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日本企業のコーポレート・ガバナンス問題(その9)(コロワイド・蔵人金男会長 外食日本一を目指しМ&Aに邁進、1000社超の上場企業が総会の結果を訂正 株主軽視の総会は通用しない、インタビュー①/マネックスグループ社長 松本大 「総会は穏便に滞りなく。経営者の腰が引けている」、専門家が指摘する議決権“集計外し"の根本原因 株主総会の実務に詳しい中島茂弁護士に聞く) [企業経営]

日本企業のコーポレート・ガバナンス問題については、2016年10月30日に取上げた。久しぶりの今日は、(その9)(コロワイド・蔵人金男会長 外食日本一を目指しМ&Aに邁進、1000社超の上場企業が総会の結果を訂正 株主軽視の総会は通用しない、インタビュー①/マネックスグループ社長 松本大 「総会は穏便に滞りなく。経営者の腰が引けている」、専門家が指摘する議決権“集計外し"の根本原因 株主総会の実務に詳しい中島茂弁護士に聞く)である。

先ずは、本年10月29日付け日刊ゲンダイが掲載したジャーナリストの有森隆氏による「コロワイド・蔵人金男会長 外食日本一を目指しМ&Aに邁進」を紹介しよう。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/280616
・『蔵人金男・コロワイド代表取締役会長は1947年8月3日生まれの73歳。83年3月に社長に就任して以来、37年間経営トップを続けているワンマンカンパニーだ。 大戸屋に敵対的TOB  9月9日、定食チェーンの大戸屋ホールディングス(以下、大戸屋)に対するTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。外食業界で敵対的TOBが成立するのは初めてのことだ。大戸屋株式の保有比率を19%から47%に引き上げた。11月4日に開く臨時株主総会で、現社長の窪田健一を含む10人の取締役の解任と、コロワイドの蔵人賢樹専務ら7人の取締役の選任を求める株主提案をしている。 コロワイドの株主提案だけが議案で可決されれば経営陣が刷新され、大戸屋はコロワイドの連結子会社となる。総会後の取締役会で金男の長男、賢樹が社長に就任する。 2019年10月、大戸屋の創業家から同社株を取得したコロワイドが大戸屋の筆頭株主として突如、登場した。子会社になるよう持ちかけたが、大戸屋の経営陣は断固拒否。壮絶なバトルに突入した。 この過程で、さまざまなハプニングが起こった。 「デイリー新潮」(20年7月15日付)が、〈コロワイドを率いる蔵人金男会長が32億円もの巨額詐欺に遭っていた〉と報じた。 7月30日、福島県郡山市の飲食店「しゃぶしゃぶ温野菜 郡山新さくら通り店」で爆発があり、内装工事の現場責任者が死亡。19人が重軽傷を負う惨事となった。ガス漏れが原因とみられている。郡山市の店は焼き肉の「牛角」などを展開するレインズインターナショナルが運営。レインズはコロワイドの全売り上げの4割強を叩き出している。金男が経営不振に陥ったレインズを買収した。 臨時株主総会に向け、大戸屋の経営陣の首のすげ替えを敢行しようとしているさなか、金男の過去の暴言が暴露された。17年に発行された社内報に「挨拶もできない馬鹿が多すぎる」「生殺与奪権は、私が握っている」などと書かれていた。 「カンパニーとは同じパンを食べる仲間、という意味だ」 金男の口癖である。傘下に収めた企業の本社は横浜ランドマークタワーにあるコロワイド本社内に移転させる。一体感を基礎に、傾いた企業を素早く再建し、軌道に乗せるのが金男のやり方だ。 学歴・経歴に関係なく力があればどんどん登用する半面、実績を示せなくなった役員を更迭するのは日常茶飯事だ。 今年6月の大戸屋の株主総会で完敗した金男は敵対的TOBに打って出た。情に訴えるのをやめて、資本の力でねじ伏せる決断をした』、「〈コロワイドを率いる蔵人金男会長が32億円もの巨額詐欺に遭っていた〉との「デイリー新潮」報道は、結局どうなったのだろう。
