SSブログ

日韓関係(その9)(韓国の“独り相撲”のGSOMIA狂騒を読み解く、GSOMIAで方針転換 動揺する文在寅の支持層、GSOMIA破棄延期 日本は「外交」で勝利したのか 展望描けぬ日韓関係悪化にそろそろ終止符を) [外交]

日韓関係については、9月20日に取上げた。韓国がギリギリになってGSOMIA破棄を延期したことを踏まえた今日は、(その9)(韓国の“独り相撲”のGSOMIA狂騒を読み解く、GSOMIAで方針転換 動揺する文在寅の支持層、GSOMIA破棄延期 日本は「外交」で勝利したのか 展望描けぬ日韓関係悪化にそろそろ終止符を)である。

先ずは、中部大学特任教授(元・経済産業省貿易管理部長)の細川昌彦氏が11月25日付け日経ビジネスオンラインに掲載した「韓国の“独り相撲”のGSOMIA狂騒を読み解く 国内向けのメンツに腐心する韓国」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00133/00023/?P=1
・『今回の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を巡る騒動は韓国の“独り相撲”だった。自ら墓穴を掘っただけで、「日本の完勝」と喜ぶのも適当とは言えないほどだ。 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権はここまでの米国の本気の圧力を想定しておらず、そして日本はそのうち折れてくるだろうと、日本の姿勢も読み違えた。当初、韓国は日本の輸出管理厳格化の措置への対抗措置としてGSOMIA破棄のカードを出してきた。そうすれば、米国はGSOMIA破棄を回避するために韓国だけでなく日本に対しても働きかけ、日本が輸出管理厳格化の措置を撤回するように追い込めると期待していたようだ。そのためには、GSOMIAと輸出管理厳格化という2つの問題を何としてでもリンクさせることが必要だった。 日本側もそこがポイントであることは百も承知で、両問題が別次元で全く無関係であることを徹底的に説明し続けた。結局、米国は韓国が期待する「喧嘩(けんか)両成敗」で調停する動きをせず、韓国のもくろみは外れた。 それどころか、米国はGSOMIAの失効が米国の安全保障を直接的に脅かすものだと受け止めて、米国の韓国への圧力は失効期限が迫るにつれて日に日に激しさを増していった。背景にあったのは対北朝鮮というよりは、対中国である。米議会の対中脅威論も拍車がかかり、GSOMIA継続について米議会上院が全会一致で可決する事態にまで発展した。さらにそこに、米国は在韓米軍の駐留経費の韓国負担を約5倍に増額するという圧力もかけた。 文政権は追い込まれ、GSOMIAを続けざるを得なくなった。あとは国内からの「無能な外交」との批判を避けるために、国内向けにどうメンツを保つかに腐心した。ポイントは韓国がGSOMIAの失効を回避するという方針転換と同時に、日本にも輸出管理で譲歩させたと国内向けに強弁できる状況をつくることだ。 そこで韓国はGSOMIAの方針転換決定の直前のタイミングになって、輸出管理に関して「世界貿易機関(WTO)提訴の手続きを中断する」と外交ルートを通じて日本側に伝えてきた。これをきっかけに局長級の会合の開催を日本側と合意できれば、局長級の会合開催を“日本から引き出した”ということにして、それを大義名分にできる。そして、しかもタイミングをGSOMIAと合わせることによって、両問題がリンクしているかのように見せられるとの思惑だ』、韓国側はメンツ確保に必死だったようだ。
・『「対話」を「協議」にすり替えて強弁する  さらに国内向けのメンツのために、輸出管理での局長級の会合を「協議」と位置付けて説明し、日本が譲歩したように見せかけた。 しかし、これは「協議」ではなく「対話」である。 一般には分かりにくいが、国同士の「協議」と「対話」は、その意味が大きく異なる。きちっと使い分けるのが国際的にも常識になっている。つまり「協議」とは国同士の交渉の場であるのに対して、「対話」は交渉の場ではなく、単に意見交換して理解を深め合うものだ。 韓国は日本の輸出管理厳格化の措置の撤回に向けて交渉する場だと国内的に言えるように、故意に「協議」と言い換えているのだ。 ところが事実は、正確には「輸出管理政策対話」と言われるもので、お互いの輸出管理についての理解を深め合うものだ。しかもこれは、以前から日韓政府間の意見交換の場として局長級で行われてきたもので、特に新しい動きではない。ところが文政権になって以降の過去2年半、韓国が会合の開催に応じてこなかった。これを従前通りに再開したものだ。つまり、日本の措置の撤回に向けた協議ではない』、「「対話」を「協議」にすり替えて強弁する」、苦しい対応だが、韓国マスコミはどう伝えたのだろう。
