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百貨店業界(その6)(セブン そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった、そごう・西武売却劇は外資ハゲタカファンドの「丸儲け」で決着…「大失敗」のセブン&アイ 明暗分かれたヤバい取引、西武池袋は売却 東急本店は閉店…首都圏の電鉄系百貨店「縮小・撤退ドミノ」の理由) [産業動向]

百貨店業界については、本年5月17日に取上げた。今日は、(その6)(セブン そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった、そごう・西武売却劇は外資ハゲタカファンドの「丸儲け」で決着…「大失敗」のセブン&アイ 明暗分かれたヤバい取引、西武池袋は売却 東急本店は閉店…首都圏の電鉄系百貨店「縮小・撤退ドミノ」の理由)である。

先ずは、5月25日付け東洋経済オンライン「セブン、そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/699144
・『セブン&アイ・ホールディングス(HD)は9月1日、百貨店子会社のそごう・西武をアメリカの投資ファンド、フォートレス・インベストメント・グループに売却した。売却先をフォートレスに決めたのが昨年11月。長期に渡った売却交渉がようやく完了した。 売却額は2200億円と一見高額。しかし売却日当日、セブン&アイは単体で1457億円の特別損失計上を発表、連結の最終利益の予想を下方修正している。 セブン&アイはなぜ損失計上を迫られたのか』、「セブン&アイは単体で1457億円の特別損失計上を発表、連結の最終利益の予想を下方修正」、なるほど。
・『2200億円は有利子負債を含めた評価  その理由は極めて単純。そごう・西武の企業価値の評価が、極めて低かったからだ。 2200億円は確かに実際の売却額だが、これは有利子負債を含めた企業価値がベースとなっている。そごう・西武はこれまで約3000億円と多額の有利子負債を抱えていた。売却に伴ってセブン&アイが自社の貸付金のうち916億円を債権放棄しており、残る有利子負債は単純計算で約2100億円。つまり、2200億円という企業価値の大部分は、有利子負債で占められていたことになる。 セブン&アイは損失計上と同時に公表したリリースで、「そごう・西武株式の譲渡価額は(中略)85百万円を見込んでおります」としているが、まさにこのことを指している。有利子負債のほかに運転資本の減少分などを考慮した「実質的な」譲渡価額が、8500万円だったということだ。 セブン&アイはこの実質的な譲渡価額と簿価との差を、株式譲渡関連特損411億円として損失計上した。そごう・西武の企業価値は当初2500億円とされていたが、売却交渉の長期化や売却後の西武池袋本店(池袋西武)のフロアプランの見直しなどに伴って、300億円減額されたことも、損失計上の要因となっている。 ただ、セブン&アイからすれば、譲渡価額8500万円は完全に想定内だったようだ。「損失を出さずに売るのは超ウルトラC」。そごう・西武の売却の過程で、セブン&アイの関係者はこう漏らしていた。 セブン&アイ側も、買収したフォートレス側も、当初から百貨店事業についてはほとんど価値を見出していなかった。逆に実質評価がマイナスにならずに売却できたことで、セブン&アイの担当者は胸をなで下ろしているかもしれない。 損失計上には別の要因もある。売却に伴ってセブン&アイが損失補填を余儀なくされたことだ。損失補填のほとんどは前述した債権放棄額916億円だが、もう一つの理由がある。 テナントの移転・撤退に伴う「クリーニング費用」の負担だ。今後、池袋西武にはフォートレスと組む家電量販店の「ヨドバシカメラ」が出店する計画だ。そうなれば、既存のテナントは移転を強いられ、場合によっては撤退を余儀なくされる。 まだ移転が決まっていない一部の高級ブランドなど、今後新たに必要となる移転費用は新オーナーであるフォートレスが負担するが、「すでに大枠が決まっているテナントの移動については、セブン&アイ側が負担する」(ディール関係者)。損失補填の中には、このクリーニング費用の負担が含まれている模様だ。 売却スキームではヨドバシの入居によって多くのテナントの移転・撤退が見込まれ、その費用を誰が負担するかも1つの焦点だった。セブン&アイの実際の負担額は非公開だが、「今回で株式譲渡にかかわる損失は出しつくした」(セブン&アイ広報担当者)。売却後の追加負担も懸念されていたが、それは回避されたようだ。 しかし、終わったのはあくまで会計上の処理だけだ。セブン&アイの経営陣には、今後対峙しなければならない課題がなお残されている』、「売却後の追加負担も懸念されていたが、それは回避されたようだ」、なるほど。
