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科学技術(その2)(中国が約1兆ドルかけて製造・運用する「人工太陽」 太陽の5倍高温なプラズマの維持に成功!、「日本って科学技術立国と言っているわりにはみんな科学にあまり興味がないんじゃないか」というこの国への本質的な疑問と竹内薫さんがこだわった「科学に興味がない人にも科学を伝え続ける意味」、「科学はたとえば日本の『失われた30年』の原因を特定し解決することにも役立つはず」…科学伝道の第一人者が「日本の政治はもっと科学に目を向けてほしい」と説く理由 サイエンスZERO NHK) [科学技術]

科学技術については、2020年11月13日に取上げた。今日は、(その2)(中国が約1兆ドルかけて製造・運用する「人工太陽」 太陽の5倍高温なプラズマの維持に成功!、「日本って科学技術立国と言っているわりにはみんな科学にあまり興味がないんじゃないか」というこの国への本質的な疑問と竹内薫さんがこだわった「科学に興味がない人にも科学を伝え続ける意味」、「科学はたとえば日本の『失われた30年』の原因を特定し解決することにも役立つはず」…科学伝道の第一人者が「日本の政治はもっと科学に目を向けてほしい」と説く理由 サイエンスZERO NHK)である。

先ずは、2022年2月7日付けSoraeが掲載した「中国が約1兆ドルかけて製造・運用する「人工太陽」 太陽の5倍高温なプラズマの維持に成功!」を紹介しよう。
https://sorae.info/space/20220206-artificial-sun.html
・『いわば「人工太陽」とも呼ぶべき核融合炉が完成すれば、人類は無限のクリーンエネルギーを手にすることができるかもしれません。 中国科学院等離子体物理研究所は、同研究所が開発・運用する全超伝導トカマク型核融合実験装置(EAST)が、摂氏約7千億度という高温のプラズマを1,056秒間持続することに成功したと発表しました。この持続時間は、トカマク型による高温プラズマの持続時間としては世界最長となります。EASTは2006年に運用が始まった実験装置で、2022年6月の運用終了までに1兆ドル以上の費用がかかると予想されています。 人工太陽とは、太陽など主系列星の内部で発生する核融合を人工的に再現する装置や施設のこと。核融合とは、水素など軽い原子の原子核同士が結合し、ヘリウムのような重い原子核を生成する反応を指します』、「トカマク型核融合実験装置(EAST)が、摂氏約7千億度という高温のプラズマを1,056秒間持続することに成功・・・この持続時間は、トカマク型による高温プラズマの持続時間としては世界最長」、なるほど。
・『【▲太陽の内部における水素の核融合反応を示した概念図(Credit: EUROfusion)】 核融合反応はエネルギーの発生を伴うので、このエネルギーを発電に利用するための研究が進められてきました。石炭や石油を燃やす火力発電とは異なり、核融合を利用する発電では温室効果ガスが放出されないため、クリーンなエネルギーだと考えられています。 ところが、地球の約33万倍もの質量を持つ太陽の内部のような核融合が起きる条件を地球上で人工的に模倣するのは難しく、約1,500万度ある太陽の中心部と比べて約6倍もの高温が必要だといいます。 原子核同士が核融合を起こす環境を人工的に再現したものとしては、ロシア(当時のソビエト連邦)の科学者Natan Yavlinsky氏が1958年に設計した「トカマク型」と呼ばれる型式の核融合炉「T-1」が知られています。トカマク型は強力な磁場をもつドーナツ状の核融合炉のなかで、プラズマを封じ込める仕組みになっているようです。 ロシアが開発した「T-1」以降も様々な核融合実験装置が作られましたが、装置を作動させるために費やされたエネルギーより多くのエネルギーを発生させることに成功したものは登場しませんでした。 【▲トカマク型核融合実験装置の概念図(Credit: EFDA-JET(現在のEUROfusion))】 中国が今回実施した実験は、南フランスで建設中の核融合実験炉ITER(International Thermonuclear Experimental Reactor)のための技術を検証するために実施された模様です。ITERはプラズマを閉じ込めるために地球磁場の約28万倍も強力な磁場を生成できるといいます。