・『1977年、金男は神奈川県逗子市にあった父親の中華料理店を引き継ぎ、自分でノコギリと金づちを使って炉端焼き居酒屋「甘太郎」の1号店に模様替えした。 99年、株式を店頭公開。2000年、東証2部(02年1部へ指定替え)への上場を機に、経営不振に陥った外食企業のM&Aを開始した。スタート時点では「北海道」「いろはにほへと」など居酒屋がほとんどだった。 00年代、コロワイドはモンテローザ、ワタミとともに居酒屋の「新ご三家」と呼ばれるようになったが、若者の酒離れが進み、脱居酒屋へと経営のかじを切る。 12年10月、焼き肉店チェーンの「牛角」を運営するレックス・ホールディングス(現レインズインターナショナル)を子会社にした。買収額は137億円。家族連れを取り込むのが狙いだった。グループの店舗数は2倍の約2200に拡大。グループ全体の食材の調達や加工を行うセントラルキッチン方式を導入した。 14年、305億円を投じ、回転寿司チェーン「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイトを買収した。「かっぱ寿司」は「安かろう、まずかろう」との悪いイメージに染まってしまっていて、3年の間に社長が4人交代するなど苦戦が続く。 「大戸屋の買収は第2のかっぱ寿司になりかねない」(外食担当のアナリスト)と懸念されている。 金男は外食日本一を目指している。牛丼チェーン「すき家」などを展開するゼンショーホールディングスの6304億円(20年3月期)がトップ。コロワイドは大戸屋の売り上げを単純合算しても2598億円(同期)。ゼンショーの背中は遠い。コロナ不況下、外食株は安値をつけ、「絶好の買い場」(外食産業の動向に詳しい中堅証券会社の役員)となっている。金男の次のターゲットはどこになるのか。 スキャンダルはあまたあったが突破力を評価して成熟度はプラス4点。大戸屋に“再建社長”として送り込む長男、賢樹の経営力は未知数だ。後継者として実績を積ませるための布石だろうが、この人事が吉と出るか。老害度はマイナス3点とした。 =敬称略 ■成熟度 +4 ■老害度 -3 ※筆者が成熟度を+1~+5、老害度を-1~-5で評定)』、「大戸屋」経営陣を「コロワイド」系に入れ替え、手作りを「セントラルキッチン方式」に変更するのだろうが、手作りに親しんだ顧客や中核社員を繋ぎ止められるか、がカギだろう。

次に、11月10日付け東洋経済オンライン「1000社超の上場企業が総会の結果を訂正 株主軽視の総会は通用しない」を紹介しよう。
https://premium.toyokeizai.net/articles/-/25178
・『9月に大手信託銀行で明らかになった議決権数の不適切な取り扱い。今回の問題は総会の実態に目を向けるいい機会だ。4人の識者のインタビューとともに日本の株主総会が抱える課題を浮き彫りにする。 今年9月、上場企業の株主名簿管理人である信託銀行が、株主総会で数えるべき一部議決権を集計していなかったという、“不都合な真実”が明らかになった。 三井住友信託銀行株式会社(当社の株主名簿管理人)において、一部議決権の未集計が判明したため(中略)本報告書を提出する――。10月5日、東証1部上場で高級フランス料理店を展開するひらまつは訂正臨時報告書を金融庁に提出した。 ひらまつは、6月26日に開催した株主総会の議決権行使結果を6月29日に開示していたが、これを訂正した。結果、社外取締役・楠本正幸氏の18.14ポイントを筆頭に、取締役選任議案の6人と監査役選任議案の1人、7人全員の賛成率が10ポイント以上も引き上がった。 9月末以降、ひらまつのほかにも1000社を超す上場企業が株主総会の議決権行使結果について訂正臨時報告書を提出している。これは9月24日に、三井住友信託銀行とみずほ信託銀行のそれぞれが記者会見を開いて、顧客企業の代理人として郵送で受け取った議決権行使書の一部をカウントしていなかったと明らかにしたことの影響だ。 