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インフラ輸出(その4)(「インド鉄道ビジネス」の罠、あの新幹線メーカーが米国市場で陥った窮地、カリフォルニア高速鉄道、日本勢の勝機は?) [企業経営]

インフラ輸出については、インドネシア高速鉄道問題を2015年12月16日に取上げた。今日は、(その4)(「インド鉄道ビジネス」の罠、あの新幹線メーカーが米国市場で陥った窮地、カリフォルニア高速鉄道、日本勢の勝機は?) である。

先ずは、昨年12月12日付け東洋経済オンライン「川崎重工が陥った「インド鉄道ビジネス」の罠 円借款でも安心できない日本メーカーの弱点」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「こんなに高い価格では買えない」――。川崎重工業を中心とした日本連合が提示した価格に対して、インドの国有鉄道会社・インド鉄道が難色を示した。
・安倍晋三首相が推進する鉄道インフラ海外展開の中でも、川重は鉄道車両分野で主導的な役割を果たす。最近でもニューヨーク州、ワシントンDC、シンガポールなど世界の各地に川重製の鉄道車両を走らせる。イタリアの車両メーカーを買収して規模を拡大した日立製作所は別格としても、日本車両製造が米国向け車両開発案件でつまずく中、川重は海外展開の勝ち組と見られてきた。その川重が苦戦しているのが、日本が国を挙げて進めているインドの貨物専用鉄道計画である。
▽日本勢では過去最大の案件
・経済成長著しいインドでは、貨物鉄道の輸送能力が限界に近づいている。インドでは旅客列車と貨物列車が同じ線路を使うが、旅客が優先され、貨物輸送が滞りがちなのだ。そこでインド政府は、デリー―ムンバイ間約1500キロメートルとデリー―ハウラー(コルカタ)間約1400キロメートルに貨物専用線を建設、さらに高速貨物車両の導入などによる輸送能力の改善に踏み切った。
・2路線のうちデリー―ムンバイ間の建設は日本政府による支援が決定。現在の貨物列車の平均速度は時速20~30キロメートルにすぎないが、電化や信号システムの整備を行ない平均時速100キロメートル程度で走れるようにする。さらに2階建て貨物列車を投入することで、完成すれば輸送力は3~4倍に増強される。総事業費9000億円は円借款で賄われる。日本勢が参加するアジアの鉄道案件では過去最大の規模となる。
・双日、三井物産、日立製作所といった日本企業が軌道敷設工事を次々と受注。一部の区間はすでに着工している。問題となったのは貨物専用線を走る9000馬力の電機機関車200両の製造である。40両を日本から輸出、60両をノックダウン方式で製造。残り100両は現地生産という条件で昨年6月に入札が開始された。名乗りを上げたのは川崎重工業を中心とする日本企業連合。円借款の日本タイド(日本企業からの調達が求められる)案件だけに受注は確実と思われていた。
・ところが、日本連合が提示した価格が高すぎた。インド側の想定価格は1両あたり2.5億ルピー(約4.2億円)と伝えられている。ちなみにインド政府は昨年11月に仏アルストムに1万2000馬力の電気機関車800両を2000億ルピー(約3400億円)で発注している。まさに1両当たり2.5億ルピーであり、どうやらアルストムの案件を参考にしていたようだ。
・一方で、日本連合が提示した価格は現地の報道によれば1両当たり5億ルピー(約8.4億円)で、インド側の想定と2倍の開きがあった。インド側の要請を受けて日本連合は価格を3.6億ルピー(約6.1億円)に引き下げたが、折り合いはつかなかった。昨年暮れには契約成立のはずだったが、事態は今も膠着状態が続く。
・「中国勢と競合するなら相当厳しい価格をつけないと受注できないが、日本タイド案件なら多少高めでも許されるはず」(関係者)という声は確かにあった。インド側にしてみれば調達価格が多少高くなっても低金利融資で利払い負担は軽くなり、元は取れる。だが、調達価格が想定から2倍も割高というのは、さすがに無理があったようだ。
▽部品だけ日本製」で解決目指す