・『法廷の場で明らかになる取締役の責任  一つは株主対応だ。セブン&アイの株主であるそごう・西武の元社員らは、昨年11月の売却公表時に算定された同社の企業価値2500億円が不透明であるとして、井阪隆一社長らセブン&アイHD取締役に損害賠償を求める株主代表訴訟を東京地裁に提訴している。 問題は、売却先を決定する際に、井阪社長ら取締役が善管注意義務を果たしたといえるかどうかだ。今回の売却経緯を巡っては、入札の際に複数のファンドが手を挙げたものの、途中からフォートレスありきで交渉が進んだとする指摘がある。 また、売却直前になって企業価値が減額されたり、債権放棄を余儀なくされたりしたことを考えると、当初2500億円とされた企業価値の算定根拠が正当なものだったのかが、今後争点となりそうだ。 もう一つはそごう・西武の従業員の雇用問題だ。同社の労働組合は、ヨドバシの入居で百貨店の売り場面積が大きく縮小し、「雇用継続の確証が得られない」と反発。8月31日には、池袋西武で大手百貨店として61年ぶりのストライキを決行した。 この問題はフォートレスに売却された後も、くずぶり続ける。セブン&アイはかねてから「(ヨドバシの入居で)従業員の働く場所が物理的になくなり、社内での配置転換も難しい場合、当社も受け入れる用意はある」(広報担当者)としている。 しかし、セブン&アイの主力業態であるコンビニはフランチャイズビジネスであり、それほど多くの社員が必要なわけではない。さらにイトーヨーカ堂などのスーパー事業は構造改革の真っただ中。事業会社の再編に取り組んでおり、「とても人を受け入れられる状況ではない」(セブン&アイ関係者)。十分な雇用の受け皿となるかは不透明だ』、確かに、「西武」で人員削減の必要が出た場合、コンビニや「イトーヨーカ堂」などの雇用吸収力は現地的だ。
・『終盤は「孤軍奮闘」状態だった井阪社長  今回、ここまで事態が混乱したのは、労組との関係が象徴するように、「最初から正直に話し合って納得を得るのではなく、ごまかしながら進めた」(ディールの関係者)からだ。 井阪社長は「事業と雇用を継続する」と主張し続ける一方、「直接の雇用者ではない」として労使交渉には応じてこなかった。初めて交渉の席についたのは8月序盤で、そこから売却完了までは1カ月にも満たない。池袋西武の地元である豊島区や駅前商店街との合意もとれないままで、説明責任を果たしたとは到底いえない。 今回の売却のプロセスでは、従業員や地元、さらに消費者というステークホルダーに対する配慮があまりに欠けていた。そして日本の小売業最大手として、百貨店をどう再生するか、そのために最大のシナジーを発揮できる売却先はどこかといった視点が、ほとんどなかったようにみえる。 責任は井阪社長にだけあるのではない。セブン&アイの関係者によると、首脳陣の一部はそごう・西武売却に際し、「『大変ですね』などと発言するだけで、井阪さんの言う『真摯な対応』をしようという姿勢ではなかった」という。この関係者は売却劇終盤の井阪社長を「孤軍奮闘していた」と哀れむ。 株式譲渡の契約から実行まで、セブン&アイは井阪体制におけるガバナンスのもろさを露呈した。今回セブン&アイが失ったものは、決して少なくないように思える』、「井阪社長は「事業と雇用を継続する」と主張し続ける一方、「直接の雇用者ではない」として労使交渉には応じてこなかった。初めて交渉の席についたのは8月序盤で、そこから売却完了までは1カ月にも満たない。池袋西武の地元である豊島区や駅前商店街との合意もとれないままで、説明責任を果たしたとは到底いえない。 今回の売却のプロセスでは、従業員や地元、さらに消費者というステークホルダーに対する配慮があまりに欠けていた。そして日本の小売業最大手として、百貨店をどう再生するか、そのために最大のシナジーを発揮できる売却先はどこかといった視点が、ほとんどなかったようにみえる」、というのはやはり問題だ。売却してしまうので、「百貨店をどう再生するか、そのために最大のシナジーを発揮できる売却先はどこかといった視点が、ほとんどなかった」のも理解できる。

次に、9月7日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリストの伊藤 博敏氏による「そごう・西武売却劇は外資ハゲタカファンドの「丸儲け」で決着…「大失敗」のセブン&アイ、明暗分かれたヤバい取引」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/115866?imp=0
