EC(電子商取引)(その7)(アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー、楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念、中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念) [産業動向]
EC(電子商取引)については、昨年7月24日に取上げた。今日は、(その7)(アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー、楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念、中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念)である。
先ずは、昨年11月30日付け東洋経済オンラインが掲載したDNX Ventures インダストリー パートナーの山本 康正氏による「アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/391647
・『日本ではあまり知られていないけれど、世界で注目されている企業、それがShopify(ショッピファイ)です。企業のECサイト開発・運営を手がけている同企業によって、ルイ・ヴィトン、ディズニーやナイキ、ワークマンなど、いま多くの企業が「アマゾンにはもう出店しない」と宣言し始めています。 『2025年を制覇する破壊的企業』の著者であり、ビジネスとテクノロジーをつなぐベンチャーキャピタリストである山本康正氏は「アマゾンや楽天がなくなる日が本当にやってくるかもしれません」と言います。一体どういうことか、語っていただきました』、「アマゾンや楽天がなくなる日が本当にやってくるかもしれません」、本当だろうか。
・『ルイ・ヴィトン、ナイキがアマゾン出店をやめる理由 われわれベンチャーキャピタリストの間では有名なベンチャーですが、日本ではあまり知られていない注目企業の1つが、Shopify(ショッピファイ)です。 ショッピファイは、企業のECサイト開発・運営を手がけています。ウェブサイトの制作、カード決済の仕組み、売上分析、その他もろもろ。企業がインターネットで商売をするために必要な、専門知識がなければ難しいことを、すべてまとめて代行してくれます。事業者が用意するのは、パソコンと画像くらいのものです。 ライバルが多いビジネスモデルでもありますが、モバイル対応など使い勝手のよさが突出しており、急激に成長。創業はカナダですが、現在はヨーロッパ、アメリカなどにも進出。今回の新型コロナウイルスによる外出自粛で、さらに需要が伸びています。 ショッピファイの台頭と呼応するように、企業がアマゾンや楽天といった大手ECプラットフォームから離脱する動きが出てきています。ルイ・ヴィトン、ディズニーやナイキ、ワークマンなどの企業が次々に「アマゾンには出店しない」と宣言し、代わりにショッピファイと組みながら自社のECサイトを充実させているのです。 ショッピファイの時価総額は現在約10兆円。日本の企業と比べると、ホンダが約5兆円ですからおよそ倍。三菱商事やソフトバンクグループの時価総額も抜き始めている。創業2004年のベンチャーが、ここまでの規模になっているのです。 最近の動向では、世界最大のスーパーマーケットチェーンであり、売上高も同じく世界一の企業、ウォルマートと連携しました。ちなみにウォルマートの売上高は約56兆円でほとんどがまだリアル店舗の売り上げです。今回の提携は、ウォルマート側が主導したと私は見ています。アマゾンへの対抗策です。 そして今後も、ウォルマートとの連携と同じような動きが起こるでしょう。そしてさらに成長は加速していくはずです。現在10兆円の時価総額がどこまで増えるのか、注目しています。 ショッピファイのような中小企業のインターネットサービスを支援するビジネスは、日本でも広まっています。ショッピファイと同じように、サービスの質で人気を博しているのが、BASE(ベイス)です。 ベイスもショッピファイと同じように、日本のデパートと連携。ショッピファイと同じく新型コロナウイルスの影響が追い風となり、時価総額は3000億円を突破しました。2025年にどこまで成長しているか、ショッピファイとあわせて楽しみです。 ショッピファイの日本への進出も注目しています。ウォルマートは西友の親会社ですから、そのコネクションを使って日本に進出してくる可能性は十分に考えられるからです。そして注目すべきは、西友の現在のeコマースシステムは、楽天が担っている点です。 2025年には西友のeコマースだけでなく、日本国内におけるeコマース事業をショッピファイがリードしている。その可能性は、今の勢いからすれば十分ありえます』、「すべてまとめて代行してくれます。事業者が用意するのは、パソコンと画像くらいのものです」、とあるが商品を購入者宅に届ける物流まで提供しているのだろうか。それとも提供せず、これは顧客企業が独自に展開するのだろうか。「「アマゾンには出店しない」と宣言した」、例示された企業はブランド力もあるので、独自のネット集客が可能なのだろう。
・『b8ta(ベータ)にも注目 ほかにも、ビジネスの大転換を行っているベンチャーを紹介します。b8ta(ベータ)です。従来の小売事業は店舗を借りて在庫を仕入れて、マージンをいくらか上乗せして販売する。このようなビジネスモデルでした。 ところがeコマースが広まったことで、実店舗で商品を購入する人は激減しました。その結果、実店舗では商品の手触りや動作を確認。そのうえで、ネットで商品を買う人が増えました。つまりこのままでは、実店舗はこれまでほどは必要とされなくなっていきます。 そこでベータは、あるユニークな発想をします。eコマースでは、最終的にネットショップで商品を購入しますが、そこにたどり着くまでに検索をしたり、ほかのサイトやユーチューブ、フェイスブックといったコンテンツに貼られた広告からの誘導で行くことが少なくありません。そして誘導した広告主は、その分のフィーを得ています。 オンラインでは当たり前となったこのような小売りビジネスの流れを、ベータはオフラインに持ち込みました』、興味深いビジネスモデルのようだ。
