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異次元緩和政策(その34)(「やめておけ マイナス金利」 欧州金融界 逆効果示唆する調査、コロナが拍車かける財政ファイナンスの「今そこにある弊害」、「誰が首相になっても解決策はない」出口のない異次元緩和の末路 菅政権は「火中の栗を拾う内閣」) [経済政策]

異次元緩和政策については、8月5日に取上げた。今日は、(その34)(「やめておけ マイナス金利」 欧州金融界 逆効果示唆する調査、コロナが拍車かける財政ファイナンスの「今そこにある弊害」、「誰が首相になっても解決策はない」出口のない異次元緩和の末路 菅政権は「火中の栗を拾う内閣」)である。三番目の記事は必読である。なお、タイトル冒頭の「日銀の」はカットした。

先ずは、9月20日付けNewsweek日本版がロイター記事を転載した「「やめておけ、マイナス金利」 欧州金融界、逆効果示唆する調査」を紹介しよう。
https://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2020/09/post-94486_1.php
・『欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利政策を採用して6年。同様の政策に突き進もうと考えている中央銀行に対し、行動ファイナンスの権威らが発しているメッセージはこうだ。「やめておけ。その価値はない」 現在、政策金利がゼロ以上、0.25%以下なのは米国、英国、ノルウェー、オーストラリア、ニュージーランド、イスラエル、カナダ。従ってこれら諸国の中から、新型コロナウイルス蔓延による景気悪化に対処しようとマイナス金利政策を実施する中銀が1、2行出てくる可能性がある。 英国の短期金融市場は、イングランド銀行(中銀)が来年、政策金利をマイナスに引き下げることを織り込んでおり、ニュ-ジーランド準備銀行(中銀)はすでに銀行に対し、マイナス金利に備えるよう求めている。 しかし新たな研究により、前々から一部の中銀当局者が恐れていたことが裏付けられたようだ。つまりマイナス金利は効果がないばかりか、逆効果かもしれない。 イスラエルの国家債務管理部門を統括するリオル・ダビドプル氏は「もっと資金を借り入れてリスク性資産への投資を増やすよう、人々の背中を押したいのであれば、マイナス金利よりもゼロ金利の方がむしろ効率的だ」と話す。 ダビドプル氏は先月、行動・実験経済学ジャーナル誌で共著の論文を公表した。それによると、リスクを取る行動と資金を借り入れる行動を促す効果が最も強く表れたのは、金利が1%から0%に下がった時だった。 米国やオーストラリアの中銀が今年実施した利下げは、おおむねこの線に沿っている。 ダビドプル氏らの調査は、マイナス金利への消費者の反応を調べる貴重なものだ。経済学を学ぶ大学生205人を4グループに分け、各々1万シェケル(2921ドル、約30万6700円)を与えて、無リスクの銀行預金と株式などリスク性資産に振り分けさせる。 当初の金利設定はプラス2%からマイナス1%の範囲でグループごとに異なるが、いずれも1%ポイントの利下げを行う。利下げ後、参加者は投資のためにいくら借り入れたいかを聞かれる。 ダビドプル氏によると、金利がマイナス1%に下がったグループは、借り入れをむしろ1.75%縮小したのに対し、金利が0%に下がったグループは20%増やした。 同氏は「0%という数字自体が、人々に特別な意味を持った」と述べ、金利がマイナス圏に入った途端にレバレッジ(投資のための借り入れ)は下がると説明した。 ECBの元エコノミストで現在はソシエテ・ジェネラルで働くアナトリ・アネンコフ氏はこの理由について、マイナス金利が「一種の緊急事態」を想起させるからだと言う。 「人々はお金を使うのではなく貯蓄するかもしれないので、望むような効果が得られない可能性がある」 実際にユーロ圏の貯蓄率は、2014年にマイナス金利政策が実施された後に一瞬下がったが、その後はマイナス金利が深掘りされても上昇し続けた』、「リスクを取る行動と資金を借り入れる行動を促す効果が最も強く表れたのは、金利が1%から0%に下がった時だった」、との「マイナス金利」否定論が出てきたとは興味深い。