・『「WTO提訴の中断」のカードで「政策対話の再開」を買った  日本側は何もこれまでの方針を変えていないし、何も譲歩していない。「対話」は輸出管理厳格化についての決定の見直しに何らコミットしていない。これまでも日本政府は「一定の条件が整えば対話を再開する」と言ってきた。その「一定の条件」が満たされたと判断したのだ。それが「WTO手続きの中断」という通報だ。 7月に課長級の「事務的説明会」が開催された。あの冷え冷えとした雰囲気の中で行われた会合の後、韓国側のゆがんだコメント発表に日本政府はあぜんとした。“言った言わない”で相当ギクシャクして、実に後味の悪いものだった。 その後、非公式に役人同士でコミュニケーションを繰り返し、WTOでは長時間の二国間協議も経て、次第に事務レベルでは韓国側の理解も進んだのは間違いない。韓国側が自分たちの輸出管理の問題点も認識し、この間、輸出管理当局同士の意思疎通がある程度進んだのも事実だ。 それでもWTO提訴というけんかを売られているうちは、真摯な「対話」などできるはずがない。今回のWTOプロセスの中断通知があったからこそ、日本側も「韓国が問題点改善の意欲を示した」と認めて、「対話」再開を決めたのだ』、なるほど。
・『ところが韓国は国内へのメンツから、こうした事実を認めたくない。GSOMIAの失効回避と輸出管理厳格化の対話の再開を意図的にリンクさせることで何とかメンツを保とうとしている。それは韓国の報道を見ても明らかだ。 韓国側はGSOMIAと関連付けるために、そう見えるようにタイミングを見計らって「WTO提訴プロセスの中断」というカードを切ってきた。日本はそのカードに対して輸出管理当局として上記のような当然の判断をしただけで、何らGSOMIAとは無関係だ。タイミングも含めて必死に関連付けようとしているのはあくまでも韓国なのだ』、私も初めのうちは「GSOMIA」と「輸出管理」をセットで考えていたが、それが別物というのを改めて理解できた。
・『韓国のメンツ作戦に乗せられた日本の報道  「GSOMIAはいつでも失効可能との前提付き」「条件付きのGSOMIA延長」「日本の輸出管理厳格化の措置の撤回に向けた協議の開始」 韓国側の発表は、国内的にメンツを保つための強弁の文言のオンパレードだ。 韓国は国際的な交渉事の後、自分に都合のいいように事実を歪曲(わいきょく)して発表する常習犯である。どこの国も多少はそういう要素はあるが、韓国の場合、臆面もなく大胆で、米韓自由貿易協定(FTA)交渉時に交渉相手の米国もあぜんとしたのは有名な話だ。日本は7月に行われた「事務的説明会」の後でも韓国側発表で苦い経験をしている。 今回もそうした韓国側の意図的発表を予想して、日本政府も記者会見で明確に2つのポイントを説明している。1つは、GSOMIAの失効回避と輸出管理についての政策対話の再開は無関係であること。そしてもう1つは、あくまでも「対話」であり「協議」ではないことだ。 すると、韓国は「日本政府の発表は合意内容を意図的に歪曲した」と外交ルートで抗議する念の入れようだ。国内向けにメンツを保てなくなることへの焦りだろう。 それにもかかわらず、日本の一部のメディアは意図的にGSOMIAの失効と結びつけ、しかも「協議」と報道しているのだ。まるで日本政府の記者会見よりも韓国政府の記者会見を信じているかのようだ。これでは韓国の思うつぼだ。我々は厳しい目で報道を見極める必要がある。 今後、輸出管理についての対話はどうなるのか。日本の輸出管理厳格化の措置は見直し、撤回されるのだろうか。 韓国側は案の定、「日本の措置の撤回に向けた協議」と国内向けに宣伝している。そして日本のメディアの一部もそういう印象を与える報道をしている。もちろんこの場で措置撤回の要請をするのは韓国の勝手だ。しかしあくまでボールは韓国にあることを忘れてはならない。 韓国の輸出管理を審査する人数が極端に少なく審査体制が脆弱であることは申請をする民間企業の間でも衆目の一致するところだとささやかれている。