・『店頭でお客からはお金をとらない? 一見するとベータは、おしゃれなデバイスを置いている、アップルストアのような外観です。ユニークなのは、置かれているデバイスをその場で販売することがメインではないことです。自動車ディーラーがショールームに変わっていったのと似ています。ベータのお店も、まさにショールームだからです。 置かれているのは、社名からもわかるように大規模店舗に置かれているような完成されたデバイスばかりではありません。エッジが立っていたり、大化けして売れそうな、話題となるような商品を意図的にセレクトし置いています。そしてその手のデバイスを好むユーザーに見てもらい、触ってもらい、感想を述べてもらい、反応を開発企業にフィードバックします。もちろん新製品が完成した際の予約も受け付けます。 企業としては、将来的な顧客になるとの広告効果もありますし、よりよい製品にブラッシュアップされる場でもありますから、ベータにお金を払い、製品を置いてもらう。そのようなビジネスモデルです。 店内にはカメラやセンサーも備わっていて、何名の客が実際に関心を持ったのか。そのうち手に取ったのは何名か。このような統計から、グーグル広告のような広告課金ビジネスも行っています。サンフランシスコ発で、アメリカではすでに多くの店舗を出店していましたが、いよいよ2020年の8月に日本にも上陸。有楽町駅前やマルイビルに出店しています。 ショッピファイやベータの動きを知り、ぜひ今後のビジネスのヒントにしていただけたらと思います』、ECもずいぶん広がりが出てきたものだ。
次に、3月16日付け日経ビジネスオンラインが掲載した明星大学経営学部教授(元経経済産業省中部経済産業局長)の細川 昌彦氏による「楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00054/
・『楽天は12日、日本郵政や中国のネット大手・騰訊控股(テンセント)などを引き受け手とする第三者割当増資を実施し、2423億円を調達すると発表した。その中で、最大の資金の出し手が日本郵政である。日本郵政は楽天との資本・業務提携に約1500億円を投じ、出資比率は8.32%となる。物流やモバイル、デジタルトランスフォーメーション、金融など幅広い分野で提携を強化するとしている。 ビジネス戦略としてみれば、楽天と日本郵政の資本・業務提携はシナジー効果(相乗効果)を期待して評価することもできよう。「歴史的な提携だ」との自画自賛はともかくとして、大方のメディアはポジティブな反応だ。私もそれを否定するつもりは毛頭ない。 しかしそこには、国民の財産と安全保障に関わる見逃せない深刻な懸念が潜んでいる』、「深刻な懸念」とはどういうことだろうか。
・『政府過半出資の会社による“資本注入”の異様さ まず、楽天から見れば、今回の提携は歴史的快挙であっても、日本郵政から見れば、違った風景が見えてくる。その際忘れてはならないのが、日本郵政は政府が過半を出資する会社(56.87%を政府・自治体が保有)であることだ。 その親会社の下に、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険という個別の事業会社が置かれている。個々の事業会社が業務提携するのならば、ともかくも、問題は政府が過半出資している親会社が特定企業に約1500億円という巨額の出資をすることが、果たして妥当かどうかだ。 多くのメディアは今回の発表だけを見て論じているが、時間を遡って経緯をたどれば、その異様さが見えてくる。 昨年12月24日、事業会社の日本郵便が楽天と物流分野での包括的な業務提携を基本合意したと発表したばかりだ。その際には、物流での戦略提携を打ち出し、金融やモバイルなど物流以外の事業分野でも幅広く提携について協議、検討していき、3月に包括的な業務提携の最終合意を目指すとしていた。あくまで業務提携が前提だ。 楽天は、物流について日本のEC(電子商取引)市場で攻勢をかける米アマゾン・ドット・コムに対抗していく必要がある。全国2万4000カ所の郵便局のネットワークを抱える日本郵便との戦略的提携は楽天にとってはアマゾンと戦う切り札となり得る。 一方、楽天とゆうちょ銀行、かんぽ生命との接点はこれまでわずかだ。今後の業務提携の検討項目に金融も入っているが、具体的な中身は明らかになっていない。 日本郵政の主な狙いは、流通総額が年間3兆円規模というECモール「楽天市場」の宅配物を優先的に引き受けることにある。もちろん、郵便事業にとっては重要なことではあるが、事業会社である日本郵便による業務提携で十分対応できるもので、昨年末の業務提携の基本合意がそれだ。資本提携、しかも日本郵政から一方的に1500億円を持ち出す必然性はどこにあるのか。 楽天は、日本郵政などから調達した資金の大部分を、基地局の整備など携帯電話事業の投資に充てるという。これが日本郵政の事業に直結するとは思えない。 昨年末時点ではあくまでも広範な業務提携であったのが、たった2カ月半後に急転直下、親会社による1500億円の資本提携が付け加わった。その間、一体何があったのか』、「日本郵政から一方的に1500億円を持ち出す必然性はどこにあるのか」、確かに合理的な説明は困難だ。
・『携帯料金の引き下げで苦しむ楽天を“救済”? 菅義偉首相肝煎りの政府主導による携帯料金の引き下げで、昨年4月から携帯電話事業に新規参入した楽天のダメージは大きい。 「大手3社を凌駕(りょうが)する携帯キャリアをつくる」 楽天の三木谷浩史会長兼社長はそう豪語していたが、携帯基地局への先行投資が響き、2020年12月期の最終損益は1141億円の赤字で、これが発表されたのが2月12日だ。連結の自己資本比率も2020年12月末時点で4.9%に下がっている。今後も電波エリアの拡大のために基地局の設置の投資に兆円単位の膨大な資金が必要となるため、厳しい財務状況であった。 そこにこの資本提携だ。話は今年1月に三木谷社長から持ち掛けたことを、三木谷社長本人が記者会見で認めている。資本提携では多くの場合、相互に第三者割当増資を行う「株式の持ち合い」をするが、今回はそうではない。一方的に日本郵政が楽天に出資した形で、これは事実上、巨額の“資金注入”とも言えるのではないか。これでは楽天に対する“救済”と思われても仕方がない。 資本提携は単なる業務提携とは訳が違う。携帯電話事業のように4社が激しい競争をしている中で、政府が過半の出資をしている会社がその1社に対して巨額の資金を注入するのは、果たして公正と言えるのだろうか。厳格な議論が必要だろう。 政府が過半を出資する会社が国民の財産を特定企業に注ぎ込んだのも同然、とも言われかねない行為は妥当なのだろうか。仮にこうした行為をするのならば、最低限、政府保有株を売却して、政府保有比率を3分の1以下にしてからするのが筋ではないだろうか。 第2に、世間の目が日本郵政との資本提携ばかりに奪われているが、日本の経済安全保障にも関わる懸念もある。テンセントの子会社から約660億円の出資を楽天が受け入れることだ』、「事実上、巨額の“資金注入”とも言えるのではないか。これでは楽天に対する“救済”と思われても仕方がない」、「携帯電話事業のように4社が激しい競争をしている中で、政府が過半の出資をしている会社がその1社に対して巨額の資金を注入するのは、果たして公正と言えるのだろうか。厳格な議論が必要だろう」、その通りだ。
