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日本の構造問題(その12)(日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談、日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー、投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」) [経済]

日本の構造問題については、3月29日に取上げた。今日は、(その12)(日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談、日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー、投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」)である。

先ずは、6月26日付け東洋経済オンラインが掲載した立命館アジア太平洋大学(APU)学長 の出口 治明 氏と元外資系証券アナリストで 小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏による「日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/288272
・『日本が立たされている苦境の根本を探ると、何が見えてくるのか。どのようにすれば、この苦境から抜け出せるのか。 近著『知的生産術』で生産性を高める働き方を説いた出口治明氏と、同じく近著『日本人の勝算』で日本が再び「一流先進国」に返り咲く方法を明らかにしたデービッド・アトキンソン氏。2人の対談が2019年6月に実現した。その模様をお届けする』、興味深そうだ。
・『なぜ日本人は、ここまで「のんき」なのか  出口治明(以下、出口):アトキンソンさんが以前書かれた「日本人の議論は『のんき』すぎてお話にならない」という記事を読ませていただきました。そこで述べられているとおり、日本が置かれている状況は非常に厳しいのに、それを理解している人が少なすぎます。僕もまったく同感です。 平成の30年間のデータを見ると、日本がいかに危機的な状況にあるかは一目瞭然です。 GDPの世界シェアを購買力平価で計算してみると、約9%から4.1%に減少。IMDの国際競争力は1位から30位に陥落。平成元年には時価総額の世界トップ企業20社のうち、14社が日本企業だったのに、今はゼロです。これで危機感を持たないほうがおかしいと思います。 ただ、僕もアトキンソンさんがご著書で常に述べておられるとおり、日本人の実力はこんなものではないと信じているので、なんとか奮起してほしいと考えています。 日本人がこんなにものんきになってしまったのは、高度経済成長の成功体験が大きすぎたことにあるのではないかと私は考えていますが、アトキンソンさんはどうですか。 デービッド・アトキンソン(以下、アトキンソン):いちばんの原因は、日本人が「分析をしない」ことにあると思います。 たしかに高度経済成長期、日本のGDPは世界の9%弱まで飛躍的に伸びました。それは事実です。 しかしそのとき、「日本ってスゴイ!」と喜ぶだけで、何が成長の要因だったかキチンと検証しませんでした。さらには「日本人は手先が器用だから」とか、「勤勉に働くから」とか、「技術力がある」からなど、直接関係のないことを成長要因としてこじつけてしまい、真実が見えなくなってしまったのです。 出口:データで検証してこなかったのですね』、「高度経済成長期・・・「日本ってスゴイ!」と喜ぶだけで、何が成長の要因だったかキチンと検証しませんでした」、経済白書を作成する経済企画庁(現:内閣府)や官民のエコノミストが大勢いながら、彼らは時流に乗り、マスコミ受けを狙うだけで、確かに現在に至るまで真因を探るような「分析をしない」のは、残念ながら事実だ。私自身もかつてそのはしくれだったので、深く反省している。
・『アトキンソン:そうです。私が卒業したオックスフォード大学に、リチャード・ドーキンスという生物学の先生がいます。私は彼の講義を聴講したことがあるのですが、面白いことを言っていました。 彼によると、人間の脳は、アフリカの大草原に暮らしていたときとあまり変わらないのだそうです。 どういうことかと言うと、草原で暮らしていた当時の人類は、丈の高い草の中で何かの音が聞こえたら、反射的に逃げます。なぜなら、「あの音は何だ!?」と考えたり、エビデンスやデータを取って調べ始めたりすると、ライオンに襲われて食われてしまうからです。条件反射で逃げるという行動が進化したのです。 そのためデータを取ったり、エビデンスを確認したりしてロジカルに考えることが、人間のDNAの中には組み込まれていないのだそうです。 ドーキンス教授流に言うと、「高度成長した=日本人すごい」「技術力があるから日本経済は復活する」「ものづくりで大丈夫」と直感的に決めつけてエビデンスやロジックを求めない頭の使い方は、こういう野生時代から進歩していない、と言えます』、日本人の考え方に対する批判は痛烈この上ないが、残念ながら反論できそうもない。強いて言えば、日本社会の強い同調圧力が影響しているのかも知れない。
