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仮想通貨(暗号通貨)(その1)(ビットコイン投資の落とし穴、「ブロックチェーン」は世界をこう一変させる、金融機関が殺到する仮想通貨技術「ブロックチェーン」の現在) [金融]

今日は、仮想通貨(暗号通貨)(その1)(ビットコイン投資の落とし穴、「ブロックチェーン」は世界をこう一変させる、金融機関が殺到する仮想通貨技術「ブロックチェーン」の現在) を取上げよう。なお、呼称としては、日本では仮想通貨が一般的だが、欧米では暗号通貨が一般的である。

先ずは、ブラウン・ブラザーズ・ハリマン 通貨ストラテジストの村田雅志氏が1月15日付けロイターに寄稿した「コラム:ビットコイン投資の落とし穴=村田雅志氏」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ 昨年12月以降、仮想通貨ビットコインの値動きが派手なものとなっている。昨年1月から5月まで400ドルちょうど近辺で取引されていたビットコインは12月下旬には800ドルを突破し、今年初めには1000ドル台に到達。1月5日には1160ドル台と過去最高値を更新した。 しかし、過去最高値を付けた同じ5日に、ビットコインは一時900ドル割れまで急落。翌6日には1000ドル台を回復する場面もあったが、12日には700ドル台半ばと昨年12月中旬以来の安値を記録し、本稿執筆時点の13日は800ドル台で上値の重い動きとなっている。ビットコインは年初の高値から30%以上も下落したことになる。
・ビットコインとはインターネット上で流通する暗号化された電子通貨の名称だ。ビットコインは、ドルや円のように法的に定められたものでもなく、中央銀行や政府機関によって発行されるわけでもない。取引の正当性の確認は、マイニング(採掘)と呼ばれる計算作業を通じて行われ、同作業に協力した者(マイナー=採掘者)には一定量のビットコインが交付される。
・ただ、最大発行量はプログラムにて2100万と決められており、既存の貨幣のように発行量が無制限ではない。発行主体がなく、発行量が有限という点で、金やプラチナといった貴金属に近いとの見方をする者もいる。  ビットコインの特徴の1つに、秘匿性の高さがある。ビットコインは、暗号化されたデジタル情報でしかなく、既存の貨幣のようにコインや紙幣といった物質(モノ)ではないため、物理的に発見されにくい。
・また、ビットコインの保管や送受信に使われるソフトウェア(ウォレット)を利用する際には、本名などのプライバシー情報を開示する必要はなく、メールアドレスを登録するだけである。このため行政当局は個々人のビットコインの取引状況を把握することができず、取引を強制的に停止したり、課税することも難しいとされている。
▽元建て資産の逃避先に
・ビットコインの値動きが大きくなった理由の1つとして、人民元の先安観を背景とした中国の外貨需要の高まりがある。 中国当局は昨年、約3200億ドルの外貨準備を使い元買い介入を続けたものの、年末の人民元は1ドル=6.9450元と、2008年6月以来の元安を記録。下落率は6.5%と、アジア通貨の中で最も大きかった。中国景気の減速、資本流出の継続、外貨準備の減少などを理由に人民元は今後も下落が続くとの見方が大勢で、1ドル=7元を突破するのは時間の問題とみられている。
・中国人投資家の立場で考えれば、元安が今後も続くと見込まれるのであれば、元建ての保有資産を外貨建てに換えることが合理的となる。元建て資産を外貨建てにすれば、元安による資産価値の目減りを防ぐことができるだけでなく、元安進展による差益を得ることも可能となるからだ。
・しかし中国当局は、さらなる資本流出を抑えるべく外貨買いの動きに対し規制を厳しくしている。例えば昨年11月から、500万ドル以上の海外送金、両替、海外企業買収については当局による事前審査が義務付けられた。 また、中国人観光客が海外での買い物で広く利用している銀聯カードは、昨年12月下旬より新規発行が停止された。今年からは、中国国民が人民元を外貨に両替する際に提出する申告書に、両替した外貨を外国での不動産購入、証券投資、生命保険・投資性還元保険類に使用してはならない旨が明記された。
