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機能性表示食品制度(その3)(食品表示のウラ事情、急増する機能性表示食品に問題はないのか) [経済政策]

機能性表示食品制度については、昨年12月7日に取上げた。今日は、(その3)(食品表示のウラ事情、急増する機能性表示食品に問題はないのか) である。

先ずは、2月8日付けNHKクローズアップ現代プラス「脂肪・ストレスが減るって本当?食品表示のウラ事情」を紹介しよう(▽は小見出し、──は司会者)。
・今回、番組では主婦歴10年以上の女性たちに協力を依頼。 「たくさんあって、いっぱい買っちゃいました。」 ふだん気になっている健康食品を買ってきてもらいました。
・「どれも体にいいっていうだけで、どういう効果があるのかは、分からないんですけど。」 そうそう、何がどうなのかよく分からないですよね。 そこで専門家に教えてもらうことにしました。 解説してくれるのは、健康食品を長年取材してきた、松永和紀さんです。
・松永さんによれば、一口に健康食品といっても、表示の種類によって、効果の信頼度が変わるといいます。 まずは、「いわゆる健康食品」? 一体どういうことなんでしょう。 
・科学ジャーナリスト 松永和紀さん「“いわゆる”なので、本当は機能性表示していない普通の食品ですよと。よく見るとストレートに健康効果をうたってないんです。」 
・つまり、「いわゆる健康食品」って、ただの食品? じゃあ、体への効果は?
・科学ジャーナリスト 松永和紀さん「健康効果については、(国から)保証はされてないと。」
・「もうちょっと効果があるものだと思って食べていたのでショックですね。」
・続いてはこちら。 トクホ=特定保健用食品。 国が、安全性や効果について科学的な根拠を審査した上で、表示を許可した食品です。
・「トクホというマークが付いているだけで、安心ってのもあるんですけど。」  国のお墨付きをもらっているトクホが、やはり一番効果がありそうですよね。
・科学ジャーナリスト 松永和紀さん「(健康)効果も、まあ、あります。あるでしょうと(国が)認めたうえで、『こういうのも利用してもいいのではないですか』という位置づけ。」
・では、何がいいんでしょうか。  ここで紹介するのが、今、食品メーカーが大注目の、機能性表示食品。
・科学ジャーナリスト 松永和紀さん「もうすぐ2年になる新しい制度です。この成分は体にいいんだと、自分(企業)で判断して、アピールするものなんですね。」 国が科学的根拠を審査した上で、許可が与えられるトクホに対し、機能性表示食品は国や第三者による審査がなく、届け出さえすれば、企業の責任で効果を表示できます。 制度開始から2年で、企業からの届け出数は急増。 トクホに迫る勢いです。 ある大手食品メーカーでは、主力商品のヨーグルトを機能性表示食品として販売したところ、売り上げが20%アップしました。
・江崎グリコ 広報部 中原修さん「こういう(成分)が入っていますよというだけだとピンと来ないんですけど、やはり(効果を)わかりやすく説明できることが非常に大きいです。」 
・今、一番勢いがあるということは?「機能性表示食品であれば、多少効果を期待していいのか?」
・科学ジャーナリスト 松永和紀さん「私に合ってるなとか、根拠ありそうだなとか、そういうことを判断して、消費者が自主的に、合理的に選択しなさいと。」
・なんと、機能性表示食品については、消費者の判断に委ねられているというのです。 「一緒ですよね。この場合はどっちを選ぶんだろう。」 結局、どれが最も効果があるのか分からずじまい。 謎は深まるばかりです。 「何をこれから信じていけばいいんだろうと思って。」
▽「脂肪が減る」って本当? 食品表示のウラ事情
・ゲスト 山田まりやさん(タレント) ゲスト 松永和紀さん(科学ジャーナリスト)
・山田さん:もうグレーゾーンすぎて、怖いですね。いつのまにか、2年ぐらいですか?さかのぼって、しれーっと私たちの生活の中に根づいていますけど、結局、効くの効かないのって、分からないですね。
── そのものとしては全く何も間違っていないが、どうなのかという?