・『最大の問題は「マネジメント層」にある  出口:例えば高度成長期には、日本は年平均7%も成長したのですが、その成長に何が寄与したのか分析できていないのは、おっしゃるとおりですね。分析すれば人口増加の寄与度がいちばん大きかったという、アトキンソンさんが分析したとおりの結果が出ます。 しかし、こういう当たり前の分析を行わずに「日本人は器用だから」「協調性があるから」「チームワークがあるから」成長したと思い込んで、根拠なき精神論のままこれからもやって行こうとしても、世界の新しい変化に対応できるはずがありません。 驚くことに、いまだに「欧米の強欲な資本主義とは違い、日本の経営はすばらしい、三方よしだ」などと言う評論家や学者がいるのも事実です。僕は彼らにいつも、次のように質問しています。 「日本の経営がすばらしいのなら、なぜアメリカ、ヨーロッパ、日本という3つの先進地域の中で、日本の成長率がいちばん低いのか」「なぜ日本人は年間2000時間も働いているのに、1%しか成長しないのか」「なぜヨーロッパは1500時間以下の短い労働時間で2%成長しているのか」 まともな答えが返ってきたことは一度もありません。 この問いの答えは、日本のマネジメントがなっていないということ以外にはないのですが、それを的確に答えられる人が実に少ない。こういう当たり前のことを、「原点から考える」訓練ができていないところがいちばんの問題ではないかと思います。 アトキンソン:日本の所得が少なく、生産性も低い。その結果社会保障制度が不健全になってしまったというのも、労働者の問題ではなくマネジメントの問題です』、日本的経営礼賛論では、確かにマクロ経済不振を説明できない。「最大の問題は「マネジメント層」にある」、との両氏の指摘には全面的に同意する。
・『アトキンソン:1990年代以降の生産性向上要因を分析すると、人的要素も物的要素もほかのG7諸国とほとんど変わりません。しかし、マネジメントが最も関係する生産性向上要因(全要素生産性)は、諸外国ではものすごく伸びているのに、日本ではほとんど伸びていません。 つまり、日本に決定的に不足しているのはマネジメントだということは、はっきりとエビデンスとして出ているのです。やはり、日本の経営者は才能がない。失われた30年の根本原因はマネジメントが悪いから、それに尽きます。 こういう話をすると「衝撃的です」と言われてしまう。なぜこれが「衝撃的」なのか。 私は政府関係者と話をする機会が多いのですが、日本経済を議論するときにテーブルに座っているのは、日本という国家のマネジメントをやっている国会議員と、企業のマネジメントをやっている経団連や経済同友会、または商工会議所の人たち。 つまりは日本のマネジメントを中枢でやっている人たちです。日本経済の問題点について彼らと議論をしても、マネジメントに問題があるというものすごい単純なことは、なかなか理解してもらえません。なぜなら、彼らにとっては自分たちが悪いと認めることになるからです』、「全要素生産性」の伸び悩みは、「日本に決定的に不足しているのはマネジメント」を表しているというのは、確かにその通りだが、そこまでの意味づけは恥ずかしながら考えたこともなかった。
・『「ロジカルに考える」という当たり前ができていない  出口:日本のマネジメントがダメなのは、データを軽視し、自分の経験(エピソード)や思い込みだけで物事を判断してしまうからだと思います。例えば、いま世界を席巻しているのは、GAFAでありユニコーンですよね。しかし、そういう企業を強欲資本主義の象徴だと思っている日本の経営者がいっぱいいます。 僕はそういう人たちに、よくGoogleの人事部の話をします。Googleの人事部は社員の管理データのうち、国籍・年齢・性別・顔写真、これらすべてを消してしまったそうです。そんなものは必要ないからと。 人事を決めるのに必要なのは、今やっている仕事と過去のキャリアと将来の希望だけ。男か女か、歳はいくつだとかは一切関係ないというのが彼らの考え方で、こちらのほうがはるかに人間的です。世界の優れた企業は社員をとても大事にしている、だからこそいいアイデアがどんどん出てくるという好例だと思います。 日本の会社は社員を大事にしていると思っている経営者が少なくありませんが、それは本当でしょうか。きちんとデータで確認した人はいるのでしょうか。僕には単なる思い込みであるとしか考えられません。 アトキンソン:日本という国のマネジメントを行っている役人も、思い込みに縛られて、楽観的というかはやり言葉に流されて、考え方が甘い傾向があります。 以前、霞が関の会議に出席した際、「ロボットとAIなどの日本の最先端技術によって、日本経済は復活する」などと話していました。ですが最先端技術は、ずっと以前からあるのです。それが今まで普及してこなかったのはなぜかという産業構造の問題を検証することなくそんな主張をされても、論理が通っているとは思えません。 たとえ最先端技術があっても、誰も使わないならないのと同じです。「普及」こそが問題なのです。AIさえあればうまくいくというのは、念仏さえ唱えていれば極楽浄土に行けるという話と変わりません。しかも、それに気がつく人すら誰もいない。で、私が自分の意見をぶつけてみると、何か「宇宙人が来た」みたいな反応されました。 その会合の後で「さすが外人さんは見る目が違いますね」といったことを言われたのですが、外人だから考え方が違うのではありません。手前味噌ですが、「脳みそを使っている人」と「使っていない人」の違いなのではないかと最近よく思います。国籍が違うのはたまたまです』、「Googleの人事部は社員の管理データのうち、国籍・年齢・性別・顔写真、これらすべてを消してしまった」、初耳だが、差別につながる要素を全て消すとは思い切った決断で、さすがGoogleだ。「AIさえあればうまくいくというのは、念仏さえ唱えていれば極楽浄土に行けるという話と変わりません」、まさに言い得て妙だ。