・『テンセントの楽天への出資は経済安保の観点で大丈夫か? テンセントについては、米国のトランプ政権末期、人気アプリ「WeChat(ウィーチャット)」のダウンロード禁止の大統領令が出され、連邦地裁によって執行差し止めになった。また最終的には見送りになったが、人民解放軍と関係が深い企業のリストに加えて、米国人の投資禁止の対象にすることも一時検討されていた。これらはいずれも米国顧客の個人情報が中国政府に流出するとの疑念が背景にあったからだ。 中国国内では事実上独占的に使用されているWeChatによって、約10億人の国民の会話・行動・購買履歴まで監視できるようになっている。また最近、中国共産党政権はアリババと共にテンセントに対しても急速に統制を強めつつあることは周知の事実だ。テンセントも中国政府への協力を表明している。まさに中国政府によるコントロールが強まって、顧客データの流出の懸念はますます高まっている。 そうしたテンセントが楽天に出資して、今後ネット通販などでの協業も検討しているという。楽天はECのみならず物流も含めた日本のプラットフォーマーだ。楽天は、膨大な個人情報を持ち、ECなどのオンラインサービスのみならず通信インフラでも重要な役割を担っている。楽天へのテンセントの出資は、経済安全保障の観点から大丈夫なのだろうか。 さらに楽天と日本郵政との間で広範な提携がなされると、懸念はいっそう大きくなる。テンセントによる出資以外、楽天との具体的な協業の内容が明らかにされていない。それだけに、テンセントが楽天を介して結果的に、日本郵政に接近する可能性も懸念されるからだ。 日本郵政には日本郵便の豊富な物流データがある。日本郵政は、楽天とデータを共有する新しい物流プラットフォームも構築するとしている。ゆうちょ銀、かんぽ生命には豊富な金融データもある。いわば、個人データの宝の山を日本郵政は抱えている。 これは日本の経済安全保障にも関わる深刻な問題ではないだろうか。日本も安全保障上重要な業種については、外為法で事前届け出を義務付けるなど外資規制をしている。その際には楽天の事業全般を見て、外資による影響力を行使されて安全保障上大丈夫かを判断していくことになる。日本政府も事の重大さを認識して、責任ある判断をすべきだ。 日本郵政と楽天の提携は単にビジネスの目でだけ追っていてはいけない。日本国民の財産や安全保障に深刻な懸念を投げかけていることに気づくべきだ。 この記事はシリーズ「細川昌彦の「深層・世界のパワーゲーム」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます』、「日本郵政と楽天の提携は単にビジネスの目でだけ追っていてはいけない。日本国民の財産や安全保障に深刻な懸念を投げかけていることに気づくべきだ」、同感である。
第三に、4月7日付けJBPressが掲載した日本戦略研究フォーラム政策提言委員の平井宏治氏による「中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64774
・『2021年3月31日、中国企業のテンセントは、その子会社を通じて、楽天が新たに発行した株を購入し(「第三者割当増資」という)、楽天の第6位の大株主になった。本件は3月12日に公表されて以降、識者から懸念が示されていた。にもかかわらず、楽天はテンセントとの業務資本提携を強行した。 本稿では、ポートフォリオ投資、楽天の帳簿閲覧権、中国の国家情報法との関係などから懸念される問題を取り上げたい』、第二の記事を「テンセント」中心に深く掘り下げたもののようだ。
・『テンセントとは何者か 楽天の大株主になったテンセント(騰訊)グループとは何者だろうか。チャットアプリ「WeChat」を知る人は多いが、その実態を知る人は少ない。 同社は、香港証券取引所に上場する持株会社で、中国の広東省深セン市に本拠を置く。傘下にインターネット関連の子会社を持ち、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供する。 2020年8月、アメリカ政府はテンセントとの取引を禁止すると公表した(注:実際には禁止に至らなかった)。トランプ大統領は、「このデータ収集によって中国共産党がアメリカ国民の個人情報や機密情報の入手が可能になる恐れがある」と指摘した。取引禁止になれば、WeChatの利用が禁止されるため在米中国人の間に衝撃が走った。 一例だが、アメリカのメディアは、中国人産業スパイがWeChatを使い中国国内の同僚と連絡を取り、「中国軍によるアメリカ軍軍事戦略データの解読とリスク評価」に関する研究論文について議論していたと報道し、WeChatが連絡ツールとして使用されていたことが明るみに出た。) 2021年1月には、アメリカの国防総省がアリババとテンセントが人民解放軍を支援しているとして、中国軍関連企業リスト(Communist Chinese military companies list)への追加を計画した。しかし、財務省がこれに「待った」をかけてしまった。 このリストに掲載された企業は、アメリカの法人、個人を問わず資本取引が禁止される。ブルームバーグは「待った」の理由について「米政府は中国人民解放軍とのつながりが疑われる同国の巨大IT企業について、証券投資を禁止した場合の経済的影響を検討した結果、アリババグループとテンセント・ホールディングス(騰訊)、百度(バイドゥ)への投資は今後も容認する見通しだ」と報道した。人民解放軍との関係がシロだからストップがかかったのではないようだ』、「アメリカの国防総省がアリババとテンセントが人民解放軍を支援しているとして、中国軍関連企業リスト(Communist Chinese military companies list)への追加を計画」、「財務省がこれに「待った」をかけ」たが、その理由は、「人民解放軍との関係がシロだからストップがかかったのではない」、中国マネーに依存せざるを得ないためなのかも知れない。
・『外為法の「ポートフォリオ投資」とは テンセントと楽天の業務資本提携の問題は、外為法との関係がポイントの1つだ。わが国では、外為法で、外国企業や外国の投資家による対内直接投資等(M&Aが含まれる)に事前届出を義務付けている。 2019年11月、外為法が大幅に改正され、2020年5月から施行された。改正内容の1つにポートフォリオ投資制度の導入がある。ポートフォリオ投資とは、経営に重要な影響を与えることを企図しない投資に限り、事前届出を免除する制度のことだ。楽天は、本件を「純投資」(=ポートフォリオ投資)と主張している。 財務省は「外為法改正案についてのよくある質問」の中で、事前届出免除を受けるために遵守することが求められる基準は、具体的には以下の3基準であるとした。 (1)外国投資家自ら又はその密接関係者が役員に就任しないこと (2)重要事業の譲渡・廃止を株主総会に自ら提案しないこと (3)国の安全等に係る非公開の技術情報にアクセスしないこと さて、2021年3月12日に楽天が公表したプレスリリースには、以下の記載がある。 Tencent Holdings Limited Executive Director and President, Martin Lau氏からのコメント。 「楽天は、これまでメンバーシップとロイヤリティプログラムを通じて活気に満ちたエコシステムを構築し、Eコマース、FinTech及びデジタルコンテンツと比類のない強みを発揮しています。我々は楽天のユーザーに向けたイノベーションとエンパワーメントを通じた価値創造への想いを共有しています。