SSブログ

医療問題(その16)(海を渡って日本に治療を受けに来る 「タダ乗り患者」が増殖中 この国の医療費が食い物にされている? 、医者は「がん、奇跡の⽣還」を信じるか? 医者が考える2つの可能性、「知れば怖くない認知症、本人は幸せなことも」 高齢者の診察を重ね 人生に達観した、世界が注目する最先端がん医療が日本では「怪しい治療」扱いの理由) [社会]

医療問題については、5月23日に取上げた。今日は、(その16)(海を渡って日本に治療を受けに来る 「タダ乗り患者」が増殖中 この国の医療費が食い物にされている? 、医者は「がん、奇跡の⽣還」を信じるか? 医者が考える2つの可能性、「知れば怖くない認知症、本人は幸せなことも」 高齢者の診察を重ね 人生に達観した、世界が注目する最先端がん医療が日本では「怪しい治療」扱いの理由)である。

先ずは、5月20日付け現代ビジネス「海を渡って日本に治療を受けに来る 「タダ乗り患者」が増殖中 この国の医療費が食い物にされている?」を紹介しよう。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/55674
・『「留学ビザ」で国保に加入 「最近、日本語がまったく話せない70代の患者が、日本に住んでいるという息子と一緒に来院し、脳動脈瘤の手術をしました。 本来なら100万~200万円の治療費がかかりますが、健康保険証を持っていたので、高額療養費制度を使って自己負担は8万円ほど。 日常会話もできないので、日本で暮らしているとはとても考えられませんでした。どうやって保険証を入手したのかわかりませんが、病院としては保険証さえあれば、根掘り葉掘り確認することはありません」 こう明かすのは都内の総合病院で働く看護師。 いま日本の医療保険制度を揺るがしかねない事態が起きている。ビザを使ってやってきた外国人が日本の公的保険制度を使い、日本人と同じ「3割負担」で高額治療を受けるケースが続出している、というのだ』、とんでもない話だ。
・『厚生労働省が発表する最新のデータによると、日本の年間医療費は9年連続で最高を記録し、42兆円('15年度)を突破した。 とくに75歳以上の後期高齢者の医療費は全体の35%を占め、その額はおよそ15兆円にのぼる。「団塊の世代」が75歳以上となる'25年には、全体の医療費が年間54兆円に達する見込みだ。 4月25日、増え続ける医療費を抑制するため、財務省は75歳以上の高齢者(現役並み所得者以下の人)が病院の窓口で支払う自己負担額を1割から2割に引き上げる案を示した。 日本の医療費は危機的状況にある。その要因が高齢者医療費の高騰であることは論を俟たないが、冒頭のように日本で暮らしているわけでもない外国人によって崩壊寸前の医療費が「タダ乗り」されているとなると、見過ごすわけにはいかない。 法務省によれば、日本の在留外国人の総数は247万人('17年6月時点)。 東京23区内でもっとも外国人が多い新宿区を例にとれば、国民健康保険の加入者数は10万3782人で、そのうち外国人は2万5326人('15年度)。多い地域では、国保を利用している4人に1人が外国人、というわけだ。もちろん、まっとうな利用ならなにも咎めることはない。だが、実態をつぶさに見ていくと、問題が浮かび上がってくる。 そもそも医療目的(医療滞在ビザ)で日本を訪れた外国人は、国保に入ることができない。 たとえば、昨今の「爆買い」に続き、特に中国の富裕層の間では、日本でクオリティの高い高額な健康診断を受ける「医療ツーリズム」が人気となっているが、こうしたツアー参加者が日本で治療を受ける場合は全額自腹(自由診療)で治療費を支払う必要がある。保険料を負担していないのだから当然であるが、相応のおカネを払って日本の医療を受けるなら、何の問題もない。 深刻なのは、医療目的を隠して来日し、国保に加入して不当に安く治療する「招かれざる客」たちだ。 なぜ彼らは国保に入ることができるのか。 一つは「留学ビザ」を利用して入国する方法だ。 日本では3ヵ月以上の在留資格を持つ外国人は、国保に加入する義務がある(かつては1年間の在留が条件だったが、'12年に3ヵ月に短縮された)。つまり医療目的ではなく、留学目的で来日すれば合法的に医療保険が使えるのである。 多くの在留外国人が治療に訪れる国立国際医療研究センター病院の堀成美氏が語る。 「うちの病院で調査をしたところ、明らかに観光で日本に来ているはずなのに保険証を持っているなど、不整合なケースが少なくとも年間140件ほどありました。 国保の場合、住民登録をして保険料を支払えば、国籍は関係なく、だれでも健康保険証をもらえます。そうすると保険証をもらったその日から保険が使えるわけです。 来日してすぐの留学生が保険証を持って病院を訪れ、しかも高額な医療を受けるケースがありますが、普通に考えれば、深刻な病気を抱えている人は留学してきません。 来日してすぐに、もともと患っていた病気の高額な治療を求めて受診するケースでは、治療目的なのかと考える事例もあります」』、恐らく高齢者によるこんな見え見えの「留学目的」で、健康保険証を渡すとは、窓口係員には拒否する権限がないのだろうか。
・『さきほど「医療ツーリズム」の話に触れたが、日本の病院を訪れる中国人の間で、とりわけ需要が高いのがC型肝炎の治療である。特効薬のハーボニーは465万円(3ヵ月の投与)かかるが、国保に加入し、医療費助成制度を活用すれば月額2万円が上限となる。 肺がんなどの治療に使われる高額抗がん剤のオプジーボは、点滴静脈注射100mgで28万円。患者の状態にもよるが、1年間でおよそ1300万円の医療費がかかる計算になる。 仮に100人が国保を利用し、オプジーボを使えば1300万円×100人=13億円の医療費が使われることになる。ところが、国保に入っていさえすれば高額療養費制度が使えるので、実質負担は月5万円程度(年間60万円)。たとえ70歳や80歳の「ニセ留学生」でも保険証さえあれば、日本人と同じ値段で医療サービスを受けられるのだ。 だが現実問題として医療目的の偽装留学かどうかを見抜くのは難しい。外国人の入国管理を専門に取り扱う平島秀剛行政書士が言う。 「申請書類が揃っていれば年齢に関係なく、留学ビザを取ることができます。実際、高齢でも本当に日本語を学びたいという人もいますからね。厳しくやり過ぎると、外国人を不当に排除しているととられかねない」』、これは行政書士が自らの商売を考えての発言なのではなかろうか。確かに高齢でも日本語を学びたいという人もいるのかも知れないが、そんな奇特な人は例外的な筈だ。
