現実問題として、古い車両を動かせる状態で保存するためには、さまざまな難問をクリアしなければならない。 まず技術の継承が不可欠なのはもちろん、車両を維持管理するためのスペース、すなわち車庫の問題も出てくる。そして、それらを恒久的に続けていくために、当然多額の資金が必要となる。 古い車両は、きちんとしたメンテナンスが必要なのは言うに及ばず、現代の車両とは異なる車体や装置、技術の場合には、特別なケアが必要となる。こうした車両のメンテナンスには、熟練の技術者が必要不可欠となるが、若い技術者を育てなければ恒久的な維持管理は難しくなる。もちろん、ただ技術を教えるだけではなく、その技術者が一人前になった後、その技術だけで生活ができなければ、いずれなり手はいなくなってしまうし、その技術者が定年を迎えるときまでに後継者を育てなければ、その技術は潰えてしまうことになる』、「各座席には充電用のサービス電源ソケット(コンセント)を設置している。また、それに伴い必要となる電源容量が不足するため、コンバーター(変圧器)も出力を向上させた新型に交換した。 3年間にわたる修復工事を終え、再びその姿を現したのが2019年」、「2021年へ入り、ようやくコロナ禍が少し落ち着きを見せ始めたことで、各国は自由な移動やマスク着用、ワクチン接種などの規制を緩和し始めた。 それに呼応する形で、アルレッキーノの一般向け公開運転開始がアナウンスされた」、「鉄道車両の保存には大きく分けて静態保存と動態保存の2種類がある。博物館や公園など、屋内外に動かない状態で保存する静態保存に対し、つねに動かせる状態で保存するのが動態保存だが、日本では前者が一般的となっている。乗り物である鉄道車両は、可能なら動態保存してほしいと願うファンがほとんどだろうと思うが、現実問題として、古い車両を動かせる状態で保存するためには、さまざまな難問をクリアしなければならない。 まず技術の継承が不可欠なのはもちろん、車両を維持管理するためのスペース、すなわち車庫の問題も出てくる。そして、それらを恒久的に続けていくために、当然多額の資金が必要となる。 古い車両は、きちんとしたメンテナンスが必要なのは言うに及ばず、現代の車両とは異なる車体や装置、技術の場合には、特別なケアが必要となる」、「アルレッキーノ」を「動態保存」している「イタリア」も大したものだ。
・『相当な資金が必要な「動態保存」 部品の確保もまた、今後は重要な課題となってくるだろう。古い車両は、実は技術さえ継承できれば修理や整備は何とかなる可能性があるもので、昔の家電製品のように「叩けばなんとかなる」ではないが、ある意味で言えばスパナやハンマーなどがあれば直せるものが多い。 だが近年、特に半導体技術を使うようになった1970~1980年代以降の車両の場合、部品の交換以外に修理する手段がなくなるため、廃車となった車両から保守用部品を抜き取って保管する必要が生じる。そして、部品が枯渇した段階で修理不能となるため、装置そのものを最新の装置へ換装する以外に修理する手段がなくなる可能性もある。 つまり車両を動態保存するためには、鉄道会社側に相当な負担が生じ、とりわけ資金面に十分な余裕がない限り、まず不可能と言っていいだろう。日本の場合、JRも私鉄も民間企業であるから、多額の寄付金でもない限り資金力には限界がある。ファンがいくら声を上げたところで、ない袖は振れないのはやむをえないことだ。) では、一度はスクラップ寸前の状態となった1960年代の車両を通常の運行ができる状態にまで完全に復元した、イタリア鉄道財団の財源はどうなっているのだろうか。 イタリア鉄道財団では、財団創立メンバーであるイタリア鉄道FS、旅客運行子会社トレニタリア(Trenitalia)、インフラ子会社RFIの3社からの寄付金のほか、国や地方自治体、欧州連合などの公的機関からの寄付金、民間からの寄付金、動産および不動産の売買による収益、財団の資産から生じる年金などの配当金による収益、保有する株式による収益などがある』、「車両を動態保存するためには、鉄道会社側に相当な負担が生じ、とりわけ資金面に十分な余裕がない限り、まず不可能と言っていいだろう。日本の場合、JRも私鉄も民間企業であるから、多額の寄付金でもない限り資金力には限界がある・・・「イタリア」では「イタリア鉄道財団」が担っているようだ。