・『企業価値はたった「8500万円」  労働組合が百貨店業界では61年ぶりというストライキを決行したことで耳目を集めたそごう・西武は、9月1日、予定通りにセブン&アイホールディングスが米投資ファンドのフォートレス・インベストメント・グループに株式を売却。外資の元、家電量販店大手・ヨドバシカメラホールディングスと連携して再建を進めることになった。 驚きはそごう・西武の企業価値が、わずか8500万円だったことだ。セブン&アイが昨年11月11日、優先交渉権を付与したフォートレスと全株の譲渡契約を締結した際の開示資料では「企業価値2500億円」となっていた。それが8500万円となったカラクリは以下のようなものである。 2500億円は約10カ月の交渉過程で、ヨドバシの想定より進出面積が少なくなるなどフロアプランの見直しもあって、減額されて2200億円となった。 一方、そごう・西武の持つ有利子負債は2938億円(2月末)であるが、このうち1659億円(7月末)を融資するセブン&アイに916億円だけ放棄させ、残る負債の約2000億円を全額返済する。さらに今後の運転資金などとして約200億円を留保したため、セブン&アイに支払う株式譲渡代金は8500万円となった――。 新聞・テレビは、セブン&アイの発表のままこう報じるのだが、全国に10店舗と豊富な不動産を持つそごう・西武の企業価値がなぜ8500万円なのか。 この疑問を解消するように、「セブン&アイはそごう・西武の株式譲渡代金が、限りなくゼロとなるところまで逆算して債権放棄させられたのです。その結果が8500万円であり、セブン&アイは株式譲渡損なども合わせて1457億円もの特別損失となりました」と、説明するのは阪中彰夫氏である。 阪中氏は、内外で報道されない政治・経済・金融事情などを『闇株新聞』で発信しており、現在は新しいタイプの情報発信プラットフォームを準備中だ。阪中氏が続ける。 「フォートレスは3メガバンクから約2300億円を借り入れて約2000億円の負債を完済する一方で、ヨドバシにそごう・西武の一等地の資産である西武池袋本店やそごう千葉店、西武渋谷店の不動産の一部を約3000億円で売却します。それでメガバンクの約2300億円を返済すれば、手元に無借金となったそごう・西武と現金1000億円が残るのです」』、「開示資料では「企業価値2500億円」となっていた。それが8500万円となったカラクリは以下のようなものである。 2500億円は約10カ月の交渉過程で、ヨドバシの想定より進出面積が少なくなるなどフロアプランの見直しもあって、減額されて2200億円となった。 一方、そごう・西武の持つ有利子負債は2938億円(2月末)であるが、このうち1659億円(7月末)を融資するセブン&アイに916億円だけ放棄させ、残る負債の約2000億円を全額返済する。さらに今後の運転資金などとして約200億円を留保したため、セブン&アイに支払う株式譲渡代金は8500万円となった――」、なるほど。
・『一等地の「資産狙い」  フォートレスは、後述するように「西武池袋本店の店舗改装を中心に600億円を投じる」という。それを差し引いても、「400億円が手元に残るビッグディール。これだけ見事な強欲ファンドの投資成功例は見たことがありません。ただ、600億円を投じるというのですが、勝算が読めない再生に取り組むとは思えず、再転売の可能性もあります」と阪中氏はいう。 フォートレスは1998年に設立された投資ファンドで約440億ドル(6兆4000億円)を世界で運用する。日本法人のフォートレス・インベストメント・グループ・ジャパンを率いるのは山下明男氏(61)で、日本政策投資銀行、モルガンスタンレー証券を経てフォートレス入りし、13年から在日代表を務める。近年はゴルフ場最大手のアコーディア・ゴルフグループや不動産会社のレオパレス21を買収。不動産活用による企業再生を得意とする。 そごう・西武の買収も百貨店の再生というより、池袋本店を始めとするそごう・西武が持つ一等地の「資産狙い」である。山下氏は1日付でそごう・西武の代表取締役にフォートレスのマネージング・ディレクターである劉勁氏(39)を送り込み、自身も取締役に就任した。田口広人社長は代表権のない取締役となり執行役員社長として続投。経営と業務執行の分離を明確にした。 セブン&アイがそごう・西武の売却を決断したのが22年2月。そこから入札が始まり、前述のように11月にセブン&アイ取締役会がフォートレスへの売却を決議したものの、ヨドバシカメラの出店が前提となっていることに、地元の豊島区長、商店街、地権者の西武ホールディングス、そごう・西武労働組合などのステークホルダーがこぞって反発し、契約締結は延期が続いた。 約10ヵ月が経過し、これ以上の延期は違約金が発生する事態となって、セブン&アイは強権を発動し、売却に慎重だった生え抜きの林祐二社長を8月1日に解任し、セブン&アイの意を汲む田口氏を社長にして、8月31日の労組ストライキをものともせず、9月1日に売却を断行した。 井坂隆一・セブン&アイ社長の根回し不足と指導力のなさが混乱を生み、決着を長引かせたのは間違いないが、それが結果的にフォートレスのしたたかで強気のディールにつながって、「DAY1(1日目)」で巨額利益を得ることができた。 それにしても、どうして井坂社長はここまで外資にしてやられたのか。