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TPPと日米協議問題 [外交]

今日の日経新聞夕刊によれば、「9合目の攻防、未明まで 日米TPP協議合意持ち越し 日本、車関税の撤廃を 米国、コメ輸入増迫る」と題して、3日間にわたる閣僚協議が一定の前進を示し、5月中の大筋合意を目指し、参加12カ国による全体交渉の妥結に望みをつなぐ、と報じた。USTRのフロマン代表とやり合う甘利担当大臣には、ご苦労さまであるが、ハードな交渉をしたと日米双方の国内向けに示す「芝居」といった側面もあるのではないか。
環太平洋経済連携協定(TPP)の問題は大き過ぎるので、今回は、本来は多国間協議の筈なのに、二国間協議が焦点となった点に絞って、取り上げてみよう。これについては、大和総合研究所の2013年8月21日付けのレポート「片務的なTPP日米並行協議の問題点」が分かり易い。この「1.結局日米二国間協議の場に引きずり出された日本」によれば、「米国との二国間交渉を避けたかった日本であったが、結局我が国のTPP交渉参加の許諾を米国から得る条件として、TPP交渉と並行して米国との間で米国の関心分野である自動車、保険、衛生植物検疫措置(SPS:農業)等の非関税障壁について二国間で協議を行い、合意した内容はTPP発効と同時に法的拘束力を持った協定等によって実施されることとなった」とのことである。なお、2.以降は現在ではやや古くなった点もあり、本論とも外れるので、ここでは取り上げない。
http://www.dir.co.jp/library/column/20130821_007573.html

もともと、2006年5月に発足したTPPの「原加盟国」はシンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリの4カ国。その拡大交渉に2008年9月から米国が参加、2011年11月にはオーストラリア、ベトナムなども加わり、包括的な市場アクセスなど対象分野を大幅に広げる拡大交渉で大筋合意。この時に交渉経緯の守秘義務も合意。2012年11月にはカナダ、メキシコも加盟交渉国となった。日本は2011年11月に「参加に向けた協議開始の意向」を表明したが、参加したのは2013年7月と遅れた。これは、参加に必要な拡大交渉会合参加国9か国全ての承諾を取る上で、米国に二国間協議を条件付けられた可能性がある(上記の大和総合研究所レポート)。つまり、拡大交渉に乗り遅れた結果、対米交渉という重い負担を余儀なくされたといえる。対応の遅れたという点では、アジアインフラ投資銀行(AIIB)問題と似ているようだ。多国間協議の場でどれだけ米国を抑えられるのか、そうした余地があるのかすら不明だが、仮に余地が残っているのであれば、そうした外交努力に期待したい。
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コメント 1

佐々木

完全にアメリカにやられているのに隠しているようだね。
by 佐々木 (2015-04-24 14:27) 

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