・『政府が保存をバックアップ 民間からの寄付については、筆者も一度財団へ寄付を申し出たことがあるが、個人からの少額の寄付は受け付けていないようで、今のところは企業などからの大口の寄付で賄われているようだ。 なお、2015年からは政府の文化遺産観光省が協賛パートナーとして名を連ねている。古い車両のほか、歴史的価値のある駅や信号所などの建築物、廃線となった風光明媚なローカル線など、鉄道関連施設や路線そのものを文化遺産と位置付け、国がこれらの保存に全面的なバックアップを約束しているのだから心強い。 FS財団では現在、冒頭で触れた世界的に有名なETR300型セッテベッロのほか、1957年に運行開始した国際特急TEE用のALn442-448型気動車、数々の超特急を牽引したE444型高速旅客用電気機関車などの完全復元を目指して修復工事が進められている。これらの歴史的名車が、再び本線上を疾走する日が一日も早く訪れることを願ってやまない』、「イタリア」は鉄道に限らず、歴史的遺産の保存・修復に膨大なエネルギーを費やしている。鉄道もこの一環のようだ。
第三に、7月12日付け東洋経済オンラインが掲載した在英ジャーナリストのさかい もとみ氏による「大陸ならでは?「国際路面電車」驚きの隣国直通 ドイツの街中からフランスへ、時速100km運転も」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/685797
・『日本で初めて全線を新設するLRT(次世代型路面電車)、芳賀・宇都宮LRTは2023年8月26日の開業だ。新設の路面電車は75年ぶりとあって、鉄道ファンだけでなくその動静に関心を寄せる人々は少なくないだろう。宇都宮市と隣接する芳賀町という2つの自治体にまたがる路線という点も注目すべきポイントだ。また、JRや東武鉄道への乗り入れの可能性も考慮し、軌間はこれらの鉄道と同じ狭軌(1067mm)で敷設されている。 一方、トラム(路面電車)の先進地である欧州には、自治体どころか「国」をまたいで走り、かつ路面の軌道から在来線鉄道に乗り入れて線路上を爆走するトラムがある。そんなユニークなトラムを紹介したい』、「ユニークなトラム」とは興味深そうだ。なお、「宇都宮市」の「トラム」は軽微な事故を起こしたようだ。右折禁止を無視して右折しようとした乗用車がぶつかってきたようだ。
・『ドイツ南部を走る「国際トラム」 国をまたいで走るトラムがあるのは、ドイツ南部ザールラントの中心都市・ザールブリュッケン(Saarbrücken)だ。ここを走るトラム「ザールバーン(Saarbahn)」は1997年に開業。現在の運行距離は全長44kmで、全体の43駅のうち23駅はザールブリュッケン市内のトラムとして路面の併用軌道を走るが、路線の南北で鉄道の在来線に乗り入れている。 もともとザールブリュッケンには路面電車が存在したが、モータリゼーションの影響などで1965年に全線廃止となり、その後の市内交通はバスが担っていたが、1990年代に入ってトラムの整備案が浮上。市内中心部は併用軌道、郊外は鉄道線に乗り入れて運行するという形態で整備することとなった。このようなスタイルは「トラムトレイン」と呼ばれる。 北側は、最初の開業が19世紀後半にまでさかのぼる「レーバッハ・フォルクリンゲン線(Bahnstrecke Lebach–Völklingen)」につながっている。同線は1985年をもって一旦旅客運行を終了し、その後は保存鉄道として不定期に列車が走っていた。2010年代に入って復活構想が持ち上がり、2014年にザールバーンと直結した。同区間は非電化区間のまま放置されていたため、ザールバーンとの接続に伴い、市街地区間と同じ直流750Vで電化された。 一方、ザールブリュッケンの市街地から南に向かう路線はやはり途中でドイツ鉄道(DB)の在来線ザールブリュッケン・サルグミーヌ線(Bahnstrecke Saarbrücken–Sarreguemines)へと乗り入れる。こちらは1997年の開業時から直通している。電化方式はザールバーンと在来線とで異なっており、在来線側は交流1万5000Vで電化されている。そのため、車両は直流・交流双方の電気方式に対応しており、地上側も電気方式を切り換えるためのデッドセクションが両線の接続駅に設けられている』、「現在の運行距離は全長44kmで、全体の43駅のうち23駅はザールブリュッケン市内のトラムとして路面の併用軌道を走るが、路線の南北で鉄道の在来線に乗り入れている」、「車両は直流・交流双方の電気方式に対応しており、地上側も電気方式を切り換えるためのデッドセクションが両線の接続駅に設けられている」、なるほど。