そして「儲け」という意味では初日にディールを完了させたフォートレスはそごう・西武をどうするのか。ストライキを初めて打った労組は今後、どう戦っていくのか』、「フォートレス・・・そごう・西武の買収も百貨店の再生というより、池袋本店を始めとするそごう・西武が持つ一等地の「資産狙い」である。山下氏は1日付でそごう・西武の代表取締役にフォートレスのマネージング・ディレクターである劉勁氏(39)を送り込み、自身も取締役に就任した」、「ヨドバシカメラの出店が前提となっていることに、地元の豊島区長、商店街、地権者の西武ホールディングス、そごう・西武労働組合などのステークホルダーがこぞって反発し、契約締結は延期が続いた。 約10ヵ月が経過し、これ以上の延期は違約金が発生する事態となって、セブン&アイは強権を発動し、売却に慎重だった生え抜きの林祐二社長を8月1日に解任し、セブン&アイの意を汲む田口氏を社長にして、8月31日の労組ストライキをものともせず、9月1日に売却を断行した」、「井坂隆一・セブン&アイ社長の根回し不足と指導力のなさが混乱を生み、決着を長引かせたのは間違いないが、それが結果的にフォートレスのしたたかで強気のディールにつながって、「DAY1(1日目)」で巨額利益を得ることができた。 それにしても、どうして井坂社長はここまで外資にしてやられたのか」、確かに「井坂社長はここまで外資にしてやられたのか」、全く情けない限りだ。
・『そごう・西武の売却を急いだ理由  まず指摘すべきは、そごう・西武の売却は「物言う株主」に追い詰められた井坂氏の「個人的事情」から始まっていることだ。 セブン&アイは05年12月、当時、会長兼CEOだった鈴木敏文氏の決断によってそごう・西武を取得した。百貨店からスーパー、コンビニと消費領域をすべてカバーする戦略だった。 百貨店の斜陽は始まっていたが、そごう・西武には28店舗があり、その不動産価値も視野に入れた買収だった。 だが、結果的にセブン&アイの百貨店事業は失敗し、取得から17年度のうち10年度が赤字で特に直近4年度の最終損益は、コロナ禍もあって20年2月期が75億円、21年2月期が172億円、22年2月期88億円、23年2月期が130億円の損失。有利子負債は2938億円に膨らんだ。 セブン&アイは16年途中から井坂体制となったが、21年5月に大株主として登場した「物言う株主」のバリューアクトは、不採算部門のそごう・西武とイトーヨーカ堂の売却を迫っていた。 23年5月の株主総会では井坂氏を含む4取締役の再任を拒否して独自候補を擁立する株主提案を提出しており、「祖業」のイトーヨーカ堂を切れない井坂氏は、なんとしてもそごう・西武の売却を急がねばならなかった。 であったとしても、「ステークホルダー資本主義」という言葉の定着でわかるように、株主の意向がすべてに優先する時代ではないのに、そこを井坂氏は見誤り、一切の根回しを行わなかった。それはそごう・西武労組との関係に象徴されている』、「祖業」のイトーヨーカ堂を切れない井坂氏は、なんとしてもそごう・西武の売却を急がねばならなかった」、「井坂氏」の動機は余りに見えすいている。
・『労組にも街にも説明はなかった  入札が始まった22年2月の段階から、労組は一貫して百貨店事業の継続と雇用の確保を求め、「事前協議を行いたい」と申し入れてきた。 これは労働協約で認められた権利だが、セブン&アイは応じることなく、労組幹部が井坂氏と面談できたのは10月に入ってからで、そこでも詳細は知らされず、結局、労組が概要を知るのは11月11日のフォートレスとの契約締結の発表後だった。 労組ですらそうなのだから、豊島区や地元商店街、西武HDへの事前説明はない。ヨドバシ入居構想が明らかになると、「池袋を芸術の街に」と長年取り組んできた高野之夫・豊島区長(今年2月に急逝)は、「家電量販店は低層階に入って欲しくない」と反発。後藤高志・西武ホールディングス社長(現会長)は、事前説明がなかったことを明かしたうえで「百貨店の持つ情報発信力や文化創造力を活かして頂きたい。なによりステークホルダー全員が参加する協議の場を持ちたい」と述べた。 結局、ステークホルダーが一堂に会する協議の場は3回持たれたが、「納得」にはほど遠かった。その象徴が8月31日に決行された労組ストである。 『日本経済新聞』は、6日付の一面トップでフォートレスの「そごう・西武再建計画」を詳細に書いた。前述の「店舗改装などに600億円」の他の骨子は、現在の10店舗体制を維持して閉鎖する予定はなく、配置転換が生じる可能性はあっても人員削減を今は検討しておらず、収益力拡大のために販路拡大にも取り組む、というものだった。 西武池袋本店売却などで得た豊富な資金でテコ入れを図り、営業体制も雇用も維持するということだが、都心の富裕層向けというコンセプトを持つ店舗はともかく、地方の百貨店が生き残るのは容易ではない。 だからセブン&アイはアクティビストに厳しく詰め寄られた。また、議決権行使会社も「井坂選任に反対」の声を上げた。それだけに井坂氏は、フォートレスに厳しい条件を突きつけられてもそれを飲むしかなく、巨額損失を発生させた』、「井坂氏は、フォートレスに厳しい条件を突きつけられてもそれを飲むしかなく、巨額損失を発生させた」、こじらせた責任の多くは「井坂氏」にあるようだ。「イトーヨーカ堂」との関係は自らが自信を持って弁明すればいい話だ。そのお鉢を西武で晴らそうとするのは筋違いも甚だしい。