・『ゼロに戻したスウェーデン  ユーロ圏と日本はマイナス金利を採用して何年にもなるが、インフレ率も成長率も回復していない、という指摘は以前から批判派の間で出ていた。 スウェーデンのルンド大学・経済経営学部のフレデリク・N・G・アンデション准教授は、同国経済ではマイナス金利のコストが便益を上回ったようだと言う。 同国中銀は昨年、主要政策金利を引き上げて0%に戻した。 アンデション氏はマイナス金利問題を詳細に研究した。金利がマイナスに下がった時、借り入れは確かに増えたが、資金は主に住宅投資に回り、不動産市場と家計債務を増大させた。 「お金を借り、自動車か何か、国内総生産(GDP)が増えるものを買うといった状況は見られなかった。住宅を買うためにお金を借りても景気刺激効果は得られない」 同氏によると、企業オーナーも投資を控えた。これは、マイナス金利が「危機の兆候」と受け止められる、というアネンコフ氏の指摘と呼応する』、「スウェーデン」では「マイナス金利のコストが便益を上回った」ので「ゼロに戻した」、という実例まで出てきたようだ。
・『銀行は手数料を課すか  ドイツのミュンスター大学がボランティア「投資家」300人超を対象に実施した実験では、銀行預金のような無リスク金利がマイナスになった時、リスクを取る行動に変化が生じる可能性が高いことが分かった。 Hannes Mohrschladt準教授によると、マイナス金利政策下で銀行が預金者に手数料を課すことはまれだが、ECBが追加利下げを行えば起こり得る。 ただ準教授は、利下げが「株式と不動産市場の価格をさらに押し上げる可能性」をECBは警戒すべきだと言う。 ルンド大のアンデション氏は、エビデンスを踏まえると、成長を押し上げるために中銀がマイナス金利政策を採用する必要はなさそうだと話す。「私なら、やめておけと言う。その価値はないと」』、ECBや日銀はどうするのだろう。

次に、10月1日付けダイヤモンド・オンラインが掲載したBNPパリバ証券経済調査本部長チーフエコノミストの河野龍太郎氏による「コロナが拍車かける財政ファイナンスの「今そこにある弊害」」を紹介しよう。
https://diamond.jp/articles/-/249897
・『危機下では容認される財政ファイナンス インフレ率も高まらず  欧州を代表する知識人のイワン・クラステフは、パンデミック危機は我々がこれまで不可能と考えていたことを可能にした、と論じる。例えば、反移民を掲げる欧州の右派ポピュリストが夢見たよりも、はるかに完全な国境の封鎖を一時的にせよ可能にした。 これになぞらえて言えば、MMT(現代貨幣理論)論者が夢見た中央銀行の財政ファイナンス(国債購入)による大規模財政以上のものを先進各国が実施した。さらに言えば、それでもインフレ率は低いままである。 日本を除くと、今回のパンデミック危機で、中銀の財政ファイナンスによる大規模財政を問題視する人はあまり多くはない。各国ともマクロ経済が大幅に落ち込み、家計の所得サポートや企業の資金繰り支援は不可欠だと多くの人は考えている。 追加財政に伴い大量の国債が発行されており、中央銀行が何もせず、長期金利が跳ね上がって、資本市場の不安定化でマクロ経済に悪影響が及べば大問題である。これを避けるには、財政ファイナンスが不可欠である。 また、各国とも需給ギャップが大幅に悪化し、物価にも大きな下押し圧力が加わっている。それ故、中央銀行がゼロ金利政策を行うだけでなく、大量の国債購入で長期金利を低く抑え込むことは、マクロ安定化政策の観点からも整合的である。 しかし、日本では財政ファイナンスを大きな問題と受け止める人が少なくない。何が最大の問題なのか。それが本稿のテーマである』、河野氏はどうみているのだろう。