・『「お人好し」な制度 また、留学ビザのほかに「経営・管理ビザ」で入国する方法もある。これは日本で事業を行う際に発行されるビザで、3ヵ月以上在留すれば国保に入ることができる。 この経営・管理ビザを取得するには、資本金500万円以上の会社を設立しなければならない。ただし、この500万円を一時的に借りて「見せガネ」として用意すれば、ビザ申請のためのペーパーカンパニーを立ち上げてくれるブローカーが存在する。さらにそういったブローカーとグルになって手引きする日本の行政書士もいるという。 日本の医療の信頼性を求めて、自由診療をいとわない中国人の富裕層が、こぞって日本に押し寄せていることは前述した。しかし、じつはそんな富裕層のなかにも、治療費を安く抑えようと、日本の保険証を取得する中国人は少なくないという。 医療ツーリズムを積極的に受け入れている医療法人の元理事が内情を語る。 「私がいた病院にやってくる中国人富裕層は、医療ツーリズムなどで高額な健康診断を受けたのち、いざ病気が見つかると、会社を設立し、経営・管理ビザをとって日本で治療するのです。彼らにとって医療ツーリズムは日本の病院の『下見』なんです。 知人ががんになった場合、書類上は日本にある自分の会社の社員にして、就労ビザを取得させる方法もあります。この手を使えば、だれでも日本の保険に入ることができる」 残念ながら、こうしたタダ乗りも日本では「合法」なのだ』、なんと巧みな裏技なのだろう。医療ツーリズムと浮かれている段階ではなさそうだ。ブローカーがいるにせよ、経営・管理ビザの交付時のチェックを厳しくする他ないだろう。
・『治療が終わればすぐ帰国 留学ビザや経営・管理ビザだけでなく、外国人が日本の公的医療保険を簡単に利用できる方法がある。本国にいる親族を「扶養」にすればいいのだ。 日本の企業に就職すれば、国籍関係なく社保に入ることが義務付けられている・・・外国人であっても家族を扶養扱いにすることができる。 たとえば子供が日本企業で働いていた場合、本国の両親や祖父母を扶養とすると、この両親や祖父母は日本の保険証がもらえる。日本に住んでもいないのに健康保険証を所有することができるのだ。 もし親族ががんになったとすれば、「特定活動ビザ」などを利用し、日本に呼び寄せ、日本の病院で高額な手術や抗がん剤治療を受けさせる。もちろん保険が利くので自己負担は1~3割で、高額療養費制度も使える。治療が終わればとっとと帰国しても、問題はない。 さらに本国に戻ってから治療を継続した場合、かかった医療費を日本の国民健康保険が一部負担してくれる「海外療養費支給制度」まである。 ほかにも日本の国保や社保に加入していれば、子供が生まれた際、役所に申請すれば「出生育児一時金」として42万円が受け取れる。これは海外で出産した場合も問題ない。 たとえば夫が日本に出稼ぎに来て、社保に加入すれば、本国に住む妻が子供を出産した際には42万円がもらえる。妻は日本で保険料を払っていないにもかかわらずだ。 前出の国立国際医療研究センターの堀氏は「在留期間が短く、十分な保険料を納めていない外国人が日本の保険制度を乱用すれば、国民皆保険の信頼が失われる」と危惧する。 「一部の外国人が保険制度のうま味だけを奪い取っていけば、真面目に保険料を納めてきた人には不公平感が生まれます。『フェアじゃない』と思うのが当然です。 『そんないいかげんな制度なら俺は払わない』という人が増えてきたら、それこそが制度の破綻につながってしまう」 身分や活動目的を偽って国保を利用しようとする外国人について厚労省は、「入国後1年以内の外国人が国民健康保険を使って高額な医療を受けようとした場合、『偽装滞在』の疑いがあれば入国管理局に報告するよう各自治体、医療機関に通達を出した」というが、そんな悠長なことを言っている時間はない。 外国人用の保険を作るなど、もう一度制度を見直さないと、日本の医療制度が先に崩壊するだろう』、ここまで事態が深刻な状況では、窓口担当者任せではなく、確かに制度の抜本的見直しが急務だ。

次に、総合南東北病院外科を休職して京都大学大学院で勉強中の中山祐次郎氏が6月28日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「医者は「がん、奇跡の⽣還」を信じるか? 特別編7回 医者が考える2つの可能性」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011000038/062700039/
・『「余命3カ月のがんが治った! 奇跡の食事法」 本屋さんに行くと、健康本コーナーが必ずあります。そしてそこには、こういった扇情的なタイトルの健康本が所狭しと並んでいます。インターネットを検索しても、「これでがんが完治した!」「抗がん剤はがんを増やす」のようなページが出てきます。テレビでも、「がんから奇跡の生還」なんて番組がありますね。 がんからの奇跡の生還。こういったものを、現場の医者はどう見ているのでしょうか。 私はがんの専門ですから、数多くのがん患者さんにお会いしてきました。その中には、まれですが医者にも信じられないような良い経過をたどった方もいます。 医者がそういう患者さんに会った時、考えることは2つ。 チャンピオンケース 誤診・・・本記事はあくまで医者である私がどう感じているか、そして「奇跡的に治る」頻度はどのくらいかを示しているものです』、興味深く読み進もう。
