加計学園問題(その13)(「首相案件」文書認めた 愛媛県知事が政権に矢を射る思惑、「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇 なぜ京都産業大への対応と大差があったのか、モリカケ問題の根底は「安倍夫妻ビジネス」、今井秘書官は把握 柳瀬氏「面談隠し」やっぱり官邸ぐるみ) [国内政治]
加計学園問題については、昨年11月21日に取上げたままだった。その後、決定的な材料も出てきたことも踏まえた今日は、(その13)(「首相案件」文書認めた 愛媛県知事が政権に矢を射る思惑、「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇 なぜ京都産業大への対応と大差があったのか、モリカケ問題の根底は「安倍夫妻ビジネス」、今井秘書官は把握 柳瀬氏「面談隠し」やっぱり官邸ぐるみ)である。
先ずは、4月14日付け日刊ゲンダイ「「首相案件」文書認めた 愛媛県知事が政権に矢を射る思惑」を紹介しよう。
・一躍、時の人だ。加計問題をめぐり「首相案件」と記された「愛媛文書」の存在を認めた愛媛県の中村時広知事(58)。13日は、国会から招致要求があれば応じると記者団に明かし、「職員から話を聞いて(自分が)全て矢面に立つ」と意気揚々だ。 メディアも安倍政権に矢を射る「ホワイトナイト」のような扱いだが、彼こそ県から加計学園に3年間で総額31億円もの補助金をポンと渡すことを決めた張本人だ。
・「加計学園の獣医学部誘致は加戸守行前知事からの引き継ぎ案件で、中村知事は仕方なくやっているムード。一時は誘致を断念し、今治市にサッカー場建設を提案したほど。問題浮上後は、よほど関わりたくないのか、発言を控えてきました」(愛媛県政関係者)
・急にイケイケになった思惑は、中村知事の生き方を知れば理解できる。父は元松山市長の時雄氏。幼稚舎からの慶応ボーイで慶大法学部を卒業後、1982年に三菱商事に入社。93年の衆院選で新党ブームに乗り、日本新党公認で初当選を果たした。96年に落選するも、99年には“親の七光”で松山市長選に勝利。2010年の知事選で3期12年務めた加戸前知事の後継候補の座に収まり、当選した。
・今治市在住で「モリカケ共同追及プロジェクト」の黒川敦彦共同代表が言う。 「一言でいえば“勝ち馬に乗る”のが上手な人。市長時代から人気絶頂だった橋下徹前大阪市長に接近し、県知事就任後は地域政党『愛媛維新の会』の立ち上げに関わりました。機を見るに敏で、今年11月に県知事選を控え、『この政権は持たない』と踏み、加計問題で“道連れ心中”はごめんと突き放し、火の粉を振り払っているのでしょう。前回知事選は自民県連の推薦のほか、共産以外の全政党の支援を受け圧勝した。地元選出で自民の塩崎恭久前厚労相とは犬猿を超えた仲ですが、常に対立候補擁立を模索する塩崎氏自身に人望がなく、見込みは薄い。そんな自民県連の足元も見ているはずです」
・決して正義感だけで、政権に弓を引いているわけではなさそうだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227229
次に、ジャーナリストの安積 明子氏が4月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇 なぜ京都産業大への対応と大差があったのか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・加計学園の獣医師学部新設は、果たして公正に行われたものなのか――。この問題で国会が大揺れに揺れている。 それまで愛媛県が「ない」としていた獣医学部新設を巡る政府関係者とのやりとりを記した「愛媛県文書」の存在が、4月9日に明らかになった。翌10日には中村時広愛媛県知事が当時の関係者にヒアリングを行い、「職員が作成したメモ」と確認した。
・その内容は、13日に齋藤健農水相が会見で「農水省内で見つかった」と発表した文書の内容とほぼ同じだ。いずれも2015年4月2日に愛媛県地域政策課長と今治市企画課長、そして加計学園事務局長らが藤原豊地方創生推進室次長(当時)と柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面談し、獣医学部設置について積極的なアドバイスを受けていたことが記されている。
▽加計学園と京都産業大学への対応に大差
・また朝日新聞は4月13日、獣医学部新設について加計学園と競合していた京都産業大学元教授の大槻公一氏のインタビューを掲載。大槻氏は2016年1月に内閣府で藤原氏に会ったものの、積極的なアドバイスを受けられず、官邸にも呼ばれなかったことを明らかにした。 「愛媛県文書」によると藤原氏が加計学園の構想に対して以下のようなアドバイスを与えている。これと比較すれば、京都産業大学に対する対応との間に顕著な差があることがよくわかるだろう。
・<藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30>(※愛媛県文書の要約) +要請の内容は総理官邸から聞いている。 +政府としてきちんと対応していかねればならないと考えており、互いに知恵を出し合いたい。 +国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。風穴を開けた自治体が有利。仮に指定を受けられなくても、別の規制緩和により要望を実現可能。
・このように藤原氏は加計学園獣医学部新設には積極的かつ好意的な意向を示すほか、「遅くとも5月連休明けには1回目の募集を開始する」といった加計学園にとって有利な事前情報を提供し、「提案内容は既存の獣医学部とは異なる特徴や卒後の見通しなどをしっかり書き込んでほしい」と具体的なアドバイスも行っている。 さらには加計学園側が喜びそうな「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」というリップサービスまで述べているのだ。