このプロジェクトには、EUやイギリス、中国、インド、米国など35ヵ国が共同で参加し、2025年に登場すると見込まれています。 一方、現在EASTで実験を実施した中国自身も、ITERとは別の核融合炉の開発を独自に行っているようです。磁場ではなく慣性によってプラズマを封じ込める「慣性核融合炉」の実験の実施計画や、別のトカマク型核融合炉の完成を2030年代初頭までに目指すなど、新たな核融合炉の開発を進めている模様です』、「地球の約33万倍もの質量を持つ太陽の内部のような核融合が起きる条件を地球上で人工的に模倣するのは難しく、約1,500万度ある太陽の中心部と比べて約6倍もの高温が必要・・・原子核同士が核融合を起こす環境を人工的に再現したものとしては、ロシア(当時のソビエト連邦)の科学者Natan Yavlinsky氏が1958年に設計した「トカマク型」と呼ばれる型式の核融合炉「T-1」が知られています。トカマク型は強力な磁場をもつドーナツ状の核融合炉のなかで、プラズマを封じ込める仕組みになっているようです。 ロシアが開発した「T-1」以降も様々な核融合実験装置が作られましたが、装置を作動させるために費やされたエネルギーより多くのエネルギーを発生させることに成功したものは登場しませんでした・・・現在EASTで実験を実施した中国自身も、ITERとは別の核融合炉の開発を独自に行っているようです。磁場ではなく慣性によってプラズマを封じ込める「慣性核融合炉」の実験の実施計画や、別のトカマク型核融合炉の完成を2030年代初頭までに目指すなど、新たな核融合炉の開発を進めている模様」、まだ「装置を作動させるために費やされたエネルギーより多くのエネルギーを発生させることに成功したものは登場しません」、これでは陽の目を見るのはかなり先になりそうだ、

次に、本年3月25日付け現代ビジネス「「日本って科学技術立国と言っているわりにはみんな科学にあまり興味がないんじゃないか」というこの国への本質的な疑問と竹内薫さんがこだわった「科学に興味がない人にも科学を伝え続ける意味」」を紹介しよう。
・『「『サイエンスZERO』20周年スペシャル」取材班  「ゼロから分かりやすく科学を伝えたい」と2003年に始まった「サイエンスZERO」がまもなく放送20年を迎えます。787回に上る放送回数とあらゆる分野の最新科学研究をディープに伝えてきた節目を記念し、日本のサイエンス各分野の著名な研究者や番組ナビゲーターにこの20年を振り返ってもらうインタビューを行いました。そこで飛び出してくる驚きの言葉や知見、未来への警鐘とは―。(放送は「サイエンスZERO」20周年特別番組:3月26日(日)夜11:30~ NHK Eテレ) 「『第四次産業革命』の真っただ中を生きてきたっていう印象がある。そこでいかに正しい情報発信ができるかを考えながら、常に最先端のことを勉強しながら20年を生きてきた」 そう語るのは、2012年から2018年まで「サイエンスZERO」のナビゲーターを務めたサイエンス作家の竹内薫さんです。 難解な科学について、比喩を交えながら分かりやすく解説する竹内さんは、これからの時代はますます科学が果たす役割が大きくなるだろうと言います。「科学者にとっても貴重な番組」と感じたサイエンスZEROの印象的な回を振り返るとともに、「この20年の科学」そして「これから20年の科学」を語り尽くします(Qは聞き手の質問、Aは竹内氏の回答)』、「サイエンスZERO」は私の好きな番組で視聴していた。
・『科学者にとっても「貴重な番組」  Q:サイエンスZEROが20周年なのですが、振り返るといかがでしょうか? A:もう卒業して5年も経っちゃったんですね。サイエンスZERO、20周年。率直にすごいな、と思います。日本って科学技術立国と言っているわりには、みんな科学にあまり興味がないんじゃないかと感じるんですよ。科学書がそれほど売れるわけじゃないし、科学雑誌もあまりないですよね。そんな中で20年間、放送媒体で地道にずっと伝え続けるのはすごく大変なことだなと思います。Q:印象に残っている回はなんでしたか? A:一番印象に残っているのは、「iPS細胞」の山中伸弥先生がノーベル賞を受賞した直後に、京都までインタビューに伺ったことです(※1)。急遽スタッフの人と相談をして、取材ができるかどうかも全然分からない状況から始めて、台本を作って、みんなで新幹線に乗って行ったのをよく覚えています。