・川重は「現在もインド鉄道と最終価格の交渉中」と説明するが、現地では「車両を日本製にするのは断念して、日本製の電気機器を搭載した中国製やフランス製などの外国製車両」という条件に変更することで日本タイドをクリアできるようにしようとする動きもある。
・なぜアルストムと日本連合の間でこれほどの価格差があるのだろうか。そこには根本的な違いがある。アルストムの機関車は2000年以降、電気機関車を中心に世界各国でおよそ2200両売れた。それに引き替え日本の状況は、JR貨物が保有する機関車の総計は電気、ディーゼル合わせて590両。毎年、その更新需要くらいしか生産のニーズがない。部品の大量発注によるスケールメリットによるコストダウン効果を考えれば、彼我の差は計り知れない。
・毎年、大量の機関車を製造するアルストムやGEは、基本仕様をあらかじめ決めておき、後は発注者の要求に合わせて細部の仕様を決める。インドの案件でもアルストムは世界でベストセラーの電気機関車「プリマ」をベースとしている。一方、日本メーカーの場合は、その都度開発・設計を行なっている。そのコストは1両当たりの製品価格に上乗せされる。これによって価格差はさらに広がる。
・今回の一件は、東洋経済オンライン8月22日付記事"鉄道「オールジャパン」のちぐはぐな実態"でも触れた、フィリピン・マニラのLRT案件が失敗に終わった事例と構図がよく似ている。どちらも円借款の日本タイド案件で日本の車両メーカーの受注が確実だったにもかかわらず、フィリピンの案件では日本メーカーのスケジュールが合わず、インドの案件では価格がインド側の想定を大きく上回った。どちらも事前に相手国政府、日本政府、そして車両メーカーの間で十分に意思疎通が取れていれば回避できたかもしれない。
▽イニシャルコストの高さを納得させられるか
・同様のことは、これから設計・開発が始まるムンバイ―アーメダバード間を走る高速鉄道車両にも当てはまる。日本は最新鋭の東北新幹線「E5系」をベースとした開発を念頭に置いている。騒音など環境面に配慮した設計とした分だけ中国製と比べて車両価格は割高だ。かといって、インド向けに仕様変更すると今度はその分の設計費が上乗せされる。
・新幹線は外国の高速鉄道と比べて導入費用が割高なのではないかという疑問に対して、新幹線の海外展開を推進する国際高速鉄道協会(IHRA)の宿利正史理事長は「安全性・信頼性という便益と比較すれば、新幹線の方が圧倒的に効率的」と胸を張る。
・イニシャルコストが高くてもトータルで考えれば結局割安という理屈だが、インドにこの考えがどこまで受け入れられるか。12月9日、国際協力機構(JICA)はインド高速鉄道プロジェクトの設計案の策定や入札を支援する業務を開始すると発表した。日本製が採用されるべき円借款のプロジェクトであっても「高い」と反論された今回の一件を教訓に、今度こそ車両メーカーなど民間の情報も共有して、インド側が100%納得する高速鉄道プロジェクトを築き上げるべきである。
http://toyokeizai.net/articles/-/148812

次に、3月6日付け東洋経済オンライン「あの新幹線メーカーが米国市場で陥った窮地 期待の準高速2階建て試作車が「試験不合格」」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・「中国や日本には高速鉄道が至る所にあるが、わが国にはない」 トランプ米大統領の発言をきっかけに、日本の新幹線関連銘柄が2月10日に軒並み値上がりした。大手鉄道車両メーカー・日本車輌製造(日本車両)はその代表格。1日の取引量は通常10万~20万株程度にすぎなかったが、この日は一気に500万株を超える大商いとなった。株価も14%上昇した。3月1日にはトランプ大統領が2月28日の施政方針演説で1兆ドルのインフラ投資を表明したことを材料に株価が一時8%上昇した。
・日本車両はJR東海の子会社であり、東海道新幹線の車両を多数製造している。米国イリノイ州に車両工場があり、もし、日本の新幹線が米国を走るようになれば、車両製造の仕事が大きく増えるに違いない。株式市場はそう踏んだのだ。
▽案件の方向性について協議中