・その一方で、京都産業大学への対応は冷淡だったといっていい。 藤原氏は加計学園には「2、3枚程度の提案書を作成いただき、早い段階で相談されたい」と簡素な提案でいいからと急がせたが、1989年から獣医学部新設に向けて計画し、20ページ以上の資料を準備して2016年10月17日に国家戦略特区ワーキンググループによるヒアリングに挑んだ京都産業大学は政府に斬り捨てられる結果となっている。 もっとも京都産業大学も決して無策だったわけではない。
▽京都産業大学は消極的な省庁に前途を阻まれた
・文科省には何度か事前協議を申し入れていたが、「門戸は開かれていないので、具体的協議はできない」と断られ、農水省などからも「獣医師の数は充足しているので、これ以上獣医学部を作る必要はない」と拒否されていた。要するに京都産業大学は農水省や文科省といった獣医学部新設に消極的な省庁にその前途を阻まれ、加計学園は内閣府や官邸といった“助っ人”に恵まれた。
・そして2016年11月9日に開かれた安倍晋三首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議は、獣医学部新設は獣医学部空白区に限ること、そして2018年度開学することという条件を付すことを決定。これにより、同じ近畿地方に獣医学類をもつ大阪府立大学が存在すること、および時間的なスケジュールが間に合わないことで、京都産業大学は獣医学部新設を諦めざるを得なくなった。
・なお獣医学部新設に消極的だった文科省からは、後に「総理のご意向」や「官邸の最高レベルが言っている」などという「官邸サイドの指示」を示すメールが暴露され、内閣府が主導して意図的に加計学園に有利な状況を作ろうとしていたことが明らかにされている。
・その中に11月9日の国家戦略特区諮問会議が決定した獣医学部設置基準に影響を与えた「広域的に獣医師系要請大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」という文書が見つかり、萩生田光一官房副長官(当時)の指示によるものとされたが、萩生田氏はこれを否定した。ではいったい誰が指示したのか。加計学園獣医学部新設を巡って、いまだ多くが明らかにされていない。 このたび公にされた「愛媛県文書」と農水省で見つかったメモにも謎はある。
▽なぜ違いがあるのか
・まずは文書の作成日だが、「愛媛県文書」は4月13日とされているのに対し、農水省のメモは4月3日になっている。また内容については「1」に記載された藤原氏と柳瀬氏との面会メモは共通しているが、「2」が以下のように異なっているからだ。
・<愛媛県文書> ついては、県としては、今治市や加計学園と十分協議を行い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた準備を進めることとしたい。また、これと併行して、加計学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討を行うこととしたい。
・<農水省のメモ> ついては、県としては、国家戦略特区申請のための提言書(案)について、今治市の意向を踏まえて、加計学園とも協議しながら、連携して策定を進め、内閣府と相談させていただきたい。
・もっとも中村知事によれば、これは公文書ではなく「備忘録」。よって何度か書き換えられたのだろう。その仕事ぶりの丁寧さから、担当者の熱意も感じられる。 だが、岩盤規制を突破するための国家戦略特区が不公正なプロセスを経て行われていいはずがない。身贔屓(みびいき)特権という名のより強固な岩盤を作ったのだとしたら、まさしく本末転倒といえるだろう。
https://toyokeizai.net/articles/-/216854
第三に、4月23日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家 森功氏へのインタビュー記事「森功氏が看破 モリカケ問題の根底は「安倍夫妻ビジネス」」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aは森氏の回答、+は回答内の段落)
・あらゆる疑惑が今もくすぶったままだ。愛媛県今治市に4月、開学した加計学園の岡山理大獣医学部。安倍首相が「腹心の友」と公言する加計孝太郎理事長に「便宜」が図られ、獣医学部設置が決まったのではないか――。
・昨年3月から1年以上にわたって国会で追及され続けてきた「加計問題」は今月、当時の柳瀬唯夫首相秘書官が愛媛県や今治市職員と面会した際に「本件は首相案件」と発言していたという文書の存在が発覚。疑惑が再燃した。「悪だくみ『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)の著者で、この問題を追い続けるノンフィクション作家の森功氏に改めて問題の本質を聞いた。
▽国家戦略特区で規制緩和の弊害が拡大
Q:まず、加計問題を取材するきっかけを教えてください。
A:もともと、構造改革特区や小泉内閣の規制緩和に疑問を持っていました。例えば、特区構想のひとつである株式会社立高校では、国から学校に支払われる就学支援金を当て込んで、幽霊生徒でぼろ儲けしている実態がありました。国家戦略特区は、それがバージョンアップされて形を変えただけ。加計問題の本質も構造改革特区の問題の延長にすぎないのです。
Q:国家戦略特区制度のどういう点を不審に思い、調べたのでしょうか。