・『日銀の長短金利操作政策が政府の財政膨張を支える皮肉  実のところ、制度的には、日本銀行は財政ファイナンスとは、最も距離を置いているともいえる。なぜなら、2016年9月にYCC(イールドカーブ・コントロール、長短金利操作)を導入し、10年金利を操作目標のゼロ%程度に誘導していたからである。 YCCを導入したのは、財政ファイナンスのためではなく、インフレを醸成することが目的だった。実効下限制約に直面しているが、グローバル経済が持ち直し、海外の長期金利が上昇した際、国内の長期金利をゼロ%に抑え込めば、円安進展など景気刺激効果を得られる。 政府の財政政策にかかわらず、長期金利に上昇圧力が加われば、国債購入を積極化させ、逆に低下圧力が強まれば、国債購入を減額する。財政と関わりなく、政治的に独立した中央銀行が長期金利目標を運営する。 しかし、逆説的だが、このYCCこそが、暗黙裡であるにせよ金融政策の公的債務管理への統合を可能にしている。フォワードガイダンス効果を最大限発揮させるスキームという点では評価できるが、大規模な追加財政が繰り返されるようになれば、マネー・プリンティングの装置になりかねないと、導入当時、筆者は懸念した。 振り返れば、過去数年、経済が完全雇用に到達しても、先行きが不安だからといって、消費増税の先送りが繰り返された。また、景気が足踏みすれば、赤字国債の増発で追加財政が打たれ、景気が良い時も赤字国債を発行するのではないと言い訳し、増えた税収を追加財政に振り向けた。 本来、こうした政治的な財政膨張圧力をけん制するのが、長期金利の上昇である。しかし、政治的に独立した中央銀行がインフレ目標の達成のために、YCCを通じ国債を大量購入するから、政治的な財政膨張圧力への歯止め効果がなくなった。これが筆者の「逆説的」の意味するところである。 もちろん、現在は、パンデミック危機であるのだから、追加財政が繰り返されるのはやむを得ない。また、パンデミック危機でなくても、経済が不況に陥れば、金融政策が実効下限制約に直面しているのだから、マクロ安定化政策として追加財政が発動されるのもやむを得ない。 マクロ経済の平準化は重要である。問題なのは、完全雇用となっても、長期金利が低く抑え込まれているため、追加財政が繰り返されていることである。また、同じように、パンデミック危機だといって、何でもありの政策が実行され、繰り返されることも問題である』、「YCCを導入したのは、財政ファイナンスのためではなく、インフレを醸成することが目的だった」、のは事実であるが、結果的には「財政ファイナンス」をしているのと同じだ。
・『超低金利と追加財政継続が低採算の企業を生き残らせ潜在成長率が低下  財政健全化や金融正常化を標榜する人は、一般に、財政ファイナンスが続けられると、いずれ高率のインフレが訪れると懸念する。 ただ、冒頭で論じた通り、今回のパンデミック危機で、需給ギャップは大幅に落ち込んでいる。また、企業は数年に一度繰り返す大きな経済危機に備え、どうやら今後も無形資産投資や人的資本投資を抑え込み、貯蓄を続けるようである。政府の追加財政は、企業の貯蓄増加の一部を吸収する程度であって、インフレが容易に上昇するとは思われない。 インフレが上昇しないのなら、中銀の財政ファイナンスで大規模な追加財政を繰り返しても、問題ないのではないか、とMMT論者から反論されそうである。「財政健全化を訴える人々は、30年間、狼が来ると繰り返したが、結局、やってこなかった」と。 財政ファイナンスを続けると、高率のインフレが訪れるから問題という主流派経済学の主張を繰り返すだけでは、MMT論者の主張に打ち負かされるのではないかと、筆者は心配している。 インフレという狼はなかなかやって来ないが、別の狼は既に訪れており、さらにもう1匹、別の狼が我々の近くをうろついているのではないだろうか。既に訪れている狼とは潜在成長率の低下であり、近くをうろついている別の狼とは金融システムの不安定化である。 まず、好不況にかかわらず、インフレ率が低いことを理由に、景気循環を超えて、超低金利政策が固定化され、追加財政が繰り返されると、どうなるか。大盤振る舞いのマクロ安定化政策なしには存続できない低採算の企業や投資プロジェクトばかりが増えていく。 つまり、生産性上昇率は悪化し、潜在成長率が低下する。過去10年あまり、成長戦略が遅々として進んでいないのは事実だが、その間、反・成長戦略が取られたわけではなかった。 にもかかわらず、潜在成長率の低下が続いているのは、本来、資源配分の効率性を追求すべき完全雇用局面においても、財政ファイナンス、すなわち超金融緩和政策が固定化され、追加財政が繰り返されてきたからではないのか。過度なマクロ安定化政策が潜在成長率を低下させているのである』、「過度なマクロ安定化政策が潜在成長率を低下させている」、その通りだ。ただ、「インフレという狼はなかなかやって来ない」、については、円が信認を失って、暴落すれば、「長期金利」の暴騰や輸入「インフレ」がやってくる筈だ。これについては、もう少しうしろで述べているようだ。
