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医療問題(その8)(群大病院「8人死亡」事件 執刀医の暴走はこうして起きた、危険な精神科薬何種類も投与されるキケンな現実、広がる“偽造薬”リスク) [社会]

昨日に続いて、医療問題(その8)(群大病院「8人死亡」事件 執刀医の暴走はこうして起きた、危険な精神科薬何種類も投与されるキケンな現実、広がる“偽造薬”リスク) を取上げよう。

先ずは、「大学病院の奈落」の著者で新聞記者の高梨 ゆき子氏が9月11日付け現代ビジネスに掲載した「群大病院「8人死亡」事件、執刀医の暴走はこうして起きた 問題は、組織にあった」を紹介しよう(▽は小見出し)。
▽信じられないほどの杜撰さ
・3年前、ある医師からこんな言葉を聞いた。 「医療の安全性を追求していくと、倫理の問題に行き着く」  医療の世界には患者を救うため、一か八かで手術することもやむを得ないと考える雰囲気がいまも根強くある。そのなかで安全のために立ち止まり、慎重に点検する態度は弱腰に映ることがあるかもしれない。しかし挑戦するだけの十分な技量や体制、周到な準備もなく行うのであれば、それは無謀というほかない。
・群馬大学医学部附属病院で、同じ医師が執刀した肝臓の腹腔鏡手術を受け、8人の患者が死亡していた。いずれもまだ有効性や安全性が確立されておらず、保険診療として認められていない高難度の手術である。それなのに、倫理審査もせず、患者に事実を告げることもなく、手術は行われた――。 
・地域住民の信頼も厚い大学病院で、にわかには信じがたいほど杜撰な医療が行われていた事実について、2014年11月、私は新聞に記事を書き始めた。だが死亡続発は腹腔鏡手術という最新医療のわくにとどまらなかった。開腹手術でも同様に無理な手術が行われていたことが次々に判明し、冒頭の医師の警句にたどり着く。 単なる技量不足ではない。倫理の問題だったのである。
・取材を進めると、「穏やかでまじめ」と周囲の人々に評される執刀医の横顔が浮かんだ。その医師がなぜ暴走したのか。手術を重ねるごとに、患者の死亡例も重なっていくのをなぜ漫然とやり過ごしたのか。 執刀医は、まさに無謀なチャレンジを当然と考え、十分な技量も体制もないまま、「やるしかない」と思い込み、患者をいたずらに危険にさらしてきたのではないか。何が彼をそこに駆り立てたのか。
▽死亡事件は氷山の一角
・疑問をとき明かしていくと、旧弊のからまる大学病院の構造に突き当たる。第一外科と第二外科の覇権争い、新しい技術をなし崩しに導入する甘さ、医療保険システムの弱点――一つの大学病院で起きた特殊な出来事といえない負の作用が様々に働き、起こるべくして起こった問題といえる。氷山の一角であるかもしれない。
・第三者の調査委員会が発足したうえ、各症例の医学的検証には日本外科学会の50人を超える外科医が携わるという大がかりな調査が行われたこの事件は、医療法の改正にもつながる改革のきっかけになった。昨年7月に調査報告書が公表された後、病院側の遺族への説明や示談交渉、遺族と執刀医らの話し合いがいまも続く。
・ある外科医は言った。 「外科医なら、自分の技術がどれくらいあるか試したいというのは、誰でもある。どこまでチャレンジが許されるのか、そこに、それぞれの外科医の人間性が問われている」と。 外科診療の安全性を向上させるには、医療現場に意識変革が必要である。そのことが今、広く認識されつつある。
・事態が発覚してから、執刀医の暴走は、ネット上で「殺人鬼」「連続殺人」とまで書かれた。断片的な情報からは、とんでもない悪人が起こした特異な事件というイメージで見られているのかもしれない。しかし、全体像を知れば、そのような表現が、問題をむしろ矮小化するものだとわかるだろう。
・新聞には多くの関連記事を書いてきた。それでも、書ききれないことがたくさんあった。しかも、一日で古紙となり消えていく日刊紙では、一度に伝えられる内容は断片的で、それらをすべて丁寧にフォローしていなければ全体の理解は難しいが、そのような読者は、いたとしても少数派だろう。
