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米中経済戦争(その15)(もし米中戦争起きたら…米国は地上戦で大損害必至?日本も中国市場失い致命的打撃、「米中半導体戦争」が本格化 日本が急速な構造変化を生き残る道、「過去に例を見ないほどの怒り」米中・新冷戦の狭間で日本がとるべき行動とは) [外交]

米中経済戦争については、昨年12月12日に取上げた。今日は、(その15)(もし米中戦争起きたら…米国は地上戦で大損害必至?日本も中国市場失い致命的打撃、「米中半導体戦争」が本格化 日本が急速な構造変化を生き残る道、「過去に例を見ないほどの怒り」米中・新冷戦の狭間で日本がとるべき行動とは)である。

先ずは、本年1月9日付けAERAdot.が掲載した軍事ジャーナリストの田岡俊次氏による「もし米中戦争起きたら…米国は地上戦で大損害必至?日本も中国市場失い致命的打撃」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2020122300006.html?page=1
・『日本と豪州が、他国の攻撃から相手国の艦船などを守るといった内容で合意した。事実上の同盟関係と言えるが、対中紛争のリスクなどの議論は置き去りだ。AERA 2020年12月28日-2021年1月4日合併号では、そのリスクについて取り上げた。 安倍晋三前首相は中国との友好関係を望む一方で「自由で開かれたインド・太平洋」を旗印とし、対中包囲網に事実上参加した。 海上自衛隊は07年から米国、インドの海軍共同演習「マラバール」に参加したほか、米、豪海軍との演習も行ってきた。今年11月、インド東方のベンガル湾とアラビア海で行われた「マラバール2020」には豪州海軍が参加。初めて米印日豪4カ国の合同演習となり、中国に対抗する「アジア版NATO」結成の様相を示した。 この4カ国は、中国が「一帯一路」の要所としてスリランカのハンバントタ港、パキスタンのグワーダル港の拡張、整備を援助しているのは軍事的拠点にするためと警戒している。 だが米海軍は中国海軍に対し質、数ともに圧倒的優勢なため、もし米中で武力紛争が起きれば、遠隔地の港にいる中国軍艦は出港すれば撃沈される。日露戦争で旅順港を基地としていたロシア太平洋艦隊が「引き籠もり状態」になったのと同様だ。従って、中国は軍事よりは経済上の目的で港の建設を援助していると見る方が自然だろう』、「中国は軍事よりは経済上の目的で港の建設を援助していると見る方が自然」、説得力ある見方だ。
・『もし米中関係がさらに険悪化すれば、米海軍は海上自衛隊、豪州海軍を伴って中国沿岸の封鎖をすることは可能だ。だが中国の食料自給率はほぼ100%で輸入しているのは大豆だけ。石炭が豊富だからエネルギーの自給率も80%に近く、ロシアからのパイプラインもあり、中国が封鎖に屈する公算は低い。 核を使うと共倒れになるから通常弾頭のミサイルや、航空攻撃で都市や軍事拠点の破壊はできても、支配するには地上部隊による占領が必要だ。 黄海最奥部の天津付近から北京へは約180キロ。大損害を覚悟すれば米軍が北京に到達することは可能だろう。だが日中戦争では、首都南京を失った蒋介石は重慶に籠って抗戦を続け、日本軍は最大140万人を投入したが点と線しか確保できなかった。米軍が9年間苦戦して敗退したベトナムは、南北合わせて面積は中国の28分の1、人口は15分の1だった。 米中が戦争となれば日本は輸出の19.1%(香港を合わせると約24%)を占める中国市場を失い、致命的打撃となる。さらに中国が米軍の攻撃に対抗し、その拠点である在日米軍、自衛隊の基地や都市をミサイルで攻撃してくることも当然あり得る。 日本の安全保障にとり、米中の対立を激化させず、戦争を阻止することは必須だ。オーストラリアと同盟して中国包囲網に加わり、米国の背中を押してドロ沼に落とすようなことは、菅氏が討論会で言った通り「戦略的に正しくない」だろう』、親中派の二階幹事長までいるとなれば、「日本」が「米国の背中を押」す可能性が低そうなのが救いだ。

次に、1月12日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した法政大学大学院教授の真壁昭夫氏による「「米中半導体戦争」が本格化、日本が急速な構造変化を生き残る道」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/259402
・『台湾TSMCはかつてのインテル? 様変わりする世界の半導体産業  日本企業は半導体関連の部材分野で世界的なシェアを持つ。しかし今、世界の半導体産業が、急速な構造変化の局面を迎えているのである。 構造変化の大きな特徴の一つが、半導体の「設計・開発」と「生産」を分離する傾向が鮮明化していることだ。 例えば、米国の大手半導体企業は「設計・開発」を担い、実際の「生産」をファウンドリー(受託製造)である台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company)などに委託するケースが多くなっている。半導体の開発・設計と生産の分離(垂直分業)が加速しているのである。 その結果、ファウンダリーの地位が高まり、TSMCは最先端の5ナノ(10億分の1)メートルの生産ラインを確立するなど、製造面での優位性を発揮している。かつて、米インテルが果たしていたマーケットリーダーの役割を、今やTSMCが担っているともいえるだろう。それほど、世界の半導体産業の様相は様変わりしている。 こうした変化は、米中対立にも非常に重要な影響を与えているのである』、確かに「ファウンダリーの地位が高まり」は、目ざましい。
・『半導体産業で優位性を高めたい中国と制裁でそれを阻止する米国  中国は「中国製造2025」によって、先端の半導体産業でさらに優位性を高めたいと考えている。一方、世界の基軸国家である米国は、何とかしてそれを阻止すべく手を打っている。具体的には、米国は中国の通信機器大手であるファーウェイに続いて、大手ファウンドリーであるSMIC(中芯国際集成電路製造)を事実上の禁輸対象に指定した。 これによって一時的に、中国半導体産業の成長は遅れるだろう。ただ、米国が制裁によってIT先端分野での中国の台頭を抑えることは容易ではない。やや長めの視点で考えると、中国は徐々に半導体の製造関連の技術を習得し、米国を追い上げる可能性が高い。 今後、半導体関連の部材分野で世界的なシェアを持つわが国企業は、そうした構造変化からより多くのメリットを享受できるよう、戦略を巡らせることが求められる。そのためには、各企業の技術力向上などに加えて、政府のきめ細かい産業政策が必要だ。政府の対応を期待したい』、「米国が制裁によってIT先端分野での中国の台頭を抑えることは容易ではない」、確かにその通りだろう。
・『米国が世界の覇権を維持するため存在感が高まるTSMC  半導体の「設計・開発」と「生産」の分離の重要性が高まっていることは、2020年の世界の主要な半導体企業の業績を分析すると確認できる。このような変化の中で、有力企業は「設計・開発」に特化するか、「生産」も併せて行うかの選択を迫られているようだ。 生産工場を持たないファブレス化が重視される要因として、半導体の回路線幅を小さくする「微細化」がある。 どういうことかというと、回路線幅が細くなるほど、半導体の面積当たりの処理能力は高まるが、一方で、製造技術の開発や設備投資の負担は増す。一つの半導体企業が「設計・開発」→「生産」までを貫徹することは難しくなっているのだ。 2020年7月23日、インテルのボブ・スワンCEOが、7ナノメートルのCPU生産ライン立ち上げの遅れを公表したことは、それを確認する良い機会だった。微細化のつまずきへの解決策として、インテルは外部のファウンドリーの活用も視野に入れると表明した。その後、昨年12月には、自社で製造を行う体制を見直すよう、米国のアクティビスト投資家がインテルに求めた。 世界の半導体関連テクノロジーのロードマップを描いてきたインテルだが、彼らが重視した垂直統合のビジネスモデルは大きな転換点を迎えているのである』、「インテル」ですら「外部のファウンドリーの活用も視野に入れる」とは、時代も変わったものだ。
・『TSMCに生産を委託することで変化への対応力を高めた米IT先端企業  インテルと対照的に、「設計・開発」に注力してきた米NVIDIAは、TSMCとの関係を重視し、微細かつ高機能なチップを生み出した。昨年7月にNVIDIAの時価総額がインテルを上回った理由は、両社の成長期待の差が拡大したからだ。NVIDIAは英Armの買収によって設計・開発力にさらなる磨きをかけようとしている。また、グーグルやアップル、マイクロソフトが、自社での半導体の設計や開発を強化している。 TSMCは、最先端から既存分野まで総合的な生産ラインを確立し、各企業のニーズに的確に応える生産体制を整えた。TSMCに生産を委託することによって、米IT先端企業は知識集約的な半導体の設計・開発体制を強化し、変化への対応力を高めることができる。そうした発想がファブレス化を勢いづけた。 なお、韓国のサムスン電子は、どちらかといえば「設計・開発」から受託事業を含む「生産」までの統合を重視しているようだ。 いずれにせよ、世界経済が「データの世紀」を迎える中、米国が世界の覇権を維持するために、TSMCの重要性は高まっている』、その通りのようだ。
・『中国の半導体製造技術は米国依存 SMICは米国の制裁にどう対応するか?  一方で中国のSMICの製造能力は、台湾のTSMCに比べて3世代ほど遅れているといわれている。 半導体の自給率向上を目指す中国共産党政権にとって、SMICは欠かせない企業だ。しかし、中国の半導体の製造技術というのは、米国に依存している現状がある。 昨年9月のファーウェイへの制裁に加えて、12月に米国がSMICを事実上の禁輸対象に指定したのは、製造技術面での中国の弱みをたたき、IT先端分野を中心とする覇権強化を阻止するためだ。 一部では米商務省のSMIC制裁には抜け穴があるとの指摘があるが、主要先進国の企業は制裁違反を避けるために、中国向けの半導体および関連部材などの輸出に慎重にならざるを得ない。短期的に、中国の半導体自給率向上への取り組みは鈍化するだろう。  注目されるのが、SMICが米国の制裁にどう対応するかである。米国が制裁を強化する中にあっても、SMICは政府系ファンドと連携して工場の新設に取り組んでいる。また、SMICは4人からなる経営陣のうち3人をTSMCなどの台湾半導体産業出身のプロで固め、微細化をはじめとする生産能力の向上に取り組む意向だ。 中長期的に考えた場合、共産党政権は多種多様な方法を用いてSMICの総合的な生産能力の向上に取り組むはずだ。事実、共産党政権は、企業への補助金や土地の提供、海外企業からの技術移転、人材獲得などによって、半導体の開発力を高めた。それが、フィンテックやドローン、軍事関連技術の高度化など中国の覇権強化を支えた。時間がかかったとしても、中国はSMICの生産能力向上をあきらめないだろう。 現時点で、製造技術で米国に一日の長があることは確かだ。しかし、中国経済のダイナミズムを支える「アニマルスピリッツ」や、テクノクラート(技術官僚)の政策運営力を基に考えると、米国が半導体分野における中国の技術革新を食い止めることは容易ではない。短期的に厳しい状況に直面したとしても、中長期的には、世界経済における中国の半導体産業の重要性は高まる可能性がある』、「中長期的には、世界経済における中国の半導体産業の重要性は高まる可能性がある」、異論はない。
・『日本の半導体関連部材の技術は日本経済の宝  わが国の半導体部材関連の企業にとって、中国市場の重要性は高まるだろう。半導体関連部材の市場において、信越化学工業のシリコンウエハーや、村田製作所のセラミックコンデンサなど、わが国企業のシェアは高い。 その理由は、分解できず、簡単にまねができないからだ。各企業は、原材料のレベルから高純度かつ微細な素材(製品)を生み出すことに取り組み、世界各国の企業から必要とされる立場を確立してきた。半導体関連部材の企業の実力は、わが国経済の宝といえる。 半導体部材関連の企業が、米国からも中国からも必要とされ、より多くの収益を獲得するためには、わが国政府の能動的な取り組みが必要だ。なぜならわが国企業を取り巻く事業環境は、米中の覇権争いをはじめ、各国政府の利害に大きく影響される側面が強まっているからである』、異論はないが、「政府の能動的な取り組み」とは何なのだろう。
・『米中の激突が先鋭化する中、日本はどうすべきか?  今後、米国は、中国の半導体自給率の向上を食い止めるために、制裁を強化する可能性がある。米国の圧力を跳ね返すために、中国はSMICなどへの支援を強化し、国家資本主義体制を強化するはずだ。また、中国は国際社会における孤立を防ぐためにEU(欧州連合)との包括的投資協定を結ぶなど、既成事実をつくろうとしている。 米国の自由資本主義体制と、中国の国家資本主義体制の激突が先鋭化していく中で、わが国はどうすべきか。まずは、安全保障体制の確立のために、米国との信頼関係を強化し、その上で、アジア新興国やEUとの関係を重視しなければならない。 経済面では、多国間の連携を強化することが長期の社会と経済の安定に必要、との見解を共有すべきだ。特に、わが国が過度な補助金や、技術の強制移転の禁止をはじめ、TPPの考えをより多くの国と共有することは、経済面からの「対中包囲網」を整備することにつながるだろう。 新型コロナウイルスの感染再拡大によって、国内外の社会と経済はかなり厳しい状況を迎えている。わが国政府は集中した感染対策によって国民の安全を守り、さらにはワクチンの供給体制を整えることで、感染の克服と景気回復を目指さなければならない。 その状況下、口で言うほど容易なことではないが、わが国政府が相応のスピード感をもって国際世論との連携強化を目指すことができるか否かが、半導体関連部材の需要取り込みをはじめ、わが国の社会と経済の先行きに無視できない影響を与えるだろう』、同感である。

第三に、3月30日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した上記と同じ真壁昭夫氏による「「過去に例を見ないほどの怒り」米中・新冷戦の狭間で日本がとるべき行動とは」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/266873
・『3月18〜19日、米アラスカ州のアンカレッジで開催された米中外交トップ協議では、両国の対立が鮮明だった。外交の専門家が「中国側は過去に例を見ないほど怒りを示した」と指摘するほどだ。「新しい冷戦」とも呼ばれる米中対立は激化の一途をたどっている。両国のはざまで日本が取るべき行動とは?』、わざわざ小雪が降る「アンカレッジ」を選んだとは、バイデン政権もなかなかやるものだ。
・『米中対立は激化の一途 中国は「国家資本主義体制」を強化  米バイデン政権の本格的な活動開始に伴い、米国と中国の対立が一段と鮮明化している。 3月18日に米アラスカ州で行われた、米中の外交高官による協議(以下、米中外交トップ協議)でも、両国はいずれも強硬なスタンスで一歩も譲る気配は見えなかった。今後も両国の対立はより先鋭化するだろう。世界の政治・経済・安全保障といったさまざまな面であつれきが顕在化するとみられる。 コロナショックの前までは、人々の自由な発想と活動を重視する米国の体制は、国家主導での経済成長を目指す中国の体制よりも、優れていると考えられていた。 しかし、コロナ禍の中で、中国のこうした「国家資本主義体制」は、予想外の強い一面を見せている。そのことは、昨年(2020年)4月以降の中国経済の回復が示しており、その結果、中国市場を重視する主要先進国企業は増加している。 基軸国家として世界経済の成長を支え、そのベネフィットを得てきた米国にとって、その状況は容認できない。米国は、人権問題や領土問題などの側面から中国への圧力を強めている。 今後、バイデン政権は、欧州各国や日・豪・印など、国際社会との連携を強化し、対中包囲網の整備を目指す。一方、中国共産党政権は、求心力を維持するためにより一層、米国に対抗することになるだろう。 両国の狭間でわが国が取るべき行動は2つだ』、何なのだろう。
・『米ソの冷戦とは異質の「新しい冷戦」へ突入した  3月18〜19日、米アラスカ州のアンカレッジで開催された米中外交トップ協議では、両国の対立が鮮明だった。 中国は、米国が主張した国際社会のルールに従うことに強く反発。外交の専門家が「中国側は過去に例を見ないほど怒りを示した」と指摘するほどだ。「新しい冷戦」とも呼ばれる米中対立は激化の一途をたどっている。 米ソの冷戦では、両国が関係を絶った。しかし、米中の対立はそれとは異質だ。経済面で米中の関係は深まっているのである。その一方で、米国は人権、領土、知財などの面から中国に圧力をかけ、自国が整備してきた国際社会のルールに従うよう、中国に求めている。それは米国の覇権維持に欠かせない。そのためにバイデン政権は、国際連携に基づいた対中包囲網の整備に取り組んでいる。EU、米国、英国、カナダが足並みをそろえ、ウイグル人権問題で対中制裁を発表したのはその象徴だ。 ただし、バイデン政権の対中政策が短期間で効果を表すとは考えづらい。なぜなら、コロナショックを境に世界経済にとっての中国経済の重要性、相対的な強さが一段と高まったからだ。日米欧などで中国での収益獲得をより重視する企業は多い。 逆に言えば、バイデン大統領に求められるのは、経済面で中国に対する米国の優位性を世界に示し、国際世論の支持を得ることだ。そのために同氏は、インフラ投資など経済対策を強化して米国の雇用環境を回復させ、社会の分断の修復を目指している。その上で、多様性を尊重し、イノベーションが発揮されやすい経済環境を実現しなければならない。 足元、懸念すべき「変異株」の出現など、新型コロナウイルス感染の影響はまだまだ軽視できない。雇用を中心に米国経済には弱さが残るし、アジア系住民などへの差別も深刻だ。 バイデン政権がスピード感を持って、実効性の高い政策を進めることができるか否かは、対中政策に無視できない影響を与える』、なるほど。
・『「国家資本主義体制」の強化で米国に対抗する中国  中国の共産党政権は、米国からの批判や圧力に対して弱腰になることはできない。共産党指導部が恐れるのは、国内の社会心理の悪化だ。 1989年に天安門事件が発生した時、西側の経済の専門家の多くが「これで中国は民主主義に向かい、自由資本主義陣営への仲間入りを目指す」と考えた。 しかし、そうはならなかった。中国共産党指導部は経済運営の指針を定め、海外からの技術移転や金融市場の育成によって工業化、および先端分野への生産要素の再配分を進めて経済成長を実現した。 つまり、中国共産党政権は「党に従えば豊かになれる」というイデオロギーを社会心理に根付かせることによって、求心力を発揮したのである。コロナショック後の中国経済の回復スピードの早さは、こうした国家主導による経済運営体制の強さを世界に示したといえる。 ただ、景気回復の一方で、中国では人口減少と雇用への不安が高まっている。 共産党政権は、中長期的な経済運営への不安、あるいは焦りを強めているだろう。長期の支配体制を目指す習近平国家主席は、より強固に米国に対抗し、強さを誇示しなければならない。フィリピン海域への約220隻の中国船籍の集結や、人権問題をめぐるEUへの対抗措置はその一例だ。 経済運営に関して、求心力維持のために、共産党政権は経済成長を実現しなければならない。 そのため共産党政権は、国内では高速鉄道や道路の延伸などのインフラ投資に加え、産業補助金や海外企業からの技術の強制移転を進める。インフラ投資の結果として、債務問題は深刻化するだろう。 対外的には、「一帯一路」や「地域的な包括的経済連携(RCEP)協定」に基づき、アジア・アフリカ新興国各国との関係を強化し、需要の取り込みを目指す。それは中国にとって、経済成長だけでなく、国際社会における孤立回避にも重要なのである』、「インフラ投資の結果として、債務問題は深刻化するだろう」、過剰な「インフラ投資」は工事完成後の運営コストを押し上げるので、毎年の膨大な赤字が、建設費に加わってくる。そのため、「債務問題」はさらに「深刻化」する可能性がある。
・『米中の対立が激化する中 日本が取るべき2つの対応  今後、米中の対立は激化するだろう。短期的に、中国経済は成長を実現し、その恩恵に浴したい国や企業は増えていくだろう。ただし、長期の視点で考えると、中国経済の不安定感は高まる可能性がある。特に債務問題は軽視できない。 米国はそうした長期の展開を念頭に、対中政策を進めようとしているようにみえる。中国の最先端の製造技術は十分ではない。そのような中国の弱みをたたくため、まずはジーナ・レモンド米商務長官とキャサリン・タイ米通商代表部(USTR)代表は、トランプ前政権の対中禁輸措置や制裁関税などを継続する。半導体関連に加えて、気候問題への対応に必要な水素や脱炭素関連の分野でも、米国は同盟国と連携し、中国に対する関税・非関税障壁を強化する可能性がある。 次に米国政府は、補助金などを用いて自国企業の競争力を高めたい。3月23日には米インテルが200億ドル(約2.2兆円)を投じて、アリゾナ州に工場を建設すると発表。同社は、半導体の受託製造(ファウンドリー)事業にも参入する。それは、バイデン政権が目指す、米国の半導体生産能力強化への取り組みに従ったものだ。アリゾナ州には台湾のTSMC(Taiwan Semiconductor Manufacturing Company/台湾積体電路製造)も工場を建設する。それがインテルの競争力にどう影響するかが注目される。 ポイントは、中国の国家資本主義との覇権争いの長期化に備え、米国経済における「政府の役割」が増すことだ。先端分野を中心に、米国の自由資本主義体制には変化が生じているといえる。 米中の対立が激化し、その影響が長期にわたって続く展開が予想される中、わが国が取るべき対応は2つだ。 一つ目は、安全保障面で米国との関係を強固にすること。ニつ目は、先端分野での技術開発をスピード感を持って進めて、米中双方から必要とされる立場を目指すこと。こうした対応が、わが国が中国に是々非々の姿勢で臨むことを支え、国際世論からの信頼を獲得することにつながるだろう』、「わが国が取るべき対応は2つ」、の中身は同感である。
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女性活躍(その20)(優秀な女性が会社を辞める「育児より重大な理由」とは、丸川珠代氏、山田真貴子氏…「わきまえる女たち」が築き上げた罪の重さ わきまえてきた歴史を振り返る、小田嶋氏:告発する人間を異端視する世界) [社会]

女性活躍については、昨年11月5日に取上げた。今日は、(その20)(優秀な女性が会社を辞める「育児より重大な理由」とは、丸川珠代氏、山田真貴子氏…「わきまえる女たち」が築き上げた罪の重さ わきまえてきた歴史を振り返る、小田嶋氏:告発する人間を異端視する世界)である。

先ずは、昨年10月22日付けPRESIDENT WOMANが掲載したゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー 松井氏による「優秀な女性が会社を辞める「育児より重大な理由」とは」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/39665
・『ウーマノミクス」の発表以来、日本の明るい未来のためには女性活躍が欠かせないと主張し続けてきた、ゴールドマン・サックス証券副会長のキャシー松井さんのところには、さまざまな企業のトップから、女性リーダーの育成方法に関する相談が数多く寄せられます。優秀な女性社員を育て、会社に愛着を持って長く働いてもらうためには? 女性自身が、やりがいを持って働ける環境をつくるには? コツを聞きました』、「キャシー 松井氏」は証券ストラテジストから出世の階段を駆け上がった有名人だ。
・『日本人女性が辞める理由は「育児」よりも「仕事への不満」(日本株ストラテジストの私が「働く女性が増えれば、経済にもプラスになる」という「ウーマノミクス」のリポートを書いたのは1999年。2013年に安倍晋三前首相の経済政策「アベノミクス」の成長戦略のひとつである女性活躍の裏付けに「ウーマノミクス」が使われたことで、いろいろな企業のトップから話を聞かせてほしいという依頼が増えました。 ここ数年でジェンダーや多様性の重要さは浸透してきたものの、実際に企業のトップと話してみると、相変わらず「女性は使いにくい」「せっかく『幹部候補に』と育てて昇進させても辞めてしまう」といった悩みが聞かれます。 しかし、アメリカの非営利シンクタンク、センター・フォー・ワーク・ライフ・ポリシー(CWCP)が行った、日本人女性とアメリカ人女性を対象にした調査によると、仕事を辞めたアメリカ人女性の74%が育児を理由に挙げていたのに対して、日本人女性の場合は育児を理由に挙げたのは32%と半分以下。一方、仕事に不満を感じて退職したアメリカ人女性は26%なのに対し、日本人女性は63%だったのです』、「日本」では「育児」が問題になる前に「仕事に不満を感じて退職」してしまうのかも知れない。
・『子育てインフラ整備“だけ”では、女性リーダーは増えない  日本人女性が仕事を辞める理由は、育児よりも、仕事への不満のほうが多かったのです。 だとすれば、保育園などの子育てインフラが整備されるだけでは、女性の退職は減らないでしょう。政府の介入しにくい、職場の課題の方が大きい。もちろん、子育てインフラの問題や、家庭内での役割分担、ステレオタイプなどの問題はまだまだ大きいですが、企業が女性にやりがいを持って働いてもらえるようにならないと、女性のリーダーは増えません』、その通りだ。
・『男性と同じやり方ではダメ  私はアメリカやアジアを中心に、世界中の企業で多くの女性社員を見てきましたが、仕事の能力については男女差よりも、圧倒的に個人差が大きいと感じています。 しかし、女性社員にやりがいを持って長く働いてもらおうとするときには、男性社員と同じやり方をしているだけではうまくいかないことが多いように感じます。昇進に対する意欲、評価に対する受け止め方、自己PRの仕方などで、女性は男性とは異なる傾向があるからです。そしてそのやり方には、ちょっとしたコツがあるのです。 私自身がやってきたことや、ゴールドマン・サックスがやってきたことの中から、参考になりそうなものをいくつかご紹介しましょう。 コツ① 男性よりも少し多めに励ます(「とても優秀な女性に昇進の打診をしても、本人が断ってくる」と嘆く経営者や管理職の人がよくいます。これは、決して女性にやる気がないわけではありません。能力はあるのに遠慮してしまう。日本だけでなく、海外でもよくみられる傾向です。こうした場合、私は必ず「一度打診して断られただけであきらめたんですか?」と聞くのですが、するとだいたい「そうです」と言われます。 こういう場合の私の提案は、もう一度打診してみることです。そして2回目の打診では、その人の直接の上司ではなく、そのまた上の上司から話してもらうことをお勧めします。その際には、「あなたをこのポストに推薦している理由は、こんなふうにたくさんあります。絶対大丈夫だと思ったからこそ推薦したんです。必ず私たちもサポートするから、もう一度考えてみたらどうですか」と話してもらいます。 これを読んでいる女性読者の中にも、心当たりがあるという人は多いのではないでしょうか。自分を過小評価してしまったり、遠慮してしまったり。あと一歩がなかなか踏み出せない。女性は男性よりも、少しだけ多めに励まし、背中を押してあげる必要があるのです』、「コツ①男性よりも少し多めに励ます」、というの確かに有効そうだ。
・『コツ② 能力の高い女性にはライフイベント前にタフな仕事を  ハイポテンシャルな女性には、結婚や出産、介護など、重要なライフイベントの前に、なるべくタフな仕事、つまり「チャレンジングだが、十分なサポートさえあればできる」というレベルの仕事を与えることをお勧めしています。 結婚や出産、子育て、介護などのライフイベントが起きたときに、女性が仕事を辞めずに続けられるかどうか、大きな力になるのは、仕事に対するモチベーションの高さです。仕事がおもしろくなかったり、自分は会社に必要とされていないと思うと、プライベートで変化があったとき、「無理に仕事を続ける必要はない」「家族の方を大事にすべきかも」と考えてしまう可能性があります。 仕事を続けるかどうか迷ったときに「やっぱり仕事を続けたい」と思えるモチベーションを持つには、「自分は周りから期待されている」「ここで仕事をしていれば成長できる」「私にしかできない仕事がある」と思えなければいけません。だからこそ、特に能力の高い女性には、あえてタフな仕事を任せるべきだと思うのです。 時々、「女性に優しい企業」といった言葉を聞きますが、この言い方は誤解を招くので良くないように思います。「女性が働きやすい」と言いたいのだろうと思いますが、女性に優しくし過ぎるのは良くありません。例えば、子どもがいる女性に対して「子育てで大変だろうから、大変なプロジェクトを任せるのはやめてあげよう」といった、間違った配慮。これは本当の優しさではありません。女性を、挑戦の機会から遠ざけてしまうことになるからです。 女性の側は、自分が必要とされているという実感が得られませんし、仕事におもしろさややりがいも感じられなくなってしまう。それに、男性社員と同等のレベルのタフな仕事、タフな挑戦、タフな評価をしていかないと、管理職にふさわしい女性社員もなかなか生まれません』、「コツ② 能力の高い女性にはライフイベント前にタフな仕事を」も、よく考えられた仕組みだ。
・『コツ③ 「スポンサー制度」を導入する  最近は多くの企業で、メンター制度を取り入れていると思いますが、ポテンシャルの高い、幹部候補となる女性にはそれを一歩進めて、「スポンサー制度」を採り入れてはどうでしょうか。 当社の場合、女性社員1人に対してスポンサーとして、その女性の所属部署ではないところにいる幹部クラスの社員が2人つきます。スポンサーになった人は、女性の上司から、本人の強みや成果、どんな改善余地があるかをヒアリングし、本人ともしっかり話をしてキャリアについてアドバイスします。例えばもし、彼女の能力が高く、成果も上げているけれど、担当している仕事の範囲が狭すぎるのであれば、「もう少し大きな仕事を担当してみては」「違うオフィスへの転勤を考えてみては」などと提案します。 スポンサーのもう一つの重要な役割は、その女性社員の成果や能力を宣伝して、自分の人脈を使って昇進のバックアップすることです。メンターが、女性社員を励まして主体的に行動を促す後方支援的な存在なのに対して、スポンサーは、より高みから女性社員を引き上げる存在と言えるでしょう。 男性の場合は、喫煙所や飲み会などで、若いうちからスポンサーの役割を担ってくれるような幹部と知り合う機会が多いのですが、女性はこうした機会が少ないものです。また、先ほども述べた通り、女性の場合はいくら優秀であっても、自分の業績や能力をPRするのが苦手な人が多い。そこを補完するのがスポンサー制度です。 スポンサーがついたからといって、その女性が昇進する保証は全くありません。ただ、スポンサーがついた女性は、「私は会社から必要とされている。会社は評価してくれている。私のためにこんなに時間を割いてくれた人がいる。頑張らなくては」と感じるようになります。先ほど、「女性は多めに励まして」と言いましたが、理由は同じです。こうして、“抱きしめられた”経験があれば、彼女が会社を辞めずに活躍し続ける可能性は高くなるでしょう』、「コツ③ 「スポンサー制度」もいい仕組みだ。
・『コツ④ 女性のネットワークづくりを支援する  会社が、女性のネットワークづくりを支援することも大切です。 当社では、幹部候補となる女性を対象としたスポンサー制度よりももっと若い、20代後半から30代前半くらいの女性社員を対象とした、「ウーマンズ・キャリア・ストラテジーズ・イニシアチブ」というプログラムを設けています。一般の企業でいう課長職手前くらいの女性に向けた、リーダーシップやネットワーキング、プレゼンテーションスキルなどを学ぶトレーニングプログラムです。 これは単に、キャリアアップに必要なスキルを身に付けてもらうためだけのものではありません。日本だけでなく、インドやシンガポール、中国などアジア太平洋全般にわたって、さまざまな国や地域の人と一緒に受講するのですが、同じ会社で頑張る同世代の女性のネットワークづくりも目的の一つです。視野が広がり、励みにもなりますし、将来に向けて長く大きな財産になります。特に、女性の少ない業界・業種で働く女性にとっては、こうしたネットワークの有無が、働き続けるうえでの大きな支えになります。実際、ゴールドマン・サックスではこのプログラムを始めてから、女性社員の離職率が低下しました』、「コツ④ 女性のネットワークづくりを支援する」、もいい制度だ。「ゴールドマン・サックスではこのプログラムを始めてから、女性社員の離職率が低下」、も当然だろう。
・『自分で自分の背中を押して 自分を過小評価してしまう、業績などをPRするのが苦手、などの傾向は、心当たりがあるという人も多いのではないかと思います。だとすれば、みなさんにとって、自分がやりがいを持って働き続けるには何が必要でしょうか。もし、「自分は会社から評価されていないのでは」「必要とされていないのでは」と考えることがあれば、実はそうではないことを知ってほしいと思います。社内に女性のネットワークがなければ、自分で作ってみるのも良いでしょう。そして、昇進の打診があれば、ぜひ自分で自分の背中を押して、チャレンジしてみてください。 ここでご紹介したコツが、今の職場について「何となく働きにくい」と思っている方、子育てや介護などに直面して仕事を続けるか心が揺れている方にとって、今の職場に何が足りないのか、どうしたら改善し、働き続けたいと思えるようになるのかを、見つけるヒントになればうれしいです。そしてもちろん、女性の部下の育成に悩んでいる人にも、参考にしてほしいと思います。(キャシー 松井氏の略歴はリンク先参照)』、説得力のある主張で、女性の活躍を真剣に取り組んでいる企業には、貴重なアドバイスになった筈だ。

