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三菱自動車の燃費不正(その2)古いエンジンで挑んだ燃費競争、三菱自動車「相川哲郎」社長の実父「三菱グループの天皇」の驚くべき発言 [企業経営]

三菱自動車の燃費不正については、4月30日に取上げたが、今日は、(その2)古いエンジンで挑んだ燃費競争、三菱自動車「相川哲郎」社長の実父「三菱グループの天皇」の驚くべき発言 である。

先ずは、5月2日付け週刊日経ビジネスの時事深層「スリーダイヤ失墜の必然 追い込まれた三菱自動車」の一部を紹介しよう(▽は小見出し)。
・対策費用が膨れ上がれば単独での生き残りが難しくなり、三菱グループ各社の支援も俎上に。ただ、ガバナンス強化の流れの中でかつての「三菱グループの論理」は通用しにくくなっている。
▽古いエンジンで挑んだ燃費競争
・三菱自動車が日産と共同で軽自動車の企画・開発を手がけるNMKVを設立した2011年当時、国内市場で主力となった軽自動車市場は激しい開発競争に突入していた。続々と始まったエコカー減税や補助金の恩恵を受けようと、軽自動車でも燃費を競うようになった。
・日産は軽自動車の開発・生産への参入を検討したものの、単独で利益を出すことは難しいと判断。軽を扱っていた三菱自動車も台数が少なく生産設備の償却などに課題。その結果、設計や開発は三菱自動車が担い、日産が企画やデザインに口を出すという自動車業界でも異例の提携。
・燃費の目標が引き上げられ、三菱自動車の名古屋製作所の開発現場は追い込まれていた。多くの関係者が「三菱の開発者は厳しい環境に」と証言。スズキやダイハツ工業などに比べて開発費や人材が少ないのに加え、燃費効率を高めることが難しい古いタイプのエンジンを使う「足かせ」も。
・当時、軽自動車の燃費競争では「ロングストローク」と呼ばれるタイプのエンジンが主流になりつつあった。エンジンの気筒の内径を小さくし、ピストンが動く距離を長くすることで効率を上げ、燃費を向上できるからだ。三菱自動車は、2006年のモデル向けに開発した、内径とストロークの長さが同じエンジンを転用せざるを得なかった。生産設備の償却を終えていなかったから。三菱が日産に助けを求めなかったのは、「開発者のプライドがあったのではないか」(三菱自動車の元技術者))・・・
▽本社は宴会、販売店は悲鳴(省略)
▽余裕なき重工、関与深める商事
・三菱重工にとっては、持分法適用会社である三菱自動車の業績悪化による、新たな減損処理のリスクが浮上。事業面では三菱自動車を救済する必要性は薄れている。取引はカーエアコンなどに限られ、数百億円程度。客船事業の特損、MRJの開発費膨張、米原発での1兆円近い賠償請求などから、新たなリスクを抱え込む余裕は乏しい。
・他方、三菱商事にとり、自動車関連事業は収益が計算できる稼ぎ柱だ。アジアや欧州を中心に、輸入販売や販売金融、組み立てやエンジン生産なども手掛けており、関連する保有資産は2015年3月末で約3500億円。人事面でも関与を強めており、要職の多くを三菱商事からの出向者が占めている。(以下省略)

次に、5月5日付け週刊新潮「三菱自動車「相川哲郎」社長の実父「三菱グループの天皇」かく語りき 「自動車は潰さない!燃費なんて誰も気にしていない」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・(相川賢太郎氏の発言)「ルール違反を犯したわけですから、潔く処罰は受けなイカン」 「会社が潰れたら3万人の従業員が路頭に迷うことになるんですから、そんなに簡単に潰せるもんじゃないんです。三菱グループっていうのは、そんなことは絶対にしないですよ」。「金曜会で三菱Gについて話をする必要がある時は、例会の前後に御三家だけが別の部屋で会議。G内主要企業の役員人事も話し合われる」。
・金曜会では三菱自動車だと、益子会長ですら末席。メンバーから仰ぎ見られる立場に長年君臨してきたのが、相川賢太郎相談役、”三菱重工の中興の祖” ”三菱グループの天皇”。 息子は社内では”プリンス”。「問題になったekワゴンの初代モデルの開発者が相川社長だったことから、”社長が開発した車の性能が低いのはマズイ”との考えが現場に働いたのではとの見方も」(全国紙経済部デスク)。
▽コマーシャルだから
・(相川賢太郎氏の発言)「あれはコマーシャルだから。効くのか効かないのか分らないけど、多少効けばいいというような気持ちが薬屋にあると同じでね。自動車も”まあ(リッター)30キロくらい走れば良いんじゃなかろうかという軽い気持ちで出したんじゃないか」 「買う方も、あんなもの(公表燃費)を頼りに買っているんじゃないわけ。商売する人は別だけれど、自動車に乗る人はそんなにガソリンは気にしていない。ekに乗るような人は、税金が安くなるから乗っているんであってね。燃費というものを金火玉条のようにして、その燃費が良いから買うなんて人はいないわけ・・・。それで軽い気持ちでコマーシャルは魅力的に書けばいい、くらいの気持ちでやったんじゃないのか・・・」
▽延期になった卒寿祝い
・「僕はエンジニアが本気になって騙そうと思ってやったことではないと思っている。・・・やっぱり世の中が段々変わってきていますから。会社としては良くないよね。規則があるんだから。コンプライアンスと言っとるんだからね」 「今回、試験をしてデータを出した人達はコマーシャルのつもりでやっているから、罪の意識はないだぞと。だからむやみに咎めちゃイカンぞ、ということを言いたい。僕が社長だったらね、”ああ、これは愛社精神の指導が間違ったんだな”と。社内的には善意なんだろう、と。彼らを咎めちゃいけない。三菱自動車のことを一所懸命考えて過ちを犯しただからね」。
・親子関係で入社はしないのが三菱。息子は三菱重工には入らず、クルマ好きなので三菱自動車に。自分も好きだったが、卒業した頃はまだ自動車工業は発達してなかったので重工に入った。
・野村證券の損失試算では、補償額は425~1040億円。販売した車を全て買取れば総額3000~6000億円