・『出口:僕も地域おこしの政府の審議会などによく呼ばれるのですが、面白いものを作ったり、面白い人を呼んでくれば、その地域の関係人口が増えるからやるべきだという話がよく出ます。そのこと自体は正しいのでしょう。 しかし、日本全体で見れば人口が減っていくのだから、そうやって地方に来る人を増やしてもゼロサムゲーム以上にはならない。出生率を上げるとか、訪日外国人を増やすにはどうしたらいいかなど、国全体の話をしなければ全体最適にはなりません。 また、東京は豊かだから、東京からもっと地方へ人やお金をシフトしようと言う人もいます。しかし、東京は日本でいちばん生産性の高い場所です。それでも香港やシンガポールとの競争には負けつつある。 日本のエンジンである東京を弱くするという発想は、どう考えてもおかしい。むしろ、東京をもっと強くして、香港やシンガポールを圧倒しなければいけないという発想を持たないと、地域も発展しません。 こんな議論を僕はいつもするのですが、すると「おっしゃっていることはよくわかりますけれども、この審議会は地域おこしのことをやっているので……」という話になってしまいます。 僕は日本人ですが、どちらかと言うと変わったキャリアの持ち主です。だから「出口さんのような変わった人の意見を聞けて面白いですね」と、アトキンソンさんと同じようなことをよく言われてしまいます。 僕にしてみれば、数字・ファクト・ロジックで考えたら、誰でも思いつく普通の意見を言っているだけなのですが、社会常識と合わない意見は、外国人だったり変人の意見ということになってしまう。これが、この国の根本的な衰退の原因のように感じます。 アトキンソン:本質を無視してしまうのは、大問題です。 出口:アトキンソンさんは哲学者デイヴィッド・ヒュームの故郷、イギリスのお生まれですよね。ヒュームという人は、因果関係を徹底的に疑った人なので、今度似たような議論になったら「ヒュームを1回読み直してから議論しませんか」と言うのがいいかもしませんね。 アトキンソン:最近いつも、こう言っています。「首の上にある重い塊を、皆さん毎日毎日運んでいるのですから、たまには使ったらいかがですか」って。重いんですから(笑)』、最後のアトキンソン氏の言葉は強烈な皮肉で、実際には相手に言ってはいないのだろう。
・『あまりにも「勉強」を軽視している日本人  出口:実は最近、アトキンソンさんに倣って「日本人はなぜ勉強しないのか」をデータで分析したのですが、答えは割と簡単でした。 まず、第1に大学進学率が低いのです。確か52%ぐらい。日本は大学に行かない国です。OECDの平均が6割を超えていますからね。 さらに大学の4年間でほとんど勉強しません。これは企業の採用基準が悪い。採用のときに大学の成績や読んだ本のことは一切聞かずに、ボランティアの経験を話してごらんなどと言っているわけです。だから、エントリーシートに書くためにボランティアをやるというような、本末転倒な状況が生まれてくるのです。 さらに大学院生は使いにくいなどと言って企業が採用しないから、大学院に行く人が少ない。日本の大学院生の比率は先進国の中で最低レベルです。 アトキンソン:大学で何を学ぶのかについても、誤解している日本人が少なくありません。 以前、ある大学の方から「ロジカルシンキングの授業をつくりたい」と相談されたことがあります。あぜんとしました。これまで何を教えていたのでしょうか。 大学で学ぶべきことなど、「ロジカルシンキング」以外にはありません。サイエンス、経済、法律、文学などは、もちろんそれ自体大切ではあるものの、基本的にはロジカルシンキングを学ぶための「材料」です。材料が現実の仕事に生かせるとは限りませんが、ロジカルシンキングは必ず、その後の人生に生きてきます』、「大学進学率が」「OECDの平均」より低いというのは、恥ずかしながら初めて知った。「ある大学の方から「ロジカルシンキングの授業をつくりたい」と相談された」、相談するにも、丸投げ的にではなく、何故、現在の体制では不十分なのかを考えた上で、相談すべきだったのだろう。
・『出口:本来なら、大学を出た後でもロジカルシンキングの能力は伸ばせます。しかし、就職したら年間2000時間労働で、飯・風呂・寝るの生活。勉強する時間などありません。 さらに2000時間労働した後で、同僚同士で飲みに行ってお互いに調子を合わせて時間を浪費する。日本は構造的に勉強できない国になってしまっているのです。 この状況をどこから直せばいいかと言えば、意外と簡単です。経団連の会長や全銀協の会長が、大学の成績で「優」が7割未満の学生の採用面接はしないと宣言する。あるいは卒業してから成績証明書を持って企業訪問させればいいのです。成績採用になったら、さすがに勉強するようになるでしょう。 それから、残業規制を強化して徹底的に勉強させる時間をつくればいいのです。こうやって、無理やりにでも行動を変えさせない限り、日本の低学歴化は是正されません。 新しい産業やイノベーションを起こすには、基本的にはダイバーシティーと高学歴が必要です。高学歴というのは、ドクターやマスターといった学位を持っているということではなく、好きなことを徹底して勉強し続けるという意味です』、「成績採用になったら、さすがに勉強するようになるでしょう」、大学の成績が本人の知的能力を概ね表しているのであれば、同意するが、果たしてどうだろうか。
