SSブログ

昨日予告の通り今日は更新を休むので、明日にご期待を!

昨日予告の通り今日は更新を休むので、明日にご期待を!
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

ウクライナ(その7)(元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」、プーチンの誤算 傷だらけでクリミア半島から逃げ出す黒海艦隊、ウクライナ劣勢?いや違う この先にあるのは膠着状態 ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい、ウクライナ劣勢?いや違う この先にあるのは膠着状態 ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい) [世界情勢]

ウクライナについては、昨年8月5日に取上げた。今日は、(その7)(元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」、プーチンの誤算 傷だらけでクリミア半島から逃げ出す黒海艦隊、ウクライナ劣勢?いや違う この先にあるのは膠着状態 ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい、ウクライナ劣勢?いや違う この先にあるのは膠着状態 ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい)である。

先ずは、本年2月22日付けNewsweek日本版が掲載した元CIA諜報員のグレン・カール氏による「元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす、バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」トランプ」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2024/02/post-117_1.php
<さながら第1次大戦における塹壕戦の21世紀版。アメリカの軍事支援に世界の未来は懸かっているが、大統領選挙をにらみ、トランプが横やりを入れる> ウクライナ戦争は3年目に入り、同国東部の戦線は実に延長1000キロに及ぶ。 農地も森林も砲弾でえぐられ、破壊された戦車や凍り付いた兵士の遺体があちこちに転がっている。 ロシア大統領のウラジーミル・プーチンはウクライナ国家の完全な解体を目指し、ウクライナ大統領のウォロディミル・ゼレンスキーは領土の完全な奪還を目指している。 どちらにとっても、妥協という名の選択肢はたぶんない。 そうであれば、無情で無益な殺し合いは今年も続くことになるのだろう。 せいぜい1機1000ドル程度の無人機がイナゴの大群のように飛び回り、1両で何百万ドルもする戦車を撃破している。 この2年間でウクライナ側はロシア軍の戦車3000両以上を破壊した。 この数はプーチンの言う「3日間」「特別軍事作戦」の開始時点でロシア軍が配備していた戦車の総数を上回る。 だから今のロシア軍は70年以上前の旧式戦車を引っ張り出して前線に向かわせている。 ロシア軍の死傷者は累計40万人に上るが、今もロシア兵は毎日、いわゆる「肉弾攻撃」でウクライナ側の陣地に突進している。 1日に最大で1000人のロシア兵が殺され、放置された遺体は誰もいない森で凍り付き、あるいは腐敗していく。 辺りにはロシア軍の装甲車両1万2000台の残骸も散らばる。 だがウクライナ側も、昨年夏の反転攻勢では成果を上げられなかった。 ロシア側の築いた幅100キロもの地雷原や塹壕を突破できなかった。 ロシアを守るためにウクライナを「非ナチ化」するのだと、プーチンは言い張ってきた。 思うようにいかない戦争を正当化するための、憎しみと偽りの愛国心で塗り固めた嘘にすぎなかったが、今は別な言説を持ち出している。 この戦争はロシアが生き延びるための、「真の敵」たるアメリカとの闘いなのだと。 間近に敵と遭遇するので両軍から「ゼロライン」と呼ばれる最前線から遠く離れた場所に、実はウクライナの運命を決める2つの「戦域」がある。 まずはロシアが展開する情報戦と、それに対抗するバイデン政権が激突する米国内の戦域。 もう1つはNATO諸国とロシアの工場で繰り広げられる武器製造合戦だ。 この2つの趨勢で、戦闘がいつまで続くかも、ウクライナが全ての領土を奪還できるかも、ロシアがどれだけの占領地を保持できるかも決まる。 あいにく結果は見通せない。 消耗戦と膠着状態は今年いっぱい続きそうだ。 しかし今、ロシアを決定的に利するような変化がアメリカの政治システムに生じている。 そう、死活的に重要な決戦の舞台はアメリカの首都ワシントン。 問われているのは、果たして議会がウクライナへの追加支援を認めるかどうか。 そしてジョー・バイデン米大統領がどんな手を打つかだ』、「間近に敵と遭遇するので両軍から「ゼロライン」と呼ばれる最前線から遠く離れた場所に、実はウクライナの運命を決める2つの「戦域」がある。 まずはロシアが展開する情報戦と、それに対抗するバイデン政権が激突する米国内の戦域。 もう1つはNATO諸国とロシアの工場で繰り広げられる武器製造合戦だ。 この2つの趨勢で、戦闘がいつまで続くかも、ウクライナが全ての領土を奪還できるかも、ロシアがどれだけの占領地を保持できるかも決まる。 あいにく結果は見通せない・・・あいにく結果は見通せない。 消耗戦と膠着状態は今年いっぱい続きそうだ。 しかし今、ロシアを決定的に利するような変化がアメリカの政治システムに生じている。 そう、死活的に重要な決戦の舞台はアメリカの首都ワシントン。 問われているのは、果たして議会がウクライナへの追加支援を認めるかどうか。 そしてジョー・バイデン米大統領がどんな手を打つかだ」、なるほど。 
・『アメリカの支援が止まった  2022年2月24日にロシア軍の侵攻が始まって以来、アメリカはウクライナに750億ドル(約11兆円)以上の軍事的・財政的支援を行ってきた。 ウクライナ戦における真の敵はアメリカだというプーチンの言説は嘘八百だが、彼の信念でもあるだろう。 欧米の支援が止まればこの戦争には1週間で勝てると、吐き捨てるように言ったこともある。 しかしアメリカでは、予算を決める権限は大統領ではなく議会にある。 昨年の秋、バイデン政権は600億ドル(約9兆円)の追加軍事支援を議会に提案した。 これに(今年2月に承認された)EUの追加支援500億ユーロ(約8兆円)を加えれば、あと1年か2年粘って新たな攻勢に転じることも可能だった。 だがドナルド・トランプ前米大統領が横やりを入れた。 議会共和党を牛耳るトランプ派議員に、ウクライナ支援に反対するよう求めたのだ。 かつてヒラリー・クリントンが呼んだように、まさにトランプは「プーチンの操り人形」。これでアメリカ政府のウクライナ支援は止まった。 そもそもロシアは何年も前から、アメリカの世論や政治家に影響を与えるための情報戦を繰り広げてきた。 とりわけ2016年の大統領選には力を入れた。 筆者は10年も前から繰り返し指摘してきたが、ロシアの情報機関とつながりのある複数の人物がトランプとその取り巻きに接触していた証拠は掃いて捨てるほどある。 それは1979年に始まり、2016年の大統領選まで続いていた。 ロシアの情報機関に取り込まれたとは言わぬまでも、トランプが彼らに利用されていた形跡はある。 操り人形ではなかったとしても、ロシアのために「影響力を行使する代理人」ではあった。 そしてアメリカの国益を損なうような発言をして、プーチンを喜ばせていた。 現にトランプは2019年に、バイデンに不利な情報をウクライナから引き出そうとした疑いで弾劾されている。 その「情報」は、ウクライナに潜むロシアのスパイが提供したものだった。 USA-ELECTION/TRUMP Republican presidential candidate and former U.S. President Donald Trump speaks at a campaign event ahead of the Republican presidential primary election in North Charleston, South Carolina, U.S. February 14, 2024. REUTERS/Sam Wolfe プーチンとの関係が噂されるトランプ前大統領 SAM WOLFEーREUTERS  ロシアの情報機関は長年にわたり、共和党の政治家やロビー団体、メディア関係者に何百万ドルもの資金を流してきた。 それは政界や国民の意見を親ロシア・反ウクライナに導き、同時にアメリカの制度や民主主義に不満を抱くように誘導する戦略的キャンペーンだった。 ロシアの資金を受け取っていた1人が、現下院議長のマイク・ジョンソンだ。 ロシアのもくろみはあらゆる面で成功している。 トランプはプーチンのウクライナ侵攻を「天才的」と評し、NATOの悪口を繰り返している。 ウクライナ支援に反対する共和党議員は多く、もはや議会はまともに機能していない。) そもそも下院議長のジョンソンは、一貫してウクライナ支援に反対票を投じてきた。 共和党支持者の多くは「アメリカ第一」の孤立主義を唱え、バイデンよりもプーチンを好み、バイデンのウクライナ支援を「アメリカ後回し」政策と呼んでいる。 バイデンとしては、ウクライナを支援しつつもNATO軍とロシア軍の直接対決は避けたい。 だから軍事支援は小出しにし、徐々に増やしてきた。つまり、ウクライナが負けない程度の武器を供与してきた。 ウクライナを「ゆっくりと勝たせ」、その間にロシアに血を流させるが、ロシアが戦争を拡大するほどには痛め付けず、ウクライナに決定的な勝利をもたらすつもりもない。 今回の戦争には何千台もの戦車が投入されているが、アメリカがようやくウクライナに31台の主力戦車M1エイブラムズを引き渡したのは昨年秋のことだった』、「ロシアの情報機関とつながりのある複数の人物がトランプとその取り巻きに接触していた証拠は掃いて捨てるほどある。 それは1979年に始まり、2016年の大統領選まで続いていた。 ロシアの情報機関に取り込まれたとは言わぬまでも、トランプが彼らに利用されていた形跡はある。 操り人形ではなかったとしても、ロシアのために「影響力を行使する代理人」ではあった。 そしてアメリカの国益を損なうような発言をして、プーチンを喜ばせていた。 現にトランプは2019年に、バイデンに不利な情報をウクライナから引き出そうとした疑いで弾劾されている・・・ロシアの情報機関は長年にわたり、共和党の政治家やロビー団体、メディア関係者に何百万ドルもの資金を流してきた。 それは政界や国民の意見を親ロシア・反ウクライナに導き、同時にアメリカの制度や民主主義に不満を抱くように誘導する戦略的キャンペーンだった。 ロシアの資金を受け取っていた1人が、現下院議長のマイク・ジョンソンだ。 ロシアのもくろみはあらゆる面で成功している。 トランプはプーチンのウクライナ侵攻を「天才的」と評し、NATOの悪口を繰り返している。 ウクライナ支援に反対する共和党議員は多く、もはや議会はまともに機能していない。) そもそも下院議長のジョンソンは、一貫してウクライナ支援に反対票を投じてきた」、なるほど。
・『熾烈で困難な武器製造合戦  もう1つの死活的に重要な戦域は双方の武器製造工場だ。 もっと大量の武器弾薬を供与されなければ、ウクライナ側が決定的な攻勢に出ることはできず、現状の防衛線を維持するのがやっとだろう。 一方でロシアは武器製造能力の向上に熱心で、その努力はウクライナを支援するNATO陣営をはるかに上回る。 もともとウクライナとは比較にならないほどの弾薬を持っており、今もウクライナ側の5倍に当たる1日1万発の砲弾を撃っている。 ただしロシアも必要な弾薬の確保には苦労している。 現状の生産能力は1日当たり約5500発だが、それでも1日の使用量の半分だ。 ロシアは24年の国防予算を前年比約1.7倍の1000億ドル相当に引き上げ、経済を軍需優先にシフトさせている。 またイランや北朝鮮から何百万発もの砲弾を購入している。 開戦当時に比べれば装備や兵員の質は劣るものの、ロシアは今年も砲撃と攻撃のレベルを維持、あるいは強化することができるだろう。 一方のアメリカとNATOは、既に武器弾薬の在庫を使い尽くした。そしてウクライナでの需要を満たすための生産能力増強に悪戦苦闘している。 アメリカは23年に砲弾の生産量を倍増させ、毎月2万8000発まで可能にした。 いずれは月産9万発に増やす計画だが、その実現には2026年までかかる。 一方でNATO加盟の欧州諸国は現状で月産2万5000発にとどまり、まだ目標の3分の1にしか達していない。 全部合わせても、今のウクライナ軍なら7日ほどで使い果たしてしまう。 だから節約せねばならず、ここ数週間は1日2000発くらいしか撃っていない。 NATO全体の軍事予算はロシアの10倍で、合算したGDPはロシアの25倍に当たるが、それでも今のウクライナに必要なだけの武器弾薬は製造できない)』、「熾烈で困難な武器製造合戦・・・ロシアは武器製造能力の向上に熱心で、その努力はウクライナを支援するNATO陣営をはるかに上回る。 もともとウクライナとは比較にならないほどの弾薬を持っており、今もウクライナ側の5倍に当たる1日1万発の砲弾を撃っている。 ただしロシアも必要な弾薬の確保には苦労している。 現状の生産能力は1日当たり約5500発だが、それでも1日の使用量の半分だ。 ロシアは24年の国防予算を前年比約1.7倍の1000億ドル相当に引き上げ、経済を軍需優先にシフトさせている。 またイランや北朝鮮から何百万発もの砲弾を購入している・・・アメリカは23年に砲弾の生産量を倍増させ、毎月2万8000発まで可能にした。 いずれは月産9万発に増やす計画だが、その実現には2026年までかかる。 一方でNATO加盟の欧州諸国は現状で月産2万5000発にとどまり、まだ目標の3分の1にしか達していない。 全部合わせても、今のウクライナ軍なら7日ほどで使い果たしてしまう。 だから節約せねばならず、ここ数週間は1日2000発くらいしか撃っていない。 NATO全体の軍事予算はロシアの10倍で、合算したGDPはロシアの25倍に当たるが、それでも今のウクライナに必要なだけの武器弾薬は製造できない」、こんなに武器生産能力に差があるとは初めて知った。 
・『バイデン対トランプの決戦  いずれにせよ、今年中にどちらか一方が軍事的に決定的な勝利を挙げることはなさそうだ。 「工場戦争」の決着はつかず、ウクライナもロシアも弾薬不足に悩まされ、当面はにらみ合いが続く公算が高い。 しかしバイデン政権の求めた総額600億ドルの追加軍事支援が議会で承認されていないため、今はロシア側が優位に立つ。 ウクライナ側は攻撃より守備に力を入れざるを得ず、ロシアはおそらくウクライナ東部の占領地をそのまま保持できる。 ただしアメリカの追加支援が決まり、長射程の武器弾薬が続々と供給されるようになれば話は別だ。 たいていの戦争は、戦場ではなく交渉のテーブルで終わる。 アメリカの支援再開が遅れれば、欧州では早期停戦を求める声が高まるだろう。 そうなると血に飢えたプーチンはウクライナ全域に猛攻をかけるかもしれない。 だが、それでウクライナ側がひるむとは思えない。 侵略者でファシスト国家のロシアに、あの国の人々が降伏するとは思えない。なにしろ国の存亡が懸かっている。 とはいえウクライナの運命はアメリカの首都ワシントンで決まる。 ウクライナを助けたいバイデン大統領以下の政界主流派と、ロシアに寄り添うトランプと彼を熱烈に支持する共和党の議員団。 この対決の根っこにはアメリカ伝統の孤立主義があるが、アメリカの政治と社会をぶち壊したいプーチンの執拗かつ戦略的な情報戦も効いている。 さて、勝つのはバイデンかトランプか。これはアメリカの、そして世界の未来を懸けた闘いだ。 <本誌2024年2月27日号掲載>)(ウクライナ軍反転作戦の結末 の図はリンク先参照)』、「ウクライナの運命はアメリカの首都ワシントンで決まる。 ウクライナを助けたいバイデン大統領以下の政界主流派と、ロシアに寄り添うトランプと彼を熱烈に支持する共和党の議員団。 この対決の根っこにはアメリカ伝統の孤立主義があるが、アメリカの政治と社会をぶち壊したいプーチンの執拗かつ戦略的な情報戦も効いている。 さて、勝つのはバイデンかトランプか。これはアメリカの、そして世界の未来を懸けた闘いだ」、その通りだ。

次に、3月6日付けNewsweek日本版「プーチンの誤算、傷だらけでクリミア半島から逃げ出す黒海艦隊」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/03/post-103903_1.php
・『<陸ではウクライナ軍を押しているロシアだが、黒海ではドローン攻撃による大きな被害が続出。ロシアが誇る黒海艦隊も大損害を被って東に逃げている> ロシアがウクライナへの本格的な侵攻を開始してから2年以上。ロシアのウクライナにおける最大の戦利品であったクリミア半島に対する支配には、亀裂が入りかけている。 ここ数週間、ウクライナ本土の戦いではロシア軍がかなりの犠牲を払いつつも大きな勝利をおさめているが、対照的に「ウクライナは黒海の戦いにほぼ勝利した」と、ロバート・マレット退役米海軍副提督は本誌に語った。 2022年2月以来、ウクライナ軍の攻撃でロシアの黒海艦隊はかなりの損失を被っている。2014年にロシアがクリミア半島を併合して以来、ウクライナはこの半島の奪還を誓っている。 過去10年間、ロシアはクリミア半島の黒海沿いの軍港を利用し、ロシアの勢力を越えてウクライナ南部にまで投射するつもりでいた、と元ウクライナ海軍大尉のアンドリー・リジェンコは言う。 だが、クリミア周辺でのウクライナの攻撃が成功しているため、ロシアの計画は頓挫しかけている。 ロシアは開戦後早い時期にウクライナ製と思われるネプチューン・ミサイルの攻撃で旗艦モスクワを失った。2023年9月には英仏製ストームシャドー・ミサイルの華々しい攻撃でロシアのキロ級潜水艦が破壊された。 ウクライナ海軍のドローンは今年2月、ロシアの誘導ミサイル搭載コルベット艦イワノベッツを破壊し、上陸用艦船数隻の撃沈に成功している』、「「ここ数週間、ウクライナ本土の戦いではロシア軍がかなりの犠牲を払いつつも大きな勝利をおさめているが、対照的に「ウクライナは黒海の戦いにほぼ勝利した」と、ロバート・マレット退役米海軍副提督は本誌に語った」、確かに「黒海の戦い」では優位なようだ。
・『失われたロシアの優位性  2月中旬、ウクライナは、ロシアのセバストポリ海軍基地の南東に位置するクリミア南部の都市アルプカの近くで、大型揚陸艦シーザー・クニコフを撃沈したと発表した。この攻撃によって、元から数が少なかったロシア軍の揚陸艦の艦隊がさらに縮小した。 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は攻撃の直後、「今日、われわれは黒海の安全を強化し、国民のモチベーションを高めた」と述べた。この種の艦船を失ったため、ロシア軍の上陸作戦はかなり難しくなる、とリジェンコは本誌に語った。 ウクライナは、ロシアのフェオドシャ港や、クリミア半島とロシアのクラスノダール地方を結ぶ重要なクリミア大橋など、クリミア東部まで攻撃範囲を拡大している。 3月5日未明、ウクライナ国防省情報総局(GUR)は、ロシアのプロジェクト22160哨戒艦4隻のうちの1隻であるセルゲイ・コトフに、ウクライナ国産のマグラV5水上ドローンが突っ込んでいるように見える映像を公開した。ウクライナによると、同船はロシアが占領するクリミアとロシア南西部を隔てるケルチ海峡の近くにいた。地元情報筋はクリミア大橋が一晩閉鎖されたと伝えた。 GURはソーシャルメディアへの投稿で、この艦船は「船尾、右側面、左側面に損傷を受けた」と付け加えた。 イギリスのグラント・シャップス国防相は昨年12月、ロシアは過去4カ月で黒海艦隊の20%を失ったと述べ、「ロシアの黒海における優位性は、今や疑わしい」と、語っている。) 海軍のドローンと西側から供与された巡航ミサイルを駆使するウクライナの執拗な攻撃は、ロシア海軍を黒海の東に押しやり、クリミア半島周辺のロシア占領地域の安全を脅かしている。 「ロシアは東に移動するしかない」と言うのは、ウクライナ軍トップの元特別顧問で、現在はアメリカン大学キーウ校の学長を務めるダニエル・ライス。だが、そうすることでロシアはクリミアに対する支配力を失うことになる、と彼は本誌に語った。 ロシアは黒海東部の港湾インフラの拡張を余儀なくされているが、それはクリミア周辺の施設(セヴァストポリにある基地や軍港など)が危機に瀕しているからだ、とマレットは言う。 ロシアは、ロシア領内と国際的に認められている黒海の港湾都市ノボロシスクにクリミアの資源の一部を移している。一部報道によれば、ロシアはジョージア領内で事実上の独立状態にあるアブハジアのオチャムチレ港に新たな軍事基地を計画しているともいう。そうなれば、黒海におけるロシアの部隊はウクライナの海岸線からさらに遠ざかることになる。 ロシアは新型の主要艦船をクリミアに留めておくことを非常に警戒するようになり、数隻をノボロシスクに移した、とリジェンコは言う』、「イギリスのグラント・シャップス国防相は昨年12月、ロシアは過去4カ月で黒海艦隊の20%を失ったと述べ、「ロシアの黒海における優位性は、今や疑わしい」と、語っている・・・ロシアは新型の主要艦船をクリミアに留めておくことを非常に警戒するようになり、数隻をノボロシスクに移した」、なるほど。
・『黒海はグレーゾーンに  侵攻前のロシアの基本的な前提は、領空の支配と黒海における海軍力の支配の2つであったはずだが、どちらも失った」と、ライスは言う。 ウクライナは黒海経由で何百万トンもの穀物を輸出することにも成功している。 だが、これはウクライナがこの周辺地域を支配下においたことを意味するものではない。ウクライナのせいで北西の隅では動きがとりにくくなっているとはいえ、ロシアは依然として黒海の大部分を支配している、とリジェンコは言う。黒海の一部が「グレーゾーン」になり、どちらの国が支配しているとも言えなくなった段階だ、と彼は言う』、「ロシアは依然として黒海の大部分を支配している、とリジェンコは言う。黒海の一部が「グレーゾーン」になり、どちらの国が支配しているとも言えなくなった段階だ」、確かに「黒海はグレーゾーンに」だ。

第三に、3月7日付け現代ビジネスが掲載した外交評論家・元在ロシア大使館公使・元在ウズベキスタン・タジキスタン大使の河東 哲夫氏による「ウクライナ劣勢?いや違う、この先にあるのは膠着状態、ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい」を紹介しよう。
https://gendai.media/articles/-/125279?imp=0
・『決してロシアが有利になったわけではない  今ウクライナ戦争は「開戦2周年」、ということで、世界中のメディアは「これまでの総括」で賑わう。しかし今、一番注目するべきは、昨年6月以来のウクライナ軍総反撃の挫折で、戦局がロシア有利に傾いてきたのかどうか、ウクライナ東部のアヴデエフカを陥したロシア軍が西へ西へと怒涛の進軍を開始することはないのか、どうかだろう。 アヴデエフカは、ドネツィク州の州都ドネツィクの北西約25キロ。戦前の人口は4万人程度で、幹線道路も通っていないが、欧州でも最大規模のコークス製造プラントを抱える。つまり東ウクライナのキーの産業である製鉄業のハブの一つ。しかも、アヴデエフカはウクライナ軍にとっては、ロシアの占領するドネツィクを砲撃する拠点だった。 ウクライナ戦争は、軍が動きにくい冬季には下火となる。しかし2022年の冬は、アヴデエフカの北方にあるバフムートの攻防が数カ月、メディアを賑わせた。これは多分、ロシア軍がウクライナ南部で三重にわたる大防御線を構築する間、ウクライナ軍を引き付けておく効果を持った。ロシアはここに例のプリゴージンとその傭兵隊を向かわせて、バフムートを23年5月に制圧する。バフムートは天王山と言われた割に、ロシアによる制圧で戦局に変化が起きることもなかったが。 そして23年冬は、アヴデエフカが天王山に仕立て上げられる。ロシア軍は、ウクライナ軍をこちらに引き付けて、南部での攻勢を鈍らせようとしたのだろうし、ウクライナはウクライナで、ここを死守することで西側の関心を引き付けようとしたのだろう』、「23年冬は、アヴデエフカが天王山に仕立て上げられる。ロシア軍は、ウクライナ軍をこちらに引き付けて、南部での攻勢を鈍らせようとしたのだろうし、ウクライナはウクライナで、ここを死守することで西側の関心を引き付けようとしたのだろう」、なるほど。
・『天王山に仕立て上げられたアヴデエフ  今回、ロシアはアヴデエフカ制圧に本腰を入れ、傭兵隊ではなく軍本体を投入した。それは、3月17日の大統領選挙までにせめてアヴデエフカくらいは取っておかないと、政権として示しがつかないということであったのだろう。 ウクライナ軍前総司令官ザルージニーは、アヴデエフカを死守して多大の損害を出すよりも、早めに撤退して後方の防御を固めることを進言していたが、ゼレンスキー大統領はそれでは西側からの支援が得られなくなるとして、2月8日、ザルージニーに代わってシルスキー陸軍司令官を総司令官に任命。16日にはシルスキーにアヴデエフカの死守を命じた上で、ミュンヘンでの国際シンポジウムに出発してしまう。 アヴデエフカの陥落は17日に起きる。ロシア軍が市内に突入すると、シルスキーはそれまでの「死守せよ」を「撤退せよ」に変える。「包囲されるのを避け、将兵の命を救うため」というもっともらしい談話を出して。 命令の180度変更は現場に混乱を生む。ニューヨーク・タイムスは、ウクライナ軍は算を乱した退却で800~1000人の捕虜を出したと報じた。これでシルスキー総司令官への信頼は、就任早々地に墜ちたことだろう。 ロシア軍はその後も、アヴデエフカ周辺の小村を次々と制圧していく。しかし、西方への大攻勢が始まる兆候はまだ見られない。アヴデエフカには西方に通ずる幹線道路も通っていないし、大攻勢のための人員、装備も、まだ集積していないのだろう。夏までには西へ向かっての大攻勢を始める、そしてキエフの包囲、攻略も狙う、という見方が喧伝されている』、「前総司令官ザルージニーは、アヴデエフカを死守して多大の損害を出すよりも、早めに撤退して後方の防御を固めることを進言していたが、ゼレンスキー大統領はそれでは西側からの支援が得られなくなるとして、2月8日、ザルージニーに代わってシルスキー陸軍司令官を総司令官に任命。16日にはシルスキーにアヴデエフカの死守を命じた上で、ミュンヘンでの国際シンポジウムに出発してしまう。 アヴデエフカの陥落は17日に起きる。ロシア軍が市内に突入すると、シルスキーはそれまでの「死守せよ」を「撤退せよ」に変える。「包囲されるのを避け、将兵の命を救うため」というもっともらしい談話を出して。 命令の180度変更は現場に混乱を生む。ニューヨーク・タイムスは、ウクライナ軍は算を乱した退却で800~1000人の捕虜を出したと報じた。これでシルスキー総司令官への信頼は、就任早々地に墜ちたことだろう」、軍事に素人の「ゼレンスキー大統領」が「シルスキー陸軍司令官を総司令官に任命。16日にはシルスキーにアヴデエフカの死守を命じた上で、ミュンヘンでの国際シンポジウムに出発してしまう。 アヴデエフカの陥落は17日に起きる。ロシア軍が市内に突入すると、シルスキーはそれまでの「死守せよ」を「撤退せよ」に変える。「包囲されるのを避け、将兵の命を救うため」というもっともらしい談話を出して。 命令の180度変更は現場に混乱を生む。ニューヨーク・タイムスは、ウクライナ軍は算を乱した退却で800~1000人の捕虜を出したと報じた」、「ゼレンスキー大統領」や「「シルスキー陸軍司令官」は「算を乱した退却で800~1000人の捕虜」に対し重大な責任がある。
・『ロシア軍、一気に西進?  ウクライナ軍は、アヴデエフカ以西に防御陣地を構築していない。ロシアは昨年6月、ウクライナ南部にも構築しておいた何重にもわたる防御線が功を奏し、ウクライナ軍の攻勢を止めることができた。ウクライナ軍には、同じことができる資材も人員もないのだ。 ただ、戦争のやり方が、ドローンの普及で革命的に変わってきたことを考慮しないといけないだろう。ロシア軍が西へ向けて怒涛の進撃を開始するには、戦車、装甲車、弾薬、ミサイル、大砲を前線近くに大量に集積し、人員も集めないといけない。だが、そういうことをウクライナ軍の至近距離で始めれば、偵察用ドローンで察知され、攻撃用ドローン、ミサイル、夏には陣営に加わるF16戦闘機に殲滅されてしまう。 米議会がウクライナ支援予算を止めているのが心配だが、EUがその穴をかなり埋めるだろう。F16などは既存の予算で発注されていると思われるので、米国製兵器の流入も続くだろう。 ソ連時代の軍教育を受けたシルスキー総司令官が、これらの事情をよく把握し、創造的な兵力運用をできるかどうか。ゼレンスキーの素人考えに振り回されることがないかどうか。失われた信用を取り戻せるかどうか。これらがうまくいけば、ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい』、「米議会がウクライナ支援予算を止めているのが心配だが、EUがその穴をかなり埋めるだろう。F16などは既存の予算で発注されていると思われるので、米国製兵器の流入も続くだろう」、「シルスキー総司令官」にとって名誉回復のチャンスを生かしてもらいたいものだ。
・『ウクライナ、クリミア奪還?  ウクライナ軍内部には、クリミア制圧を進言する者もいる。クリミアは2つの陸峡、1つの鉄橋で本土と結ばれるだけで、ロシア軍にとっては補給が難しい。ロシア黒海艦隊にとって唯一の良港セヴァストーポリは、ウクライナ軍の射程に入っていて、もはや使えない。つまり海路での補給も難しい。乾燥したクリミア半島にとって貴重な水の供給減だった、本土からのカホフカ運河は、昨年6月、何者かがカホフカ・ダムを爆破したことで、干上がっている。 工業の中心地である東ウクライナに比べて、観光しか資源のないクリミアは、制圧した者にとっては負担になる場所ではあるが、「ロシアは東ウクライナ、ウクライナはクリミアを取った。互角で停戦」という触れ込みにできる、というメリットはある』、「「ロシアは東ウクライナ、ウクライナはクリミアを取った。互角で停戦」という触れ込みにできる、というメリットはある」、その通りではある。
・『朝鮮半島のような将来像  こうしてウクライナ戦争は、ロシア、ウクライナ双方にとって勝ち負けのはっきりしない膠着状態になる可能性が大なのだ。膠着状態のところにスターリンが死去し、休戦協定締結に至った朝鮮戦争が思い起こされる。朝鮮半島ではその後も、時々武力衝突が起きているが、韓国では70年余にわたって安定が維持され、かつての「後れた農業地帯」は今や世界でGDP13位の韓国になっている。 ウクライナの工業の中心は東部にある。西半分の経済発展をはかるには、韓国の場合と同様、西側からの投資が必要になる。とっかかりはある。西半分をEUのサプライ・チェーンに組み込むことだ。EU市場を念頭に置いた工場は、ウクライナ西半分で既にいくつか操業しているし、その中には住友電気工業、矢崎総業等の日本企業もある。隣接のポーランド、スロバキア、ハンガリーは、EUの一部として発展を遂げている。そして、ウクライナの農業を医薬品原料栽培等、高付加価値の産業に変えていくこともできるだろう。 一方、ロシアは、かつての北朝鮮に酷似した――サイズは大きいが――国に脱落していくことだろう。核兵器で周囲を脅すことしかできない、全体主義の経済小国に。 ロシアの抱える課題は大きい。プーチンの力を畏怖する向きは西側にもいるが、彼はソ連崩壊=植民地主義帝国の崩壊という歴史的・世界的モメンタムを逆転することはできないだろう。ロシアはまだ、「ソ連帝国崩壊」の勢いの中にあるのだ。分裂した諸国のエリートはそれぞれ利権構造を作り上げ、もはや他者に支配されたくはない。そして旧宗主国ロシアは、彼らを再統合できる武力、経済力、ソフト・パワーを欠く。それは今のトルコ、オーストリアを見てもわかることだ。 ロシアは西側の制裁を乗り切ったと言われるが、そんなことはない。国内の経済は軍需に圧倒されて賃金が高騰。インフレ圧力が高まっている。国内航空の80%はエアバス、ボーイングに機材を依存していたから、制裁で部品とメンテの提供を切られて、欠航が増えている。 我々はプーチン・ロシアの実力をじっくり見定め、その拡張をしっかり抑え込みつつ付き合っていくことだ』、「ウクライナ戦争は、ロシア、ウクライナ双方にとって勝ち負けのはっきりしない膠着状態になる可能性が大なのだ」、だとしても「朝鮮戦争が思い起こされる」というのには違和感がある。厭戦気分が高まってきたことが背景にあるのだろう。「ウクライナ戦争」と「ウクライナ戦争」には共通点は少ない感じだ。「ウクライナ」の再生に西欧諸国が果たす役割、「ロシア」への対応は筆者の指摘の通りだろうが、現在これらを取上げるのは次期尚早と思われる。