・『資本の論理で突っ走ることは許されない  「百貨店というビジネスモデルは終了した」というのが、投資ファンドとしてのフォートレスの本音である。従って「営業体制の維持」や「余剰人員が発生すれば、セブン&アイのほかフォーレストが展開するゴルフ場やホテルでも受け入れる」という約束が果たされるかどうかは保証の限りではない。 そごう・西武売却を巡る騒動は、「労働者にはストライキ権がある」という“当たり前”の事実を教訓として残した。戦後経済成長において労働組合は、終身雇用、年功序列と並ぶ構成要件だった。雇用と賃金に不満があれば労組はストを打ち、経営者側から譲歩を引き出すことで組合員の支持を得た。 しかし官公労を中心に労組が猛威を振るい、75年にスト権を求めるためのスト(スト権スト)を打つなど過激化、政治化していくなかで、しだいに労組は忌避され、存在感を失っていった。 同時に企業別労組の必然的結果として、「会社が儲かれば給料も増える」という理屈で労使は協調路線を取るようになり、労組はますます存在意義を失った。リクルートワークスの調査では6割の人が「労組とは何かがわからない」と回答していた。 そういう意味で61年ぶりのストは画期的であり、支配権を握ったフォートレスは今後、資本の論理だけで突っ走ることは許されない。 目覚めたそごう・西武労組との密な協議は欠かせないし、「店舗と雇用を守る」という方針を簡単に撤回してはならず、メディアはフォートレスの言い分を報じるだけでなく、そごう・西武の百貨店事業と雇用を本当に守るかどうかを監視しなければなるまい』、「61年ぶりのストは画期的であり、支配権を握ったフォートレスは今後、資本の論理だけで突っ走ることは許されない。 目覚めたそごう・西武労組との密な協議は欠かせないし、「店舗と雇用を守る」という方針を簡単に撤回してはならず、メディアはフォートレスの言い分を報じるだけでなく、そごう・西武の百貨店事業と雇用を本当に守るかどうかを監視しなければなるまい」、その通りだ。

第三に、9月23日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したライターの宮武和多哉氏による「西武池袋は売却、東急本店は閉店…首都圏の電鉄系百貨店「縮小・撤退ドミノ」の理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/329464
・『渋谷、新宿、池袋駅で一大勢力を築いた電鉄系百貨店が、大きな転換期を迎えている。東急百貨店が閉店するなど、街の再開発に伴い「縮小・撤退ドミノ」にあるのだ。西武池袋本店では売却・ストライキ騒動も勃発。片や、呉服店系百貨店の代表格・伊勢丹新宿本店は、富裕層戦略で過去最高の売上高をたたき出している。明暗が分かれる理由を多方向から分析してみよう』、興味深そうだ。
・『業績好調でも維持できない!? 都心の電鉄系百貨店は「縮小・撤退ドミノ」  首都圏の中心部にある百貨店は、古くからの呉服の商いを発祥とする「呉服店系百貨店」(三越、松坂屋、高島屋など)と、鉄道会社がターミナル駅に建設した「電鉄系百貨店」(東急、京王など)に分かれる。このうち、渋谷、新宿、池袋駅で一大勢力を築き上げていた電鉄系百貨店が、「縮小・撤退ドミノ」にある。 最近では、渋谷エリアでの「東急百貨店本店」の閉店(2023年1月)が記憶に新しい。1967年開業の同店は、東急の文化事業の核である「Bunkamura」施設とも隣接。帆船をイメージした真っ白い店舗は、近隣の富裕層のショッピング需要を一手に背負っていたが、周辺一帯の再開発によって、いったん更地となる予定だ。なお東急渋谷駅の直上にあった「東横店」も2020年3月に閉店しており、グループのホームタウンといえる渋谷から、東急百貨店の旗艦店が姿を消してしまった。 一方で、「西武池袋本店」のように、百貨店としては一定の業績(2022年度の売上高は1768億円、前年度比14.8%増、国内第3位)を上げていても、変革を強いられる場合もある。セブン&アイ・ホールディングス傘下の百貨店会社、そごう・西武の全株取得を表明した米投資ファンド(フォートレス・インベストメント)は、「表通りを含む約半分のフロアを家電量販店(ヨドバシカメラ)に改装し、百貨店は大幅減床」という改革案を提示したもよう。これにそごう・西武の労働組合が反発し、西武池袋本店が全館ストライキに至ったのは記憶に新しいところだ。 しかし反発もむなしく、そごう・西武の株はフォートレスに売却が完了した。