・しかし日本車両は、目下米国で窮地に陥っている。1月27日に発表された2016年度第3四半期決算。短信の「継続企業の前提に関する重要事象等」という項目に、それまで見られなかったコメントが載った。 「米国向け大型鉄道車両案件については、(中略)設計の見直しに対応する中で技術的な課題に直面し、当該案件を予定通り遂行することが困難になった旨を客先に申し入れ、今後の案件遂行の方向性について現在協議を行なっております」 「設計見直し」「案件遂行が困難」といった言葉の羅列から、何かよからぬ事態が発生していることがうかがえる。いったい何が起きているのか。
・日本車両の2014年度決算は、米国の大型案件において現地作業員の技術習得の遅れから原価高となり最終赤字に転落した。2015年度はプロトタイプ車両が強度テストをクリアできず、追加設計費用や製造工程の見直し費用などが発生した(詳細は「あの新幹線メーカーが大赤字に陥った事情」)。それから1年以上経った現在、事態は改善に向かうどころか、さらに悪化している。
・2012年にカリフォルニア、イリノイ、ミシガン、ミズーリの米国4州は共同で準高速鉄道用2階建て客車130両を2016年夏から2018年夏にかけて導入することを決めた。契約窓口となっているカリフォルニア州交通局は、「同州では2000年以降の2階建て車両の新規導入がなく、老朽化した車両を更新する必要があったこと、利用者の増加に対応すべく車両数を増やす必要があったこと」などを理由に挙げている。
・オバマ前政権の景気刺激策である米国再生・再投資法が適用されるため、車両調達に必要な資金のうち75%が連邦政府からの補助金で賄うことができる。その代わり、メーカーには米国内ですべての部品や材料を調達して製品を組み立てなければならないという厳しい制約が課された。
・最終入札には5社が参加し、日本車両の受注が決まった。当局が客車130両の価格を5億ドル強と想定していたところ、日本車両がそれを3割も下回る3.5億ドルで入札したことが決め手になったようだ。なお、客車を牽引する機関車35両については4州にアイオワ、ワシントン、オレゴンを加えた7州が共同調達し、入札の結果、シーメンスが受注している。
▽工場の建物面積も7割拡張
・客車を導入する米国4州にはオプション契約として300両の追加発注権がある。合計すれば430両。生産量の増加に対応するため、日本車両は2013年にイリノイ州にある工場の拡張に踏み切った。建物面積を4.3万平方メートルから7.3万平方メートルに拡大する大掛かりなものだ。
・米国では、2008年の旅客鉄道投資および改善法に基づき、製造コスト削減を目的とした鉄道車両の仕様標準化が求められている。今回製造する車両が今後スタンダードとなれば、将来の同タイプの車両受注において価格面でがぜん優位に立てる。日本車両にはこんな甘い期待もあった。
・だが、そんな期待も車両の試作段階であえなくしぼんだ。2015年に製造したプロトタイプ車両が、連邦政府の定めた衝突時の衝撃吸収基準をクリアできなかったのだ。 なぜ、初歩的な設計ミスを犯したのか。まず考えられるのは、日本と米国の安全思想の違いだ。日本では信号や運行管理システムを使って列車同士の正面衝突を回避するようにしているが、米国では列車同士が正面衝突する可能性を前提に鉄道車両の強度を含めた対策を決めている。もっとも、日本車両はこれまでも米国に2階建て車両を納入しており、そんなことは先刻承知だろう。
・次に考えられるのは、今回の車両は準高速車両であり、最高時速200キロメートル程度と想定されている点だ。これまで日本車両が米国向けに製造してきた車両の最高速度は時速126キロメートル。つまり、速度の違いが衝突時の強度計算に影響を与えた可能性がある。 さらに今回の車両は、米国製部品の100%使用、車両の仕様の標準化、メンテナンスをしやすい車両にするなどの諸条件がついている。そのため過去のノウハウが役に立たなかったのかもしれない。
・今回の案件については、2014年度決算で原価高を理由に約90億円の受注損失引当金を計上しており、設計見直しによる材料調達の変更にかかわる費用などとして2015年度にも54億円の損失引当金を計上した。しかし、その後精査した結果、指摘された事項を手直しする程度では解決できず、「車両構造の基本となる構体構造からの見直しが必要」(日本車両)というほど、再設計が広範にわたることが判明した。