次に、3月15日付け現代ビジネスが掲載したジャーナリスト/前Business Insider Japan統括編集長の浜田 敬子氏による「丸川珠代氏、山田真貴子氏…「わきまえる女たち」が築き上げた罪の重さ わきまえてきた歴史を振り返る」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81137?imp=0
・『「わきまえる」とは何か  森喜朗・元東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長の発言から1ヵ月余りが経ったが、あの発言によって日本のジェンダーギャップの実態や構造や背景が次々と明らかになって、議論は沈静化するどころか広がっている。 中でも今回得心がいったのが、日本の企業や組織で働いている女性には大きく分けて2種類いるということ、つまり「わきまえる女」と「わきまえない女」がいるということだ。森氏の「わきまえる」発言で、「そうかー、あの何とも言えない圧力は『わきまえろ』ということだったのね」と胸にストンと落ちた女性たちは多かったのではないだろうか。 そしてこの森発言の余波が収まらないのは、その後に起きたさまざまなこと、例えば森氏の後任をめぐる選考過程、選択的夫婦別姓制度をめぐっての女性議員の反応、全く別事件だけど総務省の接待疑惑…などで「わきまえた」女たちのサンプルを見せつけられたからだ。 「わきまえる」体験は、同調圧力の強い日本の組織で働く人であれば、男女限らずあるだろう。私だって、もちろんある。会議で「発言しないように」と言われて、その後発言をやめたこともある(「森会長だけじゃない…『会議は発言する場じゃない』と言われてきた現実」の記事に詳しい)』、「「わきまえる」体験は、同調圧力の強い日本の組織で働く人であれば、男女限らずあるだろう」、その通りだ。
・『それ以前も「おかしいな」  「ちょっと違うな」と思っても意見を飲み込んだことなんて、数えきれないくらいある。そのときも気持ちは、ひと言で言えば「保身」だ。この会社で、この組織で「面倒臭い女」と思われたくない、その想いがわきまえさせてしまう。 この記事で「会議で発言するな」と言われた体験や会食政治について考察した 「わきまえる女」と「わきまえない女」は綺麗に分かれた2種類の人間というより、時と場合によって2つを行き来したり、どちらかが極端に出たり、「わきまえた」側から「わきまえない」側に移行したりするものだと思う。 そう思うのも私自身、ある時から「わきまえる」ことは決して自分一人の問題でなく、周囲に与える影響が大きい、もっと言えば「罪深い」と感じるようになり、徐々にわきまえることを辞めたからだ。特に後輩世代の女性たちに与える影響が大きいと感じるようになったのだ。 改めて「わきまえること」の罪について考えてみたいと思う』、「私自身、ある時から「わきまえる」ことは決して自分一人の問題でなく、周囲に与える影響が大きい、もっと言えば「罪深い」と感じるようになり、徐々にわきまえることを辞めた」、なるほど。 
・『「女はわきまえるもの」という考えを固定化する  まさに森氏は、「組織委員会に女性は7人くらいおりますが、皆さん、わきまえておられて」と発言したわけだが、女性がわきまえて発言を慎めば、ただでさえ年長者が持っている「女性というものは男性より、一歩引いているもの」というステレオタイプな考えをより強固にしてしまう。 もともと年功序列的な日本の組織では女性だけでなく、男性の若手に対しても「わきまえろ」的空気は蔓延していて、発言するのはなかなか勇気のいることだ。 森氏はラグビー協会の女性理事たちが積極的に発言していることを「女性は会議での発言が長い」と批判したが、そうした場面、女性たちに出会ったことがなかったのだろう。出会わなければ、考え方は変わらない。つまりいつまでも発言を慎んでいたら、女性というものは発言しないものという固定観念を強固にする方に加担してしまうのだ』、「もともと年功序列的な日本の組織では女性だけでなく、男性の若手に対しても「わきまえろ」的空気は蔓延していて、発言するのはなかなか勇気のいることだ」、同感である。
・『わきまえた女しか登用されなくなる  「わきまえない」とは、自分が持った違和感や反論を口にすることだ。今日本の組織で意思決定層にいる年配の男性たちは、これまでの自分たちの仕事を「成功体験」として捉えている。新参者である女性がこれまでの手法や慣例に異議を申し立てたら、自分や自分の「成功」が否定された、と思うのだろう。異議を口にする側は決して個人を批判している訳ではないのに、なぜか男性側(意思決定層にいる女性も含む)は「自分が攻撃された」と感じてしまいがちだ。 多様性の本質的な意味や効果をわかっているリーダーは、あえて自分とは違う意見や価値観、経験を持った人を側に置いてその意見に耳を傾けるが、わきまえた集団の中で出世したリーダーはそうした「耳の痛い」意見を傾聴するトレーニングができていない。 とはいえ、第2次安倍政権で女性活躍推進法が施行され、世界的にも多様性に欠ける企業は成長性がないとして投資家サイドからも見放される流れになっている中では、女性登用は「しなければならない」命題。どうせ登用しなければいけないのなら、組織の調和を乱さず、異を唱えないわきまえた女性の方が面倒臭くない、という意識が働き、結果「わきまえた女」が登用される連鎖が続く。 橋本聖子氏が森氏の後任に選ばれた時に、「女性だったら、能力や適性がなくてもいいのか」という議論になったが、私はむしろ「森氏は父」とまで言った橋本氏が「わきまえてきた娘」から脱皮できるかに注目していた。 残念ながら今の日本型組織で全くわきまえずにきた女性がいきなり抜擢されることはほぼ無いと言っていい。であれば、女性たちはポジションに就くまでは戦略的にしたたかに「わきまえ」、権限を得たら改革を実践する戦法は現実的だと思う。橋本氏も五輪組織委会長就任後に、「女性の理事を40%増やす」だけでなく、「そこから何を打ち出せるか」と話している。 私は森氏発言後、上野千鶴子さんにインタビューしたのだが、「一匹狼」的に組織内で闘ってきた印象の強かった上野さんでさえ、東大教授就任後、組織で生き残るため、そして自分の目的を達成するためには、「根回し」なども厭わなかったという。 「組織で働いて組織で何かやろうと思ったら1人じゃどうにもならないんです。だから根回しと忖度もしましたよ(中略)。でもそれは組織で生きる人間としては当たり前のことで。ただ上の人に黙って従うということはしませんでした」(上野さん)(ビジネスインサイダー「上野千鶴子氏は組織をどう生き抜いたのか。孤立しないためにやった“根回し”(後編)」より)』、「上野千鶴子氏」も「根回しと忖度もしましたよ」、さもありなんだ。
・『女は納得しているというアリバイに使われる  男性だって、今のご時世、真正面から女性の意見に反対を唱えにくい。「ジェンダー問題に理解がない」「女性蔑視だ」と思われることを恐れるから。その時に使われるのが「わきまえた女」たちの意見だ。男性が自分の意見を補強するときに、彼女たちの意見を使う。「ほら、こういう意見だって女性の中にはあるんだから」と言われ、口をつぐんだこともある。「わきまえた女性」の存在が、「女性にはこういう意見もある」とアリバイに使われてしまうのだ。 それを強く感じるのが、選択的夫婦別姓制度についてだ。導入に反対し、地方議会の議員に反対するよう働きかけていた国会議員50人の中には、丸川珠代・男女共同参画・女性活躍担当大臣(よりにもよってなぜ彼女がこのポジションなのかと思うが)や高市早苗・前総務相など女性議員もいる。丸川氏は国会で、大臣として戸籍名(大塚)をサインしなければならなかった苦労まで語っているのに、なぜ導入に反対するのか、理解に苦しむし、肝心な理由を明らかにしない。 しかし、こういう女性たちが何人かいるだけで、「旧姓の通称使用でいいじゃない」「彼女たちはうまくやっているじゃない」とアリバイに使われてしまうのだ』、「「わきまえた女性」の存在が、「女性にはこういう意見もある」とアリバイに使われてしまうのだ」、その通りだ。
・『わきまえた女は過剰適応し、先鋭化する  先の丸川氏で言えば、最近、国会での「大笑いシーン」が波紋を呼んだ。選択的夫婦別姓制度について、福島瑞穂氏が「丸川というのは旧姓ですよね。家族で姓が違うじゃないですか。家族の一体感、ないですか?」と丸川氏に質問したところ、何がおかしいのか全くわからない文脈で、大笑いしたのだ。私はこの映像を見たときゾッとした。 丸川氏は2007年、当時首相だった安倍氏に見出され政界入りした。元アナウンサーという経歴だからか、安倍氏の“寵愛”を受けていたからか、選挙の応援演説など当選回数が浅いうちから目立つ場所に立ち続けてきた。環境相や五輪担当相を歴任し、今回も橋本聖子氏の後任として五輪担当相に再任、男女共同参画相にも就くなど、自民党内での出世街道まっしぐらだ。 丸川氏にゾッとしたのは、今回が初めてではない。自民党が下野した野党時代、丸川氏はヤジを飛ばすことで有名だった。2010年3月、参院厚生労働委員会で、子ども手当法案が強行採決された時、「この愚か者めが!」「このくだらん選択をしたバカ者どもを絶対忘れん!」 という彼女の大声が国会中継で流れたことが話題になった。 のちに、テレビ朝日時代の彼女を知る人に聞いたのだが、テレ朝時代はそんな片鱗はなかったという。その人も彼女の変化に驚いていた。 女性が出世するためには、残念ながらまだまだ実力や地位にある男性たちに引き上げてもらわなければならない。だから引き上げてくれた人に恩義を感じるという気持ちはわからないでもない。でも男性以上に、女性の方が引き上げてくれた男性に過剰になびき、その男性の意見を代弁し、どんどん先鋭化していくーー丸川氏を見ていて、この人は誰の価値観を代弁しているのだろうかと思ってしまうのだ』、「自民党が下野した野党時代、丸川氏はヤジを飛ばすことで有名だった」、初めて知った。
・『わきまえてエラくなった女をみて、管理職を躊躇する  もう1人、この間「わきまえた女」のサンプルとして登場したのが、総務省接待問題で7万円もの高額接待を受けた山田真貴子・前内閣広報官だ。出身母体の総務省では事務次官に次ぐポストの審議官まで上りつめ、安倍首相時代には初の女性首相秘書官にも抜擢された。その山田氏の言動に驚いたのは、高額接待を受けていたこともさることながら、「飲み会を断らない」と豪語したことだ。 今、女性たちを管理職に登用しようにも、女性たち側が躊躇するという悩みは企業の人事に共通する。経済同友会の櫻田謙悟代表幹事は、女性管理職が少ない理由について、「女性側にも全く問題がないわけではない」とし、自らチャンスを取りに行く人が少ないと指摘した。 だが、私が多くの後輩世代の女性たちと話して感じるのは、それは女性側の問題ではない、ということだ。 私自身、管理職と子育ての両立をするために、実家の両親を東京に呼び寄せ、子育てを全面的に手伝ってもらったが、そのこと自体が後輩世代にどれだけのプレッシャーを与えたのか、と後になって反省した。先輩世代が親やシッターをフル活用して仕事をしている姿を見て、同じようにしなければ私も好きな週刊誌の仕事はとても続けられないと思って選択した苦肉の策ではあったものの、「あそこまでしなければ管理職は務まらないのか」という間違ったメッセージを送ってしまい、管理職への心のハードルをあげてしまったのでは、と思っている。実際、私の3つ下の後輩は、同じように実家から親を東京に呼び寄せた。 バブル世代、均等法世代の私たちと違って、後輩世代は自分たち夫婦で子育てもしながら、その範囲で仕事も頑張りたいと思っている。 「飲み会を断らない」山田氏にもお子さんがいたと聞く。おそらく飲み会だけでなく、残業も厭わず働いてきたのだろう。その間、子育てはどうしていたのだろう。山田氏の働き方を見て、ああいう風になりたいと思っていた女性たちはどれだけいるのだろうか。むしろあそこまでしなければ出世できないなら、と諦めていく女性たちの姿が私には容易に想像できる。 せっかく出世したのなら、もっとポジションを生かしてできることは他にあったのではないか。夜の高額な接待に出かけるより、子育てや介護など家族の事情でどうしても働く時間に制約がある人でも能力を発揮しやすいような職場づくり、働き方の改革は、実はトップや管理職にしかできない』、「せっかく出世したのなら、もっとポジションを生かしてできることは他にあったのではないか」、正論ではあるが、与えられた職務を遂行するだけの方が樂なのではあるまいか。
・『空気を読みすぎて時代が読めなくなる  山田氏を見ていてもう一つ思ったことは、「わきまえ続けてると、組織内の空気は読めるけど、時代が読めなくなる」ということだった。 ひたすら所属する組織の文化に適応し、上司や引き立ててくれる実力者の気持ちを忖度するようになると、その組織の論理にズッポリと染まってしまう。 その「飲み会を絶対断らない」発言は10年も前のものではない。2020年の、しかも若者に向けた動画でのメッセージだった。聞いた若者たちはどう思っただろう。男女問わずドン引きだったのではないか。就職先を選ぶにも、ワーク・ライフ・バランスを重視するという今の若者たちのことを山田氏は知らなかったのだろうか。そんな人が組織のトップにいれば、若手の官僚が長時間労働の中でやりがいを喪失して、早期に退職していく、という現実が改善されないのも無理はない、と思った』、「「わきまえ続けてると、組織内の空気は読めるけど、時代が読めなくなる」、確かにその通りなのだろう。
・『わきまえる踏み絵を踏むかどうか  拙著『働く女子と罪悪感』にも書いたエピソードなのだが、私はAERAの編集長になる際に「反省文」を役員に書かされたことがある。時と場合によって「わきまえ」てきたが、それでも時々は上司や経営層に意見も言ってきた。反省文を書くよう要求したその人はむしろ「良かれ」と思って私に忠告してくれたのだ。 「社長は浜田を編集長にすることにまだ不安を思っている」 その理由は私の能力というよりも、「言うことを聞く」かどうか、つまり自分たちのコントロールが効くかどうかが不安だったのだ。だから、「反省文」を書いて忠誠を示せ、ということだったのだろう。男性はこうやって忠誠の「踏み絵」をいろんな形で踏まされてきたのか。わきまえた女には必要ないのだろうが、わきまえない、わきまえなさそうな女が「男村」に入るときはこうした儀式が必要なのだとも思った。 結局、私は反省文を書いた。この時書いてしまった苦い思いが、私にわきまえることを辞めさせる一つのきっかけとなった』、筆者が「AERAの編集長」だったとは初めて知ったが、「「反省文」を書いて忠誠を示」した、朝日でもそこまでするのかと驚かされた。

第三に、3月26日付け日経ビジネスオンラインが掲載したコラムニストの小田嶋 隆氏による「告発する人間を異端視する世界」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00113/
・『先週から今週にかけて、似たような事件が3件続発した。 「似たような事件」とは言っても、細かく見て行けば、背景は微妙に違っている。個々の事件が明るみに出した問題点も、それぞれに異なっている。ところが、3つの話題を伝える報道記事をひとつのテーブルの上に並べてみると、あらまあびっくり、なんとも見事な「女性蔑視連続事件」とでも言うべきひとつのシリーズが出来上がってしまっている。ここのところがポイントだ。 つまり、われわれは、それぞれに異なった別々の出来事が、ほとんどまるで同じひとつの事件であるように見えてしまうメディア環境の中で暮らしている。このことは、われわれの感覚が粗雑になっているということでもあれば、メディアによる報道がそれだけ劣化してきているということでもある。 今回は、この1週間ほどに相次いで発覚した3つの炎上案件をひとまとめに扱うことで、それらの出来事に共通の背景を与えている「気分」に迫りたいと思っている。 個人的には、個々の事件の個別の影響よりも、3つの事件が相次いで報じられたことがもたらすであろうひとまとまりの副作用に、強い憂慮の念を抱いている。 その「副作用」とは、ごく大雑把に言えば、「また女性さまがらみの怒られ案件かよ」「つまりアレだ。オレらがさつな男どもは、弱者さまの強権ぶりにはまるで太刀打ちできないってことだわな」「女性のみなさんのお気持ちに配慮できない男はパージされて、立場と職を失うことになるのだからして、おまいらも注意したほうがいいぞwww」 てな調子で拡散しつつある陰にこもった反発の気分のことだ。 ぜひ注意せねばならないのは、そもそもこの3つの事件は、その同じ「気分」(「女性」「フェミニズム」「ジェンダー平等」「弱者利権」「リベラリズム」「ポリティカル・コレクトネス(PC)」「キャンセル・カルチャー」などなどへの漠然とした反発)が惹起した感情的な暴発を含んでいる点だ。 それはつまり、「反フェミニズム」「反リベラル」「反PC」「嫌キャンセル・カルチャー」は、先週から今週にかけて報じられた3つの事件の原因でもあれば結果でもあるわけで、してみると、この先、この反動形成による無限ループは、バカにならない圧力を生み出しかねない。 以下に、「3つの事件」についてのごく大まかな解説と、その事件を扱った記事へのリンクを紹介しておく。 1.タレントの渡辺直美さんを「オリンピッグ」(←五輪の豚?)とする演出案を提案していた旨を報じられたクリエイティブディレクターの佐々木宏氏が、3月18日に東京五輪・パラリンピック大会開閉会式の演出リーダーを辞任する意向を表明し、了承された。「東京五輪パラ関係者また「退場」、女性タレントをブタに例える」 2.ベストセラー『応仁の乱』の著者として知られる国際日本文化研究センター助教の呉座勇一氏が、女性研究者らを中傷する投稿をしたとしてツイッター上で謝罪した問題で、日文研が謝罪コメントを発表した。「呉座勇一氏の投稿『到底容認されない発言』 日文研謝罪」 3.テレビ朝日で放映中の「報道ステーション」が、3月24日、ネット上で「女性蔑視ではないか」という指摘が相次いでいたウェブCMを取り下げ、謝罪した。「『女性蔑視』指摘受けた報道ステーションのウェブCM、テレビ朝日が取り下げ」 当稿では、ひとつひとつの事件の詳細に立ち入ることはしないつもりだ。書くことはいくらでもあるのだが、いちいち追いかけていたらキリがないし、また、おそらく、個々の事件に詳しく触れた原稿を書けば書いたで、過半の読者はうんざりするはずだからだ。 「またかよ」と。 なので、今回はその「またかよ」という気分そのものを主題に持って来つつ、その気分を読み解く作業に行数を費やすつもりでいる』、「この先、この反動形成による無限ループは、バカにならない圧力を生み出しかねない」、というのは鋭い指摘だ。
・『とはいえ、3つの事件を、このまま、見出しを紹介したのみで処理し去るのは、釈然としない(もちろん「釈然としない」のは私の側の気分の話で、読者がどう思うのかは私にはわからない)ので、以下、箇条書きの範囲内で感想を述べておく。 1.当件の主たる問題点は、渡辺直美さんに対して発動された女性蔑視演出案ではない。むしろ、悪質なのは、佐々木宏氏(ならびにその背後で権力を振るっていた森喜朗前東京五輪・パラリンピック組織委員会会長)による、五輪演出チーム排除&演出利権横奪の経緯だ。「文春砲」の記事の焦点もそこにある。女性蔑視または容姿差別演出のプランは、「キャッチーな見出し」「使い勝手の良い追及ツール」として機能した可能性が考えられる。 2.呉座氏による一連のツイッター投稿は、たしかにひどいものではあった。とはいえ、もっと凶悪なツイートを連発している投稿者はいくらでもいる。では、どうして呉座氏だけが告発され、炎上し、責任を取らされたのかといえば、彼が「実名身バレ」の、一種「堂々たる」設定で、無防備な中傷ネタを発信していたからだ。 つまりこの事件の本質は、投稿の悪質さそのものよりも、「鍵アカウント」(相互承認したアカウント同士が内輪で楽しむ設定のツイッター利用)の防御力を過信した、呉座氏のネットリテラシーの貧困さ(←「鍵アカウント」であっても、フォロワーが3000人以上もいれば、事実上は公開設定と変わらない。こんなことはツイッター利用者にとっては常識以前の話だ)に求めなければならない。 してみると呉座氏をして裸の王様(かわいそうな呉座先生は自分が全裸で公共の場を歩いていることに最後まで無自覚だった)たらしめていたのは、匿名&随時逃亡準備完了の状態で誹謗中傷投稿を楽しみつつ、生身の実名アカウントである呉座氏のあまりにもナイーブな本音投稿を囃し立てていた取り巻き連中(←だってじきに炎上することは誰の目にも明らかだったわけだから)だったわけで、主たる罪もまた彼らにある。呉座氏は、ある意味で、被害者ですらあった。 例によって、一連の炎上騒動を呉座氏の投稿を告発した女性研究者に帰責するテの立論が一部でやりとりされているが、それらの言説が悪辣な論理のすり替えであることは、この場を借りて明言しておく。被害を訴えただけの被害者がどうしてトラブルの責任を負わなければならないというのだろうか。 ついでに言えばだが、当件においても、「女性蔑視」「女性差別」は、「キャッチーな見出し」「使い勝手の良い追及ツール」として用いられていた側面が大きい。事件の本質は「匿名逆張り論客によるアカデミズムならびに社会への復讐」と、「その彼らによる著名アカウントを利用した小遣い稼ぎ」だ。 匿名ネット論客の彼らが無傷なのは、彼らが匿名であるからというよりは「無名」(つまり、誹謗中傷された側の人間が、手間とカネをかけて告発するコストに見合うだけの内実を、彼らがあらかじめ持っていないということ)だからで、さらに言えば、彼らが「無敵の人」(←失うものを持っていない)だからだ。その点、呉座先生は失うものをあまりにも多く持っていた。 3.まず、素材としてのウェブCM自体が、多くの論者によって指摘されている通り、どうにもぞんざいな制作物だった。「ジェンダー平等」という言葉の扱いが無神経かつ浅薄であることはもとより、動画の末尾の部分で表示される「こいつ報ステみてるな」というテロップが、それまで画面に向かってひとりしゃべりを続けていた女性に対して失礼極まりない点も無視できない。総体として、若い女性を軽佻かつ無自覚な人間として扱っているところに、制作者の偏見が覆いようもなく露呈している。 ただ、より深刻なのは、報道機関であるテレビ朝日が、まっとうな謝罪のテンプレートを世間に示すことができなかった点だ。常日頃は、不祥事に関わった人物や組織に謝罪や弁明を求める役割をこなしている報道機関なればこそ、自分が謝罪せねばならない場面に立たされた時には、世の模範になる百点満点の謝罪を提示せねばならなかったはずだ。 ところが、テレビ朝日の謝罪は、謝罪会見すら開かない、半端な書き置き(←テキストファイルでさえない、お詫び文書の画像ファイルをウェブ上に掲示しただけだった。お詫びの文言をテキストでなく、画像で提供したということはつまり、「引用するな」ということですよね? 一体どこまで視聴者をバカにしているのでしょうか)を残したのみの、ミもフタもない逃走劇だった。こんな謝罪をしているようでは、今後、他者の責任を追及する取材は永久に不可能になると思われる。 もうひとつ、当該CMの制作責任者ならびに制作過程と、CM制作をめぐる議論および承認に至る経緯を公開していない点も、報道機関としてなさけないの一語に尽きる。思うに、現場のニュース制作者たちは、公開前にこのCMを見せられていないはずだ(逆に言えば、見せられていれば黙っていたはずがないし、見せられて黙っていたのだとすれば、いよいよ完全にどうしようもない)。だとすると、番組をめぐるガバナンスが機能しているのかどうかが、大きな疑問として浮かび上がることになる。今後の一番の注目点はそこだと思う』、「テレビ朝日の謝罪」は、「今後、他者の責任を追及する取材は永久に不可能になると思われる。 もうひとつ、当該CMの制作責任者ならびに制作過程と、CM制作をめぐる議論および承認に至る経緯を公開していない点も、報道機関としてなさけないの一語に尽きる」、驕り高ぶった姿勢のままだったようだ。
・『ひとことだけのつもりが、けっこう長くなってしまった。 ともあれ、上記の3つの女性蔑視案件の報道を受けて、現在、ネット上では「反作用」とも言うべき怨嗟の声が反響している。 ネット上だけではない。 既存メディアの中にも、世間の反発の気分に乗っかることで、部数やページビューを稼ごうとする動きが顕在化しはじめている。 たとえば、この記事 などは、キャンセル・カルチャー(←社会の中で抗議活動や不買運動が過剰な力を発揮する現象)への反発をそのまま書き起こしたテキストと言って良い。 記事(といっても、昨今目立つ、テレビ番組内のコメントを書き起こしただけのいわゆる「コタツ記事」なのだが)の中で、北村弁護士は、《 -略- 「今回辞任されるのは、ものすごい生きづらくなってきたなって世の中が。森(喜朗)さんの発言はボクも納得できなかったけど、世間からの叩かれ方がある意味、異常といえるぐらいすごかったんですね。ああいう状況に陥ると考えて辞任されたのかなと思うと、悪いことは悪いけど、異常にバッシングする雰囲気は少し抑えた方がいいのかなと思います」 -略-》と言っている。 たしかに、氏が指摘している通り、本来内輪のやりとりであるはずの「企画段階の演出案のLINE送信」が、商業誌の誌面で暴露されていることは、一見、由々しき事態に見える。また、企画段階でボツになった演出案が問題視されて、責任者の辞任につながっている流れも、この部分だけをとらえてみれば、不気味極まりない「密告屋社会の到来」てな話になるのだろう。 しかしながら、前述した通り、本件のキモは女性蔑視演出案ではなく、週刊文春の有料記事を最後まで読めばわかるが、あくまでも「佐々木氏とその周辺の人々が、進行中だった五輪演出チームの演出プランに不当に介入し、結果として演出リーダーの地位を横奪するに至ったその経緯と手口」だ。 もうひとつ言っておくなら、北村氏の言う 《ものすごい生きづらくなってきたなって世の中が》 という感慨は、これまで、女性蔑視ネタの笑いや、容姿差別的な企画案を臆面もなく口外してきた側の人間であればこそ抱くことのできるお気楽な嘆き以上のものではない。 これまで、その「抑圧者」「差別者」「権力者」たちがのびのびと 「生きやすく」暮らしてきた社会は、とりもなおさず、その彼らの差別や虐待のターゲットになってきた人々にとっては、抑圧そのものだったわけで、その差別や虐待が許されなくなって 「不用意な差別ネタをうっかり口にできなくなってしまった世の中」が、到来したのだとすれば、その社会は、むしろ、被抑圧者にとっては、のびのびと生きやすくなっているはずだ……という、そこのところをおさえておかないとこの話の全体像は完結しない。つまり、北村弁護士は、ご自身が生きやすく生きていたこれまでの生き方を自省すべき時期に立ち至っていることを自覚すべきなのだ。まあ、余計なお世話ではある』、「本件のキモは女性蔑視演出案ではなく、週刊文春の有料記事を最後まで読めばわかるが、あくまでも「佐々木氏とその周辺の人々が、進行中だった五輪演出チームの演出プランに不当に介入し、結果として演出リーダーの地位を横奪するに至ったその経緯と手口」だ、確かにこの問題については、その後の追及の動きはなさそうだ。
・『ほかにもたとえば、産経新聞のこの記事 などは、苦情社会の息苦しさを代弁した典型例だろう。 これも、「一理ある」と言えばその通りなのだが、 《エンターテインメントの世界で活躍する渡辺さん本人が寄せたコメントの全文を読むと、侮辱されたとは思っていないのも分かる。》 という増田明美さんによる要約は、端的に間違っている。 渡辺直美さんは、事務所を通して出した公式コメントの中では、ご自身の感情を明らかにすることは控えている。 しかし、YouTubeチャンネルでの言及を報じた記事によると 《-略- 一部で「芸人だったらやるでしょ」という声も受けたといい、「もしもその演出プランが採用されて、私のところに来たら私は絶対に断るし、その演出を私は批判すると思う。目の前でちゃんと言うと思う」と断言し「だって普通に考えて面白くないし、意図がわからない」と説明していた。-略-》 と、ここでは演出への感情を表明している。 何が言いたいのかを説明する。 3連続で炎上した女性蔑視案件の報道を受けて、いま、世間では 「苦情を言う人」「抗議する人々」「不満を述べる人間」「怒りを表明する者」「群れ集って抗議行動を起こす団体」 に対する、忌避感が急速に高まっている。 「あーあ、めんどうくさい人たちだなあ」てな調子で 「わきまえない女たち」への嫌悪感が増幅しているというふうに言い換えても良い。 昨年来、もっぱら海の向こうから伝わって来ていた「#MeToo」やBLMの運動への反発を核としてひとつの勢力を形成しはじめていたネット言論が、ここへ来て、いよいよ形をなしはじめている感じだ。 その感情をひとことで表現すれば、あるいは 「うっせえわ」ということになるのだろうか。 面白いのは、この「うっせえわ」の声が、権力や、政治や、体制には決して向かわないことだ。 「うっせえわ」という、この穏やかならぬ感情は、むしろ、もっぱら、権力や体制や政治に抗議する人々に向けての叫びとして、ぶつけられはじめている。 私は、このことにとても強い警戒感を抱いている。 もっとも、こんなことを言っている私とて、個人的な感情としては、機嫌の悪い人よりは機嫌の良い人の方が好きだ。怒っている人よりはニコニコしている人々と付き合いたいものだとも考えている。 ただ、人はいつも機嫌良く暮らせるわけではない。 特に、現実に苦しんでいる人は、そうそうニコニコばかりもしていられない。当然だ。 だからこそ、他人の不機嫌や怒りに耳を傾ける態度を持たないと、世の中は、恵まれた人だけが得をする場所になってしまう、と、少なくとも私はそう考えている次第なのだ。 「いつもニコニコしている人」には、二通りのパターンがある。 ひとつは「他者に不機嫌な顔を見せないマナーが身についている極めて人間のできた人々」で、もうひとつの類型は「単に恵まれた人たち」だ。 「いつもニコニコしていること」を個人の目標として掲げることは、決して悪いことではない。むしろ、素晴らしいことでさえある。 しかしながら、その一方で、「いつもニコニコしていること」を、他人に求めることは、時に、あからさまな抑圧になる』、「この「うっせえわ」の声が、権力や、政治や、体制には決して向かわないことだ。 「うっせえわ」という、この穏やかならぬ感情は、むしろ、もっぱら、権力や体制や政治に抗議する人々に向けての叫びとして、ぶつけられはじめている」、ネット右翼系なのだろうか。
・『であるから、渡辺直美さんが、例の「オリンピッグ」の演出に対して最初に出した公式コメント(←全方位的に誰も責めていない極めて穏当で抑制の利いた文案でした)を、過剰に賞賛する各方面の声に、私は、強い違和感を抱いたのだ。 なので、ツイッター上に 《個人的には、渡辺直美さんのコメントへの過剰な賞賛がSNS上でこれ見よがしに拡散されていることと、伊藤詩織さんへの不当なバッシングが一向に衰えないことは、ひとつながりの出来事なのだと思っている。要するにうちの国の男たちは「屈辱の中にあって笑顔を絶やさない女性」が大好きなのだね。》という発信をした。 このツイートには、賛同と反発の両方の反応があった。 ……それはつまり、わざわざ発信者に反発の意思を伝えてくる人間が、それなりの人数として存在していたということは 「わりと反発された」と受け止めなければならないのだろう。 ひるがえって、渡辺直美さんのコメントを手放しで賞賛しているツイートには盛大な「いいね」が付けられている。 ということは、やはり人々は、機嫌の良い人々によるポジティブな発信の方を好んでいるわけだ。 ケチをつけるために取り上げたと思われるのは心外なので、以下、概要だけを引用する次第なのだが、つい先日、ある人気アカウントが投稿した 「不機嫌な態度をとるほうが、得する世界が終わりになるといいな」 という意味のシンプルなツイートが、丸一日ほどのうちに約13万件の「いいね」を獲得するという“事件”があった。 この事実に、私は静かに打ちのめされている。 人々はどうやら「キャンセル・カルチャー」にうんざりしはじめている。 のみならず、抗議や告発をめんどうくさがりはじめている。 この流れは、もはやキャンセルできないのかもしれない。 もっとも、「不機嫌な態度をとるほうが、得する世界が終わりになるといいな」 というこのシンプルな言明が人々の心をとらえたのは、必ずしも、抗議する人々への忌避感からではないのだろう。 むしろ「威張り散らす権力者」や、「意味なくにらみつけてくるおっさん」や、 「やたらとカリカリしている顧客」 が醸しているいやーな感じを的確に言語化してくれたツイートへの賛意が、約13万件の「いいね」であったと考える方が自然だ』、なるほど。
・『とはいえ、コロナ禍の渦中で抑圧を感じているわれら日本人が、ギスギスした世間の空気にうんざりしていることもまた事実ではある。 そんな中で、たとえば 「プロテストする人々」「抗議する女性」「声をあげる人間」 として活動せざるを得ないフェミニズムの活動家は、どうしても嫌われ役を自ら進んで担うことになる。 フェミニストだけではない。 差別や偏見にさらされていたり、パワハラやモラハラの被害に苦しんでいたりする人々は、その自分たちへの不当な抑圧や攻撃に、反撃し、反発し、抵抗する行為を通じて、結局のところ世間に嫌われる役回りを演じることになる。 なんと理不尽ななりゆきではないか。 告発者として振る舞うことのコストは、社会が抑圧的であればあるほど、無制限に上昇する。 告発者は、ただただ身に降りかかる火の粉を振り払っているだけなのに 「密告者」「チクリ屋」「金棒引き」 などとされ、さらなる迫害を受けることになる。 今回のように、女性蔑視をめぐって、3つの異なった場面で、3件のよく似た告発案件が報道されたりすると、「抗議者」「告発者」は、SNS上では、それこそゲシュタポじみた扱いを受けるに至る。 「企画をツブし、担当者のクビを飛ばし、人々を黙らせ、CMを引き上げさせ、ている《女性》という人たちのどこが一体弱者なんだ?」 「女性蔑視案件って、事実上は万能首切りツールじゃないか」 「っていうか、秘密警察ムーブだわな」 「魔女狩りだよね。魔女による」「魔女を魔女だと言った男は魔女だ式の?」 なんとも悲しい反応だ。 一定の地位や権力を持った人々は、抗議されたり告発されたりすることをひたすらに恐れている。 であるから、彼らは抗議や告発や怒りを外部化しようとする。 ちょっとわかりにくい話をしている。 私は、抗議され、告発され、怒りを向けられている側の人々が、その抗議や告発や怒りに直面したがらない傾向についてのお話をしている。 では、彼らはどんなふうにそれらを処理するのだろうか。 彼らは、自分たちに向けられた、抗議・告発・怒号が、自分たちの行動や言葉に由来する反応だとは考えない。 彼らは、それらを、抗議・告発・激怒している側の感情の問題として定義し直す。まるで魔法みたいな論理だ。 次に、彼らは告発の主客を転倒させる。 自分が告発者を怒らせたというふうには考えない。 その代わりに、自分が告発者の怒りの対象になったと言い換えることで、自分を「透明な存在」に置き換えつつ、告発を、相手側の感情の問題として外部化するのである。 その魔法みたいな理屈のひとつの成果が 「怒られが発生した」というネットスラングだ。 彼らは自分が怒らせたとは考えない』、「彼らは告発の主客を転倒させる。 自分が告発者を怒らせたというふうには考えない。 その代わりに、自分が告発者の怒りの対象になったと言い換えることで、自分を「透明な存在」に置き換えつつ、告発を、相手側の感情の問題として外部化するのである。 その魔法みたいな理屈のひとつの成果が 「怒られが発生した」」、全く卑怯な姿勢だ。
・『「怒られ」という現象が、天から降ってきた一種の不可抗力として自分たちの居住空間の中に突如出現したテイで、彼らは、 「怒られが発生した」と語るのである。 要するに、こうやって、彼らはあらゆる抗議から身を遠ざけ、すべての感情を他者の理不尽な情動の結果として退け、それらを「お気持ち」と呼んで嘲笑することで、マジメに取り合わない体制を固めている。 「キャンセル・カルチャー」という言い方でひとくくりにしてしまうと、議論が雑になってしまうので、ここは慎重にまとめることにする。 正義が告発側にあるのかどうかは、実際にはケース・バイ・ケースで、一概には言えない。 抗議する者を常に正義の側として定義する乱暴な決めつけから出発すると、世に言われる「キャンセル・カルチャー」のネガティブな面が社会を害する場合も当然あるはずだ。 ただ、今回の3例について言うなら、非は、おおむね女性蔑視を発動したとして退場を余儀なくされた側にあると言って良い。その点では、正しい側が正しく評価されたわけだ。 SNSで散発的にやりとりされている議論を眺めていると、事態が一件落着したかに見えているにもかかわらず、告発者へのリンチがはじまりそうな気配は、一向に衰えていない。 とても不気味だ。 長い原稿になってしまった。 この長くまとまりのない原稿で私が言いたかったのは、 「告発する人間を異端視する世界が終わりになりますように」 ということだ。 私は、自分の言葉で何かや誰かを告発することはないと思うのだが、機嫌の良い人のつぶやきよりは、告発する人の言葉に耳を傾ける人間でありたいと思っている。まあ、いつもそうできるとは限らないのだが』、「告発する人の言葉に耳を傾ける人間でありたいと思っている」、同感である。
タグ:日経ビジネスオンライン 現代ビジネス 女性活躍 PRESIDENT WOMAN 小田嶋 隆 (その20)(優秀な女性が会社を辞める「育児より重大な理由」とは、丸川珠代氏、山田真貴子氏…「わきまえる女たち」が築き上げた罪の重さ わきまえてきた歴史を振り返る、小田嶋氏:告発する人間を異端視する世界) キャシー 松井 「優秀な女性が会社を辞める「育児より重大な理由」とは」 日本人女性が辞める理由は「育児」よりも「仕事への不満」 「日本」では「育児」が問題になる前に「仕事に不満を感じて退職」してしまうのかも知れない。 企業が女性にやりがいを持って働いてもらえるようにならないと、女性のリーダーは増えません 「コツ①男性よりも少し多めに励ます」、というの確かに有効そうだ。 「コツ② 能力の高い女性にはライフイベント前にタフな仕事を」も、よく考えられた仕組みだ 「コツ③ 「スポンサー制度」もいい仕組みだ 「コツ④ 女性のネットワークづくりを支援する」、もいい制度だ。「ゴールドマン・サックスではこのプログラムを始めてから、女性社員の離職率が低下」、も当然だろう 説得力のある主張で、女性の活躍を真剣に取り組んでいる企業には、貴重なアドバイスになった筈だ。 浜田 敬子 「丸川珠代氏、山田真貴子氏…「わきまえる女たち」が築き上げた罪の重さ わきまえてきた歴史を振り返る」 「「わきまえる」体験は、同調圧力の強い日本の組織で働く人であれば、男女限らずあるだろう」、その通りだ 「私自身、ある時から「わきまえる」ことは決して自分一人の問題でなく、周囲に与える影響が大きい、もっと言えば「罪深い」と感じるようになり、徐々にわきまえることを辞めた」、なるほど 「もともと年功序列的な日本の組織では女性だけでなく、男性の若手に対しても「わきまえろ」的空気は蔓延していて、発言するのはなかなか勇気のいることだ」、同感である。 「上野千鶴子氏」も「根回しと忖度もしましたよ」、さもありなんだ。 「「わきまえた女性」の存在が、「女性にはこういう意見もある」とアリバイに使われてしまうのだ」、その通りだ 「自民党が下野した野党時代、丸川氏はヤジを飛ばすことで有名だった」、初めて知った。 「せっかく出世したのなら、もっとポジションを生かしてできることは他にあったのではないか」、正論ではあるが、与えられた職務を遂行するだけの方が樂なのではあるまいか。 「「わきまえ続けてると、組織内の空気は読めるけど、時代が読めなくなる」、確かにその通りなのだろう。 筆者が「AERAの編集長」だったとは初めて知ったが、「「反省文」を書いて忠誠を示」した、朝日でもそこまでするのかと驚かされた 「告発する人間を異端視する世界」 先週から今週にかけて、似たような事件が3件続発した 「この先、この反動形成による無限ループは、バカにならない圧力を生み出しかねない」、というのは鋭い指摘だ 「テレビ朝日の謝罪」は、「今後、他者の責任を追及する取材は永久に不可能になると思われる。 もうひとつ、当該CMの制作責任者ならびに制作過程と、CM制作をめぐる議論および承認に至る経緯を公開していない点も、報道機関としてなさけないの一語に尽きる」、驕り高ぶった姿勢のままだったようだ 「本件のキモは女性蔑視演出案ではなく、週刊文春の有料記事を最後まで読めばわかるが、あくまでも「佐々木氏とその周辺の人々が、進行中だった五輪演出チームの演出プランに不当に介入し、結果として演出リーダーの地位を横奪するに至ったその経緯と手口」だ、確かにこの問題については、その後の追及の動きはなさそうだ 「この「うっせえわ」の声が、権力や、政治や、体制には決して向かわないことだ。 「うっせえわ」という、この穏やかならぬ感情は、むしろ、もっぱら、権力や体制や政治に抗議する人々に向けての叫びとして、ぶつけられはじめている」、ネット右翼系なのだろうか。 「彼らは告発の主客を転倒させる。 自分が告発者を怒らせたというふうには考えない。 その代わりに、自分が告発者の怒りの対象になったと言い換えることで、自分を「透明な存在」に置き換えつつ、告発を、相手側の感情の問題として外部化するのである。 その魔法みたいな理屈のひとつの成果が 「怒られが発生した」」、全く卑怯な姿勢だ 「告発する人の言葉に耳を傾ける人間でありたいと思っている」、同感である。
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東京オリンピック(五輪)(その15)(「わきまえる」は「自粛警察」に相通ずる日本的考え方、「東京五輪に中国製ワクチンを」IOC会長の暴走のウラにある"中国の恩" 次の北京冬季五輪への"布石"か、「すべてが密室で決まる利権の祭典」日本人の東京五輪離れが起きた根本原因 「法」と「報」が機能していない、養老孟司「解剖学的視点で見ると『オリンピックは現代の歪み』だ」)  [社会]