・一連の出来事の本質を少しでも多くの人にお伝えするには、一冊にまとめるしかないのではないか。 それは、長年、新聞記者として文章を書くことを仕事にしながら、本を出したいなどとはほとんど考えたこともなく、ただ目の前のテーマを追い掛けて記事にすることに邁進し、それが少しは世の中の足しになっていると感じることにささやかなやりがいを見出してきた凡庸な私が、『大学病院の奈落』出版を考えるに至った動機である。
・この本を通じて、群馬大学病院の事件が残した教訓について理解し、よりよい医療とはどういうものか自分なりに考えてみてくださる方が一人でも増えるとしたら、それは望外の喜びである。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52768

次に、元高校教諭の水谷修氏が9月13日付けZAKZAKに寄稿した「夜回り先生・水谷修 天に向かって、つばを吐く」シリーズの「1220万人がこころの病抱えるニッポン 危険な精神科薬何種類も投与されるキケンな現実」を紹介しよう(▽は小見出し)
・私は、ずっと日本の精神医療について危険性を感じています。いや、厳しく言えば、精神科や心療内科、神経科を一度解体し、再度治療の在り方を再考すべきだと考えています。 現在、日本の精神科医のほとんどは、投薬による治療に専念しています。医師に、「眠れない」と訴えれば睡眠薬を投与されますし、「いらいらする」と言えば向精神薬、「死にたい」とこぼせば抗うつ剤を投与されます。しかし、環境要因による後天的な精神疾患を、環境を変えることなく、精神科薬の投与によって、脳自体の活動に大きな影響を与え、環境適応できるようにすることは、本当の意味での治療といえるのでしょうか。
・たとえば、虫歯で歯が痛くて歯科医院に行ったとします。「歯が痛い」と相談したら、痛み止めを2週間分渡されたとします。2週間後には、痛み止めがなくなり、再度行ったら、また痛み止めを2週間分。こんな治療では、半年後には虫歯がさらにひどくなります。痛みの原因である虫歯の治療をすることが、本当の治療です。
・精神科医も、なぜ眠れないのか、なぜいらいらするのか、なぜ死にたいのか、その原因を探り、突き止め、解決することが、本来の治療なのではないでしょうか。原因が、家庭の問題にあるのなら、家族を呼び家庭環境を変える。学校にあるのなら、校長や教育委員会に連絡して、その解決に当たる。職場環境にあるのならば、上司に連絡し、職場環境を変える。ここまで動いている精神科医は、日本にいったい何人いるのでしょう。
・また、みなさんに聞きたい。何かの病気で医者にかかり、何ヶ月もその病気が治らなければ、その医者は「ヤブ医者」。使い物にならない医師となるでしょう。でも、精神科医の場合、何ヶ月も何年も、投薬の量を増やしながら、治療と称して、投薬を続け、患者の脳を破壊しています。これは、許されることなのでしょうか。私は、ある意味で殺人行為だとすら考えています。
・しかも日本では、たばこの中のニコチンやアルコールは、子どもたちのこころや身体、脳の健全な成長に大きな害を与える可能性があるという理由で、法律によって厳しく禁止しています。にもかかわらず、ニコチンやアルコールよりはるかに危険な精神科薬を、中学生や高校生に何年にもわたり投与すれば、どうなるでしょう。その子どもたちの脳や身体、こころに消すことのできない大きな害をもたらします。しかし、日本の多くの精神科医は、平気で何年にもわたり多量の投薬を続けています。
・すべての医師は、その治療計画及び、副作用、治療後の成果について、きちんと患者に伝える義務があり、その行為に責任を取らなくてはなりません。でも、これをきちんとやっている精神科医や、こころの病の治療に関わる医師はいるのでしょうか。
・今、我が国では120万人がうつ病認定を受け、1100万人が、こころの病の治療を受けています。彼らの受けている治療は、ほとんどが精神科薬の投与のみです。ここで使われている治療費は2兆6000億円に及びます。ほとんどが薬代です。この10年間で60倍に増えています。日本は、世界で数少ない精神科薬の複合投与をする国です。危険な精神科薬を何種類も患者に投与します。