山中先生が「サイエンスZEROという番組は貴重な番組だ」ということをおっしゃってくださって、ノーベル賞を受賞される前からサイエンスZEROにご出演されていたこともあるからか、私たちのインタビューの時間を他の取材の人たちより長く取ってくださったのが印象的でしたね。 Q:あのインタビューの裏にはそういうことがあったんですね。 A:やっぱり、科学者の方が直接一般の方に語りかける場があんまりないんですよ。シンポジウムや本を書いて伝える方法も確かにあるんだけど、映像として凝縮された状態で非常に効率よく正しいことを教えられる。そういう番組って他にないと思うんですね。だから科学者にとってもすごく貴重なのではないでしょうか。 ※1 サイエンスZERO「速報ノーベル賞!iPS細胞 その舞台裏」(2012年10月14日放送)。ノーベル賞の発表が10月8日で、インタビューは11日。そして、14日に放送という強行スケジュールだった』、かなり綱渡り的ナスケジュールだ。
・『「科学を伝える」ために専門用語を使わず、比喩を使う  Q:番組ナビゲーターとして心がけていたことはありますか? A:ナビゲーターとして、というかサイエンス作家として心がけているのは、専門用語をなるべく使わないことです。専門用語を使わないと、専門家のサークルからはなんでちゃんと専門用語を使わないんだって叱られるんですけれども、そこはあえて普通の言葉に言い換える。あと、比喩も使います。専門家の方は、誤解されるおそれがあるので比喩はあまり使わない方がいいとおっしゃるんですが、僕は科学を伝える人間なので、その伝え方の一つの技術として使うと効果的だと思っています。 サイエンスZEROをやっているときも伝え方を考える機会が結構あって、収録の前の台本打ち合わせが大変だった回が印象に残っています。例えば、「ブラックホール」の回は打ち合わせが長時間かかりました。 そのときは今と状況が違って、まだブラックホールが可視化されていなくて、「ブラックホール候補」でした。だから、そういった言葉づかいを含めてちゃんと科学的に伝えないといけないという科学者のスタンスと、分かりやすく伝えようとする番組側のスタンスがぶつかり合って、丁々発止のやり取りがありました。でも、最終的に放送された番組を見ると、「あれ?結構きれいにまとまっているな、結果的にはいい番組になったな」と思いましたね』、「収録の前の台本打ち合わせが大変だった回が印象に残っています。例えば、「ブラックホール」の回は打ち合わせが長時間かかりました・・・例えば、「ブラックホール」の回は打ち合わせが長時間かかりました。 そのときは今と状況が違って、まだブラックホールが可視化されていなくて、「ブラックホール候補」でした。だから、そういった言葉づかいを含めてちゃんと科学的に伝えないといけないという科学者のスタンスと、分かりやすく伝えようとする番組側のスタンスがぶつかり合って、丁々発止のやり取りがありました。でも、最終的に放送された番組を見ると、「あれ?結構きれいにまとまっているな、結果的にはいい番組になったな」と思いましたね」、なるほど。
・『CGのセットで「目に見えない現象」を見せる工夫も  Q:他にも印象に残った番組はありますか? A:「ヒッグス粒子」が見つかったすぐあとに特集した回ですね(※2)。僕は大学院の時にヒッグス粒子の現象論というものを勉強していたんです。 現象論というのは、理論を使ってこういう実験をすればヒッグス粒子が検出できますよというシミュレーションをやるというもので、ある意味一番日が当たらない分野。つまり、派手な理論でもないし最終的にはノーベル賞がもらえるような実験とも違うわけです。こういう理論があるので、我々はそれを使ってシミュレーションをやりました。だからこういう実験をやってくれれば、恐らくそれはちゃんと検出できますよ、みたいなアドバイスを実験家の方にする研究なんですね。 なので、実際に発見されたということですごく印象に残っているし、CGのセットを使って、「ヒッグス粒子っていうけど、本当は『ヒッグス場』。電磁場と同じように場の概念が重要」という、科学者がイメージしているものをそのまま伝えられたことも印象に残っています。すごく工夫したな、と思いますね。 ※2 サイエンスZERO「ヒッグス粒子!素粒子の不思議ワールドへの招待」(2012年9月2日放送)。2012年7月4日、CERN(欧州原子核研究機構)の2つの実験グループが、素粒子物理学の標準理論で最後まで見つかっていなかった「ヒッグス粒子」を発見したと発表。ヒッグス粒子を提唱したピーター・ヒッグス氏には、2013年にノーベル物理学賞が贈られた』、「CGのセットを使って、「ヒッグス粒子っていうけど、本当は『ヒッグス場』。電磁場と同じように場の概念が重要」という、科学者がイメージしているものをそのまま伝えられたことも印象に残っています。すごく工夫したな、と思いますね」、なるほど。