東洋経済が10月末までに開示された訂正報告書を調べたところ、取締役選任議案と監査役選任議案に関して5ポイント以上の訂正があった会社が4社あることがわかった(下表)。 9月24日の会見で三井住友信託銀行は「再集計により賛成率が約16ポイント下がった(上場企業の)議案が2つあった」と説明したが、当該議案があった企業名などは明かしていない。現時点で、訂正報告書からもそれに該当する企業は発見できていない』、「1000社を超す上場企業が株主総会の議決権行使結果について訂正臨時報告書を提出」、とは影響がずいぶん広がったものだ。ただ、議決やり直しになるものがなかったのは不幸中の幸いだ。
・『議案の可否に影響を及ぼさなければ問題ない?  株主名簿管理人が数えるべき議決権数をカウントしないという前代未聞の事態はなぜ起こったのか。三井住友信託とみずほ信託が集計業務を委託していた折半出資の合弁会社、日本株主データサービス(JaSt)が行っていた特殊な事務処理に起因する。 JaStは総会シーズンに届く膨大な議決権行使書をスムーズに処理するため、株主総会が集中する3月、5月、6月について、郵便局に依頼して翌日に届ける予定の議決権行使書を(本来予定より)1日早く届けてもらう「先付け処理」を行ってきた。 問題を招いたのは株主総会前日に届いた議決権行使書の扱いだ。というのも、JaStは先付け処理で届いた議決権行使書を、その日のうちにOCR(光学文字認識)機で読み取っていたにもかかわらず、手続き上の受領日は本来届くはずだった日付(実際の配送日の翌日)としていたからだ。 一般に事前の議決権行使期限は株主総会前日を最終日と設定している。つまり、先付け処理で総会前日に届いた議決権行使書は、翌日(締め切り後)の受領となるため集計から外れてしまうのだ。もちろん、実際に届いたのは期限内であり、民法でも郵便物が物理的に到着した日を基準に考えることから、「集計結果に算入するべきだった」(西田豊・三井住友信託銀行専務)。 焦点は適正に集計されていれば、結果が異なる議案があったかどうかだ。会見で三井住友信託やみずほ信託は「調査したが、議案の可否に影響を及ぼす事案はなかった」と繰り返した。だが、これは2020年5月以降の株主総会についてのみ。先付け処理は20年近く続けられていた可能性があるが、2020年4月以前については「データはすべて消去した」(西田氏)ため、調べようがないのだ』、「2020年4月以前については「データはすべて消去した」」、とは驚かされた。データ消去は首相官邸だけの特技ではなかったようだ。
・『発覚は偶然の産物  今回、議決権行使書の”集計外し”が発覚したのは、東芝の株主の声がきっかけだった。同社に対し、シンガポールの投資ファンド、3Dオポチュニティー・マスター・ファンド(3D)や、エフィッシモ・キャピタル・マネジメントが、会社提案とは異なる社外取締役の選任を株主提案していた。 結局、東芝の株主総会で会社提案が可決され、株主提案は否決されたが、議決権の集計結果に疑問を持った3Dが東芝に確認を要求。東芝が株主名簿管理人である三井住友信託に調査を要請した結果、JaStの不適切な処理が発覚した。 これにはちょっとした偶然も絡んでいる。東芝の株主総会は7月31日に開催された。本来なら先付け処理の期間外だが、コロナ禍で3月決算会社のいくつかが7月に総会を開いたことで(東芝もその1社)、今年はJaStが7月総会分も先付け処理を行ったのだ。ファンドの指摘がなければこの先も”集計外し”は続いていた可能性が高い。 JaStに業務を委託している三井住友信託、みずほ信託、日本証券代行、東京証券代行の4社は上場企業全体の約58%から議決権の集計を受託している。過去20年近く先付け処理が行われていたとすれば、長年にわたって、数多くの企業が影響を受けたことになる。 もっとも、ほとんどの企業の訂正幅は1%未満で、議案の可否に影響もなかった。