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東京都知事選挙(その3)「小池劇場」はこれからが本番、小田嶋氏の選挙結果の見方 [国内政治]

東京都知事選挙については、7月27日に取上げたが、結果判明を受けた今日は、(その3)「小池劇場」はこれからが本番、小田嶋氏の選挙結果の見方 である。

先ずは、8月2日付け日経ビジネスオンライン「「小池劇場」はこれからが本番 新党結成も? 永田町で膨らむ警戒と期待」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・東京都知事選は「組織対個人」を強調した元防衛相の小池百合子氏の圧勝に終わった。今後都議会とどう向き合うのか注目される。存在感を高めた小池氏の新党立ち上げ説も浮上しており、「小池劇場」はこれからが本番だ。
・自民党が分裂し、野党4党が参院選に続き共闘する構図となった今回の都知事選。終わってみれば、自民党都連との対決色を鮮明にし、「組織対個人」の戦いを演出した小池百合子氏が無党派層などから幅広い支持を集め、元総務相の増田寛也氏、ジャーナリストの鳥越俊太郎氏との三つ巴の対決を制した。
▽「劇場型」選挙を演出した小池氏
・「土俵の設定で間違ったうえ、テレビのワイドショーが取り上げやすいように対立構図を作る劇場型選挙をやられてしまった」。増田氏の敗北に自民幹部はこう嘆く。 自民は今回の都知事選を巡って対応が後手に回った。「政治とカネ」の問題で辞職に追い込まれた舛添要一氏を支援した負い目から与野党相乗りも可能な「非政治家の実務家」を中心に候補者擁立を模索した。 だが、与野党が全面対決した参院選と並行したことから作業は難航した。 この間に、いち早く「崖から飛び降りる覚悟」を強調して出馬表明した小池氏を止められず、保守分裂選挙に追い込まれた。
・一方の野党側も混迷の末、告示2日前に公約を示さないまま出馬を表明した鳥越氏に民進党、共産党など4党が相乗りして支援することになった。 自民、公明の与党側にしてみれば、「国や都議会との関係が良好で、とにかく4年間無事に務めあげてくれる実務家」を選択する選挙にするはずが、ガチンコの殴り合いの選挙戦を強いられる構図となったのが実情だ。
・こうなると、小池氏、鳥越氏に比べ増田氏の知名度不足は大きなマイナス材料だった。中盤から組織固めを進め、追い上げを図ったものの、基本的に「既成政治の継承」の印象が強い増田氏に対し、巨大組織に1人で切り込むという「変革」イメージをアピールした小池氏の戦術が功を奏し、ほかの候補を寄せ付けなかった。
・もくろみ通りの「先行逃げ切り」を果たした小池氏。「これまでにない都政、これまでに見たこともないような都政を進めていきたい」と意気込みを語るが、カギとなるのが都議会との関係だ。 出馬表明以降、小池氏は自民都連や都議会自民の幹部を批判し続けてきた。「仮想敵」の扱いを受けた都連関係者の間では怨嗟の声が渦巻いている。 都知事の権限が強いとはいえ、都議会で予算案や条例案を通すことができなければ、公約に掲げた「小池カラー」の政策は何も進まない恐れがあるのだ。
▽カギとなる都議会との関係
・こうした点を踏まえ、小池氏はさっそく「都民の利益のため一致点、接点を見いだすよう協力を求めたい」と述べ、都議会の自民、公明両党との連携を重視する姿勢を示した。増田氏に100万票以上の大差を付けての圧勝という「民意」が示され、自民都連内からも「小池氏との対決姿勢を続けるのは得策ではない」との声も上がっている。当面は双方が相手の出方をうかがう展開となりそうだ。
・国との関係の在り方も焦点となる。小池氏が公約に掲げた東京五輪・パラリンピック関係予算や運営の適正化を巡っては、政府や五輪組織委員会との折衝が欠かせない。 とりわけ五輪経費の分担の見直しについて迅速な対応が求められているが、透明性確保を訴える小池氏と国などとの調整が円滑に進むのか不透明だ。 五輪以外でも、子育て支援や介護、防災対策、インフラ整備など国と都との連携が不可欠な課題は多い。
・安倍晋三首相は2012年の自民党総裁選で小池氏が石破茂氏の支援に回ったことで、小池氏と距離を置いてきた。それでも今回の都知事選で、安倍首相は公の場で小池氏を批判せず、増田氏の応援演説も見送るなど小池氏に一定の配慮を見せた。 安倍首相の側近は「双方が大人の対応をし、関係修復を図るはずだ」と指摘する。
・さらに、今回の「小池人気」の広がりを踏まえ、永田町や都政関係者の間では「小池劇場」の続編シナリオが語られ出している。来年夏の都議会選挙に向け小池氏が「新党」を立ち上げ、自らの政策に賛同する候補者を都議選に大量擁立するのではないか、との見立てだ。