・『人間の限界を理解し、データとロジックで補強せよ  アトキンソン:出口先生もご存じだと思いますが、アメリカの経営学の学会では、マネジメントが完全にサイエンスになっています。 なぜそうなったのかというと、そもそも人間の頭をそのままにしておく、すなわち草原の本能のままでは、ろくなモノができないからです。だから大学が必要で、経営者教育も必要で、株主がいて助言させる。社長の勝手な思い込みで好き勝手にさせないようになっているのです。 たった1人の頭の中で、データもエビデンスもロジカルシンキングもなく精神論だけでやるどうなるか。歴史を振り返ると、大当たりする可能性もゼロではありませんが……。 出口:でも、確率的に言ったらたいてい失敗しますよね アトキンソン:そうです。たいてい失敗します。 今の日本の経営者がまるでなっていない理由は、大草原に住んでいた頃の頭のままで経営をしようとしている、ただ単にそれだけだと思います。別に人間として能力が低いわけではありません。 人口増加によって、日本の経営者は一見すばらしく見えていました。しかし人口が減少するようになったために、その弱点が表面化してきたのだと思います。 人口減少という危機に直面している以上、極めて高度な経営が求められています。しかし今の経営者は、自分たちが変わらないといけないということに気づいていないのです。 ほかの先進国ではすでにこのことに気がついています。人間の限界を理解している。ビッグデータはその象徴的なものだと思いますが、とにかくデータで徹底的に分析することによって、勝手な思い込みをする人間の欠点を取り除く経営が進んでいるのです。 出口:今日お話をさせていただいて、日本のマネジメントの問題を改めて考えさせられました。 マネジメントのトップ、つまりリーダーたちが勉強して意識を変えれば、日本も変わると思います。その意味でも、リーダーこそアトキンソンさんの本をきちんと読んで、根拠なき思い込みを捨てなければいけませんね』、「アメリカの経営学の学会では、マネジメントが完全にサイエンスになっています・・・社長の勝手な思い込みで好き勝手にさせないようになっているのです」、「ほかの先進国では・・・データで徹底的に分析することによって、勝手な思い込みをする人間の欠点を取り除く経営が進んでいるのです」、なるほど。「マネジメントのトップ、つまりリーダーたちが勉強して意識を変えれば、日本も変わると思います」、その通りだが、百年河清を待つような気がする。

次に、10月16日付けダイヤモンド・オンラインが掲載した「日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aはアトキンソン氏の回答)。
https://diamond.jp/articles/-/217560
・『日本の生産性が主要先進国の中で最下位といわれて久しい。その理由はさまざま語られてきたが、日本経済の栄枯盛衰を30年にわたって分析してきた元ゴールドマン・サックス金融調査室長で、小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏は、新刊『国運の分岐点』で「中小企業が日本の生産性が低い原因」だと述べて、議論を呼んでいる。日本の高度経済成長を支えてきたと考えられてきた中小企業が、なぜ生産性が低い原因なのか。「日本人は中小企業崇拝を止めるべき」と主張するアトキンソン氏にその理由を聞いた』、日本では中小企業政策というと、水戸の黄門的な魔力を発揮して、誰も文句を言えなくなるが、そこに切り込むアトキンソン氏はさすがだ。
・『日本の生産性が低いのは中小企業が多すぎるから  Q:中小企業が日本経済を支えてきた日本の強みだという「中小企業神話」が、日本人には当たり前のように浸透しています。しかし、それに対して「中小企業崇拝を止めるべきだ」「中小企業が日本の生産性が低い原因だ」と主張されているのはなぜですか? A:今まで日本は右肩上がりで人口が増加する中で、著しい経済成長を遂げてきました。しかし、その成功に関する正しい検証、要因分析が行われてきたとはとてもいえません。 その一方で、日本経済が成長したのと同じ時に中小企業の数が急増したという2つの事実について、それぞれを検証することなく、あたかも因果関係があったように適当に事実を並べて、結論ありきで作られたストーリーがこの中小企業神話です。 日本は、1人あたりGDPが世界第28位(2018年、IMF)と、先進国の中でも生産性が低いことで知られています。これから人口減少が進む日本において生産性の向上は急務ですが、なぜ生産性が低いのかについて、日本の学者や経済評論家は要因分析ができているでしょうか。 生産性向上につながる働き方改革や女性活躍が進んでいない、それは夫が育休を取得できないからだなど論点が跳ぶケースがほとんどです。男性の育休取得が進んでいないのは事実ですが、なぜ育休が取れていないのかについては、検証されていません。いきなり、日本の生産性が低いのは農耕民族だからだ、なんていう人もいます。 では、何が生産性向上の障害になっているのか。それは、「中小企業」です。つまり、日本では中小企業が全体の99.7%を占めていることが、大きな障害になっています。だから、日本の生産性を高めるためにも中小企業崇拝は止めるべきなのです。 私は30年日本に住んでいますが、日本の学者や経済評論家の多くは、知識があっても論点や結論がうさぎみたいにぴょんぴょん跳ぶ「うさぎちゃん評論家」だと以前から感じていました。彼らが、過去に日本経済が成長した理由をきちんと検証してこなかったからこそ中小企業神話を妄信し、今の日本経済の問題点がきちんと検証ができず、日本経済は長い低迷に陥っているのではないでしょうか』、「日本経済が成長したのと同じ時に中小企業の数が急増したという2つの事実について、それぞれを検証することなく、あたかも因果関係があったように適当に事実を並べて、結論ありきで作られたストーリーがこの中小企業神話です」、なるほど「中小企業神話」の発生の経緯がこんなところにあったとは、初めて知った。「日本の学者や経済評論家の多くは、知識があっても論点や結論がうさぎみたいにぴょんぴょん跳ぶ「うさぎちゃん評論家」だと以前から感じていました」、手厳しい批判だ。