・かぜを早く治したいからと行って、ブロンやセデス、ルルやバッファリン、葛根湯を一度に飲んだらどうなりますか。先進国の多くは、その危険性に気づき、単薬投与を基本としています。しかし、日本の多くの精神科医は、必ずと言っていいほど数種類の薬を投与します。こんな危険なことはないのに。
・みなさん、国民の10人に1人が、こころを病み、完全な労働ができない国に、明日はあるのでしょうか。私は、ないと考えています。それほど、現在の日本は危機的な状況です。 今、精神医療を受けている人たちへお願いです。必ず医師に、治療計画及び副作用をきちんと書類で書いてもらってください。そして、治療がきちんとできなかった場合は、完治しなかったり、それによって症状が悪化した場合は、医師を訴えることを伝えてください。ほとんどすべての医師が、治療を拒否するはずです。その医師は、“使い物にならない医師”です。それをきちんとしてくれた医師から治療を受けてください。
・私は、あまりにも精神医療によって壊され殺された子どもたちを見過ぎました。先日も1人失いました。  最後に、私は、医師による精神科薬の投与を、すべて否定しているわけではありません。眠れない状態が何日も続けば、その患者の身体は壊れてしまいます。死にたい状況を続けていれば、自らいのちを絶ってしまうことにもなります。二ヶ月から四ヶ月程度、精神科薬を投与し、その症状を緩和させ、そしてその間に、環境を変えさせていく。このような治療は否定していません。それこそが本来の治療の姿ではないでしょうか。  ▽水谷修(みずたに・おさむ) 1956年、神奈川県横浜市生まれ。上智大学文学部哲学科を卒業。83年に横浜市立高校の教諭となり、子供の非行や薬物汚染拡大防止のため「夜回り」と呼ばれる深夜パトロールを行う。2004年9月に辞職。現在は「夜回り」のほか、メールや電話による相談を受け、講演活動で全国を駆け回っている。
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170913/soc1709130035-n1.html

第三に、9月13日付けNHKクローズアップ現代+「広がる“偽造薬”リスク あなたの薬は大丈夫?」を紹介しよう(▽は小見出し、──はナレーターの質問)。
・医師の処方に基づいて薬局で受け取った薬がニセ薬だったら?ボトル1本150万円もするC型肝炎治療薬、その中身がビタミン剤などにすり替えられていた!正規の流通ルートで偽造薬が見つかったことは、患者や医薬品業界の関係者に大きな衝撃を与えた。一体なぜ?さらに、世界の“偽造薬ネットワーク”が日本をターゲットにしていることもわかってきた。“偽造薬”リスクからどうやって身を守ればいいのか?最新の実態と対策を伝える。
・出演者 谷本剛さん (医薬品セキュリティ研究会 理事) 出雲博子医師 (順天堂大学医学部客員教授)  武田真一・鎌倉千秋 (キャスター)
▽広がる偽造薬リスク あなたの薬は大丈夫?
・1本153万円。去年(2016年)、国内の医薬品売り上げ高1位の薬です。 これを医師に処方され、薬局で受け取ったところ…、なんとニセ薬だった。そんな、あってはならない事態が起きてしまいました。 誰も気づかぬまま、正規の流通ルートに混入。薬局から患者の手に渡ってしまったのです。
・偽造薬を患者に売った 薬局チェーン幹部 「世間をお騒がせいたしまして、大変申し訳ございませんでした。」  全国の患者の間で衝撃が走りました。  患者団体 事務局長 「自分の飲んだ薬が本当に本物だったのか。患者は何を信じて、どうすればいいのか。」
・今、日本で偽造薬のリスクが広がりを見せています。インターネットで手に入る勃起不全・ED治療薬や、ダイエット薬、育毛薬。その多くが偽造薬と判明。世界中の犯罪組織が新たな資金源として、偽造薬に注目している実態がありました。
・不正サイト監視会社 社長 「世界の偽造薬ネットワークが日本を狙っています。」  私たちは偽造薬からどう身を守ればいいのか。最新の実態と対策をお伝えします。
▽追跡!偽造薬流入ルート なぜ正規の薬局に?