法制度についても他国と比べて不備も指摘されている。輸出管理をきちっと審査する体制を整え、法制度も不備を直すことを確認して、大丈夫だと日本政府が判断できなければ何も事態は動かない。 そうしたことを見極め、確認する場が「対話」だ。あくまで交渉するわけではない。 それらを判断材料にして日本が自国の輸出管理の運用の意思決定をする。その結果、韓国の扱いが変わる可能性ももちろんないわけではないのは、他国に対してと同様だ。 こうした当たり前のことを日本政府も記者会見で繰り返し説明している。メディアもきちっと報道して欲しいものだ』、韓国寄りの報道をした「日本の一部のメディア」があったようだが、この問題の広報では、GSOMIAと輸出管理をタイミングを合わせることでセットだと巧みに思わせた韓国側に軍配が上がりそうだ。
・『かつての“空騒ぎ”も反省を  半導体製造関連の3品目の個別許可については、これまで通り淡々と継続する方針だ。この点でも日本は何も譲歩していない。 7月に日本の韓国への輸出管理の厳格化措置が発表されると、「韓国の半導体産業に大打撃」「世界の半導体関連の供給網に懸念」と報じられた。そういう不安をあおる論者のコメントをメディアもしきりに取り上げた。 韓国は日本のそうした報道を真に受けて、むしろ利用して日本への反発を強め、韓国産業界も対応に奔走した。 しかし私は当初からそれが「空騒ぎ」で、半導体生産に支障が生じることは杞憂(きゆう)だと指摘してきた(拙稿「なぜ韓国の『ホワイト国除外』で“空騒ぎ”するのか」 )。 ふたを開けてみると、やはり影響はほとんどなく、先日、韓国政府自身も影響は限定的であることを認める発表をしている。今後も問題ない通常の取り引きについては個別許可が積み上がっていくだろう。このため、韓国はWTO提訴という拳を振り上げたことも正直、調子が悪くなったのだ。 「WTO提訴のプロセスの中断」で、メンツを保ちながら拳を下ろしたのも当然の結果だ。当時不安をあおった日本の論者、メディアには検証と反省が必要ではないだろうか。 いずれにしても今回のGSOMIA騒動は、いったんは収まったが、いわゆる元徴用工を巡る本質的な問題に韓国側は依然として向き合っていない。来年早々、訴訟の原告が日本企業の資産売却に動く恐れがある中で、日本には今回のような「軸がぶれない対応」が必要だ』、「徴用工問題」ででは米国の後押しが期待できないだけに、日本政府には頑張って欲しいところだ。

次に、前駐韓大使の武藤 正敏氏が11月27日付けJBPressに掲載した「GSOMIAで方針転換、動揺する文在寅の支持層 革新系支持層へのアピールのため「徴用工問題」を持ち出す可能性も」を紹介しよう。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/58376
・『文在寅氏の支持率は概ね40%台を維持している。政権3年目としては表面上好調な数字ではあるが、革新と保守の対立は激化し、文在寅大統領に反発する人々の抗議活動は勢いづいている。これまで文在寅政権は、自分たちが推進したい政策のために支持者層を煽って、反対派潰しを図ってきたが、文政権の政策失敗は直ちに世論全体が反文在寅に向かう危険性をはらんでいる。 来年4月には国会議員選挙が実施される。これに敗北すれば反対派の勢いは増し、レームダック化が加速する。それを防ぐため、文在寅大統領は現在、ますます革新系の支持を意識した政治を行っているが、そうした政治は最近ことごとく失敗している。GSOMIA破棄から急転直下、破棄撤回に至ったのは失敗の典型例だろう。 今回の破棄撤回は韓国メディアも予測していなかったようであるが、世論調査ではおよそ70%が、延期はよかったと回答している。ただ、文在寅政権の支持層には失望感が漂っている。韓国政府は失敗を隠そうと躍起となっているが、今後行われる輸出管理に関する対話は最初から日韓で認識が異なっており、韓国政府の期待通りには進まないだろう。その場合、韓国政府はそれを反省するばかりか、日本に対して新たな強硬策に出てくる可能性がある。 その時、文在寅政権は何をするのか。それが元朝鮮半島出身労働者(以下「元徴用工」)に関するものとなることが懸念される』、「元徴用工」問題で「強硬策に出てくる可能性」、とは穏やかではない。