・『たまたまうまくいったのでは? 1. チャンピオンケース これは医者同士でよく使う言葉です。「たくさんいる患者さんの中で極めて珍しく、すごく治療がうまくいった人」という意味です。多くの患者さんの中で「チャンピオンのように」素晴らしい結果だったので、チャンピオンケースと呼ぶのでしょう。ちょっと抵抗を感じる呼び方ですが。 学会で、治療が素晴らしくうまくいった患者さんの事例を発表すると、「いや先生、それはチャンピオンケースですから」などと突っ込まれることがあるのです。その突っ込みには、「その方は治療がたまたまうまくいったけど、だからといってすべての患者に当てはまるわけじゃないですよね」くらいの意味が込められているのでしょう。 うーん。果たしてそうなのでしょうか。 現在の病気の治療法は、実に多くの先人の犠牲によって開発されてきました。無数の屍の上に成り立っているといっても過言ではありません。 治療法の多くは、実に慎重に開発されています』、チャンピオンケースなる言葉は初耳だが、極めて例外的に上手くいったケースのようだ。
・『「効果がある」と言うのは大変 たとえば、あなたが大腸がんになってしまったとします。そして、私が開発した「中山茶」を飲めば、大腸がんが治るという広告を見たとしましょう。私は密かに自分の担当患者さんに中山茶を飲んでもらっていて、なんとそのうちの1人は「進行がん」が完治した。その結果をもって、「中山茶を飲めばがんが治ります!」と売り出したとしましょう。果たして、中山茶に効能はあるのでしょうか? 残念ながら、この宣伝は明らかな間違いです。 中山茶を飲んだ9999人のがんは治らずに、たった1人だけが治っていたとしたら、あなたはどう思うでしょうか? それでも中山茶は大腸がんに効くから飲んでみようかな、と思えるでしょうか。 恐らくほとんどの方はノーでしょう。「10000人に1人しか治らないんじゃ、怪しい」と思うでしょう。がんの治療薬としてその効果を証明するには、実は10年以上の時間がかかります。 まず成分を調べて、中山茶の中の「何が」がん細胞に作用しているかを突き止めます。そして動物実験をし、効果を確かめます。次に、患者さんで小規模な研究をし、安全だと分かってから、1000人規模の大きな研究に移ります。 ここで、これまでの治療と比べて良いと分かって初めて「この薬を大腸がんの患者さんに使いましょう」となるのです。こうした長い手続きを経て、やっと薬の効果が証明されるのです。さらに、治療薬となって世に出てからも、「ひどい副作用はないか」などと厳しい調査をされます。 冒頭のような、うまくいった患者さんは、何人の中の1人だったのでしょうか。それを考えると、残念ながら「ただのチャンピオンケースだったんだ」という風にしか思えないのです』、なるほど納得できた。
・『がんが自然に消えた報告はあるが 2. 誤診 もう一つは、「本当にがん、あったの?」という疑問です。こちらはシンプルです。もともと誤診されていて、がんではなかったという可能性もあるのですね。 ちなみに、医学論文などでもがんが自然に消えたという報告はわずかですがあります。この論文「自然消失した十二指腸癌肝転移の1例」では、十二指腸がんというがんが自然に消えたと報告していますが、2012年の時点でそれより過去に同じような報告はないとしています。また、海外の論文によると、特別治療をしていないのにがんが自然に消えるのは、がん患者さん6万人から 10万人に1人程度といわれており、非常にまれです。 ですので、これは非常に言いづらい話ですが、奇跡はまず起きません。奇跡とは、ごく稀にしか起きないから奇跡なのです。ほとんどの方は、これまでの膨大な人数の患者さんから得られたデータとほぼ矛盾ない経過をたどっていきます。医者としては、「そのごくまれなケースを研究し、奇跡を科学で解明せよ」という気がすることもありますが、それよりは残りの大多数の人々全体の治療成績がちょっとでも良くならないか、そちらを研究したいと私を含む多くの専門家は考えています』、「奇跡とは、ごく稀にしか起きないから奇跡なのです」というのはその通りなのだろうが、患者にとってはワラをも掴むような気持で、奇跡にすがろうとするのかも知れない。

第三に、精神科医の和田 秀樹氏が7月10日付け日経ビジネスオンラインに寄稿した「「知れば怖くない認知症、本人は幸せなことも」 高齢者の診察を重ね、人生に達観した」を紹介しよう。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/122600095/070600032/
・『認知症予防の本や雑誌の企画を見かけないことはほとんどないし、また認知症になったら安楽死させてくれというような本がベストセラーになっている。 認知症は怖い病気、認知症になるのだけは避けたいと思う人がそれだけ多いということだろう。 私の本業は老年精神医学といって、高齢者を専門とする精神科の診断や治療を行う仕事に従事している。 この仕事を経験する中で、高齢者に意外にうつ病が多いことや、薬物治療などが有効であることなどを知るのだが、認知症については、ある種の老化現象で、早い遅いの違いはあるが、基本的には認知症になる前に亡くならない限り、誰でもなりえる病気だという風に考えるようになった。 今回は、将来のサバイバルのために、誰もが認知症になりえることも含め、高齢になったらどんなことが起こるのかを知り、その可能な対策について考えてみたい』、興味深そうだ。