・事件が発覚したのは、今年(2017年)1月。奈良の住宅街。C型肝炎の治療を受けていた70代の女性。医師の処方箋に基づき、薬局から出された薬「ハーボニー」を飲もうとしたところ…、前に飲んでいたものと色や形が違うことに気づきました。その時、女性が飲もうとしていたのは、黄色いだ円形。一方、いつも飲んでいたハーボニーは、オレンジ色でひし形。アルファベットや数字が刻印されていました。
・とはいえ、薬局の出す薬がニセモノのはずがない。悩んだ末、女性が薬を出した薬局に相談に行くと…、そこで初めて、薬剤師は薬がニセモノであることに気づきました。それは、ただのビタミン剤だったのです。ビタミン剤ならば健康被害はないのでは…、と思うのは危険。実は深刻な事態を引き起こします。
・C型肝炎の治療に長年取り組み、ハーボニー開発時の治験も担当した、八橋弘医師です。 C型肝炎は多くの場合、予防接種や輸血などによるウイルス感染で、り患。肝硬変などになる可能性が高い病気です。それを治す画期的な治療薬として、2年前に登場したのがハーボニーです。実際、服用すると、ウイルスが激減。3か月間毎日飲み続ければほぼ消滅することが実証されています。
・しかし、偽造薬など何らかの理由で服用を中断してしまうと…。 国立長崎医療センター 八橋弘医師 「かなりの確率で治療が失敗してしまう。それはもう一度やり直せばいいという単純なものではなくて、薬が効きにくくウイルスが変わりますので、複雑な耐性になってしまうと、もう治ることがなくなってしまう。」
・最悪の場合、がんになる可能性が出てくるのです。 患者 「病気が治るチャンスを奪われるのは、患者にとってたまらない、許せない。」 
・では今回の事件、偽造薬はどうやって流通ルートに紛れ込んだのでしょうか。最初に偽造薬が見つかった薬局のチェーンでくまなく探したところ、合計5本の偽造薬が発見されました。それらは全て、むき出しのボトル。特に問題ないように見えますが…、通常ハーボニーは説明書とともに箱に入れられ、密封された状態で出荷されています。 ボトルだけの状態はありえないと、製造・販売元の製薬会社は言います。
・ギリアド・サイエンシズ社 折原祐治社長 「もう本当に面食らうというか。これは弊社の工場では起こりえない、100%起こりえない。」 中身を調べると、ビタミン剤の他、別の肝炎の薬や漢方薬。なぜか本物が混じっているものまでありました。
・さらに流通ルートをさかのぼると、広い範囲に及ぶ経路が浮上してきました。中でも、多くの業者が関わっていたのが、東京。都は、ただちに調査に乗り出しました。その結果、都内の卸売業者5社が関わり、10本の偽造薬が見つかりました。奈良の分と合わせて、全部で15本。患者に渡ったものは他にはありませんでしたが、やはり全て、ボトルむきだしの状態でした。都の担当者は、関与した全ての卸売業者に聞き取り調査を行い、ある事実をつかみました。
・東京都 薬事監視担当課長 河野安昭さん「最終的には、ある卸売業者さんが『個人』から買い取っていたことがわかった。」 その個人とは、いったい誰なのか。 東京・神田。古くから薬の商いが盛んな街です。個人が薬を持ち込んだ卸売業者は、その一角の古い雑居ビルにありました。訪ねてみると、業者は既に廃業し連絡先もつかめませんでした。
・しかし事件の2か月後、その業者が公の場でこう証言していました。 偽造薬を買い取った卸業者 「(売りに来たのは)普通の人だと思う。若い人ではない、関西風。ほとんど男性ですけど、(持ち込む人が)毎回違いますから。C型肝炎という特殊な薬だったので、調剤薬局か病院の人だと思いました。」 
・そして、薬の取り引きの意外な実態についても…。 偽造薬を買い取った卸業者「(薬の)買い取りの条件に『秘密厳守』と書いて、やっていたものですから。そううたった方が(薬の)持ち込みの話が来るだろうと思ってやりましたので、私から(身元確認は)言いづらかったところもあります。」
・秘密厳守だから身元の確認は行わない。この業者は、薬を持ち込んだ個人の情報を全く持っていませんでした。 なぜ、秘密厳守なのか。 実は今回、事件に関わった卸売業者は、全て「現金問屋」と呼ばれています。医薬品の業界で長く続く業態です。
・現金問屋は、他の卸と同じように病院や薬局などに薬を売りますが、それだけでなく、逆に病院などから薬を買い取ることも行います。病院や薬局では、薬の使用期限が切れると、廃棄せざるを得ず、大きな損失が出ます。その期限切れの前に現金問屋が買い取るのです。本来、病院が薬を売ることは認められていませんが、個人の立場で、薬が現金問屋に持ち込まれる実態があると言います。こうした事情から、秘密厳守という商慣習が生まれ、現金問屋という存在を必要とする病院もあったと言います。
・元現金問屋 「調剤薬局、病院、クリニックを少しでも楽に運営したいという部分もあるのに、そこに我々(現金問屋)のような業種がいるわけじゃないですか。だから我々の商売というのは、絶対に必要だと思います。」
▽追跡!偽造薬流入ルート なぜ正規の薬局に?