・『文在寅政権の政策は国内革新系の支持獲得が目当て  文在寅大統領は、当初から保守層には受け入れがたい政策を打ち出していた。 文在寅大統領は就任時の演説で、「わたくしを選ばなかった人も含め、すべての人のための大統領になる」と述べたが、実際にやったことは「積弊の清算」を旗印とする「保守政権の業績否定」と「親日の清算」だった。 最大の「積弊の清算」は「漢江の奇跡」を教科書から抹殺したことである。「漢江の奇跡」は当時の朴正熙大統領が日本との国交正常化資金を活用し、60年代前半には100ドル未満だった1人あたりGDPを、現在の3万ドル水準まで引き上げた成長の原点である。しかし、これを成し遂げたのが、朴槿恵前大統領の父であり、軍出身の朴正熙氏であったため認めたくなかったのだろう。文在寅氏は「歴史の真実を曲げた」のである。 保守の業績の否定は、国内の分断につながる。さらに国内政策の失敗で、中間層の離脱も始まった。そこで、文在寅政権は、国民全体の支持を集めることは諦め、支持基盤である革新層の支持獲得に集中しているわけだ。 文在寅大統領が重視してきた国内政策は、所得主導成長政策、検察改革と曺国氏の法相任命、GSOMIA破棄であり、いずれも革新系支持層の主張に寄り添ったものだった。しかし、革新系が重視する分野での文在寅政権の政策はことごとく失敗している。というのも、それらが国益を無視し、強引に自己の主張を通そうとする政策だからである』、「「漢江の奇跡」を教科書から抹殺」、とは驚いた。「漢江の奇跡」を可能にした日韓基本条約締結と請求権資金・援助金の存在を無視したいのだろう。「歴史認識」の問題は日本にも増して酷いようだ。
・『所得主導政策で韓国経済は崩壊の危機に  このような文在寅大統領の経済政策は、故朴正熙元大統領時代から築き上げてきた韓国経済を崩壊させつつある。 文大統領の経済政策の柱は、所得主導成長政策であり、そのため最低賃金を2020年までに1万ウォンに引き上げることを目指している。ところが韓国経済の命綱である輸出が、文在寅政権がその関係を過剰に重視してきた中国で経済が減速しはじめたことで、苦境に陥り、企業経営に深刻な影を落としているのだ。 韓国経済が過度に財閥に依存している影響で、経済格差がますます拡大している。そこで文在寅大統領はその解消を目指している。その考え方は悪くない。 しかし、文在寅政権が進める所得主導成長政策は、経済学の主流から外れ、経済合理性にも疑問符がつけられている。生産性引き上げ、経済の効率化など最低賃金引き上げ成功の条件を整えないままでの強引な引き上げである。しかも、最初の2年間で実に29%もの引き上げを実施したのだが、企業経営にその弊害が如実に現れ、2020年は2.9%の引き上げに留まることが決定され、政策の非を認めない文在寅氏が初めて謝罪する場面もあった。 生活が苦しくなったと指摘されているのだ。 全体経済を見れば、雇用の悪化に加え、経済成長率は急激に鈍化、投資意欲の減退、生産者、消費者物価の下落となっており、デフレに向かいつつある兆候が表れている。加えて、韓国のGDPの40%を占める輸出が11カ月連続で減少している。) こうした状況から、来年の国会議員選挙の最大の争点は経済になろう。文在寅政権に対しては、すでに20代の人々の支持が離れていると言われる。これらの人々は、現在の生活状況に不満を抱く人々である。若者は保守政権と財閥との密着に不満を抱いていたが、今はむしろ革新系に不満の矛先を向け始めているのだ。 逆に現在、文政権を支持しているのは、30代、40代であるが、この世代の人々も正規職として働く人が減り、非正規職が増えているという。さらに退職した人が自営業で収入の補てんをしようとしているが、次々に倒産している。 こうした経済状態を考えれば、文在寅政権が進める経済政策には期待できない。生活苦は保守、中間層ばかりでなく、革新層にまで広がっている。彼らの政権選択はどうなるのだろうか』、経済悪化にも拘らず、「文在寅氏の支持率は概ね40%台を維持」、とは不思議だ。