東京オリンピック(五輪)については、2月21日に取上げた。今日は、(その15)(「わきまえる」は「自粛警察」に相通ずる日本的考え方、「東京五輪に中国製ワクチンを」IOC会長の暴走のウラにある"中国の恩" 次の北京冬季五輪への"布石"か、「すべてが密室で決まる利権の祭典」日本人の東京五輪離れが起きた根本原因 「法」と「報」が機能していない、養老孟司「解剖学的視点で見ると『オリンピックは現代の歪み』だ」)である。

先ずは、2月25日付けAERAdotが掲載したジャーナリストの池上彰氏と漫画家のヤマザキマリ氏の対談「「わきまえる」は「自粛警察」に相通ずる日本的考え方」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/aera/2021022400005.html?page=1
・『森喜朗氏の女性蔑視発言の中で、注目を集めた「わきまえる」という言葉。コロナ禍での「自粛警察」にも通ずる。そうした風潮を打破するために今、求められることとは。AERA 2021年3月1日号で、池上彰さんとヤマザキマリさんが語り合った。 池上彰:非常に身につまされたのはオリンピックの組織委員会の方々は皆さん、「わきまえておられる」んですよね。ツイッターでは「わきまえない女」っていうハッシュタグもついたりしましたけど、あの「わきまえておられる」っていうのが実に日本的です。 私も含めて男たちって、会議の終わりの時間が近づいてきて、話が長くなっちゃいけないからこのへんで早く終えようという時に、言いたいことがあっても黙ってさっさと終わらせようっていうところがあると思うんです。そういうのをわきまえるって言われてしまうのかなと。わきまえちゃいけないんだなって、身につまされたんです。 ヤマザキマリ:わきまえるという言葉はなかなか難しいですね。人々全体の価値観が統一しないとうまく稼働しないでしょう。イタリア人の場合、少なくとも私の周りの人は誰もわきまえてないですから(笑)。欧米は思ったことを言わないと潰されてしまう社会ですから、黙っていても始まらない。わきまえるという感覚には、あ・うんで理解するみたいなことに近いものがあるじゃないですか。 池上:そうですね。 ヤマザキ:私はイタリア暮らしが長いこともあって、思ったことは全部吐露してしまう傾向があります。一応根本的には日本人ですから、場合によってはわきまえる気持ちは稼働させますが、でもやっぱりこれはおかしいとなればそれに対して、きちんと意思表示はしないと体内に毒素をため込むようで気持ちが悪い。私以外にもそういう日本人の友人はいますし、そういう人は決して少なくないと思うんです。まあそれでこの社会でやっていくにはなかなか難しい部分もありますね。でしゃばりは世界中にいるけど、日本はちょっと声をあげただけでそういう捉えられ方をしてしまう。まさにわきまえてない迷惑な人として』、「わきまえるという言葉はなかなか難しいですね。人々全体の価値観が統一しないとうまく稼働しないでしょう。イタリア人の場合、少なくとも私の周りの人は誰もわきまえてないですから(笑)。欧米は思ったことを言わないと潰されてしまう社会ですから、黙っていても始まらない」、「私はイタリア暮らしが長いこともあって、思ったことは全部吐露してしまう傾向があります。一応根本的には日本人ですから、場合によってはわきまえる気持ちは稼働させますが、でもやっぱりこれはおかしいとなればそれに対して、きちんと意思表示はしないと体内に毒素をため込むようで気持ちが悪い」、「きちんと意思表示はしないと体内に毒素をため込むようで気持ちが悪い」とは言い得て妙だ。
・『池上:わきまえるでいうと、今のコロナの中で日本の場合はヨーロッパのようなロックダウンをしないわけです。「緊急事態宣言です、みんなで努力をして抑えましょう」って自粛を呼びかけますよね。それって、ある意味「わきまえてくださいね」って政府が言っているようにも思えるんですよね。 ヤマザキ:そうですね。欧米社会は多民族国家で多様な宗教観もありますし、様々な倫理観や価値観があるから、みんなの気持ちが一斉にまとまることはまずありません。だからイタリアではコロナの初期のロックダウン時には、「みんなそれぞれ考え方が違うでしょうけど、今回ばかりは、悪いけどそうしないと大変なことになります」という示唆のある提示をコンテ元首相がしたわけです。 池上:だからロックダウンしても「冗談じゃない」と外へ飛び出したり、マスクを強制するなって言ったりする人たちがいるわけですよね。日本人が見ていると、本当にわきまえない人たちってヨーロッパにはいっぱいいるんだなって思いますよね。 ヤマザキ:どうしてわきまえないかっていうと、日本のような個人の考え方を抑制する「世間体の戒律」がないからなんでしょうね。日本にはキリスト教国やイスラム教国のような宗教的な戒律はありませんが、流動的な世間体の戒律っていうのがありますよね。「自粛警察」もそう。正義感から、他人の行動を監視して世間的な戒律にそぐわない行為をしている人を批判するということでしょうが、わきまえるっていう言葉が妙にマッチするような気がします。 池上:ヨーロッパで自粛警察なんて言葉、生まれないでしょう。 ヤマザキ:生まれないですね。それがあるとしたらイスラム圏ですよ。例えばホメイニ政権以降のイランでの宗教警察です。街の中でちょっとでも西洋かぶれした服装や態度を取っている若者たちがいれば、見せしめも含めて厳しく取り締まられますが、日本の世間的戒律における自粛警察にも、ちょっとそれに近いものを感じますよね。暗黙の暴力行為で戒める』、「(ヨーロッパ人が)どうしてわきまえないかっていうと、日本のような個人の考え方を抑制する「世間体の戒律」がないからなんでしょうね。日本にはキリスト教国やイスラム教国のような宗教的な戒律はありませんが、流動的な世間体の戒律っていうのがありますよね。「自粛警察」もそう。正義感から、他人の行動を監視して世間的な戒律にそぐわない行為をしている人を批判するということでしょうが、わきまえるっていう言葉が妙にマッチするような気がします」、「世間体の戒律」とは上手い表現だ。
・『引き出しに収める作業  池上:自粛警察って要するに、わきまえない人間を摘発することのような気がするんです。だから森さんの「皆さん、わきまえておられて」というのと、コロナ禍の自粛警察って相通ずるような気がします。 同じように、日本には「空気を読む」っていう言葉もありますよね。これは言語化しないで「空気」を読んで判断しましょうというわけです。これも日本独特だなと思うんです。 ヤマザキ:そうなんです。そこなんですよ。言語化って、考え方が自分のものとして、きちんと引き出しの中に収まる作業だと思うんですよね。考えた事柄はアナログなまま放置しておかずに言語というデジタルに置き換えないと身につかない。 それをないがしろにして、ただただアナログな感覚だけでやり取りしていくというのは、江戸時代ならともかく、世界とこれだけ繋がってしまった現代の日本ではあまりもう通用しないのかもしれない。むしろ落語などを聞いていると、まだ江戸時代のほうが、みんな思ったことをしっかり言語化できていたのがわかります。しかもそこには洒落という寛容な精神性もあった。でも今の日本では思ったことを言語化するのはよくないことと捉えている風潮があるどころか、言葉の性質が制限されすぎて、かつては使えていたのに今は使えない言葉がたくさんある。このコロナ禍では、世間の戒律や空気に従うだけで、社会の風潮に対して批判的考えを持たないそんな現代の特徴があらわになった気がしています』、「今の日本では思ったことを言語化するのはよくないことと捉えている風潮があるどころか、言葉の性質が制限されすぎて、かつては使えていたのに今は使えない言葉がたくさんある。このコロナ禍では、世間の戒律や空気に従うだけで、社会の風潮に対して批判的考えを持たないそんな現代の特徴があらわになった気がしています」、なるほど由々しい傾向だ。
・『言語化されない表出  池上:私もものすごく反省してることがあるんです。最近何かあると「なんだかなー」って言っているんです。なんだかなーっていうのは、つまり否定的な、それはいけないんじゃないかと思ってるっていうことを表出しているわけですが、言語化はされていないんですよね。 ヤマザキ:確かに言語化されてないですね。そんなのを2500年前のソクラテス先生が聞いたら怒られてしまいますよ。何やってんだって(笑)』、確かに現在の日本人の「言語化されてない」表現は、「ソクラテス」から怒られるのは必至だ。

次に、3月22日付けPRESIDENT Onlineが掲載したジャーナリストのさかい もとみ氏による「「東京五輪に中国製ワクチンを」IOC会長の暴走のウラにある"中国の恩" 次の北京冬季五輪への"布石"か」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/44405
・『突如浮上した「東京五輪に中国製ワクチン」  今夏に迫る東京オリンピック・パラリンピックの催行可否が議論されている中、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長は、中国製ワクチンを大会に導入する考えを突如ぶちあげた。予想外の展開に日本側は困惑、組織委員会の武藤敏郎事務総長は「事前に話は全く聞いていない。ワクチン接種は国による決定事項だ」とコメントするのが精いっぱいだった。 のちに触れるが、五輪参加にワクチン接種は義務付けられていない。選手や関係者にとっては強制接種に迫られるとの誤解を招きかねない会長発言の背景には何があるのか。公式資料と関係者への取材をもとに現状を探ってみることにしたい。 バッハ会長の発言は3月11日、IOCの定例総会の席上で飛び出した。東京五輪実施に向けたオンラインでの5者会談で、事前打ち合わせが全くない中、「中国オリンピック委員会から、今夏開催予定の東京五輪・パラリンピックと2022年冬季北京五輪・パラリンピックの参加者にワクチンを提供するとの申し出があった」と述べた。 これを受け、「ワクチン未接種の選手・役員は、中国製ワクチンを打つよう求められる」と受け取った報道が世界を駆け巡った。中国とIOCの癒着を疑う意見も重なり、日本のみならず、世界各国のメディアが会長発言の真相を追う記事を一斉に報じた』、結果論にはなるが、中国の「ワクチン」外交活発化を踏まえれば、日本としては、「IOC」への「働きかけ」に対して事前に備えておくべきだった。
・『ワクチン接種は「推奨および支援します」  まず、IOCはワクチンへの対応をどう考えているのだろうか。先に刊行された「東京五輪出場選手向けの参加マニュアル」に当たる「公式プレイブック アスリート/チーム役員」を読むと次のような記述がある。 「IOCはオリンピックチームとパラリンピックチームにワクチン接種を呼びかけます」「日本入国前に自国のワクチン接種ガイドラインに従って自国でワクチン接種を受けることを推奨および支援します」 さらには、「日本の皆さんには、(東京五輪が=編集部注)大会参加者だけでなく日本人自身をも保護するためにあらゆる措置が施されていると確信をもってもらうべきと考えています」と、東京五輪が日本国内でのコロナウイルス拡散の原因にならないよう配慮を重ねているという姿勢もみられる。 結論として「大会参加に際しワクチン接種は義務ではありません」と明示している。 IOCはプレイブックについて、アスリート/選手向けのほか、国際競技連盟向け、各国のプレス(取材者、カメラマン等)向け、そしてスポンサーであるマーケティングパートナー向けの計4バージョンを編纂している。 目下、アスリート/選手向けのみ日本語版が用意されており、制限なく誰でも読めるようになっている。これを読むと、大会関係者が守るべき日本滞在中のコロナ感染(拡散予防)対策は細かく明示されており、ちまたで叫ばれている「選手の隔離対策は本当に万全なのか?」といった疑問への回答に当たる記述もまとめられている』、「IOC]が「「東京五輪出場選手向けの参加マニュアル」で、「日本入国前に自国のワクチン接種ガイドラインに従って自国でワクチン接種を受けることを推奨および支援します」、としているのであれば、中国の無償供与はIOCにとっても好都合だ。
・『IOCが無視できない「中国の恩」  バッハ会長は今回の発言に先立ち行われた会長選挙で、94票のうち93票の信任票を得て、会長に再任された。2期目を磐石とするため、是が非でも東京開催を諦めないことを訴え続ける必要があったとみられる。 この再選の裏には、2022年に北京で冬季五輪を控えている中国の存在が大きい。 バッハ氏は2013年、ジャック・ロゲ前会長から会長職を引き継いだ。2022年冬季五輪の開催地を決めた2015年は、立候補を目指すとされていた有力都市が次々と脱落。結果的に北京の立候補を受けることができ、一息つける格好となった。巨額な費用負担を理由に五輪招致を断念する都市が増える中、「困っているIOCを中国が救った」ともいえる』、「バッハ会長」が「中国」に大きな恩義を感じているのであれば、日本側としてはますます「中国」の出方を予測して、備えておくべきだった。
・『騒ぎの幕引きを図るが…  中国の大手企業は次々と五輪事業のスポンサーとなっており、事実上、中国が金銭面でもIOCを支えている。こうした背景もあり、ビジネス面で中国と太いパイプを持つバッハ氏が会長選挙で無投票再選するのは当然の結果だったかもしれない。 中国への配慮とはいえ、会長の発言はいかにも舌足らずだった。「選手の日本上陸後、中国製ワクチンを全員に打つ」と受けとられても仕方なく、報道もこれをそのまま伝えざるを得なかった。 その後の補足説明で、「中国製ワクチンは承認済みの国に対してのみ供与する」と明確に方針を述べた。丸川珠代五輪担当相も「承認された国で判断することだろうと思う」と足並みをそろえ、騒ぎの幕引きを図った。 ひとまず「日本に持ち込んで打つ」との誤解はいったん解けたが、中国の協力を受けながらワクチン接種を進めるとの発表もあり、引き続き会長と中国との間に「強固な関係」がある疑念は残る』、「疑念は残る」とソフトな表現になっているが、実態は「疑念」が強まったの方が適切だろう。
・『来冬の北京五輪は義務付けになるか  ワクチン接種は目下、先進国を中心に進んでいるのみで、発展途上国の中には1本もワクチンが届いていない国もある。先進国の中にも、「高齢者など高リスク者への接種を進めるべきだ」との流れからアスリートの接種は後回しにしている例もみられる。現状、接種を前提に東京五輪参加を打ち出すのは不可能だ。 だが、中国オリンピック委員会がIOCに持ちかけた提案が本当なら、来冬の北京五輪では、中国製ワクチンの接種が義務となるかもしれない。それは次のような例から感じられる。 中国は3月15日、日本を含む各国駐在の中国大使館を通じて、同国で就労するビジネスパーソンらに対し、入国に対する新たなガイドラインを発表した。 中国への再入国を希望する就労者はこれまで、現地自治体や関係当局から特別な許可証を得た上で、ビザを再申請。許可が出たのちにようやく渡航できるという煩雑な手続きが必要だった。ところが、ここへきて「中国製ワクチン接種済みの申請者に対しては、提出書類の簡略化を認める」と公言した。 言うまでもなく、日本は中国製ワクチンに対する使用承認を与えていない。一方で「中国に一日も早く戻って仕事をしたい」という要望を持つ企業関係者も少なくない。経済界から中国製ワクチンの国内承認を進めろという動きが沸き起こる可能性もあり、ワクチン外交を推し進める中国の動向は引き続き注視する必要があるだろう』、警告は遅きに失したようだ。
・『「北京ボイコット」を阻止したい事情  これほどまでに中国が五輪のワクチン導入にこだわる理由は、一部の国で北京五輪をボイコットしようとする動きがあり、ワクチン供与をチラつかせながら各国がボイコットに傾くのを阻止したい思惑があるからだ。 新疆ウイグル自治区で少数民族ウイグル族への弾圧が繰り返し行われているとする疑念をめぐっては、これまでに米国、カナダ、オランダの議会が中国政府による同自治区での所業を「ジェノサイド(大量虐殺)」とみなす段階にまでエスカレートしている。 中国当局がウイグルだけでなく、香港でも民主派勢力の完全追放にかかる中、人権を踏みにじるといったさまざまな行いに対する批判は、中国自らが相応な自制をしない限り、批判は高まることはあっても下火になる可能性は低い。 中国政府は何としても北京五輪を成功させたい。史上初の夏冬両大会を催行した都市として歴史に残すという目的はともかく、国威向上のためには是が非でも米国をはじめとする各国からの参加を得たい。そして、それはボイコットによる参加国の大幅減少という惨状を見たくないIOCも同じだ』、1980年のモスクワオリンピック はソ連のアフガニスタン侵攻で、「日本」を含む西側諸国が「ボイコット」したのは記憶に新しいところだ。
・『会長発言でバレてしまった  ニューヨークタイムズは、「バッハ会長は、中国によるワクチン提供について、実際の接種に向けたプログラム、調達されるワクチンの量、そしてかかる費用についての詳細はほとんど述べていない」とした上で、「ワクチン購入代金は、バッハ政権下で中国との緊密な関係を保ってきたIOCにとって、大した支出にはならないだろう」と報じている。 IOCと中国双方の最大課題である「参加辞退国の続出を避ける」という点で目的が合致した結果、「拙速なワクチン提供方針の発表」につながったと見ることもできる。これまで述べたように、IOCに対し中国の「強大な力」が働いていることは間違いなく、バッハ会長が「中国によるワクチン提供」を口にしたことで、中国のワクチン外交推進にIOCが積極的に参加していることがバレてしまう格好となった』、その通りだ。
・『日本は振り回されてはいけない  中国はこれまでに、北京五輪へのボイコットを検討する国々に釘を刺すため、中国共産党系のメディアは「どこかの国がボイコットすれば北京は必ず報復する」と警告している。 一部の国では中国にとやかく言われるのが厄介なので、東京五輪に参加する関係者全員にワクチンを打つことを検討している動きもある。加えてIOCが「中国製ワクチン」に対するお墨付きを与えたことで、中国政府は自国の活動への後押しになると感じているはずだ。そして、北京五輪が最終的に開催されたならば、中国に「巨大なプロパガンダの勝利」をもたらすことになるだろう。 来年の北京大会を実施する中国をひいきする一方、目前の課題である東京大会を潰すわけにもいかないIOC。これがバッハ会長の暴走発言につながったのか。中国当局とIOCの巧妙な仕掛けによる「ワクチン浸透策」に日本は安易に振り回されないようにすべきだ』、「ワクチン」早期確保に失敗した「日本」にとっては、「負け惜しみに聞こえる。

第三に、3月28日付けPRESIDENT Onlineが掲載したノンフィクションライターの木村 元彦氏による「「すべてが密室で決まる利権の祭典」日本人の東京五輪離れが起きた根本原因 「法」と「報」が機能していない」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/44519
・『東京オリンピック・パラリンピックは本当に開催できるのか。ノンフィクション作家の木村元彦さんは「8割の人が中止や延期を望んでおり、日本人の心が五輪から離れている。ステークホルダー・エンゲージメントという考え方から読み解くと、2つの致命的な原因が見えてくる」という』、「ステークホルダー・エンゲージメント」とは何なんだろう。
・『分断の背景にあるもの  東京五輪の延期が決定して、ほぼ一年が経過した。「何が何でも開催する」という掛け声は勇ましくもそこに民意は無く、日本経済新聞の世論調査(2月1日付)では相変わらず回答者の約8割が中止か延期を望んでいるという。 本来、オリンピック好きと言われる日本の人々の心がなぜここまで五輪から乖離してしまったのか。 コロナ禍における日常生活の苦しさから、五輪の受益者である富裕層と、そうではない大多数の人々とのギャップが露見したことが大きい。「これは私たちが愛した五輪ではない」という意識が分断をもたらしたとも言える。 何が足りていなかったのかと考えるときに、私にはスポーツ法が専門の早稲田大学松本泰介准教授が発した「ステークホルダー・エンゲージメント」という言葉が最も腑に落ちた。松本氏によれば「ステークホルダー・エンゲージメント」とは、「プロジェクトの議論や意思決定のプロセスにおいて利害関係者の存在をそこに置かなくてはいけない」という意味のガバナンス論の専門用語だ。 「東京五輪のような膨大な税金を使った国家プロジェクトになれば、利害関係者は国民規模にまで及びます。ときに透明性という言葉も使われますが、単なる一方的、事後的な情報開示だけでなく、どう巻き込むのか、もっと広範な意味を持ちます。ところが、今のスポーツ界はいろんな決め事が、関係団体ではなく、ほとんど政治的な案件として、関係団体の目の届かないところで決定されて来ました」(松本氏)』、「今のスポーツ界はいろんな決め事が、関係団体ではなく、ほとんど政治的な案件として、関係団体の目の届かないところで決定されて来ました」、その通りだろう。
・『「法」と「報」の機能不全  象徴的なのは、安倍晋三前首相が五輪開催の延期を発表したことだった、と松本氏は指摘する。 「契約関係から言えば、これは当然、日本のスポーツ界全体を代表してJOC(日本オリンピック委員会)も含めて行うべきことです。ところがJOCは蚊帳の外に置かれてしまった。米国でUSOPC(米国オリンピック・パラリンピック委員会)が同じようなことをされたら、大問題になりますよ」 本来、当事者であるはずのJOCの山下泰裕会長は延期を知らされることもなく、今年になって発足したいわゆる四者会議(IOC会長、大会組織委会長、東京都知事、五輪担当相が参加)からも外されている。かように重要なことなのに誰も何も言わない。 ガバナンスが崩壊していることに神経がマヒしている。ステークホルダー・エンゲージメントは手間がかかるし、ひとつの正解は無いかもしないが、重要なのはそこでの納得である。プロセスに納得すれば、たとえ運営での不手際などがあっても「私たちの五輪」だという意識が働く。 機能していないのはガナバンスのみならず、報道を担うメディアも同様である。「法」と「報」が機能していないことが、五輪離れを加速させた』、「本来、当事者であるはずのJOCの山下泰裕会長は延期を知らされることもなく、今年になって発足したいわゆる四者会議・・・からも外されている」、言われてみれば、確かに不自然だ。 
・『機能不全の「法」……無視される選手たちの声  2月3日、大会組織委の森喜朗会長(当時)がJOCの臨時評議員会で女性蔑視発言をした。翌日から森氏の処遇の検討と再発防止を求める署名運動がネット上で起こり、約2週間で15万筆超が集まった。署名は組織委に提出された。 これこそがステークホルダーの動きと言って良いであろう。 今回の東京五輪はもはや、選手のためでも自分たちのためでもなく、一部の人たちの利権でしかないことが、あらわになってきた。その中で「オリンピック憲章の定める権利および自由は人種、肌の色、性別、性的指向、言語、宗教、(中略)などの理由による、 いかなる種類の差別も受けることなく、 確実に享受されなければならない」というオリンピック憲章の根本原則は、開催国に暮らす人々の最後の拠り所であったと言えよう。 それを実現する立場にある組織委のトップが自ら貶める発言をした以上、「わきまえて」などいられない。動いたのは「私たちの五輪」をまだあきらめてはいない、スポーツに希望を見出していた人たちであろう。いくらカネ集めと政治に能力があろうとも五輪精神を蔑ろにする人間はNOなのだ。 アスリートも声を上げた。女子100mハードルの日本記録保持者である寺田明日香選手は2月5日、ツイッターで「#わきまえない女」というハッシュタグとともに、こんな投稿をした。(投稿文はリンク先参照) さらに「選手は組織委やJOCの言いなりでないことを示したかった」と発言。この言葉の持つ意味は大きい。組織委もJOCも選手のための組織であるはずだが、被支配の関係にあるという意識を選手たちに持たせてしまっている。 JOCはIOCの意向もあり、各NF(競技団体)に選手の声をくみ上げるアスリート委員会の設置を義務付けている。 しかし、コロナ禍での五輪の在り方はどうあるべきか、アンケートを取るなどの行為は一度もしていない。上意下達であり続けることに現役選手が不信を隠さず、声をあげるのは必然である。世界的にも火のついた世論は収まらなかった』、「組織委もJOCも選手のための組織であるはずだが、被支配の関係にあるという意識を選手たちに持たせてしまっている」、確かに問題だ。
・『機能不全の「報」……追認するだけの報道機関  森氏がIOCからダメを出されるという事態に陥って、次に起きたのが、その森氏による日本サッカー協会元会長・川淵三郎氏への「後継指名」だった。それも唐突に2月11日にメディアによって発表された。 ガバナンス以前の社会通念から見ても、問題を起こして辞任する人が正当なプロセスを吹っ飛ばして後継指名するなど、言語道断である。スポーツ界の常識は社会の非常識になる。ところが、これを伝える報道は、あたかも決まったかのような論調だった。 スポーツ紙に至っては、川淵氏の自宅前での囲み取材から「森氏が涙を流すのを見た川淵氏がもらい泣きして引き受けた」と、まるで義理人情の美談として扱う有り様だった。記事で読む限り、この囲み取材の中で「こんな後継者の決め方で良いのですか?」と聞いた記者がひとりもいなかったとしか思えない。 私にはデジャブが2つある。一つは06年、日本サッカー協会会長だった川淵氏が、惨敗したW杯ドイツ大会直後の記者会見で「あ、オシムって言っちゃったね」と口を滑らせるかたちで次期代表監督候補の名前を出してしまったときのことである。 この会見は、黄金世代を擁しながら2敗1分グループリーグ敗退という結果を招いた責任、技術委員会が別の人物を推薦したにも関わらずジーコ氏を監督に任命した責任を追及するはずのものだった。しかし、川淵氏の発言で空気が一変。翌日の各紙にはすべて「次期代表監督にオシム」という見出しが躍った。 このときも「会長、今はその話ではないでしょう」と疑義を呈する記者はいなかった』、「追認するだけの報道機関」、確かに情けない。
・『あっと言う間に既成事実化された後任人事  私がたまさかその半年前にオシム氏に関する著作を出版していたことから、直後からメディアに頻繁にコメントを求められたが、「良かったですね。川淵会長は木村さんの『オシムの言葉』を読んで次期監督に選んだと言っていましたよ」と伝えてくる記者がほとんどだった。ああ、スポーツライターは舐められているのだ、と憤怒に駆られた。 「会長はお目が高い」と言うとでも思ったのだろうか。ここで起きたのは、代表監督選考と要請のプロセスを経ずしてのモラルハザードである。以降私は、オシム氏についてのコメントは出すが、それは川淵会長のこの横紙破りに対する批判と必ずセットにして欲しいと伝えて対応した。それでもオシム氏の代表監督就任はあっと言う間に既成事実化されてしまった。当時と同じではないか。 もうひとつは我那覇和樹選手(現福井ユナイテッド)のドーピング冤罪事件におけるミスリードである。詳細は、『07年我那覇和樹を襲った冤罪事件。「言わないと一生後悔する」』(sportiva、2019年02月08日) を参照していただきたい。 川淵氏はこのときも、事実確認前にもかかわらずスポーツ紙に対し、我那覇選手の懲罰処分の内容にまで言及するという極めて軽率な発言をした。選手を守るべき競技団体のトップとしてはあらざる行為だった。 (この冤罪を看過すれば、選手たちに正当な医療行為ができなくなるとして立ち上がったサンフレッチェ広島の寛田司ドクター(当時)は「協会のトップによるあの発言がマスコミに出たことで、Jリーグももう過ちを認めて引き返すことがなくなった」と回顧する)) 今回もまたプロセスを飛ばしての密室人事が既成事実化されかけた。後押ししたのは再びマスメディアである。残る人生のベストを尽くすと意欲を見せていた川淵氏であるが、官邸からのストップ(一説にはIOCが止めたという報道もある)がかかり、2月11日の午後10時には、就任を固辞したとされる。 しかし、翌12日のテレビのワイドショーでは、「世界が注視している中での人選は正当な手続きで行われるべきではないか」という議論の無いまま、またも「新会長の川淵さんはどんな人?」というテーマに終始した』、「オシム」問題はともかく、「我那覇和樹を襲った冤罪事件」での「川淵氏」の姿勢は酷いと、初めて知り、幻滅した。
・『「密室の後継者選び」の真相  私はまた、その2月11日に気になる情報を目にした。同日午前中にスポーツ法学会の境田正樹弁護士が「今日15時から森さん、川淵さん、と私で会うことになりました」と自らが密室での後継者選びを繋ぐことを発信していたのである。境田氏はスポーツ界のガバナンスの強化をする立場の人間である。 境田氏が森氏、川淵氏を会長として適任と思うのであれば、それもまたひとつの意見ではあろうが、「組織委員会の会長は理事会から選ばれる」という定款があるにも関わらず、ガバナンスをアドバイスする立場の人間が、後継指名をする森氏の仲介者として間に入って動いた。 しかも直後に「川淵さんに何とか引き受けて頂きました」というようなワードを発信。これらが流れて私のところにも送られて来たのだ。「引き受けて頂いた」というのは主語が境田氏になるが、字義通りならば、明らかにガバナンス違反にあたる。 なぜ、境田氏はかような行動をとったのか。三者(実際はもうひとり九州のラグビー関係者も同席していたということであるが)の会談の中で何が話し合われたのか、境田氏にインタビューを申し込んだ』(Qは聞き手の質問)、「スポーツ法学会の境田正樹弁護士」が「明らかにガバナンス違反」を犯したというのも、驚かされた。
・『森・川淵両氏の仲介人の弁明  Q:今回の世論の猛反発というのは、川淵さん自身に対してというよりも、決め方のプロセスだったと思います。「評議員でしかない俺が特筆されているような形で名前があがるっていうのは、俺自身もおかしいと思ってた」と本人がおっしゃっています。しかし、人事自体があたかも決まったかのように発信されました。 【境田】僕も予想外で、当然、川淵さんと僕と、(11日午後)3時から森さんのところで会ったときには、これはまだ全然、内々の話で、これからいろんな手続きが進むということはお伝えしていました。 森さんも川淵さんに対して、今回の話は、候補にあがってからの話だから、これは内々だよというのは、言っているんですよ。なので、三者会談が終わった後、ご自宅の前で、川淵さんが記者の前で既に会長就任をしたら、というご発言までされたことは、想定外でしたね。 ただ、3人で会うっていうことは、どうも別の人が記者に既に話しておられたそうで、それで記者も川淵さんのご自宅前に集まっていたみたいですね』、「森さんも川淵さんに対して、今回の話は、候補にあがってからの話だから、これは内々だよというのは、言っているんですよ」、なのに決定事項のように話した「川淵」氏はどういう神経の持ち主なのだろう。ボケてしまったのだろうか。
・『「もしも選ばれたときにお願いします」  F:境田さんは、森さんから川淵さんとの会合のセッティングを頼まれたときに「こういう決め方はよくないんじゃないですか」とは言わなかったんですか? 【境田】いえ、私も法律家なので、これから会長選考プロセスがあることは百も承知です。森さんの意向とは関係なく、会長選考委員会が最終的に会長を推薦するというのは当然の話ですよ。ただ、選ぼうとするときに、誰も候補者が出ないってわけにはいかないでしょうと。 だから「もしも選ばれたときにお願いします」っていうお話をしたに過ぎないし、3人で会ったときにも、もちろんそういう話はしていたのですよ。そのことは、実は、川淵さんも囲み取材の冒頭で話をしているのです。なので、今回のもろもろの批判は、川淵さんがマスコミに話した発言の一部を切り取ってメディアがそのように評価をしている、とも言えるかもしれませんね。 F:私は記者に対しても腹が立っていて。「こんな決め方、組織委の定款と違うじゃないですか!」と言う人間がなぜいなかったのか。川淵さんも「自分が特筆されているのはおかしい」って話しているわけだから、そういう質問が出れば自制がきいたんじゃないかと思うんですよ。 【境田】先ほど言いましたように、「もしも今後、会長に選ばれたらの話だよ」とは川淵さんは言っているんですよ。11日の5時ぐらいの会見の冒頭でね。ただ、その時点で、「決まったらこうする」とか、まだ言う必要のないことまでおっしゃたのは事実ですね』、なるほど。 
・『ガバナンスを確保するために最善の方法」 F:境田さんは後継指名人事に加担する気は無かったということですか。 【境田】僕はそこに介入するとか、加担するとかのつもりは全く無くて、2人に面識のあるというところにおいて間に入って、会談の場をセットした。将来的にもし選ばれたときにはお願いしますっていう話はしたという、そこだけですね。僕ね、木村さんにはね、この件の本当に根っこのところをわかってもらいたいんですよ。 我那覇の事件を通じて思ったのが、スポーツ団体がちゃんとガバナンスを構築できていないとあんな不幸なことが起きるということ。なので、2019年には、スポーツ庁でスポーツ団体向けのガバナンスコードの立案に関わりましたし、その遵守を求めて、スポーツ団体にガバナンス改革に取り組んでもらっているわけです。 今回も、組織委員会というスポーツ団体のトップが変わらなければいけないという緊急事態下で、組織委員会のガバナンスを確保するために最善の方法は何かと考えた末に取った行動であったことをご理解頂ければと思います。 ただ、この15年近く、いろいろなスポーツ政策の立案やスポーツ団体の改革に関わってきた原点には我那覇(冤罪)事件があります。我那覇事件をもう一度起こさないため、いわば、我那覇への償いなんですよ』、しかし、結果的に「川淵」氏の言動で問題を起こしたことには、一端の責任もありそうだ。
・『後継人事は、結局自民党内の「玉突き人事」  候補者検討委員会が出した組織委会長の後継の結論は、橋本聖子五輪担当相だった。 一方でその五輪担当相の後釜には、選択的夫婦別姓に反対する丸川珠代氏が就いた。ジェンダー平等をうたうオリンピック憲章とは相いれないスタンスである。これもまたステークホルダーを巻き込んだ議論の結果とは到底言えず、自民党内の玉突き人事である。 3月16日、宮城県は確保した五輪の都市ボランティア約1700人の内、コロナへの不安などで600人近くが参加を辞退する動きがあることを発表した。辞退の増加には、二階幹事長などのボランティア軽視の発言も無関係ではないだろう。 ここまでの五輪離れから、一度、地に落ちた信頼と信用を取り戻すには、再度、「これこそが自分たちの平和の祭典」という意識をもたらす改革が不可欠であろう。 スポーツメディアもまた「密室に詳しい人」「密室に入れる人」を持ち上げ、次は誰かという人事当てクイズをするのではなく、その決定プロセスに上辺だけでなくガバナンスや透明性が効いているか、常にチェックを怠らぬことが肝要である。 セクシャルハラスメントも、ドメスティックバイオレンスも言語化することで問題解決が認識できた。 ステークホルダー・エンゲージメント。流行らせるべきワードである』、同感である。