・『認知症になることを前提で物事を考える 少なくとも、厚生労働省などの行政機関は、高齢者の増加に伴って認知症が増えることは避けられないものとして、対策を進めている。 そして、地域住民の様々なサンプル調査や、住民調査が行われ、年齢別にどのくらいの人が認知症に当てはまるのかも明らかにされ始めてきた。 データによってばらつきはあるが、85歳を過ぎると、テスト上、あるいは診断基準上は、4割程度の人が認知症になるとされている。多いデータでは、55.5%という結果もある。 これが90歳以上ということになると、5割から7割が認知症に相当するとされている。要するに長生きすればするほど、ほとんどの人が認知症に当てはまるようになるのだ。 私はかつて、浴風会病院(東京・杉並)という日本最初の老人専門の総合病院に勤務していたことがある。 この病院は、老人ホームを併設していて、身寄りがないお年寄りの患者さんが少なくない。昔からの伝統で、亡くなる患者さんの半数くらいの方を解剖するのだが(年間100人くらいになる)、85歳を過ぎて脳にアルツハイマー型の変化のない人はいなかった。 脳の病理学の立場で見ると、85歳を過ぎると誰でも軽い重いの差はあるが、アルツハイマー病だということだ。 こう考えると、認知症も普通の老化と同じく、つまり年をとってしわがない人や、髪が薄くならない人がいないように、誰にでも起こる脳の老化であり、それにまつわる衰えと考えることができる。 ということで、私は認知症は避けることができない病だと考えている』、「避けることができない」とはいささかショッキングだが、確かにそうなのだろう。
・『認知症にならない方がラッキー 要するに、長生きする以上、認知症に陥ることを前提で考えないといけないし、むしろそうならないほうがラッキーとしか言いようがないのだ。 だとすると、ひたすら恐れたり、いかがわしいとしか思えないような(たまにあてになるものもあるが)認知症予防の対策をあれこれするより、認知症になったらどうなるか、どのような対策を取ればいいかを事前に知っておく必要がある。 私も長年、老年精神医学の仕事をしているが、高齢者は年金から、高年者でなくても40歳以上の人は給料から、介護保険料が天引きされているのに、いざ認知症や要介護になるまで、その使い方を知らないという人が実に多い。 最近は、昼間高齢者を預かり運動や学習などのアクティビティーを提供してくれるデイサービス(通所介護)だけでなく、高齢者が宿泊できるショートステイというサービスが利用しやすくなった。公的介護保険制度で要介護2以上の認定を受ければ、月のうち約20日以上のショートステイを保険適用できることもある(空きがあればという条件がつくが)。要するに制度をうまく使えば、近親者が要介護になったとしても仕事を辞めずに在宅介護がしやすくなっている。 また、認知症の本当の症状や特徴を知らないことが、この病気に対する恐れを増幅しているとも言える。 認知症になると支離滅裂なことを言い、徘徊したり、失禁したりで、周囲に迷惑をかけるとか、恥を晒して生きていくことになると思っている人は多い。しかしながら、認知症がある種の老化現象であることから、現実には、だんだんおとなしくなる人が多いため、病状の進行が初期や中期のほとんどの人はそれほど迷惑をかけない。末期になると確かに何もできなくなるから人の世話が必要となるが、その頃には子供の顔もわからなくなるので、誰に世話をされても本人にとっては同じことになる。施設に預けても意外に適応もいい。 この手のことを知っているだけでも認知症に対する恐怖感は多少は和らぐのではないだろうか?』、「病状の進行が初期や中期のほとんどの人はそれほど迷惑をかけない」というので、多少は安心した。
・『困難を避けることはある程度可能 ただ一方で認知症は軽度のものから重症のものまであり、進行性の病気であることも確かだ。 軽い人であれば記憶障害程度で、ほとんど知能は低下しない。重ければ人の顔もわからなくなるし、最終的には普通にしゃべることも困難になる。 そして、私が浴風会病院で学んだのは、人間の知能は、意外に脳の変性や萎縮と正比例の関係になっていないということだ。 同じくらい脳が縮んでいたり、解剖してみて変化が著しいことが分かったりしても、さほど認知症の症状を呈さない人もいれば、ひどい認知症のようになってしまう人もいる。 その差は何かというと、頭を使っているかどうかというのが私の仮説である。 確かに米国のレーガン元大統領や英国のサッチャー元首相が認知症になったように、頭を使っていても、認知症になる人はなるのだが、私の見立てでは、彼や彼女が大統領や首相のように頭を使う職業についていなければ、もっと早く発症しただろうし、もっと速く進行していたということだ。 少なくとも認知症になってからは頭を使っているほうが進行のスピードが遅いのは確かなことだ』、頭を使う方がいいというのは慰めになる。
・『農作業を続ける人は進行が遅い 実は、現在の介護保険制度が始まる前に、前述の浴風会病院のほか、数年間、茨城県鹿嶋市の病院に認知症の対応のために非常勤で勤務していたことがある。 そこで痛感したのは、浴風会の患者さんの認知症の進行が速いのに、鹿嶋市の患者さんはゆっくりだということだ。 介護保険が始まる前で、認知症へのバイアスが強く、杉並区という高級住宅地の多い地域にある浴風会の患者さんは認知症になると家族から家に閉じ込められることが多かった。現在の介護保険制度が始まる前だから、デイサービスを利用する人もほとんどいなくて、一日何もしない状態になる。そうすると進行が速いようだった。 一方、鹿嶋市の認知症患者は、外でぶらぶらしていても、近所の人が連れて帰ってきてくれる。農業や漁業に従事している人ならば、その仕事をお手伝い程度でも続けることも多い。続けていいかと聞かれた場合、私は基本的に大丈夫と答えてきた。すると、進行が遅いのだ。 現在の介護保険制度が始まってからのデイサービスにしても、あるいは、認知症の進行を遅らせるとされている薬にしても、基本的にはこのモデルに基づくものだ。認知症の高齢者にアクティビティーをさせたり、会話をしたりすることで進行を遅らせ、脳の伝達物質を増やすことで、働いていない頭を働かせているということだろう。 問題は、日本のホワイトカラー、とくに管理職経験者が年を取り、認知症になった場合、デイサービスなどを嫌がることが多いことだ。 だったら、代わりに頭を使う趣味、たとえば将棋とか麻雀、声を出す詩吟などをしてくれればいいのだが、意外に趣味をもっていない人が多い。麻雀にしても定年後相手がいないという人が多いのだ。 認知症になることを前提に考えた場合、ずっと続けられ、楽しめる(楽しくないと認知症の人は意欲が落ちているのでやらないことが多い)趣味を早めに探しておくことが賢明だ』、私もデイサービスなど御免だと考えている口で、趣味もないのは要注意らしい。