・『検察改革の方向性は支持しても、曺国法務部長官には反対  韓国では、警察も検察の指揮下に入っており、検察の権力は絶大である。検察の強い権力と強引な捜査手法に対する批判は国民の間でも共有されており、検察改革に対する支持は幅広い。しかし、これを遂行する司令塔にスキャンダルだらけの「たまねぎ男」曺国氏を任命する非常識。曺国法務部長官は9月9日に任命されてから、35日後の10月14日辞任した。 曺国氏の進めようとした検察改革の内容は詳述しないが、同氏任命が引き起こした国民の葛藤は、文在寅降ろしの出発点となるかも知れない。もちろん朴槿恵前大統領のような弾劾はないと思うが、文在寅氏降ろしの動きは次期大統領選挙で革新系に不利となろう。 文在寅大統領は、腹心とする曺国氏に何としても自身の看板政策である検察改革をやらせたかった。できれば、その功績で曺国氏を次期大統領候補に押し上げたかったのだろう。そのため、曺国氏に対するスキャンダルが深まっていたにも関わらず、任命を強行した。曺氏に検察改革を進めさせることで、曺氏に対する捜査の動きを封じ込めさせようとしたのかも知れない。 しかし、その結果、曺氏に対する検察の捜査はいっそう速度を増し、その動きに呼応するように曺氏辞任、文政権に対する反対の街頭デモが激しさを増した。9月28日に曺氏を守ろうとする検察庁前のデモは、地下鉄乗降客の増減、マスコミによる画像を使った推計では、せいぜい10万くらいのようである。これに対し、曺国氏辞任、文在寅氏の責任を問うデモは同様の推計で30~50万といわれている。この数字は朴槿恵氏弾劾を求めるデモに匹敵するか、あるいはそれを上回るほどの人数であり、文政権には多大なショックを与えた。 文在寅氏の支持層は、「曺国氏に対する検察の捜査は政治的であり、やりすぎだ」として、検察改革の必要性を説いている。しかし、曺氏辞任の声が強まったのは、子弟に対する不正入学や私的ファンドなどで中間層が離反した結果であろう。ただ、この問題は保革対立を反映したものとの見方が強く、核心的な支持層が離反したとまでは言えない。ただ、文在寅氏の支持母体が急激に縮小していることは否定できない。また、曺国氏を辞任させ、かばいきれなかった文在寅氏に対しては、革新層から失望の声が上がろう。 今後の捜査で曺国氏が逮捕されることになれば、文在寅氏に対する批判は高まって来ようし、中間に近い革新の支持は離れていくかもしれない』、「今後の捜査で曺国氏が逮捕されることになれば」、確かに「文在寅氏」にとっては致命傷かも知れない。
・『革新層の期待を裏切るGSOMIA破棄撤回  韓国では、日本との間でGSOMIAを締結することへの抵抗は大きかった。GSOMIAは国会の承認を必要としない行政取り決めではあるが、革新系国会議員の議論を尽くさない合意は認めないとの反対で、1時間前に署名が延期された。文大統領はそもそもGSOMIAには反対だっただろう。 19日にMBCの番組で「国民との対話」に臨んだ文在寅大統領は、何故破棄が必要なのか力説していた。しかし、22日急転直下、破棄が撤回された。それには米国の行政府ばかりでなく、議会を巻き込んだ圧力があったからである。 文氏以前の韓国であれば、米国が反対すれば主張を曲げていたであろう。しかし、文在寅政権は最後まで破棄に固執した。それは、日米韓の連携よりも、国民の「破棄すべきだ」との声を尊重したからである。直前の世論調査でも破棄賛成51%、反対29%であった。 文大統領にとって国民、特に革新系支持層の声を無視したくなかったのであろう。反面、「国民との対話」で「日米韓連携の見地から慎重に検討している」と言えば、これだけの世論調査結果の差は開かなかったのではないか。結果として、国民に寄り添ったつもりが、自身の立場を苦しめる結果となってしまった。 突然撤回を言われれば国民はいっそう反発する。破棄したくない気持ちがあっても、破棄撤回する可能性も考慮するのが政治ではないか。あらかじめ破棄撤回の可能性を指摘しておけば、破棄撤回しなくても支持は減らない。しかし、破棄を強行する姿勢を示したことで最悪の事態を招いたと言えよう。こうした、状況が撤回会見後の発表をめぐる混乱を招いた。 22日、日韓両政府が時刻を合わせて記者会見し、破棄撤回を発表した。その際、発表ぶりについても合意があったと韓国側は主張する。しかし、その内容は日韓の間で局長級の対話をするという簡潔な内容であったのだろう。韓国側は簡潔に説明し、会見を終了している。しかし、日本側は対話は行うが輸出管理の見直しの協議に合意したのではなく、あくまでも韓国側から説明を聞くという点を説明した。これは韓国側からすれば、余計なことを言ってくれたということなのであろうし、韓国側の立場を苦しくしてくれたということであろう』、「日韓両政府が時刻を合わせて記者会見」、通常であれば、互いの発表を擦り合わせるが、今回はそれぞれが言いたい放題となった異例の形だ。
