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安倍政権のマスコミ・コントロール [メディア]

このブログでは、4月19日付けで「安倍政権の放送への「介入」問題」を取上げたが、今日はその続報版として、より幅広く安倍政権のマスコミ・コントロールを取上げよう。
まず第一に、4月20日付けの日刊ゲンダイの「放送局「許認可権」政府支配の陳腐…欧米では独立機関が監督」である。 そのポイントは概ね以下の通り。
・国際ジャーナリストの神保哲生氏によれば、「米国のFCC(連邦通信委員会)、英国のオフコム(Ofcom=情報通信庁)は、いずれも政府から独立した監督・規制機関。日本は直接、総務省が監督する。この制度を変えない限り、政府による放送局のコントロールはなくなりません」。日本の場合、放送局は5年に1度、総務相から放送免許の更新を受けなければならない
・「戦前はメディアが軍部にコントロールされていた。GHQは『電波監理委員会』を作り、放送局の監督機関を政府から独立させた。1952年4月、日本政府が施政権を回復すると、当時の吉田内閣は電波監理委員会をつぶし、逓信省の直接管轄に変えてしまいました」
・放送局側にとっても、免許自体が『既得権』になっているので、その分、政治からの介入に甘んじているところもある。今回のことをキッカケに、制度をいじるいいチャンスだと思うのですが、どうもメディアの側にそうした問題意識は希薄です」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159169

第二に、元経産官僚・古賀茂明氏が、4月16日の外国人記者クラブでの講演で、「放送局は免許、新聞も購読料の独禁法特例維持のため、本格的な政府批判できず」と訴えたことである。下記リンクは英語版
http://www.theguardian.com/world/2015/apr/16/japanese-media-political-pressure-shinzo-abe-critic

第三に、4月27日付けNEWSポストセブンの「日本で権力のメディア操縦は最終段階 監視機能が完全麻痺へ」を紹介しよう。そのポイントは以下の通り。
・自民党がテレビ朝日経営陣を呼びつけて事情聴取する事態にエスカレート。大新聞はようやく社説などで「報道の自由」を叫び始めたが、感度が鈍すぎる
・安倍晋三首相や菅義偉・官房長官はじめ政権幹部たちはこれまでも記者とのオフレコ懇談でメディアを「権力のプロパガンダ機関」に仕立てようとしてきた。権力におもねり、「報道の自由」を行使せず、そうした発言を報じてこなかったのは大新聞
・メディア論では権力のメディア操縦は3段階で進むとされる。第1段階は圧力で政権に不利な報道を規制する。第2段階はメディアのトップを懐柔することで組織として政権批判を自主規制させ、3段階では現場の記者たちが問題意識さえ持たなくなって権力監視機能を完全に麻痺させる
・第2次安倍内閣発足からこれまでの首相と新聞・テレビ局幹部らとの「夜の会食」は2年半でなんと50回
・ジャーナリズム論が専門の門奈直樹・立教大学名誉教授は、今や第3段階に進んでいると指摘。 「メディアが権力と一定の距離を置くべきというのは市民革命以来の先進国の常識。メディアのトップが総理大臣と会食を重ねることは権力との癒着の象徴であり、言語道断。欧米では、メディアは市民の側に立って権力が市民の権利に立ち入ろうとするのを監視するウォッチドッグ(番犬)と呼ばれる。だが、この番犬にはテリアとプードルの2種類あり、愛想のいいプードルメディアはすぐ権力に尻尾を振っていいなりになる。中には権力と一緒になって政治を進めようとするガードドッグ(護衛犬)までいる。政治部記者にはガードドッグが増えている」
http://www.news-postseven.com/archives/20150427_318900.html

第四に、「ガードドッグ」ぶりを5月1日付け日刊ゲンダイが「安倍首相“側近記者”が大ピンチ…国会議員が怒りの刑事告訴:産経が安倍を批判する議員を攻撃」と題して伝えている。そのポイントは以下の通り。
・民主党の小西洋之・参院議員が、自民党の憲法改正草案について国会で安倍首相を舌鋒鋭く攻め立てた直後、産経新聞・政治部編集委員の阿比留瑠比氏から自身のフェイスブックで人格攻撃されたとして、阿比留瑠比氏を名誉棄損で刑事告訴。
・小西議員は、 「私が国会で安倍総理の暴挙を追及するたびに、産経新聞は総理を懸命に擁護し、私を不当におとしめる記事を書いている。NHK中継の国民の目の前で『平和主義の切り捨て』という解釈改憲の本丸を突き崩され、ついにそれでは足りなくなったのか。阿比留氏の批判は全くの事実無根であり、『ある議員』も堂々と名乗り出ていただきたい」
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/159469/1

第五に、5月7日付け東洋経済オンラインで法政大学教授の水島 宏明氏が「テレビ朝日の報道が「マイルドブレンド化」?メディアが政府に牙を抜かれる異常事態」と題して寄稿した記事を紹介しよう。そのポイントは以下の通り。
・テレビ朝日の憲法記念日の報道は精彩を欠いていた
・同社社長は、再発防止策として「コメンテーター室(仮称)」を新設するとしたが、これは、「外部の人間であっても局の方針に反するような自由なコメントは許さないという決意表明」
・コメンテーターが「会社の顔色」などを見だしたら、とたんにテレビ番組はつまらなくなる
・すべてのニュース報道に関して、毎回毎回「多様な意見を吸い上げ」ていたら、その内容は「マイルドブレンド化」する。発掘されていない「事実」を究明しようとする使命感や緊張感よりも、いろいろな人の「主張」を取り入れようとする気遣いや配慮ばかりが前面に出てくるだろう。その結果、権力をチェックするのが最大の役割であるはずの報道機関が本来の役割を果たすことができないというジレンマが生まれてくる。
・過去の誤報やねつ造などは強く反省し、再発防止策を講じる必要がある。しかし、それはあくまで自主的に行うべきだ。権力からの干渉は断固として受け入れず、独立性を守ることこそが、国民の知る権利に応える報道機関としての基礎
http://toyokeizai.net/articles/-/68774

権力のメディア操縦が既に第3段階に突入しているとすれば、こうした憂うべき状況は、当面ますます酷くなる懸念が強そうだ。昨日取上げた、「報道の自由度」も低迷を余儀なくされるだろう。安倍首相は発言の上では「民主主義」を連発しながら、実際にはその基礎を自ら破壊しているといえよう。

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