そして、グローバルイノベーションリーダーへの進化に向けて投資を通じてサポートできることを嬉しく思います。我々は、デジタルエンターテインメント、Eコマースなどの事業を通じて戦略的提携を追求し、ユーザーへの価値創造とインターネットのエコシステムを共に創るためのパートナーシップを築くことを楽しみにしています。」(太字は筆者)) 楽天は、子会社で携帯端末事業も手掛ける。「通信」は、国の安全等を損なう恐れが大きい業種とされ、携帯電話事業を営む企業も対象になる。 さらに、楽天は、2020年5月8日財務省が発表した外国人投資家が投資する際に届出対象となる上場企業518社(いわゆるコア企業)の1社でもある。そして、テンセントの社長は「(楽天と)戦略的提携を追求する」と明言している。 M&Aには、いくつかの段階がある。最も関係が緩いのは、「業務提携」といい、資本関係は持たず、経営の独立性を保つ企業同士が共同して業務を行うことだ。次の段階が「資本業務提携」である。資本業務提携とは、業務提携とセットで、業務提携先へ経営権まで影響を及ぼさない範囲で議決権を与えるものだ。資本業務提携では、両社の提携内容を明確にする業務提携契約も締結する。 これらのことを考えると、本件は「純投資」ではなく「資本業務提携」と映る。資本業務提携ならば、外為法に従い、1%の閾値を超える株式取得は事前審査を受けなければならない。このことは、外資規制の法的趣旨に関わる重大な論点だ』、「資本業務提携」を「純投資」と強弁するとは、「楽天」もいいかげんだ。
・『テンセント子会社が持つ帳簿閲覧権 次の論点は、帳簿閲覧権だ。 テンセント子会社は、楽天の株式を3.65%保有する第6位の株主になった。実は、この3.65%という持ち分が重要になる。何故なら、発行済株式の3%以上を保有する株主には、会社法で帳簿閲覧権が認められているからだ。 帳簿閲覧権とは、株主が「会計帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など)又はこれに関する資料(伝票、契約書、領収証など)」を閲覧することができることだ。会社側は一定の場合には閲覧を拒否することができるが、会社側には拒絶理由の立証責任がある。 仮に、テンセント子会社がもっともな理由をつけて楽天に帳簿閲覧を求めた場合、楽天は謝絶理由を立証しなければ拒絶できなくなる。この立証は容易ではないだろう。 さらに、会社法では、3%以上の持ち分がある株主は、裁判所に申し立てて認められれば、親会社(楽天)の意向を無視して子会社(楽天トラベル、楽天証券、楽天銀行など消費者相手の事業を行う会社)の会計帳簿等を閲覧できる規定がある。 裁判所がテンセントの申し立てを認めなければ、子会社のもつ情報は開示されないが、裁判所がテンセントの主張を正当なものと認めれば、テンセントに子会社の情報が開示される。 楽天は、この点に懸念を示す関係者に説得力のある説明をできるのか』、「会社法では、3%以上の持ち分がある株主は、裁判所に申し立てて認められれば、親会社(楽天)の意向を無視して子会社・・・の会計帳簿等を閲覧できる規定がある」、「楽天は、この点に懸念を示す関係者に説得力のある説明」、はできないだろう。
・『国家情報法とテンセント 明星大学経営学部教授の細川昌彦氏は、日経ビジネスのサイトで、以下の点を指摘している。 (1)そもそも米国はテンセントに対して、中国政府との結びつきから米国顧客の個人データが利用される強い疑念を持っている。 (2)楽天は安全保障上重要な通信事業であるだけでなく、膨大な個人情報などを有している。 従って、これは日本の経済安全保障にもかかわる重大な問題である。(以上、転載) 細川教授が指摘する通りだ。識者たちが本件を問題視する理由に中国の国家情報法がある。その7条には、以下のように記載されている。よく読んで頂きたい。 第7条 いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する。》 中国企業であるテンセントは、中国の法律に従う。つまり、中国政府が楽天からテンセントに流れた非公開情報の中身を知りたいと思えば、国家情報法に基づいてテンセントへ情報提出を命じれば済む。 細川教授が指摘するように、「楽天は安全保障上重要な通信事業であるだけでなく、膨大な個人情報などを有している」。楽天は、国家情報法に基づいてテンセントに開示した情報が中国政府と共有される点について、楽天利用者が納得できる説明をしているだろうか』、「中国政府が楽天からテンセントに流れた非公開情報の中身を知りたいと思えば、国家情報法に基づいてテンセントへ情報提出を命じれば済む」、「楽天利用者が納得できる説明」すべきだ。
・『政府は厳格な審査をするべきだ 2020年4月1日、我が国の政府の国家安全保障局(NSS)に経済安全保障を扱う経済班が設置された。NSS経済班の存在意義の1つが、外為法をはじめとする法律に基づき、わが国の安全保障に深刻な影響を及ぼすM&Aを阻止することだ。 今回の外為法改正は、2018年にアメリカで成立した2019年度国防権限法と一緒に成立した「外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」と密接に関連している。 アメリカの外資規制法であるFIRRMAの審査対象となるのは、TID(Technology, Infrastructure, sensitive personal Data)に関連する米国事業だ。アメリカ政府は、わが国の政府が、テンセント出資問題にどう対処するかに注目するだろう。 楽天が主張するように、この株式取得が「純投資」であれば、10%までの株式取得に事前申請は不要だ。この場合、前述の3つの基準を厳守することが条件となる。テンセント子会社に一切の個人情報を開示せず、中国政府に楽天利用者の個人情報が渡らないことも説明しなければならない。「テンセントはいかなる第三者へも情報を提供しないと言いました」ではお話にならない。 アメリカ政府により中国軍関連企業リストに入れられそうになった会社が、資本業務提携なのに「純投資」と主張して楽天の大株主になった。楽天は、コア業種に含まれる上場企業518社の1社だ。 わが国の政府が本件を黙認すれば、これに味を占めた懸念国が、「これは純投資」と主張して外為法の外資規制を骨抜きにし、コア業種の日本企業の大株主になり、機微技術や軍民両用技術を日本から移転し、軍事転用を行うことは、容易に想像できる。 純投資でも事後報告が義務付けられている。政府には本件を厳格に審査することを期待する。外為法は、虚偽届出などに対し、最終的に売却を含む措置命令を発することができる(下の図を参照)。国民の個人情報が国家情報法により守ることができないリスクがあるなら、政府はためらうことなく措置命令を出し、機微技術と共に国民の個人情報を守るべきだ。 出典:「対内直接投資制度について」財務省国際局作成 令和元年8月22日 』、「アメリカ政府により中国軍関連企業リストに入れられそうになった会社が、資本業務提携なのに「純投資」と主張して楽天の大株主になった。楽天は、コア業種に含まれる上場企業518社の1社だ」、「楽天」は資本が欲しいの余り、「「純投資」と主張」、いくら何でも信じ難い動きだ。ここはやはり「日本政府」が乗り出し、「厳格な審査をするべき」だろう。