・『科学にも光と影がある。それを教えてくれたのが「STAP細胞」  Q:伝えるのが難しかった回はありますか? STAP細胞の回は、難しかったですね(※3)。STAP細胞は論文が出た当初からマスコミがたくさん飛びついて、僕も、なんかすごいものが出たんだなと思いました。ところがSTAP細胞の回をサイエンスZEROでやることになって、収録の前の週あたりからいろんな情報を番組のディレクターが集めてきて、「異論が多数出ている」という情報が最初に入ってきた時に、「えっ?」と思ったんですよ。 その時点で僕はSTAP細胞が怪しいとは全く思っていなかったんです。通常であればサイエンスZEROは確立された成果を正確に楽しくお伝えするわけじゃないですか。ところが、STAP細胞の場合は確立されていないかもしれない。結構、異論が出てきているし、再現性がどうもない、という状況だけれどもそのことも含めて放送する。これはすごく難しい番組でしたね。 ただやっぱりあれは番組をやって良かったと思います。つまり、科学というのはいいことばかりじゃない。やはり常に光と影があるんだっていうところをお伝えできたと思うんですよ。そこに持っていくスタッフの取材力というか、研究の本質を見抜く力があるんだ、というのがすごく驚きでしたね。 ※3 サイエンスZERO「緊急SP!STAP細胞 徹底解説」(2014年3月16日放送)。科学誌Nature 2014年1月30日号に、マウスの成熟した細胞に簡単な操作を加えるだけであらゆる細胞に分化できるようになる、という論文が掲載され、マスコミが一斉に報道。しかしその後、実験の再現性がないことなどが研究者から指摘され、調査の結果、筆者の研究不正があったとの判断が下った』、「!STAP細胞 徹底解説」・・・科学誌Nature 2014年1月30日号に、マウスの成熟した細胞に簡単な操作を加えるだけであらゆる細胞に分化できるようになる、という論文が掲載され、マスコミが一斉に報道。しかしその後、実験の再現性がないことなどが研究者から指摘され、調査の結果、筆者の研究不正があったとの判断が下った」、この騒ぎはまだ覚えている。
・『科学の道も平坦ではなく研究者も善人ばかりではない  Q:科学技術には光と影がある、というのはどういう意味ですか? A:科学というと、全部がうまくいく、100%正しいとかそういった考えを持っている方もいるんですけど、そうじゃないですよ、と。実際に、科学の理論も実験も、現場では試行錯誤がたくさんあって、失敗もたくさんあるわけですね。そこの中で何かのきっかけで偶然うまくいくということもあるんですよ。 青色LEDでノーベル賞を受賞された天野浩先生(※4)も、装置が故障して初めてうまくいったって、すごい偶然じゃないですか。そういう意味で科学ってそんなに単純なものではないし、ちゃんと実験を続けていけば自然と結果が出るというものでもないということも伝えたい。 あと、不正論文って結構あるんですよね。科学にはちょっとダークサイドの話もあるんですよと。それはちゃんとお伝えできたかなと思うので、本当の現場の科学の姿とか実態とかが深掘りできたのかなと思うんです。 ジャーナリズムというと、規制の立場、権力に対するチェック機能があるとか、そういったことが特に先進自由国では大事じゃないですか。科学だってそうだと思うんですよ。科学者は全員が聖人というわけではないので、中には研究費を取るためにちょっと悪いことをしてしまう。軽い不正をやってしまうような方もいるわけですね。そこはやはりジャーナリスティックな視点でチェックをする人は必要なので、STAP細胞というのはそういう意味でも番組で取り上げる意味があったと思いますね。 ※4 2014年にノーベル物理学賞を受賞した名古屋大学の天野浩教授。サイエンスZERO「おめでとう!ノーベル物理学賞 青色LED徹底解説」(2014年12月7日放送)に出演。学生時代、青色LEDに必要な窒化ガリウムの結晶を作る実験を1500回以上繰り返していた天野さんは、通常1200℃で実験するところを装置の不具合のため700℃で行い、結晶を作ることに初めて成功したと語った。 この20年にとっての竹内さんにとっての科学とは何か、そして科学を伝えることの難しさや葛藤、「科学の光と影」など、科学と真摯に向き合うことによって生じてくる課題について奥深いお話を伺うことができました。 それでは、竹内さんは「これからの科学」についてどのように見ておられるのでしょうか。 後編『「科学はたとえば日本の『失われた30年』の原因を特定し解決することにも役立つはず」…科学伝道の第一人者が「社会の課題に対する科学の役割が大きくなる」と説く理由』に続きます』、「竹内さんは「これからの科学」についてどのように見ておられるのでしょうか・・・後編」を見ていこう。