・『終点はフランスの街 そして、ザールバーンの南端の終点であるサルグミーヌ駅は、国境を越えた先のフランス国内にある。そのため、ドイツのトラム車両がフランス国鉄(SNCF)の駅に入り込むという不思議な光景が見られる。 もともとフランスは多言語対応があまり活発でないが、サルグミーヌ駅も例外ではない。トラムという市民生活に直結した乗り物が隣接するドイツから出入りしているにもかかわらず、駅内に旅客向けのドイツ語案内表記が全くないのがとてもユニークだ。 車両はボンバルディア(現・アルストム)製の「フレキシティ・リンク」と呼ばれるタイプで、開業時に導入された。車内の約半分のスペースが低床構造となった部分低床車で、鉄道線と路面電車を直通する車両としては世界初の低床構造を採用した車両でもある。路面電車といっても3車体で全長は40m近い大型車両だ。) 欧州は一般の鉄道もプラットホームが低いが、市街地の併用軌道区間はそれよりも低いため、両方のプラットホームに対応すべく乗降扉の下側には併用軌道での乗降時に開く「収納式ステップ」が設置されている。 ザールバーンの車両は市街地では時速40km程度で走るものの、ひとたび在来線の線路に入ると最高時速100kmまでスピードを上げる。ドイツの街中にある路面の停留場で「低床トラム」に乗ったはずが、途中から時速100kmで爆走し、さらに終点では別の国にある駅のプラットホームに降り立つという経験はザールバーンならではのものだろう。 多くの国境で出入国審査の必要ない欧州では、列車に乗っていて気づけば国境を越えていたということは珍しくないが、鉄道線に乗り入れているとはいえ、路面電車の終点が隣国というのは珍しい』、「もともとフランスは多言語対応があまり活発でないが、サルグミーヌ駅も例外ではない。トラムという市民生活に直結した乗り物が隣接するドイツから出入りしているにもかかわらず、駅内に旅客向けのドイツ語案内表記が全くないのがとてもユニークだ」、「市街地では時速40km程度で走るものの、ひとたび在来線の線路に入ると最高時速100kmまでスピードを上げる。ドイツの街中にある路面の停留場で「低床トラム」に乗ったはずが、途中から時速100kmで爆走し、さらに終点では別の国にある駅のプラットホームに降り立つという経験はザールバーンならではのものだろう」、「途中から時速100kmで爆走」、知らなければ驚くだろう。
・『環境配慮の交通機関 近年、欧州ではトラム網の増強が盛んに行われてきた。温暖化対策としての二酸化炭素排出量削減や、公共交通中心の街づくりといった狙いで、かつて廃止した都市やもともとトラムがなかった街での整備も多い。日本では基本的に路面電車の編成超は最大30mまでに抑えられているが、欧州のトラムはザールバーンも3車体で40m近く、さらに他都市でも5車体や7車体、複数編成をつないで走るケースもある。1編成当たりの乗車定員も多い。 日本でも富山のLRTや福井のえちぜん鉄道・福井鉄道での路面電車タイプの車両による乗り入れなど最近は路面電車をめぐる動きが増えてきている。日本では「国際路面電車」は無理だが、環境意識が高まる中、芳賀・宇都宮LRTに次いで、日本でもLRTが積極的に導入される日は来るのだろうか』、前述の「宇都宮LRT」の事故は「LRT」には責任はない。日本でも地方都市に広がってほしいものだ。
タグ:鉄道 (その10)(千葉・東葉高速鉄道が「28年度に資金ショート」の恐れ 金利上昇が追い打ち、イタリアの「元祖パノラマ」名車復活させた原動力 朽ち果てた車体復元、財源はどこから出ている?、大陸ならでは?「国際路面電車」驚きの隣国直通 ドイツの街中からフランスへ、時速100km運転も) ダイヤモンド・オンライン 宮武和多哉氏による「千葉・東葉高速鉄道が「28年度に資金ショート」の恐れ、金利上昇が追い打ち」 どうしてそんなことになったのだろう。 「「建設にかかった2948億円を償還(返済)する」というスキーム(枠組み)にある・・・コロナ禍前に行われていた元本返済も止まり、返済が進んでいない。21年度は、約10.5億円を長期債務にかかる利払いのみに費やしている」、「コロナ禍前に行われていた元本返済」が止まった理由は何なのだろ。 こんなに遅れたものを取上げるには、経済性の見込みの変化などによほどの注意が必要だ。 「当時の鉄建公団は政治的な決断を背景に、さまざまなスキームで後に「負の遺産」となる路線を量産している。「P線方式」も建設のための方便として使われた面も否めない。その上、P線区間は不相応な高規格で建設され、工事の遅延などで費用も上がりがちだ」、「不相応な高規格で建設」とはとんでもない話だ。 「23年3月に開業した東急・相鉄直通線では、05年に制定された「都市鉄道等利便増進法」によって、自治体が3分の1を補助し(残りはJRTTが調達)、新線開業で出る範囲の受益から東急・相鉄が施設利用料を支払う「受益活用型上下分離方式」が採用されている。