・山田さん:だって、最終的に責任転嫁ですよね。 私たちの体に合う、合わないというのは、ご自身の判断でってことなんですよね。
・松永さん:そうです。
── 効果は、どう見たらいい?
・松永さん:効果は、あるといえばあるという感じですね。 両方とも、人で実験をして、効果がありそうですということが示されて論文になっているものなんです。 その上で、トクホの場合には、専門家が審査をして、国が許可するという仕組みですね。 機能性表示食品の方は、企業が論文をもとに、自分の責任で表示をしてしまうと。 その代わりに、この論文とか、いろんな説明を書類として消費者庁に届け出して、それが消費者庁のウェブサイトで公表されているというようなことになっています。
・山田さん:じゃあ、資料さえそろってしまえば、機能性表示食品は国の許可なしに?
松永さん:そうです、許可は必要ないです。
── ちゃんと論文などはあるが、ハードルが低いと?
・松永さん:機能性表示食品の方が低いといえると思います。 トクホだと、専門家が非常に厳しく審査しますので、表示できる範囲は限られているんです。 機能性表示食品の方が、自由度が高くて、企業の自己責任ということになりますので、やっぱりちょっと幅が広がってきています。
・山田さん:だって、ストレスとか、疲労とかなんて、別に数値とかで表れるものじゃないですから、本当に個人差があるじゃないですか。
・松永さん:まあ、それも含めて研究をして、解析をして、論文になっているんですね。
── 企業の自己責任によって、ここまで表示が幅広く書けてしまうのが、今、注目されている、機能性表示食品ということですね。
・山田さん:夢は持ちたいですけどね。
── そうですよね。 変わりたいという気持ちもすごくよく分かりますよね。
・山田さん:健やかになりたいっていう気持ちはありますけど。
── 今回、私たちは、この機能性表示食品の表示がどこまで本当なのか、実際に調べました。すると、意外な事実が分かってきました。
▽「脂肪が減る」って本当? 食品表示のウラ事情
・千葉県に住む、小野美穂香さん。 スリムな体型に憧れ、ダイエット中です。 これまで、美容やダイエットの効果を期待して、さまざまな健康食品を試してきました。
・小野美穂香さん「年をとるほど、脂肪って落ちにくくなる感じが、もうこういうものに頼らないとね。すがる思いで。」
・そんな小野さんが最近注目しているのが、機能性表示食品のヨーグルトです。
・小野美穂香さん「ヨーグルトにも内蔵脂肪を減らせるものが出たのはいいと思いますよ。もうちょっと情報が欲しいですね。これを毎日食べなきゃいけないのか、量はどれくらいか、どれくらいの期間続ければ効果がでるのか。」 
・そこで小野さん、メーカーのホームページで食品の詳細をチェック。すると、メーカーが内臓脂肪を減らす根拠としている実験結果が出ていました。
・小野美穂香さん「12週間、3か月はこういう風に効果がでているよと。データとして実証されていると。 科学的に実証されていることが分ったので、より信頼感は増しましたよね。」
・ところが、よく読んでみると。 小野美穂香さん「これ太っている人ですよね。そもそもBMI25以上なんだから。」
・小野さんが気になったのは、実験の対象者です。 BMIが25以上30未満の肥満傾向の成人に対して、内臓脂肪を減らす効果が出たとあります。 ところが、小野さんのBMIは19.9。 自分に当てはまるのかどうかよく分かりませんでした。
・小野美穂香さん「肥満ではない私には、本当に有効じゃないのかどうかというのは、どうやって調べればいいんですかね。」
▽「脂肪が減る」って本当? 食品表示のウラ事情
・山田さん:今、お子さんにもあげていたじゃないですか。だから、体にいいと思って、やっぱり家族の健康を守るお母さんとしては、少しでも効果が期待できるものをと思ってチョイスしますよね。 そういった時に、ホームページ読み進めていくと、ああいった結果で、太った人の場合となってしまうと、あれ?じゃあ、私には?って、思いますよね。
・松永さん:論文を見るかぎり、痩せている人で効果あるかどうかというのは、すごく歯切れが悪いんですけれども、分からないとしか言いようがないんです。 研究が、肥満傾向の方を対象にしています。 肥満傾向の方というのは、やっぱり脂肪もたくさんついていますので、効果が出やすいんですよね。 効果が出やすい方で、研究して、実験をして、出ましたということなんですが、脂肪があまりないような方が食べた時に、それでやっぱり減るの? それは、分かりませんとしか言いようがないんです。 企業によっては、BMIが高めの方向けの商品ですというふうに書いている場合もありますし、全然書いていなくて、よくよく届出書類を見ないと分からないという、両方があると。
・山田さん:特設コーナーとかに売っているわけではないじゃないですか。ヨーグルトというカテゴリーの中にありますよね。でも最近、表示が増えたなというのは、思っていたんですよね。 小さな文字で、こんなまんべんなく表示しますか?っていうのが、いつも気にはなっていたんですけれどもね。
── それでも、自分に当てはまらないということも分かっておかないといけないということ?