先ずは、昨年11月30日付け東洋経済オンラインが掲載したDNX Ventures インダストリー パートナーの山本 康正氏による「アマゾンを破壊する「ショッピファイ」の超威力 5年後の世界を変える10兆円ベンチャー」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/391647
・『日本ではあまり知られていないけれど、世界で注目されている企業、それがShopify(ショッピファイ)です。企業のECサイト開発・運営を手がけている同企業によって、ルイ・ヴィトン、ディズニーやナイキ、ワークマンなど、いま多くの企業が「アマゾンにはもう出店しない」と宣言し始めています。 『2025年を制覇する破壊的企業』の著者であり、ビジネスとテクノロジーをつなぐベンチャーキャピタリストである山本康正氏は「アマゾンや楽天がなくなる日が本当にやってくるかもしれません」と言います。一体どういうことか、語っていただきました』、「アマゾンや楽天がなくなる日が本当にやってくるかもしれません」、本当だろうか。
・『ルイ・ヴィトン、ナイキがアマゾン出店をやめる理由 われわれベンチャーキャピタリストの間では有名なベンチャーですが、日本ではあまり知られていない注目企業の1つが、Shopify(ショッピファイ)です。 ショッピファイは、企業のECサイト開発・運営を手がけています。ウェブサイトの制作、カード決済の仕組み、売上分析、その他もろもろ。企業がインターネットで商売をするために必要な、専門知識がなければ難しいことを、すべてまとめて代行してくれます。事業者が用意するのは、パソコンと画像くらいのものです。 ライバルが多いビジネスモデルでもありますが、モバイル対応など使い勝手のよさが突出しており、急激に成長。創業はカナダですが、現在はヨーロッパ、アメリカなどにも進出。今回の新型コロナウイルスによる外出自粛で、さらに需要が伸びています。 ショッピファイの台頭と呼応するように、企業がアマゾンや楽天といった大手ECプラットフォームから離脱する動きが出てきています。ルイ・ヴィトン、ディズニーやナイキ、ワークマンなどの企業が次々に「アマゾンには出店しない」と宣言し、代わりにショッピファイと組みながら自社のECサイトを充実させているのです。 ショッピファイの時価総額は現在約10兆円。日本の企業と比べると、ホンダが約5兆円ですからおよそ倍。三菱商事やソフトバンクグループの時価総額も抜き始めている。創業2004年のベンチャーが、ここまでの規模になっているのです。 最近の動向では、世界最大のスーパーマーケットチェーンであり、売上高も同じく世界一の企業、ウォルマートと連携しました。ちなみにウォルマートの売上高は約56兆円でほとんどがまだリアル店舗の売り上げです。今回の提携は、ウォルマート側が主導したと私は見ています。アマゾンへの対抗策です。 そして今後も、ウォルマートとの連携と同じような動きが起こるでしょう。そしてさらに成長は加速していくはずです。現在10兆円の時価総額がどこまで増えるのか、注目しています。 ショッピファイのような中小企業のインターネットサービスを支援するビジネスは、日本でも広まっています。ショッピファイと同じように、サービスの質で人気を博しているのが、BASE(ベイス)です。 ベイスもショッピファイと同じように、日本のデパートと連携。ショッピファイと同じく新型コロナウイルスの影響が追い風となり、時価総額は3000億円を突破しました。2025年にどこまで成長しているか、ショッピファイとあわせて楽しみです。 ショッピファイの日本への進出も注目しています。ウォルマートは西友の親会社ですから、そのコネクションを使って日本に進出してくる可能性は十分に考えられるからです。そして注目すべきは、西友の現在のeコマースシステムは、楽天が担っている点です。 2025年には西友のeコマースだけでなく、日本国内におけるeコマース事業をショッピファイがリードしている。その可能性は、今の勢いからすれば十分ありえます』、「すべてまとめて代行してくれます。事業者が用意するのは、パソコンと画像くらいのものです」、とあるが商品を購入者宅に届ける物流まで提供しているのだろうか。それとも提供せず、これは顧客企業が独自に展開するのだろうか。「「アマゾンには出店しない」と宣言した」、例示された企業はブランド力もあるので、独自のネット集客が可能なのだろう。
・『b8ta(ベータ)にも注目 ほかにも、ビジネスの大転換を行っているベンチャーを紹介します。b8ta(ベータ)です。従来の小売事業は店舗を借りて在庫を仕入れて、マージンをいくらか上乗せして販売する。このようなビジネスモデルでした。 ところがeコマースが広まったことで、実店舗で商品を購入する人は激減しました。その結果、実店舗では商品の手触りや動作を確認。そのうえで、ネットで商品を買う人が増えました。つまりこのままでは、実店舗はこれまでほどは必要とされなくなっていきます。 そこでベータは、あるユニークな発想をします。eコマースでは、最終的にネットショップで商品を購入しますが、そこにたどり着くまでに検索をしたり、ほかのサイトやユーチューブ、フェイスブックといったコンテンツに貼られた広告からの誘導で行くことが少なくありません。そして誘導した広告主は、その分のフィーを得ています。 オンラインでは当たり前となったこのような小売りビジネスの流れを、ベータはオフラインに持ち込みました』、興味深いビジネスモデルのようだ。
・『店頭でお客からはお金をとらない? 一見するとベータは、おしゃれなデバイスを置いている、アップルストアのような外観です。ユニークなのは、置かれているデバイスをその場で販売することがメインではないことです。自動車ディーラーがショールームに変わっていったのと似ています。ベータのお店も、まさにショールームだからです。 置かれているのは、社名からもわかるように大規模店舗に置かれているような完成されたデバイスばかりではありません。エッジが立っていたり、大化けして売れそうな、話題となるような商品を意図的にセレクトし置いています。そしてその手のデバイスを好むユーザーに見てもらい、触ってもらい、感想を述べてもらい、反応を開発企業にフィードバックします。もちろん新製品が完成した際の予約も受け付けます。 企業としては、将来的な顧客になるとの広告効果もありますし、よりよい製品にブラッシュアップされる場でもありますから、ベータにお金を払い、製品を置いてもらう。そのようなビジネスモデルです。 店内にはカメラやセンサーも備わっていて、何名の客が実際に関心を持ったのか。そのうち手に取ったのは何名か。このような統計から、グーグル広告のような広告課金ビジネスも行っています。サンフランシスコ発で、アメリカではすでに多くの店舗を出店していましたが、いよいよ2020年の8月に日本にも上陸。有楽町駅前やマルイビルに出店しています。 ショッピファイやベータの動きを知り、ぜひ今後のビジネスのヒントにしていただけたらと思います』、ECもずいぶん広がりが出てきたものだ。