第三に、3月25日付け現代ビジネス「「科学はたとえば日本の『失われた30年』の原因を特定し解決することにも役立つはず」…科学伝道の第一人者が「日本の政治はもっと科学に目を向けてほしい」と説く理由 サイエンスZERO NHK」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/108088
・『「『サイエンスZERO』20周年スペシャル」取材班  「ゼロから分かりやすく科学を伝えたい」と2003年に始まった「サイエンスZERO」がまもなく放送20年を迎えます。787回に上る放送回数とあらゆる分野の最新科学研究をディープに伝えてきた節目を記念し、日本のサイエンス各分野の著名な研究者や番組ナビゲーターにこの20年を振り返ってもらうインタビューを行いました。そこで飛び出してくる驚きの言葉や知見、未来への警鐘とは―。(放送は「サイエンスZERO」20周年特別番組:3月26日(日)夜11:30~ NHK Eテレ) ここ20年の科学について「『第四次産業革命』の真っただ中を生きてきた―」と表現されたサイエンス作家の竹内薫さん。竹内さんは2012年から2018年まで「サイエンスZERO」のナビゲーターを務めてこられました。 竹内さんには前編『「日本って科学技術立国と言っているわりにはみんな科学にあまり興味がないんじゃないか」というこの国への本質的な疑問と竹内薫さんがこだわった「科学に興味がない人にも科学を伝え続ける意味」』に引き続き、この20年の科学について思うこととこれからの時代にとっての科学について伺います』、「この20年の科学について思うこととこれからの時代にとっての科学について伺います」、興味深そうだ。
・『一緒にナビゲーターを務めた南沢奈央さんにも支えられた  Q:一緒に番組ナビゲーターを務めた南沢奈央さんの印象はいかがでしたか? A:一言で言うと「勘が良い方だな」と思います。例えば、台本にはないけど、ここにこういうせりふがあるといいな、と思うとその通りのせりふが出てくるんですよ。台本をただ読んでいるんじゃなくて、臨機応変にいろんなことを言ってくれて、しかもかなり的を射ていたと思うんですね。あと、大学で心理学を専攻されていたということで、僕の得意な数学とか物理ではない分野について結構詳しかったので、すごく助かりましたね。凸凹コンビで、どちらかというと僕のほうが凹の方だったかな(笑)。 Q:南沢さんは番組で猫の特集をしたことをきっかけに、実家で猫を4匹飼い始めたそうです。竹内さんも猫好きでいらっしゃいますよね? A:猫、4匹ですか。うちは今、3匹飼っています。生まれたときから家に猫がいて、猫が好きなんですが、サイエンスZEROでも2回猫の特集をやって(※5)、スタジオに猫が来たり、うちの猫も登場させてもらったり、そんなことも懐かしく思い出しますね。 猫って実は物理学にもよく登場するんですよ。逆さまにして落下させるとちゃんと着地するという実験なんかは完全に力学の話ですよね。あと量子力学で「シュレーディンガーの猫」というのがありまして、頭で考える「思考実験」なんですけども、猫が登場する論文があるわけですよ。そういうのを考えると、猫は科学的だな、と思いますね。 ※5 サイエンスZERO「ニャンとも不思議!遺伝子が明かすネコの秘密」(2015年8月2日放送)、「ニャンとビックリ!科学で探る ネコとヒトとの優しい関係」(2016年6月5日放送)』、「南沢奈央さん」の公式ページはhttps://www.naosway.net/。「量子力学で「シュレーディンガーの猫」というのがありまして、頭で考える「思考実験」なんですけども、猫が登場する論文があるわけですよ。そういうのを考えると、猫は科学的だな、と思いますね」、なるほど。