第四に、3月27日付けAERAdotが掲載した解剖学者の養老孟司氏による「「解剖学的視点で見ると『オリンピックは現代の歪み』だ」」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021032500028.html
・『3月25日に東京五輪の聖火リレーが始まった。しかし、本当に開催できるのか。解剖学者の養老孟司さんに話を聞いた。 私の場合、最初から東京五輪というものに気乗りがしていませんでした。石原慎太郎さんが東京都知事のときにオリンピックを東京に招致する構想が打ち出された時点で、やめればいいと思っていた。あれも老害の一つだったんじゃないでしょうか。政治家たちが五輪に固執しているのは、1964年東京五輪の成功体験が残っている年齢層の願望が強く働いているのではないかと思っています。 前回の東京五輪開催時、私は20代でした。一番印象に残っているのは、エチオピアのマラソン選手アベベの姿です。ところが何年か後、五輪が開催される競技場のトラックにポリウレタンを何層構造かにして埋め込んで、反発を良くするうんぬんという話になってきた。ちょうど、筋肉増強剤などを使ったドーピングの取り締まりが厳しくなったころです。人体への規制を厳しくする代わりに、周りの設備などを改良することで記録を更新しようとし始めた。水泳の水着に対する議論もありましたよね。 人工的なグラウンドによって世界記録を出すとか、あまり意味がないような気がしますね。いつの間にか、どこからが自然で、どこからが人工なのか、線引きがわからなくなってしまった。 解剖学からみると、五輪型の身体の使い方はノーマルではないのです。ヒトの身体は競争するようにできていません。虎が追いかけてくるわけでもないのに必死に100メートルを走ってどうするんだと、いつも思っています。 教科書などで皮膚を剥いだ人体の絵を見たことがありますよね。様々な部位の筋肉が描かれていますが、これらの大きさはひとりでに決まっているのです。ですが、五輪選手はその標準から外れている。例えば、水泳選手は肩幅が標準よりも広いなど、特定の筋肉が大きくなってしまっている。 私が適当な運動だと思うのは、本来の筋肉の大きさが保たれ、まんべんなく体を使っている状態。人間の身体は自然が時間をかけてつくり上げてきたわけで、人が意識して設計したわけではない。それを現代人は歪めてきた。五輪を見ていると、現代人の歪みの一部を見ている気がします。 世界一になるために一生懸命に練習する選手は「自分に勝つ」と、自分自身までをも敵にしてしまっている。身体がもう嫌だって悲鳴をあげているのに、なぜそこまで無理をしなければならないのか。よくわかりません』、「解剖学からみると、五輪型の身体の使い方はノーマルではないのです。ヒトの身体は競争するようにできていません。虎が追いかけてくるわけでもないのに必死に100メートルを走ってどうするんだと、いつも思っています」、「人間の身体は自然が時間をかけてつくり上げてきたわけで、人が意識して設計したわけではない。それを現代人は歪めてきた。五輪を見ていると、現代人の歪みの一部を見ている気がします。 世界一になるために一生懸命に練習する選手は「自分に勝つ」と、自分自身までをも敵にしてしまっている。身体がもう嫌だって悲鳴をあげているのに、なぜそこまで無理をしなければならないのか。よくわかりません」、いずれも「養老」氏ならではの鋭い指摘だ。こういう冷めた見方は清涼剤になる。 
タグ:養老孟司 池上彰 東京オリンピック ヤマザキマリ PRESIDENT ONLINE (五輪) 木村 元彦 AERAdot さかい もとみ (その15)(「わきまえる」は「自粛警察」に相通ずる日本的考え方、「東京五輪に中国製ワクチンを」IOC会長の暴走のウラにある"中国の恩" 次の北京冬季五輪への"布石"か、「すべてが密室で決まる利権の祭典」日本人の東京五輪離れが起きた根本原因 「法」と「報」が機能していない、養老孟司「解剖学的視点で見ると『オリンピックは現代の歪み』だ」) 「「わきまえる」は「自粛警察」に相通ずる日本的考え方」 わきまえるという言葉はなかなか難しいですね。人々全体の価値観が統一しないとうまく稼働しないでしょう。イタリア人の場合、少なくとも私の周りの人は誰もわきまえてないですから(笑)。欧米は思ったことを言わないと潰されてしまう社会ですから、黙っていても始まらない」 「私はイタリア暮らしが長いこともあって、思ったことは全部吐露してしまう傾向があります。一応根本的には日本人ですから、場合によってはわきまえる気持ちは稼働させますが、でもやっぱりこれはおかしいとなればそれに対して、きちんと意思表示はしないと体内に毒素をため込むようで気持ちが悪い」 「きちんと意思表示はしないと体内に毒素をため込むようで気持ちが悪い」とは言い得て妙だ (ヨーロッパ人が)どうしてわきまえないかっていうと、日本のような個人の考え方を抑制する「世間体の戒律」がないからなんでしょうね。日本にはキリスト教国やイスラム教国のような宗教的な戒律はありませんが、流動的な世間体の戒律っていうのがありますよね。「自粛警察」もそう。正義感から、他人の行動を監視して世間的な戒律にそぐわない行為をしている人を批判するということでしょうが、わきまえるっていう言葉が妙にマッチするような気がします」、「世間体の戒律」とは上手い表現だ 「今の日本では思ったことを言語化するのはよくないことと捉えている風潮があるどころか、言葉の性質が制限されすぎて、かつては使えていたのに今は使えない言葉がたくさんある。このコロナ禍では、世間の戒律や空気に従うだけで、社会の風潮に対して批判的考えを持たないそんな現代の特徴があらわになった気がしています」、なるほど由々しい傾向だ 確かに現在の日本人の「言語化されてない」表現は、「ソクラテス」から怒られるのは必至だ 「「東京五輪に中国製ワクチンを」IOC会長の暴走のウラにある"中国の恩" 次の北京冬季五輪への"布石"か」 突如浮上した「東京五輪に中国製ワクチン」 結果論にはなるが、中国の「ワクチン」外交活発化を踏まえれば、日本としては、「IOC」への「働きかけ」に対して事前に備えておくべきだった 「IOC]が「「東京五輪出場選手向けの参加マニュアル」で、「日本入国前に自国のワクチン接種ガイドラインに従って自国でワクチン接種を受けることを推奨および支援します」、としているのであれば、中国の無償供与はIOCにとっても好都合だ。 「バッハ会長」が「中国」に大きな恩義を感じているのであれば、日本側としてはますます「中国」の出方を予測して、備えておくべきだった。 「疑念は残る」とソフトな表現になっているが、実態は「疑念」が強まったの方が適切だろう。 警告は遅きに失したようだ 1980年のモスクワオリンピック はソ連のアフガニスタン侵攻で、「日本」を含む西側諸国が「ボイコット」したのは記憶に新しいところだ 「ワクチン」早期確保に失敗した「日本」にとっては、「負け惜しみに聞こえる。 「「すべてが密室で決まる利権の祭典」日本人の東京五輪離れが起きた根本原因 「法」と「報」が機能していない」 ステークホルダー・エンゲージメント 「今のスポーツ界はいろんな決め事が、関係団体ではなく、ほとんど政治的な案件として、関係団体の目の届かないところで決定されて来ました」、その通りだろう 「本来、当事者であるはずのJOCの山下泰裕会長は延期を知らされることもなく、今年になって発足したいわゆる四者会議 からも外されている」、言われてみれば、確かに不自然だ 「組織委もJOCも選手のための組織であるはずだが、被支配の関係にあるという意識を選手たちに持たせてしまっている」、確かに問題だ 「追認するだけの報道機関」、確かに情けない。 「オシム」問題はともかく、「我那覇和樹を襲った冤罪事件」での「川淵氏」の姿勢は酷いと、初めて知り、幻滅した 「スポーツ法学会の境田正樹弁護士」が「明らかにガバナンス違反」を犯したというのも、驚かされた 「森さんも川淵さんに対して、今回の話は、候補にあがってからの話だから、これは内々だよというのは、言っているんですよ」、なのに決定事項のように話した「川淵」氏はどういう神経の持ち主なのだろう。ボケてしまったのだろうか しかし、結果的に「川淵」氏の言動で問題を起こしたことには、一端の責任もありそうだ ステークホルダー・エンゲージメント。流行らせるべきワードである』、同感である 「「解剖学的視点で見ると『オリンピックは現代の歪み』だ」」 「解剖学からみると、五輪型の身体の使い方はノーマルではないのです。ヒトの身体は競争するようにできていません。虎が追いかけてくるわけでもないのに必死に100メートルを走ってどうするんだと、いつも思っています」 「人間の身体は自然が時間をかけてつくり上げてきたわけで、人が意識して設計したわけではない。それを現代人は歪めてきた。五輪を見ていると、現代人の歪みの一部を見ている気がします。 世界一になるために一生懸命に練習する選手は「自分に勝つ」と、自分自身までをも敵にしてしまっている。身体がもう嫌だって悲鳴をあげているのに、なぜそこまで無理をしなければならないのか。よくわかりません」、いずれも「養老」氏ならではの鋭い指摘だ。こういう冷めた見方は清涼剤になる。
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バイデン政権(その1)(バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役、「トランプ逮捕」はあるか 財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に、政局を横目にバイデン政権は安全運転 その先は?) [世界情勢]

今日は、バイデン政権(その1)(バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役、「トランプ逮捕」はあるか 財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に、政局を横目にバイデン政権は安全運転 その先は?)を取上げよう。なお、前回は「トランプ VS バイデン(その3)」として、1月26日に取上げた。

先ずは、3月6日付け東洋経済オンラインが掲載した米州住友商事会社ワシントン事務所 調査部長の渡辺 亮司氏による「バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/415358
・『バイデン大統領は任期中で最も重要となるかもしれない法案に間もなく署名する。それは過去1年間、アメリカ国民を悩ましてきたパンデミックに終止符を打つべく、最大1.9兆ドル(約200兆円)規模の追加経済支援策「アメリカ救済計画法案」だ。だが、バイデン政権は選挙公約に反し、初っ端から民主党単独で強行採決し、法制化に至る見通しだ』、興味深そうだ。
・『バイデンの理想どおりに進む議会審議  追加経済支援策では、バイデン大統領は最初から超党派合意は棄てていたように見える。政権発足から2週間も経たない2月1日、バイデン大統領は穏健派の共和党上院議員10人とホワイトハウスで面談。彼らが提案する6180億ドルの支援策と政権の目指す1.9兆ドルの支援策の妥協案を模索する交渉がその後始動するかとも思われた。 だが、その期待はすぐに消え去った。政権は聞く耳を持っているそぶりを見せていたものの、共和党との妥協案を交渉する意思はなかったのだ。会合から約1週間後には議会民主党が予算決議を通し、バイデン政権が民主党のみで可決できる財政調整法を利用し法案策定を進めたことは、共和党を激怒させた。 政権が超党派合意を早期に放棄したのには理由がある。バイデン政権では、ロン・クレイン大統領首席補佐官をはじめ2009年の苦い経験を鮮明に記憶しているオバマ政権経験者が多数、要職に就いている。当時、リーマンショック後の景気対策「アメリカ再生・再投資法(ARRA)」で、オバマ政権は共和党の支持獲得のために支援額を減らすことなどに妥協するも、結局、ほとんど共和党の支持を得ることができなかった。 減額されたことが経済回復の遅れをもたらし、オバマ政権の経済対策を批判する共和党が翌年の中間選挙で下院議席を63も民主党から奪い大勝し、民主党にとって悲惨な結果をもたらした。これを教訓に、危機の中で時間を無駄に過ごすという同じ過ちを犯してはいけないと政権幹部は考えているのだ。 そしてバイデン政権は単独行動に強気となれるもう1つの理由がある。議会では共和党が1人も賛成しないとしても、国民世論において追加経済支援策は党派を問わず幅広い支持を得ているのだ。モーニングコンサルト紙・ポリティコ紙が実施した世論調査(2月26日~3月1日)によると、追加経済支援策は全国民の77%、共和党支持者のみでも59%の支持を集めている。民主党は超党派の定義を「議会」ではなく「国民」にすり替え、公約違反でないことを主張している。 いずれも「上院の生きもの」とも呼ばれるバイデン大統領と共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は、上院で24年間ほど肩を並べて働いた仲だ。お互いの信頼関係は揺るぎがないとも報道されてきた。ジョージア州決戦投票により民主党の上院奪還が確定するまでは、ワシントンの「パワーカップル」になるとも称され、超党派合意に期待感が高まっていた。 だが、その期待は甘く、2極化社会における議会には個人的な信頼関係では乗り越えられない壁があることが明らかになってきた。追加経済支援策のように国民に人気の法案でさえ、議会で超党派の合意を得られていない。そのことは、今後4年間の政権運営の厳しさを示唆し、多くの場面でバイデン大統領は民主党のみで可決できるものに頼らざるをえない。したがって今日、バイデン政権にとって重要なのは、超党派合意よりも民主党の党内団結となっている』、「オバマ政権」時代の「共和党の支持獲得のための妥協が、民主党のトラウマになっているようだ。「バイデン政権にとって重要なのは、超党派合意よりも民主党の党内団結」、なるほど。
・『民主党穏健派ジョー・マンチンの影響力  民主党がホワイトハウス、そして上下両院を握る「三冠(トライフェクタ)」が実現したワシントン政治において、新たな「パワーカップル」は2人のジョーだ。1人はもちろん、ジョー・バイデン大統領。そして、もう1人は民主党穏健派の代表格ジョー・マンチン上院議員だ。その影響力は議会民主党トップのナンシー・ペロシ下院議長やチャック・シューマー上院院内総務をも上回ると指摘される。 トライフェクタであっても、民主党内では急進左派と穏健派で政策は大きく異なり一枚岩ではない。特に上院では民主党50議席・共和党50議席で、カマラ・ハリス副大統領の決定票でぎりぎりの過半数を得る窮屈さで、民主党議員の造反を1人も許す余裕がない。バイデン政権は党内で最も勢いがある民主党急進左派の望む項目を多々、政策目標に盛り込んでいるが、大幅な左傾化からの防波堤となっているのがマンチン氏を筆頭とする数名の民主党穏健派議員だ。 マンチン氏は、人口が日本の札幌市よりも少ない約180万人のウェストバージニア州選出の上院議員だ。同州ではトランプ大統領が2016年も2020年も圧勝し、2020年は全米でワイオミング州に次ぐ大差で勝利したレッドステートだ。ウェストバージニア州選出の政治家は共和党ばかりで同氏は孤立している。 マンチン氏は政策によっては同じ政党の急進左派よりも、共和党穏健派に近い。ホワイトハウスは、コロナ対策をはじめ重要な政策で民主党穏健派の中でも特に同議員の動向を注視している。直近ではリベラル派のニーラ・タンデン氏を行政管理予算局(OMB)局長に指名する案を撤回させるなど、人事面でもマンチン氏は影響力を行使している。) 追加経済支援策の中身は大きく分けると、3つ。第1に伝統的な景気刺激策、第2にコロナ対策に直接関わる支援、第3に支援策に便乗して追加された民主党が長年掲げる政策だ。支援規模以外では民主党穏健派や共和党は3つ目の便乗政策について特に懸念を示してきた。便乗政策の中で最も注目を集めたのが最低賃金引き上げだ。 バイデン政権は上院の財政調整法を利用する場合、そもそも時給15ドルへの最低賃金引き上げは議会職員である議事運営専門員(パーラメンタリアン)の判断で、最終法案に盛り込まれないと見ていた。財政調整法の適用範囲は、歳出、歳入、債務上限に関わる分野などに限定されている。にもかかわらず、あえて法案に含めることを支持してきたのは、長年、急進左派が強くこだわっている政策であるからだ。 パーラメンタリアンは各政策について中立的な立場で財政調整法に盛り込むことが適切か判断を下す。その際の判断基準は、ウェストバージニア州選出という意味ではマンチン氏の大先輩に当たるロバート・バード元上院議員が作成した「バードルール(Byrd rule)」だ。パーラメンタリアンの審査はバードバス(Byrd(bird) bath:鳥の水浴び)、そしてその過程でバードルール違反として却下(drop)される行為はバードドロップ(Byrd(bird) drop:鳥の糞)と議会職員の間では呼ばれている』、「パーラメンタリアン」とは面白い制度だ。
・『2人のジョーを救ったパーラメンタリアン  バイデン政権は党内団結のためにも、急進左派と穏健派の微妙なバランスを取らなければならない。だが、中立な立場のパーラメンタリアンといった第三者が判断するのであれば、急進左派も政権に対し文句をいえないであろうとの計算があった。したがって2月25日、パーラメンタリアンが最低賃金をバードドロップしたことはバイデン政権にとっては理想の結果であったのだ。 仮にパーラメンタリアンが時給15ドルの最低賃金引き上げを認めていたら、バイデン政権にとって厄介なこととなっていた。その場合、上院では少なくとも穏健派のキルステン・シネマ氏(アリゾナ州選出)とマンチン氏の民主党議員2人が支援策に反対票を投じ廃案となるか、あるいは、可決に時間を要することが想定されていたからだ。バイデン政権の重要法案を廃案に追い込んだとすれば、民主党穏健派議員は民主党支持基盤からの批判を受け、苦境に陥っていたであろう。) だが、実際にはパーラメンタリアンの判断はあくまでも助言にすぎず法的拘束力は伴っていない。議会ではカマラ・ハリス副大統領がパーラメンタリアンの判断を覆すシナリオに関するメモが出回っていた。特に下院の急進左派が最低賃金の引き上げを長年支持してきた同副大統領に圧力をかけていたのは確かだ。 しかし、急進左派からの圧力は見られたものの、追加経済支援策が崩壊する事態までには発展せず、法案可決に向けて民主党は団結し着実に前進している。バイデン大統領にとって理想通りの展開となっている』、「民主党」も「穏健派」と「急進左派」の幅が広いので、バランスを取る「バイデン大統領」も大変だ。
・『左傾化を避け、中間選挙で三冠を堅持できるか  政権と同じ政党が上下両院を握っている場合、大統領は任期1期目の中間選挙で上院あるいは下院で多数派の座を失うケースが多い。たいていは与党内の左派あるいは右派の行きすぎた政策に対し、国民からしっぺ返しを食らうものだ。 議会で共和党の支持を得られず民主党のみで間もなく成立する追加経済支援策も、同様の運命にあるのか。今後、共和党が同支援策は急進左派の望むリベラルな政策であると烙印を押す格好でイデオロギーをめぐる争いを仕掛けるであろう。 一方、民主党は危機時に国民に人気の現金給付などに共和党が反対したことを訴えて反論するであろう。そもそも現金給付はトランプ前政権も支持していたことだ。追加経済支援策への国民の高い支持率が、中間選挙に向けてどう推移するか注目だ。15ドルへの最低賃金引き上げ断念に加え、タンデン氏指名承認の断念は一見、バイデン政権の失敗とも見えるが、左傾化のイメージを払拭するうえで、バイデン政権にとって中長期的には喜ぶべきことかもしれない。 今年10月以降の2022年度予算では、バイデン政権の次の重要法案である環境に軸足を置いたインフラ整備法案を再び民主党のみで可決しようとするだろう。マンチン氏をはじめ穏健派の抵抗によって政策の左傾化を避け、同時に経済回復の追い風が吹けば、民主党は2022年中間選挙での敗北を免れるかもしれない。アメリカ政治の行方はパンデミック、経済の行方などさまざまな不確実性がつきまとうが、確実なのは2人のジョーが中間選挙までの約20カ月間、ワシントンの政治を大きく動かしていくことだ』、「2人のジョー」のお手並みを拝見するとしよう。

次に、3月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した国際ジャーナリスト・外交政策センター理事の蟹瀬誠一氏による「「トランプ逮捕」はあるか、財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に」を紹介しよう』。
https://diamond.jp/articles/-/266588
・『ハードディスクの入手でトランプへの捜査は核心へ  逮捕され刑務所に送られるのか。それともお得意のウソとハッタリでまたも法の網を潜り抜けるのか。司法当局によるドナルド・トランプ前米大統領に対する捜査が核心に迫りつつある。 吹雪の中、ニューヨーク郊外の会計事務所を訪れた地方検事補佐と2人の捜査官は「ある物」を受け取ると急いでマンハッタン南端に立つ古びた州庁舎へ車を走らせた。2月末のことである。 「ある物」とは、トランプの過去8年分の納税記録など財務資料が記録されたハードディスクだ。脱税や保険詐欺、業務記録の改ざんなど前大統領の犯罪を裏付ける重要な証拠である。) 地元メディアの報道によると、そのハードディスクは州庁舎の特別な部屋に保管されている。入口は頑丈な二重の金属ドアで、内部の壁や天井には銅箔が張られているという。外部からリモートでデジタル情報にアクセスさせないためだ。そんな厳重な警戒ぶりからみても、資料の中には「大統領の犯罪」を立証する決め手が含まれていることは間違いないだろう。 トランプは在任中、大統領の免責特権を盾に背任、共謀、職権乱用、司法妨害、脱税、詐欺などさまざまな疑惑の追及を逃れてきた。歴代大統領が慣例として行ってきた納税申告書の公開も、「政治的な魔女狩りだ!」と叫んで拒否し続けた。 しかし、今や「ただの一市民」となったトランプに免責特権はない。最高裁は2月22日、ニューヨーク州マンハッタン地区主席検事サイラス・ヴァンスの要請を認め、前大統領に財務資料の提出を命令した。さすがのトランプもこれには逆らえない。判決からわずか数時間後、膨大な資料が収められたハードディスクがトランプの会計事務所から司直の手に渡った。 この資料を基に検察が起訴すれば、内容が一般にも公開される可能性がある。場合によってはトランプ自身が法廷で証言を求められるかもしれない。そうなれば見ものだ』、「大統領の免責特権を盾に背任、共謀、職権乱用、司法妨害、脱税、詐欺などさまざまな疑惑の追及を逃れてきた」のが、「過去8年分の納税記録など財務資料が記録されたハードディスク」から何が出てくるのか、楽しみだ。
・『脱税と不正税申告を集中的に捜査  ニューヨーク州検察が集中的に捜査しているのは脱税と不正税申告だ。そのため州検察は捜査チームにFTIコンサルティングというフォレンジック会計の専門家を雇った。フォレンジック会計は訴訟会計とも呼ばれ、会計上の違法行為を見つけて裁判に耐えうるデータを集める作業のことだ。トランプの不明朗な金の流れを精査するのが目的だが、捜査の中立性を担保する狙いもある。 それだけではない。ニューヨーク・マフィア5大ファミリーのひとつ、ガンビーノ一家のボスの息子を有罪にしたことで有名な元連邦検察官マーク・ポメランツも捜査チームに加わっている。マフィアの巧妙な脱税手口を知り尽くしたベテランだ。 「彼らは本気だ。すでに確証に近いものを手に入れ、その仕上げにかかっているようだ」と、トランプ大統領上級顧問だったケリーアン・コンウェイの夫で反トランプ弁護士のジョージ・コンウェイは地元誌のインタビューで語っている。 トランプの財務記録を巡っては、すでに米ニューヨーク・タイムズ紙が独自入手した資料を基にスッパ抜いている。例えば、富豪のはずのトランプが大統領選以前の15年間のうち10年間にわたり連邦所得税を納めなくて済んだカラクリや、勝利が決まった2016年の納税額がたったの750ドル(約8万円)だったことなどだ。 そもそもトランプの犯罪捜査は2018年までさかのぼる。当初は2016年の大統領選挙中にポルノ女優とのセックススキャンダルをもみ消すために数十万ドルの口止め料を支払ったことが公職選挙法違反に当たるというものだった。しかしその後、捜査はトランプ個人の不正疑惑だけでなく一族が経営するトランプ・オーガニゼーションを巻き込んだ粉飾決算、詐欺、背任などに広がっていった。 すでに元顧問弁護士でトランプの忠実な「ピットブル(闘犬)」と呼ばれたマイケル・コーエンが司法取引に応じて有罪を認め、脱税と選挙資金法違反で禁固3年の有罪判決を受けている。ボスに見捨てられた恨みは深い。「あいつ(トランプ)はずるいウソつき、詐欺師だ」と議会証言で前大統領をこき下ろし、今も捜査に協力している。 新司法長官メリック・ガーランド(民主党)が許可すれば、検察は年内にもトランプを複数の容疑で刑事告発できるとヴァンス主席検事は自信を深めているという』、「年内にもトランプを複数の容疑で刑事告発できる」、とは既に証拠を握ったのだろうか。
・『検察の切り札は金庫番との司法取引  しかし法律専門家の間では、前大統領の刑事告発はそう簡単ではないという指摘がある。なぜなら裁判では、トランプに「合理的疑いの余地のない」明確な犯罪の意図があったことを陪審に証明しなくてはならないからだ。そのためには財務資料とともに決め手となる関係者の証言が欠かせない。 すでに検察はトランプ一族と関係の深いドイツ銀行従業員など関係者多数に聞き取りを行った模様だが、油断は禁物だ。実業家時代にトランプは4000件近くの訴訟を抱えたが、いずれも狡猾な手段を使って切り抜けているからだ。 じつはトランプの側にはマフィアの守護神といわれた悪徳弁護士ロイ・コーンが常についていた。ウソとハッタリで敵を容赦なくたたきつぶす者が最後に勝者となるという処世訓をトランプにたたき込んだのもこの男だった。 コーンはすでにこの世を去っているが、トランプは彼から犯罪の痕跡を残さない術を学んでいる。例えば、自分の机にはコンピューターを置かず個人的電子メールアドレスも持たない。メッセージは側近に書かせる。不正行為を指示するときには言質を取られないよう曖昧な言葉を使って自分の意図を部下に忖度(そんたく)させる。悪徳政治家やヤクザの常とう手段だ。いざとなったら知らんふりをして責任を他人になすりつけることができる。 そんな悪賢い前大統領に対して、検察の切り札は長年トランプ一族の忠実な金庫番を務め誰よりも黒い金の流れを知る最高財務責任者のアレン・ワイゼルバーグ(73歳)だ。もしワイゼルバーグがコーエン受刑者と同じように司法取引に応じて証言すれば、トランプは窮地に追い込まれるだろう。 前大統領のめいで自著でトランプ一家の暗部を暴露したメアリー・トランプはこう言ってはばからない。 「すべての死体(犯罪の証拠)がどこに埋められているかはワイゼルバーグが知っています」』、「ワイゼルバーグ」は確かに「検察の切り札」のようだ。
・『平静を装うトランプだが 無傷の逃げ切りは困難  それではトランプ本人は何をしているのだろうか。知人で米ニュース誌記者のビル・パウエルによると、フェイスブックやツイッターから排除されて発信力を失った前大統領は平静を装ってフロリダの高級リゾートでゴルフ三昧の日々を過ごしているそうだ。 しかし、誇大妄想で偏執狂のトランプがそうたやすく引き下がるわけがない。パームビーチに「The Office of the Former President(元大統領のオフィス)」という珍妙な名前の事務所を開設し、陣営の上級顧問ジェイソン・ミラーや元主席戦略官だったスティーブ・バノンたちと共和党乗っ取りをひそかに画策しているという。いまだにトランプを恐れる大多数の共和党議員を利用して白人至上主義とアメリカファーストを推し進めようというのだ。 トランプの政治資金団体である「Save America(アメリカを救え)」はすでに約8000万ドルもの寄付金を集めており、来年の中間選挙でトランプに忠誠を誓う共和党候補につぎ込む手はずだ。 弾劾裁判でトランプに反旗を翻した共和党議員への仕返しも忘れていない。「復讐リスト」には、下院共和党ナンバー3のリズ・チェイニー下院議員を含む10人以上の共和党議員の名前がズラリと並んでいる。どんな汚い手を使っても彼らを落選させるつもりだ。 とにかくトランプは蛇のように執念深い。実業家時代に黒い組織の人脈から2つのおきてを学んでいるからだ。ひとつは「やられたら容赦なくやり返せ」。もうひとつは「ボスを裏切ったヤツを絶対に許さない」である。 そんな負けず嫌いのトランプも今度ばかりは無傷で逃げ切るのは難しいだろう。検察側が時間をかけて周到に物的証拠や証言を積み重ねてきているからだ。 コロナ感染対策と経済再建で手いっぱいのバイデン大統領はトランプ起訴には消極的だ。だが、これほどまでに悪質な「大統領の犯罪」を見逃せば、民主主義の根幹である法の支配を揺るがすことになりかねない。不安の声が法曹界や民主党支持者の間で高まっている。 アメリカ社会を分断し世界秩序を混乱させたトランプ前大統領は、果たしてどのように裁かれるのか。重厚なローマ様式のニューヨーク郡裁判所ビルの正面を見上げると、初代大統領ジョージ・ワシントンの次のような碑文が刻まれている。 「真の司法権は良識ある政府の最も強固な柱である」』、「「Save America・・・はすでに約8000万ドルもの寄付金を集めており」、「「復讐リスト」には・・・チェイニー下院議員を含む10人以上の共和党議員の名前がズラリと並んでいる」、やはり司法的手段で葬り去るのが王道のように思える。

第三に、在米作家の冷泉彰彦氏が3月6日付けメールマガジンJMMに掲載した「政局を横目にバイデン政権は安全運転、その先は?」from911/USAレポートを紹介しよう。
・『何かと社会を騒がせてきたトランプがフロリダに隠棲して、アメリカ社会は静かになるかと思われたのですが、そうも簡単には行かない状況があるようです。トランプ不在の政局とはいえ、アメリカの政界は落ち着く暇はないようです。 騒がしいということでは、まずニューヨーク州のクオモ知事に対する批判の声が非常に大きくなっています。クオモ知事に関しては、前回この欄でお話した、高齢者施設入居者におけるコロナ死亡者の問題については、さすがに知事を一方的に叩くムードは収まりました。 感染爆発の最悪のシナリオを前提とした上で、なおかつ一般診療のキャパシティーも確保しながら医療崩壊を食い止めるために、施設入居者については病院ではなく、施設に戻すというのが知事の政策でした。施設であれば「自分のベッドがあり、施設として看護師等のケアが受けられる」というのが理由で、あくまで医療崩壊を回避するための苦肉の策だったのです。 ですが、知事の策は完全に裏目に出ました。まず感染爆発は深刻でしたが、知事の覚悟した「最悪」には至りませんでした。一方で、必死に確保した一般病棟には、コロナを恐れて患者はほとんど来ず、対策はムダに終わりました。その反対に、施設内ではPPE不足、ノウハウ不足のためにクラスターが多数発生して多くの人命が失われました。 そうした施設等で高齢者の家族を亡くした人々には、結果論ではあるものの、クオモ知事への反感があり、政治家の多くはその反感を使って知事を追い詰めようとしたわけですが、知事の側の主張は一貫しており「攻め切れない」というムードになっていたのです。ところが、そのアンチ・クオモのモメンタムを引き継ぐように、今度は知事のセクハラ的な言動が問題になっています。 公職にある人間として、この世代の人は相当に気をつけてきたはずなのですが、とにかく様々な過去の言動が蒸し返されて激しい批判が起きています。知事自身はどのケースについても「心外」であるようで今のところは、辞任せずに徹底抗戦という構えですが、どうなるかは分かりません。 ちなみに、現時点でクオモ知事への追及を強めているのは共和党よりも、民主党の左派が中心となっています。捜査開始を示唆しているニューヨーク州の検事総長も、弾劾審査を検討中という州議会のグループも民主党系で、いわば党内抗争という趣になっています』、「民主党」も左右の党内抗争に熱を上げているようでは、共和党への対抗策は二の次のようだ。
・『実は、ニューヨークの民主党内は、デブラシオ市長が左派でバーニー・サンダース議員などに近い一方で、クオモ知事はクリントン夫妻やオバマの人脈と重なる中道派です。そして、この2人はこの約8年間にわたって一方が知事、一方が市長という立場で何度も衝突を繰り返してきました。 例えばですが、ハリケーンで海水が入って水没したNY地下鉄の電気系統について、どうやって抜本的な補修工事をするかといった実務的な部分でも衝突していました。デブラシオ市長がコンサルの口車に乗せられて高額で、長期運休を余儀なくされるような工事計画で進めようとしたところで、クオモ知事が低コスト短期間の抜本補修案を持ち込んでひっくり返したという事件があり、そこで両者の関係は決定的になっていたようです。 その流れもあって、2020年春以降の新型コロナ感染拡大においては、デブラシオ市長が市内の感染拡大防止に対して動くと、クオモ知事はNY市より200キロ北にある州都オルバニーから、その政策を否定して「上書き」するということが繰り返されていました。そんな中で、任期4年で3選禁止となっている市長の方は、この2021年で退任が決定していることもあり、存在感はやや弱くなっていたのです。 そのデブラシオ市長の支持派は、そうした経緯もあって今回のセクハラ疑惑においては、クオモ批判に動いています。大物政治家、例えば民主党左派のAOCことアレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員なども、かなり厳しい姿勢でクオモ批判の側に立っています。そうした中で、デブラシオ市長は急速に存在感を回復しており、ここ数週間で激しくなっているアジア系へのヘイトクライムに対して、率先して批判と防犯の指揮を執っています。 では、この秋の市長選がどうなるかということでは、民主党では「べーシック・インカム(BI)」政策を掲げた台湾系のアンドリュー・ヤング候補が先行していたのですが、ここへ来て元警官でアフリカ系のエリック・アダムス・ブルックリン区長が迫ってきています。アダムス候補は、ミレニアル世代に受ける左派というよりも、古典的なリベラル・ニューヨーカーという感じです。ですから、この2人の対決は、民主党内の中道対左派という軸とはまた違ってきています』、「民主党内」の対立の「軸」は多様なようだ。
・『一方で、ワシントンDCの中央政界では、閣僚人事とコロナ対策法案の審議で、連邦上院における動きが連日のように報じられています。その中では、民主党内での造反が話題になっていますが、その中心人物であるジョー・マンチン議員(ウェスト・バージニア州選出)は、保守州から保守票を獲得して上院の民主党議席を守っているというアクロバット的な存在ですので、コロナ対策への財政出動枠を抑制するとか、最低賃金の全国15ドル化に反対するというのは、基本的には想定されたことであり、その中で是々非々の調整がされているということだと思います。 では、共和党の方はどうかというと、例えば2月28日には、フロリダ州のオーランドで行われた保守派の政治集会「CPAC」にトランプ前大統領が登場して、2024年の大統領選挙における出馬を匂わせたりしていますが、これも想定された事態です。そのトランプに関しては、一旦は「トランプ離れ」に踏み出したとされる、共和党上院のマコネル院内総務が「仮に2024年にトランプが共和党の大統領候補に指名されたら」という前提での質問に対して「勿論、支持する」と答えています。 メディアは、「やっぱり、マコネルはまだトランプ支持なのか」などと落胆していましたが、マコネル議員としたら、「仮に共和党の予備選で勝ったら」という前提での質問だったので、即座に「支持する」としただけで、その予備選で自分がトランプを支持するとは一言も言っていないわけです。ですから、マコネルとしては、全く「ブレ」てはいないということになります。 そのマコネルとして、また共和党の上下両院の議員団としては、できる限りはトランプを過去の人にして行こう、だが、現時点ではその影響力をゼロにはできない、という共通理解があるわけです。その上で、政治家各個人として、トランプとの距離感をそれぞれに取っているというのが現状です。 一方で、局所的な動きとしてはテキサス州のアボット知事(共和)が、いきなり公共の場における「マスク着用義務化の終了」を宣言し、同時に「レストランの屋内営業を含むあらゆるビジネスへのコロナ関連の規制を解除」するとして話題になりました。 テキサス州の場合、実は2月末の寒波に伴う大規模な停電や断水のために、多くの家庭が避難生活を送ったり、地域での相互扶助活動が活発化する中で、残念ながら感染拡大の小規模なリバウンドが起きていた中での「規制全面解除」となった格好です。ただ、大規模停電については、初動における言動が迷走したことも含めてアボット知事には政治的な責任を問う声も大きい中では、テキサスの世論の一部に強く迎合する形での「規制解除」をやらざるを得なかったというのは政治的には理由のあることと言えます』、「テキサス州のアボット知事(共和)が、いきなり公共の場における「マスク着用義務化の終了」を宣言」したのは、「大規模停電」への「政治的な責任を問う声も大きい」のが背景にあったというのは納得した。
・『そんなわけで、民主党も共和党も様々な葛藤を抱え、また中央と地方ではそれぞれに独立した政局が展開しているわけですが、トランプ時代のシナリオのない、ハチャメチャな流れと比較すると、とりあえず全てが想定の中に収まっているのは事実だと思います。その上で、「最初の100日間」というこの時期、バイデン政権はとりあえずワクチン接種の劇的な加速を軸に、社会を前へ進めようということで、政争には超然とした立場を維持しているように見えます。 そのバイデン政権は、移民政策、環境政策などで前政権の行った「揺り戻し」を一気に修正していますが、これも想定内の行動と言えるでしょう。ただ、バイデン政権の動きの中で、中東における軍事外交に関しては、少々解説が必要と思います。 2月25日にバイデン政権は発足後初めての「空爆」を、シリア領内のイラン系の民兵組織に対して実施しました。これは唐突な行動のように見えますが、実は突発的な動きではなく、2月15日にイラク領内のクルド自治区にあるアルビールで、イラン系のミサイル攻撃によってアメリカの民間軍事会社の関係者が1名死亡し、数名が負傷するという事件があり、これが背景となっていました。この事件を放置することは、イランに対して誤ったメッセージを送ることになるという理由から、25日の限定的な攻撃となったものです。 この25日の攻撃については、「強・中・弱」の3つのオプションの中の「中」だという説明が大統領からありましたが、これに対してイランはイラク領内の米軍基地をミサイル攻撃しています。但し、報復とはいえ、急所は外した攻撃であり、今後は何らかの交渉となる道筋を残したものと言えます。 一方で、これと同時にバイデン政権は、前政権がひた隠しにしていた「サウジの反政府ジャーナリスト暗殺事件」に関する調査結果を公表して、ムハンマド皇太子の関与を指摘しました。こちらは、トランプ政権当時のムハンマド皇太子との「癒着関係」を断ち切るとか、イランとの小規模な攻撃の応酬をする一方で、イランの宿敵であるサウジとも距離を置く姿勢を見せて、一種の超然的な姿勢を見せたようにも見えます。 こうした中東政策の全体としては、「全てが想定内」という中で、トランプ時代のアメリカが陥った「シリア政策の迷走」「クルド支援の放棄」「イラクのイラン化放置によるイランへの誤ったメッセージ」「サウジへの過剰な甘やかし」といった問題をリセットして、改めてアメリカとしての中東政策を描き直す準備をしている、そのように受け止めることも可能です』、「中東政策」がバランスを取り戻しつつあるのは結構なことだ。
・『では、今月中旬に組まれた日米「2+2(という言い方は何故か今回はしないようですが)」つまり外相と防衛相の会談では、現時点での「ベスト・アンド・ブライテスト」と言っていい本格閣僚であるブリンケン国務長官とオースティン国防長官は、日本と何を協議するためにやって来るのでしょうか? 1つは、対中国の「リバランス」であり、2つ目は、そのための必要条件としての日米韓3カ国の関係改善へ向けた協議になると思います。ここまでは想定内ですが、仮に第3の議題としてミャンマー情勢の落とし所、そして第4の議題として環境外交の問題を持ち出す可能性もあるかもしれません。 そうなると、日米の協議は単にトランプ時代の迷走のリセットだけでなく、2021年という現時点での「全くの未体験ゾーン」における同盟の再定義と強化というレベルの問題になってくるのではないかと思われます。とりあえず、現在のバイデン政権は想定内の動きが主であり、また日々の政局には超然的に振る舞っています。 ですが、日米関係においては、もっと意欲的に仕掛けてくることが予想される中では、菅政権としてはこれと真剣に向かい合うことが求められます。少なくとも、ミャンマー軍政にも「一部の理がある」とか、「原発ゼロなら火力継続か水素輸入で」「日韓関係改善ができるほど政権は強固でない」などという本音を見透かされるようでは、同盟の強化は持ち越しとなるのではないかと思われます』、同感である。
タグ:東洋経済オンライン 蟹瀬誠一 冷泉彰彦 ダイヤモンド・オンライン JMM 渡辺 亮司 バイデン政権 (その1)(バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役、「トランプ逮捕」はあるか 財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に、政局を横目にバイデン政権は安全運転 その先は?) 「バイデン政権へ影響力高めるもう1人のジョー 中間選挙へ向け左傾化のイメージ払拭に一役」 バイデン政権は選挙公約に反し、初っ端から民主党単独で強行採決し、法制化に至る見通しだ 「オバマ政権」時代の「共和党の支持獲得のための妥協が、民主党のトラウマになっているようだ。 「バイデン政権にとって重要なのは、超党派合意よりも民主党の党内団結」、なるほど。 「パーラメンタリアン」とは面白い制度だ 「民主党」も「穏健派」と「急進左派」の幅が広いので、バランスを取る「バイデン大統領」も大変だ 「2人のジョー」のお手並みを拝見するとしよう。 「「トランプ逮捕」はあるか、財務記録入手で不正疑惑捜査は核心に」 「大統領の免責特権を盾に背任、共謀、職権乱用、司法妨害、脱税、詐欺などさまざまな疑惑の追及を逃れてきた」のが、「過去8年分の納税記録など財務資料が記録されたハードディスク」から何が出てくるのか、楽しみだ 「年内にもトランプを複数の容疑で刑事告発できる」、とは既に証拠を握ったのだろうか 「ワイゼルバーグ」は確かに「検察の切り札」のようだ 「「Save America・・・はすでに約8000万ドルもの寄付金を集めており」 「復讐リスト」には チェイニー下院議員を含む10人以上の共和党議員の名前がズラリと並んでいる やはり司法的手段で葬り去るのが王道のように思える 「政局を横目にバイデン政権は安全運転、その先は?」from911/USAレポート 「民主党」も左右の党内抗争に熱を上げているようでは、共和党への対抗策は二の次のようだ。 「民主党内」の対立の「軸」は多様なようだ。 「テキサス州のアボット知事(共和)が、いきなり公共の場における「マスク着用義務化の終了」を宣言」したのは、「大規模停電」への「政治的な責任を問う声も大きい」のが背景にあったというのは納得した 「中東政策」がバランスを取り戻しつつあるのは結構なことだ 少なくとも、ミャンマー軍政にも「一部の理がある」とか、「原発ゼロなら火力継続か水素輸入で」「日韓関係改善ができるほど政権は強固でない」などという本音を見透かされるようでは、同盟の強化は持ち越しとなるのではないかと思われます
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子育て(その3)(東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?、子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される、親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ) [生活]