・『大統領府の鄭義溶国家安保室長は24日、記者会見し、GSOMIA破棄撤廃をめぐる合意内容に関し、日本が意図的に歪曲して発表したのは遺憾である、と表明した。鄭氏は、経済産業省が22日、韓国が輸出管理の問題点を改善する意欲を示したとしたのは「完全に事実と異なる」と述べ、日本側が謝罪したと主張した。さらに、日本の輸出規制強化の撤回を協議するというのが合意内容だったと説明した。日本側は韓国の主張の内容にいちいちコメントしないかったものの、謝罪したという事実は否定した。これで十分事態は説明できると言えよう。 破棄撤回を巡って、日本側は泰然自若としていたが、韓国側は右往左往していた。それだけ、韓国側に困難があったということであり、日本側に理解して欲しいという甘えがあったのであろう。しかしこれまでの韓国の対応に鑑み、日本側には韓国に配慮する気持ちはなく、事実を事実として伝えただけである。 発表の当初、韓国の「共に民主党」は「文大統領が展開した原則ある外交の勝利」と礼賛し、外交当局も「強制徴用問題が解決できなければ輸出規制も解除できないという日本の連携戦略を我々は輸出規制とGSOMIAを連携させる戦略で対抗し闘い破った」と成果を持ち上げた。 しかし、韓国のマスコミは違った。中央日報は23日の社説で、文政権の「強硬一辺倒の未熟な対応策が示した限界だ」と指摘し、朝鮮日報も「無能外交が恥ずかしい」と批判している。保守系新聞ばかりか、これまで文在寅政権を擁護してきた革新系のハンギョレも23日の社説で、「政府の発表内容が、日本の輸出規制撤廃を要求してきた私たち国民の目の高さには達し得ないとの指摘は避けがたい」と述べ、革新系もこの合意を支持しないことを明らかにした。 対話の内容に認識の差があれば対話の過程で必ず露見する。韓国側が国内的にどのように説明しようとも、事実は明らかになる。日本側には韓国の輸出管理の強化を変える気持ちはないということである。 韓国側としては、日本からの譲歩がない場合どう出てくるか。今回の流れの中での教訓は、「日本は原則的な問題では降りない」ということである。しかし、韓国政府として全く何も取れずに妥協したとなれば、反日姿勢を有する革新系支持層は納得しないであろう。他方、再度GSOMIA破棄の愚に出ることは米国との関係で難しい。そうなった場合、韓国はどう出るか。元徴用工問題で日本に対抗しようとするかもしれない。韓国の動きには目を離せない』、「韓国のマスコミ」が「革新系もこの合意を支持しないことを明らかにした」、文在寅政権にとっては大打撃だろう。「来年4月には国会議員選挙」はどうなるのだろう。

第三に、東洋大学教授の薬師寺 克行氏が11月27日付け東洋経済オンラインに掲載した「GSOMIA破棄延期、日本は「外交」で勝利したのか 展望描けぬ日韓関係悪化にそろそろ終止符を」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/316472
・『協定失効のわずか6時間前に韓国政府が「破棄通告の効力を停止する」と発表して事なきを得たかに見えた「GSOMIA(軍事情報包括保護協定)騒動」だが、日韓の間では早くも、日本側の説明に韓国政府が抗議し、「謝罪した」「謝罪していない」というレベルでもめている。 安倍晋三首相が「日本は一切、譲歩していない」と発言したなどという報道に、韓国の鄭義溶(チョン・ウィヨン)国家安全保障室長が予定外の記者会見で「良心の呵責を感じずに言える発言なのか」と批判したのだ。輸出管理問題で局長級の協議が始まり、日韓の関係悪化が一息つくのではと期待されたが、内実はそんな生易しいものではなさそうだ』、「内実」を知りたいところだ。
・『撤回求め、アメリカが韓国に強い圧力  日韓の政府関係者に聞いてみると、今回はアメリカの韓国に対する圧力がそうとう強烈だったようだ。しかも、ホワイトハウスと国務省、国防省、議会が珍しく足並みをそろえ、次々と韓国に撤回を求めてきた。ここぞというときは腕力を振りかざし、有無を言わせず相手を従わせるアメリカらしい手法だ。これでは韓国はひとたまりもなかっただろう。 エスパー国防長官をはじめ、国務、国防両省の幹部が相次いで訪韓し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領はじめ韓国政府要人に激しい言葉で撤回を求めた。表には出ていないが、日本批判の急先鋒で今回のGSOMIA破棄の旗振り役だった金鉉宗(キム・ヒョンジョン)国家安保室第2次長に対しては、ホワイトハウスのポッティンジャー大統領副補佐官らが繰り返し撤回を要求したという。 