・こうした状況では、ビットコインは元建て資産の逃避先として非常に魅力的となる。上述したようにビットコインは秘匿性が高い。人民元でビットコインを購入すれば、中国当局によるさまざまな資本規制をくぐり抜ける形で元建て資産を外貨(ビットコイン)建てに換えることが可能となる。
▽中国当局の規制リスク
・ビットコインは過去にも資本規制をくぐり抜ける手段として注目され、価格が高騰したことがあった。タックスヘイブン(租税回避地)として世界各国から資本を呼び込んでいたキプロスは、2012年後半から大規模な資本流出に直面。同国政府は、2013年3月に銀行預金の引き出し制限などの規制を実施するとともに、銀行預金への課税を実施した。
・当時、ビットコインは一部のマニアの間でしか知られていないものだったが、当局の資本規制をくぐり抜ける有力な手段であるとの見方から世界的に知名度が上昇。キプロス当局による資本規制・銀行課税が決まる前に13ドルにすぎなかったビットコインは急騰し、同年4月には200ドルを超えた。
・仮に人民元の下落や中国の資本規制の強化が今後も続くとすれば、ビットコインの価格上昇が続くとの見方も、一見正しいように思えるかもしれない。しかし政府樹立以来、社会主義国として国民に対し、さまざまな規制や干渉を行ってきた中国当局が、ビットコインに対して手をこまぬき続けるとは考えにくい。 現に中国人民銀行(中央銀行)は11日、中国でビットコイン取引所を運営する主要3社に対し調査を始めたと発表。中国当局がビットコイン取引の取り締まりを強化するとの思惑が、ここ数日のビットコイン価格の急落につながったと考えられる。
・キプロスの資本規制・銀行課税をきっかけに世界的に知られるようになったビットコインは、2013年末に1100ドル台まで上昇したが、2014年からは売りが先行し、同年末には300ドル台まで下落した。また、上述したように昨年初めは、400ドルちょうど近辺にすぎなかったが、今年初めには(一時的とはいえ)1160ドル台と過去最高値を更新するなど、ビットコインの値動きは非常に大きい。
・そもそもビットコインの価格は、供給がマイニングを通じて緩やかにしか増加しないため、需要の変動に大きく左右される性質を持つ。資本規制などのイベントで需要が急激に増えれば、価格は高騰しやすくなるが、今回の中国人民銀行の動きのように先行き不透明感を強めるイベントが発生し、需要が後退すれば、価格が急落しても不思議ではない。
・また、ビットコインはインターネット上での取引がほとんどであるため、需給動向の変化スピードは他の実物資産に比べて早い。このため短期間で価格が大きく変動しやすい。
・投資の世界では、資産価格の評価をする際に、得られるリターンと同時に価格の変動率(リスク)も検討することが一般的となっている。ビットコインは、短期間に大きな値動きを示す可能性があるが、これはリスクが非常に高いことも意味しており、リスクで調整したリターンは、他金融資産と比べて大きくないだろう。
・競馬やパチンコといったギャンブルとして考えるのならともかく、ビットコインを投資の1つとして考えるのはあまり合理的ではないように思える。
http://jp.reuters.com/article/column-forexforum-masashi-murata-idJPKBN14X06M

次に、日銀出身で日本総合研究所副理事の翁百合氏が1月11日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「ブロックチェーン」は世界をこう一変させる 仮想通貨の技術が国境を越えて駆け巡る時代」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ブロックチェーンは「帳簿(または台帳)のイノベーション」といわれる。台帳や帳簿といえば、以前は紙ベースで記録されていた。だが現在では金融機関などで、台帳はデジタル化して1箇所に、または地震などに備えたバックアップ施設と2箇所程度に、厳重に記録され、保管されているものが多い。
・しかし、ブロックチェーンの技術はあくまで、そうしたデジタルデータを取引参加者全員が共有する。仮想通貨の「ビットコイン」の技術に使われていることで、ブロックチェーンは注目されるようになってきたが、実はさまざまな分野で活用が予想されている。いったい、ブロックチェーンのどんな特性が注目され、どんな分野で使われようとしているのか。そしてそれによって、私たちの社会がどう変わるのか、探ってみたい。