・この結果を受けて、2016年10月には「新たに104億円程度の損失発生が今後予想される」と発表し、38億円の追加引き当てを行った。現在は、親会社のJR東海も技術者30人を日本車両に派遣し、グループをあげて車両設計に取り組んでいる段階だ。
・2016年度第2四半期の短信時点では、納期は遅延するものの、「設計の見直し等に的確に対応」すべく人員増強などの対策を講じていた。ところが、打って変わって第3四半期の決算短信には「今後の案件遂行の方向性について現在協議を行っております」と記載された。つまり第3四半期に案件の継続性に疑問符がついたということになる。日本車両に短信コメントの意味するところを問い合わせたが、「短信に書いてある以上のことは申し上げられない」とのことだった。
▽損失額はさらに膨らむ可能性も
・現地報道によれば、2017年9月までに車両が納入されないと米国4州は補助金を連邦政府に返却する必要があるという。この点についても日本車両に問い合わせたが「当方の契約は2016~2018年に車両を納入するというもの。先方の資金調達の状況は承知していない」とのことだった。とはいえ、車両設計が1年半近く遅れている状況で、当局の指定する2018年までに車両を納入できるかどうか。
・もし米国4州が補助金を返却した場合、その後に考えられるのは、①米国4州が資金を負担して案件を継続する、②日本車両が受注金額を下げて案件を継続する、③契約を白紙に戻して仕切り直し、の3つだ。設計見直しの原因が日本車両側にあるなら、①という選択はありえない。おそらく②と③のどちらかで現在協議を進めているのだろう。②の場合は日本車両の損失額が増えることは間違いないし、契約が白紙にという事態になれば、日本車両に多額の違約金を科される可能性は否定できない。現在想定されている損失引当金は当初契約の枠組みを前提としたものだ。②、③いずれにせよ、枠組みが変わることで損失額はさらに膨らむ可能性がある。
・日本車両の2016年12月末時点の株主資本の合計額は216億円だ。損失がかさむと23.8%の自己資本比率は一気に低下する。バックにはJR東海がついているものの、日本車両はトランプ発言一つで株価が急騰するのに見合うほど先行きに期待が持てる状況でないことは確かだ。
http://toyokeizai.net/articles/-/160891

第三に、4月18日付け東洋経済オンライン「カリフォルニア高速鉄道、日本勢の勝機は? 運行会社5候補が発表され、受注競争は佳境に」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・米国カリフォルニア州の高速鉄道計画を主管するカリフォルニア州高速鉄道局は4月4日、「初期運行事業者」の資格審査を申請した5つの企業連合体の名前を発表した。 カリフォルニア高速鉄道計画は2つのフェーズに分かれて建設される。第1フェーズは、サンフランシスコ―マーセド―ロサンゼルス―アナハイム間(約800キロメートル)に、最高時速350キロメートルの高速列車を投入し、3時間以内で結ぶもの。 第2フェーズはサクラメント―マーセド間(約180キロメートル)と、ロサンゼルスーサンディエゴ間(約270キロメートル)の2つの区間を建設するものだ。完成すれば総延長は約1250キロメートルに及ぶ。これは東海道・山陽新幹線・東京―博多間(1174キロメートル)よりも長い。
▽着工は2015年
・第1フェーズの一部区間は2025年に先行して開業する。サンフランシスコ―ロサンゼルス間は2029年に開業予定だ。第1フェーズの工事完了に引き続き、第2フェーズに移る。 第1フェーズの総建設費だけでも642億ドルが見込まれる。日本のリニア中央新幹線・品川―名古屋間の事業費5兆5000億円を上回るビッグプロジェクトだ。
・米国西海岸の主要都市を高速鉄道で結ぶ構想は1980年代初めに持ち上がった。当初の事業化調査には日本の国鉄や大手商社が協力しており、日本との関係も深い。しかし巨額の事業費の調達方法や用地買収のトラブルをめぐって議論が進まず、ようやく着工されたのは2015年1月になってのことだった。
