SSブログ

株式・為替相場(その19)(円安がさらなる貿易赤字と円売りを招くカラクリ サービス収支に透ける製造業のグローバル化、日経平均株価 一時3万3853円をつけた戻り高値の「教訓」とは?) [金融]

株式・為替相場については、本年6月19日に取上げた。今日は、(その19)(円安がさらなる貿易赤字と円売りを招くカラクリ サービス収支に透ける製造業のグローバル化、日経平均株価 一時3万3853円をつけた戻り高値の「教訓」とは?)である。

先ずは、10月24日付け東洋経済オンラインが掲載したみずほ銀行 チーフマーケット・エコノミストの唐鎌 大輔氏による「円安がさらなる貿易赤字と円売りを招くカラクリ サービス収支に透ける製造業のグローバル化」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/710381
・『長引く円安の理由を理解するうえでは、日米金利差拡大という論点に終始するだけではなく、「円の需給構造があらゆる面で変化を強いられている」という論点も理解する姿勢が重要になっていると筆者は考えている。 円の需給構造変化を象徴するのは、約10年前から確認される貿易黒字の消滅だろう。 その背景は単純ではないが、輸出面では、①日本企業が海外生産移管を進めたことや、②そもそも日本の輸出品が競争力を喪失したこと、輸入面では、③東日本大震災を契機に原子力発電の稼働が停止したこと(≒結果的に一段と鉱物性燃料輸入に依存する電源構成に切り替わったこと)などが挙げられる』、為替動向を見る上で、こうした構造的要因に注目する見方は、参考になる。
・『製造業が消え、円安でも輸出は増えない  とりわけ、③が資源輸入国である日本の貿易収支の脆弱性を高め、円安や資源価格上昇によって需給が崩れやすい(貿易赤字が拡大しやすい)体質につながったという話は広く知られている。2022年以降の貿易赤字拡大も、基本的にはそうした論点に起因するものと理解される。 だが、円安で日本から海外への輸出数量が押し上げられるならば、貿易収支が一方的な悪化を強いられることもなく、2022年のような「悪い円安」論も噴出しにくい側面はあっただろう。 この点、①で指摘されるように、円安を起点として実体経済に好循環をもたらすことが期待される製造業の生産拠点が日本から消えてしまったことが、円の需給構造が円売りに傾斜しやすくなった根本的な原因とも考えられる。) ただし、国際収支統計上、製造業の海外生産移管は貿易収支悪化の一因であると同時に、サービス収支改善の一因になっている部分もある。それが産業財産権等使用料であり、同項目には日本企業が海外子会社等から受け取るロイヤルティーなどが計上される。 日本の「その他サービス収支」において唯一、黒字を記録する知的財産権等使用料も、その実態は産業財産権等使用料の黒字に支えられている。 近年、海外企業から供給される音楽や動画の定額課金サービスを受けて著作権等使用料の赤字が増勢傾向にあるものの、産業財産権等使用料の黒字が多額に上っているため、これら2本から構成される知的財産権等使用料全体では黒字が維持される構図にある。 製造業の海外生産移管は経常収支上、赤字拡大と黒字拡大の二面性を有する』、「①で指摘されるように、円安を起点として実体経済に好循環をもたらすことが期待される製造業の生産拠点が日本から消えてしまったことが、円の需給構造が円売りに傾斜しやすくなった根本的な原因とも考えられる・・・製造業の海外生産移管は貿易収支悪化の一因であると同時に、サービス収支改善の一因になっている部分もある。それが産業財産権等使用料であり、同項目には日本企業が海外子会社等から受け取るロイヤルティーなどが計上される。 日本の「その他サービス収支」において唯一、黒字を記録する知的財産権等使用料も、その実態は産業財産権等使用料の黒字に支えられている。 近年、海外企業から供給される音楽や動画の定額課金サービスを受けて著作権等使用料の赤字が増勢傾向にあるものの、産業財産権等使用料の黒字が多額に上っているため、これら2本から構成される知的財産権等使用料全体では黒字が維持される構図にある。 製造業の海外生産移管は経常収支上、赤字拡大と黒字拡大の二面性を有する」、なるほど。