・『中小企業激増の根源は1963年施行の「中小企業基本法」  Q:日本の中小企業では、なぜ生産性が低いのでしょうか? A:規模の経済という言葉からもわかるように、企業が大きくなればなるほど効率が上がり、生産性は高くなります。これは大原則であり、地球が丸いのと同じくらい当たり前のことです。 ですから、日本の生産性の低さは、日本に規模の小さい企業が多い(中小企業の比率が高い)ことと表裏一体なのです。異論のしようもありません。 全世界どこを見ても、中小企業で働く労働人口の割合が高くなればなるほど、その国の生産性は低くなっています。そして、規模の大きい企業の多い国では女性の活躍も活発になり、中小企業が多い国では女性が活躍しにくくなっていることがわかっています。 日本に中小企業が激増した問題の根源は、1963年に制定された「中小企業基本法」にあります。この法律では、中小企業の定義を非常に小さいものにして(現行、人員的には製造業が300人以下、卸売りが100人以下、小売りは50人以下、サービス業が100人以下)、なおかつ優遇策を手厚くすることによって、1964年から爆発的に非常に小さい企業が増えました。それによって小さい会社で働く労働者の比率が高くなり、今の非効率的で、生産性の低い産業構造ができたのです。 全部がそうだとは思いませんが、今の中小企業の中には補助金目当ての経営者も少なくありません。だから、起業してからも、成長していません。そういう企業の経営者に生産性を高めてほしいといっても、そもそも補助金目当てなので難しいでしょう。 Q:なぜ中小企業の生産性の低さは、高度経済成長期には問題にならなかったのでしょうか。 A:それは、人口が増加し続けている時代だったからです。人口増加が止まった途端に、一気にその隠れた問題が全部表面化して、今の失われた30年へと突入していったのです。 生産性問題は中小企業の問題だという私の考えに対して、「衝撃的だ」と言う声もありますが、私には理解できません。ただ単に分析していないだけでしょう』、「企業が大きくなればなるほど効率が上がり、生産性は高くなります。これは大原則であり、地球が丸いのと同じくらい当たり前のことです」、には若干違和感を感じた。業態ごとに最適の規模があり、それを超えると規模の不経済が発生することもあるからだ。
・『私は、人口減少社会の中で生産性を上げるためには最低賃金を上げるべきだと3年間述べてきましたが、その主張に強固に反対する勢力がいます。それが中小企業の経営者です。「最低賃金を上げると倒産する」というのが彼らの主張ですが、笑っちゃいますね。 私は最低賃金の話をする際は、20年で最低賃金が2.2倍になったイギリスを例にしてお話することがよくあります。それは成功事例だからではありません。イギリスの最低賃金の引き上げには3つの特徴があるからです。 1つは、日本もイギリスも国際競争力が高いのに生産性が低いという同じ問題を抱えていること。 2つ目は、イギリスは1999年までは最低賃金がなく、最低賃金の導入と引き上げによる効果を雑音のない素晴らしい統計分析のデータとして見られるためです。 3つ目は、特に大事なポイントで、イギリス政府は20年間最低賃金を引き上げるにあたって、政府が大学などに依頼して、賃金引き上げの影響を詳しく分析していることです。最低賃金、もしくはそれに近い賃金で雇用している割合の高い企業を対象に、最低賃金引き上げ前と後の決算書を継続的に分析しています。 イギリスが最低賃金を引き上げても雇用への悪影響がなかったのは偶然ではありません。これは、学者たちが雇用に悪影響を及ぼさないギリギリのラインで最低賃金の引き上げ幅を検証することで影響が出ないようにしてきたからです。その検証の中では、廃業率が上昇したというデータは見たことがありません。 日本ではこうしたイギリスのデータを見て検証した人がとてもいるとは思えず、最低賃金を引き上げると倒産するというのは、適当で飛躍的な議論といえます。もし、いきなり最低賃金が1000円になって、何十万社も倒産するのであれば、日本経済は私が考える以上に極端に貧弱なのではないでしょうか』、イギリスでは、「学者たちが雇用に悪影響を及ぼさないギリギリのラインで最低賃金の引き上げ幅を検証することで影響が出ないようにしてきた」、という事例を日本の学者たちも謙虚に学ぶべきだ。
・『中小企業の統廃合こそ日本経済の生産性を高める道  Q:そうはいっても日本経済を支えてきた中小企業もあると思います。よい中小企業とそうではない中小企業の違いは、どこにありますか? A:もちろん私もすべての中小企業がダメだと言いたいわけではありません。かといって、すべての中小企業が良いというのもおかしい。ですから、これからは「ふるい」にかける必要があります。 いい中小企業とは生産性が高く、成長している企業です。一方で、成長していない中小企業は他の会社と合併したり、吸収されたりという統廃合の道を選ぶしかありません。 つまり、これからの経営者に求められるのは、統廃合を進めて、企業の数を整理していく能力といっていいでしょう。 Q:「中小企業基本法」で中小企業を優遇してきた政府には今後、どのような施策が求められますか? A:国としては、伸びる中小企業を応援するべく、伸びない中小企業は次第にできるだけ困難のないように合併を促進できる政策を打つことが求められます。 現在、跡継ぎのいない中小企業がたくさんあり、経済産業省は跡を継いでくれる人を探す第三者承継支援を行っています。