・ゲスト 谷本剛さん(医薬品セキュリティ研究会 理事)
・鎌倉:秘密厳守という商慣習は、業者の長年の経験によって行われてきたといいます。業界団体は、偽造薬が入り込むことは、本来ありえないと話しています。では、なぜ多くの薬のプロが関わっていたにも関わらず、誰もニセモノと見抜けなかったんでしょうか。 そのポイントの1つは、こちらの薬の容器、ボトルにありました。今回、見つかった偽造薬のボトルは、正規のロット番号が入った本物のボトルだったんです。 犯人は、使用済みのボトルを何らかの方法で手に入れ、中に別のものを入れて、改めてアルミで封印したと見られています。詳しい経路は判明していませんが、患者が飲み終わった後の容器や、病院が廃棄した薬の容器が、ネットオークションなどを通じて売買されていた可能性もあるといいます。
── 世界中の偽造薬を実際に分析され、流通にも詳しい谷本剛さん。 病院で処方されて、薬局で出された薬がニセモノだった。これは衝撃だと思うが、谷本さんはどう受け止めた?
・谷本さん:私は、こういう研究を長年やっている。日本でもとうとう出てきたかというのが、第一感でした。日本の薬は大体安全だという、いわゆる安全神話というものがあったんですが、それが崩壊したということで、国民の、あるいは患者さん方の、日本の医療に対する信頼性が失われるんじゃないか、それが一番懸念されたところです。
── 今回の事件の背景には、現金問屋が薬の出どころを確認せずに売買する場合があるという、いわゆる秘密厳守というような商慣習がある。なぜ、このようなことが行われている?
・谷本さん:医薬品の販売に関しては、いわゆる医薬品販売業という許可が必要なわけなんです。薬局とか卸は販売することはできるんですが、病院には、医療機関として販売はできないということになっています。ですが病院の方は、不良在庫といいますが、あんまり在庫を抱えたくないと。有効期限も残り少なくなると、早く処分したいというところがあって、それを病院としては売れないんだけれども、個人の名前で現金問屋の方に持っていかせるということになれば、やはり、これは法的にはちょっと違法な行為なので、売る方も、買う方も、お互いにあまり深く追及しないということで、いわゆる秘密厳守という習慣ができたんじゃないかというふうに思います。 (同じようなケースは薬局でも起こる?) 同じことが起こりうると思います。
── 犯人の人物像や目的は?
・谷本さん:犯人の意図というのはちょっとつかみきれないんですけども、海外の偽造薬の実態と比較してみると、今回のこの偽造医薬品、これは非常に幼稚というか、稚拙な作り方なんです。薬自身、高価な薬だし、偽造薬として見つかったのが、ボトルとしても、わずか15本ぐらい、非常に少ないわけなんです。ですから、あまり多くの組織が、組織だった形で、こういう事件を引き起こしたとは考えられない。むしろ小さなグループが、当面の金もうけ、あるいは小遣い稼ぎというような感覚で、この事件を引き起こしたんじゃないかなというふうに思っております。
・鎌倉:では、偽造薬の被害、どう防げばいいんでしょうか。
・まず、製薬会社は事件の後、すぐに包装を変え、ボトルではなく、1錠ずつ外から見える形にしました。そして、厚生労働省は6月、再発防止の中間取りまとめを出しました。現金問屋などの卸売業者は、取り引き先の連絡先など、身元確認を徹底すること。それに違反した場合は、販売許可の取り消しなどの行政処分を行うとして、今月(9月)中に省令の改正を予定しています。秘密厳守という、長年の商慣習を断ち切るのが狙いです。現金問屋の組合でも、秘密厳守の禁止を加盟する会社に通知しました。
── 実は日本では、この処方薬以外でも、偽造薬がまん延している実態が分かりました。背景には、世界で暗躍する犯罪組織の存在があるといいます。
▽まん延するニセED薬 犯罪組織が暗躍!?
