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発達障害(その1)(29歳東大院生が「書類選考」で落ち続けたワケ 80社応募して内定を1社も得られなかった、発達障害「専門医の多くが誤診してしまう」理由 そもそも白黒つけられる簡単な症状ではない、これほど違う自閉症の現れ方 3歳男児と4歳女児の例) [生活]

今日は、発達障害(その1)(29歳東大院生が「書類選考」で落ち続けたワケ 80社応募して内定を1社も得られなかった、発達障害「専門医の多くが誤診してしまう」理由 そもそも白黒つけられる簡単な症状ではない、これほど違う自閉症の現れ方 3歳男児と4歳女児の例)を取上げよう。

先ずは、昨年3月28日付け東洋経済オンラインが掲載したジャーナリストの藤田 和恵氏による「29歳東大院生が「書類選考」で落ち続けたワケ 80社応募して内定を1社も得られなかった」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/271725
・『現代の日本は、非正規雇用の拡大により、所得格差が急速に広がっている。そこにあるのは、いったん貧困のワナに陥ると抜け出すことが困難な「貧困強制社会」である。本連載では「ボクらの貧困」、つまり男性の貧困の個別ケースにフォーカスしてリポートしていく。 今回紹介するのは「大学院を卒業し一般枠で正社員として就労しているものの、適応障害を発症し勤怠が不安定で何度も休職しています。転職して障害者枠に落ち着くべきか悩んでいます」と編集部にメールをくれた、29歳の独身男性だ』、どういう事情があったのだろう。
・『聞いたそばから忘れてしまう…  「物理の面白さですか?物ごとの理(ことわり)を知ること、でしょうか。もっと具体的に?そうですね――。例えば、コップに注いだ水の温度は時間がたつと、周囲と同じになりますよね。物理を学べば、その理屈を知ることができます。すべての自然現象の根底。それが物理だと言ってもいいでしょう」 東京大学大学院で物理を専攻していたフユキさん(29歳、仮名)に言わせると、数多くある三角関数の公式も「sin2θ+cos2θ=1」と「tanθ=sinθ/cosθ」さえ覚えていれば十分なのだという。 「そのほかの公式は、計算すれば導き出せるので、覚える必要はないんです」 一方で、フユキさんは買い物や飲食店などでの会計時に、金額を伝えられても、払うことができない。発達障害の1つ、自閉症スペクトラムで、耳から聞いた言葉をそのまま記憶する能力「聴覚的短期記憶」が低いからだ。金額を口頭で言われただけでは、聞いたそばから忘れてしまうのだという。 「それ以外にも、繰り上がりがあるような足し算もダメですね。『800+200は?』と聞かれても、すぐには答えられない。耳から入ってきた情報を、頭の中で処理したり、文字に書き起こそうとすると、ラグが生じるようなイメージです」 学生時代、ノートを取ったことがないという。というより、教師が話したことを、文字にして書き記すという作業ができない。自宅に戻ってから、教師が話した、大まかな内容を思い出しながら、教科書や参考書を読んで確認する――。これが、フユキさんの勉強方法だった。それでも、成績はいつもトップクラスだったという。 「幼い頃から、自分はヘンな人間だという自覚はありました」とフユキさん。集団で行動することが苦痛で、自室で独り、動植物の図鑑などを読んでいるほうが好きだった。心配した母親からよく「ほかの子と遊んできなさい!」と言われたことを、覚えているという。 「いじめに遭ったこともありました。クラスの中心にいるような、活発な子が苦手だったのは、そうした経験の影響だったようにも思います。いつも限られた友達2、3人と一緒にいる、おとなしいタイプの子どもでした」 将来の夢は研究者になることで、そのために大学院に進んだ。しかし、全国から優秀な学生が集まる最高学府において、早々に「自分の能力では、研究者として生き残るのは厳しい」と悟ったという。このため、卒業後の進路を就職へと変更。理工系出身者のニーズが高いとされる金融機関のリスク管理などを担当する部門などを目指すことにした』、「「聴覚的短期記憶」が低いからだ。金額を口頭で言われただけでは、聞いたそばから忘れてしまう」、というのでは、研究者はどう考えても無理だろう。