明日は更新を休む予定なので、明後日にご期待を!
タグ:「ロシアの情報機関とつながりのある複数の人物がトランプとその取り巻きに接触していた証拠は掃いて捨てるほどある。 それは1979年に始まり、2016年の大統領選まで続いていた。 ロシアの情報機関に取り込まれたとは言わぬまでも、トランプが彼らに利用されていた形跡はある。 操り人形ではなかったとしても、ロシアのために「影響力を行使する代理人」ではあった。 そしてアメリカの国益を損なうような発言をして、プーチンを喜ばせていた。 現にトランプは2019年に、バイデンに不利な情報をウクライナから引き出そうとした疑いで あいにく結果は見通せない。 消耗戦と膠着状態は今年いっぱい続きそうだ。 しかし今、ロシアを決定的に利するような変化がアメリカの政治システムに生じている。 そう、死活的に重要な決戦の舞台はアメリカの首都ワシントン。 問われているのは、果たして議会がウクライナへの追加支援を認めるかどうか。 そしてジョー・バイデン米大統領がどんな手を打つかだ」、なるほど。 「間近に敵と遭遇するので両軍から「ゼロライン」と呼ばれる最前線から遠く離れた場所に、実はウクライナの運命を決める2つの「戦域」がある。 まずはロシアが展開する情報戦と、それに対抗するバイデン政権が激突する米国内の戦域。 もう1つはNATO諸国とロシアの工場で繰り広げられる武器製造合戦だ。 この2つの趨勢で、戦闘がいつまで続くかも、ウクライナが全ての領土を奪還できるかも、ロシアがどれだけの占領地を保持できるかも決まる。 あいにく結果は見通せない・・・ グレン・カール氏による「元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす、バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」トランプ」 「前総司令官ザルージニーは、アヴデエフカを死守して多大の損害を出すよりも、早めに撤退して後方の防御を固めることを進言していたが、ゼレンスキー大統領はそれでは西側からの支援が得られなくなるとして、2月8日、ザルージニーに代わってシルスキー陸軍司令官を総司令官に任命。16日にはシルスキーにアヴデエフカの死守を命じた上で、ミュンヘンでの国際シンポジウムに出発してしまう。 (その7)(元CIA諜報員がウクライナ支援を解き明かす バイデンの「不作為」と「プーチンの操り人形」、プーチンの誤算 傷だらけでクリミア半島から逃げ出す黒海艦隊、ウクライナ劣勢?いや違う この先にあるのは膠着状態 ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい、ウクライナ劣勢?いや違う この先にあるのは膠着状態 ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい) ウクライナ Newsweek日本版「プーチンの誤算、傷だらけでクリミア半島から逃げ出す黒海艦隊」 「イギリスのグラント・シャップス国防相は昨年12月、ロシアは過去4カ月で黒海艦隊の20%を失ったと述べ、「ロシアの黒海における優位性は、今や疑わしい」と、語っている・・・ロシアは新型の主要艦船をクリミアに留めておくことを非常に警戒するようになり、数隻をノボロシスクに移した」、なるほど。 「「ここ数週間、ウクライナ本土の戦いではロシア軍がかなりの犠牲を払いつつも大きな勝利をおさめているが、対照的に「ウクライナは黒海の戦いにほぼ勝利した」と、ロバート・マレット退役米海軍副提督は本誌に語った」、確かに「黒海の戦い」では優位なようだ。 「ウクライナの運命はアメリカの首都ワシントンで決まる。 ウクライナを助けたいバイデン大統領以下の政界主流派と、ロシアに寄り添うトランプと彼を熱烈に支持する共和党の議員団。 この対決の根っこにはアメリカ伝統の孤立主義があるが、アメリカの政治と社会をぶち壊したいプーチンの執拗かつ戦略的な情報戦も効いている。 さて、勝つのはバイデンかトランプか。これはアメリカの、そして世界の未来を懸けた闘いだ」、その通りだ。 NATO全体の軍事予算はロシアの10倍で、合算したGDPはロシアの25倍に当たるが、それでも今のウクライナに必要なだけの武器弾薬は製造できない」、こんなに武器生産能力に差があるとは初めて知った。 何百万発もの砲弾を購入している・・・アメリカは23年に砲弾の生産量を倍増させ、毎月2万8000発まで可能にした。 いずれは月産9万発に増やす計画だが、その実現には2026年までかかる。 一方でNATO加盟の欧州諸国は現状で月産2万5000発にとどまり、まだ目標の3分の1にしか達していない。 全部合わせても、今のウクライナ軍なら7日ほどで使い果たしてしまう。 だから節約せねばならず、ここ数週間は1日2000発くらいしか撃っていない。 「23年冬は、アヴデエフカが天王山に仕立て上げられる。ロシア軍は、ウクライナ軍をこちらに引き付けて、南部での攻勢を鈍らせようとしたのだろうし、ウクライナはウクライナで、ここを死守することで西側の関心を引き付けようとしたのだろう」、なるほど。 「熾烈で困難な武器製造合戦・・・ロシアは武器製造能力の向上に熱心で、その努力はウクライナを支援するNATO陣営をはるかに上回る。 もともとウクライナとは比較にならないほどの弾薬を持っており、今もウクライナ側の5倍に当たる1日1万発の砲弾を撃っている。 ただしロシアも必要な弾薬の確保には苦労している。 現状の生産能力は1日当たり約5500発だが、それでも1日の使用量の半分だ。 ロシアは24年の国防予算を前年比約1.7倍の1000億ドル相当に引き上げ、経済を軍需優先にシフトさせている。 またイランや北朝鮮から ウクライナ支援に反対する共和党議員は多く、もはや議会はまともに機能していない。) そもそも下院議長のジョンソンは、一貫してウクライナ支援に反対票を投じてきた」、なるほど。 弾劾されている・・・ロシアの情報機関は長年にわたり、共和党の政治家やロビー団体、メディア関係者に何百万ドルもの資金を流してきた。 それは政界や国民の意見を親ロシア・反ウクライナに導き、同時にアメリカの制度や民主主義に不満を抱くように誘導する戦略的キャンペーンだった。 ロシアの資金を受け取っていた1人が、現下院議長のマイク・ジョンソンだ。 ロシアのもくろみはあらゆる面で成功している。 トランプはプーチンのウクライナ侵攻を「天才的」と評し、NATOの悪口を繰り返している。 河東 哲夫氏による「ウクライナ劣勢?いや違う、この先にあるのは膠着状態、ロシアの「北朝鮮化」ウクライナの「韓国化」だ ロシア軍の「怒涛の進撃」は難しい」 「「ロシアは東ウクライナ、ウクライナはクリミアを取った。互角で停戦」という触れ込みにできる、というメリットはある」、その通りではある。 「米議会がウクライナ支援予算を止めているのが心配だが、EUがその穴をかなり埋めるだろう。F16などは既存の予算で発注されていると思われるので、米国製兵器の流入も続くだろう」、「シルスキー総司令官」にとって名誉回復のチャンスを生かしてもらいたいものだ。 命令の180度変更は現場に混乱を生む。ニューヨーク・タイムスは、ウクライナ軍は算を乱した退却で800~1000人の捕虜を出したと報じた」、「ゼレンスキー大統領」や「「シルスキー陸軍司令官」は「算を乱した退却で800~1000人の捕虜」に対し重大な責任がある。 軍事に素人の「ゼレンスキー大統領」が「シルスキー陸軍司令官を総司令官に任命。16日にはシルスキーにアヴデエフカの死守を命じた上で、ミュンヘンでの国際シンポジウムに出発してしまう。 アヴデエフカの陥落は17日に起きる。ロシア軍が市内に突入すると、シルスキーはそれまでの「死守せよ」を「撤退せよ」に変える。「包囲されるのを避け、将兵の命を救うため」というもっともらしい談話を出して。 アヴデエフカの陥落は17日に起きる。ロシア軍が市内に突入すると、シルスキーはそれまでの「死守せよ」を「撤退せよ」に変える。「包囲されるのを避け、将兵の命を救うため」というもっともらしい談話を出して。 命令の180度変更は現場に混乱を生む。ニューヨーク・タイムスは、ウクライナ軍は算を乱した退却で800~1000人の捕虜を出したと報じた。これでシルスキー総司令官への信頼は、就任早々地に墜ちたことだろう」、 Newsweek日本版 現代ビジネス 「ロシアは依然として黒海の大部分を支配している、とリジェンコは言う。黒海の一部が「グレーゾーン」になり、どちらの国が支配しているとも言えなくなった段階だ」、確かに「黒海はグレーゾーンに」だ。 「ウクライナ戦争は、ロシア、ウクライナ双方にとって勝ち負けのはっきりしない膠着状態になる可能性が大なのだ」、だとしても「朝鮮戦争が思い起こされる」というのには違和感がある。厭戦気分が高まってきたことが背景にあるのだろう。「ウクライナ戦争」と「ウクライナ戦争」には共通点は少ない感じだ。「ウクライナ」の再生に西欧諸国が果たす役割、「ロシア」への対応は筆者の指摘の通りだろうが、現在これらを取上げるのは次期尚早と思われる。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

医療問題(その40)(西川史子 脳出血再発のなぜ 専門医は「高血圧が原因でない可能性も」、あのモデルナが開発 mRNA「がんワクチン」...死亡リスク65%減少は「さらに改善する」とCEOは自信、医師が「がん患者」になってわかった頼れる情報源 科学的根拠のない話に惑わされないために) [生活]

医療問題については、昨年8月2日に取上げた。今日は、(その40)(西川史子 脳出血再発のなぜ 専門医は「高血圧が原因でない可能性も」、あのモデルナが開発 mRNA「がんワクチン」...死亡リスク65%減少は「さらに改善する」とCEOは自信、医師が「がん患者」になってわかった頼れる情報源 科学的根拠のない話に惑わされないために)である。

先ずは、昨年12月8日付けデイリー新潮「西川史子 脳出血再発のなぜ 専門医は「高血圧が原因でない可能性も」」を紹介しよう。
https://www.dailyshincho.jp/article/2023/12081102/?all=1
・『医師でタレントの西川史子(52)が脳出血を再発させていたと「女性セブン」(12月14日号)が報じた。彼女が最初に脳出血を発症したのは2021年8月。あれから2年、そんなに再発しやすい病なのだろうか。 過去に脳出血を発症した有名人は、俳優の塩見三省、夫婦漫才・大助花子の宮川大助、歌手の内藤やす子などがいるが、いずれもリハビリ後に仕事に復帰している。だが、西川のように再発するケースはあまり聞かない気がする。 山王メディカルセンターの脳血管センター長で東京女子医科大学名誉教授の内山真一郎医師に聞いた。 「脳出血の再発は珍しくありません。最も多い再発の原因は高血圧です。脳出血を起こした人は脳の血管がもろくなっていますから、血圧管理を怠ると再び出血することは十分あり得ます。西川さんの場合、まだお若いですし、太っているわけでもない。しかも、ご自身もドクターです。ただし、彼女のSNSを見ると、コレステロールとか血糖についての言及はありますが、なぜか血圧についての書き込みは見当たらない。私が診断したわけではないのでこれは想像ですが、彼女の脳出血には高血圧以外の特殊な要因が関係していたのかもしれません。例えば、脳血管の奇形などの可能性も考えられます」 50代で脳出血の発症といえば若いほうだ』、「私が診断したわけではないのでこれは想像ですが、彼女の脳出血には高血圧以外の特殊な要因が関係していたのかもしれません。例えば、脳血管の奇形などの可能性も考えられます」、なるほど。
・『脳卒中のひとつが脳出血  「50代前半だと若年性脳卒中と呼ばれます。脳の血管障害により突然、半身不随や言語障害などの症状が起こる病気の総称が、いわゆる脳卒中です。脳卒中には脳梗塞や脳出血、くも膜下出血が含まれますが、日本では脳卒中の4分の3を脳梗塞が占め、残りを脳出血とくも膜下出血が占めています。くも膜下出血の場合は50代くらいから発症しますが、脳梗塞と脳出血は高齢になるほど血管が老化するので起こりやすくなります。多くは70代以上です。そして脳梗塞も、脳出血と同じくらいの割合で再発します」 再発した場合、後遺症は重くなるのだろうか。 「出血や梗塞が脳のどの位置で、どのくらいの大きさで起こったかによって症状は変わってきます。脳幹出血の場合は1度の発症で亡くなってしまうこともあります。再発により後遺症が重くなるというよりも、1回目の発作で後遺症が残り、2回目の発作で新たな後遺症が加わることで重症化するわけです。何度も再発することで寝たきりになってしまう危険性もあります」 内山医師は、脳梗塞を発症した読売ジャイアンツの終身名誉監督・長嶋茂雄氏の主治医として知られる。脳梗塞と脳出血はどう違うのだろう。 「脳梗塞は脳の血管が詰まって脳の一部に血液が供給されなくなるために起こる病気です。脳出血は日本では“高血圧性脳出血”と呼ばれるように、高血圧によって脳の血管が破れて脳内に出血する病気です。血の塊が脳を圧迫することで起こります。くも膜下出血は脳の血管にできたこぶが破裂して頭蓋骨と脳の間に出血し、脳を圧迫する病気です。昔は脳出血のことを脳溢血と呼んでいて、日本では脳梗塞よりも多かった。最近は血圧の管理が良くなったため脳出血が減り、逆に食生活の欧米化により糖尿病や高脂血症の危険性が高まったため脳梗塞が増えています。もっとも、欧米では脳卒中のうち9割を脳梗塞が占めますが、日本はまだそこまでに至っていません」』、「昔は脳出血のことを脳溢血と呼んでいて、日本では脳梗塞よりも多かった。最近は血圧の管理が良くなったため脳出血が減り、逆に食生活の欧米化により糖尿病や高脂血症の危険性が高まったため脳梗塞が増えています。もっとも、欧米では脳卒中のうち9割を脳梗塞が占めますが、日本はまだそこまでに至っていません」、なるほど。
・『脳卒中の予防には  脳梗塞は血液ドロドロというイメージだろうか。 「まあ、そう考えてもらってもいいでしょう。その血液ドロドロの予防、血管の血栓症や閉塞を予防するために抗血小板薬や抗凝固薬といった薬を飲んでいる人は、脳出血を起こしやすい。最近は特に、抗血栓薬による脳出血が増えています」 脳梗塞の予防で飲んだ薬で脳出血に? 「そうです。また、コレストロールが低くなりすぎると、血管がもろくなって脳出血の原因となることもあります」 どういうタイプが発症しやすいのだろうか。 「脳卒中の最大の危険因子は高血圧です。脳梗塞の場合は糖尿病や高脂血症も危険因子となりますが、脳出血の危険因子にはなりません。脳出血の危険因子になるものとしては、大量の飲酒があります。お酒の飲み過ぎで肝臓を悪くすると血小板が減るため、血液が凝固されにくくなり、出血を起こしやすくなることがあります。また、喫煙は血管を詰まりやすくさせ、もろくもさせます。そのため動脈瘤の破裂も起こりやすくなります」 予防法としては何があるのだろう。 「脳出血は血圧の管理が非常に重要です。正常な血圧は130-80未満です。それを超えるようでしたら食事の塩分制限で血圧を下げ、それでも不十分なら血圧を下げる薬を飲まないといけません。脳梗塞まで広げるなら、糖尿病や高脂血症、肥満やメタボの対策も必要になります」  先生ご自身で気をつけていることは? 「僕は血圧が高いので塩分には気をつけていますし、血圧の薬も飲んでいます。後は肥満にならないようにカロリーや脂肪の取りすぎにも気をつけています。大それた運動はしていませんが、ウォーキングとストレッチくらいはやっています。そして睡眠は十分に取る。タバコはもともと吸いませんし、お酒はなるべく週末だけ、飲んでも1合くらいに止めています」 そうした生活で予防できるのは、脳卒中だけではないという。 「脳卒中の危険因子は、ほとんど認知症の危険因子と同じなのです。高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、大量飲酒、メタボ、慢性腎臓病……全部が両方の危険因子です。生活習慣で是正できるものをきちんと管理すれば、脳卒中のみならず認知症も予防できるのです」』、「脳卒中の危険因子は、ほとんど認知症の危険因子と同じなのです。高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、大量飲酒、メタボ、慢性腎臓病……全部が両方の危険因子です。生活習慣で是正できるものをきちんと管理すれば、脳卒中のみならず認知症も予防できるのです』、「生活習慣で是正できるものをきちんと管理すれば、脳卒中のみならず認知症も予防できる』、のであれば、是非きちんと「管理」したいものだ。

次に、本年1月25日付けNewsweek日本版「あのモデルナが開発、mRNA「がんワクチン」...死亡リスク65%減少は「さらに改善する」とCEOは自信」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2024/01/post-103543_1.php
・『<死亡リスク65%減の報告も。人体に備わった免疫を利用して癌性腫瘍を破壊する仕組みのmRNA癌ワクチンの開発に期待が高まる> 研究者が癌に関する基礎科学の地平線を広げるなか、バイオテクノロジー企業は人体に備わった免疫を動員し、癌と戦おうとしている。 なかでも期待を集めるのが癌ワクチンの開発だ。まずAI(人工知能)を使い、免疫系に認識可能な癌性腫瘍の変異を特定。その上で免疫系が癌性腫瘍を見つけて破壊できるように、患者ごとにカスタマイズした個別化癌ワクチンを作る。 2017年、モデルナは製薬大手メルクと連携し、固形腫瘍を標的とする個別化癌ワクチンの臨床試験を始めている。ワクチンを設計するには患者の正常細胞と癌細胞のDNAの塩基配列を調べ、2つを比較して癌細胞に見られる数百~数千の変異を特定する。続いて強い免疫反応を引き起こす可能性が最も高い34種の変異を、AIを使って選ぶ。 AI学習用の生検サンプルは、大学の医療機関が提供する。AIには免疫学の原理を学ばせ、免疫細胞が最も認識しやすいタンパク質とアミノ酸の特徴を理解させる。 この情報を基に作られた個別化メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンは、体内に入ると免疫反応を誘発。34種の変異のいずれかが見られる細胞を攻撃するよう設計された免疫細胞を体は大量生産する。 新型コロナウイルスのワクチン開発にも使われたmRNAは、細胞に指令を出して腫瘍の目印となるタンパク質を産生させる。十分な量のタンパク質が作られると、免疫系はこれを検知して異物と認定。異物を見つけて破壊する免疫細胞を作り始めるのだ』、「強い免疫反応を引き起こす可能性が最も高い34種の変異を、AIを使って選ぶ。 AI学習用の生検サンプルは、大学の医療機関が提供」、巧みな「ワクチン」製造法だ。
・『転移した癌細胞まで消滅  開発の土台にあるのは「免疫は癌に勝てるという確信」だと、モデルナのステファン・バンセルCEOは本誌に語る。確信の根拠は、健康な人の免疫系は癌細胞が腫瘍になる前に殺しているという単純な事実だ。 「20年前は分からなかったが癌はDNAの病気であり、DNAの変異が原因だ」と、バンセルは説明する。「癌はそれが発生した部位の病気だと、昔は考えられていた。だが腫瘤ができた臓器を見ただけで、その癌を発生させた仕組みは解明できないし、どんな遺伝子が転移や進行に関係しているかも分からない」 6月、モデルナとメルクはステージ3および4の悪性黒色腫患者を対象とした臨床試験についてmRNAワクチンと抗悪性腫瘍剤キイトルーダを併用した場合、遠隔転移や死亡のリスクが65%減少したと報告した』、「ステージ3および4の悪性黒色腫患者を対象とした臨床試験についてmRNAワクチンと抗悪性腫瘍剤キイトルーダを併用した場合、遠隔転移や死亡のリスクが65%減少したと報告」、なるほど。
・『「効く人と効かない人がいる理由は不明」だが  この数字は今後改善するとバンセルはみる。「ワクチンが効く人と効かない人がいる理由は不明だ。免疫には解明されていないことが多い。だが毎週のように新しい研究が発表されており、私は楽観視している」 サンフランシスコのバイオ企業ジェネンテックはドイツの製薬会社ビオンテックと組んで、個別化癌ワクチンを設計している。癌免疫学部門の副社長アイラ・メルマンらのチームは5月、ネイチャー誌に論文を発表。5年生存率が12%と致死性が高いタイプの膵臓癌患者16人に対するmRNAワクチンの効果を詳解した。 ワクチンは8人の患者の体内で膵臓癌を認識するT細胞を活性化させ、治療から1年半がたった時点で再発はなかった。うち1人のケースでは、T細胞が肝臓に転移した癌細胞まで消滅させたと考えられた。一方、ワクチンに反応しなかった8人は、平均1年余りで癌が再発した。 10月、ジェネンテックは世界の80近い医療機関で第II相臨床試験の被験者260人の募集を始めた。研究の進展とともに、ワクチンの効果は確実に上がっていくだろう』、「ワクチンは8人の患者の体内で膵臓癌を認識するT細胞を活性化させ、治療から1年半がたった時点で再発はなかった。うち1人のケースでは、T細胞が肝臓に転移した癌細胞まで消滅させたと考えられた。一方、ワクチンに反応しなかった8人は、平均1年余りで癌が再発した」、「ワクチン」への「反応」の有無はどんな条件で分かれるのだろうか、よく理解できなかった。

第三に、2月16日付け東洋経済オンラインが掲載した永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長・緩和ケア病棟長の廣橋 猛氏による「医師が「がん患者」になってわかった頼れる情報源 科学的根拠のない話に惑わされないために」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/733841
・『2023年5月に甲状腺がんと診断された緩和ケア医師の廣橋猛氏。がんの緩和ケア医療を専門とし、医師として患者に正面から向き合ってきましたが、いざ自身ががん患者になると戸惑うことが多くあったといいます。特に診断初期には困惑したのが周りの人の「ある対応」でした。がん患者にとって、本当に大切なこととはなんなのか? 著書『緩和ケア医師ががん患者になってわかった 「生きる」ためのがんとの付き合い方』より、がん患者の当事者、特に診断初期の方に知っておいてもらいたい知識をご紹介します』、興味深そうだ。
・『科学的根拠のない話に惑わされるがん患者さんは少なくない  本当にがんになってしまったのか 家族にはなんて言う 一生がんと付き合っていかなければいけないのか この痛みは我慢するしかないのか  2023年、私は甲状腺がんと診断されました。 上記は手術を経た現在までに抱いた私の気持ちです。特に診断された当日は、頭のなかで得体のしれない不安がぐるぐると回り続けて「なんで自分が」という気持ちに心を支配されました。いつもがん患者さんに私が話してきたことが、まさか自分の身に降りかかってくるなんて思ってもみなかったのです。 また、普段は患者さんにこのようにしたらよいというアドバイスが次から次へと思い浮かぶのに、自分のこととなると頭のなかは真っ白でなにも思いつきませんでした。がんを専門に医療行為をしている医師なのに、です。 特に困惑したのはがんに関する怪しい情報がたくさん回ってきたことです。当時は、X(旧ツイッター)で甲状腺がんを公表したこともあって、実に多くの方が個人的に連絡をくださいました。もちろん、純粋な励ましの連絡が多かったのですが、なかにはいらぬ助言をしてくる人もいたのが事実です。) 「甲状腺がんは治療しない方がよい」 「食事療法をした方がよい」 「よく効くサプリメントを紹介したい」 「コロナワクチンは打たない方がよい」 これまでがん患者さんから聞かされていた、がんと明かすと怪しい情報を送ってくる人がいるという話が真実であったことに衝撃を受けました。 ただでさえ、インターネットには、がんに関する情報が無数に散らばっています。一般の人には、どれが正しい情報なのかわかりにくいでしょう。また、どの情報が正しいと確信を持てる人でなければ、さまざまな情報が入ってくるなかでなにを信じたらよいかわからなくなり、戸惑われることもあるはずです』、「普段は患者さんにこのようにしたらよいというアドバイスが次から次へと思い浮かぶのに、自分のこととなると頭のなかは真っ白でなにも思いつきませんでした。がんを専門に医療行為をしている医師なのに、です。 特に困惑したのはがんに関する怪しい情報がたくさん回ってきたことです」、なるほど。
・『怪しい情報に騙されてしまうケースも  実際、私が診ている患者さんのなかにも、偏った食事療法を信じてしまい、体調を崩してしまった方など、さまざまな方がいらっしゃいました。 糖質ががん細胞を増殖させるので、断食をしたらがんは死滅するという情報を信じてしまい、患者さん自身が衰弱してしまった人。四つ足の動物を食べるとよくないという情報を信じて、牛肉や豚肉を一切食べず、ずっと味気ない食生活を続けて抑うつになってしまった人。例を出したらキリがありませんが、怪しい情報に騙されて、かえって体調を崩してしまっては、がんとうまく付き合って生きていけるわけがありません。 患者さんだけではありません。ご家族がなんとか患者さんの病気をよくしたいと思って、根拠のない健康食品や生活習慣を患者さんに勧めてしまうこともあります。その結果、残念なことに最終的に健康に害が出て、命を縮めることになってしまうような方もいらっしゃるのです。 ただ、怪しい情報を伝えてくる人たちというのは、その大半は悪気があってではなく、よかれと思って自身が信じていることを伝えてくれているようです。だから、タチが悪いとも言えます。) がんは生死に関わる病気だからこそ、主治医からの情報や後述する情報サイトを信じるのが基本の姿勢として望ましいです。それ以外の怪しい情報を伝えてきた友人には、その気持ちだけお礼を伝えてやり過ごすのが吉です』、「私が診ている患者さんのなかにも、偏った食事療法を信じてしまい、体調を崩してしまった方など、さまざまな方がいらっしゃいました。 糖質ががん細胞を増殖させるので、断食をしたらがんは死滅するという情報を信じてしまい、患者さん自身が衰弱してしまった人・・・怪しい情報を伝えてくる人たちというのは、その大半は悪気があってではなく、よかれと思って自身が信じていることを伝えてくれているようです。だから、タチが悪いとも言えます」、なるほど。
・『がんに関する正しい情報を得る方法  がん患者さんが不安を抱える最大の原因は、先々の見通しがよくわからないことだと考えられます。ですから患者さんが知るべき情報は、治療内容と合併症、そして これからどうなっていくかということです。私が強くお勧めするのは、国立がん研究センターの「がん情報サービス」です。 こちらに記載されている多くの正しい情報は、漠然とした不安を解消し、これから歩んでいく方角を灯してくれる道標となってくれます。 例えば、日本人に多いがんのひとつである、大腸がんの手術を終えたあとについての記載を見てみましょう。 手術後の再発を防ぐ目的で、それなりに進行していたことを示すステージⅢであった患者さん、またはステージⅡでも再発の可能性が高いと考えられた患者さんの場合に、補助化学療法(抗がん剤治療)を行うことが推奨されていると記載されています。 これは抗がん剤を内服または点滴、もしくはその併用で行うもので、3〜 6カ月行うことが一般的とされています。 逆にこれより進行していない場合は、術後の補助治療は不要であるということです。手術の前にどれくらいのステージであるか予想はされているので、術後の治療 についてもイメージはしやすいでしょう。抗がん剤についても、使用する薬剤によって副作用は異なりますが、脱毛や吐き気、手先の痺れなどに注意が必要であるといった情報まで網羅されています。 もちろん、つらい情報が含まれることもあり、その情報をどう解釈すべきかについては、主治医に相談することが大切です』、「私が強くお勧めするのは、国立がん研究センターの「がん情報サービス」です。 こちらに記載されている多くの正しい情報は、漠然とした不安を解消し、これから歩んでいく方角を灯してくれる道標となってくれます・・・抗がん剤についても、使用する薬剤によって副作用は異なりますが、脱毛や吐き気、手先の痺れなどに注意が必要であるといった情報まで網羅されています。 もちろん、つらい情報が含まれることもあり、その情報をどう解釈すべきかについては、主治医に相談することが大切です」、なるほど。
・『緩和ケア医はどのように「がん情報サービス」を利用したのか?  私も甲状腺がんと診断されたときも、「がん情報サービス」にアクセスして、甲状腺乳頭がんの項目を熟読しました。私がとても気になっていたのは、甲状腺をすべて切除するのかどうかでした。 診てくれた医師からはおそらくすべて切除することになると言われていましたが、できれば 少しでも残せたらいいなという期待を持っていました。 というのも、甲状腺は甲状腺ホルモンをつくる大切な臓器であり、これがすべて切除されてなくなってしまうと、チラーヂンという甲状腺ホルモンの薬を飲んで補充しなければならなくなるからです。 甲状腺ホルモンをつくる機能は回復することはないので、一生飲み続ける必要があるでしょう。そのため、「できれば避けたいな……」 と思っていたのです(残念ながら結果は、全摘でした)。 がん情報サービスのサイトの内容では、手術の合併症の記載も役立ったと実感しています。合併症というのは、手術のミスではなく、どうしても手術する過程で生じてしまうやむを得ないものです。 甲状腺の横には副甲状腺というさらに小さな臓器があるのですが、例えば、ここが一緒に取れてしまう合併症に関する記載がありました。副甲状腺はカルシウムというミネラルの成分に関連する大切な部位のため、取れてしまうと術後にテタニーと呼ばれる低カルシウム血症の症状で痺れなどが出ることがあるとわかりました。実際、術後に低カルシウム血症にならないように、薬を飲むことになって、このときに情報を確認してよかったと思っています。) そして私が甲状腺がんの項目で最も気になったのが、術後に生じるかもしれないと記載のあった、反回神経麻痺でした。甲状腺の近くには、反回神経という発声や物の飲み込みに関わる神経が走っています。 手術でどうしてもこの神経が傷つくことがあり、そうなると声を出しにくくなったり、飲食でムセやすくなったりする合併症が生じるのです。こちらも事前に情報をチェックしていたことで診察のときに主治医の先生に気になる点を念入りに確認できました』、「私が甲状腺がんの項目で最も気になったのが、術後に生じるかもしれないと記載のあった、反回神経麻痺でした。甲状腺の近くには、反回神経という発声や物の飲み込みに関わる神経が走っています。 手術でどうしてもこの神経が傷つくことがあり、そうなると声を出しにくくなったり、飲食でムセやすくなったりする合併症が生じるのです。こちらも事前に情報をチェックしていたことで診察のときに主治医の先生に気になる点を念入りに確認できました」、使い勝手がよさそうだ。
・『科学的根拠に基づいたものだけが記載されている  私はこういった情報をがん情報サービスで得ることで、想定される治療期間を理解でき、仕事をどれくらい休めばよいのかといった準備がしやすくなりました。また、治療後に生じる合併症などの情報により、生活への影響もイメージすることができ、正しい情報が身を助けてくれたと実感しています。 がん情報サービスにはあらゆる種類のがんに関して、患者さんが知っておくべき基本的な情報が網羅されています。こちらの内容はすべて科学的根拠に基づいたものだけが記載されており、基本的には誤りはありません。 まずは、すべての患者さんがこちらの情報を確認するべきだと、私の経験則から強くお伝えしたいです』、「私はこういった情報をがん情報サービスで得ることで、想定される治療期間を理解でき、仕事をどれくらい休めばよいのかといった準備がしやすくなりました。また、治療後に生じる合併症などの情報により、生活への影響もイメージすることができ、正しい情報が身を助けてくれたと実感しています」、すごく有用な「サービス」のようなので、活用したい。
タグ:著書『緩和ケア医師ががん患者になってわかった 「生きる」ためのがんとの付き合い方』 廣橋 猛氏による「医師が「がん患者」になってわかった頼れる情報源 科学的根拠のない話に惑わされないために」 東洋経済オンライン 「ワクチンは8人の患者の体内で膵臓癌を認識するT細胞を活性化させ、治療から1年半がたった時点で再発はなかった。うち1人のケースでは、T細胞が肝臓に転移した癌細胞まで消滅させたと考えられた。一方、ワクチンに反応しなかった8人は、平均1年余りで癌が再発した」、「ワクチン」への「反応」の有無はどんな条件で分かれるのだろうか、よく理解できなかった。 「ステージ3および4の悪性黒色腫患者を対象とした臨床試験についてmRNAワクチンと抗悪性腫瘍剤キイトルーダを併用した場合、遠隔転移や死亡のリスクが65%減少したと報告」、なるほど。 「強い免疫反応を引き起こす可能性が最も高い34種の変異を、AIを使って選ぶ。 AI学習用の生検サンプルは、大学の医療機関が提供」、巧みな「ワクチン」製造法だ。 Newsweek日本版「あのモデルナが開発、mRNA「がんワクチン」...死亡リスク65%減少は「さらに改善する」とCEOは自信」 「脳卒中の危険因子は、ほとんど認知症の危険因子と同じなのです。高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、大量飲酒、メタボ、慢性腎臓病……全部が両方の危険因子です。生活習慣で是正できるものをきちんと管理すれば、脳卒中のみならず認知症も予防できるのです』、「生活習慣で是正できるものをきちんと管理すれば、脳卒中のみならず認知症も予防できる』、のであれば、是非きちんと「管理」したいものだ。 「私はこういった情報をがん情報サービスで得ることで、想定される治療期間を理解でき、仕事をどれくらい休めばよいのかといった準備がしやすくなりました。また、治療後に生じる合併症などの情報により、生活への影響もイメージすることができ、正しい情報が身を助けてくれたと実感しています」、すごく有用な「サービス」のようなので、活用したい。 「私が甲状腺がんの項目で最も気になったのが、術後に生じるかもしれないと記載のあった、反回神経麻痺でした。甲状腺の近くには、反回神経という発声や物の飲み込みに関わる神経が走っています。 手術でどうしてもこの神経が傷つくことがあり、そうなると声を出しにくくなったり、飲食でムセやすくなったりする合併症が生じるのです。こちらも事前に情報をチェックしていたことで診察のときに主治医の先生に気になる点を念入りに確認できました」、使い勝手がよさそうだ。 「私が強くお勧めするのは、国立がん研究センターの「がん情報サービス」です。 こちらに記載されている多くの正しい情報は、漠然とした不安を解消し、これから歩んでいく方角を灯してくれる道標となってくれます・・・抗がん剤についても、使用する薬剤によって副作用は異なりますが、脱毛や吐き気、手先の痺れなどに注意が必要であるといった情報まで網羅されています。 もちろん、つらい情報が含まれることもあり、その情報をどう解釈すべきかについては、主治医に相談することが大切です」、なるほど。 「私が診ている患者さんのなかにも、偏った食事療法を信じてしまい、体調を崩してしまった方など、さまざまな方がいらっしゃいました。 糖質ががん細胞を増殖させるので、断食をしたらがんは死滅するという情報を信じてしまい、患者さん自身が衰弱してしまった人・・・怪しい情報を伝えてくる人たちというのは、その大半は悪気があってではなく、よかれと思って自身が信じていることを伝えてくれているようです。だから、タチが悪いとも言えます」、なるほど。 「普段は患者さんにこのようにしたらよいというアドバイスが次から次へと思い浮かぶのに、自分のこととなると頭のなかは真っ白でなにも思いつきませんでした。がんを専門に医療行為をしている医師なのに、です。 特に困惑したのはがんに関する怪しい情報がたくさん回ってきたことです」、なるほど。 「昔は脳出血のことを脳溢血と呼んでいて、日本では脳梗塞よりも多かった。最近は血圧の管理が良くなったため脳出血が減り、逆に食生活の欧米化により糖尿病や高脂血症の危険性が高まったため脳梗塞が増えています。もっとも、欧米では脳卒中のうち9割を脳梗塞が占めますが、日本はまだそこまでに至っていません」、なるほど。 「私が診断したわけではないのでこれは想像ですが、彼女の脳出血には高血圧以外の特殊な要因が関係していたのかもしれません。例えば、脳血管の奇形などの可能性も考えられます」、なるほど。 デイリー新潮「西川史子 脳出血再発のなぜ 専門医は「高血圧が原因でない可能性も」」 (その40)(西川史子 脳出血再発のなぜ 専門医は「高血圧が原因でない可能性も」、あのモデルナが開発 mRNA「がんワクチン」...死亡リスク65%減少は「さらに改善する」とCEOは自信、医師が「がん患者」になってわかった頼れる情報源 科学的根拠のない話に惑わされないために) 医療問題
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