・『長期金利上昇抑制のために国債購入する日銀 公的債務膨張続き高まる金融システムへの懸念  潜在成長率を低下させているのは、資源配分のゆがみだけではない。所得分配のゆがみも潜在成長率の低下をもたらしている可能性がある。これまでの議論は、超金融緩和の固定化が財政膨張を助長したということだった。 それでは、なぜ超金融緩和が固定化されたのか。内需主導の景気回復が期待できないため、輸出セクターをサポートすべく、円高回避を最重要課題に、完全雇用となっても超金融緩和が続けられたのである。 円安のサポートで、輸出が増えると生産が増え、企業業績が改善し、最後には雇用者所得の増加とともに個人消費の回復にも火が付くかもしれない。しかし、である。過去4半世紀、個人消費にまで回復が及んだケースは一度もなかったというのが実態である。 本来、完全雇用になれば、金融市場を通じ、企業業績の改善が家計にも及んでくるはずである。企業部門の回復の恩恵が家計に伝わるのは、雇用を通じたものだけではない。市場金利が上昇すれば、家計の利子所得が増える。さらに市場金利の上昇が円高傾向をもたらし、輸入物価の下落を通じて、家計の実質購買力を改善させる。 しかし、完全雇用になっても、円高を恐れ超金融緩和が固定化された。一貫して家計を痛めつける政策を続けているのだから、個人消費が回復しなかったのも当然であろう。一方で、優遇された輸出部門は、人的資本投資も無形資産投資も怠り、キャッシュフローをため込んできた。 このように超金融緩和政策が固定化され、追加財政が繰り返される過程で、潜在成長率の低下という狼が既に日本経済に深く入り込んでいた。潜在成長率の低下の過程では、インフレ率はむしろ低下した。 そして、公的債務が未曽有の水準まで膨張することは、金融システムの不安定化というもう1匹の狼を引き寄せた。企業部門、あるいは家計部門であっても過剰債務が膨らめば、金融システムを不安定化させる。このことは、公的部門であったとしても変わらない。 まず、大量の国債発行が続けば、インフレが上昇しなくても、リスクプレミアムが上昇し、長期金利に上昇圧力がかかる。それが顕在化し、長期金利が急騰すれば、金融市場が動揺し、マクロ経済が不安定化する。 それ故、日本銀行は未然に防ぐべく、金利政策を駆使し、長期国債を大量に購入する。ただ、長期国債と交換するのは日銀当座預金であり、統合政府の負債は急激に短期化し、財務構造が不安定化する。 厄介なのは、赤字国債を幾ら発行しても日銀が長期金利を抑え込むとなると、財政コストの意識は希薄化し、ますます財政の中銀依存が強まることである。我々は既にこの過程にあると考えられる。 さらなる問題は、この悪循環によって、前述した通り、潜在成長率は一段の低下が続くことである。日銀の国債管理がうまくいけばいくほど、危機のマグマがため込まれ、制御不可能な公的債務の膨張に向かう』、その通りだ。
・『政府と日銀は財政政策と金融政策の一体化認め財政規律回復の枠組み提示を  これまで多くの人が最も懸念していたインフレという狼はなお不在だが、潜在成長率の低下という狼は既に長年にわたって日本経済を疲弊させ、それが足元のインフレをむしろ低下させたことで、我々は安心して公的債務の膨張を甘受してきた。 また、金融システムの不安定化というもう1匹の狼を日銀が抑え込もうとすること自体も、人々の財政コストに対する意識を希薄化させ、さらなる公的債務の膨張を助長し、潜在成長率の低下という狼をますます勢いづかせる。 もちろん、高率のインフレが訪れるリスクもゼロとはいえない。