次に、3月16日付け日経ビジネスオンラインが掲載した明星大学経営学部教授(元経経済産業省中部経済産業局長)の細川 昌彦氏による「楽天への日本郵政・テンセントの出資に浮かび上がる深刻な懸念」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00054/
・『楽天は12日、日本郵政や中国のネット大手・騰訊控股(テンセント)などを引き受け手とする第三者割当増資を実施し、2423億円を調達すると発表した。その中で、最大の資金の出し手が日本郵政である。日本郵政は楽天との資本・業務提携に約1500億円を投じ、出資比率は8.32%となる。物流やモバイル、デジタルトランスフォーメーション、金融など幅広い分野で提携を強化するとしている。 ビジネス戦略としてみれば、楽天と日本郵政の資本・業務提携はシナジー効果(相乗効果)を期待して評価することもできよう。「歴史的な提携だ」との自画自賛はともかくとして、大方のメディアはポジティブな反応だ。私もそれを否定するつもりは毛頭ない。 しかしそこには、国民の財産と安全保障に関わる見逃せない深刻な懸念が潜んでいる』、「深刻な懸念」とはどういうことだろうか。
・『政府過半出資の会社による“資本注入”の異様さ まず、楽天から見れば、今回の提携は歴史的快挙であっても、日本郵政から見れば、違った風景が見えてくる。その際忘れてはならないのが、日本郵政は政府が過半を出資する会社(56.87%を政府・自治体が保有)であることだ。 その親会社の下に、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険という個別の事業会社が置かれている。個々の事業会社が業務提携するのならば、ともかくも、問題は政府が過半出資している親会社が特定企業に約1500億円という巨額の出資をすることが、果たして妥当かどうかだ。 多くのメディアは今回の発表だけを見て論じているが、時間を遡って経緯をたどれば、その異様さが見えてくる。 昨年12月24日、事業会社の日本郵便が楽天と物流分野での包括的な業務提携を基本合意したと発表したばかりだ。その際には、物流での戦略提携を打ち出し、金融やモバイルなど物流以外の事業分野でも幅広く提携について協議、検討していき、3月に包括的な業務提携の最終合意を目指すとしていた。あくまで業務提携が前提だ。 楽天は、物流について日本のEC(電子商取引)市場で攻勢をかける米アマゾン・ドット・コムに対抗していく必要がある。全国2万4000カ所の郵便局のネットワークを抱える日本郵便との戦略的提携は楽天にとってはアマゾンと戦う切り札となり得る。 一方、楽天とゆうちょ銀行、かんぽ生命との接点はこれまでわずかだ。今後の業務提携の検討項目に金融も入っているが、具体的な中身は明らかになっていない。 日本郵政の主な狙いは、流通総額が年間3兆円規模というECモール「楽天市場」の宅配物を優先的に引き受けることにある。もちろん、郵便事業にとっては重要なことではあるが、事業会社である日本郵便による業務提携で十分対応できるもので、昨年末の業務提携の基本合意がそれだ。資本提携、しかも日本郵政から一方的に1500億円を持ち出す必然性はどこにあるのか。 楽天は、日本郵政などから調達した資金の大部分を、基地局の整備など携帯電話事業の投資に充てるという。これが日本郵政の事業に直結するとは思えない。 昨年末時点ではあくまでも広範な業務提携であったのが、たった2カ月半後に急転直下、親会社による1500億円の資本提携が付け加わった。その間、一体何があったのか』、「日本郵政から一方的に1500億円を持ち出す必然性はどこにあるのか」、確かに合理的な説明は困難だ。
・『携帯料金の引き下げで苦しむ楽天を“救済”? 菅義偉首相肝煎りの政府主導による携帯料金の引き下げで、昨年4月から携帯電話事業に新規参入した楽天のダメージは大きい。 「大手3社を凌駕(りょうが)する携帯キャリアをつくる」 楽天の三木谷浩史会長兼社長はそう豪語していたが、携帯基地局への先行投資が響き、2020年12月期の最終損益は1141億円の赤字で、これが発表されたのが2月12日だ。連結の自己資本比率も2020年12月末時点で4.9%に下がっている。今後も電波エリアの拡大のために基地局の設置の投資に兆円単位の膨大な資金が必要となるため、厳しい財務状況であった。 そこにこの資本提携だ。話は今年1月に三木谷社長から持ち掛けたことを、三木谷社長本人が記者会見で認めている。資本提携では多くの場合、相互に第三者割当増資を行う「株式の持ち合い」をするが、今回はそうではない。一方的に日本郵政が楽天に出資した形で、これは事実上、巨額の“資金注入”とも言えるのではないか。これでは楽天に対する“救済”と思われても仕方がない。 資本提携は単なる業務提携とは訳が違う。携帯電話事業のように4社が激しい競争をしている中で、政府が過半の出資をしている会社がその1社に対して巨額の資金を注入するのは、果たして公正と言えるのだろうか。厳格な議論が必要だろう。 政府が過半を出資する会社が国民の財産を特定企業に注ぎ込んだのも同然、とも言われかねない行為は妥当なのだろうか。仮にこうした行為をするのならば、最低限、政府保有株を売却して、政府保有比率を3分の1以下にしてからするのが筋ではないだろうか。 第2に、世間の目が日本郵政との資本提携ばかりに奪われているが、日本の経済安全保障にも関わる懸念もある。テンセントの子会社から約660億円の出資を楽天が受け入れることだ』、「事実上、巨額の“資金注入”とも言えるのではないか。これでは楽天に対する“救済”と思われても仕方がない」、「携帯電話事業のように4社が激しい競争をしている中で、政府が過半の出資をしている会社がその1社に対して巨額の資金を注入するのは、果たして公正と言えるのだろうか。厳格な議論が必要だろう」、その通りだ。