酒(その1)(山崎元 最後に贈る「ウィスキー」ガイド、厚労省の「飲酒ガイドライン」登場 アルコール度数×摂取量で適切に管理を) [生活]

今日は、酒(その1)(山崎元 最後に贈る「ウィスキー」ガイド、厚労省の「飲酒ガイドライン」登場 アルコール度数×摂取量で適切に管理を)を取上げよう。

先ずは、昨年12月20日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した経済評論家で「食道癌」で死亡した山崎 元氏による「山崎元、最後に贈る「ウィスキー」ガイド:本稿は、ウィスキーの飲み方、楽しみ方を説明するための、全国の酒友にお送りする、筆者のたぶん最後のウィスキーの飲み方ガイドである」を紹介しよう。。
https://diamond.jp/articles/-/336141
・『ウィスキーを楽しむための5つのポイントを解説  筆者は昨年の8月に食道癌と診断された。基本的には禁酒を言い渡される病気であり、その通りにした。一方、ウィスキーは趣味だといえるレベルにはならなかったが、筆者の長年の友達だった。 今さら自慢しても仕方がないのだが、その診断後に、筆者が、全国の酒友および潜在的な酒友に向かって「お酒を飲むな」「ウィスキーを飲むな」と言ったことは一度もない。これは、声を大にして言っておきたい。 経緯の諸々については、「山崎さんの飲み方では、胃の中では水割りだけど、食道ではストレートですね」という友人の言葉から、事情を察してくれるとありがたい。 以下、ウィスキーについて、(1)正しい飲み方、(2)価格、(3)味の覚え方、(4)ボトラーズ物の味の楽しみ方、(5)ハイボールについて、思うところをお伝えする』、興味深そうだ。
・『(1)正しい飲み方〜オンザロックが密かに軽蔑されるワケ〜  ウィスキーに力を入れたバーでは、店主と客が、オンザロック(氷を入れたグラスに酒を注ぐ飲み方)でウィスキーを飲む客を密かにばかにしている。 ウィスキーは香りを楽しむお酒なのに、温度を下げて香りを殺すからだ。 通常のテイスティングは、香りだけを楽しむ→口中に当たった感じの印象を楽しむ→口の中で味わう→飲み込んだ後の戻り香を楽しむ、と進むが、最後が問題だ。 リスクを取って、それでもストレートにするか、常温の水で1:2、ないし1:3、あるいはそれ以上に割るかどうかは、あなたの問題だ。 一般に欧米の常識では、完成品のお酒を薄めて飲むことは例外的だ。しかし、ウィスキーの場合は度数が高いし、特に日本人は高い度数に強くない。 この状況を前にしたときに「ロックで頼む!」というオーダーは、お酒は濃いし、香りは殺すしで、何もいいことがないのだから、「分かっていないなあ」と思われてしまうのだ。 なお、ウィスキーをソーダ(炭酸水)で割ったハイボールについては、(5)で後述したい』、「「ロックで頼む!」というオーダーは、お酒は濃いし、香りは殺すしで、何もいいことがないのだから、「分かっていないなあ」と思われてしまうのだ」、その通りだ。
・『(2)価格  息子世代に向けたメッセージとして筆者は、「友人たちが飲んでいるものよりも1クラスいいものを飲め」と伝えている。 サントリーのラインナップで伝えるなら、友人たちが「角瓶」を飲んでいるなら、自分一人で飲むときには「白州」や「山崎」のノンエイジ(年数表記なし)を飲むイメージだ。) 筆者個人の感想としては、ハイボールなら、ノンエイジははっきり「白州」の方がおいしいように思う。ただし、12年以上のもので比較すると、「山崎」の方が「白州」よりも明らかに出来が良いように思われる。早く偉くなって確認してみてほしい』、「ハイボールなら、ノンエイジははっきり「白州」の方がおいしいように思う。ただし、12年以上のもので比較すると、「山崎」の方が「白州」よりも明らかに出来が良いように思われる」、なるほど。
・『(3)味の覚え方〜オフィシャルボトルの「縦飲み」から〜  多くの方がご存じのように、ウィスキーは、幾つかの代表的な地域と蒸留所ごとのモルトの銘柄を覚えると、語ることができるようになる。 このモルトを覚える有効で正しい手順として、蒸留所自身が自分でボトリングした「オフィシャルボトル」の熟成年数を上げていく「縦飲み」をお勧めしたい。 蒸留所からボトリング業者が樽(たる)を買い付ける「ボトラーズ物」を飲むよりも圧倒的に数が多くて、品質が蒸留所の認める味にコントロールされていてバラツキが少なく、蒸留所ごとの個性をより正確に把握しやすい。 蒸留所単位で具体的な銘柄を挙げると、「ラフロイグ」「ラガヴーリン」「スプリングバンク」「マッカラン」「グレンファークラス」は有力候補だ。 オフィシャルボトルの縦飲みで蒸留所の個性を知っておくと、その後に銘柄単位の味を語る場合の判断基準や語彙(ごい)に自信が持てるようになる。 この、オフィシャルボトルの縦飲みの方法は、赤坂にあった旧知のバーのバーマンに、「オフィシャルに帰れ!」の言葉と共に教えてもらったノウハウなので、この機会にぜひお伝えしておきたい。 その後に、個性は豊かだが、品質にバラツキがある「ボトラーズ物」を評価し、表現するときに大いに役に立つはずだ』、「縦飲み」は確かにいい方法だ。私もスコットランドのインバネスのホテルに泊まった際に、ベル・ウィスキーの営業の人間から「縦飲み」で指導され、理解が深まった記憶がある。
・『(4)「ボトラーズ物」の味の楽しみ方  ボトラーズ物は、瓶詰め業者が蒸留所から樽を買い付けて、通常は数百本単位でボトリングしたものだ。同様な熟成年数の物は、オフィシャルボトルよりも価格が安い。オフィシャルボトルからの味のずれ方はさまざまのはずだ。 味に関しては、「外れ!」の物もあるし、「当たり!」もあって、バラツキが大きい。もちろん「当たり!」を探すのだが、ウィスキーに重点を置いたバーでは常連たちが「今度の○○(ボトラー)の、△△(モルトの銘柄)、××(熟成年数)物は、出来が良いから早く飲んでおいた方がいいよ…」などと話題になるはずだ。彼らも価格は安い方がいいし、「新しいもの」は話題としてちょうどいいからだ。 「今度のケイデンヘッドで、スプリングバンクの15年物は、年数以上のシェリー樽感があって、なかなかいい感じではないでしょうかね」などと話が進むイメージだ。 ぜひ会話に加わって、いい「お酒友達」を増やしてほしい』、想像するだけで楽しそうだ。 
・『(5)「ハイボール」は「別物」でいいのではないか  さて、ハイボールについて考えてみよう。 ハイボールは、テイスティングに関して一家言あるバーマンや常連客も、テイスティングとは「別枠」の、「カクテル」のような飲み物だと考えてくれていると思っていいのではないだろうか。 常温の水割りとは味がすっかり異なるし、何よりも現実のウィスキーマニアたちが、ハイボールを頻繁に注文しているからだ。) 現実問題として、長い夜の間には彼らも喉が渇く。そして、ビールで口直しをしたい半分弱くらいの人を除くと、ウィスキーの味が好きなので、ハイボールを注文して喉の渇きを癒やす。 ハイボールを注文することに不自然さはないはずだ。 筆者個人の感慨としては、かつて漫画仕立ての拙著『マンガでわかるシンプルで正しいお金の増やし方』(講談社)の結論部分に、キャラクターとしての「ヤマザキ先生」が、「人生は美味いハイボールを飲むためにある」と言っている場面があるので、この部分と何とか(ぎりぎり)矛盾しないウィスキーガイドなったことが幸いだ。 改めて確認するが、読者はお酒を飲んでも飲まなくてもいい。これは、ウィスキーについても同様だ。 ただし、個人的な思いとして筆者は、ウィスキーを楽しんでくれる人が増えることを願っている。 私は、ウィスキーに対して長年の付き合いに大いに感謝している。ウィスキーよありがとう!』、私は昔はウィスキー派だったが、現在はワインや焼酎派だが、気持ちは理解できる。山崎氏のご冥福を祈る。

次に、3月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した医学ライターの井手ゆきえ氏による「厚労省の「飲酒ガイドライン」登場、アルコール度数×摂取量で適切に管理を」を紹介しよう。
・『2月19日、厚生労働省から国内初の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン(飲酒GL)」が公表された。 20歳以上の健康な成人を対象としたもので、個々の適切な飲酒量と飲酒行動の判断の目安として利用してほしいという。 年齢や性別による飲酒リスクを提示しているのが特徴で、たとえば高齢者は若いときより体内の水分量が減少し、同じ量のアルコールでも酔いやすく、一定量を超えると認知症リスクが上昇する、などと具体的に書かれている。 行動面のリスクでは、過度な摂取で運動機能や集中力の低下が生じ、事故やけが、他者とのトラブル、社用パソコンの紛失、そのほかに飲酒運転や未成年への飲酒強要など、法律違反に当たるケースも記載された。 健康との関連では、日本人のエビデンスに基づいて、性別の飲酒量と疾病リスクが掲載された。 男性では、少量飲酒で高血圧、胃がん、食道がんの発症リスクが上昇。さらに純アルコール量換算で週150グラム以上の飲酒では脳出血、大腸がん、前立腺がんの発症リスクが、週300グラム以上では、脳梗塞などのリスクが上昇するとしている。 女性は男性より体内の水分量が少なく、アルコール分解能が低い。また、女性ホルモンの働きでアルコールの影響を受けやすい。 そのため、少量飲酒で脳出血、高血圧リスクが上昇。週75グラム以上で脳梗塞リスク、100グラム以上で乳がんリスク、150グラム以上で胃がん、大腸がん、肝がんの発症リスクが上昇するという。 純アルコール量の換算方法は、「摂取量(ミリリットル)×アルコール度数(%)×0.8(アルコールの比重)」だ。アルコール度数5%のビール500ミリリットル缶では、「500×0.05×0.8=20グラム」。毎日1本飲み続ければ、すぐに週150グラム近くになる。適度に「休肝日」を設けるべきだろう。 飲酒GLの適切な使い方は、食物のカロリー量のように純アルコール量を飲酒の目安にすることだ。我慢しすぎない程度に調整していこう。ただし休前日の「チート飲み(注)」だけはお勧めしない』、「健康との関連では、日本人のエビデンスに基づいて、性別の飲酒量と疾病リスクが掲載された。 男性では、少量飲酒で高血圧、胃がん、食道がんの発症リスクが上昇。さらに純アルコール量換算で週150グラム以上の飲酒では脳出血、大腸がん、前立腺がんの発症リスクが、週300グラム以上では、脳梗塞などのリスクが上昇するとしている。 女性は男性より体内の水分量が少なく、アルコール分解能が低い。また、女性ホルモンの働きでアルコールの影響を受けやすい。 そのため、少量飲酒で脳出血、高血圧リスクが上昇。週75グラム以上で脳梗塞リスク、100グラム以上で乳がんリスク、150グラム以上で胃がん、大腸がん、肝がんの発症リスクが上昇するという」、ずいぶん重々しく、飲む気が失せるような代物だ。
(注)チート:ゲームなどでのいかさまの意味だが、飲みがつくた適当な訳はなさそうだ。
なお、飲酒ガイドラインは、https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf
タグ: 「「ロックで頼む!」というオーダーは、お酒は濃いし、香りは殺すしで、何もいいことがないのだから、「分かっていないなあ」と思われてしまうのだ」、その通りだ。 興味深そうだ。 山崎 元氏による「山崎元、最後に贈る「ウィスキー」ガイド:本稿は、ウィスキーの飲み方、楽しみ方を説明するための、全国の酒友にお送りする、筆者のたぶん最後のウィスキーの飲み方ガイドである」 ダイヤモンド・オンライン (その1)(山崎元 最後に贈る「ウィスキー」ガイド、厚労省の「飲酒ガイドライン」登場 アルコール度数×摂取量で適切に管理を) 井手ゆきえ氏による「厚労省の「飲酒ガイドライン」登場、アルコール度数×摂取量で適切に管理を」 私は昔はウィスキー派だったが、現在はワインや焼酎派だが、気持ちは理解できる。山崎氏のご冥福を祈る。 想像するだけで楽しそうだ。 「縦飲み」は確かにいい方法だ。私もスコットランドのインバネスのホテルに泊まった際に、ベル・ウィスキーの営業の人間から「縦飲み」で指導され、理解が深まった記憶がある。 「ハイボールなら、ノンエイジははっきり「白州」の方がおいしいように思う。ただし、12年以上のもので比較すると、「山崎」の方が「白州」よりも明らかに出来が良いように思われる」、なるほど。 (注)チート:ゲームなどでのいかさまの意味だが、飲みがつくた適当な訳はなさそうだ。 なお、飲酒ガイドラインは、https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf スク、100グラム以上で乳がんリスク、150グラム以上で胃がん、大腸がん、肝がんの発症リスクが上昇するという」、ずいぶん重々しく、飲む気が失せるような代物だ。 「健康との関連では、日本人のエビデンスに基づいて、性別の飲酒量と疾病リスクが掲載された。 男性では、少量飲酒で高血圧、胃がん、食道がんの発症リスクが上昇。さらに純アルコール量換算で週150グラム以上の飲酒では脳出血、大腸がん、前立腺がんの発症リスクが、週300グラム以上では、脳梗塞などのリスクが上昇するとしている。 女性は男性より体内の水分量が少なく、アルコール分解能が低い。また、女性ホルモンの働きでアルコールの影響を受けやすい。 そのため、少量飲酒で脳出血、高血圧リスクが上昇。週75グラム以上で脳梗塞リ
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

機能性表示食品制度(その4)(「紅麹」と醤油や酒の醸造用「麹」の決定的な違い そもそも「麹」とはどのようなものかを解説、小林製薬はなぜ「紅麹の健康被害」の発表を2カ月寝かせてしまったか?日本企業あるあるの罠、小林製薬「紅麹」サプリの被害が拡大…「機能性表示食品」制度検討は安倍政権下の規制改革会議からだった、専門家が指摘「紅麹問題」で表出する"重要な視点" 2014年には欧州でサプリによる健康被害の報告) [社会]

機能性表示食品制度については、2017年4月10日に取上げた。今日は、(その4)(「紅麹」と醤油や酒の醸造用「麹」の決定的な違い そもそも「麹」とはどのようなものかを解説、小林製薬はなぜ「紅麹の健康被害」の発表を2カ月寝かせてしまったか?日本企業あるあるの罠、小林製薬「紅麹」サプリの被害が拡大…「機能性表示食品」制度検討は安倍政権下の規制改革会議からだった、専門家が指摘「紅麹問題」で表出する"重要な視点" 2014年には欧州でサプリによる健康被害の報告)である。

先ずは、本年3月27日付け東洋経済オンラインが掲載した糀屋三左衛門 ・第29代当主の村井 裕一郎氏による「「紅麹」と醤油や酒の醸造用「麹」の決定的な違い そもそも「麹」とはどのようなものかを解説」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/743859
・『サプリメントによる健康被害の問題で「紅麹」という言葉が連日ニュースに登場するようになりました。原因とされる「未知の成分」の実態や混入経路は特定されていませんが、そもそも「麹」がどのようなものか、ニュースを見て気になった人もいるのではないでしょうか。今回の件とは別に一般的に「紅麹」と発酵食品で使用される「麹」とはどう異なるのか、室町時代から600年続く種麹メーカーの第29代当主であり『ビジネスエリートが知っている 教養としての発酵』の著者である村井裕一郎氏が解説します』、「紅麹」、「麹」については、殆ど知識がないので、大助かりだ。
・『そもそも「麹」とはいったい何か  「麹」とは、米や麦や豆などの穀物に麹菌を生やしたもののことです。米に麹菌が生えれば米麹、麦に麹菌が生えれば麦麹、豆に麹菌が生えれば豆麹、となります。 食卓調味料として使われる塩麹、醤油麹、コンソメ麹などは、それぞれ、塩や醤油、野菜などを麹と混ぜた調味料や料理の名前になります。これは麹と他の食材を混ぜたものであって、「穀物に麹菌を生やしたもの」という本来の麹の定義とは異なります。 では、麹は味噌、醤油、清酒といった醸造食品造りの中でどのように用いられるのでしょうか?醸造食品においては、麹は酵素の供給源としての役割が大きいです。例えば、日本の清酒造りでは、麹の持つ酵素の力によって、原料であるお米のデンプンが分解され糖になり、その糖を酵母が食べてアルコールを生産します。 今回注目されている紅麹ですが、紅麹は一般的な味噌や醤油、清酒、焼酎などに使われる麹とは生物学的にも異なる菌を使用しており、また、食品として利用される主な目的も異なります。 紅麹は穀物(主に米)に紅麹菌を生やしたものです。紅麹はその名のとおり赤い色をしており、色素、着色料としても用いられてきました。沖縄の「豆腐よう」などが紅麹を使った有名な食品です。また、近年では抽出した色素が着色料としてさまざまな食品に用いられています。) 先述のように麹とは「穀物に麹菌を生やしたもの」です。そのため、紅麹も「麹」となります。 一般的な味噌や醤油、清酒、焼酎などに使う麹菌には「アスペルギルス属」と呼ばれるカビの仲間が多く用いられています。それに対して、紅麹に使う紅麹菌は「モナスカス属」と呼ばれるカビの仲間が用いられます』、「一般的な味噌や醤油、清酒、焼酎などに使う麹菌には「アスペルギルス属」と呼ばれるカビの仲間が多く用いられています。それに対して、紅麹に使う紅麹菌は「モナスカス属」と呼ばれるカビの仲間が用いられます」、なるほど。
・『生物学的に異なる菌でも「麹」と呼ばれる背景  そもそも、私たち人間は、微生物学が発展する前から発酵食品を作ってきました。そのため、生物学的な定義の正確さより、それぞれの文化の中で慣習的に呼んでいた言葉が反映されていることも多くあります。 竹を食べることから、レッサーパンダの大きな新種だと思ってジャイアントパンダと名付けても、レッサーパンダはレッサーパンダ科で、ジャイアントパンダはクマ科だったりします(中国ではレッサーパンダが成長するとジャイアントパンダになると考えられていた地域があるそうです)。 微生物学的には別の種であっても、穀物にカビが生えて、それを食べたらおいしかったという体験が共通していれば、同じように麹と慣用的に呼んでしまうのは自然なことだと思います。 なお、アスペルギルス属をさらに細かく見ていくと、味噌、醤油、清酒などに幅広く用いられる「アスペルギルス オリゼー」と呼ばれる種、特に醤油に用いられる「アスペルギルス ソーヤ」、焼酎や泡盛に用いられる「アスペルギルス ルチエンシス」などがあります。また、日本の発酵食品には使われない「アスペルギルス フラバス」、「アスペルギルス ナイジャー」という種などもあります。) それでは、ここで、整理のために「麹菌」の定義の話をしましょう。まず、麹菌の示す範囲については広義に示すものと、狭義に示すものがあります。 広義的に麹菌の指し示す範囲として、「麹を作るための糸状菌(カビ)を総称して麹菌と呼ぶ」というものがあります。 ここには、日本の醸造食品に一般に使われる麹菌(アスペルギルス属の仲間)も、今回の紅麹(モナスカス属)も入ります。あるいは、中国の麹(曲)に使われるクモノスカビと呼ばれるカビなどが入る用例もあります』、「広義的に麹菌の指し示す範囲として、「麹を作るための糸状菌(カビ)を総称して麹菌と呼ぶ」というものがあります」、なるほど。
・『日本醸造学会が定めた「?菌」はわずか  次に、狭く麹菌の語句の示す範囲の定義としては、日本醸造学会が麹菌を「国菌」(日本を代表するものとして選ばれた菌)と認定した際に定めた定義があります。 ?菌とは、わが国で醸造及び食品等に汎用されている次の菌をいう。 (1)和名を黄?菌と称する Aspergillus oryzae。 (2)黄?菌(オリゼー群)に分類される Aspergillus sojaeと黄?菌の白色変異株。 (3)黒?菌に分類される Aspergillus luchuensis(Aspergillus luchuensis var. awamori)及び黒?菌の白色変異株である白?菌 Aspergillus luchuensis mut. kawachi(Aspergillus kawachii)。 注)Aspergillus niger(クロカビ)は、黒?菌とは異なる菌種であり、?菌には含めない。 平成 18 年 10 月 12 日 日本醸造学会 平成 25 年 11 月 28 日 一部改正(菌名変更) 端的に言えば、アスペルギルス属のなかでも、オリゼー、ソーヤ、ルチエンシス、ルチエンシス ミュート カワチに限るとされています。 そして、アスペルギルス属には他に「アスペルギルス フラバス」「アスペルギルス ナイジャー」など日本の醸造食品には用いられない複数の種が属していますが、それらは、国菌としての麹菌の定義から外れます。なお、私が麹菌という語を使う際はできる限り断りを入れたうえで、この狭義の定義を用いることが多いです。) 狭義の麹菌の定義から外れた「アスペルギルス フラバス」という種は、アフラトキシン、オクラトキシンなどのカビ毒を出すことで知られています。しかし、このフラバスは、日本の醸造食品には用いられません。日本醸造学会が定めた狭義の麹菌は、カビ毒を生産しないことが遺伝子レベルで確認されています。 なぜ、オリゼーなどがこれらのカビ毒を出す能力を持たないのか、つまり、人間が使いやすい菌になったのか、あるいは、自然界から人間がどのようにオリゼーなどを選び取ったのかについてはさまざまな説があります』、「狭く麹菌の語句の示す範囲の定義としては、日本醸造学会が麹菌を「国菌」・・・と認定した際に定めた定義があります」、なるほど。
・『シトリニンを生産する能力を失った菌株を使用  そして、紅麹菌(モナスカス属)ですが、欧州委員会規制(EC)が基準値を定めているように、一部はシトリニンというカビ毒を出すとされています。しかし、現在ではゲノムの解明が進んでおり、小林製薬のサイトでも、紅麹の製造においてはシトリニンを生産する能力を失った菌株が用いられていると説明されています。 なお、日本で醸造食品に使われる狭義の麹菌にあたる、「アスペルギルス オリゼー」などからもシトリニンが生成されたという報告はありません。 記事公開時点において、今回の小林製薬の問題で原因物質、および混入経路は特定されておりません。紅麹菌の生成物に由来するのか、それとも紅麹菌にする前の原料の時点で何かが生じていたのか、あるいは、人為的設備的な要因によるものなのか、さまざまな可能性を検討し調査している段階と認識しています。 日本で扱われている「麹」「紅麹」そのものが問題となっているわけではない点に注意が必要です』、「紅麹菌(モナスカス属)ですが、欧州委員会規制(EC)が基準値を定めているように、一部はシトリニンというカビ毒を出すとされています。しかし、現在ではゲノムの解明が進んでおり、小林製薬のサイトでも、紅麹の製造においてはシトリニンを生産する能力を失った菌株が用いられていると説明されています・・・今回の小林製薬の問題で原因物質、および混入経路は特定されておりません。紅麹菌の生成物に由来するのか、それとも紅麹菌にする前の原料の時点で何かが生じていたのか、あるいは、人為的設備的な要因によるものなのか、さまざまな可能性を検討し調査している段階と認識しています」、なるほど。

