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シャープ再建問題(2) [企業経営]

シャープ再建問題については5月18日に取上げたが、今日はその続報版である。
先ずは、元銀行員で経営コンサルタントの小宮一慶氏が、5月22日付けの日経BPnetに寄稿した「シャープは復活できるのか 決算書から経営再建の可能性を読む」を紹介したい。そのポイントは概ね以下の通り。
・液晶、太陽電池事業の不振で巨額の純損失を計上
・キャッシュもギリギリで回している状態
・減資は復配による株主評価の向上が狙い(減資により、利益剰余金を少しでもプラスにしておけば、株主に復配への期待を持たせやすくなる。銀行にはDESで保有する優先株の配当を受けやすくなる)
・DESは返済の猶予による延命措置に過ぎない
・分社化して売却の道を模索している可能性も
・リストラは一時的な業績回復にしかならない(回復の道が見つからない場合には、シャープにとってはどこかの会社にシャープをまるごと買ってもらうのが最善のシナリオ)
http://www.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/129957/052100015/?P=1

次は、5月25日付けダイヤモンド・オンラインの「混迷シャープ 中期計画骨抜きの深層」である。そのポイントは概ね以下の通り。
・耳を疑う内容だったのが、構造改革の一番のポイントとなる液晶事業。数カ月で勝者と敗者が目まぐるしく入れ替わる変動の激しい事業で、リスク管理と収益の想定外の下振れに深く悩まされてきた。今回の赤字転落の主因にも。にもかかわらず、中計で示した計画は引き続きスマートフォン向けに注力しながら、自動車向けのパネル供給という、通常5年先といわれる受注も確定していない分野を伸ばすといった、「希望的観測」の域を出ないもの
・骨抜き計画の深層を探っていくと、見えてくるのは、シャープが「連結債務超過」に陥りかねないほど、存続の危機に立たされていたという事実だ。その事実をひもとくカギになるのが、「後発事象」。一部事業や工場の撤退を14日の中計に可能な限り盛り込んだ場合、監査法人の判断によっては、「後発事象として15年3月期にさかのぼって、損失処理を迫られる可能性があった」
・その場合、「連結で債務超過に陥ることは確実な情勢だった」(同)といい、となると上場廃止基準に片足を突っ込み、東京証券取引所から「2部降格」を宣告される事態に発展。ともすると、法的整理間近のような心証を投資家に与えかねない事態で、シャープにとっても、融資金の貸し倒れだけは避けたい銀行にとっても、連結債務超過だけは、全力で回避しなければならなかった
・後発事象に気を取られ、社員の強い反発を招くような役員人事を見過ごした銀行にも、まだ甘さが残る。銀行幹部は「平身低頭して、婚約相手を探す『汚れ役』をこれからしっかりやってもらわなきゃ」と、副社長2人を残した理由を話すが、追加の人員削減で経営責任が叫ばれているときに、そうした役割を負わせることで続投の理解が得られるのかは微妙だ。「批判はあるかもしれませんが、これからですよ。液晶の分社化も再編もきっちり方向付けします」
http://diamond.jp/articles/-/72067

第三には、5月30日付け東洋経済オンラインの「シャープ新中計に懸念、アップルとすきま風 JDIに乗り換えるアップルの変心がリスクに」である。そのポイントは概ね以下の通り。
・さらなる在庫評価損なら連結債務超過?(全社の実質的な在庫である棚卸資産と未収入金の合計は、前々期末の約4300億円から前期末の約5300億円へと、約1000億円も膨らんでいる。これはさばけない在庫がたまっている証拠。「本来なら、この1000億円も評価損として引き当てるべきで、損失の先送りだ。ただ工場を無理にでも稼働させなければ、その分営業利益が減り、連結債務超過に陥ることに」。「亀山第2工場にはさらなる減損リスク」
・ジャパン・ディスプレイ(JDI)が建設している液晶新工場の稼働は16年の見込み。アップルが投資するアイフォーン専用工場で、業界では「新工場が稼働すれば、シャープがアップルから切られるのではないか」との見方も浮上
http://toyokeizai.net/articles/-/70813

第四には、6月6日付け週刊東洋経済の「シャープ再建に見る銀行の「いつか来た道」」である。そのポイントは概ね以下の通り。
・ニューマネーになるファンド出資250億円はシャープ販管費の20日分に過ぎず
・「債務免除なしで再建可能」と都合のいい前提で話が進み、誰も責任を取らずに先送り
・民事再生法か会社更生法の適用申請し、スポンサーを選ぶのがベスト

以上みたように、事態は想像以上に深刻で、再生はまさに「神頼み」のようだ。
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