・『就職活動で内定を得られなかった原因とは  ところが、いざふたを開けてみると、就職活動は難航した。ほとんどが書類選考で落ちてしまうのだ。中堅と言われる規模の会社や、金融以外の職種にもエントリー先を広げたが、結果は同じ。80社近く応募して、1社も内定を得られなかった。 原因は、適性検査の一部である性格検査にあったのではないかと、フユキさんは言う。現在、多くの企業は面接前の選考過程で、さまざまな適性検査を実施している。主に基礎学力などを測る能力検査と、その人の考え方や行動パターンなどをチェックする性格検査で構成され、このうち性格検査は、200問以上の設問に短時間で答えることが求められる。 「能力検査は、できたという手応えがありました。となると、性格検査の結果に問題があったとしか考えられないんです」。正直に答えたつもりだが、ストレス耐性や協調性に難ありとみなされたのではないかと、フユキさんは考えている。 不採用が続く中、次第にうつ状態に陥り、医療機関で向精神薬などの処方を受けながら、就職活動を続けた。秋頃には、数日間にわたって食事も水も処方薬も喉を通らなくなり、さらに処方薬を断ったことによる離脱症状に襲われる――、といった状態を繰り返すようになり、やむなくその年の就職を諦めたという。 医療機関に通う際、フユキさんは同時に「自分は発達障害なのではないか」という相談も持ちかけていた。当初、臨床心理士からは、発達障害に特徴的なコミュニケーションにおける問題は見られないと言われたが、念のために専門の検査を受けた。 その結果、「計算力」「長期記憶」などの項目が平均水準をはるかに上回ったのに対し、「聴覚的短期記憶」「結果を予測する力」などは平均以下であることが判明。得意なことと、不得意なことの差が大きいのは、発達障害の特徴の1つである。 「検査の中でも、4、5枚のイラストをストーリー順に並べ替えよ、という問題がまったくできませんでした。(結果を示す)折れ線グラフが、とにかく凹凸の激しい形状だったことを覚えています」 翌年、フユキさんは服薬治療とカウンセリングを受けながら、再び就職活動に挑戦。今度は、ほぼ希望どおりの会社への採用が決まった。しかし、一難去ってまた一難。卒業前、臨床心理士から「学歴が高いので、周囲からの期待も高い。それに伴うストレスもまた大きいでしょう」と言われていたのだが、その予想が、入社後、見事に的中したのだ』、合格した会社では、「性格検査」がなかったのかも知れない。
・『仕事の失敗が重なると不調を来し、休職しがちに  会社組織において、新入社員に任されがちなのは、会議録の作成と電話応対。しかし、フユキさんは、この2つがまったくと言っていいほどできない。「聴覚的短期記憶」が低いので、会議中にメモを取ることはほぼ不可能。かといって、いったん録音したものをメモに書き起こすような時間的な余裕もない。電話の相手から、会社名や名前、用件などを伝えられても、受話器を置いたときにはほとんど忘れてしまっている。 未完成の会議録を提出するたび、上司はあきれたような、戸惑ったような複雑な表情を見せたという。電話応対にいたっては、「まともに取り次げたことがない」。 「もとから眠りは浅いほうだったのですが、就職してからは、作業に追われたり、得体のしれない怪物に追われたり、『何かに追われる』という悪夢を、毎日見るようになりました」とフユキさん。 仕事の失敗が重なると、「自分は欠陥人間」「存在価値などない」と思い詰め、さらには食欲不振や頭痛など身体にも不調を来し、そのたびに休職。休職期間は2、3週間と比較的短いものの、すでにこうしたことを何度も繰り返しているという。 会社では、怒鳴らたり、パワハラを受けたりしたことはない。人事部などには発達障害のことは報告しており、フユキさんの勤怠が不安定になると、担当者のほうから休職してはどうかと促してくる。最近は、電話応対の少ない部署への異動もなされた。 会社は決して障害への理解がないわけではないように見えるが、フユキさんに言わせると、「理解してくれているというよりは、見逃してくれているという感じ。人事部の対応もごく事務的なもので、そろそろ(解雇や退職勧奨などについて)何か言われるのではないかと恐れています」といった受け止めになる。 不安がピークに達したある日、いっそ障害者枠で働いたほうがよいのではと考え、専門の転職サイトに登録してみた。しかし、担当者からはきっぱりと「収入は間違いなく下がります。今の会社から支援を受けられるなら、転職は勧めません」と言われたという。 現在、フユキさんの年収は約400万円。自分でも調べたが、障害者枠で転職した場合、収入は悪ければ半減、そもそも正規雇用の求人がほとんどないことがわかった。非正規雇用では、つねに雇い止めの不安におびえなくてはならない。 「社内には居場所がないと感じます。かといって、転職しても、(雇い止めの恐れがある)非正規雇用では、かえってメンタルは悪化するでしょう」。会社にとどまるのも苦痛、転職しても待っているのは貧困――。そう考えると、絶望感しかないという。 フユキさんの話しぶりは終始、穏やかだった。物理や三角関数の説明をするときも、典型的な文系人間の私が、ちゃんと話についてきているかを確認しながら、ゆっくりと話を進めてくれた。臨床心理士の見立てと同じく、私もフユキさんからは、発達障害のある人特有のコミュニケーションの取りづらさは、まったく感じなかった』、せっかく「正社員」として入社、「人事部などには発達障害のことは報告」しているのであれば、能力に見合った仕事を「人事部など」と相談しながら探していくほかないようだ。