次に、3月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したノンフィクションライターの窪田順生氏による「小林製薬はなぜ「紅麹の健康被害」の発表を2カ月寝かせてしまったか?日本企業あるあるの罠」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341136
・『社長「覚悟」していたのに…「紅麹」は10年前にも注意喚起  「そういえば、この前亡くなったおじいちゃんも確かあんなサプリメントを飲んでたような…」 「ねえ、この前食べたお菓子にも紅麹が入ってたみたいだよ。ヤバくない?」 連日の報道によって「紅麹の恐怖」が、日本社会にじわじわと広がっている中で、「被害者」の数も急速に膨れ上がっている。 「紅麹」の成分などを含んだ小林製薬のサプリメントを摂取した人たちが、腎臓の病気などを発症しているという問題を受けて、厚生労働省は同社から2人目の死亡事例が報告されたと発表した。  亡くなった一人は「紅麹コレステヘルプ」を3年間にわたって35袋服用していたという。報道を受けて遺族から3月23日の夜にメールがあったが、週明けの25日になってそれが確認され、サプリメント摂取と死亡に因果関係が疑われるとして調査を進めている。 小林製薬の窓口には、製品を摂取した人からおよそ3000件以上の健康相談が寄せられたほか、入院が必要になった人がこれまでに106人いたと報告されている(3月27日現在)。このような「被害」が広がっていくにつれ、小林製薬の「対応の遅さ」にも批判が強まっている。 実は、小林製薬に、腎疾患の被害報告が医師から入ったのは1月15日だ。そこから入院事例が増えていって、小林章浩社長のもとに報告をされたのは2月6日。記者会見で小林社長は、当時の心境をこう振り返っている。 「私はおそらく2月6日に聞いている。その時点で、この案件については何らかの形で回収になるだろうという覚悟を持ちました」(FNNプライムオンライン3月25日) こういう「覚悟」を抱くのは当然だ。実は、紅麹は2014年、内閣府・食品安全委員会が「健康被害が報告されているので危ないですよ」と注意喚起を行なっている。紅麹菌を由来とするサプリメントの摂取が原因と疑われる健康被害がヨーロッパで報告されていたからだ。 つまり、サプリメントを扱う人々にとって、紅麹サプリメントの入院報告は「青天のへきれき」ではなく、「恐れていたことがやってきた」という反応だ。だから、小林社長は報告を受けた段階で「回収」という企業にとって大きな決断の「覚悟」を持つことができたのだろう。 しかし、ここから多くの人が、首を傾げる奇妙なことが起きる』、「小林製薬に、腎疾患の被害報告が医師から入ったのは1月15日だ。そこから入院事例が増えていって、小林章浩社長のもとに報告をされたのは2月6日・・・紅麹は2014年、内閣府・食品安全委員会が「健康被害が報告されているので危ないですよ」と注意喚起を行なっている。紅麹菌を由来とするサプリメントの摂取が原因と疑われる健康被害がヨーロッパで報告されていたからだ。 つまり、サプリメントを扱う人々にとって、紅麹サプリメントの入院報告は「青天のへきれき」ではなく、「恐れていたことがやってきた」という反応だ」、なるほど。
・『遅れた自主回収、大企業の「致命的な判断ミス」  2月6日、小林社長が回収の覚悟を決めてから、実際に小林製薬が自主回収を発表したのは3月22日だ。驚くなかれ、トップが「覚悟」を決めてから、それを実行に移すまでになんと約1カ月半も時間を費やしているのだ。ちなみに、大阪市保健所と消費者庁への相談も3月22日の発表直前だったという。 2月6日の「覚悟」は、なぜこんなにもたっぷりと寝かせられたのか。 会社側の説明によると、自主回収が遅れた理由は「人手不足」だ。記者会見で渡辺淳執行役員は「調査にかける人員が限られ、製品が原因で症状が起こったと特定できなかった」と説明しているのだ。 ただ、これは一般消費者の感覚からすれば、「は?世の中をナメているのか?」とかなりイラッとくる説明だろう。 厚労省や大阪市が激怒しているように、世間一般の感覚では入院事例も報告されている段階で、被害拡大を食い止めるためには、とにもかくにもまずは事実の公表をして自主回収をすることが「正解」だ。しかし、小林製薬は調査に1カ月半以上も費やして、公表を後回しにした。これを「致命的な判断ミス」と批判する評論家や専門家も多い。 では、なぜ小林製薬ほどの大企業が世間の多くの人たちが「悪手」だと思う道へ突き進んだのか。なぜ誰もが真っ先に優先すべきだと思う「被害拡大防止」を後回しにしてしまったのか』、「会社側の説明によると、自主回収が遅れた理由は「人手不足」だ。記者会見で渡辺淳執行役員は「調査にかける人員が限られ、製品が原因で症状が起こったと特定できなかった」と説明しているのだ」、「自主回収が遅れた理由は「人手不足」」とは驚くべき言い訳だ。
・『日本企業あるある、「公表をしぶる」4つの理由  いろいろなご意見があるだろうが、実際にこのような「健康被害」を出した企業の危機管理をサポートした経験から言わせていただくと、この原因は経営陣や部門責任者の誤解によるところが大きい。 それは「事実確認や原因究明をしっかりとすることこそが、危機管理である」という誤解だ。 危機管理において、事実確認や原因究明は重要だ。しかし、そこに執着するあまり、事実確認や原因究明ができないと一歩も動けず、思考停止してしまうのである。 相手がいることなので、あまり詳しい事は言えないが、筆者は過去に今回のような「自主回収」の決断をした企業の危機管理のサポートをいくつか経験したことがある。 そこでは程度の違いはあるが、ほとんどの企業が問題を把握してから「調査」に時間を費やして「自主回収」を公表するまで1?2カ月をかけている。 つまり、今回の小林製薬のように「事実確認」や「原因究明」に執着するあまり、やるべきことを後回しにしてしまうのだ。これは日本企業の中では極めてベタな対応というか「危機管理あるある」と言っていい。 このような日本企業の思考停止を後押しするのが、組織内の「同調圧力」だ。「一刻も早く公表すべき」という声が出ても、経営幹部や部門責任者らが握りつぶすのである。 ある会社で筆者も社長に意見を求められたので、「被害拡大防止を優先するために早く公表すべきでは」と答えたら、品質部門の責任者やら、営業担当役員やらに「現実的ではない」「そんなことをしたら大混乱になる」と大目玉をくらった。 では、なぜ彼らがそこまで公表をしぶるのか。 ああでもないこうでもないと「公表できない理由」を並べてくるのだが、筆者が直接耳にした理由をまとめると、ざっとこんなところだ。 ・原因をある程度特定しないと、取引先から「他の製品も危ないのでは?」という不安が拡大して会社の信用に関わる ・自治体や監督官庁に対して自主回収の背景を説明するのにも「まだわかりません」というのはあり得ない ・自主回収後、謝罪行脚をする現場の社員たちに「何もわかりません」と手ぶらで戦わせるわけにはいかない ・自主回収を公表する記者会見で社長が、「まだ何もわかりません」を繰り返したら社会が不安になって大炎上してしまう  これを読んでいただければわかるように、「調査優先派」の基本的なスタンスとしては、急いで公表をしたところで、会社として何も説明できないので、かえってステークホルダー(利害関係者)を不安に陥れてパニックにさせてしまうというものだ。 そうならないために、まずは事実確認や原因究明をしっかりとやる。そして、ある程度、情報が集まってきて、会社として説明ができる状況になったら満を持して公表する。消費者や取引先はもちろん、自治体や監督官庁の疑問や不安にも対応できるので、パニックも起こらない。こういう丁寧なプロセスを踏んだ情報発信こそが、「危機」をコントロールすることではないか、と彼らは考えている』、「まずは事実確認や原因究明をしっかりとやる。そして、ある程度、情報が集まってきて、会社として説明ができる状況になったら満を持して公表する」というような「丁寧なプロセスを踏んだ情報発信こそが、「危機」をコントロールすることではないか、と彼らは考えている」、なるほど。
・『「わかっちゃいるけど、やめられねぇ」遅い決断  ただ、賢明な読者は気づくだろう。これらのスタンスは一見すると、消費者や取引先など「組織外の人たち」のことを配慮しているようで、実のところは「組織内の人たち」の立場や面子を守ることを優先している。 いくらきれい事を言っても、やはりみなサラリーマンなので、何か問題が起きた時に責任を負わされたくない。そこで、各部署が「戦犯」として吊し上げられないように、万全の準備をしているだけだ。消費者や社会のことを第一に考えているのではなく「保身」である。 例えば、開発部門は自分たちの責任にならないように、「原因を究明する時間が欲しい」と言う。品質管理部門も「なぜ問題を見落としてしまったのか検証する時間が欲しい」と言う。営業部門も「取引先への根回しや、説明できるだけの客観的なデータなどが欲しい」と言う。こういう組織内の声を全て平等に吸い上げて対応をすると、時間はいくらあっても足りない。 筆者も、ある企業で、問題が発覚してから自主回収までどれくらい時間がかかるかという会議に参加をしたことがあるが、各部門にそれぞれ準備期間を答えさせて、スケジュールを調整したら、「自主回収は2カ月後」という結果になってあ然とした経験がある。 今回、小林製薬は1月15日に最初の医師の報告を受けてから、3月22日の自主回収まで2カ月以上費やしている。世間は「遅きに失する」と批判しているが、企業危機管理の現実を目の当たりにしてきた筆者からすれば、それほど驚くようなものではなく「まあそんなものでしょうね」という感じだ。 よく日本企業は「決断のスピード」が遅いと言われる。例えば、よく聞くのは、アメリカ・シリコンバレーのスタートアップが、日本企業と商談をしても、「一旦会社に持ち帰らせてもらいます」と言われて何カ月も寝かされて愛想を尽かすなんて話だ。中国企業がサクサクと進めるビジネスを、日本企業の場合、社内決済まで半年かかるなんて笑い話もある。 これは危機管理の現場でも本当に多い。一刻も早く決断や公表をしないと致命的なダメージを負うのは目に見えているのに、「決断できない理由」を並べて放置をする。結果、目も当てられない大炎上に至る企業をいくつも見てきた。 その中でもっとも恐ろしいのは、筆者のような外部のコンサルがいくら強く指摘をしても、「まあ、うちはこういう会社なんで」という感じで経営幹部まであきらめている会社だ。 実際、今回の記者会見でも小林社長は「判断が遅かったと言われれば、その通りです」と、うなだれている。組織内の論理を踏まえると、判断を早くすることは不可能だと、はなからあきらめているようにも聞こえる。 昭和の名曲「スーダラ節」の中に「わかっちゃいるけど、やめられねぇ」という有名な歌詞があるが、まさにその境地である。 「わかっちゃいるけど、対応の遅さをやめられない」――。企業危機管理担当者のみなさんは、「保身」に流れがちな組織内の同調圧力に屈することなく、迅速な対応を目指していただきたい』、「もっとも恐ろしいのは、筆者のような外部のコンサルがいくら強く指摘をしても、「まあ、うちはこういう会社なんで」という感じで経営幹部まであきらめている会社だ。 実際、今回の記者会見でも小林社長は「判断が遅かったと言われれば、その通りです」と、うなだれている。組織内の論理を踏まえると、判断を早くすることは不可能だと、はなからあきらめているようにも聞こえる。 昭和の名曲「スーダラ節」の中に「わかっちゃいるけど、やめられねぇ」という有名な歌詞があるが、まさにその境地である。 「わかっちゃいるけど、対応の遅さをやめられない」――。企業危機管理担当者のみなさんは、「保身」に流れがちな組織内の同調圧力に屈することなく、迅速な対応を目指していただきたい」、その通りだ。

第三に、3月28日付け日刊ゲンダイ「小林製薬「紅麹」サプリの被害が拡大…「機能性表示食品」制度検討は安倍政権下の規制改革会議からだった」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/338081
・『「健康の維持・増進」をうたった「機能性表示食品」で死亡につながったと疑われる事例は初めてだ。 小林製薬(大阪市)の「紅麹」を配合したサプリメントを摂取し、これまでに腎疾患などで2人が死亡、106人が入院していた問題。 厚生労働省は26日、大阪市に対し、食品衛生法に基づく製品の廃棄命令などの措置を取るよう通知。同じ成分を含む可能性がある商品を取り扱っていた他の食品メーカーらも自主回収に乗り出すなど対応に追われている。被害は一体どこまで拡大するのか。 内閣委員会調査室のレポートなどによると、「機能性表示食品」は2013年1月、当時の安倍首相の諮問機関として発足した規制改革会議が「付加価値の高い農産物・加工品の開発を促進する観点から、ヒトによる治験を経て、健康増進に対するエビデンスが認められた素材を含有する健康食品について、その効能・効果に関する表示を認めるべきではないか」として、「一般健康食品の機能性表示の容認」を検討課題に取り上げたことが発端だ。) その後、同会議などで複数回の議論を経て、消費者庁は14年8月に食品表示法に基づく「食品の新たな機能性表示制度に係る食品基準案」を公表。安倍首相が同10月、消費者委員会に対し、食品表示基準を定めることについて諮問。同委員会が食品安全委員会との連携の確保などを条件に諮問案を適当とする内容を答申し、15年4月から「機能性表示食品」制度が創設された』、「消費者庁は14年8月に食品表示法に基づく「食品の新たな機能性表示制度に係る食品基準案」を公表。安倍首相が同10月、消費者委員会に対し、食品表示基準を定めることについて諮問。同委員会が・・・諮問案を適当とする内容を答申し、15年4月から「機能性表示食品」制度が創設」、安倍政権時代の産物だ。
・■制度開始直から安全性を懸念する声が出ていた  「機能性表示食品」の特徴は、国が個別製品ごとにヒトでの安全性と効果を審査し、多額の研究開発費用がかかる「特定保健用食品(トクホ)」とは異なり、事業者の責任において販売できる仕組みができたことだ。 事業者は、安全性や機能性などの根拠となる研究論文や臨床試験を消費者庁に届けることで商品の販売が可能になったため、中小企業なども市場参入しやすくなったわけだが、検討開始から2年余りで始まった制度については開始直後から、安全性を懸念する声があった。 例えば、15年7月の「衆院消費者問題に関する特別委員会」では、野党議員が、トクホで認められなかった商品が「機能性表示食品」として市場に出ている、として政府側の認識を質し、こう訴える場面も。) 「機能性表示食品については、既に消費者団体から厳しい疑義、要望が相次いで関係省庁や業界団体に出されているかと存じております。全国消費者団体連絡会、安全性や機能性の科学的根拠について問題があるものがある、機能性表示食品全体に不信感を抱かざるを得ない」 他にも国会会議録で「機能性表示食品」「安全性」で検索すると、制度の問題点を指摘する数多くの質疑が出てくるのだが、果たして「最悪の事態」は避けることはできなかったのだろうか』、当局による審査に代えて、事業者による「研究論文や臨床試験を消費者庁に届ける」と極めて安直な手続きとなったが、肝心の事業者「小林製薬」があんな体たらくでは、頼りないことこの上ない。やはり、時期尚早だったようだ。

第四に、3月28日付け東洋経済オンラインが掲載したフリーランス記者の松岡 かすみ氏による「専門家が指摘「紅麹問題」で表出する"重要な視点" 2014年には欧州でサプリによる健康被害の報告」を紹介しよう。
・『死亡例が出るなど深刻な被害  小林製薬の紅麹の成分が含まれている健康食品を摂取した人に、健康被害が起きた問題で波紋が広がっている。 3月28日時点で4人が死亡、106人が入院と、深刻な被害が報告され、全国で製品の自主回収が相次ぐなどの影響が広がるなか、事態収束のメドは見えず、原因も明らかになっていない。 麹を含む発酵食品に詳しい専門家2人に、今回の健康被害の要因として考えられる点や背景を聞いた。) 「そもそも紅麹は、日本古来の麹とはまったくの別物です。いわゆる“麹の一種”と勘違いしないでほしい」 こう話すのは、麹の発酵食品を長く研究してきた東京農業大学教授の前橋健二さんだ。 「中国古来の紅麹菌と日本古来の麹菌は、微生物学的な分類が異なるだけでなく、使い方も違う。麹という言葉が独り歩きして、“紅麹=赤い麹”と思われる方もいると思いますが、それは間違いです」 この理由については後ほど詳述するが、まずは小林製薬が製造した機能性表示食品「紅麹コレステヘルプ」で生じた健康被害について振り返る』、「中国古来の紅麹菌と日本古来の麹菌は、微生物学的な分類が異なるだけでなく、使い方も違う。麹という言葉が独り歩きして、“紅麹=赤い麹”と思われる方もいると思いますが、それは間違いです」、なるほど。
・『最初の症例報告は1月15日  この問題が発覚したのは、3月22日。最初の症例が報告されたのは1月15日で、同社が事案を把握してから公表するまでにおよそ2カ月を要した。 3月26日には同社は、約3年間継続して紅麹の成分を含む健康食品を摂取していたとみられる1人が、腎疾患で2月に死亡していたと発表。さらに厚労省は同日、同社へのヒアリングの結果、別の1人の死亡事例があったことを明らかにした。 そして28日、さらに2人の死亡が明らかになり、亡くなった人は4人となった。 2人目の死因が腎疾患かどうかは確認するとしているが、1人目と同じ健康食品「紅麹コレステヘルプ」を摂っていたと見られている。3人目は「腎疾患を伴って亡くなった」と遺族から連絡があり、4人目も遺族からの連絡があったという。3人目、4人目も「紅麹コレステヘルプ」を利用していた。 (小林製薬プレスリリース はリンク先参照) 同社によれば、「カビ由来の未知の成分」が健康被害の原因の可能性があるものの、いまだ特定できていないとのことで、消費者の間に不安が拡大している。) 紅麹とは、米などの穀類に紅麹菌を繁殖させて作られるもので、1000年以上前から発酵食品や、食品の着色料として利用されてきた。 日本では沖縄の珍味、豆腐を紅麹と泡盛などで発酵させた食品「豆腐よう」などでも知られるほか、紅麹色素として、さまざまな食品に広く用いられている。 また、紅麹に含まれる「ロバスタチン」という成分には、コレステロールを低下させる作用があるとされ、紅麹由来の健康食品なども多く販売されている。今回、問題が指摘されている小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」も、「悪玉コレステロールを下げる」とうたっている。 一方、紅麹菌の中には「シトリニン」というカビ毒を作るものもあり、腎臓の病気を引き起こすおそれがあることがわかっている。そのため、EC(欧州委員会規制)が、サプリメント中のシトリニンの基準値を定めている』、「紅麹色素として、さまざまな食品に広く用いられている。 また、紅麹に含まれる「ロバスタチン」という成分には、コレステロールを低下させる作用があるとされ、紅麹由来の健康食品なども多く販売されている」、なるほど。
・『紅麹は日本古来の麹とどう違うのか  では、紅麹は日本古来の麹とどう違うのか。 前出の前橋さんによると、麹の製造に使われるカビを総称して「麹菌」というが、実際、麹菌は分類上いくつかの菌種に分かれているという。 日本でもっとも多く使用されている種類は、「アスペルギルス属」に分類される「アスペルギルスオリゼー」というもの。日本酒やしょうゆ、みそ、みりん、甘酒などに使われている菌で、これまで健康被害が報告された例はない。 対して、紅麹菌が属するのは「モナスカス属」に分類される菌種で、紅麹は中国や台湾の腐乳(ふにゅう)や、米を紅麹で発酵させてつくる紅老酒(こうろうしゅ)や紅露酒(こうろしゅ)などに使用されている。 紅麹を使った日本の代表的な食品は前出の豆腐ようぐらいで、日本ではそこまでメジャーに広がっている発酵食品はない。紅麹もまた、発酵食品としてはこれまで健康被害の報告例はなかった。 小林製薬は、紅麹を用いた健康食品は、そもそもシトリニンを合成する遺伝子がない紅麹菌を使用しているとする。また、今回の健康被害の報告を受け、成分を分析したところ、腎臓の病気を引き起こすおそれがあるカビ毒「シトリニン」は検出されなかったともしている。 一方で、シトリニンとは別の未知の成分の存在を示す分析結果が得られており、「“意図しない成分”が含まれている可能性が判明した」とする。この成分が何なのかは、現時点では明らかになっていない。 「そうだとすれば、人為的なミスで何か別のカビ毒が混入したのか、通常と違う製造工程を踏んだのか、あるいは突然変異的なもので未知の成分が生まれたのかという話になり、また、未知の成分が健康食品に検出されたのか、紅麹に検出されたのかによっても大きく変わってくる」 と前橋さん。「いずれにせよ、シトリニンではない新たなカビ毒が発生したとなると、解明にも時間がかかるだろう」と述べる。) 「今回の問題は、紅麹そのものを原材料とした健康食品を、長期間にわたって継続して摂取していたのか、あるいは製造過程で意図しない有害物質が生成または混入したことなどが問題ではないかと考えています」 こう指摘するのは、東京家政大学大学院客員教授の宮尾茂雄さんだ。 消費者庁によると、今回の事件は、2015年の機能性表示食品の制度開始後、メーカーが健康被害を公表して自主回収する最初のケース。国は届け出があるすべての機能性食品6000件超を緊急点検するとしている。 問題の健康食品は、紅麹を“色素”としてではなく“食品原料”として使用している。色素に比べると紅麹の含有量が多く、それだけたくさんの量を1回で摂取することになる。 そもそも健康食品やサプリメントは、特定の有用成分を濃縮して作られたもので、健康増進を期待して継続的に摂取することが多いものだ。 「紅麹に限らず、健康食品やサプリメントのなかには、主成分だけでなく、副成分も含めた特定の成分を、継続的に長期間摂取することが体にどんな影響を及ぼすのか、まだまだ調べる必要があると思います。何か特定の成分を、濃縮した形で毎日摂取し続けるというのは、食品ではありえず、健康食品やサプリメントでは起こりうる可能性がある」 と宮尾さんは言う。 特に機能性の表示が認められている機能性表示食品は、“体に良い効果”がうたわれるため、継続的な摂取に疑問を持たない人が多く、「食品だから安心」と過剰摂取をしている人もいるかもしれない。 「メーカーとしてはさまざまな新商品を作っていますが、副作用的な面の検証がおろそかになっていないか、少なくとも機能性表示食品については、今一度、全体的にしっかり検証することが必要だと思います」(宮尾さん)』、「健康食品やサプリメントのなかには、主成分だけでなく、副成分も含めた特定の成分を、継続的に長期間摂取することが体にどんな影響を及ぼすのか、まだまだ調べる必要があると思います。何か特定の成分を、濃縮した形で毎日摂取し続けるというのは、食品ではありえず、健康食品やサプリメントでは起こりうる可能性がある・・・特に機能性の表示が認められている機能性表示食品は、“体に良い効果”がうたわれるため、継続的な摂取に疑問を持たない人が多く、「食品だから安心」と過剰摂取をしている人もいるかもしれない」、確かにこうした「過剰摂取」が問題につながるリスクがある。
・『2014年にも健康被害が報告  内閣府の食品安全委員会によれば、「血中のコレステロール値を正常に保つ」として、ヨーロッパや日本などで販売されている「紅麹で発酵させた米に由来するサプリメント」の摂取が原因と疑われる健康被害は、2014年にヨーロッパで報告されている。 これを受け、前述したようにECでは一部の紅麹菌が生産するカビ毒、シトリニンのサプリメント中の基準値を設定。フランスでは摂取前に医師に相談するように注意喚起しており、スイスでは紅麹を成分とする製品は、食品としても薬品としても売買は違法とされている。 こうした背景がある成分を、機能性表示食品として使用する際のリスク検証が十分だったのか、改めて問われるだろう』、確かに問題含みの成分を含むものを「機能性表示食品」の範疇に入れていくのは大いに問題だ。外すべきだろう。
タグ:東洋経済オンライン (その4)(「紅麹」と醤油や酒の醸造用「麹」の決定的な違い そもそも「麹」とはどのようなものかを解説、小林製薬はなぜ「紅麹の健康被害」の発表を2カ月寝かせてしまったか?日本企業あるあるの罠、小林製薬「紅麹」サプリの被害が拡大…「機能性表示食品」制度検討は安倍政権下の規制改革会議からだった、専門家が指摘「紅麹問題」で表出する"重要な視点" 2014年には欧州でサプリによる健康被害の報告) 機能性表示食品制度 取」が問題につながるリスクがある。 確かに問題含みの成分を含むものを「機能性表示食品」の範疇に入れていくのは大いに問題だ。外すべきだろう。 「健康食品やサプリメントのなかには、主成分だけでなく、副成分も含めた特定の成分を、継続的に長期間摂取することが体にどんな影響を及ぼすのか、まだまだ調べる必要があると思います。何か特定の成分を、濃縮した形で毎日摂取し続けるというのは、食品ではありえず、健康食品やサプリメントでは起こりうる可能性がある・・・特に機能性の表示が認められている機能性表示食品は、“体に良い効果”がうたわれるため、継続的な摂取に疑問を持たない人が多く、「食品だから安心」と過剰摂取をしている人もいるかもしれない」、確かにこうした「過剰摂 「紅麹菌(モナスカス属)ですが、欧州委員会規制(EC)が基準値を定めているように、一部はシトリニンというカビ毒を出すとされています。しかし、現在ではゲノムの解明が進んでおり、小林製薬のサイトでも、紅麹の製造においてはシトリニンを生産する能力を失った菌株が用いられていると説明されています・・・ 「狭く麹菌の語句の示す範囲の定義としては、日本醸造学会が麹菌を「国菌」・・・と認定した際に定めた定義があります」、なるほど。 「広義的に麹菌の指し示す範囲として、「麹を作るための糸状菌(カビ)を総称して麹菌と呼ぶ」というものがあります」、なるほど。 「一般的な味噌や醤油、清酒、焼酎などに使う麹菌には「アスペルギルス属」と呼ばれるカビの仲間が多く用いられています。それに対して、紅麹に使う紅麹菌は「モナスカス属」と呼ばれるカビの仲間が用いられます」、なるほど。 「紅麹」、「麹」については、殆ど知識がないので、大助かりだ。 村井 裕一郎氏による「「紅麹」と醤油や酒の醸造用「麹」の決定的な違い そもそも「麹」とはどのようなものかを解説」 「紅麹色素として、さまざまな食品に広く用いられている。 また、紅麹に含まれる「ロバスタチン」という成分には、コレステロールを低下させる作用があるとされ、紅麹由来の健康食品なども多く販売されている」、なるほど。 「中国古来の紅麹菌と日本古来の麹菌は、微生物学的な分類が異なるだけでなく、使い方も違う。麹という言葉が独り歩きして、“紅麹=赤い麹”と思われる方もいると思いますが、それは間違いです」、なるほど。 松岡 かすみ氏による「専門家が指摘「紅麹問題」で表出する"重要な視点" 2014年には欧州でサプリによる健康被害の報告」 当局による審査に代えて、事業者による「研究論文や臨床試験を消費者庁に届ける」と極めて安直な手続きとなったが、肝心の事業者「小林製薬」があんな体たらくでは、頼りないことこの上ない。やはり、時期尚早だったようだ。 「消費者庁は14年8月に食品表示法に基づく「食品の新たな機能性表示制度に係る食品基準案」を公表。安倍首相が同10月、消費者委員会に対し、食品表示基準を定めることについて諮問。同委員会が・・・諮問案を適当とする内容を答申し、15年4月から「機能性表示食品」制度が創設」、安倍政権時代の産物だ。 日刊ゲンダイ「小林製薬「紅麹」サプリの被害が拡大…「機能性表示食品」制度検討は安倍政権下の規制改革会議からだった」 「わかっちゃいるけど、対応の遅さをやめられない」――。企業危機管理担当者のみなさんは、「保身」に流れがちな組織内の同調圧力に屈することなく、迅速な対応を目指していただきたい」、その通りだ。 「もっとも恐ろしいのは、筆者のような外部のコンサルがいくら強く指摘をしても、「まあ、うちはこういう会社なんで」という感じで経営幹部まであきらめている会社だ。 実際、今回の記者会見でも小林社長は「判断が遅かったと言われれば、その通りです」と、うなだれている。組織内の論理を踏まえると、判断を早くすることは不可能だと、はなからあきらめているようにも聞こえる。 昭和の名曲「スーダラ節」の中に「わかっちゃいるけど、やめられねぇ」という有名な歌詞があるが、まさにその境地である。 「まずは事実確認や原因究明をしっかりとやる。そして、ある程度、情報が集まってきて、会社として説明ができる状況になったら満を持して公表する」というような「丁寧なプロセスを踏んだ情報発信こそが、「危機」をコントロールすることではないか、と彼らは考えている」、なるほど。 「会社側の説明によると、自主回収が遅れた理由は「人手不足」だ。記者会見で渡辺淳執行役員は「調査にかける人員が限られ、製品が原因で症状が起こったと特定できなかった」と説明しているのだ」、「自主回収が遅れた理由は「人手不足」」とは驚くべき言い訳だ。 「小林製薬に、腎疾患の被害報告が医師から入ったのは1月15日だ。そこから入院事例が増えていって、小林章浩社長のもとに報告をされたのは2月6日・・・紅麹は2014年、内閣府・食品安全委員会が「健康被害が報告されているので危ないですよ」と注意喚起を行なっている。紅麹菌を由来とするサプリメントの摂取が原因と疑われる健康被害がヨーロッパで報告されていたからだ。 つまり、サプリメントを扱う人々にとって、紅麹サプリメントの入院報告は「青天のへきれき」ではなく、「恐れていたことがやってきた」という反応だ」、なるほど。 窪田順生氏による「小林製薬はなぜ「紅麹の健康被害」の発表を2カ月寝かせてしまったか?日本企業あるあるの罠」 ダイヤモンド・オンライン 今回の小林製薬の問題で原因物質、および混入経路は特定されておりません。紅麹菌の生成物に由来するのか、それとも紅麹菌にする前の原料の時点で何かが生じていたのか、あるいは、人為的設備的な要因によるものなのか、さまざまな可能性を検討し調査している段階と認識しています」、なるほど。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

電気自動車(EV)(その14)(「アップルカー開発断念」はEVブーム終焉のサイン?トヨタら日本勢はチャンスを活かせ、中国にEV墓場 テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角) [産業動向]

電気自動車(EV)については、昨年6月3日に取上げた。今日は、(その14)(「アップルカー開発断念」はEVブーム終焉のサイン?トヨタら日本勢はチャンスを活かせ、中国にEV墓場 テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角)である。

先ずは、本年3月8日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した佃モビリティ総研代表の佃 義夫氏による「アップルカー開発断念」はEVブーム終焉のサイン?トヨタら日本勢はチャンスを活かせ」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340154
・『アップルカー開発中止はEVブーム終焉のサイン?  米アップルが電気自動車(EV)の開発計画を断念したと伝えられた。アップルのジェフ・ウィリアムズCOO(最高執行責任者)が社員に通達したと、米ブルームバーグが報じた。それによると、アップルカー開発チームの一部開発者はAI部門に配置転換し、アップルでは珍しいレイオフ(一時解雇)を計画しているという。 アップルといえば、スマートフォンの世界でiPhoneの存在感が非常に大きい。EV化に伴い、クルマが高度なソフトウェアを搭載する「走るスマホ」ともいわれるようになる中、そのアップルがEVに進出するということで、自動車業界からも脅威の存在としてその動向が注目されていた。 特に、自動車業界にとって100年に一度の大変革期といわれるゆえんである「CASE革命」の中核に位置する、「電動化」と「自動運転」をセットで開発するアップルカーを同社がどう具現化するかは、業界の大きな関心事だった。 脱炭素社会に向けたEVと自律走行実現のための自動運転の親和性をとらえたアップルカー。アップルは、「EVによる完全自動運転」を目指したものと受け止められていた。) しかし、10年越しとなるアップルカー開発の社内プロジェクト「タイタン」は、ここにきてEV開発を断念したと伝えられた。 この間、アップルは米本社のあるカリフォルニア州での試験走行を重ねてきた。23年の同州での走行試験の距離は約72万9000kmと前年の3.6倍に増えており、自動運転技術などの特許も数多く取得し実用化への布石を打ってきた。また、アップルカーを製造委託するファブレス企業としてのパートナーには、カナダのマグナ・インターナショナルや韓国の現代自動車グループに加え、日本の日産自動車の名前が候補として挙がったこともある。 アップルカー開発断念の背景には、アップルの完全自動運転EV開発が遅れている一方、生成AIを巡る競争環境の激変に対応が迫られているという社内事情があるようだ。加えて、これまで電動化の中で世界的にBEV(バッテリーEV)に偏向する風潮があったものの、直近でEV市場の変化や価格競争激化が生じるなど、EVの販売環境が悪化してきていることも挙げられる。 今後の注目ポイントとなるのが、このアップルカー撤退の動きが、自動車業界全体の電動化、特にBEVの拡大や戦略にどう影響するのか、あるいはBEVへの潮流が変わっていく(変わっている)転換点になるのか、ということだ。 それはすなわち、トヨタ自動車を筆頭に日本車のBEVへの出遅れが指摘されてきた見方が変化するのか、という意味でもある』、「アップルカー開発断念の背景には、アップルの完全自動運転EV開発が遅れている一方、生成AIを巡る競争環境の激変に対応が迫られているという社内事情があるようだ。加えて、これまで電動化の中で世界的にBEV(バッテリーEV)に偏向する風潮があったものの、直近でEV市場の変化や価格競争激化が生じるなど、EVの販売環境が悪化してきていることも挙げられる」、なるほど。
・『海外メーカーで相次ぐEV計画の修正  いわゆる「EVブーム」は、CO2削減を大命題に、欧州の環境規制強化や米国カリフォルニア州のZEV(ゼロエミッションビークル)規制、中国政府によるNEV(ニューエネルギービークル)規制といった、世界的な各種規制への対応から大きな潮流へと発展したものだ。) 欧州勢が独フォルクス・ワーゲン(VW)のテールゲート事件を契機に主流のディーゼル車からEVへの転換政策を一気に進めたほか、米国もGM、フォードがEVシフト計画を積極化した。さらに、中国は世界最大となった中国の国内市場を武器に、国家レベルでのNEV政策を押し出して「EV大国」にのし上がってきた。 一方で、日本ではホンダの三部敏宏社長が「脱エンジン」を宣言し、2040年までに新車をEVとFCV(燃料電池車)に100%切り替える方針を打ち出したものの、「敵は脱炭素であり、エンジン車ではない」(豊田章男トヨタ会長)とするトヨタの「マルチパスウェイ(全方位)」戦略を筆頭として「EV普及に後ろ向きだ」との批判を浴びてきたのも事実だ。 しかし、ここへきてEVブームの風向きが変わってきた。 23年は世界のEV販売が年間100万台を超えたが、急速に販売の伸びが鈍ってきている。中国では、過当な販売競争でNEV市場が荒れてきており、米国はEVよりハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の販売が伸びたことが注目されている。世界各国のエネルギー事情やEV販売の補助金を抑制する動きなどでBEVの伸びが鈍化しているのは確かだ。明らかにEVシフトの過渡期におけるひずみが起きている。 EVシフトを積極的に進めようとしていた自動車各社でも、その戦略を見直す動きが広がっている。) 米GMはかねて35年以降にエンジン車を販売しない目標を掲げており、25年後半に安価なEVを投入する計画だったが、その要であったホンダとの量販価格帯EVの共同開発を撤回した。代わりに戦略を修正し、PHV投入の方向を打ち出してきている。 米フォードもEV関連の投資計画全体のうち、120億ドルを抑制すると昨年10月に発表した。また、独メルセデス・ベンツは、30年の「完全EV化」を事実上撤回し、25年までに新車販売の最大50%がEVとPHVになるという見通しを「20年代後半」に遅らせた。 EVの成長ペースが鈍化しHVやPHVが当面の電動化の“現実解”との見方が広がる中で、トヨタを筆頭とする日本車各社は、市場に合わせた展開で巻き返しの好機を見いだしつつある。 だが、大きなうねりとしてBEVが主流になる動きは、長期的に見ると変わらないはずだ。 足元のEV鈍化に一喜一憂せず、日本車各社にはEV過渡期としての現状の“現実解”に対するアドバンテージを活かしながら、低コスト化や自動運転との親和性を活かした機能開発など、長期視点でのEV対応が求められることになるだろう。 また、アップルカーの撤退で、同じくテック企業とのコラボEVの代表であるホンダとソニーグループの共同開発車「アフィーラ」の動きにも変化があるのか、こちらにも注目したい』、「ここへきてEVブームの風向きが変わってきた。 23年は世界のEV販売が年間100万台を超えたが、急速に販売の伸びが鈍ってきている。中国では、過当な販売競争でNEV市場が荒れてきており、米国はEVよりハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の販売が伸びたことが注目されている。世界各国のエネルギー事情やEV販売の補助金を抑制する動きなどでBEVの伸びが鈍化しているのは確かだ。明らかにEVシフトの過渡期におけるひずみが起きている・・・EVの成長ペースが鈍化しHVやPHVが当面の電動化の“現実解”との見方が広がる中で、トヨタを筆頭とする日本車各社は、市場に合わせた展開で巻き返しの好機を見いだしつつある。 だが、大きなうねりとしてBEVが主流になる動きは、長期的に見ると変わらないはずだ・・・足元のEV鈍化に一喜一憂せず、日本車各社にはEV過渡期としての現状の“現実解”に対するアドバンテージを活かしながら、低コスト化や自動運転との親和性を活かした機能開発など、長期視点でのEV対応が求められることになるだろう。 また、アップルカーの撤退で、同じくテック企業とのコラボEVの代表であるホンダとソニーグループの共同開発車「アフィーラ」の動きにも変化があるのか、こちらにも注目したい」、その通りだ。