いわば「最初から補助、鉄道会社は無理なく支払い」のパターンだ。 もしこれが「P線方式」で建設されていたとしたら、東急・相鉄が事業費の約2700億円を負担することになる」、安易に「P線方式」で先送りしたことが、現在の窮状につながったようだ。 「東葉高速鉄道の株主である自治体も、そうした何らかの具体策に踏み込む時期に来ているはずだ」、同感である。 東洋経済オンライン 橋爪 智之氏による「イタリアの「元祖パノラマ」名車復活させた原動力 朽ち果てた車体復元、財源はどこから出ている?」 「あの小田急ロマンスカーや名鉄パノラマカーがデザインの参考にしたとされる、イタリアが誇る名車中の名車」とは興味深そうだ。 「長年留置されていたアンコーナの車庫は海沿いにあり、海からの潮風が容赦なく吹き付けたことで、車体はかなり傷んだ状態だった。工場へ運ばれた後、まず基礎以外の車体の外板を全て剥がし、配線などもすべて撤去、ほぼゼロの状態から再構築した」、「海からの潮風が容赦なく吹き付けた」とは過酷な環境だ。 「各座席には充電用のサービス電源ソケット(コンセント)を設置している。また、それに伴い必要となる電源容量が不足するため、コンバーター(変圧器)も出力を向上させた新型に交換した。 3年間にわたる修復工事を終え、再びその姿を現したのが2019年」、 「2021年へ入り、ようやくコロナ禍が少し落ち着きを見せ始めたことで、各国は自由な移動やマスク着用、ワクチン接種などの規制を緩和し始めた。 それに呼応する形で、アルレッキーノの一般向け公開運転開始がアナウンスされた」、 「鉄道車両の保存には大きく分けて静態保存と動態保存の2種類がある。博物館や公園など、屋内外に動かない状態で保存する静態保存に対し、つねに動かせる状態で保存するのが動態保存だが、日本では前者が一般的となっている。乗り物である鉄道車両は、可能なら動態保存してほしいと願うファンがほとんどだろうと思うが、現実問題として、古い車両を動かせる状態で保存するためには、さまざまな難問をクリアしなければならない。 まず技術の継承が不可欠なのはもちろん、車両を維持管理するためのスペース、すなわち車庫の問題も出てくる。そして、それらを恒久的に続けていくために、当然多額の資金が必要となる。 古い車両は、きちんとしたメンテナンスが必要なのは言うに及ばず、現代の車両とは異なる車体や装置、技術の場合には、特別なケアが必要となる」、「アルレッキーノ」を「動態保存」している「イタリア」も大したものだ。 「車両を動態保存するためには、鉄道会社側に相当な負担が生じ、とりわけ資金面に十分な余裕がない限り、まず不可能と言っていいだろう。日本の場合、JRも私鉄も民間企業であるから、多額の寄付金でもない限り資金力には限界がある・・・「イタリア」では「イタリア鉄道財団」が担っているようだ。 「イタリア」は鉄道に限らず、歴史的遺産の保存・修復に膨大なエネルギーを費やしている。鉄道もこの一環のようだ。 さかい もとみ氏による「大陸ならでは?「国際路面電車」驚きの隣国直通 ドイツの街中からフランスへ、時速100km運転も」 「ユニークなトラム」とは興味深そうだ。なお、「宇都宮市」の「トラム」は軽微な事故を起こしたようだ。右折禁止を無視して右折しようとした乗用車がぶつかってきたようだ。 「現在の運行距離は全長44kmで、全体の43駅のうち23駅はザールブリュッケン市内のトラムとして路面の併用軌道を走るが、路線の南北で鉄道の在来線に乗り入れている」、「車両は直流・交流双方の電気方式に対応しており、地上側も電気方式を切り換えるためのデッドセクションが両線の接続駅に設けられている」、なるほど。 「もともとフランスは多言語対応があまり活発でないが、サルグミーヌ駅も例外ではない。トラムという市民生活に直結した乗り物が隣接するドイツから出入りしているにもかかわらず、駅内に旅客向けのドイツ語案内表記が全くないのがとてもユニークだ」、 「市街地では時速40km程度で走るものの、ひとたび在来線の線路に入ると最高時速100kmまでスピードを上げる。ドイツの街中にある路面の停留場で「低床トラム」に乗ったはずが、途中から時速100kmで爆走し、さらに終点では別の国にある駅のプラットホームに降り立つという経験はザールバーンならではのものだろう」、「途中から時速100kmで爆走」、知らなければ驚くだろう。 前述の「宇都宮LRT」の事故は「LRT」には責任はない。日本でも地方都市に広がってほしいものだ。
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