・『他人ができることを自分ができないつらさ  最後に、会社の同僚や上司たちに望むことはありますか、と尋ねると、フユキさんは「広い心を持ってほしい。みんなが同じことを、同じだけできるわけじゃないことを理解してほしいです。私の場合は、(人並み以上に)得意な分野もあります」という。 これに対し、私が「会議録の作成や電話対応が不得手だと、打ち明けたのですか」と聞くと、話していないという。理由は、「たぶん、理解してもらえない。『え?そんなこともできないの』と言われてしまうと思うから」。 広い心を持ってほしいと言いながら、自分ができないことを伝えないのは、少し矛盾しているのではないか――。そう言いかけ、私は取材中の自分のある振る舞いを思い出した。 レジで金額が記憶できない、会議録の作成や電話応対ができないというフユキさんに対し、私は繰り返し「一瞬でも記憶できないのですか」「意味がわからなくても、とりあえずメモするということも難しいですか」「(電話相手の)名前だけでも覚えていられないのですか」と尋ねたのだ。 このとき、フユキさんは、大学ノートにメモを取る私の手元を見つめながら、「みんなが普通にできることを、自分はできないんだなって思います」と言ってため息をついていた。 自分が当たり前にできることを、他人ができないということを理解することは意外に難しい。そして、自分はできないことを、多くの人が当たり前にできていることを目の当たりすることのしんどさを思った。 本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください』、「私が「会議録の作成や電話対応が不得手だと、打ち明けたのですか」と聞くと、話していないという。理由は、「たぶん、理解してもらえない。『え?そんなこともできないの』と言われてしまうと思うから」、難しいだろうが、正直に打ち明け、会社と一緒になって能力を発揮できる職務を探していくほかなさそうだ。

次に、本年8月4日付け東洋経済オンラインが掲載した精神科医の岩波 明氏による「発達障害「専門医の多くが誤診してしまう」理由 そもそも白黒つけられる簡単な症状ではない」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/363663
・『近年注目を集める「発達障害」。実は医師による「誤診」も少なくないという。発達障害の患者が誤診によって受ける被害の実態とは?精神科医の岩波明氏による新書『医者も親も気づかない 女子の発達障害』から抜粋・再構成してお届けします。 実のところ、著名な精神科医や発達障害の専門医であっても誤診がまれではありません。例えば「うつ病と診断したけれども、発達障害だった」「ASD(注1)だと診断したが、本当はADHD(注2)だった」などということは、しばしば見られています。 もちろん、私たち自身の診断が絶対に正しいということはありませんし、誤った判断もあることでしょう。 ただ、私たちの外来に紹介されて受診する患者さんを見ていると、多くの先生方には、発達障害の基本的な点が浸透していないように思えます』、なるほど。
(注1)ASD:自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群。自閉スペクトラム症は多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる生まれつきの脳機能障害で、人口の1%に及んでいるとも言われています(e-ヘルスネット)。
(注2)ADHD:注意欠如・多動症は、「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつです。ADHDを持つ小児は家庭・学校生活で様々な困難をきたすため、環境や行動への介入や薬物療法が試みられています(e-ヘルスネット)。