次に、3月26日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏による「中国にEV墓場、テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340993
・『電気自動車(EV)大手である米テスラの株価が大幅に下落し、中国では「EV墓場」が出現している。対照的に、トヨタ自動車は、EV以外の選択肢を世界の消費者に提示し多くの需要を取り込んでいる。短期的には、この戦略は有効だろう。ただ、中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。日本の自動車メーカーは、どのように戦えばいいのだろうか』、「中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。日本の自動車メーカーは、どのように戦えばいいのだろうか」、確かに「中長期的」には「世界のEVシフトは再加速」に備える必要がありそうだ。
・『トヨタの株価が3割上がり テスラの株価が3割下がったワケ  一時期、大きく盛り上がった電気自動車(EV)に対する期待が、ここへ来て世界的に鈍化している。それは、米テスラをはじめ主要EVメーカーの株価の推移からも確認できる。年初から3月中旬までの間、エンジン車、ハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、EVなど全方位型の事業戦略を採るトヨタ自動車の株価は30%超上昇した。一方、それとは対照的にテスラの株価は、30%以上下落した。 中国では「EV墓場」が出現するほど、EVの供給過剰が社会問題化している。欧米の大手自動車メーカーのEV計画もやや頭打ち傾向になっている。人手不足と人件費高騰、サプライチェーン構築の遅れなどで、EVバッテリー関連のコストは想定以上に増えた。 対照的に、トヨタなどわが国の自動車メーカーは、EV以外の選択肢を世界の消費者に提示し多くの需要を取り込んでいる。短期的には、この戦略は有効だろう。 ただ、中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。特に、世界経済の成長の源泉として期待が高まるアジア地域で、わが国の自動車メーカーと、中国EVメーカーの競争は激化するだろう。 競争に勝ち残るため、わが国の自動車関連企業は次世代、次々世代の電動車の製造技術を早期に確立する必要がある。HVという有力な最終製品の実現に固執することなく、関連企業トップは先をにらんで必要な技術を磨き、世界に先駆けて実用化することが重要だ』、「中国EVメーカーの競争は激化するだろう。 競争に勝ち残るため、わが国の自動車関連企業は次世代、次々世代の電動車の製造技術を早期に確立する必要がある。HVという有力な最終製品の実現に固執することなく、関連企業トップは先をにらんで必要な技術を磨き、世界に先駆けて実用化することが重要だ」、その通りだ。
・『中国で「EV墓場」が社会問題 欧米の自動車大手もEVで苦戦  2023年の世界のEV販売台数は前年に比べて30%増えたものの、22年の前年比60%増に比べると、増加ペースは鈍化した。そして24年のEV販売台数は、23年と同程度か下回るとの予想もある。EV市場の成長の鈍化は、米テスラの決算でも確認できる。 1月、テスラのイーロン・マスクCEOは、24年の売上高の増加ペースが鈍化するとの見通しを示した。これにより同社の株価は下落し、投資判断を引き下げたアナリストもいる。新モデルの「サイバートラック」の生産が遅れていることに加え、電気自動車大手の中国BYDによる大幅な値下げ攻勢により、競争が一段と激化しているからだ。 中国では、不動産バブルが崩壊して個人消費の低迷が深刻になっている。地方政府の財政難もあり、EV販売への補助金が終了あるいは減少した。中国においてEVは供給過剰に陥り、経営破綻する新興EVメーカーも出ている。「1台買えば、もう1台が無料」といった信じられないセールを行う企業も現れたが、効果はほとんど出なかったようだ。 中国では行き場を失い放置される大量のEVの様子が、「EV墓場」として報道されてもいる。また、大雪時にバッテリーが消耗したことで立ち往生するEVが増えているともいう。春節(中華圏の旧正月)休暇で人々が帰省や旅行に出かけた際は、EV充電待ちの渋滞も発生した。こうした事例が広がり、消費者がEVを敬遠することに拍車をかけた。2月、中国のEV販売台数は前年同月比21.8%減の29万4000台に落ち込んだ。 翻って欧州では、自動車大手がEV計画の失敗を認める事態となっている。トヨタと世界トップの座を競う独フォルクスワーゲンは、15年に起きたディーゼルエンジンの排ガス不正問題を契機に、EVシフトを強化した。しかし、バッテリー製造コストの増加、ソフトウエアの開発力不足、充電インフラ整備の遅れなど課題は多い。同社CEO自ら「欧州EV市場は思ったほど拡大していない」との見解を示してもいる。 同様に独メルセデスは、「30年にEV専業メーカーになる」という目標を撤回し、新型エンジンの開発を進めている。また、仏ルノーは、市場環境が適さないとしてEV新会社Ampereの新規株式公開(IPO)を中止した。 米国でも欧州と似たような理由から、ゼネラル・モーターズ(GM)やフォードのEV戦略が計画よりも遅れている。あるいは、レンタカー大手のハーツがEVの値崩れに直面し、経営トップが更迭されるという事例も出ている』、「中国では行き場を失い放置される大量のEVの様子が、「EV墓場」として報道されてもいる・・・大雪時にバッテリーが消耗したことで立ち往生するEVが増えているともいう。春節(中華圏の旧正月)休暇で人々が帰省や旅行に出かけた際は、EV充電待ちの渋滞も発生した・・・春節・・・休暇で人々が帰省や旅行に出かけた際は、EV充電待ちの渋滞も発生した。こうした事例が広がり、消費者がEVを敬遠することに拍車をかけた。2月、中国のEV販売台数は前年同月比21.8%減の29万4000台に落ち込んだ・・・独フォルクスワーゲンは、15年に起きたディーゼルエンジンの排ガス不正問題を契機に、EVシフトを強化した。しかし、バッテリー製造コストの増加、ソフトウエアの開発力不足、充電インフラ整備の遅れなど課題は多い。同社CEO自ら「欧州EV市場は思ったほど拡大していない」との見解を示してもいる。 同様に独メルセデスは、「30年にEV専業メーカーになる」という目標を撤回し、新型エンジンの開発を進めている。また、仏ルノーは、市場環境が適さないとしてEV新会社Ampereの新規株式公開(IPO)を中止」、なるほど。
・『全方位戦略が奏功のトヨタ 世界が優位性を再認識  中国と欧米でEVが総崩れに近い状況とは対照的に、わが国の自動車メーカーは世界市場で健闘している。車載用半導体の供給が改善されて自動車生産と輸出が回復したこと、世界で中国製EVを排除する動きが強まったことも、HVに強みを持つわが国の自動車産業に追い風だ。 現状、リチウムイオン系バッテリーを搭載したEVの供給は、中国勢が強みを持つ。その価格競争力を支えたのは、中国政府の産業政策だ。中国はBYDや世界最大の車載用バッテリーメーカーである寧徳時代新能源科技(CATL)に、産業補助金や土地を供与することでローコスト戦略を支援してきた。これは奏功して23年のCATLの業績は、世界のEV市場の成長鈍化にもかかわらず、純利益が増えるなど好調だ。 一方、欧州委員会や米国のバイデン政権は、中国製EVやバッテリーなどの主要部品に対する「締め出し策」を強化した。中国の一大政策による中国EVの低価格競争を警戒しているのだ。安全保障面でも、EVの走行データなどが中国に漏れるとの危機感が強い。 米国や欧州の政府系機関は、中国製EVを締め出すことで国・域内企業の電動車供給に弾みをつけようとしている。ところが、欧米自動車メーカーがEV生産を計画通りに進められない状況にあるのは前述した通りだ。EVからHVなどへ生産ラインを変更するのも容易ではない。 そうした中で、少ない温室効果ガス排出量と長い航続距離を両立するHVの長所が改めて評価され、トヨタをはじめとしたHVに需要が向かっている。中国でもレクサスは依然として人気ブランドである。 23年、4年連続でトヨタは世界トップの販売台数を記録した。足元では傘下のダイハツ工業の検査不正問題なども明るみになっているが、燃費のいいエンジン車、HV、PHV、FCV、EVと、さまざまなタイプを幅広く取りそろえる同社の優位性を、世界が再認識したといえる』、「燃費のいいエンジン車、HV、PHV、FCV、EVと、さまざまなタイプを幅広く取りそろえる同社(トヨタ)の優位性を、世界が再認識したといえる」、なるほど。
・『リチウムイオン電池の教訓を糧に「全固体電池」の実用化を急げ  今後、中国では新興のEVメーカーの経営破綻がさらに増えるだろう。米アップルが自前のEV、通称「アップルカー」の開発を中止する方針だという報道も出ている。これに続いて自動運転技術などの開発プロジェクトの中止、関連分野でのスタートアップ企業の淘汰も増えそうだ。米国においては金利の高止まりリスクも、EV市場の下押し要因になるだろう。 また、米国では11月5日に大統領選挙を控えている。今後は政権が自動車業界の労働組合などに配慮して、EVシフトではなくエンジン車の生産、シェールガスやオイル採掘の支援を強化するかもしれない。それらの変化は、基本的にわが国の自動車産業にプラスに働くはずだ。主要先進国の自動車市場で、わが国メーカーの競争力が向上する可能性は高い。 一方、中長期的には世界のEVシフトは加速する可能性がある。特に、タイやインドネシアなど、これまで日本の自動車メーカーが高いシェアを維持した東南アジアの国では、経済成長の牽引(けんいん)役としてEV関連産業を重視している。BYDなどの新興勢が低価格を強みに、進出を加速させるだろう。 現状、リチウムイオン系電池の低コスト化とEVのユニット組み立て型生産において、BYDの競争力は高い。一方、従来型の自動車ビジネス、すなわち、すり合わせ技術を磨き全方位型の事業戦略を推進する点で、わが国の自動車メーカーは優位性を持つ。そのため、東南アジア市場を中心に、日本勢と中国勢の競争が激しくなる可能性は高い。 わが国自動車メーカーにとって重要なのは、EVの切り札として期待される「全固体電池」など、次世代バッテリーの実用化を急ぐことだ。かつてリチウムイオン電池の研究開発は、わが国が先行した。ただ、事業化・収益化に難航した。 この教訓を糧に、日本は次世代、次々世代のバッテリー開発を強化すべきだ。そのためには世界的に優秀な人材を適切な賃金で雇うことも欠かせない。今春闘で大幅な賃上げが実現していることは、追い風になっている。 海外の自動車、半導体、IT企業などとの連携も強化し、中国勢とは差別化できるようなわが国発のEVを生み出し、バッテリー製造などの国際規格策定を主導することも本気で狙うべきだろう。こうした発想が、全方位型の自動車メーカーの戦略に加わることを期待したい』、「わが国自動車メーカーにとって重要なのは、EVの切り札として期待される「全固体電池」など、次世代バッテリーの実用化を急ぐことだ。かつてリチウムイオン電池の研究開発は、わが国が先行した。ただ、事業化・収益化に難航した。 この教訓を糧に、日本は次世代、次々世代のバッテリー開発を強化すべきだ。そのためには世界的に優秀な人材を適切な賃金で雇うことも欠かせない。今春闘で大幅な賃上げが実現していることは、追い風になっている。海外の自動車、半導体、IT企業などとの連携も強化し、中国勢とは差別化できるようなわが国発のEVを生み出し、バッテリー製造などの国際規格策定を主導することも本気で狙うべきだろう。こうした発想が、全方位型の自動車メーカーの戦略に加わることを期待したい」、同感である。
タグ:佃 義夫氏による「アップルカー開発断念」はEVブーム終焉のサイン?トヨタら日本勢はチャンスを活かせ」 ダイヤモンド・オンライン (その14)(「アップルカー開発断念」はEVブーム終焉のサイン?トヨタら日本勢はチャンスを活かせ、中国にEV墓場 テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角) 電気自動車(EV) 真壁昭夫氏による「中国にEV墓場、テスラ株は暴落…「やっぱりトヨタが正しかった!」と浮かれる人が見落とす死角」 また、アップルカーの撤退で、同じくテック企業とのコラボEVの代表であるホンダとソニーグループの共同開発車「アフィーラ」の動きにも変化があるのか、こちらにも注目したい」、その通りだ。 EVの成長ペースが鈍化しHVやPHVが当面の電動化の“現実解”との見方が広がる中で、トヨタを筆頭とする日本車各社は、市場に合わせた展開で巻き返しの好機を見いだしつつある。 だが、大きなうねりとしてBEVが主流になる動きは、長期的に見ると変わらないはずだ・・・足元のEV鈍化に一喜一憂せず、日本車各社にはEV過渡期としての現状の“現実解”に対するアドバンテージを活かしながら、低コスト化や自動運転との親和性を活かした機能開発など、長期視点でのEV対応が求められることになるだろう。 「ここへきてEVブームの風向きが変わってきた。 23年は世界のEV販売が年間100万台を超えたが、急速に販売の伸びが鈍ってきている。中国では、過当な販売競争でNEV市場が荒れてきており、米国はEVよりハイブリッド車(HV)やプラグインハイブリッド車(PHV)の販売が伸びたことが注目されている。世界各国のエネルギー事情やEV販売の補助金を抑制する動きなどでBEVの伸びが鈍化しているのは確かだ。明らかにEVシフトの過渡期におけるひずみが起きている・・・ 「アップルカー開発断念の背景には、アップルの完全自動運転EV開発が遅れている一方、生成AIを巡る競争環境の激変に対応が迫られているという社内事情があるようだ。加えて、これまで電動化の中で世界的にBEV(バッテリーEV)に偏向する風潮があったものの、直近でEV市場の変化や価格競争激化が生じるなど、EVの販売環境が悪化してきていることも挙げられる」、なるほど。 「中国では行き場を失い放置される大量のEVの様子が、「EV墓場」として報道されてもいる・・・大雪時にバッテリーが消耗したことで立ち往生するEVが増えているともいう。春節(中華圏の旧正月)休暇で人々が帰省や旅行に出かけた際は、EV充電待ちの渋滞も発生した・・・春節・・・休暇で人々が帰省や旅行に出かけた際は、EV充電待ちの渋滞も発生した。こうした事例が広がり、消費者がEVを敬遠することに拍車をかけた。2月、中国のEV販売台数は前年同月比21.8%減の29万4000台に落ち込んだ・・・ 「中国EVメーカーの競争は激化するだろう。 競争に勝ち残るため、わが国の自動車関連企業は次世代、次々世代の電動車の製造技術を早期に確立する必要がある。HVという有力な最終製品の実現に固執することなく、関連企業トップは先をにらんで必要な技術を磨き、世界に先駆けて実用化することが重要だ」、その通りだ。 「中長期的に世界のEVシフトは再加速する可能性が高い。日本の自動車メーカーは、どのように戦えばいいのだろうか」、確かに「中長期的」には「世界のEVシフトは再加速」に備える必要がありそうだ。 海外の自動車、半導体、IT企業などとの連携も強化し、中国勢とは差別化できるようなわが国発のEVを生み出し、バッテリー製造などの国際規格策定を主導することも本気で狙うべきだろう。こうした発想が、全方位型の自動車メーカーの戦略に加わることを期待したい」、同感である。 「わが国自動車メーカーにとって重要なのは、EVの切り札として期待される「全固体電池」など、次世代バッテリーの実用化を急ぐことだ。かつてリチウムイオン電池の研究開発は、わが国が先行した。ただ、事業化・収益化に難航した。 この教訓を糧に、日本は次世代、次々世代のバッテリー開発を強化すべきだ。そのためには世界的に優秀な人材を適切な賃金で雇うことも欠かせない。今春闘で大幅な賃上げが実現していることは、追い風になっている。 「燃費のいいエンジン車、HV、PHV、FCV、EVと、さまざまなタイプを幅広く取りそろえる同社(トヨタ)の優位性を、世界が再認識したといえる」、なるほど。 独フォルクスワーゲンは、15年に起きたディーゼルエンジンの排ガス不正問題を契機に、EVシフトを強化した。しかし、バッテリー製造コストの増加、ソフトウエアの開発力不足、充電インフラ整備の遅れなど課題は多い。同社CEO自ら「欧州EV市場は思ったほど拡大していない」との見解を示してもいる。 同様に独メルセデスは、「30年にEV専業メーカーになる」という目標を撤回し、新型エンジンの開発を進めている。また、仏ルノーは、市場環境が適さないとしてEV新会社Ampereの新規株式公開(IPO)を中止」、なるほど。
nice!(0)  コメント(0) 

トランプ(その51)(トランプが大統領再選したときの「危険シナリオ」 「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつある、「有名大学から極左を追い出せ!」トランプ氏の主張に支持者が拍手喝采なワケ【佐藤優・池上彰対談】) [世界情勢]

トランプについては、本年1月28日に取上げた。今日は、(その51)(トランプが大統領再選したときの「危険シナリオ」 「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつある、「有名大学から極左を追い出せ!」トランプ氏の主張に支持者が拍手喝采なワケ【佐藤優・池上彰対談】)である。

先ずは、本年2月24日付け東洋経済オンラインが掲載した経済ジャーナリストの岩崎 博充氏による「トランプが大統領再選したときの「危険シナリオ」 「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつある」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/736164
・『今年の11月に行われるアメリカの大統領選挙が、早くもドナルド・トランプ前大統領の再選になるのではないかと心配されている。いまや、「もしトラ(もしかしたらトランプ)」から「ほぼトラ(ほぼトランプ)」に変わりつつあり、最近は「確トラ(確実にトランプ)」と言われる状況にまで事態は進んでいる。 実際に、トランプ氏が再選されるかどうかはわからない。「ブルームバーグ」が報道するように「トランプ氏、選挙開戦7月に軍資金枯渇の見通し-弁護士費用で綱渡り」(2024年2月15日配信)のように資金の枯渇で苦戦する可能性があるかもしれない。 将来のことはわからないが、ここではトランプ氏の大統領再選が実現した場合、世界はどうなるのか……、アメリカや日本の国民はどうなるのか……。トランプ再選後の状況を、最近の彼の言動や8年前の行動などを参考に、いくつかのシナリオを検証してみたい』、「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつあり、「最近は「確トラ」と言われる状況にまで事態は進んでいる」、願わくば「確トラ」は勘弁してもらいたいものだ。
・『シナリオ①ウクライナ戦争がロシア勝利で終わる?  もともとトランプ氏は、ロシアとの関わりを指摘されてきた人間だが、つい先日もロシアに有利になるような発言をして、世間を驚かせた。「相応の資金を負担しないNATO加盟国に対しては、ロシアに好きにするように言う」として、アメリカはロシアに侵略されても、防衛しない趣旨の発言をして、バイデン大統領やNATOのトップから批判されている。 かたやロシアのプーチン大統領は、「バイデン大統領のほうが予測可能で、ロシアにとっては再選が望ましい」とコメント。プーチンの本音は「コントロールできるトランプより、できないバイデンのほうが嫌だ」と言っているのではないか、とさえ指摘されている。) もともとトランプ氏が当選した2016年の大統領選挙では、ロシアが重要な役割を果たしたと指摘されている。 トランプ氏とロシアの関係については、英国オックスフォード大学の「ComputationalPropagandaProject(コンピューターによる政治宣伝研究プロジェクト)」と、ソーシャルメディア分析企業の「グラフィカ」による共同研究の報告書が、アメリカの上院で発表された。 報告書にはロシアは政治宣伝拡散のためにFacebookやTwitter(現X)など、ソーシャルメディアを駆使して(大統領選挙に)介入した」とある。「発信のすべてが、特にドナルド・トランプに利益をもたらそうとしていたのは明白だ」と、報告書は主張している(BBCニュース、2018年12月18日)』、「ロシア」の「ソーシャルメディアを駆使して(大統領選挙に)介入」は、「特にドナルド・トランプに利益をもたらそうとしていたのは明白だ」、なるほど。
・『トランプが公表した「アジェンダ47」  実際にトランプ氏は、プーチン大統領の盟友である富豪の「オレグ・デリパスカ」とつながりのあるロシア企業3社の経済制裁を任期途中に解除している(BBCニュース、2019年1月28日)。トランプ氏は、自分が大統領に返り咲いたときの政策に対して、公約集として「アジェンダ47」を公表しているが、外交に関しては次のように明言している。 ・ウクライナは、ただちに停戦(アメリカ・ファーストの外交政策の復活)  ・第3次世界大戦の防止のために、圧倒的な戦力を整備する(防衛費の大幅増強)  ・NATOなどの同盟国に対しても同等の負担を要求する  ロシアと戦争をしているウクライナの戦況がどうなるかは不明だが、はっきりしていることは日本を含めた同盟国が、それ相応の負担をしなければならなくなるということだろう。前回の在任中は途中で諦めた感があるトランプ氏だが、ここで返り咲けば、前回以上に強権的な姿勢が目立つ政権になることは確実で、米軍を駐留させているNATOや韓国、日本に対しても、これまで以上の高い負担を求めてくることになるはずだ。) 今でも他国に比べて莫大なコストを負担している日本だが、さらなる負担を求められる可能性もある。何よりも、多額の財政赤字を抱える日本にとっては、防衛費の大幅増強を求められるのは大きな負担になる。政府による財政支出に頼りすぎている日本経済にとっては、大きなブレーキになるはずだ。 ちなみに、ガザ地区に侵攻したイスラエルに関しては、アメリカ国内にいるユダヤ人の献金と票がトランプ氏にとっては最重要課題であり、むしろイスラエルを強く支持する側に回るとされる。「アメリカ・ファースト」ではなく「トランプ・ファースト」が彼の政治的信条の根幹だ』、「前回の在任中は途中で諦めた感があるトランプ氏だが、ここで返り咲けば、前回以上に強権的な姿勢が目立つ政権になることは確実で、米軍を駐留させているNATOや韓国、日本に対しても、これまで以上の高い負担を求めてくることになるはずだ・・・多額の財政赤字を抱える日本にとっては、防衛費の大幅増強を求められるのは大きな負担になる。政府による財政支出に頼りすぎている日本経済にとっては、大きなブレーキになるはずだ・・・イスラエルに関しては、アメリカ国内にいるユダヤ人の献金と票がトランプ氏にとっては最重要課題であり、むしろイスラエルを強く支持する側に回るとされる。「アメリカ・ファースト」ではなく「トランプ・ファースト」が彼の政治的信条の根幹だ」、なるほど。
・『シナリオ② インフレの再燃から株価暴落へ?  トランプ氏の大統領再選は、同時にインフレの再燃でもある。というのも、トランプ氏の掲げる政策の大半は、インフレの原因になるものばかりだからだ。アメリカ経済に再びインフレをもたらせば、金利がまた上昇に転ずることになる。ドルが高くなり、世界中の通貨がまた安くなる。 アメリカだけではなく、世界中が再びインフレの波に襲われることになる。これまでにトランプ政権がとってきた政策や新たに公約として掲げているものをチェックすると次のようになり、その結果としてインフレの圧力が高まる。 ●保護貿易政策(中国からの輸入品に対して60%の関税を課す、というトランプ氏の発言が注目されているが、輸入品の価格上昇につながることになり、インフレ再燃の要因となる。 ●大幅な規制緩和(トランプ政権の誕生は、前回もそうだったように大幅な規制緩和が実施される。規制緩和によって景気が良くなり、株価が上がる。個人消費も拡大し、景気が一時的に良くなることは間違いない。経済が意図的に成長に転ずれば、自然にインフレが始まる。その結果として、インフレは再度の利上げを招き、株価低迷、個人消費の低迷をもたらす。 ●減税による個人消費の拡大(関税引き上げや規制緩和による増収などを背景に、先行して行われるのが「減税」だ。ポピュリズム(大衆迎合主義)政治の典型的なパターンだが、大幅な減税は個人消費を押し上げて、一時的には景気が良くなりインフレが再燃する。トランプ氏は、減税=国民の支持率が上がることを信じている。) ●移民政策強化による賃金上昇(今回の選挙でもトランプ氏が強くアピールしているのが、移民審査の厳格化だ。移民に対する審査を強化することで、移民人口を大幅に抑えてしまう可能性が高い。アメリカの経済成長の源とも言える人口増加をストップすることになり、短期的には影響が出ないものの、中長期的には賃金が上昇することになり、飲食や運送などのサービス価格が上昇し、やはりインフレを招く。 ●金融緩和政策への大幅転換(アメリカの中央銀行であるFRB議長の任期(2026年5月)が、大統領の任期中に終わるため迫ってきているが、現在のパウエル議長よりハト派=積極的な金融緩和への転換が予想される。必要以上に金利を引き下げて、景気を刺激する政策に転換することが予想され、景気の押し上げ=インフレを招くことになる。 インフレは、ドル高を招くために、日本を含めた海外でのインフレも深刻化する。インフレは、金融引締め、株価の下落などを招くため、最終的には景気が低迷していくことになる』、「トランプ政権がとってきた政策や新たに公約として掲げているものをチェックすると次のようになり・・・・・・保護貿易政策・・・大幅な規制緩和・・・減税による個人消費の拡大・・・移民政策強化による賃金上昇・・・金融緩和政策への大幅転換」いずれも「その結果としてインフレの圧力が高まる」のは確かだ。
・『シナリオ③大統領権限の強化  トランプ氏と言えば、さまざまな裁判を抱えていることで有名だが、この2月16日にはニューヨークの司法当局が、トランプ一族企業に対して約3億5400万ドル(約533億円)の支払いを命じる判決を下している。トランプ氏は「バイデンの政敵に対する魔女狩りであり、選挙妨害だ」と主張することで選挙戦に有利になるように演出。その選挙スタイルが成功しているとはいえ、今回の民事訴訟に加えて議会襲撃など4つの刑事事件でも起訴されている。 トランプ氏は大統領に再選されなければ、犯罪者として収監される可能性が高いと予想されており、亡命するか、あるいは自分が大統領になって、自分自身に恩赦を出して免責するしか道が残っていないとも言われている。さらに、トランプ氏が大統領に返り咲けば、大統領権限をフル活用して強大な権力を獲得しようとすることが予想されている。 たとえば、大統領権限を制限した1974年の「執行留保統制法」についても、トランプ氏は合憲ではないと疑問を呈しており、大統領権限を大幅に強化することが考えられる。大統領権限で、予算執行をストップさせ歳出削減を強制的に可能にし、その財源で減税を実行するかもしれない。ウクライナ支援などアメリカの利益にならないような予算は大幅に削減してくるはずだ。) 行政に限らず、共和党に有利になるような司法制度や議会運営に対してメスを入れてくる可能性も高い。もともとトランプ氏は、前回の選挙戦で陰謀論の「ディープ・ステート(闇の政府)」を打倒するとして、国家統治の本質的な部分にまで踏み込もうとしたものの未遂に終わっている。たとえば、情報機関や連邦政府の要所を占めている官僚を解雇し、汚職を排除すると称して主要な政府職員を一掃する可能性もある。 トランプ氏は、日本製鉄がアメリカの鉄鋼大手「USスチール」を買収する構想について「絶対に阻止する」と発言して注目されたが、大統領権限の強化によって、さまざまな面でアメリカ有利のビジネス体制となり、アメリカとビジネスをするのに大きな時間とコストがかかるようになってしまうかもしれない。 このほか、内政に対しては大統領権限を大幅に強化させる可能性があると報道されている。その範囲は政府内部に限らず、マスメディアなどに対しても支配権を握ろうとしている節がある。たとえば、日経速報ニュース「高関税・脱中国から陰謀論まで『トランプ公約集』要旨」(2024年2月10日配信)などを参考にまとめると、次のような政策が考えられる。 ●大統領が予算執行を停止できる「没収権」を復活させる ●国防総省や国務省、CIA(中央情報局)の人事は忠誠心で判断し支配下に置く ●反トラスト法を監視するFTC(連邦取引委員会)、放送通信事業を所管するFCC(連邦通信委員会)を大統領指揮下において管理する ●多様性を重視した教育を否定、「トランプ大学」の設立構想 ●ジェンダー教育や批判的人種理論(白人至上主義の批判)を強要する学校に対しては補助金カット』、「『トランプ公約集』要旨」の各項目はとんでもないものばかりだ。
・『リスクだらけの「トランプ2」  トランプ政権が誕生するかどうかは、まだまだ微妙だ。そもそも民主党のバイデン大統領も高齢で選挙戦を最後まで戦えるのかさえも疑問だ。そんな状況の中で、はっきりしていることはトランプ氏が共和党の候補者に正式になった場合、11月に行われる大統領選挙後も混乱が深まるということだ。最悪の場合、再びトランプ氏が選挙で負けても敗北を認めず、アメリカ国内で内戦になる可能性も完全には否定できない。つまり、トランプ氏が勝っても、負けても大混乱が避けられないということだ。 内戦が始まらない場合でも、トランプ政権の誕生はリスクだらけの日常になりそうだ。たとえば、株式や為替といった金融市場も、確かに最初は投資家の期待を受けて株価も上昇したものの、新型コロナになってからは大きく下落した。なぜ、前回のトランプ氏が選挙で負けたかと言えば、新型コロナというパンデミックの発生によって、十分な対応力を見せられなかったからだろう。 史上最高値を更新し続けているような、現在の株高の中で、今後もその勢いを維持できるかは甚だ疑問だ。超ワンマン体質では、不測の事態に直面したときに、エビデンスに基づいた正しい選択ができない可能性がある。自分の周囲をイエスマンだけで固めようとする独裁者は、いずれ馬脚を現す。 そんな状況を覚悟のうえで、与えられた時間の中で、トランプ政権の返り咲きという、これまでにない途方もないリスクに対応する方法を考えるしかない』、「超ワンマン体質では、不測の事態に直面したときに、エビデンスに基づいた正しい選択ができない可能性がある。自分の周囲をイエスマンだけで固めようとする独裁者は、いずれ馬脚を現す。 そんな状況を覚悟のうえで、与えられた時間の中で、トランプ政権の返り咲きという、これまでにない途方もないリスクに対応する方法を考えるしかない」、その通りだろう。