・松永さん:BMIだけではなくて、年齢とかもあるんですよね。 例えば、記憶力を働きかけるみたいな機能性表示食品もあるんですけれども、研究は高齢者を対象にしているんです。だけど、パッケージを見ると、そういうことが書いていないんですね。そうすると、ドラッグストアに並んでいると、若い人が「あっ、これいいかも」と、受験勉強をしておられるような方とかが、記憶力をサポートしてくれるのなら、買っちゃおうということにもなってしまうんです。
・山田さん:大体、そういった商品を購入しようと思うきっかけって、わらをもすがる思いの時が多いじゃないですか。だからこそ、やっぱり効果というものに、一番、期待してしまうんですけどね。
── その気持ちもすごく分かります。こちらもご覧いただきたいんです。
▽「脂肪が減る」って本当? 食品表示のウラ事情
・食品表示に関する研究を長年続けてきた、髙橋久仁子さんです。 髙橋さんに、健康食品の状態について調べる際の注意点を教えてもらいました。 消費者庁のホームページでは、商品名を入力すると、企業が提出した資料がすべて閲覧できる仕組みになっています。ところが、科学的な根拠となる資料は専門的な論文であることが多く、一般の人では読み解くことが難しいといいます。
・群馬大学名誉教授 髙橋久仁子さん「これだけたくさん読まないと、1つの(食品)情報にしても36ページの書類ですよね。まあ容易じゃありませんよ。」 例えば「内臓脂肪を減らす」と表示された、ある商品では、確かに「腹部の内臓脂肪が減少した」という結果が出ています。しかし論文を読み込んでいくと、「体脂肪率は増加している」という表現を見つけました。
・群馬大学名誉教授 髙橋久仁子さん「内臓脂肪面積が減ったというと、体脂肪率も減ると期待すると思う。でもこの研究はそうではないんです。 (表示だけでは)消費者にとって知りたい情報が網羅されているわけではないことを、承知しておかないといけないと思います。」
▽「脂肪が減る」って本当? 食品表示のウラ事情
・山田さん:えー、これどういったことなんですかね? 内臓脂肪が減るけど、体脂肪は増える?
── そういったところを論文には書いてあるのを見つけられるが、いわゆる表示では分からない。
・山田さん:消費者の人が、例えばホームページに行って、くまなく全部チェックするかっていったら、ちょっとそこまでは見ていられないですよね。
・松永さん:同じような事例はいくつもあって、私も届出書類を見て「えっ?」と驚くことが、いっぱいあるんですけれども。 例えば、効果があると書いてあるんですけども、論文をよくよく読んでいくと、食べて8週目、12週目、16週目とずっと効果を測定してあって、効果が見えているのは8週目だけなんですね。 12週、16週は、効果がないというのに、効果がありますよというふうに表示してあったりとか。
・山田さん:私たちって、それだけを食べて生きているわけじゃなくて、ほかにも、いろんなものを選んで食べているじゃないですか。だから、別にこれで、8週の時とかに効果があったかどうかなんていうのは、ちょっと分からないですよね。
・松永さん:分からないですね。 体感するのは、なかなか難しいということですよね。
── そこまで聞くと、そもそも機能性表示食品って、なぜ生まれてきたのかと思ってしまう方もいると思うが?