誤差の範囲ともいえる訂正だったためか、問題発覚の直後こそ大きく報じられたものの、早々にトーンダウンした。しかし、今回の問題を単に信託銀行の事務処理ミスと片付けていいのか。企業と信託銀行という株主総会の運営側が依然として株主を軽視している、その一端が現れただけではないか。 そうした問題意識から、企業経営者兼アクティビストの松本大氏、外国機関投資家でスチュワードシップ活動の責任者を務める三瓶裕喜氏、コーポレート・ガバナンスや総会実務に詳しい中島茂弁護士、会社法の専門家である田中亘教授の4人に、今回の一件に対する受け止めや株主総会についての問題意識を聞いた』、興味深そうだ。
・『信託銀行の姿勢が”集計外し”を生んだ  4人とも集計すべき議決権を集計しなかったことは論外としつつ、むしろ、その背景にある日本の株主総会に関する諸問題を指摘する。具体的な中身は各インタビューを読んでいただきたいが、ここでは2点補足をしておきたい。 まず問われるべきは、株主名簿管理人としての信託銀行の姿勢だ。 記者の手元に三井住友信託銀行が発行した「株主総会想定問答事例集 2020年3月版」がある(上写真)。これは企業に対して配布している冊子で、合計122項目にわたって、さまざまな質問を想定した回答例が解説付きで載っている。 “お客様”である企業に対して続けている手厚いサービスの一貫だろうが、結果的に企業が総会で「回答事例を読み上げる」ことを助長してきた。こうした株主を軽視するような信託銀行の姿勢が議決権の”集計外し”を生んだのではないか。 2つ目は企業における総会当日の議決権行使の扱いだ。 実は、当日の議決権行使を集計していない企業は多い。全国株懇連合会の2019年の調査によれば、臨時報告書の開示で当日行使を行った株主の一部の議決権のみ集計、または集計しないと答えた企業は全体の約83%に達する。 事前の議決権行使や委任状で賛成が確定している以上、当日の会場では拍手などで意思を確認すれば十分という判例があるからだ。しかし、この事前の議決権行使の集計に漏れがあることが今回明らかになった。2020年5月~7月の3カ月分だけで最大16ポイントも異なる議案があった。となれば、事前の賛成多数が微妙だったケースはあったかもしれない。 冒頭で挙げたひらまつの18ポイントの差異のうち、10ポイント以上がJaStの“集計外し”による影響で、残りの数ポイントは総会当日の議決権行使を集計に加えたことで生じた。大株主に当日の議決権行使について問い合わせ、賛成に加算したという。同社の場合、再集計で賛成率は高くなったが、ほかの上場企業にその逆(反対率の上昇)がなかったとは言い切れない。 JaStの先付け処理問題をきっかけに、日本の株主総会の実態に目を向けるべきだ』、信託銀行のミスがコーポレート・ガバナンスの実務面の問題に波及したようだ。

第三に、11月10日付け東洋経済オンライン「インタビュー①/マネックスグループ社長 松本大 「総会は穏便に滞りなく。経営者の腰が引けている」」を紹介しよう。
・『信託銀行が顧客から受託していた議決権行使書の集計業務で、郵送された議決権書の一部がカウントされていなかった問題を専門家はどう見ているのか。 インタビューの1人目は、創業者として20年以上にわたって企業のトップを務め、直近では「アクティビストファンド」のマネージャーとしても活動するマネックスグループの松本大社長。 今回の一件について「悪意があったとは思わない」とする一方で、「信託銀行の姿勢には問題を感じていた」と切り出した。そして、株主総会運営における大胆な法改正のアイデアも語った(Qは聞き手の質問、Aは松本氏の回答)』、興味深そうだ。