次に、3月22日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した作家・元外務省主任分析官の佐藤 優氏とジャーナリストの池上 彰氏の対談「有名大学から極左を追い出せ!」トランプ氏の主張に支持者が拍手喝采なワケ【佐藤優・池上彰対談】」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340905
・『11月に迫る米国大統領選挙で、トランプ前大統領は優勢に戦っている。なぜトランプ氏は支持されるのか。前回に続き、スペシャル版としてジャーナリストの池上彰氏を迎えて最新の世界情勢について語り尽くす』、興味深そうだ。
・『「能力より忠誠心を重視」 トランプの公約の中身  佐藤 今年11月の米国大統領選挙では、トランプ前大統領の返り咲きが現実味を帯びてきました。 池上 トランプ氏は2023年に、「アジェンダ47」という公約を発表しています。その中身を見ていくと、どんな米国を目指しているかが分かります。 まず「ディープステート(闇の政府)」を解体する。トランプ氏は前回、大統領になれば何でも好きにできるだろうと思っていたのに、さまざまな良識派に抵抗されて思い通りにならなかった。「これは闇の政府が牛耳っているからだ」と考えたわけです。 だからディープステートを支えている連中は大統領令で皆、首にする。米国の公務員において政権運営を担う3000人から4000人程度は大統領による政治任用ですが、それ以外は公務員試験に受かって入ってきた人たちです。彼らについても、能力ではなく忠誠心を確かめ、自分の言うことを聞かないやつはすぐに首にできる仕組みを作るというのです。 佐藤 かなりの新陳代謝が起きますね。トランプ氏の第一次政権時代のブレーンは、すでに誰も残っていないでしょう。そもそも、副大統領は誰になるのか。 池上 それが注目の的です。指名争いを途中で撤退した候補者はヘイリーを除いてみんな、自分を副大統領にしてほしいようです。トランプ氏の周囲では、黒人や女性にすればバイデン氏に勝てるという議論があって、トランプ氏は考えている状態です。 「アジェンダ47」には、公正取引委員会を大統領の直属にするという項目もあります。特定企業の独占が過ぎると公正取引委員会がモノ申すわけですが、大統領命令で自由にできるようにすると言っています。 佐藤 競争原理の市場に独禁法みたいな縛りを作って介入するほうが、むしろ不公正だという論理ですね。トランプ一族が経営する複合企業が大きくなりそうです』、「「アジェンダ47」という公約を発表・・・「ディープステート・・・」を解体する。トランプ氏は前回、大統領になれば何でも好きにできるだろうと思っていたのに、さまざまな良識派に抵抗されて思い通りにならなかった。「これは闇の政府が牛耳っているからだ」と考えたわけです。 だからディープステートを支えている連中は大統領令で皆、首にする。米国の公務員において政権運営を担う3000人から4000人程度は大統領による政治任用ですが、それ以外は公務員試験に受かって入ってきた人たちです。彼らについても、能力ではなく忠誠心を確かめ、自分の言うことを聞かないやつはすぐに首にできる仕組みを作るというのです」、「政治任用」以外の人間も「能力ではなく忠誠心を確かめ、自分の言うことを聞かないやつはすぐに首にできる仕組みを作る」、これは画期的だ。
・『トランプの主張にはそれなり説得力がある  池上 巨大な私立大学への多額の寄付金に税金をかける、という項目もあります。トランプ氏が言うには「有名大学には極左がいっぱいいて、共和党を批判している。課税することによって、大学から極左の連中を追い出す」。 佐藤 米国の大学はもうけ過ぎですから、無税はおかしい。また、連邦政府の無駄な支出を削減し、減税という形で国民に還元するというので皆、拍手喝采です。 池上 子どもの性自認やトランスジェンダーについて教えた教師は、公民権違反などで厳罰に処するとも言っています。 州議会で共和党が多数を占めるフロリダ州で、一昨年7月から性的指向や性自認に関して教えることを禁止する州法が施行されました。通称「ゲイと言うな法」です。あれを国家レベルにして、LGBTQについて学校では触れないということです。 佐藤 ローティーンの子どもたちに性自認の判断を迫ったり、性転換の手術を認めたりしていいのか、という議論もあります。トランプ氏の主張は粗野ですが、それなりに説得力があるんです。つまり、ポリティカルコレクトネスを掲げて口に出してはいけないとされている問題が、本当にタブーなんだろうかとトランプ氏は問い掛けている』、「佐藤 米国の大学はもうけ過ぎですから、無税はおかしい。また、連邦政府の無駄な支出を削減し、減税という形で国民に還元するというので皆、拍手喝采です・・・佐藤 ローティーンの子どもたちに性自認の判断を迫ったり、性転換の手術を認めたりしていいのか、という議論もあります。トランプ氏の主張は粗野ですが、それなりに説得力があるんです。つまり、ポリティカルコレクトネスを掲げて口に出してはいけないとされている問題が、本当にタブーなんだろうかとトランプ氏は問い掛けている」、もっともな部分もあるようだ。
・『米国の産業界も金融界もトランプに期待  佐藤 日本では「トランプはとんでもないやつだ。大統領に返り咲いたら、世界は大混乱になる」と思い込んでいて、「なぜ米国人は、彼を再びリーダーに担ごうとしているのか」を真剣に分析しようとしません。 池上 佐藤さんは「ウクライナへ攻め込んだロシアを非難するだけでなく、その内在的論理を理解する必要がある」と言っていますね。「トランプを生み出す米国の内在的論理」についても、知らなければならないということですね。 佐藤 米国社会では過去40年で格差が急激に広がっていて、その上医療費は恐ろしいほど高額。「金がないやつは病気になったら死ね」というのが、今の米国です。こんな社会にしたエスタブリッシュメントには責任がある。それを乱暴な言葉で訴えているのが、トランプ氏じゃないでしょうか。トランプ氏は米国第一主義で輸入に規制をかけると宣言していますから、当然、国内産業が振興し、米国内の景気は良くなるでしょう。 池上 米国の産業界も金融界もトランプ氏に期待していますね。 佐藤 そういう意味では、トランプ氏はレーニンに似ている。陰謀論的な発言は別として、なぜトランプ氏が支持されるのかを考えると、合理性があると思えるんです。 池上 なるほど、トランプ現象とはトランプ革命ですか。優雅に暮らしていた帝政ロシアの貴族たちには教養があったのに、農民や工場労働者、下っ端の兵隊たちで構成されるボルシェビキによって、ひっくり返されました』、「佐藤 米国社会では過去40年で格差が急激に広がっていて、その上医療費は恐ろしいほど高額。「金がないやつは病気になったら死ね」というのが、今の米国です。こんな社会にしたエスタブリッシュメントには責任がある。それを乱暴な言葉で訴えているのが、トランプ氏じゃないでしょうか・・・トランプ氏はレーニンに似ている。陰謀論的な発言は別として、なぜトランプ氏が支持されるのかを考えると、合理性があると思えるんです。 池上 なるほど、トランプ現象とはトランプ革命ですか。優雅に暮らしていた帝政ロシアの貴族たちには教養があったのに、農民や工場労働者、下っ端の兵隊たちで構成されるボルシェビキによって、ひっくり返されました」、確かに主張にもまともな部分もあるようだ。
・『戦争に自国の兵を送らない米国の狡さ  佐藤 ウクライナ戦争について、他国の領土を侵略したロシアは明らかに間違っています。しかし西側は、ウクライナに「われわれの自由や民主主義や価値観を守るために戦え」と言って、お金と武器だけ貸し付ける。死ぬのはウクライナ人とロシア人だけ。これがモラル的に正しいのか。 ひと昔前の米国だったら、自分たちが戦いました。自由社会を守るためにベトナムへ行き、テロと戦うためにアフガニスタンへ行きました。最近の米国には狡さと嘘があるでしょう。トランプ氏は、そこも巧みについていると思います。 池上 米国の狡さでいうと、オバマ時代に過激派組織「イスラム国」(IS)が勢力を拡大したときも、米兵が死なないようにクルド人に武器や金を送って戦わせましたね。クルドの民兵に万単位の犠牲が出て、ようやくISを鎮めることができました。米軍はクルド人を支援するため後方にいたんですが、トランプ氏が大統領になったら撤退させました。 佐藤 台湾有事が現実になれば、ウクライナ戦争の繰り返しになるかもしれません。台湾人が民主主義を守るために、中国人と戦う。気をつけないといけないのは、憲法9条を改正して日本が参戦できるようになれば、「武器と金は提供するから戦ってこい」と言われるかもしれないことです。米国的な価値観を守るために、日本が中国と戦うことになりかねません。 トランプ氏が「自由や民主主義を守るために、米軍が他国へ行く必要はない。北大西洋条約機構(NATO)だって、ロシアが怖いなら自分たちで対応しろ」というのは突き放した表現ですが、素朴な正しさがあります』、「ひと昔前の米国だったら、自分たちが戦いました。自由社会を守るためにベトナムへ行き、テロと戦うためにアフガニスタンへ行きました。最近の米国には狡さと嘘があるでしょう。トランプ氏は、そこも巧みについていると思います・・・台湾人が民主主義を守るために、中国人と戦う。気をつけないといけないのは、憲法9条を改正して日本が参戦できるようになれば、「武器と金は提供するから戦ってこい」と言われるかもしれないことです。米国的な価値観を守るために、日本が中国と戦うことになりかねません」、台湾がらみでは、日本は注意深く行動すべきだ。
・『トランプは常軌を逸しているが「怪しげな人」しか革命は起こせない  池上「なぜ米国人は、トランプの言うことを信じるんですか?」とよく聞かれます。「大統領がおっしゃってるんだから、正しいに違いない」と、米国大統領の権威というものを信じている人たちが多いですね。 佐藤 正当な選挙結果を暴力で覆そうと試みたわけだから、普通の法治国家なら政治劇場への入場券を失うはずです。それなのに彼は、失っていない。そう考えると米国では、規格外のことが起きているんです。 レーニンがインテリで貴族だったように、考えてみればトランプ氏もエスタブリッシュメント側の人です。ところが何かの巡り合わせによって、虐げられた階級の代表者になっています。トランプ氏は常軌を逸したような人物ですが、歴史を振り返ると、こういうタイプにしか革命はできません。歴史を動かすのはいつも怪しげな人たちです。レーニンだって既成概念を否定するダダイストだし、奥さんと愛人と一緒に住んでいました。 池上 スターリンは銀行強盗をやったし、売春宿を経営してすごくもうけた。レーニンから「革命の資金集めのための売春宿経営はいいけど、そっちが本業じゃないからいいかげんにしておけ」とたしなめられたという話があります』、「レーニンがインテリで貴族だったように、考えてみればトランプ氏もエスタブリッシュメント側の人です。ところが何かの巡り合わせによって、虐げられた階級の代表者になっています。トランプ氏は常軌を逸したような人物ですが、歴史を振り返ると、こういうタイプにしか革命はできません。歴史を動かすのはいつも怪しげな人たちです」、なるほど。
・『ディープステートは日本を含めて実在する  佐藤 トランプ氏の発言を、もっと真面目に捉えなければいけないと思います。彼の言うディープステートは、日本を含めて実在します。近代的な国家システムは、選挙によって選ばれた政治家と、資格試験によって登用された官僚で成り立っています。しかし影の陰謀団ではないにせよ、正規の手続きを経ていないのに政治や経済政策の決定に関与する人たちがいます。日本で言えば、しばしば政府の諮問会議や有識者会議のメンバーになっていた、ヤマト運輸の故小倉昌男さんやJR東海の故葛西敬之さん。 池上 古くは、故中曽根康弘元首相のブレーンだった故瀬島龍三さんとか。 佐藤 さらに中高一貫校のつながりなど、表に一切出てこない事実上のブレーンもいます。彼らの主張が政策に採用されたら、誰がどう責任を取るのか。民主的統制を経ていないエスタブリッシュメントたちが国家意思を形成するのは、世界的な傾向ですが、そこには問題も孕んでいます。 われわれは今、時代の転換点にいます。革命家であるトランプ氏に対して忌避感を持つのは、旧世代のエスタブリッシュメントの感覚ではないでしょうか。 池上 4年後にトランプ氏の評価は一変しているかもしれませんね』、「日本」では、「政府の諮問会議や有識者会議のメンバーになっていた、ヤマト運輸の故小倉昌男さんやJR東海の故葛西敬之さん」など大勢いる。「民主的統制を経ていないエスタブリッシュメントたちが国家意思を形成する」のは確かに問題だ。「トランプ氏」の言動を巡って「日本」側の問題まで炙り出されたようだ。 
タグ:トランプ イスラエルに関しては、アメリカ国内にいるユダヤ人の献金と票がトランプ氏にとっては最重要課題であり、むしろイスラエルを強く支持する側に回るとされる。「アメリカ・ファースト」ではなく「トランプ・ファースト」が彼の政治的信条の根幹だ」、なるほど。 「前回の在任中は途中で諦めた感があるトランプ氏だが、ここで返り咲けば、前回以上に強権的な姿勢が目立つ政権になることは確実で、米軍を駐留させているNATOや韓国、日本に対しても、これまで以上の高い負担を求めてくることになるはずだ・・・多額の財政赤字を抱える日本にとっては、防衛費の大幅増強を求められるのは大きな負担になる。政府による財政支出に頼りすぎている日本経済にとっては、大きなブレーキになるはずだ・・・ 「ロシア」の「ソーシャルメディアを駆使して(大統領選挙に)介入」は、「特にドナルド・トランプに利益をもたらそうとしていたのは明白だ」、なるほど。 「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつあり、「最近は「確トラ」と言われる状況にまで事態は進んでいる」、願わくば「確トラ」は勘弁してもらいたいものだ。 岩崎 博充氏による「トランプが大統領再選したときの「危険シナリオ」 「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつある」 東洋経済オンライン (その51)(トランプが大統領再選したときの「危険シナリオ」 「もしトラ」から「ほぼトラ」に変わりつつある、「有名大学から極左を追い出せ!」トランプ氏の主張に支持者が拍手喝采なワケ【佐藤優・池上彰対談】) ダイヤモンド・オンライン 「超ワンマン体質では、不測の事態に直面したときに、エビデンスに基づいた正しい選択ができない可能性がある。自分の周囲をイエスマンだけで固めようとする独裁者は、いずれ馬脚を現す。 そんな状況を覚悟のうえで、与えられた時間の中で、トランプ政権の返り咲きという、これまでにない途方もないリスクに対応する方法を考えるしかない」、その通りだろう。 「『トランプ公約集』要旨」の各項目はとんでもないものばかりだ。 「トランプ政権がとってきた政策や新たに公約として掲げているものをチェックすると次のようになり・・・・・・保護貿易政策・・・大幅な規制緩和・・・減税による個人消費の拡大・・・移民政策強化による賃金上昇・・・金融緩和政策への大幅転換」いずれも「その結果としてインフレの圧力が高まる」のは確かだ。 「佐藤 米国の大学はもうけ過ぎですから、無税はおかしい。また、連邦政府の無駄な支出を削減し、減税という形で国民に還元するというので皆、拍手喝采です・・・佐藤 ローティーンの子どもたちに性自認の判断を迫ったり、性転換の手術を認めたりしていいのか、という議論もあります。トランプ氏の主張は粗野ですが、それなりに説得力があるんです。 だからディープステートを支えている連中は大統領令で皆、首にする。米国の公務員において政権運営を担う3000人から4000人程度は大統領による政治任用ですが、それ以外は公務員試験に受かって入ってきた人たちです。彼らについても、能力ではなく忠誠心を確かめ、自分の言うことを聞かないやつはすぐに首にできる仕組みを作るというのです」、「政治任用」以外の人間も「能力ではなく忠誠心を確かめ、自分の言うことを聞かないやつはすぐに首にできる仕組みを作る」、これは画期的だ。 「「アジェンダ47」という公約を発表・・・「ディープステート・・・」を解体する。トランプ氏は前回、大統領になれば何でも好きにできるだろうと思っていたのに、さまざまな良識派に抵抗されて思い通りにならなかった。「これは闇の政府が牛耳っているからだ」と考えたわけです。 池上 彰氏の対談「有名大学から極左を追い出せ!」トランプ氏の主張に支持者が拍手喝采なワケ【佐藤優・池上彰対談】」 佐藤 優氏 池上 なるほど、トランプ現象とはトランプ革命ですか。優雅に暮らしていた帝政ロシアの貴族たちには教養があったのに、農民や工場労働者、下っ端の兵隊たちで構成されるボルシェビキによって、ひっくり返されました」、確かに主張にもまともな部分もあるようだ。 「佐藤 米国社会では過去40年で格差が急激に広がっていて、その上医療費は恐ろしいほど高額。「金がないやつは病気になったら死ね」というのが、今の米国です。こんな社会にしたエスタブリッシュメントには責任がある。それを乱暴な言葉で訴えているのが、トランプ氏じゃないでしょうか・・・トランプ氏はレーニンに似ている。陰謀論的な発言は別として、なぜトランプ氏が支持されるのかを考えると、合理性があると思えるんです。 つまり、ポリティカルコレクトネスを掲げて口に出してはいけないとされている問題が、本当にタブーなんだろうかとトランプ氏は問い掛けている」、もっともな部分もあるようだ。 「レーニンがインテリで貴族だったように、考えてみればトランプ氏もエスタブリッシュメント側の人です。ところが何かの巡り合わせによって、虐げられた階級の代表者になっています。トランプ氏は常軌を逸したような人物ですが、歴史を振り返ると、こういうタイプにしか革命はできません。歴史を動かすのはいつも怪しげな人たちです」、なるほど。 べきだ。 「ひと昔前の米国だったら、自分たちが戦いました。自由社会を守るためにベトナムへ行き、テロと戦うためにアフガニスタンへ行きました。最近の米国には狡さと嘘があるでしょう。トランプ氏は、そこも巧みについていると思います・・・台湾人が民主主義を守るために、中国人と戦う。気をつけないといけないのは、憲法9条を改正して日本が参戦できるようになれば、「武器と金は提供するから戦ってこい」と言われるかもしれないことです。米国的な価値観を守るために、日本が中国と戦うことになりかねません」、台湾がらみでは、日本は注意深く行動す 「日本」では、「政府の諮問会議や有識者会議のメンバーになっていた、ヤマト運輸の故小倉昌男さんやJR東海の故葛西敬之さん」など大勢いる。「民主的統制を経ていないエスタブリッシュメントたちが国家意思を形成する」のは確かに問題だ。「トランプ氏」の言動を巡って「日本」側の問題まで炙り出されたようだ。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

金融政策(その45)(日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か 働き方改革が需給ギャップをタイト化、日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算” 中小地銀はジリ貧の分かれる明暗、パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか 高まる“タカ派転換ショック”リスク) [金融]

今日は、金融政策(その45)(日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か 働き方改革が需給ギャップをタイト化、日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算” 中小地銀はジリ貧の分かれる明暗、パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか 高まる“タカ派転換ショック”リスク)である。なお、番号は異次元緩和政策からの続きとした。

先ずは、本年3月27日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したBNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミストの河野龍太郎氏による「日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か、働き方改革が需給ギャップをタイト化」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341137
・『マイナス金利解除後の日本銀行の次なる利上げは9月、早ければ7月だろう。人口動態と働き方改革による労働供給の限界が需給ギャップをタイト化させている。共に、2025年以降の賃上げ圧力となり、インフレを上向かせる。25年末には政策金利は0.75%に達するとみている』、「人口動態と働き方改革による労働供給の限界が需給ギャップをタイト化。2025年以降の賃上げ圧力となり、インフレを上向かせる。25年末には政策金利は0.75%に達するとみている」、0.25%ずつとすれば、利上げは3回だ。
・『マイナス金利だけでなくオーバーシュート型コミットメントもYCCも解除  当初から筆者が予想してきた通り、今春闘での2年連続の高い賃上げ率を確認した後、日本銀行は、3月金融政策決定会合でマイナス金利解除を含め、大規模金融緩和の終了を決定した。 筆者は、日銀が2度目のYCC(イールドカーブコントロール、長短金利操作)の上限引き上げを行った直後の昨年7月末から、2024年4月にマイナス金利が解除されると考え、その後、今年1月からは、3月決定会合でのマイナス金利解除をメインシナリオとしていた。 具体的な政策パッケージの内容も、おおむね筆者の予想通りだった。政策金利は無担保コールレート翌日物に戻し、その誘導水準は0~0.1%とされた。マイナス金利政策の下では三層構造とされていた超過準備への付利は一本化され0.1%とした。適用は翌営業日の3月21日からとなった。 年度末を控え金融機関への配慮から、新たな付利の適用は、翌積み期の4月中旬からと筆者は考えていたのだが、直前に市場が政策変更を十分に織り込み、必要なヘッジが完了したと日銀は判断したのだろう。 バランスシートの拡大を約束したオーバーシュート型コミットメント(注)と共に、YCCも完全に解除された。今後の長期国債の買い入れについては、これまでと同程度の買い入れを行うとした上で、長期金利が急騰する場合については、機動的に対応し、指値オペなどで対応するとしている。 筆者自身は、長期金利急騰を回避するため、長期金利の誘導目標の0%程度は撤廃するものの、万が一の保険として何らかの緩いキャップを残し、場合によってはYCCの部分解除にとどめると当初は考えていた。 しかし、今春闘で5%を超える高い賃上げが達成され、2%のインフレ目標の実現が見通せる状況になったとする中で、具体的な数値のキャップを長期金利に残すのは、不自然と日銀は判断したのだろう。 次ページ以降、次なる利上げの時期を予測し、その背景にある要因を検証していく』、「2%のインフレ目標の実現が見通せる状況になったとする中で、具体的な数値のキャップを長期金利に残すのは、不自然と日銀は判断したのだろう」、なるほど。
(注)オーバーシュート型コミットメント:日銀が物価安定の目標とする消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の前年比上昇率2%を一時的に上回ってもすぐに金融緩和政策をやめるのではなく、同実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を継続すること。 物価安定実現を目指し、物価上昇率が目標値を行き過ぎる(オーバーシュートする)まで金融緩和の継続を公約する(コミットメントする)日銀の強い姿勢を示している(野村証券証券用語解説集)。
・『次回利上げは9月 早ければ7月にも  多くの市場参加者は、今後の日銀の国債購入ペースやバランスシートの削減ペースに強い興味を持つが、日銀が最も重視するのは、あくまで長期金利の安定そのものであって、量的な長期の目標を念頭に置いているわけではないと思われる。長期金利が安定する限りにおいては、長期国債の購入を減額し、バランスシートを減少させるというのが日銀のスタンスであろう。 とりわけ、公的債務残高がGDP(国内総生産)比で260%を超え、安定的なプライマリー収支の黒字が全く見通せないわが国の財政事情を考えれば、それもやむを得ないのであろう。 ステートメントの脚注に、月額6兆円の国債購入額の数値を入れたのは、国債購入が「不連続」となることを恐れるマーケットへの配慮だが、今後、グローバル金融市場の動向に応じて、数字は変化していくとみられる。 この他、ETF(上場投資信託)とJ-REIT(不動産投資信託)購入プログラムも予想された通り廃止され、社債購入は段階的に減額され、1年後に終了するとされた。ただし、保有するETFとJ-REITの処分については議論が棚上げされている。 それでは、今後の政策金利の経路はどのようになるのか。まず、植田総裁は、決定会合後の記者会見で、追加利上げについて問われ、「(2%の持続的・安定的達成の確度が)さらに上昇するということになれば、見通しが変わったという言い方になるかと思いますが、また別の言い方をするとすれば、基調的物価上昇率がもう少し上昇すれば、それはまた短期金利の水準の引き上げにつながるということになるかと思います」と述べている。 また、ステートメントでは、金融政策の先行きに関するガイダンスについて、予想された通り、「現時点の経済・物価見通しを前提にすれば、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えている」とされている。 筆者は従来、3月にマイナス金利を解除した後、半年が経過する9月頃にオーバーナイト金利を0.25%まで引き上げ、その後、半年に一度0.25%の利上げを行い(来年3・9月ごろ)、25年末のオーバーナイト金利の水準を0.75%と予想してきた。 一方、市場は24年末の政策金利を0.25%弱、25年末を0.5%弱とみており、民間エコノミストはさらにハト派的で24年末だけでなく、25年末も現状と同じゼロ金利ないし0.25%と予想する向きが多い。 筆者が市場やほかのエコノミストに比べてタカ派的な政策金利の予想を立てているのは、政府・日銀、市場が想定するよりも、日本経済の需給ギャップがタイト化していると考えていることがある。政府・日銀は需給ギャップがゼロ近傍にあるとしているが、筆者の推計では、既に前回の景気サイクルのピークである18年末のレベルまでタイト化している。 だから、誰もが考えていたより、円安インフレが長引いてインフレが高止まりし、今春闘でも高い賃上げとなったのではないか。今春闘は、当初から強気にみていた筆者の想定よりも高い賃上げ率となっており、今後、物価への波及も強まる可能性がある。 政策金利についても、上記に挙げた想定経路より、利上げペースが加速するリスクがあり、その場合、25年末の政策金利は1.0%かそれ以上となるだろう。また、今後の為替レートや4月以降の人件費の価格転嫁次第では、2度目の利上げが7月に前倒しで行われるリスクもあるだろう』、「筆者が市場やほかのエコノミストに比べてタカ派的な政策金利の予想を立てているのは、政府・日銀、市場が想定するよりも、日本経済の需給ギャップがタイト化していると考えていることがある。政府・日銀は需給ギャップがゼロ近傍にあるとしているが、筆者の推計では、既に前回の景気サイクルのピークである18年末のレベルまでタイト化している・・・利上げペースが加速するリスクがあり、その場合、25年末の政策金利は1.0%かそれ以上となるだろう。また、今後の為替レートや4月以降の人件費の価格転嫁次第では、2度目の利上げが7月に前倒しで行われるリスクもあるだろう」、なるほど。
・『現状の金融緩和を続ければインフレ率2%超え、さらなる円安リスクも  ここで需給ギャップがタイト化している背景について簡単に説明しておく。周知の通り、円安でインフレが長引く日本では、経済再開後も欧米のような消費の急回復は起こらなかった。それでもなお人手不足が深刻化しているのは、労働供給の拡大が難しくなっているためである。 まず、少子高齢化が進展する中、日本企業は減り続ける若年・壮年の男性正社員の穴を埋めるべく、高齢者と女性を積極的に採用してきたが、既に10年代終盤には、超短時間・超短期間しか働けない人までかき集める事態に追い込まれていた。 コロナ禍で労働需給の逼迫(ひっぱく)は一時的に緩んだが、さらにコロナ禍後は、団塊世代の完全引退が進み、労働力の最大の供給源であった高齢者の就業拡大も止まってしまった。女性の労働力はまだ増えているが、コロナ禍前より増加ペースが鈍っている。女性も高齢化が進んでいるため、生産年齢人口が減り続けており、就業拡大は限界に近い。 ここまでの話は、大抵の専門家は認識しているが、残業規制が人手不足に拍車をかけている点は見過ごされている。従来、日本企業は、好況期には正社員の残業を増やすことで、増大した労働需要の一部を賄っていた。 しかし、10年代半ば以降は、働き方改革として長時間労働を是正する社会的風潮が広がり、法的にも、残業時間の上限規制が導入された。大企業に残業規制が適用されたのは19年4月、中小企業は20年4月であり、コロナ禍でそのインパクトは当初は現れなかったが、23年にコロナ禍が明け、総需要が持ち直し始めた途端に、その影響があらわになってきたのである。 今年3月末には例外的に認められていた建設・運輸業などの残業規制の猶予も終わる。人手不足が和らぐ兆しは全く見えない。つまり、25年も高めの賃上げが続く可能性が高い。 なお、改めて確認しておきたいのは、今回の金融政策決定会合で、異次元緩和を解除したものの、日銀は2%インフレ目標が安定的・持続的に達成されたという勝利宣言にまで踏み込んではいない点である。25年度以降のインフレについては、まだ相当に不確実性が高く、下振れのリスクがあると判断しているとみられる。 もし、勝利宣言を行うのなら、オーバーナイト金利は、筆者の推計するマイナス0.5%の自然利子率と2%インフレの和である1.5%に早い段階で引き上げなければならない。確信には至っていないから、現在も緩和的な金融環境を維持することが可能だと日銀は判断しているわけである。 とはいえ、一方で、現状の金融緩和を継続すれば、インフレ期待が2%を超えるリスクや円安などの弊害が生じ得ることを、政策判断の上で考慮し始めた可能性がある。 細かな点だが、前述した通り、付利の適用が翌営業日からのスタートになったことや、部分撤廃にとどまると考えていたYCCが完全に撤廃されたことなど、筆者が見通しを外したのは、いずれもタカ派サイドであった。 何より、一部のハト派のボードメンバーに反対者が存在する中で、今回、植田総裁が異次元緩和の解除に踏み切ったのは、円安インフレの個人消費への悪影響など副作用が意識され、利上げを「待つことのコスト」が無視し得なくなっているのだと思われる。 インフレ期待が着実に上がっているのなら、実質金利の一段の低下で金融緩和度が強まることを避けるため、名目金利を引き上げなければならない。金利リスクはアップサイドだと思われる』、「今回、植田総裁が異次元緩和の解除に踏み切ったのは、円安インフレの個人消費への悪影響など副作用が意識され、利上げを「待つことのコスト」が無視し得なくなっているのだと思われる。 インフレ期待が着実に上がっているのなら、実質金利の一段の低下で金融緩和度が強まることを避けるため、名目金利を引き上げなければならない。金利リスクはアップサイドだと思われる」、その通りだ。