しかし、私としては余計なことはやめて、合併してくれる企業を探すことが一番大切だと思います。 私は5年間この分析を行ってきましたが、生産性問題は中小企業問題であり、生産性向上は、中小企業改革をすすめて、中小企業を合併させることだとたどり着いた人は私以外にいないと自負しています。 今までそういう主張する人がいなかったのは、中小企業を批判するのが怖かったのが理由の1つでしょう。もう1つは、先ほどから何度も述べているように学者や経済評論家が素晴らしい知識はあっても、要因分析ができていないからです。そのため、日本では要因分析を支えるデータも海外のようにそろっていません。 中小企業の問題は、国内のデータだけではこの結論には至りません。今回の私の提言は、海外のデータと分析があって導かれた結論です。日本人の学者は海外の論文やデータを徹底的に読み込んでいるのか本当に疑問に思います』、最後の部分は全面的に同意する。

第三に、10月7日付け日刊ゲンダイ「投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」」を紹介しよう(Qは聞き手の質問、Aはロジャーズ氏の回答)。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/262749
・『新著「日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く」(講談社+α新書)がヒットしている。ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並ぶ「世界3大投資家」のひとりとして知られるジム・ロジャーズ(76)は、日本から資金を引き揚げた。理由は歯止めのかからない少子高齢化による人口減。財政出動、異次元緩和、成長戦略を掲げるアベノミクスのデタラメだ。「私が10歳の日本人だったら、この国を去ることを選ぶ」という。その忠言を聞いた』、「日本から資金を引き揚げた」、やはりそうかというのが率直な感想だ。
・『Q:2018年秋に日本株をすべて手放したそうですね。 A:今は株も通貨も、日本関連の資産は何も持っていません。日本株を買い始めたのは東日本大震災の直前。日本株はバブル期最高値の4分の1水準で、さらに下がることもあり得る状況だった。震災による株価下落局面でさらに買い増しました。あえて投資したのは、中期的に見れば景気は回復すると見ていたからです。予想通りに株価は上がり、利益を得ることができた。ただ、この先、日本株を買う予定はありません。日本経済を破壊するアベノミクスが続き、少子高齢化による人口減少を食い止められない限り、この判断を変えることはないでしょう。 Q:アベノミクスに非常に批判的です。 A:安倍さんがやっていることはバカげていますよ。財政出動で国の借金を増やし、金融緩和で日本円の価値を下げている。お金の使い方が下手な上に、使い過ぎています。自分のお金じゃないから、国民から吸い上げた税金だから、どんどん使っているんです』、最後の部分の手厳しいアベノミクス批判はその通りだ。
・『Q:日銀は先月中旬の金融政策決定会合で大規模緩和の維持を決定。欧米の中央銀行が利下げに動く中、黒田総裁はマイナス金利の深掘りを示唆しています。 A:大きな間違いです。世界的に見てこれほど金利が低かった時代はない。そもそも、中央銀行が実質的に直接、国債を買う金融政策は前代未聞です。日銀は16年9月にいわゆる「指し値オペ」を導入しましたが、これは紙幣を無制限に刷るということ。つまり、日本円の価値を下げるわけで、アベノミクスは絶対に成功しません。20年後には対米ドルのみならず、韓国ウォンに対しても相対的に価値を落としているでしょう。 Q:世論の根強い反対を無視して、消費税が10%に引き上げられました。 A:増税は景気を冷やします。安倍政権がやっていることはまったくナンセンスですよ。来年は東京五輪が開催され、五輪景気が期待されていますが、歴史を振り返れば五輪が国家財政のプラスになったためしがない。五輪のせいで日本の財政赤字はさらに膨らみます。国の長期債務残高(18年度)は947兆円に上り、対GDP比167・8%と巨額。10歳の日本人が40歳になるころには、借金は目も当てられない状態になるでしょう。国債は買われなくなり、金利を引き上げざるを得ず、そうなれば高金利によって国の借金はさらに膨れ上がってしまう。子どもはいない、移民もいない。日本は大問題だらけです』、「10歳の日本人が40歳になるころには、借金は目も当てられない状態になるでしょう。国債は買われなくなり、金利を引き上げざるを得ず、そうなれば高金利によって国の借金はさらに膨れ上がってしまう。子どもはいない、移民もいない。日本は大問題だらけ」、異次元緩和の悲惨な結末を描いているが、その頃には安倍首相はとうに退陣して、素知らぬ顔だろう。
・『アベノミクスはすべてがナンセンス  Q:安倍首相は「移民政策をとることは考えていない」としていますが、4月に改正入管難民法が施行され、今後5年間で最大35万人の外国人労働者の受け入れが想定されています。ただ、在留資格によっては家族帯同が認められないケースがあります。 A:人口1億2600万人の国に年間7万人でしょう。計画通りに進んだとしても、数字的にまったく足りない。人口減少によるさまざまな問題の解決には結びつきません。それに、日本全体が外国人に対してウエルカムな雰囲気をつくらないと、誰もやってきませんよ。働く人だけではなく、その家族も受け入れ、しっかりとサポートする仕組みを作る必要があるのでは?人口減で苦境に立つ日本にとって、外国人は助けになる存在です。本気で呼び込みたいのであれば、日本人と共生できるように歓迎する体制を整えることが重要でしょう。どうも日本は移民受け入れに消極的ですが、移民は不動産、教育、飲食といった業界に新たなビジネスチャンスを生みますし、少子化対策にもつながります』、私自身は、社会の長期的な安定を重視する立場から、安倍政権の「移民」政策にも反対だ。移民に頼らず、機械化などで対応し、対応できない産業は縮小していく他ないと考える。