・薄毛に悩む人が使う育毛・養毛薬。そして、ダイエット薬や抗うつ薬。インターネットによる個人輸入で、手軽に海外から入手できる薬の中に、偽造薬がまん延しています。特に多いのが、男性の勃起不全ED治療薬です。
・ファイザー社 セキュリティ担当部長 池田哲也さん「こちらは全く存在しない色のバイアグラ。(有効成分が)100mg以上は存在しませんので、300mgというのは明らかに偽造品。」
・ED治療薬の大手製薬会社は、日々個人輸入サイトをチェックし、実際に商品を購入。成分を調べています。
・ファイザー社 セキュリティ担当部長 池田哲也さん「分析すると(成分の)分量については、非常にバラツキがあります。」
・消費者が本物だとだまされないように警鐘を鳴らしています。去年暮れ、大手4社が合同で世界各地から日本に個人輸入されているED治療薬の実態調査を行いました。すると、実に4割が偽造薬という結果が出ました。 これまでも、偽造のED治療薬を扱う不正サイトは問題視されてきましたが、後を絶ちません。それどころか…。
・ファイザー社 セキュリティ担当部長 池田哲也さん「(不正サイトは)昔よりも、はるかに頻繁にURL(アドレス)を変えている。サイトを見つけて、試買(しばい)して、その間に変わってしまっている。偽造品を売る業者も、より知恵をつけている。」
・この調査を監修したED治療の専門医、佐々木春明医師です。 偽造薬を製造している海外の現場の実態に危機感を強めています。
・昭和大学 藤が丘病院 佐々木春明医師 「(ここで作られた薬には)ネズミを殺す薬が含まれていたり、おそらく、ED治療薬の前に、別の薬を偽造していたと思われる、その成分が残っていて、ED治療薬の中に含まれている。」 特に多いのは、血糖値を下げる成分が入った偽造薬で、それを服用して意識障害を引き起こすケースもあると言います。そこには、EDに悩む人ならではの切実な問題がありました。
・昭和大学 藤が丘病院 佐々木春明医師 「健康被害が起きたときに、“公にしたうない”という心理が働きます。恥ずかしい、人に知られたくない。患者さんが何が入っているかわからない成分を含んだ物を口にするということは、場合によっては死に至る。」
・偽造薬がまん延する背景には、世界的に取り引きが活発化している実態があります。市場規模は、今や750億ドル。およそ8兆円まで拡大しています。 この7月、韓国で…。 韓国 MBC 「中国から搬入した偽造ED薬120億ウォン相当を流通させようとした組織が摘発されました。」 一方、ポーランドでは、ED治療薬を偽造する世界最大の工場を摘発。押収物の中には、中国製とみられる原料がありました。こうした中、日本では、厚生労働省が海外から流入する偽造薬を未然に阻止する取り組みを強化。その業務を委託した会社がアメリカ・オレゴン州にあります。医薬品の不正サイトを監視・削除する世界有数の調査会社です。  ICPO国際刑事警察機構と協力し、世界中の不正サイトを監視。日本への偽造薬の流入に目を光らせています。調査の結果、国際的な犯罪組織が資金源として偽造薬に注目している実態が浮かび上がってきたと言います。
・レジットスクリプト社 ジョン・ホートン社長 「私たちが発見した偽造薬ネットワークの首謀者が最近逮捕されました。偽造薬の売り上げで得た資金を『殺人』や『麻薬の転売』に使っていました。さらに兵器の技術情報を中東へ流出させる活動にも使っていました。まさにこれは世界的な問題なのです。」
▽追跡!偽造薬 世界から狙われる日本
・ゲスト 出雲博子医師(順天堂大学医学部客員教授)
── 偽造ED治療薬で健康被害を起こした患者を、実際に診察された出雲博子先生。その患者は、どんな状況で運ばれてきて、どう対応された?
・出雲医師:この患者さんは、自宅で朝仕事をしていたところ、意識がふらふらしてきたもので、救急室に来られました。意識障害の原因として、血糖が非常に低いことが分かりましたので、ぶどう糖を注射いたしましたけれども、なかなか回復しませんでしたので、集中治療室に入院させて、高濃度のぶどう糖の点滴を続けました。20時間ぐらいして、やっと患者さんは回復してきたということです。意識の戻った患者さんに尋ねると、糖尿病の治療薬は使っていないということでしたので、その他の低血糖を補佐するようなものをいろいろ調べましたけれども、何も見つかりませんでした。 (なぜ、偽造薬を飲んだということが分かった?) それで、米国のある医学誌に10年ほど前に、偽造の勃起治療薬を飲んだ患者さん4人が低血糖を起こして死に至ったという報告が出ておりましたので、患者さんに再度、尋ねましたら、実は入院の前日に、そういう薬を服用したということが分かったということです。
── ED治療薬をネットで個人輸入するリスクは?
・出雲医師:患者さんのお飲みになってた薬がポケットに残っていたもので、製薬会社に分析してもらったところ、糖尿病の薬が通常量の10倍ぐらい含まれていたということです。
・ 個人輸入することの以前に、そもそもED薬というのは、その作用機序からして、心臓に送る血流を低下させるということがございますので、狭心症を持った患者さんが服用して、心筋梗塞を起こして死に至った例があります。ですので、医師の診察を受けた上で、処方してもらうということが重要です。 (ましてや出所不明の薬を飲むのは危険だと。) 今回の偽造薬には、血糖を下げるものが混入されていたわけですけれども、何が含まれているか分からないわけですし、それを突き止めるのは難しいし、治療が遅れると死に至ることもあるということですから。
── 犯罪組織が資金源として偽造薬に注目しているのは、なぜ?