・松永さん:やっぱり国の方針として、産業振興という色合いがとても強い制度だというふうに思います。 先ほど、特定保健用食品を説明しましたけれども、あれはやっぱり企業にとっては、非常にお金がかかる制度なんです。 開発に1億円くらいかかるんじゃないかと。それから、審査して通るまでに3年くらいかかるというふうに言われています。 企業にとって負担が大きいですし、それから開発を始めて、どんどん時間が過ぎてしまうと、商品としては流行遅れみたいなこともありますので、企業にとっては負担が大きくて、中小企業はトクホを事実上、取れないんです。ですので、中小企業の方たちも、機能性をある程度アピールできるようにということで、できたというふうに、私は捉えています。
── スタートして、まもなく2年。もしかしたら、そろそろ議論をしていく時にきているのかもしれないですよね。 実は、こんな動きも出ているんです。
▽消費者の誤解招く? 食品表示のウラ事情
・健康食品の表示に関して、消費者からの相談に答えてきた東京弁護士会です。 去年(2016年)1月、東京弁護士会は機能性表示食品の廃止を訴える意見書を消費者庁に提出。 安全性の確保について、十分でないと訴えました。 例えば、企業が一般の食品を機能性表示食品に切り替えて販売する場合、より高い安全性が求められます。その際、基準となるのが、消費者に食べられてきた期間です。しかし、その期間に明確な基準はありません。 同様の制度を持つアメリカでは、25年。オーストラリアやニュージーランドでも、5年以上の期間を基準としています。しかし、日本では、短いもので販売期間が1年に満たない食品も認められているのです。
・東京弁護士会 消費者検討委員会 中川素充さん「圧倒的に他の国と比べれば、短すぎると思います。 健康に関わる場面、ここに関しては、きちんとした規制が必要だと思います。」
▽消費者の誤解招く? 食品表示のウラ事情
・山田さん:企業が売り上げのことを思ってとか、日本が潤うからということも分かるんですけど、企業よりもやっぱり、人のことを考えてほしいなというふうにすごく思ってしまいますね。
── 機能性表示食品の在り方について、松永さんはどう思う?
・松永さん:いいところもあります。 普通の一般食品で健康効果をにおわせるようなものが、どうかすると、人での試験もしてなかったりというようなものがあるんですね。 動物実験の効果しか確認されていないのに、人で効果があるようにうたってしまったりするようなものもあります。だけど、機能性表示食品という枠組み、制度にのったものは、人ではある程度、論文が1つ、2つはきちっと出ているんですね。そういう意味では、少し信頼度は上がると。それから、情報が公開されているというのも大きいですね。 情報が公開されているからこそ、弁護士会の方のように、これは問題があるんじゃないかということもいえるわけで、そういう面は評価してあげてもいいのかなというふうにも思います。
── 所轄官庁である、消費者庁はどう考えているのでしょうか。
・岡村和美消費者庁長官 「まだまだトクホほどの安全性が、すべての機能性表示食品に備わってはいない。」
・「科学的根拠が高いものから低いものまで出回ってしまう可能性がある?」
・岡村和美消費者庁長官 「届け出である以上トクホほどの時間と費用をかけていないので可能性自体は否定できません。ですから選ぶ消費者は慎重に選んでいただきたい。そういった消費者への制度自体の限界も含めて、消費者教育は進めていきます。」
・山田さん:教育は進めてくださるということですけど、クローズアップ現代+で勉強させていただいて、危機感はやっぱり持たないといけないんだなっていうふうにすごく思いましたので、自分の体に合う合わないという判断だったりとかを、やっぱり人に委ねないで、自分の中で、きちんと消化できるようにしたいなと思いました。
・松永さん:そういう意味では、情報がきちんと出ていますので、ヒントを与えられているんですね。そうはいっても、中身を消費者が1人でぽんっと見て、調べるというのは非常に難しいというのは確かなものもありますね。
── 実は今、出回っている商品を消費者庁がサンプル調査をしたりすると、成分が足りていないとか、入っているか確認できないものもあったというんです。そうしたものに対しては、国は今後、資料の追加提出を求めるなど、対策もしていくとしているんです。 同時に、こんな取り組みも始まっているんです。
▽“健康”食品の表示 科学者が根拠を検証
・こちらは、医薬品などの専門家が集まって、表示内容について、チェックしているんです。 民間の委員会なんです。企業が公開している論文の数や内容を検証し、A、B、Cの3段階で評価します。それをホームページで公開しているんです。  届け出の内容に疑問があった場合には、企業に質問状を送って、そのやり取りも公開しています。
▽あふれる“健康”食品 上手につきあうコツは?