▽「分散」「合意」「共有」がコンセプト
・まずブロックチェーンの呼び名は、カネやモノの取引の履歴データを要約しながら一塊のブロックとして集約し、そのブロックをチェーンとしてつないでいくことに由来している。
・仕組みを簡単に述べると、以下のようになる。ブロックチェーン・ネットワークの参加者は、カネやモノの取引をすると、それらの取引データをブロックにして、各参加者のパソコンなどで保管する。各参加者が保管するデータは同じでなければならないので、相互にブロックのデータが同じであることに合意しながら、参加者全員がすべての情報を共有していく。「分散」「合意」「共有」というコンセプトがブロックチェーンの特徴だ。もともとブロックチェーンは、ビットコインを起源とした技術であり、中央集権的な組織や国家に依存せず、誰でも参加できる取引の実現を目指して生まれたものなのである。
・そのメリットは、①過去の情報からのデータを要約し、新しいデータを加えながらブロックをつなぐため、データの改ざんが難しい、②分散型ネットワークなので、ある人のパソコンが壊れても、他の人が同じ帳簿を持っているので障害に強い、③個人と個人が直接結びついて取引ができ、銀行や仲介会社を介さずに送金などができるため、仲介コストが省け迅速に取引できる、といったものだ。
・ブロックチェーンの技術を使えば、契約書も自動的にプログラムで記述され、関係者が承認すれば契約を自動的に執行する、といったことも可能になる。この仕組みを「スマートコントラクト」という。従来、取引に付随していた膨大な手作業も不要となって、取引コストが削減され、カネやモノの取引を国境を越えて自由に展開できるインフラとして、機能する可能性がある。また、限られた取引参加者だけが参加し、閉じた環境で動かすタイプのブロックチェーンの開発や活用も進みつつある。
・世界中のさまざまな企業や金融機関、政府が、一斉にこの技術を使った多様なサービスの実証実験を行っているが、それはこの技術によって、新たなビジネスや電子政府の可能性が広がると考えているからに他ならない。実際すでにビジネスとしてスタートしたものもある。具体的にどのような分野で期待されているのか。
・データの改ざんを難しくすることから、ブロックチェーンへの政府の関心も高い。政府内には、国民の住民情報や健康情報、不動産所有情報などのデータがある。 たとえば、北欧の小国であるエストニアでは、国民IDによる情報管理が徹底しており、医療や投票などあらゆる場面でオンライン対応が可能となっている。役所に行くのは、人生において結婚、離婚、不動産取引だけということだ。同国ではこうした電子政府構築にあたり、政府が持つ各データベースをネットワークで結ぶ際、情報の改ざん検知のためにブロックチェーン技術を活用、データの安全性に対する国民の信頼を得ることに成功している。エストニアでは、次々と新たな電子行政サービスが展開され、政府の仕事が大胆に効率化している。税の徴収は98%が電子納付であり、効率性は日本と比較しても圧倒的に高い。
▽サプライチェーンや金融の分野で期待
・民間ビジネスにおけるブロックチェーンの利用は、新しいビジネスチャンスを生み、いろいろな業種のビジネスモデルを変える可能性を秘めているのだ。 その技術が発展すれば、取引コストが削減されて企業の生産性向上を促し、取引情報を活用して付加価値の高いビジネスを展開できる。特にIoT(インターネット・オブ・シングス)、つまり全てのモノがインターネットでネットワーク化され、自動操作・制御などを通じてのビジネスが可能だ。分析に適したデータを異業種間で活用したり、情報に基づいてスマートコントラクトで自動制御したり、対応した金融サービスを提供したりすることも可能になってくる。
・例を挙げれば、カーシェアリング。カーシェアを使いたいとき、スマートフォン(スマホ)のアプリで注文すれば、瞬時にスマートコントラクトが契約を自動執行し、代金が決済され、利用者ニーズにぴったり合った車が自動走行して目の前に止まり、ドアが開く、といった日が来るかもしれない。サプライチェーン(供給網)や物流の効率化、シェアリングエコノミーの健全な発展や、ヘルスケア分野での活用など、業種や国境を越えて活用され、利用者には安心を提供しながら、利便性と効率性を向上させることができるだろう。