・谷本さん:この偽造薬もやはり薬、医薬品の範ちゅうのものです。ですから、麻薬とか覚醒剤、あるいは非常に厳しい規制がかかっている。それに比べると、非常に医薬品としての取り扱いになりますから、非常に規制が甘いというか、緩いということになります。したがって今、高価な薬も出てきております。ですから、うまくこれを普通の流通に乗せれば、十分な資金源になるんじゃないかということで、そういう世界で見ている。外国では、実際にもうそういう形で、資金源、犯罪組織の資金源になっています。
── 対策は?
・谷本さん:ですから、そういうものが流通しないようにするために、やはり日本ではまだ確立していないんですが、いわゆる「トレーサビリティ」、それが早く確立するということが、まず大事ではないかと。 (薬の流通を追跡していく仕組みが大切だと。) それができても、完全に抑制はできませんけれども、抑止力にはなると思います。
── 薬に対する信頼が揺らぐという影響は?
・出雲医師:日本の製薬会社は基本的に信頼していいと思います。ですので、処方がされている薬が治療に必要な場合は、きちっと飲む、かえってあまりにも何でも怖いというではないということを知っていただきたいと思います。
── 皆さん、少しでも変だと思ったら、医師や薬剤師に相談してください。
http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4032/index.html

第一の記事は、肝心の部分は説明せずに、本に誘導するスタイルなので、第三者委員会報告を具体的に見てみよう。2016年7月30日付け日経新聞では、『2009年度に死亡事案が8例あった時点で、適切な報告や検証などの対応が取られていれば「その後の続発を防ぐことができた可能性がある」などと指摘。また長年見過ごされてきた要因について、「患者中心の医療とは大きくかけ離れた旧弊が存在し、病院全体のガバナンスに不備」。一方、日本外科学会は第三者委の委託で男性医師の執刀を含む同病院の外科手術を検証。死亡50例のうち、手術することが妥当だったのはほぼ半数の26例で、4例は手術すること自体に問題があった。残る20例は患者の容体などから妥当性に疑問があると判断。50例のうち37例は、死亡後に症例検討会を開いた記録がなかった。報告書によると、同病院では09年度に肝臓の開腹手術を受けた患者5人、膵臓(すいぞう)などの手術で3人が死亡。いずれも男性医師が執刀していたが、手術を一時休止しただけで、特別な改善策を取らないまま再開。また当時の第1外科と男性医師が所属していた第2外科が、潜在的な競争意識で独立した診療体制をとり、死亡事例の情報が共有されていなかった』、とのことである。 『50例のうち37例は、死亡後に症例検討会を開いた記録がなかった』、というのでは、医師個人の問題もさることながら、病院全体のガバナンスにより大きな問題があったようだ。
第二の記事で、 『環境要因による後天的な精神疾患を、環境を変えることなく、精神科薬の投与によって、脳自体の活動に大きな影響を与え、環境適応できるようにすることは、本当の意味での治療といえるのでしょうか』、 『今、我が国では120万人がうつ病認定を受け、1100万人が、こころの病の治療を受けています。彼らの受けている治療は、ほとんどが精神科薬の投与のみです。ここで使われている治療費は2兆6000億円に及びます。ほとんどが薬代です。この10年間で60倍に増えています。日本は、世界で数少ない精神科薬の複合投与をする国です。危険な精神科薬を何種類も患者に投与します』、などの指摘は深刻だ。日本の精神科の学会の見解を聞いてみたいところだ。
第三の記事で、 『医薬品の販売に関しては、いわゆる医薬品販売業という許可が必要なわけなんです。薬局とか卸は販売することはできるんですが、病院には、医療機関として販売はできないということになっています』、という法律の基本がおかしいようだ。  『病院の方は、不良在庫といいますが、あんまり在庫を抱えたくないと。有効期限も残り少なくなると、早く処分したいというところがあって、それを病院としては売れないんだけれども、個人の名前で現金問屋の方に持っていかせる』、ということであれば、病院や薬局による買戻しを法的に認めるようにすれば済む筈だ。無論、その際には、買い戻した中古医薬品の品質保証をどうするのかといった付随的問題もあるが、現在でも事実上やっているので、同じだろう。いずれにしろ、流通ルートの闇を厚労省も認識しながら、長年、放置してきた責任は重い。 『秘密厳守の禁止』、だけではなく、抜本的見直しが必要なのではないか。