・『「誤診」で発達障害が見逃されたケース  発達障害に関する誤診には、いくつかの理由があります。1つは、うつ病をはじめとして、対人恐怖症(社交不安障害)やパニック障害などの不安障害、躁うつ病など、発達障害が原因で起こるさまざまなトラブルをきっかけに生じる、2次障害との関連が問題となります。 このような場合、そうした2次障害に対する診断と治療が先行してしまい、根本的な原因である発達障害が見逃されがちです。こうなると、適切な治療が難しくなることが珍しくありません。 例えば、うつ病と診断されて抗うつ薬を飲み続けたが症状が改善されない、ADHDの治療薬に切り替えたら劇的に改善した、といったケースが実際に存在しています。「うつ病と診断されたものの、実は発達障害だった」ということは、よくある話です。 患者本人が「私はADHDだと思いますが、どうなのでしょうか?」と主治医に言っているにもかかわらず、「いえ、うつ病であることは確実です」「発達障害というのは考えすぎ」などと言って、正しい診断に行き着かない例が後を絶たないのが現状です。 また、ADHDとASDの区別も、非常に曖昧で難しい面があります。ADHDなら多動・衝動性と不注意、ASDなら対人関係のトラブルとこだわりの症状など、それぞれ典型的な特性があるのは確かですが、臨床の場面では、両方を同時に示すようなケースにも頻繁に出合います。 例えば「話し出したら止まらない」のは、ADHDにもASDにも見られる症状です。ADHDの場合は「思いついたことを言わずにいられない」衝動性が原因であるのに対して、ASDの場合は「他人に対する無関心、配慮のなさ」が原因ですが、見かけの症状は同じなのです。 さらに付け加えるなら、子どもの場合は両親からの虐待が引き金になり、「愛着障害」といって、ADHDやASDによく似た症状が表れるケースも見られます。 医師の側の問題もあります。もともと発達障害の専門医の多くは、自閉症やアスペルガー症候群などのASDを専門としていました。そのため、診断もASD寄りになる傾向があるのですが、実際にはASDよりもADHDのほうが何倍も症例が多いのです。 しかし、これはある程度やむをえない面があるのかもしれません。というのは、これまでの児童精神科において治療の対象としていた発達障害は、ASDの中でも最も重症の自閉症であり、さらにその多くが知的障害を伴うケースだったからです。 これに対して現在、成人の女性の発達障害においては、主な疾患はADHDであることに加えて、知的レベルは正常かそれ以上の例が大部分です。つまり、対象としている患者層が、以前とはまったく異なっているのです』、「患者本人が「私はADHDだと思いますが、どうなのでしょうか?」と主治医に言っているにもかかわらず、「いえ、うつ病であることは確実です」「発達障害というのは考えすぎ」などと言って、正しい診断に行き着かない例が後を絶たないのが現状です」、「もともと発達障害の専門医の多くは、自閉症やアスペルガー症候群などのASDを専門としていました。そのため、診断もASD寄りになる傾向があるのですが、実際にはASDよりもADHDのほうが何倍も症例が多いのです」、なかなか難しい問題のようだ。
・『「グレーゾーン」の患者も多くいる  さらに厄介なことに、「発達障害か、そうでないか」についても、線引きが曖昧です。そもそも精神科の診断には、白黒はっきりつけがたい「グレーゾーン」が多く含まれています。 発達障害も、発達障害という確定的な診断はつかないにしても、発達障害的な特性によって、日常生活に問題を抱えているケースがよくあります。つまり、ASDもADHDも、「スペクトラム」なのです。 例えば、ADHDと断定はできないけれども落ち着きがなくて忘れ物が多い人、ASDと診断するほどではなくても空気が読めずに人の輪に入れない人などは、たくさんいます。 発達障害とそうでない人の間には明確な区別が存在しているわけではなく、さまざまなグラデーションが存在しています。そのため、「この一線を超えたら発達障害」という線引きは、医師ごと、病院ごとに委ねられています。 ある病院では「発達障害でない」と言われ、別の病院では「発達障害だ」と言われるケースも少なくありません。 しかし、発達障害に限らず、ほとんどの精神科の疾患には数値で表せる明確な指標は存在していません。血液検査の数値など、なんらかの検査で白黒つけられるわけではないのです。 それでも、現在の症状とこれまでの経過について多くの「情報」が手に入るなら、ほぼ間違いのない診断が下せると思います。しかし、それには本人の子ども時代にまでさかのぼって、話を聞かなくてはなりません。本人の記憶が曖昧なことも多いし、本人は「私は普通の子だった」と思っていても、周囲は「すごく変わった子だった」と思っているケースも多く、なかなか簡単なことではありません』、「発達障害とそうでない人の間には明確な区別が存在しているわけではなく、さまざまなグラデーションが存在しています。そのため、「この一線を超えたら発達障害」という線引きは、医師ごと、病院ごとに委ねられています」、確かに診断がばらつくのは不可避のようだ。