・『高齢になった時のことを考えて生きる もう一つ忘れてはならないのは、認知症になって、記憶や判断力などはもちろん落ちていくのだが、その人が人生経験で得た能力を生かせたり、絵画の才能などの能力が残っていたりすると、認知症になる前以上の能力を発揮することが多いということだ。 要するに認知症になれば何もできなくなるわけではない。 日本における認知症研究の第一人者で長谷川式簡易知能評価スケールの開発者である長谷川和夫氏が、昨年自らの認知症を告白しているが、記憶力は衰えるが、以前の自分との連続性は実感していると語っている。実際、認知症になったからといって、自分の知能や性格がすべて失われるわけでなく、そのほとんどが残っているところから徐々に能力が衰えていく。要するに十分な残存機能も少なくとも中期くらいまでは残っている。 だからこそ、介護者もダメになった部分にだけ気を取られるのでなく、今でも使える機能にもっと目を向けるべきだろう。ちなみに長谷川氏は、これまでの経験と自分の今の症状や感じることなどを照らし合わせて、認知症についての理解を深めるための講演を続けていきたいと明言している。 私が見るところ、認知症は本人にとっては、以前よりも主観的な幸せにつながる部分もある。 嫌なことを忘れるとか、以前ならうじうじと気にしていたことを気にしなくなるなどだ。これはかつて赤瀬川原平氏が『老人力』という著書の中で、老人になったら身につく力として言及した能力そのものである』、「以前よりも主観的な幸せにつながる部分もある」というのも救いだ。
・『家族は苦労するも本人はニコニコ 実際、認知症になったら安楽死させてほしいというような声とは裏腹に、私のもとを訪れる認知症患者は、家族からは苦労話は聞かされるものの、本人はニコニコして幸せそうなことが多い。 長谷川氏は、認知症を発症したことについて、「年を取ったんだから仕方ない」と悠然と答えているそうだ。長年、老年精神医学に取り組んできたことで、認知症についてよく理解していることが、これからも自分が役に立つことをやろうという豊かな生き方につながっているように思えてならない。 というのも、私自身、老年精神医学に長年従事することで、人生観がかなり変わった口であるし、この職を与えられたことを、大げさなようだが、神様に感謝しているくらいだからだ。 前述のように認知症になることをさほど恐れなくなっているし、年を取ったら人の世話になることも、あるいは施設に入ることも、基本的には仕方ないことと開き直っている。これまで払った税金や保険料を多少は返してもらう権利があると考えている。 それ以上に人生観が変わった。 多少、出世したところで、その地位がいつまでも続くものでないし、その地位を人に嫌われる形で得た場合に、年をとってから寂しい人生を送ることがわかった。 例えば、上に媚びて出世したというような場合に、晩年には上の人は先に死んでしまうし、そういう人は下の人が見舞いに来ない。 ところが、若い人をかわいがってきた人は、年をとって病気になった際に、見舞いが絶えないなどということは珍しくない。 財産を残せば安心かというと、たとえば、認知症になった際に、かえって息子たちの財産争いがひどくなったり、子どもに知らない間に財産の名義を書き換えらたれたりするなどというケースも何件も見ている。実際、それが無効だとして裁判を起こすために精神鑑定書を書いたことも何回かある。 出世や名声にあくせくしなくなったし、お金は使えるうちに使ったほうがいいと思って、ワインを買い込み、自己資金を投じて映画を撮ったりするのはその影響かもしれない。 恐らく、こういうことは私のような職業に就いていないと知りえないことが多いのだろう。この経験から私が知り、感じたことをまとめた『自分が高齢になるということ』(新講社)という本を出した。これからのサバイバルのヒントにしてもらえると幸いである』、『自分が高齢になるということ』は是非読んでヒントをもらいたい。

第四に、ノンフィクションライターの窪田順生氏が7月12日付けダイヤモンド・オンラインに寄稿した「世界が注目する最先端がん医療が日本では「怪しい治療」扱いの理由」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/174608
・『近未来のがん治療は腫瘍ができる前に対処!?・・・”がんの超早期発見”は適切な治療を受けることで、かなりの確率で発症を防ぐことができる・・・実現のカギは、「リキッドバイオプシー」と「ネオアンチゲン療法」だ。 リキッドバイオプシーとは、わずか7cc程度の血液を採取して遺伝子を解析。その結果をAIが「がん遺伝子情報データベース」と照らし合わせ、異常か否かを判断するという最新検査で、既に米国では一部のがんで承認を受けている。 今年2月に米ジョンズ・ホプキンス大学が発表したデータでは、卵巣がん、肝臓がんのステージI、ステージIIという、手術で治療できる段階のがんはほぼ100%の確率で検出し、胃がん、膵臓がん、食道がん、大腸がんに関しては、やや感度は落ちるものの、60~70%の割合で検出できたという』、卵巣がん、肝臓がん以外では、検出率はまだまだのようだ。