・『「これまでの20年」と「これからの20年」の科学  Q:竹内さんは、この20年の科学の進歩についてどう思いますか? A:コンピューターやAIなんかはすごく進歩しましたよね。サイエンスZEROでも取り上げた将棋のAI(※6)は今、本当に強くなってきて、プロ棋士より強くなっているんじゃないの?という感じになっていますけど、その技術が完全に成熟する前の、成長段階にある現場の熱い感覚が伝えられたというのは非常に有意義だったし面白かったですね。 実は、AIは僕の仕事にもかなり影響を与えていて、去年あたりから翻訳をする時の下訳をAIにやってもらっているんですよ。これまでは人に頼んでいたものをAIにやってもらっている。だから、もうわれわれの仕事のすぐそこまで入ってきているわけです。10年後にはどうなるんだ、もう翻訳者はいらないかもしれないというところまで来ているのを感じます。 本当に今、「第四次産業革命」がどんどん進行していって、その真っただ中を生きてきたっていう印象があって、そこでいかに正しい情報発信ができるか、それを考えながら常に最先端のことを勉強しながら、この20年生きてきたのかなという印象ですね。 ※6 サイエンスZERO「プロ棋士大苦戦!進化する将棋コンピューター」(2014年7月6日放送)』、「去年あたりから翻訳をする時の下訳をAIにやってもらっているんですよ。これまでは人に頼んでいたものをAIにやってもらっている。だから、もうわれわれの仕事のすぐそこまで入ってきているわけです。10年後にはどうなるんだ、もう翻訳者はいらないかもしれないというところまで来ているのを感じます。 本当に今、「第四次産業革命」がどんどん進行していって、その真っただ中を生きてきたっていう印象があって、そこでいかに正しい情報発信ができるか、それを考えながら常に最先端のことを勉強しながら、この20年生きてきたのかなという印象ですね」、なるほど。
・『「科学予測の8割は外れる」  Q:これからの20年、科学の世界はどう変わると思いますか? A:僕、昔に本を書いたことがあって、それは「科学予測の8割は外れる」というものなんですよ。だから僕がここで予測しても多分外れると思うんです。 例えば、「空飛ぶクルマ」。100年ぐらい前に、もうすぐできると書いている雑誌の記事があるんです。でも、100年経ってようやく今できつつあると。どうしてすぐできなかったのかと考えると、テクノロジーが複数必要で、それを組み合わせないとできない。例えば、ドローン技術が必要だしAIも必要だし、そういった複雑なものがいくつかあって、全部がそろった時に初めて空飛ぶクルマが完成する。 普通、科学の未来予測をする時にテクノロジーのそういう細かいところ全部は考慮に入れないので、すぐにできると思っちゃうんですね。一方で、火星に人類が行くのに何年かかるのか、と言われたら、みんなが一斉にやろうと思ったとたんに意外と速く進むんですよ。世界中のいろんな人が参入してきて、民間でロケットを飛ばし始めるじゃないですか。そうすると加速度的に進むんですね。だから、やっぱり科学の動きっていうのは予測が難しいなと思います』、「科学予測の8割は外れる・・・「空飛ぶクルマ」。100年ぐらい前に、もうすぐできると書いている雑誌の記事があるんです。でも、100年経ってようやく今できつつあると。どうしてすぐできなかったのかと考えると、テクノロジーが複数必要で、それを組み合わせないとできない・・・火星に人類が行くのに何年かかるのか、と言われたら、みんなが一斉にやろうと思ったとたんに意外と速く進むんですよ。世界中のいろんな人が参入してきて、民間でロケットを飛ばし始めるじゃないですか。そうすると加速度的に進むんですね。だから、やっぱり科学の動きっていうのは予測が難しい」、なるほど。
・『社会の課題に対する科学の役割が大きくなるはず  Q:これからの科学にはどんなことが必要だと考えていますか? A:一つは、地球温暖化問題ですよね。20年前だと、人為的ではない、フェイクニュースだと言う人も結構いたと思うんですよ。最近は科学者の世界ではおそらくコンセンサスが取れていて、地球温暖化は人為的なものであるという認識が広まっています。 確かに、温暖な時期というのは過去の地球の歴史上でもあったわけですけど、今回はあまりにも急激にそれが来ているので、生態系がついていくことができない。農作物の出来にも関わってきて、栽培する物が急激に変わるとかも出てきちゃうので、経済もついていくことができない。そういった問題が出てきていると思うんですね。 同時に、台風が大型化したり干ばつが起きてしまったり、すごく極端な気象現象も起きる。だから、それを科学の力で何とかする必要があると思いますね。