タグ:医療問題 (その8)(群大病院「8人死亡」事件 執刀医の暴走はこうして起きた、危険な精神科薬何種類も投与されるキケンな現実、広がる“偽造薬”リスク) 高梨 ゆき子 現代ビジネス 群大病院「8人死亡」事件、執刀医の暴走はこうして起きた 問題は、組織にあった 群馬大学医学部附属病院 同じ医師が執刀した肝臓の腹腔鏡手術を受け、8人の患者が死亡 倫理審査もせず、患者に事実を告げることもなく、手術は行われた 執刀医は、まさに無謀なチャレンジを当然と考え、十分な技量も体制もないまま、「やるしかない」と思い込み、患者をいたずらに危険にさらしてきたのではないか 第一外科と第二外科の覇権争い 新しい技術をなし崩しに導入する甘さ 第三者の調査委員会 調査報告書 どこまでチャレンジが許されるのか、そこに、それぞれの外科医の人間性が問われている 大学病院の奈落 水谷修 ZAKZAK 1220万人がこころの病抱えるニッポン 危険な精神科薬何種類も投与されるキケンな現実 精神科や心療内科、神経科を一度解体し、再度治療の在り方を再考すべきだと考えています 環境要因による後天的な精神疾患を、環境を変えることなく、精神科薬の投与によって、脳自体の活動に大きな影響を与え、環境適応できるようにすることは、本当の意味での治療といえるのでしょうか ニコチンやアルコールよりはるかに危険な精神科薬を、中学生や高校生に何年にもわたり投与すれば、どうなるでしょう。その子どもたちの脳や身体、こころに消すことのできない大きな害をもたらします 我が国では120万人がうつ病認定を受け、1100万人が、こころの病の治療を受けています 彼らの受けている治療は、ほとんどが精神科薬の投与のみです。ここで使われている治療費は2兆6000億円に及びます。ほとんどが薬代です この10年間で60倍に増えています 日本は、世界で数少ない精神科薬の複合投与をする国です。危険な精神科薬を何種類も患者に投与します 必ず医師に、治療計画及び副作用をきちんと書類で書いてもらってください 治療がきちんとできなかった場合は、完治しなかったり、それによって症状が悪化した場合は、医師を訴えることを伝えてください ほとんどすべての医師が、治療を拒否するはずです その医師は、“使い物にならない医師”です。それをきちんとしてくれた医師から治療を受けてください NHKクローズアップ現代+ 広がる“偽造薬”リスク あなたの薬は大丈夫? ボトル1本150万円 C型肝炎治療薬、その中身がビタミン剤などにすり替えられていた ハーボニー 偽造薬など何らかの理由で服用を中断してしまうと かなりの確率で治療が失敗してしまう。それはもう一度やり直せばいいという単純なものではなくて、薬が効きにくくウイルスが変わりますので、複雑な耐性になってしまうと、もう治ることがなくなってしまう 病気が治るチャンスを奪われるのは、患者にとってたまらない、許せない 都は、ただちに調査に乗り出しました 都内の卸売業者5社が関わり、10本の偽造薬が見つかりました。奈良の分と合わせて、全部で15本 ある卸売業者さんが『個人』から買い取っていたことがわかった 買い取りの条件に『秘密厳守』と書いて、やっていたものですから。そううたった方が(薬の)持ち込みの話が来るだろうと思ってやりましたので、私から(身元確認は)言いづらかったところもあります 薬を持ち込んだ個人の情報を全く持っていませんでした 現金問屋 医薬品の業界で長く続く業態 逆に病院などから薬を買い取ることも行います。病院や薬局では、薬の使用期限が切れると、廃棄せざるを得ず、大きな損失が出ます。その期限切れの前に現金問屋が買い取るのです 本来、病院が薬を売ることは認められていませんが、個人の立場で、薬が現金問屋に持ち込まれる実態があると言います 日本の薬は大体安全だという、いわゆる安全神話というものがあったんですが それが崩壊 医薬品の販売に関しては、いわゆる医薬品販売業という許可が必要なわけなんです。薬局とか卸は販売することはできるんですが、病院には、医療機関として販売はできないということになっています ですが病院の方は、不良在庫といいますが、あんまり在庫を抱えたくないと。有効期限も残り少なくなると、早く処分したいというところがあって、それを病院としては売れないんだけれども、個人の名前で現金問屋の方に持っていかせるということになれば、やはり、これは法的にはちょっと違法な行為なので、売る方も、買う方も、お互いにあまり深く追及しないということで、いわゆる秘密厳守という習慣ができたんじゃないかというふうに思います 現金問屋などの卸売業者は、取り引き先の連絡先など、身元確認を徹底すること。それに違反した場合は、販売許可の取り消しなどの行政処分を行うとし 秘密厳守の禁止 まん延するニセED薬 犯罪組織が暗躍
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