・『高い精度で再発予見も 最新の免疫療法も有望 また、注目すべきは、その「再発予見」の効果である。 がんの切除手術後に、リキッドバイオプシーで切除されたがんで見つかったものと同じ「がん遺伝子」が検出された患者は、2年以内に100%の確率で再発しており、その逆に検出されなかった患者の再発率は10%程度にとどまっているというのだ。現在、がん治療で最も有効なのが早期発見であることは言うまでもない。早く見つかればそれだけ生存率は上がる。リキッドバイオプシーで「超早期発見」が当たり前になれば、より多くの命を救うことができるというわけだ。 一方、ネオアンチゲン療法とは、人間の身体のなかに生来ある、「がんを攻撃する特別なリンパ球」を人為的に増殖させて、がん細胞を破裂させていくという最新の免疫療法である。「なんだかインチキ臭いな」などと思うなかれ。日本のがん医療現場ではほとんど聞くことはないが、昨年7月には世界的な学術誌「ネイチャー」にその効果の高さを報告する論文も発表されており、やはり米国では、有名研究機関が競い合うように臨床試験を行っている。 これらが日本でも実用化という運びになれば、冒頭で紹介したようなことも決して夢物語ではなくなるのだ。 なんて話を聞くと、「そんなにすごい新技術ならば、日本国内でも盛んに臨床研究などが行われているはず。そういうニュースをあまり耳にしないということは、まだ安全性や信頼性に問題があるのでは」といぶかしむ方もいるかもしれない。 しかし、その原因は、これら最新医療技術の方にあるのではなく、日本の医療界が持つ、イノベーションを阻む「独特の壁」にある、と断言する人がいる』、どんな壁なのだろう。
・『「ノーベル賞に最も近い日本人」が日本に戻ってきた 「日本はせっかく基礎研究では素晴らしい実績があるのに、省庁間の縦割り行政の壁があるため、その成果を新薬や治療の開発に結びつけることができません。この閉塞感に加えて、研究者たちも研究費をもらうのに四苦八苦して論文を書くことがゴールとなってしまっていることも問題。研究を患者へ還元させようというカルチャーがない。私はシカゴ大で若い研究者たちの面接をしましたが、日本国内の研究者と比べものにならないほど、問題意識や行動力を持っていました」 日本のがん医療をこうバッサリと切り捨てたのは、ゲノム(全遺伝情報)を解析し、がんの治療に生かす「がんゲノム医療」の世界的権威であり、その実績から「ノーベル賞に最も近い日本人」と評されてきた中村祐輔氏(65)だ。 東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長、国立がんセンター研究所所長、理化学研究所医科学研究センター長などを歴任し、2012年に米シカゴ大医学部に研究拠点を移した時は「頭脳流出」と騒がれ、英国の科学雑誌「ネイチャー」などは「Genmics ace quits japan」(ゲノム研究のエース、日本に見切りをつける)と報じたほどだった。 そんな「世界のナカムラ」が6年ぶりに日本に戻ってきた。7月1日付で、東京・有明にある公益財団法人がん研究会「がんプレシジョン医療研究センター」の所長に就任したのである。そこで狙うは、先ほどのリキッドバイオプシーとネオアンチゲン療法の実用化だ。 「私がやらなくてはいけないことなのかというのは悩みました。若い研究者が出てきてやってくれればいいのですが、残念ながらいつまで待っても、日本の医療には変わる気配がない。また、リキッドバイオプシーは技術的な課題を抱えており、ゲノムをわかっていない人間がやるのは問題も多い。たまに一流科学雑誌などでも、我々から見て、おかしなデータが掲載されています。ゲノムをちゃんと理解した人間が解析しなくては、まるで占いのような話になってしまう」(中村氏)』、日本の問題が薄っすらと分かってきた。それにしても、流出した権威が戻ってきたとは結構なことだ。
・『見切りをつけたはずの日本に戻ってきた理由は「がん患者の叫び」 そのため、今年2月には、自身が設立に関わった創薬ベンチャー、オンコセラピー・サイエンスの子会社、「キャンサー・プレシジョン・メディシン」のラボを川崎市にオープン。ここでは中村氏の愛弟子たちが、リキッドバイオプシーやネオアンチゲン療法に不可欠な、がん遺伝子の大規模解析などをおこなっている。 いくら待っても変わらないのならば、自らが変えていくしかない。そう決断した中村氏の背中を押したのは、日本の有名がん拠点病院から「残念ながらもう治療法はありません」と宣告された「がん難民」たちの悲痛な叫びだ。 「シカゴにいる間もメールなどで、多くのがん患者やその家族の方からの相談を受けましたが、気の毒になるほど救いがない。原因は国の拠点病院。標準治療のガイドラインに固執するあまり、“がん難民”をつくり出している自覚がありません。こういう人たちが医療界のど真ん中にいることが、日本のがん患者にとって最大の不幸です」(中村氏)』、『確かに、日本のがん医療では、外科治療(手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)の3つが「標準治療」と定められている。そのため、これらの治療が効かない患者が免疫療法などを希望すると、主治医から「そういう怪しい治療をお望みなら、もううちの病院には来ないでください」と三行半をつきつけられる。そんなバカなと思うかもしれないが、そういう「がん難民」に、筆者は何人もお会いした。 このような中村氏の主張を聞くと、「そういう問題はあるが、日本の医師だって、がん患者のためになることだと信じて一生懸命頑張っているんだ。いくら実績のある研究者だからって、それを全否定するのはいかがなものか」と感じる人もいらっしゃるかもしれない。 だが、中村氏のこれまでの歩みをふりかえれば、なぜ彼が「日本の医師」たちにこのような厳しい苦言を繰り返すのかが分かっていただけるのではないだろうか』、国の拠点病院が標準治療のガイドラインに固執するあまり、“がん難民”をつくり出している実態がようやく理解できた。免疫療法すら「そういう怪しい治療をお望みなら、もううちの病院には来ないでください」と三行半をつきつけられる、というのには驚かされた。