・『Q:アベノミクスの失敗が浮き彫りとなる中、安倍政権は韓国叩きに没頭しています。 A:愚かなことです。隣国同士、本来は協力して一緒に仕事をすべきなのに、ケンカをしていること自体が理解できない。そんなことやっている場合ですか? お互いに潰し合うなんてバカみたいですよ。 Q:7、8月は2カ月連続の貿易赤字。8月の対韓輸出は前年同期比9・4%減、訪日韓国人は48・0%減の落ち込みで、日本経済へのマイナス影響は指標にも表れ始めています。 誰のためにもならないということ。政治家が自分の利益のために国民感情、他国に対する敵対心をあおっている印象があります。もっとも、韓国経済の現状は厳しいですが、展望はある。この50年は日本、40年はシンガポール、30年は中国が刺激的でしたが、この先10~20年は韓国と北朝鮮です。南北統一にはハードルがあるものの、遠くない将来に実現するでしょう。北朝鮮が段階的に経済開放されるのが現実的ですが、そうなれば世界中から観光客が押し寄せてツーリズムが盛り上がり、海外から投資が舞い込み、韓国国内投資も活発になる。南北で人が往来すれば日本同様に韓国を悩ませている少子化問題は軽減されるでしょう。北朝鮮は韓国にとってフロンティアです。 Q:米朝協議は膠着していますが、文在寅政権は対北融和を推進しています。 A:日本もこの流れにジャンプインするべきです。北朝鮮は問題だらけ。日本には生産能力が高く、さまざまなノウハウを持つ企業が多くあり、解決する術を持っている。北朝鮮は中国とも国境を接しているので、ビジネス環境は悪くない。いち早く投資し、プラントを造り、ホテルも建てる。ビジネス展開にはそうしたことが非常に重要です。韓国企業はスタディーグループを立ち上げて準備しているのに、日本では誰もそうした声を上げないし、動きも見られませんね』、韓国とは、「隣国同士、本来は協力して一緒に仕事をすべきなのに、ケンカをしていること自体が理解できない」、「北朝鮮は韓国にとってフロンティアです」、北朝鮮に対し「韓国企業はスタディーグループを立ち上げて準備しているのに、日本では誰もそうした声を上げないし、動きも見られませんね」、その通りだ。
・『子供には中国語、スペイン語、韓国語、ロシア語を  Q:拉致問題を抱えているのもありますが、北朝鮮の体制維持を危ぶむ声があります。 A:政府のプロパガンダに日本人はのみ込まれているんですよ。現在の北朝鮮の指導者(金正恩朝鮮労働党委員長)は中国で鄧小平が敷いた改革開放路線をやりたいと言っているんです。彼はスイスに留学経験がある。スイスと北朝鮮、どちらで暮らしたいか? スイスで暮らしたいんです。でも、国を去れないし、逃げ出すわけにもいかない。だから、北朝鮮をスイスのように変えようと、スキーリゾートを建設したり、各地に経済特区を設けています。金正日時代の07年、金正恩体制移行後の13年に訪朝しましたが、2度目に訪れた北朝鮮は意外なほど活気にあふれていて、どこへ行っても中国人だらけでした。 Q:お子さんに中国語を身に付けさせるため、07年にシンガポールに移住されたそうですね。 A:アジア時代の到来を見据え、2人の娘たちを英語と中国語のバイリンガルに育てるためです。シンガポールは中国語がネーティブランゲージの上、清潔で暮らしやすい。日本人が中国語を話すようになれば、日本で暮らすと思います。日本はお気に入りの国のひとつなので。話せる言語が増えれば、入ってくる情報の量と質が劇的に変わる。投資家としてもうひとつアドバイスするなら、「子や孫には中国語を習わせなさい」ですね。次はスペイン語、その次となると韓国語もいいし、ロシア語もいい。日本語はリストに入らないですね。衰退していく言語ですから。 Q:日本が投資対象に再浮上することはなさそうですね。 A:株価が下がり、税金が下がり、規制緩和をさらに進めてマーケットをオープンにし、財政赤字を大幅に削減する。さらに出生率が上がったら、判断を変えるかもしれません。財政赤字の削減は今日からでも切り込めるでしょう? 使わなければいいんですから。Do it! やらなければ何も始まりませんよ。(ジム・ロジャーズ氏の略歴は省略)』、「お子さんに中国語を身に付けさせるため、07年にシンガポールに移住された」、1942年生まれなので、孫の間違いではないかと思ったが、やはり子供なのだろう。「子や孫には中国語を習わせなさい」、とあるが、日本人の場合はやはり英語も重要で、第二外国語に中国語、といった順番だろう。いずれにしろ、ジム・ロジャーズが日本の株や円への投資から手を引いたのは、当然とはいえ、やはり一抹の寂しさを覚える。