・『私はアドバイスを無視して自由にやっている  Q:三井住友信託銀行やみずほ信託銀行が議決権の一部を集計していなかったということが明らかになりました。この件をどう見ていますか。 A:実際には株主総会の前日に議決権行使書が到着していたのだから、「株主の大切な議決権なんだからちゃんと数えよう」という発想を持ってほしかった。 けれども、私はそこ(総会前日の到着分を集計しなかったこと)に悪意があったとは思わない。信託銀行としては、あくまで総会に間に合わせるためにちゃんとカウントしようとしていたと解釈している。 今回のことで信託銀行への信頼が大きく低下したとは思わない。一方で、株主総会に対する信託銀行の姿勢には問題を感じていた。 Q:どういった問題でしょうか。 A:株主総会へ向けて、信託銀行とリハーサルをやるのだが、彼らからは「質疑応答を早めに切り上げてください」とアドバイスを受ける。 私は創業社長でこれまで20回以上の株主総会をやってきた経験があるので、リハーサルでは「はい、はい」と聞き流して、当日はアドバイスを無視して自由にやっている。 だが、通常の社長はアドバイス通りに総会の質問を早めに切り上げようとしてもおかしくない。 Q:日本の経営者は株主との対話にあまり積極的ではありません。その背景には信託銀行の指導があるということですか。 A:日本の経営者は顧客に会うことはまったく厭わない。強い批判や要望を出されても、「ありがとうございます」と言って話を聞く。 しかし、相手が株主だと「会いたくない」と言う経営者が多い。これは経営者の人格の問題ではなく、「そういうことはやらないものなんです」と(株主対応の)担当社員や信託銀行が言うので、腰が引けているケースが多いように思う。 上場企業の経営者の中には社長就任時に「開かれた株主総会にして、大勢の株主の意見を聞きたい」と思う人は大勢いるはずだ。だが、株主総会はなるべく穏便に、滞りなく運営したほうがいいという担当者や信託銀行の意見に従ってしまう。 Q:それはやはり経営者の問題では? A:総会実務の担当者は長年の経験がある。信託銀行も株主対策の専門家だ。対して、社長は就任したばかりだったりする。社長としてやらなくてはいけないミッションは山積みで、「株主総会のことで戦ってもしょうがない」と思ってしまい、「分かった。今までどおりでいい」とつい言ってしまうのだろう。結局、昔からやってきた総会のやり方を変えられない。 Q:事なかれ主義や前例踏襲主義が実務側に強いという問題意識ですね。どのようにすれば改善できるでしょうか。 A:株懇(株式懇話会)という株式実務担当者の横のつながりは廃止するべきだ。信託銀行が前例踏襲型のアドバイスをするのも見直したほうがいい』、「株主総会」の「リハーサル」に、「信託銀行」が来ているとは初めて知った。「彼らからは「質疑応答を早めに切り上げてください」とアドバイスを受ける」、しかし、「リハーサルでは「はい、はい」と聞き流して、当日はアドバイスを無視して自由にやっている」、「松本」氏はさすがだ。
・『株主番号と名前を言う必要はない  Q:株主総会での前例踏襲とはたとえばどんなことでしょうか。 A:一般的に株主総会で質問する株主に「株主票番号と名前を言ってください」とお願いする。入場時に株主であることを確認しているのに、発言前に株主票番号と名前を言ってもらうのは、壇上から牽制球を投げているようなものだ。私たちはあなたが誰だかわかっていますよ、と。 でも、牽制したうえで発言してもらうというのはおかしい。当社ではこれをやめた。今は「株主票番号も名前も言わないでください」としている。 ほかにも、平日開催が当たり前だということ。当社は2001年6月の上場会社として最初の株主総会から、毎年土曜日に株主総会を開催している。最近では週末開催もずいぶん増えているが、依然として特定日に集中している。株主総会に来て欲しくないのだろう。 株主提案権も制限しようとする。当社はホームページで「何株以上を何日間持っていれば、株主として提案できます」と書いて、むしろ促している。 こうした取り組みを進めようとしたとき、社内の総務部からは「お願いだからやめてください」と言われたし、信託銀行からも「何を考えているんですか?」と言われた。私が「なるべく多くの株主の人に来てもらって、意見を言ってもらうことが大切だから」といって説得した。 