例えば、大幅な通貨安が訪れた場合、金融政策は既に公的債務に割り当てられているから、それを止められず、円安とインフレのスパイラルが進むリスクはある。 仮に高率のインフレを抑え込むために、日銀が利上げを行うと、未曽有の公的債務を抱えているため、財政の持続可能性が著しく脅かされるとともに、金融市場も大きく動揺し、マクロ経済が不安定化する。物価安定と金融システムの安定という中央銀行の2大目標の間で齟齬(そご)が生じる。 この時、我々は物価安定より金融システムやマクロ経済の安定を優先せざるを得ない。優先されるといっても、高率のインフレの下で達成されるレベルの金融システムやマクロ経済の安定性は、我々が慣れ親しんできた安定に比べるとはるかに質の劣ったものとなるであろう。 念のために言っておくと、仮に日本銀行がここで論じた財政ファイナンスの弊害を強く認識しても、現在の統治機構の枠組みの中では、パンデミック危機が解消した暁においても、公的債務が既に大幅に膨張しているため、長期国債の購入を減らし、長期金利の上昇を受け入れるわけにはいかないと思われる。 そもそも低いインフレ率と低い成長率の解消が容易ではないため、インフレーション・ターゲットの下では、金融引き締めを正当化するのは難しい。その結果、財政の中銀依存はますます進み、いや応なしに公的債務管理に組み込まれる。 筆者の見立てでは、もはや良い悪いの問題ではなく、日銀は事実上の公的債務管理に組み込まれており、そこから逃れることはまず不可能だろう。 この期に及んで、日銀首脳が財政ファイナンスではない、と繰り返すのは、建前上の問題だけでなく、問題のレベルが、中央銀行単独で解決可能な次元をはるかに超えているからではないのか。異次元の財政ファイナンスの領域に入っている。 筆者自身は、政府と中央銀行が、財政政策と金融政策の一体運営が事実上始まっていることを認めた上で、その副作用として弛緩(しかん)した財政規律を回復させる枠組みを作ることが不可欠だと考えている。 そこに至るまでの第一歩として、財政ファイナンスによって膨らんだ公的債務の最大の問題が潜在成長率の低下と金融システムの不安定化であり、特に前者については既に顕在化していることを我々は認識しなければならない。 公的債務膨張の弊害は高率のインフレだと繰り返していると、意図せずしてMMT理論を実践し、制御不能な公的債務を抱えることになりかねない』、「日銀は事実上の公的債務管理に組み込まれており、そこから逃れることはまず不可能だろう」、同感である。「弛緩した財政規律を回復させる枠組みを作ることが不可欠」、その通りだが、実際には難しい課題だ。

第三に、10月1日付けPRESIDENT Onlineが掲載したフジマキ・ジャパン代表取締役の藤巻 健史氏による「「誰が首相になっても解決策はない」出口のない異次元緩和の末路 菅政権は「火中の栗を拾う内閣」」を紹介しよう。
https://president.jp/articles/-/39142
・『日本の財政は火の車だ。モルガン銀行(現・JPモルガン・チェース銀行)元日本代表の藤巻健史氏は「自民党総裁選が行われたが、政治家は誰も財政問題を語ろうとしなかった。無責任にも、臭いものには蓋をしているようだ」という――』、財務大臣経験者の岸田氏までが「財政問題を語ろうとしなかった」のにはガッカリした。
・『財政問題を語る政治家はどこにもいなかった  将来の首相を決める自民党総裁選で、どうして、どの候補者も、現在の日本の財政危機、日銀危機に触れなかったのだろうか? コロナとともに、最大の国難であると思うのだが。 臭いものには蓋か? 国民の目を逸らすためか? 回避不可能だから、国民には知らしむべからず、なのか? それとも政治家が経済・金融をわかっていないせいか? はたまた能天気のせいだろうか? 安倍晋三前首相の病状がどの程度だか知る由もないが、首相の座を降りたのは、年末にかけて行われる来年度の予算編成に向けてストレスが極限化したせいではと邪推している。 総裁就任前に出演したテレビ番組で菅総理が「行政改革を徹底して行った上で、消費税は引き上げざるを得ない」と発言した。一晩で撤回したものの、官房長官として安倍氏のそばにいて、財政の厳しさを痛感したが故ではなかろうか? 麻生太郎財務大臣や麻生派の河野太郎氏が出馬しなかったのも、財務省から、財政の厳しさについて十分なレクチャーを受けていたので、貧乏くじを引くのを回避したせいではなかろうか?(賢明だと思う) それほどに財政は逼迫ひっぱくしている』、「菅総理が・・・一晩で撤回した」、のもガッカリだ。