・『中村氏が憤る日本の医師は「勉強不足」 実は、今でこそ「世界的なゲノム研究者」として知られる中村氏だが、最初から研究の道にいたわけではない。若かりし頃は、がん患者をひとりでも救うべく奮闘していたひとりの外科医だった。 大阪大学医学部卒業後、救急医療、小豆島の町立病院などさまざまな医療現場を渡り歩いた「中村医師」は、「がん」というものに対する己の無力さに打ちのめされていた。切除してもすぐ再発。抗がん剤も効果がない。「お腹の塊をどうにかして」と泣き叫ぶ患者を前に、中村氏は涙をこらえることしかできなかったのだ。 どうすればこの人たちを救えるのか。思い悩むなかで、同じがん・同じ進行度合いでも、抗がん剤が効く患者と、まったく効かない患者がいるということ着目し、この「個人差」は「遺伝子の差」が関係しているのではないかという結論に至った。そこで海外の医学雑誌で知った、遺伝性大腸がんの研究をおこなう米・ユタ大学のレイ・ホワイト教授のもとへ手紙を書き、遺伝子研究に参加した。まだ「ゲノム」などという言葉は、日本の医療界だけでなく、米国の研究者にもそれほど知られていなかった時代のことだ。 研究の世界に飛び込んだ中村氏は、「がん」と「遺伝子」の謎を解き明かすためがむしゃらに研究に没頭。そこで発見した多くのDNAマーカーは、世界中の遺伝子研究者から「ホワイト・ナカムラマーカー」と呼ばれ、遺伝性疾患やがん研究に大きな貢献を果たした。 がん患者を救いたい。その一心だけで「医師」から未知の世界に乗り込んで、徒手空拳でゲノム研究の道を切り拓いてきた中村氏にとって、「日本の医師」は生ぬるくてしょうがない。ましてや、「標準治療」というガイドラインから外れた患者に、ああだこうだと屁理屈をこねて、何も手を差し伸べようとしないような医師は、「職務怠慢」以外の何物でもないのだ。 「一言で言えば、勉強不足。たとえば、世界のがん医療で常識となっている免疫療法に対して、『エビデンスがない』などと主張している医師がまだ大勢いる。海外の論文に目を通していないか、科学の基本的な素養がないとしか考えられません」(中村氏)』、日本の医学界に手厳しいが妥当な批判なのだろう。
・『医療界のみならず医療行政も新たな取り組みの壁に なぜもっと患者のために必死にならない。なぜ救うためにあらゆる可能性を模索しない。そんな憤りが、中村氏の歯に衣着せぬ「日本の医療」批判につながっている。 もちろん、自身で「いつ後ろから矢が飛んでくるかわからない」と言うように、医療界だけではなく、医療行政のなかでも、中村氏を快く思わない者も多くいる。 たとえば民主党政権下、「医療イノベーション推進室」の室長と内閣官房参与に任命された時にも、かなりの「逆風」が吹いた。 自民党との違いを鮮明に出したかった仙谷由人官房長官(当時)から声をかけられ、日本の医療制度にメスを入れることの必要性を唱えていた中村氏も「医療の壁」を壊すと決意表明をしたが、予算権限すら与えられず、霞が関官僚からの猛反撃を食らう。その時の悔しさを、当時の新聞でこう述べている。 「気がつくと、各省庁が財務省と個別に予算交渉をして、政策を進めていた。自分は、室長という名の単なるお飾りなのだと思い知らされた」(読売新聞2012年1月28日) ほどなく中村氏は辞表を提出。シカゴ大からの誘いを受けて日本から去った。壊してやると意気込んだ「日本独特の医療の壁」に、逆に返り討ちにされてしまったのだ。 だが、このような目に遭っても、中村氏は日本の医療への苦言をやめることはない。彼をここまで駆り立てているのはなんだろうか。 前出のオンコセラピー・サイエンスを、中村氏が立ち上げたきっかけは1999年に最愛の母を亡くしたことだった。 命を奪ったのは、皮肉なことに当時、中村氏が心血を注いで研究していた「大腸がん」。抗がん剤が効かず日増しに弱っていく母は病床で「お前の顔に泥を塗るようで申し訳ない」と何度も頭を下げた。「がん」に打ち勝つため研究に没頭してきたのに、目の前にいる母に何もしてやれない。外科医時代と私は何も変わっていないではないか――。亡くなる前日、母は中村氏の手をとって、こんな言葉を繰り返したという。 「日本のために、いい薬をつくりなさい」 中村氏がリキッドバイオプシーとネオアンチゲンワクチン療法の実用化に成功するのかどうかはわからない。「異端児」ゆえの「逆風」は今も吹き続けているからだ。ただ、ひとつだけはっきりと言えることがある。何度挫折をしても中村氏はきっとまた立ち上がる。母に誓った「がんに打ち勝つ新薬」をつくるその日まで』、「異端児」中村氏の活躍を心から期待したい。
タグ:デイサービス 医療問題 誤診 日経ビジネスオンライン ダイヤモンド・オンライン 窪田順生 和田 秀樹 現代ビジネス 中村祐輔 リキッドバイオプシー (その16)(海を渡って日本に治療を受けに来る 「タダ乗り患者」が増殖中 この国の医療費が食い物にされている? 、医者は「がん、奇跡の⽣還」を信じるか? 医者が考える2つの可能性、「知れば怖くない認知症、本人は幸せなことも」 高齢者の診察を重ね 人生に達観した、世界が注目する最先端がん医療が日本では「怪しい治療」扱いの理由) 「海を渡って日本に治療を受けに来る 「タダ乗り患者」が増殖中 この国の医療費が食い物にされている?」 「留学ビザ」で国保に加入 「医療ツーリズム」 C型肝炎の治療 特効薬のハーボニーは465万円(3ヵ月の投与)かかるが、国保に加入し、医療費助成制度を活用すれば月額2万円が上限 肺がんなどの治療に使われる高額抗がん剤のオプジーボは、点滴静脈注射100mgで28万円。患者の状態にもよるが、1年間でおよそ1300万円の医療費がかかる計算に 国保に入っていさえすれば高額療養費制度が使えるので、実質負担は月5万円程度(年間60万円)。