国防省は同時に、在韓米軍経費の韓国の負担を一気に5倍の50億ドルに増やせと要求した。韓国が硬い姿勢を見せると、3回目の協議で開始わずか80分で席を立つというパフォーマンスも見せた。 また、軍人出身のハリス駐韓米大使は韓国議会幹部とのお茶の席で「5billion」という言葉を20回以上も繰り返し、韓国側を「こんな無礼な大使は初めてだ」とあきれさせた。11月21日にはアメリカ議会上院が「域内の安全保障協力を阻害しかねない」と、韓国を一方的に批判する決議を採択した。 普段はトランプ大統領の暴走への反発から足並みのそろわないアメリカ政府や議会だが、今回は珍しく歩調を合わせて韓国に対応した。大統領選を控え、対中貿易摩擦や米朝協議などで成果を上げたいトランプ大統領は、中国や北朝鮮を利するような韓国の行動を受け入れられなかった。 一方、国務省や国防省は、安全保障政策の観点から中国やロシア、北朝鮮を勢いづけ、アメリカ軍の負担が増えるような韓国の対応を容認できなかった。つまり主要プレーヤーの利害が一致したということだ』、「アメリカ議会上院が・・・韓国を一方的に批判する決議を採択」、韓国系のロビイストは慰安婦問題などで強力といわれるが、今回ばかりは神通力は及ばなかったようだ。「在韓米軍経費の韓国の負担を一気に5倍の50億ドルに増やせと要求」、日本に対しても同様の要求をしているが、トランプ政権としては、同盟関係よりもアメリカ・ファーストなのだろう。
・『行き詰まる韓国の外交  一方の韓国だが、外交面ではこのところ、やることなすことすべてがうまくいかず、完全に行き詰まっている。文在寅政権は「起承転北」と揶揄されるほど北朝鮮との関係改善を最優先し、さまざまなアプローチを続けているが、まったく相手にされていない。 日韓がGSOMIAでもめている最中の10月下旬には、金正恩委員長が金剛山観光地区を視察し、韓国側が建設し、南北協力の象徴的存在でもある観光施設の撤去を命じた。文在寅大統領の母親の葬儀の日には、ミサイル発射実験をぶつけてきた。 そして、GSOMIA撤回期限ギリギリの11月21日には、文大統領が金委員長に呼びかけていた釜山で開催される予定の「韓国ーASEAN特別徴用首脳会談」への招待に対し、金委員長は「釜山に行くしかるべき理由を見つけられなかった」と拒否してきた。 韓国に対する嫌がらせの連続だが、金委員長にしてみれば、トランプ大統領との交渉を最重視しているときに、韓国にあれこれ余計なことをされたくないということなのだろう。 中国との間もTHAADミサイル配備以後、関係は悪化したままだ。7月には中国とロシアの戦闘機などが韓国の防空識別圏(KADIZ)に無断侵入する軍事演習を行い、韓国政府関係者を驚かせた。 日本は、韓国が自由や民主主義を共有する仲間であり、経済のみならず安全保障の分野でも日米韓3カ国が緊密な連携を取るのは当たり前だと考えている。しかし、韓国の外交的立ち位置は複雑だ』、「行き詰まる韓国の外交」、は確かに明らかだ。
・『韓国の置かれた特殊な外交環境  アメリカ、中国、ロシア、そして日本という大国に囲まれた韓国は、どこか1つの国とだけ緊密な関係を構築する外交路線を選びにくい。アメリカは韓国に対し、GSOMIA継続以外にも、ファーウェイ製品の使用禁止やホルムズ海峡への軍隊の派遣、さらに中国を意識したインド太平洋戦略への参加や中距離ミサイル配備などを公式、非公式に求めている。しかし、文在寅政権はいずれの要求に対しても躊躇している。 もし韓国が日本と同じようにアメリカとの同盟関係に完全に依拠する政策を打ち出せば、中国との関係は決定的に悪化する。中国が最大の貿易相手国でもある韓国にとって韓中関係の悪化は、軍事的緊張が高まるだけでなく、経済的に深刻なダメージを被ることになる。それとは逆に中国依存度を高めれば、さらに大変なことになるだろう。 文在寅政権は米中いずれか一方に偏った対外政策は、結果的に韓国の国益を害すると考えているのだ。それだけに今回、アメリカの圧力に屈するような形でGSOMIA撤回を延期することは、文政権にとっては屈辱的なことであろう。 日本政府の中には「今回は韓国の自作自演に終わった」「日本政府は完全に筋を通しており、何も譲歩していない」と、まるで交渉に勝ったような声が出ている。しかし、事はそれほど単純ではない。そもそもGSOMIA破棄を当面、回避したからと言って、日韓両国間に横たわる深刻な問題の解決の糸口が見いだせたわけではない。 