・『菅首相発言が一晩で一変したのも理解できる  そう考えると、菅内閣は、「借金踏み倒し」を実行する政権であり、火中の栗を拾う政権となると考える。 「消費税は、いずれは上げなければならない」が「安倍首相も今後10年ぐらい上げる必要はないと述べている。私も同じ考えだ」と菅首相発言が一晩で一変したのも理解できる。再スタートを切る前の政権の首相発言は、反故になっても、誰も文句を言わないからだ。 日本は、他国と違い、平時から借金を積み上げ、財政ファイナンスを行ってきた。それが故に、現在、世界ダントツの財政赤字国家であり、中央銀行は世界ダントツのメタボになってしまっている。 家庭であれ、国であれ、借金は、満期日には返さねばならない。返さなければ家庭は自己破産で、国家はデフォルトだ。したがって借金が大きくなると、家庭であれ、国であれ、資金繰りは自転車操業となる。 新しい借金と満期が来た借金の返済原資を調達しなければならないからだ。満期日に返したお金を再度貸してくれる人もいるだろうが、貸す、貸さないは貸主の権利ではあるが、義務ではない』、「国家はデフォルトだ」とあるが、ハイパーインフレで債務負担を軽減することも可能だ。
・『増税議論を避け、先送りを続けた自民党政権  ここで国と家計が違うところは、国には、巨大になった借金を問答無用で貸してくれる日銀がいることだ。それが2013年4月から始めた異次元緩和である。 これは国の借金を中央銀行が紙幣を刷ってファイナンスするという意味で、過去ハイパーインフレを引き起こした財政ファイナンスそのものだ。まさに財政破綻の先送り政策だった。これ故に日本は、財政赤字の巨大化とともに日銀のバランスシートもメタボになり、両者とも世界最大になってしまったのだ。 ちなみに、中央銀行が日銀のように紙幣を刷る権限が無いユーロ圏諸国は、中央銀行のバランスシートは拡大しないが、財政破綻を先送りできないので、財政破綻の恐怖につねにおびえている。 「財政赤字」「中央銀行のメタボぶり」は両者とも対GDP(国内総生産)比で測る。税収は、GDPにほぼ比例して増えるからだ。したがって「対GDP比の累積財政字額」とは「税金で財政赤字を解消できる難易度ランキング」であり、「対GDP比の中央銀行資産規模」とは「(金融引き締め時に必要な)税金で中央銀行バランスシートを縮小できる難易度ランキング」である。 要は、財政再建と、金融政策の機能回復には、日本は、世界ダントツの大増税が必要になったということなのだ』、「中央銀行が日銀のように紙幣を刷る権限が無いユーロ圏諸国は、中央銀行のバランスシートは拡大しない」、というのは筆者の誤解で、資産規模は膨らんでいる。「財政再建と、金融政策の機能回復には、日本は、世界ダントツの大増税が必要になった」、その通りだ。
・『かつて財政危機は官民で共有されていた  第2次安倍政権発足以前は、それでも、将来の大増税を回避しようとする試みは行われていた。1997年には橋本龍太郎内閣が「財政構造改革法案」を成立させた。第2条に「財政が極めて危機的な状況にある」と記されたこの法案により、橋本内閣は、財政再建への意欲を示した。 ただ、残念ながら、この年は三洋証券・山一証券・北海道拓殖銀行等が破綻し、財政再建どころではないと、この法案は骨抜きになり、後継の小渕恵三内閣の時、実質廃案となってしまった。 民主党の野田佳彦政権は、東日本大震災に対し、「復興税」という臨時増税を行い、その財源を明確にした。借金が大きくなることへの恐怖、自制心はまだ存在していたのだ。財政危機に対しての警戒警報記事も頻繁に新聞紙面をにぎわした。 ところが第2次安倍内閣の「異次元緩和」発動で、その財政再建の試みはぶち壊しとなった。通常、財政赤字が拡大すると長期金利が上昇し、長期国債市場が「政治家さんよ、そんなにお金をばらまくと長期金利が上昇して景気が失速しますよ」と、大きな警戒警報を鳴らす。しかし異次元緩和で、長期国債の爆買いをするから、いくらばらまいても警戒警報が鳴らない』、確かに「異次元緩和」以降の安倍政権の財政ばらまきぶりは酷かった。