・『家族が当てにならない問題も  現実には、情報不足によりグレーゾーンとして扱わなければいけないケースであっても、情報がそろったことで、後になってから発達障害だと確定するケースがあることは、十分に考えられます。 さらに、情報を得るにあたって、親などの近親者が必ずしも当てにならないことも、大きな問題です。非常に熱心な家族も存在している一方で、子ども時代のことはよく覚えていないという親や、そもそも発達障害の存在そのものを頭から否定する人も存在しているからです。 繰り返しになりますが、発達障害は生まれつきのものですから、「治す」という言い方は適切ではありません。しかし、本人にその意志があるなら、日常生活で問題が起こらないように、問題となる部分をカバーすることは可能です。 それにはまず、自分の特性を理解することが大切です。さまざまなトラブルは、その自らの特性が原因で起きている、ということを知る。そのうえで、どうしたらトラブルを防げるか、具体的に考えていくことになります。) 例えば「上司の指示をすぐ忘れてしまう」なら、すぐに「メモを取る」。「マルチタスクが苦手」なら、「複数の仕事を同時に進めるのではなく、1つの仕事を終えてから次の仕事にとりかかる」習慣をつける。 自分が上司の立場なら、ASDの人に出す指示は、できる限り具体的にします。例えば、期日はいつなのか、ほかの仕事より優先するべきなのか。「適当にやっておいて」は、ASDの人には厳禁です。文字どおりに解釈して、「いい加減に」仕事をしてしまうかもしれません。 こうした工夫そのものが難しい環境であるなら、今度は環境を変えることを考えます。極端な話ですが、対人関係が苦手なASDの人も、「研究室にこもりきりで、他人と交流しなくていい」といった環境で働けるのであれば、問題は顕在化しないかもしれません。実際、高名な科学者や研究者において、ASDの特徴を持つ人は少なくありません。 ASDでもADHDでも、多くの場合、理解力自体は普通に持っています。何が問題で、どうすれば解決できるのかさえ理解できれば、対処できる場合が大半です』、「多くの場合、理解力自体は普通に持っています。何が問題で、どうすれば解決できるのかさえ理解できれば、対処できる場合が大半です」、とはいうものの、現実には「何が問題で、どうすれば解決できるのかさえ理解できれば」、が難しいのだろう。
・『「変えようがない人間」もいる  一方で、こんなケースもあります。ADHDの人には、わからないというより、アドバイスを「受け入れたくない」人が全体の2?3割はいます。 アドバイスの内容そのものは理解できでも、やりたくない、やろうとしない。人の言うことを聞きたくないのです。これには自分の意志を押し通そうとする傾向が強いこともありますが、そもそも他の人の話を聞くことが得意ではないのです。 ASDの人は、変えたくても、「変えようがない」ケースもあります。いくら能力が高くても、「マイルール」へのこだわりが強いと、変えたほうがいいとわかっていても、なかなか変えられません。 あるASDの女性は、非常に高い能力がありました。大学を卒業して10年以上のブランクのある主婦だったのですが、大学の研究室でアルバイトを始めると、英語論文を書いて海外の雑誌に掲載されるほどになりました。 しかし、対人関係がまるで苦手でした。研究室のトップに理解があるため長く勤めていられるのですが、対人関係が改善する様子は見られません。 「こうしてみたら」と私がアドバイスをしているのですが、なかなか周囲との関係を変えることができません。そのため、研究成果を上げてはいますが、彼女はほとんど1人で仕事をしています』、「アドバイスを「受け入れたくない」人が全体の2?3割はいます」、「あるASDの女性」の例は「研究室のトップに理解がある」という幸運に恵まれた稀有な例なのだろう。

第三に、6月9日付け日経ビジネスオンラインが掲載した文筆家の川端 裕人氏による「これほど違う自閉症の現れ方、3歳男児と4歳女児の例」を紹介しよう。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00112/00039/?P=1