・今回、州高速鉄道局が募集した初期運行事業者の役割は多岐にわたる。まず開業前に鉄道規格、列車や駅舎の設計、運行管理、運賃、マーケティング、収支計画などについて州高速鉄道局に助言を行う。つまり、高速鉄道計画のすべてのグランドデザインを行うということだ。
・また、正式に運行事業者が選定されるまでの運行業務も担う。正式運行事業者に自ら応募することもできる。つまり、初期運行事業者に名乗りを上げることは、事実上の運行事業者として名乗りを上げることだと言っても差し支えないだろう。最終的に候補者が絞られるのは今年の夏ごろの予定だ。
・名乗りを上げた5つの連合体は次のとおりだ。企業別というよりは国別と考えたほうがわかりやすい。  【中国】中国鉄路(中国の鉄道運行事業者)、中国中鉄(鉄道インフラ建設会社)、北京鉄道局などから構成される企業連合体
【ドイツ】ドイツ鉄道(ドイツの鉄道運行事業者)、ACI(米国の鉄道運行サービス会社)、HDR(米国のエンジニアリング会社)などから構成される企業連合体
【イタリア】イタリア国鉄、ファーストグループ(米英系の鉄道運行会社)、マッキンゼー(米国のコンサルティング会社)などから構成される企業連合体
【スペイン】スペイン国鉄、グローバルビア(交通インフラを軸に展開する多国籍企業)、アディフ(スペインの鉄道インフラ建設会社)などから構成される企業連合
【英国】ステージコーチ(英国や米国で鉄道・バス事業を運営)とそのグループ会社で構成される企業連合体
・英国を除く4カ国がいずれも国内で時速300キロメートル級の高速鉄道網を構築している。英国でも都市間高速鉄道計画(時速200キロメートル程度)の下、日立製作所製の高速車両の導入が進んでいる。
▽JR東日本は応募を見送り
・一方で、高速鉄道の代名詞ともいえるTGVを擁するフランス国鉄や、全米の鉄道旅客輸送を担うアムトラックの名前は見られなかった。両者の経営資源は現在、北東回廊(ボストン―ワシントンDC間)に向けられている。 アムトラックは2040年を目標とする北東回廊の線路増強・速度向上を進めており、そこにTGVを製造するアルストム社の最新型高速車両が採用される予定だ。つまり、アムトラックやフランスはカリフォルニアではなく北東回廊を選んだという見方もできる。
・では、日本企業の名前がリストになかったのはなぜか。5つの企業連合体はいずれも各国の鉄道運行事業者を主軸としている。日本でいえば、JR東日本(東日本旅客鉄道)だ。JR東日本は英国・ウエストミッドランズ線の営業権獲得に名乗りを上げており、カリフォルニア高速鉄道の運行に関心があるのではないかという観測は出ていた。
・しかし、冨田哲郎社長は今年2月の東洋経済の取材に対し、「(海外の運行業務は)リスクもあるので慎重に見極める必要がある。やみくもに広げるという考えはなく、個別に判断していく」と語っている。今回、応募を見送った理由については、「総合的に勘案した結果」(広報部)という。
・カリフォルニア高速鉄道において日本が以前から関心を寄せてきたのは運行事業ではなかった。車両、電気・機械システムの設計・製造、土木構造物の設計・製造・管理といったハード面の受注だ。 日本は川崎重工業を筆頭に三菱重工業、日本車輌製造、日立製作所、三菱商事、住友商事といったメーカーや商社が連合を形成し、これらの受注に関心があることを、2015年に州高速鉄道局に表明している。
・この日本連合には技術アドバイザーという位置づけでJR東日本も参加している。同社が初期運行事業者への応募を見送った理由は、主要業務の1つである収支計画の策定を嫌い、技術アドバイスに特化したかったからかもしれない。
・ただ、日本連合が受注を目指す領域にはライバルが目白押しだ。世界最大の車両メーカー・中国中車や同2位の独シーメンスをはじめ、信号メーカーやインフラ建設会社など、30を超える企業や企業連合体が参加を表明している。初期運行事業者はこれらの候補者の中から最もふさわしい車両メーカーや土木建設業者を選ぶことになる。はたして日本連合が受注を勝ち取る可能性はあるのか。
▽イタリアと英国がカギを握る?