・英ベンチャー企業のエバーレッジャー社は、ダイヤモンドの鑑定書や取引履歴をブロックチェーン上でデータ化して取引できるようにし、そのデータについて警察や保険会社も参照できるビジネスモデルを構築した。これによって、横行していた鑑定書偽造や保険金詐欺をなくすといった社会的問題を解決しながら、安心して取引できる流通プラットフォームを作ることに成功している。
・また金融ビジネスに関しても、貿易金融や証券取引、国境を越えた送金などの業務を通じて、取引の効率化が進み、金融機関のオペレーションが改善しうる。さらにはそこで得られる情報を使ったサービスも展開できるかもしれない。現在、日本取引所の証券取引の実証実験も行われており、実装が進めば、金融機関のビジネスモデルを変えることもありうるのだ。
・安定した政府が設立されていない、社会インフラが未整備な発展途上国の人たちにも、ブロックチェーンによる金融サービスが提供され、生活上の課題の解決が図られることも期待されている。 ブロックチェーンが使われている仮想通貨は、値上がり益狙いの資産として保有されることが多く、2016年には大規模なハッキング事件などもあった。ただ、実際に通貨として利用される機会は、少しずつ広がっており、時価総額も拡大している。ビットコインを使った取引がいつの日か既存通貨を脅かす存在となるかもしれない。
・このようにブロックチェーンは、政府の行政サービスを便利にしたり、新しいビジネスを次々と誕生させ、金融サービスを効率的にするだろう。ビジネスの連携を通じた産業構造の変化、政府や企業の生産性向上を通じて、経済社会を大きく発展・変化させうる技術といえる。
▽大量取引への対応や参加者の合意形成で課題
・ただし、ブロックチェーンは、潜在的可能性は高いものの、まだ発展途上の技術だ。現段階では、大量の取引に対応できない、スマートコントラクトに書き込んでいない想定外の事態への対応が難しい、参加者の合意形成の方法にさまざまな解決すべき課題がある、などまだまだ多くの課題がある。研究開発を繰り返し、課題を克服しながら、社会に実装していかなければならない。
・今後、ブロックチェーン技術の発展とその応用に必要とされるのは、官民による研究開発や実装に向けた実証実験の積み重ねだろう。官民ともに新しいサービスに対する利用者の信頼を得ながら進める必要がある。日本政府も自らが導入検討の実践者となると同時に、民間企業のイノベーションを積極的に支援するべきだ。一方、企業は積極的に他社と連携したオープン・イノベーションに取り組み、システムの標準化に対応してもらいたい。
・技術進歩の流れは速く、ブロックチェーン・ネットワークが参加者間で縦横につながり、グローバルに急速に広がるかもしれない。潜在的な可能性を考えて、企業は経営戦略を検討し、技術力を磨いて、ビジネスモデルの改革につなげなければならない。 なお、ブロックチェーンの仕組みや取組事例を詳しく知りたい方は、NIRA(総合研究開発機構)のリポート「ブロックチェーンは社会をどう変えるか」を参照して頂きたい。
http://toyokeizai.net/articles/-/152506

第三に、財務省出身で早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問の野口悠紀雄氏が1月5日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「金融界の2017年は仮想通貨とブロックチェーンの年になる」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・ビットコインの時価総額が史上最高値を記録している。2017年には三菱UFJ銀行の仮想通貨が一般の利用に供されることもあり、金融や通貨に関する基本的な状況が大きく変化すると予想される。 16年には、仮想通貨の基礎技術であるブロックチェーン技術に対する期待が一気に高まり、金融機関がブロックチェーンの導入に向けてさまざまな実証実験を行なった。17年においては、この動きがさらに加速されるだろう。
▽ビットコインの時価総額が史上最高値を更新