・山田さん:こういったふうに動いてくださっているんですね。
── こうした動きもある中で、私たちはどうやって機能性表示食品とうまくつきあっていけばいいのか?
・山田さん:私が心配なのは、いっとき、サプリメントがすごくはやった時に、皆さん、お食事ちょろっと、サプリメントに頼り過ぎて、30錠ぐらい一気に飲んでいたりした時がありましたよね。やっぱり、それだけじゃなくて、基本的には規則正しい、きちんとした自分に合ったお食事法を見つけて、それからですよね、。 二の次にやっぱり、こういった機能性補助食品みたいなものをとりたいなと思います。
・松永さん:全くそのとおりで、バランスがよくて適量な食事っていうのが、やっぱり一番、実は効果があるんですね。 死亡リスクを下げたりとか、病気のリスクを下げるという意味では、学術的な根拠というのは、はるかにありますので。  (普通の食事の方が根拠が明快にあると?) 実はそうなんです。
・山田さん:でも、あまり疑心暗鬼になり過ぎても、ストレスがたまってしまうだけですから、やっぱり喜んで食べることも大事だし、自分の体に合うといいなっていうような、わくわく感も大事だしね。
・松永さん:機能性表示食品というのは、食品と名前が付いてるとおりで、大きな効果っていうのは、やっぱり期待できないんですね。 論文を見るかぎりは、やっぱり非常に効果は小さい。だけど、広告・宣伝が上手にされていますので、私たちは大きな効果があるように錯覚しています。そこを錯覚してるんだということを、自分で気が付いて、あとどうするか。 買う、買わないは自由ですので、私は機能性表示食品とか、トクホは、自分の生活を見直す、食生活を変えていくという意味での、きっかけ作りというような感じで利用されたらどうかな?というふうに思います。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3931/1.html

次に、3月21日付け東洋経済オンライン「牛丼やビールが突然「健康に良く」なったワケ 急増する機能性表示食品、問題はないのか」を紹介しよう。
・「“牛丼=不健康”というイメージを払拭したい」──。 牛丼チェーンなどを運営する吉野家ホールディングスで素材開発を担当する梶原伸子氏は、3月発売の新商品に切実な願いを託した。外食大手で初の機能性表示食品となる「サラシア入り牛丼の具」、略称“サラ牛”だ。
・価格は10袋セットで税込み5000円と、1杯380円の店頭商品より高い。冷凍商品だが、店頭に冷凍庫がないため当面は自社通販サイトでのみ扱う。「食後の血糖値の上昇をおだやかにする」と表示することで、機能性牛丼という新市場の開拓を目指す。
▽参入障壁低く、商品数が急増
・2015年4月に始まった機能性表示食品制度により、メーカーは専門的な研究を踏まえた科学的根拠を消費者庁に届け出れば、健康機能をラベルやパッケージに記載できるようになった。 国の審査が必要な特定保健用食品(トクホ)に比べて、開発にかかる期間や費用を圧縮できる。ただし商品の安全性や機能については、企業の自己責任となる。
・雪印メグミルクの「恵 ガセリ菌SP株ヨーグルト」は「内臓脂肪を減らす」、江崎グリコのチョコレート「GABA(ギャバ)」は「一時的・心理的なストレスを低減する」と表示する。 ほかにもファンケルのサプリメントやキリンビールのノンアルコールビールなど、2年間に届け出られた商品は800点近い。2016年の市場規模は452億円に達した(インテージ調べ)。
・各社がこぞって機能性表示食品を投入するのはなぜか。アサヒ飲料の大越洋二マーケティング本部長は「トクホの審査には1〜2年かかるが、機能性表示食品なら発売60日前までに届け出ればよい。需要の変化にタイムリーに対応できる」と説明する。 同社は4月4日、カルピスブランドで初めての機能性表示食品「カラダカルピス」を発売する。うたい文句は「乳酸菌で体脂肪を減らす」だ。体脂肪関連の機能を訴求する商品は多く競争が激しいが、近年の乳酸菌ブームを追い風に攻勢をかける。