感染症もこれから増えると思うんです。地球温暖化が進んで気候が変わってくると、当然、熱帯の方のいろんな病気が入り込んでくることもあって、恐らく文明社会にこれまで存在しなかった感染症がどんどん広がっていくと思うんですよ。結局、環境破壊をしてしまっているから人間の世界に病気が入っているんですよね。 だから、環境をもうちょっと保護していく。野生動物をちゃんと保護していくことをすれば、リスクはかなり低減できると思うんですよ。ただ、世界中の国がそれをやってくれればいいんですけども、残念ながらそれをやらない国も出てくると思うので、ちょっとこれから20年、いろいろなことがまだ起きるんじゃないかと思いますね。 Q:これからの科学に期待することはありますか? A:例えば、経済の問題があって、今日本は失われた30年とか言われていますよね。これも科学的な最新の手法を使って分析していくと、いくつかの原因が特定できると思うんですよ。実際、それをおっしゃっている経済学者の方もいるんです。こうすれば経済は良くなるであろうという科学理論があると。それをある地域で、実証実験として実験的にやってみればいいと僕は思うんですよ。 科学というのは、われわれの生活を良くすることにもっともっと使えると思います。できれば政治家の方々ももう少し科学に目を向けてほしいなと思いますね。 「サイエンスZERO」20周年スペシャル  3月26日(日)夜11:30~午前0:30 NHK Eテレ《再放送:2023年4月1日(土)午後2:30~3:30 Eテレ》  関連記事『「なぜ宇宙には物質が存在しているのか?」実は現代の物理学でも説明できない究極の謎だった…素粒子実験の第一人者が語る「ニュートリノがなければ人類も誕生できなかった」という不思議』もぜひあわせてお読みください』、「こうすれば経済は良くなるであろうという科学理論があると。それをある地域で、実証実験として実験的にやってみればいいと僕は思うんですよ。 科学というのは、われわれの生活を良くすることにもっともっと使えると思います。できれば政治家の方々ももう少し科学に目を向けてほしいなと思いますね』、「こうすれば経済は良くなるであろうという科学理論があると」、残念ながらそんな理論はない、社会科学はそこまで進んでいないのが実情だ。 
タグ:(その2)(中国が約1兆ドルかけて製造・運用する「人工太陽」 太陽の5倍高温なプラズマの維持に成功!、「日本って科学技術立国と言っているわりにはみんな科学にあまり興味がないんじゃないか」というこの国への本質的な疑問と竹内薫さんがこだわった「科学に興味がない人にも科学を伝え続ける意味」、「科学はたとえば日本の『失われた30年』の原因を特定し解決することにも役立つはず」…科学伝道の第一人者が「日本の政治はもっと科学に目を向けてほしい」と説く理由 サイエンスZERO NHK) 科学技術 sorae 「中国が約1兆ドルかけて製造・運用する「人工太陽」 太陽の5倍高温なプラズマの維持に成功!」 「トカマク型核融合実験装置(EAST)が、摂氏約7千億度という高温のプラズマを1,056秒間持続することに成功・・・この持続時間は、トカマク型による高温プラズマの持続時間としては世界最長」、なるほど。 「地球の約33万倍もの質量を持つ太陽の内部のような核融合が起きる条件を地球上で人工的に模倣するのは難しく、約1,500万度ある太陽の中心部と比べて約6倍もの高温が必要・・・原子核同士が核融合を起こす環境を人工的に再現したものとしては、ロシア(当時のソビエト連邦)の科学者Natan Yavlinsky氏が1958年に設計した「トカマク型」と呼ばれる型式の核融合炉「T-1」が知られています。トカマク型は強力な磁場をもつドーナツ状の核融合炉のなかで、プラズマを封じ込める仕組みになっているようです。 ロシアが開発した「T-1」以降も様々な核融合実験装置が作られましたが、装置を作動させるために費やされたエネルギーより多くのエネルギーを発生させることに成功したものは登場しませんでした・・・現在EASTで実験を実施した中国自身も、ITERとは別の核融合炉の開発を独自に行っているようです。