次に、3月27日付けダイヤモンド・オンライン「日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算”、中小地銀はジリ貧の分かれる明暗」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341161
・『日本銀行の17年ぶり利上げ決定による恩恵を受け、今後の株価上昇の期待を集めるのが銀行業界だ。金利が復活し、利ざや拡大が見込めるマイナス金利解除は、銀行業界にとって朗報のはず。だがメガバンクや地銀、ネット銀行の状況をつぶさに見ていくと、そうとも言い切れない』、どういうことなのだろう。
・『マイナス金利解除で収益拡大期待 3メガ首脳は日銀の政策変更を歓迎  「ゲームチェンジ」。みずほフィナンシャルグループ(FG)の木原正裕社長は、日本銀行が決めたマイナス金利政策の解除について、そう語って歓迎した。 これまでの「金利のない世界」で銀行が戦ってきた“ゲーム”は、為替業務や投資信託などの金融商品の販売、M&A(企業の合併・買収)アドバイザリー業務などで、ひたすら手数料を稼ぐもので、それが唯一の勝ち筋だった。 だがそれも、マイナス金利解除でゲームセット。金利が復活すれば、企業への貸し出しなどの運用と、預金などの調達の金利差である利ざやの改善が見込め、金利収益の拡大が期待できる。銀行の本業である金利差で稼ぐという、本来のゲームに変わるというわけだ』、「金利が復活すれば、企業への貸し出しなどの運用と、預金などの調達の金利差である利ざやの改善が見込め、金利収益の拡大が期待できる。銀行の本業である金利差で稼ぐという、本来のゲームに変わるというわけだ」、なるほど。
・『日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算”、中小地銀はジリ貧の分かれる明暗  金利上昇により本業が復活すれば、銀行の収益力は格段に増す。日銀の政策転換前から、こうした期待が銀行株の堅調を支えていた。 実際、2022年3月からの米国での金利上昇、さらに23年7月のYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)柔軟化をきっかけとした国内金利の上昇により、三菱UFJフィナンシャル・グループ(FG)と三井住友フィナンシャルグループ(FG)、みずほFGの3メガバンクの業績は劇的に改善。中でも三菱UFJFGは、23年度第3四半期の時点で純利益が1兆2979億円に到達し、通期目標の1兆3000億円をわずか9カ月間でほぼ達成してしまうほどの爆発力を見せた。 マイナス金利解除に対する反応を取材していくと、銀行業界の中でも悲喜交々が見えてきた。次ページでは、今回の日銀の政策変更で想定以上の業績上振れが期待できそうな“うれしい誤算”があったメガバンクと、金利復活でジリ貧に陥りそうな地銀の明暗に迫る』、「今回の日銀の政策変更で想定以上の業績上振れが期待できそうな“うれしい誤算”があったメガバンクと、金利復活でジリ貧に陥りそうな地銀の明暗に迫る」、なるほど。
・『日銀の当座預金全体に0.1%の付利 “うれしい誤算”に金融市場も反応  マイナス金利の解除が決まり、3メガの業績がより一層押し上げられることは間違いない。さらに言えば、業績上振れ幅が想定以上になることも考えられる。 銀行各行が日銀に持つ当座預金は、マイナス金利導入で3層(基礎残高、マクロ加算残高、政策金利残高)になっており、3層目の政策金利残高にマイナス0.1%の金利が適用されていた。 三菱UFJ銀行とみずほ銀行は、マイナス金利が解除され、円金利が上昇した際の利益影響を試算していたが、そこでは2層目のマクロ加算残高はこれまで通り付利0%で変わらないという前提を置いていた。 ところが今回の政策変更では、3層構造そのものを1層にした上で、日銀当座預金全体に0.1%の付利を適用する決定がなされた。つまり“うれしい誤算”だったわけだ。 (図表:3カ月TIBORと無担保コールレートの推移 はリンク先参照) これに金融市場は敏感に反応。ゴールドマン・サックス証券の黒田真琴アナリストが「市場でも十分に認識されていなかった」と話すように、無担保コールレート翌日物が急上昇した。さらにそれと連動するTIBOR(タイボー、東京銀行間取引金利)も急騰した(上図参照)。岡三証券の田村晋一アナリストは「日銀当座預金全体へ0.1%の付利が適用されることが、TIBOR上昇を後押しした」と話す。 TIBORは一般的な大企業向け貸し出しの基準金利だ。3メガは金利がTIBORと連動する貸出金の割合が高く、TIBORが上昇したことで利ざやの拡大は確実に期待できる。3メガは今まさに、貸出金利上昇から利ざや拡大へとつながる、好循環の入り口に立っているのだ。 もっとも、全ての銀行が3メガのような好循環に突入できるわけではない。横浜銀行や千葉銀行などの規模の大きな地方銀行を除く中小の地銀は、金利復活をむしろ苦々しく思っているはずだ。 地銀は3メガと違い、金利がTIBORと連動する貸出金の割合が小さい。そのため、足元で金利が上昇し始めていても、その影響は限定的なのだ』、「TIBORは一般的な大企業向け貸し出しの基準金利だ。3メガは金利がTIBORと連動する貸出金の割合が高く、TIBORが上昇したことで利ざやの拡大は確実に期待できる。3メガは今まさに、貸出金利上昇から利ざや拡大へとつながる、好循環の入り口に立っているのだ。 もっとも、全ての銀行が3メガのような好循環に突入できるわけではない。横浜銀行や千葉銀行などの規模の大きな地方銀行を除く中小の地銀は、金利復活をむしろ苦々しく思っているはずだ。 地銀は3メガと違い、金利がTIBORと連動する貸出金の割合が小さい。そのため、足元で金利が上昇し始めていても、その影響は限定的なのだ」、「メガ」は「好循環に突入」できるが、「中小の地銀」は「金利復活をむしろ苦々しく思っている」、なるほど。
・『重要度増す預金、各行金利引き上げへ ネット銀行が競争をリード  地銀は貸出金利を上げたければ、貸出先の中小企業と直接交渉する必要がある。だが、中小企業の多くは人件費や原材料費の高騰などにさらされており、金利負担増を簡単にのむことはできない。ある中堅規模の地銀幹部は「市場金利が上がったから貸出金利を上げさせてくれと頼んでも、『銀行がもうけたいだけだろう』と門前払いを食い、他行に乗り換えられる」と苦しい胸の内を明かす。 一方、そんな状況とは無縁の3メガは、早速次の一手を打った。他行に先手を取られぬよう、普通預金金利を0.001%から0.02%へ、17年ぶりに引き上げたのだ。金利が復活した世界では、預金は銀行にとって利益を生む原資であり、重要度が増すからだ。 地銀は置かれた状況が苦しくても、3メガに追随せざるを得ない。預金金利の引き上げを見送れば、個人顧客の流出を招いてしまうからだ。前出の田村氏は「預金は金利が0.001%高いだけでも、そこに流れる。他行に預金を奪われないためにも、金利は早めに上げる必要があった」と指摘する。こうしてマイナス金利解除決定から3営業日後の3月25日時点で、普通預金金利の引き上げを決めた地銀は実に43行に上った(下表参照)。 (図表:銀行各行の普通預金金利 はリンク先参照) 地銀にとってさらに頭が痛いのは、インターネット銀行のSBI新生銀行とPayPay銀行が、普通預金金利を3メガや地銀よりも高い0.03%に引き上げたことだろう。 金利差はわずか0.01%だが、その差は数字以上だ。ネット銀行には3メガや地銀が一朝一夕には追い付けない、スマートフォンアプリの使い勝手の良さがある。 あるネット銀行幹部は「金利が少し高いことは、アプリの使いやすさや便利さを知ってもらうためのきっかけにすぎない。今回の金利引き上げで金融に対する意識が高くない人もそれに気付き、多くのユーザーを獲得できるだろう」と自信を見せる。 金利復活にもかかわらず、貸出金利は上げられず、預金金利は引き上げざるを得ない。今後はむしろジリ貧になる──。マイナス金利後に始まる新たなゲームは、地銀にとってこれまでにない過酷なものとなりそうだ』、「金利復活にもかかわらず、貸出金利は上げられず、預金金利は引き上げざるを得ない。今後はむしろジリ貧になる──。マイナス金利後に始まる新たなゲームは、地銀にとってこれまでにない過酷なものとなりそうだ」、「TIBOR連動貸出」が少ないことで、「中小地銀」は苦戦を強いられるようだ。

第三に、3月28日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したみずほリサーチ&テクノロジーズ調査部プリンシパルの小野 亮氏による「パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/341204
・『1、2月と続くインフレ率の上振れに「過剰反応はしない」と静観の構えを見せた3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)でのパウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長に対し、米株式市場は上昇という形で万雷の拍手を送ったようだ。パウエル議長は米景気・雇用の強さを軽視してはいないのか』、興味深そうだ。
・『インフレ見通し上振れもFOMCは年内3回の利下げ予想を維持  3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、最近のCPI(消費者物価指数)統計に見られるインフレ率の上振れに対して顕著な警戒感の強まりを見せることはなかった。 市場参加者の間で最も関心を集めていたとみられる、ドットチャート(FOMC参加者による政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの水準予想)が示す年内の利下げ幅(現状水準と参加者の予想値の中央値との差)は、前回12月と同様の0.75%(通常は1回につき0.25%なので3回の利下げに相当する)となった。 まず、声明文では雇用情勢の強さを強調する最小限の修正が施されただけにとどまり、最近のインフレ率の上振れに関する文言はない。 次に、声明文と同時に発表された物価見通しでは、2024年末のコアインフレ率が前年比2.4%から2.6%へと0.2ポイント上方修正されたが、12月会合から足元までの実績を反映したゲタ(編集部注:直近の水準がそのまま続いたと仮定した場合の上昇・下落幅)に相当する修正幅にとどまった。 FOMC参加者が、最近のようなインフレ率の上振れが今後も続くとは考えていないことの表れである。その結果、「26年末までのインフレ2%達成」という見通しも維持された。 「物価安定への道は外れていない」という物価見通しと整合的なように、米政策金利については前回と同様「24年内は3回相当の0.75%の利下げ」というシナリオもそのままで、米株式市場は歓喜に沸いている。 しかし、ドットチャートやFOMCの経済・物価見通しを子細に見ていくとそのシナリオの危うさが浮かび上がる。次ページ以降、検証していく』、「「物価安定への道は外れていない」という物価見通しと整合的なように、米政策金利については前回と同様「24年内は3回相当の0.75%の利下げ」というシナリオもそのままで、米株式市場は歓喜に沸いている」、マ―ケットが好感するのは当然だが、果たして大丈夫なのだろうか。
・『経済・物価見通し上振れで米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に  米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に微修正された。 FOMC参加者らの政策金利(現在の水準は5.25~5.5%)見通しの分布(中央値で示される。たとえば5.25~5.5%の場合は5.375%)を見ると、前回ドットチャートが示された23年12月のFOMC時に「24年内に3回を超える利下げが適切」と考えていたハト派のほとんどが「せいぜい3回の利下げ」という考えに変化し、「4.5~4.75%」を底辺とするピラミッド型の分布となった(図表1参照)』、「米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に微修正された・・・23年12月のFOMC時に「24年内に3回を超える利下げが適切」と考えていたハト派のほとんどが「せいぜい3回の利下げ」という考えに変化し、「4.5~4.75%」を底辺とするピラミッド型の分布となった」、なるほど。
・『パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク
 また、25年内の利下げ幅(予想値の中央値の24年末と25年末の差)が1.0%(4回の利下げ)から0.75%(3回の利下げ)に縮小し、26年末時点の政策金利の水準(予想値の中央値)は前回より0.25%高い3.0~3.25%となった。長期(Longer run)の政策金利も0.125%上昇している。 小幅ながらも政策金利の分布やパスが上方シフトしたのは、これまで以上に強いペースでの景気拡大と良好な雇用情勢が続きそうだという見通しのためである。成長率見通しは、26年までの3年間にわたって上方修正され、潜在成長率(1%台半ば)を上回るペースの景気拡大が持続する見通しとなった。 失業率に関しても、見通しはほぼ変わらないが、先行きについて「上振れ(悪化)リスク」を挙げる参加者が減り、「リスクは均衡している」と考える参加者が大勢となった。FOMC参加者らが3カ月の間に雇用の先行きに自信を深めた様子がうかがえる』、「25年内の利下げ幅(予想値の中央値の24年末と25年末の差)が1.0%(4回の利下げ)から0.75%(3回の利下げ)に縮小し、26年末時点の政策金利の水準(予想値の中央値)は前回より0.25%高い3.0~3.25%となった。長期(Longer run)の政策金利も0.125%上昇している。 小幅ながらも政策金利の分布やパスが上方シフトしたのは、これまで以上に強いペースでの景気拡大と良好な雇用情勢が続きそうだという見通しのためである・・・FOMC参加者らが3カ月の間に雇用の先行きに自信を深めた様子がうかがえる」、なるほど。
・『景気・雇用の強さを問題視しないパウエル議長 インフレ上振れ時のタカ派転換リスク高まる  印象的だったのは、パウエル議長が足元のインフレ率の上振れに動じない姿勢を見せたことだ。 パウエル議長がインフレ率の推移に関して使うことが多い「6カ月前と比較したインフレ率」で見ると、昨年後半はCPI、PCED(個人消費支出デフレーター)のいずれも落ち着いていた(図表2参照)』、「景気・雇用の強さを問題視しないパウエル議長」、何故なのだろう。
・『パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク
  しかし24年に入り、特にCPIが上振れている。米景気が好調な結果、ディスインフレの動きが反転・再加速している恐れがあることを示す動きだ。 ところがパウエル議長は、インフレ率には「年前半に強く、年後半に弱い」という癖があることや、新規契約の賃貸料の動きを踏まえれば、コアインフレ率の中で大きなウエートを占める住宅サービスのインフレ率は今後着実に鈍化すると見込まれることなどを理由に挙げながら、「過剰反応はしない」と述べるにとどまった。 「(1月と2月の)2つの数字を総合してみると、インフレ率が2%に向けて、時には飛び跳ねるような道(bumpy road)を進みながら徐々に低下していくという全体的なストーリーは変わっていない」とパウエル議長は語った。これは「足元の動きは想定の範囲内」という意味である。 パウエル議長のコミュニケーションは、FOMC後の上昇からわかるように米株式市場から万雷の拍手をもって迎えられたようだが、気掛かりなことがある。パウエル議長が、景気や雇用、賃金の強さを無条件に受け入れているように映る点だ。米株式市場が沸くのも当然だろう。 パウエル議長は、最近のインフレ率の上振れが「1回の出っ張り(bump)なのか、それ以上の何かなのかはわからない。それを見極める必要がある」「今後発表されるインフレ率とその内容、そしてそれが何を物語っているのか」を丁寧に見ていく姿勢を強調している。 であれば、インフレ率が再加速する原因となり得る強い景気・雇用・賃金にもっと警戒してもよかったはずだ。ところがパウエル議長は1月会合以降、「これらの強さ自体は問題ではない」と繰り返すようになった。 コロナ禍前のFOMCは、幾度となく、景気・雇用・賃金が強まる度に「予防的利上げ」を行い、結果として、インフレ率が低下し2%のインフレ目標達成を逃してきてしまった。その苦い経験が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」という最近の発言につながっている。 しかし、インフレ率の上振れがこれ以上続けば、パウエル議長はタカ派的姿勢をより鮮明にするはずだ。パウエル議長自身は首尾一貫したコミュニケーションのつもりでも、金融市場参加者にとっては大きなbumpとなり得る。今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「インフレ率が再加速する原因となり得る強い景気・雇用・賃金にもっと警戒してもよかったはずだ。ところがパウエル議長は1月会合以降、「これらの強さ自体は問題ではない」と繰り返すようになった。 コロナ禍前のFOMCは、幾度となく、景気・雇用・賃金が強まる度に「予防的利上げ」を行い、結果として、インフレ率が低下し2%のインフレ目標達成を逃してきてしまった。その苦い経験が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」という最近の発言につながっている。 しかし、インフレ率の上振れがこれ以上続けば、パウエル議長はタカ派的姿勢をより鮮明にするはずだ。パウエル議長自身は首尾一貫したコミュニケーションのつもりでも、金融市場参加者にとっては大きなbumpとなり得る。今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「パウエル議長」が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」との考え方にしがみつく理由は、不明だが、確かに彼の見方が外れた場合の「パウエル・ショックへの警戒が必要だろう」、同感である。
タグ:利上げペースが加速するリスクがあり、その場合、25年末の政策金利は1.0%かそれ以上となるだろう。また、今後の為替レートや4月以降の人件費の価格転嫁次第では、2度目の利上げが7月に前倒しで行われるリスクもあるだろう」、なるほど。 小野 亮氏による「パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか、高まる“タカ派転換ショック”リスク」 「金利復活にもかかわらず、貸出金利は上げられず、預金金利は引き上げざるを得ない。今後はむしろジリ貧になる──。マイナス金利後に始まる新たなゲームは、地銀にとってこれまでにない過酷なものとなりそうだ」、「TIBOR連動貸出」が少ないことで、「中小地銀」は苦戦を強いられるようだ。 地銀は3メガと違い、金利がTIBORと連動する貸出金の割合が小さい。そのため、足元で金利が上昇し始めていても、その影響は限定的なのだ」、「メガ」は「好循環に突入」できるが、「中小の地銀」は「金利復活をむしろ苦々しく思っている」、なるほど。 「筆者が市場やほかのエコノミストに比べてタカ派的な政策金利の予想を立てているのは、政府・日銀、市場が想定するよりも、日本経済の需給ギャップがタイト化していると考えていることがある。政府・日銀は需給ギャップがゼロ近傍にあるとしているが、筆者の推計では、既に前回の景気サイクルのピークである18年末のレベルまでタイト化している・・・ (注)オーバーシュート型コミットメント:日銀が物価安定の目標とする消費者物価指数(CPI、除く生鮮食品)の前年比上昇率2%を一時的に上回ってもすぐに金融緩和政策をやめるのではなく、同実績値が安定的に2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大を継続すること。 物価安定実現を目指し、物価上昇率が目標値を行き過ぎる(オーバーシュートする)まで金融緩和の継続を公約する(コミットメントする)日銀の強い姿勢を示している(野村証券証券用語解説集)。 「TIBORは一般的な大企業向け貸し出しの基準金利だ。3メガは金利がTIBORと連動する貸出金の割合が高く、TIBORが上昇したことで利ざやの拡大は確実に期待できる。3メガは今まさに、貸出金利上昇から利ざや拡大へとつながる、好循環の入り口に立っているのだ。 もっとも、全ての銀行が3メガのような好循環に突入できるわけではない。横浜銀行や千葉銀行などの規模の大きな地方銀行を除く中小の地銀は、金利復活をむしろ苦々しく思っているはずだ。 河野龍太郎氏による「日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か、働き方改革が需給ギャップをタイト化」 ダイヤモンド・オンライン (その45)(日銀次回利上げは「9月」で25年末政策金利は0.75%か 働き方改革が需給ギャップをタイト化、日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算” 中小地銀はジリ貧の分かれる明暗、パウエル議長のインフレ「過剰反応しない」姿勢は続くのか 高まる“タカ派転換ショック”リスク) 金融政策 しかし、インフレ率の上振れがこれ以上続けば、パウエル議長はタカ派的姿勢をより鮮明にするはずだ。パウエル議長自身は首尾一貫したコミュニケーションのつもりでも、金融市場参加者にとっては大きなbumpとなり得る。今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「今後はパウエル・ショックへの警戒が必要だろう』、「パウエル議長」が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」との考え方にしがみつく理由は、不明だが、確かに彼の見方が外れた場合の「パウエル・ショックへの警戒が必要だろう」、同感である。 「インフレ率が再加速する原因となり得る強い景気・雇用・賃金にもっと警戒してもよかったはずだ。ところがパウエル議長は1月会合以降、「これらの強さ自体は問題ではない」と繰り返すようになった。 コロナ禍前のFOMCは、幾度となく、景気・雇用・賃金が強まる度に「予防的利上げ」を行い、結果として、インフレ率が低下し2%のインフレ目標達成を逃してきてしまった。その苦い経験が「景気や雇用の強さ自体は問題ではない」という最近の発言につながっている。 「今回の日銀の政策変更で想定以上の業績上振れが期待できそうな“うれしい誤算”があったメガバンクと、金利復活でジリ貧に陥りそうな地銀の明暗に迫る」、なるほど。 「2%のインフレ目標の実現が見通せる状況になったとする中で、具体的な数値のキャップを長期金利に残すのは、不自然と日銀は判断したのだろう」、なるほど。 「人口動態と働き方改革による労働供給の限界が需給ギャップをタイト化。2025年以降の賃上げ圧力となり、インフレを上向かせる。25年末には政策金利は0.75%に達するとみている」、0.25%ずつとすれば、利上げは3回だ。 ダイヤモンド・オンライン「日銀マイナス金利解除でメガバンクに“うれしい誤算”、中小地銀はジリ貧の分かれる明暗」 「今回、植田総裁が異次元緩和の解除に踏み切ったのは、円安インフレの個人消費への悪影響など副作用が意識され、利上げを「待つことのコスト」が無視し得なくなっているのだと思われる。 インフレ期待が着実に上がっているのなら、実質金利の一段の低下で金融緩和度が強まることを避けるため、名目金利を引き上げなければならない。金利リスクはアップサイドだと思われる」、その通りだ。 「金利が復活すれば、企業への貸し出しなどの運用と、預金などの調達の金利差である利ざやの改善が見込め、金利収益の拡大が期待できる。銀行の本業である金利差で稼ぐという、本来のゲームに変わるというわけだ」、なるほど。 「米政策金利は「より高く、より長く」維持される方向に微修正された・・・23年12月のFOMC時に「24年内に3回を超える利下げが適切」と考えていたハト派のほとんどが「せいぜい3回の利下げ」という考えに変化し、「4.5~4.75%」を底辺とするピラミッド型の分布となった」、なるほど。 「「物価安定への道は外れていない」という物価見通しと整合的なように、米政策金利については前回と同様「24年内は3回相当の0.75%の利下げ」というシナリオもそのままで、米株式市場は歓喜に沸いている」、マ―ケットが好感するのは当然だが、果たして大丈夫なのだろうか。 どういうことなのだろう。 「景気・雇用の強さを問題視しないパウエル議長」、何故なのだろう。 FOMC参加者らが3カ月の間に雇用の先行きに自信を深めた様子がうかがえる」、なるほど。 「25年内の利下げ幅(予想値の中央値の24年末と25年末の差)が1.0%(4回の利下げ)から0.75%(3回の利下げ)に縮小し、26年末時点の政策金利の水準(予想値の中央値)は前回より0.25%高い3.0~3.25%となった。長期(Longer run)の政策金利も0.125%上昇している。 小幅ながらも政策金利の分布やパスが上方シフトしたのは、これまで以上に強いペースでの景気拡大と良好な雇用情勢が続きそうだという見通しのためである・・・
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

個人債務問題(その4)(若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ(テレ東BIZ)、「国が認めた借金減額」SNS広告で若年層を食い物に!経営コンサルと弁護士事務所の深い闇、住宅ローンのフラット35 金利「独歩高」の忍耐期 機構が「身銭」を切り 変動金利型に対抗へ) [金融]

個人債務問題については、2021年2月5日に取上げた。今日は、(その4)(若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ(テレ東BIZ)、「国が認めた借金減額」SNS広告で若年層を食い物に!経営コンサルと弁護士事務所の深い闇、住宅ローンのフラット35 金利「独歩高」の忍耐期 機構が「身銭」を切り 変動金利型に対抗へ)である。

先ずは、昨年8月7日付けGirls Channelが転載したテレ東BIZ「若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ(テレ東BIZ)」を紹介しよう。
・『佐藤さんが購入した物件は、都心の最寄り駅から徒歩1分の1LDK(約45平方メートル)。築15年(購入時)で4900万円でした。 物件自体に問題はありませんでしたが、「投資用のローンではなく、住宅居住用の『フラット35』を使用してしまった。不動産会社とやり取りをしていて、投資用ローンで購入しているものだと思っていた」(佐藤さん)といいます。 「フラット35」は、最長35年間、一定の金利で借りられる住宅ローン。 問題は、このローンを利用できるのは、本人や親族が住むための物件を購入する場合に限られていることです。佐藤さんのように、投資用物件で使うと、不正利用にあたります。 購入から1年後、佐藤さんの元に届いたのは、住宅金融支援機構からの居住確認でした。 「不動産会社に手紙が来たということを言ったときに、アンケートのようなものだから答えなくていいと言われ、私もそういうものなのかと楽観的に捉えてしまった」(佐藤さん) 最終的に居住実態がないことが確認され、佐藤さんは住宅支援機構から残ったローンの一括返済を求められました。その後、物件を販売した不動産会社とは、連絡が取れなくなったといいます。 「不動産のプロは詐欺のようなことはしないだろうと思っていた。後悔している」(佐藤さん) 実は今、佐藤さんのように、知らずにフラット35の不正利用をしてしまう事例が相次いでいます』、「購入から1年後、佐藤さんの元に届いたのは、住宅金融支援機構からの居住確認でした。 「不動産会社に手紙が来たということを言ったときに、アンケートのようなものだから答えなくていいと言われ、私もそういうものなのかと楽観的に捉えてしまった」(佐藤さん) 最終的に居住実態がないことが確認され、佐藤さんは住宅支援機構から残ったローンの一括返済を求められました。その後、物件を販売した不動産会社とは、連絡が取れなくなったといいます」、「物件を販売した不動産会社」も「連絡が取れなくなった」とは無責任の極みだが、「アンケートのようなものだから答えなくていいと言われ、私もそういうものなのかと楽観的に捉えてしまった」、という佐藤さんにも責任がある。「一括返済」要求に応じる必要がある。

次に、 3月13日付けダイヤモンド・オンライン「「国が認めた借金減額」SNS広告で若年層を食い物に!経営コンサルと弁護士事務所の深い闇」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/339691
・『“カジュアル”な債務整理――。本来、債務整理は、貸金業者などと和解して利息を減額してもらうなど“重たい”ものだが、最近では「国が認めた借金減額」などのSNS広告に釣られ、気軽に利用する若年層が急増。しかしその裏には、債務整理をエコシステム化した経営コンサルティング会社や弁護士事務所が存在する。特集『激変!3大士業の仕事&稼ぎ方』(全12回)の#8では、最新の債務整理ビジネスのスキームを明らかにする』、「最新の債務整理ビジネスのスキーム」とは興味深そうだ。
・『「国が認めた借金減額」など 債務整理に誘導する広告が跋扈  「国が認めた借金減額」「借金救済措置」「借金減額シミュレーター」――。スマートフォンでSNSやニュースサイトなどを見ていると、次から次へとこうした広告が目に入る。 しかも、異なる弁護士事務所や司法書士事務所の広告にもかかわらず、似たような文言が書かれているのに加え、色が違うだけで同じ広告としか思えない誘導画面がずらりと並んでいる。 要は、借金救済制度をうたったテンプレートを経営コンサルティング会社や広告会社が用意し、それを多くの士業が利用しているわけだ。そして今、こうしたサイト経由で気軽に債務整理を申し込む若年層が増えている。 ある貸金業者の調査によれば、「20代の若年層が利用者の約30%を占め、特定の経営コンサル会社の案件に限って見れば、若年層が約45%を占める」という。 スマホ経由で手軽なため、ちまたでは「カジュアルな債務整理」と呼ばれており、その裏には、債務整理をエコシステム化した経営コンサル会社や弁護士事務所が存在している。しかも、「かなりずさんな運用がなされているケースが少なくない」と弁護士業界や貸金業界でささやかれている。 では、いったい何が問題なのか。次ページでは、「カジュアルな債務整理」と呼ばれる、このスキームの全貌を明らかにしていこう』、「債務整理」とは暗いイメージだが、「カジュアルな債務整理」には「暗さ」がなく、言い得て妙だ。それにしても「借金救済制度をうたったテンプレートを経営コンサルティング会社や広告会社が用意し、それを多くの士業が利用」、とは恐れ入る。
・『カジュアルな債務整理 高額な弁護士報酬が発生  まずは、下図をご覧いただきたい。カジュアルな債務整理の仕組みを図解したものだ。 (図表:SNS広告を多用した債務整理ビジネスのスキームはリンク先参照) 士業専門の経営コンサル会社や広告会社が、弁護士事務所や司法書士事務所などと手を組み、SNSなどで「国が認めた借金減額」などの不当な広告を大量に打つ。国が新たに多重債務者を救済する制度を作ったかのようにアピールし、その広告を見た多重債務者は、サイト経由で借金額や個人情報を入力し、弁護士事務所などに債務整理を依頼するという流れだ。 最近の若年層は、昔のように遊興費のための借金ではなく、「生活費の補填のための借金が多い」と貸金業者たちは言う。収入が低く増えない中、高額なスマホをBNPLと呼ばれる後払い決済で購入したり、不足した生活費をカードローンや消費者金融などの借金で補填したりして、月々の支払いが10万円を超えてしまうケースが多いのだという。 このように借金に苦しむ若者たちからすれば、国が認めた制度で借金が減額できるならばありがたいが、実はそう単純な話ではない。 一口に債務整理と言っても、任意整理や自己破産、民事再生など複数の方法があり、くだんの債務整理で主に利用されているのが任意整理だ。任意整理とは、弁護士事務所が貸金業者と交渉することで将来発生する利息や遅延損害金を免除してもらい、借金を分割払いにすることで月々の支払いを減額するというものだ。 これならば借金が大きく減りそうだが、実際にはそうとは言い切れない。長期分割払いは認められたとしても、債務者の資産状況によっては利息を減免する必要がないケースもあるからだ。 また、改正貸金業法が本格施行され、貸金業各社が上限金利を引き下げた2010年より前(実際には07年ごろから引き下げている)の借り入れならば、過払い金があるため借金は大きく減るが、それ以降の借り入れならば元本が減ることはない。 しかも、弁護士事務所に債務整理を依頼するには高額な手数料がかかる。着手金が5万円で成功報酬が2万~3万円というのが相場だが、5社から借り入れしていれば計35万~40万円にもなる。 加えて、和解が成立して長期分割払いになった場合には、返済代行に関わる送金管理手数料として、1回当たり約1100円を上乗せした金額を弁護士事務所に支払うことになる。60回払いならば計6万円となり、5社から借り入れがあれば総額30万円にもなる。 要は、着手金と成功報酬に送金管理手数料を足し合わせれば、65万~70万円もの費用がかかる計算だ。故に、「債務整理をしても、実際に支払う総額は減らないか、もしくは借金額が少なければ、弁済総額が増えることすらある」と、別の貸金業者は明かす』、「カジュアルな債務整理 高額な弁護士報酬が発生」、なるほど。
・『経営コンサルが弁護士を主導し「非弁行為」に手を染める例も  そもそも債務整理は、過払い金返還請求とは大きく異なるもの。過払い金返還請求は、過去に返済した借金に対する超過利息分を取り返すものだが、債務整理は、借金額や借り入れ社数、現在の収支のバランスや資産額、借り入れに至った理由や今後の見通しなどさまざまな要素を検討した上で、判断しなければならない。 なぜなら、債務整理を行えば、その情報は信用情報機関に登録されることになるからだ。完済してから5年間は登録情報が消えないため、60回払い(5年間)にした場合、合計10年間はクレジットカードの利用や新規発行、住宅ローンなどの借り入れができなくなる。 故に、弁護士事務所が債務整理を受任する際には、「債務者と面談を行い、債務の内容や生活状況等を聴取しなければならない」と、日本弁護士連合会の規定で決められている。ところが、昨今はやりの債務整理では、「弁護士による面談が行われていないと思われるケースが多い」と複数の貸金業者は話す。 というのも、弁護士が少人数しかいない事務所が、24時間フル稼働しても面談し切れないほど多数の債務者を全国から集めている事例があるからだ。こうした事務所では事務員が対応しているもようで、いわゆる「非弁行為」に当たる可能性が高い。 実際、18年に弁護士法違反の容疑で弁護士法人のあゆみ共同法律事務所が大阪地方検察庁特捜部の捜索を受け、所属していた弁護士たちが罪に問われた。経営コンサル会社HIROKEN(ヒロケン)が派遣した事務員に、弁護士の名義を利用させて債務整理を行っていたためだ。 まさに、非弁行為があったわけだが、この事件のポイントは経営コンサル会社が主導していたとみられる点だ。司法制度改革によって弁護士の数が激増し、過当競争により仕事にあぶれる弁護士が急増した。それを機に、非弁行為に取り込まれた可能性が高い。 今はやりのカジュアルな債務整理の激増も、これと似た構図だ。最近、勢力を拡大しているある士業専門の経営コンサル会社は、「送金管理手数料だけで毎月1.5億円を稼ぎ、それを傘下の弁護士事務所と経営コンサル会社で分け合っている」とのうわさもある。 これは弁護士職務基本規定に反する行為であり、債務整理ビジネスをエコシステム化し、生活費に困窮している若年層を食い物にしていると言わざるを得ない。弁護士としての矜持が問われている』、「最近、勢力を拡大しているある士業専門の経営コンサル会社は、「送金管理手数料だけで毎月1.5億円を稼ぎ、それを傘下の弁護士事務所と経営コンサル会社で分け合っている」とのうわさもある。 これは弁護士職務基本規定に反する行為であり、債務整理ビジネスをエコシステム化し、生活費に困窮している若年層を食い物にしていると言わざるを得ない。弁護士としての矜持が問われている」、ここまで酷いビジネスを展開しているとは、初めて知ると同時に、驚いた。