▽トマトジュースは売り上げ7割増
・機能性表示は新商品だけではない。トマト加工品で国内最大手のカゴメは、1933年発売のロングセラー商品である「カゴメトマトジュース」を16年2月から、「血中コレステロールが気になる方に」という機能性表示を加えて販売した。 中身や値段は変わっていないのに売り上げが急速に伸び、出荷数量は表示追加前と比べて73%増加した。 「トマトに含まれるリコピンの健康機能の科学的根拠を示すために、1300本以上の論文を調査した。ただ、トクホにする場合は商品を用いた臨床試験が必要なため、よりコストがかかる」(カゴメ・マーケティング本部の加藤宣司主任)という。 同社は1973年発売の「カゴメ野菜ジュース」も、5月に機能性表示を加えて販売する。トマトジュースでの成功を横展開する目算だ。
・一方、トクホ中心のために対応が遅れた企業もある。「2年でここまで広がるとは思わなかった」と舌を巻くのは、サントリー食品インターナショナル・ブランド開発第一事業部の鵜飼太祐部長だ。 国内飲料シェア2位の同社は、「伊右衛門 特茶」や「黒烏龍茶」などのトクホ商品を次々と世に送り出してきたが、機能性表示食品は発売していない。今後はトクホ中心の路線を維持しながらも「魅力的な表示があれば」(同氏)、機能性表示食品にも取り組む方針だ。
・市場が急速に拡大する機能性表示食品だが、制度への信頼を失墜させかねない事態も起きている。  2016年11月、サプリメントなどの通販を手掛ける八幡(やわた)物産は、「北の国から届いたブルーベリー」を、「目の調子を整える」という表示を取り除いたうえで再発売した。 機能性表示食品の届け出支援などを行う日本アントシアニン研究会から「科学的根拠が不十分」との疑義申し立てを受け、届け出を自主撤回したためだ。
▽消費者本位の商品開発が求められている
・また健康食品の素材開発を行うリコムは、トクホの申請時に食品安全委員会から安全性について、「臓器に影響を及ぼすことは否定できない」と評価された成分を含むサプリメント「蹴脂粒(しゅうしりゅう)」を、機能性表示食品として2015年11月から販売している。会社側は「安全性に問題はない」と語る。
・企業側が専門家の研究を都合よく解釈して機能性表示食品の届け出を行うことは、別の問題も引き起こしている。国立健康・栄養研究所の千葉剛・健康食品情報研究室室長は、「企業が科学的根拠として採用した論文の被験者は若年層なのに、実際のターゲットは高齢者という場合もある」と指摘する。
・消費者庁は、機能性表示食品の科学的根拠に関する検証事業の報告書にこう記している。 「届け出者が高い倫理観を持って消費者への誠実で丁寧な情報提供に取り組み、同制度の充実を図っていくことが重要だ」 各社のさまざまな思惑により活用が相次ぐ機能性表示食品制度。目先の利益にとらわれず、消費者本位の商品開発という前提を守るべきだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/163617

クローズアップ現代では、 『「健康食品」・・・よく見るとストレートに健康効果をうたってないんです』、というのもまぎらわしい一種の誇大広告である。機能性表示食品は、『企業の自己責任によって、ここまで表示が幅広く書けてしまう』、ようだが、対象者が肥満かどうか、年齢層はどうか、などについて、はっきり明示しないまま効果を謳っている。 『東京弁護士会は機能性表示食品の廃止を訴える意見書を消費者庁に提出。 安全性の確保について、十分でないと訴えました。 例えば・・・、消費者に食べられてきた期間です。しかし、その期間に明確な基準はありません。 同様の制度を持つアメリカでは、25年。オーストラリアやニュージーランドでも、5年以上の期間を基準としています』、というのは酷い話だ。 『国の方針として、産業振興という色合いがとても強い制度』、消費者庁を作っても、やはり消費者保護よりも、産業振興に重きを置いた政策が推進されているようだ。