子育てについては、2019年11月2日に取上げた。今日は、(その3)(東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?、子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される、親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ)である。

先ずは、昨年11月15日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した元高校教師で専業主婦の佐藤亮子氏による「東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/252490
・『学受験の最難関である東大理三に、4人のお子さん全員を合格させた佐藤亮子さん。2015年の秋に佐藤さんにお会いして以来、取材や講演などで軽く100回以上お話を伺った。驚くのは話の引き出しの多さだ。 今までに幼児教育の重要性、中学受験や大学受験のサポート方法、子育て論などについてたくさんお話を伺ったが、新著『東大理三に3男1女を合格させた母親が教える 東大に入るお金と時間の使い方』は「お金と時間」という新しい切り口。「佐藤さんはどのようにお金と時間を使ったか」に加え、子どもの学力を伸ばすためのさまざまな佐藤ママメソッドが紹介されている。 第一子であるご長男を授かった時、佐藤さんは「子どもの未来の可能性を拓くために重要なのは教育。本人が希望する道に進めるよう、能力を最大限に伸ばしてあげたい」と思ったという。ご長男が生まれる前から小学校の教科書に目を通し、童謡集を購入するなどの準備を始めた佐藤さんは、教育費は惜しまず、時間の無駄を省いてきた。 わが子の幸せな未来のために学力を伸ばしたい、わが子を東大に入れたいと考える方はもちろんのこと、社会人や専業主婦にとっても役に立つ情報が満載だ。5回に分けて、佐藤さんの魅力、独自の子育て、書籍の特徴などについて紹介したい。(教育ジャーナリスト 庄村敦子) 東京大学学生委員会が調査を実施し、「学生生活実態調査報告書」を公表している。最新の2018年のものをみると、東大生の母親の職業は「無職」が34.2%で一番多い。東大生のご家族の取材をしたときも、専業主婦が多かったように思う。 私の長女が通った都内の中高一貫の女子校は、東大や医学部を目指す生徒が多く、保護者会前のランチのときにお話しすると、専業主婦が思った以上に多かった。 話題は子どもや勉強のことがメイン。定期テストの暗記などを手伝ったり、勉強を教えてあげたりする母親と、「子どもに任せていて、何もしていない」という母親とに分かれた。 中学受験は「親子の受験」だから、親のサポートは必要不可欠だが、中学入学後は、引き続き母親がサポートを続けるご家庭と、子どもに任せるご家庭とに分かれるようだ。 東大理三に3男1女を合格させた佐藤亮子さんは、お子さんが生まれる前からサポートのための準備を始め、大学受験まで全力でサポートを続けた。 「きょうだい平等」を重んじ、中学受験までは同じようにサポートしてきた佐藤さんだが、中学受験以降はお子さんによってサポートの度合いが違った。それはお子さんたちの性格が違うからだ。 佐藤さんによると、ご長男は自分で計画を立て、自分で勉強するタイプで、一番手がかからなかったという。次男さん、三男さん、お嬢さんの勉強にはとことん付き合い、4人のお子さん全員の模試の整理や過去問の製本などのサポートを行った。 私はというと、長女が日能研に通っていた約2年間は仕事をセーブして、懸命に中学受験のサポートを行った。しかし、長女が志望校に合格したあとは、「勉強のやり方も教えたから、頑張って!」といった感じで、ほとんどサポートを行わなかった。セーブしていた仕事を増やしたこと、長女が中1のときに母が病気になり、看病のためにたびたび帰省していたことが主な理由だった。 佐藤さんの全力サポートの話を伺うと、「もう少し私がサポートをしてあげれば、もっと楽に勉強できたかな」と感じることもあった。今振り返ると、両親の帰りが遅いときには7歳下の妹の面倒を見てくれることもあり、よく頑張ってくれたと思う。 長女が通った学校の生徒のなかには、「勉強が趣味」「数学の問題を解くのが楽しい」というお子さんも少なくなかった。でも、そうではない子どもの方が世の中では多いだろう。その場合、佐藤さんが実践したようなサポートがあると、無駄な時間を省くことができ、勉強の効率がグンとあがる。 子どもの1日24時間をどのように使わせるか、が重要だ。 佐藤さんの口癖のひとつが「そんなの、時間の無駄でしょ」。著書『東大理三に3男1女を合格させた母親が教える 東大に入るお金と時間の使い方』には、佐藤さんの「時間」に対する考え方や「時間の無駄を省く」方法がたくさん出ている。そのなかのいくつかを紹介しよう』、「東大理三に3男1女を合格させた」、とは確かに凄いことだ。「佐藤さんの「時間」に対する考え方や「時間の無駄を省く」方法」、とは興味深い。
『●子どもの睡眠時間は削らない  睡眠時間を削ると体調を崩しやすいため、佐藤さんはお子さんたちが幼い頃から睡眠時間を大切に確保してきた。受験を目前に控えた冬休み以降も、睡眠不足にならないように十分注意したという。 「寝るときにはしっかりと寝させて、起きている時間は無駄に過ごさせない」というのが、佐藤さんの考えだ。このため、お子さんが勉強にすぐに取りかかれるよう、勉強の計画や準備を担当した』、睡眠時間は、その間に勉強した知識を脳に定着する重要な役割がある。
・『●探す時間は無駄  整理整頓ができていないと、必要なものを探すのに時間を費やしてしまうのは、大人も子どもも同じだ。「必要なものを探すところから始めるという行為ほど無駄なものはない」。そう考える佐藤さんは、100円ショップでクリアケースやクリアファイルを大量に買って、模試の問題と解答、プリントなどを整理整頓した。 お子さんが中高時代には、ご長男は青、次男さんは緑、三男さんは黄色、お嬢さんはピンクとパーソナルカラーを決め、ケースやファイルの背に、それぞれのカラーのビニールテープを貼り、ひと目で誰のものかわかるように工夫した。 また、参考書や問題集を本棚から探し出す手間を省くために、100円ショップで、高さ23cm、幅12cm、奥行35cmのボックスを購入して、それぞれのボックスに英文法、物理などの教科名を大きく書いて本棚に並べた。勉強するときにはボックスごと机に持って行き、脇に置いて利用したため、お子さんたちに喜ばれたという』、「探す時間は無駄」と「整理整頓」に力を入れたのも合理的だ。
・『●子どもの勉強が終わるまでそばにいる  「勉強は孤独な作業だから、子どもたちの勉強が終わるまではそばにいて、絶対に寝ませんでした」と語る佐藤さん。 3人の息子さんが灘に同時在籍していた3年間は、布団での睡眠時間はなんと2時間半! 著書『東大理三に3男1女を合格させた母親が教える 東大に入るお金と時間の使い方』にも出ている「ある日のスケジュール」の表を見てほしい。 息子さんたちと御主人のお弁当を作るため、朝4時半に起床。5時50分までお弁当を作った後、息子さんたちを起こす。7時にお嬢さんを起こして、御主人と3人で朝食。午前中は家事やお子さんのためのオリジナルノート作り。午後1時まで昼食をとって休憩したら、3時まで家事、ノート作り、お嬢さんの中学受験塾のお弁当づくり。それからお嬢さんを車で小学校に迎えに行き、塾まで送った後、近鉄奈良駅へ。 「3人の息子たちは、全員一緒に帰って来ないので、1人を駅から自宅まで送り届けたら、また連絡が入って駅に向かい、ピストン輸送を繰り返していました。子どもを待たせなくないので、早めに駅に行き、車中で爆睡していましたね」と笑う佐藤さんは、待ち時間も有効に使い、身体をいたわっていた。 夕食はピストン輸送の合間に作ることもあれば、日によっては、全員が帰宅してから作り始めることもあったという。夕食をすませた午後8時頃から午前0時までは、家事、ノート作り、勉強のサポート。お子さんの勉強が終わった0時から入浴とお弁当の下ごしらえをして、2時就寝というハードスケジュール!』、「母親」は僅か「2時就寝」とは確かにハードスケジュールだ。
・『次男さんが灘高校を卒業して上京した後は、急激に睡眠時間が増えたという。ご長男が灘中に入学し、お嬢さんが洛南高校を卒業するまでの13年間、ずっとお弁当を作り続けた佐藤さんには、「本当にお疲れ様でした」という想いしかない。 取材で4人のお子さんたちと電話で話したとき、全員が「お弁当作り」に感謝していた。 ご長男は、「毎朝4時半に起きて、お弁当だけではなく、おにぎりも作ってくれました。早朝に家を出ていたため、2時間目が終わった頃にお弁当、お昼におにぎりを食べ、高3の夏までサッカーに打ち込むことができました。勉強のサポートをはじめ、子どもたちのために時間を使ってくれ、子どもたちのやりたいことを尊重し、やらせてくれた母には感謝の気持ちでいっぱいです」と話してくれた。 もちろん、4人のお子さん全員が、教育費を惜しまずに使ってくれたこと、勉強をサポートしてくれたことに対して、異口同音に感謝の言葉を口にした。 佐藤さんのお子さんたちには、大きな反抗期はなかったという。いつも自分たちに寄り添ってくれて、お金と時間を惜しまずに使ってくれたことに感謝しているからだろう』、「子どもたちのために時間を使ってくれ、子どもたちのやりたいことを尊重し、やらせてくれた母には感謝の気持ちでいっぱいです」、「佐藤さんのお子さんたちには、大きな反抗期はなかった」、というのも当然なのかも知れない。

次に、本年3月7日付け東洋経済オンラインが掲載したIWA ACADEMYチーフディレクターの木村 匡宏氏による「子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/413523
・『コロナ禍で、子どもの運動不足や体力低下が懸念されています。基本的な運動は、野球やサッカーなどのスポーツへつながる運動能力をアップさせるのはもちろんのこと、脳の発達を促して学力の向上にもつながると、複合型スポーツ施設を運営するIWAアカデミーチーフディレクターで、トレーナーでもある木村匡宏氏は指摘します。では、どのように運動させるのがよいのでしょうか。『1日5分で運動能力と集中力が劇的アップ 5歳からの最新!キッズ・トレーニング』を上梓した木村氏が、その方法をお届けします』、興味深そうだ。
・『人は脳だけで生きているわけではない 「運動すると頭がよくなる」  こう言われて、どれだけの人がすんなり受け入れられるでしょうか? 運動は身体を使うことであり、それで本当に頭がよくなるの?と疑問に感じる人のほうが多いかもしれません。「頭がいい人=勉強ができる人」→「勉強ができる人は脳が発達している人」。こうやって考えていくと、運動と頭のよさは無関係のように感じるからです。 しかし、人間が脳を使うのは勉強の場面に限ったことではありません。走ったり、歩いたり、ジャンプしたりと、身体を動かす時にも、人間はすべて脳からの指令を受けています。計算問題を解いたり、漢字や英単語を覚えたりすることだけが脳の働きではなく、考える、怒る、泣く、楽しむ……これらの感情の動きもすべて、脳の働きによるものです。 人間にとって脳が極めて大事であることは誰にでも理解できると思いますが、人は脳だけで生きているわけではありません。身体があっての脳であるということを覚えておく必要があります。 とくに子どもの脳は、とてつもない勢いで育とうとしています。人間の脳はバランスよく全体的に発達するのではなく、場所によって司る役割が決まっていて、それぞれが順を追って発達していきます。 まず幼児期に発達するのが、運動をコントロールする「運動野」と呼ばれる場所。その影響で小さな子どもは、とにかく走り回ったりして動きたがります。これは脳が発達するために必要なことで、子どもは動くことで自分の身体を認識して成長していきます。つまり、幼児期から運動に親しませることは、脳の発達から考えても、とても重要なことなのです。 ところが昨今は子どもの運動不足が指摘されています。デジタル機器の普及により、日本では3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用していると言います。スマートフォンやタブレットで動画コンテンツを見たり、ゲームをしたりしている時間は、まったく身体を動かしません。 本来、身体を使って遊ぶことが大切な時期に、身体を動かさないことが習慣化すると、深刻な運動不足になっていく危険があり、実際に子どものロコモティブシンドロームも多くみられます。これは単純に身体、運動の発達の問題だけでなく、脳の発達の問題でもあります。前述のように、運動と脳の発達には深い関係があるからです。 子どもがキャーキャー言いながら追いかけっこをしたり、サッカーやドッジボールで夢中になって遊んだりして、楽しく、気持ちよく身体を動かすことは、脳全体のネットワークが高い次元でつながることを促し、それは複雑なことを考える力へとつながっていきます。 夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます』、「3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用している」、「深刻な運動不足になっていく危険」、確かに深刻な問題だ。本来であれば、「夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます」。
・『興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く  興奮させてばかりいると、コントロールの効かない、落ち着きのない子になるのでは?と心配する方もいるかもしれません。これはまったくの逆で、正当な興奮を味わった脳のほうが、むしろコントロールが効くようになります。なぜなら「興奮」を経験することは、同時に「興奮を抑える」という経験を増やすことにもなるからです。 例えるなら、興奮を味わったことがない脳は、徐行運転の経験しかない車のようなもの。それではブレーキの使い方を練習できません。スピードを出すからこそ、ブレーキの使い方がわかるのです。興奮を味わってそれを抑えるというのは、これと同じことです。 ただし、気をつけなければいけないのは興奮の質です。スマートフォンやゲームを使って騒いでいる子どももいますが、そうした興奮は本物の興奮ではありません。スポーツのようにさまざまな感覚、身体のあらゆる場所への刺激を伴う興奮こそが本物の興奮で、子どもの脳の発達を促します。人は身体を動かすことによって、脳の発達が進んでいくのです。 子どもの成長には運動が大事だとわかっても、実際にはどんな運動をすればいいかわからないという人も多いと思います。とくに現在は新型コロナウイルスの影響もあり、制約のあるなかでの生活を余儀なくされ、大人も子どもも運動機会が減少しています。 事実、OECD(経済協力開発機構)をはじめ、多くの調査機関から日本など先進国で「子どもの運動時間、身体を使った遊びの時間が減っている」という報告がされています。 ここで誤解してはいけないのは、必ずしも「運動=スポーツ」ではないということ。ルールのあるスポーツだけが運動ではありません。 大人の場合、通勤で階段や坂道を歩く、買い物をする(荷物を持つ)、洗濯物を干すというように、日常生活の中にも運動はたくさんあります。子どもの場合は、スポーツに必要なスキルなど何も考えずに遊ぶだけでも十分な運動になります。ノンシステマティックにいろいろな遊びをすることで、身体が勝手に動きを吸収していきます』、「興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く」、「子どもの場合は・・・ノンシステマティックにいろいろな遊びをすることで、身体が勝手に動きを吸収していきます」、言われてみれば納得できる。
・『日常生活の中に運動機会を取り入れる  「追いかける」「逃げる」「転ぶ」「駆け上がる・下りる」「投げる」「捕る」「打つ」「押す・引く」「よける」「切り返す」……無意識で遊んでいても、身体はいろいろな動きをしています。 日常生活の中に、こうした運動機会を取り入れることが、子どもには必要。それぞれの動作を上手にできるかどうかよりも、まずは機会を与えることが大事なのです。 運動機会を与えれば、子どもは自分の意思で夢中になって取り組み、うまくやるための身体の動かし方を勝手に覚えていきます。 ここで気をつけたいのは、「ああしなさい」「こうしなさい」と、大人が過剰なアドバイスをしてしまうことです。大人は安全を確保して見守っていれば十分。自主的に遊びに取り組むことで、子どもの集中力はどんどん深まっていきます。 自分で考えて取り組み、それを大人に否定することなく励まされれば、身体を通して“よい体験”として子どもの記憶に刻まれます。こうした体験を日常の中で重ねていくことで、脳の欲望や感情を扱う大脳辺縁系を刺激し、運動が「楽しい」「達成感」という意欲につながります。 そして「次は何をやろうかな?」と先の予定を計画しながらイメージを繰り返すことで、さまざまな知的活動を行う大脳皮質を使いつつ、脳全体のネットワークがつながっていきます』、なるほど「運動」は「脳」発達にとって不可欠だ。
・『体育の出席率と東大進学率には相関関係がある  こうして幼少期から運動による刺激を脳に与えながら育った子どもは、脳と身体が健全に発達していきます。運動が習慣化されると、それが勉強にも好影響を及ぼすという事例もいくつかあります。 ある有名私立中高一貫校では、体育への出席率と東京大学への進学率に相関関係があることがデータで導かれました。6年間一度も体育を休まない生徒ほど、東大への合格率が高まるというデータです。 また、0時限目に体育を取り入れた高校で、多くの生徒の成績が上がったという研究結果もあります。こうした事例は、運動することが脳や勉強にもよい影響を与えることの一つの証明と言えるでしょう。 運動能力を高めることで脳の発達を促す。これはまさしく子育ての鉄板とも呼べる一石二鳥大作戦。親として「子どもにはどんな習い事をさせたら将来のためになるか?」と考えるのもよいことですが、難しく考える必要はありません。 思い切り身体を使って遊ばせることで、子どもの身体も脳もしっかり成長していきます』、「体育の出席率と東大進学率には相関関係がある」、確かにその通りなのだろう。

第三に、3月26日付け東洋経済オンラインが掲載した 小児科医・小児神経科医の三池 輝久氏による「親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/417763
・『多くの家庭では、赤ちゃんが夜中に頻繁に目を覚ますことに悩まされています。いったいなぜ夜中に起きてしまうのでしょうか。小児神経科医の三池輝久氏が上梓した『赤ちゃんと体内時計』を一部抜粋・再構成してお届けします。 夜中に頻繁に目を覚まし、睡眠が細切れになる「睡眠の断片化(fragmentation)」は、私の臨床経験ではかなり心配な状態です。新生児期と同様に、眠りの深さが浅いレム睡眠のときに眠りの状態にとどまることができないために起こります。そしてその多くは夜泣き対応の不適切さと、先天的な素質が原因です。 睡眠の断片化は、母親の気分や感情をかなり損ねます。母子関係によい影響を与えず、心ならずも発作的な怒りから子どもに暴力的な行動を起こす危険性も指摘されているので、母子関係悪化の観点からも注視が必要です(Teti DM, 2016)。 非常に不思議で、またとても残念なことに、小児期の睡眠の断片化に関する信頼に足る論文はほとんど見当たりません』、「母子関係によい影響を与えず、心ならずも発作的な怒りから子どもに暴力的な行動を起こす危険性も指摘」、虐待の一因のようだ。
・『1歳を過ぎて夜間に3回以上起きる場合は要注意  私の追跡調査の結果では、睡眠の断片化はかなり大きな問題で楽観視できないものです。眠りの質を著しく低下させ、結果的に睡眠欠乏と同じ状態を作ります。それにより脳の働きのバランスを崩す可能性があるので早期の改善が必要です(Bonnet MH, 2003)。 特に1歳を過ぎても夜間に3回以上覚醒するようなときは、治療も視野に解決を図りましょう。投薬治療のデメリットよりも睡眠欠乏が脳に与える影響を重くみるべきです。 わが国では、夜一度眠りにつくと朝まで目覚めずに眠れるようになるのは、早い子どもでは4〜5カ月から、一般には1歳です。ただその後も1、2回程度の短い時間(数分)の中途覚醒は定型発達の範囲に入りますが、新生児でも、少なくとも2〜4時間程度は持続して眠ることができるので、30分ごと、あるいは1、2時間ごとに目を覚ます中途覚醒は問題と認識する必要があります。 「睡眠持続障害」は、睡眠障害の1つです(Yavuz-Kodat E, 2020)。睡眠の断片化と異なり、一度目が覚めると1時間以上も眠らない状態です。中には睡眠時間が十分でないのに、一度目が覚めると朝まで起きつづける赤ちゃんもいます。 睡眠が長時間分断されると、睡眠時間が不足します。生活のリズムも安定しません。このタイプでは昼間の機嫌や発達の進捗に留意してください。特に日中の様子はどうでしょうか。 不機嫌だったり泣いたりすることが多く、発達指数が境界領域かやや低い場合は、脳機能の発達が抑制されている恐れがあります。その時点で発達に目立った問題がなくても、安心せず新生児のときの様子や詳しい発達の状況を把握しておく必要があります。 なぜなら体内時計にずれや混乱が生じてあらわれた睡眠障害は、すぐに心身の症状がでなくてもあとになって少しずつ問題が起きることが多いからです。繰り返しますが、睡眠持続障害は発達障害の子どもがもつ睡眠障害の特徴の1つです(Krakowiak P, 2008)。専門医の治療を必要とします』、我が家では長女の「夜泣き」が酷く、次女の娘も同様なので、他人事とは思えない。ただ、幸いあとに深刻な影響はなかったようだ。
・『ADHD(注1)と睡眠の関係  「寝つき不眠」「入眠不眠(Sleep onset insomnia)」という言葉の使用は、小児科領域では2000年代から始まりました(Smits MG, 2001)。医学的には乳幼児を含む子どもたちを対象に「入眠困難」「入眠障害」または「睡眠相後退症候群」という表現が用いられています。 「不眠」とは必要に応じて入眠や睡眠の持続が困難な状態です。この入眠困難は、なかなか入眠できませんが、一度入眠すると睡眠は持続します。 治療に際してメラトニンを用いると症状が改善するので(Smits MG, 2001 およびvan Geijlswijk IM, 2011)、背景にはやはり生活リズムのずれに伴う体内時計のずれがあると考えます(Bijlenga D, 2019)。一番の心配は、この状態が将来のADHDなどと関連する可能性が高く、ADHDを含むASD児(注2)に共通して認められることです。 ここで少しADHDについて補足します。乳幼児期の睡眠の問題とADHDの関連を述べた論文数は、この3年間でゆうに450以上に及びます。それほどまでにADHDの睡眠に関心が集まってきています。 各報告を整理すると、ADHDに共通する睡眠は、①入眠時間のずれ(入眠困難・寝つき不眠)、②頻回の中途覚醒、または長時間の覚醒、③1日8時間以下の短い睡眠、④よく泣く子(持続的な泣き)です。報告では、①から③の睡眠障害のある乳幼児の20〜25%がのちにADHDと診断されています(Thumstöme M, 2002 および Wolke D, 2002)。 このように、ADHDの子どもには高頻度で概日リズムに異常があり、関連性が強く指摘されています(Coogan AN, 2016, 2017)。またこれらの睡眠問題に加えて、睡眠中の多動を指摘する報告があります(Cortese S, 2006)。) 入眠困難が要注意な睡眠障害であることがおわかりいただけたかと思います。 その原因ですが、1995年ごろ、私は乳児の寝つき不眠の一部が保護者の生活リズムと連動していることに気がつきました。きっかけとなったのは宮崎県北西部のある町での乳児健診です。 健診に際して、すべての乳児と保護者にボランティアで2週間の睡眠記録表を書いていただいたときのことです。寝つく時間が遅い乳児では母親の入眠時間も遅く、乳児と母親の生活リズムがピタリと見事に一致していたのです。さらにこの現象は、家族の生活リズムの立て直しによってきれいに改善することもわかりました』、「睡眠障害のある乳幼児の20〜25%がのちにADHDと診断」、発達障害に結びつく可能性があるとは恐ろしいことだ。「乳児の寝つき不眠の一部が保護者の生活リズムと連動している」、その通りなのかも知れない。
(注1)ADHD:注意欠陥・多動性障害(Wikipedia)
(注2)ASD:自閉症スペクトラム障害(Wikipedia)
・『午前2時過ぎに寝る生後5カ月の子  それから5年ほど経たったとき、私は生後5カ月の女の子が毎晩午前2時過ぎに眠っている睡眠記録表をみてやはりびっくりした記憶があります。夜遅くまで働く父親の帰りを母親は赤ちゃんと一緒に待っていました。その時点で臨床的な問題はありませんでしたが、赤ちゃんの将来を心配した私は家族全員で生活リズムを見直すように説明して協力を求めました。 この家族では父親が転職をし、夜9時までに家族全員で眠る努力をされました。その結果、1歳半の時点で見事に夜9時から朝7時まで眠る生活リズムを取り戻すことができました。 2012年から2014年にかけて実施した「アートチャイルドケア調査(現在も持続中)」では、夜11時以降、夜0時以降に眠る習慣のある乳児が少なからず存在し、赤ちゃんの寝つき不眠が決して珍しい現象ではないことが判明しています。 2017年に実施された、京都府木津川市における1〜6歳の乳幼児の調査でも、午後10時以降に入眠する習慣のある子どもは約30%に及ぶことがわかりました。興味深いのは、保護者は子どもの10時以降の入眠に対する問題意識がほとんどなかったことです(小西行郎、2019年)。 乳幼児期の寝つき不眠は、体内時計と生活リズムの不調和によって起こる睡眠障害です。寝ようとする時間に体内時計の準備が整っておらず、眠ることができないのです。時間が経つと眠れるし、睡眠も持続するので不眠とはいえない、という解釈です。ですが後に発達上の問題を招く原因となり、将来的にも情緒的な問題や病気に対する抵抗力を弱める免疫機能の問題を招きやすくします。 睡眠はただ眠りさえすればよいというものではなく、適切な時間帯でなければならないというルールがあるのです。 最近、私が診察した5歳の女の子の話をしましょう。彼女は日常的に午前3〜4時にならないと眠れないという状況に陥っていました。9時とか10時に寝かしつけようとしても眠れないのです。そして彼女もまた、マイペースな生活を送っていて、この時点で体調不良を抱えているわけではありませんでした。 しかし、朝、10〜11時に起こされて、ほぼ眠った状態で保護者の車で登園し、そのまま眠ったあと、午後1〜2時に目が覚めるとみんなと遊ぶ生活でした。 学校社会生活の最初でつまずくのを座視するわけにはいきません。直ちに治療を開始しました。治療の結果、女の子は、朝7時までに10時間ほど眠る生活を取り戻して、2020年に小学1年生となり、コロナ騒ぎのあと、6月から毎日元気に朝から登校しています。 ▽最大の問題は起床時間が遅くなること(寝つき不眠の最大の問題は起床時間が遅くなることです。遅寝・遅起きの生活習慣です。1日の生活リズムが遅いほうへずれると、体内時計もずれます。 実は、乳幼児の生活の時間帯が後ろにずれても、遅れて登園するといった問題はありますが、マイペースに自由な生活ができるなら目立った問題は起こらず、体調もほぼ変わりません。生活リズムと体内時計が「一緒にずれるという同調」を起こすからです。 問題は、就学を機に、学校社会生活というかなり厳格に設計された生活リズムに、そのずれた個人の生体リズムを無理やり合わせなければならないことです。 身体の中では異変がじわじわと蓄積して、結果的に大変な苦労を強いられます。合致させる作業の途中で無理が生じて、生体リズムの何もかもがバラバラになることもあります(図参照)。 散漫な注意力、低下するエネルギー産生、極度の疲れやすさなどの症状が起こり、登園、登校どころか1日を過ごすだけで精一杯です(Van der Heijden KB, 2005)。 少し長くなりますが、もう少しだけ解説をつづけさせてください。入眠が困難になると覚醒も困難になると書きました。これを専門的な用語で睡眠相後退症候群と呼びます。入眠困難と覚醒困難が慢性的につづく睡眠障害です。 この睡眠障害では夕方になると頭がすっきりとして調子が上がり、明け方近くに入眠することになります。一方で、学校や社会の活動開始時間である朝7時ごろには眠りが深くてまったく起きられません。学校社会に適した時間帯に眠り、起きる。このことが困難な状態です』、なるほど。
・『家族で早寝早起きの生活を  睡眠相後退症候群になると、生活リズムが周囲と合わないだけでなく、生命維持装置としての脳の視床下部機能に総合的な問題を抱えます。休養と活動の振幅(メリハリ)が低下する、いわば生命力の低下ともとれる現象があらわれてきます。 それが睡眠相後退症候群の小学生から高校生までの健康状態を調べたときに主訴としてみえてきた、朝の吐き気、気分の悪さ、頭痛・腹痛、めまいなどの自律神経失調症の症状です。 実は、この自律神経症状はより深刻な症状の発症を知らせる警報です。放置しておくと、目にみえない体温調節、ホルモン分泌、エネルギー産生、免疫機能、協調運動、脳機能バランス維持などの不調和と機能低下を起こし、全身のだるさや無気力などたとえようのない不調としてあらわれます。 この睡眠相後退症候群こそが「不登校」の原因背景として世界で注目されているのです(Tomoda A, 1994 およびSivertsen B, 2013 およびHochadel J, 2014 およびHysing M, 2015)。 このような体内時計と学校社会生活リズムの不一致を、乳児期という人生のスタート地点で起こさせてはいけません。寝つきが悪いと感じたら、すぐに家族全員で早寝早起きの生活を実践しましょう。素質もありますが、寝つき不眠は家族の生活(環境的要因)が影響する可能性大の睡眠障害です』、「睡眠相後退症候群こそが「不登校」の原因背景として世界で注目されている」、「不登校」になったら治癒は大変なので、「睡眠相後退症候群」の間に治しておく方がよさそうだ。「寝つきが悪いと感じたら、すぐに家族全員で早寝早起きの生活を実践しましょう」、40年早くこの記事を読んでいたらよかったのに・・・。
タグ:子育て 東洋経済オンライン ダイヤモンド・オンライン 佐藤亮子 (その3)(東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?、子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される、親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ) 「東大理三に3男1女を合格させた母親の 「超時間術」とは?」 「東大理三に3男1女を合格させた」、とは確かに凄いことだ。「佐藤さんの「時間」に対する考え方や「時間の無駄を省く」方法」、とは興味深い 子どもの睡眠時間は削らない 探す時間は無駄 子どもの勉強が終わるまでそばにいる 「母親」は僅か「2時就寝」とは確かにハードスケジュールだ 「子どもたちのために時間を使ってくれ、子どもたちのやりたいことを尊重し、やらせてくれた母には感謝の気持ちでいっぱいです」、「佐藤さんのお子さんたちには、大きな反抗期はなかった」、というのも当然なのかも知れない 木村 匡宏 「子の学力上げたい親が知るべき「運動の重要性」 人は身体を動かすことで脳の発達が促される」 「3~6歳の子どもの約半数が日常的にスマートフォンやタブレットを利用している」、「深刻な運動不足になっていく危険」、確かに深刻な問題だ 本来であれば、「夢中で遊んでいる時には、脳ではシナプス同士がパチパチと光を放ちながら、興奮状態に入っています。時間を忘れるくらい夢中になって遊ぶということは、物事に取り組む時の深い集中力を育みます」 「興奮を味わった脳のほうがコントロールが効く」、「子どもの場合は・・・ノンシステマティックにいろいろな遊びをすることで、身体が勝手に動きを吸収していきます」、言われてみれば納得できる なるほど「運動」は「脳」発達にとって不可欠だ 「体育の出席率と東大進学率には相関関係がある」、確かにその通りなのだろう。 三池 輝久 「親の「夜ふかし」が子供の健康に与える大問題 家族全員での「生活リズム」の見直しが必要だ」 「母子関係によい影響を与えず、心ならずも発作的な怒りから子どもに暴力的な行動を起こす危険性も指摘」、虐待の一因のようだ 我が家では長女の「夜泣き」が酷く、次女の娘も同様なので、他人事とは思えない。ただ、幸いあとに深刻な影響はなかったようだ 「睡眠障害のある乳幼児の20〜25%がのちにADHDと診断」、発達障害に結びつく可能性があるとは恐ろしいことだ。「乳児の寝つき不眠の一部が保護者の生活リズムと連動している」、その通りなのかも知れない 「睡眠相後退症候群こそが「不登校」の原因背景として世界で注目されている」、「不登校」になったら治癒は大変なので、「睡眠相後退症候群」の間に治しておく方がよさそうだ 「寝つきが悪いと感じたら、すぐに家族全員で早寝早起きの生活を実践しましょう」、40年早くこの記事を読んでいたらよかったのに・・・。
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パンデミック(経済社会的視点)(その14)(緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”、ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音、小田嶋氏:宣言解除に神風は吹くのだろうか) [パンデミック]

パンデミック(経済社会的視点)については、1月29日に取上げた。今日は、(その14)(緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”、ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音、小田嶋氏:宣言解除に神風は吹くのだろうか)である。

先ずは、2月13日付け文春オンラインが掲載した東京財団政策研究所研究主幹の小林慶一郎氏による「緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”」を紹介しよう。
https://bunshun.jp/articles/-/43451
・『「文藝春秋」3月号に寄稿した「 コロナ第3波『失敗の本質』 」では、コロナ対策に深くかかわるメインプレイヤーとして、菅義偉首相、分科会、厚生労働省、都道府県知事、世論(国民)の5者を挙げ、緊急事態宣言の再発出に至るコロナ対策の意思決定について、何が失敗だったのか、今後の対策においてどのような点に注意すべきか、問題提起をしています。 分科会メンバーの一人である私がなぜこのような記事を書いたのか。それはコロナ対策の政策決定に関わる問題点を広く一般国民に知ってもらうべきだと考えたからです。コロナ対策の中心は「国民の行動変容」ですが、それは、全国民の協力がなければできません。国民一人一人の納得と協力を得る上で、コロナ対策の政策決定のプロセスがどうなっているのか、意思決定システムの問題点は何か、広く知ってもらうことは極めて重要だと考えました』、「分科会メンバーの」「小林氏」の主張とは興味深そうだ。
・『コロナ禍でも“平時の仕組み”を変えられなかった  第3波を経験する中で、何より痛感したのは、コロナ禍という、政治家のトップダウンが必要な有事において、平時のボトムアップの意思決定の仕組みを変えられなかったことが問題の本質なのではないかということです。感染拡大の危機に直面しても、なかなか政策転換できなかった理由の一つは、政策決定する政治家と、彼らに進言する役人や学者の関係が平時と変わらなかったためと思われます。コロナ禍においては、専門家の意見は参考にしつつも、それに依存せず、国家国民の視点で即断即決する政治が必要とされているのです。 この記事ではいくつか問題点を指摘しましたが、その後、さまざまな動きが起きています。緊急事態宣言は3月7日まで延長されることになりました。記事では、「分科会は医療行政や医療界への遠慮があるためか、医療提供体制について意見を言わない」と書きましたが、宣言延長が決まった2月2日の分科会提言には、医療提供体制の拡充について多くの内容が盛り込まれました。同日、政府から水際対策の強化も発表されました。 変異種の侵入を少しでも減らすためには水際対策をさらに強化するべきだと思い、原稿でもその問題点を指摘しましたが、一歩前進ではあります。一方、接触確認アプリCOCOAがアンドロイドのスマホでは9月から機能していなかった、という政府の本気度に首を傾げたくなる事案も発覚しました』、「政治家のトップダウンが必要な有事において、平時のボトムアップの意思決定の仕組みを変えられなかったことが問題の本質」、とはさすが的確な指摘だ。
・『拙速な緊急事態宣言解除は危ない  記事の目的は、菅首相や厚生労働省など特定の個人や組織を貶めることではありません。長丁場が予想されるコロナ対策をどのような体制で進めて行ったらいいのか。今後、意思決定の見直しが重要です。 たとえば、分科会には医療施設の管理や災害時の医療体制についての専門家が入るべきかもしれません。また、変異種に対する水際対策などに関しては、今のところ感染症専門家が主導していますが、国内に侵入する前に感染拡大を水際で止めるためには、安全保障や危機管理の専門家が主導すべきかもしれません。 ワクチンについても、いま重要な意思決定の問題があります。ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発したワクチンは、接種は1回だけでよく、何か月も通常の冷蔵庫で保存できます。運搬や管理が圧倒的に楽で「プロジェクトX」のような困難なしに接種ができるはずですが、このワクチンの採用を日本政府は積極的に検討しているように見えません。スムーズなワクチン接種がもたらす大きな経済社会的利益を考えるならば、政治がリーダーシップを発揮して、このワクチンの確保を検討すべきではないでしょうか。 コロナとの戦いが始まってから1年がたちました。第3波の山は少しずつ収まりつつありますが、拙速に緊急事態宣言を解除すれば再び感染が拡大して3度目の緊急事態宣言を発出することになりかねません。 いまは行動制限で感染拡大を抑えこみ、その後は高齢者施設や繁華街で頻繁なPCR検査を行ってリバウンドを防ぎ、最終的にはワクチンの普及でコロナを収束させる……これが政府の目論見ですが、今後も未知の事態に襲われることも十分あり得ますし、コロナとの戦いに収束の目途が立ったとは言えません。今回の私の寄稿が、今後の戦いに少しでも役立つことを心から願っています。 ◆ ◆ ◆ 司令塔があいまいな日本政府、危機が高まるほど「村社会」化する各組織、現場からの情報を汲み取らなかった厚労省、時間のコストを軽視した菅首相……新型コロナウイルス感染症対策分科会のメンバーである小林氏(東京財団政策研究所研究主幹)の寄稿「 コロナ第3波『失敗の本質』 」(「文藝春秋」3月号および「文藝春秋digital」)には、過去の歴史でも繰り返された日本的な失敗についてくわしい分析がなされている。日本型組織の研究としても読まれるべき論考だ』、「PCR検査」についてはあれほど重要性が指摘されていながら、いまだに実施数が本格化しないのは、厚労省のサボタージュのような気がする。