・ビットコインの時価総額が史上最高値を更新している。 2013年11月末に135万ドルになったが、その後減少していた。15年には、40万ドル程度になっていた。しかし、ここがボトムで、その後増大に転じ、16年12月23日には145万ドルと、史上最高値になっている。 なお、ビットコインの時価総額の計算法にはいくつかのものがあるが、どの計算法によっても、現在の値は史上最高値だ(Bitcoin Magazine参照)。
・ただし、現実の通貨の残高に比べれば、まだ比較にならないほど少ない。 もっとも、日本企業の時価総額と比較すると、かなりのところに来ている。145万ドルを1ドル=117円で換算すると約1.7兆円になるが、これは住友商事や三井住友トラスト・ホールディングスの時価総額と同程度である。そして、電通、東レなどの時価総額より大きい。
▽ビットコインの価格が1年で2倍に上昇
・ビットコインの時価総額が増大したのは、流通量が増大しているからでもあるが、図表1に見るように、2016年初め以降価格が上昇したことの影響が大きい。価格は、16年初めの約435ドルから2倍以上に上昇した。
・ビットコインの価格がこのように高騰した第1の原因は、世界経済の不確実性の高まりだ。 人民元安を背景に、ビットコインが中国で買われていると見られる。 インドの高額紙幣廃止も影響した。 また、イギリスのEU離脱やトランプ大統領の登場で世界経済の不確実性が高まっており、投資資金が安全性を求めて、ビットコインへの需要を強めている。
・ただし、それだけではない。ビットコインのスケーリング(取引量増大への対処)の問題が解決しそうであること、またさまざまな新しい関連サービスが開発されていることも、価格上昇の原因だ。例えば、iPhone 7における「サークル」のようなサービスを使えば、コストゼロで現実通貨への転換が可能だ。
▽価格上昇の意義と問題
・2016年11月以降、世界的に株価が上昇した。為替レートも大きく変動した。しかし、それらの中でビットコインはもっとも顕著に資産価値を上昇させた。16年を通じて見ると、資産としてのパフォーマンスは抜群だった。  しかも、価格上昇や変動率において、ビットコインは他の資産とは相関していない。これは、大変重要なことである。なぜなら、これは、ビットコインを資産の構成要素に組み入れれば、ポートフォリオリオのパフォーマンスが向上することを意味するからだ。 こうしたことを背景に、ビットコインは、株式や債券などとは異なる新しいクラスの金融資産であるとの考えが生まれている(Forbes参照)。
・ビットコインがこのように資産の保有目的に使われたり、キャピタルフライトの手段として使われることは、交換手段として使うという観点からすれば、決して望ましいことではない。取引のためには、価格が安定していることのほうが望ましい。 また、価格が上昇すると、ハッキングの危険が増すということもある。 しかし、資産保有目的の利用を止めることができないのも事実である(また、価格変動を回避したい人は、先に述べた「サークル」のようなサービスを利用して、受け取ったら直ちに現実通貨に変換すればよい)。
・中国では、13年に人民元からビットコインへのキャピタルフライトが起こったため、銀行がビットコインを扱うことを禁止した。しかし、最近起きていることを見ると、この措置は、結局は効果がなかったのではないかと思われる。また、ビットコインの使用自体を止めることは、どんな国でもできない。 これまで、世界経済に不確実性が高まると、投機資金がセイフヘイブンと考えられる日本円に逃避し、円高になるという現象が生じていた。しかし、ビットコインがセイフヘイブンと考えられるようになると、今後はそのような効果は弱まるかもしれない。ビットコインの存在感の強まりは、金融市場を見るわれわれの態度に変更を迫ることになるかもしれない。
▽メガバンクが仮想通貨を発行する
・金融機関は、仮想通貨の応用に向けて積極的な取り組みを行なっている。 日本では、これまで仮想通貨の購入時に消費税が課されていた。これが仮想通貨の利用拡大の阻害要因になっていた。これについて、2017年の税制改革で非課税となることが決まった。これによって、仮想通貨の利用が促進されることが期待される。