・『ロイヤルティー収入は増加  2023年8月公表の日銀レビュー『国際収支統計からみたサービス取引のグローバル化』ではサービス収支を軸に日本経済が経験しているさまざまな構造変化を分析しているが、そこでは産業財産権等使用料の黒字が増勢傾向にあることも注目されている。 日本企業が海外生産移管を進めるほど、国内企業が海外から受け取るロイヤルティー(産業財産権等使用料)は増えるので、例えば自動車の海外生産台数の動きなどと安定した関係を見いだすことができる。 ちなみに日本の貿易収支が慢性的な赤字傾向に陥る直前の2010年の貿易収支は約6.6兆円の黒字だった。同じ年、産業財産権の受取は約2.2兆円だった。これが2021年の産業財産権の受取は約4.6兆円と倍以上に膨らんでいる。) 上述した輸入面に関する③電源構成の燃料輸入依存の論点もあって、産業財産権の受取だけで日本の貿易赤字が穴埋めできるような状況ではないが、海外移管された生産拠点や、それにより失われた輸出すべてが「円売り」に直結しているわけではなく、サービス収支上、産業財産権として回帰している部分もあることは円の需給を考察するうえでは知っておきたい事実だ。 単なる親子間取引の結果と言えばそれまでだが、日本経済の重要な構造変化を端的に表している部分と言える』、「海外移管された生産拠点や、それにより失われた輸出すべてが「円売り」に直結しているわけではなく、サービス収支上、産業財産権として回帰している部分もあることは円の需給を考察するうえでは知っておきたい事実だ」、なるほど。
・『海外生産が「海上貨物の支払い増」を招く  なお、自動車のように海外生産が増えれば、当然それを運ぶためのサービス利用も活発化する。これはサービス収支上では輸送収支、その中でも海上貨物を扱う収支を見るとわかる。 受取と支払いを差し引きした収支で見た場合、2010年以降、産業財産権の受取がはっきり超過して黒字が拡大する一方、海上貨物は2017年以降に支払いが顕著に増え始め、2019年以降は赤字に転化し、拡大している。 だが、海上貨物に関する赤字拡大も二面性がある話だ。 日銀レビューでは「本邦製造業における海外生産比率の高まりは、海外海運企業との競争激化と相まって、本邦海運企業が海外子会社を活用して競争力を強化する形などで、グローバル化を促進した可能性も考えられる」と分析している。 日本の海運企業が海外子会社を活用し、そこで収益を積み上げれば、輸送収支(とりわけ海上貨物の収支)上の赤字は拡大しても、当該海外子会社の収益は第一次所得収支に計上される。 それが配当金として日本に帰ってくるのか、再投資収益として海外に滞留するのかという別問題はあるが(近年は海外に滞留する再投資収益が増える傾向にある)、海上貨物サービスへの支払いがすべて円売りになっているわけではない。) いずれにせよ、上述したような、「産業財産権の黒字が増えて、海上貨物の赤字が増えている」という構図からは、日本が単に原材料を輸入し、国内で生産し、海外へ輸出するというシンプルな加工貿易から撤退しつつある状況が読み取れる。 その代わりに、海外で生産した財を海外で販売したり、第三国向けに輸出したりする世界全体を巻き込んだサプライチェーン体制を組成している様子が読み取れる』、「「産業財産権の黒字が増えて、海上貨物の赤字が増えている」という構図からは、日本が単に原材料を輸入し、国内で生産し、海外へ輸出するというシンプルな加工貿易から撤退しつつある状況が読み取れる。 その代わりに、海外で生産した財を海外で販売したり、第三国向けに輸出したりする世界全体を巻き込んだサプライチェーン体制を組成している様子が読み取れる」、昔とはずいぶん変わったものだ。
・『円安による「好循環」は想定すべきではない  こうした実情を踏まえれば、円安が製造業にコストメリットをもたらし、海外への輸出数量を押し上げ、国内経済に生産・所得・消費の好循環をもたらすという伝統的な波及経路をもはや想定すべきでないこともよくわかるだろう。 例えば、上述の議論を踏まえれば、海外生産拠点から受け取るロイヤルティーは円安で膨らみやすいが、海上貨物サービスへの支払いも円安で膨らみやすい状況が推測される。 むしろ、筆者がこれまで議論してきたような国際化されたサービス取引(例えばデジタル取引など)の存在を踏まえると「円安で支払いが増える」という事実から、円売りは増えそうなイメージもある。 伝統的な貿易収支への影響について言えば、円安が輸出を押し上げる構造がもはやない一方、円安で輸入が押し上げられる構造はしっかり存在しているため、やはり円安は赤字拡大に直結しやすい状況が想像されるし、事実、過去2年弱はそうなっている。 サービス収支を詳細に分析することで、近年の日本経済が経験している構造変化を深く理解し、また、為替需給の変遷も把握することができる。 