なお、ヨドバシは、池袋と同様に「西武渋谷店」への出店にも意欲を示しているという。 池袋では西武とツートップを成す「東武百貨店池袋店」が、池袋駅西口再開発計画(三菱地所や東武鉄道などが参画)にかかっている。そして新宿に目を向けると、「京王百貨店新宿店」と「小田急百貨店新宿店」にまたがる広いエリアで再開発計画(JR東日本なども参画)が進行中だ。再開発構想「新宿グランドターミナル」の一環ですでに、小田急百貨店新宿店の本館が22年10月に売り場を大幅縮小し、近隣の「小田急ハルク」館内に移転した。なお各社とも、再開発後の新しいビルに百貨店が入るかは明言を避けている。 百貨店という業態そのものが、約30年間で売上高が半減以下(1991年は約12兆円、2020年は約4.7兆円)に低迷している。しかし都心で比べると、呉服店系百貨店の高島屋や三越・伊勢丹が一定の勢力を保っているのに対して、電鉄系百貨店は際立って今後の状況が厳しく、縮小・撤退ドミノに向かっている』、「呉服店系百貨店の高島屋や三越・伊勢丹が一定の勢力を保っているのに対して、電鉄系百貨店は際立って今後の状況が厳しく、縮小・撤退ドミノに向かっている」、なるほど。
・『コロナ禍後の電鉄会社が「百貨店より再開発」を選ぶ事情  鉄道系百貨店と呉服系百貨店、その明暗が分かれる原因をざっくり言うと、「経営の主導権が百貨店そのものにあるか、鉄道会社にあるか」だろう。 鉄道系百貨店はおおむねターミナル駅に直結し、例えば池袋駅なら1日平均乗降客数は約179万人(20年度)で、大量の人流があるエリアの一等地に立地する。それゆえ、たとえこの場所で百貨店が収益を上げていても、鉄道会社にとって「百貨店よりもっと収益がいい」「会社としてのブランドイメージを向上できる」案件があれば、再開発とともに入れ替える判断を下されがちだ。特に近年はコロナ禍もあって小売部門の力が落ちており、百貨店側から意見することは難しい。 先に述べた東急百貨店本店の場合、跡地は「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」の一環として地上36階・地下4階・高さ164.8mのビルが建設される(22年7月21日付け公表文)。入居するのは、海外で観光客獲得にノウハウを持つ「スワイヤー・ホテルズ」が手掛けるラグジュアリーホテル、高級賃貸マンションなど、インバウンドや富裕層に照準を合わせたラインナップとなっている。 同店は近隣の松濤地区などの富裕層の支持が根強いものの、東急電鉄からすると、「渋谷に新たなインバウンドを呼び込み、金を落としてもらおう」「スクランブル交差点で写真を撮って終わり、の状態を改善したい」といった考えもあろうことは想像に難くない。なお、計画では「洗練されたライフスタイルを提案するリテール」という表現で商業施設の入居が伝えられているが、東急百貨店がそのまま入ることはないという。 一方、呉服系百貨店はどうか。多くの場合、自社で株を持ち経営判断の決定権を持っている。例えばJ.フロントリテイリング(大丸・松坂屋の持ち株会社)の場合、長らく業績不振が続いた「松坂屋銀座店」が13年6月に閉店した後、跡地は商業施設「銀座SIX」を据え、J.フロントは手堅くテナント賃料を得る道を選んだ。今その収益はJ.フロントを潤し、旗艦店である「大丸心斎橋店」や「松坂屋名古屋店」の改装、セゾングループから継承したファッションビル・パルコの営業力強化など、今後の生き残りへの原資に充てられている』、「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」では、「入居するのは、海外で観光客獲得にノウハウを持つ「スワイヤー・ホテルズ」が手掛けるラグジュアリーホテル、高級賃貸マンションなど、インバウンドや富裕層に照準を合わせたラインナップとなっている。 同店は近隣の松濤地区などの富裕層の支持が根強いものの、東急電鉄からすると、「渋谷に新たなインバウンドを呼び込み、金を落としてもらおう」「スクランブル交差点で写真を撮って終わり、の状態を改善したい」といった考えもあろうことは想像に難くない」、期待できそうだ。
・『西武百貨店と西武鉄道の特殊な関係 池袋本店は“持ちダマ”で振り回された(電鉄系百貨店の中でも、西武池袋本店は、他と事情が違う。西武百貨店はもともと西武鉄道から分離したセゾングループ傘下にあり、同グループが事実上崩壊した際、そごうと経営統合した上で05年に全株をセブン&アイHDに売却、という経緯をたどっている。つまり、西武鉄道との直接の関係は、とうの昔に切れているのだ。 なお、鉄道とセゾングループの分離は、元はといえば西武鉄道の社内事情(中興の祖・堤義明氏が流通部門を堤清二氏に引き渡した)が発端だ。約3000億円あるそごう・西武の負債も、バブル期に出店した地方店や旧そごう店舗の業績不振の影響が大きい。