次に、2月19日付けAERAdot「ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音〈週刊朝日〉」を紹介しよう。
https://dot.asahi.com/wa/2021021600057.html?page=1
・『コロナ対策の「切り札」とされるワクチン。海外から第1便の約20万人分が届き、ようやく希望が見えたかと思いきや、実は、6月末までに全国民に必要な数量のワクチンを確保するという政府の目標の達成が見通せなくなっているという、衝撃的な情報が飛び込んできた。日本が結んだ契約に、政府が目標とする「6月末まで」の記載がないというのだ。省庁間の連携も滞り、確保計画は「破綻寸前」との指摘も。 なぜこんな事態になっているのか。背景には各国がしのぎを削るワクチン争奪戦がある。欧州連合(EU)は1月末、域外へのワクチンの輸出規制を導入。出荷のたびに加盟国政府やEU当局の承認が必要とされるようになった。米国でもバイデン大統領が、国外への輸出を禁じるトランプ政権の方針を支持している。 こうした状況下で、日本政府の交渉も難航している。政府が昨年7月に米ファイザー社とワクチン供給について基本合意した際は「21年6月末までに1億2千万回分(6千万人分)」という条件だった。ところが、1月20日にファイザーと最終合意して結んだ契約は、「年内に1億4400万回分(7200万人分)」と、数は増えたが時期が半年も後ろ倒しされてしまった。厚労省の関係者は内情をこう語る。 「契約時期が変わったのはファイザーから『厳しい』と言われたから。それでも必死で交渉し、なんとか『年内』という言葉を入れた。イスラエルのように相場より高く買ったり患者のデータを提供したりと交渉の余地はあったはずだが、承認手続きや薬害、副反応のリスクを考えてどうしてもおよび腰になり、最終判断が遅れた。ファイザーはなかなか決断できない日本を横目に、他国にワクチンを回すようになってしまった」 ワクチンを思うように確保できない状況にしびれを切らした菅義偉首相は1月、官邸主導で打開しようと、河野太郎行政改革相をワクチン担当大臣に指名。河野氏の「突破力」に期待した形だが、就任早々ひと悶着があった。 1月21日に坂井学官房副長官が会見でワクチンについて「6月までに接種対象となる全ての国民に必要な数量の確保は見込んでいる」と語ったが、河野氏が翌22日、「修正させて頂く」「まだ供給スケジュールは決まっていない」などと噛みついた。両者は結局、「6月に確保することを目指す」という表現で着地したが、この騒動も契約内容の解釈を巡って勃発したという』、「承認手続きや薬害、副反応のリスクを考えてどうしてもおよび腰になり、最終判断が遅れた。ファイザーはなかなか決断できない日本を横目に、他国にワクチンを回すようになってしまった」、ワクチン入手では手痛い失敗である。
・『内情に詳しい政府関係者は、ワクチン契約をめぐる情報が行政内部でも十分に共有されていないと指摘する。 「河野氏は「『情報管理』や『機密保持』を徹底するあまり、製薬会社との交渉を担う厚労省や、輸出規制を導入したEUとの窓口になる外務省にさえ情報を伝えていない。中でもワクチンの供給契約の詳しい情報は『最高機密』で、一部の人間しか知らない。交渉にも支障が出ており、省庁間の関係もぎくしゃくしています」 自民党新型コロナウイルスに関するワクチン対策プロジェクトチームの役員会でも「契約の詳細がわからないのでEUと交渉ができない」という外務省の不満も取り上げられた。メンバーの佐藤正久参院議員が振り返る。 「厚労省の説明では、外務省の交渉担当者とは情報を共有していると言っていましたが、一部の担当者に限られるようです。相手方(製薬会社)との関係もありますし、(情報を共有する職員は)非常に限定されているのでしょう」 情報共有が十分でないことからくる不協和音は、いまや関係する各省庁に広がっている。 河野氏が担当大臣となる以前、ワクチン確保を所管していたのは和泉洋人首相補佐官や、和泉氏と「コネクティングルーム不倫疑惑」が報じられたこともある厚労省の大坪寛子審議官らを中心としたチーム。コロナ対策を担当する西村康稔経済再生担当相や田村憲久厚労相も関わり、外務省や総務省の存在も大きい。 だが、こうした厚労省を中心とした体制での契約交渉が順調だったとは言い難く、事態を打開するために河野氏が送りこまれた経緯がある。 「河野氏はこれまでワクチン確保の中心となってきた和泉氏、厚労省に代わって主導権を握り、自身に情報を一手に集めている。しかし、専門のブレーンがいないのに、外交ルートを有する外務省や製薬会社とパイプのある厚労省を遠ざけて、うまくいくのか危惧されている。いまやワクチン確保のための体制は破綻寸前の状態です」(前出の政府関係者) 各自治体が実施するワクチン接種をとりまとめる総務省の担当者も困惑しているという。) 「自治体ではいま、厚労省が示したスケジュールに間に合わせるため、医師や看護師の手配や会場の確保に追われています。各自治体の担当者から『ワクチンがどれだけ確保できるかがわからなければ準備を進められない』と突き上げられています。我々も最新データを知りたいと厚労省に再三伝えているのですが、『国内の承認を得られるまでは教えられない』の一点張り。少しの情報でもいいから提供してほしい」(地域政策課) 国際医療福祉大学医学部(公衆衛生学)の和田耕治教授は、こうした状況にこう警鐘を鳴らす。 「ワクチンの接種で重要なのは、ワクチンの『供給速度』です。世界的な争奪戦の中、いつ、どのくらいの数量を確保できるかが大事。ワクチンの必要量と供給量にギャップができれば、混乱が生じます。例えば、同じ医療従事者といっても、国内で感染者が多い地域もあれば、少ない地域もあり、優先順位を考える必要が出てくる。供給速度がわからなければ、こうした優先づけを行うのも難しく、接種のための人員や場所の用意も進められません。政府と国民の信頼関係にも響きます」 どこかの段階で、ワクチン供給のスケジュールが大幅に遅れることが判明すれば、国民は大きな衝撃や失望を受けることになる。 「現状では、国民の不安や怒りを噴出させないという意味において情報コントロールが成功してしまっているのかもしれません。ただ、ワクチンにかける期待感が失速した瞬間に、政権が国民に期待感のみを抱かせ、実体が伴っていなかったことに気付かされるでしょう」(前出の政府関係者) 河野氏にワクチンの供給契約の詳しい内容や確保の見通し、情報開示が消極的な理由などを尋ねたが、期限内の回答は「時間を取る余裕がない」とのことだった。厚労省も「契約の内容はお答えできない」と言うのみだった。 河野氏は2月16日の会見で、「政府の基本的な対処方針は令和3年前半までに国民に必要な数量のワクチンの確保を目指すということで変わっていない」とした。一方、「確保を目指すと語っているわけで、接種の時期について申し上げたわけではありません」とも語った。 また、東京五輪の開催前までに国民への接種が間に合わなかった場合について問われると、「五輪については橋本(聖子)大臣にお尋ねをいただきたいと思います」。希望する全国民が接種を追える時期については「現時点では定かではありません」とした』、「ワクチン確保を所管していたのは和泉洋人首相補佐官や、和泉氏と「コネクティングルーム不倫疑惑」が報じられたこともある厚労省の大坪寛子審議官らを中心としたチーム」、「不倫」騒動でワクチン入手交渉が放置されたとまでは思わないが、政府の無責任ぶりを如実に示している。「河野大臣」の守秘と情報公開のバランスをなどの手際の悪さには、失望した。

第三に、3月19日付け日経ビジネスオンラインが掲載したコラムニストの小田嶋 隆氏による「宣言解除に神風は吹くのだろうか」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00116/00112/
・『東京でも桜が咲き始めた。 毎年、この時期はせわしない気持ちになる。 ただ、今年は少し風向きが違う。首都圏の1都3県に、新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されているからだ。 とはいえ、時期が来れば桜は咲く。 そして、花が一斉に咲き始めると、私たちは、必ずや落ち着きを失うことになっている。 今回は、日本人の季節感を振り返りつつ、そのわれわれの季節感の特別さと新型コロナウイルス対策の関係について、いささか勝手な見立てをご紹介するつもりでいる。 菅義偉首相は、17日の夜、記者団に向けて、首都圏の1都3県に出されている緊急事態宣言を、再延長後の期限通り、3月21日限りで解除する方針を明らかにした。 むずかしい政治判断であったことは想像がつく。 首都圏の飲食店や観光業者は、先の見えない営業自粛に食い扶持を召し上げられている格好だ。こんな状態をいつまでものんべんだらりと続けていて良いはずはない。政府の首脳が、どこかの時点で見切りをつけるべきだと考えたことは、十分に理解できる。 しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大は収束していない。 むしろこの10日ほどは、緊急事態宣言の期間を延長しているにもかかわらず、感染者数は微増のトレンドで推移している。 してみると、いまここで宣言を解除してしまうことは、相応のリスクを伴う決断になる。政府はこの時期にあえて宣言を解除する理由を、どんな言葉で説明しているのだろうか。 報道をチェックすると 《閣僚の一人は16日、「宣言の効果が薄れている。解除で一度、仕切り直さないといけない」と述べた。》《「感染者数や病床の使用率といった数字が解除の方向に入っているということだ」(菅総理)》《また、政府関係者は、「みな、疲弊しており、このままでは次の波が来た時に頑張れない」と述べ、これ以上宣言を延長しても、自粛疲れなどで十分な効果が見込めないという認識を示しました。》 と、談話レベルの話は伝わってくるものの、然るべきチャンネルを通じて、決定的な理由が明らかにされているわけではない。 というよりも、メディアを介して伝えられている情報を総合すると 「あきらめた」「投げ出した」というニュアンスすら感じ取れる。 これはこの種の施策を告知するやり方として、とてもよろしくないと思う。 少なくとも私は「成績の上がらない中学生が勉強をやめる時の言い草そのものじゃないか」と、思った。 仮に宣言を解除して、これまでとは違う、新たな感染防止対策を打ち出すことになるのだとしても、国民に向けたアナウンスの仕方は、もっと工夫しないといけないはずだ。 「効果が上がらなくなった」(←これまでの施策は無意味だった)「自粛疲れが出ている」(←もう無理だよね)「ゆるみが出ている」(←国民の努力不足にばかり責任を求めてもねえ) みたいな言い方は、ストレートな自己否定に聞こえる点でよろしくない。 政府の側にそういう意図が無いのだとしても、上からの発表を 「われわれは、これまで無駄な我慢をしていました」という告白として受け止める国民は、必ずや一定数あらわれる』、「この時期にあえて宣言を解除」した「決定的な理由が明らかにされているわけではない」、いつもの説明責任を放棄した政府のやり方だ。
・『特に「コロナなんてただの風邪だ」「あんなウイルスは雑魚キャラだ」などと、早い時期から利いたふうなマッチョなご意見を開陳しつつ引っ込みがつかなくなっていた冷徹業界のみなさんは、わが意を得たりとばかりに 「ほら、オレが前から言っていた通りじゃないか」「自粛なんて、しょせん過剰反応だったってことだよ」てなことを言い始めるはずだ。 私はその種のバカな反動が再び力を得る近未来の到来を憂慮している。 なぜというに、この種の事情通ぶった逆張りの言説は、これまでにわれわれが積み上げてきた地道なコロナ対策の努力と成果を、土台の部分から無効化してしまう「呪い」だからだ。 私個人は、緊急事態宣言が効果を発揮していなかったとは思っていない。この10日ほど、リバウンドの兆候があらわれていたのは、宣言が「無駄」(あるいは「効果ゼロ」)だったからではなくて、「効力を発揮しにくくなってきた」からだと考えるのが普通だろう。 だとすれば、何が足りなかったのかを検討して、その分の対策をあらためて追加するのが正しい話の筋道であるはずだ。 ここで、ヤケを起こして 「宣言は無駄だった」「自粛一辺倒の対策は経済を殺しただけだった」 みたいな極論に走ってしまったら、これまで、宣言下で押し下げられていた感染拡大のカーブを、いよいよ破滅的なパンデミックに向けて再上昇させる結果を招く。 ある程度勉強をしたことのある人なら誰でも知っていることだが、努力と成果は必ずしも正比例しない。 平たく言えば、「勉強したからといってすぐに成績が上がるわけではない」ということだ。 実際、スポーツでも同じことだが、コツコツ練習しているのに記録が伸び悩む時期というのは必ずやってくる。 そこで、成績が上がらないからという理由で、トレーニングをやめてしまったら、その時点で間違いなく実力は停滞する。 だからこそ、目先の結果に一喜一憂せず、近視眼的な結果にまどわされることなく、その時点で積み重ねることのできる努力を続けることが重要なのだ。 なんだか意識の低い中学生に向かって説教を垂れているみたいな話で、自分ながら居心地が良くないのだが、現実問題として、政府が出来の悪い中学生みたいな態度をキメてきているのだから仕方がない。ここは国民の側が説教をしてあげないとダメだ。 宣言解除の可能性が噂にのぼり始めた3月14日の午後、私は、ツイッターに以下のツイートを連投した。 《3月21日をもって緊急事態宣言を解除する理由は下記のうちから選べ 1.GOTOの予算費消期限から逆算 2.五輪開催へのGOサインから逆算 3.今年こそ卒業式、入学式を開催したい学校関係者からの突き上げ 4.歓送迎会での売り上げを見込んだ飲食店関係者によるロビイング 5.自棄を起こしました 午後5:13 - 2021年3月14日》』、「政府が出来の悪い中学生みたいな態度をキメてきているのだから仕方がない。ここは国民の側が説教をしてあげないとダメだ」、面白い見方でその通りだ。
・『《6.花見の宴会を切望する酔漢に媚びました 7.国民に自己責任を思い知らせる良い機会だと思いました 8.小池知事にまたしてもおいしいところを持っていかれるのが不快なので 9.河野太郎ワクチン担当相を早めに失脚させたいと思っているので 午後5:17 - 2021年3月14日》 無論、これらは底意地の悪い冗談以上のものではない。ただ、私自身は、ここに並べた解答案のうちのいくつかは、そんなにハズれてもいないだろうと考えている。 というのも、政府は、感染爆発の可能性を含みおいた上で、それでも何らかの「期限切れ」を意識して、その「期限」に追われるようにして、宣言解除に踏み切ったはずだからだ。 もうひとつ見逃せないのは、政府の人々が、何かを「空頼み」している可能性だ。 これは、昔からわが国のリーダーが窮地に陥ると非常に高い確率で陥るトラップで、なんというのか、われわれは 「超自然的な僥倖」や「神風」を期待して、そこに賭けてしまいがちな人々なのである。 あるいはこれは、日本人に限った話ではないのかもしれない。 世界中どこの国でも、特定の民族の中に含まれている一定数の愚かな人々は、誰もが同じように、最後には 「神なる偶然」だったり 「海が割れる奇跡」だったりする超自然の力にすがるようになるものなのかもしれない。 ここで、話は冒頭に戻るわけなのだが、「桜」だ。 私は、今回の宣言解除は、桜の開花と無縁ではないと考えている。 なぜというに、桜の花が咲いているこの限られた一時期、われら日本人の多くは、なぜなのか、平常心を保てなくなるからだ。 しかも、われわれは、桜の花に誘われて酔狂な振る舞いに及ぶことを、恥だと考えない。むしろ、落花狼藉の狂態を誇ってさえいる。 このあたりの機微については、もう少しくわしい説明が必要だろう。 というのも、桜を愛でる日本人の感覚がいかに異常であるのかについて常日頃私が考えている内容は、普通の日本人から見れば「偏見」以外のナニモノでもないはずだからだ。それゆえ、私自身、自分のこの「偏見」については、どれほど丁寧に説明を試みたところで、2割程度の人にしかわかってもらえないだろうと、あらかじめあきらめてもいる』、「政府の人々が、何かを「空頼み」している可能性だ。 これは、昔からわが国のリーダーが窮地に陥ると非常に高い確率で陥るトラップで、なんというのか、われわれは 「超自然的な僥倖」や「神風」を期待して、そこに賭けてしまいがちな人々なのである」、情けない話だ。「桜を愛でる日本人の感覚がいかに異常であるのかについて常日頃私が考えている内容は、普通の日本人から見れば「偏見」以外のナニモノでもないはずだからだ」、どういうことだろう。
・『以下、一応説明をするだけしてみる。 私が桜に強い印象を抱くようになったきっかけは、20代の頃にアルバイトをしていたラジオ局でいくつか話を聞かされたからだ。 その話というのは、「上野で花見をしている人たちはどうかしている」という、ごく当たり前のエピソードだった。 普通なら 「知ってました」と答えてそれでおしまいになる話だ。 しかし、話はそこで終わらなかった。 「でもなオダジマ。おまえはわかってないぞ」と、その私より3歳ほど年長の、ベテランのキャスタードライバーだった女性は強い調子で断言した。 「上野で花見をしている男たちが、どれほどアタマがおかしいのかは、その場でその狂った人間たちに囲まれた女じゃないとわからないんだよ」と彼女は言った。 大柄で、ふだんはこわいものなどひとつもなさそうに見える彼女が、「本当にこわかった」と振り返った現場は、後にも先にも上野の花見中継以外に存在しない。 彼女以外にも、ラジオのナマ放送で花見の現場中継をこなしたことのある女性リポーターは異口同音に花見客の異常さを訴えたものだった。 「地獄だよ。あそこは」と。 1週間も前から新入社員に場所取りのための野宿をさせることで上野の一等地に花見の宴の席を確保するタイプのオフィスには、やはりそれなりに狂った社員さんたちが集まるものらしく、彼らの飲みっぷりと暴れっぷりとセクハラっぷりは、およそ言語を絶するものだったというのだ。 もちろん、令和の時代の花見風俗は、1980年代前半の上野の花見ほどの狂態ではないのだろう。 でも、基本は変わっていない。 桜は、われら日本人を「花は桜木男は◯◯」式の、集団主義的な花びらの一片に変えてしまうことのできる植物だ。であるから、桜が咲いている時期、われわれは、忙しく散っていく花びらに思いをはせながら、極めて刹那的な人生観の中で暮らすことになる。 だからこそ、桜は、「宴会」や「同期の桜」や「散らばもろともえいままよ」式の、自棄っぱちなフレーズを召喚しつつ、その枝の下で酒を飲む男たちを同期の桜という極めて刹那的な絆で紐帯してやまないのである。 以前、何かの(たぶんテレビ番組の)アンケートで視聴者に 「日本が好きな理由」を尋ねたところ 「四季があるから」という回答が、かなり高い順位(たぶん2位か3位)だったことに驚かされたことがある』、「桜が咲いている時期、われわれは、忙しく散っていく花びらに思いをはせながら、極めて刹那的な人生観の中で暮らすことになる。 だからこそ、桜は、「宴会」や「同期の桜」や「散らばもろともえいままよ」式の、自棄っぱちなフレーズを召喚しつつ、その枝の下で酒を飲む男たちを同期の桜という極めて刹那的な絆で紐帯してやまないのである」、確かに「桜」には特別な意味があるのかも知れない。
・『私は、第一感で 「四季ならどこにだってあるだろ」「4つに分けるのかどうかはともかく、地球上で人間が居住している地域であれば、当然、固有の季節的な気候変動はあるよな」と思ったものなのだが、落ち着いて考えてみれば、この回答のキモは、 「日本に四季があること」そのものや「日本の四季が美しいこと」にあるのではない。 むしろ、人々が日本を愛する理由として「四季があること」を挙げたのは、彼らが、「四季の変化を繊細に感じ取るわたくしども日本人の感覚の特別さ」を強く意識していることの反映と考えるべきだ。 つまり、桜や紅葉や四季折々の風物の話をする時、われら日本人は、自分たちを世界に類を見ない繊細な感覚の持ち主として特別視するモードの中にいるわけなのである。 それゆえ、あるタイプの文芸愛好家は歳時記を暗記することで、自分の感覚がいよいよ研ぎ澄まされると思い込んでいたりするわけなのだが、それはそれとして、「季節」は、日本人に、「特権意識」を醸成せずにおかない。 どういうことなのかというと、「季節感」は私たちの中に 「これほどまでに季節の変化に敏感で繊細で上品でセンスの良い特別な私たちであれば、諸外国の野蛮な人たちとは別次元の何かを達成できるはずだ」 という夜郎自大を育てるのである。 昨年の6月、わが国の新型コロナウイルス感染による死亡者が、国際水準から見て異例に低い水準にあった当時、麻生太郎副総理がその理由について 「国民の民度のレベルが違う」と発言したことがあった。 さらに、麻生副総理は、この時に「民度」発言を批判されたことを根に持っていたらしく11月に再び同じ言葉を持ち出して日本人の「民度」を誇っている。 個人的には、一国の政治家が「民度」という言葉を使うこと自体、不見識極まりない態度だと思う。ついでに言えば、メディアは「民度」なる概念の差別性について、きちんとした見解を示すべきだとも考えている。 とはいえ、麻生副総理による二度にわたる「民度発言」が、それほど大きな問題にならず、結果としてスルーされたことは、やはり軽視できない。 どうして、スルーされたのだろうか。 答えは簡単。 スルーされた理由は、麻生さんがあらわにした他民族へのあからさまな偏見が、国民の間に広く共有されている国民的偏見だったからだ。 私はそう思っている。 どんなにひどい偏見であっても、国民の多数派が同じ偏見を抱いているのであれば、それは「偏見」として扱われない。 けしからぬ「偏見」として血祭りに上げられるのは、少数派の人間が抱いている少数の「偏見」だけなのだ。 つまり、麻生さんが思っている(そして口に出して言ってしまってもいる) 「日本人は民度が高い」という偏見(←これは、諸外国の国民は民度が低いという偏見とセットになっている)は、われら日本人の共通認識なのである。 そして、その日本人の民度の高さを証拠立てるひとつの傍証が、 「日本人の季節感の繊細さ」「桜を愛でる日本人の心根の潔さ」だったりするのだね』、「「日本人は民度が高い」という偏見・・・は、われら日本人の共通認識なのである」、私は「日本人は民度が高い」とは思わない少数派のようだ。
・『今回のコロナ禍についても、少なからぬ日本人が 「日本人なら大丈夫じゃないかな」という思い込みを抱いている。 しかもその思い込みを支えているのは 「繊細で賢明で上品な日本人なら、適切に感染を防ぎつつなおかつ経済も回すみたいな微妙な舵取りもできるのではなかろうか」「お上があえて明示的な指示を出さなくても、一人ひとりが高い意識を持っている民度の高いわれら日本人なら、きっとコロナを克服できるだろう」 といったあたりの無根拠な妄想だったりする。 事態は、非常にマズい段階に到達している。 国民の大多数がこういう思い込みを抱くにいたっているということは、われわれがそれだけ追い詰められているということだ。 私は、先の大戦の経過の中で、「神風」という言葉が使われ始めたのが、いつ頃からのことだったのかを、よく知らないのだが、現時点で多くの人々がそれを待望していることは、肌で感じている。 ついでに言っておくと、私は神風は吹かないと思っている』、「現時点で多くの人々が」「神風」「を待望している」、のが真実であれば、恐ろしいことだが、私はそこまでは至ってないと思う。
タグ:パンデミック 日経ビジネスオンライン 小林慶一郎 AERAdot 文春オンライン 小田嶋 隆 (経済社会的視点) (その14)(緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”、ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音、小田嶋氏:宣言解除に神風は吹くのだろうか) 「緊急時に司令塔があいまいな菅政権…分科会メンバーが指摘する “第3波で痛感した日本型組織の弱点”」 「文藝春秋」3月号に寄稿した「 コロナ第3波『失敗の本質』 「分科会メンバーの」「小林氏」の主張とは興味深そうだ 「政治家のトップダウンが必要な有事において、平時のボトムアップの意思決定の仕組みを変えられなかったことが問題の本質」、とはさすが的確な指摘だ 「PCR検査」についてはあれほど重要性が指摘されていながら、いまだに実施数が本格化しないのは、厚労省のサボタージュのような気がする 「ワクチン確保計画は破綻寸前!? 河野ワクチン担当大臣周辺や各省庁の不協和音〈週刊朝日〉」 「承認手続きや薬害、副反応のリスクを考えてどうしてもおよび腰になり、最終判断が遅れた。ファイザーはなかなか決断できない日本を横目に、他国にワクチンを回すようになってしまった」、ワクチン入手では手痛い失敗である 「ワクチン確保を所管していたのは和泉洋人首相補佐官や、和泉氏と「コネクティングルーム不倫疑惑」が報じられたこともある厚労省の大坪寛子審議官らを中心としたチーム」、「不倫」騒動でワクチン入手交渉が放置されたとまでは思わないが、政府の無責任ぶりを如実に示している 「河野大臣」の守秘と情報公開のバランスをなどの手際の悪さには、失望した 「宣言解除に神風は吹くのだろうか」 「この時期にあえて宣言を解除」した「決定的な理由が明らかにされているわけではない」、いつもの説明責任を放棄した政府のやり方だ 「政府が出来の悪い中学生みたいな態度をキメてきているのだから仕方がない。ここは国民の側が説教をしてあげないとダメだ」、面白い見方でその通りだ 「政府の人々が、何かを「空頼み」している可能性だ。 これは、昔からわが国のリーダーが窮地に陥ると非常に高い確率で陥るトラップで、なんというのか、われわれは 「超自然的な僥倖」や「神風」を期待して、そこに賭けてしまいがちな人々なのである」、情けない話だ 「桜を愛でる日本人の感覚がいかに異常であるのかについて常日頃私が考えている内容は、普通の日本人から見れば「偏見」以外のナニモノでもないはずだからだ」、どういうことだろう 「桜が咲いている時期、われわれは、忙しく散っていく花びらに思いをはせながら、極めて刹那的な人生観の中で暮らすことになる。 だからこそ、桜は、「宴会」や「同期の桜」や「散らばもろともえいままよ」式の、自棄っぱちなフレーズを召喚しつつ、その枝の下で酒を飲む男たちを同期の桜という極めて刹那的な絆で紐帯してやまないのである」、確かに「桜」には特別な意味があるのかも知れない 「「日本人は民度が高い」という偏見・・・は、われら日本人の共通認識なのである」、私は「日本人は民度が高い」とは思わない少数派のようだ 「現時点で多くの人々が」「神風」「を待望している」、のが真実であれば、恐ろしいことだが、私はそこまでは至ってないと思う
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バブル(最近)(その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)) [金融]

バブル(最近)については、2月25日に取上げた。今日は、(その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2))である。

先ずは、3月22日付けダイヤモンド・オンライン「日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/266003
・『週刊ダイヤモンド3月27日号の第1特集は「バブル投資 見通し&リスク」です。日米の株価は沸騰中。日経平均株価が30年半ぶりに3万円を回復し、米国株は過去最高値を更新し続けています。中国株やコモディティ、仮想通貨なども熱を帯びています。これはさらなる高みへの途上なのか?それとも崩壊を避けられないバブルなのか?個人投資家が今知っておくべきファクトや視点を多面的にお伝えします』、興味深そうだ。
・『「明らかにバブルだ」「いや全く違う」 小幡氏と松本氏それぞれの根拠は?  日米の株価はバブルなのか。まだ上がるか、もう持たずに下がるのか。強気派のリーダー格、松本大・マネックスグループCEOと弱気派・バブル崩壊派の旗頭である小幡績・慶應義塾大学大学院准教授が、モデレータを務める経済評論家の山崎元氏を挟んで激突する。白熱座談会の模様をお伝えしよう。 山崎 現在の株価はバブルか。ここから議論を始めましょう。 私の立場は、バブルは現在、形成中である。ただし、かなりタチの悪いものを形成中なので、まだまだ終わらないはずだと。日経平均株価3万円を突破したという株価水準は黄色信号がつき始めた初期ぐらいの感じだと思っています。 まず、株価はもう持たないぞという小幡先生、どうぞ。 小幡 皆さんバブルというと、崩壊直前から崩壊した瞬間を切り取ってイメージしがちなんですが、バブルというのは、今お話にあったように長いんです。生成過程があって、高原状態、乱高下があって最後に崩れる。今はこの一連の過程のただ中にあります。 山崎 かつての日本の資産価格バブルでいえば、1988年くらいの感じかなと思います。 小幡 私は今の株高は明らかにバブルで、しかも最終局面に近いと思っています。その理由は単純で、株価水準とか数字は関係ない。 これは私独自のバブルの定義なんですが、投資家が他人の投資行動に基づいて自分の投資を決めている状態にあって、しかも大多数の投資家がそうであり、かつ買っている場合。これがバブルです。 だから買いが続けば、バブルは続きます。もう3万円だろうが3万1000ドルだろうが関係なく上がる。みんなが買っているから買う。他の人が儲かっているのに自分が儲からないのは嫌だから買うし、最後まで乗って人よりも儲けたいから買う。 松本 私は全然そう思っていない。今、法定通貨、おカネに逆バブルが起きているのだと思います。 新型コロナウイルス禍で大量におカネが刷られ、政府による財政出動もどんどん行われている。米国で昨年6月のひと月で刷られたおカネの額が、建国後200年間で刷られたおカネと同額だったというデータもある。この1年間、世界で新たに供給されたマネーの総量はまさに桁違いのとんでもない規模になります。 例えば、ある野菜を作り過ぎれば安くなるように、おカネも金融緩和と財政出動によって安くなる。おカネの相対価値が下がっていると思うんです。 そうすると供給量の限られている株や不動産、あるいはビットコインみたいな仮想通貨・暗号資産、こういったものの値段が上がる。 おカネをたくさん刷って社会に供給しようという政策意図はもともと、「コロナ禍で大変な状況になった社会を守るため」です。これによってインフレが起き、食料品や日用品などの値段が上がっては困る。政策意図に反する。一方で、株の値段が上がっても、国民生活の上では困らないので放ってある。そう私には見えます。 おカネがジャブジャブになっている中でおカネに逆バブルが起きていて、結果として株などの値段が上がっているということです。 山崎 カネ余り状況については私も同意見です。金融緩和だけでなく財政を使うことで実質的にカネが回るようになった。一方で過剰な流動性が発生して資産に向かっている。では果たして金融政策、財政政策が正常化した時に、この株価が持つのかどうか。 松本 日本の資産バブルの時には不動産融資の総量規制によってバブルがはじけました。今回は新型コロナ感染拡大によって社会が傷んで壊れるのを防ぐためにおカネを出した。例えば、ワクチンが効いて感染拡大が収まったとして、じゃあすぐにおカネを吸い取るでしょうか。すぐに増税とはならないでしょう。 金融緩和の拡大はいずれ止まるでしょう。そこで心理的な調整は起きると思いますが、おカネの総量が急に減るわけじゃない。おカネは急には吸い取らないで、出しっ放しになると思う。だからバブル崩壊みたいなことにはならない。 山崎 株価自体の水準は気にしないんですか?) 松本 そもそもPER(株価収益率)の平均が例えば15倍だったとしましょう。じゃあなぜ15なのか。5ではないのか。科学的な根拠があるわけではないんですよ。 市中のおカネの量が桁違いに多くなった中で、PERが15ではなく、20とか25になったとしても、それはそういう時代になったということだと私は思います。 小幡 いやいや、驚くべきことに意見が全く一緒ですね、実は。 (『週刊ダイヤモンド』3月27日号では、本座談会の完全版を掲載しています)』、「松本」氏と「小幡」氏がマーケットを認める点で「意見が全く一緒」になったとは驚きだ。
・『バブル相場と抜かりなく向き合うための市場の現状、展望、リスクを総まくり!(省略)

次に、3月15日付けJBPressが掲載した元ゴールドマン・サックス本社パートナーでくにうみアセットマネジメント代表取締役の山﨑 養世氏による「まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64458
・『初めに断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。 2009年1月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ』の中では、2008年9月に起きたリーマンショックが「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。 事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米国株は市場最高値を更新してきた。 しかし、アフターコロナが見えてきた米国株は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、米国の債券とドルも大暴落するリスクが高い。 加えて、リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。 そうなると、第2次世界大戦後初めての事態であり、「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。 どうしても警告しなくてはいけないと思い、2020年11月に「21世紀型大恐慌」(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい。 今回は、米株式に絞って暴落へのメカニズムを説明しよう。 ▽大いなる割高(まず、暴落する時には、常に株式は過大評価されている。いまの 米国株がそうである。次に掲げる1枚のグラフには、米国の経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。 すぐ目に着くのが、GAMFAなどが含まれるナスダック(NASDAQ)指数(赤い線)がコロナが広がった当初こそは下げたものの、そこから今年の2月までに6割近くも上昇したことだ。 GAMFAの企業価値(時価総額)だけで日本のGDP(国内総生産)を上回っている。 株価水準の過熱度を表す株価収益率(PER)で見た時には、ナスダックのPER(緑の線)は70倍を超えている。今年の純利益の70年分も買われていることになる。) 日本経済が世界最強と言われ、バブルと言われた1980年代末の日本株のPERが40倍であったことを考えるとそれを上回る過熱水準だ。 どうして、コロナで世界も米国も経済が低迷した時に、米国株がこんなに上昇したのだろうか』、知りたいところだ。
・『大いなる錯覚「ゼロ金利になったら買い」  昨年、米国の金利  グラフでは黒線のFF金利)がゼロになった時に、米国はもちろん世界中からGAMFAを中心に米国株に巨額の資金が殺到した。 「ゼロ金利になったら買い」という過去の経験則に世界中の投資家が飛びついたからだ。大いなる錯覚である。 米国の金利は今から6年前の2015年に引き上げが始まっていた。経済と株の過熱を抑制するためだ。 ところが昨年、米国の金利は一気にゼロになった。コロナ禍で米国で失業者と倒産が急増し経済を活性化するために金利を最大限に引き下げたのだ。 グラフの黒線のFF金利の動きをみてほしい。 すると、ナスダックが急上昇したのが分かる。確かにコロナの影響でGAMFAなどの業績は伸びた。しかし、米経済全体は戦後最悪クラスの不況に突入したのだ。 なぜ、そのような矛盾したことが起きたのだろうか? それは、過去2回の経験則から「ゼロ金利は買い」という錯覚が広まったからだ。 どこが錯覚なのだろうか?』
・『過去2回の「ゼロ金利は買い」との違い  過去30年間で2回の米国株買いの大チャンスは、「株式暴落に対応するために」金利が引き下げられて、ゼロ金利になった時だった。 最初が2000年のITバブルの崩壊直後、2回目が2008年のリーマンショックの直後だ。 この過去2回のゼロ金利が起きる前、つまり株式暴落の前は、金利は高い水準まで引き上げられていた。 いったん株価の暴落が起きると、金利はゼロ水準にまで引き下げられた。経済とマーケットに与える影響を緩和して、再びマーケットを上昇させるためのものだった。 だから、企業の資金調達コストは大きく低下した。そして国債などの米国債券は「暴騰」した。 そして、ゼロ金利に近くなった後、長い時間をかけて株価が上昇したことがグラフからわかる』』、なるほど。
・『米国株バブルの終わり  昨年からのゼロ金利と過去2回のゼロ金利との違いは、言うまでもなく今回のゼロ金利はコロナが招いたものであり、株価の暴落が招いたものではないことだ。 もっと言えば、今回はコロナがゼロ金利を招き、ゼロ金利が株の暴騰とバブルを招いた。 過去2回はゼロ金利になったのは株価の暴落後だったから、その後、株は上昇を続けられたが、今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、古今東西を問わず、市場は暴落に向かう。何かのきっかけで、一斉に売りが殺到するからだ』、「今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、・・・市場は暴落に向かう」、その通りなのだろう。
・『株の大暴落だけでは終わらない  今回の米国株のバブルが崩壊した場合には、米国債とドルの暴落との連鎖反応を起こす可能性が高い。 これから世界最大の経済大国、米国のマーケットが全面的に暴落する場合には、その影響は米国だけにとどまらず、世界中に広がるだろう。 ドナルド・トランプ政権が仕掛けた米中の経済対立、世界各国でのコロナ禍と財政の悪化、英国のEU離脱と米欧関係の悪化など、世界経済の国際協調体制は機能不全だ。 さらには、台湾などをめぐる米中間の緊張は、巨大な地政学的なリスクに発展して、IT製品などのサプライチェーンの途絶を引き起こすかもしれない。 そうなると、「21世紀の石油ショック」だ。 こうしたリスクシナリオの多くが現実となった時に、「21世紀型大恐慌」もまた現実として対応しなくてはならなくなる。 次回以降に、そうしたリスクシナリオについて説明していきたい』、「株の大暴落だけでは終わらない」とは不吉な託宣だ。次回を見てみよう。