毎月のアメリカ雇用統計やFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の「次の一手」など、日米金利差の拡大・縮小に直結する短期的な材料も当然重要だが、自国通貨の需給環境を包括的に理解する助けになる国際収支は、今も昔も円相場の中長期見通しを分析する立場から最重要の計数と言える』、「毎月のアメリカ雇用統計やFRB・・・の「次の一手」など、日米金利差の拡大・縮小に直結する短期的な材料も当然重要だが、自国通貨の需給環境を包括的に理解する助けになる国際収支は、今も昔も円相場の中長期見通しを分析する立場から最重要の計数と言える」、その通りだ。

次に、11月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家の山崎 元氏による「日経平均株価、一時3万3853円をつけた戻り高値の「教訓」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/332756
・『日経平均株価が33年ぶりの高値水準を付けた。この「戻り高値」には意外感を持った人が多かったのではないか。そこで、今回の株価上昇の要因を分析するとともに、投資家が学ぶべき「教訓」について考えたい』、どんな「教訓」があるのだろう、興味深そうだ。
・『日経平均株価が33年ぶり高水準 意外な戻り高値  11月20日の日中、いわゆる「ザラ場」の東京証券取引所の取引で、日経平均株価が33年ぶりの高水準まで上昇した。7月3日に付けた終値での戻り高値(バブル崩壊後高値)を一時上回る、3万3853円を付けた。33年間にわたってすっきりと「史上最高値」と言えないのは、わが国がかつて経験したバブルの威力と、その後の異例の経済停滞による泣き所だが、高値の一種には違いない。 もちろん人によって感じ方は違うだろうが、今回の高値には意外感を持つ向きが多いのではないか。 つい少し前、10月の終わりの4取引日にあっては、日経平均の終値はいずれも3万1000円を割っていて、3万円を維持できないのではないかと心配になるような状況だった。 それが、3週間のうちにざっと1割上昇して「戻り高値」なのである。この間、米連邦準備制度理事会(FRB)が今後にも利上げの可能性があると意外にタカ派的な示唆をしたり、逆に米国のインフレ関連のデータが落ち着きを見せたりといった、いつもあるようなニュースはあった。ところが、日本の株価に影響を与えるような大きなニュースがあったわけではない』、「今回の高値には意外感を持つ向きが多いのではないか。 つい少し前、10月の終わりの4取引日にあっては、日経平均の終値はいずれも3万1000円を割っていて、3万円を維持できないのではないかと心配になるような状況だった。 それが、3週間のうちにざっと1割上昇して「戻り高値」なのである・・・米国のインフレ関連のデータ・・・にも日本の株価に影響を与えるような大きなニュースがあったわけではない」、どうしたのだろう。
・『株価上昇の要因とは? 後から探すとたいてい見つかる  意外ではあっても、株価の動きに理由はある。予測は難しいけれども、後からの説明はできるのが相場業界の強いところである。 今回、大変良い説明を提供している、日本経済新聞の篠崎健太記者の記事「日経平均、一時33年ぶり高値 マネー再び日本株へ」(『日本経済新聞』11月20日電子版)を参考にさせてもらいながら、要因を整理しておこう。 今や、新聞記事のスクラップを行う人は激減しているだろうが、筆者が思うに、この記事はスクラップして、しばらく手元に置いておく価値がある。特に、今後しばらくして株価が低迷するようであれば、読み返してみて「戻り」の要因を再確認するのだ。 さて、株価の説明のためには、企業の業績から見るのがオーソドックスだ。記事はまず、日本の小売企業がコスト増を吸収する値上げを実現できたことと、外需企業の業績が上方修正ラッシュであり、「日本企業のファンダメンタルズの堅調さが確認できた」というヘッジファンドマネージャーの意見を紹介している。 小売価格の上昇は、少し気を付けて街を歩いて生活していたら気が付くだろうし、業績修正はインターネットか新聞でチェックしていれば、投資家なら気付いているはずだ。円安の効果は大きい。ただし、これらは11月に入って3週間の間に目立って生じたものではない。 