西武池袋本店は一定の利益を出し続けながら、そうした西武グループの内部事情や、全体の経営改革の“持ちダマ”として振り回されてしまった感がある。 西武ホールディングスの後藤高志CEO社長は、「池袋が家電量販店の激戦区になるのは好ましくない」「百貨店の文化的側面を大切にしたい」などと述べ、その行く末を案じていたようだ。せめて一定数の株を持っていれば具体的な行動に移れるが、全株を売却している以上、アクティビスト(物言う株主)である米投資ファンドの手に渡ってしまった西武池袋本店を、西武鉄道はどうすることもできない。※ただし西武HDは、そごう・西武に土地や建物の多くを貸す「大家」である』、「(電鉄系百貨店の中でも、西武池袋本店は、他と事情が違う。西武百貨店はもともと西武鉄道から分離したセゾングループ傘下にあり、同グループが事実上崩壊した際、そごうと経営統合した上で05年に全株をセブン&アイHDに売却、という経緯をたどっている。つまり、西武鉄道との直接の関係は、とうの昔に切れているのだ」、その通りだ。「西武ホールディングスの後藤高志CEO社長は、「池袋が家電量販店の激戦区になるのは好ましくない」「百貨店の文化的側面を大切にしたい」などと述べ、その行く末を案じていたようだ。せめて一定数の株を持っていれば具体的な行動に移れるが、全株を売却している以上、アクティビスト(物言う株主)である米投資ファンドの手に渡ってしまった西武池袋本店を、西武鉄道は」「大家」としての立場を超えては「どうすることもできない」、「後藤高志CEO社長」はさぞやイライラしていることだろう。
・『呉服店系百貨店は富裕層戦略で勝ち組 電鉄系百貨店から顧客奪取も  東京都心における電鉄系百貨店が縮小する一方、「伊勢丹新宿本店」の22年度の売上高が、バブル期を上回る過去最高(3276億円)を記録した。買い上げ金額上位5%の顧客の購買額が全体の5割を超え、外商の購買額が大幅に上昇したという。まさに富裕層ビジネスで成功し、百貨店では圧倒的な勝ち組だ。 こうした点においても、都心の電鉄系百貨店は、呉服店系百貨店に比べると限られた層への振り切った施策・アプローチが弱いといわれる。また、伊勢丹新宿は東急百貨店本店や小田急百貨店新宿店が握っていた顧客を取り込んでいるとみられ、百貨店業態全体としては縮小しつつも、“脱落組”から勝ち組が顧客を奪う状態がしばらく続くだろう。 翻って西武池袋本店は、数少ない勝ち組に残る実力があるはずだ。明治通り沿いの一等地を含む多くの売り場を、このタイミングで明け渡さなければいけないのは、とてももったいない。従業員の方々が、少しでも納得して働けることを祈るばかりだ』、「西武池袋本店は、数少ない勝ち組に残る実力があるはずだ。明治通り沿いの一等地を含む多くの売り場を、このタイミングで明け渡さなければいけないのは、とてももったいない。従業員の方々が、少しでも納得して働けることを祈るばかりだ」、同感である。
タグ:百貨店業界 (その6)(セブン そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった、そごう・西武売却劇は外資ハゲタカファンドの「丸儲け」で決着…「大失敗」のセブン&アイ 明暗分かれたヤバい取引、西武池袋は売却 東急本店は閉店…首都圏の電鉄系百貨店「縮小・撤退ドミノ」の理由) 東洋経済オンライン「セブン、そごう・西武売却完了でも残る後味の悪さ 「実質売却額8500万円」は想定の範囲内だった」 「セブン&アイは単体で1457億円の特別損失計上を発表、連結の最終利益の予想を下方修正」、なるほど。 「売却後の追加負担も懸念されていたが、それは回避されたようだ」、なるほど。 確かに、「西武」で人員削減の必要が出た場合、コンビニや「イトーヨーカ堂」などの雇用吸収力は現地的だ。 「井阪社長は「事業と雇用を継続する」と主張し続ける一方、「直接の雇用者ではない」として労使交渉には応じてこなかった。初めて交渉の席についたのは8月序盤で、そこから売却完了までは1カ月にも満たない。池袋西武の地元である豊島区や駅前商店街との合意もとれないままで、説明責任を果たしたとは到底いえない。 今回の売却のプロセスでは、従業員や地元、さらに消費者というステークホルダーに対する配慮があまりに欠けていた。そして日本の小売業最大手として、百貨店をどう再生するか、そのために最大のシナジーを発揮できる売却先はどこかといった視点が、ほとんどなかったようにみえる」、というのはやはり問題だ。売却してしまうので、「百貨店をどう再生するか、そのために最大のシナジーを発揮できる売却先はどこかといった視点が、ほとんどなかった」のも理解できる。 現代ビジネス 伊藤 博敏氏による「そごう・西武売却劇は外資ハゲタカファンドの「丸儲け」で決着…「大失敗」のセブン&アイ、明暗分かれたヤバい取引」 「開示資料では「企業価値2500億円」となっていた。それが8500万円となったカラクリは以下のようなものである。 