最大の問題である大法院の徴用工判決と日韓合意に基づく「和解・癒し財団」の一方的解散などの問題について、安倍政権は韓国の対応を見守るだけで日本からは動かないというのが基本姿勢だ。12月の日中韓首脳会談の機会を捉え、日韓首脳会談も検討されているが、あくまでもボールは韓国側にあるとして静観の構えだ。 今回はアメリカが積極的に動いたことで最悪の事態は免れた。しかし、すでに紹介したようにアメリカは日韓両国のために動いたわけではなく、あくまでも自国の利益のためであり、それがたまたま日本の要求と合致しただけのことだ』、確かにアメリカにとっては、「徴用工」問題はどうでもいいことで、日韓いずれかに肩入れする理由はないだろう。
・『展望の見えない日韓関係  過去にもアメリカは、日韓関係が悪くなると調整役を果たしている。1965年の日韓国交正常化もアメリカの働きかけが背後にあった。アメリカが動いたのは、冷戦を背景にソ連に対峙するために日韓両国との連携を重視するという国益追求が理由だった。 安倍首相とトランプ大統領が緊密な関係にあるから、アメリカはいつでも日本の求めに応じて動いてくれると考えるのは間違いである。とくに徴用工や慰安婦問題などの歴史問題について、アメリカが積極的に関与することはないだろう。むしろ安倍首相が靖国神社参拝をしたとき、アメリカの国務省が「失望した」という厳しいコメントを出すなど、日本に対して批判的だったことを忘れてはならない。 日韓間の懸案がこのまま何の進展もなければ、2020年に入ると徴用工判決に基づいて差し押さえられた日本企業の資産の現金化が現実のものになる。そうなると日韓対立はさらに激しくなるだろう。直後の4月に韓国の総選挙が予定されていることから、文大統領はこのタイミングで妥協することはできまい。そうなると、いよいよ展望の描けない深刻な状況に陥ってしまう。 今、韓国内では文喜相(ムン・ヒサン)国会議長が中心になって、「韓日両国企業と国民の自発的な寄付で作った基金を通した賠償案」が検討されている。また日本企業側もいつまでもこの問題を抱えていたくないと、早期決着を望んでいるとも聞く。お互いに疑心暗鬼の中で合意を形成することは困難極まりないことであろうが、そろそろ両国関係者が知恵を絞って、包括的に慰安婦や徴用工問題を決着させる方策を見出すべき時に来ている。 日韓両国間の局長級協議や首脳会談は、そうした道を描くための生産的なものにするべきであろう』、「包括的に慰安婦や徴用工問題を決着させる方策を見出すべき時に来ている」、正論だが、当面、韓国国会議員選挙の結果や、文在寅政権の出方を見極めるのが先決だろう。
タグ:日韓関係 東洋経済オンライン 日経ビジネスオンライン JBPRESS 細川昌彦 薬師寺 克行 (その9)(韓国の“独り相撲”のGSOMIA狂騒を読み解く、GSOMIAで方針転換 動揺する文在寅の支持層、GSOMIA破棄延期 日本は「外交」で勝利したのか 展望描けぬ日韓関係悪化にそろそろ終止符を) 「韓国の“独り相撲”のGSOMIA狂騒を読み解く 国内向けのメンツに腐心する韓国」 (GSOMIA)破棄を巡る騒動は韓国の“独り相撲”だった 「対話」を「協議」にすり替えて強弁する 「WTO提訴の中断」のカードで「政策対話の再開」を買った 韓国のメンツ作戦に乗せられた日本の報道 かつての“空騒ぎ”も反省を 韓国の半導体産業に大打撃」「世界の半導体関連の供給網に懸念」と報じられた。そういう不安をあおる論者のコメントをメディアもしきりに取り上げた 武藤 正敏 「GSOMIAで方針転換、動揺する文在寅の支持層 革新系支持層へのアピールのため「徴用工問題」を持ち出す可能性も」 文在寅政権の政策は国内革新系の支持獲得が目当て 所得主導政策で韓国経済は崩壊の危機に 検察改革の方向性は支持しても、曺国法務部長官には反対 革新層の期待を裏切るGSOMIA破棄撤回 「GSOMIA破棄延期、日本は「外交」で勝利したのか 展望描けぬ日韓関係悪化にそろそろ終止符を」 撤回求め、アメリカが韓国に強い圧力 行き詰まる韓国の外交 韓国の置かれた特殊な外交環境 展望の見えない日韓関係 そろそろ両国関係者が知恵を絞って、包括的に慰安婦や徴用工問題を決着させる方策を見出すべき時に来ている
nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。