なお、この後に「日経平均は年内に3万5000円まで上昇余地がある」とするファンドマネージャーの見解が紹介されているが、この部分に情報は含まれていない。「余地」はあるし、勢いはあってもおかしくはない。答える側も記事を書いている人も、いずれも大した意味を感じていないはずだ。 ただ、これに続く、日本株の上昇要因には株価収益率(PER)の拡大に表れた投資家の期待だけではなく、増益の寄与度が欧米を上回っていることが指摘できるとの分析は、記憶にとどめる価値がある。 ある程度の大きさの株価変動を説明できる要因は、後から探すとたいてい見つかるものなのだ』、「今回、大変良い説明を提供している、日本経済新聞の篠崎健太記者の記事「日経平均、一時33年ぶり高値 マネー再び日本株へ」(『日本経済新聞』11月20日電子版)を参考にさせてもらいながら、要因を整理しておこう・・・この記事はスクラップして、しばらく手元に置いておく価値がある。特に、今後しばらくして株価が低迷するようであれば、読み返してみて「戻り」の要因を再確認するのだ。 さて、株価の説明のためには、企業の業績から見るのがオーソドックスだ。記事はまず、日本の小売企業がコスト増を吸収する値上げを実現できたことと、外需企業の業績が上方修正ラッシュであり、「日本企業のファンダメンタルズの堅調さが確認できた」というヘッジファンドマネージャーの意見を紹介している・・・日本株の上昇要因には株価収益率(PER)の拡大に表れた投資家の期待だけではなく、増益の寄与度が欧米を上回っていることが指摘できるとの分析は、記憶にとどめる価値がある」、なるほど。
・『株価を決めるのは「海外勢」と「海外要因」  記事には「相場を押し上げている主体は海外投資家だ」とある。記者はそう思ったのだろうし、多くの市場関係者がそう感じていたはずだ。もちろん、筆者もそう思った。 日本取引所グループによると、8〜9月は現物株を2.4兆円売り越していた海外勢が、10月以降に1.1兆円買い越しているという。市場関係者が注目する主体別売買動向の数字だが、よく考えてみると、海外勢の売り越し・買い越しに対して、国内勢の別の主体が同金額の売買の相手になっているはずだ。なぜ、海外勢の売買の方が株価への影響力があるのだろうか。 直接的・直感的には、海外勢の買い方・売り方が、前者では上値を払い、後者では下値をたたくような、マーケットインパクトに対して積極的なものであることが原因だ。加えて、背後にある大きな資金主体のグローバルな株式投資のリバランスの意図が、売買によって示唆されるような情報上のインパクトがあるのかもしれない。 ただ、原因のいかんにかかわらず、日本の株価は海外の投資家の行動によって大きく影響を受けて形成されている。そして、変動要因の多くは海外にあり、日本市場は一つのローカルマーケットにすぎないという点は常に留意しておく価値がある。 それで別段卑下する必要はないが、趣味として株式投資をするレベルではなく、資産形成のために株式運用を行う多くの投資家にとって、日本株は「世界株の中の(愛すべき)一部」だと割り切って、分散投資の一部に取り入れたら十分なのではないかと考えられるゆえんだ』、「日本の株価は海外の投資家の行動によって大きく影響を受けて形成されている。そして、変動要因の多くは海外にあり、日本市場は一つのローカルマーケットにすぎないという点は常に留意しておく価値がある・・・資産形成のために株式運用を行う多くの投資家にとって、日本株は「世界株の中の(愛すべき)一部」だと割り切って、分散投資の一部に取り入れたら十分なのではないかと考えられるゆえんだ」、なるほど。
・『33年ぶり高値の理由は「3週間」の変化にはない  さて、日経・篠崎記者の記事は、さらに親切に、アベノミクス以降の日本株の利益を指数化して、米国、欧州と比べたグラフを掲げてくれている。この間、日本株の利益成長は両地域の株式を大きく上回っている。 日本株の投資家にとっては心強いデータだ。アベノミクスの株式市場に対する好影響が確認できることもよいことだ。政策パッケージとして不足はあったかもしれないが、株価を下げる政策よりも良かったことは間違いあるまい。) さて、こうして戻り高値の要因を振り返ってみたが、海外勢の売買と、その背後にある海外の株価形成要因を除くと、いずれも、日経平均3万円割れ寸前から約1割高い戻り高値が形成された3週間の中の変化ではないことが分かる。 より正確には、この3週間の変化の中に将来の株価説明要因になるような大きな変化を「示唆」する情報はあったのかもしれないが、それはデータで確認できるようなものではなかった』、「アベノミクス以降の日本株の利益を指数化して、米国、欧州と比べたグラフを掲げてくれている。