Q:アメリカの株主総会は非常に短時間で簡素です。日本はアメリカを見習うべきだという意見もあります。 A:確かにバークシャー・ハサウェイとディズニーを除いたら、アメリカの株主総会の規模は小さい。私はマスターカードの取締役でもあるが、時価総額が世界でも10何番目のマスターカードでも、当日会場に来る株主は7人とかそんなもの。 この事実だけをみて、「アメリカを見習って日本の総会も簡素化すべき」と言う人がいるが、それは違う。 アメリカでは総会当日までに株主と会社の間でいろんな対話が行われている。総会の1日だけではなく、1年間を通して株主と会社の間でコミュニケーションが取られているので、総会の日は簡単でいい。だが、日本では年間を通じた株主と企業のコミュニケーションがない。 Q:日本で株主と企業が年間を通じたコミュニケーションを行うためには、どうすればいいのでしょうか。 A:一番ドラスティック(抜本的)なのは、取締役選任議案を株主にしか提案できないように法律を変えること。会社側は取締役を提案できないことにする。 もちろん株主なら誰でも良いというわけではなくて、何%以上保有とか、何カ月以上保有とか一定の制限は設ける。例えば1%以上を半年保有している株主であるというように。そうすると、次の総会までの1年間にきちんとした対話が行われるようになるだろう。 会社は株主に会いに行って、あるいは株主が会社に対して、「自分が株主として提案しないといけないけど、誰がいいの?」という話になるからだ。もしくは、「どういう社外取締役が欲しいの?」「こんな感じの人です」「だったら、こういう人がいるよ」というふうに、株主と会社の間で建設的な会話がもたれて、取締役会の候補者名簿ができていく。 「株主がおかしな議案をたくさん出してきて手がつけられなくなる」と言う人がいるかもしれないが、それは違う。株主は自分のお金を入れている。自分の財産を守るためにも真剣に考えるはずだ。連続性のないめちゃくちゃな人事案を持ってくる株主なんてほとんどいないだろう。 いいアイデアでしょ?(笑)』、「株主総会で質問する株主に「株主票番号と名前を言ってください」とお願いする」必要はないのに、続いているのは、かつての「総会屋」対策の名残なのかも知れない。「取締役選任議案を株主にしか提案できないように法律を変えること」、面白そうだが、社外取締役の候補を選ぶにはやはり執行側の社長の権威が必要なのではなかろうか。
・『経営者にフレンドリーな提案であるべきか  Q:最近は経営者としてだけでなく、物言う株主、アクティビストとしての活動をされています。その立場から企業の株主への姿勢で感じたことはありますか。 A:アクティビストとして企業との対話をしようとすると、「その提案はフレンドリーな提案なのか、アンフレンドリーな提案なのか」と言われることがある。このフレンドリーかどうかは、あくまで経営者に対する視点で聞いてくる。これはおかしい。 会社は誰のものかという議論が昔からある。株主だと言う人もいれば、従業員だと言う人も、お客さまだと言う人もいる。現代においては普通に考えると株主であり、ステークホルダー(利害関係者)を含めて広めに考えるなら、会社は、株主、従業員、お客さま、そして社会のものだ』、その通りだ。
・『「重要なことは実りのある株主との対話だ」と強調した松本社長  つまり、ステークホルダーの中に経営者は入っていない。経営者はあくまで期間限定のアドミニストレーター(管理者)でしかない。本来問われるべきは、その提案が株主にとって、あるいはお客さまや従業員、社会全体などのステークホルダーにとってフレンドリーかどうかであって、経営者に対してではないはずだ。 なのに、日本で議論されるときは、経営に対してフレンドリーかどうかばかりが問われている。こうしたところから、経営者の都合が優先されていると感じる。 Q:招集通知の発送から株主総会までの期間が短く、株主が議案を検討する時間が十分でないといった指摘や、議決権の電子行使の使い勝手が悪いという批判もあります。 