・『発達障害である自閉症は、人口の2%に及び、“グレーゾーン”も入れると1割を超すという。現在の診断名は「自閉スペクトラム症」で、かつてのアスペルガー症候群も含め、その現れ方は様々だ。そんな自閉症への理解を深めるために、日本の研究と治療と支援をリードしてきた医師、神尾陽子先生の研究室に行ってみた!その2回目。 国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所で発達障害をめぐる研究と行政への提案を行い支援の社会実装を主導してきた神尾陽子さん(現・発達障害クリニック附属発達研究所・所長)に自閉スペクトラム症について伺っている。前回は、やや抽象的な議論に終わってしまった感があるので、今回は、自閉スペクトラム症を持つ子どもたちに、それがどんなふうに現れるかもっと具体的に教えてもらおう。 「実はすごく説明しにくいんです。自閉スペクトラム症の人って、知能に遅れのある人から、とても知能の高い人までいて、『こういう行動をする』って一言では記載はできません。おまけに、同じ人でも1歳のときから亡くなるまで、年齢によっても症状は違います。だから、具体的に説明するとしたら、やっぱり発達水準、性別、年齢などを想定しないといけないんです」 神尾陽子さんは、発達障害の研究はもちろん、行政への提案や支援の社会実装を主導してきた。 そこで「人と年齢」を設定する。「3歳の知的な遅れのある男の子」と「遅れのない4歳の幼稚園に行っている女の子」の2ケースだ。 「3歳で遅れのあるお子さんは、一番典型的です。3歳になると普通のお子さんはいっぱいしゃべるようになりますけど、まず言葉が遅れるので気づかれやすいんです。そして、言葉が出てきても、特徴的なのはおうむ返しといって、誰かが言ったのをそのまんま返すので、会話にならなかったりします。単語はたくさん覚えるけれども、あんまり人の動作や状態にかかわるようなことを言いません。『おなかすいた』『食べる』『飲む』という、自分がしたいことを伝えることがあんまりできないんです」 こういう言葉の出方を「機能的ではない言語」というそうだ。語彙が多くても、言葉の最大の「機能」であるコミュニケーションのためにうまく使えない。喉がかわいてジュースを飲みたいときにも、「ジュースを飲みたい」と言うかわりに自分で冷蔵庫に行って勝手に飲むようなイメージだ。 「子どもは、言葉を獲得していく中で自分の要求が伝わるようになったり、『あ、ブーブー』とか言うと、お母さんがそっちを見て『ああ、ブーブーだね』って一緒に喜んでくれたりして、共有する喜びを知るわけです。そういったことが対人関係の一番基礎ですよね。でも、遅れがある場合は、言葉が出てきてもそういうことに使わず、一人で黙々と本読んでいるとか、基本的には一人遊びが好きです。お母さんが一緒に何かしようと思って、子どもが遊んでいるものに手を触れたらパッと手を払っちゃう。たとえば何かを自分で楽しく並べていたとしたら、崩されるのがいやだから一人遊びの方がいいと、こだわりの部分もかかわっています。お母さんはすごい悲しいし、何とかして遊ぼうと思ってかかわると、子どもは余計嫌がって泣いたり怒ったりするんです」』、「自閉症は、人口の2%に及び、“グレーゾーン”も入れると1割を超す」、そんなに多いとは改めて驚かされた。「遅れがある場合は、言葉が出てきてもそういうことに使わず、一人で黙々と本読んでいるとか、基本的には一人遊びが好きです。お母さんが一緒に何かしようと思って、子どもが遊んでいるものに手を触れたらパッと手を払っちゃう。たとえば何かを自分で楽しく並べていたとしたら、崩されるのがいやだから一人遊びの方がいいと、こだわりの部分もかかわっています。お母さんはすごい悲しいし、何とかして遊ぼうと思ってかかわると、子どもは余計嫌がって泣いたり怒ったりするんです」、親の対応もなかなか難しそうだ。
・『自閉症という言葉は、Autismという英語の訳だ。接頭辞のAut(o)は「自動的」「自律的」を意味するもので、それを「閉じている」と訳すのが適切なのかどうか分からないが、自分で完結しているというようなニュアンスなら、今紹介してもらったような事例にはよく当てはまるかもしれない。それにしても、親が「愛情」の表出である共感を持って接しようとしても、それが本人にとっては不快なことが多いとしたら、いろいろ悲しいことが起きそうだ。特に、自閉スペクトラム症が母親の育て方の問題だとされたりすると、母親は必死に関わろうとするあまり子どもが嫌がることをしてしまうことになる。 また、自閉スペクトラム症特有の「こだわり」や「感覚過敏」が日常生活の中でもしばしば大きな困難に発展することがある。 「その子を連れてどこか買い物に行こうとすると、いつもの道で工事をしていたとします。じゃあ、違う道から行こうっていったら、もうパニックです。そこでひっくり返って、泣いたり怒ったり。だから、もう予定していた外出が全然できないとか、もう外出自体がお母さんのストレスになっちゃって、2人でこもりっきりっていう方もいらっしゃいます。