・こうした説が早々とささやかれる背景にあるのが、小池氏の成功体験だ。小池氏は1992年に細川護煕元首相が立ち上げた日本新党から参院選に出馬し政界入りした。 日本新党は小池氏を含め立ち上げ直後の参院選で4議席を獲得した後、翌1993年の都議選で20議席を獲得する躍進を果たし、その後の非自民連立政権誕生への起爆剤となった。 「都議選の重要性を小池さんは十二分に分かっているはず。動かないはずがない」。自民関係者はこう漏らす。
▽新たな「第3極」に発展も
・減税日本代表の河村たかし名古屋市長が小池氏の応援演説をしたことも憶測を呼んでいる。河村氏はおおさか維新の会との連携強化を模索中。さらに政界関係者は、おおさか維新の松井一郎代表(大阪府知事)と小池氏が都議選を念頭に共闘を検討していると明かす。 小池氏は新党の計画について「現時点ではない」と否定する。だが、安倍政権や自民都連の出方次第では都議選で自民都議に対する「刺客」候補をぶつける展開はありうる。
・小池氏を軸とする動きが勢いづけば、国政で新たな「第3極」の影響力が高まる可能性もある。 こうした中、民進党は岡田克也代表が唐突に9月の代表選への不出馬を表明。代表選の候補者擁立を巡る動きが一気に加速した。 次期衆院選をにらみ、代表選では岡田氏が主導した野党共闘路線の是非が最大のポイントになる。
・だが、鳥越氏の惨敗で民進内では現執行部への批判が噴出している。仮に野党共闘路線が選択されれば、これに否定的な保守系議員の反発が予想される。民進幹部の一人は「保守系議員が離脱し、小池新党や第3極への合流を模索する展開があり得る」と警戒する。 今回の都知事選では、水面下で小池氏の支援に回った野党議員も少なくない。次期衆院選での生き残りに向け、既に小池新党への期待を口にする議員もいるほどだ。
・安倍晋三首相が7月30日におおさか維新の橋下徹前代表、松井氏と都内で会談したことも重要な意味を持つ。安倍首相は橋下氏らに憲法改正論議への協力を求めたが、おおさか維新と小池氏の接近も踏まえ、都政の今後の情勢についても話題になったという。 既に小池氏の今後の動向や都政運営に対し、永田町では警戒と期待が大きく膨らんでいるのだ。
・東京五輪、待機児童や防災対策など山積する都政の課題は停滞を余儀なくされている。「しがらみのなさ」を訴え都民の支持を集めた小池氏が着実にこうした問題を前に進めていけるのか、それとも再び混迷が続くのか。 そして、小池都政は国政の先行きにどんな影響を及ぼすのか。劇場の幕はまだ開いたばかりだ。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/080100403/?P=1

次に、7月27日にも紹介したコラムニストの小田嶋隆氏が8月1日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「都知事選、我々はなにを嫌ったのか」を紹介しよう。
・まず最初に。 7月15日更新分の連載「ア・ピース・オブ警句」の中で私が断言した 《誰が当選するのかはともかく、投票率が史上最低を記録することだけは現段階で断言して差し支えないと思う。》 という予言を、ものの見事にハズした件について、お詫びを申し上げたい。
・私は選挙を舐めていたようだ。  のみならず、民主主義と都民を舐めていたのかもしれない。 予想をハズしたこと以上に、なによりもこの点(選挙と選挙民を舐めていたこと)を反省せねばならない。 政治方面の出来事に関して予測を外すことは珍しいことではない。というよりも、この10年ほど、私はほとんど毎回読みをハズし続けている。
・とはいえ、これほど自信満々に断言した案件について、これほどまでにきれいに空振りをしたケースははじめてだ。 政治センスの欠如とは別に、ものの見方そのものが根本的に間違っている可能性を考えてみなければならないのだろう。
・以上、お詫びと反省の言葉を述べた上で、以下、なぜ自分の読みが外れたのかについて考えてみたい。
・選挙の前、私は 「これほど当選させたい候補者が見当たらない選挙は見たことがない。とすれば、多くの選挙民は投票意欲を持てないはずだ」 と考えていた。 ところが、投票率は、前回の数字をかなり上回っている(59.73%、2014年比で13.59ポイント高)。
・この結果を踏まえて、もう一度分析をし直してみると、今回の都知事選は、 「当選させたくない候補者が雁首を揃えていた前代未聞の選挙戦」 だったわけで、それゆえに都民が 「絶対に当選させたくない候補者を当選させないために投票所に足を運んだ」 結果、投票率が上昇したということになる。 なんだかこじつけくさいが、私はそんなふうに見ている。