・『「異次元緩和」の発動で失われた危機感  以前は、財政法第5条で本来発行できない赤字国債を、特別公債法案という財政法の上位法を毎年、成立させ、赤字国債を発行して、急場をしのいでいた。その法案を通すために毎年、与党は首相の首を差し出していたが、今では、一度、この法案を通せば5年間、赤字国債を発行できるようにした。 これでは赤字国債削減への首相のモチベーションは落ちる(第2次安倍政権が長期政権になり得たのも、これが主因だと私は考えている)。 又、「統合政府で考えると、財政は健全だ」という財政楽観論者の存在や「借金を拡大しても財政出動をすべきだ」等の財政出動派の存在が赤字を極大化させてしまった。この結果、第2次安倍政権は、尋常な方法での財政再建を放棄してしまったといえる』、「第2次安倍政権は、尋常な方法での財政再建を放棄してしまった」、長続きの秘訣のようだ。
・『「誰が首相になっても解決策はない。だから臭いものには蓋」  巨額になった借金を解消する手法は「大増税」か「借金踏み倒し」しかないが、大増税を放棄すれば、「借金踏み倒し」しか道はない。 「借金踏み倒し」は歴史的には、しばしば起こる。鎌倉時代・江戸時代は「徳政令」「棄捐令」だったが、今の世の中では、さすがにこのような過激な政策はとれないだろう。となると、実質、「借金踏み倒し策」であるハイパーインフレ策しかない。 1000兆円超の借金は、タクシー初乗り1兆円時代には、実質無きに等しくなるからだ。インフレとは債権者(国民)から債務者(国)への富の移行という意味で、大増税と同じである。したがってハイパーインフレとは国にとっては究極の財政再建策だが、国民にとっては地獄となる。 菅政権は安倍政権を継承するという。実は誰が総理になっても、この機に至っては、継承せざるを得ない。異次元緩和をやめると新首相が発言したとたんにXデーが到来するからだ。 年間発行国債の7~8割をも買っている日銀が購入をやめる(=異次元緩和をやめる)と、長期国債の値段は急落(=長期金利は急騰)する。政府は高い金利では国債発行などできないから予算が組めない。資金繰り倒産だ。莫大な国債を保有する日銀も巨額な評価損を抱え、債務超過になり円は暴落してしまう。ハイパーインフレ一直線だ。 したがって、この論考の最初の質問に対する回答は「誰が首相になっても解決策はない。だから臭いものには蓋」がその回答だと私は思っている』、「異次元緩和をやめると新首相が発言したとたんにXデーが到来」、強力な麻薬のようだ。「誰が首相になっても解決策はない。だから臭いものには蓋」、とは言い得て妙だ。
・『「コロナのせい」ではない、人災だ  「今はインフレでもないのにハイパーインフレなど起こるわけがない」という方がいる。しかしインフレ/デフレとハイパーインフレでは発生原因が違う。インフレ/デフレはモノの需給で起こるが、ハイパーインフレは中央銀行が信用を失墜させた時に起きる。通貨の価値が失墜するからだ。一晩で起こりうる。 ストーブに紙幣をくべているハイパーインフレのようすの写真を本で見た方もいらっしゃるとかと思うが、これはマキの供給不足の現象ではない。紙屑となった紙幣では誰もモノを売ってくれない。したがってストーブにまきの代わりに紙幣をくべたのだ。 国のリーダーはXデーの当事者にはなりたくないものだ。したがって、異次元緩和という安倍政権の政策継承によって、菅政権は、粛々とXデーに向かって進んでいくだろう。 そしてある日突然、日銀が債務超過になり、市場が混乱すると思っている。人はそれを「市場の暴力」と呼ぶだろうし、政権や日銀は「コロナのせい」にするだろう。しかしその「市場の反乱」は借金を世界最大減まで膨らませ、異次元緩和で危機を先延ばしにした人災である。 国を頼りにせず、ドルを買って自衛せよと私が申し上げている理由がここにある』、「インフレ/デフレはモノの需給で起こるが、ハイパーインフレは中央銀行が信用を失墜させた時に起きる。通貨の価値が失墜するからだ。一晩で起こりうる」、本質を突いた鋭い指摘だ。「異次元緩和という安倍政権の政策継承によって、菅政権は、粛々とXデーに向かって進んでいくだろう。 そしてある日突然、日銀が債務超過になり、市場が混乱する」、まさに破局だ。二番目の河野氏は勤務先を忖度して思い切ったことは言い難いが、忖度が必要ない「藤巻氏」は、危機をズバリと指摘するとはさすがだ。