味や臭いについて感覚過敏で偏食がすごいから生きてくために何とか食べさせようとするけど食べないとか、ちょっとした刺激ですぐに目覚めてしまってぜんぜん寝ないっていう人もいます。いったん寝付いても、ちょっと物音がするとすぐ起きちゃうんです」 では、もう一つのシナリオ、「遅れのない4歳で、幼稚園に行っている女の子」の場合はどうだろう。 「そういう子は、見かけは遅れがないからわりと見逃されますが、とにかく幼稚園みたいな場になじめません。家の中でよく知った環境ではそれほど困らなくても、幼稚園に行くといろんな子どもたちがいるでしょう。子どもって一番予測できない人たちだから、自分がこれで遊ぼうと思っても他の子が来て取ったりされるし、一緒に遊ぶのもあんまり楽しくないし。それでワーッと泣く子もいれば、泣かないでじっと耐えて、だんだん耐えられなくなってくると、行きしぶります。そうすると、親は無理やり連れていって悪循環になってしまいがちです。何で嫌なのか、どういうふうにしたら楽しくなるのかというのを、わりと見逃されているのが多いんですね」 遅れがないがゆえに問題が見えにくくなることは皮肉なことである。これもまた親だけでなく、社会の問題でもある』、「子どもって一番予測できない人たちだから、自分がこれで遊ぼうと思っても他の子が来て取ったりされるし、一緒に遊ぶのもあんまり楽しくないし。それでワーッと泣く子もいれば、泣かないでじっと耐えて、だんだん耐えられなくなってくると、行きしぶります。そうすると、親は無理やり連れていって悪循環になってしまいがちです」、普通はあきらめて、別の遊びに切り替えるのに、こだわりが強くあきらめられないのだろうか。
・『「幼稚園や保育園によっては『いや、この子は、全然、遅れはないし、発達障害じゃない』と言われたり、やっぱりお母さんが気にしすぎだとか、ちょっと過保護だってスルーされちゃうことも多いんです。結局、小学校に行ったらもっと問題が大きくなるので、そういうパターンもあり得るということを幼稚園や保育園でも知っていただいて、合うような環境で対応していってほしいんですが」 さらにもう一点、神尾さんは「不安」について付け加えた。 「不安というのは、よくある精神障害ですけど、自閉スペクトラム症にもこの合併が多いんです。子どもの不安って、恐怖に近いから、さっきまで普通にしていても、あるときに爆発的に出たりします。不安がある子はそういう場を徹底的に避けるようになるので、見えないだけで。本人は本当に生きづらくて、世界が怖くて、場合によっては怒りとかまで感じて、やっぱり自分の中にためていくので、親も含めてそこで悪いループに入っていくわけです」 ほんとうに様々なケースがある中で、それらを早めに見つけて早めに対処するというのが神尾さんの立場だ。古典的な知的な遅れを伴う自閉スペクトラム症も、この2、30年のうちにクローズアップされた、知的な遅れを伴わない「高機能」な自閉スペクトラム症も、放置しておくとのちのち大変なことになることがある。それこそ、つらい場所に置かれ続けて、本来伸ばし得たはずの様々な特徴をスポイルされた上で、うつや不眠や不安など、ありとあらゆる穏やかならざる合併に悩まされ、本来、過ごせるはずだったかもしれない豊かな生き方が想像できなくなるほどの深みに落ち込んでしまうことだってありうる。やがて重たい精神症状を合併して、精神病院で隔離されて一生を終えるというようなことも、20世紀にはありえたのである。 自閉スペクトラム症に早いうちから対処できれば、重い合併症を防げ、伸ばし得る特徴を伸ばしやすいという。 今、この問題にかかわる世界中の専門家たちは、適切な診断に基づいた治療や支援を早期から始めたり、それ以前のところで良い環境(発達障害の子も定型発達の子も、ともにメンタルヘルスを保ちやすい環境)を作ることで事態を改善できると信じ、努力をしている。神尾さんも、その流れに棹さす一人だ。 そして、そのためには、今、わたしたちの社会の中で、自閉スペクトラム症の子どもたちがどれくらいいて、診断や治療や支援や環境の改善を必要としているか知らなければならない。臨床の現場からは、一歩引いて、いわゆる疫学的な調査が大事になる局面だ。 国立の研究機関にいた神尾さんは、その点でも、時代を画する研究を行っているので次回以降の議論で教えてもらおう。(づづく)』、「知的な遅れを伴わない「高機能」な自閉スペクトラム症も、放置しておくとのちのち大変なことになることがある。それこそ、つらい場所に置かれ続けて、本来伸ばし得たはずの様々な特徴をスポイルされた上で、うつや不眠や不安など、ありとあらゆる穏やかならざる合併に悩まされ、本来、過ごせるはずだったかもしれない豊かな生き方が想像できなくなるほどの深みに落ち込んでしまうことだってありうる。やがて重たい精神症状を合併して、精神病院で隔離されて一生を終えるというようなことも、20世紀にはありえた」、現在ではそんな最悪の事態に辿り着く前に、「精神科医」の治療があるということなのだろうが、「精神科医療」の重要性を再認識した。