この間、日本株の利益成長は両地域の株式を大きく上回っている。 日本株の投資家にとっては心強いデータだ。アベノミクスの株式市場に対する好影響が確認できることもよいことだ。政策パッケージとして不足はあったかもしれないが、株価を下げる政策よりも良かったことは間違いあるまい・・・海外勢の売買と、その背後にある海外の株価形成要因を除くと、いずれも、日経平均3万円割れ寸前から約1割高い戻り高値が形成された3週間の中の変化ではないことが分かる。 より正確には、この3週間の変化の中に将来の株価説明要因になるような大きな変化を「示唆」する情報はあったのかもしれないが、それはデータで確認できるようなものではなかった」、なるほど。
・『投資家はうまくやれたか? 今回の戻り高値の「教訓」とは  さて、一連の株価の動きを見て、日本の投資家の行動と心理を推測する。 最もまずいのは、この間に「3万円割れは確実だ」「もっと株価が下がったところで買い直したらいい」などと自分に言い聞かせて、怖くなって持ち株を売ってしまった投資家だろう。仮に、日経平均3万1000円の水準で持ち株を売ったとすると、現水準までに、あるいは現在の水準で株式を買い直すことは心理的に相当ハードルが高そうだ。 次にまずそうなのは、株式の買いチャンスをうかがっており、「3万円を割れたら買おう」と思っていて、買いそびれているうちに買いのタイミングを失した投資家だろうか。今後、株式投資のポジションを作るのが大幅に遅れるかもしれないし、さらに高値が形成されたときに多額にまとめて投資することになるのかもしれない。 今回の展開を見て、「定期的な定額積立投資だったら、安値でも買えていたはずだ」などという結果論を言うつもりはない。 投資家に確認してほしいのは、この3週間の変動の間に、投資方針を変えた方がいいと言えたような根拠となる情報要因がほぼ何もなかったことだ。 根拠がないのに売買を行うと、掛かるのは手数料であり、マーケットインパクトであり、ついでに余計な精神的疲労だ。その状態を、「面倒だったし、徒労だった」と振り返ることができずに、売買が一種の気晴らしになるような心境に陥っているのだとすると、さらにまずい。 合理的な投資家にできることは、余計な売買をせずに自分にとって必要な大きさの投資を維持してじっとしている真の「長期投資」と、これと両立する「分散投資」「低コスト」のポートフォリオの保有である。さらには、自分が合理的であるとの自信を持って精神的なストレスを減らすことだ。 この点を確認するに当たって、今回の一連の株価の動きは、極めて分かりやすい教材であった』、「合理的な投資家にできることは、余計な売買をせずに自分にとって必要な大きさの投資を維持してじっとしている真の「長期投資」と、これと両立する「分散投資」「低コスト」のポートフォリオの保有である。さらには、自分が合理的であるとの自信を持って精神的なストレスを減らすことだ。 この点を確認するに当たって、今回の一連の株価の動きは、極めて分かりやすい教材であった」、どうも「合理的な投資家」である筆者への鎮魂歌にも聞こえる。 
タグ:山崎 元氏による「日経平均株価、一時3万3853円をつけた戻り高値の「教訓」とは?」 さて、株価の説明のためには、企業の業績から見るのがオーソドックスだ。記事はまず、日本の小売企業がコスト増を吸収する値上げを実現できたことと、外需企業の業績が上方修正ラッシュであり、「日本企業のファンダメンタルズの堅調さが確認できた」というヘッジファンドマネージャーの意見を紹介している・・・日本株の上昇要因には株価収益率(PER)の拡大に表れた投資家の期待だけではなく、増益の寄与度が欧米を上回っていることが指摘できるとの分析は、記憶にとどめる価値がある」、なるほど。 「①で指摘されるように、円安を起点として実体経済に好循環をもたらすことが期待される製造業の生産拠点が日本から消えてしまったことが、円の需給構造が円売りに傾斜しやすくなった根本的な原因とも考えられる・・・製造業の海外生産移管は貿易収支悪化の一因であると同時に、サービス収支改善の一因になっている部分もある。それが産業財産権等使用料であり、同項目には日本企業が海外子会社等から受け取るロイヤルティーなどが計上される。 ダイヤモンド・オンライン この点を確認するに当たって、今回の一連の株価の動きは、極めて分かりやすい教材であった」、どうも「合理的な投資家」である筆者への鎮魂歌にも聞こえる。 