タグ:今は株も通貨も、日本関連の資産は何も持っていません 「日本への警告 米中朝鮮半島の激変から人とお金の動きを見抜く」(講談社+α新書) 「投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」」 隣国同士、本来は協力して一緒に仕事をすべきなのに、ケンカをしていること自体が理解できない 「欧米の強欲な資本主義とは違い、日本の経営はすばらしい、三方よしだ」などと言う評論家や学者がいる 日刊ゲンダイ 「日本人は手先が器用だから」とか、「勤勉に働くから」とか、「技術力がある」からなど、直接関係のないことを成長要因としてこじつけてしまい、真実が見えなくなってしまったのです 中小企業の統廃合こそ日本経済の生産性を高める道 人口減少社会の中で生産性を上げるためには最低賃金を上げるべきだと3年間述べてきましたが、その主張に強固に反対する勢力がいます。それが中小企業の経営者 中小企業激増の根源は1963年施行の「中小企業基本法」 中小企業が日本経済を支えてきた日本の強みだという「中小企業神話」 日本の生産性が低いのは中小企業が多すぎるから 「日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー」 ダイヤモンド・オンライン 社長の勝手な思い込みで好き勝手にさせないようになっているのです アメリカの経営学の学会では、マネジメントが完全にサイエンスになっています ほかの先進国ではすでにこのことに気がついています。人間の限界を理解している。ビッグデータはその象徴的なものだと思いますが、とにかくデータで徹底的に分析することによって、勝手な思い込みをする人間の欠点を取り除く経営が進んでいるのです 人間の限界を理解し、データとロジックで補強せよ 経団連の会長や全銀協の会長が、大学の成績で「優」が7割未満の学生の採用面接はしないと宣言する。あるいは卒業してから成績証明書を持って企業訪問させればいいのです。成績採用になったら、さすがに勉強するようになるでしょう 「ロジカルシンキング」 大学進学率が低いのです。確か52%ぐらい。日本は大学に行かない国です。OECDの平均が6割を超えています あまりにも「勉強」を軽視している日本人 僕にしてみれば、数字・ファクト・ロジックで考えたら、誰でも思いつく普通の意見を言っているだけなのですが、社会常識と合わない意見は、外国人だったり変人の意見ということになってしまう。これが、この国の根本的な衰退の原因のように感じます 「日本ってスゴイ!」と喜ぶだけで、何が成長の要因だったかキチンと検証しませんでした AIさえあればうまくいくというのは、念仏さえ唱えていれば極楽浄土に行けるという話と変わりません 日本という国のマネジメントを行っている役人も、思い込みに縛られて、楽観的というかはやり言葉に流されて、考え方が甘い傾向があります 東洋経済オンライン Googleの人事部は社員の管理データのうち、国籍・年齢・性別・顔写真、これらすべてを消してしまったそうです。そんなものは必要ないからと 「ロジカルに考える」という当たり前ができていない 最大の問題は「マネジメント層」にある 『知的生産術』で生産性を高める働き方を説いた出口治明氏 日本の構造問題 (その12)(日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談、日本経済30年の低迷は「中小企業神話」の妄信が引き起こした デービッド・アトキンソン氏インタビュー、投資家ジム・ロジャーズの忠言「日本株を買う予定はない」) 日本の所得が少なく、生産性も低い。その結果社会保障制度が不健全になってしまったというのも、労働者の問題ではなくマネジメントの問題です 失われた30年の根本原因はマネジメントが悪いから、それに尽きます 『日本人の勝算』で日本が再び「一流先進国」に返り咲く方法を明らかにしたデービッド・アトキンソン氏 マネジメントが最も関係する生産性向上要因(全要素生産性)は、諸外国ではものすごく伸びているのに、日本ではほとんど伸びていません なぜ日本人は、ここまで「のんき」なのか 「日本人はなぜ「論理思考が壊滅的に苦手」なのか 「出口治明×デービッド・アトキンソン」対談」 アベノミクスはすべてがナンセンス 10歳の日本人が40歳になるころには、借金は目も当てられない状態になるでしょう。国債は買われなくなり、金利を引き上げざるを得ず、そうなれば高金利によって国の借金はさらに膨れ上がってしまう。子どもはいない、移民もいない。日本は大問題だらけです 五輪が国家財政のプラスになったためしがない。五輪のせいで日本の財政赤字はさらに膨らみます 平成の30年間のデータを見ると、日本がいかに危機的な状況にあるかは一目瞭然です。 GDPの世界シェアを購買力平価で計算してみると、約9%から4.1%に減少。IMDの国際競争力は1位から30位に陥落。平成元年には時価総額の世界トップ企業20社のうち、14社が日本企業だったのに、今はゼロです。これで危機感を持たないほうがおかしい 「子や孫には中国語を習わせなさい」 子供には中国語、スペイン語、韓国語、ロシア語を 韓国企業はスタディーグループを立ち上げて準備しているのに、日本では誰もそうした声を上げないし、動きも見られませんね いちばんの原因は、日本人が「分析をしない」ことにある 紙幣を無制限に刷るということ。つまり、日本円の価値を下げるわけで、アベノミクスは絶対に成功しません 北朝鮮は韓国にとってフロンティアです 安倍さんがやっていることはバカげていますよ。財政出動で国の借金を増やし、金融緩和で日本円の価値を下げている。お金の使い方が下手な上に、使い過ぎています。自分のお金じゃないから、国民から吸い上げた税金だから、どんどん使っているんです 「高度成長した=日本人すごい」「技術力があるから日本経済は復活する」「ものづくりで大丈夫」と直感的に決めつけてエビデンスやロジックを求めない頭の使い方は、こういう野生時代から進歩していない、と言えます この先10~20年は韓国と北朝鮮です。南北統一にはハードルがあるものの、遠くない将来に実現するでしょう
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