A:国家戦略特区とは規制緩和です。教育特区を活用した株式会社立高校ではろくに勉強せずに卒業できる仕組みになっているなど、規制緩和による弊害があり、それを検証しようと思いました。そこで特区制度で2017年4月に新設された千葉県成田市の国際医療福祉大医学部を取材すると、土地の無償貸与と補助金をめぐり、地元から「おかしいよね」という声が多数あることが分かりました。
+その後、森友学園の国有地払い下げや、特区制度を使った加計学園・獣医学部新設の問題に注目が集まったため、国際医療福祉大よりも根が深そうな加計学園に取材の軸足を移しました。
Q:今月、2015年4月2日に愛媛県と今治市の職員、加計学園関係者が官邸を訪問し、当時の柳瀬首相秘書官と面会した際の文書の存在が明らかになりました。どう思いましたか。
A:率直に言って、ようやく(文書が)出てきたな、という感じです。愛媛県や今治市、加計学園の幹部がわざわざ官邸を訪ね、1時間半も会議をしているわけですから、やりとりを記した文書が存在するのはある意味、当然のことだからです。愛媛県の中村時広知事は「備忘録」と言葉を濁していますが、行政文書に近いと思いますね。ただ、なぜか、その文書が「ない」とされてきたのです。
Q:いつ出てきても不思議ではない文書だったのですね。
A:いわゆる「愛媛文書」の存在は、NHKのスクープ報道がきっかけです。これによって、県は文書が本物かどうか、中身を含めて正直に答え、そこに柳瀬さんの名前が記されていた、ということでしょう。これは当然の対応ですが、一方で今治市はいまだ柳瀬さんとの面会を認めていない。その問題もあります。
Q:それでも安倍首相は加計学園が獣医学部をつくることを知ったのは「2017年1月20日」と強弁しています。
A:加計理事長は第1次安倍政権の前から千葉科学大で獣医学部をつくろうとしていました。おそらく加計理事長は安倍首相と獣医学部新設についてずっと密に連絡を取り合っていたと思います。加計問題がこれほど大騒ぎになっていなければ、もしかしたら愛媛と千葉に2つの獣医学部ができていたかもしれません。
Q:安倍政権は誰でもわかるウソをなぜ、つき続けるのでしょう。
A:誰がどう考えても柳瀬さんは愛媛県や今治市の職員と会っているとしか思えないのだけれど、首相秘書官というのは首相の代理ですから、仮に認めてしまうと、面会自体が首相案件になってしまう。だから、会ったことは絶対に言えないし、野党に追及されても「会ってない」と言わざるを得ないのでしょう。
▽強固に首相を守る経産省に財務省が対抗
Q:そんな柳瀬氏をめぐり来週の国会招致が浮上しています。
A:正直言って証人喚問をしてもあまり期待できません。「記憶の限りにおいては」などと枕ことばをつけて否定することが容易に想像つくからです。おそらく、柳瀬さんはこれを繰り返さざるを得ないし、それだけの覚悟もできていると思います。野党がここを切り崩すのは難しいでしょう。<刑事訴追の恐れがないから追及しやすい>といった観測もありますが、甘いでしょうね。
Q:森友問題の佐川前国税庁長官と同様、国会招致でも疑惑は晴れず、何も変わらないということですか。
A:「記憶の限り」という枕ことばをつければ偽証罪には問われない。ならば、柳瀬さんがいかにオカシな証言をしているかということを浮き彫りにするためには、野党が努力するしかありません。例えば、官邸の入館記録が残っていないことを問題にするべきでしょうし、官邸の会議録が存在していないという不自然さをもっと追及するべきでしょう。
Q:霞が関官庁はなぜ、そうまでして安倍政権を守ろうとしているのでしょうか。
A:霞が関官庁というよりも、安倍首相に近い取り巻きの人たちでしょう。例えば柳瀬さんだけでなく、首相秘書官の中で経産省グループは財務省よりも突出して首相に対する忠誠心が高い。衆院予算委でやはり経産省出身の佐伯耕三首相秘書官が野党議員にヤジを飛ばしていましたが、首相を守るという強固なスタンスが一貫していますね。
▽特区の議論はトップダウンの出来レース
Q:森友問題の国有地売却で決裁文書改ざんが明らかになった財務省も同じということでしょうか。
A:おそらく財務省の中で、安倍首相に覚えめでたい経産省よりも「後れをとっている」という強い危機意識があるのではないでしょうか。推測ですが、森友問題は、財務省が経産省に対抗し、首相に対してアピールしたために問題が起きたのではないかと思っています。
Q:著書「悪だくみ」の中で森友問題は「第2の加計」と言っていますね。
A:兵庫県神戸市にある加計グループの「御影インターナショナルこども園」で安倍昭恵さんが名誉園長をやっていることに、森友の籠池さんが着目し、<うちも昭恵さんを名誉校長にすれば発展できるだろう>と考えたのは容易に推測できる。実際、その後、籠池夫妻は昭恵さんと一緒にこども園や広島県福山市の英数学館に足を運んでいますからね。
+その意味では一連の問題の原型は加計であり、森友が第2なのです。教育の名のもとに首相や首相夫人をうまく介したビジネスモデルと言っていいでしょう。
Q:安倍首相や昭恵氏はその教育ビジネスのために利用されたということですか。
A:安倍首相などの興味は、ビジネスというよりも教育勅語に象徴されるような愛国心を植えつける教育です。どう実現していくかを考えた時に利用したのが規制緩和。つまり教育の自由化です。小泉政権からの流れですが、特区制度を活用した株式会社立の学校も含め、新規参入を容易にする仕組みづくりに力を入れてきた。その過程で公私混同というのか、さまざまな思惑が絡み、問題が起きたのだと思っています。
Q:まさに行政の私物化が起きたと。
A:特区という規制緩和によってある意味、行政の「利権化」のパターンが出来上がってしまった。その結果、加計学園のように首相との関係を背景にしたエコヒイキが生まれ、その利権をうまく利用した業者が甘い汁を吸う。それがまさしく「行政の歪み」の構造というわけです。