A:そういったことも問題だが、海外と比べて特にひどいかというとそうでもない。招集通知の発送から総会までの期間について、現状の2週間」、から3週間、もしくは4週間にしようというよりも、(株主総会日以外の)残りの50週に何をやるか議論するほうが実利的だ。 今回の信託銀行の集計問題も、それ自体は大したことではない。背景まで考えないと、木を見て森を見ずになってしまう。政府の審議会でも、総会前の4週間ぐらいの話をすごくしたがるが、そこじゃない。 何度も言うが、重要なのは1年間を通して株主と会社が実りのある対話をすること。 そのために私が考えるのは、取締役の選任議案を株主しか提案できないようにすることだ。そうすれば否が応でも、総会が終わったときから(株主と会社の対話が)始まる』、「重要なのは1年間を通して株主と会社が実りのある対話をすること」、同感である。

第四に、11月13日付け東洋経済オンライン「信託銀行の議決権“集計外し"に欠如した視点 会社法に詳しい東京大学の田中亘教授に聞く」を紹介しよう。
https://toyokeizai.net/articles/-/388066
・『今年9月、上場企業の株主名簿管理人である信託銀行が、株主総会で数えるべき一部議決権を集計していなかったという前代未聞の事態が明らかになった。 問題発覚の直後こそ大きく報じられたものの、早々にトーンダウンした。だが、今回の問題を単に信託銀行の事務処理ミスと片付けていいのか。会社法に詳しい東京大学の田中亘教授に聞いた(Qは聞き手の質問、Aは田中氏の回答)』、興味深そうだ。
・『信託銀行の取り扱いに衝撃を受けた  Q:株主総会前日に配達された議決権行使書で、実際には届いているにもかかわらず、翌日扱いとして集計から外すことが20年近く続いていました。今回の事態をどう見ていますか。 A:信託銀行がああいった取り扱いをしていたことは知らず、衝撃を受けた。 会社法上、投票期限は会社が決定して、招集通知に記載すればよい。投票期間は招集通知の発送から2週間あればよく、集計が間に合わないのであれば、株主総会前日よりも前に(議決権行使の)期限を設定できる。 しかし、招集通知に株主総会前日が期限と記載している以上、前日に届いた議決権行使書はカウントしなければいけない。 Q:三井住友信託とみずほ信託は、調査した過去3カ月の株主総会に関して「賛否には影響がなかった」と強調しています。 A:結果に影響がなかったから問題ない、ということではない。株主総会決議の方法に法令違反があれば、決議が取り消されるというのが原則だ。 今回のカウントミスは法令違反なので、これ自体が(決議の)取消事由にはなる。ただし、法令違反であっても瑕疵が重大ではなく、決議結果に影響がなければ、裁判所が裁量で棄却する可能性が高い。 Q:重大な瑕疵とは、具体的にはどういうケースですか。 A:株主総会の当日に、決議に「反対」を表明している株主の出席を意図的に拒否したようなケースがあれば、(決議が)取り消される可能性が高い。このような場合、事前に行使された議決権だけで全議決権の過半数の賛成が集まっていて、決議が可決されることが総会前までに確定していたとしても取り消されるだろう。 正当な理由が何もないのに株主を排除していれば、たとえ結果に影響を及ぼす可能性がゼロだったとしても、決議の効力は否定されるというのが原則になる。法律は結果に影響がなければよいという考え方には立っていない』、「今回のカウントミスは法令違反なので、これ自体が(決議の)取消事由にはなる。ただし、法令違反であっても瑕疵が重大ではなく、決議結果に影響がなければ、裁判所が裁量で棄却する可能性が高い」、「法律は結果に影響がなければよいという考え方には立っていない」、「法令違反」とはやはり重大だったようだ。しかし、プロたる「信託銀行」が「法令違反」を長年続けてきたというのには、改めて驚かされた。
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