・『テンセントの楽天への出資は経済安保の観点で大丈夫か? テンセントについては、米国のトランプ政権末期、人気アプリ「WeChat(ウィーチャット)」のダウンロード禁止の大統領令が出され、連邦地裁によって執行差し止めになった。また最終的には見送りになったが、人民解放軍と関係が深い企業のリストに加えて、米国人の投資禁止の対象にすることも一時検討されていた。これらはいずれも米国顧客の個人情報が中国政府に流出するとの疑念が背景にあったからだ。 中国国内では事実上独占的に使用されているWeChatによって、約10億人の国民の会話・行動・購買履歴まで監視できるようになっている。また最近、中国共産党政権はアリババと共にテンセントに対しても急速に統制を強めつつあることは周知の事実だ。テンセントも中国政府への協力を表明している。まさに中国政府によるコントロールが強まって、顧客データの流出の懸念はますます高まっている。 そうしたテンセントが楽天に出資して、今後ネット通販などでの協業も検討しているという。楽天はECのみならず物流も含めた日本のプラットフォーマーだ。楽天は、膨大な個人情報を持ち、ECなどのオンラインサービスのみならず通信インフラでも重要な役割を担っている。楽天へのテンセントの出資は、経済安全保障の観点から大丈夫なのだろうか。 さらに楽天と日本郵政との間で広範な提携がなされると、懸念はいっそう大きくなる。テンセントによる出資以外、楽天との具体的な協業の内容が明らかにされていない。それだけに、テンセントが楽天を介して結果的に、日本郵政に接近する可能性も懸念されるからだ。 日本郵政には日本郵便の豊富な物流データがある。日本郵政は、楽天とデータを共有する新しい物流プラットフォームも構築するとしている。ゆうちょ銀、かんぽ生命には豊富な金融データもある。いわば、個人データの宝の山を日本郵政は抱えている。 これは日本の経済安全保障にも関わる深刻な問題ではないだろうか。日本も安全保障上重要な業種については、外為法で事前届け出を義務付けるなど外資規制をしている。その際には楽天の事業全般を見て、外資による影響力を行使されて安全保障上大丈夫かを判断していくことになる。日本政府も事の重大さを認識して、責任ある判断をすべきだ。 日本郵政と楽天の提携は単にビジネスの目でだけ追っていてはいけない。日本国民の財産や安全保障に深刻な懸念を投げかけていることに気づくべきだ。 この記事はシリーズ「細川昌彦の「深層・世界のパワーゲーム」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます』、「日本郵政と楽天の提携は単にビジネスの目でだけ追っていてはいけない。日本国民の財産や安全保障に深刻な懸念を投げかけていることに気づくべきだ」、同感である。
第三に、4月7日付けJBPressが掲載した日本戦略研究フォーラム政策提言委員の平井宏治氏による「中国テンセントに見られてしまう楽天の「帳簿」 業務資本提携に生じるこれだけの懸念」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64774
・『2021年3月31日、中国企業のテンセントは、その子会社を通じて、楽天が新たに発行した株を購入し(「第三者割当増資」という)、楽天の第6位の大株主になった。本件は3月12日に公表されて以降、識者から懸念が示されていた。にもかかわらず、楽天はテンセントとの業務資本提携を強行した。 本稿では、ポートフォリオ投資、楽天の帳簿閲覧権、中国の国家情報法との関係などから懸念される問題を取り上げたい』、第二の記事を「テンセント」中心に深く掘り下げたもののようだ。
・『テンセントとは何者か 楽天の大株主になったテンセント(騰訊)グループとは何者だろうか。チャットアプリ「WeChat」を知る人は多いが、その実態を知る人は少ない。 同社は、香港証券取引所に上場する持株会社で、中国の広東省深セン市に本拠を置く。傘下にインターネット関連の子会社を持ち、ソーシャル・ネットワーキング・サービス、インスタントメッセンジャー、Webホスティングサービスなどを提供する。 2020年8月、アメリカ政府はテンセントとの取引を禁止すると公表した(注:実際には禁止に至らなかった)。トランプ大統領は、「このデータ収集によって中国共産党がアメリカ国民の個人情報や機密情報の入手が可能になる恐れがある」と指摘した。取引禁止になれば、WeChatの利用が禁止されるため在米中国人の間に衝撃が走った。 一例だが、アメリカのメディアは、中国人産業スパイがWeChatを使い中国国内の同僚と連絡を取り、「中国軍によるアメリカ軍軍事戦略データの解読とリスク評価」に関する研究論文について議論していたと報道し、WeChatが連絡ツールとして使用されていたことが明るみに出た。) 2021年1月には、アメリカの国防総省がアリババとテンセントが人民解放軍を支援しているとして、中国軍関連企業リスト(Communist Chinese military companies list)への追加を計画した。しかし、財務省がこれに「待った」をかけてしまった。 このリストに掲載された企業は、アメリカの法人、個人を問わず資本取引が禁止される。ブルームバーグは「待った」の理由について「米政府は中国人民解放軍とのつながりが疑われる同国の巨大IT企業について、証券投資を禁止した場合の経済的影響を検討した結果、アリババグループとテンセント・ホールディングス(騰訊)、百度(バイドゥ)への投資は今後も容認する見通しだ」と報道した。人民解放軍との関係がシロだからストップがかかったのではないようだ』、「アメリカの国防総省がアリババとテンセントが人民解放軍を支援しているとして、中国軍関連企業リスト(Communist Chinese military companies list)への追加を計画」、「財務省がこれに「待った」をかけ」たが、その理由は、「人民解放軍との関係がシロだからストップがかかったのではない」、中国マネーに依存せざるを得ないためなのかも知れない。
・『外為法の「ポートフォリオ投資」とは テンセントと楽天の業務資本提携の問題は、外為法との関係がポイントの1つだ。わが国では、外為法で、外国企業や外国の投資家による対内直接投資等(M&Aが含まれる)に事前届出を義務付けている。 2019年11月、外為法が大幅に改正され、2020年5月から施行された。改正内容の1つにポートフォリオ投資制度の導入がある。ポートフォリオ投資とは、経営に重要な影響を与えることを企図しない投資に限り、事前届出を免除する制度のことだ。楽天は、本件を「純投資」(=ポートフォリオ投資)と主張している。 財務省は「外為法改正案についてのよくある質問」の中で、事前届出免除を受けるために遵守することが求められる基準は、具体的には以下の3基準であるとした。 (1)外国投資家自ら又はその密接関係者が役員に就任しないこと (2)重要事業の譲渡・廃止を株主総会に自ら提案しないこと (3)国の安全等に係る非公開の技術情報にアクセスしないこと さて、2021年3月12日に楽天が公表したプレスリリースには、以下の記載がある。 Tencent Holdings Limited Executive Director and President, Martin Lau氏からのコメント。 「楽天は、これまでメンバーシップとロイヤリティプログラムを通じて活気に満ちたエコシステムを構築し、Eコマース、FinTech及びデジタルコンテンツと比類のない強みを発揮しています。我々は楽天のユーザーに向けたイノベーションとエンパワーメントを通じた価値創造への想いを共有しています。そして、グローバルイノベーションリーダーへの進化に向けて投資を通じてサポートできることを嬉しく思います。我々は、デジタルエンターテインメント、Eコマースなどの事業を通じて戦略的提携を追求し、ユーザーへの価値創造とインターネットのエコシステムを共に創るためのパートナーシップを築くことを楽しみにしています。」(太字は筆者)) 楽天は、子会社で携帯端末事業も手掛ける。