タグ:AsD 発達障害 東洋経済オンライン ADHD 日経ビジネスオンライン 藤田 和恵 川端 裕人 (その1)(29歳東大院生が「書類選考」で落ち続けたワケ 80社応募して内定を1社も得られなかった、発達障害「専門医の多くが誤診してしまう」理由 そもそも白黒つけられる簡単な症状ではない、これほど違う自閉症の現れ方 3歳男児と4歳女児の例) 「29歳東大院生が「書類選考」で落ち続けたワケ 80社応募して内定を1社も得られなかった」 聞いたそばから忘れてしまう 東京大学大学院で物理を専攻 発達障害の1つ、自閉症スペクトラムで、耳から聞いた言葉をそのまま記憶する能力「聴覚的短期記憶」が低いからだ。金額を口頭で言われただけでは、聞いたそばから忘れてしまう 就職活動で内定を得られなかった原因とは 「性格検査」 仕事の失敗が重なると不調を来し、休職しがちに 「聴覚的短期記憶」が低いので、会議中にメモを取ることはほぼ不可能 人事部などには発達障害のことは報告 他人ができることを自分ができないつらさ 私が「会議録の作成や電話対応が不得手だと、打ち明けたのですか」と聞くと、話していないという。理由は、「たぶん、理解してもらえない。『え?そんなこともできないの』と言われてしまうと思うから」 岩波 明 「発達障害「専門医の多くが誤診してしまう」理由 そもそも白黒つけられる簡単な症状ではない」 「誤診」で発達障害が見逃されたケース 「うつ病と診断されたものの、実は発達障害だった」ということは、よくある話です 患者本人が「私はADHDだと思いますが、どうなのでしょうか?」と主治医に言っているにもかかわらず、「いえ、うつ病であることは確実です」「発達障害というのは考えすぎ」などと言って、正しい診断に行き着かない例が後を絶たないのが現状 もともと発達障害の専門医の多くは、自閉症やアスペルガー症候群などのASDを専門としていました。そのため、診断もASD寄りになる傾向があるのですが、実際にはASDよりもADHDのほうが何倍も症例が多いのです 「グレーゾーン」の患者も多くいる 発達障害とそうでない人の間には明確な区別が存在しているわけではなく、さまざまなグラデーションが存在しています 「この一線を超えたら発達障害」という線引きは、医師ごと、病院ごとに委ねられています」 家族が当てにならない問題も 多くの場合、理解力自体は普通に持っています。何が問題で、どうすれば解決できるのかさえ理解できれば、対処できる場合が大半です 「変えようがない人間」もいる アドバイスを「受け入れたくない」人が全体の2?3割はいます 「これほど違う自閉症の現れ方、3歳男児と4歳女児の例」 発達障害である自閉症は、人口の2%に及び、“グレーゾーン”も入れると1割を超すという 遅れがある場合は、言葉が出てきてもそういうことに使わず、一人で黙々と本読んでいるとか、基本的には一人遊びが好きです。お母さんが一緒に何かしようと思って、子どもが遊んでいるものに手を触れたらパッと手を払っちゃう。たとえば何かを自分で楽しく並べていたとしたら、崩されるのがいやだから一人遊びの方がいいと、こだわりの部分もかかわっています。お母さんはすごい悲しいし、何とかして遊ぼうと思ってかかわると、子どもは余計嫌がって泣いたり怒ったりするんです 子どもって一番予測できない人たちだから、自分がこれで遊ぼうと思っても他の子が来て取ったりされるし、一緒に遊ぶのもあんまり楽しくないし。それでワーッと泣く子もいれば、泣かないでじっと耐えて、だんだん耐えられなくなってくると、行きしぶります。そうすると、親は無理やり連れていって悪循環になってしまいがちです 知的な遅れを伴わない「高機能」な自閉スペクトラム症も、放置しておくとのちのち大変なことになることがある。それこそ、つらい場所に置かれ続けて、本来伸ばし得たはずの様々な特徴をスポイルされた上で、うつや不眠や不安など、ありとあらゆる穏やかならざる合併に悩まされ、本来、過ごせるはずだったかもしれない豊かな生き方が想像できなくなるほどの深みに落ち込んでしまうことだってありうる。やがて重たい精神症状を合併して、精神病院で隔離されて一生を終えるというようなことも、20世紀にはありえた
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