東洋経済オンラインの記事では、『リコムは、トクホの申請時に食品安全委員会から安全性について、「臓器に影響を及ぼすことは否定できない」と評価された成分を含むサプリメント「蹴脂粒(しゅうしりゅう)」を、機能性表示食品として2015年11月から販売している』、というのはとんでもなく危険なことだ。売る企業の「自己責任」を謳う以上は、万一の場合の損害賠償責任を履行できる能力が問題になる。実際には、訴訟を起こすには、金額も大きくないこと、立証の難しさなどから、訴訟になるケースは少ないと思われるが、大丈夫なのかとの懸念が残る。消費者庁は、企業に対して、『目先の利益にとらわれず、消費者本位の商品開発という前提を守るべきだ』、と建前論を述べているが、そんなキレイ事では済まない筈だ。
テレビでは、トクホや機能性表示食品のCMが溢れているが、購入意欲をそそるように効果を誇大に示したものが殆どだ。金融商品では、利用者の誤認防止のため厳しい規制があるが、それに比べ、余りに緩過ぎるように思う。食品販売についても、誇大広告を取り締まるようにしてゆくべきだろう。
タグ:国の方針として、産業振興という色合いがとても強い制度 機能性表示食品制度 (その3)(食品表示のウラ事情、急増する機能性表示食品に問題はないのか) NHKクローズアップ現代プラス 脂肪・ストレスが減るって本当?食品表示のウラ事情 パッケージを見ると、そういうことが書いていないんですね。そうすると、ドラッグストアに並んでいると、若い人が「あっ、これいいかも」と、受験勉強をしておられるような方とかが、記憶力をサポートしてくれるのなら、買っちゃおうということにもなってしまうんです 国が科学的根拠を審査した上で、許可が与えられるトクホ 機能性表示食品は国や第三者による審査がなく、届け出さえすれば、企業の責任で効果を表示できます 機能性表示食品 「内臓脂肪を減らす」と表示された、ある商品では、確かに「腹部の内臓脂肪が減少した」という結果が出ています。しかし論文を読み込んでいくと、「体脂肪率は増加している」という表現を見つけました 健康食品 機能性表示していない普通の食品ですよと。よく見るとストレートに健康効果をうたってないんです 高齢者を対象 実験の対象者です。 BMIが25以上30未満の肥満傾向の成人に対して、内臓脂肪を減らす効果が出た 論文をよくよく読んでいくと、食べて8週目、12週目、16週目とずっと効果を測定してあって、効果が見えているのは8週目だけなんですね。 12週、16週は、効果がないというのに、効果がありますよというふうに表示 記憶力を働きかけるみたいな機能性表示食品 研究が、肥満傾向の方を対象にしています 費者に食べられてきた期間です。しかし、その期間に明確な基準はありません。 同様の制度を持つアメリカでは、25年。オーストラリアやニュージーランドでも、5年以上の期間を基準としています 企業にとっては負担が大きくて、中小企業はトクホを事実上、取れないんです。ですので、中小企業の方たちも、機能性をある程度アピールできるようにということで、できた 消費者の誤解招く 八幡(やわた)物産は、「北の国から届いたブルーベリー」を、「目の調子を整える」という表示を取り除いたうえで再発売 機能性表示食品の届け出支援などを行う日本アントシアニン研究会から「科学的根拠が不十分」との疑義申し立てを受け、届け出を自主撤回 牛丼やビールが突然「健康に良く」なったワケ 急増する機能性表示食品、問題はないのか 東京弁護士会は機能性表示食品の廃止を訴える意見書を消費者庁に提出 東洋経済オンライン
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