Q:国家戦略特区の制度そのものに問題があると。
A:国家戦略特区のワーキンググループ(WG)について安倍さんは「一点の曇りもない」とか言っていますが、都合の良いことしか議事録に載せていないから「一点の曇りもない」に決まっています。一番の問題は首相がトップの議長として決めてしまうことでしょう。かつての労働政策審議会(労政審)のように、徹底的に議論し合う審議会もありましたが、大半は官僚が主導して「こうしましょう」ということに追随しているのが実態です。
+国家戦略特区の場合、内閣府の藤原豊元次長が音頭をとって、その上に和泉洋人首相補佐官がいて、方向を決めて導いていった。こういう仕組みを変えない限り、加計問題のような事態はまた起きるでしょう。(聞き手=本紙・高月太樹)
▽もり・いさお 1961年福岡県生まれ。岡山大学卒業後、出版社勤務を経て、03年フリーランスのノンフィクション作家に転身。「悪だくみ」(文芸春秋)の他に、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)など著書多数。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227522
第四に、5月11日付け日刊ゲンダイ「今井秘書官は把握 柳瀬氏「面談隠し」やっぱり官邸ぐるみ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・やっと行われた柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致。相変わらず、記憶の曖昧さが際立つも、安倍首相の関与だけはキッパリと全否定。周到に練ったシナリオに従い、うまくしのいだかに見える柳瀬氏だが「オヤッ」という場面があった。 官邸の実力者、今井尚哉首相首席秘書官の名前を出したシーンだ。柳瀬氏の「加計面談隠し」は、官邸ぐるみで行われた疑いがある。
・柳瀬氏は2015年3~6月の短期間に3回も加計関係者と面談していたことを認めた。安倍首相への報告を問われた柳瀬氏は「全く総理にお話ししたことはございません」と答弁したが、今井秘書官についてはこう答えた。 「昨年7月、閉会中審査があった。今井秘書官から、事実関係の問い合わせがあり、加計学園の事務局の方や元東大教授と官邸で会ったという事実を伝えた」
・昨年7月の閉会中審査も、柳瀬氏が出席し、加計問題について何を語るか注目されていた。恐らく、気が気でない今井秘書官が「おい柳瀬、大丈夫か」と問い合わせたのだろう。 「加計面談」を隠し続けた柳瀬氏に批判が集中しているが、昨年7月の時点で、安倍首相と一心同体である今井秘書官も「加計面談」を把握していたということだ。どうにも怪しいのは、翌8月、朝日新聞の取材に対し、柳瀬氏が加計幹部の同席を「記憶にない」と、かたくなに否定していることだ。
▽認可直前の最悪のタイミング
・いったい、柳瀬氏は今井秘書官とどんなやりとりをしたのか。実は、安倍官邸はその頃、加計面談が表に出ることを極度に嫌がっていたという。 「7月の閉会中審査で柳瀬氏が何を語るのかは、安倍首相も大きな関心を持っていたはずです。というのも、加計学園の獣医学部設置を認めるかどうか、文科省・大学設置審の認可の判断が8月末に迫っていたからです。もし、認可判断直前に柳瀬秘書官が3回も官邸で加計関係者と面談していたことがバレると“大炎上”は避けられない。認可どころでなかったはずです。安倍官邸は、加計面談を隠したかったはずです」(官邸関係者)
・結局、獣医学部設置は11月に認可答申され、今春、開学にこぎつけている。今井秘書官への報告を明かした柳瀬氏の本意は不明だが、加計面談は柳瀬氏ひとりで抱えていたわけではない。野党は今井秘書官を追及すべきだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228856
第一の記事で、中村知事は、 『「一言でいえば“勝ち馬に乗る”のが上手な人』、 『今年11月に県知事選を控え、『この政権は持たない』と踏み、加計問題で“道連れ心中”はごめんと突き放し、火の粉を振り払っているのでしょう』、というので納得した。それにしても、安部首相も県知事にまで見放されるとは、落ちたものだ。
第二の記事で、 『加計学園と京都産業大学への対応に大差』、というのはミエミエだ。 『岩盤規制を突破するための国家戦略特区が不公正なプロセスを経て行われていいはずがない。身贔屓(みびいき)特権という名のより強固な岩盤を作ったのだとしたら、まさしく本末転倒といえるだろう』、というのは正論だ。
第三の記事で、 『神戸市にある加計グループの「御影インターナショナルこども園」で安倍昭恵さんが名誉園長をやっていることに、森友の籠池さんが着目し、<うちも昭恵さんを名誉校長にすれば発展できるだろう>と考えたのは容易に推測できる。実際、その後、籠池夫妻は昭恵さんと一緒にこども園や広島県福山市の英数学館に足を運んでいますからね・・・一連の問題の原型は加計であり、森友が第2なのです』、というのは初めて知った。 『国家戦略特区のワーキンググループ(WG)について安倍さんは「一点の曇りもない」とか言っていますが、都合の良いことしか議事録に載せていないから「一点の曇りもない」に決まっています。一番の問題は首相がトップの議長として決めてしまうことでしょう』、というのはその通りだ。
第四の記事で、 『昨年7月の時点で、安倍首相と一心同体である今井秘書官も「加計面談」を把握していたということだ』、 『野党は今井秘書官を追及すべきだ』、というのは当然だ。
それにしても、いまだに安倍首相が辞任しないのは、自民党内反主流派や野党がだらしないとはいえ、解せない。
明日は、更新を休むので、月曜日にご期待を!