「今回、大変良い説明を提供している、日本経済新聞の篠崎健太記者の記事「日経平均、一時33年ぶり高値 マネー再び日本株へ」(『日本経済新聞』11月20日電子版)を参考にさせてもらいながら、要因を整理しておこう・・・この記事はスクラップして、しばらく手元に置いておく価値がある。特に、今後しばらくして株価が低迷するようであれば、読み返してみて「戻り」の要因を再確認するのだ。 にも日本の株価に影響を与えるような大きなニュースがあったわけではない」、どうしたのだろう。 「毎月のアメリカ雇用統計やFRB・・・の「次の一手」など、日米金利差の拡大・縮小に直結する短期的な材料も当然重要だが、自国通貨の需給環境を包括的に理解する助けになる国際収支は、今も昔も円相場の中長期見通しを分析する立場から最重要の計数と言える」、その通りだ。 「「産業財産権の黒字が増えて、海上貨物の赤字が増えている」という構図からは、日本が単に原材料を輸入し、国内で生産し、海外へ輸出するというシンプルな加工貿易から撤退しつつある状況が読み取れる。 その代わりに、海外で生産した財を海外で販売したり、第三国向けに輸出したりする世界全体を巻き込んだサプライチェーン体制を組成している様子が読み取れる」、昔とはずいぶん変わったものだ。 為替動向を見る上で、こうした構造的要因に注目する見方は、参考になる。 東洋経済オンライン 「日本の株価は海外の投資家の行動によって大きく影響を受けて形成されている。そして、変動要因の多くは海外にあり、日本市場は一つのローカルマーケットにすぎないという点は常に留意しておく価値がある・・・資産形成のために株式運用を行う多くの投資家にとって、日本株は「世界株の中の(愛すべき)一部」だと割り切って、分散投資の一部に取り入れたら十分なのではないかと考えられるゆえんだ」、なるほど。 海外勢の売買と、その背後にある海外の株価形成要因を除くと、いずれも、日経平均3万円割れ寸前から約1割高い戻り高値が形成された3週間の中の変化ではないことが分かる。 より正確には、この3週間の変化の中に将来の株価説明要因になるような大きな変化を「示唆」する情報はあったのかもしれないが、それはデータで確認できるようなものではなかった」、なるほど。 「アベノミクス以降の日本株の利益を指数化して、米国、欧州と比べたグラフを掲げてくれている。この間、日本株の利益成長は両地域の株式を大きく上回っている。 日本株の投資家にとっては心強いデータだ。アベノミクスの株式市場に対する好影響が確認できることもよいことだ。政策パッケージとして不足はあったかもしれないが、株価を下げる政策よりも良かったことは間違いあるまい・・・ 日本の「その他サービス収支」において唯一、黒字を記録する知的財産権等使用料も、その実態は産業財産権等使用料の黒字に支えられている。 近年、海外企業から供給される音楽や動画の定額課金サービスを受けて著作権等使用料の赤字が増勢傾向にあるものの、産業財産権等使用料の黒字が多額に上っているため、これら2本から構成される知的財産権等使用料全体では黒字が維持される構図にある。 製造業の海外生産移管は経常収支上、赤字拡大と黒字拡大の二面性を有する」、なるほど。 「海外移管された生産拠点や、それにより失われた輸出すべてが「円売り」に直結しているわけではなく、サービス収支上、産業財産権として回帰している部分もあることは円の需給を考察するうえでは知っておきたい事実だ」、なるほど。 唐鎌 大輔氏による「円安がさらなる貿易赤字と円売りを招くカラクリ サービス収支に透ける製造業のグローバル化」 「今回の高値には意外感を持つ向きが多いのではないか。 つい少し前、10月の終わりの4取引日にあっては、日経平均の終値はいずれも3万1000円を割っていて、3万円を維持できないのではないかと心配になるような状況だった。 それが、3週間のうちにざっと1割上昇して「戻り高値」なのである・・・米国のインフレ関連のデータ・・・ どんな「教訓」があるのだろう、興味深そうだ。 「合理的な投資家にできることは、余計な売買をせずに自分にとって必要な大きさの投資を維持してじっとしている真の「長期投資」と、これと両立する「分散投資」「低コスト」のポートフォリオの保有である。さらには、自分が合理的であるとの自信を持って精神的なストレスを減らすことだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。