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機能性表示食品制度 [経済政策]

今日は4月から始まった機能性表示食品制度を取上げよう。
この制度の概要については、3月31日付けの東洋経済オンライン「メーカーが虎視眈々、「機能性表示食品」とは? 国が認める機能性表示で3つ目の制度が開始」が分かり易いので紹介しよう。そのポイントは以下の通り。
・これまでは、食品について効果や機能を表示することは、原則として認められず、健康食品で国がそれを認めているのは、特定保健用食品(トクホ)と栄養機能食品だけだった
・政府の成長戦略の一環で、「健康食品の『機能性表示』を解禁します」と安倍首相が宣言したのが2013年。その後、制度化に向けた議論が重ねられ、4月から機能性表示制度が開始
・トクホは、国の販売許可を得るまでに多大な費用と時間を要するため、人員や資金余力が限られる中小企業には“敷居”が高い
・栄養機能食品は、国の基準さえ満たせば表示できる点でハードルは低いものの、成分ごとに使える文言が決まっている
・新たな機能性表示制度は届出制。国による個別審査はなく、企業自身の責任で科学的根拠のある機能性を食品に表示できるのが最大の特長。要は、トクホよりも手続きが簡素で、栄養機能食品よりも表示の自由度が高い
対象は生鮮食品や加工食品、サプリメントなど食品全般
・機能性の表示には、国のガイドラインに沿った安全性・機能性の根拠となる情報を、販売の60日前までに消費者庁に届け出る必要
・もっとも、企業の期待には温度差もあり、機能性表示食品がどこまで市場に浸透するのかは未知数
http://toyokeizai.net/articles/-/63480

3つの制度について、より詳細に解説したものは、平成26年版消費者白書の「食品表示の適正化」があるので、ご興味のある方はご覧頂きたい。
http://www.caa.go.jp/information/hakusyo/2014/honbun_1_1_1_2.html

ところが、トクホですら問題が発生。2014年3月13日付けの日経新聞は、「トクホ、2社で不適切表示 消費者庁、各社に点検要請」と伝えた。さらに、1999に食用油として初めてトクホに認定された花王の「健康エコナクッキングオイル」では、発ガン性の疑いが判明、2009年10月に同社はトクホを取り下げ、自主回収
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%82%B3%E3%83%8A

また、本年4月28日付けの日経新聞は、消費者庁に第1弾として受理された11商品のなかに、トクホを審査する専門委員会が「安全性を確認できない」と指摘した成分が含まれていることが判明したと伝えた。企業側は人体に悪影響はないと反論しているが、専門家は「新制度は安全性に疑いがある商品まで受理される恐れがある」と指摘

日経新聞は5月28日から今日まで「第二のトクホ」シリーズとしてを「広がる市場問われる倫理 品質、見抜けますか」、「生鮮品、科学を味方に 数の子・ミカンも名乗り」、「商機の裏に潜むリスク 下がる参入のハードル」、「米、巨大市場「甘い」規制 お菓子?いえ、サプリです」、「販売・監視専門家育てる 規制緩和 信頼あってこそ」を掲載。
また、同紙は今日の夕刊で「誇大広告、増えているの?「今だけ」や「限定」に要注意」として、「消費者庁が、不当表示を行った事業者に対し、再発防止などを求める『措置命令』を出したケースが2013年度は45件、3年前と比べて倍以上。措置命令までいかない『指導』も13年度に373件と12年度を100件以上上回った」と伝えた。

そもそも、テレビや新聞などでの健康食品の広告はこれまでから目に余るものがあった。消費者庁の摘発は「氷山の一角」に過ぎない。こうした状況が機能性表示食品制度により、生鮮食品や加工食品などにまで広がり、さらに激化するとなるとまさに「ウンザリ」である。成長戦略に「目玉」を欠くからといって、こんなアメリカ直輸入のお粗末な制度を導入する安部政権、広告収入増への期待からそれを正面からは批判できないマスコミの姿勢も困ったものだ。





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コメント 1

佐藤

機能の広告が乱立して困るのは消費者。どうせアメリカからいわれて、制度を作ったんだろうけど、いいかげんにしてもらいたい。
by 佐藤 (2015-06-12 14:18) 

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