磁場ではなく慣性によってプラズマを封じ込める「慣性核融合炉」の実験の実施計画や、別のトカマク型核融合炉の完成を2030年代初頭までに目指すなど、新たな核融合炉の開発を進めている模様」、まだ「装置を作動させるために費やされたエ ネルギーより多くのエネルギーを発生させることに成功したものは登場しません」、これでは陽の目を見るのはかなり先になりそうだ、 現代ビジネス「「日本って科学技術立国と言っているわりにはみんな科学にあまり興味がないんじゃないか」というこの国への本質的な疑問と竹内薫さんがこだわった「科学に興味がない人にも科学を伝え続ける意味」」 「サイエンスZERO」は私の好きな番組で視聴していた。 かなり綱渡り的ナスケジュールだ。 「収録の前の台本打ち合わせが大変だった回が印象に残っています。例えば、「ブラックホール」の回は打ち合わせが長時間かかりました・・・例えば、「ブラックホール」の回は打ち合わせが長時間かかりました。 そのときは今と状況が違って、まだブラックホールが可視化されていなくて、「ブラックホール候補」でした。だから、そういった言葉づかいを含めてちゃんと科学的に伝えないといけないという科学者のスタンスと、分かりやすく伝えようとする番組側のスタンスがぶつかり合って、丁々発止のやり取りがありました。 でも、最終的に放送された番組を見ると、「あれ?結構きれいにまとまっているな、結果的にはいい番組になったな」と思いましたね」、なるほど。 「CGのセットを使って、「ヒッグス粒子っていうけど、本当は『ヒッグス場』。電磁場と同じように場の概念が重要」という、科学者がイメージしているものをそのまま伝えられたことも印象に残っています。すごく工夫したな、と思いますね」、なるほど。 「!STAP細胞 徹底解説」・・・科学誌Nature 2014年1月30日号に、マウスの成熟した細胞に簡単な操作を加えるだけであらゆる細胞に分化できるようになる、という論文が掲載され、マスコミが一斉に報道。しかしその後、実験の再現性がないことなどが研究者から指摘され、調査の結果、筆者の研究不正があったとの判断が下った」、この騒ぎはまだ覚えている。 「竹内さんは「これからの科学」についてどのように見ておられるのでしょうか・・・後編」を見ていこう。 現代ビジネス「「科学はたとえば日本の『失われた30年』の原因を特定し解決することにも役立つはず」…科学伝道の第一人者が「日本の政治はもっと科学に目を向けてほしい」と説く理由 サイエンスZERO NHK」 「この20年の科学について思うこととこれからの時代にとっての科学について伺います」、興味深そうだ。 「南沢奈央さん」の公式ページはhttps://www.naosway.net/。「量子力学で「シュレーディンガーの猫」というのがありまして、頭で考える「思考実験」なんですけども、猫が登場する論文があるわけですよ。そういうのを考えると、猫は科学的だな、と思いますね」、なるほど。 「去年あたりから翻訳をする時の下訳をAIにやってもらっているんですよ。これまでは人に頼んでいたものをAIにやってもらっている。だから、もうわれわれの仕事のすぐそこまで入ってきているわけです。10年後にはどうなるんだ、もう翻訳者はいらないかもしれないというところまで来ているのを感じます。 本当に今、「第四次産業革命」がどんどん進行していって、その真っただ中を生きてきたっていう印象があって、そこでいかに正しい情報発信ができるか、それを考えながら常に最先端のことを勉強しながら、この20年生きてきたのかなという印象ですね」、なるほど。 「科学予測の8割は外れる・・・「空飛ぶクルマ」。100年ぐらい前に、もうすぐできると書いている雑誌の記事があるんです。でも、100年経ってようやく今できつつあると。どうしてすぐできなかったのかと考えると、テクノロジーが複数必要で、それを組み合わせないとできない・・・ 火星に人類が行くのに何年かかるのか、と言われたら、みんなが一斉にやろうと思ったとたんに意外と速く進むんですよ。世界中のいろんな人が参入してきて、民間でロケットを飛ばし始めるじゃないですか。そうすると加速度的に進むんですね。だから、やっぱり科学の動きっていうのは予測が難しい」、なるほど。 「こうすれば経済は良くなるであろうという科学理論があると。それをある地域で、実証実験として実験的にやってみればいいと僕は思うんですよ。 科学というのは、われわれの生活を良くすることにもっともっと使えると思います。できれば政治家の方々ももう少し科学に目を向けてほしいなと思いますね』、「こうすれば経済は良くなるであろうという科学理論があると」、残念ながらそんな理論はない、社会科学はそこまで進んでいないのが実情だ。
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