・もうひとつ言えば、前回は、投票に行くまでもなく 「どうせ舛添さんで決まりなわけだし」 という読みが先に立ってしまった選挙で、であるから、特に選挙に熱心でない都民は、あえて投票所に出かける意義を見出すことができなかった。 引き比べて、今回の都知事選は 「与野党がともに候補者選びの段階でグダグダな姿を晒した結果、事前に本命候補がはっきりしない」 戦いであったがゆえに、各候補の支持者ならびに各候補のアンチが、ともに自分の一票を選挙結果に反映させるべく投票する理由は、より明確だった。このことも、投票率を押し上げた理由のひとつになっていると思う。
・次に、小池百合子候補の勝因について。 これは、私にはわからない。 無理矢理に何かを言えと言われたら、小池百合子さんがこのたびの選挙で圧勝したのは、彼女が他の2候補に比べてより小さな敗因しか持っていなかったからだという、およそ無責任な分析を垂れ流すことになるのだろうが、これは、分析ではない。 なので、撤回する。 私にはわからないと、もう一度言っておく。私にはわからない。
・増田寛也候補と鳥越俊太郎候補の敗因は、それぞれよくわかるが、あえて文字にすることは避ける。 いずれにせよ、自民・公明の与党が推薦する統一候補が明らかな票差で敗北し、民進、共産、社民らの野党共闘がはじめて共同歩調をとって推薦した鳥越俊太郎候補がさらに手ひどい惨敗を喫した結果からはっきりしているのは、少なくとも東京都では、政党および組織票が、無党派層の人気を反映した浮動票に勝てなかったということだ。
・この結果(つまり、与野党がともに敗北したこと)は、今後のわが国の政治の行方に、わりとバカにならない影響をもたらすかもしれない。 東京都民が、他府県の住民に比べて、より浮動的な人々であるのは、昔からはっきりしていた傾向で、いまにはじまったことではない。が、それにしても、政党政治がこれほど露骨に否定された選挙結果は、やはり既存の政党にとって衝撃であるはずだ。
・アメリカでは、民主・共和両党の政見と支持基盤が、ともに崩壊の危機に瀕している。 ヨーロッパ諸国でも、左右を問わず、既存政党の存在感が、目に見えて退潮しつつある。
・その意味で、実は小池都知事の誕生の陰で見逃してはならないのが、弱小政党や泡沫候補が集めた票数を仔細に分析する作業だ。 今回の都知事候補には、典型的なレイシストや、明らかなウソつきが立候補している。 個人的には、こういう極端な人たちに投票する人々の動向をしっかり見ておくべきだと思っている。
・フランスの国民戦線も、スコットランド国民党も、登場した当初は、ちっぽけなニッチ政党だった。 それが、たった10年ほどのうちに国政に大きな影響を与える一大勢力に変貌している。 今回の都知事選に立候補した「その他の候補」に分類される彼らが、それぞれどの程度の票を集めているのか、また、その泡沫候補にどんな年齢層のどんな人々が票を投じているのかに、ぜひ注目したい。
・選挙を舐めてはいけない。 選挙民を舐めるのはもっといけない。 従来の常識はこれからもどんどん覆されていくだろう。 であるから、この先わが国の政治にどんな変化が訪れるのかについて、私は、安易な予想をしないことにする。 予想はよそう。 非常につまらないダジャレだが、今の時代にふさわしい態度だと思う。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/174784/073100055/?P=1

今日のニュースでは、自民党の石原都連会長や「ドン」内田幹事長などが退陣するのは当然としても、気になるのは民進党の岡田委員長の突然の辞意表明で、民進党内が騒がしくなってきたことである。『「小池劇場」の続編シナリオ』、はともかく、小池知事には国政のことは忘れ去って、『停滞を余儀なくされている』
『山積する都政の課題』、に取り組んで欲しいところだ。特に、東京五輪の予算膨張に如何に斬り込むのかは大いに注目されるところだ。
小田嶋氏の反省の弁はともかく、投票率が上がった理由は、本人も「こじつけくさい」と認めるが、「くさい」のは余分で、「こじつけ」そのものだ。それはさらに、『小池都知事の誕生の陰で見逃してはならないのが、弱小政党や泡沫候補が集めた票数を仔細に分析する作業』、と大きく振りかぶっておきながら、その分析結果をこの文では示してないのには、選挙直後で間に合わなかったのかも知れないが、いささかズッコケさせられた。そのうち、分析結果が示されるのを首を長くして待たざるを得ないようだ。
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