・三菱UFJ銀行は、17年の秋頃に独自の仮想通貨MUFGコインを発行すると報道されている。他のメガバンクも同様の計画をもっているとされる。 複数のメガバンクが仮想通貨を発行する場合、それらの間で固定価格制を取るか、変動価格制を取るかは、難しい問題である。取引の利便性から言えば、固定価格のほうが使いやすいだろう。しかし、固定価格制を取ると、銀行間で清算、決済を行なう必要があり、それは、日銀ネットを通じて行なわれることになる。すると、コストの削減に一定の限界が付されることになるのではないかと考えられる。
・また、日本では法律上の問題がある。すなわち、現行の銀行法では仮想通貨の取引ができないので、これをどうクリアするかという問題だ。 改訂された資金決済法では、「不特定多数を相手に転々流通する」「通貨建てでない」という2つの条件を満たすものを「仮想通貨」と定義した。 メガバンクが発行する仮想通貨は、「特定多数を相手に流通する」ものであり、また「通貨建てである」という2つの理由で仮想通貨ではないと見なされるはずである。
・しかし、この規定との関係で、銀行法に抵触しないために固定価格制にする(通貨建てにする)というのであれば、本末転倒だ。 むしろ、銀行法を改正して、ビットコイン型のものも含め、銀行が仮想通貨を取り扱えることとすべきだろう。 この問題は、17年秋までの間に結論を出す必要がある。
▽ブロックチェーンの応用が進む
・2016年には、フィンテックに対する関心が高まった。なかんずく、仮想通貨の基礎技術であるブロックチェーンの導入に向けて、銀行や証券取引所がさまざまな実証実験を行なった。これについては、この連載や週刊ダイヤモンドで紹介した。その後の主要な動きとしてはつぎのようなものがある。
・まず、中央銀行による仮想通貨の導入が計画されている。とりわけスウェーデン中央銀行の積極的な取り組みが目立つ。同行は、ekronaという仮想通貨を発行するか否かの決定を、2年以内に行ないたいとしている。この背景には、09年以来、紙幣とコインの使用が40%も減少したという事情がある。
・アメリカのウェブショップであるオーバーストックは、ブロックチェーンを用いた株式の発行を16年10月に行なった。 また、パリバ銀行は、顧客企業のためのブロックチェーンシステムを開発した(Bitcoin Magazine参照)。 WEF(世界経済フォーラム)が言うように、ブロックチェーン技術は、金融業を根本から変え、世界を変える力を持っている。
▽増える投資 しかし人材が不足
・コンサルティング企業であるアクセンチュアの2016年10月の調査レポートによると、9割の金融機関がブロックチェーンの利用を計画している。 ただし、現在のところ、金融機関の約3割は、POC(proof-of-concept)の段階だ。つまり、金融業務のどこに用いるかを検討中という段階だ。
・考えられている利用対象業務として最も多いのは、「行内の国際取引」(44%)だ。続いて、「国際送金」(21%)、「法人決済」(20%)、「銀行間国際取引」(14%)、「個人間送金」(8%)などとなっている。 ブロックチェーン利用によるメリットとしては、「コストの削減」「決済時間の短縮」などが挙げられている。
・調査企業であるAite Groupの推計によると、ブロックチェーン関連プロジェクトへの投資は、16年に1.3億ドルになった。そして、19年までには4億ドルになる。(CoinDesk、White & Case参照)。 しかし、開発のための人材が不足している(Bitcoin Magazine参照)。 全世界的にそうだが、とくに日本では深刻だ。金融技術には国境がないので、日本で開発が進まなければ、海外からのサービスが日本に押し寄せる。人材の育成が急務である。
http://diamond.jp/articles/-/112762

第一の記事にあるように、ビットコインの値動きは不安定で、これでは貸借取引には使えない。取引の7割は中国で行われ、マイナー=採掘者の9割は中国人と言われている。人民元相場の下落基調のなかでは、ビットコインへの逃避も当然だろう。
第二の記事は、ビットコインの基盤技術であるブロックチェーンについて、『世界中のさまざまな企業や金融機関、政府が、一斉にこの技術を使った多様なサービスの実証実験を行っているが、それはこの技術によって、新たなビジネスや電子政府の可能性が広がると考えているからに他ならない』、と極めてい大きなインパクトを与えそうだ。銀行を経由した海外送金は、手数料の高さが問題視されていたが、ビットコインなどの仮想通貨を用いれば、極めて低コストでの送金可能になる。銀行にとっては、自分の業務分野に対する脅威ではあるが、変化の波に乗り遅れまいと、実証実験を行っているようだ。