「通信」は、国の安全等を損なう恐れが大きい業種とされ、携帯電話事業を営む企業も対象になる。 さらに、楽天は、2020年5月8日財務省が発表した外国人投資家が投資する際に届出対象となる上場企業518社(いわゆるコア企業)の1社でもある。そして、テンセントの社長は「(楽天と)戦略的提携を追求する」と明言している。 M&Aには、いくつかの段階がある。最も関係が緩いのは、「業務提携」といい、資本関係は持たず、経営の独立性を保つ企業同士が共同して業務を行うことだ。次の段階が「資本業務提携」である。資本業務提携とは、業務提携とセットで、業務提携先へ経営権まで影響を及ぼさない範囲で議決権を与えるものだ。資本業務提携では、両社の提携内容を明確にする業務提携契約も締結する。 これらのことを考えると、本件は「純投資」ではなく「資本業務提携」と映る。資本業務提携ならば、外為法に従い、1%の閾値を超える株式取得は事前審査を受けなければならない。このことは、外資規制の法的趣旨に関わる重大な論点だ』、「資本業務提携」を「純投資」と強弁するとは、「楽天」もいいかげんだ。
・『テンセント子会社が持つ帳簿閲覧権 次の論点は、帳簿閲覧権だ。 テンセント子会社は、楽天の株式を3.65%保有する第6位の株主になった。実は、この3.65%という持ち分が重要になる。何故なら、発行済株式の3%以上を保有する株主には、会社法で帳簿閲覧権が認められているからだ。 帳簿閲覧権とは、株主が「会計帳簿(仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳など)又はこれに関する資料(伝票、契約書、領収証など)」を閲覧することができることだ。会社側は一定の場合には閲覧を拒否することができるが、会社側には拒絶理由の立証責任がある。 仮に、テンセント子会社がもっともな理由をつけて楽天に帳簿閲覧を求めた場合、楽天は謝絶理由を立証しなければ拒絶できなくなる。この立証は容易ではないだろう。 さらに、会社法では、3%以上の持ち分がある株主は、裁判所に申し立てて認められれば、親会社(楽天)の意向を無視して子会社(楽天トラベル、楽天証券、楽天銀行など消費者相手の事業を行う会社)の会計帳簿等を閲覧できる規定がある。 裁判所がテンセントの申し立てを認めなければ、子会社のもつ情報は開示されないが、裁判所がテンセントの主張を正当なものと認めれば、テンセントに子会社の情報が開示される。 楽天は、この点に懸念を示す関係者に説得力のある説明をできるのか』、「会社法では、3%以上の持ち分がある株主は、裁判所に申し立てて認められれば、親会社(楽天)の意向を無視して子会社・・・の会計帳簿等を閲覧できる規定がある」、「楽天は、この点に懸念を示す関係者に説得力のある説明」、はできないだろう。
・『国家情報法とテンセント 明星大学経営学部教授の細川昌彦氏は、日経ビジネスのサイトで、以下の点を指摘している。 (1)そもそも米国はテンセントに対して、中国政府との結びつきから米国顧客の個人データが利用される強い疑念を持っている。 (2)楽天は安全保障上重要な通信事業であるだけでなく、膨大な個人情報などを有している。 従って、これは日本の経済安全保障にもかかわる重大な問題である。(以上、転載) 細川教授が指摘する通りだ。識者たちが本件を問題視する理由に中国の国家情報法がある。その7条には、以下のように記載されている。よく読んで頂きたい。 第7条 いかなる組織及び国民も、法に基づき国家情報活動に対する支持、援助及び協力を行い、知り得た国家情報活動についての秘密を守らなければならない。国は、国家情報活動に対し支持、援助及び協力を行う個人及び組織を保護する。》 中国企業であるテンセントは、中国の法律に従う。つまり、中国政府が楽天からテンセントに流れた非公開情報の中身を知りたいと思えば、国家情報法に基づいてテンセントへ情報提出を命じれば済む。 細川教授が指摘するように、「楽天は安全保障上重要な通信事業であるだけでなく、膨大な個人情報などを有している」。楽天は、国家情報法に基づいてテンセントに開示した情報が中国政府と共有される点について、楽天利用者が納得できる説明をしているだろうか』、「中国政府が楽天からテンセントに流れた非公開情報の中身を知りたいと思えば、国家情報法に基づいてテンセントへ情報提出を命じれば済む」、「楽天利用者が納得できる説明」すべきだ。
・『政府は厳格な審査をするべきだ 2020年4月1日、我が国の政府の国家安全保障局(NSS)に経済安全保障を扱う経済班が設置された。NSS経済班の存在意義の1つが、外為法をはじめとする法律に基づき、わが国の安全保障に深刻な影響を及ぼすM&Aを阻止することだ。 今回の外為法改正は、2018年にアメリカで成立した2019年度国防権限法と一緒に成立した「外国投資リスク審査現代化法(FIRRMA)」と密接に関連している。 アメリカの外資規制法であるFIRRMAの審査対象となるのは、TID(Technology, Infrastructure, sensitive personal Data)に関連する米国事業だ。アメリカ政府は、わが国の政府が、テンセント出資問題にどう対処するかに注目するだろう。 楽天が主張するように、この株式取得が「純投資」であれば、10%までの株式取得に事前申請は不要だ。この場合、前述の3つの基準を厳守することが条件となる。テンセント子会社に一切の個人情報を開示せず、中国政府に楽天利用者の個人情報が渡らないことも説明しなければならない。「テンセントはいかなる第三者へも情報を提供しないと言いました」ではお話にならない。 アメリカ政府により中国軍関連企業リストに入れられそうになった会社が、資本業務提携なのに「純投資」と主張して楽天の大株主になった。楽天は、コア業種に含まれる上場企業518社の1社だ。 わが国の政府が本件を黙認すれば、これに味を占めた懸念国が、「これは純投資」と主張して外為法の外資規制を骨抜きにし、コア業種の日本企業の大株主になり、機微技術や軍民両用技術を日本から移転し、軍事転用を行うことは、容易に想像できる。 純投資でも事後報告が義務付けられている。政府には本件を厳格に審査することを期待する。外為法は、虚偽届出などに対し、最終的に売却を含む措置命令を発することができる(下の図を参照)。国民の個人情報が国家情報法により守ることができないリスクがあるなら、政府はためらうことなく措置命令を出し、機微技術と共に国民の個人情報を守るべきだ。 出典:「対内直接投資制度について」財務省国際局作成 令和元年8月22日 』、「アメリカ政府により中国軍関連企業リストに入れられそうになった会社が、資本業務提携なのに「純投資」と主張して楽天の大株主になった。楽天は、コア業種に含まれる上場企業518社の1社だ」、「楽天」は資本が欲しいの余り、「「純投資」と主張」、いくら何でも信じ難い動きだ。ここはやはり「日本政府」が乗り出し、「厳格な審査をするべき」だろう。
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