第三に、3月26日付け東洋経済オンライン「住宅ローンのフラット35、金利「独歩高」の忍耐期 機構が「身銭」を切り、変動金利型に対抗へ」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/743427
・『住宅金融支援機構が提供する、長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の利用が低迷している。2023年度の利用戸数は、2008年度以来15年ぶりの低水準となる見通しだ。見かねた機構は「身銭」を切って金利を引き下げ、根強い人気を誇る変動金利型との競争に参戦し始めた。 「昨今の金融情勢が続く限り、落ち込みは避けられない」。機構の幹部は肩を落とす』、「長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の利用が低迷・・・見かねた機構は「身銭」を切って金利を引き下げ、根強い人気を誇る変動金利型との競争に参戦し始めた」、「機構」が「「身銭」を切って金利を引き下げ」とは驚かされた。
・『足元は変動金利型が優勢  フラット35の利用戸数は、2023年4~12月の累計で約2.5万戸だった。2024年に入って復調しているものの、通期でも4万戸をやや超える程度となる見通しだ。5万戸割れは2008年度以来となる。 足元の住宅ローン市場は、低金利が売りの変動金利型が優勢だ。機構の調査によれば、2023年4~9月に住宅ローンを利用した人の74.5%は、変動金利型を選んだ。前年同期の69.9%から上昇している。) かつてフラット35は、金利の先高観を懸念する顧客からの底堅い需要があった。ところが、2022年からフラット35の金利が目に見えて上昇し始め、今年3月時点での最頻値は1.84%(返済期間21年〜35年)。0.5%前後で横ばいを保つ変動金利との差が鮮明となり、顧客に敬遠されている。 フラット35の独歩高の背景にあるのが長短金利差だ。固定金利型の住宅ローンは長期金利を、そして変動金利型は短期金利を参照する。 長期金利は2022年から上昇が顕著になり、2022年末や2023年7月、10月と日本銀行が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)の運用を柔軟化し、長期金利の上昇を容認したことで拍車がかかった。対照的に、短期金利はマイナス圏に抑え込まれ続け、長短金利差は拡大の一途をたどる』、「短期金利はマイナス圏に抑え込まれ続け、長短金利差は拡大の一途をたどる」、なるほど。
・『固定と変動の金利差は縮まりそうにない  日銀はこのほど、マイナス金利政策の解除を決断したものの、固定と変動の金利差は当分縮まりそうにない。 住宅ローン比較サイト「モゲチェック」を運営するMFSの塩澤崇取締役COO(最高執行責任者)は、「変動金利は競争が激しく、各行は金利を上げられないだろう。一方、フラット35のような長期固定金利も、アメリカの利下げが始まるまでは高止まり状態が続く」と話す。 3月21日には、SBI新生銀行が住宅ローンの変動金利を年0.42%から0.29%へと引き下げるキャンペーンを打ち出した。 金利上昇が機構にもたらす影響は大きい。機構は銀行のように預金を集めておらず、代わりに金融機関から買い取った住宅ローン債権を担保に債券(MBS)を発行し、資金を調達している。満期までの期間が長いMBSは、投資家から求められる利回りも長期金利の動向に左右される。 機構が発行するMBSの表面利率は、2022年の秋口までは0.5%前後で推移していたが、2022年末には1%を突破。2024年3月発行分は1.14%にまで上がっている。資金調達費用が上昇した分はフラット35の金利に転嫁せざるを得ず、競争の激しい変動金利型との差は広がる一方だ。 フラット35の退潮は、金融機関側にも対応を迫る。主要取扱金融機関であるSBIアルヒは、2023年8月に変動金利型の新たな住宅ローン商品を投入した。同社の融資実行件数は近年落ち込んでおり、変動金利型の商品で埋め合わせたい考えだ。 こうした「フラット離れ」を、機構も指をくわえて見ているわけではない。2022年秋には、機構の発行するMBSの利率が上昇したにもかかわらず、フラット35の金利をむしろ引き下げた。自らの利ザヤを削って、金利上昇の影響を抑える動きだ』、「「フラット離れ」を、機構も指をくわえて見ているわけではない。2022年秋には、機構の発行するMBSの利率が上昇したにもかかわらず、フラット35の金利をむしろ引き下げた。自らの利ザヤを削って、金利上昇の影響を抑える動きだ」、「機構」も「自らの利ザヤを削って、金利上昇の影響を抑える」とは苦しい対応だ。
・『新商品投入だが「時間稼ぎ」との側面も  そして2024年2月、機構が満を持して投入したのが「フラット35子育てプラス」だ。子育て世帯を対象に金利を優遇する新商品で、子どもの人数が多かったり、省エネ住宅の取得や地方移住などの条件を満たしたりすると、借り入れ時から5年間、金利が最大で1%下がる。 変動金利型にも対抗できる優遇幅が奏功してか、機構によれば、子育てプラスの投入後、フラット35の利用件数は回復基調にあるという。 とはいえ、大胆な金利優遇は両刃の剣でもある。子育てプラスによる金利優遇の原資としては、2023年11月に成立した補正予算で国から約15億円が拠出される。ただし全額が賄われるわけではなく、一部は機構の持ち出しとなる。「(子育てプラスは)いつまでも続けられる施策ではない」(機構幹部)とし、予算が尽きた時点で受け付けを終了する。 新商品は子育て世帯の住宅取得支援という意味合いに加えて、長短金利差が縮むまでの「時間稼ぎ」との側面もにじむ。2024年も、機構にとって我慢の年となりそうだ』、「「(子育てプラスは)いつまでも続けられる施策ではない」(機構幹部)とし、予算が尽きた時点で受け付けを終了する。 新商品は子育て世帯の住宅取得支援という意味合いに加えて、長短金利差が縮むまでの「時間稼ぎ」との側面もにじむ。2024年も、機構にとって我慢の年となりそうだ」、「機構」も大変なようだ。
タグ:「カジュアルな債務整理 高額な弁護士報酬が発生」、なるほど。 個人債務問題 「債務整理」とは暗いイメージだが、「カジュアルな債務整理」には「暗さ」がなく、言い得て妙だ。それにしても「借金救済制度をうたったテンプレートを経営コンサルティング会社や広告会社が用意し、それを多くの士業が利用」、とは恐れ入る。 「最新の債務整理ビジネスのスキーム」とは興味深そうだ。 ダイヤモンド・オンライン「「国が認めた借金減額」SNS広告で若年層を食い物に!経営コンサルと弁護士事務所の深い闇」 「物件を販売した不動産会社」も「連絡が取れなくなった」とは無責任の極みだが、「アンケートのようなものだから答えなくていいと言われ、私もそういうものなのかと楽観的に捉えてしまった」、という佐藤さんにも責任がある。「一括返済」要求に応じる必要がある。 「購入から1年後、佐藤さんの元に届いたのは、住宅金融支援機構からの居住確認でした。 「不動産会社に手紙が来たということを言ったときに、アンケートのようなものだから答えなくていいと言われ、私もそういうものなのかと楽観的に捉えてしまった」(佐藤さん) 最終的に居住実態がないことが確認され、佐藤さんは住宅支援機構から残ったローンの一括返済を求められました。その後、物件を販売した不動産会社とは、連絡が取れなくなったといいます」、 「若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ(テレ東BIZ)」 テレ東BIZ「若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ(テレ東BIZ)」 Girls Channel (その4)(若者が陥る不動産投資のワナ 「フラット35」の不正利用が相次ぐ(テレ東BIZ)、「国が認めた借金減額」SNS広告で若年層を食い物に!経営コンサルと弁護士事務所の深い闇、住宅ローンのフラット35 金利「独歩高」の忍耐期 機構が「身銭」を切り 変動金利型に対抗へ) 「「(子育てプラスは)いつまでも続けられる施策ではない」(機構幹部)とし、予算が尽きた時点で受け付けを終了する。 新商品は子育て世帯の住宅取得支援という意味合いに加えて、長短金利差が縮むまでの「時間稼ぎ」との側面もにじむ。2024年も、機構にとって我慢の年となりそうだ」、「機構」も大変なようだ。 「「フラット離れ」を、機構も指をくわえて見ているわけではない。2022年秋には、機構の発行するMBSの利率が上昇したにもかかわらず、フラット35の金利をむしろ引き下げた。自らの利ザヤを削って、金利上昇の影響を抑える動きだ」、「機構」も「自らの利ザヤを削って、金利上昇の影響を抑える」とは苦しい対応だ。 「短期金利はマイナス圏に抑え込まれ続け、長短金利差は拡大の一途をたどる」、なるほど。 「長期固定金利の住宅ローン「フラット35」の利用が低迷・・・見かねた機構は「身銭」を切って金利を引き下げ、根強い人気を誇る変動金利型との競争に参戦し始めた」、「機構」が「「身銭」を切って金利を引き下げ」とは驚かされた。 東洋経済オンライン「住宅ローンのフラット35、金利「独歩高」の忍耐期 機構が「身銭」を切り、変動金利型に対抗へ」 「最近、勢力を拡大しているある士業専門の経営コンサル会社は、「送金管理手数料だけで毎月1.5億円を稼ぎ、それを傘下の弁護士事務所と経営コンサル会社で分け合っている」とのうわさもある。 これは弁護士職務基本規定に反する行為であり、債務整理ビジネスをエコシステム化し、生活費に困窮している若年層を食い物にしていると言わざるを得ない。弁護士としての矜持が問われている」、ここまで酷いビジネスを展開しているとは、初めて知ると同時に、驚いた。
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

NHK問題(その7)(稲葉NHKに喧嘩を売った…前会長の前田晃伸氏はみずほFG出身の「無類の硬骨漢」、「完全に冤罪 よくあんな乱暴な処分をしたな」NHK“前田晃伸前会長の変”に新たな展開、【音声入手】NHK首脳が頼みの綱は「税金」と明言!受信料収入激減で“脱・公共放送”シナリオが浮上) [メディア]

NHK問題については、昨年6月2日に取上げた。今日は、(その7)(稲葉NHKに喧嘩を売った…前会長の前田晃伸氏はみずほFG出身の「無類の硬骨漢」、「完全に冤罪 よくあんな乱暴な処分をしたな」NHK“前田晃伸前会長の変”に新たな展開、【音声入手】NHK首脳が頼みの綱は「税金」と明言!受信料収入激減で“脱・公共放送”シナリオが浮上)である。

先ずは、本年1月20日付け日刊ゲンダイが掲載した金融ジャーナリストの小林佳樹氏による「稲葉NHKに喧嘩を売った…前会長の前田晃伸氏はみずほFG出身の「無類の硬骨漢」」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/334981
・『NHKの次期中期経営計画案(2024~26年度)に対する意見募集(パブリックコメント)に、昨年1月まで会長だった前田晃伸氏(79)が意見を寄せていたことが朝日新聞の取材で明らかになった。 意見書は400字詰めの原稿用紙5枚にボールペンで手書きされており、前田氏時代に導入された人事制度改革が稲葉延雄・現会長の下で見直しが進められていることに対し「新体制となり、改革派の職員は、次々と姿を消す事態となった。(昨年)1月以降、経営改革は止まり、古い体制を維持する方向にカジを切ったことは、誠に残念」と痛烈に批判している。 また、今年度予算で未認可の衛星放送の配信業務に絡む不適切な支出の決定に前田氏が関わっていたとして、退職金が10%減額支給された問題にも言及。決定は専門家が放送法に抵触すると指摘しているが、「『冤罪デッチ上げ事件』だ」「放送法違反のおそれがあるという指摘は、完全に間違い」と記している。 これに対し、1月9日に記者会見した稲葉会長は、前田氏の主張について「私の役割は、(前田氏の)『改革の検証と発展』だ。改革を否定しているわけではないので残念」と述べた』、「前田前会長」の「意見書は400字詰めの原稿用紙5枚にボールペンで手書きされており、前田氏時代に導入された人事制度改革が稲葉延雄・現会長の下で見直しが進められていることに対し「新体制となり、改革派の職員は、次々と姿を消す事態となった。(昨年)1月以降、経営改革は止まり、古い体制を維持する方向にカジを切ったことは、誠に残念」と痛烈に批判」、なるほど。
・前代未聞の聴取  前田氏が「冤罪デッチ上げ」と指摘した事件は、衛星放送番組のインターネット配信の整備費約9億円の支出について、22年12月に前田氏や理事ら計9人が承認した稟議プロセスが不透明だというもの。稲葉会長はその解明のため4月の理事会で特命監査を指示。稟議に関わった前田氏や理事らを5月上旬にかけて聴取した。特命監査での会長経験者の聴取は前代未聞だった。 「この特命監査での遺恨が今回の前田氏の異例の意見書につながっていることは確かだ。前田氏はみずほ時代から超がつく堅物で有名だった。ストイックで、人一倍プライドが高い。特命監査で不正を問われたことに我慢がならなかったのだろう」(メガバンク幹部)という。 前田氏をよく知る財界関係者も、「前田氏はみずほフィナンシャルグループ(FG)の社長・会長時代から誰よりも先に出社し、真冬でも暖房を入れず、ダウンを着込んで我慢するほどの硬骨漢だ」と指摘する。 前田氏の故郷は福沢諭吉ゆかりの大分県中津市。地元の進学校・中津南高校を経て、東大法学部に進学し、みずほFGの前身のひとつ富士銀行に入行した。「みずほ誕生を主導した山本恵朗頭取に可愛がられ、みずほFGのトップに上り詰めた」(みずほ関係者)とされる。実父は弁護士で、「前田氏はみずほFGの社長・会長の後、国家公安委員に就いたことに、これで親孝行ができたと喜んでいた」(同)という。 その前田氏に、こともあろうか法的責任を突き付けた稲葉会長の行動は、終生許すことはできないということだろう』、「衛星放送番組のインターネット配信の整備費約9億円の支出について、22年12月に前田氏や理事ら計9人が承認した稟議プロセスが不透明だというもの。稲葉会長はその解明のため4月の理事会で特命監査を指示。稟議に関わった前田氏や理事らを5月上旬にかけて聴取した。特命監査での会長経験者の聴取は前代未聞・・・前田氏はみずほフィナンシャルグループ(FG)の社長・会長時代から誰よりも先に出社し、真冬でも暖房を入れず、ダウンを着込んで我慢するほどの硬骨漢だ・・・その前田氏に、こともあろうか法的責任を突き付けた稲葉会長の行動は、終生許すことはできないということだろう」、なるほど。

次に、2月15日付け文春オンライン「「完全に冤罪。よくあんな乱暴な処分をしたな」NHK“前田晃伸前会長の変”に新たな展開」を紹介しよう。
・『「完全に冤罪。よくあんな乱暴な処分をしたなと」 こうため息をつくのはNHK前会長の前田晃伸氏(79)。「新旧会長の対立」で揺れるNHK。事件は内部監査室で起こった』、興味深そうだ。
・『「放送法違反に当たる恐れがあった」前田氏に異例の処分が下る  ことの発端は、昨年10月にNHKが募集したパブリックコメント(一般からの意見募集)だった。ここに実名で投書し、現経営陣を痛烈に批判したのが、前田氏だ。特に「冤罪デッチ上げ事件」と強い言葉で非難したのが「BS番組のインターネット同時配信をめぐる問題」だった。経済部デスクが解説する。 「まだ放送法で認められておらず、総務省の認可が必要なこの事業に“前田体制”下で約9億円の予算がついた。23年に後任会長に就任した稲葉延雄氏(73)は『そのまま進んでいたら放送法違反に当たる恐れがあった』として、前田氏の退職金を10%減額とする異例の処分を下しました」』、「「まだ放送法で認められておらず、総務省の認可が必要なこの事業(BS番組のインターネット同時配信)に“前田体制”下で約9億円の予算がついた。23年に後任会長に就任した稲葉延雄氏(73)は『そのまま進んでいたら放送法違反に当たる恐れがあった』として、前田氏の退職金を10%減額とする異例の処分、なるほど。
・『前内部監査室長であるA氏に“冤罪疑惑”が浮上  これにパブコメで猛抗議したのが前田氏というわけだ。小誌が前々号で直撃すると、予算をつけたのは「ネット配信の準備のため」であり、なんら法的な問題はなかったと改めて主張。「(稲葉氏は)もっと謙虚に仕事したほうがいい」と吼えた。そして今回、「新旧会長対立」に新展開が。 前内部監査室長であるA氏の“冤罪疑惑”です。昨年12月21日、NHKは内部監査資料を持ち出したことなどを理由として、A氏を含めた内部監査室の職員3名に停職1カ月の懲戒処分を命じた。A氏は『自分は規程違反はしていない』と訴えたのですが、聞き入れられなかった。一連の経緯について口外しないよう、“念書”まで書かされていました」(NHK関係者)』、「昨年12月21日、NHKは内部監査資料を持ち出したことなどを理由として、A氏を含めた内部監査室の職員3名に停職1カ月の懲戒処分を命じた。A氏は『自分は規程違反はしていない』と訴えたのですが、聞き入れられなかった。一連の経緯について口外しないよう、“念書”まで書かされていました」、「“念書”まで書かされていました」とは驚くべきことだ。

第三に、3月25日付けダイヤモンド・オンライン「【音声入手】NHK首脳が頼みの綱は「税金」と明言!受信料収入激減で“脱・公共放送”シナリオが浮上」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/340876
・『「道は二つあります。一つは完全民営化。もう一つは税金です」。NHKの井上樹彦副会長は2023年秋、若手職員を前に臆することなく、NHKの今後の選択肢について、そう強調した。人口減とテレビ離れの加速で、NHKの受信料収入の激減は待ったなし。特集『変局!岐路に立つNHK』(全8回)の#1では、NHK首脳が予見する今後のNHKの絵姿に加え、“生き残り策”を発言内容から明らかにしていく』、興味深そうだ。
・『放送法の改正案が閣議決定 スマホでNHK視聴に受信料  東京・渋谷、自然豊かな代々木公園を背にした場所に、その放送局はある。国内唯一の公共放送機関である日本放送協会(NHK)だ。NHKの社員数は1万0343人(2022年3月時点)。日本で最も大きな放送局である。 この巨大組織が今、大きな“転換点”を迎えている。放送法の見直しだ。1950年に制定された放送法は、第64条で「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、同項の認可を受けた受信契約の条項で定めるところにより、協会と受信契約を締結しなければならない」と定めている。受信設備とはテレビを指し、この条文が受信料徴収の根拠となってきた。 一方、視聴者はスマートフォンやパソコンでNHKのニュースサイトや動画を閲覧しても、受信料は徴収されなかった。ネットコンテンツは「理解増進情報」とされており、テレビ放送を補完するものという位置付けだったためだ。 しかし、政府は3月1日に放送法改正案を閣議決定した。今国会で成立すれば、インターネット活用業務は放送と同格の「必須業務」となる。これにより、NHKはウェブ上での同時配信や見逃し配信、番組情報の発信が義務となる。 その上、NHKの今後を大きく左右しかねない変更が、スマホやパソコンなどでのNHKの視聴に対して受信料が徴収できるようになることだ。ただし、NHKのアプリなどの登録者から受信料を徴収するもので、スマホを保有するだけでは契約義務は生じない。 人口減とテレビ離れの加速で、今後、NHKの受信料収入は先細りしていく可能性が高い。放送法改正案に盛り込まれた“ネット受信料解禁”は、公共放送を支える最後の切り札になり得るのだろうか。 実は、NHKの首脳は現状に楽観的ではないようだ。ダイヤモンド編集部は、NHK首脳が昨秋、若手職員に対して今後のNHKについて語った音声を入手した。発言はプロパー職員のトップである現副会長・井上樹彦氏のものだ。 井上氏は、今後の受信料収入に関して悲観的な見方を示した上で、大胆にも今後NHKが取るべき道を開陳している。そこには「税金」というキーワードも登場する。次ページで、井上氏の発言の全容について明らかにしていく』、NHK内部の本音の見方とはますます興味深そうだ。
・『受信料収入は10分の1まで減少も 二つある道のうち一つは「税金」  NHKの受信料収入は、不祥事が続き、不払い運動が起こった05年度を底に、右肩上がりで伸びてきた。しかし、足元では18年度の7122億円をピークに減少傾向が続いている。 (図_NHKの受信料収入の推移 はリンク先参照) 背景にはテレビを持たない世帯の増加などで、受信料の世帯支払率が減少していることだけではなく、そもそも人口減により契約対象世帯数が減っていることもある。23年10月に受信料の1割値下げに踏み切ったことで、24年度の受信料収入は06年度以来の6000億円割れとなる見通しだ。 国立社会保障・人口問題研究所が公表している「日本の世帯数の将来推計」によると、40年の総世帯数は23年の5419万世帯から、5076万世帯にまで落ち込むとされる。現在の世帯支払率で単純計算すると、受信料収入は5760億円ほどにとどまる。もちろん、テレビ離れがより加速すれば、さらなる下振れ要因となる。 今回の放送法改正案が成立すれば、ネット視聴に対して受信料を徴収できるようになる。だが、NHKの首脳は、これが悪い方向に作用する事態を想定しているようだ。井上氏はこう語る。 「(アプリはテレビと違って)スマホからもうワンアクション、ツーアクションが必要だ。アクションをしてもらえないと、受信料をもらえないわけだ。そこで何が起きるかというと、消費者、受信者からすると比較考慮する。ヤフーのポータルサイトを見ていれば(記事は)無料だから、NHKのアプリは要らないと(なる)。そしたら、そこで受信料は入ってこなくなる」 つまり、テレビと比べると、アプリはそもそもダウンロードしてもらわないと受信料を徴収できない。そして、その手間が大きな打撃となるということだ。 加えて、井上氏はこんな悲観シナリオを打ち明けた。「今、アプリのダウンロード数は10分の1ですよ。このままいくとね、収入が1割減どころか10分の1まで減少する可能性がある」 将来的に受信料収入が先細るという見通しを前提に、井上氏は続けて、NHKの在り方にすら関わる重大な“選択肢”を挙げる。 「道は二つあります。一つは完全民営化。もう公共放送はなくなる。もう一つは税金ですよ」 税金が意味するところは、「国営化」である。つまり、NHKの最高幹部の口から、将来的な民営化シナリオに加え、国営化シナリオが発せられたのだ。いずれも長く堅持してきた公共放送機関からの脱却である。 ただし、井上氏はこうも語っている。「そうはいっても(NHKを)なくすわけにはいかない。それこそ、何が正しい情報か分からなくなる。そうすると、1世帯1000円以下にして(続けることになる)。これドイツ型っていいます。ドイツの公共放送はこれやってるんですね。そうすると存続はできるんですよ」。 井上氏が例に挙げたドイツには地域ごとに9つの公共放送が存在する。NHKと同じく受信料によって運営される公共放送の形を取っているが、実態はやや異なる。なぜなら、国民はテレビやスマートフォン、パソコンの保有の有無に関わらず、受信料を納める義務を負っているからだ。いわば、“税金”といえる。 井上氏が示した民営化と国営化という二つのシナリオは現実的といえるのだろうか。 仮に完全民営化となれば、広告収入によって運営することになる。だが、現在の放送法は、第83条でNHKが広告収入を得ることを明確に禁止している。広告を導入すれば、番組作りにおいて文化の保存や育成よりも、視聴率が優先されてしまう恐れがあるためだ。 そもそもNHKが公共放送として力を入れる災害報道などは商業ベースでは成立が難しい。完全民営化が広告収入による、受信料制度からの自立を指すのであれば、NHKはコンテンツのみならず、組織そのものの姿も大きく変える必要があるだろう。これは、“存続”といえるだろうか。 一方で、国営化のハードルも高い。井上氏が例に挙げたドイツのように、そもそも受信料を全世帯から徴収する“強制徴収”ですら、事実上は困難だ。そもそも放送法第64条の改正が必要となる。有権者の反発を招きかねない施策に対し、政治家が踏み込むとは考えにくい。 そして、国営化はメディアとしてのNHKを大きく揺るがしかねない。一例が、政治を巡る報道である。税金で運営されるメディアが中立的に国家権力を監視するのは極めて難しい。 井上氏は最後にこう言い放っている。「これからどうやっていくのか。僕らはずいぶん生きてきたからいいんだけどね、20代、30代の人は不安を感じるかもしれない」。発言からは、10年後、20年後の展望を描けない“袋小路”に陥った巨大放送局の苦境がにじんでいる』、「テレビと比べると、アプリはそもそもダウンロードしてもらわないと受信料を徴収できない。そして、その手間が大きな打撃となるということだ。 加えて、井上氏はこんな悲観シナリオを打ち明けた。「今、アプリのダウンロード数は10分の1ですよ。このままいくとね、収入が1割減どころか10分の1まで減少する可能性がある・・・将来的に受信料収入が先細るという見通しを前提に、井上氏は続けて、NHKの在り方にすら関わる重大な“選択肢”を挙げる。 「道は二つあります。一つは完全民営化。もう公共放送はなくなる。もう一つは税金ですよ」 税金が意味するところは、「国営化」である。つまり、NHKの最高幹部の口から、将来的な民営化シナリオに加え、国営化シナリオが発せられたのだ。いずれも長く堅持してきた公共放送機関からの脱却である。 ただし、井上氏はこうも語っている。「そうはいっても(NHKを)なくすわけにはいかない。それこそ、何が正しい情報か分からなくなる。そうすると、1世帯1000円以下にして(続けることになる)。これドイツ型っていいます。ドイツの公共放送はこれやってるんですね。そうすると存続はできるんですよ・・・井上氏が示した民営化と国営化という二つのシナリオは現実的といえるのだろうか。 仮に完全民営化となれば、広告収入によって運営することになる。だが、現在の放送法は、第83条でNHKが広告収入を得ることを明確に禁止している。広告を導入すれば、番組作りにおいて文化の保存や育成よりも、視聴率が優先されてしまう恐れがあるためだ。 そもそもNHKが公共放送として力を入れる災害報道などは商業ベースでは成立が難しい。完全民営化が広告収入による、受信料制度からの自立を指すのであれば、NHKはコンテンツのみならず、組織そのものの姿も大きく変える必要があるだろう。これは、“存続”といえるだろうか。 一方で、国営化のハードルも高い。井上氏が例に挙げたドイツのように、そもそも受信料を全世帯から徴収する“強制徴収”ですら、事実上は困難だ。そもそも放送法第64条の改正が必要となる。有権者の反発を招きかねない施策に対し、政治家が踏み込むとは考えにくい。 そして、国営化はメディアとしてのNHKを大きく揺るがしかねない。一例が、政治を巡る報道である。税金で運営されるメディアが中立的に国家権力を監視するのは極めて難しい。 井上氏は最後にこう言い放っている。「これからどうやっていくのか。僕らはずいぶん生きてきたからいいんだけどね、20代、30代の人は不安を感じるかもしれない」。発言からは、10年後、20年後の展望を描けない“袋小路”に陥った巨大放送局の苦境がにじんでいる」、これはと言う妙案はないようだ。特に、「放送法第64条の改正が必要となる。有権者の反発を招きかねない施策に対し、政治家が踏み込むとは考えにくい」、は残念ながらその通りだ。 
タグ:かねない施策に対し、政治家が踏み込むとは考えにくい」、は残念ながらその通りだ。 そして、国営化はメディアとしてのNHKを大きく揺るがしかねない。一例が、政治を巡る報道である。税金で運営されるメディアが中立的に国家権力を監視するのは極めて難しい。 井上氏は最後にこう言い放っている。「これからどうやっていくのか。僕らはずいぶん生きてきたからいいんだけどね、20代、30代の人は不安を感じるかもしれない」。発言からは、10年後、20年後の展望を描けない“袋小路”に陥った巨大放送局の苦境がにじんでいる」、これはと言う妙案はないようだ。特に、「放送法第64条の改正が必要となる。有権者の反発を招き そもそもNHKが公共放送として力を入れる災害報道などは商業ベースでは成立が難しい。完全民営化が広告収入による、受信料制度からの自立を指すのであれば、NHKはコンテンツのみならず、組織そのものの姿も大きく変える必要があるだろう。これは、“存続”といえるだろうか。 一方で、国営化のハードルも高い。井上氏が例に挙げたドイツのように、そもそも受信料を全世帯から徴収する“強制徴収”ですら、事実上は困難だ。そもそも放送法第64条の改正が必要となる。有権者の反発を招きかねない施策に対し、政治家が踏み込むとは考えにくい。 はこれやってるんですね。そうすると存続はできるんですよ・・・井上氏が示した民営化と国営化という二つのシナリオは現実的といえるのだろうか。 仮に完全民営化となれば、広告収入によって運営することになる。だが、現在の放送法は、第83条でNHKが広告収入を得ることを明確に禁止している。広告を導入すれば、番組作りにおいて文化の保存や育成よりも、視聴率が優先されてしまう恐れがあるためだ。 「道は二つあります。一つは完全民営化。もう公共放送はなくなる。もう一つは税金ですよ」 税金が意味するところは、「国営化」である。つまり、NHKの最高幹部の口から、将来的な民営化シナリオに加え、国営化シナリオが発せられたのだ。いずれも長く堅持してきた公共放送機関からの脱却である。 ただし、井上氏はこうも語っている。「そうはいっても(NHKを)なくすわけにはいかない。それこそ、何が正しい情報か分からなくなる。そうすると、1世帯1000円以下にして(続けることになる)。これドイツ型っていいます。ドイツの公共放送 「テレビと比べると、アプリはそもそもダウンロードしてもらわないと受信料を徴収できない。そして、その手間が大きな打撃となるということだ。 加えて、井上氏はこんな悲観シナリオを打ち明けた。「今、アプリのダウンロード数は10分の1ですよ。このままいくとね、収入が1割減どころか10分の1まで減少する可能性がある・・・将来的に受信料収入が先細るという見通しを前提に、井上氏は続けて、NHKの在り方にすら関わる重大な“選択肢”を挙げる。 NHK内部の本音の見方とはますます興味深そうだ。 ダイヤモンド・オンライン「【音声入手】NHK首脳が頼みの綱は「税金」と明言!受信料収入激減で“脱・公共放送”シナリオが浮上」 「昨年12月21日、NHKは内部監査資料を持ち出したことなどを理由として、A氏を含めた内部監査室の職員3名に停職1カ月の懲戒処分を命じた。A氏は『自分は規程違反はしていない』と訴えたのですが、聞き入れられなかった。一連の経緯について口外しないよう、“念書”まで書かされていました」、「“念書”まで書かされていました」とは驚くべきことだ。 「「まだ放送法で認められておらず、総務省の認可が必要なこの事業(BS番組のインターネット同時配信)に“前田体制”下で約9億円の予算がついた。23年に後任会長に就任した稲葉延雄氏(73)は『そのまま進んでいたら放送法違反に当たる恐れがあった』として、前田氏の退職金を10%減額とする異例の処分、なるほど。 文春オンライン「「完全に冤罪。よくあんな乱暴な処分をしたな」NHK“前田晃伸前会長の変”に新たな展開」 は、終生許すことはできないということだろう」、なるほど。 「衛星放送番組のインターネット配信の整備費約9億円の支出について、22年12月に前田氏や理事ら計9人が承認した稟議プロセスが不透明だというもの。稲葉会長はその解明のため4月の理事会で特命監査を指示。稟議に関わった前田氏や理事らを5月上旬にかけて聴取した。特命監査での会長経験者の聴取は前代未聞・・・前田氏はみずほフィナンシャルグループ(FG)の社長・会長時代から誰よりも先に出社し、真冬でも暖房を入れず、ダウンを着込んで我慢するほどの硬骨漢だ・・・その前田氏に、こともあろうか法的責任を突き付けた稲葉会長の行動 「前田前会長」の「意見書は400字詰めの原稿用紙5枚にボールペンで手書きされており、前田氏時代に導入された人事制度改革が稲葉延雄・現会長の下で見直しが進められていることに対し「新体制となり、改革派の職員は、次々と姿を消す事態となった。(昨年)1月以降、経営改革は止まり、古い体制を維持する方向にカジを切ったことは、誠に残念」と痛烈に批判」、なるほど。 小林佳樹氏による「稲葉NHKに喧嘩を売った…前会長の前田晃伸氏はみずほFG出身の「無類の硬骨漢」」 日刊ゲンダイ (その7)(稲葉NHKに喧嘩を売った…前会長の前田晃伸氏はみずほFG出身の「無類の硬骨漢」、「完全に冤罪 よくあんな乱暴な処分をしたな」NHK“前田晃伸前会長の変”に新たな展開、【音声入手】NHK首脳が頼みの綱は「税金」と明言!受信料収入激減で“脱・公共放送”シナリオが浮上) NHK問題
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感