第三に、この続きを、3月22日付けJBPress「米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64551
・『改めて断っておくが、私は悲観論者ではない。また、常に「大恐慌が来る」と脅かしてきたわけではない。 2009年2月に執筆した『日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!!』では、2008年9月に起きたリーマンショックから「戦前型大恐慌が起きない理由」を説明した。 事実、大恐慌が起きるどころか、今年までに米株式市場は最高値を更新してきた。 しかし、アフターコロナが見えてきたことで、今後大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、株式だけでなく債券とドルも大暴落するリスクが高い。 リーマンショックに際しては瞬時に形成された国際協調体制は、今は機能不全だ。そうなると、第2次世界大戦後初の事態である。 マーケットの大暴落から「21世紀型大恐慌」に至るリスクが高い。 どうしても警告しなくてはいけないと思い、昨年、2020年11月に、『21世紀型大恐慌 「アメリカ型経済システム」が変わるとき』(PHP出版)を書いた。詳しくはこちらを参照してほしい』、トランプが壊した「国際協調体制」の立て直しには相当の時間がかかりそうだ。
・『米マーケット全体が大暴落のリスク  先進国を中心にワクチンの接種が進み、世界最大の犠牲者を出してきた米国でもアフターコロナが見えてきたと思われている。 新型コロナウイルス感染症の被害が世界に広がった昨年の初めから、米国を中心に世界の株式市場は上昇を続けた。アフターコロナになれば、世界のマーケットはどう動くのだろうか? このシリーズの前回のコラムでは、「アフターコロナが見えてきた米株式市場は大暴落すると想定せざるを得ない。しかも、リーマンショックとは違って、債券とドルも大暴落するリスクが高い」と述べた。 なぜだろうか。マーケットの上昇や暴落のメカニズムはどうなっているのだろうか。メカニズムが分かれば対処法も見えてくる』、「マーケットの上昇や暴落のメカニズム」、はどんなものなのだろう。
・『FRBがコントロールできない時代に  米国の経済と金融、そしてマーケットの仕組みの中心に存在するのが米国の中央銀行、FRB(連邦準備制度理事会)だ。 コロナはFRBにも影響を与え、FRBはマーケットに影響を与える。1980年からコロナ以前の2019年までは、FRBの政策をよく理解すれば、経済もマーケットも十分に予測可能だった。 しかし、FRBも常に万能ではない。1970年代まではFRBは経済もマーケットもコンロールできなかった。スタグフレーションと呼ばれた時代だ。 そして、2020年からのコロナをきっかけとして、再びFRBが経済とマーケットのコントロールできない時代に入ろうとしている』、FRBだけでなく、多くの主要国の中央銀行マンは「経済とマーケットのコントロール」に不思議な自信を持っているようだ。
・『FRBの最大の道具がFF金利  下に示しているのがFRBの最大の道具であり政策金利といわれるFF金利(Fed Fund Rate)とインフレ率の過去60年間のグラフ①である。 驚くほどの変動を示しているのがお分かりいただけるだろう。 40年前にはFF金利は20%に近かった。歴史的にみたら今のゼロ金利やゼロインフレはとてもノーマルとは言えない。 なぜ、当時はそんな高金利になったのだろうか? 1970年代の米国は、「偉大な社会」建設を目指した福祉支出拡大とベトナム戦争支出で財政が急速に悪化した。 その上、中東戦争とイランイラク戦争を契機とした2つの「石油ショック」に見舞われ、インフレに襲われて市場の金利が急上昇した。急速に経済が悪化した。 当時のFRBは、景気刺激のために金利を引き下げようと通貨供給量を増やしたが、逆にインフレを高進させる「過剰流動性」を発生させて、金利はさらに上昇してしまった。 高金利に圧迫されて、企業の収益は急速に悪化し、消費や住宅需要は低迷した。 不景気とインフレーションが一緒にやってきたから、「スタグフレーション」という洒落た名前が作られたが、国民はたまったものではなかった』、確かに「スタグフレーション」の時代は酷かった。
・『FF金利でインフレを退治したボルカー  インフレを退治するのに成功したのが、ジミー・カーター政権末期の1979年にFRB議長に就任したポール・ボルカーだった。 ボルカーは、それまでとは逆の発想で、FF金利を大幅に引き上げて、市場に出回る通貨の量を大きく減らした。厳格な「通貨供給量政策」といわれた。 昨今のようにFRBが国債を大量に買って「流動性」つまりお金を供給することなどボルカーには論外だった。 FF金利の大幅な引き上げによってボルカーはインフレ率の大幅低下に成功し、金利も低下して、1980年から始まったロナルド・レーガン大統領時代の「強いアメリカ」を経済から支えた。 ボルカーによってようやく、FRBがFF金利で経済をコントロールできる時代が到来した』、確かに「ボルカー」は偉大だった。
・『FRBの株式市場操作の道具もFF金利  次に掲げるグラフ②には、アメリカの経済とマーケットのエッセンスが詰まっている。 まず、黒い線が米国の金融当局であるFRBが決定するFF金利だ。FRBが民間銀行に強制的に預けさせる「準備預金」に付ける金利だから、民間銀行の「仕入れ値」であり、金利の「元締め」のような役割を果たす。 FF金利は、FRBが米国の経済とマーケットをコントロールする最大の道具である。 冷え込んでいる時にはFF金利を下げて温め(緩和)、過熱だと判断すればFF金利を引き上げて冷まそうとする(引き締め)』、その通りだ。
・『FF金利でマーケットをコントロール  もちろん、FF金利は株式市場も動かす。 ゼロ金利になると、企業の収益が好転するだけでなく、ヘッジファンドや投資銀行といった米国株を動かしている主力投資家の「借入コスト」が劇的に改善する。 なぜなら、彼らは巨額の「レバレッジ」、つまり借り入れを行なっているから、金利が低下すると借入コストも「レバレッジ」、つまり自己資本に対する借入の倍数分低下するからだ。 例えば、レバレッジが5倍の場合、1%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは5倍上下する。5%金利が上下すれば、自己資本に対する借入コストは25%変化する。 だから、金利を上げられればレバレッジ投資家の収支は大きく悪化し、金利が下がれば収支は大きく改善する。 投資家に投資資金を貸すのは民間銀行だが、銀行の金利は仕入れ値であるFEDのFF金利によって上下する。 つまり、FRBはFF金利を上下させることで、FRB→民間銀行→株式投資家の借入コスト→株式投資の収益性、という経路で株式市場に影響を与えることができる。 こうして、FF金利上げ(引き締め)→株式投資の収益性悪化、FF金利下げ(緩和)→株式投資の収益性改善、という経路で株式市場の上げ下げに影響を与えてきた』、なるほど。
・『過去30年の米株式市場の上昇パターン  再び、グラフ②を見ていただきたい。 1990年から2019年末までは、米国の中央銀行であり金利と金融政策を決定する連邦準備制度(FRB)の政策金利であるFF金利と、米国の株式市場との間には、顕著な「因果関係」が存在した。 FRBが米国の株式市場を相当程度コントロールしてきたからだ。その間のパターンは ①FRBの政策金利であるFF金利が低い時から、経済成長、好景気、株高が継続 ②FRBが市場は過熱と判断、FF金利を継続的に引き上げ、それでも株は上昇 ③FF金利をさらに引き上げ高金利に、やがて株式暴落 ④FF金利を大幅に引き下げ、金利の低下により債券価格は暴騰することで株式市場の暴落ショックを緩和する ⑤は①のパターンに戻り、経済と株式が上昇開始  過去2回の株式市場の暴落であった2000年のITバブルの崩壊と2008年のリーマンショックの双方では以上の①から⑤のパターンが見られた。 いずれの場合にも、経済と株式の上昇はFF金利が低い時に始まり、FRBが金融を引き締めるためにFF金利を引き上げても株式の上昇は止まらず、さらにFF金利を引き上げてから株式「暴落」が起きた。 すると、FRBはFF金利を直ちに5%以上大幅に引き下げたから、それと同時に債券市場は「暴騰」し、低金利をテコに経済活動も活発化して、大底からの経済成長と株価上昇が始まった。 つまり、「FF金利の大幅低下は株式の買いチャンス」というパターンがみられた』、なるほど。
・『「マエストロ」と言われたグリーンスパン  このパターンを確立したのが、1987年から2006年まで19年間にわたり米国の金融政策のトップであったFRBのアラン・グリースパン議長である。 金融だけでなく経済と株式市場の長期成長までもたらしたグリースパン議長は、その絶頂期には「マエストロ」と呼ばれた。 グリースパン議長は、低金利政策により株式や不動産などの資産価値を高めて富裕層の消費を拡大して経済成長を持続させ(その間に貧富の格差は拡大したが)、マーケットが加熱すると金利を引き上げ続けた。 一旦マーケットが暴落すると瞬時に大幅に金利を引き下げて債券価格を上昇させて暴落を緩和し、超低金利効果による経済と株式市場の回復を導いた。 2000年のITバブルの崩壊から回復と成長をもたらし、2006年の退任の直前までは過熱する株式市場を抑制するために金利を引き上げ続けた。 グリースパンの後継者であるベン・バーナンキFRB議長もグリースパン路線を踏襲して金利を引き上げ続け、リーマンショックの暴落が発生すると直ちに金利を低下させて危機を乗り切り、その後の株式と経済の成長に道をつけた』、「グリースパン」は低金利政策でサブプライム問題の種をまいたとの批判も根強い。
・『FRBは株式市場に責任を持つ  ではなぜ、米国の中央銀行であるFRBは株式市場を動かすのだろうか。 FRBが雇用の最大化、つまり経済に責任を持っているからだ。そして、株式市場が株式上昇→消費→雇用→経済、という経路で米国経済に及ぼす影響が大きいからだ。 米国は資本主義の総本山であり、米国資本主義の最大の装置が株式市場であることは過去100年間変わらない。1929年の米国発の大恐慌は株式市場の突然の暴落から始まった。 FRBを含めた米政府にとって、株式市場をコントロールすることは、経済に直結する死活問題である。 1990年代以降の米国の財務長官に、私も共同経営者(パートナー)であったゴールドマンサックスから3人も就任していることも、マーケット重視の表れだ』、「1990年代以降の米国の財務長官に」「ゴールドマンサックスから3人も就任」、確かに「マーケット重視の表れだ」。
・『日銀には制度上、株式市場に責任がない  ここで注意しなくてはいけないのは、日本の中央銀行である日本銀行が法律で定められた責任を持っているのは「物価の安定」だけだ。 日銀は雇用にも経済にも株式市場にも、制度としては責任がない。 日銀が1980年代の株式や不動産のバブルを放置したことも、1990年代以降のバブルの崩壊にも手をこまぬいたことにも、こうした制度上の日米の違いが作用した。 ただし、日銀史上最も国際金融論に通暁した現在の黒田総裁が、2013年の就任以来、日銀の伝統的な手法ではなく、FRBによく似た「金融による成長戦略」をとり、ここまで株式市場を上昇させ、少子高齢化が進む日本経済のマイナス成長を緩和してきたことは特筆すべきだ。 もちろん、世界最大の対外純資産を持つ点では米国と対極的だが、日本の黒田日銀の政策にも、FRBと共通するリスクが内包されている』、「山﨑」氏は、「黒田総裁」を評価しているようだが、私は従来から、異次元緩和はリスクが大き過ぎると批判的だ。
・『コロナが変えたパターン  ドナルド・トランプ政権が誕生した2016年から2019年にはFRBはFF金利をゼロから3.5%まで引き上げていた。 株式市場の上昇が続き、経済は好調で物価上昇の兆候が見られたためだった。 しかし、2020年から始まったコロナ禍により、FRBはFF金利をゼロにまで引き下げた。ここから、米株式市場、特にGAMFAを擁するナスダック(NASDAQ)市場の暴騰が始まった。 「FF金利の大幅低下は買い」という過去の経験則から個人投資家を含む世界中の投資家が米株式市場に資金を流入させたからだ』、米国株式市場のマネー吸引力は確かに凄い。
・『共同幻想が消えるとき  大いなる錯覚である。 過去のFRBによる大幅な金利低下は、株式市場の暴落に対応するためだった。しかし、今回の大幅な金利低下の前には株式市場の暴落は起きていない。 それどころか、米株式市場は歴史的な高値水準にまで上昇した。 この本質的な違いを無視して、「ゼロ金利は買い」という過去の成功の方程式を信じた資金が米国株を押し上げた。 株式市場がどの程度「バブル」状態なのかを表す指標にPER(株価収益率)という「倍数」がある。株価が年間の純利益の何倍なのかを表す。 日本経済がバブルと言われた1989年末で、PERは時期にもよるが、およそ50倍程度であった。 直近の2021年1月末のナスダックの平均PERは約71倍、つまり年間利益の71年分、株が買われているということだ。 グラフ②を見ても、ナスダックがこの1年間でいかに上昇したかが分かる。 この大いなる錯覚が米国株急上昇の最大の原因である。「共同幻想」が消えた時には、暴落の危険をはらんでいる』、その通りだ。
・『コロナはきっかけに過ぎない  パンドラの箱を開けたらあらゆる災いが人類にもたらされたとギリシア神話ではいう。 トランプ大統領が開けたパンドラの箱に、コロナという突風が吹き込んで、これからの米国と世界には「21世紀型大恐慌」のリスクが高まっている』、「21世紀型大恐慌」については殆ど言及がないが、今後出てきたら、紹介するつもりである。
タグ:バブル ダイヤモンド・オンライン JBPRESS (最近) (その7)(日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!、まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)、米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)) 「日米の株高はバブルか?マネックス松本大氏vs小幡績氏vs山崎元氏が大激論!」 「明らかにバブルだ」「いや全く違う」 小幡氏と松本氏それぞれの根拠は? 「松本」氏と「小幡」氏がマーケットを認める点で「意見が全く一緒」になったとは驚きだ。 山﨑 養世 「まもなく大暴落が始まる米国の株式市場 「21世紀型大恐慌」シリーズ(1)」 大いなる錯覚「ゼロ金利になったら買い」 過去2回の「ゼロ金利は買い」との違い 米国株バブルの終わり 「今回は、株がこのバブル水準から上昇する余地は限られる。 バブル相場の上昇期待がはげ落ちたとき、・・・市場は暴落に向かう」、その通りなのだろう 株の大暴落だけでは終わらない 「株の大暴落だけでは終わらない」とは不吉な託宣だ。次回を見てみよう 「米株式市場がまもなく大暴落に至る仕組みを詳解 FRBの政策から読み解く「21世紀型大恐慌」シリーズ(2)」 トランプが壊した「国際協調体制」の立て直しには相当の時間がかかりそうだ 米マーケット全体が大暴落のリスク FRBがコントロールできない時代に FRBだけでなく、多くの主要国の中央銀行マンは「経済とマーケットのコントロール」に不思議な自信を持っているようだ FRBの最大の道具がFF金利 確かに「スタグフレーション」の時代は酷かった FF金利でインフレを退治したボルカー 確かに「ボルカー」は偉大だった FRBの株式市場操作の道具もFF金利 FF金利でマーケットをコントロール 過去30年の米株式市場の上昇パターン 「マエストロ」と言われたグリーンスパン 「グリースパン」は低金利政策でサブプライム問題の種をまいたとの批判も根強い FRBは株式市場に責任を持つ 「1990年代以降の米国の財務長官に」「ゴールドマンサックスから3人も就任」、確かに「マーケット重視の表れだ」 日銀には制度上、株式市場に責任がない 「山﨑」氏は、「黒田総裁」を評価しているようだが、私は従来から、異次元緩和はリスクが大き過ぎると批判的だ コロナが変えたパターン 米国株式市場のマネー吸引力は確かに凄い 共同幻想が消えるとき コロナはきっかけに過ぎない 「21世紀型大恐慌」については殆ど言及がないが、今後出てきたら、紹介するつもりである。
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ミャンマー(その3)(抗議デモの死者180人 「このままではミャンマーはもっと悲惨に」、「親日国」ミャンマー市民が日本に厳しい視線注ぐ理由、ミャンマー政変 にわかに現実味を帯びてきた国軍が恐れる“最悪シナリオ”) [外交]

ミャンマーについては、本年2月28日に取上げた。今日は、(その3)(抗議デモの死者180人 「このままではミャンマーはもっと悲惨に」、「親日国」ミャンマー市民が日本に厳しい視線注ぐ理由、ミャンマー政変 にわかに現実味を帯びてきた国軍が恐れる“最悪シナリオ”)である。

先ずは、3月17日付け日経ビジネスオンライン「抗議デモの死者180人 「このままではミャンマーはもっと悲惨に」」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00118/031700044/
・『2月1日の国軍によるクーデターはミャンマーを窮地に追いやった。多くの市民が国軍の支配に不服従を貫き、毎日休みなく全国各地で厳しい抗議デモが起きている。ゼネストも広がり、経済は立ち行かなくなりつつある。だが国軍による弾圧は苛烈になる一方だ。報道によれば、3月16日までに少なくとも180人を超える犠牲者が出ている。なぜ国軍はクーデターを起こしたのか。先行きが不透明な状況はいつまで続くのか。ミャンマー政府と少数民族武装勢力との和平に貢献し、ミャンマーの政治・軍関係者とのつながりも深い日本経済大学の井本勝幸・特命教授に話を聞いた(Qは聞き手の質問)。 Q:国軍による弾圧がエスカレートしており、状況は悪化する一方です。 日本経済大学の井本勝幸・特命教授(以下、井本氏):わずか1カ月でミャンマーという国はボロボロになってしまいました。国軍は人々に銃口を向け、通信は断続的に遮断され、夜陰に紛れた誘拐まがいの拘束が横行している。刑務所でもひどい事態が起きていると聞いています。 治安部隊はデモで負傷した人を手当てする医療ボランティアにまで暴行を加えている。弾圧は厳しくなる一方で、もう尋常ではありません。私は国軍とも長い付き合いがありますが、ここまでバカな連中だとは思わなかったというのが正直な思いです。 このままではもっと悲惨なことになります。ですから私はCRPH(注:「連邦議会代表委員会」、国軍に対抗するためアウン・サン・スーチー氏率いる国民民主連盟のメンバーが中心となって設立した組織。事実上の臨時政府)のメンバーに「(国軍との)戦い方を変えたほうがいいのではないか」と伝えました。 人々の国軍を許さないという思いは十分に分かる。ただ路上に出てデモ活動をすれば命を失います。これ以上、犠牲者を増やさないためにも、今後はゼネストなどを中心に対抗していくべきだと考えています。CRPHのメンバーも危ない。今、国軍は関係者を血眼になって探しています。彼らは今、捕まったら最後という状況で活動しているのです。 クーデターの数週間後に元国軍関係者と話をしたところ、彼は「国軍はルーズ・オア・ウィン・タクティクスに入っている」と言いました。勝つか負けるか、どちらかしかないということですね。もちろん相手は民衆です。武装勢力ならまだしも、丸腰の民衆相手に、何が「ルーズ・オア・ウィン」だと個人的には思います。国軍はここまで民衆の反発が強いとは想定していなかったのです。文句を言いつつもクーデターや国軍の支配を結局は受け入れるだろうと浅読みしていたのです。現実が想定と大きく違っていたものだから、追い詰められて強硬な姿勢を取らざるを得なくなってしまった。 Q:人々は治安当局の弾圧に屈することなく抗議を続けています。現状では着地点が見えません。 井本氏:民衆は今のところ国軍に一歩も引く気はありません。国軍側は国民民主連盟(NLD)が大勝した2020年11月の総選挙で大規模な不正があったとし、選挙をやり直す方針を示していますが、一方で多くの人々はクーデター以前の状況に戻せという。 国軍に対する反発は本当に根強いものがあります。ミャンマーの民政化はまだ途上で、これまで約半世紀にわたって軍事政権が続いてきました。ここでクーデターを認めてしまっては、また暗黒の時代に逆戻りする。ミャンマーの人々はこう考えています。彼らからすれば、今回は国軍との最後の戦いなのです。だからたとえ命を落としても、経済が立ち行かなくなり生活ができなくなったとしても、絶対に軍政を認めないという姿勢を示しています』、「国軍はここまで民衆の反発が強いとは想定していなかったのです。文句を言いつつもクーデターや国軍の支配を結局は受け入れるだろうと浅読みしていたのです。現実が想定と大きく違っていたものだから、追い詰められて強硬な姿勢を取らざるを得なくなってしまった」、それにしても、国民に銃を向けるとは酷いものだ。
・『難民が発生する恐れ  対立は深まるばかりです。国軍による弾圧が激化すれば、生活できなくなる人が大量に出て難民化します。1988年に起きた民主化運動でも多くの難民が発生し、タイに逃れました。国内外の難民を誰が救うのか。国際社会は軍政を動かしてでも彼らを守らなければなりません。 もっとも、抗議運動にしても、いつまでも続けられるわけではありません。後述するように国際社会からの介入がない限り、どこかに落としどころを見つける必要はあります。一方で、反軍政を貫こうとする人々は活動を先鋭化させていくでしょう。彼らが行き着く先は少数民族武装勢力です。これもまた88年の民主化運動で見られた動きです。 例えば当時の軍事政権に武力闘争を挑んだ全ビルマ学生民主戦線(ABSDF)は国軍に追い詰められ、少数民族武装勢力のカレン民族同盟(KNU)を頼りました。それしか道がなかったのです。そして今回もまた同じような動きが出ると思います。本当に残念なことですが、国軍は同じ歴史を繰り返そうとしているのです。 Q:なぜ国軍はそもそもクーデターに踏み切ったのか。またスー・チー氏やNLD側に防ぐ手立てはなかったのでしょうか。 井本氏:国軍は軍政時代の2003年に民主化へのロードマップを公表し、これに従って民政移管を進めてきました。国軍は「民主化の主役はあくまで自分たち」であると思っていましたし、これを主導することで国民から尊敬されたかったのです。 ただ現実は異なりました。「愛される国軍」になりたかったのに、国民からはそっぽを向かれてしまった。象徴的なのが2015年の総選挙です。この選挙で国軍出身のテイン・セイン大統領率いる軍系政党(連邦団結発展党、USDP)は、スー・チー氏率いるNLDに大敗を喫しました。 テイン・セイン氏は軍出身ながら民主化を積極的に推し進め、少数民族武装勢力との停戦も実現し、さらに経済的にも多くの改革に着手してきた。国軍内部で「テイン・セイン氏は(民主化に)前のめりになりすぎている。やりすぎだ」という声が出ていたほどです。それなのに、国民の支持はスー・チー氏に集中した。結局、民主化の主役は国軍ではなくスー・チー氏であることを、まざまざと見せつけられたのです。「スー・チー氏さえいなければ」という思いが、国軍にはくすぶり続けました。 さらに2020年の総選挙ではスー・チー氏率いるNLDは前回を上回る勝利を収め、USDPは前回よりもひどい大敗を喫しました。「スー・チー氏さえいなければ」という思いはより強くなり、自らの存在が脅かされるとの危機感が国軍をクーデターに駆り立ててしまった。 クーデターで全権を握ったのは国軍トップのミン・アウン・フライン総司令官です。ただ関係者の間では、今回のクーデターを主導したのは彼だけではないという見方があります。たとえばCRPHの関係者は「日本が交渉に乗り出すとすれば、相手はタン・シュエ氏だ」と話しています(注:タン・シュエ氏は旧軍政トップとして独裁体制を敷いた人物。2011年、後継としてテイン・セイン氏を政治トップに、ミン・アウン・フライン氏を国軍トップに指名し一線から退いたといわれている)。ミン・アウン・フライン氏はどちらかといえば穏健派として知られていましたが、その周囲にいる国軍幹部はタン・シュエ氏子飼いの強硬派が多いと聞いています。 タン・シュエ氏はミン・アウン・フライン氏にその地位を譲る際、「必要とされる場合は再び軍が実権を握る」と予言していました。そのタイミングが今だったということでしょう。ただ国軍の一部関係者からは、現状について戸惑いの声が上がっているのも事実で、(民衆への弾圧について)やりすぎていると冷静に見る向きもあります。でも軍の命令には怖くて逆らえません。私はかつて国軍の兵舎を訪ねたことがありますが、そこではいじめが横行しており、上官はやりたい放題でした。あそこにいたら誰だって恐怖心でいっぱいになり、上官の命令には逆らえなくなります。知り合いの国軍関係者に対しては「このままでは国軍は国民からも国際社会からも相手にされなくなる。再革命が必要なんじゃないか」と話していますが、今のところ、その可能性はありません。 一方のスー・チー氏やNLD側も今回は国軍の動きを見誤りました。国軍は2020年11月の総選挙について検証するよう再三迫っていましたが、NLDは聞き入れなかった。しかもNLD側はぎりぎりまで、国軍によるクーデターの動きを把握できていなかった。最初から対応しておけば、ここまで国がボロボロになるような事態にはならなかったかもしれません』、「国軍トップ」の「ミン・アウン・フライン氏はどちらかといえば穏健派として知られていましたが、その周囲にいる国軍幹部はタン・シュエ氏子飼いの強硬派が多い」、なるほど。
・『主要な少数民族武装勢力は反軍政に  今、課題になっているのはNLDやCRPHのリーダーの不在です(注:国軍はクーデター以来、スー・チー氏を拘束している)。国軍と対等に話ができる人がいないのです。CRPHの関係者とも話していますが、結局、これまで何もかもスー・チー氏頼みだったのは問題でした。NLD政権内ではスー・チー氏の顔色をうかがいながら仕事をするような雰囲気ができてしまい、彼女の耳に入る前に案件が握りつぶされてしまうこともありました。もっとも、スー・チー氏は75歳になっています。現実的に考えれば次の5年が(国のトップとして仕事をする)最後のタイミングだったでしょう。こんな事態になる前から、新しいリーダーを育てておく必要はあったと思います。 Q:ミャンマーの少数民族武装勢力は今回のクーデターにどう反応しているでしょうか。 井本氏:ミャンマー政府との停戦協定に署名していた10の少数民族武装勢力は国軍の弾圧を非難し、軍との和平交渉を打ち切りCRPH支持を表明しています。さらに、停戦に応じていなかったカチン独立軍(KIA)も 市民の抗議運動を保護する姿勢を示し、国軍と衝突しました。 当初、CRPHは一部の少数民族武装勢力としか接触していなかったため、それではだめだと私は伝えました。結果、CRPHは各民族との交渉に乗り出しました。高度な自治を約束し、さらに民主主義に基づいて国軍を解体し、武装勢力と統合して新たに連邦軍を作ると明言しています。これは画期的な動きだったと思います。少数民族武装勢力との和平を進めるという点では、国軍は一度解体されることが避けられないのです(注:一方で国軍はNLD政権がテロリスト団体に指定していた少数民族武装勢力アラカン軍のテロ団体指定を解除した)。 関係者によれば国軍は「ここで自分たちが倒れたら、ミャンマーはシリアのようになる」と本気で考えているそうです。ただ、現状ではCRPH・少数民族武装勢力と国軍とが内戦状態になることは考えにくいと思っています。CRPHは武器を持ちませんし、少数民族武装勢力は自分たちの支配が及ぶエリアを守ることが第一で、エリアを出て戦闘することは基本的にはないからです。また今回の問題について、あくまでビルマ族内の主導権争いだと冷めた目で見る向きもあります。Q国際社会は、日本はどう対応すべきでしょうか。 井本氏:国際社会がミャンマーの人々を「保護する責任(R2P、Responsibility to Protect )」はあると思います。国に人々を守る意思がないのですから。本来であれば、国際社会がPKO(国連平和維持活動)のような形を取って介入すべきでしょう。そうすれば少なくとも弾圧はなくなるでしょうし、対立する双方が対話する機会ができます。ただ国連などの介入は現状では望めません。国連安全保障理事会では中国やロシアが慎重な見方を崩さず、結局、議長声明しか出すことができませんでした。米国などは経済制裁を打ち出していますが、経済制裁で問題が解決した例を私は知りません。 ミャンマー国内では、「中国が国軍を支援している」との見方が強まっており、反中デモも行われています。ただ状況はもっと複雑だと思います。中国とべったりだったのは、むしろスー・チー政権でした。国軍は中国の影響力の増大には危機感を強めていたのです。中国は一部の少数民族武装勢力の後ろ盾にもなっていましたから。そこで国軍は近年、中国ではなくロシアから兵器を購入していました。しかもクーデターの数日前にはロシアの国防相がミン・アウン・フライン総司令官と会談しています。国軍は中国とロシア、そして中国の進出に神経をとがらせる隣国、インドとのバランスをうまく取りながら、難局を乗り越えていこうという腹ではないかと思います。 有効な手が打てない国際社会ですが、それでも手をこまぬいている場合ではないでしょう。国軍は前回の総選挙で大規模な不正があったと主張しています。ならば国際社会が調査団を入れて、改めて票の数え直しをするとか、選挙をするにしても軍政の都合のいいものにするのではなくて、国際社会が責任を持って11月と同じ顔ぶれで実施させるなど、やれることはあるはずです。 日本は国軍とのチャンネルがあります。それを生かし、改めて民主化を促していくという立場でいいと思います。国際社会からは批判を受けるかもしれませんが、独自のカードを用意して交渉していくのです。例えば人道支援は止めないけれども、弾圧が続く限り大きなプロジェクトは支援しないといったように、是々非々でやっていくしかない。かつての軍政時代から日本はミャンマーへの支援を続けてきました。投資も多く、日本人もたくさん住んでいます。今ここで関係を断ち切ってしまっては、もう二度とミャンマーに入れないでしょう。今、国軍は日本の声に耳を貸そうとしませんが、粘り強く働きかけていくしかないと思います。 この記事はシリーズ「東南アジアの現場を歩く」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます』、「日本は国軍とのチャンネルがあります。それを生かし、改めて民主化を促していくという立場でいいと思います」、手ぬる過ぎる。毎日、大勢が殺されているなかで、もう悠長なことを言っているヒマはない筈だ。

次に、3月23日付けWedge「「親日国」ミャンマー市民が日本に厳しい視線注ぐ理由」を紹介しよう。
・『我々日本人自ら「親日国」と形容することも多いミャンマ――。ミャンマーのクーデターから1カ月が経過するなか、俄かにその風向きに微かな異変が起きつつある』、「微かな異変」とは何なのだろう。
・『丸山大使の「外相」発言に猛反発  政府をはじめとした日本側の対応に不満を抱えているミャンマー国民の声が、ソーシャルメディア上を中心に急速に目立つようになってきている。事の発端は今月8日、国軍と太いパイプを持つと言われている丸山市郎・駐ミャンマー大使が、国軍が「外相」に指名したワナ・マウン・ルウィン氏と首都ネピドーで会談した際のこと。 丸山大使は、クーデター後の状況に対して「重大な懸念」を表明すると同時に、ミャンマー市民への一切の暴力停止、アウン・サン・スー・チー氏らの早期解放、民主的な体制の速やかなる回復といった3点を要求した。独自に築いてきた軍政とのパイプを生かしながらの外交が行われた形だが、その夜に在ミャンマー日本大使館がフェイスブック上で、ワナ・マウン・ルウィン氏について「外相」と表記した上で、上記事項を申し入れたとビルマ語、英語、日本語で投稿。 すると、瞬く間にミャンマー市民から非難の声が殺到。「日本政府の弱気な態度に失望しています」、「日本はミャンマー国民の声を聞かず、軍人を認めるつもりなのか?」、「ワナ・マウン・ルウィン氏は、外務大臣ではありません。誰も認めてはいけませんし、このような言葉使いをやめて頂きたい。ミャンマー国民としては強く非難します」など、痛烈なコメントが怒涛のような勢いで相次いでしまったのだ。 これを受けて、加藤勝信官房長官は10日に行われた記者会見で、ミャンマー国軍が任命したワナ・マウン・ルウィン氏を日本政府が「外相」と呼んだことについて、「〝外相〟と呼称はしているが、呼称によって国軍によるクーデターの正当性やデモ隊への暴力を認めることは一切ない」と強調。その上で、「ミャンマー側の具体的な行動を求めていくうえで、国軍と意思疎通を継続することは不可欠で、これまで培ってきたチャンネルをしっかり活用して働きかけを続けることが重要だ」と日本政府の姿勢を説明する対応に追われた。 茂木敏充外相も、丸山大使が会談した翌日9日の記者会見では、ワナ・マウン・ルウィン氏を「外相」と呼んでいたものの、10日の衆院外務委員会の途中から、ミャンマー市民の心情や国際世論への配慮からか「当局によって指名されている外相と言われる人」との表現を使い、軌道修正した。 2日に開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)の非公式外相会議では、内政不干渉を原則として加盟国の国内政治事情などに対し介入を避けてきたなかで、各国から批判の声が相次ぐなど異例とも言える事態となり、インドネシアとシンガポールの外相がワナ・マウン・ルウィン氏に対して「外相」という呼称を使わなかったことが報じられた経緯もある。こうしたなかで、最大のODA支援国である日本が「外相」という言葉を堂々と使用したことにミャンマー市民は強く反応したというわけだ』、呼称は極めて重要な問題なのに、「日本」の外務省がここまでセンスがないとは驚かされた。
・『「治安部隊」の呼称を使い続ける日本メディアに非難  さらに、日本の各メディアへの非難も高まる事態となっている。主たる引き金は「治安部隊」という表現だ。今、スーチー氏の解放と民主化を掲げて声を上げているミャンマー市民らは、国軍を「テロリスト」と呼び始めている。事実、武器を持たずに「非暴力」で立ち向かおうとする市民に対して発砲して多くの犠牲者を出したり、不服従運動に参加する公務員やメディア関係者らを夜中に逮捕・拘束、さらには戒厳令下での死刑もちらつかせるなど、次第にその手口は過激化している。 国軍に対しては、国内外から急速に批判が高まっており、もはや「治安」を守る部隊ではなく暴力を煽り人を殺す「テロリスト」なのだ、というのがミャンマー市民の理屈だ。ソーシャルメディア上ではもはや、ミャンマー市民らによる「国軍テロリスト」という呼称は定着しているような状況だ。 「治安部隊」という表現に対して、ミャンマー市民からの反発に火がついた一つのきっかけが、第2の都市マンダレーでデモ隊への銃撃によって犠牲となった19歳のチェ・シンさんの死だ。歌と踊りが趣味で「エンゼル」(天使)という愛称で親しまれ、銃撃される前の姿を捉えた写真やイラストは抗議運動で掲げられるなど、象徴的な存在となったチェ・シンさん。 しかし、ミャンマーの国営テレビでは、警察がマンダレー郊外の墓から遺体を掘り起こして検視を行った結果、チェ・シンさんの頭から摘出された銃弾は警察のものではなく、さらに警察がいた方向からは撃たれていないなどと報じた。ソーシャルメディア上では「遺体を掘り起こすなどなんておぞましい行為だ」「こんな虚偽報告を信じるものなどいない」などの書き込みが相次ぐ事態となったわけだが、日本のメディアでは、ミャンマー国営テレビが「警察が裁判所の許可を得て遺体を掘り起こし検視を行なった」と伝えたことを報道。 すると、テレビのタイトル字幕を撮影した画面がソーシャルメディア上で一気に拡散されていき、「日本のメディアは捏造報道ばかりでフェイクを垂れ流している」「なぜ軍事独裁政権の嘘ばかりを配信するミャンマーの国営テレビを信じるの? 人殺しであるミャンマー軍事政権と同じだ」「テロリスト集団を応援するような報道しか出来ないのですか」などとあっという間に非難の声が広がってしまった。 きちんと放送全体を見れば決して国軍の肩を持つような内容にはなっておらず、あくまで国営テレビではこう報じられたものの市民からは反発が上がっている、として右上のサイドタイトルには「犠牲者の遺体掘り起こし ミャンマー当局に非難の声」とも書かれている。 さらに、ソーシャルメディア上での「誰がこのような(当局の)うその報告を信じるだろうか」という市民の言葉も併せて紹介されており、放送全体のニュアンスからすればむしろ市民による当局への非難を伝えている内容になっている。しかし、ミャンマーの国営テレビで伝えられた内容を引用で報じたことに対して「国軍の言うことを信じて肩を担ぐのか」とあたかも肩棒を担いでしまったかのように怒りを買う結果となった。 今や、日本メディアへのミャンマー市民の目線は非常に厳しいものとなり、あらゆるニュースについての文言が取り沙汰され、様々な非難が止まない状況だ。 このようにミャンマー市民の不信感が募る背景には、欧米諸国が先んじて国軍関係者らを対象にした強硬な制裁措置などを打ち出してきたなか、日本政府は協調路線を取っておらず、独自の外交を行なっていることが挙げられる。軍政時代からの「独自の国軍とのパイプ」を生かした外交が謳われ、これまで民主化を後押ししてきた経緯があるが、これほどまでに市民の犠牲が出て国際社会からも制裁を求める声が強まるなか、果たして国軍側との「対話と協力」を維持して慎重に対応する姿勢が依然として通用する事態なのか――既に多数の犠牲者が出ている緊迫した情勢下、ミャンマー市民にとっては「及び腰」「口だけで行動が伴わない」などと捉えられる結果を招いている』、「欧米諸国が先んじて国軍関係者らを対象にした強硬な制裁措置などを打ち出してきたなか、日本政府は協調路線を取っておらず、独自の外交を行なっていることが挙げられる・・・これほどまでに市民の犠牲が出て国際社会からも制裁を求める声が強まるなか、果たして国軍側との「対話と協力」を維持して慎重に対応する姿勢が依然として通用する事態なのか」、少なくとも「国軍側」にもっと強い姿勢で取っていることが「ミャンマー市民」にも分かる程度までは、圧力を強めるべきだ。
・『日本政府が表明した「ロヒンギャ支援」にも反発  さらに、日本政府による人道支援も、非難の的となった。政府は9日、ミャンマー国内やバングラデシュに流入したイスラム教徒少数民族ロヒンギャ難民らへの医療用品や食糧支援などの名目で1900万ドル(約20億9000万円)の緊急無償資金協力を行うことを決定した。クーデターが起きた2月以降、日本政府が発表した初めてのミャンマー関連の支援で、赤十字国際委員会(ICRC)や国連世界食糧計画(WFP)などの国際機関を通じて、約60万人に対する食料支援やシェルターの改修、医療用品の提供などが実施されるとされた。 国軍との交換公文の署名などは行わず、茂木敏充外相は会見で「ミャンマーの国民が困るような事態については人道上の問題で支援を続けねばならない」と、あくまで経済支援は行わない構えだが、人道支援の継続を表明した形だ。 しかし、このロヒンギャへの支援が報じられると、再びミャンマー市民からの不満、非難が続出。ソーシャルメディア上では、「日本政府には呆れます」「この支援金が誰に手渡されるのかが気になります。軍に渡したところで、難民支援に使うと約束したとしても口約束で行かない。大半は軍の懐にいくでしょう」などの非難が相次いだ。なかには、「間違えないでください、国軍に支援金が渡るのではなく、赤十字などを通してロヒンギャに支援されるのです」と冷静に支援の意図を正す投稿も見られたが、それに対しても「国軍に渡る可能性がないと言い切れるのか」などと強い反発の声が散見される。 ソーシャルメディア上に溢れる、ミャンマー市民たちの声は、国際社会が制裁に舵を切るなか、期待していた日本政府の対応への失望感への表れでもある。 独自の外交を貫いてきた日本政府は今、厳しい舵取りを迫られている』、「ミャンマー市民たちの声は、国際社会が制裁に舵を切るなか、期待していた日本政府の対応への失望感への表れでもある」、「日本政府としても、前述の通り、「国軍側」に圧力を強めるべきだ。