先ずは、4月14日付け日刊ゲンダイ「「首相案件」文書認めた 愛媛県知事が政権に矢を射る思惑」を紹介しよう。
・一躍、時の人だ。加計問題をめぐり「首相案件」と記された「愛媛文書」の存在を認めた愛媛県の中村時広知事(58)。13日は、国会から招致要求があれば応じると記者団に明かし、「職員から話を聞いて(自分が)全て矢面に立つ」と意気揚々だ。 メディアも安倍政権に矢を射る「ホワイトナイト」のような扱いだが、彼こそ県から加計学園に3年間で総額31億円もの補助金をポンと渡すことを決めた張本人だ。
・「加計学園の獣医学部誘致は加戸守行前知事からの引き継ぎ案件で、中村知事は仕方なくやっているムード。一時は誘致を断念し、今治市にサッカー場建設を提案したほど。問題浮上後は、よほど関わりたくないのか、発言を控えてきました」(愛媛県政関係者)
・急にイケイケになった思惑は、中村知事の生き方を知れば理解できる。父は元松山市長の時雄氏。幼稚舎からの慶応ボーイで慶大法学部を卒業後、1982年に三菱商事に入社。93年の衆院選で新党ブームに乗り、日本新党公認で初当選を果たした。96年に落選するも、99年には“親の七光”で松山市長選に勝利。2010年の知事選で3期12年務めた加戸前知事の後継候補の座に収まり、当選した。
・今治市在住で「モリカケ共同追及プロジェクト」の黒川敦彦共同代表が言う。 「一言でいえば“勝ち馬に乗る”のが上手な人。市長時代から人気絶頂だった橋下徹前大阪市長に接近し、県知事就任後は地域政党『愛媛維新の会』の立ち上げに関わりました。機を見るに敏で、今年11月に県知事選を控え、『この政権は持たない』と踏み、加計問題で“道連れ心中”はごめんと突き放し、火の粉を振り払っているのでしょう。前回知事選は自民県連の推薦のほか、共産以外の全政党の支援を受け圧勝した。地元選出で自民の塩崎恭久前厚労相とは犬猿を超えた仲ですが、常に対立候補擁立を模索する塩崎氏自身に人望がなく、見込みは薄い。そんな自民県連の足元も見ているはずです」
・決して正義感だけで、政権に弓を引いているわけではなさそうだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227229
次に、ジャーナリストの安積 明子氏が4月16日付け東洋経済オンラインに寄稿した「「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇 なぜ京都産業大への対応と大差があったのか」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・加計学園の獣医師学部新設は、果たして公正に行われたものなのか――。この問題で国会が大揺れに揺れている。 それまで愛媛県が「ない」としていた獣医学部新設を巡る政府関係者とのやりとりを記した「愛媛県文書」の存在が、4月9日に明らかになった。翌10日には中村時広愛媛県知事が当時の関係者にヒアリングを行い、「職員が作成したメモ」と確認した。
・その内容は、13日に齋藤健農水相が会見で「農水省内で見つかった」と発表した文書の内容とほぼ同じだ。いずれも2015年4月2日に愛媛県地域政策課長と今治市企画課長、そして加計学園事務局長らが藤原豊地方創生推進室次長(当時)と柳瀬唯夫首相秘書官(当時)と面談し、獣医学部設置について積極的なアドバイスを受けていたことが記されている。
▽加計学園と京都産業大学への対応に大差
・また朝日新聞は4月13日、獣医学部新設について加計学園と競合していた京都産業大学元教授の大槻公一氏のインタビューを掲載。大槻氏は2016年1月に内閣府で藤原氏に会ったものの、積極的なアドバイスを受けられず、官邸にも呼ばれなかったことを明らかにした。 「愛媛県文書」によると藤原氏が加計学園の構想に対して以下のようなアドバイスを与えている。これと比較すれば、京都産業大学に対する対応との間に顕著な差があることがよくわかるだろう。
・<藤原地方創生推進室次長の主な発言(内閣府)11:30>(※愛媛県文書の要約) +要請の内容は総理官邸から聞いている。 +政府としてきちんと対応していかねればならないと考えており、互いに知恵を出し合いたい。 +国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたい。風穴を開けた自治体が有利。仮に指定を受けられなくても、別の規制緩和により要望を実現可能。
・このように藤原氏は加計学園獣医学部新設には積極的かつ好意的な意向を示すほか、「遅くとも5月連休明けには1回目の募集を開始する」といった加計学園にとって有利な事前情報を提供し、「提案内容は既存の獣医学部とは異なる特徴や卒後の見通しなどをしっかり書き込んでほしい」と具体的なアドバイスも行っている。 さらには加計学園側が喜びそうな「かなりチャンスがあると思っていただいてよい」というリップサービスまで述べているのだ。
・その一方で、京都産業大学への対応は冷淡だったといっていい。 藤原氏は加計学園には「2、3枚程度の提案書を作成いただき、早い段階で相談されたい」と簡素な提案でいいからと急がせたが、1989年から獣医学部新設に向けて計画し、20ページ以上の資料を準備して2016年10月17日に国家戦略特区ワーキンググループによるヒアリングに挑んだ京都産業大学は政府に斬り捨てられる結果となっている。 もっとも京都産業大学も決して無策だったわけではない。
▽京都産業大学は消極的な省庁に前途を阻まれた
・文科省には何度か事前協議を申し入れていたが、「門戸は開かれていないので、具体的協議はできない」と断られ、農水省などからも「獣医師の数は充足しているので、これ以上獣医学部を作る必要はない」と拒否されていた。要するに京都産業大学は農水省や文科省といった獣医学部新設に消極的な省庁にその前途を阻まれ、加計学園は内閣府や官邸といった“助っ人”に恵まれた。