第三の記事では、日本でこれまで仮想通貨の利用拡大の阻害要因になっていた消費税が、『2017年の税制改革で非課税となることが決まった。これによって、仮想通貨の利用が促進されることが期待』 されるようだ。禁輸とIT(情報技術)が融合したフィンテックは、AI(人口知能)やブロックチェーンなどを含む概念で、ここ12年で急速に関心んが高まっている。なお、ブロックチェーンそのものについての、より詳しく知りたい向きの方は、野口悠紀雄氏が2014年3月20日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「「ブロックチェーン」と「プルーフ・オブ・ワーク」――きわめて斬新なビットコインの中核技術」を参照されたい。
http://diamond.jp/articles/-/50486
いずれにしろ、今年は消費税が非課税になり、メガバンクも仮想通貨を発行することになるので、欧米に比べ普及が遅れていた日本でも、本格的普及が進む元年となる可能性もある。大いに注目したい。
タグ:「ブロックチェーン」と「プルーフ・オブ・ワーク」――きわめて斬新なビットコインの中核技術 スウェーデン中央銀行 ブロックチェーンの応用が進む 2017年の税制改革で非課税となることが決まった 消費税が課されていた メガバンクが仮想通貨を発行 資産の保有目的に使われたり、キャピタルフライトの手段として使われることは、交換手段として使うという観点からすれば、決して望ましいことではない。取引のためには、価格が安定していることのほうが望ましい 人民元安を背景に、ビットコインが中国で買われていると見られる。 インドの高額紙幣廃止も影響 ビットコインの価格が1年で2倍に上昇 時価総額が史上最高値を更新 三菱UFJ銀行の仮想通貨が一般の利用に供される 金融界の2017年は仮想通貨とブロックチェーンの年になる ダイヤモンド・オンライン 野口悠紀雄 大量取引への対応や参加者の合意形成で課題 貿易金融や証券取引、国境を越えた送金などの業務を通じて、取引の効率化が進み、金融機関のオペレーションが改善しうる エストニア 世界中のさまざまな企業や金融機関、政府が、一斉にこの技術を使った多様なサービスの実証実験 スマートコントラクト 個人と個人が直接結びついて取引ができ、銀行や仲介会社を介さずに送金などができるため、仲介コストが省け迅速に取引できる 分散型ネットワークなので、ある人のパソコンが壊れても、他の人が同じ帳簿を持っているので障害に強い 過去の情報からのデータを要約し、新しいデータを加えながらブロックをつなぐため、データの改ざんが難しい 取引の履歴データを要約しながら一塊のブロックとして集約し、そのブロックをチェーンとしてつないでいくことに由来 ブロックチェーン 「ブロックチェーン」は世界をこう一変させる 仮想通貨の技術が国境を越えて駆け巡る時代 東洋経済オンライン 翁百合 インターネット上での取引がほとんどであるため、需給動向の変化スピードは他の実物資産に比べて早い 中国でビットコイン取引所を運営する主要3社に対し調査を始めたと発表。中国当局がビットコイン取引の取り締まりを強化するとの思 キプロス ビットコインは元建て資産の逃避先として非常に魅力的 外貨買いの動きに対し規制を厳しくしている 元建て資産の逃避先に 暗号化されたデジタル情報 取引の正当性の確認は、マイニング(採掘)と呼ばれる計算作業を通じて行われ、同作業に協力した者(マイナー=採掘者)には一定量のビットコインが交付される ビットコインとはインターネット上で流通する暗号化された電子通貨の名称 コラム:ビットコイン投資の落とし穴=村田雅志氏 ロイター 村田雅志 (その1)(ビットコイン投資の落とし穴、「ブロックチェーン」は世界をこう一変させる、金融機関が殺到する仮想通貨技術「ブロックチェーン」の現在) 暗号通貨 仮想通貨
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