第一の記事では、償却が済んでいないからとの理由で、燃費競争に古いエンジンで挑んだという「蛮勇」に驚かされた。提携していた『日産に助けを求めなかったのは、「開発者のプライドがあったのではないか」』というのも、やがてはバレざるを得ない筈なのに、変に「突っ張った」ものだ。
第二の「三菱グループの天皇」にも、心底から驚かされた。問題を小さく見せたい本音が透けて見える。『「買う方も、あんなもの(公表燃費)を頼りに買っているんじゃないわけ。商売する人は別だけれど、自動車に乗る人はそんなにガソリンは気にしていない』は、ある意味で一面の事実かも知れないが、それをマスコミで平然と援護射撃に使う神経は、図太さを通り越している。共に技術者出身の親子が三菱グループ会社のトップに上りつめたとはいえ、「世間の受け止め」には鈍感だったということなのだろう。
明日、金曜日は更新を休むので、土曜日にご期待を!
タグ:三菱自動車 燃費不正 (その2)古いエンジンで挑んだ燃費競争、三菱自動車「相川哲郎」社長の実父「三菱グループの天皇」の驚くべき発言 週刊日経ビジネス 時事深層 スリーダイヤ失墜の必然 追い込まれた三菱自動車 古いエンジンで挑んだ燃費競争 軽自動車市場は激しい開発競争 軽自動車でも燃費を競うようになった 設計や開発は三菱自動車が担い、日産が企画やデザインに口を出すという自動車業界でも異例の提携 燃費の目標が引き上げられ 開発現場は追い込まれていた 開発費や人材が少ない 燃費効率を高めることが難しい古いタイプのエンジンを使う「足かせ」 ロングストローク 主流になりつつあった 内径とストロークの長さが同じエンジンを転用せざるを得なかった 生産設備の償却を終えていなかったから 日産に助けを求めなかったのは、「開発者のプライドがあったのではないか 三菱重工 新たな減損処理のリスク 新たなリスクを抱え込む余裕は乏しい 三菱商事 自動車関連事業は収益が計算できる稼ぎ柱 週刊新潮 三菱自動車「相川哲郎」社長の実父「三菱グループの天皇」かく語りき 「自動車は潰さない!燃費なんて誰も気にしていない ルール違反を犯したわけですから、潔く処罰は受けなイカン 「会社が潰れたら3万人の従業員が路頭に迷うことになるんですから、そんなに簡単に潰せるもんじゃないんです 三菱グループっていうのは、そんなことは絶対にしないですよ 相川賢太郎相談役 三菱重工の中興の祖 三菱グループの天皇 ekワゴンの初代モデルの開発者が相川社長 、”社長が開発した車の性能が低いのはマズイ”との考えが現場に働いたのではとの見方も コマーシャルだから 買う方も、あんなもの(公表燃費)を頼りに買っているんじゃないわけ 自動車に乗る人はそんなにガソリンは気にしていない。ekに乗るような人は、税金が安くなるから乗っているんであってね 燃費というものを金火玉条のようにして、その燃費が良いから買うなんて人はいないわけ 愛社精神の指導が間違ったんだな”と 社内的には善意 三菱自動車のことを一所懸命考えて過ちを犯しただからね ・野村證券の損失試算 補償額は425~1040億円 販売した車を全て買取れば総額3000~6000億円
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