・そして2016年11月9日に開かれた安倍晋三首相が議長を務める国家戦略特区諮問会議は、獣医学部新設は獣医学部空白区に限ること、そして2018年度開学することという条件を付すことを決定。これにより、同じ近畿地方に獣医学類をもつ大阪府立大学が存在すること、および時間的なスケジュールが間に合わないことで、京都産業大学は獣医学部新設を諦めざるを得なくなった。
・なお獣医学部新設に消極的だった文科省からは、後に「総理のご意向」や「官邸の最高レベルが言っている」などという「官邸サイドの指示」を示すメールが暴露され、内閣府が主導して意図的に加計学園に有利な状況を作ろうとしていたことが明らかにされている。
・その中に11月9日の国家戦略特区諮問会議が決定した獣医学部設置基準に影響を与えた「広域的に獣医師系要請大学等の存在しない地域に限り獣医学部の新設を可能とする」という文書が見つかり、萩生田光一官房副長官(当時)の指示によるものとされたが、萩生田氏はこれを否定した。ではいったい誰が指示したのか。加計学園獣医学部新設を巡って、いまだ多くが明らかにされていない。 このたび公にされた「愛媛県文書」と農水省で見つかったメモにも謎はある。
▽なぜ違いがあるのか
・まずは文書の作成日だが、「愛媛県文書」は4月13日とされているのに対し、農水省のメモは4月3日になっている。また内容については「1」に記載された藤原氏と柳瀬氏との面会メモは共通しているが、「2」が以下のように異なっているからだ。
・<愛媛県文書> ついては、県としては、今治市や加計学園と十分協議を行い、内閣府とも相談しながら、国家戦略特区の申請に向けた準備を進めることとしたい。また、これと併行して、加計学園が想定する事業費や地元自治体への支援要請額を見極めるとともに、今治新都市への中核施設整備の経緯も踏まえながら、経費負担のあり方について十分に検討を行うこととしたい。
・<農水省のメモ> ついては、県としては、国家戦略特区申請のための提言書(案)について、今治市の意向を踏まえて、加計学園とも協議しながら、連携して策定を進め、内閣府と相談させていただきたい。
・もっとも中村知事によれば、これは公文書ではなく「備忘録」。よって何度か書き換えられたのだろう。その仕事ぶりの丁寧さから、担当者の熱意も感じられる。 だが、岩盤規制を突破するための国家戦略特区が不公正なプロセスを経て行われていいはずがない。身贔屓(みびいき)特権という名のより強固な岩盤を作ったのだとしたら、まさしく本末転倒といえるだろう。
https://toyokeizai.net/articles/-/216854
第三に、4月23日付け日刊ゲンダイが掲載したノンフィクション作家 森功氏へのインタビュー記事「森功氏が看破 モリカケ問題の根底は「安倍夫妻ビジネス」」を紹介しよう(▽は小見出し、Qは聞き手の質問、Aは森氏の回答、+は回答内の段落)
・あらゆる疑惑が今もくすぶったままだ。愛媛県今治市に4月、開学した加計学園の岡山理大獣医学部。安倍首相が「腹心の友」と公言する加計孝太郎理事長に「便宜」が図られ、獣医学部設置が決まったのではないか――。
・昨年3月から1年以上にわたって国会で追及され続けてきた「加計問題」は今月、当時の柳瀬唯夫首相秘書官が愛媛県や今治市職員と面会した際に「本件は首相案件」と発言していたという文書の存在が発覚。疑惑が再燃した。「悪だくみ『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)の著者で、この問題を追い続けるノンフィクション作家の森功氏に改めて問題の本質を聞いた。
▽国家戦略特区で規制緩和の弊害が拡大
Q:まず、加計問題を取材するきっかけを教えてください。
A:もともと、構造改革特区や小泉内閣の規制緩和に疑問を持っていました。例えば、特区構想のひとつである株式会社立高校では、国から学校に支払われる就学支援金を当て込んで、幽霊生徒でぼろ儲けしている実態がありました。国家戦略特区は、それがバージョンアップされて形を変えただけ。加計問題の本質も構造改革特区の問題の延長にすぎないのです。
Q:国家戦略特区制度のどういう点を不審に思い、調べたのでしょうか。
A:国家戦略特区とは規制緩和です。教育特区を活用した株式会社立高校ではろくに勉強せずに卒業できる仕組みになっているなど、規制緩和による弊害があり、それを検証しようと思いました。そこで特区制度で2017年4月に新設された千葉県成田市の国際医療福祉大医学部を取材すると、土地の無償貸与と補助金をめぐり、地元から「おかしいよね」という声が多数あることが分かりました。
+その後、森友学園の国有地払い下げや、特区制度を使った加計学園・獣医学部新設の問題に注目が集まったため、国際医療福祉大よりも根が深そうな加計学園に取材の軸足を移しました。
Q:今月、2015年4月2日に愛媛県と今治市の職員、加計学園関係者が官邸を訪問し、当時の柳瀬首相秘書官と面会した際の文書の存在が明らかになりました。どう思いましたか。
A:率直に言って、ようやく(文書が)出てきたな、という感じです。愛媛県や今治市、加計学園の幹部がわざわざ官邸を訪ね、1時間半も会議をしているわけですから、やりとりを記した文書が存在するのはある意味、当然のことだからです。愛媛県の中村時広知事は「備忘録」と言葉を濁していますが、行政文書に近いと思いますね。ただ、なぜか、その文書が「ない」とされてきたのです。
Q:いつ出てきても不思議ではない文書だったのですね。
A:いわゆる「愛媛文書」の存在は、NHKのスクープ報道がきっかけです。これによって、県は文書が本物かどうか、中身を含めて正直に答え、そこに柳瀬さんの名前が記されていた、ということでしょう。これは当然の対応ですが、一方で今治市はいまだ柳瀬さんとの面会を認めていない。その問題もあります。
Q:それでも安倍首相は加計学園が獣医学部をつくることを知ったのは「2017年1月20日」と強弁しています。