2500億円は約10カ月の交渉過程で、ヨドバシの想定より進出面積が少なくなるなどフロアプランの見直しもあって、減額されて2200億円となった。 一方、そごう・西武の持つ有利子負債は2938億円(2月末)であるが、このうち1659億円(7月末)を融資するセブン&アイに916億円だけ放棄させ、残る負債の約2000億円を全額返済する。さらに今後の運転資金などとして約200億円を留保したため、セブン&アイに支払う株式譲渡代金は8500万円となった――」、なるほど。 「フォートレス・・・そごう・西武の買収も百貨店の再生というより、池袋本店を始めとするそごう・西武が持つ一等地の「資産狙い」である。山下氏は1日付でそごう・西武の代表取締役にフォートレスのマネージング・ディレクターである劉勁氏(39)を送り込み、自身も取締役に就任した」、 「ヨドバシカメラの出店が前提となっていることに、地元の豊島区長、商店街、地権者の西武ホールディングス、そごう・西武労働組合などのステークホルダーがこぞって反発し、契約締結は延期が続いた。 約10ヵ月が経過し、これ以上の延期は違約金が発生する事態となって、セブン&アイは強権を発動し、売却に慎重だった生え抜きの林祐二社長を8月1日に解任し、セブン&アイの意を汲む田口氏を社長にして、8月31日の労組ストライキをものともせず、9月1日に売却を断行した」、 「井坂隆一・セブン&アイ社長の根回し不足と指導力のなさが混乱を生み、決着を長引かせたのは間違いないが、それが結果的にフォートレスのしたたかで強気のディールにつながって、「DAY1(1日目)」で巨額利益を得ることができた。 それにしても、どうして井坂社長はここまで外資にしてやられたのか」、確かに「井坂社長はここまで外資にしてやられたのか」、全く情けない限りだ。 「祖業」のイトーヨーカ堂を切れない井坂氏は、なんとしてもそごう・西武の売却を急がねばならなかった」、「井坂氏」の動機は余りに見えすいている。 「井坂氏は、フォートレスに厳しい条件を突きつけられてもそれを飲むしかなく、巨額損失を発生させた」、こじらせた責任の多くは「井坂氏」にあるようだ。「イトーヨーカ堂」との関係は自らが自信を持って弁明すればいい話だ。そのお鉢を西武で晴らそうとするのは筋違いも甚だしい。 「61年ぶりのストは画期的であり、支配権を握ったフォートレスは今後、資本の論理だけで突っ走ることは許されない。 目覚めたそごう・西武労組との密な協議は欠かせないし、「店舗と雇用を守る」という方針を簡単に撤回してはならず、メディアはフォートレスの言い分を報じるだけでなく、そごう・西武の百貨店事業と雇用を本当に守るかどうかを監視しなければなるまい」、その通りだ。 ダイヤモンド・オンライン 宮武和多哉氏による「西武池袋は売却、東急本店は閉店…首都圏の電鉄系百貨店「縮小・撤退ドミノ」の理由」 「呉服店系百貨店の高島屋や三越・伊勢丹が一定の勢力を保っているのに対して、電鉄系百貨店は際立って今後の状況が厳しく、縮小・撤退ドミノに向かっている」、なるほど。 「渋谷アッパー・ウエスト・プロジェクト」では、「入居するのは、海外で観光客獲得にノウハウを持つ「スワイヤー・ホテルズ」が手掛けるラグジュアリーホテル、高級賃貸マンションなど、インバウンドや富裕層に照準を合わせたラインナップとなっている。 同店は近隣の松濤地区などの富裕層の支持が根強いものの、東急電鉄からすると、「渋谷に新たなインバウンドを呼び込み、金を落としてもらおう」「スクランブル交差点で写真を撮って終わり、の状態を改善したい」といった考えもあろうことは想像に難くない」、期待できそうだ。 「(電鉄系百貨店の中でも、西武池袋本店は、他と事情が違う。西武百貨店はもともと西武鉄道から分離したセゾングループ傘下にあり、同グループが事実上崩壊した際、そごうと経営統合した上で05年に全株をセブン&アイHDに売却、という経緯をたどっている。つまり、西武鉄道との直接の関係は、とうの昔に切れているのだ」、その通りだ。 「西武ホールディングスの後藤高志CEO社長は、「池袋が家電量販店の激戦区になるのは好ましくない」「百貨店の文化的側面を大切にしたい」などと述べ、その行く末を案じていたようだ。せめて一定数の株を持っていれば具体的な行動に移れるが、全株を売却している以上、アクティビスト(物言う株主)である米投資ファンドの手に渡ってしまった西武池袋本店を、西武鉄道は」「大家」としての立場を超えては「どうすることもできない」、「後藤高志CEO社長」はさぞやイライラしていることだろう。 「西武池袋本店は、数少ない勝ち組に残る実力があるはずだ。明治通り沿いの一等地を含む多くの売り場を、このタイミングで明け渡さなければいけないのは、とてももったいない。従業員の方々が、少しでも納得して働けることを祈るばかりだ」、同感である。
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