タグ:ロイター 河野龍太郎 ダイヤモンド・オンライン PRESIDENT ONLINE 藤巻 健史 Newsweek日本版 異次元緩和政策 (その34)(「やめておけ マイナス金利」 欧州金融界 逆効果示唆する調査、コロナが拍車かける財政ファイナンスの「今そこにある弊害」、「誰が首相になっても解決策はない」出口のない異次元緩和の末路 菅政権は「火中の栗を拾う内閣」) 「「やめておけ、マイナス金利」 欧州金融界、逆効果示唆する調査」 行動ファイナンスの権威 イスラエルの国家債務管理部門を統括するリオル・ダビドプル氏 「もっと資金を借り入れてリスク性資産への投資を増やすよう、人々の背中を押したいのであれば、マイナス金利よりもゼロ金利の方がむしろ効率的だ」 リスクを取る行動と資金を借り入れる行動を促す効果が最も強く表れたのは、金利が1%から0%に下がった時 ゼロに戻したスウェーデン マイナス金利のコストが便益を上回った 銀行は手数料を課すか ルンド大のアンデション氏 成長を押し上げるために中銀がマイナス金利政策を採用する必要はなさそうだと話す。「私なら、やめておけと言う。その価値はないと 「コロナが拍車かける財政ファイナンスの「今そこにある弊害」」 危機下では容認される財政ファイナンス インフレ率も高まらず 日銀の長短金利操作政策が政府の財政膨張を支える皮肉 YCCを導入したのは、財政ファイナンスのためではなく、インフレを醸成することが目的だった」、のは事実であるが、結果的には「財政ファイナンス」をしているのと同じだ 超低金利と追加財政継続が低採算の企業を生き残らせ潜在成長率が低下 過度なマクロ安定化政策が潜在成長率を低下させている 長期金利上昇抑制のために国債購入する日銀 公的債務膨張続き高まる金融システムへの懸念 日銀の国債管理がうまくいけばいくほど、危機のマグマがため込まれ、制御不可能な公的債務の膨張に向かう 政府と日銀は財政政策と金融政策の一体化認め財政規律回復の枠組み提示を 日銀は事実上の公的債務管理に組み込まれており、そこから逃れることはまず不可能だろう 弛緩した財政規律を回復させる枠組みを作ることが不可欠 「「誰が首相になっても解決策はない」出口のない異次元緩和の末路 菅政権は「火中の栗を拾う内閣」」 財政問題を語る政治家はどこにもいなかった 菅総理が 一晩で撤回した 菅首相発言が一晩で一変したのも理解できる 「国家はデフォルトだ」とあるが、ハイパーインフレで債務負担を軽減することも可能だ 増税議論を避け、先送りを続けた自民党政権 中央銀行が日銀のように紙幣を刷る権限が無いユーロ圏諸国は、中央銀行のバランスシートは拡大しない」、というのは筆者の誤解で、資産規模は膨らんでいる 財政再建と、金融政策の機能回復には、日本は、世界ダントツの大増税が必要になった かつて財政危機は官民で共有されていた 「異次元緩和」の発動で失われた危機感 第2次安倍政権は、尋常な方法での財政再建を放棄してしまった 「誰が首相になっても解決策はない。だから臭いものには蓋」 異次元緩和をやめると新首相が発言したとたんにXデーが到来 誰が首相になっても解決策はない。だから臭いものには蓋 「コロナのせい」ではない、人災だ インフレ/デフレはモノの需給で起こるが、ハイパーインフレは中央銀行が信用を失墜させた時に起きる。通貨の価値が失墜するからだ。一晩で起こりうる 異次元緩和という安倍政権の政策継承によって、菅政権は、粛々とXデーに向かって進んでいくだろう。 そしてある日突然、日銀が債務超過になり、市場が混乱する
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