A:加計理事長は第1次安倍政権の前から千葉科学大で獣医学部をつくろうとしていました。おそらく加計理事長は安倍首相と獣医学部新設についてずっと密に連絡を取り合っていたと思います。加計問題がこれほど大騒ぎになっていなければ、もしかしたら愛媛と千葉に2つの獣医学部ができていたかもしれません。
Q:安倍政権は誰でもわかるウソをなぜ、つき続けるのでしょう。
A:誰がどう考えても柳瀬さんは愛媛県や今治市の職員と会っているとしか思えないのだけれど、首相秘書官というのは首相の代理ですから、仮に認めてしまうと、面会自体が首相案件になってしまう。だから、会ったことは絶対に言えないし、野党に追及されても「会ってない」と言わざるを得ないのでしょう。
▽強固に首相を守る経産省に財務省が対抗
Q:そんな柳瀬氏をめぐり来週の国会招致が浮上しています。
A:正直言って証人喚問をしてもあまり期待できません。「記憶の限りにおいては」などと枕ことばをつけて否定することが容易に想像つくからです。おそらく、柳瀬さんはこれを繰り返さざるを得ないし、それだけの覚悟もできていると思います。野党がここを切り崩すのは難しいでしょう。<刑事訴追の恐れがないから追及しやすい>といった観測もありますが、甘いでしょうね。
Q:森友問題の佐川前国税庁長官と同様、国会招致でも疑惑は晴れず、何も変わらないということですか。
A:「記憶の限り」という枕ことばをつければ偽証罪には問われない。ならば、柳瀬さんがいかにオカシな証言をしているかということを浮き彫りにするためには、野党が努力するしかありません。例えば、官邸の入館記録が残っていないことを問題にするべきでしょうし、官邸の会議録が存在していないという不自然さをもっと追及するべきでしょう。
Q:霞が関官庁はなぜ、そうまでして安倍政権を守ろうとしているのでしょうか。
A:霞が関官庁というよりも、安倍首相に近い取り巻きの人たちでしょう。例えば柳瀬さんだけでなく、首相秘書官の中で経産省グループは財務省よりも突出して首相に対する忠誠心が高い。衆院予算委でやはり経産省出身の佐伯耕三首相秘書官が野党議員にヤジを飛ばしていましたが、首相を守るという強固なスタンスが一貫していますね。
▽特区の議論はトップダウンの出来レース
Q:森友問題の国有地売却で決裁文書改ざんが明らかになった財務省も同じということでしょうか。
A:おそらく財務省の中で、安倍首相に覚えめでたい経産省よりも「後れをとっている」という強い危機意識があるのではないでしょうか。推測ですが、森友問題は、財務省が経産省に対抗し、首相に対してアピールしたために問題が起きたのではないかと思っています。
Q:著書「悪だくみ」の中で森友問題は「第2の加計」と言っていますね。
A:兵庫県神戸市にある加計グループの「御影インターナショナルこども園」で安倍昭恵さんが名誉園長をやっていることに、森友の籠池さんが着目し、<うちも昭恵さんを名誉校長にすれば発展できるだろう>と考えたのは容易に推測できる。実際、その後、籠池夫妻は昭恵さんと一緒にこども園や広島県福山市の英数学館に足を運んでいますからね。
+その意味では一連の問題の原型は加計であり、森友が第2なのです。教育の名のもとに首相や首相夫人をうまく介したビジネスモデルと言っていいでしょう。
Q:安倍首相や昭恵氏はその教育ビジネスのために利用されたということですか。
A:安倍首相などの興味は、ビジネスというよりも教育勅語に象徴されるような愛国心を植えつける教育です。どう実現していくかを考えた時に利用したのが規制緩和。つまり教育の自由化です。小泉政権からの流れですが、特区制度を活用した株式会社立の学校も含め、新規参入を容易にする仕組みづくりに力を入れてきた。その過程で公私混同というのか、さまざまな思惑が絡み、問題が起きたのだと思っています。
Q:まさに行政の私物化が起きたと。
A:特区という規制緩和によってある意味、行政の「利権化」のパターンが出来上がってしまった。その結果、加計学園のように首相との関係を背景にしたエコヒイキが生まれ、その利権をうまく利用した業者が甘い汁を吸う。それがまさしく「行政の歪み」の構造というわけです。
Q:国家戦略特区の制度そのものに問題があると。
A:国家戦略特区のワーキンググループ(WG)について安倍さんは「一点の曇りもない」とか言っていますが、都合の良いことしか議事録に載せていないから「一点の曇りもない」に決まっています。一番の問題は首相がトップの議長として決めてしまうことでしょう。かつての労働政策審議会(労政審)のように、徹底的に議論し合う審議会もありましたが、大半は官僚が主導して「こうしましょう」ということに追随しているのが実態です。
+国家戦略特区の場合、内閣府の藤原豊元次長が音頭をとって、その上に和泉洋人首相補佐官がいて、方向を決めて導いていった。こういう仕組みを変えない限り、加計問題のような事態はまた起きるでしょう。(聞き手=本紙・高月太樹)
▽もり・いさお 1961年福岡県生まれ。岡山大学卒業後、出版社勤務を経て、03年フリーランスのノンフィクション作家に転身。「悪だくみ」(文芸春秋)の他に、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)など著書多数。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/227522
第四に、5月11日付け日刊ゲンダイ「今井秘書官は把握 柳瀬氏「面談隠し」やっぱり官邸ぐるみ」を紹介しよう(▽は小見出し)。
・やっと行われた柳瀬唯夫元首相秘書官の参考人招致。相変わらず、記憶の曖昧さが際立つも、安倍首相の関与だけはキッパリと全否定。周到に練ったシナリオに従い、うまくしのいだかに見える柳瀬氏だが「オヤッ」という場面があった。 官邸の実力者、今井尚哉首相首席秘書官の名前を出したシーンだ。柳瀬氏の「加計面談隠し」は、官邸ぐるみで行われた疑いがある。