たとえ70歳や80歳の「ニセ留学生」でも保険証さえあれば、日本人と同じ値段で医療サービスを受けられるのだ 「お人好し」な制度 「経営・管理ビザ」で入国する方法もある 資本金500万円以上の会社を設立 500万円を一時的に借りて「見せガネ」として用意すれば、ビザ申請のためのペーパーカンパニーを立ち上げてくれるブローカーが存在 中国人富裕層は、医療ツーリズムなどで高額な健康診断を受けたのち、いざ病気が見つかると、会社を設立し、経営・管理ビザをとって日本で治療するのです。彼らにとって医療ツーリズムは日本の病院の『下見』なんです 治療が終わればすぐ帰国 外国人が日本の公的医療保険を簡単に利用できる方法がある。本国にいる親族を「扶養」にすればいいのだ 外国人用の保険を作るなど、もう一度制度を見直さないと、日本の医療制度が先に崩壊するだろう 中山祐次郎 「医者は「がん、奇跡の⽣還」を信じるか? 特別編7回 医者が考える2つの可能性」 がんからの奇跡の生還 考えることは2つ。 チャンピオンケース 誤診 チャンピオンケース たくさんいる患者さんの中で極めて珍しく、すごく治療がうまくいった人 現在の病気の治療法は、実に多くの先人の犠牲によって開発されてきました。無数の屍の上に成り立っているといっても過言ではありません 「効果がある」と言うのは大変 がんの治療薬としてその効果を証明するには、実は10年以上の時間がかかります もともと誤診されていて、がんではなかったという可能性もある 特別治療をしていないのにがんが自然に消えるのは、がん患者さん6万人から 10万人に1人程度といわれており、非常にまれです 奇跡とは、ごく稀にしか起きないから奇跡なのです 「「知れば怖くない認知症、本人は幸せなことも」 認知症になることを前提で物事を考える 85歳を過ぎると、テスト上、あるいは診断基準上は、4割程度の人が認知症になるとされている 90歳以上ということになると、5割から7割が認知症に相当するとされている 要するに長生きすればするほど、ほとんどの人が認知症に当てはまるようになるのだ 脳の病理学の立場で見ると、85歳を過ぎると誰でも軽い重いの差はあるが、アルツハイマー病だということだ 認知症も普通の老化と同じく、つまり年をとってしわがない人や、髪が薄くならない人がいないように、誰にでも起こる脳の老化であり、それにまつわる衰えと考えることができる 認知症は避けることができない病だと考えている 認知症にならない方がラッキー 制度をうまく使えば、近親者が要介護になったとしても仕事を辞めずに在宅介護がしやすくなっている 認知症がある種の老化現象であることから、現実には、だんだんおとなしくなる人が多いため、病状の進行が初期や中期のほとんどの人はそれほど迷惑をかけない 困難を避けることはある程度可能 軽い人であれば記憶障害程度で、ほとんど知能は低下しない さほど認知症の症状を呈さない人もいれば、ひどい認知症のようになってしまう人もいる。 その差は何かというと、頭を使っているかどうかというのが私の仮説 農作業を続ける人は進行が遅い 認知症の高齢者にアクティビティーをさせたり、会話をしたりすることで進行を遅らせ、脳の伝達物質を増やすことで、働いていない頭を働かせているということだろう 問題は、日本のホワイトカラー、とくに管理職経験者が年を取り、認知症になった場合、デイサービスなどを嫌がることが多いことだ 代わりに頭を使う趣味、たとえば将棋とか麻雀、声を出す詩吟などをしてくれればいいのだが、意外に趣味をもっていない人が多い 高齢になった時のことを考えて生きる 認知症は本人にとっては、以前よりも主観的な幸せにつながる部分もある。 嫌なことを忘れるとか、以前ならうじうじと気にしていたことを気にしなくなるなどだ 家族は苦労するも本人はニコニコ 「世界が注目する最先端がん医療が日本では「怪しい治療」扱いの理由」 ネオアンチゲン療法 高い精度で再発予見も 最新の免疫療法も有望 日本の医療界が持つ、イノベーションを阻む「独特の壁」にある、と断言する人がいる 「ノーベル賞に最も近い日本人」が日本に戻ってきた 日本はせっかく基礎研究では素晴らしい実績があるのに、省庁間の縦割り行政の壁があるため、その成果を新薬や治療の開発に結びつけることができません。この閉塞感に加えて、研究者たちも研究費をもらうのに四苦八苦して論文を書くことがゴールとなってしまっていることも問題。研究を患者へ還元させようというカルチャーがない 2012年に米シカゴ大医学部に研究拠点を移した時は「頭脳流出」と騒がれ 「世界のナカムラ」が6年ぶりに日本に戻ってきた 公益財団法人がん研究会「がんプレシジョン医療研究センター」の所長に就任 見切りをつけたはずの日本に戻ってきた理由は「がん患者の叫び」 国の拠点病院。標準治療のガイドラインに固執するあまり、“がん難民”をつくり出している自覚がありません。こういう人たちが医療界のど真ん中にいることが、日本のがん患者にとって最大の不幸です 日本のがん医療では、外科治療(手術)、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)の3つが「標準治療」と定められている。そのため、これらの治療が効かない患者が免疫療法などを希望すると、主治医から「そういう怪しい治療をお望みなら、もううちの病院には来ないでください」と三行半をつきつけられる 中村氏が憤る日本の医師は「勉強不足」 医療界のみならず医療行政も新たな取り組みの壁に 民主党政権下、「医療イノベーション推進室」の室長と内閣官房参与に任命 「気がつくと、各省庁が財務省と個別に予算交渉をして、政策を進めていた。自分は、室長という名の単なるお飾りなのだと思い知らされた」
nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。