・5つの初期運行事業者候補のうち、中国、ドイツ、スペインは自国に高速鉄道車両メーカーがある。日常の運行を通じて自国製の高速列車への信頼は高い。もしこれら3つの候補者のいずれかが初期運行事業者に選ばれた場合は、自国メーカーに車両製造を発注するというのが自然な流れだ。
・残るイタリア、英国はどうか。イタリア国鉄は日立が2015年に買収したイタリア車両メーカーの高速車両を採用している。また、英国でも日立は都市間高速鉄道計画を受注しており、英米系のファーストグループや英ステージコーチが英国で運営する路線に日立製の高速車両の導入が決まっている。
・つまりイタリアと英国に関しては、日立との結び付きがある。初期運行事業者の選定次第では、日本連合が車両受注を勝ち取る可能性はまだ残っている
http://toyokeizai.net/articles/-/167910 

第一の記事では、 『日本連合が提示した価格は・・・インド側の想定と2倍の開きがあった』、というのでは、いくら 『円借款の日本タイド』、といっても通用しなかったようだ。 『アルストムの機関車は2000年以降、電気機関車を中心に世界各国でおよそ2200両売れた。それに引き替え日本の状況は、JR貨物が保有する機関車の総計は電気、ディーゼル合わせて590両』、とスケールメリットで大差があるのはともかく、 『毎年、大量の機関車を製造するアルストムやGEは、基本仕様をあらかじめ決めておき、後は発注者の要求に合わせて細部の仕様を決める。・・・一方、日本メーカーの場合は、その都度開発・設計を行なっている。そのコストは1両当たりの製品価格に上乗せされる。これによって価格差はさらに広がる』、というのでは、残念ながら「勝負あった」である。「ガラパゴス化」がこんなところにも表れているようでは、いくら「ものづくり」を自画自賛したところで、国際市場では通用しない。
第二の記事で、 『日本車両が2015年に製造したプロトタイプ車両が、連邦政府の定めた衝突時の衝撃吸収基準をクリアできなかった』、というのは、考えられる理由が挙げられているが、突き放して考えれば、単なる言い訳に過ぎず、お粗末である。今後の展開如何では、親会社からの資本支援が必要になる可能性もある危機的事態といえよう。
第三の記事では、JR東日本は初期運行事業者に名乗りを上げなかったようだ。 『日本が以前から関心を寄せてきたのは運行事業ではなかった。車両、電気・機械システムの設計・製造、土木構造物の設計・製造・管理といったハード面の受注だ』、というのは上記の2例とは違って、賢明な選択なのかも知れない。
いずれにしろ、安部首相がインフラ輸出でいくら旗を振っても、結果は一向についてこないのは、日本企業の「強み」に思い込みがあったからなのかも知れない。
タグ:イタリアと英国がカギを握る? ・カリフォルニア高速鉄道において日本が以前から関心を寄せてきたのは運行事業ではなかった。車両、電気・機械システムの設計・製造、土木構造物の設計・製造・管理といったハード面の受注だ JR東日本は応募を見送り 資格審査を申請した5つの企業連合体 初期運行事業者 カリフォルニア高速鉄道、日本勢の勝機は? 運行会社5候補が発表され、受注競争は佳境に 損失額はさらに膨らむ可能性も 米国製部品の100%使用、車両の仕様の標準化、メンテナンスをしやすい車両にするなどの諸条件がついている。そのため過去のノウハウが役に立たなかったのかもしれない 今回の車両は準高速車両であり、最高時速200キロメートル程度と想定されている点だ。これまで日本車両が米国向けに製造してきた車両の最高速度は時速126キロメートル 日本と米国の安全思想の違いだ 2015年に製造したプロトタイプ車両が、連邦政府の定めた衝突時の衝撃吸収基準をクリアできなかったのだ 工場の建物面積も7割拡張 JR東海の子会社 日本車両 あの新幹線メーカーが米国市場で陥った窮地 期待の準高速2階建て試作車が「試験不合格 日本メーカーの場合は、その都度開発・設計を行なっている。そのコストは1両当たりの製品価格に上乗せされる。これによって価格差はさらに広がる アルストムやGEは、基本仕様をあらかじめ決めておき、後は発注者の要求に合わせて細部の仕様を決める。インドの案件でもアルストムは世界でベストセラーの電気機関車「プリマ」をベースとしている 日本の状況は、JR貨物が保有する機関車の総計は電気、ディーゼル合わせて590両 アルストムの機関車は2000年以降、電気機関車を中心に世界各国でおよそ2200両売れた 部品だけ日本製」で解決目指す 調達価格が想定から2倍も割高というのは、さすがに無理があったようだ。 日本タイド案件なら多少高めでも許されるはず」(関係者) 日本連合が提示した価格は現地の報道によれば1両当たり5億ルピー(約8.4億円)で、インド側の想定と2倍の開きがあった 電機機関車200両の製造 双日、三井物産、日立製作所といった日本企業が軌道敷設工事を次々と受注 総事業費9000億円は円借款で賄われる 日本勢では過去最大の案件 川重は海外展開の勝ち組と見られてきた 安倍晋三首相が推進する鉄道インフラ海外展開 川崎重工業を中心とした日本連合 川崎重工が陥った「インド鉄道ビジネス」の罠 円借款でも安心できない日本メーカーの弱点 東洋経済オンライン (その4)(「インド鉄道ビジネス」の罠、あの新幹線メーカーが米国市場で陥った窮地、カリフォルニア高速鉄道、日本勢の勝機は?) インフラ輸出
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