・柳瀬氏は2015年3~6月の短期間に3回も加計関係者と面談していたことを認めた。安倍首相への報告を問われた柳瀬氏は「全く総理にお話ししたことはございません」と答弁したが、今井秘書官についてはこう答えた。 「昨年7月、閉会中審査があった。今井秘書官から、事実関係の問い合わせがあり、加計学園の事務局の方や元東大教授と官邸で会ったという事実を伝えた」
・昨年7月の閉会中審査も、柳瀬氏が出席し、加計問題について何を語るか注目されていた。恐らく、気が気でない今井秘書官が「おい柳瀬、大丈夫か」と問い合わせたのだろう。 「加計面談」を隠し続けた柳瀬氏に批判が集中しているが、昨年7月の時点で、安倍首相と一心同体である今井秘書官も「加計面談」を把握していたということだ。どうにも怪しいのは、翌8月、朝日新聞の取材に対し、柳瀬氏が加計幹部の同席を「記憶にない」と、かたくなに否定していることだ。
▽認可直前の最悪のタイミング
・いったい、柳瀬氏は今井秘書官とどんなやりとりをしたのか。実は、安倍官邸はその頃、加計面談が表に出ることを極度に嫌がっていたという。 「7月の閉会中審査で柳瀬氏が何を語るのかは、安倍首相も大きな関心を持っていたはずです。というのも、加計学園の獣医学部設置を認めるかどうか、文科省・大学設置審の認可の判断が8月末に迫っていたからです。もし、認可判断直前に柳瀬秘書官が3回も官邸で加計関係者と面談していたことがバレると“大炎上”は避けられない。認可どころでなかったはずです。安倍官邸は、加計面談を隠したかったはずです」(官邸関係者)
・結局、獣医学部設置は11月に認可答申され、今春、開学にこぎつけている。今井秘書官への報告を明かした柳瀬氏の本意は不明だが、加計面談は柳瀬氏ひとりで抱えていたわけではない。野党は今井秘書官を追及すべきだ。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228856
第一の記事で、中村知事は、 『「一言でいえば“勝ち馬に乗る”のが上手な人』、 『今年11月に県知事選を控え、『この政権は持たない』と踏み、加計問題で“道連れ心中”はごめんと突き放し、火の粉を振り払っているのでしょう』、というので納得した。それにしても、安部首相も県知事にまで見放されるとは、落ちたものだ。
第二の記事で、 『加計学園と京都産業大学への対応に大差』、というのはミエミエだ。 『岩盤規制を突破するための国家戦略特区が不公正なプロセスを経て行われていいはずがない。身贔屓(みびいき)特権という名のより強固な岩盤を作ったのだとしたら、まさしく本末転倒といえるだろう』、というのは正論だ。
第三の記事で、 『神戸市にある加計グループの「御影インターナショナルこども園」で安倍昭恵さんが名誉園長をやっていることに、森友の籠池さんが着目し、<うちも昭恵さんを名誉校長にすれば発展できるだろう>と考えたのは容易に推測できる。実際、その後、籠池夫妻は昭恵さんと一緒にこども園や広島県福山市の英数学館に足を運んでいますからね・・・一連の問題の原型は加計であり、森友が第2なのです』、というのは初めて知った。 『国家戦略特区のワーキンググループ(WG)について安倍さんは「一点の曇りもない」とか言っていますが、都合の良いことしか議事録に載せていないから「一点の曇りもない」に決まっています。一番の問題は首相がトップの議長として決めてしまうことでしょう』、というのはその通りだ。
第四の記事で、 『昨年7月の時点で、安倍首相と一心同体である今井秘書官も「加計面談」を把握していたということだ』、 『野党は今井秘書官を追及すべきだ』、というのは当然だ。
それにしても、いまだに安倍首相が辞任しないのは、自民党内反主流派や野党がだらしないとはいえ、解せない。
明日は、更新を休むので、月曜日にご期待を!
タグ:「今井秘書官は把握 柳瀬氏「面談隠し」やっぱり官邸ぐるみ」 加計グループの「御影インターナショナルこども園」で安倍昭恵さんが名誉園長をやっていることに、森友の籠池さんが着目し、<うちも昭恵さんを名誉校長にすれば発展できるだろう>と考えたのは容易に推測できる 東洋経済オンライン 安積 明子 今年11月に県知事選を控え、『この政権は持たない』と踏み、加計問題で“道連れ心中”はごめんと突き放し、火の粉を振り払っているのでしょう 実際、その後、籠池夫妻は昭恵さんと一緒にこども園や広島県福山市の英数学館に足を運んでいますからね 「「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇 なぜ京都産業大への対応と大差があったのか」 一連の問題の原型は加計であり、森友が第2なのです (その13)(「首相案件」文書認めた 愛媛県知事が政権に矢を射る思惑、「首相案件」だけ優遇、加計問題の深すぎる闇 なぜ京都産業大への対応と大差があったのか、モリカケ問題の根底は「安倍夫妻ビジネス」、今井秘書官は把握 柳瀬氏「面談隠し」やっぱり官邸ぐるみ) 一番の問題は首相がトップの議長として決めてしまうことでしょう 一言でいえば“勝ち馬に乗る”のが上手な人 参考人招致 国家戦略特区で規制緩和の弊害が拡大 「森功氏が看破 モリカケ問題の根底は「安倍夫妻ビジネス」」 柳瀬唯夫元首相秘書官 中村時広知事 加計学園問題 加計学園と京都産業大学への対応に大差 柳瀬氏は2015年3~6月の短期間に3回も加計関係者と面談 彼こそ県から加計学園に3年間で総額31億円もの補助金をポンと渡すことを決めた張本人だ 身贔屓(みびいき)特権という名のより強固な岩盤を作ったのだとしたら、まさしく本末転倒といえるだろう 「「首相案件」文書認めた 愛媛県知事が政権に矢を射る思惑」 認可判断直前に柳瀬秘書官が3回も官邸で加計関係者と面談していたことがバレると“大炎上”は避けられない。認可どころでなかったはずです 今井秘書官から、事実関係の問い合わせがあり、加計学園の事務局の方や元東大教授と官邸で会ったという事実を伝えた 日刊ゲンダイ 岩盤規制を突破するための国家戦略特区が不公正なプロセスを経て行われていいはずがない
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