第三に、3月23日付けデイリー新潮が掲載した経済産業研究所コンサルティングフェローの藤和彦氏による「ミャンマー政変、にわかに現実味を帯びてきた国軍が恐れる“最悪シナリオ”」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/03230602/?all=1
・『2月1日にクーデターが起きたミャンマー情勢はますます混迷の度を深めている。 クーデターを起こした国軍が、デモ制圧を続ける姿勢を示し、全権掌握の既成事実づくりを頑なに進める一方、民主化勢力は「臨時政府」を立ち上げ、統治の正統性を主張する。 混乱状態が長期化しつつある中で、ミャンマーではこのところ「国軍を支援している」として中国に対する批判の声が高まりつつある。 中国側は否定しているが、3月11日、ヤンゴンで国軍のクーデターに抗議する数百人のデモ隊が中国大使館に対する抗議活動を行った。中国製品の不買運動を呼びかける声も上がっていたが、その矢先の14日、ヤンゴンにある複数の中国系の工場が何者かの襲撃を受け、多くの中国人従業員が怪我をするという事案も発生した。 ミャンマーにおける中国のプレゼンスは大きい。中国にとってミャンマーは手放すことが出来ない要衝の地である。中国はミャンマーが民主化プロセスを進める中、同国のインフラ整備などに巨額の資金を投じてきた(総額1000億ドル)。「一帯一路」の旗頭の下でミャンマーとの物流ルート「中国・ミャンマー経済回廊」の建設を進めており、完成すれば中国は内陸部からインド洋に抜ける大動脈と海洋進出の足がかりを得ることになる。原油・天然ガス輸送におけるマラッカ海峡の依存度を低下させるため、ミャンマーのチャウピュー港から中国雲南省につながる原油・天然ガスパイプラインも整備してきたが、クーデターによる政情不安が、中国の「虎の子」である資産にとって脅威になるとの懸念を強めている(3月10日付日本経済新聞)。 中国はアウンサンスーチー国家顧問率いる国民民主連盟(NLD)政権との関係は良好だったが、国軍は「NLDが中国と近すぎる」として警戒感を強めた。このことが今回のクーデターの一因であるとされている。 中国は国軍に対しても軍事協力を提案してきたが、国軍は中国と協力しながらもその影響力拡大に対する警戒を怠ることはなかった。中国は海洋輸送路確保に向けた「真珠の首飾り戦略」の一環として、ミャンマーの主要な港湾に海軍の駐留を望んできたが、ミャンマー軍は外国軍の駐留を禁止した憲法を盾にこれを拒否してきた経緯がある』、「国軍は「NLDが中国と近すぎる」として警戒感を強めた」「中国は海洋輸送路確保に向けた「真珠の首飾り戦略」の一環として、ミャンマーの主要な港湾に海軍の駐留を望んできたが、ミャンマー軍は外国軍の駐留を禁止した憲法を盾にこれを拒否してきた」、「中国」は「クーデター」の黒幕ではないようだ。
・『インド・中国両国間の代理戦争の場に  その背景には根深い反中感情がある。1990年代の軍事独裁時代に中国資本がミャンマーに流入、これにより凶悪犯罪が多発したという苦い思いがある。「中国系少数民族の武装解除がうまくいっていないのは中国の支援があるからだ」との苛立ちもある。 「中国との関係を取り仕切るのが自分たちの役割だ」と考える国軍だが、2月下旬に中国との間で非公開で行った会議内容が外部に流出した(3月13日付産経新聞)。地元メデイアによれば、国軍との会議で中国側は、雲南省とミャンマー西部のチャウピューを結ぶ内陸部の天然ガス・原油パイプラインの戦略的重要性を強調し、警備の強化を求めてきた。デモ隊が中国に資源を送るパイプラインへの攻撃を主張していたからである。中国側はさらにミャンマーでの反中感情を抑えるため、国内メデイアに圧力をかけることも要求したという。中国側の要求に対する国軍の回答は明らかになっていないが、国軍の後ろ盾は中国だけではない。近年インドとの関係を強化している。2019年のミャンマーのインドからの武器購入額は1億ドルとなり、中国からの武器購入額(4700万ドル)を凌駕している。インドは昨年ミャンマー軍に潜水艦を贈与した。 インドにとってもミャンマー軍は欠かせない存在になりつつある。インドの北東部の国境地帯では中国の支援を受けているとされる少数民族武装勢力が活動しており、インドの要請でミャンマー軍は過去2年間、武装勢力を排除する作戦を行ってきた。 「中国問題」のウエイトが高まるミャンマーでは、「少数民族の取り込み」も大きな争点になりつつある。135の少数民族が住んでいるとされるミャンマーでは1948年の独立以来、人口の約7割を占めるビルマ族による支配に不満を抱く少数民族が活動を続けてきた。国軍は少数民族の平定を担う役割を有していることを根拠に連邦議会の議席の4分の1を無条件で割り振られる特権を正当化してきた。 クーデターで実権を握った国軍は少数民族の取り込みを進めている(2月8日付産経新聞)。新設された最高意志決定機関「行政評議会」メンバーの一人に西部ラカイン州の少数民族「アラカン族」出身者を起用した。背景にはNLDが実現できなかった和平を推進したい思惑があるが、NLDも3月に入り、南東部のカイン州で自治拡大を求めて国軍と衝突してきたカレン族の武装組織などに接近し始めた(3月12日付日本経済新聞)。 そのせいだろうか、南部のタニンダーリ地域の町ミッタでは8日、この地域に影響力がある少数民族武装勢力が銃を携え、約2000人のデモ隊の警護に当たった(3月9日付NHK)。当該地域の少数民族はカレン族と中国南部の貴州省や雲南省などの山岳地帯に住むミャオ族の支系とされるモン族である。 これを契機に中国系武装勢力と国軍が衝突する事態になれば、ミャンマー情勢を憂慮してきた中国が「自国民保護」を名目に実力行使に出る可能性が出てくるだろう。そうなれば中国と同様、ミャンマー情勢を静観していたインドも黙っていない。北東部のアルナチャルプラデシュ州を巡り中国との領土問題を抱えるインドにとって、北東部と国境を接するミャンマーが中国の勢力下に入ることはなんとしてでも阻止しなければならない。 国軍はこれまで「対応を誤れば、同国がインド・中国両国間の代理戦争の場になる」ことを恐れてきたが、自らが起こしたクーデターによりその懸念がにわかに現実味を帯びてきた。なんとも皮肉な話である』、「国軍はこれまで「対応を誤れば、同国がインド・中国両国間の代理戦争の場になる」ことを恐れてきたが、自らが起こしたクーデターによりその懸念がにわかに現実味を帯びてきた。なんとも皮肉な話である」、インドまでは「国軍」の背後にあるとは、何とも複雑な構図だ。いずれにしても、日本政府は国軍にもっと影響力を行使して、平和的解決に努めるべきだ。
タグ:ミャンマー 日経ビジネスオンライン WEDGE デイリー新潮 (その3)(抗議デモの死者180人 「このままではミャンマーはもっと悲惨に」、「親日国」ミャンマー市民が日本に厳しい視線注ぐ理由、ミャンマー政変 にわかに現実味を帯びてきた国軍が恐れる“最悪シナリオ”) 「抗議デモの死者180人 「このままではミャンマーはもっと悲惨に」」 日本経済大学の井本勝幸・特命教授 「国軍はここまで民衆の反発が強いとは想定していなかったのです。文句を言いつつもクーデターや国軍の支配を結局は受け入れるだろうと浅読みしていたのです。現実が想定と大きく違っていたものだから、追い詰められて強硬な姿勢を取らざるを得なくなってしまった」、それにしても、国民に銃を向けるとは酷いものだ 「国軍トップ」の「ミン・アウン・フライン氏はどちらかといえば穏健派として知られていましたが、その周囲にいる国軍幹部はタン・シュエ氏子飼いの強硬派が多い」、なるほど 「日本は国軍とのチャンネルがあります。それを生かし、改めて民主化を促していくという立場でいいと思います」、手ぬる過ぎる。毎日、大勢が殺されているなかで、もう悠長なことを言っているヒマはない筈だ 「「親日国」ミャンマー市民が日本に厳しい視線注ぐ理由」 丸山大使の「外相」発言に猛反発 呼称は極めて重要な問題なのに、「日本」の外務省がここまでセンスがないとは驚かされた。 「欧米諸国が先んじて国軍関係者らを対象にした強硬な制裁措置などを打ち出してきたなか、日本政府は協調路線を取っておらず、独自の外交を行なっていることが挙げられる・・・これほどまでに市民の犠牲が出て国際社会からも制裁を求める声が強まるなか、果たして国軍側との「対話と協力」を維持して慎重に対応する姿勢が依然として通用する事態なのか」、少なくとも「国軍側」にもっと強い姿勢で取っていることが「ミャンマー市民」にも分かる程度までは、圧力を強めるべきだ 「ミャンマー市民たちの声は、国際社会が制裁に舵を切るなか、期待していた日本政府の対応への失望感への表れでもある」、「日本政府としても、前述の通り、「国軍側」に圧力を強めるべきだ 藤和彦 「ミャンマー政変、にわかに現実味を帯びてきた国軍が恐れる“最悪シナリオ”」 「国軍は「NLDが中国と近すぎる」として警戒感を強めた」「中国は海洋輸送路確保に向けた「真珠の首飾り戦略」の一環として、ミャンマーの主要な港湾に海軍の駐留を望んできたが、ミャンマー軍は外国軍の駐留を禁止した憲法を盾にこれを拒否してきた」、「中国」は「クーデター」の黒幕ではないようだ インド・中国両国間の代理戦争の場に 「国軍はこれまで「対応を誤れば、同国がインド・中国両国間の代理戦争の場になる」ことを恐れてきたが、自らが起こしたクーデターによりその懸念がにわかに現実味を帯びてきた。なんとも皮肉な話である」、インドまでは「国軍」の背後にあるとは、何とも複雑な構図だ。いずれにしても、日本政府は国軍にもっと影響力を行使して、平和的解決に努めるべきだ。
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今日は更新を休むので、明日にご期待を!

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エネルギー(その6)(中国製風車」が倒壊事故 同社の風車は全国に400基も、水素1 水電解装置 “グリーン水素”の大量製造時代へ 世界で400超のプロジェ…=中園敦二、脱炭素の切り札?にわかに脚光を浴びる「アンモニア発電」とは何か、再エネ推進派でも意外と知らない「グレー水素」「ブルー水素」「グリーン水素」の違い) [技術革新]

エネルギーについては、昨年1月3日に取上げたままだった。久しぶりの今日は、(その6)(中国製風車」が倒壊事故 同社の風車は全国に400基も、水素1 水電解装置 “グリーン水素”の大量製造時代へ 世界で400超のプロジェ…=中園敦二、脱炭素の切り札?にわかに脚光を浴びる「アンモニア発電」とは何か、再エネ推進派でも意外と知らない「グレー水素」「ブルー水素」「グリーン水素」の違い)である。

先ずは、2月2日付けデイリー新潮「「中国製風車」が倒壊事故 同社の風車は全国に400基も」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2021/02020556/?all=1
・『傾き始めた菅政権の切り札「脱炭素化」の出鼻をくじいた格好だ。2050年までの温室効果ガス実質ゼロを目指し、再生可能エネルギーが脚光を浴びている。その折も折、長崎に設置されていた中国製風車が根元から倒壊したのだ。 「ドーン!」 けたたましい音が轟いたのは、昨年10月1日13時頃。長崎県松浦市に設置されていた小型風力発電機が根元から倒壊した。 小型とはいえ、発電機は高さ20メートルほど。風速6メートルなら年間8万キロワット以上を発電することが可能だ。事業主の企業は経産省が所管するFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)に参画し、2018年に都内にあるHYエネルギーという会社が約2千万円で販売しているこの風車を購入し、設置していたのである。 事情通によれば、 「HYエネルギーは中国人が経営者で、かつては自民党の二階俊博幹事長の次男が役員として名を連ねたことで知られていました。この発電機を購入した事業主はメンテナンス費用を差し引いても年間200万円ほどの利益が上がる予定でした。10年で初期投資を回収できるはずだったのに、それが2年で倒れてしまったのですから、大損です」 製造元はGHREという中国の会社。風車は中国の工場で作られたため、販売元のHYエネルギーとGHREの間で責任のなすり合いとなっているのである』、「小型風力発電機が根元から倒壊」、僅か「2年で倒れ」たとは、いかにも「中国製」らしい。「販売」した「HYエネルギーは中国人が経営者で、かつては自民党の二階俊博幹事長の次男が役員」、なるほど。
・『ボルトが折れる  事故直前に辞任するも、今も事故対応をしているHYエネルギーの前代表が言う。 「今回の事故は、タワーと土台を溶接で繋いでいる部分の少し下、タワーの下部がポキッと折れてしまったことで起きました」 その原因については、「風車の羽根を結合する際、ボルトが強度不足だった可能性があります。羽根がガタガタと揺れてしまい、その振動でタワーに過重な負担がかかり、倒壊したのではないか。実際、GHREのボルトは設置の際によく折れていて、GHREの工場に改善の要求を出していたんです」 かたや、GHRE日本事業部のマネージャーは上海から記者に電話をかけてきて、こう反論するのだ。 「弊社からすればHYエネルギーの主張は事実に反します。ボルトの強度については出荷前に第三者機構によるレポートで確認済みだからです。向こうの主張はエビデンスに基づいているのでしょうか。今回の事故については調査中で、本当の原因が突き止められ次第、公表する予定です」 倒壊から3カ月以上が経過しても、両社の主張は平行線を辿るばかり。さらに不安視されるのは、 「ウチが手掛けた同じ型の発電機は全国で100基ほどが稼働しています。目視と音の検査で異常はありませんでしたが、今後もっと詳しい検査を行う予定です」(HYエネルギーの前代表) 他の企業が設置したものも含めると、GHRE製の小型風車は日本で400基が稼働中とも言われている。 経産省の担当者に聞くと、 「小型風力発電機について、設置されている数は把握できていません」』、原因は不明だが、「GHRE製の小型風車は日本で400基が稼働中」、恐ろしい話だ。

次に、本年2月21日付けエコノミストOnline「水素1 水電解装置 “グリーン水素”の大量製造時代へ 世界で400超のプロジェ…=中園敦二」を紹介しよう。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210302/se1/00m/020/027000c
・『“グリーン水素”の大量製造時代へ 世界で400超のプロジェクト  水電解装置は風力、太陽光発電などの再生可能エネルギーにより生み出された電力余剰分で水を電気分解して水素に変換し、エネルギーを貯蔵することができる。グリーン水素を製造する市場でいかに高効率に水素を製造するか。水電解装置の需要が高まり、国内外の企業が参入している。 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などによると、実用技術としては、(1)アルカリ水電解法、(2)固体高分子型(PEM型)水電解法──の2種類がある。アルカリ水電解法はスケールメリットがあり、特に大規模プラントで低コスト化が期待できる。PEM型水電解法は同じ面積に流す電流(電流密度)がアルカリ水電解法に比べて高いため装置を小型化できるが、部材が高価でコストがかさむ。ただ、最近の活発な研究開発で規模、コストとも差は縮まっているという』、なるほど。
・『旭化成が世界最大級  国内で注目されるのが旭化成だ。2020年7月に実証試験を兼ねて本格稼働を始めた水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」(FH2R)にアルカリ水電解装置を納入した。 水を電気分解して水素を発生させる水電解装置は、消費電力が大きいほど、多量の水素を作り出すことができる。旭化成は、10メガワットという大きな電力で水素を発生させる装置を開発。単体の水電解装置としては世界最大級という。世界市場で高いシェアを誇る自社の食塩電解プロセスを流用して開発が可能となった。同社は装置のコスト低減と長期耐久性検証を続け、展開を狙う。 日立造船はPEM型水電解法の装置を開発し、周辺機器を含めたシステムを販売する。同社は水素にCO2を加えてメタンを作る「メタネーション」技術の開発にも取り組む。 三菱パワーは固体酸化物形燃料電池(SOFC)を扱っているが、SOFCの発電の仕組みを逆反応させて、水から水素と酸素を発生させることで、効率の高い固体酸化物形電解設備(SOEC)となる。今後、水電解装置への応用についても動きが出てくると期待される。 国際エネルギー機関(IEA)などによると、20年6月現在、稼働中の水電解プロジェクトはドイツ、日本などで169件あり、アルカリ水電解法とPEM型水電解法がほぼ二分するが、プロジェクト規模についてはアルカリ水電解法が6割以上を占める。 また、計画中のプロジェクト件数は公表されているものだけで現状の1.6倍の257件に上る。稼働中と合わせると400を超えるプロジェクトが存在する』、「稼働中の水電解プロジェクトはドイツ、日本などで169件あり、アルカリ水電解法とPEM型水電解法がほぼ二分」、「計画中のプロジェクト件数は公表されているものだけで現状の1.6倍の257件」、まだまだこれからのようだ。
・『EUだけで4兆円市場  欧州連合(EU)の水素戦略は30年までに電解装置40ギガワット(1ギガワットは1000メガワット)・水素1000万トン製造を目標にしており、「電解設備コストは1メガワット当たり約1億円で、EUだけで4兆円の市場規模になる。世界的に見ても参入企業は増える」(大手シンクタンク)。海外勢はシーメンス(ドイツ)、Nel(ノルウェー)などが設置を進めており、コスト低減のため大型化を図っている。また、ITM(英)は住友商事と協定を結び、住商は日本での販売代理店となった。 日本企業も海外で動いている。三菱重工業は豪州のH2Uインベストメンツ社へ出資し、同社が検討中の水電解事業に参画する。再エネから水素を製造して地域への供給を目指す。また、ドイツでバッテンフォール(スウェーデン)、シェル(英蘭)などと協働して、グリーン水素製造・供給・利用事業の実現可能性の検討を開始。閉鎖予定の石炭火力発電所跡地で100メガワット規模の水電解プラントを建設する。 ただ、日本企業は「国内需要がほとんどなかったこともあり、装置の大型化に5年以上遅れている。このままでは欧米メーカーに太刀打ちできなくなる」(業界関係者)と懸念する声もある』、「日本企業は」「装置の大型化に5年以上遅れている」、またまた後塵を拝するとはやれやれだ。

第三に、.3月3日付けエコノミストOnlineが掲載した日本総合研究所ディレクタの段野孝一郎氏による「脱炭素の切り札?にわかに脚光を浴びる「アンモニア発電」とは何か」を紹介しよう。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210302/se1/00m/020/035000c
・『主に農業肥料用途として使われているアンモニア(NH3)が、発電用燃料としてにわかに注目されている。 「二酸化炭素(CO2)フリー」の発電燃料として活用できることが現実味を帯びてきたからだ。 アンモニアの製造方法は100年前に確立された「ハーバー・ボッシュ法」で、天然ガスなどに含まれるメタン(CH4)から分離された水素(H)と、大気中の窒素(N)を高温高圧で合成する。 可燃性があるアンモニアは燃料になり得るが、従来の製造方法では、多大なCO2を排出した。原料として天然ガスなどの化石燃料を使用し、さらに合成プロセスで多量のエネルギーを必要とするためである。 前者については、メタン由来水素を、水を再生可能エネルギーで分解する「グリーン水素」、または、メタン由来水素ではあるが製造工程で出るCO2を回収する「ブルー水素」に置き換えることで削減が可能だ。 後者についても、少ないエネルギーで済む合成プロセスの開発が進む。 こうした新たなプロセスでアンモニアを作れば、CO2フリーのクリーンな発電燃料となる。 ここで、アンモニアでなく、グリーン・ブルー水素をそのまま発電燃料として活用するということも可能ではある。しかし、水素は燃焼速度が速いという特性があり、既存の発電所で混焼させる場合は、同じく燃焼速度が速いガス火力での混焼が主体となる。 この点で、日本はベース電源として石炭火力が多く、石炭はガスと比べて燃焼速度が遅いため、そのままではグリーン・ブルー水素の活用が難しい。 そこで、石炭に近い燃焼速度を持つアンモニアの形に変え、石炭火力発電所のCO2排出量を下げる目的で使おうという動きが活発化している』、「水素は燃焼速度が速いという特性があり、既存の発電所で混焼させる場合は、同じく燃焼速度が速いガス火力での混焼が主体となる」、「石炭に近い燃焼速度を持つアンモニアの形に変え、石炭火力発電所のCO2排出量を下げる目的で使おうという動きが活発化」、「混焼させる場合は」「燃焼速度」が問題になるようだ。
・『今治・伊藤忠が利用検討  国内では、電力・ガス・商社・船舶会社などから構成される「グリーンアンモニアコンソーシアム」が、再エネ由来のグリーンアンモニアの普及に向けて活動を進めている。 具体的には、2021年度から、東京電力ホールディングスと中部電力の合弁によるJERA・碧南石炭火力発電所(愛知県)内の出力100万キロワットの発電機で、アンモニアを20%程度混焼させる実証実験を検討している。 石炭燃料代替以外の用途では、ガスタービン、船舶用ディーゼルエンジンなどに活用することを念頭に研究開発が行われている。 今治造船・三井E&Sマシナリー・日本海事協会・伊藤忠エネクス・伊藤忠商事は、「アンモニア焚(だ)き機関」を搭載する船舶を共同で開発することに合意している。 加えて、アンモニアは水素のエネルギーキャリア(運搬方法)としても期待されている。 水素は密度が小さいため、(1)液化、(2)圧縮、(3)有機ハイドライド(トルエンと合成)、(4)水素吸蔵合金 ──といった常温常圧以外での輸送方法が必要である。 いずれも輸送のための新たなインフラ構築が必要になる。 一方、前述したように、アンモニアは肥料用途での商用実績があり、輸送インフラも整備されており、使用時に水素を取り出すことなく燃焼させることが可能であるため、既存のアンモニア流通経路が活用できる。 現在、アンモニアは、(1)肥料用途が主体で、需要地が偏在する、(2)原料は天然ガスと大気であり供給地の制約が少ない、(3)ハーバー・ボッシュ法が確立されており供給地の制約が少ない ──といったことから、需要地近接型の工場立地で、地産地消がなされてきた。 国内では、主に工業ガス会社が供給や製造、輸送を担い、肥料や化学用途の需要家が消費してきた。 しかし今後は、脱炭素化での用途が新たに増加することが見込まれる。 現在、国内では年間約100万トンが消費されているが、経済産業省資源エネルギー庁は、発電や船舶などの「燃料用」として、30年には300万トンの需要を想定する。 需要増に対応するには、国内の供給網だけでなく、海外からの調達が必要になる。 具体的には、ブルー水素由来のアンモニアが製造可能な産油・ガス国や、グリーン水素由来のアンモニアが製造可能な水準まで再生可能エネルギーの製造コストが安価になると見込まれる北米・豪州・中東からの輸入も必要になるだろう。 国内の輸送は既存インフラが活用できる見通しであるが、新規用途として発電側で混焼させるための設備投資(アンモニア貯蔵タンクや混焼設備)も必要となる』、「水素」で運搬するよりは、確かに実績のある「アンモニア」で運搬する方がよさそうだ。
・『課題はNOX、臭い  脱炭素としてのアンモニア利用にも課題は存在する。 その一つは、Nを含むことであり、燃焼時に窒素酸化物(NOX)の排出量の増加が見込まれる点だ。CO2が減ったとしても、NOXが増えてしまえば社会的影響は大きい。 現在では、アンモニアをボイラーに投入する位置を工夫することによってボイラー内でのアンモニアの燃焼性を改善させること、既存の脱硝装置を活用することなどにより、大幅に改善が図れることが判明してきている。 二つ目は、アンモニア特有の臭気である。 小型のアンモニア燃料電池の開発なども進むが、一般家庭・住宅が存在する地域での使用は、万が一の漏えいを想定すると現実的ではない。 アンモニアはあくまでもBtoB(法人対法人)分野での脱炭素用途に使われるものと割り切った方がよいだろう。 水素・アンモニアの利用自体は国内でもたびたび盛り上がってきていたが、世界市場で潮目が変わったのは20年7月に公表された「欧州水素戦略」であろう。 戦略で、欧州連合(EU)は「グリーン水素」を戦略的産業と位置付けた。この動きには、脱炭素政策と一体化したEU、特にドイツの通商政策を垣間見ることができる。 EUが石炭などからの脱却を目指す中、独シーメンスに代表される重工メーカーもポートフォリオを転換し、石炭火力からの撤退、再エネ・水電解事業への傾斜を深めてきた。 そして、欧州水素戦略発表の2カ月後、シーメンスは独最大の水素製造プラントを建設すると発表したのである。 この間、日本は「天然ガスと省エネこそ『低炭素』」という論陣を張ってきたが、EUはゲームのルールを「低炭素」から「脱炭素」に変え、通商政策と合わせて市場の覇権を握ろうという動きを見せている。 日本の実情を踏まえ、50年を見据えた際、再エネ普及、水素・アンモニア混焼といった施策は確かに有効な打ち手である。しかし、それだけでは脱炭素に至らない。 CO2の回収・利用・貯留(CCUS)といった施策も必要になるであろうし、受け身対応ばかりでは、気候変動コストも今後、上昇の一途をたどるであろう。 短期的な対応はもちろん必要であるが、新たな「市場(ゲーム)」で、どのような国益を勝ち取るかといった大局的な視点も必要である』、「日本は「天然ガスと省エネこそ『低炭素』」という論陣を張ってきたが、EUはゲームのルールを「低炭素」から「脱炭素」に変え、通商政策と合わせて市場の覇権を握ろうという動きを見せている」、日本も「新たな「市場(ゲーム)」で、どのような国益を勝ち取るかといった大局的な視点も必要である」、その通りだろう。

第四に、.3月3日付けエコノミストOnline「再エネ推進派でも意外と知らない「グレー水素」「ブルー水素」「グリーン水素」の違い」を紹介しよう。
https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20210302/se1/00m/020/032000c
・『現在、脱炭素が産業界の一大テーマになったことから水素に注目が集まるが、現状、日本では石油精製での利用や食品添加物などの産業用原料に使う、という小さなマーケットに過ぎない。では、今後、大規模消費が期待されるエネルギー用途としての水素の生産、貯蔵・運搬、利活用はどのように変化していくのである』、興味深そうだ。
・『3タイプある水素  水素は、原料や生産過程での二酸化炭素(CO2)排出の有無によって三つに大別される。 現状では主に化石燃料由来の副生成品としての水素が市場に出回っており、これらは「グレー水素」と呼ばれる。製造過程でCO2が出るからだ。 その手順は、(1)天然ガス中のメタン(CH4)や石油製品であるナフサなど、炭素と水素から成る物質(炭化水素)を水蒸気と化学反応させ、水素と一酸化炭素(CO)に分ける、 (2)COについては、水蒸気と化学反応させ水素とCO2に分ける ──という2段階だ。 「グレー水素」の製造過程で出るCO2を回収・利用・貯留する技術(CCUS)と合わせることで、水素の製造過程全体で見ればほぼ「CO2ゼロ」にできる。このような水素は「ブルー水素」と呼ばれる。 「貯留」は地中に埋めること、「利用」はガス田や油田に圧入して産出量を増やす技術「増進回収法(EOR)」などを指す。 ブルー水素は、原料である化石燃料のコストが低いことから、グリーン水素に比べても総コストが低いとされる。 しかしCCUSには「実際に地中貯留で漏れが生じていないか」「地中環境への影響は」といった評価基準がない。設備投資も高く、開発途上の技術である。 また、貯留が大量かつ経済的に可能な場所が、米国、豪州、中東産油国などに限られることから、ブルー水素は輸入が基本となる。 水を再生可能エネルギーで電気分解し、製造過程でまったくCO2を発しないのが「グリーン水素」だ。 ただ、水電解の市場は成熟しておらず、導入費用も高い。世界的にはコストが低下している再生可能エネルギーも、日本ではまだ高く、水素製造コストを下げるためには、更なるコスト削減が求められる。 最近5~10年は、脱炭素という観点からの水素はグリーンとブルーに限定されているが、水素の市場拡大のためには、グレーも一定の役割を果たすことには留意が必要だ。 例えば既に30万台以上普及している家庭用エネファームなどの燃料電池は天然ガスを水素に変換して利用しているが、発電効率が高いので省エネとCO2排出削減に一定の役割を果たしている』、「世界的にはコストが低下している再生可能エネルギーも、日本ではまだ高く、水素製造コストを下げるためには、更なるコスト削減が求められる」、そのためには「再生可能エネルギー」購入価格の弾力的見直しが必要だ。
・『アンモニア運搬 現実的  貯蔵・運搬についても数種類あるが(表)、今後数年単位で商用化が進むのはアンモニアに合成しての貯蔵・運搬とみられている。 これは、水素(H2)と、空気中の窒素(N2)を反応させてアンモニアにして運搬する手段である。 主な用途は火力発電所の燃料で、水素に戻さず、アンモニアのまま、石炭と混焼させる。アンモニアは従来、農業肥料としても世界中で取引されており、貯蔵・運搬・取引方法が確立されている。ただし、劇物であるアンモニアは、街中に持ち込むような分散型利用には適さない。 他には、液化や圧縮がある。 液化は水素ガスをマイナス253度に下げ、体積を約800分の1にすることで、貯蔵・運搬スペースをコンパクトにできる。 海外から天然ガスを輸入する際に液化するのと同じ原理だ。 ただ、ここまでの低温にするために、要するエネルギーを削減することが課題だ。 同じガスから液体にするのにも、トルエンを使う手法がある。 水素をトルエンと反応させて、メチルシクロヘキサン(MCH)に転換し、液状で貯蔵・運搬する「有機ケミカルハイドライド法」だ。 水素ガスの体積を約500分の1に圧縮可能で、常温・常圧で輸送でき、既存の化学タンクやタンカーを使えるのがメリットだ。 水素利用地で、触媒を用いて水素を分離する(脱水素)が、この際、熱の投入が必要であることが課題であろう。 圧縮は、ガスのまま圧縮して貯蔵・運搬するが、圧縮にも限度があり、大量輸送には向かない。製造拠点から近い場所で使う「地産地消」向けだ』、「アンモニアにして運搬する」のは慣れ親しんだ方法だ。
・『大規模供給網は必須  では、水素の利用はどの分野で広がるのだろうか。 国際エネルギー機関(IEA)の「Energy Technology Perspectives 2020」によると、世界の水素需要は2019年の7500万トンから50年には約3億トンになるとの見通しもある(図)。 欧州では、まずは、主に軽工業などの小規模産業向けから開始し、徐々に市場を広げる戦略を取る。これに対して、日本では火力発電所での大規模需要を目指す。 というのは、電力業界にも脱炭素が求められる中、日本では再生可能エネルギーの急速な伸びが容易ではなく、東京電力福島第1原発事故後は、原発再稼働も困難になっている。 こうした状況では、既存の石炭火力発電所へのアンモニア混焼や水素・アンモニア専焼ガス火力発電が重要なオプションとなる。 電力会社の水素利用が進めば、日本では、大口需要が一気に発生する。1ギガワットの水素専焼発電所が年間に消費する水素の量は約20万トンであり、燃料電池車(FCV)の200万台分に相当する。欧州の市場とは対照的だ。 しかし、まだ、大口需要に対応できる水素サプライチェーンが確立されていない。 水素の大口需要に対しては、資源会社や商社のノウハウが期待できる。資源を安定・大量調達し、需要家を確保・整理する能力に長(た)けているからだ。 しかし、資源会社や商社にとっても水素は新領域で、設備投資も膨大になる。初期には取引価格も安定しないだろう。 新たなエネルギー市場が生まれようとする中、民間のみの資金力・価格調整力では限界がある。 研究開発や設備投資を支援する補助金や投融資制度、カーボンプライシングなどで化石燃料価格を高く設定するといった公的制度の議論は避けて通れないだろう』、説得力ある主張で、同感である。特に、「カーボンプライシングなどで化石燃料価格を高く設定する」、この方向を積極的に推進すべきだろう。
タグ:エネルギー デイリー新潮 エコノミストOnline (その6)(中国製風車」が倒壊事故 同社の風車は全国に400基も、水素1 水電解装置 “グリーン水素”の大量製造時代へ 世界で400超のプロジェ…=中園敦二、脱炭素の切り札?にわかに脚光を浴びる「アンモニア発電」とは何か、再エネ推進派でも意外と知らない「グレー水素」「ブルー水素」「グリーン水素」の違い) 「「中国製風車」が倒壊事故 同社の風車は全国に400基も」 「小型風力発電機が根元から倒壊」、僅か「2年で倒れ」たとは、いかにも「中国製」らしい。「販売」した「HYエネルギーは中国人が経営者で、かつては自民党の二階俊博幹事長の次男が役員」、なるほど 原因は不明だが、「GHRE製の小型風車は日本で400基が稼働中」、恐ろしい話だ 「水素1 水電解装置 “グリーン水素”の大量製造時代へ 世界で400超のプロジェ…=中園敦二」 旭化成が世界最大級 「稼働中の水電解プロジェクトはドイツ、日本などで169件あり、アルカリ水電解法とPEM型水電解法がほぼ二分」 「計画中のプロジェクト件数は公表されているものだけで現状の1.6倍の257件」、まだまだこれからのようだ EUだけで4兆円市場 「日本企業は」「装置の大型化に5年以上遅れている」、またまた後塵を拝するとはやれやれだ。 段野孝一郎 「脱炭素の切り札?にわかに脚光を浴びる「アンモニア発電」とは何か」 「水素は燃焼速度が速いという特性があり、既存の発電所で混焼させる場合は、同じく燃焼速度が速いガス火力での混焼が主体となる」、「石炭に近い燃焼速度を持つアンモニアの形に変え、石炭火力発電所のCO2排出量を下げる目的で使おうという動きが活発化」、「混焼させる場合は」「燃焼速度」が問題になるようだ 「水素」で運搬するよりは、確かに実績のある「アンモニア」で運搬する方がよさそうだ。 「日本は「天然ガスと省エネこそ『低炭素』」という論陣を張ってきたが、EUはゲームのルールを「低炭素」から「脱炭素」に変え、通商政策と合わせて市場の覇権を握ろうという動きを見せている」、日本も「新たな「市場(ゲーム)」で、どのような国益を勝ち取るかといった大局的な視点も必要である」、その通りだろう 「再エネ推進派でも意外と知らない「グレー水素」「ブルー水素」「グリーン水素」の違い」 3タイプある水素 「グレー水素」 ブルー水素 グリーン水素 「世界的にはコストが低下している再生可能エネルギーも、日本ではまだ高く、水素製造コストを下げるためには、更なるコスト削減が求められる」、そのためには「再生可能エネルギー」購入価格の弾力的見直しが必要だ 「アンモニアにして運搬する」のは慣れ親しんだ方法だ 大規模供給網は必須 、説得力ある主張で、同感である。特に、「カーボンプライシングなどで化石燃料価格を高く設定する」、この方向を積極的に推進すべきだろう。
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